2025.07.10 05 特別区(23区) 【2025年7月10日】行政関連ニュースと政策立案のヒント masashi0025 目次 環境政策品川区、令和7年度「しながわゼロカーボンアクション助成」を開始防災政策総務省、トカラ列島近海の地震被害に対し普通交付税の繰上げ交付を決定生活安全政策豊島区、犯罪被害者等支援条例案を区議会に提出経済産業政策板橋区、いたばし就職サポート事業(板橋区人材確保支援事業)を実施子育て、子ども政策江戸川区、保育施設等の第1子無償化を開始世田谷区、(中高生世代対象)閉館時間帯の児童館で自習が可能にまちづくり、インフラ整備政策世田谷区、成城学園前駅周辺地区の街づくりについて発表環境政策 品川区、令和7年度「しながわゼロカーボンアクション助成」を開始 概要 出典 品川区報道発表 ニュース概要 品川区は、区民や事業者が行う省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの活用など、脱炭素化に貢献する具体的な行動(アクション)に対して費用の一部を助成する制度を開始した。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 2050年ゼロカーボンシティの実現という長期目標達成に向け、区民や事業者の具体的な脱炭素行動を財政的に支援し、促進するため。 具体的なアクション 家庭用蓄電池や高効率給湯器の設置、事業所の省エネ診断など、脱炭素に資する多様なメニューを用意し、助成金を交付する。 行政側の意図 助成金という直接的なインセンティブを提供することで、初期投資の経済的負担を軽減し、区内全体のCO2排出量削減を加速させる狙いがある。 期待される効果 区民・事業者の環境意識の向上と、具体的な省エネ・創エネ行動の普及が期待される。 課題・次のステップ 制度の周知徹底と、申請手続きの簡素化が利用率向上の鍵。助成によるCO2削減効果を正確に測定・評価する仕組みも必要。 特別区への示唆 ゼロカーボン目標達成には、区全体の総力戦が不可欠。各区は、住宅が多い、商業集積が進んでいるといった地域特性に応じて、より効果的な助成メニューを設計することが重要となる。 防災政策 総務省、トカラ列島近海の地震被害に対し普通交付税の繰上げ交付を決定 概要 出典 総務省報道発表 ニュース概要 総務省は、鹿児島県十島村で発生した地震による被害に対応するため、同村に対し、9月に交付予定だった普通交付税の一部を繰り上げて交付することを決定した 1。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 災害により被害を受けた地方公共団体が、当面の災害復旧や被災者支援に必要な財源を迅速に確保できるよう支援するため。 具体的なアクション 地方交付税法に基づき、被災自治体からの要望を受け、定例交付すべき普通交付税の一部を前倒しで交付する。 行政側の意図 被災自治体の財政運営に支障が生じないよう、国の財政支援措置を機動的に発動し、迅速な復旧・復興を後押しする。 期待される効果 被災自治体は、財源の心配をすることなく、応急復旧や被災者支援などの緊急性の高い災害対応に専念できる。 課題・次のステップ 繰上げ交付はあくまで資金繰りの支援であり、本格的な復旧には、災害復旧事業費などの追加的な財政措置が別途必要となる。 特別区への示唆 首都直下地震等の大規模災害に備え、特別区はこうした国の財政支援制度の内容を平時から正確に把握し、発災時に速やかに活用できるよう、手続き等を確認・整理しておくことが極めて重要である。 生活安全政策 豊島区、犯罪被害者等支援条例案を区議会に提出 概要 出典-(bessi1_r7dai2kaiteireikaikaikai.pdf) ニュース概要 豊島区は、犯罪被害者等への支援を強化するため、治療費用の助成などを盛り込んだ条例案を区議会に提出した。遺族への子育て支援金や性犯罪被害者への見舞金などが含まれる 3。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 犯罪被害者やその家族が直面する精神的、経済的、社会的な困難に対し、区として途切れのない包括的な支援を提供するため。 具体的なアクション 経済的支援(見舞金、子育て支援金)と日常生活支援(弁護士費用・転居費用補助、家事代行等)を両輪とする独自の支援条例を制定する。 行政側の意図 国や都の制度ではカバーしきれない部分を基礎自治体である区が補い、被害者が一日も早く平穏な生活を取り戻せるよう、きめ細かく寄り添う姿勢を明確に示す。 期待される効果 被害者の経済的・精神的負担が軽減され、二次被害が防止される。区全体の安全・安心感の向上にも寄与する。 課題・次のステップ 支援内容の周知と、プライバシーに最大限配慮した相談・申請体制の構築。また、継続的な支援を行うための財源確保も課題となる。 特別区への示唆 全ての特別区にとって、犯罪被害者支援は重要な責務である。豊島区の条例案は、支援のあり方を具体的に示す全国でも先進的なモデルであり、各区は自区の支援体制を見直す際の重要な参考とすべきである。 経済産業政策 板橋区、いたばし就職サポート事業(板橋区人材確保支援事業)を実施 概要 出典 板橋区報道発表 ニュース概要 板橋区は、人手不足に悩む区内事業者と、区内での就職を希望する求職者を結びつけるため、「いたばし就職サポート事業」を実施する。合同就職説明会やマッチング支援などを行う。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 地域経済の担い手である中小企業の人材確保を支援し、産業の空洞化を防ぐとともに、区民の雇用を確保するため。 具体的なアクション 区が主体となり、ハローワーク等と連携しながら、区内企業に特化した合同就職説明会の開催や、求人・求職情報のマッチング支援を行う。 行政側の意図 雇用のミスマッチを解消し、区内産業の担い手を確保する。同時に、区民の職住近接を実現することで、地域への定着とコミュニティの活性化を促す。 期待される効果 区内事業者の人材確保が促進され、経営基盤が安定する。求職者にとっては、身近な地域での多様な就業機会が拡大する。 課題・次のステップ 求職者のスキルと企業の求める人材像との間に乖離がある場合、単なるマッチングに留まらないリスキリング(学び直し)支援なども必要となる。 特別区への示唆 基礎自治体による雇用支援は、国の機関を補完する重要な役割を担う。地域企業の実情に合わせたきめ細やかなマッチング支援は、地域経済の持続可能性に直結する重要な政策である。 子育て、子ども政策 江戸川区、保育施設等の第1子無償化を開始 概要 出典 江戸川区報道発表 ニュース概要 江戸川区は、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、所得制限なしで認可保育施設等を利用する第1子の保育料を無償化する独自の施策を開始した。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 子育てにかかる経済的負担が、子どもを持つことをためらう大きな要因となっている現状を踏まえ、抜本的な支援策を講じるため。 具体的なアクション 国の制度(第2子以降が対象)を上回る区独自の施策として、所得やきょうだいの有無に関わらず、第1子の保育料を無償化する。 行政側の意図 「子育てするなら江戸川区」という強いメッセージを発信し、子育て世代の転入促進と定住化を図る。少子化対策への強い決意を示す狙いもある。 期待される効果 子育て世帯の可処分所得が増加し、生活の安定や第2子以降の出産意欲の向上につながる可能性がある。 課題・次のステップ 莫大な恒久財源の確保が最大の課題。また、保育需要の急増に対応するため、保育士の確保・処遇改善や保育施設の整備を並行して進める必要がある。 特別区への示唆 「第1子からの無償化」は、自治体間競争において極めて強力なアピールとなる。財源の問題は大きいが、この政策が地域の人口動態や経済に与える影響を、他の特別区も注視していく必要がある。 世田谷区、(中高生世代対象)閉館時間帯の児童館で自習が可能に 概要 出典 世田谷区報道発表 ニュース概要 世田谷区は、中高生世代の学習場所を確保するため、一部の児童館で、通常の閉館後の時間帯を自習室として開放する取り組みを開始した。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 自宅に集中できる学習環境がない、塾に通えないなど、様々な事情を抱える中高生に、無料で安全な学習スペースを提供するため。 具体的なアクション 既存の公共施設である児童館の遊戯室などを活用し、閉館後の時間帯を中高生専用の自習室として開放する。 行政側の意図 新たな施設を建設することなく、既存の公共施設の有効活用(時間帯による機能の転換)を図り、低コストで新たな住民サービスを創出する。 期待される効果 生徒の学習環境が改善され、学力向上に繋がる。また、これまで足が遠のきがちだった中高生にとって、児童館が身近な場所となる。 課題・次のステップ 閉館後の安全管理(スタッフの配置、入退室管理)と、利用者ルールの徹底、静粛な環境の維持が重要となる。 特別区への示唆 特別区が保有する公共施設は、時間帯によって稼働率が低い場合も多い。学校の空き教室やコミュニティセンターなど、既存ストックを時間帯で使い分ける「施設のタイムシェア」は、多くの区で応用可能な有効な考え方である。 まちづくり、インフラ整備政策 世田谷区、成城学園前駅周辺地区の街づくりについて発表 概要 出典 世田谷区報道発表 ニュース概要 世田谷区は、地域の拠点である成城学園前駅周辺地区について、将来のまちの姿やまちづくりの方向性を示し、住民と共に計画的なまちづくりを進めていくことを発表した 7。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 地域の顔である駅周辺地区の将来像を住民等と共有し、計画的なまちづくりを推進することで、地域の魅力と資産価値を向上させるため。 具体的なアクション まちづくりの方針や将来ビジョン(マスタープラン)を策定・公表し、住民意見の聴取(パブリックコメント等)や、具体的な事業化に向けた検討を進める。 行政側の意図 無秩序な開発を防ぎ、公共空間の創出、歩行者ネットワークの強化、景観の保全などを図り、質の高い市街地環境を形成する。 期待される効果 住民や来街者にとって快適で魅力的な駅前空間が実現し、地域の活性化や定住人口の増加につながる。 課題・次のステップ 多様な権利者(土地所有者、テナント、鉄道事業者等)との丁寧な合意形成に時間を要する。計画の実現に向けた財源確保も課題。 特別区への示唆 各特別区においても、主要な駅周辺はまちづくりの最重要エリアである。住民参加のもとで長期的な視点に立った将来ビジョンを策定し、それを着実に実現していく息の長い取り組みが求められる。 #05 特別区(23区)#08 SDGs・環境#12 生活安全#13 経済産業#14 子育て・こども#21 まちづくり・インフラ整備#91 取組#92 行政ニュース#99 その他 ABOUT ME 行政情報ポータルあらゆる行政情報を分野別に構造化行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。