2025.07.01 02 社会経済状況 【2025年7月1日】行政関連ニュースと政策立案のヒント masashi0025 目次 社会経済状況不動産価格指数、住宅は前月比3.1%上昇、商業用は前期比0.9%下落(令和7年3月・第1四半期分)新設住宅着工戸数、前年同月比34.4%の大幅減(令和7年5月分)法人による既存建物取引、前月比2.0%減(令和7年3月分)自治体経営新宿区、日本郵便株式会社と包括連携に関する協定を締結品川区、ふるさと納税特設サイトに返礼品を伴う寄附申込ページを公開環境政策葛飾区、熱中症対策として「一時涼み所」を開設福祉政策葛飾区、新たな高齢者補聴器購入費助成を7月1日より開始厚生労働省、「地域共生社会」実現に向けた研修教材を公表葛飾区立中央図書館、介護離職を防ぐビジネス講演会を開催社会保障厚生労働省、介護と仕事の両立支援に関する研究会を7月3日に開催健康、保健政策厚生労働省、「医療DX令和ビジョン2030」推進チームが次回会合まちづくり、インフラ整備政策品川駅西口地区A地区新築計画を国土交通大臣が認定社会経済状況 不動産価格指数、住宅は前月比3.1%上昇、商業用は前期比0.9%下落(令和7年3月・第1四半期分) 概要 出典 国土交通省 報道発表資料 ニュース概要 国土交通省が6月30日に公表した令和7年3月分の不動産価格指数(住宅・季節調整値)は、全国総合で前月比3.1%上昇しました。特に戸建住宅は5.1%と大幅に上昇しています。一方、商業用不動産は令和7年第1四半期分で前期比0.9%の下落となりました 1。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 住宅価格の高騰は区民の居住安定を脅かし、特に子育て世帯や若年層の区外流出を招く恐れがあるため、市場動向の継続的な注視と対策が不可欠です。 具体的なアクション 空き家改修支援や家賃補助制度の拡充、子育て世帯向け優良住宅の供給促進などを検討します。 行政側の意図 住宅取得・賃借に係る経済的負担を軽減し、多様な世帯が区内に住み続けられるまちづくりを目指します。また、商業用のうちオフィス価格の下落(前期比6.5%減)も注視し、空きオフィス対策も視野に入れます 1。 期待される効果 区民の居住コスト上昇が緩和され、地域のコミュニティや活力の維持に貢献することが期待されます。 課題・次のステップ 施策実施のための財源確保と、民間事業者との連携による実効性ある供給策の構築が課題となります。 特別区への示唆 区独自の価格動向を分析し、国のマクロ指標との差異を把握することが重要です。特にマンション価格の上昇は、区民の資産形成と同時に、管理組合の運営課題(修繕積立金不足など)にも直結するため多角的な支援が求められます。 新設住宅着工戸数、前年同月比34.4%の大幅減(令和7年5月分) 概要 出典 国土交通省 報道発表資料 ニュース概要 国土交通省が6月30日に発表した令和7年5月の新設住宅着工戸数は、前年同月比34.4%減と大幅に落ち込みました。利用関係別に見ると、持家、貸家、分譲住宅のすべてで減少しており、住宅供給の停滞が懸念されます 2。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 新規住宅供給の急減は、将来的な住宅不足と更なる価格高騰を招き、区の持続可能性を損なうため、供給を促進する環境整備が急務となります。 具体的なアクション 容積率の緩和や建築手続きの迅速化、公有地を活用した住宅供給モデル事業の実施などを検討します。 行政側の意図 建設コスト高騰下でも民間事業者が住宅供給を行いやすい環境を整備し、市場の供給力を回復させることを目指します。特にファミリー向け住宅の供給を誘導します。 期待される効果 中長期的な住宅ストックが確保され、需給バランスの改善を通じて住宅価格の安定化が期待されます。 課題・次のステップ 地域の住環境との調和を図りつつ、規制緩和を進めるための住民合意形成プロセスが課題となります。 特別区への示唆 住宅価格の上昇と供給減少の同時進行は、区の住宅政策にとって極めて深刻な課題です。区内の建設プロジェクトの進捗をモニタリングし、停滞要因を分析・把握する体制の強化が求められます。 法人による既存建物取引、前月比2.0%減(令和7年3月分) 概要 出典 国土交通省 報道発表資料 ニュース概要 国土交通省が6月30日に試験運用として公表した法人取引量指数(令和7年3月分)は、全国合計で前月比2.0%減少しました。特にオフィスや店舗等を含む非住宅は3.8%減と、より大きな落ち込みを見せています 3。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 法人による不動産取引は、地域経済や雇用、税収に直接影響を与える重要な先行指標です。その動向を把握し、必要に応じて経済活性化策を講じる必要があります。 具体的なアクション 区内企業の景況感を調査し、設備投資や事業所開設を支援する独自の融資制度や補助金を検討します。 行政側の意図 企業の投資マインドを刺激し、地域経済の安定と成長を維持することを目指します。特に、スタートアップや中小企業のオフィス確保を支援する施策が重要です。 期待される効果 企業の事業活動が活発化し、法人住民税等の税収増や雇用の安定に繋がることが期待されます。 課題・次のステップ 金融政策などマクロ経済要因の影響が大きく、区単独での対策には限界がある点が課題です。 特別区への示唆 法人取引の減少が、社宅供給の減少や中小企業のオフィス確保難に繋がらないか注視が必要です。空きオフィスをスタートアップ向けに転用・補助するなど、既存ストックを活用する施策も有効と考えられます。 自治体経営 新宿区、日本郵便株式会社と包括連携に関する協定を締結 概要 出典 新宿区 報道発表資料 ニュース概要 新宿区は、日本郵便株式会社と地域課題の解決や地域活性化を目的とした包括連携協定を締結しました。安全・安心の推進、高齢者支援、子どもの育成など5分野で連携を強化します 4。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 地域に張り巡らされた郵便局のネットワークと配達網という民間資源を活用することは、行政サービスをきめ細かく、効率的に住民へ届ける上で非常に有効です。 具体的なアクション 郵便局窓口での区政情報発信強化、配達員による高齢者の見守り活動、道路損傷等の情報提供などを連携して実施します。 行政側の意図 行政だけでは手の届きにくい課題に対し、地域の身近な拠点である郵便局と連携することで、住民の安全・安心を高め、地域コミュニティの活性化を図ります。 期待される効果 高齢者の孤立防止や、インフラの早期補修、区政情報の周知徹底などが期待されます。 課題・次のステップ 連携事項を具体化し、実効性を評価する仕組みの構築と、個人情報保護に関するルールの徹底が課題です。 特別区への示唆 各区においても、地域のインフラとして機能する民間事業者(郵便局、コンビニ、金融機関等)との包括連携は、行政サービスの補完・強化に繋がる有効な手段です。新宿区の連携5項目は他区でも参考になります。 品川区、ふるさと納税特設サイトに返礼品を伴う寄附申込ページを公開 概要 出典 品川区 報道発表資料 ニュース概要 品川区は6月25日、ふるさと納税特設サイトに返礼品を伴う寄附申込ページを公開しました。年々増加する住民税の減収に対応するため、区内企業の製品などを返礼品として拡充し、財源確保と魅力発信を図ります 6。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 ふるさと納税制度による住民税の流出は、区民サービスの維持に影響を及ぼす深刻な課題です。財源確保と地域経済活性化のため、積極的に寄附を募る必要があります。 具体的なアクション 区の魅力を伝える特設サイトを開設し、区内事業者の製品やサービスを返礼品として積極的に開発・掲載します。 行政側の意図 品川区の魅力を全国に発信し、区外からの寄附を増やすことで、税収減を補う財源を確保します。同時に、返礼品提供事業者を通じて地域経済の活性化を図ります。 期待される効果 寄附額の増加による財源確保と、区内産業の振興・知名度向上が期待されます。 課題・次のステップ 他の自治体との返礼品競争が激化する中、品川区ならではの魅力的な返礼品を継続的に開発することが課題です。 特別区への示唆 多くの特別区が巨額の税収流出に悩んでおり、品川区の取り組みは不可欠な対策です。単に寄附を募るだけでなく、区のシティプロモーションと連動させ、区のファンを増やす戦略的な視点が重要となります。 環境政策 葛飾区、熱中症対策として「一時涼み所」を開設 概要 出典 葛飾区公式サイト ニュース概要 葛飾区は、猛暑時における熱中症対策として、誰でも無料で休憩できる「一時涼み所」を区内の公共施設および民間事業所に開設しました。開設期間は5月1日から9月30日までです 11。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 気候変動の影響で深刻化する夏の猛暑から、特に高齢者などの熱中症弱者の命を守ることは、行政の重要な危機管理業務です。 具体的なアクション 区役所や地区センター等の公共施設に加え、地域の民間事業者の協力を得て、涼める場所を確保し、住民に開放します。 行政側の意図 外出中の住民が気軽に立ち寄って涼める場所を提供することで、熱中症の発症を未然に防ぎます。また、官民連携で地域全体の見守り体制を構築する狙いもあります。 期待される効果 熱中症による救急搬送者数の減少や、住民の安全・安心感の向上が期待されます。 課題・次のステップ 「涼み所」の存在を広く周知することと、協力してくれる民間事業者をさらに増やすことが課題です。 特別区への示唆 気候変動適応策として、全ての特別区で実施すべき基本的な施策です。民間事業所の協力を得ることで、よりきめ細かく身近な場所に避難場所を確保できるため、地域の商店会や企業への働きかけが重要になります。 福祉政策 葛飾区、新たな高齢者補聴器購入費助成を7月1日より開始 概要 出典 葛飾区公式サイト ニュース概要 葛飾区は7月1日から、高齢者の社会参加促進等を目的とした新たな補聴器購入費助成制度を開始します。新制度では対象者を住民税課税者にも拡大し、助成上限額を引き上げます 22。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 加齢性難聴は、コミュニケーション阻害による社会的孤立や認知機能低下のリスクを高めるため、補聴器の利用促進は重要な介護予防・フレイル対策となります。 具体的なアクション 医師の診断に基づき、身体障害者手帳の対象とならない中等度難聴等の高齢者に対し、補聴器購入費用の一部を助成します。 行政側の意図 高額な補聴器の購入に関する経済的負担を軽減し、早期の装用を促すことで、高齢者の社会参加と健康寿命の延伸を支援します。 期待される効果 高齢者のコミュニケーションが円滑になり、閉じこもりの防止や社会活動への参加意欲向上が期待されます。 課題・次のステップ 制度の周知と、適切な補聴器選びをサポートする相談体制の構築(例:地域の協力販売店との連携)が重要です。 特別区への示唆 葛飾区の事例は、他の特別区にとっても非常に参考になります。所得制限の緩和や助成額の引き上げは、より多くの高齢者をカバーするために検討すべき点です。区の国保データ等から対象者数を推計し、予算を確保する必要があります。 厚生労働省、「地域共生社会」実現に向けた研修教材を公表 概要 出典 厚生労働省 報道発表資料 ニュース概要 厚生労働省は6月30日、地域共生社会の実現に向け、誰でも開催可能な参加型研修「ともいき研修」の教材一式を公表しました。専門知識がなくても講師を務められる手引書や解説動画も含まれています 23。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 複雑化・複合化する地域の福祉課題に対応するには、縦割り行政を超え、住民が主体となる包括的な支え合いの仕組み(「我が事・丸ごと」)の構築が不可欠です。 具体的なアクション 公表された教材を活用し、区職員、民生委員、地域包括支援センター職員、町会役員等を対象とした研修会を企画・実施します。 行政側の意図 「地域共生社会」の理念を地域に浸透させ、制度の狭間で孤立する人をなくし、住民同士の支え合い活動を活性化させることを目指します。 期待される効果 地域の見守り機能が強化され、課題の早期発見・早期対応に繋がり、地域包括ケアシステムの人的基盤が強化されます。 課題・次のステップ 研修を一過性のイベントで終わらせず、参加者が実践活動に移すための具体的な支援策(活動費補助、場所の提供等)の構築が課題です。 特別区への示唆 各区の福祉計画に「ともいき研修」の実施を位置づけ、地域ごとの課題(例:単身高齢者の孤立、外国人住民との共生)をテーマにした独自コンテンツを追加することが有効です。 葛飾区立中央図書館、介護離職を防ぐビジネス講演会を開催 概要 出典 葛飾区公式サイト ニュース概要 葛飾区立中央図書館は6月30日、「受援力を高めて、仕事を続けるー介護離職を防ぐヒントー」と題したビジネス講演会の開催を発表しました。図書館が地域の社会課題解決の拠点となる試みです 34。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 介護離職は個人の問題だけでなく、社会全体で取り組むべき課題です。公的機関が、課題に直面する前の段階で情報提供や意識啓発を行うことは非常に重要です。 具体的なアクション 働きながら介護をする、または将来介護に直面する可能性のあるビジネスパーソンを対象に、専門家による講演会を開催します。 行政側の意図 介護に直面した際に一人で抱え込まず、周囲や公的サービスに助けを求める「受援力」の重要性を伝え、介護離職の未然防止を図ります。 期待される効果 参加者が介護と仕事の両立に関する知識を得て、早期に備える意識が高まることが期待されます。 課題・次のステップ 講演会への参加が難しい現役世代に、いかに情報を届けるか(オンライン配信、資料のウェブ公開など)が課題です。 特別区への示唆 図書館を単なる本の貸出施設ではなく、地域の情報拠点・生涯学習拠点として活用する好事例です。各区の図書館でも、地域の課題(子育て、健康、防災等)に応じたテーマで同様の企画が可能です。 社会保障 厚生労働省、介護と仕事の両立支援に関する研究会を7月3日に開催 概要 出典 厚生労働省 報道発表資料 ニュース概要 厚生労働省は、改正育児・介護休業法を踏まえた「実務的な介護両立支援の具体化に関する研究会」の第4回会合を7月3日に開催します。議題は、企業が取り組む際のポイントを示した支援ツール(ガイドライン)案についてです 24。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 介護離職は、労働力人口の減少と日本経済の停滞を招く深刻な社会問題であり、企業における両立支援体制の具体的な構築が不可欠です。 具体的なアクション 企業が介護に直面した従業員を支援するための具体的な手順や、制度利用を促すためのガイドラインを策定・普及させます。 行政側の意図 従業員が介護を理由にキャリアを中断することなく働き続けられる職場環境の整備を企業に促し、社会全体の労働力維持を図ります。 期待される効果 介護離職者数が減少し、個人のキャリア継続と企業の生産性維持に繋がることが期待されます。 課題・次のステップ 中小企業における制度導入の遅れや、特に男性の介護休業取得率の低さが依然として大きな課題です。 特別区への示唆 区役所自体が率先してモデル的な両立支援制度を構築・実践することが重要です。また、区内企業向けにガイドライン説明会や個別相談会を開催し、制度普及を強力に支援する役割が期待されます。 健康、保健政策 厚生労働省、「医療DX令和ビジョン2030」推進チームが次回会合 概要 出典 厚生労働省 報道発表資料 ニュース概要 厚生労働省は、「医療DX令和ビジョン2030」推進チームの第7回会合を7月1日に開催します。議題には電子処方箋・電子カルテの普及目標設定等が含まれており、医療DXの加速が示唆されます 26。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 医療情報の分断は、非効率な医療提供やデータに基づく政策立案の妨げとなるため、全国的な情報連携基盤の構築が急務です。 具体的なアクション 電子カルテ情報の標準化を進め、全国の医療機関で情報共有が可能となる仕組みの導入目標を設定し、普及を推進します。 行政側の意図 国民がどこでも質の高い医療を受けられる環境を整備し、医療データの利活用による新たな診断・治療法の開発を促進します。 期待される効果 重複検査・投薬の削減による医療費の適正化や、災害・救急時における迅速な患者情報の共有が可能となります。 課題・次のステップ 中小の医療機関への導入支援(財政的・技術的)と、強固なサイバーセキュリティ対策の確立が課題です。 特別区への示唆 区立病院や保健所が率先して標準化された電子カルテシステムを導入・活用することが求められます。また、地域の医師会と連携し、管内の診療所への導入支援策(補助金、相談窓口設置など)を検討する必要があります。 まちづくり、インフラ整備政策 品川駅西口地区A地区新築計画を国土交通大臣が認定 概要 出典 国土交通省 報道発表資料 ニュース概要 国土交通省は6月27日、「(仮称)品川駅西口地区A地区新築計画」を優良な民間都市再生事業計画として認定しました。MICE、宿泊、商業、業務機能等を導入し、国際交流拠点の玄関口を形成します 33。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 国際競争力の強化に向け、交通結節点であるターミナル駅周辺の機能を高度化し、世界から人や投資を呼び込む魅力的な都市空間を創出する必要があります。 具体的なアクション 歩行者ネットワークや駅前広場を整備し、多様な都市機能を導入する民間事業を認定し、金融支援や税制上の特例措置で支援します。 行政側の意図 民間活力を最大限に活用し、国際交流拠点にふさわしい質の高い都市インフラと迎賓空間の整備をスピーディに進めます。 期待される効果 品川エリアの国際的な地位が向上し、新たなビジネスや交流が創出されることが期待されます。 課題・次のステップ 大規模開発が周辺の交通や環境に与える影響を最小限に抑え、地域との調和を図ることが課題です。 特別区への示唆 区内の大規模再開発において、国や都と連携し、民間事業者に地域貢献(防災、緑化、文化振興など)を促す働きかけが重要です。計画段階から区のまちづくり方針を反映させることが求められます。 #02 社会経済状況#0301 国(社会保障)#05 特別区(23区)#07 自治体経営#08 SDGs・環境#16 福祉#17 健康・保健#21 まちづくり・インフラ整備#91 取組#92 行政ニュース#99 その他 ABOUT ME 行政情報ポータルあらゆる行政情報を分野別に構造化行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。