公務員の新しい挑戦「移住・定住促進活動」完全ガイド:地域と人をつなぐ副業の全貌
はじめに
※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。
※実際の副業・兼業に当たっては、所属組織の規定等を必ず確認するとともに、所管部署や上司に事前相談してください。
(出典)人事院「自営兼業制度の見直しについて」令和7年度
(出典)総務省「地方公務員の兼業に関する技術的助言の通知」令和7年度
職員の幸福が、住民の幸福をつくる
- 誰か(住民)を幸せにするためには、まずは自分が幸せになる必要があります。
- ハーバード大学のニコラス・クリスタキス教授とカリフォルニア大学のジェームス・ファウラー教授は、20年間にわたり約5,000人を追跡した大規模な研究を行いました。この研究によれば、ある人の幸福は、その友人の幸福度を約15%高め、さらにその友人の友人(2次の隔たり)、そして友人の友人の友人(3次の隔たり)にまで波及していくことが科学的に示されたのです。
- 出典
- Nicholas A. Christakis & James H. Fowler, 『Connected: The Surprising Power of Our Social Networks and How They Shape Our Lives』(邦題:『つながり 社会的ネットワークの驚くべき力』), Little, Brown and Company, 2009.
- 出典
- つまり、ご自身が経済的な安心感と幸福を手に入れることは、皆様が思う以上に広範囲に、巡り巡って地域や住民の方々をも幸せにする、確かな力を持っているということです。
- 今回は、皆様がその第一歩を踏み出すための一助として、公務員向けの副業ガイドを分かりやすくお届けします。
はじめに:
人口減少社会における移住・定住促進の重要性
東京都特別区の職員の皆様は、日々の業務の中で、人口動態の変化、地方圏の人口減少、二地域居住への関心の高まり、関係人口の概念の広がりといった社会動向に触れる機会が少なくないのではないでしょうか。日本社会全体としては人口減少が進む一方、東京圏への人口集中が継続している状況があり、地方創生、地方への新しい人の流れの創出、関係人口の拡大といった政策テーマが、国・都道府県・市区町村の各レベルで重要性を増していると考えられます。同時に、コロナ禍以降のリモートワークの普及、ワーケーションへの関心、価値観の多様化を背景に、移住や二地域居住、地域との多様な関わり方への関心が広がりつつある状況があります。
このような時代背景の中で、令和7年12月19日に人事院が公表した自営兼業制度の見直し方針、および令和7年6月11日付け総務省通知による地方公務員の兼業に関する技術的助言を受け、公務員が移住・定住促進活動に関与する副業の可能性が広がりつつあります。本記事では、移住・定住促進活動という副業・兼業類型について、制度の根拠から承認要件、実務上の留意点、本業への還元効果までを体系的に解説します。
なお、本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の兼業承認の可否、活動団体や事業形態に伴う法的責任、関係法令への適合性、税務処理の詳細については、必ず所属組織の所管部署、税理士、弁護士、行政書士等の専門家にご相談ください。移住・定住促進活動には、不動産関連法規、職業紹介関連法規、個人情報保護、自治体との委託契約など多岐にわたる論点が関係する可能性があり、活動形態によって適用される法令と必要な手続が異なります。兼業承認の判断は最終的に各任命権者が行うものであり、本記事の記述は各自治体・各任命権者の判断を拘束するものではない点を、あらかじめお断りしておきます。
背景・基礎知識:
移住・定住促進をめぐる政策動向と活動の広がり
人口動態と地方創生政策の展開
日本社会の人口動態は、自然減と東京圏への人口集中という二つの構造的特徴を持って推移してきたと考えられます。地方圏の人口減少、過疎化、地域経済の縮小、コミュニティの維持困難といった課題に対し、国は地方創生政策として多面的な施策を展開してきたとされています。地方への新しい人の流れの創出、移住・定住の促進、関係人口の拡大、地域おこし協力隊の派遣、リモートワーク環境の整備、ワーケーションの推進などが、政策の柱として位置付けられている場合があります。具体的な政策動向、統計数値、事業内容については、内閣府、デジタル庁、総務省、各自治体の公式発表をご確認ください。
近年の特徴として、移住・定住という従来型の概念に加え、関係人口という新しい概念が政策的に重視されている点が挙げられます。関係人口とは、移住した定住人口でもなく、観光に来た交流人口でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々を指す概念として知られています。二地域居住、副業先としての地域との関わり、地域でのプロジェクト参画、ふるさと納税を通じた支援など、多様な関わり方が政策的に推進されている状況があります。
移住・定住促進活動の多様な形態
移住・定住促進活動の形態は多岐にわたります。移住相談員は、移住希望者と地方自治体・地域との橋渡しを担う役割として、自治体の相談窓口、移住支援団体、関係人口創出事業などで活動する形態があると考えられます。地方自治体との委託契約に基づく相談業務、首都圏での移住セミナーの企画運営、オンライン相談、現地案内ツアーの実施などが含まれる場合があります。
関係人口創出プロジェクトへの参画は、特定の地域と継続的に関わる人々を増やす活動として、自治体やNPO、地域団体が展開するプロジェクトに参画する形態があると考えられます。地域での副業マッチング、プロボノ活動、地域課題解決ワークショップ、地域企業へのアドバイザリーなど、多様な形態が存在します。
地方自治体の移住・定住促進事業への業務委託は、移住者向けコンテンツの制作、ウェブサイトの運営、SNSでの情報発信、PR動画の制作、移住イベントの企画運営など、特定の業務を受託する形態があると考えられます。地域おこし協力隊員のサポート、卒業後のフォローアップ、起業支援なども、関連する活動領域となり得ます。
これらに加え、地域住民や移住希望者を対象とした研修・セミナーの講師、移住に関する書籍やコンテンツの制作、移住経験者のコミュニティ運営、地域企業と移住希望者のマッチング支援、空き家活用と組み合わせた移住促進、子育て世帯向けの移住相談、シニア世代向けの二地域居住支援など、多様な活動形態が広がっている状況があります。
令和7年の制度改正と移住・定住促進活動の関係
令和7年12月19日の人事院通知では、社会貢献に資する事業が自営兼業の承認対象として新設されました。移住・定住促進活動は、地方圏の人口減少という社会課題への対応に関わる活動であり、地域振興に係る催しの主催や生活支援その他の公益に資する活動を伴う事業として、社会貢献に資する事業に該当し得る可能性があります。同時に、職員の有する知識・技能をいかした事業として承認される可能性もあり、活動の性質と関与の形態によって判断が分かれる場面が想定されます。
移住・定住促進活動への参画形態には、自治体からの業務委託、移住支援団体での活動、関係人口創出プロジェクトへの参画、自ら主催する形での運営、移住セミナー講師など、多様な選択肢があります。報酬の有無、契約形態、関与の深さによって、適用される条文と必要な手続が異なる可能性があります。地方公務員の場合は地方公務員法第38条が適用され、各自治体の規則に基づく任命権者の許可が必要となる可能性があります。特に、複数の自治体と関わる活動形態の場合、所属自治体との利害関係の精査が複雑になる傾向があるため、活動検討の早期段階で所属組織への事前相談が不可欠となります。
メインコンテンツ:
移住・定住促進活動の3つの核心ポイント
ポイント1:
公務員の参画が移住・定住促進に独自価値をもたらす理由
移住・定住促進活動の領域において、公務員が提供し得る独自価値は、単なる移住相談に留まらない性質を持ち得ます。第一の価値は、自治体行政への深い理解です。移住希望者が直面する具体的な課題には、住民票の異動、転入・転出手続、子育て支援制度、医療・介護サービス、教育環境、各種補助制度の活用など、自治体行政との接続が不可欠な論点が多く含まれます。公務員として行政手続きの構造を理解している経験は、移住希望者の不安や疑問に対して、制度横断的かつ実務的な助言を提供する基盤となり得る可能性があります。
第二の価値は、地域間比較の視点です。移住希望者は、複数の地域を比較検討する場面が多く、各地域の魅力、課題、行政サービスの違い、住民負担の違いなどを総合的に判断する必要があります。公務員として自治体運営の構造を理解している経験は、こうした比較検討を客観的にサポートする基盤となり得ます。ただし、特定の地域への誘導や偏った情報提供は避け、移住希望者の主体的な判断を尊重する姿勢が不可欠です。
第三の価値は、政策と現場のつなぎ役としての機能です。移住・定住促進政策は、国・都道府県・市区町村の各レベルで多面的に展開されており、政策の意図と現場の実態をつなぐ役割が重要となります。公務員としての政策理解と、移住希望者・地域住民との直接的な対話を通じた現場感覚を組み合わせることで、政策の実効性向上に貢献し得る可能性があります。
これら3つの価値は、人事院が掲げる政策意図のうち、特にやりがい向上、スキル還元、地域貢献、官民連携促進の観点で合理性を持ち得ます。移住・定住促進活動への参画を通じて獲得する地域住民や移住希望者との直接的な関わりの経験、地方自治体の政策動向の理解、地域間連携の実践的経験は、本業の地域振興、シティプロモーション、地域連携、関係人口創出施策などの業務において、机上では得難い視点を提供し得る可能性があります。同時に、東京都特別区職員という立場は、移住の送り出し側と受け入れ側の双方の視点を持つ独自のポジションとなり得る可能性があります。
ポイント2:
活動形態の選択と法令適用の判別
移住・定住促進活動副業を検討する際、活動形態の選択が実務上の重要論点となります。想定される主要な参画形態としては、自治体からの業務委託(移住相談員等)、移住支援団体への参画、関係人口創出プロジェクトでの活動、自ら主催する形での運営、移住セミナー講師などが考えられます。
自治体からの業務委託として移住相談員などを受託する場合、業務委託契約に基づく継続的な業務従事となるため、人事院Q&A問2の更問で示されている一定の連続する期間を以て業務が定められている場合に該当し得る可能性があります。地方公務員法第38条第1項に基づく許可が必要となる可能性が高い形態です。受託先の自治体と、所属する自治体(東京都特別区)との関係性、職員本人の業務範囲との関係などを慎重に確認する必要があります。
移住支援団体(NPO法人、一般社団法人など)での活動の場合、役員就任の有無、報酬の有無、業務内容の継続性によって、適用される条文と必要な手続が異なる可能性があります。役員に就任する場合、組織の法的形態によって異なる取扱いがなされる可能性があり、個別の確認が不可欠です。
関係人口創出プロジェクトでの活動の場合、プロジェクトの実施主体(自治体、NPO、企業、コンソーシアムなど)、関与の形態(業務委託、プロジェクトメンバー、アドバイザーなど)、報酬の有無によって取扱いが異なる可能性があります。複数の主体が関わるプロジェクトの場合、それぞれとの関係性と契約形態を整理する必要があります。
自ら主催する形で移住・定住促進活動を運営する場合、社会貢献に資する事業として人事院規則14-8運用通知における自営兼業の承認対象に該当し得る可能性があります。任意団体として運営する場合と、法人格を取得して運営する場合では、必要な手続と法的責任が異なるため、活動規模と継続性を踏まえた選択が必要となります。
移住セミナー講師として単発で登壇する場合、講演や教授に該当する活動として、職員の有する知識・技能をいかした事業の一例となり得る可能性があります。継続的な登壇となる場合や、年間の収入が一定額を超える見込みの場合には、自営兼業としての承認が必要となる可能性があります。
いずれの活動形態であっても、適用される条文と必要な手続は個別の事業内容によって異なるため、活動検討の早期段階で所属組織の担当部署に相談することが不可欠です。最終的な法令適用の判断は承認権者によってなされます。
ポイント3:
複数自治体との関係性と利害関係の精査
移住・定住促進活動の特殊性は、複数の自治体と関わる可能性が高いことにあります。所属する東京都特別区(送り出し側)と、移住先となる地方自治体(受け入れ側)の双方との関係性が生じる構造を持つため、利害関係の精査は他の活動類型よりも複雑になる傾向があります。
第一の論点は、移住先自治体との業務委託契約や報酬関係の精査です。地方自治体から業務委託や報酬を受ける場合、当該自治体は直接的な取引相手となります。所属する東京都特別区との利害関係(共同事業、人事交流、姉妹都市関係など)が生じている場合、これらの関係性が人事院規則14-8運用通知第1項関係第6項で示されている特別な利害関係に該当する可能性があります。具体的な該当性は、関係性の内容、職員本人の業務範囲、契約予定の業務内容との関連性などによって判断されるため、個別の事案について事前相談を通じて確認することが不可欠です。
第二の論点は、所属区との関係性の精査です。所属する特別区が独自の移住・定住促進施策(逆移住、二地域居住支援など)を展開している場合、副業として行う移住促進活動との整合性が問題となる可能性があります。所属区の施策と方向性が異なる活動、所属区から地方への人口流出を促進する活動などは、公務の公正性や信頼性の確保の観点から慎重な判断が必要となる可能性があります。
第三の論点は、職員本人の業務範囲との関係性です。所属区で地域振興、シティプロモーション、人口対策、関係人口創出、産業振興などを担当している場合、人事院Q&A問15の更問1で示されているとおり、職務を通じて得た知識・技能を活用する自営兼業については、承認権者において厳格な判断を行う可能性があるとされています。
第四の論点は、特定地域への利益誘導の回避です。移住・定住促進活動を通じて、特定の自治体や地域への偏った誘導を行うことは、活動の中立性と社会的信頼を損なう可能性があります。複数地域からの委託を受ける場合や、自ら主催する活動においても、移住希望者の主体的な判断を尊重し、客観的な情報提供に徹する姿勢が、活動の継続性と信頼性を支える基盤となります。
第五の論点は、不動産・職業紹介など業法規制との関係です。移住相談業務の過程で、住居の紹介、不動産の斡旋、就職先の紹介、職業紹介などに踏み込む場面が生じ得ます。これらの行為は、宅地建物取引業法、職業安定法など関連法規の規制対象となる可能性があるため、活動範囲を法令違反とならない形で設計することが不可欠です。具体的な活動範囲の設計については、専門家への相談を踏まえた慎重な対応が求められます。本記事では個別の法的判断については言及を控えます。
第六の論点は、情報取扱いと守秘義務の徹底です。移住相談業務では、移住希望者の個人情報、家族構成、経済状況、健康状態、就労状況、移住理由など、極めて機微な情報を扱う場面が生じ得ます。個人情報保護法、関連条例、活動団体としての個人情報取扱方針への適合が必要となります。同時に、所属区の業務で知り得た情報を活動に活用することは、地方公務員法第34条第1項の職務上知り得た秘密に該当し得るため、絶対に避ける必要があります。違反した場合、地方公務員法第60条第2号により、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象となります。
実践・応用編:
特別区職員が移住・定住促進活動への参画を検討する実務手順
ステップ1:
活動方針の明確化と参画形態の選定
移住・定住促進活動副業を検討する第一歩は、自身が取り組みたい活動の方向性を明確化することです。移住相談員、関係人口創出、地域おこし支援、移住セミナー講師、移住者コミュニティ運営、特定地域との継続的な関わりなど、多様な活動領域のうち自身が貢献したい分野は何か、どのような形で関与したいか、どの程度の頻度・期間で取り組むのかといった基本的な構想を整理することが、その後のすべての判断の基盤となります。
参画形態の選定にあたっては、自治体からの業務委託、既存団体への参画、自ら主催する活動、単発の講師業など、それぞれ性格の異なる選択肢があります。自治体からの業務委託は安定した契約関係を持つ一方、特定自治体との利害関係が明確に生じます。既存団体への参画は団体のミッションに沿った活動となる一方、ガバナンスへの関与が必要となります。自ら主催する活動は自由度が高い一方、運営責任を全面的に担う必要があります。
また、自身の地域との関わりや専門性の確認も重要です。出身地、現住地、過去に勤務した地域、家族関係を持つ地域、趣味で関わってきた地域など、自身の地域とのつながりを整理し、どの地域・どのテーマで活動したいかを明確化することが、活動の質と継続性を支える基盤となります。
ステップ2:
複数自治体との関係性の事前確認
参画候補となる活動が決まった段階で、所属する東京都特別区および関わる予定の地方自治体との関係性を徹底的に確認することが不可欠です。所属区との関係では、移住・定住促進に関する所属区の施策、職員本人の業務範囲との関係、所属区が独自の関係人口創出事業を展開しているか否かなどを確認する必要があります。
関わる予定の地方自治体との関係では、当該自治体と所属区との関係性(共同事業、人事交流、姉妹都市関係、補助金関係など)を確認することが不可欠です。これらの関係性は、特別な利害関係の判断に影響を与える可能性があるため、所属組織の担当部署と相談しながら漏れなく確認する必要があります。
また、複数の地方自治体と関わる活動形態の場合、それぞれとの関係性を個別に整理する必要があります。一見独立した複数の活動が、実は所属区との関係を介してつながっている可能性もあるため、慎重な確認が求められます。
ステップ3:
兼業許可申請のための書類作成
兼業許可を得るための書類作成において、移住・定住促進活動の特性を踏まえた記述が必要となります。事業の目的については、地方圏の人口減少への対応、関係人口の創出、地域と人をつなぐ社会的役割への貢献といった公益性を明示することが考えられます。事業内容については、活動の具体的内容、関わる自治体・団体、活動頻度、想定される報酬、運営体制などを具体的に記載します。営業日及び営業時間については、自身が活動に直接関与する時間帯を週休日や勤務時間外に限定することを明示します。
特に重要な記載事項として、複数自治体との関係性に関する整理結果を明示することが挙げられます。所属区との関係、関わる予定の地方自治体との関係、職員本人の業務範囲との関係などを、具体的な事実に基づいて記述することで、承認権者の判断を支援する材料となり得ます。また、活動の中立性を担保する仕組み、特定地域への偏った誘導を避ける方針、業法規制への対応方針、個人情報保護の方針なども、可能な範囲で記載することが望ましいと考えられます。
ステップ4:
承認後の継続的な遵守事項
兼業許可を得た後の遵守事項として、第一に勤務時間中には活動に従事しないという職務専念義務の原則が挙げられます。移住相談業務は、移住希望者からの問い合わせや緊急対応が不定期に発生する可能性がありますが、これらへの対応は必ず勤務時間外に限定する必要があります。
第二に、人事院Q&A問14で示されている年次休暇を取得して副業業務を計画的に行うことは承認されない点に注意が必要です。移住相談会、現地ツアー、セミナー登壇などの予定は、週休日や勤務時間外に設定することが原則となります。地方への移動を伴う活動の場合、移動時間も含めた現実的な計画が必要となります。
第三に、肩書き使用についての留保事項に留意する必要があります。活動団体のWebサイト、移住相談会の案内、メディア取材などで自身が紹介される際に、公務員としての肩書きや所属組織名を併記することは、人事院Q&A問18で示されているとおり、承認時の留保事項との関係で慎重な判断が必要となる可能性があります。匿名または個人名のみでの活動を前提とした体制を整えることが望ましい対応となります。
第四に、活動内容に変更が生じた場合の再承認手続があります。関わる自治体や団体の追加、活動範囲の拡大、報酬条件の変更などがあった場合には、速やかに所属部署の担当者に報告し、再承認の手続を開始する必要があります。
ステップ5:
本業への還元を意識した実践
移住・定住促進活動を本業への還元に結びつける実践として、活動を通じて獲得する地方自治体の政策動向の理解、地域住民や移住希望者との直接的な対話経験、地域間連携の実践的経験などを、守秘義務に抵触しない範囲で所属部署内での勉強会や情報共有の形で還元することが考えられます。所属区の地域振興、シティプロモーション、関係人口創出、産業振興、地域コミュニティ施策などの業務において、副業で得た知見は価値を発揮する可能性があります。
ただし、活動を通じて知り得た移住希望者の個別情報、関わる地方自治体の未公開情報、契約先団体の内部情報などは、本業で利用してはなりません。同様に、本業で知り得た情報を活動に活用することも避ける必要があります。本業と活動の間に明確な情報の壁を設けることが、双方向の信頼を守る基盤となります。
よくある質問(FAQ):
移住・定住促進活動の実務的疑問への回答
Q1:所属区と関係を持つ地方自治体からの業務委託は受託できますか
所属区と何らかの関係を持つ地方自治体からの業務委託は、人事院規則14-8運用通知第1項関係第6項で示されている特別な利害関係に該当する可能性があります。具体的な該当性は、関係性の内容、職員本人の業務範囲、契約予定の業務内容との関連性などによって判断されるため、個別の事案について事前相談を通じて確認することが不可欠です。所属区との関係性の範囲は、共同事業、人事交流、姉妹都市関係、補助金関係など多岐にわたる可能性があるため、慎重な確認が必要です。
Q2:移住相談業務の中で住居や仕事の紹介をすることは可能ですか
移住相談業務の過程で、住居の紹介、不動産の斡旋、就職先の紹介、職業紹介などに踏み込む行為は、宅地建物取引業法、職業安定法など関連法規の規制対象となる可能性があります。具体的にどこまでの情報提供が許容され、どこからが規制対象となるかについては、活動内容と関連法規との関係について専門家への相談を踏まえた慎重な対応が不可欠です。本記事では個別の法的判断については言及を控えます。
Q3:所属区が独自の移住促進施策を展開している場合の対応は
所属区が独自の移住促進施策(逆移住、二地域居住支援など)を展開している場合、副業として行う他地域への移住促進活動との整合性が問題となる可能性があります。具体的な該当性は、所属区の施策内容、副業活動の方向性、職員本人の業務範囲などによって判断されるため、個別の事案について事前相談を通じて確認することが不可欠です。所属区の施策と明らかに方向性が対立する活動、所属区から特定地域への人口流出を促進する活動などは、慎重な判断が必要となる可能性があります。
Q4:複数の地方自治体から同時に業務委託を受けることは可能ですか
人事院Q&A問5では、自営兼業として複数の事業を行うことは積極的には想定されないものと考えているとされつつも、共通する要素を持つ事業を行う場合などが例外として挙げられています。複数の地方自治体からの業務委託が類似性の高い事業として一体的に評価される可能性はありますが、最終的な判断は承認権者によってなされます。
複数契約を検討する際には、それぞれの自治体と所属区との関係について個別に利害関係を精査する必要があります。また、人事院Q&A問13の更問2で示されている兼業の時間目安として、週8時間又は1箇月30時間、勤務時間が割り振られた日において1日3時間の範囲内とすることが適当とされており、複数契約の総従事時間がこの目安を超えないよう管理する必要があります。
Q5:特定地域への移住誘導と中立性のバランスはどう取るべきですか
移住相談業務では、移住希望者に最適な地域を提案する役割と、特定地域への偏った誘導を避ける中立性の双方が求められる場面があります。複数地域からの業務委託を受けている場合、契約上は受託先地域への誘導が期待される一方、移住希望者の利益を最優先する姿勢も求められます。
具体的な対応としては、活動開始時に自身の中立性に関する方針を明示すること、客観的な情報提供を徹底すること、移住希望者の主体的な判断を尊重すること、利益相反が生じる場面を事前に想定して対応方針を整理することなどが考えられます。これらの対応の具体的な設計については、専門家への相談を踏まえた慎重な検討が推奨されます。
Q6:移住希望者から得た個人情報の取扱いはどうすべきですか
移住相談業務では、移住希望者の個人情報、家族構成、経済状況、健康状態、就労状況、移住理由など、極めて機微な情報を扱う場面が生じ得ます。個人情報保護法、関連条例、活動団体としての個人情報取扱方針への適合が必要となります。これらの個人情報は、本業に持ち込まないことはもちろん、活動団体内での取扱いも厳格に管理される必要があります。本人の同意に基づく情報共有の原則を徹底することが、信頼関係の基盤となります。具体的な取扱方針の設計については、専門家への相談を踏まえた慎重な対応が推奨されます。
Q7:税務上の取扱いはどのようになりますか
活動から得た報酬や、自ら主催する活動の収益が発生した場合には、所得税法の規定に基づく確定申告が必要となる場合があります。所得の種類、必要経費の計算、住民税の納付方法、扶養認定への影響などについては、個別の事情によって取扱いが異なるため、税務署または税理士へのご相談を強くお勧めします。複数の自治体や団体から報酬を受ける場合、収入の合算と必要経費の計算が複雑になる可能性があります。本記事では税務上の個別判断については言及を控えます。また、国家公務員倫理法・倫理規程との関係については人事院Q&A問23で整理されており、特別区職員に対する同様の規制の適用については、各区の条例・規則をご確認ください。
まとめ:
移住・定住促進活動が拓く公務員の新しい貢献の形
移住・定住促進活動という副業・兼業類型は、令和7年12月の人事院方針と令和7年6月の総務省通知が目指す公務員のやりがい向上、スキル還元、地域貢献、官民連携促進という4つの政策意図に、整合的に合致し得る活動類型の一つです。自治体行政への深い理解、地域間比較の視点、政策と現場のつなぎ役としての機能という公務員の独自価値を活かし、人口減少社会における地方圏との新しい関係構築に貢献する構造は、単なる副収入源を超えた社会的意義を持ち得る活動として位置付けられ得ます。同時に、地方自治体の政策動向の理解、地域住民や移住希望者との直接的な対話経験、地域間連携の実践的経験といった本業では得難い経験を獲得することで、職員個人のキャリア形成と本業への還元を両立する可能性が広がります。特に、東京都特別区職員という立場は、移住の送り出し側と受け入れ側の双方の視点を持つ独自のポジションとなり得ることが、この活動類型の独自の意義を高める要素となります。
一方で、複数自治体との関係性の徹底的な精査、所属区との関係性に関する慎重な評価、適用される法令への網羅的な対応、業法規制への配慮、活動の中立性の確保、個人情報保護の徹底、情報取扱いと守秘義務の双方向的な徹底、職務専念義務の遵守、肩書き使用の制限といった実務的制約を厳格に守る必要があります。これらの制約は、移住希望者や地域住民の信頼と公務員としての信頼を守るための必須条件であり、専門家への相談を通じた慎重な対応が不可欠です。承認を得ずに自営兼業を行った場合、または承認の前提を無断で変更した場合には、国家公務員法第109条第13号により1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処せられる場合があると人事院Q&Aで明示されています。地方公務員の守秘義務違反については、地方公務員法第60条第2号により1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象となり得ます。
最も重要な視点は、移住・定住促進活動への参画を地域と人をつなぐ公共的貢献として設計することです。営利目的の副収入確保に留まるのではなく、人口減少社会における地方圏と都市部の新しい関係構築、関係人口の創出、地域の持続可能性への貢献という公益的使命を担う活動として位置付けることで、所属区の承認権者、上司、同僚、そして特別区民からの理解を得やすくなると考えられます。本業で培った行政制度への理解と政策的視点を、副業を通じて移住・定住促進の現場に還元する構造は、人事院が描く新しい公務員像の具体的な実践形態の一つと言えるでしょう。加えて、移住・定住促進活動の現場経験は、本業の地域振興、シティプロモーション、関係人口創出、産業振興、地域コミュニティ施策などに還元される可能性があり、双方向の価値循環として大きな意義を持ち得ます。
最後に改めて強調しますが、本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の兼業承認の可否、活動団体や事業形態に伴う法的責任、業法規制への対応、関係法令への適合性、税務処理の詳細については、必ず所属組織の所管部署、税理士、弁護士、行政書士等の専門家にご相談ください。移住・定住促進活動には複数自治体との関係性や業法規制との関係など慎重な検討を要する論点が含まれるため、専門家チームによる支援を受けながら活動を設計することが、リスク管理の観点から強く推奨されます。本記事が、特別区職員の皆様の新しい挑戦を検討するための一助となれば幸いです。






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