2025.09.25 04 東京都 令和7年第三回都議会定例会 知事所信表明(令和7年9月24日)と政策立案のヒント masashi0025 目次 知事冒頭発言(要約)1. 互いの違いを認め尊重し合い、誰もが自己実現を追求できる東京へ概要政策立案への示唆2. Women in Actionでゲームチェンジを起こす概要政策立案への示唆3. 一人ひとりの自己実現を全力で応援する概要政策立案への示唆4. 都民生活や企業活動を支える安心で活力ある社会環境を創出する概要政策立案への示唆5. 強くしなやかに危機を乗り越えるレジリエントな都市を築く概要政策立案への示唆6. 東京の強みを活かして脱炭素社会のモデル創出に挑む概要政策立案への示唆7. 変化の先を見据えた取組で東京の国際競争力を強化する概要政策立案への示唆8. グローバルな視野と新たな技術や知恵で東京の可能性を花開かせる概要政策立案への示唆質疑応答(要約)知事冒頭発言(要約) 1. 互いの違いを認め尊重し合い、誰もが自己実現を追求できる東京へ 概要 概要 世界陸上やデフリンピックを契機に、スポーツの力を通じて多様性を尊重する社会を目指します。ろう学校の子供たちの参画やユニバーサルコミュニケーション技術の活用を進めます。また、外国人住民の増加に伴う制度的課題に対し、国への要望を行うなど、誰もが安心して暮らせる共生社会の実現を推進します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 外国人住民の増加や社会の多様化に対応し、文化や習慣の違いから生じる課題を解決するためです。 具体的なアクション デフリンピックでの子供の参画、ユニバーサルコミュニケーション技術の活用、国への制度改善要望を行います。 行政側の意図 大規模イベントをレガシーとして活用し、多様性が尊重される成熟都市への進化を加速させます。 期待される効果 パラスポーツへの理解促進と、多様な背景を持つ人々が共生する社会の実現が期待されます。 課題・次のステップ 国の制度的課題の解決と、共生社会実現に向けた都民の意識醸成が課題です。 特別区への示唆 各区においても、デフリンピック関連イベントの開催や、外国人住民との多文化共生施策を積極的に展開する必要があります。地域のろう学校や外国人コミュニティと連携し、具体的な交流の機会を創出することが求められます。 2. Women in Actionでゲームチェンジを起こす 概要 概要 OECDチャンピオン・メイヤーズの副議長就任を機に、女性活躍の取組を国際的に展開します。都独自の女性首長ネットワークや起業家育成プログラムに加え、新たに「女性の活躍に関する条例(仮称)」の制定や男女平等参画推進総合計画の改定を予定。雇用分野を中心に、企業や社会の意識・行動変革を促し、女性も男性も輝く持続可能な社会を目指します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 我が国の長年の課題である女性活躍を強力に推進し、持続可能な社会を実現するためです。 具体的なアクション 「女性の活躍に関する条例(仮称)」の制定、男女平等参画推進総合計画の改定を行います。 行政側の意図 条例制定などを通じ、企業や社会全体の意識変革を促し、女性活躍の力強いうねりを東京から創出します。 期待される効果 女性の個性や能力が十分に発揮されることによる、経済の活性化と社会の持続可能性向上が期待されます。 課題・次のステップ 条例の実効性確保と、企業における具体的な取組への落とし込みが課題です。 特別区への示唆 区内企業に対し、都の条例や計画の趣旨を周知徹底するとともに、女性の起業支援や管理職登用を促す独自の施策を展開することが期待されます。地域の女性団体との連携を強化し、現場の声を政策に反映させることも重要です。 3. 一人ひとりの自己実現を全力で応援する 概要 概要 結婚や子育てを望む都民への切れ目のない支援を拡充します。保育料無償化の第一子への拡大、無痛分娩費用助成、認証学童クラブの拡充、SNS相談「ギュッとチャット」の機能強化、不登校児向けポータルサイト開設など、多様なニーズに対応。また、都立高校の魅力向上、大学生等の海外留学支援、高齢者の就業支援や新たな出会いの創出まで、ライフステージに応じた自己実現を支援します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 少子高齢化や人生100年時代といった社会変化に対応し、全ての世代が活躍できる社会を構築するためです。 具体的なアクション 保育料無償化拡大、無痛分娩支援、「グローパス」開始、シニア交流イベント開催などを実施します。 行政側の意図 子育てから教育、セカンドキャリアまで、ライフステージを通じた切れ目のない支援で都民の多様な選択を後押しします。 期待される効果 若者の挑戦意欲の向上、子育て世代の負担軽減、高齢者の社会参加促進が期待されます。 課題・次のステップ 児童虐待対応力の向上や、新たな児童相談所の計画的な整備が課題となります。 特別区への示唆 都の施策と連携し、区の実情に応じた子育て支援(認証学童クラブの設置促進等)や高齢者支援(シルバー人材センターとの連携強化等)を展開する必要がある。特に、児童相談体制の構築においては、都との緊密な連携が不可欠です。 4. 都民生活や企業活動を支える安心で活力ある社会環境を創出する 概要 概要 長引く物価高騰に対し、中小企業の価格転嫁円滑化や医療機関等への緊急対策期間延長で対応します。また、若年層にも広がる特殊詐欺に対しては、闇バイト求人投稿を自動収集・分析するAIツールを導入し、官民連携での啓発も強化。さらに、今後の人口動態を見据え、区市町村と連携し、安定的な火葬体制の確保に向けた検討や国への法改正要求を行います。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 物価高や巧妙化する犯罪、人口動態の変化など、都民生活を脅かす様々な脅威から都民を守るためです。 具体的なアクション 中小企業支援、AIによる闇バイト求人分析、火葬体制確保に向けた国への働きかけを行います。 行政側の意図 経済的支援、最新技術の活用、インフラ整備という多角的なアプローチで、都民の安全・安心な生活基盤を確保します。 期待される効果 中小企業の経営安定化、特殊詐欺被害の未然防止、将来にわたる安定した火葬体制の確保が期待されます。 課題・次のステップ 火葬場の実態把握と能力強化に向けた具体的な取組の検討が課題です。 特別区への示唆 各区においても、管内の中小企業への価格転嫁支援や、警察と連携した防犯意識の啓発活動が重要です。特に火葬体制については、都と連携して地域の実情を正確に把握し、住民への丁寧な説明とともに将来計画を検討する必要があります。 5. 強くしなやかに危機を乗り越えるレジリエントな都市を築く 概要 概要 災害級の暑さに対し、水道基本料金の無償化などの緊急対策を講じました。激甚化する風水害対策として、調節池の整備を推進し、新たに境川木曽東調節池で取水を開始。また、津波・高潮対策として防潮堤等の嵩上げやDXによる防災力向上を進めます。さらに、首都直下地震等を想定した実践的な防災訓練を区市町村と合同で実施し、自助・共助の取組を促進します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 気候変動により激甚化・頻発化する自然災害から、都民の生命と財産を守る首都防衛のためです。 具体的なアクション 調節池の取水開始、防災訓練の実施、無電柱化計画の策定と推進条例の制定を進めます。 行政側の意図 ハード・ソフト両面から対策を講じ、いかなる災害にも対応できる強靭な都市(レジリエントシティ)を構築します。 期待される効果 浸水被害の軽減、災害対応能力の向上、災害時のインフラ途絶リスクの低減が期待されます。 課題・次のステップ 「電柱を減らす・増やさない」両面からの無電柱化の加速が課題です。 特別区への示唆 各区は、都の総合防災訓練と連携し、地域特性を踏まえた独自の訓練を実施することが求められます。また、無電柱化条例の制定を受け、区内の宅地開発における無電柱化の指導・誘導を強化するとともに、区道の無電柱化計画を具体化する必要があります。 6. 東京の強みを活かして脱炭素社会のモデル創出に挑む 概要 概要 次世代型太陽電池「Airソーラー」の実装検証や浮体式洋上風力発電の導入を目指すなど、東京の技術力を活かしてエネルギーの安定確保と脱炭素化を両立します。また、使用済み食用油からSAFを製造する取組を推進。さらに、大規模グリーン水素製造拠点の稼働や水素パイプラインの調査開始、「TOKYO H2プロジェクト」の始動により、水素社会への移行を加速させます。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 気候危機という世界共通の課題に対し、大都市東京が率先してエネルギー安定確保と脱炭素化を両立するモデルを示すためです。 具体的なアクション 「Airソーラー」実装検証、SAF普及啓発、大規模グリーン水素製造拠点の稼働などを進めます。 行政側の意図 「つくる・はこぶ・つかう」の各段階で水素関連の取組を推進し、需要と供給を拡大しながら水素社会への移行を加速させます。 期待される効果 再生可能エネルギーの導入拡大、温室効果ガス排出量の削減、新たな環境ビジネスの創出が期待されます。 課題・次のステップ 洋上風力発電における地元関係者との合意形成、水素のコスト低減とインフラ整備が課題です。 特別区への示唆 各区では、公共施設への太陽光パネル設置を一層推進するとともに、住民や事業者へのSAF原料となる使用済み食用油の回収協力を呼びかけることが有効です。水素エネルギーの普及に向けた情報提供や意識啓発も求められます。 7. 変化の先を見据えた取組で東京の国際競争力を強化する 概要 概要 人手不足が懸念される鉄道インフラの持続可能性を官民連携で検討します。多摩都市モノレールの箱根ケ崎延伸を契機としたまちづくり計画や、新たな住宅マスタープラン策定に着手。また、「緑の広域計画」の策定や、臨海部を舞台にした新たな国際的美術展の開催などを通じ、憩いと潤い、文化に溢れる都市を目指します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 人口減少や住宅の老朽化といった課題に対応し、都市の魅力を高め、持続可能な活動基盤を整備するためです。 具体的なアクション モノレール延伸まちづくり計画策定、住宅マスタープラン策定諮問、国際的美術展の開催などを進めます。 行政側の意図 交通基盤整備とまちづくりを一体で進め、住宅、緑、文化といったソフト面の魅力を高めることで、都市の総合力を向上させます。 期待される効果 多摩地域の活性化、良質な住宅ストックの形成、文化芸術都市としてのブランド向上が期待されます。 課題・次のステップ 鉄道業界の人手不足対策、アフォーダブル住宅供給のための官民連携ファンドの運営が課題です。 特別区への示唆 区内においても、交通結節点を中心とした魅力的なまちづくりや、空き家・老朽マンション対策が急務です。都の住宅マスタープラン策定に区の意見を反映させるとともに、地域の文化資源を活かしたイベントを都の取組と連携させて実施することが考えられます。 8. グローバルな視野と新たな技術や知恵で東京の可能性を花開かせる 概要 概要 アグリテックや陸上養殖など、テクノロジーを活用した農水産業の活性化で食の安全保障に貢献します。スタートアップ戦略を進化させ、協働プロジェクトをグローバル展開へと加速。国際金融都市として、「TOKYOレジリエンスボンド」の発行などで世界の資金を呼び込みます。また、都内全域への国際規格Wi-Fi整備やデータセンターの整備促進でデジタル都市基盤を強化します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 熾烈な国際競争の中で、東京が世界のハブとして成長し続けるため、新たな価値創出の源泉となるイノベーションを加速させる必要があるためです。 具体的なアクション アグリテック推進、スタートアップ戦略進化、「TOKYOレジリエンスボンド」発行、Wi-Fi整備を行います。 行政側の意図 金融、テクノロジー、デジタルインフラを一体的に強化し、スタートアップや高度人材が世界から集まるグローバルスタンダードな環境を整備します。 期待される効果 食の安定供給、新産業の創出と成長、国際金融都市としての地位向上、都民・来訪者の利便性向上が期待されます。 課題・次のステップ データセンター整備における電力需要やまちづくりとの整合性の確保が課題です。 特別区への示唆 区内大学等との連携による技術シーズの発掘や、スタートアップ支援拠点の設置が考えられます。また、都が整備するWi-Fiインフラを活用し、地域の商店街や観光スポットでの情報発信を強化するなど、区民サービスの向上に繋げることが期待されます。 質疑応答(要約) オーバーツーリズムへの対応 都心だけでなく自然豊かな多摩・島しょ地域など、東京には旅行者を受け入れる十分なキャパシティがあると認識。旅行者へマナーや習慣をしっかり伝え、都民生活との調和を図りながら地域の理解を得ていきたい。 都議選への期待 時代の節目であり、各陣営には人口減少や超高齢化といった課題に対し、練られた公約を堂々と論じてもらいたい。また、厳しい国際情勢や物価高など、世界と都民の生活を広く見ながら議論することを期待する。 出典 令和7年第三回都議会定例会 知事所信表明(令和7年9月24日) #04 東京都#07 自治体経営#91 取組#92 行政ニュース#99 その他 ABOUT ME 行政情報ポータルあらゆる行政情報を分野別に構造化行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。