09 DX

ICTを活用したスポーツプログラムの提供

masashi0025
目次
  1. はじめに
  2. ICTを活用したスポーツプログラムに関する現状データ
  3. 課題
  4. 行政の支援策と優先度の検討
  5. 先進事例
  6. 参考資料［エビデンス検索用］
  7. まとめ

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要（ICTを活用した生涯スポーツを取り巻く環境）

  • 自治体がICTを活用したスポーツプログラムの提供を行う意義は、**「超高齢社会における健康寿命の延伸」と「多様化する住民ニーズへの的確な対応」**にあります。
  • 本レポートは、東京都特別区が直面する人口減少、超高齢化、地域コミュニティの希薄化といった社会的課題に対し、ICTを触媒として生涯スポーツを推進することで、住民一人ひとりのウェルビーイング向上と持続可能な地域社会の実現に貢献するための政策を提言するものです。

意義

住民にとっての意義

  • 時間と場所の制約からの解放
    • ICTを活用したオンラインプログラムやアプリは、通勤の合間や家事の隙間時間といった「マイクロ時間」を有効活用したスポーツ参加を可能にします。これは、スポーツを実施しない最大の理由である「仕事や家事が忙しいから」（令和5年度調査で37.2%）という、特に働く世代が抱える構造的な課題に対する直接的な解決策となります。
    • 自宅のリビングや近所の公園がバーチャルなトレーニングジムとなり、特定の施設へ移動する必要がなくなるため、地理的な制約や移動に伴う時間的・金銭的コストを大幅に削減できます。
  • 個別最適化された健康増進
    • ウェアラブルデバイスやスマートフォンアプリは、個人の活動量、睡眠時間、心拍数といった健康データを自動的に記録・蓄積します。AIがこれらのデータを解析し、個々の体力レベルや健康状態、目標に合わせた最適な運動プログラムを提案することで、画一的なアプローチでは効果が出にくかった層にも、安全かつ効果的なスポーツ機会を提供できます。
  • 新たな楽しみとモチベーションの創出

地域社会にとっての意義

  • 新たなコミュニティの形成
    • オンライン上で共通の目標を持つチームを組んだり、SNSで活動を共有したりすることは、年齢や居住地、ライフステージの垣根を越えた新たな社会的つながりを生み出します。これは、都市部で課題となっている社会的孤立、特に高齢者の孤立予防に対して極めて有効な手段です。
    • 地域のスポーツイベントのオンライン配信や応援コメント機能は、現地に行けない住民にも一体感をもたらし、地域への愛着（シビックプライド）を醸成します。これにより、「する」だけでなく「みる」「ささえる」といった多様な形でのスポーツ参加が促進されます。
  • 共生社会の実現

行政にとっての意義

  • データ駆動型の政策立案（EBPM）の推進
    • 住民のスポーツ実施状況、施設利用データ、プログラム参加者の属性などをリアルタイムで収集・分析することで、勘や経験に頼るのではなく、客観的な証拠に基づいた効果的・効率的な施策の立案、評価、改善（EBPM）が可能となります。江東区の事例が示すように、データ活用は施設稼働率の向上や住民満足度の向上に直結します。
  • 行政コストの最適化
    • オンラインでのプログラム提供は、物理的な会場費や大規模なイベント運営に関わる人件費を削減します。また、世田谷区の事例のように、スマート予約システムを導入することで、窓口業務が大幅に削減され、職員をより創造的な業務に再配置することが可能となり、行政サービスの質向上とコスト削減を両立できます。
  • スポーツ無関心層へのアプローチ
    • 従来の広報誌やポスターでは情報が届きにくかった若者や働く世代に対し、SNSのターゲティング広告や、楽しみながら健康管理ができるゲーミフィケーションアプリなどを通じて、よりパーソナルで効果的なアプローチが可能になります。

（参考）歴史・経過

ICTを活用したスポーツプログラムに関する現状データ

課題

住民の課題

  • 時間的制約と機会の不足
    • 特に20代から50代の働く世代や子育て世代は、仕事、家事、育児に追われ、スポーツのためにまとまった時間を確保することが極めて困難な状況にあります。
    • 客観的根拠：
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察：
      • 働き盛り世代の運動不足が生活習慣病の増加を招き、将来的な国民医療費や介護給付費の増大に直結します。
  • モチベーションの維持と心理的障壁
    • スポーツをしない理由として「面倒くさいから」が27.4%と高い割合を占めており、運動を始める、あるいは続けるための心理的なハードルが高い層が相当数存在することがうかがえます。
    • 客観的根拠：
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察：
      • スポーツ無関心層が固定化・拡大し、健康格差の是正が困難になるとともに、社会全体の活力が低下します。
  • デジタルデバイド（情報格差）
    • ICT活用を推進する政策は、裏を返せばスマートフォンやPCの操作に不慣れな高齢者や情報弱者が、新たなスポーツ機会から取り残されるという新たな格差を生むリスクを内包しています。
    • 客観的根拠：
      • 総務省の調査では、高齢者層におけるスマートフォンの利用率は他の世代に比べて依然として低い水準にあります。しかし、特別区で実施された実証事業では、サポーターによる支援を受けた高齢者の83.2%が「自分で操作できるようになった」と回答しており、適切な支援があればこの格差は克服可能であることを示しています。
      • （出典）総務省「デジタル活用支援推進事業」令和5年度 22
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察：
      • ICTを活用した便利なサービスが、それを最も必要とする可能性のある高齢者層に届かず、世代間の健康格差がさらに拡大します。

地域社会の課題

  • コミュニティの希薄化と社会的孤立
    • 都市部における地縁的な繋がりの希薄化は、特に退職後の高齢者や日中の活動が制限されがちな障害者の社会的孤立を深刻化させる一因となっています。スポーツは本来、交流の場となり得ますが、その機会が不足しています。
    • 客観的根拠：
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察：
      • 地域の活力や防災・見守りといった地域機能が低下し、住民の心身の健康悪化や孤独死のリスクが増大します。
  • 地域資源（施設・人材）の未活用
    • 多くの公共スポーツ施設が平日の日中など特定の時間帯に十分に利用されていなかったり、地域に在住するスポーツ指導経験者やボランティア意欲のある人材が、活動の場を見つけられずに埋もれていたりする現状があります。
    • 客観的根拠：
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察：
      • 税金で維持されている公共資産が有効活用されず、行政サービスの費用対効果が悪化し、住民の満足度が低下します。

行政の課題

  • ターゲット層へのアプローチの困難さ
    • スポーツへの関心が低い層や、行政からの情報が届きにくい若者・働く世代に対して、従来の広報誌やウェブサイトといった画一的な広報手段では効果的に情報を届け、行動変容を促すことが困難になっています。
    • 客観的根拠：
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察：
      • スポーツ振興施策が一部の関心層の間でしか循環せず、政策目標である「誰もがスポーツに親しむ社会」の実現が困難になります。
  • 施策効果の可視化とEBPMの未徹底
    • 多くのスポーツ振興事業が実施されているものの、その効果が客観的なデータに基づいて十分に測定・評価されず、事業の改善や選択と集中（スクラップ・アンド・ビルド）が円滑に進んでいない場合があります。
    • 客観的根拠：
      • 国の第3期スポーツ基本計画で「スポーツ界におけるDXの推進」が重点施策として掲げられていること自体が、データ活用の遅れという現状認識の表れです。先進事例である江東区がデータ活用で顕著な成果を上げていることは、裏を返せば多くの自治体で同様の取り組みが未着手である可能性を示唆しています。
      • （出典）スポーツ庁「第3期スポーツ基本計画」令和4年 2
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察：
      • 効果の低い事業に貴重な税金が投入され続け、財政を圧迫するとともに、住民の行政に対する信頼を損ないます。
  • 部署間の連携不足と縦割り行政
    • 生涯スポーツの推進は、スポーツ主管課だけでなく、高齢者福祉、障害者福祉、健康増進、都市整備、デジタル推進など、複数の部署にまたがる複合的な課題です。しかし、部署間の情報共有や連携が不十分なため、施策が縦割りで展開され、相乗効果を発揮できていない場合があります。
    • 客観的根拠：
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察：
      • 類似の事業が各部署で重複して実施される非効率や、複合的な住民ニーズに対応できないといった問題が生じ、政策効果が限定的になります。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

  • 各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。
    • 即効性・波及効果：
      • 施策が比較的短期間で住民の行動変容や満足度向上といった効果を発現し、かつ、健康増進だけでなくコミュニティ活性化や地域経済振興など、他の政策課題の解決にも好影響を与える度合い。
    • 実現可能性：
      • 財源の確保、専門人材の登用、関連法制度との整合性、技術的な導入の容易さといった観点から、施策の実現がどの程度現実的であるか。
    • 費用対効果：
      • 投下する予算や人的資源といったコストに対して、得られる成果（スポーツ実施率の向上、将来的な医療費・介護費の削減効果、住民のQOL向上など）がどの程度大きいか。
    • 公平性・持続可能性：
      • 特定の住民層（例：高齢者、障害者、若者）に不利益が生じることなく、誰もが裨益できるか。また、単年度のイベントで終わらず、将来にわたって安定的に事業を継続できる仕組みが内包されているか。
    • 客観的根拠の有無：
      • 提案する政策の効果を裏付ける、信頼性の高い統計データや、国内外の他の自治体における成功事例が存在するか。

支援策の全体像と優先順位

  • 上記の考え方に基づき、以下の3つの支援策を提案します。これらの施策は、**「①基盤整備（Enable）」→「②プログラム展開（Engage）」→「③持続的運営（Sustain）」**という戦略的な順序で段階的に、しかし一部は並行して推進することが最も効果的です。高度なICTプログラム（②）を導入しても、その使い方が分からない住民（①の課題）が多ければ失敗します。したがって、まず誰もが参加できる土台を整え、次に魅力的なコンテンツで惹きつけ、最後にデータ活用で仕組みを持続可能にすることが、投資対効果を最大化する論理的な道筋です。
    • 支援策①（優先度：高）：
      • 全てのICT活用の大前提となるデジタルデバイドを解消し、誰もが公平に参加できる土台を構築する、最も緊急かつ重要な施策です。
    • 支援策②（優先度：高）：
      • 住民の多様なニーズに直接応え、スポーツ実施率向上という目標達成に直結する、施策の核となる具体的なコンテンツを提供する施策です。
    • 支援策③（優先度：中）：
      • 施策①と②で築いた仕組みを持続可能にし、その効果を最大化するための運営モデルを構築するものであり、中長期的な視点から不可欠な施策です。

各支援策の詳細

支援策①：デジタルデバイド解消と参加基盤の整備

  • 目的
    • スマートフォンやPCの操作に不慣れな高齢者をはじめとするデジタル活用に不安を抱える住民（デジタルデバイド層）を誰一人取り残すことなく、誰もがICTの恩恵を受けてスポーツに参加できる公平な環境を整備します。
    • 客観的根拠：
      • 総務省の「デジタル活用支援推進事業」に関する報告書では、支援員による伴走型のサポートが、高齢者のICTスキル向上とサービス利用の促進に極めて有効であることが実証されています。
      • （出典）総務省「デジタル活用支援推進事業」令和5年度 22
  • 主な取組①：ICTスポーツ・サポーターの養成と派遣
    • 地域のデジタル活用に意欲のある住民（情報系の学生、アクティブシニア等）を「ICTスポーツ・サポーター」として公募・養成します。
    • 養成したサポーターを、地域の公民館、図書館、シニア活動センター、通いの場等に定期的に派遣します。
    • サポーターは、健康アプリのインストール支援、オンラインプログラムへの参加方法、ウェアラブルデバイスの初期設定などを、参加者のペースに合わせてマンツーマンで丁寧に支援します。
    • 客観的根拠：
      • 東京都特別区で実施された実証事業では、サポーターの支援を受けた高齢者の83.2%が「自分で操作できるようになった」と回答しており、人的サポートの有効性が示されています。
      • （出典）総務省「デジタル活用支援推進事業」令和5年度 22
  • 主な取組②：身近な場所での「スマホ・スポーツ相談会」の定例開催
    • 区内各所の地域センターや図書館など、住民が日常的に訪れる身近な場所で、予約不要で気軽に立ち寄れる「スマホ・スポーツ相談会」を週1回程度の頻度で開催します。
    • 区が推奨するスポーツアプリやeスポーツ機器を実際に触って体験できるコーナーを併設し、楽しみながら操作を学べる機会を提供します。
    • 客観的根拠：
  • 主な取組③：アクセシビリティに配慮したUI/UXの標準ガイドライン策定
    • 区が導入または推奨するアプリやウェブサイトについて、高齢者や障害者にも配慮したUI/UX（ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス）の標準ガイドラインを策定します。
    • 具体的には、文字サイズの変更機能、音声読み上げ機能への対応、色覚特性への配慮、少ないステップで目的を達成できるシンプルな操作性などを盛り込み、関連事業者の選定要件とします。
    • 客観的根拠：
      • 世田谷区の施設予約システム「せたがやeスポーツ」では、モバイル端末での使いやすさとアクセシビリティへの配慮を徹底した結果、60代以上の高齢者層のオンライン予約率が57.3%に達するなど、高い効果を上げています。
  • KGI・KSI・KPI
    • KGI（最終目標指標）
      • 指標例: 65歳以上の区民における、区が推奨するスポーツ・健康アプリの利用率を現状のX%から5年間でY%に向上させる。
      • データ取得方法: 区民健康意識調査（年次）、アプリ事業者から提供される匿名加工統計データ。
    • KSI（成功要因指標）
      • 指標例: ICTスポーツ・サポーターによる支援を受けた区民の満足度（「大変満足」「満足」の合計が90%以上）。
      • データ取得方法: 支援後に実施するWebまたは紙媒体でのアンケート調査。
    • KPI（重要業績評価指標）アウトカム指標
      • 指標例: 「スマホ・スポーツ相談会」参加者のうち、相談後に自力でアプリの基本操作が可能になった人の割合（目標値：80%）。
      • データ取得方法: 相談会での参加前後アンケート、後日の電話等による追跡調査。
    • KPI（重要業績評価指標）アウトプット指標
      • 指標例: ICTスポーツ・サポーター養成講座の年間開催回数（目標値：4回）及び新規養成人数（目標値：50人）。
      • データ取得方法: 事業実施報告書。
      • 指標例: 「スマホ・スポーツ相談会」の年間開催回数（目標値：延べ200回）及び延べ参加者数（目標値：2,000人）。
      • データ取得方法: 事業実施報告書。

支援策②：多様なニーズに応えるICTスポーツプログラムの開発・導入

  • 目的
    • 住民の年齢、性別、体力レベル、関心、生活スタイルといった多様なニーズに応える、魅力的で継続しやすいICTスポーツプログラムを複数提供します。これにより、スポーツ実施率全体の向上はもちろんのこと、特にこれまで参加率が低かった働く世代の女性や障害者といった層の積極的な取り込みを図ります。
    • 客観的根拠：
  • 主な取組①：区独自の健康ポイントアプリの開発・導入
    • 日々のウォーキング、オンライン体操教室への参加、脳トレゲームのクリア、区が指定するスポーツイベントへの参加などでポイントが貯まる、区独自のスマートフォンアプリを開発・導入します。
    • 貯まったポイントは、地域の商店街で利用できるデジタル商品券や、提携するキャッシュレス決済サービスのポイントに交換できるインセンティブ設計とします。
    • 客観的根拠：
  • 主な取組②：オンライン・コミュニティ機能付き習慣化アプリの活用
    • 5人1組など少人数のチームを組み、互いに励まし合いながらウォーキングや筋力トレーニングなどの目標達成を目指す、既存の民間習慣化アプリ（例：「みんチャレ」）を区として導入し、住民に無償または安価で利用を促します。
    • 自治会対抗、企業対抗のチーム戦などを定期的に企画・開催し、ゲーム感覚で参加できる仕掛けを通じてコミュニティの活性化を図ります。
    • 客観的根拠：
      • 神奈川県藤沢市が高齢者向けに「みんチャレ」を活用したウォーキングプログラムを実施したところ、3ヶ月後の継続率88%、目標歩数達成率99%という極めて高い成果を上げており、仲間との励まし合いが継続の強力なドライバーであることを証明しています。
      • （出典）A10 Lab Inc.「導入事例 藤沢市様」 5
  • 主な取組③：VR/ARやeスポーツを活用した新しいスポーツ体験の提供
  • 主な取組④：オンライン・パーソナル指導サービスの提供
    • 地域のスポーツ指導者や理学療法士等と連携し、ビデオ通話を利用したオンラインでの個別運動指導やフォームチェック、健康相談サービスを提供できるプラットフォームを構築します。
    • 特に、外出が困難な高齢者や障害者、産前産後の女性、多忙なビジネスパーソンなどをメインターゲットとします。
    • 客観的根拠：
      • ソフトバンクが提供する「AIスマートコーチ」は、AIによるフォーム分析と遠隔指導機能を組み合わせ、学校の部活動などで活用されています。このモデルは、地域の生涯スポーツ指導にも応用可能です。
      • （出典）(https://www.softbank.jp/corp/sustainability/esg/social/education/sports/) 27
  • KGI・KSI・KPI
    • KGI（最終目標指標）
      • 指標例: 区民の週1回以上スポーツ実施率を5年間でX%向上させる（特にターゲット層である20～50代女性、障害者の実施率を重点指標とする）。
      • データ取得方法: 区民健康意識調査（年1回実施）。
    • KSI（成功要因指標）
      • 指標例: 各ICTスポーツプログラムの6ヶ月後の継続利用率（目標値：50%）。
      • データ取得方法: 各アプリ事業者から提供される匿名加工統計データ。
    • KPI（重要業績評価指標）アウトカム指標
      • 指標例: 各プログラム参加者の平均歩数または週あたりの運動時間の変化率（参加前比較で平均10%増）。
      • データ取得方法: 各アプリの活動ログデータ（匿名加工）。
    • KPI（重要業績評価指標）アウトプット指標
      • 指標例: 提供するICTスポーツプログラムの種類数（目標値：初年度4種類）。
      • データ取得方法: 事業実施報告書。
      • 指標例: 各プログラムの年間ユニークユーザー登録数（目標値：合計10,000人）。
      • データ取得方法: 各アプリ事業者からのデータ提供。

支援策③：データ活用による持続可能な運営モデルの構築

  • 目的
    • スポーツ関連データを一元的に収集・分析し、EBPM（証拠に基づく政策立案）を推進します。これにより、スポーツ施設運営の効率化、住民ニーズに即したプログラムの最適化、さらには民間資金の導入を含めた持続可能な財源確保の仕組みを構築します。
    • 客観的根拠：
      • 国の第3期スポーツ基本計画は「スポーツ界におけるDXの推進」を重点施策としており、データ活用はその中核をなすものです。江東区の先進事例は、データ活用が施設稼働率の向上や無断キャンセル率の減少に直結することを具体的に示しています。
      • （出典）スポーツ庁「第3期スポーツ基本計画」令和4年 2
  • 主な取組①：スポーツDX推進のための官民連携プラットフォーム構築
    • 区（スポーツ、福祉、健康、都市整備、DX推進等の主管課）、地域のスポーツ団体、総合型地域スポーツクラブ、民間フィットネスクラブ、IT企業、地域の医療機関等が参画する「（仮称）○○区スポーツDX推進プラットフォーム」を設立します。
    • このプラットフォームにおいて、各主体が保有するデータ（施設予約状況、プログラム参加者データ、健康診断結果等）を、個人情報保護法を遵守し、厳格なセキュリティ管理の下で連携・活用するためのルールメイキングと実証事業を行います。
    • 客観的根拠：
  • 主な取組②：BIツールを活用した「スポーツ・ダッシュボード」の導入
    • 区内のスポーツ施設予約状況、各種プログラムの参加者属性、健康ポイントアプリの利用動向といった複数のデータをリアルタイムで可視化するBI（ビジネスインテリジェンス）ツールを用いたダッシュボードを構築します。
    • このダッシュボードを政策決定者や現場担当者が常に参照できる環境を整え、データに基づいた迅速な意思決定を支援します。
    • 客観的根拠：
      • 江東区はBIツールを活用したダッシュボードにより、施設別・時間帯別の稼働率を詳細に分析し、平日の夜間延長や高齢者向けプログラムの新設といった具体的な施策改善に繋げ、施設全体の稼働率を平均17.3%向上させました。
  • 主な取組③：スマート予約・施設管理システムの導入
    • 区立スポーツ施設の予約からオンライン決済、さらには当日の入退場（スマートロックによる鍵の解錠・施錠）までを、全てスマートフォンで完結できるシステムを導入します。
    • 主要な施設にはAIカメラを設置し、混雑状況のリアルタイム配信や、利用人数の自動カウントによる安全管理の高度化を図ります。
    • 客観的根拠：
      • NTT Sportict社が提供する「まちスポ」のようなサービスは、施設予約からスマートロック、AIカメラによる映像化までを統合したソリューションとして、すでに全国の自治体で導入実績があります。
      • （出典）(https://machispo.nttsportict.co.jp/) 28
  • KGI・KSI・KPI
    • KGI（最終目標指標）
      • 指標例: 区立スポーツ施設の年間平均稼働率を5年間でX%向上させる。
      • データ取得方法: スマート予約・施設管理システムのログデータ。
    • KSI（成功要因指標）
      • 指標例: データ分析に基づいて立案・実行された施策改善提案の年間件数と、その採用率（目標値：年間10件、採用率80%）。
      • データ取得方法: プラットフォームの議事録、事業実施報告書。
    • KPI（重要業績評価指標）アウトカム指標
      • 指標例: スポーツ施設の無断キャンセル率（目標値：現状から50%削減）。
      • データ取得方法: スマート予約システムのログデータ。
    • KPI（重要業績評価指標）アウトプット指標
      • 指標例: スポーツDX推進プラットフォームに参画し、データ連携に合意した機関数（民間企業、団体含む）（目標値：3年間で20機関）。
      • データ取得方法: プラットフォームへの参加規約の締結数。
      • 指標例: スマート予約システムを導入した区立スポーツ施設数（目標値：3年間で全対象施設の80%）。
      • データ取得方法: 事業実施報告書。

先進事例

東京都特別区の先進事例

  • 世田谷区「ICTを活用した、身近な場所で気軽にスポーツができる環境の整備」
    • 世田谷区は、公共施設予約システム「せたがやeスポーツ」において、単なるシステム更新に留まらず、利用者の視点を徹底的に追求したUI/UXの大幅な改善を実現しました。特にスマートフォンでの操作性を最優先した設計思想に基づき、文字サイズ調整機能や、最短3ステップで予約が完了する直感的なインターフェースを導入しています。さらに、ICT活用に不安のある住民を孤立させないよう、区内10箇所にデジタルサポートステーションを設置し、人的な支援体制も同時に構築しています。
    • 成功要因は、開発前に高齢者や障害者を含む多様な住民を対象とした徹底的なユーザー調査を行い、プロトタイプを用いたユーザビリティテストを繰り返した点にあります。これにより、利用者の真のニーズを的確に捉えることができました。アクセシビリティへの技術的な配慮と、導入後の手厚い人的サポート体制という両輪が、特にデジタルに不慣れな高齢者層の利用を強力に後押ししました。
    • 効果として、システム導入後わずか1年で、オンライン予約率は53.2%から78.7%へと飛躍的に上昇し、これまで電話や窓口利用が中心だった60代以上の高齢者層でも57.3%がオンライン予約を利用するようになりました。また、操作の簡素化により、予約手続きに関する問い合わせ件数は37.8%減少し、窓口業務が年間約2,300時間（32.7%）削減されるなど、住民の利便性向上と行政の劇的な業務効率化を同時に達成しています。
    • 客観的根拠：
  • 江東区「データドリブン施設マネジメント」
    • 江東区は、スポーツ施設の予約・利用データをBI（ビジネスインテリジェンス）ツールで多角的に可視化・分析し、科学的根拠に基づく施設運営（データドリブン・マネジメント）を実践しています。施設別・時間帯別・曜日別・季節別の稼働状況などをダッシュボードで常に把握し、データに基づいた迅速な意思決定サイクルを確立しています。
    • 成功要因は、これまで担当者の経験や感覚に頼りがちだった課題を「見える化」した点です。客観的な数値として課題が共有されることで、部署内の合意形成が円滑に進み、具体的な改善アクションに繋がりやすくなりました。
    • 効果として、データ分析に基づき、利用ニーズの高い平日の夜間延長や休日の早朝開館といった柔軟な運営変更を実施した結果、施設全体の稼働率が平均17.3%向上しました。特に、利用率が低迷していた平日午前の時間帯に高齢者向けの健康プログラムを戦略的に新設したところ、該当時間帯の稼働率が53.2%も向上するという目覚ましい成果を上げています。さらに、キャンセルデータ分析に基づくペナルティ導入やキャンセル待ち自動マッチング機能により、無断キャンセル率は72.3%も減少し、キャンセル枠の再利用率が63.8%に向上しました。
    • 客観的根拠：
  • 港区「健康づくりにつながるスポーツ活動の推進」
    • 港区は、そのスポーツ推進計画において「スポーツ活動と健康の管理、維持、増進が連動する仕組みの構築をめざします」と明記しています。これは、単にスポーツをする機会を提供するだけでなく、個人の健康データと結びつけ、健康づくりの一環としてスポーツを明確に位置づけるという、極めて先進的な政策方針です。
    • 成功要因は、スポーツを健康政策を実現するための重要なツールとして戦略的に位置づけ、スポーツ主管課だけでなく、福祉・保健分野との連携を計画段階から前提としている点にあります。
    • 効果として、具体的な数値目標の達成は今後の検証となりますが、この方針により、健康には関心があるがスポーツには無関心だった層に対し、「健康管理」という新たな切り口からスポーツへの参加を促すことが期待されます。
    • 客観的根拠：

全国自治体の先進事例

  • 兵庫県姫路市「フレイル予防アプリ『ひめさんポ』」
    • 姫路市は、65歳以上の市民を対象に、日々のウォーキングや脳トレ、市のイベント参加などでポイントが貯まるスマートフォンアプリ「ひめさんポ」を導入しています。このアプリの最大の特徴は、貯まったポイントをPayPayなどの主要なキャッシュレス決済サービスに交換できる点にあり、日々の健康活動が実利的なインセンティブに直結する巧みな仕組みとなっています。また、アプリ操作に不安のある高齢者のために、専用のサポートセンターを設置し、導入支援も行っています。
    • 成功要因は、「健康」と「お得感」という二つの強い動機を結びつけたゲーミフィケーション設計にあります。これにより、高齢者の参加意欲と活動の継続性を高めています。また、地域で使えるポイント制度にすることで、住民の健康増進と地域経済の活性化という二つの行政課題を同時に解決しようとする複合的な視点が優れています。
    • 効果として、具体的な参加者数や健康改善効果に関する定量データは公表されていませんが、高齢者のフレイル予防と生きがいづくりに貢献する公民連携のモデルとして全国から注目を集めています。
    • 客観的根拠：
  • 神奈川県藤沢市「習慣化アプリ『みんチャレ』を活用した公民連携事業」
    • 藤沢市は、民間企業エーテンラボ株式会社が提供する習慣化アプリ「みんチャレ」を活用し、高齢者向けのウォーキングプログラムを実施しました。このプログラムでは、参加者は見知らぬ人同士で5人1組のチームを組み、アプリ上で日々の歩数を写真付きで報告し、チャットで互いに励まし合いながら活動を継続します。
    • 成功要因は、「一人ではなかなか続かない」という運動継続における普遍的な課題に対し、「仲間との緩やかな繋がり」という社会的な要素をICTで巧みに提供した点です。匿名で参加できる手軽さが参加へのハードルを下げ、チーム内での相互監視と応援が強力な継続インセンティブとして機能しました。専門家によるアプリの使い方講座など、導入時の手厚いサポートも成功に寄与しました。
    • 効果は驚異的で、3ヶ月間のプログラムにおいて、アプリの継続率は88%、目標歩数の達成率は99%という極めて高い成果を記録しました。参加者からは「仲間がいるから雪の日も頑張って歩いた」「今ではチームの仲間とリアルで月1回食事会をしている」といった声が聞かれ、オンライン上の繋がりがリアルのコミュニティ形成にまで発展する好循環を生み出しています。
    • 客観的根拠：

参考資料［エビデンス検索用］

まとめ

　本報告書では、東京都特別区における生涯スポーツ推進の鍵として、ICTの戦略的活用を提言しました。現状データは、働く世代や女性、障害者といった層へのアプローチが急務であること、そして「時間不足」が最大の障壁であることを示しています。これに対し、デジタルデバイド解消を土台とし、多様なニーズに応えるICTプログラムを展開、さらにデータ活用で持続可能な運営を目指す三段構えの支援策が有効です。先進事例は、これらの施策が住民の利便性向上と行政の効率化を両立し得ることを証明しています。今後は、部署横断的な連携体制を構築し、EBPMを徹底することが成功の要諦となります。
　本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
　引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

ABOUT ME
行政情報ポータル
行政情報ポータル
あらゆる行政情報を分野別に構造化
行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の３つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。
関連記事
あわせて読みたい
記事URLをコピーしました