13 経済産業

研究開発施設等との連携

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(自治体における研究開発施設との連携を取り巻く環境)

  • 自治体が研究開発施設との連携を行う意義は「地域産業の持続的発展と競争力強化」と「イノベーションを核とした新たな地域価値の創出」にあります。
  • ここでいう研究開発施設との連携とは、大学や公設試験研究機関といった「学」の知見と、地域の中小企業を中心とする「産」の活力を、行政「官」と金融機関「金」が一体となって支援し、新たな技術やサービス、事業を創出する「産学官金連携」の取り組みを指します。
  • 人口減少やグローバルな競争激化といった社会構造の変化に直面する日本において、科学技術振興によるイノベーション創出は、持続的な経済成長を実現するための重要な鍵と位置づけられています。
    • (出典)総務省「地域経済の活性化に向けて」2024年
  • 特に、世界有数の研究機関と多様な産業が集積する東京都特別区にとって、この連携は単なる産業振興策にとどまらず、地域の魅力を高め、複雑化する社会課題を解決するための戦略的な手段となります。

意義

住民にとっての意義

雇用の創出と質の向上
  • 研究開発の成果が新事業や新産業として結実することで、専門性の高い高付加価値な雇用が地域内に生まれます。これにより、住民は地元で質の高いキャリアを築く機会を得ることができます。
    • (出典)新宿区「公民連携(PPP)の定義」2022年
生活の質の向上
  • 連携から生まれるイノベーションは、医療・健康、環境、防災、交通など、住民の生活に密接に関わる分野のサービスを向上させます。例えば、新たな医療技術による健康寿命の延伸や、スマートシティ技術による快適で安全な暮らしの実現が期待されます。
    • (出典)内閣府 経済財政諮問会議「資料4」2024年

地域社会にとっての意義

地域経済の活性化
  • 大学の「知」と企業の「活力」が結びつくことで、新製品・新サービスが生まれ、地域発のスタートアップが創出されます。これは、新たな税収や投資を呼び込み、地域経済全体に好循環をもたらします。
    • (出典)株式会社NTM「官民連携に取り組むことの4つのメリット」2023年
地域ブランドの向上と人材の集積
  • 「イノベーションが生まれる街」としてのブランドが確立されると、優秀な研究者、技術者、起業家、そして意欲的な若者が国内外から集まります。この人材の集積が、さらなるイノベーションを生み出す土壌となります。
    • (出典)J-Net21「【地域活性化】企業と自治体が連携するメリットと成功のポイント」2024年
地域課題の効果的解決
  • 高齢化対策、防災、環境問題といった地域固有の課題に対し、研究機関の専門的知見や企業の技術力を活用することで、より効果的で持続可能な解決策を見出すことができます。
    • (出典)内閣府 経済財政諮問会議「資料4」2024年

行政にとっての意義

持続可能な税収基盤の構築
  • 成長性の高いイノベーション志向の企業群を育成することで、安定的かつ持続可能な税収基盤を構築し、長期的な行財政運営の安定化に貢献します。
    • (出典)株式会社NTM「官民連携に取り組むことの4つのメリット」2023年
政策効果の最大化
  • 研究機関との連携を通じて、データに基づいた政策立案(EBPM)を推進できます。これにより、限られた行政資源を効果的に配分し、政策の効果を最大化することが可能になります。
    • (出典)東海村「原子力関連研究開発機関等との連携による地域振興の取組に関する成果報告書」2022年
シティプロモーションと競争優位の確立
  • 産学官連携の成功事例は、その地域が持つ先進性やポテンシャルを内外に示す強力なシティプロモーションのツールとなります。これにより、他の自治体に対する競争優位を確立し、企業誘致や投資促進にも繋がります。
    • (出典)J-Net21「【地域活性化】企業と自治体が連携するメリットと成功のポイント」2024年

(参考)歴史・経過

1980年代以前
  • 大学は基礎研究が中心で、産業界との連携は一部の例外を除き限定的でした。国の科学技術政策も、個別の研究助成が主でした。
    • (出典)文部科学省「科学技術・イノベーション白書」関連動画 2025年
1990年代
  • 1995年に「科学技術基本法」が制定され、国として科学技術振興に本格的に取り組む姿勢が示されました。大学の研究成果を社会に還元する仕組みとして、技術移転機関(TLO)の設立が推進され始めました。
    • (出典)文部科学省「第1章 産学官連携の意義と課題」
    • (出典)文部科学省「令和7年版 科学技術・イノベーション白書」関連資料 2025年
2000年代
  • 「知的財産基本法」(2002年)の制定や国立大学の法人化(2004年)が大きな転機となりました。大学は知的財産本部を設置し、組織として特許取得や企業との共同研究に積極的に取り組むようになります。特に、国の研究資金による発明の権利を大学が保有できる「日本版バイドール条項」が導入され、産学連携が飛躍的に加速しました。
    • (出典)会計事務所「産学官連携とは?仕組みや目的、企業のメリット・デメリットをわかりやすく解説」2024年
    • (出典)文部科学省「第1章 産学官連携の意義と課題」
2010年代
  • 単なる「連携」から、より深いパートナーシップを意味する「産学協創」へと概念が進化しました。大学発ベンチャーの創出支援や、Society 5.0に代表される社会課題解決型のイノベーション創出が重視されるようになりました。
    • (出典)首相官邸「「産学連携」から「産学協創」へ」
    • (出典)文部科学省「令和7年版 科学技術・イノベーション白書」関連資料 2025年
2020年代
  • デジタル・トランスフォーメーション(DX)の流れが加速し、経済安全保障の観点からも国内の技術基盤強化の重要性が高まっています。「令和7年版 科学技術・イノベーション白書」や「2025年版 中小企業白書」では、オープンイノベーションの推進やスタートアップ・エコシステムの強化が、国の成長戦略の柱として明確に位置づけられています。
    • (出典)文部科学省「令和7年版 科学技術・イノベーション白書」2025年
    • (出典)経済産業省「2025年版中小企業白書・小規模企業白書」2025年

研究開発施設との連携に関する現状データ

研究開発費の動向
  • 日本の大学部門における研究開発費は、主要国が軒並み増加させている中で横ばいが続いており、国立大学の運営費交付金も法人化以降減少傾向にあります。この結果、大学の研究活動は民間企業からの資金への依存度を高めています。
    • (出典)科学技術振興機構「科学技術・イノベーション白書を読み解く(2)基礎研究力の低下、回復への道筋は」2025年
  • 一方で、民間企業から大学等への研究資金受入額は増加傾向にあります。全国の大学等における民間企業からの研究資金受入額(共同研究、受託研究等)は、令和4年度の約1,386億円から、令和5年度には約1,483億円へと7.0%増加しました。
    • (出典)文部科学省「令和4年度 大学等における産学連携等実施状況について」2024年
    • (出典)文部科学省「令和5年度 大学等における産学連携等実施状況について」2025年
  • この構造は、行政が連携を仲介・支援することで、企業の投資を地域に呼び込み、大学の研究を活性化させる大きな機会があることを示唆しています。
研究者数と特許出願
  • 東京都は、日本の研究開発活動の中核を担っています。都内の研究者数は全国でも突出して多く、企業や大学が集積する大都市圏の特徴を明確に示しています。
  • 2016年から2020年にかけて、全国の研究者数は約4%増加しており、緩やかながらも研究人材の層は厚みを増しています。
    • (出典)科学技術・学術政策研究所「都道府県の科学技術活動に関する分析(2023年)」2023年
  • 特許出願件数において、東京都は全国の半数以上を占めており、イノベーション創出のポテンシャルが極めて高い地域であることがデータで裏付けられています。
    • (出典)科学技術・学術政策研究所「都道府県の科学技術活動に関する分析(2023年)」2023年
産学連携の実施状況
  • 大学と民間企業の共同研究は活発化しています。1件あたりの研究費受入額の平均は、令和4年度の約323万円から令和5年度には約330万円へと2.2%増加しており、より大規模で質の高い連携が増えていることがうかがえます。
    • (出典)文部科学省「令和4年度 大学等における産学連携等実施状況について」2024年
    • (出典)文部科学省「令和5年度 大学等における産学連携等実施状況について」2025年
  • 大学の知的財産収入も大幅に増加しています。特許権等の実施許諾による収入額は、令和4年度の約65.1億円から令和5年度には約81.2億円へと、1年間で26.1%も増加しました。これは、大学の研究成果が実用化・事業化に結びついている証左です。
    • (出典)文部科学省「令和4年度 大学等における産学連携等実施状況について」2024年
    • (出典)文部科学省「令和5年度 大学等における産学連携等実施状況について」2025年
中小企業の現状
  • 「2025年版 中小企業白書」は、中小企業のデジタル化における重要な課題を浮き彫りにしています。多くの企業がデジタル化の段階1(アナログ)から脱却しつつあるものの、業務変革を伴う段階4(DX)に進めている企業は増えておらず、むしろ減少傾向にさえあります。
    • (出典)中小企業庁「2025年の中小企業白書・小規模企業白書から読み解くDXの現在地」2025年
  • 特に、生成AIやRPAといった先端技術の導入は、売上高100億円規模の企業ですら緒に就いたばかりであり、中小企業全体で見ると活用の裾野は極めて狭いのが実情です。
    • (出典)中小企業庁「2025年の中小企業白書・小規模企業白書から読み解くDXの現在地」2025年
  • この事実は、行政の支援策を検討する上で極めて重要です。多くの中小企業は、高度な研究開発連携を行うための基礎的なデジタル対応力や経営体力が不足している「能力ギャップ」の状態にあります。したがって、単に大学とのマッチング機会を提供するだけでなく、中小企業自身の経営力や技術対応力を引き上げるための、より手厚い伴走支援が不可欠となります。
    • (出典)経済産業省「2025年版中小企業白書・小規模企業白書のポイント」2025年

課題

住民の課題

イノベーションの恩恵の偏在
  • 研究開発拠点の周辺や、一部の高度専門人材に富が集中し、イノベーションによる利益が地域全体に広く還元されない場合があります。これにより、他の住民が恩恵を実感できず、地域内での経済格差や疎外感を生む可能性があります。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府の調査では、産学官連携の成果を地域全体に波及させることが課題として認識されており、成功事例が一部に留まっている現状が示唆されています。
        • (出典)内閣府「地域における産官学連携の取組等に関する調査報告書」令和6年3月
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 地域内での経済格差やデジタルデバイドが拡大し、住民間の分断を深める可能性があります。

地域社会の課題

中小企業の技術的・経営的障壁
  • 多くの中小企業は、日々の経営に追われ、長期的な視点での研究開発投資を行う資金的・人的な余裕がありません。また、大学との連携交渉や知財管理など、専門的なノウハウを持つ人材も不足しています。
    • 客観的根拠:
      • 「2025年版 中小企業白書」では、中小企業の持続的発展には「経営力」の向上が不可欠であると強調されています。特に、経営者自身の学び直し(リスキリング)や、コストカット戦略から脱却した付加価値向上のための戦略策定が課題として挙げられています。
        • (出典)経済産業省「中小企業の持続的成長へ:2025年版中小企業白書のポイントをわかりやすく解説」2024年
        • (出典)経済産業省「2025年版中小企業白書・小規模企業白書のポイント」2025年
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 地域産業の空洞化や競争力低下を招き、経済の持続可能性が損なわれる恐れがあります。
大学シーズと企業ニーズのミスマッチ
  • 大学で生まれた優れた研究成果(シーズ)が、企業の求める市場性や実用性(ニーズ)と合致せず、事業化に至らない「死の谷」と呼ばれる現象が依然として大きな課題です。研究者と企業経営者の間には、目的意識や時間軸、文化的なギャップが存在します。
    • 客観的根拠:
      • 全国の自治体を対象とした調査で、産学連携における最大の課題として「大学の研究シーズと企業のニーズのマッチングが困難」という点が最も多く挙げられています。
        • (出典)内閣府「地域における産官学連携の取組等に関する調査報告書」令和6年3月
      • 経済産業省の調査でも、大学と企業の間で共同研究の「価値」や「文脈」に対する認識のズレが、連携を阻害する要因となっていると分析されています。
        • (出典)経済産業省「令和3年度 産学連携による共同研究創出の可能性に関する調査報告書」2022年
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 貴重な研究成果が死蔵され、イノベーションの機会が失われることで地域全体の成長が停滞します。

行政の課題

連携を担う専門人材(コーディネーター)の不足
  • 産学官連携を円滑に進めるには、技術と経営の両方を理解し、大学と企業の間を橋渡しする専門人材(コーディネーター)の存在が不可欠です。しかし、多くの自治体や支援機関では、こうした高度なスキルを持つ人材が質・量ともに不足しています。
    • 客観的根拠:
      • 「2025年版 中小企業白書」では、中小企業を支援する側の機関ですら、過半数で経営指導員が不足していると指摘されており、支援体制の強化が急務とされています。
        • (出典)経済産業省「2025年版中小企業白書・小規模企業白書の概要」2025年
      • 産学連携の成功事例では、専門コーディネーターが地域課題の解決をリードする重要な役割を担っており、その不在が連携の障壁となっていることが示唆されます。
        • (出典)リクルート進学総研「【産学連携のいま】地域課題を「自分ごと」化する仕掛けとは」2024年
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 支援策が計画倒れに終わり、予算を投じても具体的な成果に結びつかない非効率な行政運営を招きます。
支援制度の断片化と利用の煩雑さ
  • 研究開発に関する支援制度は、国、都道府県、区市町村など複数の機関から提供されていますが、それぞれ目的や要件が異なり、情報が分散しています。中小企業にとっては、自社に最適な制度を探し出し、複雑な申請手続きを行うことが大きな負担となっています。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府の調査によると、多くの自治体が国の交付金制度について、申請手続きの煩雑さや事務負担の大きさを連携推進のボトルネックと感じています。
        • (出典)内閣府「地域における産官学連携の取組等に関する調査報告書」令和6年3月
      • 過去の国の報告書でも、各種の連携支援策が有機的に機能しておらず、利用者にとって制度全体が分かりにくいという課題が指摘されていました。
        • (出典)文部科学省 科学技術・学術審議会「我が国の産学官連携の更なる推進に向けて」
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 本当に支援を必要とする中小企業が制度利用を諦めてしまい、政策が意図した効果を発揮できません。
知的財産(IP)マネジメントの複雑性
  • 共同研究における特許などの知的財産の取り扱い(権利の帰属、ライセンス料など)は、専門的な知識を要する非常に複雑な問題です。特に法務部門を持たない中小企業にとって、これは連携を進める上での大きな障壁となり、交渉の失敗や不利な契約に繋がるリスクがあります。
    • 客観的根拠:
      • 国の研究開発を推進する科学技術振興機構(JST)と、知的財産を支援する工業所有権情報・研修館(INPIT)が連携協定を締結している事実は、研究開発と知財戦略を一体的に支援する必要性が国レベルで認識されていることを示しています。
        • (出典)INPIT「JSTとINPITが大学等の研究成果の社会実装を促進するための連携・協力に関する覚書を締結しました」2025年
      • 特許庁が、産学連携プロジェクトに専門家を派遣する「産学連携知的財産アドバイザー派遣事業」を実施していること自体が、知財管理が専門的な介入を必要とする重要な課題であることを物語っています。
        • (出典)特許庁「出願等を支援する制度」
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • IPに関するトラブルが連携の障壁となり、有望な共同研究が頓挫する、あるいは中小企業が不利な契約を結ばされるリスクが高まります。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

  • 各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。
    • 即効性・波及効果: 施策の実施から効果発現までの期間が短く、多くの企業や複数の課題解決に横断的に貢献する施策を高く評価します。
    • 実現可能性: 現行の法制度や予算、人員体制の中で、比較的速やかに実行に移せる施策を優先します。
    • 費用対効果: 投じる行政コストに対して、地域経済への貢献や課題解決といった効果が大きい施策を重視します。
    • 公平性・持続可能性: 特定の企業だけでなく、幅広い中小企業が活用でき、一過性でなく長期的に効果が持続する施策を高く評価します。
    • 客観的根拠の有無: 国の白書や調査で効果が示唆されていたり、先進事例で成功が確認されていたりする、エビデンスに基づいた施策を優先します。

支援策の全体像と優先順位

  • 産学官連携を実効性のあるものにするためには、個別の支援策を単発で行うのではなく、体系的に構築することが重要です。ここでは、以下の3つの階層で支援策を整理し、優先順位を設定します。
    • 優先度【高】支援策①:連携基盤の強化とマッチング機能の拡充
      • これは全ての取り組みの土台となる施策です。連携を仲介し、情報格差を埋める「インフラ」を整備しなければ、他の支援策の効果は限定的になります。行政が主体的に取り組むべき最も重要な領域です。
    • 優先度【中】支援策②:中小企業の技術開発・イノベーション創出支援
      • 強固な基盤の上に、中小企業が研究開発の第一歩を踏み出すための具体的な「燃料」を投下する施策です。助成金やバウチャーといった直接的な支援により、企業の挑戦を後押しします。
    • 優先度【低】支援策③:スタートアップ・エコシステムの形成促進
      • これは、地域経済の未来を創るための長期的・発展的な施策です。基盤整備と中小企業支援によって地域のイノベーション土壌が育った先に、本格的な成果が期待されるため、優先度は中長期的な視点で設定します。

各支援策の詳細

支援策①:連携基盤の強化とマッチング機能の拡充

目的
  • 大学、研究機関、中小企業、支援機関の間の「橋渡し」を円滑にし、連携の機会を最大化します。
  • 中小企業が直面する情報収集、パートナー探し、手続きの煩雑さといった障壁を解消します。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府の調査で自治体が産学連携の最大の課題として「ニーズとシーズのマッチングの困難さ」を挙げており、この課題に直接対応するものです。
        • (出典)内閣府「地域における産官学連携の取組等に関する調査報告書」令和6年3月
主な取組①:産学官金連携ワンストップ相談窓口の設置
  • 区役所内または産業振興公社等の外郭団体に、産学官金連携に関するあらゆる相談を一元的に受け付ける「ワンストップ相談窓口」を設置します。
  • 窓口には、連携の初期相談から制度案内、専門家への橋渡しまでを行うコンシェルジュを配置します。
  • 物理的な窓口に加え、電話、メール、AIチャットボットと有人対応を組み合わせたオンライン相談体制を整備し、利用者の利便性を高めます。
    • 客観的根拠:
      • 中小企業基盤整備機構が提供する多様な相談チャネル(対面、オンライン、メール、電話)は、利用者の多様なニーズに応える支援モデルとして有効です。
        • (出典)中小企業基盤整備機構「経営に関する相談」2024年
主な取組②:専門コーディネーターチームの組成と育成
  • 技術(特にDX)、経営、知的財産、補助金申請など、多様な専門性を持つコーディネーターをチームとして配置し、企業の複合的な課題に対応します。
  • 民間企業の開発部門や、大学の産学連携部門での実務経験者などを、任期付職員や業務委託の形で積極的に登用します。
  • 国の支援機関や他の自治体との定期的な情報交換会や合同研修を実施し、コーディネーターの専門性とネットワークを強化します。
    • 客観的根拠:
      • 「2025年版 中小企業白書」が指摘する支援機関の専門人材不足に対し、専門チームの組成は直接的な解決策となります。
        • (出典)経済産業省「2025年版中小企業白書・小規模企業白書の概要」2025年
      • 特許庁が専門家派遣事業を行っている事実は、地方自治体レベルでも知的財産等の高度な専門性を持つ人材の配置が連携成功の鍵であることを示唆しています。
        • (出典)特許庁「出願等を支援する制度」
主な取組③:地域連携ポータルサイトの構築と運営
  • 区内の大学の研究シーズ(研究者、技術、特許)、企業の技術ニーズや連携希望、利用可能な公的支援制度、関連イベント情報などを集約したポータルサイトを構築・運営します。
  • 企業が匿名で技術課題を投稿し、関心を持った研究者がアプローチできるような、双方向のマッチング機能を実装します。
  • 連携の成功事例や、助成金の活用方法などを動画やインタビュー記事で分かりやすく紹介し、中小企業の利用意欲を喚起します。
    • 客観的根拠:
      • 中小企業庁が全国レベルで提供する「産学連携支援サイト」を、より地域に特化し、きめ細かな情報提供とマッチング機能を持たせることで、利用価値の高いプラットフォームとなります。
        • (出典)中小企業大学校「中小企業と大学との共同研究を支援する産学連携支援サイト」2025年
      • 既存の技術シーズデータベース(例:J-STORE)へのリンクを集約し、利用者がワンストップで情報にアクセスできるハブとして機能させます。
        • (出典)千代田区中小企業振興公社「産学官連携の進め方」2024年
主な取組④:知的財産(IP)戦略支援の強化
  • ワンストップ相談窓口において、弁理士や知的財産管理の専門家による無料相談日を定期的に(例:月2回)設けます。
  • INPIT(工業所有権情報・研修館)が運営する「知財総合支援窓口」と密に連携し、より専門的な支援が必要な案件をスムーズに繋ぎます。
  • 中小企業が不利な契約を結ぶことを防ぐため、共同研究契約書の標準的なひな形を提供し、契約交渉のポイントに関するセミナーを開催します。
    • 客観的根拠:
      • INPITが中小企業向けにアイデア段階から事業展開まで一貫した支援を提供しており、区の窓口がこの国家的なインフラへのゲートウェイとして機能することが、最も効率的かつ効果的です。
        • (出典)INPIT「知財ポータル」
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 区内企業の産学官連携による新事業創出件数:年間20件
      • データ取得方法: ワンストップ窓口での相談実績及び採択事業の追跡調査
  • KSI(成功要因指標)
    • ポータルサイト及び窓口相談を介したマッチング成立件数:年間100件
      • データ取得方法: ポータルサイトのシステムログ及び窓口の相談記録の分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • ワンストップ窓口の相談者満足度:90%以上
      • データ取得方法: 相談後の電子アンケート調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • ワンストップ窓口の年間相談件数:500件
      • データ取得方法: 窓口の相談記録管理システムの集計
    • ポータルサイトへの登録企業・研究者数:累計500者
      • データ取得方法: ポータルサイトの登録データベース

支援策②:中小企業の技術開発・イノベーション創出支援

目的
  • 中小企業が研究開発の第一歩を踏み出すための初期コストやリスクを軽減します。
  • 外部の技術や知見を円滑に導入できる環境を整備し、企業の自社開発能力と生産性を向上させます。
    • 客観的根拠:
      • 「2025年版 中小企業白書」は、コストカット戦略からの脱却と付加価値向上のための「攻めの経営」へのシフトを中小企業に求めており、本支援策はその「攻め」の投資を直接後押しするものです。
        • (出典)経済産業省「中小企業白書 小規模企業白書 2025年版」2025年
主な取組①:「技術相談・導入支援」バウチャー制度の創設
  • 中小企業が大学や公設試験研究機関に技術相談を行ったり、製品の性能評価等の依頼試験をしたりする際に利用できるバウチャー(利用券)を交付します。
  • 1社あたり年間最大20万円程度を上限とし、数万円程度の少額な費用からでも気軽に専門家の知見や高度な設備を活用できる機会を提供します。
  • 申請手続きを簡素化し、迅速な交付を目指します。
    • 客観的根拠:
      • 都立産業技術研究センターや各種研究機関が有料で提供している依頼試験や技術指導サービスは、中小企業にとって有用ですが費用が障壁となる場合があります。この利用料を補助する制度は、利用促進に直結します。
        • (出典)千代田区中小企業振興公社「産学官連携の進め方」2024年
        • (出典)東京技術士会「中小企業支援サービス」2024年
主な取組②:「共同研究開発」助成金の拡充
  • 大学等との共同研究や委託研究にかかる経費(研究者の人件費、原材料費、外注費、機械装置費等)の一部を助成する制度を、より使いやすく拡充します。
  • 助成率を最大3分の2、上限額を1,000万円程度に設定し、本格的な研究開発プロジェクトを支援します。
  • 申請にあたっては、ワンストップ窓口のコーディネーターによる事業計画のブラッシュアップ支援を必須とし、採択率と事業成功率の向上を図ります。
    • 客観的根拠:
      • 国が提供する「Go-Tech事業」(上限額9,750万円/3年)や東京都の助成金(上限2,500万円)は大規模なものが中心です。これらを補完する形で、区独自の、より利用しやすい規模の助成金制度を設けることの意義は大きいです。
        • (出典)中小企業庁「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」2025年
        • (出典)東京都中小企業振興公社「新製品・新技術開発助成事業」2024年
主な取組③:公的研究設備の利用促進とスキルアップ支援
  • 都立産業技術研究センター(TIRI)等の公的研究機関が保有する、中小企業が単独で導入することが困難な高度な分析・加工設備の利用料を一部補助します。
  • それらの設備を使いこなし、自社の技術力を向上させるための技術講習会やセミナーへの従業員の参加費用を助成します。
    • 客観的根拠:
      • TIRIが学協会と連携して多数の技術セミナーを実施しており、これらへの参加を促進することは、中小企業の技術力向上に直接貢献します。
        • (出典)東京都立産業技術研究センター「学協会連携」2025年
      • 国の「人材開発支援助成金」と連携・補完する形で、特に研究開発分野に特化した人材育成を支援することで、政策の相乗効果が期待できます。
        • (出典)厚生労働省「人材開発支援助成金」2024年
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 支援を受けた企業の新製品・新サービスによる売上高:支援終了後3年間で累計5億円
      • データ取得方法: 助成金交付後の事業化状況報告書による追跡調査
  • KSI(成功要因指標)
    • 支援を受けた企業の特許出願・取得件数:年間15件
      • データ取得方法: 助成金交付後の事業化状況報告書および特許情報プラットフォームでの確認
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 支援を受けた企業の労働生産性向上率:支援前後比較で平均5%向上
      • データ取得方法: 支援前後の決算書データ(付加価値額/従業員数)の比較分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • バウチャー制度の年間利用件数:200件
      • データ取得方法: 制度利用実績管理システムの集計
    • 共同研究開発助成金の年間採択件数:10件
      • データ取得方法: 助成金交付決定データの集計

支援策③:スタートアップ・エコシステムの形成促進

目的
  • 大学の研究成果を基にした「大学発・研究開発型スタートアップ」の創出と成長を促進し、次世代の地域経済を牽引する企業群を育成します。
  • 起業家、研究者、投資家、大企業などが集い、新たなイノベーションが連続的に生まれる好循環(エコシステム)を地域内に構築します。
    • 客観的根拠:
      • 「令和7年版 科学技術・イノベーション白書」は、基礎研究を基にしたスタートアップが伸び悩んでいることを国の課題として指摘しており、その成長支援は国の重要政策と合致するものです。
        • (出典)科学技術振興機構「科学技術・イノベーション白書を読み解く(2)基礎研究力の低下、回復への道筋は」2025年
主な取組①:インキュベーション施設の整備・運営支援
  • 大学や研究機関の近隣に、スタートアップが安価な賃料で利用できるインキュベーションオフィスやウェットラボ(実験設備のある研究室)を整備します。
  • 既存の区営施設(例:板橋区のものづくり研究開発連携センター)の機能を拡充し、スタートアップ向けのメンタリングやネットワーキングプログラムを提供します。
  • 民間事業者が運営するインキュベーション施設への入居費用の一部を補助する制度を創設します。
    • 客観的根拠:
      • 板橋区の「ものづくり研究開発連携センター」のような既存の賃貸工場・研究室は、スタートアップにとって魅力的なインフラです。これに経営支援等のソフト機能を付加することで、効果的なインキュベーション施設へと進化させることができます。
        • (出典)板橋区「ものづくり研究開発連携センターについて」2024年
主な取組②:起業家育成プログラムの実施
  • 地域の大学と連携し、研究者や大学院生を対象とした、ビジネスプラン作成、資金調達、知財戦略、マーケティング等に関する実践的な連続講座(アクセラレーションプログラム)を実施します。
  • 成功した起業家やベンチャーキャピタリスト(VC)を講師やメンターとして招聘し、参加者が実践的な知見とネットワークを得られる機会を提供します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都がスタートアップと大企業の協業を促進する事業を行っており、区として質の高い起業家育成プログラムを実施することは、こうした都の施策等に参加できる有望なスタートアップを輩出することに繋がります。
        • (出典)東京都 産業労働局「大企業等の保有資産を活用したオープンイノベーション促進事業」2025年
主な取組③:資金調達支援とネットワーキング機会の創出
  • 地域の信用金庫やベンチャーキャピタル、エンジェル投資家を招待し、スタートアップが事業計画を発表するピッチイベントを定期的に(例:年2回)開催します。
  • 国のSBIR(中小企業技術革新制度)やNEDO等の大型研究開発助成金の獲得に向けた申請書作成支援を、専門家派遣により行います。
  • 大企業の新事業担当者とスタートアップのマッチングイベントを開催し、オープンイノベーションを促進します。
    • 客観的根拠:
      • 国が「スタートアップ・エコシステム拠点都市」を選定し集中支援していることからも、ピッチイベント等のネットワーキング機会の創出は、エコシステム形成の定石であり、高い効果が期待できます。
        • (出典)川崎市「スタートアップ・エコシステム拠点都市」
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 区内発の研究開発型スタートアップの創出数:5年間で30社
      • データ取得方法: 法人登記情報及び育成プログラム参加者への追跡調査
  • KSI(成功要因指標)
    • 区内スタートアップの資金調達総額:5年間で累計30億円
      • データ取得方法: プレスリリース、信用調査会社データ、参加企業へのヒアリング調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • ピッチイベントを契機とした資金調達成功率:参加企業の20%
      • データ取得方法: イベント参加後のアンケート及び半年後の追跡調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • インキュベーション施設の入居率:常時90%以上
      • データ取得方法: 施設管理台帳データ
    • 起業家育成プログラムの年間参加者数:100名
      • データ取得方法: プログラム申込者管理データの集計

先進事例

東京都特別区の先進事例

大田区「医工連携・産学連携による新製品開発支援」

  • 大田区は、区内に集積する「ものづくり企業」の高度な技術力と、医療機関や大学のニーズ・知見を結びつける「医工連携」「産学連携」を強力に推進しています。公益財団法人大田区産業振興協会がハブとなり、医療分野出身の専門相談員が医療現場の課題と企業の技術を的確にマッチングさせ、製品コンセプトの策定から試作品開発、薬事申請、販路開拓までを一貫して伴走支援しています。
  • 成功要因: 地域の産業特性(多品種少量生産を得意とする町工場)に特化した支援戦略、医療とものづくりの両方を理解する専門コーディネーターの介在、具体的な製品化(例:歯科用医療機器、リハビリ支援装置)までを見据えた長期的かつ手厚いサポート体制が挙げられます。
    • 客観的根拠:
      • 大田区産業振興協会の事例集では、朝日大学・鶴見大学と区内中小企業が連携した歯科用レントゲン撮影用インジケーターの開発や、農研機構と連携した急斜面対応型草刈りロボットの開発など、多様な連携による具体的な製品化事例が多数報告されています。
        • (出典)大田区産業振興協会「Build Innovation Together」2025年
        • (出典)大田区「Unique Ota」2022年

板橋区「産学公連携研究開発支援事業助成金」

  • 板橋区は、区内ものづくり企業が大学や公的研究機関と行う共同研究・委託研究の経費を助成する制度を設けています。助成上限額150万円、助成率3分の2以内と、中小企業が研究開発の第一歩として利用しやすい規模感に設定されているのが特徴です。
  • 募集期間を定めず随時受付とし、申請前に(公財)板橋区産業振興公社の担当者によるヒアリングを必須とすることで、事業計画の実現可能性を高め、ミスマッチを防ぐ工夫がなされています。
  • 成功要因: 中小企業の実際のニーズに合わせた、柔軟で利用しやすい制度設計(随時受付、手頃な上限額)、申請前の丁寧なコンサルテーションによる事業計画の質の向上、産業振興公社による手厚いサポート体制が挙げられます。
    • 客観的根拠:
      • 板橋区産業振興公社のウェブサイトで制度が明確に案内されており、新製品開発、省力化技術、新材料開発など幅広いテーマを対象としていることがわかります。また、事前ヒアリングの仕組みも明記されています。
        • (出典)板橋区産業振興公社「産学公連携研究開発支援事業助成金」2025年
        • (出典)板橋区産業振興公社「産学連携・開発補助」2025年

品川区・都立産業技術高専「次世代人材育成に向けた産学連携協定」

  • 品川区は、東京商工会議所品川支部を通じて、東京都立産業技術高等専門学校(産技高専)と産学連携協定を締結しています。この連携は、短期的な製品開発のみならず、次世代のデジタルものづくり人材やICT人材を育成することを主目的としています。
  • 企業の実際の課題を学生がPBL(Project Based Learning)形式で取り組むなど、企業の課題解決と学生の実践的な学習機会を両立させ、地域産業の将来を担う人材を地域内で育成・確保するエコシステムを目指しています。
  • 成功要因: 目先の利益だけでなく「人材育成」という長期的視点に立った連携である点、地域の重要な教育機関との強固なパートナーシップを構築している点、そして商工会議所という産業界の代表組織が仲介役を担い、多くの企業を巻き込んでいる点が挙げられます。
    • 客観的根拠:
      • 都立産技高専の公式発表により、東京商工会議所品川支部との協定締結が公表されており、その目的が「次世代のデジタルものづくり人材やICT人材を育成すること」であると明記されています。
        • (出典)東京都立産業技術高等専門学校「東京都立産業技術高等専門学校は東京商工会議所品川支部と産学連携協定を締結しました。」2024年
        • (出典)東京商工会議所 品川支部「都立産業技術高専品川キャンパスと産学連携協定を締結」2024年

全国自治体の先進事例

川崎市「キングスカイフロントにおける国際戦略拠点形成」

  • 川崎市は、羽田空港対岸の殿町地区を「キングスカイフロント」と名付け、ライフサイエンス・環境分野における世界的な研究開発拠点として戦略的に整備を進めてきました。国から「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」の指定を受け、規制緩和や税制優遇措置を最大限に活用し、国内外のトップ企業や研究機関、大学発ベンチャーを集積させています。
  • 自治体が明確なビジョンを掲げ、インフラ整備から企業誘致、国との折衝までを主導的に行い、何もない土地から世界に伍するイノベーション・エコシステムを構築した点が特筆されます。
  • 成功要因: 首長の強力なリーダーシップと長期的なビジョン、国の特区制度を最大限に活用した戦略性、研究開発から事業化、人材育成までを一体的に支援する「場」の提供が挙げられます。
    • 客観的根拠:
      • キングスカイフロントの公式ウェブサイトでは、国、神奈川県、横浜市、川崎市の3者(自治体)が連携し、「国際戦略総合特区」として経済成長と社会課題解決を目指していることが明記されています。
        • (出典)KING SKYFRONT「国際戦略総合特区」
        • (出典)川崎市「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」

つくば市「研究学園都市におけるスタートアップ・エコシステム」

  • つくば市は、筑波大学をはじめとする29の国等の研究教育機関が集積する世界有数のサイエンスシティとしての強みを活かし、大学発・研究開発型スタートアップの創出を強力に支援しています。
  • 筑波大学では、教員が起業する「教員ベンチャー」が非常に活発で、ロボットスーツのサイバーダイン社や、メディアアーティスト落合陽一氏が率いるピクシーダストテクノロジーズ社など、国際的に著名な成功事例を多数輩出しています。
  • 市、大学、民間支援機関が連携し、インキュベーション施設、研究プログラム、資金調達支援などをシームレスに提供するエコシステムが形成されています。
  • 成功要因: 世界レベルの研究機関の集積という圧倒的な地域資源、大学自身が研究者の起業を奨励・支援する先進的な文化と制度、そして市と大学、民間が一体となったエコシステム構築への強い意志が挙げられます。
    • 客観的根拠:
      • 筑波大学の資料や関連情報からは、サイバーダイン社やピクシーダストテクノロジーズ社などが大学発ベンチャーの代表例として挙げられており、教員が事業に関わる文化が強いことが示唆されています。
        • (出典)筑波大学 産学連携部「産学連携活動」2019年
        • (出典)note「筑波大学の産学連携って、ぶっちゃけどうなの?」2023年
      • 民間企業(株式会社ガイアックス)のスタートアップ支援プログラムにおいても、筑波大学が連携先の高等教育機関として名を連ねており、外部からもエコシステムの中核として認識されています。
        • (出典)株式会社ガイアックス「ガイアックス、スタートアップカフェ事業を全国展開へ」2024年

参考資料[エビデンス検索用]

政府白書
  • 文部科学省「令和7年版 科学技術・イノベーション白書」
  • 経済産業省「2025年版 中小企業白書・小規模企業白書」
政府・関連機関調査報告書
  • 文部科学省「大学等における産学連携等実施状況について」(各年度版)
  • 内閣府「地域における産官学連携の取組等に関する調査報告書」(令和6年3月)
  • 科学技術・学術政策研究所(NISTEP)「都道府県の科学技術活動に関する分析(2023年)」
  • 中小企業庁「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」公募要領
  • 特許庁「産学連携知的財産アドバイザー派遣事業」等関連資料
  • INPIT(工業所有権情報・研修館)「知財ポータル」、「JSTとINPITの連携協定」等関連資料
東京都・特別区・関連機関資料
  • 東京都中小企業振興公社「新製品・新技術開発助成事業」等 各種助成金案内
  • 都立産業技術研究センター(TIRI)「学協会連携」等 事業案内
  • 東京商工会議所「産学公連携相談窓口」案内
  • 大田区産業振興協会「Build Innovation Together」等 事例集
  • 板橋区産業振興公社「産学公連携研究開発支援事業助成金」等 事業案内
  • 川崎市「キングスカイフロント」公式ウェブサイト
  • 筑波大学 産学連携部 関連資料

まとめ

 世界有数の研究開発ポテンシャルを持つ東京都特別区にとって、研究開発施設との連携強化は、単なる選択肢の一つではなく、未来の成長を左右する戦略的な必須課題です。本分析で明らかになったように、中小企業の能力ギャップや連携の構造的課題を克服するためには、行政がより積極的な役割を果たす必要があります。具体的には、専門コーディネーターが常駐するワンストップ相談窓口を核とした「連携基盤の強化」、中小企業が研究開発の第一歩を踏み出すための「実践的な技術開発支援」、そして地域の未来を創る「スタートアップ・エコシステムの形成」という三位一体の施策を体系的に推進することが求められます。これらのエビデンスに基づいた支援策は、地域に眠る「知」の潜在能力を具体的な経済活力へと転換し、住民の生活の質を高め、持続可能な都市としての競争力を確固たるものにするでしょう。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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