2025.06.28 02 社会経済状況 【2025年6月27日】行政関連ニュースと政策立案のヒント masashi0025 目次 社会経済状況2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2025年(令和7年)6月分(中旬速報値)の公表労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)5月分の公表自治体経営大田区、インバウンド向けビジネスを副業人材で支援環境政策千代田区、千葉県匝瑳市と再生可能エネルギー活用等に関する連携協定を締結杉並区、循環型社会を目指し古着の拠点回収を開始東京都、「東京グリーンビズ」の一環として周遊サービス「東京グリーンビズ・クエスト」をリリース千代田区、事業者向け環境配慮行動宣言「ちよエコ未来企業宣言」を開始経済産業省・環境省、家電リサイクル法に基づく勧告を実施DX政策IPA、「DX動向2025」を公表し、日米独の推進状況を比較国土交通省、地域交通DX推進プロジェクト「COMmmmONS」を始動総務管理新宿区、7月1日から加熱式たばこを路上喫煙禁止の対象に追加江戸川区、原付バイク等のご当地ナンバープレートの先行受付を開始生活安全政策港区・板橋区、共同住宅への宅配ボックス設置費用を助成子育て、子ども政策港区、ベビーシッター利用支援事業を拡充し多様な保育ニーズに対応教育政策文部科学省、公立幼稚園の減少が地域に与える影響に関する調査研究を実施福祉政策港区、介護職員のたんの吸引等研修における指導看護師への謝金助成を開始多文化共生政策渋谷区、パートナーシップ制度の全国普及に関する共同調査結果を公表文化政策板橋区、親子で楽しむ「参加型朗読コンサート」を開催社会経済状況 2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2025年(令和7年)6月分(中旬速報値)の公表 概要 出典 総務省統計局 1 ニュース概要 総務省統計局は、東京都区部における2025年6月分の中旬速報値として消費者物価指数(CPI)を公表しました。このデータは、都内における物価変動の最新動向を示す重要な経済指標です。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 消費者物価指数は、住民の生活コストに直結する客観的なデータを提供します。行政は、この指標を基に経済状況を正確に把握し、住民生活への影響を評価するために、その動向を注視する必要があります。 具体的なアクション 総務省統計局が全国の小売物価統計調査を基に指数を算出し、毎月速報値として公表しています。 行政側の意図 物価の変動、特に継続的な上昇は、住民、とりわけ低所得者層や子育て世帯の家計を圧迫します。行政は、経済的な困難を抱える層を的確に把握し、支援策を講じるための基礎情報としてCPIを活用します。 期待される効果 データに基づいた政策立案(EBPM)を推進し、効果的かつ効率的な経済対策や生活支援策の実施が期待されます。 課題・次のステップ 全国や都全体の平均値だけでなく、区ごとの特性(高齢化率、単身世帯率など)を考慮し、より地域の実情に合った影響分析を行うことが課題です。 特別区への示唆 このCPIデータは、各区が実施する独自の経済対策(例:プレミアム付商品券、キャッシュレス決済ポイント還元事業)の必要性や規模を判断する際の客観的な根拠となります。政策の企画・説明責任を果たす上で不可欠な情報です。 労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)5月分の公表 概要 出典 総務省統計局 2 ニュース概要 総務省統計局が2025年5月分の労働力調査結果を公表しました。全国の就業者数は前年同月比で72万人増加し、完全失業率は季節調整値で2.5%と、労働市場が引き続き逼迫している状況を示しています。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 労働市場の動向は、地域経済の活力、税収、住民の所得水準を左右する根幹的な要素です。行政は、雇用の安定と経済の持続的成長を促すため、これらのマクロデータを継続的に把握する必要があります。 具体的なアクション 全国の約4万世帯を対象に毎月の就業・不就業の状態を調査し、国全体の雇用情勢を示す指標として公表しています。 行政側の意図 完全失業率の低さは一見好ましい状況ですが、その裏側にある人手不足、特に専門職や特定業種(介護、建設、運輸、観光等)における労働力不足という構造的課題を浮き彫りにします。 期待される効果 雇用関連施策(就労支援、職業訓練、企業誘致等)の効果測定や、新たな政策ニーズの発見につながります。 課題・次のステップ マクロな数値だけでは捉えきれない、地域内・産業別の雇用のミスマッチや、非正規雇用の待遇といった質的な課題への対応が次のステップとなります。 特別区への示唆 全体として低い失業率は、区内中小企業が深刻な人手不足に直面している可能性を示唆します。大田区の副業人材活用のような、多様な働き手を確保するための革新的な支援策の検討が、各区にとって重要になります。 自治体経営 大田区、インバウンド向けビジネスを副業人材で支援 概要 出典 大田区 3 ニュース概要 大田区は、副業人材マッチングサービスと連携し、インバウンド対応を強化したい区内事業者に対して、専門スキルを持つ副業人材の活用を支援する取り組みを開始しました。地域の自走力向上を目指します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 中小企業は、インバウンド対応(多言語での情報発信、マーケティング等)に必要な専門人材を正社員として雇用する体力が不足している場合があります。行政が仲介役となることで、この課題を解決します。 具体的なアクション 区が民間プラットフォーム事業者と連携し、事業者のニーズと副業人材のスキルをマッチングさせる枠組みを構築・推進します。 行政側の意図 恒常的な人手不足と、特定の専門スキルへの需要という二つの課題に対し、雇用形態の柔軟化(副業・兼業)を促進することで、機動的かつ低コストな解決策を提供することを意図しています。 期待される効果 区内事業者のインバウンド対応力が向上し、観光消費の拡大や地域経済の活性化が期待されます。 課題・次のステップ 副業人材の品質管理や、事業者との円滑なコミュニケーションをいかにサポートするかが今後の課題です。成功事例の横展開が求められます。 特別区への示唆 この取り組みは、観光分野に限らず、DX推進、専門的な法務・財務相談など、中小企業が抱える様々な経営課題に応用可能なモデルです。区が「つなぎ役」に徹することで、新たな価値を創出できる好事例です。 環境政策 千代田区、千葉県匝瑳市と再生可能エネルギー活用等に関する連携協定を締結 概要 出典 千代田区 5 ニュース概要 千代田区は、千葉県匝瑳市と連携し、同市のソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)で発電された再生可能エネルギー電力を区内需要家に供給する協定を締結します。区内学校給食での有機大豆味噌の提供も含まれます。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 千代田区のような土地の限られた都心区が「2050ゼロカーボン」を達成するには、区外からの再生可能エネルギー調達が不可欠です。自治体間連携は、そのための安定的な調達手段となります。 具体的なアクション 地方自治体(匝瑳市)と連携し、電力の購入だけでなく、食育(給食)や新技術(次世代型太陽電池)の情報共有を含む、多角的な協力関係を構築します。 行政側の意図 単なる電力購入に留まらず、環境教育、地域ブランド(Eサイクルちよだ)の構築、友好都市関係の深化といった複数の政策目的を同時に達成することを意図した、戦略的なパートナーシップです。 期待される効果 再エネ調達による脱炭素化の推進に加え、子どもたちの環境意識の向上や、連携自治体双方の地域活性化が期待されます。 課題・次のステップ 再エネ電力の安定供給と価格の妥当性をいかに担保するかが課題です。また、このモデルを他の自治体にも展開していくことが次のステップとなります。 特別区への示唆 これは、都心区が環境目標を達成するための「都市・地方のグリーン共生」モデルです。他の特別区も、自区の需要と地方自治体の供給能力を結びつけ、環境、教育、経済にまたがる包括的な連携を模索する価値があります。 杉並区、循環型社会を目指し古着の拠点回収を開始 概要 出典 杉並区 7 ニュース概要 杉並区は、循環型社会の実現に向けた取り組みの一環として、区内施設に古着の回収ボックスを設置し、衣類の拠点回収を開始しました。リユース・リサイクルを促進し、ごみの減量を目指します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 廃棄される衣類の多くは焼却処分されており、環境負荷が大きいのが現状です。行政が回収の仕組みを整備することで、資源の有効活用とごみの削減を両立させる社会的責任があります。 具体的なアクション 区民がアクセスしやすい区役所や図書館などの公共施設に、専用の回収ボックスを設置し、定期的に回収します。 行政側の意意図 住民にとって身近で分かりやすいリサイクル活動を提供することで、環境問題への関心を高め、具体的な行動変容を促すことを意図しています。 期待される効果 ごみの減量化とCO2排出削減に直接的に貢献します。また、住民の環境意識の向上が期待されます。 課題・次のステップ 回収された衣類の品質管理や、リユース・リサイクル先の安定的な確保が課題です。回収場所の拡大や、民間事業者との連携強化が次のステップです。 特別区への示唆 比較的低コストで始められ、住民の満足度も高い施策です。他の特別区でも容易に導入可能であり、区の環境政策をPRする上でも効果的です。回収ルール(洗濯済み、破れがない等)の周知徹底が成功の鍵となります。 東京都、「東京グリーンビズ」の一環として周遊サービス「東京グリーンビズ・クエスト」をリリース 概要 出典 東京都 8 ニュース概要 東京都は、緑のプロジェクト「東京グリーンビズ」の一環として、都内の緑豊かなスポットを巡りながらミッションをクリアする、スマートフォン向けの周遊サービス「東京グリーンビズ・クエスト」を開始しました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 環境政策の重要性を広く都民に伝え、共感を広げるためには、一方的な情報発信だけでなく、楽しみながら参加できる体験型の仕掛けが必要です。都市の緑の価値を再発見してもらうことが目的です。 具体的なアクション スタートアップ企業と協働し、ゲーミフィケーション(ゲームの要素を応用すること)の手法を用いて、都内の公園などを巡るデジタルスタンプラリーを開発・提供します。 行政側の意図 若者層を含む幅広い世代に、楽しみながら環境政策に触れてもらうことを意図しています。政策への関与のハードルを下げ、自発的な参加を促す狙いがあります。 期待される効果 都民の環境意識の向上と、都内の緑豊かなスポットへの来訪者増加による地域活性化が期待されます。 課題・次のステップ 参加者を一過性のイベントで終わらせず、継続的に環境活動に関与してもらうための次の仕掛けが必要です。参加者データの分析と活用も課題です。 特別区への示唆 この「政策のゲーミフィケーション」という手法は、様々な分野で応用可能です。区内の公園、文化施設、健康増進ウォーキングコースなどで同様の仕組みを導入し、住民参加型のまちづくりを推進するヒントになります。 千代田区、事業者向け環境配慮行動宣言「ちよエコ未来企業宣言」を開始 概要 出典 千代田区 6 ニュース概要 千代田区は、区内事業者の環境配慮行動を促進するため、自主的な目標宣言制度「ちよエコ未来企業宣言」を開始しました。宣言した事業者は区のウェブサイトで公表され、ロゴマークの使用が許可されます。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 地域の脱炭素化目標を達成するためには、住民だけでなく、エネルギー消費の大きい事業者の協力が不可欠です。行政には、事業者の自主的な取り組みを促すインセンティブを設計する役割があります。 具体的なアクション 事業者が取り組む環境配慮項目をリスト化し、オンラインで宣言できる仕組みを構築。宣言企業を公表し、社会的評価を高めるインセンティブを提供します。 行政側の意図 規制や義務ではなく、企業の自主性と社会的責任(CSR)に働きかけることで、ポジティブな形での環境活動への参加を促すことを意図しています。これにより、地域全体の環境意識の底上げを図ります。 期待される効果 参加企業の環境意識の向上と具体的な行動(省エネ、再エネ導入等)が促進されます。また、宣言企業が増えることで、地域全体のブランドイメージ向上にも繋がります。 課題・次のステップ 宣言が形式的なものに終わらないよう、具体的な行動変容に繋げるためのフォローアップ(省エネ診断、補助金情報の提供等)が重要になります。 特別区への示唆 このような自主宣言制度は、環境分野だけでなく、健康経営、ワークライフバランス、ダイバーシティ推進など、様々な政策テーマで応用可能です。地域企業との協働関係を築くための有効なツールとなります。 経済産業省・環境省、家電リサイクル法に基づく勧告を実施 概要 出典 経済産業省 10 ニュース概要 経済産業省と環境省は、家電リサイクル法に定められた引き渡し義務に違反し、エアコンなどの廃棄物を不適正に処理していた旭化成ホームズ株式会社に対し、同法に基づく勧告と報告徴収を行いました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 家電リサイクル制度は、適正な資源循環と不法投棄の防止を目的とした国の根幹的な制度です。行政には、制度の信頼性を揺るがす法令違反に対し、厳正に対処し、再発を防止する責任があります。 具体的なアクション 小売業者への立ち入り検査を通じて違反事実を特定し、法に基づき是正勧告と再発防止策の報告を求めます。 行政側の意図 大手企業への厳格な対応を公表することで、業界全体に対するコンプライアンス遵守の徹底を強く促すことを意図しています。また、消費者に対して制度の重要性を再認識させる狙いもあります。 期待される効果 同様の不適正処理の抑止効果と、家電リサイクル制度全体の信頼性向上が期待されます。 課題・次のステップ 巧妙化する不適正処理の手口に対応するため、継続的な監視体制の強化と、一般消費者や排出事業者へのさらなる啓発活動が必要です。 特別区への示唆 特別区自身も、公共施設から排出される多数の什器備品について、法令を遵守した適正な処理が求められます。本件を機に、区の物品の廃棄プロセスを再点検するとともに、区民や区内事業者へのリサイクル制度の周知を一層強化することが重要です。 DX政策 IPA、「DX動向2025」を公表し、日米独の推進状況を比較 概要 出典 独立行政法人情報処理推進機構(IPA) 11 ニュース概要 IPAが日米独の企業におけるDX推進状況を調査した「DX動向2025」を公表しました。日本企業はDXの成果把握のための指標設定や、DXを推進する人材の量において、米国・ドイツに遅れをとっていることが明らかになりました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 国の競争力強化のためには、産業界全体のDX推進が不可欠です。IPAのような公的機関が客観的な調査を行い、国内企業の立ち位置と課題を明らかにすることで、効果的な産業政策の立案に繋げます。 具体的なアクション 日本、米国、ドイツの企業を対象としたアンケート調査を実施し、DXへの取り組み状況、成果、課題などを多角的に分析・比較し、結果を公表します。 行政側の意図 国内企業に対し、国際的なベンチマークを示すことで、自社のDXの取り組みの遅れや課題を客観的に認識させ、さらなる変革を促すことを意図しています。特に「成果がわからない」企業の多さは警鐘と言えます。 期待される効果 調査結果が各企業の経営層に届くことで、DX戦略の見直しや、人材育成・確保への投資拡大が期待されます。 課題・次のステップ 調査で明らかになった課題、特に「人材不足」と「成果の可視化」に対して、国や自治体が具体的な支援策(研修プログラム、補助金、専門家派遣等)を強化することが次のステップです。 特別区への示唆 この調査結果は、民間企業だけでなく、行政組織である特別区自身にも当てはまる課題を提示しています。自らのDX推進計画において、「明確な成果指標(KPI)を設定しているか」「人材育成・確保の戦略は十分か」を自己点検する絶好の機会です。 国土交通省、地域交通DX推進プロジェクト「COMmmmONS」を始動 概要 出典 国土交通省 12 ニュース概要 国土交通省は、交通空白地の解消など地域交通の課題をデジタル技術の活用により解決するため、新たなプロジェクト「COMmmmONS(コモンズ)」を開始しました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 人口減少や高齢化に伴い、地方だけでなく都市部でも公共交通の維持が困難になる地域が増えています。国が主導してDXのモデルを構築し、全国展開を支援することで、持続可能な地域交通の実現を目指します。 具体的なアクション AIオンデマンド交通やMaaS(Mobility as a Service)などの先進技術の導入を、技術的・財政的に支援する新たな枠組みを立ち上げます。 行政側の意図 個々の自治体が単独で取り組むにはハードルの高い交通DXについて、国が共通のプラットフォームや知見を提供することで、導入の加速と標準化を図ることを意図しています。 期待される効果 住民の移動の足が確保され、生活の質の向上に繋がります。また、交通事業者の生産性向上も期待されます。 課題・次のステップ 実証実験で終わらせず、持続可能な事業モデルとして地域に定着させることが最大の課題です。住民への利用促進や、運賃設定などが鍵となります。 特別区への示唆 区内で運行するコミュニティバスの赤字問題や、一部地域での交通利便性の課題解決に向けて、この国のプロジェクトは活用できる可能性があります。補助金や専門的知見の獲得を目指し、積極的に情報収集すべきです。 総務管理 新宿区、7月1日から加熱式たばこを路上喫煙禁止の対象に追加 概要 出典 新宿区 14 ニュース概要 新宿区は、区の路上喫煙禁止条例を改正し、2025年7月1日から、加熱式たばこを紙巻たばこと同様に路上喫煙禁止の対象とします。望まない受動喫煙を防止する目的です。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 新たな製品(加熱式たばこ)の普及という社会情勢の変化に対応し、全ての住民の健康と快適な生活環境を守るため、既存の条例を現代の状況に合わせて見直す必要があります。 具体的なアクション 条例の対象となる「たばこ」の定義を明確化し、加熱式たばこが含まれることを周知徹底の上、施行します。 行政側の意図 「望まない受動喫煙が生じない社会」という条例の根本理念を、製品の形態に関わらず一貫して適用する姿勢を示すことを意図しています。これにより、規制の公平性と実効性を担保します。 期待される効果 加熱式たばこによる受動喫煙やポイ捨てが減少し、よりクリーンで快適なまちづくりに貢献することが期待されます。 課題・次のステップ 改正内容の区民・来街者への周知徹底が課題です。特に外国人観光客への多言語での案内が重要になります。施行後のパトロール強化も必要です。 特別区への示唆 これは「規制・ルールの現代化」の好事例です。各区においても、路上喫煙、騒音、客引き防止など各種条例が、新たな製品や社会動態に対応できているか、定期的に見直す必要があります。 江戸川区、原付バイク等のご当地ナンバープレートの先行受付を開始 概要 出典 江戸川区 15 ニュース概要 江戸川区は、区の特色をデザインした原動機付自転車のご当地ナンバープレートを導入し、その先行受付を開始しました。区への愛着(シビックプライド)の醸成を目的としています。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 自治体のアイデンティティを視覚的に表現し、住民に「動く広告塔」となってもらうことで、地域への愛着や一体感を育むことは、コミュニティ形成において重要な役割を果たします。 具体的なアクション 区のシンボル(例:花、キャラクター、名所)を盛り込んだナンバープレートをデザインし、希望する区民に交付します。 行政側の意図 日常生活の中で自区の魅力を再認識する機会を提供し、住民のシビックプライドを醸成することを意図しています。コストを抑えつつ、シティプロモーション効果を狙う施策です。 期待される効果 区民の地域への愛着が深まるとともに、区外での走行時に地域のPR効果が期待されます。 課題・次のステップ デザインの選定プロセスに住民投票などを取り入れることで、より一層の参加と愛着を促すことができます。交付手続きの円滑化も課題です。 特別区への示唆 シティプロモーションの手法として、他の特別区でも導入しやすい取り組みです。区の歴史、文化、自然などをモチーフにした独自のデザインを開発することで、地域の魅力を効果的に発信できます。 生活安全政策 港区・板橋区、共同住宅への宅配ボックス設置費用を助成 概要 出典 港区 16、板橋区 17 ニュース概要 港区と板橋区は、区内の共同住宅における宅配ボックスの設置費用の一部を助成する事業を実施しています。再配達の削減や住民の利便性向上を目的としています。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 宅配便の再配達は、CO2排出による環境負荷、物流業界の労働環境悪化、交通渋滞など、多くの社会的課題の原因となっています。行政が設置を支援することで、これらの課題解決に貢献します。 具体的なアクション マンション管理組合やオーナーに対し、宅配ボックスの購入・設置費用の一部を補助金として交付します。 行政側の意図 一つの施策で、環境(CO2削減)、経済(物流効率化)、生活(住民の利便性向上)、安全(置き配リスクの低減)といった複数の政策分野に好影響をもたらす「レバレッジの効いた政策」を意図しています。 期待される効果 再配達率の低下による環境負荷の軽減と、物流の「2024年問題」に直面する運送事業者の負担軽減が期待されます。 課題・次のステップ 助成制度の周知と、申請手続きの簡素化が課題です。また、設置後の維持管理に関する情報提供も重要となります。 特別区への示唆 複数の政策課題に同時にアプローチできる非常に費用対効果の高い施策です。未実施の区は導入を検討する価値が非常に高いです。実施中の区は、申請率の低い地域への重点的な周知などが考えられます。 子育て、子ども政策 港区、ベビーシッター利用支援事業を拡充し多様な保育ニーズに対応 概要 出典 港区 16 ニュース概要 港区は、保護者の急な用事やリフレッシュ等のためにベビーシッターを利用する際の料金の一部を助成する事業を拡充しました。都の制度に加え、区独自の助成でマッチング型サービスも対象としています。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 認可保育所だけでは対応しきれない、夜間・早朝、病児保育、あるいは保護者の休息といった多様で柔軟な保育ニーズに応えるため、民間サービスであるベビーシッターの利用を支援する必要があります。 具体的なアクション 都の補助制度に上乗せする形で、区独自の補助金を提供。利用上限時間や補助単価を手厚くし、利用のハードルを下げます。 行政側の意図 特に共働き世帯が多い区の特性を踏まえ、画一的な支援ではなく、個々の家庭の状況に合わせて利用できる、より自由度の高い子育て支援メニューを提供することを意図しています。 期待される効果 保護者の育児負担が軽減され、仕事と育児の両立がしやすくなります。また、保護者の心身のリフレッシュにも繋がり、ひいては児童虐待の予防にも資する可能性があります。 課題・次のステップ 利用できるベビーシッター事業者の質の担保と安全性の確保が最大の課題です。事業者認定の基準を明確にし、利用者への情報提供を徹底する必要があります。 特別区への示唆 認可保育所の整備という「ハコモノ」中心の待機児童対策から、個々のニーズに応える「ソフト」な支援へと、子育て政策の重点がシフトしていることを示す事例です。自区の住民構成やニーズに合わせた柔軟な支援策の導入が求められます。 教育政策 文部科学省、公立幼稚園の減少が地域に与える影響に関する調査研究を実施 概要 出典 文部科学省 23 ニュース概要 文部科学省は、全国的に公立幼稚園が減少している現状を踏まえ、そのことが地域の幼児教育全体の質の維持・向上にどのような影響を与えているかについて、調査研究を実施することを発表しました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 公立幼稚園は、単なる幼児教育施設に留まらず、地域の幼児教育の拠点として、私立園や保育所への研修提供、特別な配慮が必要な子どもの受け入れなど、多岐にわたる公的役割を担ってきました。その減少の影響を国として把握する必要があります。 具体的なアクション 全国の自治体や教育関係者を対象に、公立幼稚園の役割や、閉園後の代替措置などについての実態調査を行い、課題を分析します。 行政側の意図 少子化に伴う公立幼稚園の統廃合が、幼児教育の機会均等や質の低下に繋がっていないかを検証し、今後の国の幼児教育政策の方向性を定めるための基礎資料を得ることを意図しています。 期待される効果 調査結果に基づき、公立幼稚園が担ってきた公的機能を地域でいかに維持・継承していくかについての、具体的な方策やガイドラインが示されることが期待されます。 課題・次のステップ 調査結果を踏まえ、国が新たな財政支援や制度設計を行うかどうかが焦点となります。自治体は、その動向を注視する必要があります。 特別区への示唆 この国の調査は、各区にとって、自区の公立幼稚園のあり方を再検討する重要な契機となります。統廃合を検討する際には、コスト削減の観点だけでなく、地域における「幼児教育のハブ機能」をいかに維持するかという視点が不可欠です。 福祉政策 港区、介護職員のたんの吸引等研修における指導看護師への謝金助成を開始 概要 出典 港区 16 ニュース概要 港区は、特定の利用者に対してたんの吸引等を行う必要がある介護職員が受ける実地研修について、指導役となる看護師への謝金を助成する制度を開始しました。介護人材のスキルアップを支援します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 在宅医療・介護のニーズが増大・高度化する中で、介護職員が特定の医療的ケアを実施できることは、利用者の在宅生活を支える上で極めて重要です。行政には、そのための研修体制を支援する役割があります。 具体的なアクション 介護事業所が指導看護師に支払う研修費用(謝金)を、区が補助金として交付します。 行政側の意図 研修費用の負担という、介護職員のスキルアップにおける具体的な障壁(ボトルネック)を解消することを意図しています。これにより、医療的ケアに対応できる介護人材の育成を直接的に促進します。 期待される効果 医療的ケアが必要な重度の要介護者・障害者が、住み慣れた地域で安心して生活し続けられる体制の強化が期待されます。 課題・次のステップ 制度の対象となる事業所への周知徹底が課題です。また、指導可能な看護師の確保自体が困難な場合もあり、指導看護師の人材バンクのような仕組みも将来的には考えられます。 特別区への示唆 これは、福祉政策における「マクロからミクロへ」の流れを示す好事例です。全体への包括的な支援だけでなく、制度の隙間にある具体的な課題を見つけ出し、そこをピンポイントで支援する「マイクロ施策」の重要性を示唆しています。 多文化共生政策 渋谷区、パートナーシップ制度の全国普及に関する共同調査結果を公表 概要 出典 渋谷区 25 ニュース概要 渋谷区は、認定NPO法人と共同で実施してきたパートナーシップ制度に関する全国調査の最終報告を公表しました。制度導入自治体は530、人口カバー率は92.5%に達し、全国的に普及したと結論付けています。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 自らが先駆的に導入した政策が、全国にどのような影響を与え、社会をどう変えたかを定量的に示すことは、政策の有効性を証明し、さらなる理解を促進するために重要です。 具体的なアクション 制度導入当初から民間NPOと協働し、継続的に全国の導入状況を調査・分析し、インフォグラフィックなどを用いて分かりやすく公表してきました。 行政側の意図 一自治体の取り組みが、国を動かし、社会全体のスタンダードを変えうるという「自治体発の政策イノベーション」の成功事例として、その成果を明確に記録し、次のステップ(国による法整備)へと繋げる意図があります。 期待される効果 性的マイノリティのカップルが直面する具体的な生活上の困難(公営住宅入居など)の解消に貢献しました。また、同性婚訴訟など、国の制度変革に向けた議論にも大きな影響を与えました。 課題・次のステップ 渋谷区は、人口カバー率9割超えをもって「バトンは国へ」としています。今後は、国レベルでの法整備(同性婚法制化など)の実現が最大の課題となります。 特別区への示唆 一つの基礎自治体が、強い意志とビジョン、そして民間との連携によって、国全体の政策を変えることができるという強力なメッセージです。各区が抱える独自の課題に対し、臆することなく先進的な解決策を試みることの重要性を示しています。 文化政策 板橋区、親子で楽しむ「参加型朗読コンサート」を開催 概要 出典 板橋区 27 ニュース概要 板橋区は、民間企業と共催で、著名な声優や音楽家が出演する親子向けの参加型朗読コンサート「オズの魔法使い」を開催します。音楽を通じて絵本の世界を体験できる文化イベントです。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 子どもたちの豊かな感性や情操を育むためには、質の高い文化芸術に触れる機会を提供することが重要です。行政には、住民が気軽に本物の芸術にアクセスできる環境を整える役割があります。 具体的なアクション 地域に拠点を置く企業(リンテック株式会社)の社会貢献活動(メセナ)と連携し、区が持つ広報力や施設などを活用して、共同で文化事業を企画・実施します。 行政側の意図 行政単独では実現が難しい、著名なアーティストを起用した質の高いイベントを、公民連携(PPP)によって実現することを意図しています。これにより、区の文化振興と子育て支援を同時に推進します。 期待される効果 親子で楽しめる質の高い文化体験を提供することで、住民満足度の向上と、子どもの文化的素養の育成が期待されます。 課題・次のステップ 特定の企業との連携に留まらず、より多くの地域企業や文化団体が参画できるような、開かれたプラットフォームを構築していくことが望まれます。 特別区への示唆 文化政策を子育て支援政策と結びつけることで、相乗効果を生み出す好事例です。各区においても、区内企業との連携を強化し、それぞれの地域資源や企業の強みを活かした独自の文化イベントを企画することが考えられます。 #02 社会経済状況#05 特別区(23区)#07 自治体経営#08 SDGs・環境#09 DX#10 総務#12 生活安全#14 子育て・こども#15 教育#16 福祉#19 多文化共生#20 スポーツ・文化#91 取組#92 行政ニュース#99 その他 ABOUT ME 行政情報ポータルあらゆる行政情報を分野別に構造化行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。