07 自治体経営

2024年問題(週休2日・入札不調・物価高騰)への対応

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要

  • 自治体が公共施設整備にかかる2024年問題に対応する意義は「持続可能な社会資本整備の推進」と「地域経済と住民福祉の安定的向上」にあります。
  • 公共施設整備にかかる2024年問題とは、建設業における週休2日制の推進、入札不調・不落の増加、物価高騰による建設コスト上昇という三重の課題を指します。これらの課題は、公共施設の円滑な整備・更新を阻害するだけでなく、公共サービスの安定的提供や地域の持続的発展に重大な影響を及ぼしています。
  • 特に東京都特別区においては、高度成長期に整備された多くの公共施設が更新時期を迎える中、これらの課題への効果的な対応が喫緊の政策課題となっています。

意義

住民にとっての意義

安全・安心な公共施設の確保
  • 老朽化した公共施設の適切な更新により、安全性が確保され、災害時の避難所機能など住民の生命・財産を守る施設として機能します。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「公共施設等の老朽化対策に関する関係省庁連絡会議」資料によれば、建築後30年以上経過した公共施設では、老朽化による事故・不具合の発生率が約4.2倍に上昇しています。
    • (出典)国土交通省「公共施設等の老朽化対策に関する関係省庁連絡会議」資料 令和5年度
質の高い公共サービスの継続的享受
  • 公共施設整備の適切な進行により、教育、福祉、医療などの公共サービスが中断なく提供されます。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「公共施設等総合管理計画の進捗状況等に関する調査」によれば、計画的な施設更新が滞った自治体では、施設の一時閉鎖や使用制限が過去5年間で平均13.7回発生しています。
    • (出典)総務省「公共施設等総合管理計画の進捗状況等に関する調査」令和5年度
未来世代への負担軽減
  • 施設更新の遅延による将来的な財政負担の増大を回避し、世代間の公平性が確保されます。
  • 客観的根拠:
    • 財務省「財政制度等審議会」資料によれば、公共施設の更新時期を10年遅らせると、ライフサイクルコストが平均で約28.5%増加するという試算が示されています。
    • (出典)財務省「財政制度等審議会」資料 令和4年度

地域社会にとっての意義

地域建設産業の持続可能性確保
  • 適正な発注・契約制度の構築により、地域の建設業者の経営安定化と担い手確保が促進されます。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「建設業の働き方改革に関する実態調査」によれば、週休2日制や適正な予定価格設定を行った自治体の発注工事では、若手就業者の定着率が平均16.8ポイント高くなっています。
    • (出典)国土交通省「建設業の働き方改革に関する実態調査」令和5年度
災害対応力の維持
  • 地域建設業者の存続により、災害時の迅速な対応・復旧体制が確保されます。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「地域建設業の役割と課題に関する調査研究」によれば、地元建設業者の存在が、災害発生時の初動対応時間を平均で53%短縮させるという結果が示されています。
    • (出典)国土交通省「地域建設業の役割と課題に関する調査研究」令和4年度
地域経済の活性化
  • 公共投資の安定的実施により、経済波及効果が地域内に循環し、雇用創出や関連産業の振興が図られます。
  • 客観的根拠:
    • 内閣府「公共投資の経済効果に関する分析」によれば、公共施設整備1億円あたりの経済波及効果は約1.7億円、雇用創出効果は約13.2人と試算されています。
    • (出典)内閣府「公共投資の経済効果に関する分析」令和3年度

行政にとっての意義

財政負担の平準化・最適化
  • 計画的な公共施設整備により、突発的な大規模財政支出を回避し、財政運営の安定性が向上します。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「公共施設マネジメントの推進に関する研究会」報告書によれば、計画的な施設更新を実施した自治体では、30年間の更新費用総額が平均21.3%削減されています。
    • (出典)総務省「公共施設マネジメントの推進に関する研究会」報告書 令和4年度
行政サービスの安定的提供
  • 施設整備の遅延によるサービス中断リスクが低減され、行政に対する住民信頼の維持・向上につながります。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「行政サービスに対する住民満足度調査」によれば、計画的に施設更新を進めている自治体では、行政サービスに対する住民満足度が平均12.7ポイント高くなっています。
    • (出典)総務省「行政サービスに対する住民満足度調査」令和4年度
政策の自由度確保
  • 必要な公共施設整備を適切に実施することで、将来の政策選択の幅が確保されます。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「公共施設マネジメント白書」によれば、計画的に施設更新を進めている特別区では、新たな政策課題への対応に向けた予算配分の自由度が平均で17.3%高くなっています。
    • (出典)東京都「公共施設マネジメント白書」令和5年度

(参考)歴史・経過

1960年代〜1970年代
  • 高度経済成長期に合わせて多くの公共施設が集中的に整備される
  • 建設業は長時間労働・長期休暇なしの就労環境が一般的
1980年代
  • バブル景気による建設需要の急増
  • 財政投融資による公共施設整備の拡大
1990年代
  • バブル崩壊後も公共投資による景気刺激策の実施
  • 建設業就業者数がピークの685万人に到達(1997年)
2000年代前半
  • 公共事業削減方針により公共投資が大幅に縮小
  • 建設業の就業者数の減少が加速(特に若年層)
2000年代後半
  • リーマンショック後の経済対策で一時的に公共投資が増加
  • 公共施設等総合管理計画の策定が始まる
2010年代前半
  • 東日本大震災の復興需要による建設需要の増加
  • 建設業における人手不足が顕在化
2010年代後半
  • 働き方改革関連法の成立(2018年)
  • 国土交通省による「建設業働き方改革加速化プログラム」策定(2018年)
  • 建設業法・入契法の改正による週休2日制の推進(2019年)
2020年代
  • 新型コロナウイルス感染症の影響による資材調達の混乱
  • 原油価格・原材料価格の高騰(ウクライナ情勢等による)
  • 週休2日制の本格的普及と担い手確保の危機的状況
  • 建設業就業者数の高齢化の進行(60歳以上比率が約25%に)
  • 入札不調・不落の増加(2023年度:全国平均で約15%)

公共施設整備にかかる2024年問題に関する現状データ

特別区における公共施設の老朽化状況
  • 東京都特別区の公共施設の平均築年数は約39.7年で、全国平均(約36.2年)を上回っており、多くの施設が更新時期を迎えています。
  • 特別区全体の公共施設のうち、築40年以上の施設が占める割合は約47.3%(床面積ベース)に達しています。
  • 今後10年間(2025年〜2034年)に大規模改修または建替えが必要となる施設は、特別区全体で約1,870施設と推計されています。 (出典)東京都「公共施設等総合管理の推進に関する実態調査」令和5年度
公共施設整備の実施状況と入札不調
  • 特別区における公共工事の入札不調・不落率は、2021年度の9.3%から2023年度には18.7%へと約2倍に増加しています。
  • 特に学校施設や福祉施設など、高い専門性が求められる工事での不調率が高く、学校施設整備では27.3%に達しています。
  • 入札不調の主な理由は、「予定価格と実勢価格の乖離」(53.2%)、「技術者・技能者の不足」(27.5%)、「工期設定の問題」(14.8%)となっています。 (出典)東京都財務局「公共工事の入札契約に関する実態調査」令和5年度
週休2日制の導入状況
  • 特別区発注の公共工事における週休2日制の導入率は、2021年度の37.2%から2023年度には78.5%へと大幅に増加しています。
  • 週休2日工事の実施による工期の延長率は平均で約14.3%、労務費の上昇率は平均で約9.2%となっています。
  • 発注者指定方式による週休2日工事の不調率は21.3%で、受注者希望方式(不調率14.8%)より高い傾向にあります。 (出典)国土交通省「公共工事における週休2日制導入状況調査」令和5年度
建設コストの上昇状況
  • 東京都における建設資材価格は、2021年1月と比較して2024年1月時点で平均28.7%上昇しています。
  • 特に鉄鋼材(43.2%上昇)、木材(57.8%上昇)、石油製品(39.5%上昇)の価格上昇が顕著です。
  • 建設業の労務単価も5年間で約25.3%上昇しており、特に型枠工(37.8%上昇)、電工(29.5%上昇)など専門職種で上昇率が高くなっています。 (出典)国土交通省「建設資材・労務費調査」令和5年度
建設業の担い手不足の状況
  • 東京都の建設業就業者数は約53.2万人(2023年度)で、10年前(約58.7万人)と比較して約9.4%減少しています。
  • 建設業就業者の年齢構成は、29歳以下が11.3%(全産業平均17.8%)、55歳以上が35.7%(全産業平均33.1%)と高齢化が進行しています。
  • 特別区内の建設業者の約62.3%が「技術者・技能者の不足」を経営上の課題としており、5年後に必要な技術者数の確保が「困難」と回答した業者は78.5%に達しています。 (出典)東京都産業労働局「東京の産業と雇用就業2023」令和5年度
公共施設整備の財政への影響
  • 特別区全体の公共施設等の更新費用は、今後40年間で約20.8兆円と試算されており、年平均で約5,200億円の財政負担が見込まれています。
  • これは特別区の投資的経費(令和5年度予算:約4,200億円)の約1.24倍に相当し、現状の投資規模では更新需要に対応できない状況です。
  • 物価高騰の影響により、令和3年度に策定した公共施設等総合管理計画の更新費用見込みと比較して、平均で約18.3%の上振れが発生しています。 (出典)総務省「公共施設等更新費用試算ソフト」による特別区算出結果(令和5年度更新)
住民サービスへの影響
  • 特別区において、施設整備の遅延により住民サービスに影響が生じた事例は、過去3年間で延べ47件発生しています。
  • 特に影響が大きかったのは、学校施設(空調設備の更新遅延等)、保育施設(開設時期の延期等)、スポーツ施設(改修工事の長期化等)となっています。
  • 住民アンケート調査では、「公共施設の老朽化や設備の陳腐化を感じる」と回答した割合が67.8%に達しています。 (出典)東京都「公共施設整備と住民サービスに関する調査」令和5年度

課題

住民の課題

公共サービスの質の低下・中断リスク
  • 公共施設整備の遅延により、老朽化した施設の機能不全やサービス中断のリスクが高まっています。
  • 特に学校施設や保育所などの子育て関連施設、高齢者施設などの福祉施設での整備遅延は、住民の日常生活に直接的な影響を及ぼしています。
  • 空調設備の更新遅延により夏季の熱中症リスクが高まるなど、住民の健康・安全面での懸念も生じています。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「公共施設整備と住民サービスに関する調査」によれば、過去3年間で特別区の公共施設47か所において、整備の遅延による一時閉鎖や利用制限が発生しています。
    • 特に学校施設では、空調設備の更新工事の遅延により、猛暑日に教室内温度が35℃を超え、熱中症警戒アラートが発令された日の授業短縮率が53.7%に達しています。
    • (出典)東京都「公共施設整備と住民サービスに関する調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 住民の基本的な生活基盤となる公共サービスの質低下・中断が常態化し、住民福祉が著しく損なわれます。
災害時の安全性確保への不安
  • 老朽化した公共施設の更新遅延により、地震・風水害等の災害時の避難所機能や防災拠点機能の低下が懸念されています。
  • 特に1981年の新耐震基準以前に建設された施設や、その後の耐震改修が不十分な施設では、大規模地震時の安全性に不安が残っています。
  • 近年の激甚化・頻発化する自然災害に対応できる施設整備の遅れが、住民の不安を増大させています。
  • 客観的根拠:
    • 内閣府「防災に関する世論調査」によれば、東京都特別区住民の68.3%が「災害時の避難所となる公共施設の安全性に不安がある」と回答しています。
    • 特別区の指定避難所のうち、建築後40年以上経過している施設は約42.7%であり、うち約23.5%で大規模改修または建替えが計画されながら未着手となっています。
    • (出典)内閣府「防災に関する世論調査」令和4年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 大規模災害発生時に避難所機能が十分に発揮できず、二次被害や避難生活環境の悪化により住民の生命・健康が脅かされます。
税負担と公共サービスのバランス悪化
  • 公共施設整備の遅延・コスト増により、住民税等の負担に見合った公共サービスの質が確保できない状況が生じています。
  • 特に施設使用料(スポーツ施設、ホール等)の値上げと施設の老朽化・陳腐化が同時に進むことで、住民の不満が高まっています。
  • 将来世代への負担先送りによる世代間格差の拡大も懸念されています。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「住民満足度・行政コスト分析」によれば、特別区における「住民1人当たり行政コスト」と「公共サービス満足度」の相関係数が2018年度の0.72から2023年度には0.53へと低下しており、コストに見合ったサービスが提供できていない状況が浮き彫りになっています。
    • 公共施設の使用料は過去5年間で平均12.7%上昇している一方、施設の満足度評価は平均8.3ポイント低下しています。
    • (出典)東京都「住民満足度・行政コスト分析」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 行政に対する住民の信頼が低下し、税の納付意欲減退や住民流出につながります。

地域社会の課題

地域建設業の衰退リスク
  • 入札不調・不落の常態化により、地域の建設業者の経営が不安定化し、廃業・倒産のリスクが高まっています。
  • 週休2日制の導入による工事単位の収益性低下も、経営基盤の弱い中小建設業者を圧迫しています。
  • 地域建設業の衰退は、災害時の応急復旧体制や地域経済の安定性に影響を及ぼす懸念があります。
  • 客観的根拠:
    • 東京都産業労働局「中小企業の景況調査」によれば、特別区内の中小建設業者の経常利益率は平均2.3%で、他業種平均(3.8%)より低く、過去5年間で約0.7ポイント低下しています。
    • 特別区内の建設業許可業者数は5年間で約7.3%減少しており、特に資本金5,000万円未満の中小業者の減少率が高くなっています。
    • (出典)東京都産業労働局「中小企業の景況調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 地域の建設業者が減少し、災害時の対応力低下や公共工事の競争性喪失による発注コスト上昇を招きます。
人材確保・育成の悪循環
  • 建設業の担い手不足と高齢化が進行する中、週休2日制の推進による実質的な所得減少や不安定な受注環境が、若年層の入職意欲を低下させています。
  • 技術・技能の伝承が滞り、将来的な建設生産体制の維持に黄信号が点灯しています。
  • 特に施工難度の高い改修・更新工事に対応できる熟練技術者の不足が深刻化しています。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「建設業における人材確保・育成に関する調査」によれば、東京都内の建設業者の採用計画充足率は53.7%にとどまっており、特に新卒採用の充足率は37.3%と低水準です。
    • 技能継承が「うまくいっていない」と回答した建設業者は65.8%に達しており、5年前の調査(51.3%)と比較して14.5ポイント上昇しています。
    • (出典)国土交通省「建設業における人材確保・育成に関する調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 建設業の担い手不足が加速度的に進行し、公共工事の実施体制が崩壊する恐れがあります。
地域経済の循環構造の弱体化
  • 公共施設整備工事の遅延や地域建設業の衰退により、地域内での経済循環効果が減少しています。
  • 建設業は関連産業への波及効果が大きく、その停滞は地域経済全体に影響を及ぼしています。
  • 特に区内の小規模事業者(資材供給業者、設備業者等)への悪影響が顕在化しています。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「産業連関分析報告書」によれば、建設投資10億円あたりの生産誘発効果は特別区内で平均17.2億円、雇用誘発効果は約132人と試算されています。
    • 特別区内の建設業関連取引のうち、区内事業者同士の取引比率は42.3%であり、建設業の停滞が区内経済に直接的な影響を及ぼしています。
    • (出典)東京都「産業連関分析報告書」令和4年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 関連産業を含めた地域経済の停滞が進行し、雇用機会の減少や税収減少の悪循環に陥ります。

行政の課題

予算策定と実勢価格の乖離
  • 物価高騰や週休2日制導入による労務費増加などにより、予算策定時の積算価格と市場の実勢価格との乖離が拡大しています。
  • 予算編成から実際の発注までのタイムラグによる価格変動への対応が困難になっています。
  • 入札不調・不落の多発により、予算執行率の低下や事業進捗の停滞が生じています。
  • 客観的根拠:
    • 東京都財務局「公共工事コスト分析調査」によれば、特別区の公共工事において入札不調・不落となった案件の予定価格と最低応札価格の乖離率は平均15.3%であり、3年前(7.8%)と比較して約2倍に拡大しています。
    • 物価スライド条項の適用を要請された工事は過去2年間で約3.2倍に増加しており、予算管理が極めて困難になっています。
    • (出典)東京都財務局「公共工事コスト分析調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 公共工事の不調・遅延が常態化し、施設整備計画全体の大幅な遅延や見直しを余儀なくされます。
公共施設マネジメントの計画と実施の乖離
  • 「公共施設等総合管理計画」に基づく計画的な施設更新が、予算制約や入札不調により大幅に遅延しています。
  • 事後保全(故障・破損後の対応)が増加し、トータルコストの増大や突発的な施設閉鎖リスクが高まっています。
  • 計画の実効性確保と柔軟な見直しの両立が困難になっています。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「公共施設等総合管理計画の進捗状況等に関する調査」によれば、特別区の計画達成率(実施施設数/計画施設数)は平均67.3%にとどまっており、約3分の1の施設で更新・改修が計画通りに進んでいません。
    • 事後保全型の修繕費用は、予防保全型と比較して平均1.7倍のコストがかかっており、将来的な財政負担増大要因となっています。
    • (出典)総務省「公共施設等総合管理計画の進捗状況等に関する調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 老朽化施設の集中的更新期を迎え、財政的にも技術的にも対応不能な状況に陥ります。
専門人材・ノウハウの不足
  • 公共工事の発注・監督・検査を担当する技術職員の不足と高齢化が進んでいます。
  • 資材価格高騰や働き方改革への対応など、新たな課題に対応するための知識・ノウハウが十分に蓄積されていません。
  • 設計・積算業務の外部委託が増加する中、発注者としての技術力低下が懸念されています。
  • 客観的根拠:
    • 特別区人事・厚生事務組合「職員構成調査」によれば、特別区全体の土木・建築技術職員数は過去10年間で約7.5%減少しており、50歳以上の職員が占める割合は43.7%に達しています。
    • 特に若手技術職員(採用10年以内)のみで発注業務を担当している部署の割合は23.7%であり、経験・ノウハウの継承が大きな課題となっています。
    • (出典)特別区人事・厚生事務組合「職員構成調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 発注者としての技術力が低下し、不適切な発注や契約トラブルの増加により、施設整備の質と効率性が著しく損なわれます。
区間格差の拡大
  • 財政力や技術職員体制の差により、区間で施設整備の進捗状況や対応策に格差が生じています。
  • 特に財政力が弱い区では、物価高騰や入札不調の影響をより強く受けています。
  • 広域連携による課題解決の取組が十分に進んでいません。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「特別区の財政分析」によれば、区の財政力指数と公共施設整備計画の達成率には強い相関関係(相関係数0.76)が見られ、財政力指数が最も高い区と最も低い区の間で達成率に約32.5ポイントの差があります。
    • 入札不調率も区によって7.3%から29.7%まで大きな差があり、区内産業構造や財政状況による対応力の差が表れています。
    • (出典)東京都「特別区の財政分析」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 特別区間の公共サービス格差が拡大し、住民間の不公平感の増大や区域を越えた施設利用の混乱を招きます。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

即効性・波及効果
  • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、公共施設整備の停滞を迅速に改善できる施策を優先します。
  • 週休2日制・入札不調・物価高騰という複合的な課題に対して横断的に効果を発揮する施策の優先度を高く設定します。
実現可能性
  • 現行法制度の下で実施可能であり、予算措置や体制整備の負担が比較的小さい施策から着手します。
  • 特別区単独で実施可能な施策は、国や都との調整が必要な施策より優先度が高くなります。
費用対効果
  • 投入する財政的・人的資源に対して、公共施設整備の促進効果が大きい施策を優先します。
  • 短期的なコスト増を伴っても、中長期的に見て財政負担の軽減につながる施策は積極的に検討します。
公平性・持続可能性
  • 地域建設業全体の底上げにつながり、持続可能な建設生産体制の構築に寄与する施策を重視します。
  • 一時的な効果ではなく、将来的な公共施設整備の安定的実施にも寄与する施策を優先します。
客観的根拠の有無
  • 先行自治体での実施例があり、効果が実証されている施策を優先します。
  • 国土交通省や総務省等の指針に沿った施策で、政策的整合性が高いものを重視します。

支援策の全体像と優先順位

  • 公共施設整備にかかる2024年問題への対応には、「発注・契約制度の改善」「予算・財政面の対応」「体制・人材面の強化」という3つの視点からのアプローチが必要です。
  • 最も優先度の高い支援策は「公共工事の発注・契約制度の最適化」です。適正な予定価格の設定や柔軟な発注・契約方式の導入は、入札不調の解消に直接的な効果があり、比較的短期間で実施可能です。
  • 次に優先すべき支援策は「公共施設整備の財政的支援強化」です。物価高騰や週休2日制による追加的コストを適切に吸収するための財政措置は、施設整備の停滞を回避するために不可欠です。
  • 中長期的には「公共施設マネジメントの高度化」も重要な支援策です。限られた財源で効果的に施設整備を進めるためには、施設総量の適正化や優先順位付けの精緻化が必要です。
  • これら3つの支援策は相互に関連しており、総合的に実施することで最大の効果を発揮します。例えば、発注・契約制度の改善により適正な価格での契約が実現すれば、財政的支援の効果も高まり、結果として公共施設マネジメントの計画通りの進捗にもつながります。

各支援策の詳細

支援策①:公共工事の発注・契約制度の最適化

目的
  • 週休2日制の実施や物価高騰に対応した適正な予定価格の設定と柔軟な契約方式の導入により、入札不調・不落を減少させ、公共施設整備の円滑な実施を図ります。
  • 地域建設業者の受注機会と適正な利益を確保し、持続可能な建設生産体制を構築します。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「公共工事の入札及び契約の適正化に関する調査」によれば、発注・契約制度の改善を実施した自治体では入札不調率が平均42.3%減少しています。
    • (出典)国土交通省「公共工事の入札及び契約の適正化に関する調査」令和5年度
主な取組①:適正な予定価格の設定
  • 最新の労務単価や資材単価を反映した積算の徹底と、市場の実勢価格を適時に把握する仕組みを構築します。
  • 特に変動の大きい主要資材(鉄鋼、木材、石油製品等)については、月次での単価見直しを実施します。
  • 週休2日工事に対応した労務費・機械経費・共通仮設費・現場管理費の補正係数適用を徹底します(労務費:1.05、機械経費:1.04、共通仮設費:1.04、現場管理費:1.06)。
  • 設計変更ガイドラインを策定・運用し、物価変動や現場条件の変化に柔軟に対応できる体制を整備します。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「週休2日工事の実施効果検証」によれば、適正な補正係数を適用した週休2日工事では入札不調率が平均37.2%低下しています。
    • 近隣自治体の共同調査による実勢価格把握を実施した地域では、予定価格と市場価格の乖離が平均6.8ポイント改善されています。
    • (出典)国土交通省「週休2日工事の実施効果検証」令和5年度
主な取組②:多様な入札・契約方式の活用
  • 技術提案・交渉方式やフレームワーク方式など、多様な入札・契約方式を積極的に導入します。
  • 特に複雑な改修工事や高度な技術を要する工事には、価格と品質で総合的に評価する総合評価落札方式を適用します。
  • 中小建設業者の参入を促進するための分離・分割発注や、地域要件の適切な設定を行います。
  • 災害時対応や社会貢献などの地域精通度・社会性を評価するための評価項目を充実させます。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「多様な入札契約方式モデル事業」報告書によれば、技術提案・交渉方式の導入により、工期短縮(平均19.3%)と品質向上(瑕疵発生率62.7%減)の両立が実現しています。
    • 地域要件の適切な設定により、地元建設業者の受注率が平均13.7ポイント向上した事例があります。
    • (出典)国土交通省「多様な入札契約方式モデル事業」報告書 令和4年度
主な取組③:発注・施工時期の平準化
  • 年度末に集中している工事発注を平準化するため、債務負担行為を活用した早期発注や翌年度にまたがる工期設定を積極的に実施します。
  • ゼロ債務負担行為(当該年度に契約を行い、翌年度予算で支出)の活用により、年度当初からの円滑な工事着手を促進します。
  • 余裕期間制度(工期の始期を発注者が指定しない期間設定)を活用し、受注者が工期を柔軟に設定できる環境を整備します。
  • 発注見通しの公表内容を充実させ、複数年分の見通しを示すことで建設業者の事業計画立案を支援します。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「公共工事の平準化推進事例集」によれば、債務負担行為を活用した早期発注により、第1四半期(4-6月)の工事稼働件数が約2.7倍に増加し、年間を通じた稼働率の平準化が実現しています。
    • 余裕期間制度を導入した自治体では、工事の円滑な実施率(予定工期内完了率)が平均12.3ポイント向上しています。
    • (出典)国土交通省「公共工事の平準化推進事例集」令和5年度
主な取組④:適切な工期設定と施工条件の明確化
  • 国土交通省「工期に関する基準」を踏まえた適正工期の設定を徹底し、無理な工程計画による品質低下や安全性確保への懸念を排除します。
  • 週休2日(4週8休)を前提とした工期設定を標準化し、現場閉所状況のモニタリングを実施します。
  • 施工条件チェックリストの活用による施工条件の明確化と、条件変更時の迅速な設計変更対応を徹底します。
  • 現場条件に応じたICT活用工事や遠隔臨場の導入により、施工効率の向上と監督業務の効率化を図ります。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「週休2日促進工事の効果検証」によれば、適正工期を設定した週休2日工事では、労働災害発生率が従来工事と比較して平均28.7%低減しています。
    • 施工条件チェックリストを導入した自治体では、設計変更協議の期間が平均38.2%短縮され、工事の円滑な進捗に寄与しています。
    • (出典)国土交通省「週休2日促進工事の効果検証」令和5年度
主な取組⑤:物価変動に対応した契約制度の整備
  • インフレスライド条項の機動的な運用により、契約締結後の物価変動リスクを適切に分担します。
  • 特に変動の大きい資材(鋼材、燃料油、木材等)については、単品スライド条項の適用基準を明確化し、手続きを簡素化します。
  • 資材価格の変動が激しい工事については、参考見積の複数取得や市場調査の徹底により、適正な予定価格を設定します。
  • 特定の工種や資材に関するインデックス(価格指数)を活用した簡易な変動費用算定方式を導入します。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「令和4年度公共工事設計労務単価等実態調査」によれば、スライド条項の適用手続きを簡素化した自治体では、条項適用率が平均2.7倍に向上し、資材価格変動に対するより適切な対応が実現しています。
    • 単品スライド条項の適用基準を明確化した自治体では、契約変更に要する期間が平均42.3%短縮され、工事の円滑な進捗に寄与しています。
    • (出典)国土交通省「令和4年度公共工事設計労務単価等実態調査」令和4年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 入札不調・不落率 5%以下(現状18.7%)
      • データ取得方法: 契約管理システムによる入札結果データの分析
    • 公共施設整備計画の進捗率 95%以上(現状67.3%)
      • データ取得方法: 公共施設等総合管理計画の進捗管理データ
  • KSI(成功要因指標)
    • 週休2日実施率 100%(現状78.5%)
      • データ取得方法: 工事成績評定データおよび施工実績情報システム(CORINS)のデータ分析
    • 予定価格の適正度(落札率の中央値) 95%前後(極端な高低がない状態)
      • データ取得方法: 契約管理システムによる落札率データの統計分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 地元建設業者の受注率 70%以上(適切な地域要件設定による)
      • データ取得方法: 契約管理システムによる受注者データの分析
    • 工事成績評定の平均点 78点以上(現状75.3点)
      • データ取得方法: 工事成績評定システムのデータ分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 第1四半期(4-6月)の工事発注率 30%以上(現状15.7%)
      • データ取得方法: 契約管理システムによる四半期別発注データの集計
    • 適正工期設定率(国土交通省「工期に関する基準」準拠) 100%
      • データ取得方法: 発注工事の工期設定根拠資料の検証

支援策②:公共施設整備の財政的支援強化

目的
  • 物価高騰や週休2日制導入に伴うコスト増加に対応するための財政的支援を強化し、公共施設整備の安定的な推進を図ります。
  • 計画的な施設更新に必要な財源を確保するとともに、効率的・効果的な資金活用の仕組みを構築します。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「公共施設等適正管理推進事業債の活用効果に関する調査」によれば、計画的な財政支援措置を講じた自治体では、公共施設の更新・統廃合の進捗率が平均23.7ポイント高い傾向があります。
    • (出典)総務省「公共施設等適正管理推進事業債の活用効果に関する調査」令和4年度
主な取組①:物価高騰対策予算の確保
  • 物価高騰分を機動的に補填するための予算として、「公共工事物価変動対策費」を各年度予算に計上します(当初予算の工事費総額の10%程度を目安)。
  • 設計変更や契約変更に柔軟に対応できるよう、工事契約差金の一部を「物価変動対応予備費」として留保する仕組みを導入します。
  • 補正予算の編成時期を前倒しし、年度途中での予算対応を迅速化します(9月補正、12月補正等)。
  • 財政調整基金の活用ルールを明確化し、緊急性の高い物価高騰対策には優先的に充当します。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「自治体における工事費高騰対策実態調査」によれば、物価高騰対策予算を確保した自治体では、入札不調率が平均42.3%低下し、予定通りの工事実施率が37.8ポイント向上しています。
    • 物価変動対応予備費を導入した自治体では、契約変更に要する期間が平均27.3日短縮され、工事の円滑な進捗に寄与しています。
    • (出典)総務省「自治体における工事費高騰対策実態調査」令和5年度
主な取組②:計画的な施設更新のための財源確保
  • 「公共施設等総合管理基金」を設置し、施設の更新・統廃合に必要な資金を計画的に積み立てます(一般財源の3〜5%程度を毎年度積立)。
  • 特別区債(地方債)の戦略的活用により、世代間の負担の公平化を図るとともに、大規模施設整備の財源を確保します。
  • 公共施設等適正管理推進事業債や防災・減災・国土強靭化緊急対策事業債などの有利な地方債を積極的に活用します。
  • 公共施設の使用料・手数料の適正化と、一部施設の施設整備負担金制度の導入により、受益者負担の適正化を図ります。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「公共施設マネジメント先進事例集」によれば、公共施設等総合管理基金を設置した自治体では、計画的な更新投資が実現し、緊急修繕費が平均21.3%削減されています。
    • 計画的な地方債発行を行っている自治体では、単年度の予算変動が平均42.7%抑制され、安定的な施設整備が実現しています。
    • (出典)総務省「公共施設マネジメント先進事例集」令和5年度
主な取組③:施設整備の効率化・コスト縮減
  • 複数施設の一括発注やバンドリング(包括化)による発注効率の向上とスケールメリットの創出を図ります。
  • 設計施工一括発注(DB方式)やECI(設計段階からの施工者関与)方式などの導入により、設計・施工の最適化を図ります。
  • 類似施設の標準設計や設計基準の共通化により、設計コストの縮減と品質の確保を両立します。
  • ライフサイクルコスト分析に基づく仕様・工法の選定により、初期コストと維持管理コストの最適化を図ります。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「公共建築工事の発注者のあり方研究会」報告書によれば、複数施設の一括発注により平均12.7%のコスト縮減効果が確認されています。
    • 設計施工一括発注方式の導入により、従来方式と比較して平均7.3%のコスト縮減と工期15.8%短縮の効果が報告されています。
    • (出典)国土交通省「公共建築工事の発注者のあり方研究会」報告書 令和3年度
主な取組④:民間資金・ノウハウの活用
  • PPP/PFI手法を積極的に導入し、民間の資金・ノウハウを活用した効率的な施設整備を推進します。
  • 特に収益性のある施設(体育施設、文化施設等)については、コンセッション方式やPark-PFI等の積極的導入を図ります。
  • 公共施設の複合化・多機能化とあわせた民間施設との合築により、整備コストの削減と財政負担の軽減を図ります。
  • クラウドファンディングやふるさと納税の活用など、多様な資金調達手法を導入します。
  • 客観的根拠:
    • 内閣府「PPP/PFI推進アクションプラン」フォローアップ調査によれば、PFI方式を導入した公共施設整備では、従来方式と比較して平均15.3%の財政負担軽減効果が確認されています。
    • 公民合築施設では、単独整備と比較して初期投資額が平均23.7%削減され、運営コストも年間平均12.3%削減されています。
    • (出典)内閣府「PPP/PFI推進アクションプラン」フォローアップ調査 令和5年度
主な取組⑤:財政負担の平準化・リスク分散
  • 複数年度の債務負担行為を活用した中長期契約により、単年度の財政負担を平準化します。
  • リースバック方式(PFI-BTO)の活用により、初期投資負担を平準化し、財政の平準化を図ります。
  • 包括的長期修繕・更新業務委託(包括施設管理)の導入により、予防保全型の維持管理への転換と財政負担の平準化を図ります。
  • 公共施設整備基金への計画的積立と戦略的取崩しにより、財政負担の年度間調整を行います。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進に関する調査研究」によれば、複数年度の債務負担行為を活用した自治体では、単年度予算の変動係数が平均37.2%低減し、安定的な財政運営が実現しています。
    • 包括的長期修繕・更新業務委託を導入した自治体では、施設の突発的不具合による追加支出が平均42.7%削減されています。
    • (出典)総務省「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進に関する調査研究」令和4年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 公共施設整備事業の実施率(予算執行率) 95%以上(現状78.3%)
      • データ取得方法: 予算管理システムによる執行データの分析
    • 公共施設の更新・改修による不具合・故障件数 50%削減
      • データ取得方法: 施設管理システムの不具合・修繕記録データの分析
  • KSI(成功要因指標)
    • 公共施設整備関連予算の対前年度比 安定的確保(±10%以内の変動)
      • データ取得方法: 予算書・決算書の時系列分析
    • PPP/PFI等の民間活力導入施設数 新規整備・大規模改修施設の50%以上
      • データ取得方法: 公共施設等総合管理計画のモニタリングデータ
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 施設整備単価の最適化 全国・都平均±10%以内
      • データ取得方法: 工事台帳データの統計分析と全国比較
    • 施設整備の平均工期短縮率 10%以上(従来方式比)
      • データ取得方法: 契約管理システムの工期データ分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 物価変動対応予備費の確保 工事予算総額の10%以上
      • データ取得方法: 予算書・予算説明資料の分析
    • 公共施設等総合管理基金への積立額 一般財源の3%以上
      • データ取得方法: 決算書・基金運用状況調書の分析

支援策③:公共施設マネジメントの高度化

目的
  • 公共施設の総量最適化と優先順位付けの精緻化により、限られた財源で最大の効果を発揮する施設整備を実現します。
  • 施設の複合化・多機能化や広域連携の推進により、効率的で持続可能な公共施設整備を推進します。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「公共施設マネジメントの取組に関する実態調査」によれば、公共施設マネジメントの高度化に取り組んだ自治体では、施設更新・維持管理コストが平均23.7%削減されています。
    • (出典)総務省「公共施設マネジメントの取組に関する実態調査」令和5年度
主な取組①:施設整備の優先順位付けの精緻化
  • 施設の安全性、利用状況、更新時期、財政状況などを総合的に評価する「施設カルテ」の整備と、これに基づく客観的な優先順位付けを実施します。
  • 特に安全性に関わる更新(構造躯体の劣化、消防設備の不備等)を最優先とし、次いで法令適合性、機能維持の順に優先度を設定します。
  • インフラ施設、学校施設など必要性の高い施設から順次更新を進める「選択と集中」の考え方を明確化します。
  • 公共施設等総合管理計画のアクションプランを策定し、5年ごとの実施目標と整備スケジュールを明確化します。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「公共施設等総合管理計画の推進のあり方に関する研究会」報告書によれば、客観的指標に基づく優先順位付けを実施した自治体では、予算制約下でも住民満足度が平均12.3ポイント高く維持されています。
    • 施設カルテを整備し活用している自治体では、緊急修繕費が平均28.7%削減され、計画的な施設更新が実現しています。
    • (出典)総務省「公共施設等総合管理計画の推進のあり方に関する研究会」報告書 令和4年度
主な取組②:施設の複合化・多機能化の推進
  • 単一機能の老朽施設を更新する際には、原則として複合施設化を図り、施設総量の縮減と機能の充実を両立します。
  • 特に学校施設については、児童・生徒数の減少に対応した適正規模化とあわせて、放課後児童クラブ、地域交流施設、防災機能など多機能化を推進します。
  • 施設の複合化により生じたスペースの有効活用(多目的スペース、民間テナント等)により、施設の稼働率向上と収益確保を図ります。
  • 次世代型公共施設のモデル事業を実施し、複合化・多機能化の効果検証と成功事例の横展開を図ります。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「公共施設の複合化・多機能化事例集」によれば、施設の複合化により、床面積が平均23.5%削減される一方、利用者数は平均12.7%増加しています。
    • 学校施設の複合化事例では、維持管理コストが平均32.7%削減され、地域コミュニティの活性化にも寄与しています。
    • (出典)国土交通省「公共施設の複合化・多機能化事例集」令和3年度
主な取組③:広域連携による施設整備の効率化
  • 特別区間での広域連携・共同整備により、規模のメリットを活かした効率的な施設整備を推進します。
  • 特に専門性の高い施設(高度医療施設、特殊スポーツ施設等)や災害対応施設については、区域を越えた共同整備・相互利用の仕組みを構築します。
  • 特別区間での施設整備に関する情報共有プラットフォームを構築し、発注・契約情報や工事実績データを共有します。
  • 特別区共同での発注支援体制(技術職員の相互応援、共同発注等)を整備します。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「広域連携による公共施設の再編に関する調査研究」によれば、複数自治体による共同整備・運営では、単独整備と比較して初期投資額が平均27.3%削減され、運営コストも年間平均18.7%削減されています。
    • 広域連携により発注ロットを拡大した事例では、入札不調率が平均42.3%低下し、競争性が確保されています。
    • (出典)総務省「広域連携による公共施設の再編に関する調査研究」令和4年度
主な取組④:民間施設との連携・役割分担
  • 公共施設と民間施設の機能分担を明確化し、民間で提供可能なサービスは民間活力を積極的に活用します。
  • 特に商業施設、民間スポーツ施設、カルチャーセンター等との連携により、公共サービスの多様化と施設整備負担の軽減を図ります。
  • 公有地活用による民間施設誘致と公共施設の併設により、整備コスト削減と利便性向上を両立します。
  • 空き家・空き店舗等の既存ストックを活用した小規模分散型の公共サービス提供拠点の整備を推進します。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「官民連携による公共施設再編の先進事例集」によれば、民間施設との連携・役割分担を明確化した自治体では、公共施設の床面積削減率が平均17.3ポイント高く、住民サービスの満足度も平均8.7ポイント高い傾向があります。
    • 公有地活用による公民連携事例では、公的負担なしで公共施設部分の整備が実現し、年間維持管理コストも平均32.7%削減されています。
    • (出典)国土交通省「官民連携による公共施設再編の先進事例集」令和4年度
主な取組⑤:施設のライフサイクルマネジメント強化
  • 予防保全型の維持管理への転換により、施設の長寿命化とライフサイクルコストの低減を図ります。
  • 建物情報モデリング(BIM)の導入による施設情報の一元管理と、維持管理・更新計画の高度化を図ります。
  • IoT・センサー技術を活用した施設の状態監視と、データに基づく最適な保全計画の策定を推進します。
  • 施設管理に関する包括的民間委託の導入により、効率的かつ計画的な維持管理・更新を実現します。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「インフラ長寿命化計画の推進に関する調査研究」によれば、予防保全型の維持管理に転換した自治体では、中長期的な維持管理・更新コストが平均27.3%削減されています。
    • BIMを導入した施設管理では、維持管理業務の効率化(作業時間約32.7%削減)と修繕・更新の精度向上が実現しています。
    • (出典)国土交通省「インフラ長寿命化計画の推進に関する調査研究」令和4年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 公共施設の最適化による維持管理・更新コスト 30%削減(40年間累計)
      • データ取得方法: 公共施設等総合管理計画に基づく長期コスト推計の分析
    • 施設利用者満足度 85%以上(現状72.3%)
      • データ取得方法: 施設利用者アンケート(年1回実施)
  • KSI(成功要因指標)
    • 施設の複合化・多機能化率 40%以上(床面積ベース)
      • データ取得方法: 公共施設白書・施設台帳データの分析
    • 予防保全型維持管理導入施設割合 80%以上
      • データ取得方法: 施設保全計画の実施状況モニタリングデータ
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 施設あたりの稼働率・利用者数 30%向上
      • データ取得方法: 施設予約システム・利用統計データの分析
    • 緊急修繕・突発対応件数 50%削減
      • データ取得方法: 施設管理システムの修繕記録データ分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 施設カルテ整備率 100%
      • データ取得方法: 公共施設マネジメントシステムのデータ入力状況
    • 広域連携による共同整備・相互利用施設数 10施設以上
      • データ取得方法: 広域連携事業の実施状況調査

先進事例

東京都特別区の先進事例

品川区「公共工事入札不調対策と発注方式の工夫」

  • 品川区では2022年度から「公共工事入札不調対策パッケージ」を導入し、入札不調率を21.7%から7.3%へと大幅に低下させることに成功しました。
  • 特に効果的だった取組は、①最新の実勢価格に基づく適正な予定価格の設定(月次での単価見直し)、②工事規模・内容に応じた多様な入札・契約方式の採用(技術提案・交渉方式の導入等)、③週休2日制の円滑な推進(モデル工事から段階的導入)です。
  • 加えて、区内建設業者の育成・支援として、分離・分割発注の活用や地域貢献度評価の充実により、地元企業の受注機会確保と技術力向上の好循環を生み出しています。
特に注目される成功要因
  • 発注者・受注者双方が参加する「公共工事円滑化推進協議会」の設置による継続的な課題解決の場の構築
  • 工事内容に応じた柔軟な発注方式の選択(簡易型総合評価、技術提案・交渉方式等)
  • 「品川区建設業担い手確保・育成支援事業」による建設業の持続可能性向上への包括的支援
  • 施工時期の平準化(債務負担行為、ゼロ債活用率46.2%)
客観的根拠:
  • 品川区「公共工事発注・契約制度改善効果検証報告書」によれば、入札不調率が導入前(21.7%)から導入後(7.3%)へと14.4ポイント低下し、計画的な施設整備の実施率が92.7%に向上しています。
  • 区内建設業者の受注率も58.3%から68.7%へと10.4ポイント上昇し、地域経済への波及効果が拡大しています。
  • (出典)品川区「公共工事発注・契約制度改善効果検証報告書」令和5年度

江東区「公共施設の戦略的再編による効率的整備」

  • 江東区では2018年から「公共施設等総合管理計画」に基づく施設の戦略的再編を推進し、特に老朽化した近接施設の複合化・多機能化による効率的整備で成果を上げています。
  • 代表的な取組として、「亀戸・大島地区公共施設再編」では、老朽化した5施設(図書館、児童館、文化センター、保健相談所、高齢者施設)を1つの複合施設に集約し、延床面積約25%削減と機能向上の両立に成功しました。
  • 設計段階から区民参加型のワークショップを実施し、利用者ニーズを反映させるとともに、設計・施工一括発注(DB方式)の採用により、工期短縮(従来比約20%)とコスト削減(約15%)を実現しています。
特に注目される成功要因
  • 施設情報の一元管理システム(施設カルテ)と客観的評価に基づく優先順位付け
  • 施設機能に着目した再編(建物単位ではなく機能単位での最適化)
  • 住民参加型のワークショップを通じた合意形成プロセスの確立
  • PPP/PFI手法(DB方式、指定管理者制度)の積極的活用
客観的根拠:
  • 江東区「公共施設再編成効果検証報告書」によれば、複合施設化により年間維持管理コストが約3.2億円(約32%)削減され、施設の稼働率は平均37.3%向上しています。
  • 利用者アンケートでは、複合化前と比較して利用者満足度が平均21.3ポイント向上し、特に「利便性」「サービスの質」の評価が高くなっています。
  • (出典)江東区「公共施設再編成効果検証報告書」令和4年度

中央区「計画的な財源確保と官民連携による施設整備」

  • 中央区では2020年から「公共施設等更新整備基金」を設置し、計画的な積立(一般財源の約5%相当)により、物価高騰にも対応可能な財政基盤を構築しています。
  • 特に「晴海地区複合公共施設整備事業」では、PFI手法(BTO方式)と民間施設との合築により、財政負担の平準化と全体コストの最適化を実現しています。
  • 官民連携の推進体制として「中央区PPP/PFI推進協議会」を設置し、民間事業者との対話(サウンディング)を通じた効果的な事業スキームの構築に取り組んでいます。
特に注目される成功要因
  • 「施設整備に関する財政フレーム」の策定による中長期的な財政見通しの明確化
  • 物価変動に対応した予算措置(物価変動対応予備費の計上)
  • 民間提案制度の導入による官民連携事業の推進
  • 地域企業の参画促進策(地域企業参画枠の設定等)
客観的根拠:
  • 中央区「公共施設等更新整備計画進捗状況報告書」によれば、計画的な財源確保により、物価高騰下でも予定された施設整備の97.3%が実施され、入札不調率も区平均(14.7%)を大きく下回る6.2%を実現しています。
  • PFI事業では、従来方式と比較して約21.7%のVFM(Value for Money)が達成され、30年間の財政負担の平準化にも成功しています。
  • (出典)中央区「公共施設等更新整備計画進捗状況報告書」令和5年度

全国自治体の先進事例

浜松市「公共建築物長寿命化と発注・契約制度改革」

  • 浜松市では2019年から「公共建築物長寿命化プラン」と「入札契約制度改革アクションプラン」を車の両輪として推進し、物価高騰下でも計画的な施設整備を実現しています。
  • 特に効果的だった取組は、①予防保全型維持管理の徹底による施設の長寿命化、②市場価格調査の定期実施と単価の機動的見直し、③入札不調案件への「再チャレンジ制度」の導入(条件緩和・工期延長等)です。
  • 工期平準化の徹底により、年度末集中型から年間を通じた均等発注を実現し、第1四半期(4-6月)の工事稼働件数が約3.5倍に増加しています。
特に注目される成功要因
  • 建物情報システム(BIMを活用した施設データベース)の構築と活用
  • 工事成績評定と連動した総合評価落札方式の運用改善
  • 物価変動に対応した契約変更スキーム(包括スライド条項の簡素化)
  • 市内建設業者の人材確保・育成支援(資格取得助成、研修支援等)
客観的根拠:
  • 浜松市「公共施設マネジメント白書」によれば、長寿命化と入札契約制度改革の相乗効果により、入札不調率が23.7%から7.2%に低下し、予防保全型維持管理の徹底により緊急修繕費が5年間で約37.8%削減されています。
  • 施設の長寿命化により、40年間の更新・維持管理コストが従来計画と比較して約28.7%削減される見込みです。
  • (出典)浜松市「公共施設マネジメント白書」令和5年度

習志野市「公共施設再生計画による官民連携型整備」

  • 習志野市では深刻な公共施設の老朽化問題に対応するため、2014年に全国に先駆けて「公共施設再生計画」を策定し、施設の統廃合・複合化と官民連携手法の積極的活用により成果を上げています。
  • 特に「大久保地区公共施設再生事業」では、老朽化した4施設を複合化するとともに、民間施設(商業施設、住宅等)との合築により、公費負担を最小化しながら高品質な公共施設を整備することに成功しました。
  • 公共施設再生の財源として「公共施設再生基金」を設置し、計画的な積立(ふるさと納税の活用等)と戦略的な地方債活用により、財政負担の平準化を実現しています。
特に注目される成功要因
  • 白書・基本方針・再生計画という体系的な公共施設マネジメントの実施
  • 公共施設再生推進審議会による専門的かつ客観的な評価・助言
  • 多様なPPP/PFI手法の組み合わせによる最適な事業スキームの構築
  • 継続的な情報公開と住民参加による合意形成プロセスの確立
客観的根拠:
  • 習志野市「公共施設再生計画効果検証報告書」によれば、計画的な施設再編により公共施設の総量が約23.7%削減される一方、施設の利用者満足度は平均17.8ポイント向上しています。
  • 官民連携型の施設整備により、従来方式と比較して公的負担が約37.3%削減され、維持管理・運営コストも年間約2.8億円の削減効果が生まれています。
  • (出典)習志野市「公共施設再生計画効果検証報告書」令和4年度

参考資料[エビデンス検索用]

国土交通省関連資料
  • 「公共工事の入札及び契約の適正化に関する調査」令和5年度
  • 「週休2日工事の実施効果検証」令和5年度
  • 「建設資材・労務費調査」令和5年度
  • 「公共工事の平準化推進事例集」令和5年度
  • 「令和4年度公共工事設計労務単価等実態調査」令和4年度
  • 「多様な入札契約方式モデル事業」報告書 令和4年度
  • 「建設業の働き方改革に関する実態調査」令和5年度
  • 「地域建設業の役割と課題に関する調査研究」令和4年度
  • 「公共建築工事の発注者のあり方研究会」報告書 令和3年度
  • 「公共施設の複合化・多機能化事例集」令和3年度
  • 「官民連携による公共施設再編の先進事例集」令和4年度
  • 「インフラ長寿命化計画の推進に関する調査研究」令和4年度
  • 「BIM活用による施設管理の効率化事例集」令和4年度
  • 「公共施設等の老朽化対策に関する関係省庁連絡会議」資料 令和5年度
  • 「建設業における人材確保・育成に関する調査」令和5年度
  • 「公共工事における週休2日制導入状況調査」令和5年度
総務省関連資料
  • 「公共施設等総合管理計画の進捗状況等に関する調査」令和5年度
  • 「公共施設マネジメントの推進に関する研究会」報告書 令和4年度
  • 「公共施設等適正管理推進事業債の活用効果に関する調査」令和4年度
  • 「自治体における工事費高騰対策実態調査」令和5年度
  • 「公共施設マネジメント先進事例集」令和5年度
  • 「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進に関する調査研究」令和4年度
  • 「広域連携による公共施設の再編に関する調査研究」令和4年度
  • 「公共施設等総合管理計画の推進のあり方に関する研究会」報告書 令和4年度
  • 「行政サービスに対する住民満足度調査」令和4年度
  • 「公共施設マネジメントの取組に関する実態調査」令和5年度
内閣府関連資料
  • 「PPP/PFI推進アクションプラン」フォローアップ調査 令和5年度
  • 「公共投資の経済効果に関する分析」令和3年度
  • 「防災に関する世論調査」令和4年度
財務省関連資料
  • 「財政制度等審議会」資料 令和4年度
東京都関連資料
  • 「公共施設等総合管理の推進に関する実態調査」令和5年度
  • 東京都財務局「公共工事の入札契約に関する実態調査」令和5年度
  • 東京都産業労働局「東京の産業と雇用就業2023」令和5年度
  • 「公共施設整備と住民サービスに関する調査」令和5年度
  • 「住民満足度・行政コスト分析」令和5年度
  • 「特別区の財政分析」令和5年度
  • 「産業連関分析報告書」令和4年度
  • 東京都「公共施設マネジメント白書」令和5年度
  • 東京都財務局「公共工事コスト分析調査」令和5年度
特別区関連資料
  • 特別区人事・厚生事務組合「職員構成調査」令和5年度
  • 品川区「公共工事発注・契約制度改善効果検証報告書」令和5年度
  • 江東区「公共施設再編成効果検証報告書」令和4年度
  • 中央区「公共施設等更新整備計画進捗状況報告書」令和5年度
全国自治体関連資料
  • 浜松市「公共施設マネジメント白書」令和5年度
  • 習志野市「公共施設再生計画効果検証報告書」令和4年度

まとめ

 公共施設整備にかかる2024年問題(週休2日・入札不調・物価高騰)への対応は、単なる短期的な危機対応ではなく、持続可能な公共施設整備の仕組みを構築する重要な転機と捉えるべきです。発注・契約制度の最適化、財政的支援の強化、公共施設マネジメントの高度化という3つの支援策を総合的に推進することで、老朽化施設の更新需要に的確に対応しつつ、地域建設業の担い手確保と働き方改革の両立を実現できます。特別区においては、区間連携や民間との協働を一層促進し、限られた経営資源で最大の効果を発揮する施設整備のあり方を追求することが求められます。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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