07 自治体経営

外郭団体との連携

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(外郭団体との連携を取り巻く環境)

  • 自治体が外郭団体との連携を行う意義は「専門性・柔軟性を活用した質の高い住民サービスの提供」と「変化に対応する持続可能な行政運営の実現」にあります。
  • 東京都特別区において、行政が企画立案という「羅針盤」の役割を担い、外郭団体がその専門性と柔軟性を活かして事業推進という「エンジン」の役割を担う「両輪モデル」は、複雑化・多様化する行政課題に対応するための極めて有効な戦略です。
  • この連携モデルは、行政組織の硬直性を補い、民間のノウハウや経営手法を活用することで、限られたリソースの中で住民サービスの価値を最大化することを可能にします。

意義

住民にとっての意義

専門的・機動的なサービス享受
多様なニーズへの対応

地域社会にとっての意義

地域課題解決の推進力
地域コミュニティの活性化

行政にとっての意義

効率的・効果的な行政運営
リスクの分散と柔軟な人事

(参考)歴史・経過

外郭団体との連携に関する現状データ

全国の第三セクター等の概況(マクロトレンド)
地方公共団体からの財政支援の実態
指定管理者としての役割の大きさ
東京都特別区における状況(ミクロ分析)

課題

住民の課題

サービスの質のばらつきと不透明性
  • 外郭団体によって経営努力や職員の専門性に差があるため、同じような施設やサービスであっても、提供されるサービスの質が均一でなく、住民が受ける恩恵に格差が生じる可能性があります。
  • 客観的根拠:全国の外郭団体の経営状況には、安定した黒字団体と慢性的な赤字団体が混在しており(黒字法人率58.9%)、この経営基盤の差が、サービスの企画力や人材育成への投資の差となり、最終的にサービス水準の格差に繋がり得ます。(出典)総務省「第三セクター等の状況に関する調査結果の概要(令和5年3月31日時点)」令和6年1月 19(出典)総務省「第三セクター等の状況に関する調査結果の概要(令和5年3月31日時点)」令和6年1月 19
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:住民の行政サービス全体に対する信頼が低下し、居住地域による不公平感が増大します。
説明責任の曖昧さ
  • サービスに問題が発生した際に、企画した区に責任があるのか、実行した外郭団体に責任があるのかが曖昧になりがちです。住民から見れば、一体どこに意見を言えば良いのか分かりにくいという構造的な問題を抱えています。
  • 客観的根拠:総務省の指針では、外郭団体の経営責任は第一義的にその経営者にあるとしつつも、経営が悪化した場合には地方公共団体の財政に深刻な影響を及ぼすとしており、責任の所在が二重構造になっていることが示唆されています。(出典)総務省「第三セクター等の経営健全化等に関する指針」平成26年8月5日 13
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:住民からの意見や苦情が「たらい回し」にされ、問題解決が遅延する可能性があります。

地域社会の課題

民間事業者との不公正な競争
  • 区からの安定的な補助金や委託料、無償に近い形での施設利用などの支援を受ける外郭団体が、同様のサービスを提供する地域の民間事業者やNPOの経営を圧迫し、公正な競争を阻害する可能性があります。
  • 客観的根拠:指定管理者制度が導入されて久しい現在でも、公募を経ずに従来の外郭団体が随意契約で指定されるケースがあり、競争の形骸化が指摘されています。名古屋市では、この公平性を担保するため、市職員が派遣されている団体が公募に参加する場合、当該職員が直接業務に従事することを禁止するルールを設けています。(出典)会計と監査「指定管理者制度の導入効果に関する実証分析」2009年 9(出典)名古屋市「外郭団体のあり方に関する基本方針」平成27年4月 6
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:地域の多様なサービス提供主体の成長が阻害され、長期的には地域経済の活力やサービスの多様性が失われます。
協働の閉鎖性
  • 区と特定の外郭団体との関係が長年にわたり固定化・緊密化しすぎると、他の意欲あるNPOや市民活動団体、新規事業者が公共サービスに参画しにくい、閉鎖的な「身内」の構造が形成される恐れがあります。
  • 客観的根拠:相模原市では、外郭団体への委託事業において、競争性のない一者随意契約のあり方が見直しの対象となっており、特定の団体への依存構造が課題として認識されていたことを示唆しています。(出典)相模原市「外郭団体改革推進計画(令和6年3月中間見直し)」 10
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:地域課題解決のための新たなアイデアや多様な担い手の参入が妨げられ、地域全体のイノベーションが停滞します。

行政の課題

ガバナンス・統制の難しさ
  • 外郭団体は区とは別の独立した法人格を持つため、区の政策意図が事業の細部にまで直接反映されにくく、経営方針の僅かな乖離や非効率な運営を完全にコントロールすることが困難です。これは、団体の「自主性・柔軟性」を尊重すればするほど、区の「統制・説明責任」が果たしにくくなるという構造的なジレンマ(ガバナンス・トリレンマ)を内包しています。
  • 客観的根拠:総務省がわざわざ「第三セクター等の経営健全化等に関する指針」を策定し、地方公共団体に対して適切な関与と経営状況の把握を強く求めていること自体が、裏を返せば、それが全国的に十分に行われていない現状があることを示しています。(出典)総務省「第三セクター等の経営健全化等に関する指針」平成26年8月5日 13(出典)総務省「第三セクター等の経営健全化等に関する指針」平成26年8月5日 13包括外部監査においても、外郭団体への指導・働きかけのあり方が重要な監査テーマとなることがあり、ガバナンスの確保が行政にとっての重要課題であることが分かります。(出典)大田区「令和4年度包括外部監査結果報告書」 24(出典)大田区「令和4年度包括外部監査結果報告書」 25
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:区が掲げる政策目標と外郭団体の実際の事業運営が乖離し、税金が意図通りに、かつ効率的に使われない事態を招きます。
財政的リスクと依存構造
  • 外郭団体の経営不振は、赤字補填のための追加の補助金支出や、融資に対する損失補償の実行など、区の財政を直接圧迫する極めて大きなリスクを常に抱えています。
  • 客観的根拠:全国の自治体は、第三セクター等に対し、年間で4,184億円もの補助金と、2兆円を超える巨額の損失補償・債務保証を行っており、これは自治体財政における「見えにくい負債」となっています。過去には、神戸市で外郭団体への派遣職員の人件費負担のあり方を巡り、住民訴訟にまで発展した事例もあります。(出典)総務省「第三セクター等の状況に関する調査結果の概要(令和5年3月31日時点)」令和6年1月 19(出典)総務省「第三セクター等の状況に関する調査結果の概要(令和5年3月31日時点)」令和6年1月 19(出典)総務省「住民訴訟・住民監査請求の概要」 26
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:将来世代に過大な財政負担を残すとともに、他の重要な住民サービス(例:子育て支援、防災対策)へ回すべき財源が圧迫されます。
成果評価の形骸化
  • 外郭団体が実施する事業の成果を、客観的かつ定量的に評価するための指標(KPI)の設定が難しく、事業評価が「事業を実施したこと」自体を評価する形式的なものになりがちです。事業の有効性や費用対効果の厳密な検証が不十分になる傾向があります。
  • 客観的根拠:多くの自治体で行政評価制度は導入されていますが、その評価結果が予算削減や事業再編といった具体的な経営改善に繋がっていない「評価のための評価」に陥っているとの指摘は少なくありません。京都市では、この課題に対応するため、評価結果に基づき市長が必要な指導及び助言を行う仕組みを条例で明確に定めています。(出典)京都市「京都市外郭団体の経営の評価等に関する条例」 27
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:成果の出ていない非効率な事業が、前例踏襲で惰性的に継続され、貴重な経営資源の浪費につながります。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

  • 各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。
即効性・波及効果
  • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、単一の課題解決にとどまらず、複数の課題解決や多くの住民への便益につながる施策を高く評価します。
実現可能性
  • 現在の法制度、予算、人員体制の中で、大きな障壁なく実現可能な施策を優先します。既存の体制や仕組みを活用できる施策は、優先度が高くなります。
費用対効果
  • 投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して、得られる効果(住民サービス向上、財政負担軽減等)が大きい施策を優先します。
公平性・持続可能性
  • 特定の地域や年齢層だけでなく、幅広い住民に便益が及び、かつ一時的な効果ではなく、長期的・継続的に効果が持続する施策を高く評価します。
客観的根拠の有無
  • 総務省の指針や他の自治体の先進事例など、エビデンスに基づいて効果が実証されている、あるいは期待される施策を優先します。

支援策の全体像と優先順位

  • 外郭団体との連携を真の「両輪」として機能させるためには、まず区と外郭団体の関係性を規律し、責任と権限を明確化する**「①戦略的パートナーシップ・ガバナンスの確立」**を最優先の土台として整備する必要があります。健全な統治体制なくして、財政的自立や戦略的な事業展開は実現し得ません。
  • この強固な土台の上に、団体の財政的自立を促す**「②自立的・持続可能な経営基盤の強化」と、社会の変化に対応して事業内容を最適化する「③戦略的な事業ポートフォリオの最適化と団体再編」**を推進する三段階のアプローチが不可欠です。
  • したがって、優先度は「①ガバナンス確立」を最も高く設定し、次に「②経営基盤強化」、そして中長期的な視点で「③事業再編」に取り組むことが合理的です。

各支援策の詳細

支援策①:戦略的パートナーシップ・ガバナンスの確立(優先度:高)

目的
  • 区と外郭団体の役割分担、権限、責任を文書等で明確化し、透明性の高いパートナーシップを構築すること。
  • 外郭団体の経営に対する区の監督・指導機能を実質的に強化し、経営の健全性と説明責任を確保すること。
  • 客観的根拠:総務省は「第三セクター等の経営健全化等に関する指針」において、地方公共団体による適切な関与と経営責任の明確化を繰り返し要請しています。また、横浜市や港区では、具体的なガバナンス強化策が既に導入され、経営改善という成果に繋がっています。(出典)総務省「第三セクター等の経営健全化等に関する指針」平成26年8月5日 13(出典)総務省「第三セクター等の経営健全化等に関する指針」平成26年8月5日 13(出典)横浜市「外郭団体の指導・調整」 16(出典)港区「令和5年度港区外郭団体経営評価結果について」 22
主な取組①:協約マネジメントサイクルの導入
  • 横浜市の先進事例を参考に、区と各外郭団体が協働で、3~5年の中期的な経営目標や事業上の役割を定めた「協約」を策定し、公表します。
  • 協約には、具体的な成果指標(KPI)、主要な事業計画、区からの支援内容(補助金、委託料等)と団体が達成すべき目標を具体的に明記し、双方のコミットメント(約束)を文書で明確にします。
  • 毎年度、外部の有識者を含む評価委員会が協約の進捗状況を評価し、その結果を公表します。この評価結果は、次年度の補助金や委託料の額に反映させる仕組み(インセンティブ付け)を構築し、経営努力を実質的に促します。
  • 客観的根拠:横浜市では、この協約マネジメントサイクルを市の最上位計画である中期計画に明確に位置づけ、外郭団体の経営向上と市財政への貢献を促進する全庁的な重要施策として推進しています。(出典)横浜市「外郭団体の指導・調整」 16(出典)横浜市「外郭団体の指導・調整」 16
主な取組②:外部の視点を取り入れた経営評価制度の構築
  • 港区の事例を参考に、外郭団体自身による自己評価(一次評価)、区の所管課による評価(二次評価)に加え、公認会計士、税理士、中小企業診断士、学識経験者等の外部専門家による第三者評価(三次評価)を制度化します。
  • 評価の視点として「実施事業の有効性・効率性」「組織体制の健全性」「財務状況の持続可能性」の3つを共通の柱とし、客観的な基準に基づいて評価します。評価結果は「A:取組は順調」「B:一部課題あり」「C:改善が必要」といった分かりやすい区分で公表し、住民への説明責任を果たします。
  • 客観的根拠:港区では、この三段階評価の導入後、令和5年度の評価において対象4団体全てが「差引収支が黒字であるなど取組が順調」と評価されており、評価制度が経営改善の有効なインセンティブとして機能していることが示されています。(出典)港区「令和5年度港区外郭団体経営評価結果について」 22(出典)港区「外郭団体の経営評価」 28
主な取組③:理事会・監事機能の強化
  • 外郭団体の最高意思決定機関である理事会に、経営、法律、財務等の分野で高い専門知識を持つ民間人材を、公募等により積極的に登用することを促します。
  • 団体の業務及び財産の状況を監査する監事には、会計や監査の専門家(公認会計士、税理士等)を最低1名登用することを原則とし、監査機能の実質化を図ります。
  • 区からの派遣職員やOB職員の役員就任については、その必要性や本人の専門性・経営能力を厳格に審査する基準を設け、安易な「天下り」と見なされる人事慣行を防止するための明確なルールを策定・公開します。
  • 客観的根拠:相模原市では、市派遣職員の段階的引き揚げを完了させ、外郭団体の自主性・自立性を高めることに成功しています。また、北九州市でも、市OB職員の役員就任を原則65歳までとする年齢制限を設けるなど、具体的な改革に取り組んでいます。(出典)相模原市「外郭団体改革推進計画(令和6年3月中間見直し)」 10(出典)相模原市「外郭団体改革推進計画(令和6年3月中間見直し)」 10(出典)北九州市「外郭団体経営改革プラン」平成19年6月 29
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 外郭団体の運営に関する住民監査請求件数 ゼロ化
      • データ取得方法: 監査事務局の受付記録を年次集計
    • 全外郭団体の経営評価において「重大な改善が必要」とされる評価(例:D評価)のゼロ化
      • データ取得方法: 年次経営評価報告書の評価結果
  • KSI(成功要因指標)
    • 協約マネジメントサイクルの導入率 100%
      • データ取得方法: 政策企画部門による全外郭団体の導入状況調査
    • 理事・監事における外部専門家の登用率 50%以上
      • データ取得方法: 各団体の役員名簿と公開されている経歴の確認
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 外郭団体の情報公開に対する住民満足度 80%以上
      • データ取得方法: 住民意識調査に「外郭団体の情報公開の満足度」に関する項目を設定し、年1回調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 第三者評価委員会の開催回数 年2回以上/団体
      • データ取得方法: 評価委員会の議事録の確認
    • 協約および経営評価結果のウェブサイト公表率 100%
      • データ取得方法: 区および各外郭団体のウェブサイトの定期的な巡回確認

支援策②:自立的・持続可能な経営基盤の強化(優先度:中)

目的
  • 外郭団体の区財政への過度な依存体質から脱却させ、自主財源の確保による自立的・持続可能な経営を促進すること。
  • 民間的経営手法の導入を徹底し、コスト効率とサービス品質の向上を両立させる組織体質を構築すること。
  • 客観的根拠:全国の第三セクター等の約4割が赤字経営であり、財政基盤の脆弱性は特別区においても共通の課題と考えられます。相模原市や北九州市の改革プランでは、自主財源の確保や補助金削減が改革の重要な柱として位置づけられています。(出典)総務省「第三セクター等の状況に関する調査結果の概要(令和5年3月31日時点)」令和6年1月 19(出典)総務省「第三セクター等の状況に関する調査結果の概要(令和5年3月31日時点)」令和6年1月 19(出典)相模原市「外郭団体改革推進計画(令和6年3月中間見直し)」 10(出典)北九州市「外郭団体経営改革プラン」平成19年6月 15
主な取組①:成果連動型・インセンティブ付き補助金制度の導入
  • 従来の、団体の運営費を補填する性格の強い運営費補助(人件費や事務所経費の補填)から、特定の事業成果(アウトカム)の達成度に応じて交付する事業補助へと、補助金のあり方を抜本的に転換します。
  • 支援策①で導入する「協約」で定めたKPIの達成度に応じて、次年度の補助金額を増減させるインセンティブ制度を導入し、成果を上げた団体が報われる仕組みを構築して、経営改善への動機付けを強化します。
  • 客観的根拠:堺市の行財政改革計画では、外郭団体に対する財政支援について、運営補助から事業補助への転換を図り、競争原理を導入することが明確に掲げられています。(出典)堺市「第2期行財政改革プログラム」 30
主な取組②:収益事業の多角化支援
  • 外郭団体が保有する専門性(例:文化企画ノウハウ、福祉相談スキル)、施設、地域ネットワークといった無形資産を活用した、新たな収益事業の企画・開発を支援します。
  • 具体的な支援策として、事業開発に関する専門家(中小企業診断士等)の派遣、マーケティング調査費用の助成、他団体や民間企業の成功事例を学ぶ研修会などを実施します。
  • 施設の壁面や刊行物への広告掲載、ネーミングライツ(命名権)の導入など、既存資産を活用した新たな財源確保策の検討を促し、導入に向けたコンサルティングを行います。
  • 客観的根拠:堺市の改革プランでは、補助金・委託料以外の自主財源(寄付金、広告料等)の開拓を進めることが目標として設定されており、自主財源確保の重要性が示されています。(出典)堺市「行財政改革計画(改定素案)」 30
主な取組③:外郭団体間の連携・共同事業の推進
  • 複数の外郭団体が連携し、バックオフィス業務(経理、総務、人事等)を共同で処理するセンターを設置したり、共同でシステムを導入したりすることで、管理コストの削減と業務の専門化・効率化を図ります。
  • 各団体の専門性を組み合わせた魅力的な共同事業(例:文化財団と国際交流財団による「多文化共生アートフェスティバル」の開催)を企画・実施し、新たな価値創出と収益機会の拡大を目指します。
  • 客観的根拠:相模原市の計画では、外郭団体間の連携強化が重点項目として掲げられており、合同研修の開催や事業の共同実施などが具体的な取組として挙げられています。(出典)相模原市「外郭団体改革推進計画(令和6年3月中間見直し)」 10
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 全外郭団体合計の自主財源比率(総収入に占める自主財源の割合) 50%以上を達成
      • データ取得方法: 各団体の決算報告書(財務諸表)を合算・分析
    • 区からの補助金・委託料以外の財政支援(損失補償等)の総額 ゼロ化
      • データ取得方法: 財政課の予算・決算データおよび関連資料
  • KSI(成功要因指標)
    • 成果連動型補助金を導入している団体の割合 80%以上
      • データ取得方法: 財政課が管理する各団体の補助金交付要綱の確認
    • 新たに開始された収益事業の件数 年間5件以上(全団体合計)
      • データ取得方法: 各団体の事業報告書における新規事業の記載を確認
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 全外郭団体合計の自主財源収入額 前年度比5%増
      • データ取得方法: 各団体の決算報告書を合算・分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 収益事業開発に関する研修・コンサルティングの実施回数 年2回以上
      • データ取得方法: 政策企画部門または所管課の事業実施記録
    • 外郭団体間の共同事業の実施件数 年間3件以上
      • データ取得方法: 各団体の事業報告書やプレスリリース等で確認

支援策③:戦略的な事業ポートフォリオの最適化と団体再編(優先度:低→中長期的に高)

目的
  • 人口減少やデジタル化の進展といった社会経済情勢の変化や、新たな行政ニーズに的確に対応するため、外郭団体が担う事業内容と組織体制を常に見直し、最適化すること。
  • 「選択と集中」の考え方に基づき、限りある経営資源を、区民から真に必要とされ、かつ将来にわたって重要性の高い事業へ重点的に配分すること。
  • 客観的根拠:北九州市では、社会状況の変化に対応するため、存在意義が希薄化した5団体を廃止するなど、大胆な組織再編を断行しました。また、総務省の指針でも、事業の公共性や費用対効果が著しく低下した団体については、統廃合を含む抜本的改革を検討すべきとしています。(出典)北九州市「外郭団体経営改革プラン」平成19年6月 15(出典)北九州市「外郭団体経営改革プラン」平成19年6月 29(出典)総務省「第三セクター等の経営健全化等に関する指針」平成26年8月5日 13
主な取組①:定期的な「存在意義レビュー」の実施
  • 3年から5年に一度、全ての外郭団体を対象に、その設立目的が現在も妥当か、事業の必要性や公共性は維持されているか、区の政策との整合性は取れているか、といった点をゼロベースで検証する「存在意義レビュー」を実施します。
  • レビューの結果に基づき、各団体を「①維持・強化」「②事業転換・DX推進」「③他団体との統合」「④廃止・清算」の4類型に客観的に分類し、それぞれの類型に応じた具体的なアクションプランを策定します。
  • 客観的根拠:相模原市では、「設立目的が既に達成され、役割を終えていないか」「事業の必要性が低下していないか」といった基準で、外郭団体の在り方を毎年検証する仕組みを取り入れています。(出典)相模原市「外郭団体改革推進計画(令和6年3月中間見直し)」 10
主な取組②:類似・重複事業の統合
  • 存在意義レビューの結果、複数の外郭団体で類似または重複する事業が確認された場合、事業を一つの団体に集約するか、あるいは団体自体を統合することで、経営資源の分散を防ぎ、事業の効率化と専門性の向上を同時に図ります。
  • 客観的根拠:相模原市では、都市整備公社とみどりの協会という、まちづくりと緑化という関連性の高い機能を持つ2団体を合併させ、「まち・みどり公社」へと再編した実績があり、組織再編によるシナジー効果創出の有効性を示しています。(出典)相模原市「外郭団体改革推進計画(令和6年3月中間見直し)」 10
主な取組③:「廃止」も選択肢とした大胆な改革
  • 経営状況が著しく悪化し、改善の見込みが立たない団体や、事業の公共性・必要性が完全に失われたと判断される団体については、存続させることによる弊害を考慮し、廃止・清算をためらわずに実行します。
  • その際には、当該団体が担っていたサービスを必要とする住民への影響を最小限に抑えるため、代替サービスの確保(区の直営化、民間委託等)を検討するとともに、プロパー職員の再就職支援など、円滑な移行措置を計画的に講じます。
  • 客観的根拠:北九州市は、5団体の廃止を決定した際、清算手続きと並行して、一部事業を商工会議所へ移管したり、プロパー職員の処遇に配慮したりするなど、ソフトランディングに向けた丁寧な対応を行いました。(出典)北九州市「外郭団体経営改革プラン」平成19年6月 29(出典)北九州市「外郭団体経営改革プラン」平成19年6月 29
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 経営評価で2年連続「改善が必要」とされた団体の事業費総額を50%削減(事業見直し・統廃合による)
      • データ取得方法: 経営評価報告書と各団体の決算報告書を突合して分析
  • KSI(成功要因指標)
    • 存在意義レビューの定期的実施(5年に1回、全団体を対象)
      • データ取得方法: 政策企画部門が策定する実施計画および実施報告書
    • レビューに基づく団体再編(統合・廃止)の実行件数 5年間で2件以上
      • データ取得方法: 区の意思決定記録(区議会の議案、公式発表等)
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 再編対象となった事業分野における住民満足度の維持・向上
      • データ取得方法: 住民意識調査における分野別満足度の経年変化を分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 存在意義レビュー報告書の策定および公表率 100%
      • データ取得方法: 区のウェブサイトにおける公表状況の確認

先進事例

東京都特別区の先進事例

世田谷区「外郭団体将来ビジョン」

  • 世田谷区は、区の最上位計画である「世田谷区基本計画」と完全に連動する形で、令和6年度から13年度までの8年間にわたる外郭団体の役割と方向性を明確化した長期ビジョンを策定しています。これにより、区と外郭団体が場当たり的な関係ではなく、共通の目標に向かって戦略的に連携する体制を構築しています。
  • 成功要因は、トップダウンの改革指示ではなく、区と各団体が対話を重ねて将来像を描く「共創」のアプローチを採用している点です。また、区の政策と団体の事業を長期的な視点で接続させた高い戦略性も特徴です。
  • 客観的根拠:同ビジョンは、区の具体的な行政改革計画である「新たな行政経営への移行実現プラン」とも連携しており、理念だけでなく、実行計画レベルでの実効性が担保されています。(出典)世田谷区「外郭団体将来ビジョン」 17(出典)世田谷区「外郭団体将来ビジョン」 17

港区「外郭団体経営評価制度」

  • 港区は、外郭団体の経営を厳しくチェックするため、①団体による自己評価、②区の所管課による評価、③公認会計士等の外部専門家による第三者評価、という三段階の評価制度を確立しています。評価結果をA(取組推進)~D(方向性の見直しが必要)の4区分で明確に示し、客観的な評価に基づいて経営改善を促す仕組みが効果的に機能しています。
  • 成功要因は、評価プロセスの透明性と客観性です。特に、外部の専門家の知見を積極的に活用することで、行政と団体の「馴れ合い」を排し、財務状況や組織体制について実効性のある評価を実現している点が挙げられます。
  • 客観的根拠:令和5年度の評価では、対象となった4団体すべてが差引収支で黒字を達成し、最高評価であるA評価を獲得しました。これは、評価制度が団体の経営改善に向けた強力なインセンティブとして機能していることを示しています。(出典)港区「令和5年度港区外郭団体経営評価結果について」 22

板橋区「(公財)板橋区文化・国際交流財団 経営計画2025」

  • この事例は、区の指示ではなく、外郭団体自身が主体的に改革を進めている点が特徴です。財団が自ら「文化と国際交流の力で 板橋を元気に」という明確な経営理念を掲げ、区の政策目標と連動した具体的な重点目標(例:「板橋の特色ある文化芸術×魅力の創造・発信」)と個別戦略目標を設定し、主体的な経営改革の姿勢を示しています。
  • 成功要因は、外郭団体自身の高い当事者意識と戦略性です。区からの指示を待つ「受け身」の姿勢ではなく、自らが地域の課題解決の主体であるという強い意志を持って経営計画を策定し、事業を推進している点にあります。
  • 客観的根拠:財団が策定した令和7年度の事業計画書では、自ら定めた「経営計画2025」に基づき、文化会館の指定管理事業など具体的な事業展開が明記されており、計画が絵に描いた餅で終わらない、実行力を伴ったものであることを示しています。(出典)板橋区文化・国際交流財団「事業計画書 -令和7年度-」 5

全国自治体の先進事例

横浜市「協約マネジメントサイクル」

  • 横浜市は、市と外郭団体が一方的な指示・受託関係に陥ることを防ぐため、双方の協議の上で経営目標や役割を定めた「協約」を締結する制度を導入しています。毎年度、外部委員会がその達成度を厳しく評価し、結果を公表します。この評価は、団体の将来の方向性(統合・廃止、民間移行、事業重点化など)を判断する重要な材料となり、一連のマネジメントサイクルとして制度化されています。
  • 成功要因は、関係者の「善意」や「努力」に頼るのではなく、客観的な制度設計にあります。役割と目標を文書(協約)で明確にし、客観的な評価と具体的なフィードバックを制度に組み込むことで、継続的な経営改善を組織的に担保している点が極めて先進的です。
  • 客観的根拠:この協約マネジメントサイクルは、市の最上位計画である「横浜市中期計画」にも明確に位置づけられており、一部局の取組ではなく、全庁的な重要施策として強力に推進されています。(出典)横浜市「外郭団体の指導・調整」 16

北九州市「徹底した外郭団体改革」

  • 北九州市は、財政再建が喫緊の課題であった平成19年に「外郭団体経営改革プラン」を策定し、聖域なき改革を断行しました。具体的には、存在意義が希薄化した5団体の廃止、市職員派遣の大幅削減(目標▲40.5%)、補助金の大幅削減(実績▲32.8%)、随意契約率の削減(目標20%以下)など、痛みを伴う改革をやり遂げました。
  • 成功要因は、市長の強い政治的リーダーシップと、具体的な数値目標の設定です。第三者委員会を設置して改革の客観性と正当性を担保しつつ、補助金削減といった明確な財政的インセンティブ(あるいはディスインセンティブ)を組み合わせることで、抵抗が予想される改革を強力に推進しました。
  • 客観的根拠:同市の改革プランには、廃止する団体の実名や、派遣職員数・補助金額の具体的な削減目標値が明記されており、改革に対する市の断固たる意志が示されています。(出典)北九州市「外郭団体経営改革プラン」平成19年6月 15(出典)北九州市「外郭団体経営改革プラン」平成19年6月 29(出典)北九州市「外郭団体経営改革プラン」平成19年6月 29

参考資料[エビデンス検索用]

まとめ

 東京都特別区における行政と外郭団体の連携、すなわち「区が企画立案、団体が事業推進」という「両輪モデル」は、専門性と柔軟性を活かして質の高い住民サービスを提供する強力な手段となり得ます。しかし、その成功は、単なる協力関係ではなく「戦略的パートナーシップ・ガバナンス」の確立にかかっています。全国のデータが示すように、曖昧な関係性や財政的な依存構造は、かえって財政リスクの増大やサービスの質の低下を招きかねません。横浜市や港区の事例のように、協約や客観的評価を通じて役割と責任を明確にし、自立的な経営を促すことで、初めて両輪は力強く前進します。今後は、提案した支援策を着実に実行し、区と外郭団体が真のパートナーとして、未来に向けた地域価値を共創していくことが期待されます。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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