2025.06.12 05 特別区(23区) 【2025年6月12日】行政関連ニュースと政策立案のヒント masashi0025 目次 防災政策国土強靱化年次計画2025の決定令和7年版 交通安全白書、障害者白書、高齢社会白書の公表DX政策【総務省】迷惑電話対策相談に関する「でんわんセンター」の開設総務管理【総務省】地方公務員の兼業に関する技術的助言の通知生活安全政策【足立区】侵入窃盗対策への補助額などを拡充しました【足立区】「ながら見守り」のラッピングタクシーが区内を走行経済産業政策【江東区】産業交流展2025 出展者募集開始【板橋区】第12回板橋オプトフォーラム(IOF)出展者募集中【経済産業省】「書店活性化プラン」を公表【国土交通省】「新技術活用サプライチェーン全体輸送効率化・非化石エネルギー転換推進事業」募集開始子育て、子ども政策【足立区】6月24日オープン!「子育てサロン北綾瀬」【足立区】「やりたいことを始めよう」高校生世代応援支援金教育政策【文部科学省】専門高校の魅力発信ウェブサイト「すごいぞ!専門高校」開設【杉並区】第9回杉並第一小学校改築検討懇談会を開催健康、保健政策【目黒区】「医療広告ガイドライン」に関する情報提供まちづくり、インフラ整備政策【新宿区】令和7年第2回新宿区議会定例会に議案提出(電線共同溝整備、旧学校施設等解体)その他【渋谷区】渋谷ジェンダー平等推進アワード2025を実施防災政策 国土強靱化年次計画2025の決定 概要 出典 内閣府 報道発表 1 ニュース概要 内閣府は2025年6月10日、「国土強靱化年次計画2025」を決定しました。激甚化・頻発化する自然災害等に対応するため、国土強靱化の取組を加速・深化させる内容となっています。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 頻発し、その被害が甚大化する傾向にある自然災害から国民の生命と財産を断固として守り、持続可能な社会経済活動を確保するためには、国全体の防災・減災能力を抜本的に向上させる必要性が高まっているためです。 具体的なアクション 計画では、重要インフラの機能維持、最新技術を活用したハザードマップの高度化、実効性のある避難体制の強化、住民へのリスクコミュニケーションの推進などが盛り込まれ、関係省庁が連携してこれらの施策を推進します。 行政側の意図 災害発生前の予防・減災対策と、発災後の迅速かつ効果的な復旧・復興に資する施策を、総合的かつ計画的に推進することにより、いかなる災害が発生しようとも致命的な被害を負わない強靭な国づくりを目指す意図があります。ハード・ソフト両面からの対策を一層強化する方針です。 期待される効果 災害時における人的・物的被害の軽減、被災からの迅速な復旧による社会経済活動への影響の最小化、そして何よりも国民一人ひとりの防災意識の向上が期待されます。 課題・次のステップ 計画の実効性を担保するための安定的な財源確保、国と地方自治体とのより一層の連携強化、そして計画内容の国民への丁寧な周知徹底と具体的な行動変容を促す取り組みが今後の課題です。 特別区への示唆 国の計画との整合性を図りつつ、各特別区がその地域特性に応じた具体的な強靱化計画を策定し、または既存計画を見直すことが求められます。特に、人口が集中し、木造住宅密集地域や地下街、タワーマンションといった特有の課題を抱える特別区においては、都市型災害対策(大規模水害、地震火災、帰宅困難者対策など)の具体化と実効性の向上が極めて重要です。国の計画はあくまで全体的な指針であり、各区が主体的にリスクを評価し、きめ細やかな対策を計画に落とし込むことが、真の地域強靱化の鍵となります。計画の実効性を高めるためには、行政主導の取り組みだけでなく、区民一人ひとりの防災意識の向上と具体的な行動変容を促すための啓発活動や、地域コミュニティと連携した防災訓練の実施などが不可欠です。 令和7年版 交通安全白書、障害者白書、高齢社会白書の公表 概要 出典 内閣府 報道発表 1 ニュース概要 内閣府は2025年6月11日、令和7年版の交通安全白書、障害者白書、高齢社会白書を公表しました。これらはそれぞれ6月10日に閣議決定されたものであり、各分野における現状の分析と今後の政策の方向性を示しています。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 交通安全の確保、障害者支援の充実、そして急速に進展する高齢社会への的確な対応は、いずれも国政における重要な政策課題です。これらの白書は、現状分析と今後の施策の方向性を国民に広く示し、関係機関の取り組みを促進するために作成・公表されます。 具体的なアクション 各白書で示された分析や提言に基づき、関連する省庁が具体的な施策を企画・推進します。地方自治体は、これらの国の白書を重要な参考資料として、それぞれの地域の実情に応じた政策を立案し、実施していくことになります。 行政側の意図 最新の統計データと専門的な分析に基づき、各分野における課題を明確化し、エビデンスに基づいた政策形成(EBPM)を一層推進する意図があります。また、白書の公表を通じて国民の理解を深め、社会全体の意識改革を促すことも目指しています。 期待される効果 交通事故の更なる削減、障害のある方々の社会参加の一層の促進、高齢者が健康で安心して暮らせる社会システムの構築に向けた具体的な取り組みが進展することが期待されます。 課題・次のステップ 各白書で示された課題解決に向けて、具体的な予算措置を伴う政策の実行が求められます。また、国レベルの計画や方針を、地方自治体が自身の計画へ効果的に落とし込み、その進捗を適切に管理していくことが重要です。 特別区への示唆 各白書の内容を詳細に分析し、特に高齢者や障害のある区民の割合が高い特別区の特性を踏まえた政策展開が求められます。例えば、高齢歩行者や自転車利用者の安全対策、公共交通機関や建築物のバリアフリー化の推進、地域包括ケアシステムのさらなる深化など、重点的に取り組むべき施策を検討する必要があります。これら3つの白書は、個別の課題に対応するものであると同時に、都市部における「誰一人取り残さない包摂的な社会システムの構築」という共通の方向性を示唆しています。特別区の職員は、担当分野の白書だけでなく、他の白書の内容も横断的に読み解き、部局間で連携した政策を展開することで、より効果的で質の高い区民サービスの実現を目指すべきです。例えば、高齢者や障害者の安全な移動手段の確保は、交通政策と福祉政策の密接な連携が不可欠であり、都市デザインや情報提供のあり方、コミュニティ形成といった複合的なアプローチが求められます。 DX政策 【総務省】迷惑電話対策相談に関する「でんわんセンター」の開設 概要 出典 総務省 報道発表 3 ニュース概要 総務省は2025年6月10日、特殊詐欺などに用いられる迷惑電話に関する新たな相談窓口として「でんわんセンター」を開設したことを発表しました。これに合わせ、通信事業者など官民が連携し、迷惑電話対策サービスの無償化や低廉化といった利用促進キャンペーンも実施されます。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 年々巧妙化し、被害が深刻化している特殊詐欺等の迷惑電話による被害を未然に防止し、国民が安心して電話サービスを利用できる環境を整備するためです。国として一元的な相談対応体制を構築し、対策を強化する必要性が高まっているためです。 具体的なアクション 「でんわんセンター」は専用ウェブサイト(denwan.jp)及び専用電話番号(03-6162-1111、平日10時~17時)を通じて、迷惑電話に関する相談を受け付けます。また、KDDIなどの通信事業者は、迷惑電話撃退サービスや迷惑電話発着信ブロックサービスなどを一定期間無料で提供するキャンペーンを実施します 12。 行政側の意図 国民一人ひとりへの注意喚起を強化するとともに、具体的な対策手段の情報提供や利用促進を通じて、被害を未然に防ぐことを目指す意図があります。また、行政、通信事業者、セキュリティ関連企業などが持つ知見や技術を結集し、社会全体で詐欺に対抗する強固な体制を構築することを企図しています。 期待される効果 迷惑電話に関する国民の不安感が軽減され、実際に特殊詐欺等の被害が減少すること。また、迷惑電話対策サービスの認知度向上と普及促進が進むことが期待されます。 課題・次のステップ 開設された「でんわんセンター」の認知度をいかに高めるか、相談対応の質を確保・向上させていくか。また、日々変化する新たな詐欺の手口へ迅速に対応できる体制づくりや、高齢者をはじめとする情報アクセスが困難な層への周知徹底が今後の重要な課題です。 特別区への示唆 「でんわんセンター」の開設は国の重要な取り組みですが、その効果を地域レベルで最大化するためには、特別区が高齢者など特に詐欺被害に遭いやすい脆弱な層への「ラストワンマイル」の情報伝達と、地域の実情に合わせたきめ細やかなサポート体制を構築することが不可欠です。区の広報紙、ウェブサイト、SNS等を活用した積極的な周知に加え、町会・自治会での説明会の開催、高齢者施設や地域包括支援センター、民生委員といった既存のネットワークと連携し、情報提供と相談利用を促すべきです。また、実際に区内で発生した手口などのローカルな情報を加味して注意喚起を行うことで、よりパーソナルで効果的な啓発が可能になります。 総務管理 【総務省】地方公務員の兼業に関する技術的助言の通知 概要 出典 総務省 報道発表 3 ニュース概要 総務省自治行政局は2025年6月11日付けで、地方公務員の兼業に関する技術的助言を各地方公共団体に対して通知しました。これは、地方公務員が地域貢献活動等へより円滑に参加できるよう促すとともに、兼業制度の適切な運用を確保することを目的としています。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 地域社会における担い手不足の深刻化や、多様な働き方への社会的要請の高まりという背景があります。公務員が持つ専門性や知識、経験を地域貢献活動に活かしやすくするため、兼業に関するルールを明確化し、手続きの透明性を高めることが求められているためです。 具体的なアクション 通知では、兼業許可の基本的な考え方、許可する際の留意点(職務専念義務、中立性・公平性の確保、信用失墜行為の防止など)、手続きの円滑化に向けた方策などについて、具体的な事例を交えながら解説しています。各地方公共団体に対し、それぞれの地域の実情や団体の特性に応じた適切な運用を促しています。 行政側の意図 地方公務員の積極的な地域活動への参加を促進し、それを通じて地域コミュニティの活性化や地域課題の解決に繋げる意図があります。同時に、公務員としての職務専念義務や政治的中立性の確保といった重要な原則とのバランスを図り、兼業制度全体の信頼性を維持することも重視しています。 期待される効果 公務員自身のスキルアップや視野の拡大、モチベーションの向上に繋がるとともに、地域課題解決への直接的な貢献、官民の垣根を越えた交流の促進が期待されます。長期的には、これらの経験が行政サービスの質の向上にも寄与する可能性があります。 課題・次のステップ 各地方公共団体において、この技術的助言を踏まえた具体的な兼業許可基準や運用細則を策定し、職員へ十分に周知徹底することが必要です。また、兼業が本来の職務に支障をきたさないようにするための適切な管理体制の構築や、先進的な取り組み事例の共有と横展開が今後の課題となります。 特別区への示唆 法律、福祉、都市計画、ITなど多様な専門知識を持つ職員が多い特別区においては、職員がNPO活動やプロボノ(専門知識を活かしたボランティア活動)といった形で地域社会に貢献できる潜在力は大きいと考えられます。単に兼業を許可するだけでなく、職員のキャリア形成支援や自己実現の機会という視点も取り入れ、明確なガイドラインを策定することが重要です。兼業を人材育成戦略の一環と捉え、職員が安心して新たな挑戦ができるような環境整備(例:相談窓口の設置、研修機会の提供)や、兼業で得た知見や経験を区政に還元するための仕組みづくり(例:報告会、業務改善提案制度)を検討することが、組織全体の活性化にも繋がるでしょう。 生活安全政策 【足立区】侵入窃盗対策への補助額などを拡充しました 概要 出典 あだち広報 2025年6月10日号 14 ニュース概要 足立区は、区民の防犯意識の向上と安全で安心なまちづくりの推進を目的として、住宅への防犯カメラやセンサーライトといった防犯設備の設置に関する補助制度の内容を拡充したことを、あだち広報2025年6月10日号で告知しました。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 区民が日常生活において安全と安心を実感できる生活環境を実現するためには、行政による公的な防犯対策に加え、区民自身による自主的な防犯対策を支援し、地域全体の犯罪抑止力を高めていく必要があるためです。 具体的なアクション 今回の制度拡充では、個人住宅向けの防犯カメラ、センサーライト、防犯ガラス、面格子などの防犯設備の購入・設置にかかる費用に対する補助率や補助上限額を引き上げ、区民がより利用しやすいように改善されました。 行政側の意図 補助制度を拡充することで、防犯対策にかかる経済的なハードルを下げ、より多くの世帯で具体的な防犯対策の導入を促す意図があります。これにより、個々の住宅の防犯性能向上だけでなく、地域における「見守りの目」を増やし、犯罪者が侵入をためらうような環境づくりを目指しています。 期待される効果 区内における侵入窃盗被害件数の減少、区民一人ひとりの防犯意識の向上、そして地域コミュニティによる主体的な防犯活動(例:防犯パトロール、情報交換)の活性化などが期待されます。 課題・次のステップ 拡充された補助制度の内容を区民に広く周知徹底すること、申請手続きのさらなる簡素化による利用促進が求められます。また、補助制度の効果を定期的に検証し、犯罪情勢の変化や区民ニーズに応じて制度内容を柔軟に見直していくことが今後の課題です。 特別区への示唆 防犯設備の設置補助は有効な犯罪抑止策の一つですが、その効果を最大化するためには、ハード面の支援だけでなく、地域の防犯意識やコミュニティの連携を強化するソフト施策と組み合わせることが極めて重要です。各区の犯罪発生状況や地域特性(戸建て住宅が多い地域、集合住宅が多い地域など)に応じた補助対象品目のきめ細やかな設定や、町会・自治会と連携した集団申請制度の導入なども効果的と考えられます。補助制度の利用をきっかけとして、地域の防犯活動が活性化するような「仕掛け」を組み込むことで、単なる設備導入に終わらない、持続的な地域防犯力の向上に繋げることができます。例えば、補助申請の条件として地域の防犯講習会への参加を推奨したり、補助を受けた世帯で防犯ネットワークを形成し、情報交換を促したりするなどの工夫が考えられます。 【足立区】「ながら見守り」のラッピングタクシーが区内を走行 概要 出典 あだち広報 2025年6月10日号 / 足立区 ながら見守り 14 ニュース概要 足立区は、区民による日常的な活動を通じた地域防犯力向上の取り組みである「ながら見守り」活動を推進しています。その一環として、この活動をPRするための特別なラッピングを施したタクシー3台が、2025年5月30日より区内を走行開始しました。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 区民による自発的かつ継続的な見守り活動を促進し、地域全体の防犯意識と犯罪抑止力を高めるためには、まず「ながら見守り」活動の認知度を向上させ、多くの区民に参加の機運を醸成する必要があるためです。 具体的なアクション 「ながら見守り」のロゴマークや啓発メッセージを車体にデザインしたラッピングタクシー3台が、区内を日常的に走行します。この取り組みは区内のタクシー事業者との連携により実現しており、協力するタクシーの運転手自身も「ながら見守り」活動に協力します 15。 行政側の意図 「走る広告塔」としてのタクシーの特性を活かし、「ながら見守り」活動の認知度を効果的に向上させ、より多くの区民の自発的な参加を促す意図があります。また、地域事業者であるタクシー会社との連携を通じて、行政と民間が一体となった防犯体制の強化を目指す狙いもあります。 期待される効果 「ながら見守り」活動の区民への浸透と登録者・参加者の増加、それによる地域全体の犯罪抑止効果の向上、そして区民一人ひとりの防犯意識のさらなる高揚が期待されます。 課題・次のステップ ラッピングタクシーの運行台数の拡大や、協力してくれるタクシー事業者のさらなる増加に向けた働きかけが重要です。また、「ながら見守り」活動参加者への継続的な動機づけとなるようなインセンティブの提供(例:ラッピングタクシー乗車時の特典 15)、活動効果の測定と、その結果を踏まえた広報戦略の改善が今後の課題となります。 特別区への示唆 「ながら見守りタクシー」は、既存の地域資源(この場合はタクシー)を巧みに活用した防犯啓発策であり、他の特別区でも応用可能です。日常的に地域を巡回しているタクシーや路線バス、さらには宅配便や郵便配達の車両、ごみ収集車、訪問介護・看護サービス事業者など、多様な地域主体を巻き込むことで、よりきめ細かく、隙間のない「地域の目」による見守りネットワークを形成し、安全・安心なまちづくりに大きく貢献できます。重要なのは、各事業者に過度な負担をかけることなく、日常業務の「ついで」に自然な形で見守りに協力できるような仕組みをデザインすることです。 経済産業政策 【江東区】産業交流展2025 出展者募集開始 概要 出典 (https://prtimes.jp/main/html/searchcity/pref_id/13/city_id/13108/) 18 ニュース概要 産業交流展実行委員会は、2025年6月10日より「産業交流展2025」の出展者募集を開始しました。この展示会は、首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)に事業所を有する、個性的で意欲的な中小企業が持つ優れた技術や製品を一堂に紹介し、ビジネスチャンスを拡大するためのものです。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 中小企業の販路拡大、新たなビジネスマッチングの機会創出、異業種間の情報交換や連携を促進し、ひいては地域経済全体の活性化と産業振興を図るためです。広域的な自治体や経済団体が連携して大規模な展示会を開催することは、個々の企業や単独の自治体では難しい広範な集客と多様な出会いを生み出す上で有効な手段となります。 具体的なアクション 東京都、東京商工会議所、主要な経済団体等で構成される実行委員会が主催し、出展企業を募集しています。例年、リアル展示とオンライン展示を組み合わせたハイブリッド形式での開催が検討されるなど、時代のニーズに合わせた工夫が凝らされています。 行政側の意図 出展する中小企業に対して、自社の技術や製品を効果的にアピールし、新たなビジネスチャンスを掴むためのプラットフォームを提供する意図があります。これにより、企業のイノベーション促進や競争力強化を後押しします。また、広域連携によって多様な業種・規模の企業と、関心を持つ多くの来場者を集めることを目指しています。 期待される効果 出展企業にとっては、新技術や新製品のPR、新規顧客の獲得、企業間連携の促進といった直接的なビジネス効果が期待されます。また、地域産業全体の活性化や、新たな産業トレンドの発信といった波及効果も見込まれます。 課題・次のステップ 多くの中小企業にとって、出展費用や準備期間が負担となる場合があるため、これらの負担を軽減する支援策の検討が求められます。また、出展企業と来場者の間でより効果的なマッチングを促進するための仕組みづくりや、海外展開を目指す企業へのサポート体制の強化も重要です。成果を可視化し、継続的な改善に繋げていくための評価指標の設定も課題となります。 特別区への示唆 産業交流展のような大規模イベントは、区内中小企業にとって貴重な成長機会です。各特別区は、単に出展を奨励するだけでなく、区内企業がこの機会を最大限に活かして成果を上げられるよう、きめ細やかなサポートを提供することが、地域産業全体の底上げに繋がります。例えば、出展ノウハウに関する事前セミナーの開催、複数の区内企業による共同出展ブースの企画・運営支援、デザインやマーケティングの専門家による相談支援体制の構築などが考えられます。これにより、個々の企業の負担を軽減しつつ、区全体の産業の魅力を効果的に発信できます。 【板橋区】第12回板橋オプトフォーラム(IOF)出展者募集中 概要 出典 板橋区 新着情報 19 ニュース概要 板橋区は、2025年8月28日に開催を予定している「第12回板橋オプトフォーラム(IOF)」の出展者を募集していることを、2025年6月10日に発表しました。このフォーラムは、光学関連の技術や製品に特化した展示商談会です。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 板橋区の重要な地場産業である光学関連産業の持続的な振興と発展を支援するためです。区内に集積する光学関連企業間の技術交流やビジネス連携を促進し、新たなイノベーションやビジネスチャンスの創出を後押しする上で、専門性の高いフォーラムの開催が有効な手段となるためです。 具体的なアクション 光学関連技術を持つ企業や研究機関などを対象に出展者を募集し、最新の製品展示、技術紹介、そして具体的な商談を行うための場を提供します。例年、専門家によるセミナーや講演会なども併催され、業界の最新動向や将来展望に関する情報交換も行われます。 行政側の意図 「光学の板橋」としての地域ブランドを一層強化し、関連企業のさらなる集積と持続的な成長を促す意図があります。また、産学官連携の促進や、次世代を担う光学技術への対応支援、人材育成なども視野に入れた取り組みとして位置づけられています。 期待される効果 出展企業にとっては、自社の高度な技術力や製品の魅力を効果的にPRできる機会となります。また、新規取引先の開拓、既存顧客との関係強化、業界内でのネットワーク構築、そして地域ブランド価値の向上による企業イメージのアップなどが期待されます。 課題・次のステップ 常に新規性のある技術や成長意欲の高い企業を国内外から誘致し続けること、そして質の高い来場者数を確保し、具体的な商談成果に繋げていくことが重要です。また、光学産業における若手人材の育成や、事業承継といった後継者問題への対応も中長期的な課題として認識する必要があります。 特別区への示唆 板橋オプトフォーラムのような特定産業に特化したイベントは、その分野における地域の「顔」となる重要なプラットフォームです。その持続的な成功のためには、年に一度の展示会に留まらず、年間を通じた情報発信、関連技術セミナーの開催、若手技術者向けの研修プログラムの提供、大学や研究機関との共同研究プロジェクトの推進、スタートアップ企業の支援など、産業エコシステム全体を育成する視点を持つことが求められます。これにより、フォーラムは単なる商談の場から、情報交換、人材育成、イノベーション創出のハブへと進化し、地域産業全体の競争力強化に貢献できます。他の特別区においても、それぞれの区が持つ特色ある産業分野に特化した同様の取り組みは、地域経済の強みを活かし、産業振興を図る上で有効なモデルケースとなり得ます。 【経済産業省】「書店活性化プラン」を公表 概要 出典 経済産業省 報道発表 20 ニュース概要 経済産業省は2025年6月10日、関係省庁と連携し「書店活性化プラン」を策定・公表しました。書店の経営課題に対応し、地域における文化拠点としての役割を維持・発展させるための施策が盛り込まれています。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 地域における書店が、単なる書籍販売の場に留まらず、文化発信、情報提供、コミュニティ形成の拠点としての重要な役割を担っているとの認識に基づいています。経営環境が厳しさを増す中、これらの機能を維持・強化するために政府として支援を行う必要があるためです。 具体的なアクション プランには、書店の販路開拓支援(小規模事業者持続化補助金等)、地域における文字・活字文化の発信拠点としての書店等を支援する事業(文化庁)、新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫)、事業承継支援などが含まれています 21。 行政側の意図 書店の経営基盤を強化し、多様な取り組みを支援することで、地域住民が本や文化に触れる機会を確保し、豊かな地域社会の実現に貢献する意図があります。また、書店を核とした地域コミュニティの活性化も目指しています。 期待される効果 書店の経営改善と持続可能性の向上、地域における読書文化の振興、書店を介した地域住民の交流促進、文化的な魅力向上による地域活性化が期待されます。 課題・次のステップ プランに盛り込まれた各施策の書店への周知徹底と活用促進。デジタル化への対応支援、書店と図書館・学校等との連携強化、地域ニーズに応じた書店の新たな役割の模索が課題です。 特別区への示唆 地域コミュニティの核として、また文化発信拠点としての書店の役割は特別区においても重要です。国のプランと連携しつつ、区独自の書店支援策(例:空き店舗活用支援、地域イベントとの連携、書店と連携した読書推進活動)を検討することで、地域の文化振興とコミュニティ活性化に繋げることができます。書店が地域住民にとって「サードプレイス」としての機能を果たせるような環境づくりを支援することも有効です。 【国土交通省】「新技術活用サプライチェーン全体輸送効率化・非化石エネルギー転換推進事業」募集開始 概要 出典 国土交通省 報道発表 23 ニュース概要 国土交通省は2025年6月10日、資源エネルギー庁と連携し、「新技術活用サプライチェーン全体輸送効率化・非化石エネルギー転換推進事業」の公募を開始しました。荷主、運送事業者、着荷主等が連携し、先進デジタル技術の活用によるサプライチェーン全体の輸送効率化や、EVトラック・FCVトラックの導入と充電・充填タイミングの最適化などを実証する取り組みを補助するものです。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 物流業界におけるいわゆる「2024年問題」への対応、慢性的な人手不足の解消、そしてカーボンニュートラルの実現という喫緊の課題に対し、サプライチェーン全体の生産性向上と環境負荷の低減が不可欠であるためです。個々の事業者の努力だけでは限界があり、国として連携を促し、先進技術の導入を支援する必要があります。 具体的なアクション 補助対象となるのは、荷主・運送事業者・着荷主等が連携して策定する計画に基づく実証事業です。具体的には、輸送情報を共有するための共通システムの導入費用、そのシステムと連携する輸送効率化機器の導入による全体輸送計画最適化の実証費用、EV・FCVトラックの充電・充填タイミングを共通システムと連携して最適化する実証費用などが対象となり、これらの経費の最大1/2が補助されます 24。 行政側の意図 先進的なデジタル技術や環境対応技術の物流現場への導入を強力に支援することで、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメATION)を加速させる意図があります。実証事業で得られた成功事例やノウハウを広く横展開し、物流業界全体の構造変革を促すことを目指しています。 期待される効果 輸送効率の向上による物流コストの削減、トラックドライバーの労働時間の短縮といった働き方改革への貢献、そしてCO2排出量の削減による環境負荷の低減、物流システムの持続可能性の向上が期待されます。 課題・次のステップ 特に中小規模の物流事業者への先進技術の普及をどう進めるか、異なるシステム間のデータ連携を可能にするための標準化の推進、そして安全なデータ共有・活用基盤の整備が重要です。また、導入コストに対する費用対効果を慎重に見極める必要もあります。 特別区への示唆 この国の補助事業は、物流業界の大きな変革を後押しするものですが、特に多数の小規模事業者や多様な荷主が混在し、交通渋滞や荷捌きスペースの制約といった特有の課題を抱える特別区の都市内物流においては、区が主体となって地域内の事業者間連携を促進し、共同輸配送スキームの構築やラストワンマイル配送拠点の最適化など、地域レベルでの実証実験をサポートすることで、国の事業効果を増幅させることができます。区内物流事業者や荷主企業に対し、本補助事業の活用を積極的に周知・支援するとともに、都市内物流のさらなる効率化や環境対策として、区独自の支援策(例:小型EV配送車導入補助、荷捌きスペース確保支援)も検討する価値があります。 子育て、子ども政策 【足立区】6月24日オープン!「子育てサロン北綾瀬」 概要 出典 あだち広報 2025年6月10日号 14 ニュース概要 足立区は、2025年6月24日(火曜日)に新たな地域子育て支援拠点として「子育てサロン北綾瀬」をオープンすることを、あだち広報2025年6月10日号で発表しました。この施設は、乳幼児を持つ親子が気軽に集い、交流や子育てに関する相談ができる場を提供することを目的としています。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 核家族化や地域との繋がりの希薄化が進む現代において、地域における子育て中の親が孤立することを防ぎ、育児に関する不安や負担感を軽減するためです。身近な場所に相談機能や親同士が安心して交流できる場を提供することが、子育て支援の基盤として極めて重要であるためです。 具体的なアクション 「子育てサロン北綾瀬」では、乳幼児とその保護者が予約なしで自由に利用できる遊び場の提供、子育てに関する専門スタッフ(保育士など)による相談対応、地域の子育て関連情報の提供、親子向けの季節のイベントや交流プログラムなどを実施する予定です。 行政側の意図 こうした身近な子育て支援拠点を整備・充実させることで、地域の子育て支援ネットワークを強化し、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制を構築する意図があります。また、子育てしやすい環境を整備することを通じて、子育て世帯の区内への定住促進や、地域全体の活性化にも繋げることを目指しています。 期待される効果 子育て中の親の育児ストレスや孤立感の軽減、子育てに関する知識やスキルの向上、親同士の相互支援や情報交換を通じた地域の子育てコミュニティの形成、さらには児童虐虐待の未然防止といった効果も期待されます。 課題・次のステップ 新たに開設される施設の存在を、対象となる子育て家庭に広く周知徹底し、利用を促進すること。多様なニーズを持つ利用者に適切に対応できるようなプログラムの工夫や、専門性の高いスタッフの確保・育成が重要です。また、地域の保育園、児童館、保健センター、医療機関、NPOといった他の子育て支援機関との連携を強化し、サロンをハブとして必要な情報やサービスにスムーズに繋げる役割を強化していくことが課題となります。 特別区への示唆 子育てサロンは、地域の子育て家庭にとって非常に重要な社会資源です。各特別区においては、既存の子育てサロンの機能強化(開所時間の延長、専門相談の充実など)に加え、子育て世帯が多い地域や支援ニーズの高い地域への新たなサロンの設置、さらには地域のNPOや民間事業者との協働による多様な運営形態の導入も検討すべきです。サロンが単なる遊び場に留まらず、情報提供、相談支援、地域連携の拠点としての役割を十分に果たせるよう、戦略的な整備と運営が求められます。 【足立区】「やりたいことを始めよう」高校生世代応援支援金 概要 出典 あだち広報 2025年6月10日号 / 足立区 高校生世代応援支援金 14 ニュース概要 足立区は、高校生世代(平成19年4月2日から平成22年4月1日生まれ、または高校等に在籍する者)の部活動や習い事、資格取得などの様々なチャレンジを応援するため、年間5万円を支給する「高校生世代応援支援金」制度を実施しており、現在申請を受け付けています。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 家庭の経済的な事情によって、高校生世代が自身の興味や関心を追求する多様な学習機会や体験活動の機会を諦めることがないよう支援し、将来の可能性を広げる手助けをする必要があるためです。これは、教育格差の是正や人材育成の観点からも重要です。 具体的なアクション 一定の所得基準(保護者の区市町村民税所得割の合計額が105,000円以下等 27)を満たす区内在住の高校生世代に対し、部活動費、習い事の月謝、塾代、大学受験料、参考書代、資格取得に係る費用、進学・就職用のパソコン購入費などに利用できる支援金として、年額5万円を支給します。支給後には使途がわかる領収書等の提出が必要です 26。 行政側の意図 この支援金は、足立区の「子どもの貧困対策・若年者支援」の一環として位置づけられており、高校生世代の学習意欲や自己実現に向けた主体的な挑戦を経済的に後押しする意図があります。令和6年度に始まった「アダチ若者会議」で出された若い世代の意見も制度設計に反映されています 26。 期待される効果 支援対象となる高校生の多様な活動への参加が促進され、学習機会が確保されることで、進路選択の幅が広がり、自己肯定感の向上や将来への希望を持つことに繋がることが期待されます。 課題・次のステップ 制度の対象となる可能性のある全ての高校生及びその保護者への周知徹底、申請手続きのさらなる簡便化が求められます。また、支援金の使途の柔軟性と適正性のバランスをどう取るか、そして制度の効果を客観的に検証し、対象者の真のニーズを継続的に把握していくことが今後の課題です。 特別区への示唆 高校生世代への直接的な経済支援は、教育機会の均等化や地域社会の将来を担う人材育成の観点から有効な施策です。この足立区の事例は、単なる経済的支援に留まらず、高校生自身の「自己決定」と「計画性」を育む機会と捉えることができます。申請プロセスにおいて簡単な活動計画や目標を記述させることや、支援金活用後の成果や感想を(任意で)共有する場を設けるといった工夫を凝らすことで、若者の主体性や将来設計能力の育成にも繋げられる可能性があります。使途についてもある程度の柔軟性を確保しつつ、若者の意見を継続的に聴取し、制度内容を改善していく姿勢が重要です。 教育政策 【文部科学省】専門高校の魅力発信ウェブサイト「すごいぞ!専門高校」開設 概要 出典 リセマム 34 ニュース概要 文部科学省は2025年6月10日、専門高校(農業、工業、商業、水産、家庭、看護、情報、福祉など)の魅力や卒業後の多様な進路について、小中学生やその保護者、中学校教員等に広く伝えるためのウェブサイト「すごいぞ!専門高校」を開設しました。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 中学生が進路を選択する際に、専門高校が持つ実践的な学びの機会や、就職・進学を含めた多様なキャリアパスの魅力が十分に認知されておらず、選択肢として十分に検討されていない現状を改善するためです。生徒一人ひとりの興味・関心や適性に応じた主体的な進路選択を促すことが重要であるためです。 具体的なアクション ウェブサイト「すごいぞ!専門高校」では、各専門学科の教育内容の紹介、取得可能な資格の一覧、卒業生の具体的な進路(大学進学実績や就職先企業など)、現役の専門高校生のインタビュー動画、専門高校出身の著名人からのメッセージ動画(例:チョコレートプラネット・松尾駿氏)などが掲載されています 34。 行政側の意図 専門高校に対する社会的な理解を促進し、そのイメージアップを図る意図があります。また、変化の激しい現代社会や産業界のニーズに応える高度な専門知識・技術を身につけた人材育成の重要性を、広く社会に訴求する狙いもあります。 期待される効果 中学生やその保護者が進路を考える上での視野が広がり、専門高校が魅力的な選択肢の一つとして積極的に検討されるようになること。結果として、専門高校への志願者が増加し、専門高校で学ぶ生徒の学習意欲の向上や、専門高校に対する社会的な評価の向上が期待されます。 課題・次のステップ ウェブサイトの情報を常に最新の状態に保ち、魅力的なコンテンツを継続的に追加・充実させていくこと。中学校の進路指導担当教員や学習塾などとも連携し、サイトの存在を広く周知徹底することが重要です。また、全国的な情報提供に加えて、地域ごとの専門高校の特色ある情報(例:地域企業との連携プロジェクト、オープンキャンパス情報)との連携をどう図るかが課題です。 特別区への示唆 国のウェブサイトは全国的な情報提供が主目的ですが、特別区としては、このプラットフォームを活用しつつ、区内および近隣に立地する都立・私立の専門高校と、地域の産業界との「顔の見える関係づくり」を積極的に促進することが有効です。例えば、区のウェブサイトに専門高校紹介ページを設け、国のサイトへのリンクと共に、地域独自の詳細情報(各校の特色あるカリキュラム、地元企業との連携事例、卒業生の地域での活躍紹介など)を掲載する。また、専門高校と地元企業が参加する合同説明会や、中学生向けの職業体験・インターンシッププログラムを企画・支援することで、生徒が専門高校での学びが地域社会や産業とどのように結びつくのかを具体的にイメージできるようになり、より主体的で納得感のある進路選択を支援するとともに、地域経済の活性化にも繋げることができます。 【杉並区】第9回杉並第一小学校改築検討懇談会を開催 概要 出典 杉並区役所 36 ニュース概要 杉並区は、2025年6月10日に「第9回杉並第一小学校改築検討懇談会」を開催することを告知しました。この懇談会は、杉並第一小学校の施設の老朽化対策と、将来を見据えた教育環境の向上を目指す改築計画について、地域住民や保護者等の意見を聴取し、計画に反映させることを目的としています。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 児童生徒の安全を確保し、質の高い教育活動を展開できる学習環境を提供するためには、老朽化した学校施設の計画的な改築が不可欠です。その重要なプロセスにおいて、実際に施設を利用する児童生徒の保護者や、学校が立地する地域の住民、学校関係者など、多様なステークホルダーの意見を丁寧に聴き、計画に反映させることで、より良い学校づくりを目指すためです。 具体的なアクション 保護者代表、地域住民代表、学校関係者(教職員等)、学識経験者などで構成される「改築検討懇談会」を設置し、複数回にわたり開催します。懇談会では、改築に関する基本構想や施設計画、デザイン、地域開放のあり方などについて、区側からの説明と、委員からの意見表明や活発な協議が行われます。 行政側の意図 多様な関係者の意見を丁寧に聴取し、可能な限り計画に反映させることで、幅広い合意形成を図りながら、地域に開かれ、新たな時代の教育ニーズに対応した学校施設づくりを進める意図があります。また、計画策定プロセスの透明性を確保し、区民の行政への信頼を高めることも重視しています。 期待される効果 実際に学校を利用する子どもたちや教職員、そして地域住民のニーズを的確に反映した、安全で機能的な学校施設が整備されることが期待されます。また、地域コミュニティの新たな拠点としての役割強化や、教育環境全体の質の向上にも繋がります。 課題・次のステップ 懇談会で出された多種多様な意見をどのように整理し、優先順位をつけ、具体的な施設計画へと反映させていくかという合意形成の難しさがあります。また、改築に必要な事業費の確保、工事期間中における児童の学習環境の担保や安全対策、近隣住民への騒音・振動等への配慮も重要な課題となります。 特別区への示唆 学校改築は、単なる建物の更新ではなく、その地域のまちづくりの重要な構成要素と捉えるべきです。杉並区の事例のように、住民参加型のプロセスを通じて計画を策定することは、他の特別区においても大いに参考にすべき手法です。計画段階から、防災拠点としての機能強化(備蓄倉庫の充実、避難スペースの確保)、地域住民が利用しやすい地域開放スペース(多目的室、図書室、校庭など)の併設、ICT環境の整備といった、教育機能以外の複合的な視点を取り入れることで、学校が地域にとってより価値の高い施設となります。懇談会プロセスを通じて、将来の地域社会の姿を住民と共に描き、それを具現化する場として学校を捉え直すことが、真に地域に根ざした価値ある学校づくりに繋がります。 健康、保健政策 【目黒区】「医療広告ガイドライン」に関する情報提供 概要 出典 区民ニュース (目黒区) 33 ニュース概要 目黒区は2025年6月10日、区の広報媒体を通じて、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」に関する情報を区民向けに提供しました。これは、医療機関の広告に関する国の定めるルールを周知するものです。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 不適切または虚偽・誇大な医療広告によって、区民が治療内容や効果について誤認したり、不必要な医療サービスを選択してしまったりする不利益を防ぐためです。区民が医療機関を選択する際に、客観的で適切な情報に基づいて判断できるよう支援するため、国が定めるガイドラインの周知徹底が基礎自治体にも求められているためです。 具体的なアクション 区の公式ウェブサイト、広報誌、区民向け説明会などを通じて、医療広告ガイドラインの主な内容(広告可能な事項、禁止される表現など)、注意すべき広告の具体例、不審な広告を見つけた場合の相談窓口(保健所等)などを、区民及び区内の医療機関双方に向けて分かりやすく周知します。 行政側の意図 医療に関する情報は専門性が高く、提供者(医療機関)と受け手(患者・区民)の間に情報の非対称性が存在します。この情報格差を少しでも緩和し、区民が客観的かつ十分な情報に基づいて、自らの健康状態や価値観に合った医療を選択できる環境を整備する意図があります。また、医療機関に対しても広告の適正化を促し、健全な医療提供体制の維持に貢献します。 期待される効果 効果を過度に強調したり、客観的な根拠に基づかない情報を掲載したりする不適切な医療広告が減少し、区民がより安心して医療情報を吟味できるようになること。結果として、医療機関選択におけるミスマッチや、不必要な医療による健康被害・経済的損失の防止が期待されます。また、区民全体の医療リテラシーの向上にも繋がります。 課題・次のステップ 医療広告ガイドラインの内容が複雑で多岐にわたるため、一般区民に理解されにくい側面があります。また、ウェブサイトやSNSなど、新たな広告手法が次々と登場するため、それらへの対応も継続的な課題です。医療機関への指導・監視体制の強化や、ガイドラインに違反する広告を発見した場合の迅速かつ適切な対応(指導、是正勧告など)も重要となります。 特別区への示唆 近年、特に美容医療や自由診療(保険適用外)に関する医療広告をめぐる消費者トラブルが増加傾向にあります。特別区は、国や東京都と緊密に連携し、医療広告の監視体制を強化するとともに、区民への啓発活動をより一層進める必要があります。医療広告ガイドラインの周知は、違反広告の抑止だけでなく、区民が主体的に医療情報を吟味し、賢明な選択をするための「リテラシー向上」の機会と捉えるべきです。行政は、単に禁止事項を伝えるだけでなく、例えば「誇大な効果を謳う広告に注意」「体験談は個人の感想であり効果を保証するものではない」といった具体的な注意点や、信頼できる公的な医療情報サイト、セカンドオピニオンの重要性など、信頼できる情報へのアクセス方法も併せて啓発することが、区民の健康を守る上で重要です。 まちづくり、インフラ整備政策 【新宿区】令和7年第2回新宿区議会定例会に議案提出(電線共同溝整備、旧学校施設等解体) 概要 出典 新宿区公式ウェブサイト 44 ニュース概要 新宿区は、2025年6月10日に開会した令和7年第2回新宿区議会定例会に複数の議案を提出しました。その中には、「特別区道31-1380電線共同溝整備工事委託契約」(議案第65号)や「旧都立市ヶ谷商業高等学校及び新宿区立牛込第一中学校水泳プール解体工事請負契約」(議案第66号)などが含まれています 45。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 電線共同溝整備は、都市景観の向上、歩行空間の安全性確保、災害時の電柱倒壊や電線切断リスクの低減を目的としています。旧学校施設等の解体は、施設の老朽化対応や、跡地の再開発による新たな都市機能の導入、地域ニーズに応じた施設整備などを目的として行われます。 具体的なアクション 議案第65号(電線共同溝整備): 特別区道31-1380において、電力線や通信線などを地中に埋設するための共同溝を整備する工事の委託契約を締結します。契約金額や契約相手の詳細は、議案概要PDF 46 等で確認が必要です。 議案第66号(旧学校施設等解体): 既に用途廃止された旧都立市ヶ谷商業高等学校の校舎等と、新宿区立牛込第一中学校の水泳プールを解体する工事の請負契約を締結します。こちらも契約金額や契約相手の詳細は、議案概要PDF 46 等で確認が必要です。 行政側の意図 電線共同溝整備により、安全で快適な歩行空間の創出と災害に強いまちづくりを推進する意図があります。旧学校施設等の解体は、遊休化した土地の有効活用や、新たな地域拠点整備に向けた準備段階として、都市の再生と機能更新を図る意図があります。 期待される効果 電線共同溝整備により、電柱・電線のないすっきりとした街並みの実現、バリアフリー化の推進、台風や地震等の災害時におけるインフラ被害の軽減が期待されます。旧学校施設等の解体により、跡地利用計画に基づいた新たな施設整備やオープンスペースの創出などが可能となります。 課題・次のステップ 電線共同溝整備では、工事期間中の交通規制や騒音・振動等による周辺住民・事業者への影響を最小限に抑えること、関係機関との調整が課題です。解体工事では、アスベスト等の有害物質の適正処理、解体材のリサイクル、跡地利用計画の具体的な策定と地域住民等との合意形成が課題となります。 特別区への示唆 これらのインフラ整備や施設再編プロジェクトは、一見すると日常的な業務に見えるかもしれませんが、将来の都市の姿を形作る上で基礎となる重要な取り組みです。計画段階からの透明性の確保、工事に伴う地域への影響を最小限に抑えるための配慮、そしてプロジェクトがもたらす長期的な便益(安全性の向上、生活環境の改善、新たな地域価値の創出など)を住民に丁寧に説明し、理解と協力を得ていくことが、円滑な事業推進と地域からの信頼を維持する上で極めて重要です。電線類の地中化は多くの特別区で共通の目標であり、防災性の向上や景観改善に寄与します。また、学校施設の統廃合や跡地利用は、少子高齢化が進む都市部において避けて通れない課題であり、地域ニーズを踏まえた計画的な対応が求められます。 その他 【渋谷区】渋谷ジェンダー平等推進アワード2025を実施 概要 出典 渋谷区 報道発表 47 ニュース概要 渋谷区は2025年6月10日、「性別」や「性のありよう」に関する固定観念を乗り越え、誰もが自分らしく生きられる社会の実現を目指し、「渋谷ジェンダー平等推進アワード2025」を実施することを発表しました。ジェンダーやセクシュアリティにかかわらず、誰もが過ごしやすい社会づくりに寄与する実践的な取り組みを表彰します。 政策立案の示唆 この取組を行政が行う理由 ジェンダー平等は基本的人権の尊重に関わる普遍的な課題であり、多様な人々が共生する渋谷区において、その理念を具体的な形で推進し、社会全体の意識変革を促す必要があるためです。先進的な取り組みを表彰し、可視化することで、他の個人や団体、事業者への波及効果を狙っています。 具体的なアクション 1年以内に渋谷区での活動実績があり、今後も継続を予定している個人、団体、事業者を対象に、ジェンダー平等推進に資する取り組み(例:職場環境改善、商品・サービス開発、地域活動、情報発信など)を公募します。応募案件は、革新性、独自性、汎用性、魅力度などを基準に審査され、優れた取り組みには表彰状と副賞が授与されます 47。 行政側の意図 アワードを通じて、ジェンダー平等に関する社会全体の意識を高め、具体的な行動を促進する意図があります。渋谷区がダイバーシティ&インクルージョンを重視する先進的な自治体であることを内外に示し、誰もが活躍できる社会づくりをリードしていく姿勢を明確にしています。 期待される効果 ジェンダー平等に関する先進的な取り組みが発掘・共有され、他の組織や個人に良い影響を与えることで、社会全体での取り組みが活性化すること。また、受賞した取り組みがメディア等で紹介されることで、渋谷区のイメージ向上や、ジェンダー平等に関心を持つ人々の共感を呼ぶことが期待されます。過去の受賞事例には、大学の研究センターや研究所の活動も含まれています 48。 課題・次のステップ アワードの認知度をさらに高め、多様な分野からの応募を促進すること。審査基準の公平性・透明性を確保すること。受賞した取り組みが単発で終わらず、持続的に発展していくためのフォローアップや、受賞事例の横展開を支援する仕組みづくりが課題となります。 特別区への示唆 「渋谷ジェンダー平等推進アワード」のような表彰制度は、単に象徴的な意味合いに留まらず、社会変革を促すための具体的な触媒として機能し得ます。渋谷区が多様なベストプラクティスを積極的に発掘し、光を当てることで、ジェンダー平等に向けた努力がコミュニティ内外で可視化され、より広範な変化を鼓舞し、その取り組みを常態化させていく力となります。他の特別区においても、ジェンダー平等に限らず、環境問題、地域活性化、文化振興など、様々な政策分野で同様のアワード制度を導入することは、住民や事業者の主体的な取り組みを奨励し、その成果を社会全体で共有するための有効な手段となり得ます。アワードの選考過程や授賞式、受賞後の広報活動などを通じて、政策課題に対する社会的な対話を喚起し、具体的なアクションを誘発するプラットフォームとしての役割が期待できます。 #05 特別区(23区)#09 DX#10 総務#11 防災#12 生活安全#13 経済産業#14 子育て・こども#15 教育#16 福祉#17 健康・保健#21 まちづくり・インフラ整備#91 取組#99 その他 ABOUT ME 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