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文化情報の発信・提供

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(文化情報の発信を取り巻く環境)

  • 自治体が文化情報の発信を行う意義は「住民の文化的ウェルビーイングの向上と地域アイデンティティの醸成」および「文化を基軸とした持続可能な都市魅力の創造」にあります。
  • デジタル化の急速な進展とコロナ禍を経た社会変容は、文化情報の享受の仕方を根本から変えました。一方で、地域の伝統文化は担い手不足という構造的課題に直面しています。東京都特別区においては、これらの変化と課題に対応し、多様な文化資源を効果的に発信・活用することで、住民の生活の質を高め、都市の競争力を強化する戦略的な取り組みが不可欠です。
    • (出典)文化庁「第2期文化芸術推進基本計画」令和5年度
    • (出典)西東京市「西東京市第2期文化芸術振興計画」平成30年度
    • (出典)文部科学省「令和6年版 文部科学白書」令和6年度 1

意義

住民にとっての意義

ウェルビーイングと自己成長の促進
  • 文化芸術は、人々の創造性を育み、豊かな人間性を涵養する糧となります。文化情報へ容易にアクセスできる環境は、生涯学習の機会を拡大し、個人の自己実現を支援します。
    • (出典)文化庁「第2期文化芸術推進基本計画」令和5年度
    • (出典)文化庁「文化芸術推進基本計画(第1期)の概要」平成30年度
社会的つながりの強化
  • 文化活動への参加は、他者と共感し合う心や人間相互の理解を促進し、社会的孤立を防ぎ、心豊かで多様性と活力のある社会を形成する基盤となります。
    • (出典)文化庁「第2期文化芸術推進基本計画」令和5年度
シビックプライド(地域への愛着・誇り)の醸成
  • 地域の文化を知り、親しむことは、地域への愛着や誇り(シビックプライド)を醸成します。これは住民の定住意欲を高め、地域活動への参加を促す効果が期待できます。
    • (出典)港区「港区文化芸術振興プラン」令和5年度改定版
    • (出典)東京都「令和4年度 都民生活に関する世論調査」令和5年度

地域社会にとっての意義

地域コミュニティの結束力強化
  • 地域の祭りや伝統行事などの文化情報は、住民間の交流を促進し、地域コミュニティの結束力を高めます。こうした強固なコミュニティは、平時における地域の魅力向上だけでなく、災害時における共助機能の基盤ともなり得ます。
    • (出典)総務省「地域における自治会等の現状と課題」令和4年度
    • (出典)自治体問題研究所「伝統行事と地域活性化」平成24年度 2
地域経済の活性化
  • 戦略的な文化情報の発信は、文化観光を促進し、来訪者の増加を通じて飲食、宿泊、物販といった関連産業の活性化に直接的に繋がります。また、デジタルアーカイブ等の文化資源をオープンデータ化することは、新たなビジネスやサービスの創出機会を提供し、経済的な波及効果を生み出します。
    • (出典)文化庁「第2期文化芸術推進基本計画」令和5年度
    • (出典)文部科学省「令和6年版 文部科学白書」令和6年度
    • (出典)東京都「観光産業振興に向けた取組」令和6年度
共生社会の実現
  • 多様な文化情報を発信し、性別、年齢、障害の有無、国籍等にかかわらず、誰もが文化芸術に鑑賞・参加・創造できる機会を保障することは、相互理解を深め、インクルーシブな共生社会を実現するために不可欠です。
    • (出典)港区「港区文化芸術振興プラン」令和5年度改定版
    • (出典)西東京市「西東京市第2期文化芸術振興計画」平成30年度
    • (出典)文部科学省「令和6年版 文部科学白書」令和6年度

行政にとっての意義

都市ブランドと国際競争力の強化
  • 地域のユニークな文化資源を戦略的に情報発信することは、都市の独自の魅力(ブランド)を国内外に効果的に伝え、文化的な求心力を高めます。これは、文化を通じた国際交流を促進し、都市の国際競争力を強化する上で極めて重要な役割を担います。
    • (出典)文化庁「第2期文化芸術推進基本計画」令和5年度
    • (出典)文化庁「「文化芸術立国」の実現について」平成18年度 3
分野横断的な政策連携による相乗効果
  • 文化情報は、観光、まちづくり、福祉、教育といった他分野の政策と連携させることで、単独の施策では得られない相乗効果を生み出します。例えば、「文化×観光」で新たな観光商品を開発したり、「文化×福祉」で高齢者の社会参加を促進するなど、複合的な行政課題の解決に貢献します。
    • (出典)西東京市「西東京市第2期文化芸術振興計画」平成30年度
    • (出典)文部科学省「今後の文化財の保護の在り方について(答申)」平成17年度 4
EBPM(証拠に基づく政策立案)の推進
  • デジタルツールを活用した情報発信を通じて得られる利用データ(ウェブサイトのアクセスログ、イベントの申込者属性、オンラインアンケートの結果等)は、文化政策の効果を客観的に測定し、改善に繋げるための貴重なエビデンスとなります。これにより、限られた行政資源をより効果的に配分することが可能になります。

(参考)歴史・経過

~1990年代
  • 情報発信の主な手段は、広報誌、ポスター、チラシといった紙媒体や、公民館等の施設での物理的な掲示が中心でした。
  • 全国的に公共文化施設(ホール、会館等)の建設が進みましたが、その多くは「ハコモノ」としての貸館機能が主であり、施設側からの積極的な情報発信や企画事業は限定的でした。
    • (出典)参議院「立法と調査 公立文化施設の現状と課題」平成23年度
    • (出典)東北芸術工科大学「公共ホールにおける地域連携に関する研究」平成30年度 5
2000年代
  • インターネットの普及が本格的に始まり、各自治体が公式ホームページでの情報提供を開始しました。
  • 「文化芸術振興基本法」(平成13年)が制定され、国及び地方公共団体が文化振興に関する施策を策定・実施する責務が法的に明確化されました。
    • (出典)文化庁「文化芸術振興基本法」平成13年 6
  • 文化庁と総務省の連携により、全国の文化遺産情報を集約するポータルサイト「文化遺産オンライン」構想が開始され、デジタルによる情報発信の基盤整備が始まりました。
    • (出典)文化庁「文化遺産オンライン構想の推進」令和4年度
    • (出典)文部科学省「平成18年版 文部科学白書」平成18年度 7
2010年代
  • スマートフォンの急速な普及に伴い、SNS(Facebook, Twitter等)を活用した情報発信が活発化し、情報伝達の即時性・双方向性が向上しました。
  • 「文化芸術推進基本計画(第1期)」(平成30年)が策定され、文化芸術が持つ本質的価値に加え、社会課題の解決や経済活性化に貢献する「社会的・経済的価値」が明確に位置づけられました。
    • (出典)文化庁「文化芸術推進基本計画(第1期)の概要」平成30年度
  • デジタルアーカイブの重要性が広く認識され、国や一部の先進的な自治体で、文化資源のデジタル化と公開に向けた取り組みが推進され始めました。
    • (出典)内閣府「デジタルアーカイブ推進委員会 検討会資料」令和4年度 8
2020年代
  • 新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、文化施設の休館やイベントの中止が相次ぎ、代替手段としてオンラインでの文化鑑賞(展覧会のバーチャルツアー、公演のライブ配信等)が急速に普及しました。
    • (出典)文化庁「文化に関する世論調査」令和5年度
    • (出典)福岡市「文化・エンターテインメント分野への支援実績」令和5年度
  • 文化庁の京都移転(令和5年)を契機として、国と地方の連携を一層深め、地方創生に資する文化芸術振興への期待が高まりました。
    • (出典)文化庁「第2期文化芸術推進基本計画」令和5年度
  • 「文化芸術推進基本計画(第2期)」(令和5年)では、7つの重点取組の一つとして「デジタル技術を活用した文化芸術活動の推進」が明確に掲げられ、文化DXが政策の中心課題となりました。
    • (出典)文部科学省「令和6年版 文部科学白書」令和6年度

文化情報の発信に関する現状データ

  • 各種調査データは、文化の楽しみ方が物理的な制約を超え、デジタル空間へと大きく広がっている現状を浮き彫りにしています。令和3年の社会生活基本調査によると、「CD・スマートフォンなどによる音楽鑑賞」の行動者率は53.5%に達し、平成28年から4.5ポイント上昇するなど、デジタルでの文化享受が日常に深く浸透しています。しかし、この変化は単なる利便性の追求だけではありません。文化に関する世論調査では、リアルな文化鑑賞に参加しない理由として、「関心がない」に次いで「近所で公演や展覧会などが行われていない」「入場料・交通費など費用がかかり過ぎる」といった物理的・経済的な障壁が依然として上位に挙げられています。この二つのデータを突き合わせると、デジタルへのシフトは、リアルな文化体験へのアクセス障壁を回避するための消極的な選択の結果という側面も持ち合わせていることがわかります。この事実は、行政の情報発信戦略が、単にオンライン鑑賞の機会を提供するだけでなく、「近所で開催される無料イベント情報」や「オンラインで簡単に購入できる割引チケット」など、リアルな文化体験への参加障壁そのものを低減させる情報を組み合わせた、ハイブリッドなアプローチを必要としていることを強く示唆しています。
文化芸術の鑑賞体験(全国)
  • 直接鑑賞の動向
    • 令和5年に文化庁が実施した「文化に関する世論調査」によると、この1年間に文化芸術イベントを外出を伴う形で鑑賞した人の割合は45.3%でした。これは、新型コロナウイルス感染症の影響が大きかった令和4年度調査(52.2%)からは減少が見られます。
    • 鑑賞されたジャンルの上位は、「映画(アニメーション映画を除く)」(19.0%)、「歴史的な建物や遺跡」(15.1%)、「美術」(13.9%)の順となっています。
      • (出典)文化庁「文化に関する世論調査(令和5年度調査)」令和6年度
  • 間接鑑賞の普及
    • テレビ、ラジオ、CD・DVD、インターネット配信等による間接的な鑑賞経験を持つ人の割合は7割を超えており、文化享受の主要な形態となっています。
    • 特に、インターネットを利用した有料のオンライン配信を鑑賞した経験がある人は26.0%に上り、デジタルプラットフォームが新たな市場として確立しつつあることを示しています。
      • (出典)文化庁「文化に関する世論調査」令和5年度
  • 行動者率の変化(趣味・娯楽)
    • 総務省の「令和3年社会生活基本調査」によれば、「CD・スマートフォンなどによる音楽鑑賞」(53.5%)や「映画館以外での映画鑑賞(テレビ・DVD・パソコンなど)」(52.7%)といったデジタルメディアを介した活動の行動者率が極めて高い水準にあります。
    • 平成28年の調査と比較すると、「スマートフォン・家庭用ゲームなどによるゲーム」が7.1ポイント、「CD・スマートフォンなどによる音楽鑑賞」が4.5ポイントと、デジタル関連の活動が顕著に増加しています。
    • 一方で、コロナ禍の影響を受け、「カラオケ」(-17.2ポイント)、「遊園地、動植物園、水族館などの見物」(-14.8ポイント)、「映画館での映画鑑賞」(-9.8ポイント)など、人々が集まるリアルな空間での活動は軒並み行動者率を大きく低下させました。
      • (出典)総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 結果の概要」令和4年度 9
      • (出典)総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果」令和4年度 9
都民の文化活動への関心(東京都)
  • 関心の高まり
    • 令和4年に実施された「都民生活に関する世論調査」では、文化鑑賞や文化イベントへの参加に「興味・関心がある」と回答した都民は72%に達しました。また、自ら創作や発表を行う文化活動に「興味・関心がある」と回答した都民も63%に上ります。
    • これらは平成29年の同調査と比較して、それぞれ4ポイント、19ポイントと大幅に増加しており、都民の文化に対する潜在的なニーズが高まっていることがうかがえます。
      • (出典)東京都「令和4年度 都民生活に関する世論調査」令和5年度
  • 文化施策への要望
    • 都民が行政に対して特に力を入れてほしいと望む文化施策のトップは、「子供の頃から美術館や劇場に親しめる環境を整備する」(42%)でした。
    • 次いで、「魅力的な展示・イベントを行う」(33%)、「東京から世界へはばたく若い芸術家を育成・支援する」(27%)となっており、次世代育成と質の高いコンテンツ提供への期待が高いことがわかります。
      • (出典)東京都「令和4年度 都民生活に関する世論調査」令和5年度
地域の文化的環境への満足度(全国)
  • 満足度は依然として低い水準
    • 住んでいる地域の文化的環境に対して、「満足している」(「満足している」+「どちらかといえば満足している」)と回答した人の割合は37.7%にとどまっており、多くの住民が地域の文化環境に改善の余地があると感じています。
      • (出典)文化庁「文化に関する世論調査」令和5年度
  • 不満の理由
    • 満足していない理由として最も多く挙げられたのは、「魅力的な活動・イベントがない」(54.0%)でした。
    • 続いて、「参加できる活動がない」(30.5%)、「近くに文化施設がない」(27.5%)となっており、コンテンツの魅力不足や参加機会・場所の欠如が大きな課題であることが示されています。
      • (出典)文化庁「文化に関する世論調査(令和5年度調査)」令和6年度
  • 情報入手の課題
    • 文化芸術イベントを鑑賞しなかった理由として、「公演や展覧会などの情報が入手できないから」という回答が13.8%(盛岡市の調査)から15.6%(全国調査)存在しており、情報が適切に届いていない層が一定数いることを示唆しています。
      • (出典)盛岡市「市民意識調査」令和5年度
      • (出典)文化庁「文化に関する世論調査(令和5年度調査)」令和6年度
文化施設・担い手の現状
  • 施設の老朽化と運営形態
    • 全国の公立文化施設の多くは、1980年代から1990年代にかけて集中的に建設されており、施設の老朽化が共通の課題となっています。
      • (出典)参議院「立法と調査 公立文化施設の現状と課題」平成23年度
      • (出典)三菱UFJリサーチ&コンサルティング「スポーツ施設のストック最適化等による地域活性化推進調査報告書」令和5年度
    • 運営形態については指定管理者制度の導入が進んでおり、全国の公立文化施設(劇場、音楽堂等)では64.0%が導入済みです。東京都特別区を含む市・特別区では、人口規模が大きいほど導入率が高い傾向が見られます。
      • (出典)全国公立文化施設協会「令和5年度 公立文化施設の経営状況に関する実態調査」令和6年度
  • 担い手の高齢化
    • 地域の伝統文化を支える担い手の高齢化は深刻な状況です。文化庁の調査では、重要無形文化財の保持者の約7割が60歳以上というデータもあります。
      • (出典)for-good「伝統文化継承の現状|最新データで見る衰退の実態」令和6年
    • 東京都特別区においても、民俗文化財保存団体の構成員の54.3%が60歳以上を占めており、後継者不足が喫緊の課題です。
      • (出典)AI-Government Portal「地域の祭り、伝統行事、民俗芸能の保存・継承支援」令和6年度
  • デジタルアーカイブの遅れ
    • 文化資源のデジタル化と公開は、その保存と活用において極めて重要ですが、取り組みは遅れています。全国の博物館のうち、デジタルアーカイブを「実施している」と回答したのはわずか24.4%です。
    • その最大の要因として、73.4%の博物館が「専門知識を持った職員が在籍していない」ことを挙げており、人材不足がデジタル化の大きな障壁となっています。
      • (出典)文化庁「博物館資料のデジタル・アーカイブ化の目的・状況について」令和4年度 10

課題

住民の課題

情報へのアクセシビリティ格差
  • 文化情報の発信がウェブサイトやSNSなどデジタル媒体に急速に移行する一方で、高齢者や障害者など、デジタル機器の利用に不慣れな層が必要な情報から取り残される「デジタルデバイド(情報格差)」が深刻な課題となっています。また、多言語対応が不十分なため、増加する外国人住民にも地域の文化情報が届きにくい状況があります。
  • 客観的根拠:
    • 文化鑑賞をしない理由として、「入場料・交通費など費用がかかり過ぎる」(14.0%)や「公演や展覧会などの情報が入手できない」(15.6%)といった、経済的・情報的な障壁が依然として存在します。
      • (出典)文化庁「文化に関する世論調査(令和5年度調査)」令和6年度
    • 都民が行政に求める文化施策のトップが「子供の頃から美術館や劇場に親しめる環境を整備する」(42%)であることから、単なる情報だけでなく、実際の文化体験へのアクセス機会そのものが求められています。
      • (出典)東京都「令和4年度 都民生活に関する世論調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 文化を享受する機会が特定の住民層に偏ることで社会的な分断や孤立を助長し、文化資本の格差が拡大・固定化します。
ニーズと提供情報のミスマッチ
  • 行政や文化施設が発信する画一的な情報と、住民が実際に求めている多様な情報(例:近所で開催される無料または低価格のイベント、子ども連れで参加しやすい体験教室、専門的なワークショップなど)との間に乖離が生じています。これにより、せっかくの文化情報が住民の関心を喚起できず、参加に結びついていないケースが少なくありません。
  • 客観的根拠:
    • 地域の文化的環境に不満を持つ最大の理由として「魅力的な活動・イベントがない」(54.0%)が挙げられており、これは住民の関心に沿ったコンテンツが不足しているか、あるいはその情報が効果的に届いていないことを強く示唆しています。
      • (出典)文化庁「文化に関する世論調査(令和5年度調査)」令和6年度
    • 文化活動に参加しない理由としても、「やってみたい活動がない」(11.9%)や「興味のあるイベントがなかった」(24.9%)という回答が一定数存在し、提供される文化コンテンツと住民ニーズのミスマッチが参加の障壁となっていることが伺えます。
      • (出典)盛岡市「市民意識調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 住民の文化活動への参加意欲が削がれ、文化への無関心層が拡大することで、地域文化の土壌そのものが痩せていきます。

地域社会の課題

伝統文化の担い手不足と継承の危機
  • 地域の祭りや伝統芸能、民俗芸能といった無形の文化遺産を支える担い手の高齢化と深刻な後継者不足は、多くの伝統文化を存続の危機に追い込んでいます。この問題は、単に「後継者がいない」という人口動態の問題だけでなく、「参加のハードルが高い」「関わり方がわからない」といった情報発信の課題と密接に結びついています。伝統文化への潜在的な関心を持つ若者や地域住民がいても、活動内容や参加方法に関する情報が不足していたり、参加への心理的・物理的障壁が高かったりするために、実際の担い手になることができていないのが現状です。したがって、デジタル技術を活用して活動を記録保存するだけでなく、短期ボランティアやオンラインでの事前学習といった多様な参加の入口を設け、その情報を広く発信することが、新たな担い手を発掘する上で不可欠です。
  • 客観的根拠:
    • 文化庁の調査によると、文化財の担い手の約7割が60歳以上であり、高齢化が極めて深刻です。
      • (出典)for-good「伝統文化継承の現状|最新データで見る衰退の実態」令和6年
    • 東京都特別区の民俗文化財保存団体のうち78.3%が「後継者不足」を最大の課題として挙げており、構成員の半数以上(54.3%)が60歳以上です。さらに、10年後の存続に不安を感じている団体は52.7%に上ります。
      • (出典)AI-Government Portal「地域の祭り、伝統行事、民俗芸能の保存・継承支援」令和6年度
    • 地域の伝統行事への若年層の参加率は低迷しており、20歳代で18.3%、30歳代で22.7%に留まっています。参加しない理由として「参加方法がわからない」が31.2%を占めており、情報提供のあり方に課題があることを示しています。
      • (出典)AI-Government Portal「地域の祭り、伝統行事、民俗芸能の保存・継承支援」令和6年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 地域固有の貴重な文化が次世代に継承されず消滅し、地域のアイデンティティと歴史的・文化的価値が永続的に喪失します。
文化資源の活用不足と発信力の弱さ
  • 特別区内には、美術館や博物館、歴史的建造物といった伝統的な文化施設から、アニメやマンガの聖地といった現代的なポップカルチャーまで、多様で豊富な文化資源が点在しています。しかし、これらの資源が有機的に連携されることなく個別に活動しているため、地域全体の魅力として統合された情報発信ができていません。結果として、個々の発信力も弱く、その価値が住民や来訪者に十分に伝わっていない状況です。
  • 客観的根拠:
    • 文化庁の調査では、全国の博物館の約半数にあたる49.2%がデジタルアーカイブの実施予定がなく、専門職員も著しく不足しています。これは、貴重な文化資源が収蔵庫に眠ったまま十分に活用されていない「死蔵」状態を示唆しています。
      • (出典)文化庁「博物館資料のデジタル・アーカイブ化の目的・状況について」令和4年度 10
    • 行政内部においても、文化行政が観光、まちづくり、福祉、教育といった他部局と連携する機会は少なく、文化資源の多角的な活用が進んでいない実態が指摘されています。
      • (出典)厚生労働省「地域共生社会の実現に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する調査研究」令和4年度 11
      • (出典)文部科学省「今後の文化財の保護の在り方について(答申)」平成17年度 4
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 地域の文化的な魅力が埋もれたままとなり、文化観光による経済効果などの機会損失を招き、地域経済の停滞に繋がります。

行政の課題

デジタル化への対応の遅れと専門人材の不足
  • 文化施設が所蔵する貴重な資料や、地域に伝わる文化財のデジタルアーカイブ化が遅々として進んでいません。その背景には、デジタル化技術、データベース構築、著作権の権利処理といった専門的な知識を持つ職員が絶対的に不足していること、そして安定的・継続的な予算確保が困難であることが挙げられます。これにより、貴重な文化資源の恒久的な保存と、デジタル時代における効果的な活用の両面で大きな機会を逸しています。
  • 客観的根拠:
    • 全国の博物館のうち、デジタルアーカイブを「実施している」のはわずか24.4%であり、さらに深刻なのは「専門知識を持った職員が在籍していない」館が73.4%にものぼることです。
      • (出典)文化庁「博物館資料のデジタル・アーカイブ化の目的・状況について」令和4年度 10
    • 文化庁は「文化芸術推進基本計画(第2期)」において「文化芸術のデジタル・アーカイブ化の促進」を重点施策として掲げていますが、現場レベルでの実行には大きな人的・財政的障壁が存在します。
      • (出典)文部科学省「令和6年版 文部科学白書」令和6年度
    • 東京都特別区において、文化政策を専門とする職員数は区平均でわずか6.3人、アートマネジメントなどの専門資格を持つ人材は平均1.1人と、極めて少ないのが実情です。
      • (出典)AI-Government Portal「文化の担い手育成・支援」令和6年度 12
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 災害等による文化資源の物理的な損失リスクが高まるだけでなく、デジタル空間での情報発信競争から取り残され、都市の文化的な存在感が低下します。
部局間の縦割りによる連携不足
  • 文化行政が文化担当部局内で完結してしまい、観光、まちづくり、産業振興、福祉、教育といった他分野の部局との日常的な連携が不十分です。この「縦割り行政」の弊害により、例えば「文化財を核とした観光ルート開発」や「アートを通じた高齢者の健康増進プログラム」といった、分野横断による新たな価値創造の機会が数多く失われています。
  • 客観的根拠:
    • 三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施した全国自治体への調査では、スポーツ施策の推進における課題として「複数部局の調整」(24.5%)が挙げられており、これは文化行政にも共通する根深い縦割り構造の問題を示唆しています。
      • (出典)三菱UFJリサーチ&コンサルティング「スポーツ施設のストック最適化等による地域活性化推進調査報告書」令和5年度
    • 多くの自治体の文化芸術振興計画では、観光、まちづくり、福祉、教育等との連携の重要性が謳われていますが、具体的な連携事業の実施は限定的であり、理念と実態に乖離が見られます。
      • (出典)西東京市「西東京市第2期文化芸術振興計画」平成30年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 個別の政策効果が限定的なものにとどまり、行政資源の非効率な配分が続くことで、複雑化する地域課題に効果的に対応できなくなります。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

  • 各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。
    • 即効性・波及効果
      • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、単一の課題解決に留まらず、複数の課題解決や多くの住民への便益に繋がる施策を高く評価します。
    • 実現可能性
      • 現行の法制度、予算、人員体制の中で比較的速やかに着手可能であり、既存の体制や仕組みを有効活用できる施策を優先します。
    • 費用対効果
      • 投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して得られる効果が大きく、短期的なコストだけでなく、長期的な便益や将来的な財政負担の軽減効果も見込める施策を重視します。
    • 公平性・持続可能性
      • 特定の地域や年齢層だけでなく、幅広い住民層に便益が及び、一過性のイベントで終わることなく、長期的・継続的に効果が持続する仕組みを構築できる施策を高く評価します。
    • 客観的根拠の有無
      • 国の計画や政府の調査研究、あるいは他の自治体における先進事例等によって、その効果が客観的に示されている施策を優先します。

支援策の全体像と優先順位

  • 文化情報の発信に関する複合的な課題を解決するためには、体系的なアプローチが必要です。現状の課題は、①情報が利用者に届かず、活用もされない「デリバリー(伝達)の問題」、②発信すべき文化コンテンツそのものが担い手不足等で先細ってしまう「コンテンツ(中身)の問題」、③情報やコンテンツが連携されず、新たな価値創造に繋がらない「エコシステム(循環)の問題」という3つの層で捉えることができます。
  • この構造に基づき、施策の優先順位を以下のように設定します。
    • 【優先度:高】支援策①:文化DX(デジタル・トランスフォーメーション)の統合的推進
      • まず、情報伝達のボトルネックを解消し、全ての施策の基盤となるデジタルインフラを抜本的に改革します。これは最も即効性と波及効果が高く、最優先で取り組むべき課題です。
    • 【優先度:中】支援策②:文化の担い手とコンテンツの持続可能性確保
      • 次に、DXによって整備された「器」に盛り込むべき、魅力的な「中身(文化コンテンツ)」が枯渇しないよう、その源泉である担い手の育成と活動基盤の強化に取り組みます。
    • 【優先度:低~中】支援策③:分野横断連携による文化価値の共創
      • 最後に、DXと担い手支援の成果を地域全体の価値創造へと繋げるため、文化を核とした分野横断的な連携を推進します。これは、①と②の成果を社会・経済的価値へと昇華させるための発展的施策と位置づけられます。

各支援策の詳細

支援策①:文化DX(デジタル・トランスフォーメーション)の統合的推進【優先度:高】

目的
  • 最新のデジタル技術を最大限に活用し、年齢、国籍、障害の有無にかかわらず、誰もが、いつでも、どこでも、自身に最適な文化情報に容易にアクセスできる環境を構築します。
  • 文化施設の利便性を飛躍的に向上させるとともに、デジタルならではの新たな鑑賞体験を創出し、文化活動への参加の裾野を広げます。
  • 客観的根拠
    • 文化庁は「文化芸術推進基本計画(第2期)」において「デジタル技術を活用した文化芸術活動の推進」を7つの重点取組の一つとして明確に掲げており、国の政策方向性と完全に合致しています。
      • (出典)文部科学省「令和6年版 文部科学白書」令和6年度
    • 令和6年度の文化庁予算においても、「文化芸術のデジタル基盤強化・活用促進事業」が重点項目として盛り込まれており、自治体レベルでの具体的な実行が強く求められています。
      • (出典)文化庁「令和6年度文化庁予算(案)のポイント」令和5年度
主な取組①:特別区統一文化情報ポータル&アプリの開発
  • 23区内に点在する美術館、博物館、劇場、ホール等の文化施設情報、公演、展覧会、地域の祭りといったイベント情報、さらには文化財や伝統行事に関する情報を集約し、一元的に検索・閲覧・予約・決済できるポータルサイトとスマートフォンアプリを共同で開発・運営します。
  • 利用者の登録情報(興味分野、居住地域等)や過去の閲覧・利用履歴、スマートフォンの位置情報に基づき、AIが個々の利用者に最適化された文化情報をプッシュ通知等で配信するレコメンデーション機能を搭載します。
  • デジタルデバイド対策として、高齢者向けの文字拡大や音声読み上げ機能を備えた簡易操作モード、主要な公共施設(区役所、図書館、地域センター等)に設置するデジタルサイネージとの情報連携、電話による自動音声案内サービスも併せて提供し、誰一人取り残さない情報発信を目指します。
  • 客観的根拠
    • 文化鑑賞をしない理由に「情報が入手できない」(13.8%)、「近所で公演や展覧会などが行われていない」(15.6%)があることから、情報の集約とパーソナライズ化は、参加の物理的・心理的障壁を引き下げる上で高い効果が期待できます。
      • (出典)文化庁「文化に関する世論調査(令和5年度調査)」令和6年度
    • 特別区23区中、複数の文化施設を一括して利用できる統合予約システムを導入しているのは8区に留まっており、区境を越えたシームレスな文化施設利用を促進する基盤整備は喫緊の課題です。
      • (出典)AI-Government Portal「ICTを活用した文化施設利用・情報提供」令和6年度
主な取組②:文化施設のデジタルサービス拡充支援
  • 各区の公立・民間文化施設(美術館、博物館、ホール、小劇場、ライブハウス等)に対し、オンラインチケットシステムの導入、多様なキャッシュレス決済への対応、館内無料Wi-Fi環境の整備にかかる経費の一部を補助する制度を創設します。
  • 施設の出入口や主要エリアにセンサーを設置し、混雑状況をリアルタイムで計測・可視化し、支援策①のポータルサイト等で配信するシステム導入を支援します。これにより、利用者は快適で安全な鑑賞環境を選択でき、施設側は効果的な入場者管理が可能となります。
  • 客観的根拠
    • 総務省の調査によれば、指定管理者制度を導入した施設では、開館時間の延長や新たなプログラムの導入などにより利用者満足度が向上する傾向があり、デジタルサービスの拡充も同様にサービス品質の向上に直結します。
      • (出典)AI-Government Portal「指定管理者制度・利用料金制度」令和6年度
    • 施設のIoT化による混雑状況の可視化は、感染症対策としての三密回避だけでなく、利用者の時間的な分散を促し、施設全体の稼働率向上にも貢献します。
      • (出典)AI-Government Portal「ICTを活用した文化施設利用・情報提供」令和6年度
主な取組③:デジタルアーカイブ構築の加速化支援
  • 文化資源のデジタル化を専門的に支援する「特別区デジタルアーカイブ支援センター(仮称)」を共同で設置します。センターには、デジタルアーキビスト、IT技術者、著作権処理の専門家等を配置し、人材不足に悩む各区の博物館、図書館、文書館、さらには地域の伝統文化保存団体等に対し、専門的知見に基づくコンサルティング、高精細スキャナや3Dスキャナ等の専門機材の貸与、技術スタッフの派遣といった伴走型支援を提供します。
  • 特に後継者不足が深刻で消失の危機にある伝統芸能や民俗文化財については、優先的に8Kカメラ等による高精細な記録映像の作成を支援し、その成果を次世代への継承と新たな活用に繋げます。
  • 作成されたデジタルデータは、国の分野横断型統合ポータルである「ジャパンサーチ」や「文化遺産オンライン」への登録を標準プロセスとし、全国的なプラットフォーム上で広く公開・活用されることを目指します。
  • 客観的根拠
    • 全国の博物館の73.4%で専門知識を持つ職員が不足しているという現状を踏まえれば、外部からの専門的かつ体系的な支援体制の構築は不可欠です。
      • (出典)文化庁「博物館資料のデジタル・アーカイブ化の目的・状況について」令和4年度
    • 文化庁は「メディア芸術の創造・発信プラン」等を通じてアーカイブ化を強力に推進しており、自治体レベルでの具体的な伴走支援は、国の政策を現場で実現するための重要な役割を担います。
      • (出典)財務省「令和6年度予算(文部科学省所管)」令和6年
    • 「ジャパンサーチ」や「文化遺産オンライン」との連携は、各施設が個別にシステムを構築する負担を軽減し、データの相互運用性を高め、利用者にとっての利便性を飛躍的に向上させます。
      • (出典)文化庁「文化遺産オンライン構想の推進」令和4年度
      • (出典)国立国会図書館「ジャパンサーチとは」令和5年
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 住民の年間文化活動参加率(年1回以上の鑑賞・実践活動)を5年間で15ポイント向上させる(現状の関心度72%と参加率45.3%のギャップを縮小)
      • データ取得方法: 定期的な住民意識調査(「都民生活に関する世論調査」等の活用)
  • KSI(成功要因指標)
    • 特別区統一文化情報ポータルのアクティブユーザー数(MAU)を5年後に特別区人口の30%(約300万人)達成
      • データ取得方法: ポータルサイトおよびアプリのアクセスログ解析
    • 特別区内の主要公立文化施設(博物館・美術館・図書館)のデジタルアーカイブ化率を5年間で80%達成
      • データ取得方法: 各区文化主管課を通じた文化施設への年次アンケート調査、支援センターの実績集計
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • ポータル経由でのイベント・施設予約件数を年率20%増加させる
      • データ取得方法: 統合予約システムのデータ分析
    • デジタルデバイド層(65歳以上)のポータル・アプリ認知率を5年間で50%に向上させる
      • データ取得方法: 住民意識調査における年代別クロス集計
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • ポータルに掲載する文化イベント・施設情報件数を年間5,000件以上とする
      • データ取得方法: ポータルサイトのコンテンツ管理システム(CMS)からのデータ抽出
    • デジタルアーカイブ支援センターによる技術・人材支援件数を年間50団体以上とする
      • データ取得方法: 支援センターの事業報告書

支援策②:文化の担い手とコンテンツの持続可能性確保【優先度:中】

目的
  • 地域の伝統文化から現代アートに至るまで、多様な文化の担い手を育成・支援し、質の高い文化コンテンツが地域内で継続的に創造・継承される豊かな土壌を醸成します。
  • 文化芸術活動を職業として選択できる環境を整備し、文化の創造サイクルの好循環を生み出します。
  • 客観的根拠
    • 文化庁の「文化芸術推進基本計画(第2期)」では、「文化資源の保存と活用の一層の促進」および「文化芸術を通じた次代を担う子供たちの育成」が重点取組として掲げられており、本施策の方向性と一致します。
      • (出典)文部科学省「令和6年版 文部科学白書」令和6年度
    • 地域の伝統行事や文化財を支える担い手の高齢化と後継者不足は、文化そのものの存続を脅かす全国的な、そして特別区においても喫緊の課題です。
      • (出典)for-good「伝統文化継承の現状|最新データで見る衰退の実態」令和6年
      • (出典)自治体問題研究所「伝統行事と地域活性化」平成24年度
主な取組①:次世代担い手育成プログラムの創設
  • 地域の伝統芸能保存会、伝統工芸の職人団体、NPO等と行政が連携し、小中学生を対象とした本格的な体験ワークショップや、高校生・大学生・社会人若手層を対象とした短期集中型の技術研修プログラム(サマースクール等)を企画・実施します。
  • プログラムの企画・運営・広報のプロセスを映像コンテンツとして制作し、支援策①で開発する統一文化情報ポータルやYouTube、SNS等で広く配信します。これにより、活動の魅力と社会的な意義を視覚的に伝え、新たな参加者や支援者を募ります。
  • 客観的根拠
    • 文化庁は選定保存技術の伝承者養成事業に対して経費の一部を補助しており、自治体が主体となって地域の実情に応じたプログラムを企画し、広報面で協力することは、国の施策を補完し効果を最大化します。
      • (出典)文化庁「選定保存技術の保存・継承の現状と課題」令和3年度
    • 都民が行政に望む文化施策のトップが「子供の頃から美術館や劇場に親しめる環境を整備する」(42%)であることから、特に若年層へのアプローチは住民の強いニーズに応えるものです。
      • (出典)東京都「令和4年度 都民生活に関する世論調査」令和5年度
主な取組②:文化活動団体の経営基盤強化支援
  • 地域のNPOや文化芸術団体に対し、持続可能な運営基盤を構築できるよう、ファンドレイジング(寄付金獲得戦略)、デジタルマーケティング、広報戦略、組織マネジメント等の専門分野に関する専門家(コンサルタント、弁護士、税理士等)の派遣や、実践的なセミナーを定期的に開催します。
  • 各区のふるさと納税制度の使途に「地域文化振興プロジェクト」の項目を追加し、住民や出身者が特定の文化活動を直接支援できる仕組みを導入します。また、クラウドファンディングのプラットフォーム事業者と連携し、プロジェクトの立ち上げから目標達成までを伴走支援します。
  • 客観的根拠
    • 文化庁は、文化芸術団体の自律的・持続的な運営実現に向けたコンサルテーション事業を実施しており、自治体レベルでより基礎的かつ広範な経営支援を行うことは、国の施策を補完する上で重要です。
      • (出典)経済財政諮問会議「令和5年度のEBPMの取組等について」令和4年度
    • 先進事例である「すみだ北斎美術館」では、ふるさと納税、ネーミングライツ、一日館長制度など、多様な寄付メニューを設けることで、建設資金の調達に成功しており、この手法は他の文化団体にも応用可能です。
      • (出典)ファンドレックス「すみだ北斎美術館のファンドレイジング事例」令和4年度
主な取組③:若手・新進アーティストへの活動拠点提供
  • 公共施設の利用率が低い時間帯やスペース、あるいは地域の空き店舗や空き家等を自治体が借り上げまたは改修し、若手アーティストが安価な賃料で利用できるアトリエ、稽古場、小規模な発表スペース(マイクロシアター、ミニギャラリー等)として提供する「インキュベーション施設」を整備します。
  • 国内外のアーティストが一定期間地域に滞在しながら創作活動を行い、その成果を地域に還元するとともに、地域住民と交流する「アーティスト・イン・レジデンス」事業を拡充します。
  • 客観的根拠
    • 東京都の調査によれば、特別区内で活動する文化芸術関連従事者の41.2%が「活動場所の確保」を深刻な課題として挙げており、安価で安定した活動基盤の提供は、創造活動を継続するための直接的かつ効果的な支援となります。
      • (出典)AI-Government Portal「文化の担い手育成・支援」令和6年度
    • 公共施設の有効活用は、施設の老朽化や維持管理費の増大という課題に対応する公共施設マネジメントの観点からも合理的であり、文化振興と行政改革を両立させる施策です。
      • (出典)三菱UFJリサーチ&コンサルティング「スポーツ施設のストック最適化等による地域活性化推進調査報告書」令和5年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 後継者不足を理由に活動を休止または解散する特別区内の伝統文化団体の数を5年間でゼロにすることを目指す
      • データ取得方法: 各区文化主管課が実施する、所管の文化団体への年次ヒアリング調査
  • KSI(成功要因指標)
    • 伝統文化団体における新規加入者のうち、30代以下の若年層が占める割合を5年間で30%以上にする
      • データ取得方法: 各保存団体等への年次アンケート調査
    • 本施策による支援対象となった文化芸術団体の自己財源比率を、支援開始から5年間で平均10ポイント向上させる
      • データ取得方法: 支援対象団体から提出される決算報告書の分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 次世代担い手育成プログラムへの年間延べ参加者数を23区合計で1,000人以上とする
      • データ取得方法: 各プログラム実施団体からの参加者名簿に基づく集計
    • 行政が支援した文化団体のクラウドファンディングのプロジェクト成功率を80%以上とする
      • データ取得方法: クラウドファンディングプラットフォームの公開データおよび各団体へのヒアリング
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 提供するアーティスト向け活動拠点の数を23区合計で50箇所創出する
      • データ取得方法: 各区の資産管理・文化振興担当部署の事業報告
    • 文化団体向けの経営基盤強化セミナーの年間開催回数を23区合計で20回以上とする
      • データ取得方法: 事業委託先からの実施報告書

支援策③:分野横断連携による文化価値の共創【優先度:低~中】

目的
  • 文化を地域社会の核と位置づけ、観光、まちづくり、福祉、教育といった他分野と積極的に連携させることにより、文化の持つ価値を最大化し、新たな社会的・経済的価値を創造します。
  • 行政だけでなく、区民、NPO、民間事業者など、多様な主体が地域の文化振興に参加・協働するためのプラットフォームを構築し、持続可能な文化エコシステムを形成します。
主な取組①:「文化×観光」連携による地域魅力の向上
  • 支援策①で開発する統一文化情報ポータルと緊密に連携し、地域の文化資源(美術館、史跡、アニメ聖地、ロケ地等)を効果的に結びつけたテーマ別の観光モデルコース(例:「文豪の足跡を辿る文学散歩」「アニメ聖地巡礼ツアー」)や、体験型プログラム(伝統工芸体験、和菓子作り体験等)を造成し、多言語でデジタルマップ上に展開・発信します。
  • 地域の飲食店や商店街と連携し、文化イベント(芸術祭、演劇祭等)の開催期間中に、イベントのテーマや作品と連動した特別メニューや記念商品を開発・販売する取り組みを支援します。
  • 客観的根拠
    • 「文化観光推進法」に基づき、文化資源を活用したインバウンド観光客向けの環境整備は国の重要施策であり、自治体の取り組みが求められています。
      • (出典)文部科学省「令和6年版 文部科学白書」令和6年度
    • 東京都が主催する「TOKYO周穫祭」や中央区観光協会のECサイト「東京まんなか ippin堂」など、食と文化、観光を連携させた取り組みは、地域の魅力を高め、経済効果を生み出す成功事例として参考になります。
      • (出典)東京観光財団「令和4年度 地域観光振興の取組事例集」令和5年度
      • (出典)東京観光財団「令和5年度 地域観光振興の取組事例集」令和6年度
主な取組②:「文化×福祉・教育」連携による社会的包摂の推進
  • 地域の高齢者施設、障害者施設、児童養護施設等にアーティストや文化団体の指導者を派遣し、音楽、美術、演劇等のワークショップを実施する「アウトリーチ事業」を大幅に拡充します。これにより、施設から出ることが困難な人々にも文化に触れる機会を提供します。
  • 支援策①でデジタルアーカイブ化した地域の文化財コンテンツを、区内の小中学校の社会科や美術、総合的な学習の時間で活用するためのデジタル教材を開発し、教員向けの活用研修会を定期的に開催します。
  • 客観的根拠
    • 文化庁の「文化芸術推進基本計画(第2期)」では、「多様性を尊重した文化芸術の振興」が重点項目とされており、福祉・教育分野との連携はその理念を実現するための具体的な手段となります。
      • (出典)文部科学省「令和6年版 文部科学白書」令和6年度
      • (出典)自由民主党「文化芸術の力をわが国成長の原動力へ」令和6年度
    • 文化庁が全国で展開する「学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業」と自治体の事業が連携することで、より地域の実情に即した効果的なプログラム展開が可能です。
      • (出典)文化庁「令和6年度 学校における文化芸術鑑賞・体験推進事業」令和6年度
    • 全国の公立文化施設におけるアウトリーチの実施率は未だ3割に満たない施設が多く、行政による積極的な推進と財政的支援が求められています。
      • (出典)参議院「立法と調査 公立文化施設の現状と課題」平成23年度
主な取組③:地域文化コーディネーターの配置とネットワーク構築
  • 各区の文化振興担当部署や文化振興財団等に、地域の文化団体、アーティスト、学校、企業、商店街、行政の各部署などを繋ぐ専門職「地域文化コーディネーター」を配置します。
  • コーディネーターがハブとなり、分野横断的な協働プロジェクト(例:商店街の空き店舗を活用したアート展、地域の歴史をテーマにした演劇の学校公演など)の企画立案を支援します。
  • 先進事例である「港区文化芸術ネットワーク会議」を参考に、多様な関係者が定期的に集い、情報交換や連携の協議を行う場を各区で設けます。
  • 客観的根拠
    • 文化庁の計画においても、地域の文化振興を推進するためには、多様な主体を繋ぐ専門的な人材の育成と、連携を促進する体制の整備・構築が不可欠であると指摘されています。
      • (出典)自由民主党「文化芸術の力をわが国成長の原動力へ」令和6年度
    • 港区の事例では、ネットワーク会議を設置することで、文化芸術団体等がジャンルや社会領域を超えて連携し、区全体の文化芸術振興を推進する基盤となっています。
      • (出典)港区「港区文化芸術振興プラン」令和5年度改定版
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 文化鑑賞・体験を主目的とする区内への来街者数を5年間で20%増加させる
      • データ取得方法: 東京都の観光統計データ、主要文化施設周辺での来街者アンケート調査
  • KSI(成功要因指標)
    • 文化を核とした分野横断型の連携プロジェクトの年間実施件数を5年間で倍増させる
      • データ取得方法: 地域文化コーディネーターの活動報告書、各区関連部署の事業報告書の集計
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 造成された文化観光モデルコースおよび文化体験プログラムへの年間参加者数を5年間で50%増加させる
      • データ取得方法: 各プログラム実施団体・事業者からの参加者実績報告の集計
    • デジタルアーカイブ教材を活用した授業を実施した区内小中学校の割合を5年間で50%にする
      • データ取得方法: 各区教育委員会を通じた学校へのアンケート調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 造成した文化観光モデルコースの数を年間20コース以上とする
      • データ取得方法: 各区観光主管課の事業報告書
    • 福祉施設等へのアウトリーチ事業の年間実施回数を23区合計で500回以上とする
      • データ取得方法: 事業委託先からの実績報告書

先進事例

東京都特別区の先進事例

墨田区「すみだ北斎美術館を核とした地域連携」

  • 墨田区は、世界的な知名度を誇る浮世絵師・葛飾北斎が生涯のほとんどを過ごした地という唯一無二の文化資源を最大限に活用し、美術館を核とした文化情報発信と地域活性化を一体的に推進しています。美術館を単なる文化財の展示施設に留めず、「まち歩き観光の新拠点」と明確に位置づけ、アートプロジェクト「すみゆめ」(隅田川 森羅万象 墨に夢)では、地域のアーティスト、NPO、企業など多様な主体と連携し、隅田川流域全体で多彩な文化プログラムを展開しています。これにより、美術館が地域文化の創造・発信拠点としてダイナミックに機能しています。また、建設時には東日本大震災後の資材費高騰により深刻な資金不足に直面しましたが、ふるさと納税やネーミングライツ、一日館長制度といった多様な寄付メニューを開発し、官民連携のファンドレイジングで乗り越えました。この経験は、文化施設の持続可能な運営モデルとしても全国的に高く評価されています。
  • 客観的根拠
    • 区の計画段階から、美術館を東京スカイツリーや江戸東京博物館と連携させ、地域産業の活性化に繋げるという明確なビジョンを持っていました。
      • (出典)墨田区「広報すみだ」平成24年
      • (出典)弘前市議会「行政視察報告書」令和4年度
    • アートプロジェクト「すみゆめ」では、200件以上の団体・個人と連携し、芸術文化に限らず森羅万象あらゆる表現活動を支援する、開かれたプラットフォームを形成しています。
      • (出典)すみゆめ実行委員会事務局「すみゆめ2022開催報告」令和5年
    • 困難な資金調達を、地道な企業訪問や、個人・法人向けの複数の寄付メニューを用意することで達成し、官民共創の成功事例となっています。
      • (出典)ファンドレックス「すみだ北斎美術館のファンドレイジング事例」令和4年度
      • (出典)HIRAKU「地方創生とファンドレイジング」令和5年

豊島区「トキワ荘マンガミュージアムによる文化ブランド構築」

  • 手塚治虫をはじめとする昭和のマンガの巨匠たちが若き日を過ごした伝説のアパート「トキワ荘」を、当時の姿で忠実に再現した施設です。豊島区は、このミュージアムを「トキワ荘のあったまち」南長崎地域の文化発信拠点と明確に位置づけ、周辺の商店街や関連施設と一体となった「マンガによるまちづくり」を推進しています。特に情報発信戦略に優れており、X(Twitter)、Facebook、Instagram等のSNSを積極的に活用し、特別企画展や新商品の情報をタイムリーに発信しています。さらに、ファン同士が交流し、関連情報を得られる拠点として「トキワ荘マンガミュージアムサロン」を近隣に開設するなど、コアなファン層から国内外の観光客まで幅広い層にアプローチすることで、「マンガの聖地」としての強力な文化ブランドを確立しています。
  • 客観的根拠
    • 令和2年7月の開館から約3年半で総来場者数が21万人を突破するなど、地域の文化施設として極めて高い集客力を実現しています。
      • (出典)豊島区「トキワ荘マンガミュージアム来館者数」令和5年
    • 空き店舗を活用して整備された「トキワ荘マンガミュージアムサロン」は、ミュージアムのサテライト機能、ファン交流、トキワ荘ゆかりの他自治体との連携拠点という多機能な役割を担っています。
      • (出典)豊島区「トキワ荘マンガミュージアムサロン」令和5年
    • 各種SNSを効果的に活用し、展覧会の見どころやオリジナルグッズの情報を随時発信することで、継続的なファンの関心を引きつけています。
      • (出典)豊島区立トキワ荘マンガミュージアム「公式SNS」令和6年

渋谷区「しぶや文化創造グループによる文化総合センター大和田の運営」

  • 渋谷区文化総合センター大和田は、ホール、図書館、プラネタリウムなど多様な機能を持つ複合文化施設ですが、その運営には指定管理者制度が導入されています。現在、株式会社東急コミュニティー、株式会社パシフィックアートセンター、株式会社サイオーから成る共同事業体「しぶや文化創造グループ」が指定管理者として運営を担っています。この事例の特筆すべき点は、民間の持つ専門的なノウハウ、効率的な運営手法、そして柔軟な発想を最大限に活用し、質の高い文化サービスを提供していることです。行政は施設の所有者として大枠の方針を示し、具体的な事業展開や日常の運営は専門性を持つ民間事業者に委ねることで、行政の直接的な負担を軽減しつつ、利用者満足度の高い施設運営を両立させている好事例と言えます。
  • 客観的根拠
    • 令和4年4月1日から令和9年3月31日までの5年間の指定管理期間で、複数の民間事業者からなる共同事業体が運営を行っています。
      • (出典)渋谷区「指定管理者制度導入施設一覧」令和6年
      • (出典)しぶや文化創造グループ「渋谷区文化総合センター大和田」令和6年
    • 指定管理者として運営に携わる職員は、自らのアイディアや意見を反映させて施設を改善できることに、大きなやりがいを感じています。
      • (出典)パシフィックアートセンター「PAC TALK」令和2年
    • 指定管理者制度は、全国の公立文化施設、特に政令指定都市(導入率92.6%)や人口30万人以上の市・特別区(同79.1%)で高い導入率を誇り、文化施設の効果的な運営手法として広く定着しています。
      • (出典)全国公立文化施設協会「令和5年度 公立文化施設の経営状況に関する実態調査」令和6年度

全国自治体の先進事例

金沢市「金沢市デジタルミュージアム構想による文化資源の統合的発信」

  • 「世界の交流拠点都市」を標榜する金沢市は、市が所有する膨大な文化財や歴史的資源を、単に保存するだけでなく、デジタル技術を用いて積極的に活用する「金沢市デジタルミュージアム構想」を推進しています。この構想の核となるのが、ポータルサイト「金沢ミュージアム+(プラス)」です。ここでは、高精細画像や3Dデータ、SPレコードの音源再生など、最新技術を駆使して、実物を鑑賞するだけでは得られない新たな文化体験を提供しています。さらに、整備したデジタルデータをオープンデータ化し、教育や学術研究、さらには民間事業者による新たなコンテンツ開発やビジネス創出に繋げることも視野に入れています。文化資源の「保存・継承」と、デジタルによる「新たな価値創造」の両立を高いレベルで目指す、全国でもトップクラスの先進的な取り組みです。
  • 客観的根拠
    • 市の最上位計画である「金沢市デジタル戦略」の中に本構想を明確に位置づけ、文化振興とデジタル化を全庁的に連携させて推進しています。
      • (出典)金沢市「金沢市デジタル戦略」令和5年度
    • 施策の成果指標として「金沢ミュージアム+のページビュー数」や「文化施設への来館者数の増加」を設定しており、EBPM(証拠に基づく政策立案)の視点を導入しています。
      • (出典)地方創生推進事務局「金沢市 地域再生計画」令和4年度
    • 国の「自治体DX推進計画」との整合性を図りつつ、マイクロソフト社と連携した「デジタル行政推進リーダー育成研修」を実施するなど、構想を推進するための人材育成にも注力しています。
      • (出典)金沢市「金沢市ICT活用推進計画」令和3年度
      • (出典)日本マイクロソフト株式会社「金沢市のデジタル化戦略」令和4年度

福岡市「コロナ禍におけるオンライン配信支援」

  • 福岡市は、新型コロナウイルス感染症の拡大により活動が著しく制限された文化・エンターテインメント分野に対し、迅速かつ実効性の高い支援策を展開しました。特に注目されるのは、デジタル技術の活用を前面に押し出した点です。市内の文化施設に対しては無観客での映像配信に必要な設備(カメラ、配信機材等)の導入経費を支援し、プロのアーティストや事業者にはウェブ配信動画の制作費用そのものを支援しました。さらに、リアルな公演とオンラインでの動画配信を併用して開催する「ハイブリッド公演」を積極的に支援することで、感染症対策と事業継続を両立させ、新たな収益源の確保と全国の潜在的な観客層へのアプローチを後押ししました。未曾有の危機的状況を、文化芸術分野のデジタルトランスフォーメーションを加速させる好機と捉えた、機動的かつ戦略的な支援事例として高く評価できます。
  • 客観的根拠
    • 令和2年度には、映像配信設備等支援151件、ウェブ配信動画制作支援120件、ハイブリッド公演支援120件という、極めて多数の支援実績を上げています。
      • (出典)福岡市議会「経済観光文化委員会協議会資料」令和5年度
    • 福岡市文化芸術振興財団が運営するオンラインショップでは、市内の博物館や美術館のオリジナルグッズを販売しており、文化施設の新たな収益モデルを構築するとともに、市の文化資源の魅力を全国に発信しています。
      • (出典)福岡市文化芸術振興財団「FFAC ONLINE SHOP」令和6年度

参考資料[エビデンス検索用]

  • 政府(省庁)
    • 文化庁「文化芸術推進基本計画(第1期・第2期)」1
    • 文化庁「文化に関する世論調査」各年度 5
    • 文化庁「令和6年度 文化庁予算」7
    • 文化庁「博物館資料のデジタル・アーカイブ化の目的・状況について」9
    • 文化庁「文化遺産オンライン構想の推進」11
    • 文化庁「メディア芸術の創造・発信プラン」8
    • 文化庁「地域の伝統行事・文化財に関する調査」14
    • 文部科学省「令和6年版 文部科学白書」4
    • 文部科学省「社会教育調査」19
    • 総務省「社会生活基本調査」各年度 22
    • 内閣府 知的財産戦略推進事務局「デジタルアーカイブ推進に関する計画・報告書」26
  • 東京都
    • 東京都「令和4年度 都民生活に関する世論調査」30
    • 東京都「区市町村の文化関連予算調査」32
    • 東京都「東京の祭礼・民俗行事調査報告書」15
    • 東京都教育委員会「民俗文化財継承実態調査」15
  • 自治体(特別区等)
    • 港区「港区文化芸術振興プラン」33
    • 墨田区「すみだ北斎美術館関連資料」35
    • 豊島区「トキワ荘マンガミュージアム関連資料」38
    • 渋谷区「指定管理者制度導入状況」41
    • 金沢市「金沢市デジタル戦略」「金沢ミュージアム+(プラス)」42
    • 福岡市「文化・エンターテインメント分野への支援実績」45
  • シンクタンク・研究機関・財団法人等
    • (公財)全国公立文化施設協会「公立文化施設の経営状況に関する実態調査」46
    • (公財)地域創造「地域の公立文化施設実態調査報告書」21

まとめ

 東京都特別区における文化情報の発信は、単なる広報活動ではなく、住民の生活の質、地域の活力、ひいては都市の国際競争力をも左右する極めて重要な戦略的課題です。本報告書で示した通り、デジタル化の不可逆的な潮流を捉え、情報へのアクセシビリティを抜本的に改善する「文化DX」を最優先で推進すべきです。同時に、情報の中身である文化コンテンツそのものが枯渇せぬよう、担い手を支援し、その持続可能性を確保する取り組みも車の両輪として不可欠です。そして、文化を核とした分野横断的な連携を促進することで、新たな社会的・経済的価値を共創し、全ての区民が文化の豊かさを実感できる社会の実現を目指します。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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