【2025年8月1日】行政関連ニュースと政策立案のヒント

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発災時のエレベーターの安全対策

概要

  • ニュース概要
    • 首都直下地震発生時、都内で約2万2千台のエレベーター閉じ込めが発生すると想定されています。この被害を軽減するため、都は局横断的なプロジェクトチームを設置し、今月から安全対策を加速させます。具体的には、エレベーターの保守事業者と連携し、閉じ込め自体を防ぐ機能の導入促進などを検討します。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 高層ビルやマンションが密集する大都市・東京特有の災害リスクであるエレベーターの閉じ込めに備え、都民の命と安全を守る実効性のある対策を講じるためです。
  • 具体的なアクション
    • 局横断のプロジェクトチームを設置し、保守事業者と連携して閉じ込め防止機能の導入促進等を検討します。
  • 行政側の意図
    • 大阪府北部地震の事例を参考に都の実情に即した被害を想定し、そこから想像力を働かせることで、より具体的で有効な手立てを講じ、災害対策の実効性を高めることを目指しています。
  • 期待される効果
    • 地震発生時のエレベーター閉じ込め件数の減少と、万が一閉じ込めが発生した場合の迅速な救助につながることが期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • 既存エレベーターへの閉じ込め防止機能の設置促進や、保守事業者との具体的な連携体制の構築が今後の課題となります。
  • 特別区への示唆
    • 特別区においても、区内に林立するマンションや事業所ビルは同様のリスクを抱えています。区の広報物やウェブサイトで都の取組を紹介し、ビル管理者や管理組合に対して安全対策の重要性を周知することが求められます。また、都の補助金制度等を案内し、改修を後押しすることも有効です。区が実施する防災訓練に、エレベーター閉じ込めを想定した救出訓練などを取り入れることも検討に値します。

暑さ対策

概要

  • ニュース概要
    • 連日続く災害級の猛暑から都民の命を守るため、都は新たな熱中症対策啓発動画を公開しました。動画では、外出時の日傘やネッククーラーといった対策グッズの活用を呼びかけるとともに、公共施設などを一時的な避難場所とする「クーリングシェルター」の利用を促しています。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 熱中症による健康被害が深刻化する中、都民一人ひとりの具体的な予防行動を促し、社会全体で被害を軽減する必要があるためです。
  • 具体的なアクション
    • 外出時の暑さ対策を啓発する動画を作成し、SNSなどで広く情報発信を行います。
  • 行政側の意図
    • 日傘や対策グッズの活用、周囲との声かけといった具体的な行動を促すことで、都民の対策意識を高め、熱中症のリスクを自ら回避する行動を定着させることを狙っています。
  • 期待される効果
    • 都民の熱中症予防意識が向上し、重症化する事例や救急搬送件数の減少が期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • 情報が届きにくい高齢者などへのアプローチ強化や、クーリングシェルターの認知度向上と利用促進が今後の課題です。
  • 特別区への示唆
    • 各区においても、区報やSNS、町会・自治会の回覧板などを通じて都の啓発動画を紹介し、暑さ対策を広く呼びかけることが有効です。特に、区立施設をクーリングシェルターとして積極的に開放し、その場所を地図アプリで表示するなど、住民に分かりやすく周知徹底を図ることが重要です。地域の民生委員や町会と連携した高齢者への声かけ活動も、命を守る上で欠かせない取組です。

「2050東京戦略」推進に向けた取組

概要

  • ニュース概要
    • 都は、少子高齢化や気候変動といった複合的な課題に対応し、「成長と成熟が両立した『世界で一番の都市・東京』」を実現するため、「2050東京戦略」の推進方針を公表しました。戦略の柱として「人」への投資や、都民の命と暮らしを守る「首都防衛」などを掲げ、政策レビューによる進捗の見える化や、子供政策の強化などを通じて取組を加速させます。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 不確実で不安定な社会状況の中、東京が目指す未来の姿を実現するため、都政の羅針盤となる長期戦略をスピード感を持って推進する必要があるためです。
  • 具体的なアクション
    • 政策の進捗状況をデジタルツールで「見える化」するほか、子供政策の強化方針や少子化対策の論点などを整理・公表します。
  • 行政側の意図
    • 「人」への投資を核に、レジリエンス強化やデジタルの活用といった東京の強みを最大限に生かす政策を展開し、都民一人ひとりが幸せを実感できる社会の実現を目指しています。
  • 期待される効果
    • 都政の重要課題に対し、中長期的視点に基づいた迅速かつ効果的な対応が可能となり、強靭で持続可能な財政基盤が堅持されます。
  • 課題・次のステップ
    • 壮大な戦略を着実に実行に移すための財源確保と、都民や事業者に具体的なメリットが感じられる事業への落とし込みが課題となります。
  • 特別区への示唆
    • 都が示す「2050東京戦略」という大きな方向性と軌を一にして、各区がその特性に応じた実施計画や具体的な事業を策定・推進することが不可欠です。「チルドレンファースト社会の実現」や「少子化対策」といったテーマは、住民に最も身近な基礎自治体である特別区の役割が極めて大きく、都の新たな施策と連携した区独自の取組を積極的に検討すべきです。

デフリンピック等に関する取組

概要

  • ニュース概要
    • 2025年11月に東京で開催されるデフリンピック(聴覚障害者のための国際的なスポーツ大会)の機運を醸成するため、大会100日前にあたる8月7日に記念イベントが開催されます。あわせて、パラスポーツ競技団体と支援を希望する企業をつなぐマッチングプラットフォーム「TEAM BEYOND パラコネクト」が開設され、専門のコーディネーターが両者の連携をサポートします。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 国際大会であるデフリンピックの成功に向けた気運を高めるとともに、パラスポーツ全体の振興と、誰もが活躍できる共生社会の実現を推進するためです。
  • 具体的なアクション
    • デフアスリートらを招いた100日前イベントの開催や、競技団体と企業のマッチングプラットフォームを開設します。
  • 行政側の意図
    • 大会への都民の関心と期待感を高めると同時に、ボランティア人材や資金といった競技団体のニーズと、企業が持つ資源を可視化・マッチングさせ、持続可能な支援体制を構築することを目指します。
  • 期待される効果
    • デフリンピックの成功に加え、パラスポーツ団体の活動基盤強化と、それによる競技力の向上が期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • マッチングプラットフォームへの企業登録数を増やし、実際に多くのマッチングを成功させ、具体的な支援事例を創出していくことが課題です。
  • 特別区への示唆
    • 各区は、区内企業に対して「パラコネクト」への登録を働きかけることで、パラスポーツ支援の輪を広げる一助を担うことができます。また、区主催のイベントや広報物でデフリンピックやパラスポーツの魅力を発信し、住民の関心を高める啓発活動を行うことも重要です。地域のパラスポーツ団体への支援策を検討する良い機会とも言えるでしょう。

TOKYO空き家活用魅力発信プロジェクト

概要

  • ニュース概要
    • 都は、西多摩地域と島しょ地域の空き家を改修し、移住定住用の住宅として活用するプロジェクトを進めています。この度、奥多摩町と新島村にある3軒の住宅について、都内の大学と連携してリノベーションのデザイン案を選定しました。今後は年度末の完成を目指して工事を進め、その過程を動画で発信していく予定です。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 深刻化する空き家問題を解決するとともに、リノベーションによる魅力的な住宅を供給することで、多摩・島しょ地域への移住・定住を促進し、地域を活性化させるためです。
  • 具体的なアクション
    • 大学や都の若手職員からデザイン案を公募・選定し、リノベーション工事のプロセスを動画で作成・発信します。
  • 行政側の意図
    • 学生などの若い感性を取り入れた魅力的な改修事例を示すことで、リノベーションの面白さや空き家の持つ大きな可能性を広く伝え、空き家活用のムーブメントを創出することを目指しています。
  • 期待される効果
    • 移住定住用住宅が供給される直接的な効果に加え、空き家活用への関心が高まり、民間での取組が促進されることが期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • 今回のモデル事業を成功させ、そこで得られたノウハウを他の地域や物件にも展開していくことが今後の課題となります。
  • 特別区への示唆
    • 空き家は23区内においても重要な行政課題です。このプロジェクトは多摩・島しょ地域が対象ですが、大学と連携する手法や、移住者と地域の交流を生む「土間」を設けるといった設計思想、改修プロセスを発信する広報戦略などは、特別区の空き家対策においても大いに参考になります。区内の空き家所有者向けセミナーなどで、こうした先進事例を紹介することも有効です。

夏休み期間の「トー横」対策

概要

  • ニュース概要
    • 夏休み期間を迎え、新宿・歌舞伎町の通称「トー横」に集まる若者を犯罪被害などから守るため、都は対策を強化します。若者に人気の莉子さんを起用し、トー横に潜むリスクを伝える啓発動画をSNSで広く発信するほか、相談窓口「きみまも@歌舞伎町」の体制を強化し、新宿区などと連携した声かけ活動も行います。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • トー横に集まる若者たちが、本人の意図しないところで犯罪に巻き込まれるなどのリスクを未然に防ぎ、悩みを抱える若者に安全な居場所と相談先を提供するためです。
  • 具体的なアクション
    • 若者に影響力のあるタレントを起用した啓発動画を作成し、SNSで発信。相談窓口の拡充や声かけ活動を実施します。
  • 行政側の意図
    • 若者の心に届きやすいメディアやメッセンジャーを通じて、安易に集まることの危険性を直接的に伝えます。同時に、悩みを抱えた若者がいつでも安心して頼れる相談体制を整備することを目指します。
  • 期待される効果
    • 若者が犯罪被害に遭う事案の未然防止や、課題を抱える若者の早期発見と適切な支援への接続が期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • 声かけやSNSでの発信が、真に支援を必要としている孤立した若者に確実に届くかという点が課題であり、継続的な見守り体制が求められます。
  • 特別区への示唆
    • 「トー横」は新宿区の事案ですが、若者が集まる繁華街を抱える特別区は少なくありません。他山の石として、地域の警察やNPOと連携した見守り・声かけ活動のあり方や、SNSを活用した効果的な情報発信、若者がアクセスしやすい相談窓口の設置などを検討する上で、都の取組は重要な参考事例となります。

東京での快適な旅の過ごし方キャンペーン

概要

  • ニュース概要
    • 過去最高を記録する外国人旅行者と地域住民との生活の調和を図るため、都はマナー啓発キャンペーンを開始します。世界的人気キャラクター「ハローキティ」を起用し、都庁展望室でクイズに答えるとオリジナルグッズがもらえるイベントなどを実施。楽しみながら日本の習慣やルールを学んでもらう機会を提供します。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • オーバーツーリズムの問題を防ぎ、観光振興による経済的恩恵と、地域住民の静穏な生活環境を両立させる必要があるためです。
  • 具体的なアクション
    • 人気キャラクターを起用し、クイズ形式のイベントやカプセルトイといった楽しめる仕掛けでマナー啓発を行います。
  • 行政側の意意図
    • 一方的な注意喚起ではなく、クイズやキャラクターグッズといったエンターテインメント要素を取り入れることで、旅行者に楽しみながらマナーを学んでもらい、自主的な行動変容を促すことを狙っています。
  • 期待される効果
    • 旅行者のマナーが向上し、ゴミのポイ捨てや騒音といった住民とのトラブルが減少し、東京の観光地としての魅力がさらに高まることが期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • 都庁展望室といった特定の場所だけでなく、より多くの旅行者の目に触れるよう、空港や主要駅、宿泊施設などでの展開が課題となります。
  • 特別区への示唆
    • 多くの外国人観光客が訪れる特別区にとって、マナー啓発は共通の重要課題です。都の取組を参考に、区内の観光スポットや商店街で、多言語での案内表示や分かりやすいピクトグラムの活用を強化することが考えられます。また、地域独自のキャラクターを用いたり、地元の商店街と連携したキャンペーンを展開したりするなど、各区の実情に応じた工夫が求められます。

質疑応答(要約)

  • 国連の一部機能の東京誘致
    • ニューヨーク出張の際、グテーレス国連事務総長に東京が持つ安全性や質の高さをアピールし、一部機能の移転を直接提案しました。今後は国の動向も踏まえつつ、国に働きかけながら連携を進めていきます。
  • 都議会の新たな会派構成
    • 都議会と都の執行部は都政を前に進める「車輪の両輪」です。都議選の結果、新たに誕生した会派とも意見交換を行い、連携して都政を推進していきたいと考えています。
  • 海外出張の成果(多都市間主義)
    • 気候変動や災害といった地球規模の課題に対し、国同士の協議だけでなく、より現場に近い都市同士が連携する「多都市間主義(マルチシティラテラリズム)」が重要だと提唱しました。今後も世界の都市との連携を深めていきます。
  • 災害時の避難所の設備
    • 避難所の課題は、災害が発生する季節などによっても異なります。国際的な基準なども参考にしながら、各局で連携し、常に改善の検討を重ねています。
  • 水素エネルギーの活用
    • 水素は、エネルギーの安定確保と脱炭素化を両立させるための重要な選択肢の一つです。コストなどの課題はありますが、リスク分散の観点からも、今後も様々な形で研究・活用を進めていきます。
  • 男性の「育業」取得状況
    • 都が推進してきた「育業(育児休業)」の取得率は54.8%に達し、全国平均(40.5%)を大きく上回っています。都内では男性の育業が「普通」になってきており、今後も望む誰もが取得できる社会を目指します。
  • 女性活躍・環境問題での国連との連携
    • 国際会議などで国連関係者が来日する機会などを捉え、都が進める女性活躍や環境政策について連携・協力していきたいと考えています。
  • 国政(石破首相の姿勢)と自身の国政復帰
    • 国政は課題が山積しており、政府・与党には国民にとって必要なことを優先して進めてほしいと述べました。自身の国政復帰に関する質問には、都政をしっかり進めていきたいと述べるにとどめました。
  • 関東大震災朝鮮人犠牲者への追悼文
    • 例年と同様、都が主催する慰霊大法要において、関東大震災で犠牲となられた全ての方々に対し、都知事として哀悼の意を表するという考えに変わりはありません。
  • 外国人観光客のマナー
    • まずは日本のマナーを知ってもらうことが大切です。今回のキャンペーンのように、楽しみながらルールを学んでもらう工夫をすることで、マナーを守り皆が快適に過ごせるという日本の良さを発信していきたいです。
  • ふるさと納税制度
    • 地方税の「受益と負担」の原則を歪める制度であり、本来の寄付文化の醸成という趣旨からも外れ、「官製通販」と化していると考えています。国に対し、引き続き廃止を含めた抜本的な見直しを求めていきます。

出典

小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和7年8月1日)

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