04 東京都

【2025年6月13日】東京都知事記者会見と政策立案のヒント

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1. 夏のHTTの推進

概要 

  • ニュース概要
    • 東京都は、深刻化する気候危機に対応するため、電力を「へらす・つくる・ためる」を意味する「HTT」の取組を一層推進する。新たにチョコレートプラネットと堀越麗禾さんを起用した動画を公開し、7月1日には都民広場でプロジェクションマッピングイベントを開催する。1

政策立案の示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 「命に関わるような暑さ」が常態化し、気候危機が年々深刻になっているため、脱炭素化に向けた温室効果ガスの削減が急務である。都としてエネルギーの安定供給と環境負荷軽減の両立を図る必要がある。
  • 具体的なアクション
    • 著名人を起用した新たなPR動画の公開と、7月1日に都庁でプロジェクションマッピングやトークショーを含むイベントを実施する。
  • 行政側の意図
    • 都民や事業者に対し、省エネ(へらす)に加え、太陽光パネルでの発電(つくる)や蓄電池・EVの活用(ためる)といった具体的なアクションを促し、脱炭素化への社会的機運を醸成することを目的としている。2
  • 期待される効果
    • 都民の具体的なHTTアクションを促進し、電力需給の安定化と温室効果ガス排出量の削減を目指す。
  • 課題・次のステップ
    • 太陽光パネルや蓄電池の設置を更に普及させ、都民一人ひとりのライフスタイルへのHTTの浸透を図る必要がある。
  • 特別区への示唆
    • 各区は、地域住民や事業者に対してHTTの重要性を周知し、補助金制度の案内やイベント開催などを通じて具体的な行動を支援することが求められる。プロジェクションマッピングのような先進的な広報手法も参考になる。

2. 訪都旅行者数等実態調査結果

概要

  • ニュース概要
    • 2024年に東京を訪れた外国人旅行者数が過去最高の2,479万人に達し、観光消費額も約4兆円と大幅に記録を更新した。都はこれを、これまでの戦略的なプロモーションの成果と位置づけている。

政策立案の示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • インバウンド観光は、東京の経済活性化に大きく貢献する重要な産業であるため。行政として、東京の魅力を最大化し、海外からの旅行者を戦略的に誘致することで、持続的な経済成長を促す必要がある。
  • 具体的なアクション
    • アニメ、食、伝統文化など多彩な魅力を更に磨き上げ、海外へ効果的に発信し、旅行者が快適に過ごせる環境整備を進める。
  • 行政側の意図
    • 「世界で最も魅力的な大都市」としての評価を維持・向上させ、観光消費による経済効果を最大化すること。東京のブランド価値を高め、国際競争力を強化する狙いがある。
  • 期待される効果
    • 観光産業の更なる成長と、それに伴う都内経済の活性化、雇用の創出、そして国際的なプレゼンスの向上が期待される。
  • 課題・次のステップ
    • オーバーツーリズム対策として、観光客のマナー向上を促し、都心部以外の多摩・島しょ地域へも旅行者を誘引する必要がある。
  • 特別区への示唆
    • 各区は、地域の文化資源や魅力を発掘・発信し、外国人旅行者向けの受け入れ環境(多言語対応、Wi-Fi整備等)を整備することが重要。オーバーツーリズム対策として、地域住民との共存を図るルール作りも求められる。

3. メッセナゴヤ2025出展募集

概要

  • ニュース概要
    • 東京都は愛知県と連携し、産業活性化を促進する。11月に名古屋市で開催される異業種交流展示会「メッセナゴヤ2025」に東京都ブースを設置し、出展する都内の中小企業を募集する。

政策立案の示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 国内企業の約2割が集積する東京都と愛知県が連携することで、日本経済全体の牽引を目指すため。特に関税措置の影響を受ける製造業のサプライチェーン強化や、企業間の技術連携を支援する必要がある。
  • 具体的なアクション
    • 「メッセナゴヤ2025」への東京都ブース設置。本日より7月3日まで、東海地域の企業との連携に意欲のある都内中小企業を募集する。
  • 行政側の意図
    • ものづくりが盛んな愛知県の企業と都内企業とのビジネスマッチングを促進し、新たな商流や技術革新を生み出すこと。これにより、都内中小企業の競争力強化と事業拡大を後押しする。
  • 期待される効果
    • 都内中小企業の販路拡大、ネットワーク形成、そして新たなビジネスチャンスの創出が期待される。
  • 課題・次のステップ
    • 出展企業が具体的な商談成果を上げられるよう、事前のマッチング支援やフォローアップ体制の構築が重要となる。
  • 特別区への示唆
    • 各区は、区内の中小企業に対して本事業を積極的に周知し、応募を奨励することが望まれる。また、地域の産業特性に応じた他地域との連携事業を企画・実施する際の参考となる。

4. 女性活躍推進

概要

  • ニュース概要
    • 日本のジェンダーギャップ指数が148か国中118位と低迷している状況を受け、都は女性活躍を更に推進。「(東京)女性リーダーズ応援ネットワーク」への参画企業と、女性リーダー育成プログラムの参加者を新たに募集する。

政策立案の示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • ジェンダーギャップ、特に政治・経済分野における女性の参画の遅れは、社会全体の活力や潜在能力の損失につながるため。行政が率先して環境整備や意識醸成を行うことで、社会全体の変革を促す必要がある。
  • 具体的なアクション
    • 「(東京)女性リーダーズ応援ネットワーク」の参画企業募集と、企業内の女性社員を対象としたリーダー育成プログラムの参加者募集を開始する。
  • 行政側の意図
    • 都内の企業における女性管理職の育成を支援し、意思決定層の多様性を確保すること。女性が能力を発揮しやすい社会を構築し、日本全体の女性活躍の気運を高めることを目指す。
  • 期待される効果
    • 都内企業の女性管理職比率の向上、経営の多様化、そして女性自身のキャリアアップが期待される。
  • 課題・次のステップ
    • 企業の意識改革をさらに進め、プログラム参加者が実際に組織内で活躍できるような環境づくりを企業側に働きかけていく必要がある。
  • 特別区への示唆
    • 各区は、区内企業へ都のプログラムを周知すると共に、独自の女性活躍支援策(例:地域でのネットワーキングイベント、育児支援との連携)を検討・実施することが期待される。区役所自身の女性登用も重要となる。

5. TOKYOカルチャーデビュー

概要

  • ニュース概要
    • 子供たちの芸術文化体験を広げるため、新たなプラットフォーム「TOKYOカルチャーデビュー」を立ち上げる。年間5万人規模で、子供たちがプロの芸術家と共に作品制作や舞台出演を体験する機会を提供する。3

政策立案の示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 子供たちの感受性や想像力を育むことは、次代を担う人材育成の根幹であるため。家庭環境等によらず、全ての子供が質の高い芸術文化に触れる機会を、行政が主体となって保障する必要がある。
  • 具体的なアクション
    • 是枝裕和監督との映画制作や、コシノヒロコ氏によるファッションプロジェクトなど、第一線で活躍するプロと連携した6つのプログラムを開始。
  • 行政側の意図
    • これまで芸術文化に触れる機会が少なかった子供たちを含め、多くの子供たちの好奇心に応え、その感性の芽生えを応援すること。社会全体で子供たちの成長を支える気運を醸成する。
  • 期待される効果
    • 子供たちの豊かな人間性の涵養と、将来の文化の担い手や鑑賞者の育成につながることが期待される。
  • 課題・次のステップ
    • より多くの子供たちが参加できるよう、プログラムの多様化と継続的な実施、および情報発信の強化が求められる。
  • 特別区への示唆
    • 各区は、都のプラットフォームを区内の子供たちや学校に広く周知すると共に、地域の芸術家や文化施設と連携した独自の体験プログラムを企画・提供することで、子供たちの文化体験機会を更に充実させることができる。

質疑応答(要約)

  • オーバーツーリズムへの対応:
    • 都心だけでなく自然豊かな多摩・島しょ地域など、東京には旅行者を受け入れる十分なキャパシティがあると認識。旅行者へマナーや習慣をしっかり伝え、都民生活との調和を図りながら地域の理解を得ていきたい。
  • 都議選への期待:
    • 時代の節目であり、各陣営には人口減少や超高齢化といった課題に対し、練られた公約を堂々と論じてもらいたい。また、厳しい国際情勢や物価高など、世界と都民の生活を広く見ながら議論することを期待する。
  • グリーン水素の入札価格について:
    • 都が需要と供給を踏まえてトライアルで値付けを行っている。今後のエネルギー情勢やインフラ整備なども価格に反映されていくと考えており、引き続き注視していく。
  • 都議選の女性候補者が過去最多の見通しであることについて:
    • 女性議員が増えるためには候補者が増えることが必然であり、喜ばしい流れ。都議会の男女比は既に都道府県議会で1位だが、様々な観点が都政にもたらされているベースになっていると認識している。
  • 選挙期間中の公務と政務の進め方:
    • 前回の知事選と同様に行う。
  • 都税減税の公約について:
    • 減税は税収減だけでなく、地方債発行に国の許可が必要になるなど、都の財政運営の自主性・主体性が大きく損なわれる。公共サービスに支障が出る恐れもあり、責任ある政策決定が必要。
  • 政治分野での女性増の必要性とクオータ制について:
    • ジェンダーギャップ指数が示す通り、日本のポテンシャルを活かす点で女性の力は不可欠。クオータ制は何かを大きく前に進めるためには一種必要かもしれないが、審議会で女性比率を高めたように、必要な人材を確保する明確な思いを持つことが重要。
  • 都議選での応援方針について:
    • 都政を連携して進めやすい信頼関係があるところや、自身が立ち上げた都民ファーストの会を応援する。世界が荒れる中で、都政を確実かつスピーディーに進める志などを総合的に勘案して判断する。

出典

小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和7年6月13日)

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