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【東京都】在宅避難の3本柱を区の施策へ|感震ブレーカー・備蓄・受援の論点整理

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

9月1日の防災の日を目前に控えた令和8年8月28日、東京都知事の定例記者会見で防災の取組が発表されました。内容は、令和8年熊本地震の被災地への保健師等チーム・教員等チームの派遣、8月下旬に相次いだ都内外の災害への対応、そして在宅避難キャンペーンの3本柱「燃えない・倒れない・困らない」の周知です。

一見すると都民向けの啓発と広域自治体としての応援活動であり、特別区の職員には「都がやること」に見えるかもしれません。しかし示された論点は、そのほとんどが区の窓口・予算・地域防災計画に着地します。感震ブレーカーの設置費助成を出すのは区であり、家具転倒防止器具を高齢者宅に取り付けるのも区であり、避難情報を発令するのも区長です。

本記事では、会見内容を確認したうえで、特別区の政策立案の観点から5つの示唆に整理します。令和9年度の予算要求や地域防災計画の修正作業の検討材料として活用いただければ幸いです。

会見で示された3つの発表と、その前提

熊本地震の被災地へ保健師等チーム・教員等チームを派遣

令和8年熊本地震は、令和8年7月28日16時27分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1、最大震度7の地震です(気象庁)。会見が行われた8月28日は、発生からちょうど1か月にあたります。

都はこの日、熊本県氷川町へ避難所における住民の健康管理等を担う保健師等チームを派遣することを公表しました。派遣は3班体制で、第1班が8月31日から9月5日、第2班が9月5日から9月10日、第3班が9月10日から9月15日、各班5泊6日のローテーション、構成は各班4~5名です(東京都保健医療局)。あわせて、被災した学校の教育活動の早期再開を支援するため、教員等のチームを派遣することも示されました。

発災から1か月という時点で保健師と教員が出ていく、という順序に注目してください。初動期の人命救助・応急給水を担う職種とは異なり、これは避難生活が長期化する局面で必要になる支援です。担当局として総務局・福祉局・保健医療局・教育庁の4局が並んでいることも、この段階の支援が「防災担当課の仕事」に収まらないことを示しています。

8月下旬に相次いだ災害と、新しくなった気象警報の名称

会見では直近の災害にも言及がありました。8月22日(土)には都内の一部地域にレベル4大雨危険警報が発表され、複数の床上・床下浸水が発生。翌23日(日)午前2時ごろには茨城県南部を震源とする最大震度5弱の地震が発生し、けがによる救急搬送や漏水などの被害が報告されました。8月27日には石川県と富山県の一部にレベル5大雨特別警報が発表され、河川の氾濫や浸水など深刻な被害が生じています。

ここで実務上重要なのは、「レベル4大雨危険警報」「レベル5大雨特別警報」という呼び方です。気象庁は令和8年(2026年)5月29日から新たな防災気象情報の運用を開始し、大雨・洪水(氾濫)・土砂災害・高潮の4災害について、情報名称の先頭に警戒レベルの数字を付す方式に改めました。従来の「大雨警報」は「レベル3大雨警報」に、「土砂災害警戒情報」は「レベル4土砂災害危険警報」に、河川の氾濫については「レベル5氾濫特別警報」が新設されています(気象庁)。

この夏は、新しい情報体系が本格的に稼働した最初のシーズンにあたります。知事の発言が新名称で統一されていたことは、都の広報がすでに切り替わっていることの現れです。

在宅避難キャンペーン「燃えない・倒れない・困らない」

都は令和8年7月から令和9年3月まで、出火防止・家具転倒防止・日常備蓄の取組を一体的に発信する在宅避難キャンペーンを実施しています(東京都防災ホームページ)。3本柱の内容は次のとおりです。

燃えない(出火防止)は、地震火災の約6割が電気を原因とすることを踏まえ、感震ブレーカーの設置を促すものです。都は令和8年5月、感震ブレーカーの愛称を投票により「グラぴたスイッチ」と決定しました。震度5強以上の揺れを感知して屋内への電気を遮断する機器で、「地震でグラグラ揺れたら、ぴたっと電気を止める」ことに由来します。都は東京消防庁・東京電力パワーグリッドと通電火災防止に関する連携協定も締結しています。

倒れない(家具転倒防止)は、近年の地震による負傷者の30~50%が家具類の転倒・落下・移動を原因としていることを踏まえ、防止器具の取付けを促すものです。

困らない(日常備蓄・地域連携)は、食料や生活必需品の備蓄に加え、日頃の挨拶や声かけ、町会・自治会等との連携を求めるものです。会見では、お湯を必要とせず常温で長期保存できる乳児用液体ミルクが具体例として挙げられ、備蓄品目と数量を簡単な質問への回答から算出できる「東京備蓄ナビ」(東京都防災アプリからも利用可能、やさしいにほんごを含む多言語対応)が紹介されました。

会見で紹介された身近な知恵(エレベーター内で揺れを感じたら全ての停止階のボタンを押し最初に停止した階で降りる、眼鏡・杖・抱っこ紐などを枕元の手の届く場所に置く)は、そのまま区の広報紙やSNSに転用できる素材です。

示唆1|「燃えない」は配布事業から設置率の政策へ

東京都地域防災計画震災編(令和5年修正)は、2030年度までに首都直下地震等による人的・物的被害を概ね半減させる減災目標を掲げ、その手段として感震ブレーカー設置率25%、消火器設置率60%、家具類の転倒・落下・移動防止対策実施率75%、自助の備えを講じている都民の割合100%という目標値を設定しています。

一方、区市町村における感震ブレーカー設置支援制度の一覧(令和8年6月30日時点)を見ると、23区のうち22区が何らかの支援制度を持っています。内訳は、設置費の補助金を出す区が13区(港・新宿・台東・江東・品川・目黒・大田・豊島・荒川・練馬・足立・葛飾・江戸川)、物品配布を行う区が7区、あっせん事業を行う区が14区、練馬区は無償貸与も実施しています(東京都防災ホームページ)。

制度の有無ではもはや差がつきません。差がつくのは次の3点です。

第一に、対象の絞り込みです。木造住宅密集地域や不燃化特区、高齢者のみ世帯といった、通電火災リスクと避難困難が重なる層に資源を集中できているか。全世帯一律のあっせんは公平ですが、設置率25%という目標に対しては効率が悪くなります。

第二に、設置の確認です。補助金や物品配布は「渡した数」で実績が立ちますが、目標値は「設置率」です。簡易タイプは購入後に未設置のまま放置されるおそれがあり、分電盤タイプは電気工事が必要になります。施工までを事業に含めるか、設置報告を要件化するかで、実際の減災効果は大きく変わります。

第三に、停電時の安全確保との抱き合わせです。都の出火防止対策のページは、感震ブレーカーの作動により暗闇の中で避難経路を見失わないよう、自動点灯照明や懐中電灯の準備を推奨しています。感震ブレーカーだけを配布して足元灯を配らない事業は、片手落ちになりかねません。この2点をセットで配布・助成する設計は、比較的少ない追加経費で説明力を高められます。

示唆2|「倒れない」は助成から施工への転換が焦点

家具転倒防止対策は、実施率75%という目標に対し、器具の助成だけでは頭打ちになりやすい分野です。器具を持っていても取り付けられない世帯——高齢者のみ世帯、障害のある方の世帯、賃貸住宅で壁面に穴を開けられない世帯——が一定数存在するためです。多くの区が高齢者等への取付け代行を実施していますが、政策立案の観点では次の論点が残ります。

要配慮者名簿・介護保険部門との接続です。防災担当課が単独で対象者を掘り起こすより、地域包括支援センターやケアマネジャーの訪問時にニーズを拾う方が到達率は高くなります。個別避難計画のアセスメント項目に「寝室の家具固定の有無」を加えるだけでも、事業の入口は広がります。

住宅施策との連動です。耐震改修助成やバリアフリー改修と同時に施工すれば、1回の訪問で複数の減災効果が得られます。建築部門と防災部門の予算が別建てになっていることが多いため、要求段階で調整の余地があります。

賃貸住宅向けの選択肢提示です。突っ張り棒式やストッパー式など、壁を傷つけない工法の情報提供と、家主の同意取得を支援する仕組みは、単身世帯比率の高い区ほど効果が見込めます。

示唆3|「困らない」は量の確保から対象別の質へ

備蓄は、区の備蓄倉庫に何食置くかという「量」の議論が長く中心でしたが、在宅避難を前提にすると論点が変わります。都心南部直下地震(マグニチュード7.3、冬夕方、風速8メートル毎秒)の被害想定では、避難者約299万人、帰宅困難者約453万人と推計されています(東京都防災会議、令和4年5月)。この規模を避難所だけで収容することは物理的に不可能で、在宅避難の推進は推奨ではなく前提です。区が押さえるべき論点は次のとおりです。

乳児用液体ミルクをはじめとする対象別備蓄です。液体ミルクは、水が出ない・ガスが使えない・煮沸ができないという条件下でも使用できる点で、粉ミルクにない優位性があります。他方で、賞味期限が短く入れ替え頻度が高いこと、価格が割高であること、清潔な容器の確保が別途必要になることが課題とされてきました。近年は賞味期限を粉ミルクと同等の1年半まで延ばした製品も登場しており、備蓄計画を見直す前提条件は変わっています。乳児用のほか、アレルギー対応食、嚥下困難者向けの食形態、ペットフードなど、「一般の備蓄では代替できない品目」から優先的に見直すのが定石です。

東京備蓄ナビの区版への活用です。都が用意したツールを区の防災ホームページや窓口配布物から導線を引くだけで、区が独自に備蓄リストを作成する手間を省けます。多言語・やさしいにほんご対応であることは、外国人住民向けの周知資源としても有効です。区の広報紙やLINE公式アカウントへのリンク掲載は、追加経費をほとんど要さずに実施できる施策です。

在宅避難者への物資供給ルートです。備蓄を促した先で、在宅避難者が物資をどこで受け取るのかという設計が抜けている計画は少なくありません。避難所を物資配布拠点として位置づけるのか、別に配布所を設けるのか、その運営人員をどこから出すのか。マンション防災の観点では、都の「東京とどまるマンション」制度の登録を区として後押しし、管理組合単位で備蓄と自主的な安否確認が回る体制を作る方向が現実的です。

示唆4|避難情報の新体系に地域防災計画は追いついているか

令和8年5月29日から始まった新たな防災気象情報の運用は、区の実務に直接影響します。会見でも「レベル4大雨危険警報」「レベル5大雨特別警報」という新名称が用いられていました。

確認すべき点は3つあります。

第一に、発令基準の記載です。区の地域防災計画や避難情報発令マニュアルが旧名称(大雨警報、土砂災害警戒情報など)のままなら改訂が必要です。「警戒レベル4までに危険な場所から全員避難」という原則自体は変わっておらず、基準の変更というより参照する情報名の読み替えが中心となります。

第二に、住民周知物の更新です。ハザードマップ、防災ガイドブック、チラシに旧名称が残っていないか。増刷時の差し替えが経費的には合理的ですが、ウェブサイトと窓口掲示は先行して更新できます。

第三に、河川氾濫情報の対象範囲です。河川ごとに発表される氾濫関連情報は、一級河川など規模の大きな河川に限って発表されます。中小河川や内水氾濫のリスクが高い区では、河川情報だけに依拠しない判断材料(雨量、下水道の水位、内水ハザードマップ)を発令基準に組み込む必要があります。8月22日の都内の被害が床上・床下浸水であったことは、この点を裏づけています。

示唆5|「送る側」としての受援・応援の実務

都の保健師等チーム・教員等チームの派遣は、特別区にとっても他人事ではありません。大規模災害時の自治体間支援は、総務省の応急対策職員派遣制度(対口支援方式)を基幹としつつ、保健分野の災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)・保健師チーム、教育分野の教員派遣といった職種別の枠組みが重ねられる構造です。特別区も、応援を送る側として繰り返し名前が挙がります。

事前に整理しておくと差が出るのは次の点です。

人事・服務の事前整備です。旅費、時間外勤務、宿泊、公務災害の取扱いを発災後に一から検討していては初動が遅れます。要綱レベルで整備しておけば、派遣決定から出発までの日数を短縮できます。

職種別の派遣可能人員の把握です。保健師、教員、土木・建築技師、税務職員(罹災証明)、福祉職など、災害フェーズごとに需要が変わる職種について、派遣に出せる人数と後任の業務調整の見込みを平時に把握しておく必要があります。今回の派遣が発災1か月後の保健師と教員であったように、需要は時間とともに移ります。

受援計画との表裏一体の運用です。東京都地域防災計画震災編(令和5年修正)は、全区市町村での業務継続計画(BCP)および受援応援計画等の策定を掲げています。応援に出た職員が持ち帰る知見は、そのまま自区が被災したときの受援体制の精度を上げます。派遣職員の復命を個人の報告書で終わらせず、受援計画の改訂項目として庁内に還流させる仕組みがあるかどうかは、平時の設計次第です。

令和9年度予算要求に向けた論点整理

以上を、要求資料に落とし込む際のチェックポイントとして整理します。

  • 感震ブレーカー事業を「配布数」ではなく「設置率」で成果指標化できているか。木密地域・高齢者世帯への重点化と、足元灯とのセット提供を検討したか。
  • 家具転倒防止の取付け代行を、地域包括支援センター・個別避難計画・住宅改修助成と接続できているか。賃貸住宅向けの工法情報を用意しているか。
  • 備蓄計画を、乳児用液体ミルク・アレルギー対応食・嚥下困難者向け食品など、代替不可能な品目から見直しているか。在宅避難者への物資配布ルートが計画に明記されているか。
  • 東京備蓄ナビ・東京都防災アプリへの導線を、区のウェブサイト・広報紙・SNS・窓口配布物に確保しているか(追加経費が小さく着手しやすい項目)。
  • 地域防災計画・避難情報発令マニュアル・ハザードマップの記載が、令和8年5月29日開始の新しい防災気象情報の名称に対応しているか。
  • 中小河川・内水氾濫のリスクに対し、河川情報以外の判断材料を発令基準に組み込んでいるか。
  • 応援職員派遣に係る人事・服務・費用の取扱いが要綱等で事前に整備されているか。職種別の派遣可能人員を把握しているか。
  • 派遣職員の知見を受援計画の改訂に還流させる仕組みがあるか。

まとめ

今回の会見は、防災の日を前にした啓発という体裁をとりながら、実質的には「在宅避難を前提とした減災を、どこまで具体の施策に落とせるか」という問いを投げかけています。3本柱は概念としては新しくありません。新しいのは、感震ブレーカーに愛称を付けて入口を広げ、備蓄ナビで個別最適化し、一体のキャンペーンとして発信するという「実行の設計」です。

特別区の側で問われるのも、同じく実行の設計です。設置率25%、家具転倒防止75%という都の目標値は、区の事業の積み上げなしには達成されません。制度を持っているかどうかではなく、届いているかどうか、取り付けられているかどうかで成果を語れる事業設計が、令和9年度に向けた検討の中心になります。


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