07 自治体経営

令和8年定例第二回(秋)関東地方知事会議(令和8年10月28日)

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

エグゼクティブサマリー

 関東地方知事会は、令和8年10月28日、栃木県宇都宮市で定例第二回(秋)の会議を開き、国の施策及び予算に関する提案・要望を取り上げました。関東地方知事会は、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡、長野の1都9県で構成され、令和8年の会長は栃木県です。今回は、各都県が持ち寄った提案と共同提案を合わせて13件が議題となりました。

 中心となるのは、地方分権改革と地方税財政を包括的に扱う共同提案です。物価高と賃上げに伴う価格転嫁の財源、自動車関係諸税の見直しやふるさと納税などの税制改正への対応、教育無償化の財源、自治体システムの標準化の経費、国の予算編成方針の見直しへの対応まで、令和9年度の地方財政に直結する論点が網羅されています。このほか、感震ブレーカーの設置促進、令和8年9月の台風第25号などの災害を踏まえた制度の見直し、重度心身障害者の医療費助成、障害者雇用率制度、高校教育改革と体育館の空調、地域公共交通、クビアカツヤカミキリの防除、空飛ぶクルマの社会実装など、幅広い分野の提案が並びました。

 特別区にとっては、国の地方財政対策や税制改正の行方を先読みし、令和9年度予算の歳入見積りと歳出の積算に反映させるための材料が数多く含まれています。本記事では、提案を行政分野別に整理したうえで、特別区の予算編成に生かせる視点を示します。

地方分権・行財政

国と地方の役割分担と地方分権改革

 共同提案は、国から地方への事務・権限の移譲が地方の求めてきたものの一部しか実現しておらず、国が地方に基準を課す義務付け・枠付けの見直しでも、地方の裁量を許さない「従うべき基準」が多用されてきたと指摘しています。地方と国の歳出の比率が6対4であるのに対し、税源の配分は4対6にとどまるとして、役割に見合った税源の移譲を求めています。

 具体的には、第34次地方制度調査会での審議を踏まえた国と地方の役割分担の抜本的な議論、ハローワークや農地転用に関する権限の移譲、法令による計画策定の義務付けの見直しを求めました。全国どこに住んでいても一定水準のサービスが確保されるべき施策は「ナショナルスタンダード」として国の責任で実施し、子ども医療費などを地方単独事業として自治体の判断と負担に委ねないよう求めている点も特徴です。

 国の政策決定への地方の参画については、国と地方の協議の場に分野別の分科会を設けること、議員立法についても起草段階で地方に情報を提供する仕組みを設けることを提案しています。特に、令和8年9月に閣議決定された飲食料品の消費税率の臨時的な引下げと就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱について、地方の現場に大きな事務負担が生じることが想定されるとして、国と地方の負担割合や役割分担を早期に示し、地方が暫定的に大きな負担を負う場合はその期間を明示的に限定するよう求めました。

(出典)関東地方知事会「地方分権改革の推進について」(共同提案)令和8年10月

物価高対策と価格転嫁の財源

 共同提案は、令和8年6月に物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金が追加措置されたものの、中東情勢の影響による原油や石油製品の不足などで物価の先行きは依然として不透明だとしています。電力、ガス、ガソリンなどのエネルギー価格の安定に向けては、地方公共団体の間で対策に格差が生じないよう、国の責任で全国一律の対策を講じることを求めました。

 財政面では、臨時交付金を措置する場合に財政力指数による補正を行わず、繰越や基金への積立ての要件を弾力化することを求めています。さらに、物価高や民間賃金の上昇が続く中、公共事業、施設管理、行政サービスにおける価格転嫁に必要な財政需要を地方財政計画に的確に反映し、既定の加算とは別枠で地方交付税を増額するよう求めました。医療機関の診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬に物価高を適時に反映する仕組みを組み込むことも盛り込まれています。

(出典)関東地方知事会「地方分権改革の推進について」(共同提案)令和8年10月

地方一般財源の確保と地方交付税

 共同提案によれば、令和8年度の地方財政計画では、地方の一般財源総額が交付団体ベースで前年度を3.7兆円上回る67.5兆円確保され、地方交付税は前年度を1.2兆円上回る20.2兆円となり、臨時財政対策債の新規発行額は前年度に続きゼロとなりました。共同提案はこれを踏まえつつ、行政需要の増加や金利・税収の動向を的確に把握して一般財源総額を確保・充実すること、地方交付税の法定率の引上げを含む抜本的な対策で臨時財政対策債の制度を廃止すること、既往の元利償還金の財源を別枠で確保することを求めています。

 地方創生については、令和8年7月に閣議決定された「地域未来戦略」のもと、地域未来交付金が令和7年度補正予算で1,000億円、令和8年度当初予算で1,600億円確保され、地方財政計画では地方創生推進費1兆円に加えて地域未来基金費4,000億円が創設されたことを示したうえで、交付金の要件緩和や交付上限額の引上げ、事業期間の延長などを求めました。

 公共施設の長寿命化などに使われる公共施設等適正管理推進事業債が令和8年度で期限を迎えることから、公用施設も対象に加えたうえで期間を延長することも求めています。

(出典)関東地方知事会「地方分権改革の推進について」(共同提案)令和8年10月

税制改正への対応

 自動車関係諸税では、自動車税の環境性能割が令和8年3月31日で廃止され、令和8年度の減収は地方特例交付金で全額補塡されることになっていますが、令和9年度以降の対応は明らかになっていません。軽油引取税などの暫定税率の廃止による地方全体の減収も5,000億円以上が見込まれています。共同提案は、いずれについても令和9年度以降に国の責任で代替となる恒久財源を措置するよう求めました。令和10年度以後の自動車税のあり方と電気自動車への車両重量に応じた課税は、令和9年度税制改正で結論を得るとされています。

 ふるさと納税については、令和8年度税制改正で特例控除額に上限が設けられ、寄附金のうち自治体が活用できる割合を段階的に60%以上とする見直しが行われたことを一定評価しつつ、都市部の自治体では税収減が大きく財政への影響が残っているとして、特例控除額の上限の引下げなど更なる見直しを求めています。マイナポータルを使った申告が容易になったことを踏まえ、ワンストップ特例制度の速やかな廃止と、廃止までの間の減収の全額補塡も求めました。

 このほか、地方法人課税の堅持、消費税率を引き下げる場合の代替財源の確保、給付付き税額控除は国が中心となって担い自治体の事務負担に配慮すること、課税自主権の拡大なども盛り込まれています。

(出典)関東地方知事会「地方分権改革の推進について」(共同提案)令和8年10月

国の予算編成方針の見直しと自治体システム

 「経済財政運営と改革の基本方針2026」で、補正予算に依存した財政運営から脱却し、恒常的な施策は当初予算で措置する方針が示されたことについて、共同提案は、自治体がこれまで国の補正予算と連動して防災・減災対策や物価高対策に取り組んできた経緯を踏まえ、必要な事業量と地方財源を確保し、予見可能性が低下しないよう早期に情報を提供するよう求めています。

 自治体の基幹業務システムの標準化については、令和8年7月に補助上限額が示されたものの、移行経費が上限額を上回る自治体があるとして、移行経費の全額と関連システムの改修費用への財政措置を求めました。システムの運用経費の増加については、令和8年度は補助金と普通交付税で対応するとされていますが、令和9年度以降も、地方交付税が交付されていない自治体を含めて確実な財政支援を講じるよう求めています。

(出典)関東地方知事会「地方分権改革の推進について」(共同提案)令和8年10月

地方公務員制度

 共同提案は、優れた人材を確保するため、自治体が実情に合わせて給与や勤務時間を柔軟に設定できるよう、地方公務員法などの改正を求めています。支給できる手当が地方自治法に限定列挙されていることなどを課題に挙げ、デジタル分野などの専門人材の確保や、部分休業の対象拡大など子育てとの両立支援を喫緊の課題としました。

 また、山梨県からは地域手当の見直しについての提案がありました。この提案の資料は埼玉県のページに掲載されていないため、本記事では具体的な内容に立ち入りません。

(出典)関東地方知事会「地方分権改革の推進について」(共同提案)令和8年10月、埼玉県「令和8年(関東)」

防災・危機管理

感震ブレーカーの設置促進

 東京都は、地震時の電気火災を防ぐ感震ブレーカーの設置促進を提案しました。中央防災会議が令和7年12月に公表した首都直下地震の被害想定では、感震ブレーカーの設置率を現状の20%から100%に高めると焼失棟数を72%減らせるとの試算が示され、令和8年6月に閣議決定された首都直下地震緊急対策推進基本計画では、緊急対策区域で2035年までに「おおむね設置」とする目標が定められています。

 提案は、国による全国的な広報・啓発、自治体の普及促進の取組への十分な財政措置、住家への設置の義務化など効率的に普及させる制度の検討を求めています。設置は家庭の自助であるとともに、地域の延焼を防ぐ共助でもあり、安全な建物では在宅避難を支える取組にもなると位置づけています。

(出典)関東地方知事会「感震ブレーカー設置促進について」(東京都)令和8年10月

令和8年台風第25号等を踏まえた制度の見直し

 令和8年9月の台風第25号に伴う記録的な大雨では、土砂災害、堤防の決壊、河川の氾濫、浸水被害が発生し、広範囲の停電や通信障害も生じました。8月にも記録的な集中豪雨があり、復旧途上の住宅やインフラが再び被災したことを踏まえ、共同提案は8項目を求めています。

 被災者の住まいについては、被災者が自ら修理業者と契約した応急修理や、家賃の上限を超える賃貸型応急住宅、入居時の保証金などが災害救助法の対象とならない現状を挙げ、制度の弾力的な運用と抜本的な見直しを求めました。水害では、床や内壁などが大きく損なわれても柱や基礎に損傷が現れにくく、住家の被害認定が「半壊」にとどまり、被災者生活再建支援金の対象とならない例があるとして、浸水害の特性に応じた認定基準の見直しを求めています。

 このほか、相次ぐ災害で被災した住民や事業者への特別な財政支援、個人の宅地の擁壁設置への補助制度の創設や土砂災害特別警戒区域からの移転支援の充実、不適切な盛土への行政代執行への財政支援、倒木による停電を防ぐ危険木の予防伐採の役割分担と費用負担の明確化、流域治水への支援の強化、浸水想定区域などに限定されている医療機関や社会福祉施設の浸水対策の交付金の要件の見直しが盛り込まれました。

(出典)関東地方知事会「令和8年台風第25号等による災害を踏まえた提案について」(共同提案)令和8年10月

防災・減災の財源とインフラの老朽化

 共同提案は、令和8年熊本地震や令和6年能登半島地震、令和8年8月千葉豪雨などを挙げ、第1次国土強靱化実施中期計画に基づく財源を通常予算とは別枠で当初予算として安定的に確保するよう求めています。下水道については、埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けて管路の修繕を新たに国の交付対象とすること、令和9年度以降に水の官民連携の導入決定を汚水管の改築の交付要件とする条件の適用を見送ることなどを求めました。都市型水害への備えとして、密集市街地での大規模な地下貯留施設の整備や、民間企業による貯留施設の設置を促す財源措置の充実も盛り込まれています。

(出典)関東地方知事会「地方分権改革の推進について」(共同提案)令和8年10月

福祉・医療・雇用

重度心身障害者医療費助成の全国一律化

 栃木県は、重度心身障害者を対象とする医療費助成が全都道府県で実施されているものの、地方単独事業であるため対象や自己負担が自治体ごとに異なっていると指摘しました。こども医療費の助成については、窓口での負担をなくす現物給付に伴う国民健康保険の国庫負担の減額調整措置が令和6年度から廃止された一方、重度心身障害者の医療費助成には減額調整措置が残っています。提案は、国の責任で全国一律の医療費助成制度を創設すること、減額調整措置を廃止することを求めています。

(出典)関東地方知事会「重度心身障害者への支援の充実について」(栃木県)令和8年10月

障害者雇用率制度の対象拡大

 神奈川県は、令和6年4月から週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の重度の身体障害者、重度の知的障害者、精神障害者を1人当たり0.5人として雇用率に算定できるようになった一方、週10時間未満の障害者は算定の対象外となっていることを指摘しました。提案は、特定短時間労働の導入の効果を検証すること、週10時間未満の短時間雇用も雇用率の算定対象とすることを求めています。

(出典)関東地方知事会「障害者雇用促進法に基づく雇用率制度の更なる対象拡大について」(神奈川県)令和8年10月

社会保障・子育て施策の財源と国民健康保険

 共同提案は、消費税は地方交付税の原資分を含めると約4割が地方の財源であるとし、社会保障の制度設計に当たって地方に負担を転嫁しないよう求めています。こども・子育て政策では、国が全国一律で行う施策の充実に伴う地方の負担を国の責任で措置することを求めました。

 国民健康保険については、国の定率負担の引上げや財政安定化基金の積み増し、子どもに係る保険料の均等割の軽減の拡大、外国人の税・保険料の未納付の防止に向けた自治体に負担の生じない制度の創設と、そのためのシステム改修費の全額国負担を求めています。子どもの医療費については、速やかに全国一律の助成制度を国が創設するよう求めました。

(出典)関東地方知事会「地方分権改革の推進について」(共同提案)令和8年10月

教育

高校教育改革

 千葉県は、私立高校の授業料の実質無償化で私立への進学が大きな選択肢となる中、国が令和8年2月に公表した高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)とN-E.X.T.ハイスクール構想に基づく改革を確実に進めるための支援を求めました。都道府県に造成する基金による支援が令和10年度末までの措置とされていることから、改革の進捗に応じて期限後の経費にも支出できるようにすること、専門人材や理数系人材の育成のための教員の加配を新設すること、令和9年度以降の交付金を、既存の教育予算を原資とせず継続的かつ柔軟な制度として構築することを求めています。

(出典)関東地方知事会「高校教育改革について」(千葉県)令和8年10月

体育館等の空調設備

 共同提案は、災害級の暑さが常態化する中、学校の体育館の空調は生徒と避難者の安全を守る必須のインフラだとして、補助制度のない公立高校の体育館への空調設置を学校施設環境改善交付金の対象とすること、稼働に係る光熱費を地方交付税措置の対象とすることを求めています。あわせて、同交付金が補正予算を前提とした運用から当初予算での措置に移行する方針が示されたことで、移行期に予算の谷間が生じるおそれがあるとして、令和9年度当初予算の十分な確保と、令和8年度の事業に支障が出ないよう補正予算や予備費での財源確保を求めました。

(出典)関東地方知事会「公立高等学校等の体育館等における空調設備の充実について」(共同提案)令和8年10月

教育無償化の財源

 共同提案は、国が令和8年度から公立小学校等の給食費の負担軽減を実施することについて、基準額が物価高を適正に反映していないとして実情に合った基準額とすること、中学校等への拡大を速やかに実現すること、給食を食べない児童生徒の扱いの全国統一の基準を策定することなどを求めています。高校授業料の無償化についても、公立高校の設置者の負担が増すとして、施設整備や教員給与を含む公立高校への支援の抜本的な拡充を求めました。教育無償化の財源については、令和7年12月に文部科学省、総務省、財務省の3省で取り交わされた文書で、令和8年度は地方財政措置で対応し、令和9年度予算編成・税制改正に向けて財源確保を図るとされていることを踏まえ、代替となる恒久財源を確実かつ早急に確保するよう求めています。

(出典)関東地方知事会「地方分権改革の推進について」(共同提案)令和8年10月、文部科学省・総務省・財務省「三党合意に基づくいわゆる教育無償化に向けた対応について」令和7年12月

環境・エネルギー・農林業

GX推進と農業の高温対策

 茨城県は、中東情勢の緊迫化による化石燃料の供給リスクや記録的な猛暑を背景に、資源・エネルギーと食料の安全保障を両立させる対策を求めました。水素・アンモニアと化石燃料との価格差の支援や拠点整備の支援を一部の先行案件にとどめず幅広い案件に広げること、原油由来のナフサに依存しないグリーン製品について、原材料の供給網の構築や設備投資への支援とともに、公共調達での積極的な活用など需要の喚起を進めることを求めています。農業分野では、高温耐性があっても品質が低下する水稲や、高温耐性品種の少ない露地の野菜・果樹について、品種と栽培技術の開発を早急に進めるよう求めました。

(出典)関東地方知事会「資源・エネルギー及び食料安全保障強化に向けたGX推進と高温対策について」(茨城県)令和8年10月

クビアカツヤカミキリの防除

 埼玉県は、サクラやモモなどのバラ科の樹木を枯らす特定外来生物クビアカツヤカミキリの被害が速く広がり、令和8年度には果樹産地の山梨県と長野県でも初めて確認されたことを挙げ、国主導の防除を求めました。国は令和8年9月11日の対策本部で、2030年度を目途に被害地域の縮小への道筋をつけるとする防除戦略を決定しましたが、提案は、国と都府県の具体的な連携体制が示されていないと指摘しています。より効果的な防除方法の研究開発の加速、国による調査と防除の実施、県域を越えた被害情報の共有データベースの構築、3年を限度とする補助制度の見直しと被害終息までの支援の継続、私有地や所有者不明地での防除の制度整備、関係省庁の予算の一元化を求めました。この提案は、各都県から賛同を得たとされています。

(出典)関東地方知事会「クビアカツヤカミキリ防除事業への支援について」(埼玉県)令和8年10月、埼玉県「令和8年(関東)」

クマ被害対策と森林環境税

 長野県からはクマ被害対策についての提案がありました。この提案の資料は埼玉県のページに掲載されていません。共同提案では、森林環境税の趣旨の丁寧な説明や、森林環境譲与税が森林整備や人材育成、木材利用に一層活用されるための方策の検討も求めています。

(出典)関東地方知事会「地方分権改革の推進について」(共同提案)令和8年10月、埼玉県「令和8年(関東)」

交通・先端技術

地域公共交通の持続性確保

 群馬県は、利用者の減少や路線の廃止・減便、運転者不足が深刻化する中で、市町村がコミュニティバスなどの運行で財政負担を増やしている現状を指摘しました。提案は、公共交通の担い手の確保に向けた新規雇用や研修、二種免許の取得への支援の拡充と処遇改善の財源確保、人材確保が特に難しい地域への重点的な支援制度の創設、ローカル鉄道への専門技術者の派遣制度の創設と保守業務の効率化のための規制緩和を求めています。キャッシュレスシステムや地域MaaSなどについては、国の補助が導入費用に限られ、運用費用を事業者や自治体が負担しているとして、運用費用も対象とする補助制度の創設を求めました。

(出典)関東地方知事会「地域公共交通における持続性確保について」(群馬県)令和8年10月

空飛ぶクルマの社会実装

 静岡県は、観光や地域交通、災害救助、救急医療への活用が期待される空飛ぶクルマについて、規制を含む制度設計の全容が示されていないため民間事業者の参入の検討が進まないと指摘しました。先行して示された離着陸場の整備指針が垂直に離着陸できる機体の特性に即していないとの声もあるとして、関係制度の早期整備、機体の購入や離着陸場の整備など準備段階の投資への財政支援、交通網の形成に取り組む自治体への財政支援を求めています。

(出典)関東地方知事会「『空飛ぶクルマ』の早期の社会実装に向けた取組の推進について」(静岡県)令和8年10月

令和9年度予算編成に向けた示唆(特別区)

歳入見積り:税制改正と国の財源措置の行方を織り込む

 令和9年度の歳入見積りでは、国の税制改正と地方財政対策の行方を慎重に見極める必要があります。自動車税の環境性能割の廃止や燃料に係る暫定税率の廃止による減収は、令和8年度は地方特例交付金で補塡されていますが、令和9年度以降の扱いは明らかになっていません。関連する交付金や譲与税の見積りでは、年末の地方財政対策と税制改正大綱の内容を確認し、補塡の継続を前提にしすぎない見積りとすることが考えられます。

 ふるさと納税による税収の流出も、都市部の自治体の課題として要望で取り上げられています。令和8年度の制度改正の効果が流出額にどう表れるかを確認し、特別区民税の見積りに反映させることが重要です。また、特別区は普通交付税の直接の交付対象ではなく、都区財政調整制度の中で財源が調整されます。国が新たな施策の財源を「地方交付税措置」や、教育無償化の令和8年度分のように「地方財政措置」で対応すると説明する場合でも、区の財源として同じように確保されるとは限らないため、都区財政調整の算定にどう反映されるかを含めて確認する必要があります。

歳出:価格転嫁と人件費・委託料の上昇を見込む

 共同提案が、公共事業、施設管理、行政サービスの価格転嫁に必要な財政需要を地方財政計画に反映するよう求めていることは、自治体の歳出側でも、委託料や指定管理料、工事費に賃金と物価の上昇を適切に反映させる必要があることを意味します。予算の積算段階で最新の労務単価や物価の動向を反映し、契約後の変動にも対応できる余地を確保しておくことが、事業者の賃上げを支え、事業の継続性を守ることにつながります。

 コミュニティバスなど区が運行を委託する交通事業でも、運転者の不足を背景に委託料が上昇する可能性があります。キャッシュレス化などのシステムの運用費用も含め、中長期の費用を見込んでおくことが求められます。

防災:首都直下地震と風水害への備えを当初予算で

 特別区はすべて首都直下地震緊急対策区域に含まれており、国の基本計画では2035年までに感震ブレーカーを「おおむね設置」とする目標が示されています。区の助成や配布の事業について、対象や周知の方法を見直し、目標の達成に向けた複数年の計画として予算に位置づけることが考えられます。国の財政措置の拡充が要望されている段階であり、国の動きに応じて事業を拡大できる余地を残しておくことも重要です。

 風水害では、浸水被害の認定基準の見直しが要望されています。区が交付する罹災証明の基礎となる住家被害の認定は、短期間に大量の事務が発生します。認定を担う職員の研修や応援体制の整備、浸水対策の助成などを、平時の予算として確保しておくことが望まれます。

 国の予算編成方針の見直しで、学校施設環境改善交付金のように補正予算を前提としていた交付金が当初予算での措置に移行することにも注意が必要です。区立学校の体育館の空調など、交付金を前提に計画している事業は、国の予算の確保状況を早めに確認し、年度間の財源の谷間が生じないよう事業計画を調整する必要があります。

福祉・教育:国の制度改正と区の単独事業の関係を整理する

 給食費の負担軽減や、子ども・重度心身障害者の医療費助成など、自治体が単独事業として実施・拡充してきた施策の多くで、国による全国一律の制度化や財源措置が要望されています。国の制度が拡充されれば、区の単独事業の財源の一部が国の負担に置き換わる可能性がある一方、国の基準額が実際の費用を下回れば、差額の負担が残ります。予算編成では、国の制度と区の単独事業の役割分担を整理し、国の動きに応じて見直せるようにしておくことが重要です。

 国民健康保険では、子どもの均等割の軽減の拡大や、外国人の保険料の未納付の防止に向けた制度の検討が要望されています。保険者である区の国保会計とシステム改修への影響を見込んでおく必要があります。また、障害者の法定雇用率は令和8年7月から国・地方公共団体で3.0%に引き上げられており、区も雇用主として短時間雇用を含めた採用計画を予算と一体で検討することが求められます。

デジタル・人材:標準化の運用経費と体制の確保

 自治体システムの標準化に伴う運用経費の増加について、令和9年度以降の財政支援の行方は未確定で、要望では地方交付税が交付されていない自治体への支援も求められています。区は、標準準拠システムの運用経費を実績に基づいて見込み、国や都の支援が確定しない場合も想定した予算とすることが考えられます。

 就業者負担軽減支援金のように、国の新たな施策で自治体に大きな事務が生じる可能性がある場合には、制度の詳細が示された段階で速やかに体制とシステムを準備できるよう、補正予算での対応も含めた手順を想定しておくことが望まれます。給与や勤務時間の柔軟化、専門人材の確保に関する要望の動向も、区の人材確保の方策を考えるうえで参考になります。

国への要望と区の事業を連動させる

 知事会の要望は、国の概算要求から年末の予算政府案、税制改正大綱、地方財政対策へと続く過程で、地方の意見を届ける役割を担っています。区の予算編成では、要望の項目ごとに、国の動きを確認する時期と、区の予算への反映の方法をあらかじめ整理しておくことが有効です。特別区長会などを通じた区からの要望と、知事会の要望の内容を照らし合わせ、区の事業に直結する論点を見逃さないことも重要です。

まとめ

 令和8年10月28日の定例第二回(秋)関東地方知事会議では、地方分権と地方税財政を包括する共同提案を中心に、防災、福祉、雇用、教育、環境、交通、先端技術にわたる13件の提案が取り上げられました。物価高と賃上げに伴う価格転嫁の財源、自動車関係諸税やふるさと納税などの税制改正への対応、教育無償化の恒久財源、標準化の運用経費、国の予算編成方針の見直しなど、令和9年度の地方財政を左右する論点が数多く含まれています。

 防災では、首都直下地震に備えた感震ブレーカーの普及や、台風第25号などの災害を踏まえた被災者支援の制度の見直しが求められ、福祉や教育では、重度心身障害者の医療費助成や給食費の負担軽減など、地方単独事業として行われてきた施策を国の責任で全国一律に実施するよう求める声が目立ちました。

 特別区にとっての要点は、これらの要望を国の予算と税制の先行指標として読み、令和9年度予算の歳入見積りと歳出の積算に生かすことにあります。補塡や財源措置の継続を前提にしすぎない歳入見積り、価格転嫁を反映した委託料や工事費の積算、首都直下地震と風水害への備えの当初予算化、国の制度改正と区の単独事業の役割分担の整理、標準化の運用経費の見込み。年末の地方財政対策と税制改正大綱の内容を確認しながら、これらを予算編成の各段階に組み込んでいくことが求められていると考えられます。


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