03 国

4号随契とは?スタートアップ調達を広げる総務省通知と特別区の実務

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

出典:総務省「地方公共団体におけるスタートアップからの調達の拡大に関する技術的な助言(通知)の発出」令和8年度8月4日

概要

 総務省は2026年8月4日、経済産業省と連携し、「地方自治法施行令第167条の2第1項第4号に基づく随意契約によるスタートアップからの調達の拡大について(通知)」を各地方公共団体に発出するとともに、全国の調達実態調査の結果と調達事例集を公表しました。通知は地方自治法第245条の4第1項に基づく技術的な助言であり、都道府県を通じて市区町村にも周知されます。

 4号随契とは、新商品の生産または新役務の提供により新たな事業分野の開拓を図る者として自治体の長の認定を受けた事業者から、随意契約で新商品・新役務を調達できる制度です。スタートアップ(創業10年未満の中小企業・小規模事業者)が開発する新技術の調達にも活用でき、2026年7月21日に閣議決定された日本成長戦略では、4号随契の実態調査を毎年度実施し、積極的な活用を促す助言と優れた事例の横展開を進める方針が明記されました。今回の通知と調査公表はその第一弾です。

 あわせて公表された調査結果は、制度の現在地を率直に示しています。調査対象期間(2023年4月1日から2025年7月18日まで)に4号随契による契約実績があったのは、全国1,788団体のうち29団体、わずか2%にとどまりました。契約実績の総数は190件で、うちスタートアップからの調達は79件です。制度創設から20年以上を経てなお活用が低調である一方、防災・教育・福祉などの現場で行政課題の解決につながった事例も着実に生まれています。公表された31の掲載事例に特別区の事例は見当たらず、少なくとも公表事例の上では、特別区はこれから最初の一件を作れる立ち位置にあります。

意義

「実績がない」の壁を越えるファーストカスタマーの制度

 スタートアップが公共市場に参入しようとするとき、最大の壁は「導入実績がない」ことです。実績を重視する従来の調達運用では、新しい技術ほど採用されにくく、最初の顧客がいなければ実績は永遠に生まれないという悪循環に陥ります。4号随契は、新規性のある商品・役務について、競争入札によらず自治体が「最初の顧客(ファーストカスタマー)」になることを法令上正面から認めた仕組みであり、この悪循環を断ち切る制度的な受け皿です。自治体の調達は単なる物品購入ではなく、地域の新技術を市場に送り出す産業政策の手段にもなり得ます。

制度創設20年、活用2%という現実

 4号随契は2004年に創設された決して新しくない制度です。それでも、契約実績のある団体は全国の2%にとどまり、指定都市を除く市区町村では1%にすぎません。制度が知られていない、随意契約への住民・議会の視線が気になる、認定手続に不安があるといった理由で、使える制度が使われてこなかったと考えられます。今回の通知は、この「制度と現場の距離」を埋めるために、国が運用の考え方を具体的に示した点に意義があります。

手続の不安を解く技術的助言

 通知は、一般競争入札が原則である地方公共団体の契約において、長が説明責任を果たしたうえであれば4号随契によることができると整理し、スタートアップからの新商品・新役務の調達では活用を積極的に検討するよう促しました。さらに、認定に必要な学識経験者の意見聴取は書面でも可能であること、経済産業省のJ-Startupプログラム選定審査で代替できること、他の自治体が確認した実施計画の写しがあれば意見聴取を省略できることなど、現場が二の足を踏みやすい手続論に具体的な解決策を示しています。「やってよいのか」「どうやればよいのか」という二つの不安に同時に答える内容です。

特別区にとっての意味:調達を政策手段に変える

 特別区は、スタートアップの集積地である東京に立地しながら、公表事例の上では4号随契の活用が見えない状況にあります。防災備蓄、学校教材、介護研修、窓口環境の改善といった掲載事例の多くは、特別区の現場にそのまま当てはまる課題です。区内・都内のスタートアップの技術で行政課題を解決し、その実績が企業の成長を後押しするという好循環は、産業振興と行政サービス向上を同時に狙える政策手段であり、調達部門と産業振興部門が連携する新しい行政運営の試金石にもなります。

歴史・経過

制度の創設:2004年

 4号随契は、2004年の地方自治法施行令改正(平成16年政令第344号)と地方自治法施行規則の改正(平成16年総務省令第131号)で創設されました。新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者を長が認定し、その者からの調達を随意契約で行えるようにする仕組みで、地域の中小企業の新製品を自治体が認定して率先購入する「トライアル発注」型の取組の受け皿となってきました。

手続の簡素化:2007年

 2007年には施行規則の改正(平成19年総務省令第27号)により契約手続の簡素化が図られました。しかし、その後も活用は広がらず、制度創設から20年以上を経過してもなお活用状況は低調であると、今回の通知自身が率直に認めています。

スタートアップ政策の本格化:2022年から2025年

 2022年11月、政府はスタートアップ育成5か年計画を決定し、公共調達の促進をスタートアップ支援の施策の一つに位置付けました。2025年には、スタートアップ等からの公共調達における知的財産の保護や調達の工夫に関するガイドラインが内閣官房・内閣府・経済産業省・総務省により作成され、自治体調達の環境整備が進みました。

東京都ファーストカスタマー・アライアンスの始動:2024年から2025年

 自治体側の先行例として、東京都は2024年11月に「ファーストカスタマー・アライアンス」(公共調達参入促進・自治体連携事業)を開始し、2025年3月には参画9自治体で稼働を始めました。一つの自治体が4号随契で調達した新商品等の情報を認定事例カタログとして共有し、他の自治体は施行規則の定める手続により実施計画の写しを活用して調達できる、広域的な調達の仕組みです。今回の総務省通知も、広域調達の参考例としてこの取組を明示的に参照しています。

政府方針の連打:2026年

 2026年に入り、政府方針が矢継ぎ早に打ち出されました。4月21日閣議決定の中小企業者に関する国等の契約の基本方針では、新規中小企業者の契約比率3%以上の目標達成に向け、地方公共団体にも準じた取組が求められました。5月20日には内閣官房がスタートアップ総力創出パッケージを策定し、自治体による調達強化を主要な方策の一つに据えました。そして7月21日、骨太の方針2026と日本成長戦略が閣議決定され、4号随契の毎年度調査・助言・横展開が政府の公式方針となりました。

通知の発出と調査結果の公表:2026年8月4日

 こうした流れを受けて、2026年8月4日、総務省自治行政局行政課長と経済産業省イノベーション・環境局イノベーション創出新事業推進課長の連名で通知が発出され、全都道府県・市区町村を対象とした調達実態調査の結果と31の調達事例が公表されました。実態調査は今後も毎年度実施される予定であり、各自治体には調達実績の整理が継続的に求められることになります。

現状データ

調査が示す活用の現在地

契約実績のある団体:1,788団体中29団体(2%)

 2023年4月1日から2025年7月18日までの調査対象期間に、4号随契による契約実績が「ある」と回答したのは、全国1,788団体のうち29団体(2%)でした。内訳は、都道府県が47団体中10団体(21%)、指定都市が20団体中9団体(45%)、指定都市を除く市区町村が1,721団体中10団体(1%)です。都道府県・指定都市で活用が先行する一方、市区町村レベルではほぼ手つかずという構図が明確に表れています。

契約実績190件:スタートアップからの調達は79件(42%)

 実績のある29団体の契約実績総数は190件で、物品の買い入れ・借り入れが133件(70%)、役務の提供が57件(30%)です。このうちスタートアップ(創業10年未満の中小企業・小規模事業者)からの調達は79件(42%)でした。1団体当たりでは年間数件程度の規模であり、活用団体においても、まだ試行段階にあることがうかがえます。

掲載31事例が示す活用の型

 公表された事例集には、横展開を希望する31件(スタートアップからの調達20件、それ以外11件)が掲載され、スタートアップからの調達20件は防災、教育・子育て、インフラ・交通、福祉、ビジネス、くらしの分野別に整理されています。相模原市は市のトライアル発注認定制度と組み合わせ、間伐材のおが屑を使った非常用トイレを防災訓練で活用しました。千葉市は下水道管内の点検に屋内空間特化型の小型産業用ドローンによる役務を調達し、作業員の安全確保と施設の安全性向上を両立させています。東京都内では八丈町が、小児科医・産婦人科医らの人材不足を補うオンライン相談サービスを調達し、子育て世帯の相談機会を確保しました。防災備蓄品から教員研修支援、介護研修動画、窓口職員の疲労軽減器具まで、現場の困りごとに直結した調達が並んでいることが特徴です。

特別区の姿:掲載事例はゼロ

 掲載された31事例の調達団体は、県や指定都市、一般市町村が中心で、特別区の事例は見当たりません。都内からは八丈町の1件のみです。スタートアップの集積という地の利を持つ特別区が、少なくとも公表事例の上では制度活用の空白地帯となっている事実は、逆にいえば、23区が動けば目立つ領域だということを意味します。

政府目標という追い風

調達比率3%目標と毎年度調査

 国等の契約の基本方針は新規中小企業者の契約比率3%以上を目標とし、骨太の方針2026は政府調達におけるスタートアップ比率3%目標の早期達成を掲げています。地方公共団体にも国に準じた取組が求められており、4号随契の実態調査が毎年度実施されることで、自治体ごとの活用状況は今後、経年で可視化されていくことになります。

政策立案の示唆

この取組を行政が行う理由

市場の失敗を正す「最初の顧客」

 新技術には実績がなく、実績がなければ売れないという構造は、市場に任せていては解けない典型的な市場の失敗です。公共部門が目利きを効かせて最初の顧客となることで、優れた技術の社会実装が始まり、後続の顧客が続く道が開けます。政府調達・自治体調達をスタートアップ育成の政策手段と位置付ける流れは、この経済的合理性に基づいています。

競争入札原則との整合を保つ枠組み

 地方公共団体の契約は一般競争入札が原則であり、随意契約は政令で定める場合に限られます。4号随契は、長の認定、実施計画の確認、学識経験者の意見聴取という手続を通じて、新規性・有用性を客観的に確認したうえで随意契約を認める仕組みであり、競争性の例外に説明責任の枠組みをセットで用意した制度です。行政がこの手続を丁寧に運用することが、住民・議会への説明可能性を担保します。

地域経済の担い手を育てる

 通知は、スタートアップからの調達が行政課題の解決や事務の効率化とともに、地域経済を支える中小事業者等の育成につながることを強調しています。調達を通じた実績づくりは、補助金とは異なり、事業者の売上と信用を直接生み出す支援であり、財政支出が行政サービスの対価として戻ってくる点でも合理的です。

行政側の意図

毎年度調査による「見える化」の圧力

 実態調査を毎年度実施し結果を公表する仕組みは、自治体ごとの活用状況を経年で可視化します。活用ゼロが続く団体には説明を促す静かな圧力となり、活用団体の事例は横展開の素材になります。予算や法改正を伴わずに行動変容を促す、EBPM的な政策手法といえます。

手続の柔軟化で「最初の一件」の壁を下げる

 学識経験者の意見聴取の書面実施、J-Startup審査による代替、他自治体の確認済み実施計画の写しの活用という三つの柔軟化は、いずれも認定事務の負担と不安を軽くするためのものです。特に写しの活用は、どこか一つの自治体が認定すれば他の自治体は手続を大幅に省略できる仕組みであり、全国で「最初の一件」が連鎖的に広がることを狙った設計です。

広域調達で小規模団体にも道を開く

 通知は、都道府県に対し、域内市町村等との広域的な調達の仕組みの構築を積極的に検討するよう求め、東京都のファーストカスタマー・アライアンスを参考例に挙げました。単独では認定事務や目利きが難しい小規模団体も、広域の仕組みに乗れば調達に参加できます。スタートアップ側にとっても、自治体ごとの個別調整コストが下がり、供給価格の低下につながると期待されています。

期待される効果

行政課題の解決と現場の改善

 掲載事例が示すように、4号随契の効果は防災、教育、福祉、インフラ点検、職員の執務環境まで幅広い現場に及びます。既製品では解決できなかった困りごとに、新技術が的確に応える調達が増えれば、住民サービスの質と職員の生産性の双方が向上します。

スタートアップの成長と地域への波及

 自治体調達で得た実績は、スタートアップにとって次の顧客への強力な信用となります。実績を得た企業が成長し、雇用と税収で地域に還元される好循環が生まれれば、調達は地域経済政策としても機能します。

職員の課題解決力の向上

 新技術の調達には、現場の課題を言語化し、解決手段を市場に探しに行く姿勢が必要です。4号随契の活用プロセスは、職員が前例踏襲ではなく課題起点で考える訓練の場にもなり、組織の課題解決文化を育てる副次効果が期待できます。

課題・次のステップ

随意契約への視線と説明責任

 随意契約の拡大には、公平性・透明性への住民・議会の厳しい視線が伴います。認定基準の明確化、実施計画の確認過程の記録、調達結果の公表など、説明責任を果たす運用をあらかじめ設計しておくことが、制度活用の持続可能性を左右します。安易な運用で不信を招けば、制度全体が委縮しかねません。

目利き能力と認定事務の負担

 新規性・有用性の判断には一定の専門性が必要であり、小規模な組織では学識経験者の確保や審査体制の構築が負担になります。J-Startup審査の代替活用や他自治体の確認済み実施計画の活用、広域の仕組みへの参画など、通知が示した省力化の選択肢を組み合わせる工夫が求められます。

効果検証と「次の顧客」への接続

 調達して終わりでは、行政課題の解決もスタートアップの成長も中途半端になります。導入効果の検証と結果の公表、効果が確認された商品・役務の他部署・他団体への紹介まで含めて、調達を一連のサイクルとして設計することが次の課題です。毎年度の実態調査は、その検証の節目としても活用できます。

特別区への示唆

空白地帯は先行者の機会:まず1件を作る

 掲載31事例に特別区がないという事実は、23区のどこが最初に動いても注目される状況を意味します。防災備蓄品、学校教材、介護研修、窓口環境改善といった掲載事例のパターンは、いずれも区の現場に共通する課題であり、身近な調達から始められます。まず1件の成功事例を作り、区の広報と実態調査への報告を通じて発信することが、産業振興のメッセージとしても効果的です。

契約規則と認定手続の整備状況を点検する

 4号随契は、施行令上「普通地方公共団体の規則で定める手続」により行うとされており、活用には区の契約規則や要綱に認定・調達の手続が整っていることが前提となります。自区の規則に4号随契の手続規定があるか、実施計画の確認や学識経験者の意見聴取の運用体制があるかを点検し、なければ整備することが最初の実務です。通知が認めた書面による意見聴取などの柔軟な運用も、要綱に反映しておくと使いやすくなります。

東京都ファーストカスタマー・アライアンスを活用する

 都のファーストカスタマー・アライアンスは、認定事例カタログを通じて、他団体が確認した実施計画を活用した調達の道を開いています。2025年3月の稼働開始時点の参画9自治体には文京区・墨田区・大田区・渋谷区の4つの特別区が既に名を連ねており、特別区にとって決して縁遠い仕組みではありません。参画やカタログ掲載製品の活用を入り口にすれば、単独で一から認定するよりはるかに低い負担で最初の調達に踏み出せます。今回の調査事例集でも、認定事例カタログの掲載製品と重なる調達事例(水中ドローン、下水道点検ドローン、会話のリアルタイム視覚化サービスなど)が各地の自治体で生まれており、広域の仕組みが横展開の土台になり得ることを示しています。

区の産業政策と調達をつなぐ

 相模原市のトライアル発注認定制度のように、地元事業者の新製品を認定し調達につなげる仕組みは、区の産業振興策と調達を接続するモデルです。区内スタートアップ・中小企業の認定制度を設け、認定製品を区が率先調達し、その実績を都のカタログや国の事例集に載せて全国に送り出す。産業振興部門と契約部門、事業所管課が連携すれば、特別区は「スタートアップのファーストカスタマー」として独自の存在感を発揮できます。

庁内周知が最初の一歩

 通知は、契約担当部局から庁内の調達担当部局へ広く展開するよう求めています。4号随契を実際に使うのは、防災、教育、福祉、施設管理といった事業所管課です。契約部門だけが知っていても調達は生まれません。通知と事例集を庁内に紹介し、現場の困りごとと新技術を結び付ける相談窓口を設けることが、費用をかけずに今すぐ始められる第一歩です。

まとめ

 2026年8月4日の総務省・経済産業省連名の通知と実態調査の公表は、創設から20年以上活用が低調だった4号随契を、スタートアップの社会実装を支える政策インフラとして再起動させる試みです。契約実績のある団体は全国の2%、市区町村では1%という数字は制度の眠りの深さを示す一方、防災から福祉まで31の掲載事例は、現場の困りごとを新技術で解決する調達の可能性を具体的に示しています。毎年度の調査と横展開、手続の柔軟化、広域調達の仕組みという三点セットで、国は「最初の一件」の壁を下げにきています。

 特別区は、スタートアップの集積地でありながら掲載事例ゼロという逆説的な立ち位置にあります。契約規則・手続の点検、東京都ファーストカスタマー・アライアンスの活用、産業政策との接続、そして庁内周知。いずれも大きな予算を要さずに始められる取組です。来年度以降も毎年度実施される実態調査は、各区の活用状況を静かに映し出していきます。次回の調査で「実績あり」と回答する側に立つか、公表事例のない状態が続くか。行政課題の解決と地域経済の育成を一度に狙えるこの制度に、まず1件から取り組む価値は十分にあります。


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