masashi0025
中長期の経済財政運営における政策課題(イノベーション、リスキリング)
- 足下の人手不足の大きな要因でもある人口減少は、今後本格化することが見込まれ、中長期的に我が国経済の重石になりかねない
- この克服に向けて、生産性の向上、労働参加の拡大、出生率の向上等に構造的に対応していく必要がある
- 人口減少が本格化する2030年より前に制度改革を遂行する必要があり、そのためには、今後3年程度の包括的な政策パッケージを策定すべき
- その際には、以下に掲げるように、国内のマクロの視点だけでなく、ローカルとグローバルの視点も備えた形とすべき
将来の人口動態と持続的成⾧のための課題
- 我が国の生産年齢人口(15~64歳)の減少は2030年代に加速。国難とも言えるこの成⾧下押し克服が大きな課題
- これに対し、DX、新技術の社会実装等によりイノベーションを促進し、生産性を向上させる必要
- 2040年頃まで25~74歳の減少率は横ばい。健康で意欲ある65~74歳の活躍等、生涯活躍社会の実現が重要
- 高齢者・女性に対するリスキリング支援が重要であることのエビデンス
- さらに、出生率を引き上げることができれば、その後の人口減少による成⾧下押しの緩和につながる
出典
内閣府ホームページ.令和6年第2回経済財政諮問会議.https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0229/agenda.html.(公開 2024-02-29.参照 2024-03-10)
生産性の向上
- 我が国の生産性(TFP)上昇率は、すう勢的に低下してきた。この反転・上昇が持続的成⾧のカギ
- 全世代型リスキリングや雇用の正規化、研究開発投資促進等を、更なるDX、新技術の社会実装、フロンティア開拓により効果的に進め、絶え間なくイノベーションが生まれる経済を実現することが重要
- イノベーションが重要であることのエビデンス
- 高齢者・女性へのリスキリング支援が重要であることのエビデンス
- 女性の正規雇用比率の推移~近年の上昇傾向をリスキリング、多様な正規化等により更に後押し~
- 女性へのリスキリング支援が重要であることのエビデンス
- 企業の労働者一人当たり教育訓練費~一人当たり教育訓練費は近年減少、人への投資を進めこれを反転させる必要~
- リスキリング支援の拡充が必要であることのエビデンス
出典
内閣府ホームページ.令和6年第2回経済財政諮問会議.https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0229/agenda.html.(公開 2024-02-29.参照 2024-03-10)
労働参加の拡大
- 高齢層の労働参加率は、上昇傾向にあり、過去20年間で5歳分若返っている。この流れを止めず、健康で意欲のある方が、性別や年齢にかかわらず活躍できる生涯活躍社会の実現を進めていくことが重要
- そのための環境づくりや雇用の正規化などは、国民一人一人のWell-being向上にも資する。予防・健康づくり、全世代型リスキリング、多様な正規化を含む働き方改革等の推進が重要
- 高齢層の労働参加率の推移~高齢層の労働参加率は過去20年間で上昇、5歳分若返り~
- 世界の65歳の疾病状況と同等となる各国の年齢~日本の76歳は世界の65歳と同等~
- 日本の高齢者は世界的と比較して健康であることのエビデンス
- 仕事をしていない高齢者の就労意欲(2020年)~現在働いていなくとも就労意欲を持っている高齢者は、60歳から69歳で約25%、70から74歳で16.6%、年齢制限の緩和やミスマッチの解消等が重要~
- 現在仕事をしていない理由は、健康上の理由が28.4%、年齢制限が26.9%
- 生活満足度(雇用形態別、2023年)~男性や64歳以下の女性の満足度は、就業している方(特に正規雇用)が高い~
- 雇用の正規化などが、国民一人一人のWell-being向上にも資することのエビデンス
先端技術実装と競争力強化(国の取組)
- 企業の稼ぐ力を引き上げ、現役世代の所得が継続的に増加する経済を実現するため、 DXによる省人化や新技術の社会実装を推進し、それによって付加価値生産性が向上するよう規制改革・環境整備を徹底すべき
- 民間による積極的な投資と起業によって、GX・HXなど、世界に先駆けて競争力を持つべき分野の研究開発とビジネス化を一体となって加速させる。また、国はそのための環境整備をしっかりと行うべき
生涯活躍と希望出生率の実現(国の取組)
- 国民一人一人のライフプランに応じて、生涯活躍できる社会の構築が重要。そのためには、全世代型リスキリングや個別最適な学びの実現、若年期からの健康意識向上、高齢期就労を促す制度改革を、DXを活用しつつ、統合的に進め、将来の方向性を国民に分かり易く提示すべき。
- 安心して結婚・出産・子育てに取り組める社会の構築も重要。そのためには、構造的賃上げに加え、賃金カーブの是正やジェンダーギャップ解消等により、たとえば初任給から30万円を支給するなど若年労働者の能力に応じた賃金水準の引上げ等、結婚・子育て世代の安心を抜本的に高める必要がある。また、EBPMに基づく真に効果的なこども・子育て政策を推進すべき。
- これらの取組により、一人ひとりのウエルビーイング向上と消費の拡大により需要不足に陥りにくい経済構造の実現につなげる。
グローバル対応と脱炭素(国の取組)
- 米中関係の変化、東アジアの高齢化・人口減等グローバルな変化・リスクに効果的に対処するため、対日直投やアジアトップ若手人材の受入れ等海外活力を取り込み、わが国経済の強靭性を高めるための構造変化を進めるべき。
- 気候変動やエネルギー・資源制約の高まり等に対し、再生可能エネルギーの主力電源化や原子力、水素の利活用拡大を含め脱炭素を通じたエネルギー自給の強化を図るべき
出典
内閣府ホームページ.令和6年第2回経済財政諮問会議.https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0229/agenda.html.(公開 2024-02-29.参照 2024-03-10)
賃上げ
2024年春の賃上げに向けた動き
- 2024年春の賃上げに向けて、2023年よりも前向きな動きが広がっている
- 中小企業においても、2024年春の賃上げ率3%以上が36.6%に拡大、賃上げ率2%未満は20.7%に縮小している
物価上昇を上回る賃上げ(国の取組)
多くの企業が人手不足を感じている今こそ、好調な企業業績を賃上げにつなげ、人材確保・人材定着につなげる好機
- 企業の持続的な賃上げインセンティブを高めるため、税・補助金・政府調達等を総動員
- 2024年度予算案において、医療・介護分野の賃上げに必要な予算が措置されたが、施策効果が実際に現場職員に行き届いているか検証
- 「賃金は上がることが当たり前」という意識を社会に定着させ、2%程度の物価上昇とそれを上回る賃金上昇の実現を目指すべき
- 円滑な労働移動とスキルアップによって、企業だけではなく人も、高付加価値生産性と、その結果としての高い賃金が持続的に得られるようにすべき。リスキリング支援を含め、そのための政策的な後押しが必要
- リスキリング支援の重要性が高まっていることのエビデンス
出典
内閣府ホームページ.令和6年第2回経済財政諮問会議.https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0229/agenda.html.(公開 2024-02-29.参照 2024-03-10)
価格転嫁
価格転嫁の動向
- 高い水準の賃上げを実現するためには、価格転嫁が重要
- 賃上げ分の価格転嫁は進みつつあるが、更なる取組が期待される
- コスト増に対する転嫁率には、産業別にバラつきが見られる
- 業種の特性等に応じたきめ細かい対応が求められる
- 価格転嫁率と賃上げ率の関係を見ると、価格転嫁が進むほど賃上げ率は高い
- 高い賃上げを実現するためには、価格転嫁を進める必要があることのエビデンス
- 原材料分の転嫁は、2022年7月時点で約80%進んでいる
- 一方で、⼈件費引上げ分の転嫁は、2022年7月時点で23.7%、2023年7月時点で30.8%であり、利益確保分の転嫁は約25%程度と遅れている
- ⼈件費引上げ分の価格転嫁や利益確保分の価格転嫁を進めることが必要なエビデンス
- コスト増に対する転嫁率を見ると、全体が45.7%の中で、建設は45.1%と平均値に近い水準で進んでいる
- 一方でトラック運送は24.2%と低い
- 2024年問題もある中、⼈件費引上げ分の価格転嫁を一層支援する必要性があることのエビデンス
中小企業の付加価値創造(国の取組)
中小企業が賃上げを実現するためには、「良いものには値がつく」ことを社会の共通理解とし、適切な値上げを積極的に評価する機運の醸成が必要。また、これまで以上に中小企業が付加価値を創造していくことも重要。
- 重層的な下請け構造が存在する業界(例:建設、物流、自動車等)では、3次・4次・5次・・・と下請けが下位になるにつれて、中小企業への「しわ寄せ」が生じる懸念がある。これまでの転嫁対策の効果・課題を洗い出し、転嫁対策を徹底すべき。
- 中小企業による他企業と差別化できる新商品の開発、デジタル化や省人化投資、海外等の新たな販路拡大などを支援することで、適切なマークアップ率の確保、付加価値創造の強力な後押しを。
中小企業における価格転嫁・賃上げ・働き方改革等の取組事例
出典
内閣府ホームページ.令和6年第2回経済財政諮問会議.https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0229/agenda.html.(公開 2024-02-29.参照 2024-03-10)
設備投資と人手不足(経済産業、工業)
設備投資と人手不足の動向
- 企業の設備投資意欲は高い一方で、実際の設備投資には結び付いておらず、足下では計画と実績の乖離が拡大
- 企業の人手不足感は高まっており、建設業、宿泊・飲食サービスで顕著
- 人手不足への対応策について、採用活動の強化と比べると、デジタル・機械・ロボットの活用は進んでいない
- 投資計画と実績の差(全産業平均)の乖離は拡大している(特に不動産業)
- 人手不足への対応策について、採用活動の強化と比べると、デジタル・機械・ロボットの活用は進んでいない
- 人口減少社会の中では、デジタル・機械・ロボットの活用を推進する必要があることのエビデンス
- 企業の人手不足感は高まっており、建設業、宿泊・飲食サービスで顕著
- 特に建設業、宿泊・飲食サービスを支援する必要性が高いことのエビデンス
投資の制約要因の解消と「人手不足経済」への対応(国の取組)
企業の投資計画は高水準であるが、人手不足や資材価格上昇等の中で、実際の投資増に十分に結び付いておらず、投資拡大を「計画段階」から「実行段階」に移すための後押しが重要。あわせて、「人手不足経済」をチャンスに変える改革が必要。
- 各省が所管分野において、投資の制約となっている要因がないか急ぎ検証し、その解 消に向けた方策を早急に洗い出すべき
- 人手不足に対応するためには、徹底的なデジタル化と省人化投資が重要。デジタル技術の活用を妨げる規制の改革推進を。
出典
内閣府ホームページ.令和6年第2回経済財政諮問会議.https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0229/agenda.html.(公開 2024-02-29.参照 2024-03-10)
設備投資・投資動向(工業、スタートアップ)
企業の投資動向
- 設備の老朽化が進んでいる我が国において、生産性向上にもつながる設備投資の強化は重要課題
- 直近10年間の資本ストックの伸びは、中堅・中小企業の寄与が6割と大企業を上回る
- 大企業は近年、海外投資を重視。
- DX・GX・経済安全保障等の取組を通じ、構造的に国内投資を強化する必要
- 中堅・中小企業の投資は、我が国経済の成長のエンジンであり、スタートアップ支援などを通じて投資拡大の牽引役となる企業の創出を図っていくことが重要
- 設備の使⽤年数(ヴィンテージ)〜我が国はG7の中で⼆番⽬にヴィンテージが⻑い〜
- 企業の国内資本ストック(2012年度からの増加額)〜直近10年の資本ストック拡⼤の6割強は中堅・中⼩企業による〜
- 企業による国内外の資産形成(2012年度からの増加額)〜直近10年間では、⼤企業は海外投資を重視〜
- 国内投資を推進するには中堅・中⼩企業への支援が重要となることのエビデンス
- スタートアップの国内資⾦調達額と調達社数〜スタートアップの資⾦調達額は増加傾向〜
- 中堅・中小企業の投資を促進するため、具体的にはスタートアップ支援などを通じて投資拡大の牽引役となる企業の創出を図っていくことが重要であることのエビデンス
出典
内閣府ホームページ.令和6年第1回経済財政諮問会議.https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0122/agenda.html.(公開 2024-01-22.参照 2024-03-10)
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