04 東京都

【東京都】火葬場に係る検討会(第2回)

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

出典:東京都「火葬場に係る検討会(第2回)」令和8年10月14日

概要

 東京都保健医療局は令和8年10月14日、「火葬場に係る検討会」の第2回会合を開き、専門家などによる部会での議論を踏まえた「中間まとめに向けた論点整理案」を示しました。検討会は、将来にわたり火葬を安心して行える体制を確保するため令和8年6月に設置されたもので、学識経験者、事業者団体の代表、公認会計士に加え、特別区の区長4人、多摩地域の市長と町長、都の理事で構成されています。検討結果は令和8年度末を目途に取りまとめられる予定です。

 論点整理案は、火葬需要増への対応と供給能力の確保、葬送文化・尊厳の維持と利用者視点、火葬場整備の流れと新たな可能性、既存施設の火葬能力増強、火葬場整備に係る制度・規制、都民負担の公平性と火葬サービスのあり方という六つの論点で構成されています。小規模火葬場やユニット型火葬場といった新たな整備手法、既存施設の稼働日の拡大、住宅等から概ね250メートル以上の離隔を求める距離規制の見直しなど、具体的な選択肢にまで踏み込んでいる点が特徴です。

 背景には、区部に特有の火葬の構造があります。都内には26か所の火葬場があり、区部の9か所のうち7か所は民間事業者が運営しています。令和6年度に区部の火葬場で行われた火葬10万7,329件のうち、84%にあたる9万100件を民営火葬場が担いました。一方、都の推計では、都内の死亡者数は2065年頃に年間約20万人と2025年の約1.4倍に増える見込みで、既存の火葬場を現在と同程度に稼働させた場合には2035年頃に需給がひっ迫するとされています。

 火葬場の指導監督や経営許可、距離規制を定める条例、災害時の火葬計画、区民葬儀など、論点の多くは特別区自身が権限と責任を持つ分野です。12月に予定される第3回では火葬場の経営管理のあり方が議論され、中間まとめ案が示される見通しです。区として何を担い、何を都や国に求めるのかを整理する時期に来ていると考えられます。

意義

火葬を都市インフラとして捉え直す

 火葬は、人が亡くなるたびに必ず必要となる行政サービスであり、代わりの手段がありません。墓地、埋葬等に関する法律は、埋葬や火葬などが国民の宗教的感情に適合し、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的としています。論点整理案が火葬場を不可欠な都市インフラとして捉え直すべきだとしたことは、火葬場を「迷惑施設」として扱いがちだった従来の発想からの転換を促すものといえます。

 論点整理案は、火葬場を遺体を処理するだけの施設ではなく、お別れと見送りのための公共空間と位置づけています。火葬能力の確保と、遺族の尊厳や収骨などの葬送慣習への配慮を両立させるという視点は、効率だけを追う議論への歯止めとしても意味を持ちます。

区部の構造的な特徴に向き合う

 全国に1,300か所余りある火葬場の約97%は、市町村または一部事務組合が経営する公営施設です。全国の民間火葬場は13か所にとどまり、そのうち8か所が都内にあります。区部の火葬の8割以上を民営火葬場が担う構造は、全国的に見て特殊なものです。

 この構造は、江戸時代の寺院の火葬場や明治期の民営火葬場に起源を持つ歴史的な経緯によるもので、区部の住民は長く民営火葬場の運営に支えられてきました。一方で、民営火葬場の料金や経営方針に行政が事前に関与する仕組みは法律上整っておらず、需給、料金、経営の継続性のいずれについても、行政が直接に手を打てる範囲は限られています。今回の検討会は、この構造を前提に、都と区市町村がそれぞれの役割を整理する場として位置づけられます。

需給、整備、料金、災害対応を一体で議論する

 論点整理案のもう一つの特徴は、需給の見通し、整備手法、制度・規制、料金と公平性、災害時の対応を一体で扱っていることです。火葬場の新設には用地と住民の合意が必要で、用地の選定には距離規制が影響し、整備の主体や費用の負担は料金と公平性の議論につながります。個別の課題を別々に扱うのではなく、相互の関係を踏まえて整理しようとしている点に、検討の意義があると考えられます。

歴史・経過

江戸から昭和にかけて形づくられた区部の火葬場

 区部では江戸時代、寺院の境内などに火葬場が設けられ、その一部が現在の民営火葬場の起源となっています。明治6年には太政官布告で火葬が全面的に禁止されましたが、明治8年に再開され、明治17年の墓地及埋葬取締規則によって火葬場は許可制となりました。明治22年の東京市区改正の計画では5か所の火葬場が位置づけられ、大正期から昭和初期にかけて民営火葬場の開設が続きました。公営では、昭和13年に当時の東京市が瑞江葬儀所を開設しています。

 昭和23年に施行された墓地、埋葬等に関する法律は、火葬場の経営に許可を必要としましたが、法の施行時にすでに許可を受けて経営していた者は、新たな法の許可を受けたものとみなすと附則で定めました。区部の民営火葬場は、この経過措置の下で経営を続けてきた施設です。

公営を原則とする国の考え方と特別区の権限

 国は昭和43年の通知などで、火葬場の経営主体は原則として市町村等の地方公共団体とし、これによりがたい場合でも宗教法人や公益法人等に限るという考え方を示してきました。経営の永続性と非営利性を確保する趣旨です。多摩地域の火葬場は、明治・大正期の小規模な施設が公営化されたものや、戦後に自治体が整備したものが中心で、公営による運営が基本となっています。これに対し、区部では民営中心の構造が続きました。

 特別区の権限は段階的に拡大してきました。昭和50年に特別区が保健所を設置したことに伴い、火葬場の指導監督の権限が特別区に移り、平成24年の地方分権一括法の施行によって、条例の制定や経営許可の権限も特別区と市に移譲されました。現在、区内にある火葬場への立入調査や報告の要求、経営許可の取消しといった指導監督は、特別区の権限です。平成16年には、港区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区の5区が共同で設置・運営する臨海斎場が開設されています。

料金の改定と国への要望

 近年、民営火葬場を中心に料金の改定が相次ぎました。都の実態調査によれば、令和4年4月から令和7年9月までの間に、都内の民営火葬場8施設のすべてで大人の火葬料金が改定され、区部の民営火葬場7か所のうち6か所では、令和6年6月に7万5,000円から9万円に改められています。墓地、埋葬等に関する法律には火葬料金の設定に関する定めがなく、民営火葬場の料金に行政が事前に関与する仕組みはありません。

 知事は令和7年9月の都議会定例会の所信表明で、火葬場を指導監督する区市町村と連携し、料金を含む火葬場の経営管理への指導が適切に行えるよう法の見直しを国に求めるとともに、実態を精緻に把握したうえで火葬能力の強化に向けた取組を検討する考えを示しました。国は令和7年10月、火葬場の経営・管理に関する指導監督について通知を発出し、火葬料金が経営・管理に必要な費用に比べて明らかに高額になっていないかの確認、火葬場以外の事業との会計の区分、報告徴収の計画的な実施などを求めています。都は同年11月、特別区長会と共同で、事業者の責務と監督官庁の指導権限の明確化や、民営火葬場の料金設定への事前の行政関与などを国に要望しました。

 令和8年に入ると、都は3月に火葬場の運営等に係る実態調査の結果(概況)を公表し、6月に検討会を設置しました。同じ6月には特別区長会と共同で、支配株主の変更などにより民間火葬場の実質的な経営権が変わる場合に監督官庁の許可や承認を必要とする仕組みを法律で定めることなどを、厚生労働大臣と経済産業大臣に要望しています。知事は令和8年9月の所信表明で、前月に首相と面会し、火葬場に係る課題に対応するため法改正に向けて連携していく認識を共有したと述べています。

区民葬儀制度の転換

 区部では長く、特別区と事業者の協定に基づく区民葬儀制度が運用されてきました。区が交付する葬儀券の利用者に、事業者が割引価格で役務を提供する仕組みで、割引分を行政が補填することはありませんでした。論点整理案によれば、一部の民間火葬場は令和8年3月末で区民葬儀による火葬の取扱いを終了し、割引の原資を火葬料金の引下げによって利用者全体に還元すると説明しています。

 これに合わせて特別区は、令和8年4月から23区共通の助成制度を始めました。区民葬儀を利用し、特別区が指定する民間火葬場で最も低い火葬料金を支払った場合に、大人2万7,000円、小人1万5,000円を上限として助成するものです。区の案内では、この基準となる火葬料金は8万7,000円とされています。割引の負担を事業者が担っていた仕組みから、区が公費で助成する仕組みへと移ったことになり、区の財政負担という新たな論点が生じていると考えられます。

検討会と部会の歩み

 検討会の第1回は令和8年6月4日に開かれ、東京の火葬の現状と将来需給、火葬に関する各主体の役割の整理が議題となりました。その後、実務的・専門的な議論を行う部会が7月22日、8月18日、9月7日の3回開かれ、専門家や葬祭業関係者からの意見聴取、民間火葬事業者からの運営実態の説明、火葬場の建設プロセスの説明を経て論点が整理されました。第2回では、この論点整理案をもとに議論が行われました。今後は、第3回(12月予定)で火葬場の経営管理のあり方を議論したうえで中間まとめ案が示され、第4回(3月予定)で検討結果が取りまとめられる予定です。

現状データ

都内の火葬場と区部の公民構成

 都内の火葬場は26か所で、内訳は区部9か所、多摩地域9か所、島しょ地域8か所です。民間事業者が運営する8か所のうち7か所が区部にあり、区部の公営火葬場は都営の瑞江葬儀所と、5区が共同で設置する臨海斎場の2か所にとどまります。人体用の火葬炉の数で見ても、区部の117基のうち公営は30基で、87基が民営です。

 令和6年度の都内の火葬件数は15万1,336件で、公営が4万9,061件(32%)、民営が10万2,275件(68%)でした。区部では10万7,329件のうち民営が9万100件(84%)を占める一方、島しょを除く多摩地域では4万3,667件のうち公営が3万1,492件(72%)を占めます。区部の火葬件数は令和5年度の10万2,116件から5%余り増えており、区部の死亡届の件数も令和5年の9万507人から令和6年の9万2,337人に増えています。

 区部の火葬場は、区部の住民だけが利用しているわけではありません。令和6年度には、区部の火葬場で都外の住民1万3,435人の火葬が行われました。一方、市や一部事務組合が設置する都内の公営火葬場では、利用者の85%以上を地元の住民が占めています。区部の火葬は、住所地を越えて広域的に利用される仕組みの上に成り立っています。

稼働率と回転数に表れる公民の違い

 都の実態調査によれば、令和6年度の区部の公営火葬場は、年間受入可能数1万9,633件に対して火葬件数が1万7,229件で、稼働率は87.8%でした。民営火葬場は受入可能数16万826件に対して9万100件で、稼働率は56.0%です。多摩地域の公営火葬場の稼働率は91.5%に達しており、公営火葬場はすでに受入能力の上限に近い水準で運営されています。

 1炉1日当たりの火葬の回数も異なります。令和6年度の実績は、区部の公営火葬場が2.6回、民営火葬場が3.7回でした。論点整理案によれば、火葬の枠は公営火葬場では1炉1日2〜4回程度、民間火葬場では1日7回程度で設定されることが一般的です。回数の差は、台車式とロストル式という炉の形式の違いだけでなく、冷却の工程、収骨の方法、施設内の動線、運営の方法の影響が大きいとされています。

 死亡が増える冬季には待ち日数が延びます。都の調査では、令和6年度の稼働率が高い冬場に、申込みから火葬までの日数が平均で約8日でした。多摩地域ではすでに火葬待ちが発生していることも、論点整理案で指摘されています。

料金に表れる公民と地域の差

 令和7年9月末時点の大人の火葬料金を見ると、都の実態調査の対象となった公営火葬場(都外を含む)の住民向け料金は、21施設のうち無料が7施設、2万円未満が12施設で、合わせて9割を占めます。これに対し、民営火葬場は11施設のうち8施設(73%)が8万円以上です。区部の公営火葬場の住民向け料金は、臨海斎場が4万4,000円、瑞江葬儀所が5万9,600円で、多摩地域の多くの公営火葬場が住民無料であるのと比べると高めです。区部の住民の多くは民営火葬場を利用しており、住む地域によって火葬の費用負担に大きな差が生じています。

将来の火葬需給の見通し

 都は、死亡者数の長期推計をもとに火葬の需給を試算しています。区部の火葬場に対する都内の需要は、2025年頃の9万6,029件から2065年頃には15万14件へと約1.56倍に増えると見込まれています。島しょを除く都全体では、13万7,480件から20万1,788件への増加です。

 現在の火葬実績を1割上回る水準で稼働を続けると仮定した試算では、都全体で2035年頃に6,148件の不足が生じ、2065年頃には不足が4万7,692件に広がります。区部だけでも、2035年頃に4,525件、2065年頃には4万1,952件が不足する計算です。

 令和7年度時点で計画済みの能力増強を含む受入可能件数をもとに、稼働率が70%未満の民営火葬場は稼働率80%を上限として試算すると、年間を通じた需給は2075年頃まで不足しません。それでも区部の需要率は2065年頃に97.8%に達し、余裕はほとんどなくなります。

 死亡が集中する1月について同じ前提で試算すると、都全体では2040年頃に需要率が99.7%に達して需給がひっ迫し、2050年頃から不足が生じます。区部では2055年頃から不足に転じ、島しょを除く多摩地域の市町村では、2025年の時点ですでに1月の需要が供給を上回る計算です。

 これらの試算は、前提の置き方によって結果が大きく変わります。現状の稼働を前提とすると2035年頃から不足し、民営火葬場の受入余力を稼働率80%まで使うことを前提とすると、年間では不足が生じにくくなります。区部の将来の火葬能力は、民営火葬場の余力がどこまで実際に使えるかに大きく左右されるといえます。都も、人員の確保や機器の保守のため、年間を通じて最大限の稼働を続けることは難しいとしています。

既存の公営火葬場の能力増強

 区部の公営火葬場では能力の増強が進められています。瑞江葬儀所は、友引日の休館の見直しや稼働時間の延長により、令和8年6月から年間最大稼働数を7,500件から1万500件に拡大しました。臨海斎場は、火葬炉を10炉から20炉(うち予備1炉)に増やし、年間最大稼働数を1万2,250件から1万9,950件に拡大する計画で、令和12年度の供用開始を予定しています。臨海斎場の増築は、大田区が決定する都市計画の変更として手続きが進められており、利用件数は令和6年度に開業時の2倍を超えたとされています。

災害時の火葬体制

 大規模災害時には、被災した区市町村だけで火葬を行えない場合に、都が都内の火葬場に協力を要請して割り振る広域火葬の仕組みがあります。東日本大震災では宮城県からの要請を受け、瑞江葬儀所で165体、民営の四ツ木斎場で579体、臨海斎場で116体、計860体の火葬が行われました。災害時の火葬計画は、区部と多摩地域のすべての自治体で策定されています。

 ただし、都が令和8年7月に行った区市町村への調査(回答53自治体)では、区部と多摩地域で公営火葬場を設置・運営していない30自治体のすべてが、災害時に使用する火葬場との協議を行っておらず、うち16自治体は使用する火葬場の想定もありませんでした。区部では、臨海斎場を共同で運営する5区を除く18区が自ら火葬場を持っていません。論点整理案は、大規模災害では発災から1週間以降に多数の火葬が生じること、職員自身の被災を前提とした人員体制が必要なことなども指摘しています。

読み取る際の注意点

 需給の試算は、都の将来人口推計に基づく死亡者数の推計と、火葬場ごとの稼働の前提を組み合わせたもので、前提が変われば結果も変わります。特に区部では、民営火葬場の受入余力の扱いが結果を大きく左右します。

 料金の比較では、収骨容器や待合室の料金が含まれる場合と含まれない場合があり、単純な比較には注意が必要です。また、令和7年9月末時点の料金であり、その後に改定された施設もあります。論点整理案は検討会の中間段階の整理であり、今後の議論によって内容が変わる可能性があります。

政策立案の示唆

この取組を行政が行う理由

 第一の理由は、火葬が代替の利かない公共サービスであることです。人が亡くなれば火葬は必ず必要となり、需要を先送りすることも、ほかの手段に置き換えることもできません。需給がひっ迫すれば、待ち日数の長期化や遠方の火葬場への搬送、追加の費用といった負担が、遺族に直接かかります。

 第二の理由は、区部の火葬能力の多くを民営火葬場が担いながら、行政が関与できる仕組みが限られていることです。料金の設定にも、経営権の移動にも、現行法では行政が事前に関与する仕組みがありません。供給の安定、料金の妥当性、経営の継続性を確保するには、行政が実態を把握し、必要な制度を整える必要があります。

 第三の理由は、災害への備えです。大規模災害時には、平時を大きく上回る火葬需要が短期間に生じます。第1回の検討会資料では、平時から高い稼働が常態化すると、災害時に対応する余力が失われるおそれがあると整理されています。

行政側の意図

 都の意図は、火葬行政の主体である区市町村と連携しながら、都全体の需給を把握し、広域的な調整と国への制度改正の働きかけを担うことにあると考えられます。部会の専門家意見のまとめでは、すべての自治体が将来の需要を踏まえて対応を検討すべきであり、公営火葬場を持たない自治体は基礎自治体の責任として能力の確保に着手すべきだとされています。都が単独で火葬場を整備するというよりも、各自治体の主体的な取組を促す姿勢がうかがえます。

 同時に、論点整理案は、火葬事業の公共性を確保するためには本来法改正が必要だとし、その状況も見据えながら議論を深める必要があるとしています。特別区長会と共同で国への要望を重ねていることと合わせると、法制度の見直しを求めつつ、現行制度の下でできることを並行して進めるという二段構えの意図が読み取れます。

期待される効果

 第一に、将来の需給ひっ迫を回避する効果が期待されます。新設、既存施設の能力向上、運営の改善を組み合わせることで、2035年頃以降に見込まれる不足を緩和できる可能性があります。瑞江葬儀所の稼働日の拡大や臨海斎場の増炉は、その先行例といえます。

 第二に、災害時の対応力の向上です。小規模な火葬場を分散して配置することは、平時の需給調整と災害時のバックアップの両面で重要とされています。災害時に使用する火葬場の想定や事前の協議が進めば、広域火葬の実効性も高まります。

 第三に、費用負担の公平性の改善です。料金の差や利用機会の差が可視化されることで、住む地域による負担の差をどう是正するかの議論が進むことが期待されます。論点整理案は、公平性を民営火葬場の料金だけでなく、公営火葬場にかかる自治体の財政負担も含めて捉える必要があるとしています。

 第四に、葬送の質の確保です。葬儀の小規模化や単身高齢者の増加を踏まえ、小規模なお別れの空間や遺体の安置機能、多様な宗教儀礼への対応を整えることは、遺族の満足度を高めることにつながると考えられます。

課題・次のステップ

 第一の課題は、用地と住民の合意です。区部では、住宅等から概ね250メートル以上離れた用地の確保が難しく、新設や増設の共通の課題となっています。論点整理案は、二次燃焼装置やバグフィルターなどにより煙や臭気、粉じんが大幅に低減された現在の技術水準に照らすと、一律の距離規制は合理的な根拠を欠くと考えられるとし、条例の改正も視野に入れた検討を求めています。ただし、規制を見直しても、住民の理解が得られなければ整備は進みません。運営開始後も見学の機会などを通じて地域との対話を続けることが重要だとされています。

 第二の課題は、財源と人材です。火葬場の整備は補助事業の対象ではなく、整備費をどう確保するかが問われます。また、回転数を上げれば職員の業務負担が増し、熟練職員の確保や技能の継承も課題となります。施設の更新時期の前倒しや修繕費の増加につながる可能性もあり、ライフサイクルコストを含めた評価が必要とされています。

 第三の課題は、法制度の見直しの行方です。民営火葬場の料金設定や経営権の変更への行政の関与は、法改正がなければ実効性を持たせにくい分野です。国の動向を見極めつつ、現行法の下での指導監督をどこまで活用するかが問われます。第3回の検討会では、民営火葬場の料金設定の考え方や必要な法制度について議論される予定です。

 第四の課題は、広域的な利用と負担の調整です。区部の火葬場は都外を含む広い範囲の住民に利用されており、区ごとに火葬場を持つことが合理的とは限りません。近隣の自治体との連携のあり方や、費用負担の考え方を整理する必要があります。

特別区への示唆

 第一の示唆は、自区の火葬の現在地を数字で押さえることです。区民の死亡者数の推移、区民が利用している火葬場、申込みから火葬までの日数、区民が負担している料金を把握し、都の需給試算と重ね合わせることで、区としてどの程度の能力確保が必要かを検討する出発点になります。区部の火葬場に対する需要は2065年頃に2025年頃の約1.56倍になると見込まれており、長期の施設計画の視点が欠かせません。

 第二の示唆は、条例の点検です。住宅等からの距離に関する基準は、多くの区市町村の条例で定められています。論点整理案は、火葬炉を5基以上とする規定(地方公共団体が設ける火葬場を除く)についても見直しの検討が必要だとしています。小規模火葬場という選択肢を現実のものとするには、構造設備の基準を含め、自区の条例が現在の技術水準や区部の土地事情に合っているかを点検することが考えられます。

 第三の示唆は、近隣の区との連携による整備の検討です。臨海斎場は5区が共同で設置・運営し、現在は能力の倍増に向けた増築が進められています。単独の区で用地や財源を確保することが難しい場合でも、一部事務組合などによる共同設置や、墓地、寺院、公有地といった既存のストックの活用、ユニット型火葬場のように工期とコストを抑えられる手法を組み合わせれば、選択肢が広がる可能性があります。福島県川俣町の事例では検討の開始から供用まで約6年を要しており、早めに検討に着手することが重要です。

 第四の示唆は、災害時の火葬計画の実効性を高めることです。自ら火葬場を持たない区は、災害時に使用する火葬場を想定し、事前に協議しておくことが求められます。遺体の搬送に使う車両、必要な資器材、遺体の安置場所、職員が被災した場合の体制まで含めて、計画を具体化しておく必要があります。

 第五の示唆は、料金と助成をめぐる財政負担と公平性の整理です。令和8年4月に始まった23区共通の助成制度により、区民葬儀の割引に相当する部分を区が公費で負担する形になりました。助成の規模や対象、公営火葬場の運営にかかる財政負担を含めて、区民の費用負担の公平性をどう確保するかを、中長期の視点で整理しておく必要があります。また、論点整理案は、生活保護の葬祭扶助で民営火葬場を利用する場合にも火葬料が加算される仕組みを知らない葬儀社があり、結果として遠方の公営火葬場が選ばれる例があると指摘しています。福祉事務所から葬儀社への制度の周知は、区がすぐに取り組める改善策といえます。

 第六の示唆は、指導監督の権限を活用した実態の把握です。区内に民営火葬場がある区は、立入調査や報告の要求といった指導監督の権限を持っています。国の令和7年10月の通知も、報告徴収の計画的な実施や、火葬場以外の事業との会計の区分の確認などを求めています。法改正を待たずとも、現行の権限の範囲で運営状況や受入方針を定期的に把握する仕組みを整えることは可能と考えられます。

 第七の示唆は、葬送の変化への対応を福祉や地域の施策と結びつけることです。家族葬や直葬の広がり、身寄りのない高齢者の増加により、喪主のいない葬儀や引き取り手のない遺骨、死後の事務を誰が担うかといった課題が生じています。火葬場の議論を施設の問題にとどめず、高齢者の終活の支援や死後事務の支援と一体で考えることが、身近な行政を担う区ならではの役割になると考えられます。

まとめ

 東京都の火葬場に係る検討会は、令和8年10月14日の第2回会合で、中間まとめに向けた論点整理案を示しました。都内の死亡者数は2065年頃に年間約20万人へと増える見込みで、現在と同程度の稼働を前提とすると2035年頃に需給がひっ迫します。区部では火葬の84%を民営火葬場が担い、公営火葬場は瑞江葬儀所と臨海斎場の2か所にとどまります。論点整理案は、小規模火葬場やユニット型火葬場といった新たな整備手法、既存施設の能力増強、距離規制の見直し、費用負担の公平性など、具体的な選択肢を示しています。

 区部の将来の火葬能力は、民営火葬場の余力がどこまで使えるかに大きく左右されます。民営火葬場の料金や経営に行政が事前に関与する仕組みは法律上整っておらず、都は特別区長会と共同で国に法改正を要望し、国との間でも法改正に向けた連携が確認されています。一方で、区民葬儀による火葬の取扱いの終了に伴い、特別区は23区共通の助成制度を始めており、区の財政負担を含めた公平性の議論も避けて通れなくなっています。

 特別区にとっての要点は、火葬が区の権限と責任に深く関わる行政分野だという認識に立つことです。自区の需要と利用の実態を把握し、距離規制などの条例を点検し、近隣の区との連携による整備の可能性を探ること。災害時に使用する火葬場の想定と協議を進め、葬祭扶助の周知などすぐにできる改善に着手すること。そして、指導監督の権限を活用して区内の火葬場の運営状況を把握すること。12月の第3回に向けて経営管理のあり方の議論が本格化するいま、区としての考え方を整理しておくことが求められていると考えられます。


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