08 SDGs・環境

官民連携・公民連携

masashi0025

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。 
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(官民連携を取り巻く環境)

  • 自治体が官民連携・公民連携を行う意義は「複雑化・多様化する住民ニーズに応える革新的で質の高い公共サービスの提供」と「官民の資源シナジーによる地域活力とソーシャルキャピタルの醸成」にあります。
  • 本稿で扱う官民連携・公民連携とは、PFIのような資金調達を主目的とする手法とは一線を画し、行政(官)と、企業・NPO・大学といった民間(民)が、対等なパートナーとして協働する手法を指します。
  • これは、行政の持つ公共性・信頼性と、民間の持つ専門性・技術力・創造性を掛け合わせ、福祉、防災、環境、まちづくりといった多岐にわたる地域課題の解決や、SDGs(持続可能な開発目標)の達成を共に目指す「共創」のプロセスです。

意義

住民にとっての意義

質の高い、多様なサービスの享受
  • 行政単独では提供が難しかった、民間の創造性や最新技術を活用した、より質の高い、革新的なサービスを受けられるようになります。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府の「令和7年版障害者白書」では、多様なニーズに応えるための「利用者本位の生活支援体制の整備」や「スポーツ・文化芸術活動の推進」が掲げられており、これらは専門性を持つ民間・NPO等との連携によって効果的に実現できます。
      • 同じく「令和6年版高齢社会白書」では、高齢者の住み替え支援やラストマイル交通サービスの確保といった個別性の高い課題が示されており、民間事業者のオーダーメイド型サービスやAIデマンド交通といった技術が解決の鍵となります。
  • 行政サービスが画一的なものから、個々のニーズにより細やかに対応するものへと進化します。
地域課題解決への参画
  • 官民連携の枠組みを通じて、住民が自らの地域の課題解決に主体的に関わる機会が増え、住民の声がサービスや施策に反映されやすくなります。

    地域社会にとっての意義

    地域経済の活性化と雇用創出
    持続可能な地域づくり

    行政にとっての意義

    複雑化する行政課題への効果的対応
    行政運営の効率化と資源の最適配分
    • 民間のノウハウを活用することで、より効率的なサービス提供が可能となり、限られた人材や予算といった行政資源を、真に必要な分野へ重点的に再配分できます。
    職員のスキルアップと意識改革

    (参考)歴史・経過

    1980年代~1990年代:NPMと「官から民へ」の潮流
    2000年代:地方分権と「協働」の黎明
    2000年代後半~2010年代前半:「新しい公共」の提唱
    2010年代後半~現在:地方創生と「共創型」への進化

    官民連携に関する現状データ

    全国的支援策の活用状況
    官民連携プラットフォームの活動
    • 国が運営するマッチングの場も活発です。内閣府の「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」は、自治体が抱える課題と、企業の持つ解決策を結びつける中心的な役割を担っています。
    • 会員である自治体はサイト上で解決したい課題を発信でき、企業会員はそれに対してソリューションを提案できます。定期的なイベントやテーマ別の分科会も開催され、新たな連携創出の機会となっています。
    東京都におけるデータ連携基盤の推進
    • 東京都は、データ活用による官民連携を強力に推進しています。2024年1月に本格稼働した「東京データプラットフォーム(TDPF)」は、行政と民間が持つ様々なデータを安全に流通・連携させるための基盤です。
    • このプラットフォームを通じて、データを提供する側と利用する側が繋がるコミュニティを形成し、都民のQOL向上に資する新たなサービス創出を加速させることを目指しています。
    • この取組を技術面で支えるのが一般財団法人GovTech東京であり、都庁各局や区市町村のデータを一元的に収集・整備し、行政手続きのワンスオンリー化(一度提出した情報の再提出不要)などを実現するためのデータ連携基盤を構築しています。
      • (出典)(https://www.govtechtokyo.or.jp/services/data-utilization/) 30
    特別区における連携協定の活発化

    課題

    住民の課題

    複雑化するニーズと行政サービスの乖離
    • 社会の成熟化に伴い、住民が抱える課題は、高齢化、子育て、障害、デジタルデバイドなどが複合的に絡み合ったものが増えています。しかし、行政サービスは依然として分野ごとの縦割りで提供されることが多く、こうした複合的なニーズに十分応えられていない場合があります。
      • 客観的根拠:
        • 「令和6年版高齢社会白書」では、高齢期の暮らしにおいて、住まい、医療・介護、生活支援、社会参加などが一体的に提供される必要性が指摘されていますが、これらを一つの窓口で総合的に提供することは行政単独では困難です。
        • 「令和7年版障害者白書」が目指す「利用者本位の生活支援体制」や、個々の特性に応じた「スポーツ・文化芸術活動の推進」は、画一的な行政サービスだけでは実現が難しく、専門性を持つNPOや民間事業者とのきめ細かな連携が不可欠です。
      • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
        • 住民が制度の狭間に落ち、必要な支援を受けられない「制度の谷間」問題が深刻化します。

    地域社会の課題

    地域コミュニティの活力低下と担い手不足
    • 都市部への人口集中やライフスタイルの変化により、地縁的な繋がりが希薄化し、自治会などの地域コミュニティの活力が低下しています。また、少子高齢化の進展は、地域の活動を支える担い手不足に拍車をかけています。
      • 客観的根拠:
      • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
        • 地域の課題解決能力が低下し、孤立や社会的孤独のリスクが増大するとともに、災害時の共助機能が弱体化します。

    行政の課題

    連携を推進する庁内体制の未整備
    • 多くの自治体では、官民連携を全庁的に推進するための標準的なプロセスや専門部署が確立されていません。そのため、民間からの提案があっても、どの部署がどう対応するかが不明確で、場当たり的な対応になりがちです。
      • 客観的根拠:
        • 日本総合研究所が全国の自治体を対象に行った調査では、官民連携事業を進める上での課題として「庁内での官民連携事業の検討プロセスが定まっていない」という回答が最も多く(平均3.14点/4点満点)、次いで「官民連携に対する庁内の理解が不足している」(平均3.11点)が挙げられました。
        • この傾向は、人口規模の小さい自治体でより顕著ですが、特別区を含む大都市でも依然として大きな課題であることが示されています。
      • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
        • 有望な連携提案が担当部署の「たらい回し」に遭い、機会損失が生じるほか、職員の負担が増大します。
    専門知識を持つ人材の不足
    • 官民連携を効果的に推進するには、プロジェクトマネジメント、法務・契約、民間ビジネスへの理解といった専門的なスキルが求められますが、従来の行政実務の中ではこうした人材が育ちにくいのが現状です。
      • 客観的根拠:
      • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
        • 行政が民間パートナーと対等な立場で交渉・協業できず、事業の効果が最大化されない、あるいは行政側に不利な条件での連携となるリスクがあります。
    民間事業者側の感じる障壁
    • 民間事業者の視点からは、行政との連携には多くの障壁が存在します。意思決定の遅さ、手続きの不透明さ、予算不足、そして一部職員の非協力的な態度などが、連携への意欲を削いでいます。

    行政の支援策と優先度の検討

    優先順位の考え方

    ※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

    • 即効性・波及効果
      • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、単一の課題解決に留まらず、複数の課題解決や多くの住民・部署への便益につながる施策を高く評価します。
    • 実現可能性
      • 現在の法制度、予算、人員体制の中で、比較的少ない変更で実現可能な施策を優先します。既存の成功事例を横展開できる施策は優先度が高くなります。
    • 費用対効果
      • 投入する経営資源(予算・人員等)に対して、得られる効果(行政の効率化、住民サービスの向上、地域経済への貢献)が大きい施策を優先します。
    • 公平性・持続可能性
      • 特定の分野や地域だけでなく、区政全般にわたって広く適用可能であり、一度導入すれば長期的に効果が持続する仕組みづくりを高く評価します。
    • 客観的根拠の有無
      • 政府の指針や他の自治体での成功事例など、効果が実証されている、あるいは強く示唆される施策を優先します。

    支援策の全体像と優先順位

    • 課題分析で明らかになった「行政側の体制未整備」と「民間側の感じる障壁」という根深い問題に対応するため、支援策を**「基盤整備」「プロセス改革」「実践展開」**の三層構造で構築し、一体的に推進します。
    • 最優先:支援策① 官民連携推進体制の基盤強化
      • 全ての連携活動の土台であり、課題の根源である「プロセスの不在」と「人材不足」に直接対応するため、最も即効性と波及効果が高いと考えられます。明確な窓口と専門人材なくして、質の高い連携は始まりません。
    • 次優先:支援策② 「共創型」連携プロセスの導入と標準化
      • 基盤が整った上で、連携の「質」を高めるための施策です。場当たり的な協働から、戦略的で透明性の高い「共創」へと転換させることで、行政・民間双方の連携コストを下げ、より良い成果に繋げます。
    • 継続推進:支援策③ 分野別・戦略的パートナーシップの推進
      • 整備された基盤とプロセスを活用し、具体的な成果を創出する「出口」となる施策です。DX、福祉、防災といった重点分野で住民が実感できるサービス向上を実現します。

    各支援策の詳細

    支援策①:官民連携推進体制の基盤強化

    目的
    • 行政と民間事業者の双方にとって、分かりやすく、アクセスしやすい「連携の入り口」を整備すること。
    • 庁内に官民連携に関する知識とノウハウを蓄積し、全庁的な連携推進能力を向上させること。
    主な取組①:ワンストップ相談窓口「公民連携デスク」の設置
    • 民間からのあらゆる分野の提案や相談を、一元的に受け付ける統一窓口を区役所内に設置します。
    • このデスクが、提案内容を精査し、最適な所管部署へ繋ぐ「庁内コーディネーター」の役割を担うことで、民間事業者が直面する「たらい回し」や「窓口が不明」といった課題を根本的に解消します。
      • 客観的根拠:
        • 板橋区は「公民連携デスク」を設置し、提案受付から担当部署とのマッチング、連携実施、情報発信までを一元的に担う体制を構築しています。事業実施にあたっては、区の費用負担がないことを原則としつつ、必要な場合は予算措置や契約手続きを経るという明確なルールを設けています。
    主な取組②:官民連携を担う人材の育成・確保
    主な取組③:連携ノウハウ・事例の庁内共有データベース構築
    • 過去の全連携事例について、協定内容、成功要因、直面した課題、成果、担当部署・担当者といった情報をデータベース化し、庁内ネットワークで全職員が閲覧できるようにします。
    • これにより、担当者の異動によってノウハウが失われることを防ぎ、新たな連携を検討する部署が過去の知見を容易に参照できる体制を構築します。
      • 客観的根拠:
    KGI・KSI・KPI
    • KGI(最終目標指標)
      • 民間事業者からの年間提案件数 50%増
        • データ取得方法: 公民連携デスクでの受付記録
    • KSI(成功要因指標)
      • 公民連携デスクの設置と運用開始
        • データ取得方法: 事業計画の進捗確認
      • 官民連携研修の全管理職受講率 100%
        • データ取得方法: 人事課の研修受講記録
    • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
      • 提案から担当部署との協議開始までの平均所要日数 50%短縮
        • データ取得方法: 公民連携デスクでの案件管理記録
      • 連携事業に関わった職員の満足度(「民間との協業が円滑に進んだ」と回答した割合) 80%以上
        • データ取得方法: 連携事業完了後の職員アンケート
    • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
      • 官民連携研修の年間開催回数 4回
        • データ取得方法: 事業実施報告
      • 庁内共有データベースへの新規事例登録件数 年間20件以上
        • データ取得方法: データベースの更新ログ

    支援策②:「共創型」連携プロセスの導入と標準化

    目的
    • 官民連携の進め方を標準化・可視化することで、行政・民間双方の予見可能性と透明性を高め、手続きの効率化を図ること。
    • 単なる「お願いベース」の協力関係から、対等なパートナーとして共に価値を創造する「共創」関係へと質的転換を図ること。
    主な取組①:共創型官民連携ガイドラインの策定・導入
    主な取組②:テーマ設定型・民間提案制度の実施
    • 単に民間からの自由な提案を待つだけでなく、行政側から「子育て支援サービスのデジタル化」「地域防災力の向上」といった重点政策課題をテーマとして提示し、それに対する具体的な解決策を民間から募集する制度を導入します。
    • これにより、行政ニーズと民間の強みがマッチしやすくなり、より戦略的で効果の高い連携事業の形成を促進します。
      • 客観的根拠:
        • 新宿区は「新宿区民間提案制度」を設け、区民サービスの向上、業務の効率化、財政負担の軽減に資する提案を広く募集しています。区が抱える課題をホームページで公開し、それに対する提案を求めることで、的を絞った連携を目指しています。
    主な取組③:サウンディング型市場調査の積極的活用
    • 特定の事業や未利用地の活用などを検討する構想・計画段階で、民間事業者との直接対話を通じて、事業の実現可能性や市場性、より良い事業にするためのアイデアなどをヒアリングする「サウンディング型市場調査」を積極的に活用します。
    • これにより、行政の思い込みによる非現実的な計画を避け、民間事業者が参入しやすい魅力的な事業を形成することが可能になります。
      • 客観的根拠:
    KGI・KSI・KPI
    • KGI(最終目標指標)
      • 共創型プロセスを経て事業化に至った連携案件の割合 50%以上
        • データ取得方法: 公民連携デスクでの案件進捗管理
    • KSI(成功要因指標)
      • 共創型官民連携ガイドラインの策定及び全庁への周知徹底
        • データ取得方法: ガイドライン策定完了、庁内通達の発出
      • テーマ設定型民間提案制度の開始
        • データ取得方法: 制度の公式ウェブサイト公開
    • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
      • 民間提案制度への応募件数 前年度比30%増
        • データ取得方法: 提案受付記録
      • サウンディング型市場調査の参加企業数 平均10社以上/回
        • データ取得方法: 調査実施報告
    • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
      • テーマ設定型民間提案制度の年間募集テーマ数 5件以上
        • データ取得方法: 募集要項の記録
      • サウンディング型市場調査の年間実施回数 10回以上
        • データ取得方法: 事業計画の進捗確認

    支援策③:分野別・戦略的パートナーシップの推進

    目的
    • 整備された基盤とプロセスを活用し、特に優先度の高い行政課題(DX、福祉、防災、地域活性化等)の解決に向けた、具体的かつ効果的な官民連携プロジェクトを創出すること。
    主な取組①:DX・スマートシティ分野での連携強化
    • 東京都が推進する「東京データプラットフォーム(TDPF)」や、専門機関であるGovTech東京と緊密に連携し、区が保有する公共データと民間データを掛け合わせた新たな住民サービスの創出を目指します。
    • 交通、防災、健康、子育てといった分野で、民間企業(スタートアップ含む)が持つ革新的な技術やデータを活用した実証プロジェクトを公募・支援します。
      • 客観的根拠:
        • 東京都はTDPFを通じて、行政機関や民間企業と連携し、必要なデータをワンストップで利用できる環境を整備しています。会員になることで、データ利活用に関する技術的アドバイスやマッチング支援も受けられます。
    主な取組②:地域包括ケア・ウェルビーイング分野での連携
    • 高齢者や障害者の生活支援、健康増進、社会的孤立の防止といった課題に対し、NPOや民間事業者(ヘルスケア、食品、交通、見守りサービス等)との連携を強化します。
    • 「令和6年版高齢社会白書」や「令和7年版障害者白書」で示される課題(移動支援、認知症支援、就労支援等)をテーマに、テーマ設定型民間提案制度などを活用して具体的な事業を募集します。
    主な取組③:防災・レジリエンス分野での連携
    • 災害時における帰宅困難者支援、物資輸送、避難所運営、多言語での情報伝達など、行政だけでは対応が困難な分野について、民間企業(物流、小売、通信、建設等)と平時から具体的な協力内容を定めた協定を締結します。
    • 特に、企業の持つ施設や機材、人材といったリソースを、災害時にどのように活用できるかを明確にした実効性のある計画を共同で策定します。
    主な取組④:地域経済・にぎわい創出分野での連携
    • 商店街の活性化、観光振興、文化・スポーツ振興といった分野で、地域金融機関、地元企業、大学、NPO等と連携したプロジェクトを推進します。
    • 包括連携協定を基盤とし、共同でのイベント開催、地域資源を活かした商品開発、効果的な情報発信などを実施し、地域の魅力を高め、交流人口の拡大を図ります。
    KGI・KSI・KPI
    • KGI(最終目標指標)
      • 重点4分野(DX、福祉、防災、経済)における新規官民連携事業の年間創出件数 20件以上
        • データ取得方法: 公民連携デスクでの事業化案件の集計
    • KSI(成功要因指標)
      • 各重点分野における戦略的パートナー(包括連携協定等を締結した企業・団体)の数 10%増
        • データ取得方法: 協定書等の管理台帳
    • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
      • 連携事業に対する住民満足度調査での高評価率 80%以上
        • データ取得方法: 各事業で実施する受益者アンケート
      • 連携事業による課題解決効果(例:防災訓練参加率の向上、高齢者向けサービス利用者数の増加など)の定量的測定
        • データ取得方法: 各事業で設定する個別KPIのモニタリング
    • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
      • 各重点分野をテーマとした民間提案制度の募集回数 各年1回以上
        • データ取得方法: 募集記録
      • TDPFを活用した実証実験の実施件数 年間2件以上
        • データ取得方法: 事業実施報告

    先進事例

    東京都特別区の先進事例

    板橋区「ワンストップ窓口と実践的防災連携の両輪」

    • 板橋区は、多様な主体との連携を円滑に進めるため「公民連携デスク」を設置し、企業や大学からの提案を一元的に受け付けるワンストップ窓口として機能させています。これにより、民間からのアプローチがスムーズに担当部署へ繋がり、具体的な連携協議へと進みやすい体制を構築しています。
    • この体制から生まれた具体的な成果として、舟渡地区の物流施設再開発において、開発事業者およびヤマト運輸株式会社と防災に関する基本合意を締結した事例が挙げられます。これにより、災害時には地域住民1,000人が利用できる緊急一時退避場所が確保されるほか、企業の物流倉庫が支援物資の保管・配送拠点として活用されるなど、民間のアセットを地域の防災力向上に直結させる極めて実践的な連携を実現しています。
    • 成功要因: ①「公民連携デスク」という明確な推進窓口の設置によるアクセシビリティの向上。②防災という行政の重要課題と、民間事業者の持つ強み(物流ネットワーク、施設開発力)を戦略的にマッチングさせた点にあります。

    渋谷区「S-SAP協定による包括的・多角的パートナーシップ」

    • 渋谷区は「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定(S-SAP協定)」という独自の包括連携協定の枠組みを活用し、区内に拠点を置く企業等と中長期的な視点に立ったパートナーシップを築き、地域の社会課題解決に共同で取り組んでいます。
    • 代表的な事例として、株式会社ディー・エヌ・エーとの協定が挙げられます。同社が開発した小学生向けのプログラミング学習アプリ『プログラミングゼミ』を区立小学校の授業に導入する教育連携や、CHO(最高健康責任者)室が中心となり区内企業と連携して健康経営を推進するコンソーシアムの設立など、IT、教育、健康といった多岐にわたる分野で協働を展開しています。
    • 成功要因: ①個別の事業ごとの短期的な連携ではなく、包括的なパートナーシップを築くことで、継続的かつ多角的な協働を可能にしている点。②企業の持つ本業の強み(IT技術、ゲーム開発ノウハウ、健康経営の知見)を、行政課題の解決に創造的に活かしている点です。
      • 客観的根拠:

    世田谷区「『せたがやCo-Lab』による連携エコシステムの形成」

    • 世田谷区は「せたがやCo-Lab」という公民連携のプラットフォームを通じて、非常に多くの民間事業者等との連携エコシステムを形成しています。令和7年1月末時点で進行中の取組みは119件にも上り、その内容は区政情報PR、イベント協力、事業協働、寄付、実証実験など多岐にわたります。
    • 具体例としては、電力会社と連携した区民向け再生可能エネルギー利用キャンペーン、複数の信託銀行等と連携した遺贈による寄付の相談窓口設置、プロラグビーチーム「リコーブラックラムズ東京」と連携したパラスポーツ推進や手話言語条例PRなど、多様なパートナーと多彩な事業を展開し、区民生活の様々な側面に好影響を与えています。
    • 成功要因: ①連携のジャンルを限定せず、PR協力から本格的な事業協働まで幅広いメニューを用意することで、民間側が自社の強みやリソースに応じて参加しやすい環境を構築している点。②積極的な情報発信と働きかけにより、多種多様な業種のパートナーを巻き込むことに成功している点です。

    全国自治体の先進事例

    横浜市「『共創フロント』による官民連携のパイオニア」

    • 横浜市は、全国の自治体に先駆けて平成20年に官民連携の専門相談窓口「共創推進室(現・共創推進課)」と、民間との対話の場「共創フロント」を設置し、民間からの革新的な提案を積極的に事業化してきたパイオニアです。
    • その成果は数多く、例えば株式会社NTTドコモのAI技術と市の持つ約2万語のごみ分別データを活用して共同開発した対話型案内サービス「イーオのごみ分別案内」は、実証実験期間中に200万件以上利用され、24時間365日対応を可能にするとともに、コールセンターの運営コストを大幅に縮減しました。また、山崎製パン株式会社との連携による横浜産野菜を使った「ランチパック」の共同開発は、市内農業のPRと地産地消の推進に大きく貢献しています。
    • 成功要因: ①早期からの専門部署設置によるノウハウの蓄積と、継続的な対話の場の提供。②ごみ分別、農業振興といった具体的な行政課題と、民間が持つ技術力や販売網を巧みに組み合わせ、行政・民間・市民の「三方よし」となるWin-Winの関係を構築する優れた事業設計力にあります。

    秋田県にかほ市「複数主体連携によるスマート農業の推進」

    • 秋田県にかほ市は、農業従事者の高齢化や担い手不足という深刻な地域課題に対し、行政単独ではなく、多様な民間主体の力を結集して対応しています。具体的には、地元に工場を持つTDK株式会社、農業系スタートアップの有機米デザイン株式会社、井関農機株式会社、地元の農業法人、そして市が連携する5者協働体制で「環境保全型スマート農業」の構築に取り組んでいます。
    • このプロジェクトでは、自動抑草ロボットや各種センサー技術、ドローン活用など、各者が持つ最先端の技術やノウハウを結集し、労力のかかる有機農業の省力化と生産性向上を同時に目指しています。その中で、にかほ市は全体の調整や推進役を担い、民間の専門性が最大限に発揮される環境を整えています。
    • 成功要因: ①一つの企業との連携に留まらず、課題解決に必要な技術を持つ複数の主体(グローバル企業、スタートアップ、大手メーカー等)によるコンソーシアムを形成した点。②行政がプレイヤーとして前に出るのではなく、「調整役・推進役」に徹することで、民間の活力を最大限に引き出す体制を構築した点です。

    参考資料[エビデンス検索用]

    内閣府・内閣官房
    総務省
    経済産業省
    東京都
    特別区
    その他自治体
    シンクタンク・民間企業等

    まとめ

     東京都特別区が直面する行政課題はますます複雑化・多様化し、行政単独での解決は困難です。解決の鍵は、対等なパートナーとして民間の専門性や技術を活かす「共創型」の官民連携にあります。本稿で提案した「推進基盤の強化」「共創プロセスの標準化」「戦略的分野での実践」を三位一体で進め、持続可能で質の高い成果を生む戦略的パートナーシップへと転換を図ることが急務です。
     本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
     引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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