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公務員のための資産運用

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なぜ今、資産運用が必要か

  • 「公務員は安定しているから、資産運用なんて必要ない」そうお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
  • しかし、その「安定」の前提が、今まさに大きく揺らいでいるのです。
  • 貯金だけで本当に安心と言えるのか、2つの動かぬ事実から見ていきましょう。

投資の有無による生涯資産の差

  • 将来のために、AさんとBさんはそれぞれ毎月3万円を30年間、地道に積み立てることにしました。
  • Bさん(堅実な貯金家)は、最も安全だと信じられている普通預金(年利0.002%と仮定)を選びました。
    • 30年後の資産は、元本1,080万円(3万円×12ヶ月×30年)に、利息がわずかにつくだけで、合計は約1,080万円です。
    • これは元本とほとんど変わりません。
  • Aさん(コツコツ投資家)は、リスクはあってもお金に働いてもらうことを選び、世界経済の成長に合わせて年率5%程度のリターンが期待できる金融商品を選びました。
    • 30年後、元本1,080万円は、生み出された利益がさらなる利益を生む「複利」の力によって、雪だるま式に増えていきます。
    • その結果、資産は約2,492万円にまで成長しました。

   ※生成AIで作成

  • 同じ努力にもかかわらず、30年という歳月が生んだ差は約1,412万円。この差は、アインシュタインが「人類最大の発明」と呼んだとも言われる「複利」の力を味方につけたかどうか、ただそれだけです。
  • 公務員の皆様の退職金は、かつてのような手厚さが保証されているわけではありません。人事院の調査によると、官民の支給水準を合わせるため、国家公務員の退職手当は段階的に引き下げられてきました。将来の自分を助けるもう一つの退職金を、自分自身で育てる意識が不可欠なのです。

インフレ社会への転換

  • 長らくデフレに苦しんだ日本ですが、今や明確に「インフレ」の時代に突入しています。総務省統計局が発表する消費者物価指数(CPI)は、2022年以降、日本銀行が目標とする2%を上回る水準で推移しており、物価上昇が常態化しつつあります。

※出典:内閣府「令和6年度年次経済財政報告-熱量あふれる新たな経済ステージへ-(令和6年8月2日)」令和6年度

  • インフレは、私たちが汗水流して貯めた現金の価値を、静かに、しかし確実に奪っていきます 例えば、年率2%のインフレが続いた場合、現在1,000万円ある貯金の「購買力」は、10年後には約820万円20年後には約673万円にまで目減りしてしまいます。額面は変わらなくても、買えるモノの量が減ってしまうのです。
  • この事実から言えるのは、「普通預金が最も安全」という考えは過去の幻想だということです。むしろ、ご自身の全資産を「日本円」という単一の通貨、しかも低金利の円預金だけで保有することは、「無防備な円への全力集中投資」に他なりません。
  • 近年の円安進行は、輸入に頼る多くの製品(食料品やエネルギーなど)の価格を押し上げ、私たちの生活を直撃しています。このリスクから大切な資産を守るためにも、価値が成長していく円以外の資産を持つことが、現代における必須の防衛策なのです。

資産運用の全体像

  • 資産運用と聞くと複雑に感じるかもしれませんが、基本となる資産の種類(アセットクラス)と、その役割を理解すれば、全体像を掴むのは難しくありません。

  株式
  債券
  金(ゴールド)
  預金

  • 以上の4つの資産について、特徴などを解説いたします。

株式

概要

  • 株式会社が事業資金を調達するために発行する有価証券であり、投資家はこれを購入することで企業の一部の所有権を得ます 。

利益分配の仕組み

  • 投資家は株主となり、企業の所有者の一員として、企業の利益成長に応じた恩恵を受ける権利を持ちます。
  • 利益を得る方法は、主に「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2種類が存在します 。
キャピタルゲイン(値上がり益)
  • 購入した株式の価格(株価)が上昇したタイミングで売却することにより得られる売買差益です。企業の成長や市場からの高い評価が株価上昇の要因となります。
  • 歴史的なリターンは、年平均5~10%です。
インカムゲイン(配当金)
  • 企業が事業活動で得た利益の一部を、保有する株式数に応じて株主に分配するものです 。配当の有無や金額は企業の業績や方針によって変動します。
  • 歴史的な配当利回りの水準は、年平均1.5~3.0%です。
株主優待
  • 日本の株式市場に特有の制度で、企業が株主に対して自社製品やサービス、割引券などを提供するものです。すべての企業が実施しているわけではありません 。

リスクとリターン

  • 一般的に、高いリターンが期待できる反面、価格変動リスクも大きい「ハイリスク・ハイリターン」の資産クラスに分類されます 。
  • 株価は経済情勢、企業業績、市場心理など様々な要因で日々変動するため、購入価格を下回り、元本割れとなる可能性があります。
  • なお、15年以上の長期で保有し続けた場合、過去のどのタイミングで投資を始めても、最終的な年率リターンがマイナスになったことは一度もありません。
    ※詳細は後述

主な役割

  • 資産ポートフォリオ内において、主に「資産価値の最大化」を担います 。
  • 経済成長の恩恵を直接的に享受し、ポートフォリオ全体の収益性を高める中心的な役割を果たします。

特徴

景気連動性
  • 株価は景気の動向と強い相関関係を持つ傾向があります。好景気時には企業業績が向上し株価は上昇しやすく、不景気時にはその逆の動きが見られます。
インフレ耐性
  • インフレ(物価上昇)局面では、企業は製品やサービスの価格を上げることで収益を維持・拡大できるため、株価も上昇する傾向があり、インフレによる資産価値の目減りを防ぐ効果が期待できます。

2025年時点における評価(生成AIによる分析)

  • 2025年現在、株式は資産運用の中核という基本的な位置づけに変化はありません。
  • ただし、市場の様相は転換期を迎えています。これまで世界経済を牽引してきた米国株には歴史的な割高感が意識され、コロナ禍以降続いてきた力強い上昇トレンドは一服しています。この変化を受け、投資家の資金はリスク分散のため、金(ゴールド)や相対的に評価が低い欧州株・日本株・新興国株などへシフトする動きが見られます。
  • 結論として、短期的な市場の熱狂は冷め、調整局面に入った可能性があります。しかし、経済成長の恩恵を最も受けやすい資産であることに変わりはなく、長期的な資産形成の土台として、株式が引き続き中核的な役割を担うという評価は不変です

なぜ「株式」がメインか

  • 様々な資産がある中で、なぜ資産形成の「主役」は株式なのでしょうか。その答えは、株式こそが、資本主義経済の成長の果実を直接受け取れる、ほぼ唯一の資産だからです。
  • IMF(国際通貨基金)の世界経済見通しによれば、世界経済は様々な危機を乗り越えながらも、長期的にはプラス成長を続けています。この成長を牽引しているのは、世界中の企業が生み出すイノベーションや経済活動です。株式を持つということは、それら成長企業のオーナーの一人となり、利益の還元(配当)や企業価値の上昇(株価上昇)という形で、その恩恵を享受することを意味します。
  • 債券や金も資産を守る上で重要な役割を果たしますが、インフレを乗り越えて資産を大きく増やしていく力を持つのは、まぎれもなく株式です。だからこそ、資産形成のコア(中核)には株式を据え、長期的な視点でその成長に参加することが最も合理的な戦略となるのです。

債券

概要

  • 国や地方公共団体、企業などが、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券です。投資家は発行体に対してお金を貸し付ける形となります 。
  • 満期(償還日)があらかじめ定められており、それまで定期的に利子が支払われ、満期には元本(額面金額)が返済されることが約束されています。

利益分配の仕組み

  • 株式と同様に、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」から利益を得ることができます 。
インカムゲイン(利子収入)
  • 保有期間中、あらかじめ定められた利率(クーポンレート)に基づいて定期的に支払われる利子です。発行体が財政破綻しない限り、安定した収益が期待できます 。
  • 2025年時点における米国10年国債の利回りは、4.5%前後です。
キャピタルゲイン(売却益・償還差益)
  • 債券は市場金利の変動などによって価格が変動します。購入価格よりも高い価格で満期前に売却した場合や、額面金額より安く購入した債券が満期を迎えた場合に利益が得られます 。

リスクとリターン

  • 一般的に、株式に比べてリスク・リターンが低い「ローリスク・ローリターン」の資産クラスに位置づけられます。
金利変動リスク
  • 市場の金利が上昇すると、既存の債券の相対的な魅力が低下するため、債券価格は下落します。逆に金利が低下すると債券価格は上昇します 。
信用リスク
  • 発行体の財政状況が悪化したり、倒産したりした場合に、利子や元本の支払いが滞る、あるいは行われなくなるリスクです 。

主な役割

  • ポートフォリオ内において、安定的なインカムの創出と、株式市場が下落した際の価格変動を緩和する「資産の防衛策」としての役割を担います。
  • 株式とは異なる値動きをする傾向があるため、組み合わせることでポートフォリオ全体のリスクを分散させる効果が期待できます。

特徴

金利との逆相関
  • 債券価格と市場金利は、シーソーのような逆の相関関係にあります。これは債券を評価する上で最も重要な特性の一つです。
発行体の信用力
  • 債券のリスクとリターンは、発行体の信用力に大きく左右されます。国が発行する国債は信用力が高い反面リターンは低く、企業が発行する社債は信用リスクに応じてリターンが高くなる傾向があります 。

2025年時点における評価(生成AIによる分析)

  • 2025年の債券市場は、その役割と魅力を再評価すべき重要な局面にあります。
  • コロナショック後のインフレ局面では、金利の急上昇により株と債券の価格が同時に下落し、伝統的なポートフォリオ(株式60:債券40など)における「守りの資産」としての機能が一時的に揺らぎました。
  • しかし現在、状況は大きく異なります。割高感が指摘される米国株に対し、金融引き締めを経て米国債の利回りは上昇。その結果、米国株の平均的な配当利回りよりも米国債の利回りの方が高くなり、安全資産でありながら魅力的なリターンを求める投資家にとって、債券への投資妙味は格段に増しています。
  • 結論として、債券が資産の防衛策を担うという本質的な役割は不変です。それに加え、2025年時点では魅力的な利回りを持つ投資対象としても再評価されており、ポートフォリオにおける相対的な重要性はむしろ増していると分析します。

金(ゴールド)

概要

  • 物理的に存在する貴金属であり、それ自体に価値が認められている「実物資産」です。特定の国や企業が価値を保証するものではなく、世界共通で価値が認識されています 。
  • 宝飾品としての需要に加え、その希少性や普遍的な価値から、通貨や投資対象としての側面も持ち合わせています。

利益分配の仕組み

  • ゴールドは、株式の配当や債券の利子のようなインカムゲインを生み出しません 。
キャピタルゲイン(値上がり益)
  • 利益は、購入した価格よりも高い価格で売却することによって得られる値上がり益のみです。需要の増加や、経済・社会情勢の変化が価格上昇の要因となります。

リスクとリターン

  • 価格変動リスクは存在しますが、価値がゼロになる理論的な可能性が極めて低いとされる資産です。
価格変動リスク
  • 金利や為替、地政学的な出来事などによって価格は変動します。特に、国際的な価格指標が米ドル建てであるため、為替レートの変動が円建て価格に影響を与えます 。
発行体リスクの不在
  • 企業や国家の財政破綻による影響を受けない「信用リスク(クレジットリスク)がない」という大きな特徴があります 。

主な役割

  • インフレや通貨価値の下落、地政学的リスクの高まりに対する「リスクヘッジ(資産分散)」および「資産の防衛策」としての役割が重要視されます 。
  • 株式や債券などの伝統的な金融資産との相関が低い傾向があるため、ポートフォリオに組み入れることで、市場の混乱時における資産価値の安定化に寄与します。

特徴

有事の金
  • 戦争や紛争、大規模な金融危機など、世界情勢が不安定になると、投資家が安全な資産へ資金を移す「質への逃避」の動きから、ゴールドの価格は上昇する傾向があります 。
インフレヘッジ
  • 物価が持続的に上昇するインフレ局面では、通貨の購買力が低下します。ゴールドは実物資産としてその価値を維持しやすいため、インフレから資産を守る効果が期待されます 。

2025年時点における評価(生成AIによる分析)

  • 2025年のゴールド市場は、その役割と魅力を再評価すべき重要な局面にあります。ゴールドがポートフォリオにおける資産分散の要であるという本質的な位置づけは不変です。
  • しかし、その重要性は近年、かつてなく高まっています。コロナ禍以降の世界的な金融緩和は通貨価値そのものへの懸念を生み、米国の債務膨張は基軸通貨ドルの信認を揺るがしました。
  • さらに2025年に入り、世界のブロック経済化などに伴う地政学リスクの高まりや、各国中央銀行による「米ドル離れ」と金準備の積み増しがこの流れを加速させています。結果として、複数の需要が同時に高まり、金価格は歴史的な最高値圏で推移しています。
  • この状況を受け、ゴールドは単なる守りの資産ではなく、リターンも期待できる魅力的な投資対象として再評価されています。結論として、有事の際の安全資産という役割に加え、そのポートフォリオにおける相対的な重要性は、2025年時点ではむしろ増していると分析します。

預金

概要

  • 銀行や信用金庫などの金融機関にお金を預け入れることであり、最も身近な資産管理方法の一つです 。
  • 普通預金、定期預金などの種類があり、それぞれ金利や引き出しの条件が異なります。

利益分配の仕組み

  • 利益は、金融機関が定めた金利に基づいて計算される「利息(インカムゲイン)」によって得られます 。
  • 預け入れた元本と金利、期間に応じて受け取れる利息の額が決まります。

リスクとリターン

  • 資産クラスの中で最もリスクが低く、それに伴いリターンも限定的である「ローリスク・ローリターン」の代表格です 。
インフレリスク
  • 最大のリスクは、物価上昇率(インフレ率)が預金金利を上回ることにより、実質的な資産価値が目減りしてしまうことです 。
元本保証
  • 日本では、預金保険制度により、一つの金融機関につき預金者一人あたり元本1,000万円とその利息までが保護されており、安全性が非常に高いです 。

主な役割

  • 資産の「元本保持」と、いつでも現金化できる「流動性の確保」が主な役割です 。
  • 日常生活の決済資金、近い将来に使う予定のある資金、あるいは緊急時の備え(生活防衛資金)の置き場所として最適です。

特徴

高い安全性と流動性
  • 元本割れのリスクが極めて低く、必要な時にすぐに引き出して使える利便性の高さが最大の特徴です。
収益性の低さ
  • 安全性が高い反面、金利は低水準に設定されているため、資産を積極的に増やす目的には適していません。

2025年時点における評価(生成AIによる分析)

  • 不測の事態に備えるための生活防衛資金や、いつでも使える流動性の確保という預金の基本的な役割は、今後も変わることはありません。
  • しかし、預金を取り巻く経済環境は歴史的な転換点を迎えています。モノの値段が下がるデフレ経済下では、現金価値が相対的に上がるため預金は合理的な選択肢でした。一転してインフレが定着した現在、預金の実質的な価値(購買力)は時間と共に目減りし、資産を預金だけで保有することのリスクが高まっています。
  • さらに、長期的な円安トレンドがこのリスクを増幅させます。その構造的な要因としては、主に以下の点が挙げられます。
日米の根本的な金利差
  • 金利の高いドルに資金が流れやすく、円が売られやすい構造が定着していること。
日本の稼ぐ力の変化
  • かつての貿易黒字国から、資源高やデジタル関連の赤字により貿易赤字国へ転換し、外貨を稼ぎにくくなったこと。
国力の相対的な低下
  • 人口減少や低い経済成長率により、日本の国力自体が相対的に低下していること。
  • 結論として、預金は生活の土台として不可欠ですが、2025年においては資産の置き場所としては不十分と言わざるを得ません。「インフレや円安から資産価値を守る」という守りの観点からも、預金から一歩進んだ資産運用が必須の時代になっていると分析します。

初心者の最適解:株式による資産運用

株式が最強である歴史的エビデンス

  • ペンシルベニア大学ウォートン校のジェレミー・シーゲル教授は、その著書『株式投資(Stocks for the Long Run)』の中で、200年以上(1802年〜2021年)にわたる米国での各資産の実質リターンを分析しました。

※出典:ジェレミー・シーゲル著「Stocks for the Long Run(株式投資)」

  • 結果は一目瞭然です。株式は、インフレを差し引いた実質価値で、他のあらゆる資産を圧倒するパフォーマンスを叩き出してきました。この揺るぎない歴史的データこそ、私たちが長期的な資産形成の核に株式を据えるべき最大の根拠です。

「長期投資」なら損しない根拠

  • 「でも、株は暴落が怖い…」その不安は当然です。しかし、その不安もまた、歴史が和らげてくれます。
  • 米国の代表的な株価指数である「S&P500」の過去のデータを用いて、保有期間別のリターンを見てみましょう。

※出典:バートン・マルキール著「A Random Walk Down Wall Street(ウォール街のランダム・ウォーカー)」

  • 1年間の保有では、リターンがマイナスになる年(元本割れ)も少なくありません。しかし、保有期間を5年、10年と延ばしていくと、リターンがマイナスになる確率が劇的に低下します。
  • そして、15年以上の長期で保有し続けた場合、過去のどのタイミングで投資を始めても、最終的な年率リターンがマイナスになったことは一度もありませんでした。
  • ITバブルの崩壊、リーマンショック、コロナショックなど、幾多の暴落を乗り越え、世界経済と株価は成長を続けてきました。短期的な値動きに一喜一憂せず、どっしりと構えて長く持ち続ける「長期投資」こそが、リスクをコントロールし、資産を育てる最も確実な方法なのです。

結論:広く分散されたインデックスファンド

  • ここまでの話を統合した、初心者にとっての最適解。それは「全世界、あるいは米国の株式市場全体に連動する、低コストなインデックスファンドを、新NISA口座で、毎月コツコツと積立投資していく」ことです。
    • インデックスファンドとは
      • S&P500といった「指数(インデックス)」と同じ値動きを目指す投資信託です。例えば「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のようなファンドを1本買うだけで、世界中の何千もの優良企業に、自動的に分散投資したのと同じ効果が得られます。個別の企業を分析する専門知識も時間も全く必要ありません。
    • 「卵は一つのカゴに盛るな」
      • この投資の格言が示す通り、「分散」はリスク管理の基本です。インデックスファンドは、一つの商品で「国・地域」と「銘柄」の分散を可能にしてくれます。さらに、毎月決まった額を買い続ける「積立投資(時間分散)」を組み合わせることで、価格が高い時には少なく、安い時には多く買うことができ、高値掴みのリスクを抑えられます。
    • 手数料という名の見えない敵
      • 投資信託には「信託報酬」という保有コストが毎日かかります。このコストはリターンを確実に蝕むため、可能な限り低いものを選ぶことが鉄則です。近年は競争が激化し、信託報酬が年率0.1%前後の非常に優れたファンドも登場しています。

ただし、資産運用の前に支出の最適化

  • どれだけ優れた運用戦略を立てても、投資に回すお金、すなわち「入金力」がなければ絵に描いた餅です。資産形成は「(収入-支出)× 運用利回り」という式で成り立っています。
  • 運用を始める前に、あるいは並行して、まずは家計の「支出の最適化」に全力で取り組みましょう。
固定費の見直し
  • 通信費(格安SIMへの乗り換え)、保険料(不要な保障はないか)、住居費、サブスクリプションサービスなど、一度見直せば効果が永続する固定費から手をつけるのが最も効率的です。
浪費の把握
  • 何にお金を使うと自分の満足度が上がるのか(限界効用)を自覚し、満足度の低い支出、すなわち「浪費」を意識的に減らしていくことが、無理なく投資資金を捻出するコツです。

幸せな人生を歩むヒント

  • ここまでお金の話を具体的にお伝えしてきましたが、忘れてはならないのは、資産形成はあくまで「より良く生きるための手段」であり、目的ではないということです。
  • 緩和ケアの現場で多くの人の最期を看取ったブロニー・ウェア氏の著書『死ぬ瞬間の5つの後悔』によると、人々が人生の最期に最も後悔することのトップは「自分に正直な人生を生きればよかった」であり、「働きすぎなければよかった」がそれに続きます。驚くべきことに、「もっとお金を稼いでおけばよかった」という後悔は、ほとんど聞かれないのです。
  • 私たちの幸福感は、主に3つの脳内物質によって作られると言われています。
ドーパミン(達成感の幸福)
  • 昇進や目標達成、資産が増えることなどで得られる興奮や快感。しかし、慣れやすく、より強い刺激を求めがちになります。
  • ドーパミンは、得られる幸福感が次第に減ってしまう性質を有します
セロトニン(心身の健康の幸福)
  • 朝日を浴びる、リズミカルな運動(散歩など)、バランスの取れた食事などによってもたらされる、心と体の安らぎや落ち着き。
  • セロトニンは、得られる幸福感が減らない性質を有します
オキシトシン(つながりの幸福)
  • 家族や友人とのスキンシップや団らん、ペットとの触れ合い、誰かのために行動することなどで感じられる、愛情や信頼、所属の感覚。
  • オキシトシンは、得られる幸福感が減らない性質を有します
  • 資産形成はドーパミン的な幸福につながりますが、それだけでは砂上の楼閣になりかねません。持続的で土台のしっかりした幸福のためには、セロトニン的な幸福(健康)とオキシトシン的な幸福(人間関係)が不可欠です。
  • 公務員の皆様の仕事は、まさに住民という「他者への貢献」に直結する、オキシトシン的な幸福に満ちた尊いものです。その尊い仕事を、誇りとやりがいを持って続けていくためにも、まずはご自身の経済的な土台を固め、お金の不安から解放されることが何より重要です。

おわりに

  • 世界はいつも思い通りに動くわけではありません。時には不平等な環境や才能の差などに納得のいかない思いをすることもあるかもしれません。しかし、そのような世界においても、私達にとって時間だけは平等です。そして、この時間というものは有限ですが、その使い方は無限なのです
  • 資産運用を通じてお金と時間の選択肢を増やすことは、皆様が本当に大切にしたいこと、有限な人生を投下したいと心から願うことに、より多くのエネルギーを注ぐための強力な武器となります
  • この有限の時間を皆様はどのように使われていきますでしょうか?この記事が、皆様一人ひとりの輝かしい未来を築くための一助となることを、心から願っております。
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