04 東京都

都区財政調整とは?令和8年度算定結果と特別区の実務への影響

masashi0025

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

出典:東京都「令和8年度都区財政調整算定結果について(要旨)」令和8年度8月7日

概要

 東京都は2026年8月7日、令和8年度都区財政調整の区別算定結果(当初算定)を発表し、各特別区に対する交付額が決定しました。特別区に交付する普通交付金の額は1兆2,635億91百万円で、前年度に比べ496億17百万円、4.1%の増となり、5年連続の増額です。交付金の財源である調整税等のうち、固定資産税や市町村民税法人分の増が総額を押し上げました。

 今年度も交付区21区・不交付区2区となりました。港区と渋谷区は、基準財政収入額が基準財政需要額を上回り財源不足額が生じないため、引き続き不交付区です。2区の財源超過額は合計441億3百万円と前年度から32.3%拡大しており、ここに今年度の構造的な特徴が表れています。交付区21区の交付額は前年度比で18区が増額、3区が減額です。23区合計の基準財政収入額は1兆6,542億28百万円(前年度比9.6%増)、基準財政需要額は2兆8,737億15百万円(同6.8%増)で、いずれも5年連続の増額となりました。

 需要額の算定では、特別区の実態等を踏まえ、7項目の新規算定と29項目の算定改善等、その他1項目の算定が行われました。高校生等医療費助成事業費36億27百万円と帯状疱疹の予防接種費21億11百万円が新規に算定されたほか、小・中学校運営費の光熱水費90億72百万円の増額、保育料第一子無償化に係る経費56億48百万円の増額などが盛り込まれています。当初算定の確定は、各区の年度後半の財政運営と令和9年度予算編成の出発点となる、特別区の財政実務にとって一年で最も重要な発表の一つです。

意義

特別区財政の背骨としての都区財政調整

 都区財政調整は、特別区がひとしくその行うべき事務を遂行できるよう、都が課する市町村税の一部を調整税等とし、その一定割合を特別区財政調整交付金として交付する制度です。調整税等は固定資産税、市町村民税法人分、特別土地保有税に法人事業税交付対象額と固定資産税減収補塡特別交付金を合わせたもので、その56%が特別区に配分されます。交付金には普通交付金と特別交付金があり、総額に占める割合は94対6です。普通交付金は、基準財政需要額が基準財政収入額を超える区にその差額(財源不足額)を交付するもので、多くの区にとって特別区税と並ぶ一般財源の柱となっています。当初算定の結果は、単なる統計ではなく、各区の今年度の台所事情そのものを決める数字です。

「大都市の一体性」と「23区の均衡」を支える仕組み

 昼間人口の集中する都心区には固定資産税や法人課税の税源が集積する一方、住宅都市の性格が強い区では行政需要に対して税源が相対的に乏しくなります。仮に市町村税がそのまま各区の収入になるとすれば、区の間の財政力格差は行政サービスの水準格差に直結しかねません。都区財政調整は、大都市東京の一体性を保ちながら、どの区に住んでも標準的な行政サービスが受けられるよう財源を均衡させる、都区制度の背骨といえる仕組みです。算定結果はその均衡の現在地を毎年映し出します。

財源超過額の拡大が示す構造

 令和8年度も港区と渋谷区の2区で基準財政収入額が需要額を上回り、不交付となりました。注目すべきは財源超過額の拡大です。2区合計で441億3百万円と、前年度の333億29百万円から32.3%増えました。地価・再開発を背景とする固定資産税等の集積と好調な特別区民税により、調整してもなお財源が余る状態が固定化し、その超過幅が広がっている状況は、23区の財政力の二極化が深まっていることを示しています。不交付区の存在は制度の設計どおりの結果である一方、財調制度の意義や算定のあり方をめぐる都区・区相互の議論に、論点を投げかけ続けるものでもあります。

需要算定は「23区共通の標準」の毎年の更新

 基準財政需要額の算定項目は、23区が共通に担う標準的な行政の姿を金額で表現したものです。新規算定や算定改善は、物価上昇や新たな行政課題を「標準」に反映させる作業であり、高校生等医療費助成や帯状疱疹予防接種の新規算定は、これらの施策が23区共通の標準事務として財源保障の対象になったことを意味します。各区の事業所管課にとっても、自らの事業の財源的裏付けに関わる重要な更新です。

歴史・経過

制度の創設:1965年

 都区財政調整制度は、1965年(昭和40年)施行の地方自治法改正により法定化されました。都が大都市行政の一体性確保のために市町村税の一部を都税として徴収し、特別区に配分するという現行の枠組みの原型が、ここで整えられました。

都区制度改革:2000年

 2000年の都区制度改革で、特別区は基礎的な地方公共団体と位置付けられ、清掃事業などの事務が都から区へ移管されました。これに伴い財源配分も見直され、調整税等の特別区への配分割合(配分率)は、改革前の44%から52%へ引き上げられました。

配分率の変遷:2007年・2020年

 2007年度には、三位一体改革への対応等をめぐる都区協議を経て配分率が55%となりました。さらに2020年度には、特別区による児童相談所の設置・運営を踏まえた特例的な対応として55.1%へ変更されました。配分率は都区間の事務と財源の分担を映す数字であり、その変更は常に都区協議の大きな論点となってきました。

56%への引上げと94対6への変更:2025年度

 2025年度(令和7年度)には、2025年2月の都区協議会での合意を経て、配分率が55.1%から56%へ引き上げられ、あわせて交付金総額に占める普通交付金と特別交付金の割合が95対5から94対6に変更されました。配分率の引上げは、児童相談所の設置が都と特別区の役割分担の大幅な変更に当たるとして関連経費の財源を担保するものです。一方、特別交付金の割合の引上げは、能登半島地震の教訓を踏まえて首都直下地震等への備えとなる災害対応の財源を充実させる趣旨によるもので、それぞれ異なる文脈から合意されました。令和8年度の算定も、この新しい枠組みの下で行われています。

不交付の固定化と超過額の拡大:平成20年度から

 普通交付金の不交付は、令和8年度に始まった現象ではありません。港区は、特別区長会が公表する区別算定結果で確認できる平成20年度以降、令和8年度まで19年連続で不交付が続いています。渋谷区は平成21・22年度や平成29年度にも不交付となり、交付と不交付の間を行き来した後、令和3年度から6年連続で不交付です。「交付区21区・不交付区2区」の構図は令和3年度から続いており、令和8年度の特徴は、2区の財源超過額が前年度の333億29百万円(港区283億47百万円・渋谷区49億82百万円)から441億3百万円(港区339億46百万円・渋谷区101億57百万円)へと32.3%拡大したことにあります。

令和8年度当初算定の確定:2026年8月7日

 こうした制度の変遷の上に、2026年8月7日、令和8年度の当初算定結果が発表されました。この後、各区への交付は算定結果に基づいて進み、年度内には当初算定で配り切れなかった財源等を踏まえた再調整が行われるのが例年の流れです。特別交付金は、年度途中に生じる災害等の特別の財政需要に対応して交付されます。

現状データ

交付金のフレーム:調整税等2兆4,106億円

調整税等の総額と内訳

 令和8年度当初算定における調整税等の総額は2兆4,106億27百万円で、前年度比4.3%の増となりました。内訳は、固定資産税1兆5,403億60百万円(同1.6%増)、市町村民税法人分7,678億71百万円(同10.0%増)、法人事業税交付対象額1,023億86百万円(同4.8%増)などです。調整税等の約64%を固定資産税が、約32%を市町村民税法人分が占めており、好調な企業収益を背景とする法人分の10%増が総額の伸びをけん引しました。

交付金総額は1兆3,603億88百万円

 調整税等に56%を乗じた当年度分に精算分を加えた交付金の総額は1兆3,603億88百万円(前年度比4.8%増)で、内訳は普通交付金分が94%の1兆2,787億65百万円、特別交付金分が6%の816億23百万円です。普通交付金分の総額に対し、当初算定で各区に配分された普通交付金は1兆2,635億91百万円であり、差引き約152億円が当初算定残として、今後の再調整等の原資となる見込みです。

収入と需要:いずれも5年連続増

基準財政収入額:9.6%増の高い伸び

 23区合計の基準財政収入額は1兆6,542億28百万円で、前年度比1,445億53百万円、9.6%の増となりました。雇用・所得環境の改善を背景に特別区民税が1兆1,693億39百万円(同8.4%増)と伸びたほか、個人消費の堅調な推移等により地方消費税交付金が2,846億9百万円(同13.0%増)、株式等譲渡所得割交付金が592億6百万円(同64.9%増)と大きく増加しました。区別では、全ての区で基準財政収入額が増額となっています。

基準財政需要額:物価と投資が押し上げ

 基準財政需要額は2兆8,737億15百万円で、前年度比1,833億96百万円、6.8%の増です。内訳は経常的経費2兆2,634億87百万円(同5.2%増)、投資的経費6,102億28百万円(同13.2%増)で、施設の更新・整備需要を反映した投資的経費の二桁の伸びが目立ちます。新規算定7項目・算定改善29項目等により、高校生等医療費助成事業費36億27百万円、帯状疱疹予防接種費21億11百万円の新規算定、小・中学校の光熱水費90億72百万円の増額、保育料第一子無償化経費56億48百万円の増額などが反映されました。

区別の姿:交付額の幅と不交付2区

最大は江戸川区の1,247億円、最少交付は千代田区の19億円

 交付区21区のうち普通交付金が最も多いのは江戸川区の1,247億33百万円で、足立区1,230億36百万円、練馬区1,124億47百万円が続きます。一方、交付区で最も少ないのは千代田区の18億74百万円です。人口規模や税源の構成によって、交付額には60倍を超える幅があり、財調が23区の行政水準を支える度合いは区によって大きく異なります。

不交付2区の財源超過額は441億円

 港区は基準財政収入額1,228億61百万円が需要額889億15百万円を339億46百万円上回り、渋谷区は収入額809億29百万円が需要額707億72百万円を101億57百万円上回って、いずれも不交付となりました。前年度と比べた交付額の増減では、21交付区のうち18区が増額、3区が減額となっています。

政策立案の示唆

この取組を行政が行う理由

税源の偏在と行政需要のずれを埋める

 事業所や高額な資産が集積する区に税源が集中する一方、行政需要は人口や高齢化、施設の状況に応じて全区に存在します。市町村税の一部を都税として一体的に徴収し、需要に応じて配分する財政調整は、この税源と需要の地理的なずれを埋める唯一の恒常的な仕組みであり、23区がひとしく基礎的自治体としての事務を担うための財政的前提です。

算定という「共通言語」の維持

 基準財政需要額の算定は、23区の標準的な行政水準を毎年度、金額で定義し直す作業です。この共通言語があるからこそ、物価上昇や新規施策の財源保障を23区一体で議論でき、都区協議も成立します。算定項目の新設・改善を続けること自体が、制度の生命線といえます。

行政側の意図

物価と新規施策を「標準」に取り込む

 光熱水費の増額算定や保育料第一子無償化経費の増額は、物価上昇と子育て施策の拡充という現実の行政コストを需要額に反映させるものです。高校生等医療費助成や帯状疱疹予防接種の新規算定は、各区が先行実施してきた施策や制度化された予防接種を、23区共通の標準事務として財源保障の対象に加える判断であり、算定には都区の政策的な優先順位が表れています。

好調な歳入局面でも算定の規律を保つ

 収入額の伸び(9.6%)が需要額の伸び(6.8%)を上回った結果、普通交付金の伸びは4.1%にとどまりました。歳入が好調な局面でこそ、需要額の算定を実態に即して精査し、交付金の伸びを規律あるものに保つという運用は、財源の不安定性を踏まえた制度の持続可能性への配慮と読むことができます。

期待される効果

区の政策の安定財源となる

 新規算定・算定改善により、高校生等医療費助成や予防接種、学校運営費などの経費が需要額に位置付けられたことは、各区がこれらの施策を安定的に継続するための財源的裏付けとなります。単年度の補助金と異なり、標準需要としての算定は制度的な継続性を持つ点で、区の政策の予見可能性を高めます。

年度後半の財政運営の確度が高まる

 当初算定の確定により、各区は今年度の一般財源の規模をほぼ確定的に見込めるようになります。補正予算の編成、基金への積立てや取崩しの判断、起債の要否など、年度後半の財政運営の判断材料が揃い、令和9年度予算のフレーム検討にも接続していきます。

課題・次のステップ

法人関係税収への依存という不安定要因

 今年度の増額をけん引した市町村民税法人分(10.0%増)は、景気動向に最も敏感な税目です。企業収益が悪化すれば調整税等は減少に転じ、交付金総額を直撃します。株式等譲渡所得割交付金の64.9%増も市場環境次第で反転し得る性質のものであり、好調な算定結果を恒常的な歳出拡大の根拠とすることには慎重さが求められます。

財源超過の拡大が投げかける制度論

 財源超過額の拡大は、税源の集積が続く限り、不交付の固定化やさらなる広がりにつながる可能性を示唆します。不交付区にとっての財調制度の意味、大都市事務の分担と配分率のあり方、需要算定の精度など、都区協議で議論すべき論点は増えており、23区側も区の間で利害が一様でないことを前提とした合意形成が必要になります。

算定と実態の乖離の検証

 需要額の算定が各区の実際の行政コストをどこまで的確に捉えているかは、継続的な検証が必要です。特に投資的経費は施設更新需要の増大局面にあり、算定と実際の更新コストの乖離が広がれば、区の財政運営に無理が生じます。決算との突合による検証を、区側からも発信していくことが重要です。

特別区への示唆

自区の算定内訳を読み解き、財政運営に落とし込む

 当初算定の確定を受けて、まず行うべきは自区の算定内訳の分析です。収入額・需要額の増減要因を前年度と比較し、当初予算で見込んだ財調交付金額との差を把握することで、補正予算の編成余地や基金積立ての方針が定まります。例年の流れでは年度内に再調整が行われ、当初算定残や税収の上振れ分等が追加交付されており(令和7年度は再調整で普通交付金473億円を追加交付)、その見込みも織り込んだ資金計画が実務の要点になります。

新規算定項目を所管課に周知する

 高校生等医療費助成や帯状疱疹予防接種の新規算定、学校光熱水費や保育料無償化経費の増額算定は、財政課だけが知っていても意味が半減します。関係する事業所管課に「この事業は需要額に算定された」ことを伝えることで、事業の安定性への理解が深まり、次の算定改善要望の材料も現場から集まりやすくなります。

令和9年度予算編成への接続は保守的に

 収入額9.6%増という数字は心強い一方、その中身は法人関係税収や金融市場関連の変動しやすい財源を含みます。令和9年度予算の歳入見積りでは、今年度の伸びをそのまま延長するのではなく、変動性の高い財源を切り分けて保守的に見込むことが、翌年度以降の下振れリスクへの備えになります。都も令和9年度予算の見積方針で法人関係税収の不安定さへの警戒を明記しており、都と特別区に共通する認識といえます。

都区協議の当事者としての備え

 配分率56%への引上げと94対6への変更は、都区協議の積み重ねの成果です。不交付区の拡大、児童相談所をはじめとする事務移管の進展、投資的需要の増大と、協議の論点はこれからも続きます。各区の財政課には、自区の実情をデータで示し、23区の中での立ち位置を踏まえて協議に臨む準備が、平時から求められます。

まとめ

 2026年8月7日に発表された令和8年度都区財政調整の当初算定は、普通交付金1兆2,635億91百万円(前年度比4.1%増・5年連続増)、交付区21区・不交付区2区という結果となりました。固定資産税と市町村民税法人分に支えられた調整税等の増加が交付金を押し上げる一方、不交付が続く港区・渋谷区の財源超過額は441億円へと32.3%拡大し、23区の財政力の二極化の深まりが数字に表れています。高校生等医療費助成や帯状疱疹予防接種の新規算定、光熱水費や保育料無償化経費の増額算定は、物価と政策の現実を「23区共通の標準」に取り込む毎年の営みの成果です。

 特別区の実務にとって、当初算定の確定は年度後半の財政運営の起点であり、令和9年度予算編成の前提です。自区の算定内訳の分析、新規算定項目の所管課への周知、変動性の高い財源を見極めた保守的な歳入見積り、そして都区協議への平時からの備え。好調な数字の年にこそ、その裏にある法人関係税収の不安定性と制度の構造変化を読み取り、次の一手を仕込むことが、財政担当者の腕の見せどころといえます。


\公務員をサポートする完全マニュアル/
【財政課】債務負担行為 完全マニュアル
【財政課】債務負担行為 完全マニュアル
\調べ物をするならまずココ/
行政用語集
行政用語集
\気になる財政課の仕事と転職事情/
公務員のお仕事図鑑(財政課)
公務員のお仕事図鑑(財政課)
\自分と周囲を守るために知っておこう/
公務員のためのクレーム対応・カスハラ対応講座
公務員のためのクレーム対応・カスハラ対応講座
\ウェルビーイング改善に向けた新たな動き/
公務員の副業・兼業
公務員の副業・兼業
\インフレの波を乗りこなし、周囲と差をつけよう/
公務員のための資産運用講座
公務員のための資産運用講座
ABOUT ME
行政情報ポータル
行政情報ポータル
あらゆる行政情報を分野別に構造化
行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。
記事URLをコピーしました