81 ライフデザイン

公務員の新しい挑戦「業界専門書・実務書の執筆」完全ガイド:行政実務の知見を書籍として残す副業の全貌

masashi0025
目次
  1. はじめに
  2. はじめに:
    書籍を通じた知識継承の意義
  3. 背景・基礎知識:
    出版を通じた専門知識の社会還元
  4. メインコンテンツ:
    業界専門書・実務書執筆活動の3つの核心ポイント
  5. 実践・応用編:
    特別区職員が業界専門書・実務書執筆を検討する実務手順
  6. よくある質問(FAQ):
    業界専門書・実務書執筆活動の実務的疑問への回答
  7. まとめ:
    業界専門書・実務書の執筆が拓く知的貢献の形

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。
※実際の副業・兼業に当たっては、所属組織の規定等を必ず確認するとともに、所管部署や上司に事前相談してください。

(出典)人事院「自営兼業制度の見直しについて」令和7年度
(出典)総務省「地方公務員の兼業に関する技術的助言の通知」令和7年度

職員の幸福が、住民の幸福をつくる

  • 誰か(住民)を幸せにするためには、まずは自分が幸せになる必要があります
  • ハーバード大学のニコラス・クリスタキス教授とカリフォルニア大学のジェームス・ファウラー教授は、20年間にわたり約5,000人を追跡した大規模な研究を行いました。この研究によれば、ある人の幸福は、その友人の幸福度を約15%高め、さらにその友人の友人(2次の隔たり)、そして友人の友人の友人(3次の隔たり)にまで波及していくことが科学的に示されたのです
    • 出典
      • Nicholas A. Christakis & James H. Fowler, 『Connected: The Surprising Power of Our Social Networks and How They Shape Our Lives』(邦題:『つながり 社会的ネットワークの驚くべき力』), Little, Brown and Company, 2009.
  • つまり、ご自身が経済的な安心感と幸福を手に入れることは、皆様が思う以上に広範囲に、巡り巡って地域や住民の方々をも幸せにする、確かな力を持っているということです。
  • 今回は、皆様がその第一歩を踏み出すための一助として、公務員向けの副業ガイドを分かりやすくお届けします。

はじめに:
書籍を通じた知識継承の意義

 東京都特別区の職員の皆様は、日々の業務を通じて、行政実務、政策立案、住民対応、財政分析、組織運営など、多様な領域の専門知識と経験を蓄積されているのではないでしょうか。一方、自治体実務の現場では、世代交代に伴う知識継承の課題、新任職員向けの実務的な学習機会の不足、政策担当者向けの体系的な解説書の必要性、行政との連携を業務とする民間専門家(行政書士、社会保険労務士、コンサルタントなど)への情報提供のニーズなど、書籍という形で体系化された知識への需要が継続的に存在していると考えられます。書籍は、オンライン情報やSNSとは異なり、体系的・恒久的な知識継承の媒体として、独自の社会的役割を持つ媒体として位置付けられている性質があります。

 このような時代背景の中で、令和7年12月19日に人事院が公表した自営兼業制度の見直し方針、および令和7年6月11日付け総務省通知による地方公務員の兼業に関する技術的助言を受け、公務員が自身の専門知識を業界専門書や実務書として執筆する副業の可能性が広がりつつあります。本記事では、業界専門書・実務書の執筆という副業・兼業類型について、制度の根拠から承認要件、実務上の留意点、本業への還元効果までを体系的に解説します。

 なお、本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の兼業承認の可否、出版契約に関する法的判断、著作権・知的財産権の取扱い、税務処理の詳細については、必ず所属組織の所管部署、税理士、弁護士等の専門家にご相談ください。出版に関わる法的論点は専門性が高く、個別の契約条件によって取扱いが大きく異なる性質を持ちます。兼業承認の判断は最終的に各任命権者が行うものであり、本記事の記述は各自治体・各任命権者の判断を拘束するものではない点を、あらかじめお断りしておきます。

背景・基礎知識:
出版を通じた専門知識の社会還元

業界専門書・実務書の社会的役割

 書籍は、体系化された知識を恒久的に社会に残す媒体として、長年にわたり知識継承の中核的な役割を担ってきたと考えられます。特に業界専門書・実務書の領域では、現場の実務経験者による解説、制度の体系的整理、実務的な手順とノウハウの記録など、教科書的な学術書とは異なる実践的価値を持つ書籍が継続的に求められている状況があると考えられます。自治体実務、行政法、地方財政、政策立案、住民対応、危機管理などの領域では、新任職員向けの入門書、中堅職員向けの専門書、管理職向けの政策書、士業や民間専門家向けの解説書など、多様な層に向けた書籍が刊行されている事例が見られます。

 近年の出版市場では、紙の書籍に加え、電子書籍、オーディオブック、デジタル化された有料コンテンツなど、書籍的コンテンツの形態が多様化しつつある状況があります。書籍を通じた知識発信は、執筆者個人にとっても、専門性の社会的認知、キャリア形成への寄与、知的成果の体系化といった意義を持ち得る活動として位置付けられ得ます。具体的な出版市場の動向については、出版業界の各種統計や業界レポートをご確認ください。

出版形態の多様性と公務員の関わり方

 書籍出版に関わる形態は多様です。商業出版は、出版社が企画・編集・販売の主体となり、執筆者は印税契約に基づいて執筆する形態として、一般的に最も知られている形態です。出版社からの執筆依頼を受ける場合と、執筆者が企画を持ち込む場合があります。自費出版は、執筆者が出版費用を負担して書籍を刊行する形態として、近年は印刷オンデマンド技術や電子書籍の普及により、より身近な選択肢となっている状況があります。

 共著は、複数の執筆者が分担して執筆する形態として、自治体実務書などで広く用いられている方式です。共著者間の役割分担、印税の配分、各章の責任所在などについて、事前の整理が必要となります。監修は、書籍全体の内容を確認・指導する立場として関わる形態であり、執筆者ではない関わり方として位置付けられます。翻訳は、海外の書籍を日本語に翻訳する形態として、原著者との関係、翻訳権の取扱いなど特有の論点を持ちます。

 これらに加え、雑誌・専門誌への寄稿、Web媒体への連載、ニュースレターの執筆、書籍の一部分のみの執筆協力など、書籍以外の形態での執筆活動も存在します。各活動形態によって、契約条件、収入構造、責任範囲、必要な手続が異なるため、自身の関わり方に応じた整理が必要となります。

令和7年の制度改正と書籍執筆の関係

 令和7年12月19日の人事院通知では、職員の有する知識・技能をいかした事業が自営兼業の承認対象として新設されました。書籍執筆は、人事院規則14-8運用通知における著作物の創作及び販売に該当し得る活動として、職員の有する知識・技能をいかした事業の典型的な一例として位置付けられ得る可能性があります。人事院Q&Aの問6の解説でも、出版社を通さずに自費出版をすることが、職員の有する知識・技能をいかした兼業の典型例の一つとして言及されています。

 書籍執筆活動への参画形態には、商業出版での執筆、自費出版、共著、監修、翻訳、雑誌・専門誌への寄稿など、多様な選択肢があります。出版形態、契約条件、印税収入の規模、継続性によって、適用される条文と必要な手続が異なる可能性があります。地方公務員の場合は地方公務員法第38条が適用され、各自治体の規則に基づく任命権者の許可が必要となる可能性があります。最終的な法令適用の判断は承認権者によってなされるため、活動検討の早期段階で所属組織への事前相談が不可欠となります。

メインコンテンツ:
業界専門書・実務書執筆活動の3つの核心ポイント

ポイント1:
公務員の知見が業界専門書に独自価値をもたらす理由

 業界専門書・実務書の領域において、公務員が提供し得る独自価値は、単なる情報の整理や解説に留まらない性質を持ち得ます。第一の価値は、現場の実務経験に基づく実践的知見です。学術書や法律書が制度や理論の体系的解説を中心とする一方、実務書は現場で実際に直面する課題、関係者との調整プロセス、制度の運用上の工夫、住民との接点での学びなど、実務経験者にしか書けない知見を含むことが期待される性質を持ちます。自治体職員として現場で蓄積した経験は、こうした実践的知見を体系的に整理して書籍として残す基盤となり得る可能性があります。

 第二の価値は、制度横断的な視点です。実務書の読者は、特定の制度だけでなく、関連する複数の制度との接続、政策間の整合性、複合的な課題への対応など、横断的な視点を求めることが多いと考えられます。公務員として複数の業務領域に関わり、政策間の調整経験を積んできた人材は、こうした制度横断的な視点を提供できる立場にあり得ます。

 第三の価値は、文章構成と論理展開の専門性です。公務員は政策文書、報告書、議会答弁、住民向け通知文など、明確で論理的な文章を作成する訓練を日常的に受けている立場にあります。書籍執筆は、長文の構成、章立ての設計、論理的な議論の展開、読者層に応じた表現の調整など、文章作成の総合的な能力が求められる活動であり、公務員としての文書作成経験は重要な基盤となり得ます。

 これら3つの価値は、人事院が掲げる政策意図のうち、特にやりがい向上、スキル還元、地域貢献の観点で合理性を持ち得ます。書籍執筆活動を通じて獲得する知識の体系化能力、論理的構成力、専門領域の深い理解は、本業の政策立案、文書作成、職員研修などの業務において活用可能な知見となり得ます。同時に、書籍を通じた知識の社会還元は、自治体実務の質的向上、世代間の知識継承、行政分野での人材育成への貢献という公益的意義を持ち得る活動として位置付けられ得ます。

ポイント2:
出版形態の選択と法令適用の判別

 業界専門書・実務書の執筆活動を検討する際、出版形態の選択が実務上の重要論点となります。想定される主要な出版形態としては、商業出版での単著、商業出版での共著、自費出版、雑誌・専門誌への寄稿、監修、翻訳などが考えられます。

 商業出版での単著の場合、出版社との出版契約に基づき、印税収入を得る形態となります。一冊の執筆プロジェクトとして関与する形態であり、執筆期間中は継続的な業務となる性質を持ちます。人事院規則14-8運用通知における著作物の創作及び販売に該当し得るため、職員の有する知識・技能をいかした事業として自営兼業の承認対象となる可能性があります。出版社との契約に基づく印税収入は、書籍が継続的に販売される限り発生する性質を持つため、長期的な収入構造となります。

 商業出版での共著の場合、複数の執筆者との共同作業となり、印税の配分、執筆分担、責任範囲などについて、共著者間および出版社との契約で定める必要があります。共著者の中に他の現役公務員、退職した元公務員、民間専門家、研究者などが含まれる場合、それぞれの立場との調整も必要となる場合があります。

 自費出版の場合、出版費用を執筆者が負担し、出版から販売までを主導する形態として、より自営的な性格が強くなります。電子書籍プラットフォームを活用した自費出版、印刷オンデマンドサービスを活用した自費出版など、近年は多様な選択肢が存在します。販売収益、宣伝活動、在庫管理など、商業出版とは異なる責任が発生する性質を持ちます。

 雑誌・専門誌への寄稿の場合、単発の寄稿か継続的な連載かによって取扱いが異なる可能性があります。継続的な連載は、人事院Q&A問2の更問で示されている継続的又は定期的な従事に該当し得る可能性があり、地方公務員法第38条第1項に基づく許可の要否を慎重に判断する必要があります。

 監修の場合、執筆そのものではなく、書籍全体の内容を確認・指導する立場として関わる形態です。監修料の有無、関与の深さ、責任範囲などによって取扱いが異なる可能性があります。

 翻訳の場合、原著者との関係、翻訳権の取扱い、出版社との契約条件など、特有の論点が存在します。翻訳作業の継続性、収入構造、責任範囲などについて慎重な整理が必要となります。

 いずれの出版形態であっても、適用される条文と必要な手続は個別の事業内容によって異なるため、活動検討の早期段階で所属組織の担当部署に相談することが不可欠です。最終的な法令適用の判断は承認権者によってなされます。

ポイント3:
執筆内容と関係法令への配慮

 書籍執筆活動において、執筆内容の設計は活動の中核を成す要素であり、複数の論点に慎重な配慮が求められます。第一の論点は、執筆内容と所属組織の業務との関係性です。所属組織の業務に関連する内容、現在職務で扱っている領域、職務上知り得た情報を活用する内容などは、人事院Q&A問15の更問1で示されているとおり、職務を通じて得た知識・技能や、現在職務において用いている知識・技能を活用する自営兼業については、承認権者において厳格な判断を行う可能性があるとされています。書籍テーマの選択にあたっては、所属組織の業務との関係性を慎重に整理することが不可欠です。

 第二の論点は、所属組織の業務情報や守秘義務の対象情報の取扱いです。書籍の中で、所属区の内部情報、業務で知り得た非公開情報、特定の事案や個人を特定できる情報、未公開の政策情報などを扱うことは、地方公務員法第34条第1項の職務上知り得た秘密に該当し得るため、絶対に避ける必要があります。違反した場合、地方公務員法第60条第2号により、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象となります。書籍内容は、公開情報、一般的な制度解説、自身が本業外で習得した知見、公知の事実、公開された統計やデータに基づくものに限定することが基本原則となります。

 第三の論点は、著作権・知的財産権への配慮です。書籍執筆の過程では、他の書籍からの引用、画像の使用、図表の引用、判例の引用、行政文書の引用、Web情報の参照など、第三者の著作物に触れる場面が多く生じ得ます。著作権法に基づく適切な引用、引用の必要性、出典の明示、引用部分の最小化などについて、慎重な対応が必要となります。同時に、自身が執筆した書籍の著作権の帰属、出版権の設定、二次利用の可否、電子書籍化や翻訳などの派生的利用の取扱い、絶版時のコンテンツの取扱いなどについても、出版社との契約条件を慎重に確認する必要があります。これらの法的論点は専門的判断を要するため、必要に応じて弁護士等の専門家への相談を踏まえた対応が推奨されます。

 第四の論点は、肩書き使用と公務の信頼性確保です。書籍の著者プロフィール、帯文、宣伝文句、メディア取材などで自身の身分を表示する際に、公務員としての肩書きや所属組織名を使用することは、人事院Q&A問18で示されているとおり、承認時の留保事項との関係で慎重な判断が必要となる可能性があります。匿名、ペンネーム、または個人名のみでの活動を前提とした体制を整えることが望ましい対応となる場合があります。同時に、書籍の内容が誹謗中傷、特定団体への攻撃、公序良俗に反する内容などを含まないよう、人事院Q&A問7で示されている観点での慎重な配慮も必要です。

 第五の論点は、出版契約の慎重な確認です。出版契約には、印税率、契約期間、出版権の設定、改訂版の取扱い、絶版時の取扱い、二次利用の許諾、海外版権、電子書籍化、翻訳権、責任範囲など、多様な法的論点が含まれます。これらの論点は、契約内容によって執筆者の権利と責任が大きく異なる性質を持つため、契約書の内容を慎重に確認する必要があります。特に初回の出版契約では、業界慣行や標準的な契約条件への理解が不足している場合が多いと考えられるため、必要に応じて弁護士等の専門家への相談を踏まえた契約締結が推奨されます。

 第六の論点は、所属自治体との利害関係の精査です。書籍の出版社、共著者、監修者、推薦文を寄せる主体、書評を依頼する媒体などとの関係性、書籍の販売対象が所属区の取引先である可能性などを慎重に確認する必要があります。これらの関係性は、人事院規則14-8運用通知第1項関係第6項で示されている特別な利害関係に該当する可能性を含んでおり、慎重な確認が必要です。

実践・応用編:
特別区職員が業界専門書・実務書執筆を検討する実務手順

ステップ1:
書籍テーマの明確化と提供価値の整理

 業界専門書・実務書執筆を検討する第一歩は、自身が執筆したい書籍のテーマと提供価値を明確化することです。行政実務の体系的解説、特定政策分野の専門書、新任職員向けの入門書、特定資格取得者向けの解説書、自身の専門領域や趣味・特技に関する書籍など、多様なジャンルのうち自身が貢献したい分野は何か、どのような読者層を対象とするか、どの程度の分量で執筆するのかといった基本的な構想を整理することが、その後のすべての判断の基盤となります。

 書籍テーマの選定にあたっては、所属組織の業務との関係性を慎重に評価することが不可欠です。所属組織の業務と直接重なるテーマは、承認権者による厳格な判断の対象となり得るため、可能な限り業務外で習得した知見、一般的な制度解説、自身の趣味・特技などを基盤としたテーマを選択することが、承認を得やすくする要素となり得ます。

 提供価値の整理では、想定される読者層、読者が得られる学習成果、競合する既存書籍との差別化要素、書籍の独自性などを明確化することが重要です。単に既存の情報をまとめるだけでなく、自身の経験や視点に基づく独自価値を提供できるテーマを選択することが、書籍の社会的意義と評価を支える基盤となります。

ステップ2:
出版形態の選定と出版社・共著者との交渉

 書籍テーマが概ね固まった段階で、適切な出版形態を選定し、出版社や共著者との交渉を進めることが必要となります。商業出版を目指す場合、企画書の作成、出版社への持ち込み、編集者との打ち合わせなどのプロセスが必要となります。出版社からの執筆依頼を受ける場合は、依頼内容の精査、執筆条件の交渉、契約締結のプロセスとなります。自費出版の場合は、印刷会社や電子書籍プラットフォームの選定、編集・校正の体制整備、流通経路の確保などが必要となります。

 共著として参画する場合は、主執筆者または出版社からの参画依頼を受けることが一般的です。共著者間の役割分担、印税配分、責任範囲などについて、事前の整理が必要となります。

 出版社との交渉、共著者との調整、契約条件の確認などのプロセスは、所属区での兼業許可の見通しが立ってから本格化させることが推奨されます。事前相談を経ずに具体的な契約交渉を進めると、後の承認プロセスで撤回が困難になるリスクが生じる可能性があります。

ステップ3:
兼業許可申請のための書類作成

 兼業許可を得るための書類作成において、業界専門書・実務書執筆活動の特性を踏まえた記述が必要となります。事業の目的については、自治体実務の質的向上への貢献、知識の体系化と社会への還元、世代間の知識継承への寄与といった公益性を明示することが考えられます。事業内容については、書籍テーマ、対象読者層、出版形態(商業出版、自費出版、共著など)、想定される出版社、執筆期間、印税収入の見込みなどを具体的に記載します。営業日及び営業時間については、執筆作業を週休日や勤務時間外に限定することを明示します。

 特に重要な記載事項として、書籍テーマと所属組織の業務との関係性についての整理結果、所属組織の業務情報や守秘義務対象情報を持ち込まない方針、引用や参考文献の取扱い方針、肩書き使用の取扱い、出版社との契約関係などを、具体的な事実に基づいて記述することで、承認権者の判断を支援する材料となり得ます。また、書籍の公開性が高いことを踏まえ、誹謗中傷や公序良俗違反となる内容を含まない方針、所属組織の政策や業務に対する個人的見解の表明と受け取られない表現を選ぶ方針なども、可能な範囲で記載することが望ましいと考えられます。

ステップ4:
承認後の継続的な遵守事項

 兼業許可を得た後の遵守事項として、第一に勤務時間中には執筆活動に従事しないという職務専念義務の原則が挙げられます。書籍執筆は、まとまった時間での集中作業が必要となる場面が多い活動ですが、執筆作業、編集者との打ち合わせ、校正作業、宣伝活動などへの対応は必ず勤務時間外に限定する必要があります。出版に向けた締切が迫る状況であっても、年次休暇を執筆のために取得することは、人事院Q&A問14で示されているとおり承認の対象外となります。

 第二に、書籍内容の品質管理が必要です。出版された書籍は、長期にわたって市場に流通し続ける性質を持つため、内容の正確性、最新性、社会的妥当性を慎重に管理する必要があります。改訂版の刊行、誤りの訂正、社会情勢の変化への対応などを通じて、読者に提供する価値の質を維持する責任があります。

 第三に、肩書き使用についての留保事項に留意する必要があります。書籍の著者プロフィール、帯文、宣伝文句、メディア取材などで自身が紹介される際に、公務員としての肩書きや所属組織名を併記することは、人事院Q&A問18で示されているとおり、承認時の留保事項との関係で慎重な判断が必要となる可能性があります。匿名、ペンネーム、または個人名のみでの活動を前提とした体制を整えることが望ましい対応となる場合があります。

 第四に、メディア対応や講演依頼への対応です。書籍の出版を契機として、メディア取材、講演依頼、関連イベントへの登壇依頼などが発生する可能性があります。これらの活動は、書籍執筆そのものとは別の活動として、改めて兼業許可の対象となる可能性があるため、新たな依頼を受ける際には所属部署の担当者への相談が必要となります。

 第五に、事業内容の変更時の再承認手続があります。続編の執筆、改訂版の刊行、二次利用(電子書籍化、翻訳、ドラマ化など)、新たな出版社との契約などがあった場合には、速やかに所属部署の担当者に報告し、再承認の手続を開始する必要があります。

ステップ5:
本業への還元を意識した実践

 業界専門書・実務書執筆活動を本業への還元に結びつける実践として、執筆を通じて獲得する知識の体系化能力、論理的構成力、専門領域の深い理解などを、守秘義務に抵触しない範囲で所属部署内での勉強会や情報共有の形で還元することが考えられます。所属区の政策立案、職員研修、文書作成、住民向け広報などの業務において、副業で得た知見は価値を発揮する可能性があります。

 ただし、副業先で扱った書籍の未公開情報、出版契約の内容、編集過程での議論などは、本業で利用してはなりません。同様に、本業で知り得た情報を書籍コンテンツに活用することも避ける必要があります。本業と活動の間に明確な情報の壁を設けることが、双方向の信頼を守る基盤となります。書籍執筆を通じて獲得する一般的な知識整理の方法論や公開された情報は本業に還元可能ですが、副業の個別事案の詳細は厳格に守秘義務の対象となります。

よくある質問(FAQ):
業界専門書・実務書執筆活動の実務的疑問への回答

Q1:所属組織の業務に関連するテーマで書籍を執筆することは可能ですか

 所属組織の業務に関連するテーマは、人事院Q&A問15の更問1で示されているとおり、職務を通じて得た知識・技能や、現在職務において用いている知識・技能を活用する自営兼業については、承認権者において厳格な判断を行う可能性があるとされています。具体的な該当性は、書籍テーマと業務との関連性の程度、職員本人の業務範囲、書籍内容に含まれる情報の性質などによって判断されるため、個別の事案について事前相談を通じて確認することが不可欠です。代替策として、所属組織の業務とは直接関係のない領域、自身の趣味・特技を活かした領域、本業外で習得した知見を基盤とした領域、より一般的・汎用的な制度解説などを選択することが、承認を得やすくする要素となり得ます。

Q2:出版契約の内容はどう確認すべきですか

 出版契約には、印税率、契約期間、出版権の設定、改訂版の取扱い、絶版時の取扱い、二次利用の許諾、海外版権、電子書籍化、翻訳権、責任範囲など、多様な法的論点が含まれます。これらの論点は、契約内容によって執筆者の権利と責任が大きく異なる性質を持つため、契約書の内容を慎重に確認する必要があります。特に初回の出版契約では、業界慣行や標準的な契約条件への理解が不足している場合が多いと考えられるため、必要に応じて弁護士等の専門家への相談を踏まえた契約締結が推奨されます。本記事では契約上の個別判断については言及を控えます。

Q3:印税の目安はどの程度ですか

 書籍の印税率は、出版社、書籍の種類、執筆者の知名度、契約条件などによって大きく変動する性質を持ちます。商業出版の場合は出版社との契約で定められ、共著の場合は共著者間での配分も問題となります。自費出版の場合は販売収益から経費を差し引いた残額が執筆者の収入となります。具体的な印税相場については、出版業界の業界レポート、専門誌、出版社の公表資料などをご参照ください。

 なお、人事院Q&A問15では、自営兼業により得られる収入の算定の基礎となる単価の設定等が同種の事例を大きく上回るなど、社会通念からかけ離れた収入を得る場合は、公務の公正性や信頼性の確保に支障が生じるとして、自営兼業が認められない場合があるとされています。書籍執筆の収入水準についても、業界相場の範囲内に収めることが基本原則となります。

Q4:書籍内で公開された行政文書を引用することは可能ですか

 行政機関が公表した文書、統計、報告書、資料などは、原則として公開情報として引用可能な場合が多いと考えられますが、引用にあたっては著作権法上の適切な引用要件を満たす必要があります。引用の必要性、引用部分と本文の主従関係、出典の明示、引用部分の最小化などの要件への配慮が求められます。また、行政文書のうち、所属組織の内部資料や非公開文書、自身が業務で接した未公開資料などは、公開情報とは性質が異なるため、引用を避ける必要があります。具体的な引用の可否については、必要に応じて弁護士等の専門家への相談を踏まえた対応が推奨されます。

Q5:書籍の出版を契機としたメディア出演や講演はどう扱われますか

 書籍の出版を契機として、メディア取材、講演依頼、関連イベントへの登壇依頼などが発生する可能性があります。これらの活動は、書籍執筆そのものとは別の活動として、改めて兼業許可の対象となる可能性があります。メディア出演や講演の頻度、報酬の有無、対象媒体・主催団体と所属区との関係性などによって取扱いが異なる可能性があるため、新たな依頼を受ける際には所属部署の担当者への相談が必要となります。

Q6:共著や監修として参画する場合の特別な留意点はありますか

 共著の場合、共著者の中に他の現役公務員、退職した元公務員、民間専門家、研究者などが含まれる場合、それぞれの立場との調整が必要となります。共著者間の役割分担、印税配分、責任範囲、各章の内容に関する責任の所在などについて、事前に明確な合意を形成することが重要です。監修の場合、執筆そのものではなく書籍全体の内容を確認・指導する立場として関わる形態であり、監修料の有無、関与の深さ、内容に関する責任範囲などを事前に整理する必要があります。これらの調整事項については、必要に応じて専門家への相談を踏まえた対応が推奨されます。

Q7:税務上の取扱いはどのようになりますか

 書籍執筆から得た印税収入は、所得税法の規定に基づく確定申告の対象となる場合があります。所得の種類、必要経費の計算(取材費、資料購入費、執筆環境整備費など)、住民税の納付方法、扶養認定への影響、消費税の取扱い、印税の支払方法による処理の違いなどについては、個別の事情によって取扱いが異なるため、税務署または税理士へのご相談を強くお勧めします。本記事では税務上の個別判断については言及を控えます。また、国家公務員倫理法・倫理規程との関係については人事院Q&A問23で整理されており、特別区職員に対する同様の規制の適用については、各区の条例・規則をご確認ください。

まとめ:
業界専門書・実務書の執筆が拓く知的貢献の形

 業界専門書・実務書の執筆という副業・兼業類型は、令和7年12月の人事院方針と令和7年6月の総務省通知が目指す公務員のやりがい向上、スキル還元、地域貢献という政策意図に沿った活動として設計できる可能性を持つ選択肢です。現場の実務経験に基づく実践的知見、制度横断的な視点、文章構成と論理展開の専門性という公務員の独自価値を活かし、知識を体系化して書籍として社会に残す構造は、単なる副収入源を超えた社会的意義を持ち得る活動として位置付けられ得ます。同時に、知識の体系化能力、論理的構成力、専門領域の深い理解といった本業では得難い経験を獲得することで、職員個人のキャリア形成と本業への還元を両立する可能性が広がります。書籍は他のメディアとは異なり、長期にわたって社会に残る恒久的な知識継承媒体としての性質を持つため、自治体実務の質的向上、世代間の知識継承、行政分野での人材育成への貢献という公益的意義は特に大きい性質があります。

 一方で、書籍テーマと所属組織の業務との関係性の慎重な評価、所属組織の業務情報や守秘義務対象情報を持ち込まない徹底、著作権・知的財産権への適切な対応、出版契約の慎重な確認、肩書き使用の制限、書籍内容の品質管理、メディア出演や講演への対応、職務専念義務の遵守、社会通念上相当な収益水準の維持といった実務的制約を厳格に守る必要があります。これらの制約は、読者と公務員としての信頼を守るための必須条件であり、専門家への相談を通じた慎重な対応が不可欠です。承認を得ずに自営兼業を行った場合、または承認の前提を無断で変更した場合には、国家公務員法第109条第13号により1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処せられる場合があると人事院Q&Aで明示されています。地方公務員の守秘義務違反については、地方公務員法第60条第2号により1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象となり得ます。

 最も重要な視点は、業界専門書・実務書の執筆活動を知識と経験の社会への恒久的還元として設計することです。営利目的の収入確保に留まるのではなく、自身が培ってきた知識と経験を、書籍という媒体を通じて世代を超えて継承する公益的活動として位置付けることで、所属区の承認権者、上司、同僚、そして特別区民からの理解を得やすくなると考えられます。本業で培った文書作成と論理的構成の専門性を、副業を通じて書籍という形で結実させる構造は、人事院が描く新しい公務員像の具体的な実践形態の一つと言えるでしょう。加えて、書籍執筆の経験は、本業の政策立案、職員研修、文書作成、住民向け広報などに還元される可能性があり、双方向の価値循環として大きな意義を持ち得ます。

 最後に改めて強調しますが、本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の兼業承認の可否、出版契約に関する法的判断、著作権・知的財産権の取扱い、税務処理の詳細については、必ず所属組織の所管部署、税理士、弁護士等の専門家にご相談ください。出版に関わる法的論点は専門性が高く、個別の契約条件によって取扱いが大きく異なるため、専門家チームによる支援を受けながら活動を設計することが、リスク管理の観点から強く推奨されます。本記事が、特別区職員の皆様の新しい挑戦を検討するための一助となれば幸いです。

 

あわせて読みたい
公務員の副業・兼業
公務員の副業・兼業
あわせて読みたい
令和7年人事院見解に基づく公務員の兼業規制緩和の全貌と政策的意図
令和7年人事院見解に基づく公務員の兼業規制緩和の全貌と政策的意図


\公務員をサポートする完全マニュアル/
【財政課】債務負担行為 完全マニュアル
【財政課】債務負担行為 完全マニュアル
\調べ物をするならまずココ/
行政用語集
行政用語集
\気になる財政課の仕事と転職事情/
公務員のお仕事図鑑(財政課)
公務員のお仕事図鑑(財政課)
\誰しも気になる持ち家vs賃貸/
公務員のための住居の話(持ち家vs賃貸)
公務員のための住居の話(持ち家vs賃貸)
\自分と周囲を守るために知っておこう/
公務員のためのクレーム対応・カスハラ対応講座
公務員のためのクレーム対応・カスハラ対応講座
\ウェルビーイング改善に向けた新たな動き/
公務員の副業・兼業
公務員の副業・兼業
\インフレの波を乗りこなし、周囲と差をつけよう/
公務員のための資産運用講座
公務員のための資産運用講座
ABOUT ME
行政情報ポータル
行政情報ポータル
あらゆる行政情報を分野別に構造化
行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。
記事URLをコピーしました