【2025年6月18日】行政関連ニュースと政策立案のヒント

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地方創生
【内閣府】「地方創生2.0基本構想」を閣議決定
概要
- 出典
- ニュース概要
- 6月13日、政府は「地方創生2.0基本構想」を閣議決定しました。人口減少が続く事態を正面から受け止め、社会・経済機能の維持を目指す「適応策」を重視する点が特徴です。若者・女性に選ばれる地域づくりや、AI・デジタル技術の徹底活用、広域連携の推進などを柱としています。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- これまでの地方創生が東京一極集中の是正に限定的な効果しか持たなかった反省に立ち、人口減少を前提とした持続可能な地域社会の構築へと政策目標を転換するためです。質の高い生活環境と稼げる経済の創出により、地方の活力を維持・向上させることを目指します。
- 具体的なアクション
- 「若者・女性にも選ばれる地域」「稼げる地方」「AI・デジタル活用」「都市と地方の人材好循環」「人口減少への適応」を基本姿勢とし、5つの政策の柱(生活環境創生、地方経済創生、人・企業の地方分散、新時代のインフラ整備、広域リージョン連携)を推進します。
- 行政側の意図
- 国の政策方針を「人口維持」から「質の高い生活の維持」へと大きく転換する意図があります。これにより、自治体は人口増減のプレッシャーから一部解放され、AI活用による行政サービス効率化や関係人口の創出といった、より現実的な課題に注力しやすくなります。
- 期待される効果
- 各地域が人口規模に合わせた持続可能な行政サービスモデルを構築しやすくなります。また、関係人口の増加により、都市部と地方の新たな協力関係が生まれ、地域経済の活性化が期待されます。
- 課題・次のステップ
- 構想の具体化に向けた財源の確保と、自治体ごとの実情に合わせた実行計画の策定が課題です。特に「広域リージョン連携」は、自治体間の利害調整が難航する可能性があり、国による強力な調整機能が求められます。
- 特別区への示唆
- 国が人口減少の現実を直視したことで、特別区は「人口流出の抑制」だけでなく、「高い都市機能と生活の質をいかに維持・向上させるか」という新たな政策課題に集中できます。「ふるさと住民登録制度」の創設は、特別区と地方の新しい関係性を築く好機であり、二地域居住や関係人口の受け入れ・送り出しに関する先進的な取り組みを検討すべきです。
自治体経営
【葛飾区】入札・契約制度を見直し、区内事業者への発注を強化
概要
- 出典
- 葛飾区 報道発表 3
- ニュース概要
- 葛飾区は6月17日、入札・契約制度の見直しを発表しました。予定価格500万円以上の物品購入や1億5,000万円未満の工事請負契約などにおいて、原則として区内業者に限定した入札を実施し、地域経済の活性化を図ります。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- 公共調達を戦略的に活用し、区の予算を区内事業者に還流させることで、地域経済の循環を促進するためです。これにより、地元企業の経営基盤を強化し、雇用の維持・創出につなげることを目的としています。
- 具体的なアクション
- 物品購入、業務委託、工事請負の各契約において、予定価格に応じた「区内業者限定」の入札基準を新たに設定しました。併せて、低入札価格調査制度の見直しなど、契約の質の担保に向けた制度変更も行っています。
- 行政側の意図
- 価格競争だけでなく、「地域経済への貢献」を公共調達の重要な評価軸とする意図があります。これは、自治体が単なる発注者ではなく、地域経済を支える主体であるという姿勢を明確にするものです。
- 期待される効果
- 区内事業者の受注機会が増加し、経営の安定化に寄与します。また、地域内での経済循環が活発化し、税収増や雇用の安定といった波及効果も期待されます。
- 課題・次のステップ
- 競争参加者が限定されることによる、価格の高止まりやサービスの質の低下といった懸念があります。制度導入後の価格や品質の動向を継続的に監視・評価し、必要に応じて制度の見直しを検討することが不可欠です。
- 特別区への示唆
- 本取り組みは、公共事業予算を地域経済振興に直結させる有効なモデルケースです。他の特別区でも、自区の産業構造や事業者数を踏まえ、同様の制度導入を検討する価値は高いです。ただし、導入にあたっては、公正な競争環境を阻害しないよう、対象分野や金額設定を慎重に検討する必要があります。
環境政策
【東京都】グリーン製品市場の創出に向けたサプライチェーンにおける脱炭素化支援事業を開始
概要
- 出典
- ニュース概要
- 東京都環境公社は6月17日、製品のCO2排出量を算定・表示(CFP)する取り組みを支援し、グリーン製品市場の創出を目指す事業の募集を開始しました。サプライチェーン全体での脱炭素化を促進します。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- 消費者が環境に配慮した製品を選びやすい市場環境を整備するためです。製品の環境価値を「見える化」することで、企業の脱炭素化努力が市場で評価される仕組みを構築し、バリューチェーン全体のグリーン化を促します。
- 具体的なアクション
- 中小企業等が製品のライフサイクル全体でのCO2排出量(カーボンフットプリント:CFP)を算定・認証取得する際の経費を補助します。これにより、グリーン製品の開発・販売を支援します。
- 行政側の意意図
- 供給側(企業)の脱炭素化努力と、需要側(消費者)のグリーンな購買行動を繋ぎ合わせることで、市場メカニズムを通じて脱炭素化を加速させる意図があります。行政が直接規制するのではなく、市場のルール形成を支援する役割を担います。
- 期待される効果
- 環境性能の高い製品が市場で競争優位性を持ち、企業の自発的な脱炭素投資が促進されます。消費者の環境意識も高まり、持続可能な消費行動が社会全体に広まることが期待されます。
- 課題・次のステップ
- CFP算定には専門的な知識が必要であり、中小企業にとってはハードルが高い可能性があります。補助金だけでなく、専門家派遣などの技術的支援を充実させることが課題です。また、算定されたCFP情報を消費者に分かりやすく伝える工夫も求められます。
- 特別区への示唆
- 特別区においても、区内の中小企業に対して、都の補助金制度の活用を積極的に周知・支援することが重要です。また、区の公共調達において、CFPが表示された製品を優先的に購入する「グリーン購入」を徹底することで、グリーン製品市場の需要創出に貢献できます。
DX政策
【文部科学省】GIGAスクール構想の下での「校務DXチェックリスト」を公表
概要
- 出典
- ニュース概要
- 文部科学省は、GIGAスクール構想の次の段階として、教員の働き方改革を推進するため「校務DXチェックリスト」を公表しました。各学校や教育委員会が自らの取り組み状況を自己点検し、校務のデジタル化を加速させることを目的としています。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- 全国の学校で校務DXの進捗にばらつきがあるため、標準的な指標(チェックリスト)を提示することで、各設置者が取り組むべき事項を明確化し、全体の水準を底上げするためです。教員の負担を軽減し、教育の質向上に時間を割ける環境を整備します。
- 具体的なアクション
- 学校向け・設置者向けのチェックリストを作成・公表し、自己点検を要請。結果を収集・分析し、全国の進捗状況を可視化するダッシュボードを公開しています。また、先進事例を共有し、他自治体の参考に供しています。
- 行政側の意図
- トップダウンの指示だけでなく、データに基づいたガバナンスへの転換を図る意図があります。自己点検と結果の可視化により、各自治体の自律的な改善を促すとともに、国はデータに基づいて効果的な支援策を講じることができます。
- 期待される効果
- 各学校・教育委員会が自らの課題を客観的に把握し、具体的な改善計画を立てやすくなります。教員の事務作業時間が削減され、児童・生徒と向き合う時間や教材研究の時間を確保できるようになります。
- 課題・次のステップ
- チェックリストの達成度が低い自治体に対する、具体的な支援策の構築が課題です。財政的支援に加え、ICT支援員の配置や教員研修の充実など、人的・技術的なサポート体制の強化が求められます。
- 特別区への示唆
- この「チェックリストとデータに基づく改善サイクル」という手法は、教育分野に限りません。例えば、区の窓口サービスのDX化や、区立施設の管理運営効率化など、区政の様々な分野で応用可能です。標準化された評価軸を設定し、各部署の進捗を可視化することで、組織全体のパフォーマンス向上を図ることができます。
【東京都】データセンター高効率化モデル構築事業者を採択
概要
- 出典
- 東京都 報道発表 10
- ニュース概要
- 東京都は、生成AIの普及等による電力需要の増加に対応するため、「データセンター高効率化モデル構築事業者」としてKDDI等を採択しました。省エネに資する先駆的な技術導入を支援し、高効率なデータセンターのモデル構築を目指します。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- データセンターは現代社会に不可欠なインフラである一方、その膨大な電力消費は都市のエネルギー需給と環境負荷に大きな影響を与えます。そのため、行政が積極的に関与し、持続可能なデジタル社会の基盤を構築する必要があります。
- 具体的なアクション
- 省エネ性能の高い設備の導入や運用改善など、データセンターの高効率化に資するモデル事業を公募。採択された事業者に対し、協定を締結の上、事業費の一部(大規模で最大2.5億円)を補助します。
- 行政側の意図
- 民間事業者だけでは投資リスクが高い最先端の省エネ技術について、行政が補助金でリスクを低減し、導入を後押しする意図があります。成功モデルを創出し、業界全体への波及効果を狙う「触媒」としての役割を果たします。
- 期待される効果
- データセンターのエネルギー効率が向上し、都全体の電力消費量とCO2排出量の抑制に繋がります。また、高効率なデータセンターが集積することで、東京の国際的な産業競争力の強化も期待されます。
- 課題・次のステップ
- モデル事業の成果を広く公開し、他事業者が導入を検討する際の参考となるよう、具体的な効果やノウハウを共有する仕組みづくりが重要です。また、採択されなかった事業者への支援策も課題となります。
- 特別区への示唆
- 大規模データセンターを直接所管しない特別区においても、この「重要インフラのグリーン化を官民連携で推進する」という発想は応用可能です。例えば、区内の物流倉庫の省エネ化や、民間ビルにおけるエネルギーマネジメントシステムの導入支援など、地域の重要インフラの環境負荷低減に向けた補助制度や連携事業を検討できます。
総務管理
【葛飾区】「それ、カスタマーハラスメントになっていませんか?」区民向けに啓発
概要
- 出典
- 葛飾区 報道発表 13
- ニュース概要
- 葛飾区は6月17日、区民に対し、職員への過度な要求や暴言などがカスタマーハラスメント(カスハラ)に該当する可能性があるとして、理解と協力を求める啓発記事を公表しました。職員が安心して働ける環境づくりを目指します。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- 職員を悪質なクレームから守り、心身の健康を確保するためです。職員の疲弊や離職は、行政サービスの質の低下に直結するため、組織として職員を守る姿勢を明確に示す必要があります。
- 具体的なアクション
- 区の公式ウェブサイトを通じて、カスタマーハラスメントの定義や具体例を示し、区民に対して節度ある言動を呼びかける啓発活動を行いました。
- 行政側の意図
- これまで曖昧だった「正当な要求」と「ハラスメント」の境界線を行政側から提示し、区民と職員の間に健全な関係性を構築する意図があります。これにより、職員が萎縮することなく、本来の業務に集中できる環境を目指します。
- 期待される効果
- 職員の精神的負担が軽減され、職場環境が改善します。これにより、職員のエンゲージメントが向上し、結果として区民サービスの質の維持・向上に繋がることが期待されます。
- 課題・次のステップ
- 啓発活動だけでなく、実際にハラスメントが発生した際の具体的な対応マニュアルの策定・全庁共有が不可欠です。職員向けの研修や、法務部門・警察との連携体制の構築も次のステップとなります。
- 特別区への示唆
- カスタマーハラスメントは全ての自治体にとって共通の課題です。渋谷区の職員名札デザイン変更など、各区で対策が進みつつありますが、葛飾区のように区民に対して明確なメッセージを発信することは非常に重要です。全特別区で統一的な対応方針を策定し、毅然とした態度で臨むことが、職員を守り、行政サービスを守ることに繋がります。
生活安全政策
【警察庁】インターネット異性紹介事業を利用した児童誘引行為の規制を改正
概要
- 出典
- ニュース概要
- 警察庁は6月17日、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行令」の改正を発表しました。SNSなどを通じた児童の性被害が増加する中、規制を強化し、子どもたちを犯罪から守る狙いです。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- デジタル社会の進展に伴い、子どもたちがオンラインで性被害に遭うリスクが深刻化しているためです。法規制を時代に合わせてアップデートし、新たな手口の犯罪から児童を保護することは、国の重要な責務です。
- 具体的なアクション
- 法律の施行令を改正し、規制対象となる行為や事業者の義務を具体的に見直しました。これにより、警察による取締りの実効性を高めるとともに、事業者による自主的な安全対策を促します。
- 行政側の意図
- 法改正を通じて、犯罪者に対しては厳罰化のメッセージを、事業者に対しては社会的責任の遂行を、そして保護者や子どもたちに対しては注意喚起を行う、多方面への意図があります。
- 期待される効果
- インターネットを介した児童誘引行為が抑制され、子どもたちの性被害が減少することが期待されます。また、事業者の安全対策強化により、プラットフォーム自体の健全性が向上します。
- 課題・次のステップ
- 法改正の内容を事業者や国民に広く周知徹底することが重要です。また、海外に拠点を持つSNS事業者など、日本の法規制が及びにくい相手への対応や、巧妙化する犯罪手口への継続的な対策が課題となります。
- 特別区への示唆
- 法改正は国が行いますが、子どもたちを直接守るのは地域社会の役割です。特別区としては、この法改正を機に、区内の学校や保護者に対し、SNSの安全な利用方法に関する情報提供や啓発活動(リテラシー教育)を一層強化すべきです。警察やNPOと連携した出前授業なども有効な手段となります。
経済産業政策
【経済産業省】「新たな基準認証政策の展開-日本型標準加速化モデル2025-」を公表
概要
- 出典
- ニュース概要
- 経済産業省は6月17日、日本産業標準調査会の提言「新たな基準認証政策の展開-日本型標準加速化モデル2025-」を公表しました。技術革新が速い分野で、迅速に標準化を進める新たなモデルの構築を目指します。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- AIやGX(グリーン・トランスフォーメーション)など、急速に発展する新技術分野で日本が国際的な主導権を握るためには、技術開発と並行して、その技術のルール(標準)作りを迅速に進める必要があるためです。
- 具体的なアクション
- 従来の時間を要する標準化プロセスに加え、市場のニーズに応じて迅速にコンソーシアム規格などを策定する「日本型標準加速化モデル」の導入を提言。官民が連携し、戦略的に国際標準化活動を推進します。
- 行政側の意図
- 日本企業が開発した優れた技術が、国際市場で「デファクトスタンダード(事実上の標準)」となるよう、政府がルール形成の段階から積極的に支援する意図があります。これにより、日本企業の国際競争力を高めます。
- 期待される効果
- 日本の技術が国際標準となることで、国内産業の成長が促進されます。また、質の高い日本基準が世界に普及することで、製品の安全性や信頼性が向上し、消費者利益にも繋がります。
- 課題・次のステップ
- 新たなモデルを実効性のあるものにするためには、産業界、学術界、政府間の緊密な連携体制の構築が不可欠です。また、国際的な標準化交渉を担う専門人材の育成も急務となります。
- 特別区への示唆
- 直接的な関わりは少ないものの、この国の動きは、区内産業の振興を考える上で重要です。特別区は、区内に集積するスタートアップや中小企業に対し、製品・サービスの開発段階から「標準化」を意識することの重要性を啓発すべきです。都や国の標準化支援策に関する情報提供や、専門家とのマッチング支援などが考えられます。
子育て、子ども政策
【こども家庭庁】「こどもの権利」の普及啓発に関するページを開設
概要
- 出典
- ニュース概要
- こども家庭庁は6月17日、こども基本法に定められた「こどもの権利」について、子どもや大人に分かりやすく解説するウェブページを新たに開設しました。子どもの権利への社会全体の理解を深めることを目的としています。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- 2023年4月に施行されたこども基本法の理念を社会に浸透させ、子どもを権利の主体として尊重する文化を醸成するためです。子ども自身が自分の権利を知り、大人がそれを支える社会の実現を目指します。
- 具体的なアクション
- 子ども向け、大人向けのコンテンツを分け、イラストや平易な言葉遣いを用いて「こどもの権利条約」や「こども基本法」の内容を解説する専用ウェブページを制作・公開しました。
- 行政側の意図
- これまで大人目線で語られがちだった子ども政策を、「子どもの権利」という普遍的な視点から捉え直すことを社会全体に促す意図があります。これにより、全ての子どもが尊重され、健やかに成長できる社会の基盤を強化します。
- 期待される効果
- 子どもたちが自らの権利を認識し、意見を表明しやすくなります。また、教育、福祉、医療など、子どもに関わる全ての分野で、大人が子どもの最善の利益を第一に考える行動をとるよう促されます。
- 課題・次のステップ
- ウェブページへのアクセスを促すための広報活動が重要です。学校教育の現場で教材として活用されるよう、教育委員会との連携を強化することや、多様な言語への対応も今後の課題となります。
- 特別区への示唆
- 国の動きと連動し、各特別区においても「子どもの権利」を区政の基本理念として明確に位置づけることが重要です。区の広報紙やウェブサイト、親子向けイベントなどで、こども家庭庁のページを紹介するとともに、区独自の分かりやすい啓発資材を作成・配布することが有効です。区立施設の職員研修で子どもの権利を学ぶ機会を設けることも求められます。
福祉政策
【豊島区】生きづらさを抱える女性のための「ひきこもりUX女子会」を開催
概要
- 出典
- 豊島区 報道発表 19
- ニュース概要
- 豊島区は6月18日、ひきこもり状態にある、または生きづらさを抱える女性が安心して集える当事者会「ひきこもりUX女子会」を開催します。ひきこもり経験者の体験談やグループトークを通じて、孤立感の解消と社会参加への一歩を支援します。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- ひきこもり支援において、特に女性は相談しにくく孤立しやすいという課題があります。性別や個々の状況に配慮した、安心して参加できる「居場所」を提供することで、当事者が繋がりを取り戻すきっかけを作るためです。
- 具体的なアクション
- ひきこもり経験者で構成される団体と連携し、体験談の共有と、当事者・経験者限定のグループトークの場を設定しました。また、家族や支援者向けの交流の場も同時に設け、多角的なサポート体制を構築しています。
- 行政側の意図
- 行政が直接介入するのではなく、当事者団体が主体となる「ピアサポート」の場を支援する意図があります。同じ経験を持つ仲間との対話を通じて、当事者が自らの力で回復していくプロセスを後押しします。
- 期待される効果
- 参加者が「一人ではない」と感じることで、心理的な負担が軽減され、自己肯定感の回復に繋がります。また、他者との交流を通じて、社会との接点を再構築する意欲が生まれることが期待されます。
- 課題・次のステップ
- このような居場所の存在を、支援が必要な当事者にいかにして届けるかが課題です。ウェブサイトや広報だけでなく、医療機関や地域の相談窓口など、多様なチャネルを通じた情報提供が必要です。
- 特別区への示唆
- ひきこもり支援は、画一的なプログラムでは効果が限定的です。豊島区の事例は、対象者の特性(この場合は女性)に合わせた、きめ細やかな支援設計の重要性を示しています。他の特別区でも、若者、中高年、障害のある方など、様々な背景を持つ当事者のニーズに応じた多様な「居場所」づくりを、当事者団体と連携して進めるべきです。
【内閣府】女性活躍推進法の改正内容を公表
概要
- 出典
- ニュース概要
- 内閣府は、改正された女性活躍推進法の概要を公表しました。主な改正点として、常時雇用する労働者が101人以上の事業主に行動計画の策定・公表が義務付けられたほか、情報公表項目に「男女の賃金の差異」が追加されました。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- 女性の活躍を阻む構造的な課題(採用、昇進、賃金格差など)を解消し、全ての人が性別に関わらず能力を発揮できる社会を実現するためです。企業の自主的な取り組みを促し、社会全体のジェンダー平等を推進します。
- 具体的なアクション
- 法律を改正し、行動計画策定の義務対象を従業員301人以上から101人以上に拡大。企業に対し、自社の女性活躍状況の把握・課題分析、数値目標を含む行動計画の策定・公表、そして「男女の賃金の差異」などの情報公表を義務付けました。
- 行政側の意図
- 企業の取り組みを「見える化」させることで、社会的な評価や求職者の企業選択に影響を与え、企業の自発的な改善を促す意図があります。特に「男女の賃金の差異」の公表義務化は、格差是正に向けた強力なメッセージとなります。
- 期待される効果
- 企業における女性の採用・登用が進み、管理職に占める女性比率が向上します。また、賃金格差が是正され、女性の経済的自立が促進されることが期待されます。
- 課題・次のステップ
- 法律の対象となる中小企業が、実効性のある行動計画を策定できるよう、行政による支援(コンサルティング、好事例の共有など)が重要です。また、公表された情報が形式的なものに留まらないよう、取り組みの実態を評価する仕組みも必要です。
- 特別区への示唆
- 特別区自身も一事業者として、女性職員の活躍推進に向けた行動計画を着実に実行し、成果を公表する責務があります。男性職員の育児休業取得率向上や、管理職への女性登用など、具体的な数値目標を設定し、達成に向けた取り組みを強化すべきです。また、区内企業に対して法改正の周知と取り組み支援を積極的に行うことも重要です。
多文化共生政策
【渋谷区】「渋谷ジェンダー平等推進アワード2025」を実施
概要
- 出典
- 渋谷区 報道発表 24
- ニュース概要
- 渋谷区は、性別や性のあり方に関わらず誰もが自分らしく生きられる社会を目指し、「渋谷ジェンダー平等推進アワード2025」を実施します。ジェンダー平等に貢献する区内の個人・団体・事業者の優れた取り組みを表彰・発信します。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- 条例や規制といったトップダウンの手法だけでなく、地域に根差した優れた取り組みを発掘・表彰することで、社会全体のジェンダー平等への意識を高め、自発的な行動を促すためです。
- 具体的なアクション
- ジェンダー平等に資する取り組み(商品、サービス、社内制度など)を公募し、革新性や汎用性などの基準で審査。受賞した取り組みは、区のウェブサイトや広報紙で広く紹介し、ロールモデルとして発信します。
- 行政側の意図
- 行政が「評価者」「推進者」となることで、規範を示す意図があります。「これが私たちの目指す社会の姿です」というメッセージを発信し、表彰というポジティブなインセンティブを通じて、社会全体の行動変容を促します。
- 期待される効果
- 受賞した取り組みが社会に認知されることで、他の個人や企業の参考となり、ジェンダー平等の取り組みが地域全体に波及していく効果が期待されます。また、渋谷区の「多様性を尊重するまち」としてのブランドイメージ向上にも繋がります。
- 課題・次のステップ
- 応募の裾野を広げ、多様な分野から優れた取り組みを発掘し続けることが課題です。また、表彰で終わらせず、受賞した取り組みがさらに発展・普及していくための継続的な支援(ネットワーク構築、協業マッチングなど)も重要です。
- 特別区への示唆
- この「アワード(表彰制度)」という手法は、ジェンダー平等に限らず、環境、福祉、地域コミュニティ活性化など、様々な政策分野で応用可能な、低コストかつ高効果な政策ツールです。他の特別区でも、区が推進したいテーマに沿った表彰制度を創設することで、住民や事業者のポジティブな行動を引き出し、地域課題の解決に繋げることができます。
文化政策
【江戸川区】「魔法の文学館」が全建賞を受賞
概要
- 出典
- 江戸川区 報道発表 30
- ニュース概要
- 江戸川区の「魔法の文学館(角野栄子児童文学館)」が、優れた社会資本整備に贈られる「令和6年度 全建賞」を受賞しました。公園との一体性や、建築・造園・展示が連携して作家の世界観を表現している点が高く評価されました。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- 公共施設を単なるハコモノとして建設するのではなく、地域の文化資源(この場合は児童文学作家・角野栄子氏)を核とした、物語性のある魅力的な空間を創出するためです。これにより、地域への愛着と誇りを育み、文化振興と交流の拠点とします。
- 具体的なアクション
- 作家本人の意見を尊重し、公園の丘の地形を活かして建物を配置。既存の自然と調和させつつ、バリアフリーにも配慮した設計を行いました。建築、造園、展示の各分野が緊密に連携し、一体的な世界観を創り出しました。
- 行政側の意図
- 公共建築を通じて、地域の文化的な価値を可視化し、次世代に継承していく意図があります。質の高い建築デザインは、それ自体が都市の魅力を高める資産になるという考え方に基づいています。
- 期待される効果
- 子どもたちの創造性や読書意欲を育む教育的な効果に加え、区内外から多くの来館者を呼び込むことによる地域活性化や、文化的なイメージ向上が期待されます。
- 課題・次のステップ
- ハード(建物)の魅力だけでなく、ソフト(企画展示やイベント)の質を継続的に高く保ち、リピーターを確保していくことが課題です。運営における持続可能な財源確保の仕組みも重要となります。
- 特別区への示唆
- この事例は、公共施設整備において「物語性」や「デザイン性」がいかに重要かを示しています。他の特別区でも、新たな施設を計画する際には、地域の歴史や文化、自然環境といった固有の文脈を最大限に活かし、機能性だけでなく、人々の心に響く「物語のある場所」を創出する視点が求められます。
まちづくり、インフラ整備政策
【国土交通省】3D都市モデル「PLATEAU」の2026年度に向けた情報提供依頼(RFI)を実施
概要
- 出典
- ニュース概要
- 国土交通省は6月17日、日本全国の3D都市モデルを整備・活用・オープンデータ化するプロジェクト「PLATEAU(プラトー)」について、2026年度以降の事業展開に向けた情報提供依頼(RFI)を開始しました。民間企業等から新たな技術や活用アイデアを募集します。
政策立案への示唆
- この取組を行政が行う理由
- 3D都市モデルというデジタルインフラを、防災、まちづくり、交通、環境など、様々な分野の課題解決に活用するためです。官民が連携してユースケースを開発し、データ駆動型の高度な都市サービスを実現することを目指します。
- 具体的なアクション
- 民間企業や大学等に対し、PLATEAUのデータや基盤システムに関する技術、新たなビジネスモデル、社会実装に向けた課題などについて、広く情報提供を求めています。
- 行政側の意図
- 行政が整備したデジタルインフラ(PLATEAU)を、民間企業の自由な発想で活用してもらうことで、行政だけでは生み出せない新たな価値やサービスが創出されることを期待しています。オープンイノベーションを促進する意図があります。
- 期待される効果
- 例えば、災害時のリアルタイムな被害状況シミュレーション、都市計画における日照・風況の精密な分析、自動運転やドローン配送のためのナビゲーション基盤など、多様な分野での活用が期待されます。
- 課題・次のステップ
- 膨大な3D都市モデルのデータを常に最新の状態に維持・更新していくためのコストと体制の確保が大きな課題です。また、データを誰もが容易に活用できるよう、ツールの開発や人材育成も必要となります。
- 特別区への示唆
- PLATEAUは、東京23区のデータが全国で最も充実している先進地域です。特別区の職員は、このデジタル基盤を「当たり前に使える道具」として認識し、自らの所管業務(例:防災計画、景観条例の運用、ごみ収集ルートの最適化など)にどう活用できるかを積極的に検討すべきです。国交省のRFIは、区の課題を解決する新たな技術シーズを発掘する絶好の機会でもあります。
#03 国#05 特別区(23区)#0703 自治体経営(公共施設)#08 SDGs・環境#09 DX#10 総務#12 生活安全#13 経済産業#14 子育て・こども#16 福祉#19 多文化共生#20 スポーツ・文化#91 取組#92 行政ニュース#99 その他
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