04 東京都

【2025年8月29日】東京都知事記者会見と政策立案のヒント

masashi0025

1. 子供向け相談窓口

概要

  • ニュース概要
    • 多くの学校で新学期が始まるのを前に、東京都は子どもや保護者が抱える不安や悩みを受け止める相談窓口「ギュッとチャット」の利用を呼びかけています。心理士や保健師などの専門家が対応し、スマートフォンやパソコンから匿名かつ無料で、毎日15時から22時まで相談が可能です。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 夏休み明けは、生活環境の変化から子どもの精神的な負担が増大しやすく、不登校や自殺などのリスクが高まる時期です。こうした深刻な事態を未然に防ぐためのセーフティネットとして、行政が相談体制を整備する必要があります。
  • 具体的なアクション
    • スマートフォン等から匿名・無料でアクセスできるオンライン相談窓口「ギュッとチャット」を開設し、広く周知しています。
  • 行政側の意図
    • 対面や電話での相談に抵抗がある子どもでも利用しやすいオンラインチャット形式を採用することで、相談へのハードルを下げます。悩みを早期に発見し、専門家による適切な支援につなげることを目指しています。
  • 期待される効果
    • 子どもや保護者の不安が軽減され、いじめや不登校といった問題の早期発見・早期対応につながることが期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • 相談窓口の存在を、支援が必要な子どもや保護者に確実に届けるための更なる認知度向上が課題となります。
  • 特別区への示唆
    • 都の広域的な窓口と連携しつつ、各区が持つスクールカウンセラーや地域の児童相談機関との連携強化が重要です。区の広報紙やウェブサイト、SNSなどを活用し、都の窓口情報と区独自の相談窓口をセットで周知することで、住民が自身に合った相談先を選びやすくなり、より多層的な支援体制の構築が可能となります。

2. 育業応援ポケットブック

概要

  • ニュース概要
    • 東京都は、育児を「休み」ではなく大切な「仕事」と捉える「育業」を推進しています。都内男性の育業取得率が約10年で10倍の54.8%に達したことを受け、育業のメリットや都の支援策を分かりやすくまとめた「育業応援ポケットブック」をデジタル版で公開し、社会全体で応援する気運の醸成を一層加速させます。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 男性の育児参加を当たり前の社会にするためです。これにより、女性のキャリア継続を支援し、男女が共に子育てしやすい環境を整備することで、少子化対策やジェンダー平等の実現に貢献します。
  • 具体的なアクション
    • 育業のメリットや都の奨励金制度などをまとめたデジタル版ポケットブックを作成し、ウェブサイトで公開しています。
  • 行政側の意図
    • 育業を検討している個人だけでなく、企業の経営者や管理職にも具体的な情報を提供することで、職場全体の理解を促進します。育業取得への心理的・制度的なハードルを下げる狙いがあります。
  • 期待される効果
    • 男性の育業取得率の更なる向上や、企業文化の変革、働き方改革の促進などが期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • 特に中小企業における代替人員の確保や、育業を取得しやすい職場風土の醸成が今後の課題となります。
  • 特別区への示唆
    • このポケットブックを、区が実施する両親学級や企業向けのセミナー、ウェブサイト等で積極的に周知することが有効です。特に中小企業が多い特別区の実情を踏まえ、区独自の奨励金制度の創設や、育業に積極的に取り組む区内企業の事例を収集・発信し、都の施策を補完する形で企業の取り組みを後押しすることが、地域の実情に合った支援につながります。

3. 江戸文化体感イベント

概要

  • ニュース概要
    • 東京都は、9月に開催される世界陸上に合わせ、日本の祭りと江戸文化の魅力を発信する二つのイベントを発表しました。一つは東京駅前の行幸通りで山王祭・神田祭・三社祭の神輿が一堂に会す「TOKYOわっしょい」、もう一つは来春リニューアルオープンする江戸東京博物館の企画として「幕の内弁当」のアイデアコンテストです。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 世界的なスポーツイベントを契機として、国内外からの来訪者に東京の強力な文化資本である「江戸文化」の魅力を発信するためです。これにより、都市のブランドイメージ向上と観光振興を図ります。
  • 具体的なアクション
    • 都心部で大規模な祭りイベントを開催し、あわせて市民参加型のアイデアコンテストを実施します。
  • 行政側の意図
    • 世界陸上で東京を訪れる多くの人々に、スポーツだけでなく文化的な魅力も体験してもらうことで、滞在満足度を高めます。また、都民参加型の企画を通じて、地域文化への関心とシビックプライドを醸成します。
  • 期待される効果
    • 東京の文化的な魅力が広く伝わることによる観光誘客促進や、関連消費による地域経済の活性化が期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • 大規模イベントの安全な運営管理と、こうした取り組みを一過性で終わらせず、持続的な文化振興策へつなげること。
  • 特別区への示唆
    • 世界陸上のような国際的イベントは、区の魅力を発信する絶好の機会です。都のイベントと連動しつつ、区内の伝統文化、商店街、観光スポットなどを組み合わせた独自の周遊ルートや体験プログラムを企画・広報することで、来訪者を区内に誘引し、地域の活性化につなげることが可能です。

4. 認知症に関する取組

概要

  • ニュース概要
    • 9月21日の「認知症の日」に合わせ、東京都は認知症への理解を深めるための取り組みを発表しました。認知症の当事者である「とうきょう認知症希望大使」が登壇するシンポジウムを9月25日に開催するほか、介護者の悩みを介護経験者が聞くピア相談の電話相談窓口を9月1日から新たに開設します。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 高齢化の進展に伴い、認知症は誰もが関わる可能性のある身近な課題です。認知症のある方本人とその家族が、希望を持って安心して地域で暮らし続けられる共生社会を実現するために、行政が支援体制を構築します。
  • 具体的なアクション
    • 当事者参加のシンポジウム開催による普及啓発と、介護者向けのピアサポート電話相談窓口の開設を行います。
  • 行政側の意図
    • シンポジウムを通じて認知症への社会的な理解を促進し、偏見をなくすことを目指します。また、介護者が悩みを共有し、孤立することを防ぐための具体的な相談支援を提供することで、介護者の精神的負担を軽減します。
  • 期待される効果
    • 認知症への正しい理解が広まり、介護者の負担軽減や、介護離職の防止につながることが期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • 新設される電話相談窓口の周知徹底と、支援を必要としている人に情報が確実に届くための広報戦略が課題です。
  • 特別区への示唆
    • 都の広域的な取り組みを区の広報媒体で積極的に周知することが第一歩です。その上で、各区が運営する地域包括支援センターを中心に、認知症カフェや家族会、専門職による個別相談会など、より住民の生活圏に近い、身近な地域での相談・交流の場を充実させることが求められます。都の施策と区の地域密着型支援を連携させることで、切れ目のないサポート体制が実現します。

5. 名誉都民候補者の選定

概要

  • ニュース概要
    • 東京都は、令和7年度の東京都名誉都民候補者として、俳優の草笛光子氏、映画字幕翻訳家の戸田奈津子氏、元日本商工会議所会頭の三村明夫氏の3名を選定したと発表しました。今後、都議会の同意を得た上で顕彰式が行われる予定です。三氏は各分野で長年にわたり多大な功績を上げてきました。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 社会及び文化の発展に著しく貢献し、都民が敬愛し、誇りとする人物を顕彰するためです。その功績を広く示すことで、都民の郷土への関心と愛着を深め、都の更なる発展に資することを目的とします。
  • 具体的なアクション
    • 各界で顕著な功績のあった3名を候補者として選定し、都議会に同意を求める手続きを進めています。
  • 行政側の意図
    • 長年にわたり第一線で活躍し、多くの都民に希望や活力を与えてきた人物の功績を公式に称えることで、その存在を後世に伝えます。また、後に続く世代の目標を示し、文化や産業の振興を図る意図があります。
  • 期待される効果
    • 受賞者の功績が改めて注目されることによる都民のシビックプライド(都市への誇りや愛着)の向上が期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • 今後も都民が広く納得できる、公平かつ透明性の高い選定プロセスを維持していくことが重要となります。
  • 特別区への示唆
    • 都の名誉都民制度は、各区が地域レベルで実施する顕彰制度(区民栄誉賞など)の参考となります。区の発展に貢献した個人や団体を、文化、スポーツ、産業振興、地域貢献など多様な分野から顕彰することは、地域のアイデンティティを育み、住民の連帯感を醸成する上で非常に有効な施策です。

質疑応答(要約)

  • 防災対策
    • 9月1日の防災の日に合わせ、羽村市・日の出町と合同で総合防災訓練を実施し、都民の防災意識向上と関係機関の連携強化を図ります。耐震化・不燃化などの地道な対策により、首都直下地震の被害想定は10年前に比べ3~4割減少しており、今後もハード・ソフト両面から「首都防衛」の取り組みを加速していきます。
  • クマ出没への対応
    • 都内でもクマの目撃情報があることから、出没情報を地図で確認できる「東京くまっぷ」で情報発信を行うとともに、登山者への注意喚起を行っています。また、市町村が行う電気柵の設置などを財政的に支援し、地元自治体と連携して安全対策を進めます。
  • 国連機関の東京誘致
    • 国連機関の誘致は国の専管事項であるとしつつ、国に前向きな動きがあれば、東京都として可能なサポートをしていきたいと述べました。国際会議などを通じ、首都東京として日本の外交に貢献できる役割は大きいとの認識を示しました。
  • 宿泊税の見直し
    • 都税制調査会からの提言を踏まえ、現在、宿泊税の見直しを検討している段階です。修学旅行など課税を免除する対象や、増収分の使い道について、都民の理解を得られる最も効果的な形となるよう、議論を重ねていると述べました。
  • 税の偏在是正措置
    • 近隣3県の知事による国への要望について、都は既に毎年約1兆4千億円の税収が国に徴収され、全国に配分されている現状を指摘。都の政策は全国を動かす役割も担っており、首都圏全体の競争力確保のため、地方自治の判断として行っているとの考えを改めて示しました。
  • 使用済み太陽光パネルのリサイクル
    • 環境大臣が示したリサイクル義務化法案の見直し検討は国の判断であるとしました。その上で、都が推進するフィルム型の「Airソーラー」は、発電能力だけでなく、廃棄処理が環境的に容易である点が大きな利点であり、技術革新に期待を示しました。
  • 都立高校教師の不祥事
    • 都立高校の教師が逮捕されたことについて、犯罪でありあってはならないことで、教育者としては誠に遺憾であると述べました。今後の対応は教育委員会で適切に進められるとの認識を示しました。
  • 全国知事会との関係(一極集中論)
    • 長野県の阿部新会長の発言について、実際の人の動きは札幌・仙台・広島・福岡といった地方中枢都市に向かっており、「東京」という地名だけで課題を語るのは不正確であるという点を、新会長は理解した上での発言ではないかと述べました。
  • 自動運転バスの事故
    • 八王子市で都が実証実験中だった自動運転バスの事故について報告を受けているとし、負傷された方へのお見舞いを述べました。その上で、まずは事故原因の究明をしっかりと行っていくことが必要だとの考えを示しました。
  • 女性活躍推進条例の制定
    • 有識者検討会議での約1年間の議論を踏まえ、女性も男性もいきいきと暮らせる社会を実現するため、条例の制定をスピーディーに進めたいと意欲を示しました。企業が変われば社会が変わるという視点が重要であると述べました。
  • 関東大震災朝鮮人犠牲者追悼への考え
    • 都が主催する慰霊大法要において、関東大震災及び大戦で犠牲となられた「全ての方々」へ追悼の意を表していると改めて説明。特定の団体が主催する追悼行事に知事として追悼文を送らないという従来の考えに変わりはないことを示しました。

出典

小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和7年8月29日)

ABOUT ME
行政情報ポータル
行政情報ポータル
あらゆる行政情報を分野別に構造化
行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。
記事URLをコピーしました