04 東京都

【2025年6月20日】東京都知事記者会見と政策立案のヒント

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1. 暑さ対策

概要

  • ニュース概要
    • 東京都は、夏の厳しい暑さと熱中症リスクに対応するため、新たな暑さ対策を発表しました。日本気象協会と連携し、暑さ指数を1kmメッシュで詳細に表示する「東京暑さマップ」を公開。また、「東京都防災マップ」上で、公共施設などのクーリングシェルターの位置情報提供を開始しました。さらに、熱中症死者の多くがエアコンを適切に使用できていない高齢者であるとの調査結果も公表し、注意を喚起しています。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 近年深刻化する夏の酷暑による熱中症から、都民の生命を守るためです。特に、情報が行き届きにくくリスクの高い高齢者や一人暮らし世帯を念頭に、具体的な予防策を提供する必要があるためです。
  • 具体的なアクション
    • 「東京暑さマップ」及び「クーリングシェルターマップ」のウェブ上での公開、監察医務院と大学による共同研究結果の公表と注意喚起を行っています。
  • 行政側の意図
    • デジタルツールを活用して熱中症リスクを可視化し、都民の予防行動を促すことが狙いです。また、エアコンの誤操作といった具体的な失敗例を示すことで、実生活での正しい対策を浸透させたい考えです。
  • 期待される効果
    • 都民が自ら熱中症リスクを把握し、適切な避難行動や対策を取ることで、救急搬送者数や死亡者数の減少が期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • 公開したマップの認知度向上と利用促進、特に高齢者などデジタル機器の利用が不慣れな層への情報伝達が課題となります。
  • 特別区への示唆
    • 区の広報誌やウェブサイト、SNSなどで都のマップを積極的に周知するとともに、町会・自治会や高齢者施設と連携し、デジタルデバイド対策としてマップの活用方法を案内することが考えられます。また、地域包括支援センターの職員や民生委員が高齢者宅を訪問する際に、エアコンの正しい使用方法を確認・助言するなどの見守り活動を強化することも有効な熱中症対策となります。

2. 東京の強靭化

概要

  • ニュース概要
    • 東京都は、国の地方分散論に対し、これまでの耐震化・不燃化等の災害対策により被害想定が大幅に軽減している事実を強調し、首都東京の強靭化を着実に進めていく姿勢を示しました。その一環として、無電柱化の重要性を訴え、都民の理解と関心を深めるため、11月10日の「無電柱化の日」にちなんだフォトコンテストと、夏休みに親子で参加できる「無電柱化ファミリーイベント」の開催を発表しました。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 大規模災害時における電柱倒壊による緊急車両の通行阻害や電力供給の途絶を防ぎ、都市の防災機能を向上させるためです。また、安全な歩行空間の確保や景観の改善にも繋がります。
  • 具体的なアクション
    • 無電柱化の意義や効果をテーマとしたフォトコンテストの作品募集、および道路下に埋設される設備の実物大モデルを見学できるファミリーイベントを開催します。
  • 行政側の意図
    • 都民、特に将来を担う子どもたちに無電柱化への関心を持ってもらうことで、まちづくりへの意識を高め、長期的な事業推進への社会的機運を醸成することが狙いです。
  • 期待される効果
    • 防災、安全、景観といった無電柱化の多面的なメリットが広く都民に浸透し、事業への理解と協力が得られやすくなることが期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • 無電柱化の推進には莫大なコストと長期間を要するため、効率的・計画的な事業展開と、関係者間の円滑な合意形成が不可欠です。
  • 特別区への示唆
    • 区が管理する道路の無電柱化計画を策定・推進するとともに、都が実施するイベントを区民に広く周知し、地域全体の防災意識の向上を図ることが重要です。フォトコンテストをきっかけに、区内の電柱がある風景とない風景を比較し、住民が無電柱化の価値を考える機会を創出することも有効です。

3. SNSトラブル防止動画コンテスト

概要

  • ニュース概要
    • 東京都は、若者がSNSを介したトラブルに巻き込まれる事案が後を絶たないことから、ネットリテラシー向上を目的とした「SNSトラブル防止動画コンテスト」の開催を発表しました。7回目となる今回は「今だからこそ伝えたい SNSの使い方」をテーマとし、13歳から29歳までを対象に作品を募集。優秀作品は都内の学校での出張講座などで活用されます。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 生活に不可欠なツールとなったSNSに潜む危険性を若者自身が正しく理解し、トラブルを未然に防ぐ能力を身に付ける必要があるためです。行政が啓発の場を提供することで社会全体の課題として取り組みます。
  • 具体的なアクション
    • 若者を対象とした動画コンテストの実施。若者に人気のクリエイターを審査員に迎え、優秀作品を学校教育の現場等で活用します。
  • 行政側の意図
    • 若者自身が動画制作を通じてSNSのリスクや適切な利用法を能動的に学ぶ機会を創出します。同世代が制作した作品を活用することで、より共感を呼び、実効性の高い啓発に繋げる狙いです。
  • 期待される効果
    • 若者のネットリテラシーが向上し、オンラインカジノや闇バイトといった具体的な犯罪被害や、いじめなどのトラブルが減少することが期待されます。
  • 課題・次のステップ
    • コンテストの参加者をさらに拡大すること、および制作された啓発動画をより多くの若者や保護者に届けるための効果的な広報戦略が課題です。
  • 特別区への示唆
    • 区立中学校・高等学校や青少年プラザ等でコンテストを周知し、生徒や若者の積極的な参加を促すことが考えられます。完成した優秀作品を区のウェブサイトやデジタルサイネージで放映したり、地域の情報モラル教育の教材として学校に提供したりすることで、区内全体での啓発活動を強化できます。

4. 都立庭園における夏の催し

概要

  • ニュース概要
    • 東京都は、都内に9つある都立庭園において、夏ならではの魅力を楽しむための様々な催しを発表しました。7月には七夕飾りイベントや、浴衣での散策に合わせた和傘の無料貸し出しを実施。また、小石川後楽園では、早朝に開花する蓮の花を観賞できるよう、週末を中心に開園時間を午前8時に早める対応を行います。

政策立案への示唆

  • この取組を行政が行う理由
    • 都心にありながら豊かな自然や歴史・文化に触れられる都立庭園の価値を都民に再認識してもらい、安らぎと潤いのある都市生活を提供するためです。季節感のある魅力的な体験を提供します。
  • 具体的なアクション
    • 七夕飾り、和傘の無料貸し出し、蓮の開花時期に合わせた早朝開園など、季節の風物詩に合わせたイベントを企画・実施します。
  • 行政側の意得
    • 日本の伝統文化と四季折々の自然の美しさを組み合わせた体験を提供することで、庭園の新たな魅力を発信し、若者や家族連れなど幅広い層の来園を促進することが狙いです。
  • 期待される効果
    • 都立庭園のブランドイメージと利用者満足度の向上、および来園者数の増加が期待されます。都民が気軽に文化や自然に親しむ機会が増えます。
  • 課題・次のステップ
    • 各イベントの情報を効果的に周知し、多くの都民に来園してもらうこと。また、夏の暑さが厳しい中での熱中症対策も重要となります。
  • 特別区への示唆
    • 区立公園や緑地においても、季節に応じた小規模なイベント(例:子供向けの水遊び場設置、七夕飾り、落ち葉アート)を企画・実施することで、地域の魅力向上と住民の憩いの場づくりに繋がります。都立庭園の催しを区の広報媒体で案内し、住民に多様な余暇の過ごし方を提案することも有効です。

質疑応答(要約)

  • 知事の米国出張と国連機能の誘致
    • 7月の米国出張では、ワシントンD.C.とニューヨークを訪問し、講演や防災・デジタル施策の視察、国連会議への出席を予定。世界の情勢が不安定な今こそ日本の役割を考えるべきとしつつ、国連機能の誘致は、まず日本政府が覚悟を決めるべき国家マターであるとの認識を示しました。
  • 都議会議員選挙について
    • 街頭演説では物価高対策への関心が高いと手応えを感じていると述べました。また、選挙戦の論点として、一部で指摘される「ばら撒き合戦」ではなく、東京のパイをいかに増やしていくかが重要だと強調。観光産業やアグリテック等の成長分野に期待感を示しました。
  • 選挙応援と公務への影響
    • 都民ファーストの会や公明党の候補者を応援しているのは「都政を一緒に進められる人」だからだと説明。知事選と異なり候補者が多いため応援の回数も多くなるが、公務に支障はないと明言しました。自民党候補の応援については明言を避けました。
  • 国際機関招致と安全保障
    • 国際機関を誘致すればミサイル攻撃を受けないといった安全保障上の観点からの質問に対し、直接的な言及は避けました。日本の国際的な役割は大きいとの認識を示し、都民の命を守る観点から、海外に滞在する都民の安全確保にも努めていると述べました。

出典

小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和7年6月20日)

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