07 自治体経営

基本構想・基本計画・実施計画と評価制度

masashi0025

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(基本構想・基本計画・実施計画と評価制度を取り巻く環境)

  • 自治体が基本構想・基本計画・実施計画の策定と評価制度の運用を行う意義は、「計画的な行政運営による住民福祉の向上」と「持続可能な自治体経営の実現」にあります。
  • この計画体系は、自治体の行政運営の根幹をなすものであり、一般的に以下の階層構造で成り立っています。
    • 基本構想(きほんこうそう)
      • 自治体が目指すべき長期的な将来像やまちづくりの基本理念を定める、最上位の計画です。計画期間は10年以上に設定されることが多く、議会の議決を要する場合があります。
    • 基本計画(きほんけいかく)
      • 基本構想で示された将来像を実現するため、各分野における施策の方向性や目標を体系的に示す中期的な計画です。
    • 実施計画(じっしけいかく)
      • 基本計画に定められた施策を具体的に推進するための個別の事業内容や年度ごとの計画を定める短期的な計画であり、毎年度の予算編成の直接的な指針となります。
  • この計画・評価制度は、2011年の地方自治法改正による基本構想の策定義務の廃止を契機に、大きな転換期を迎えています。 法的な画一性から各自治体の裁量に委ねられる時代へと移行し、計画のあり方そのものが問われるようになりました。さらに、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」のような国主導の計画や、EBPM(証拠に基づく政策立案)、SDGsといった新たな要請が加わり、既存の計画体系との整合性や実効性の確保が、東京都特別区を含む全国の自治体にとって喫緊の課題となっています。

意義

住民にとっての意義

行政運営の方向性の共有
  • 自治体がどのような将来像を目指し、どのような方針で行政運営を行うのかが明文化されることで、住民は自らの暮らしや地域の未来像を具体的にイメージできます。
透明性と説明責任の向上
  • 計画で示された目標(何をやるか)と評価で示された結果(どうだったか)が公表されることで、行政運営の透明性が高まります。これにより、行政は住民に対する説明責任を果たし、住民の行政への信頼を醸成します。

地域社会にとっての意義

複合的な地域課題への総合的対応
  • 少子高齢化、防災、環境問題といった分野横断的な課題に対し、総合計画は部署の垣根を越えた総合的な対応方針を示す青写真となります。
多様な主体との協働の基盤
  • 行政が目指す方向性が明確になることで、住民、NPO、事業者といった多様な主体が、それぞれの役割を認識し、共通の目標に向かって連携・協働する「協働のまちづくり」の基盤が形成されます。

行政にとっての意義

自治体経営の「背骨」としての機能
  • 基本構想から実施計画に至る一連の計画体系は、自治体経営の根幹をなします。長期的なビジョンを具体的な事業や予算に落とし込み、その成果を評価して次の計画に反映させるPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回すための「背骨」として機能します。
計画的な資源配分の実現
  • 場当たり的な対応ではなく、計画に基づいた優先順位付けを行うことで、限られた経営資源(人材・財源・施設等)を重点的かつ効率的に配分することが可能になります。

(参考)歴史・経過

  • 1960年代
    • 自治省(当時)の研究会報告書で「基本構想・基本計画・実施計画」の三階層構造が示され、多くの自治体で採用され始めます。
    • 1969年の地方自治法改正により、市町村に基本構想の策定が義務付けられました。これは、高度経済成長期における国の開発プロジェクトを地域に誘致するためのツールとしての側面も持っていました。
  • 1970年代~1980年代
    • 総合計画の策定が全国の市町村で急速に進み、1980年までには9割弱の自治体が策定を完了し、計画行政が定着しました。
  • 1990年代~2000年代
    • NPM(ニュー・パブリック・マネジメント)の考え方が広まり、行政にも成果や効率性が求められるようになります。
    • 三重県(1996年「事務事業評価システム」)や北海道(1997年「時のアセスメント」)など、先進的な自治体が独自の行政評価制度を導入し始め、全国的な行政評価導入の先駆けとなりました。
    • 2000年の地方分権一括法施行や三位一体の改革により、自治体の自己決定権が拡大し、計画の重要性が一層高まりました。
  • 2011年
    • 地方分権の流れを決定づける出来事として、地方自治法が改正され、市町村の基本構想策定義務が廃止されました。これにより、総合計画の策定は各自治体の自主的な判断に委ねられることになりました。
  • 2011年以降
    • 策定義務がなくなっても、ほとんどの自治体は総合計画を策定し続けており、その必要性が実務上・制度上、強く認識されていることが示唆されています。一方で、計画の構成や内容、位置づけは多様化し始めました。
  • 2015年頃~現在
    • 国が「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定を全自治体に要請し、事実上の新たな計画策定が義務化されました。これにより、既存の総合計画との関係性が問われる「二重計画」問題が生じ始めています。
    • EBPM(証拠に基づく政策立案)やSDGs達成への貢献といった新たな要請が強まり、計画・評価システムは更なる複雑化と高度化を求められています。

基本構想・基本計画・実施計画と評価制度に関する現状データ

総合計画の策定状況
行政評価の導入状況
行政評価の成果に関する認識
住民参加の現状
東京都特別区の財政状況

課題

住民の課題

計画の低認知度と「他人事」化
  • 多大な時間と労力をかけて策定される総合計画ですが、住民の間での認知度は極めて低いのが現状です。計画の存在自体が知られておらず、行政が目指すまちの将来像が住民に共有されていないため、計画が「自分たちのもの」ではなく「行政だけのもの」として捉えられがちです。
住民参加の形骸化と代表性の欠如

地域社会の課題

縦割り計画と複合的課題のミスマッチ
  • 総合計画は、行政の部局構造を反映した「福祉」「教育」「都市整備」といった縦割りの体系で構成されることが多くあります。しかし、現代社会が直面する「子どもの貧困」「社会的孤立」「激甚化する災害への備え」といった課題は、複数の分野にまたがる複合的な性質を持っています。縦割り型の計画では、こうした課題に対して分野横断的で一貫したアプローチを取ることが困難です。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 分野間の連携不足により、施策の効果が相殺されたり、隙間の課題が放置されたりするなど、行政資源の非効率な配分と課題解決能力の低下を招きます。

行政の課題

行政評価の形骸化と「評価疲れ」
  • 行政評価制度はPDCAサイクルを確立する目的で導入されましたが、多くの現場で「評価のための評価」に陥り、形骸化しています。評価調書の作成が目的化し、前年度の書類をコピー・アンド・ペーストするだけの作業になることも少なくありません。こうした実質的な意味の薄い作業が職員の負担となり、「評価疲れ」と呼ばれる現象を引き起こしています。
    • 客観的根拠:
      • 行政評価を導入している自治体の79.5%が「行政評価事務の効率化」を課題として挙げています。これは、評価作業の負担が大きいことの裏返しです。
      • (出典)公益財団法人多摩市町村振興協会「行政評価に関する調査研究報告書」平成30年
      • 札幌市の調査報告書では、評価調書の内容が前年度のコピーにとどまっているケースや、アクションプランと評価制度の重複感が職員の負担増につながっていると具体的に指摘されています。
      • (https://www.city.sapporo.jp/somu/machikiso/documents/r3_machikiso4_honsyo.pdf)
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • PDCAサイクルの「C(評価)」が機能不全に陥り、組織的な学習や継続的な業務改善が停滞し、行政資源が浪費されます。
評価結果と予算編成の断絶
  • 行政評価システムの最も致命的な課題は、評価結果が次年度の予算編成に実質的に結びついていない点です。評価で「効果が低い」と判断された事業でも、前例踏襲や政治的な理由で予算が継続される一方、評価結果を根拠とした大胆な資源の再配分はほとんど行われていません。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 計画・評価制度が戦略的な資源配分ツールとしての核心的機能を失い、コストのかかる形骸化した行政儀式と化します。
成果指標(アウトカム指標)設定の困難性
  • 行政活動の真の成果、すなわち「住民や地域社会にどのような良い変化(アウトカム)をもたらしたか」を測る指標の設定は非常に困難です。そのため、行政は活動量(アウトプット)、例えば「講座の開催回数」や「相談件数」といった、測定は容易だが成果とは直結しない指標を目標としがちです。
議会による決算審査との連携不足
  • 行政内部で行われる「行政評価」と、議会が行う前年度予算のチェックである「決算審査」が、有効に連携していません。議会が行政評価のデータを十分に活用して決算審査を行えていない、あるいは決算審査での指摘が次年度の予算編成に活かされていない、という断絶が存在します。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 行政に対する議会のチェック機能が弱体化し、税金の使途に対する説明責任が低下するとともに、行政運営の非効率性が見過ごされる可能性があります。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

  • 即効性・波及効果
    • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、単一の課題解決にとどまらず、複数の課題解決や多くの住民への便益につながる、影響範囲の広い施策を高く評価します。
  • 実現可能性
    • 現行の法制度や、現実的な予算・人員の範囲内で実行可能な施策を優先します。大規模な組織改編や条例改正を必要とせず、既存の仕組みを改善・活用できる施策の優先度は高くなります。
  • 費用対効果
    • 投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して、得られる効果(行政の効率化、住民サービスの向上など)が大きい施策を優先します。短期的なコストだけでなく、将来的な財政負担の軽減効果といった長期的便益も考慮します。
  • 公平性・持続可能性
    • 特定の地域や層だけでなく、より幅広い住民に便益が及ぶ公平な施策を優先します。また、一度きりの効果で終わらず、長期的・継続的に効果が持続する制度設計となっている施策を高く評価します。
  • 客観的根拠の有無
    • 政府の調査研究や、他の自治体における先進事例で、その効果が客観的なデータによって示されている施策を優先します。効果測定が明確に定義でき、成功の再現性が高い施策を重視します。

支援策の全体像と優先順位

  • 特別区における計画・評価制度の改革は、「評価制度の改革」「組織基盤の強化」「計画プロセスの革新」という3つの視点から、総合的かつ一体的に取り組む必要があります。
  • 最優先で取り組むべきは、**支援策①「行政評価と予算編成を直結させる『成果連動型マネジメント改革』」**です。評価と予算の断絶は、PDCAサイクル全体の機能不全の根源であり、この連携を確立しない限り、他のいかなる改革も実効性を持ちません。
  • 次に、この改革を実質的なものにするため、**支援策②「EBPM(証拠に基づく政策立案)を支える組織基盤の強化」**が不可欠です。信頼できる評価を行うためのデータ分析能力や指標設定能力なくして、成果連動は不可能です。
  • 同時に、計画が「行政だけのもの」でなくなるよう、**支援策③「多様な主体と『共創』する計画プロセスの革新」**を進める必要があります。住民の理解と参画を得てこそ、計画は地域全体の目標となり、その達成に向けた評価も意義を持ちます。
  • これら3つの支援策は相互補完の関係にあり、並行して推進することで、計画・評価制度を形式的な儀式から、真に自治体経営を駆動するエンジンへと転換させることができます。

各支援策の詳細

支援策①:行政評価と予算編成を直結させる「成果連動型マネジメント改革」

目的
  • 行政評価を単なる事後確認の作業から、次年度の予算配分を決定する重要な判断材料へと転換させ、壊れたPDCAサイクルを修復し、戦略的な資源配分を実現します。
主な取組①:評価結果の予算査定への原則反映
  • 次年度の予算要求時、全ての事業において前年度の評価結果を添付することを義務付けます。
  • 評価結果に基づき、「拡充」「継続」「見直し・縮小」「廃止・休止」のいずれかを明確にし、その判断理由を説明することを必須とします。これにより、予算担当部局は客観的な根拠に基づいて査定を行うことができます。
主な取組②:「施策・事務事業カルテ」の導入と簡素化
  • 複雑で記入負担の大きい従来の評価シートを廃止し、事業の基本情報、投入資源(コスト・人員)、活動指標(アウトプット)、成果指標(アウトカム)、評価結果、次年度方針を1枚にまとめた「事業カルテ」を導入します。
  • このカルテを、行政評価と予算要求の両方で使用する統一様式とすることで、職員の事務負担を大幅に軽減し、情報の分断を防ぎます。
主な取組③:外部評価委員会の機能強化
  • 外部評価委員会の役割を、個別の事業評価から「評価プロセスの妥当性監査」へと転換します。
  • 委員会は、行政が設定した評価指標や評価方法が客観的かつ合理的であるかを検証し、特にコストが高い事業や評価が低い事業について、重点的に審議し、改善勧告を行います。
主な取組④:議会の決算審査との連携強化
  • 行政評価の結果(特に事業カルテ)を、議会の決算特別委員会に正式な審査資料として提出します。
  • 議会が行政評価データを活用して、事業の有効性や効率性を問う質疑を行える環境を整備し、行政と議会が共通のデータ基盤の上で議論することを促進します。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 評価結果に基づき見直し(改善・縮小・廃止)が行われた事業の予算額割合:10%以上
      • データ取得方法: 予算編成システムと行政評価システムのデータ連携による実績集計
  • KSI(成功要因指標)
    • 予算要求と「事業カルテ」の提出率:100%
      • データ取得方法: 予算担当部署による全事業の提出状況確認
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 評価結果が「見直し・縮小」「廃止・休止」とされた事業の割合:全評価対象事業の15%以上
      • データ取得方法: 行政評価結果の集計
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 「事業カルテ」の導入数:全事務事業数
      • データ取得方法: 企画担当部署による導入実績管理
    • 行政評価結果の議会への提出件数:年1回(全事業分)
      • データ取得方法: 議会事務局への提出記録

支援策②:EBPM(証拠に基づく政策立案)を支える組織基盤の強化

目的
  • 勘や経験、前例に頼った政策立案から脱却し、客観的なデータや科学的根拠に基づく政策立案・評価を可能にするための組織的な能力(人材・データ基盤・手法)を構築します。
    • 客観的根拠:
      • 国は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、客観的な指標(KPI)に基づくPDCAサイクルの実施を求めており、EBPMの推進は自治体にとって必須の取り組みとなっています。
      • (https://www.soumu.go.jp/main_content/000479883.pdf)
主な取組①:データ利活用基盤の整備と専門人材の育成
主な取組②:ロジックモデルの導入
  • 新規の主要事業や大規模な計画事業の立案時に、「ロジックモデル」の作成を義務付けます。
  • ロジックモデルとは、事業の投入資源(Input)から、活動(Activity)、直接的な産物(Output)、そして短期・中期・長期の成果(Outcome)に至る因果関係を可視化した図です。これにより、事業の目的と成果指標(KPI)が論理的に結びつきます。
主な取組③:部署横断的な政策課題への対応チーム設置
  • 「ひきこもり支援」「ヤングケアラー問題」など、従来の縦割り組織では対応が困難な複合的課題に対し、関係部署から専門職員を集めた機動的なプロジェクトチームを設置します。
  • チームは課題解決に必要なデータの収集・分析から施策の立案、実行、評価までを一貫して担い、分野横断的なEBPMを実践します。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • EBPM手法を用いて立案・改善された主要政策の割合:50%以上
      • データ取得方法: 政策企画担当部署による全主要政策の立案プロセスのレビュー
  • KSI(成功要因指標)
    • 主要な新規事業におけるロジックモデル作成率:100%
      • データ取得方法: 政策企画担当部署による新規事業計画書の確認
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • データ分析に基づいて見直された既存事業の数:年間20事業以上
      • データ取得方法: 各部署からの業務改善報告の集計
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • データサイエンティストとして認定された職員数:20名以上
      • データ取得方法: 人事担当部署によるスキルマップ管理
    • 全職員のデータリテラシー研修受講率:95%以上
      • データ取得方法: 研修管理システムによる受講記録

支援策③:多様な主体と「共創」する計画プロセスの革新

目的
  • 従来の形骸化した住民参加から脱却し、多様な住民が実質的に関与できる「共創」のプロセスを設計することで、計画の正当性と実効性を高め、住民の当事者意識を醸成します。
主な取組①:無作為抽出を基本とした「市民討議会」の導入
主な取組②:オンライン参加プラットフォームの常設
  • いつでも誰でも政策提案や意見表明ができる常設のオンラインプラットフォームを構築します。
  • 提案された意見に対して、行政がどのように検討し、どう反映した(あるいはしなかった)のか、そのプロセスを透明性高く公開する「フィードバック機能」を重視します。
    • 客観的根拠:
      • 電子政府先進国であるエストニアでは、電子IDを活用し、行政サービスの申請だけでなく、国民が自身のデータがどのように利用されているかを追跡できるなど、高い透明性を確保することで国民の信頼を得ています。
      • (https://sakumaga.sakura.ad.jp/entry/2021/09/03/120000)
主な取組③:計画の「見える化」とストーリーテリング
  • 数百ページに及ぶ分厚い計画書ではなく、ウェブサイトを基本とした、誰もが直感的に理解できる計画を策定します。
  • インフォグラフィックや動画、データビジュアライゼーションを多用し、計画が目指す未来像や各施策の進捗状況を「物語」として分かりやすく伝えることで、住民の関心と理解を深めます。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 住民意識調査における総合計画の認知度:40%以上
      • データ取得方法: 定期的な住民意識調査
  • KSI(成功要因指標)
    • 市民討議会参加者の人口構成比との近似度:±10%以内
      • データ取得方法: 参加者属性データと住民基本台帳データの比較分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • オンラインプラットフォーム経由で政策に反映された提案件数:年間10件以上
      • データ取得方法: プラットフォーム運営記録と政策決定プロセスの照合
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 市民討議会の開催回数:計画策定・改定時に最低1回
      • データ取得方法: 会議開催記録
    • 計画ウェブサイトの年間ユニークビジター数:区民人口の20%以上
      • データ取得方法: ウェブサイトのアクセス解析

先進事例

東京都特別区の先進事例

千代田区「PDCAサイクルを基軸とした行政評価制度」

  • 千代田区は、企画・立案(Plan)、実施(Do)、評価・検証(Check)、見直し(Action)のPDCAサイクルを確立し、区民満足度の高い区政を推進することを目的として行政評価を実施しています。
  • 特筆すべきは、評価結果の活用プロセスが明確化されている点です。毎年度の評価結果や社会経済情勢を踏まえ、次年度の予算編成を行い、その対応結果を「区の仕事のあらまし(予算の概要)」で公表しています。
  • 平成27年度に総合計画「ちよだみらいプロジェクト」の策定を機に評価制度を再構築し、令和5年度には「第4次基本構想」の下での新たな行政評価を構築するなど、計画と評価を一体的に見直す姿勢が一貫しています。

世田谷区「フルコスト分析を活用した事業評価」

  • 世田谷区は、事業評価において、新公会計制度を活用した「フルコスト分析」を導入しています。これは、人件費や減価償却費など、直接的な事業費以外も含めた総費用を算出し、事業の真のコストを把握する手法です。
  • 例えば、区立保育園や図書館といった施設類型ごとにフルコストを算出し、利用者一人当たりの単価コストなどを経年比較することで、客観的なデータに基づいた運営効率の評価を可能にしています。
  • 評価結果は「見える化ボード」としてウェブサイトで分かりやすく公表されており、住民への説明責任を果たすとともに、事業改善の具体的な議論につなげています。

新宿区「外部評価委員会の積極的活用」

  • 新宿区は、行政評価の客観性と透明性を担保するため、外部の視点を積極的に取り入れています。その中核を担うのが「外部評価委員会」です。
  • この委員会は、学識経験者(3名)、公募による区民(6名)、区内各種団体の構成員(6名)の計15名で構成されており、多様な区民の視点から内部評価結果を検証します。
  • 委員会は、単に評価結果を報告するだけでなく、必要に応じて調査・審議を行い、区長に答申する権能も持っています。これにより、行政の自己評価に留まらない、多角的なチェック機能が働いています。

全国自治体の先進事例

三重県「事務事業評価システムのパイオニア」

  • 三重県は、1996年(平成8年)に全国に先駆けて「事務事業評価システム」を導入した、行政評価のパイオニアです。この取り組みは、その後の多くの自治体の評価制度設計に大きな影響を与えました。
  • システムの核心は、県の総合計画を頂点とする政策体系(政策-施策-基本事業-事務事業)と、予算・評価を完全に連動させた点にあります。全ての事務事業の目的を明確にし、それを測る「成果指標」を設定。その達成度を評価し、結果を次年度の予算編成に直結させるという、徹底した成果志向のマネジメントサイクルを構築しました。
  • このシステムは、単なる事業の見直しツールではなく、「職員の意識改革」の核となる仕組みとして位置づけられ、行政運営を「生活者起点」へと転換させることを目指しました。

三鷹市「参加と協働のまちづくり」

  • 三鷹市は、住民参加を市政の根幹に据え、先進的な取り組みを続けてきた自治体です。その理念は、市の最高規範である「三鷹市自治基本条例」に結実しています。
  • 特筆すべきは、計画策定プロセスへの住民参加手法の革新です。2001年の総合計画策定時には、全員公募の市民組織「みたか市民プラン21会議」を設置。さらに、従来の公募型参加の課題であった参加者の固定化を乗り越えるため、ドイツの手法を参考に、18歳以上の市民から無作為抽出で参加者を募る「まちづくりディスカッション」を導入しました。
  • これらの取り組みは、行政と市民が対等な立場で目標を共有し、共にまちづくりを担う「協働」を具現化するものであり、全国のモデルとなっています。

参考資料[エビデンス検索用]

総務省関連資料
内閣官房・内閣府関連資料
国土交通省関連資料
文部科学省関連資料
参議院関連資料
東京都特別区関連資料

まとめ

 東京都特別区における基本構想・基本計画・実施計画と評価制度は、行政運営の根幹であるにもかかわらず、評価と予算の断絶や住民参加の形骸化といった課題により、本来の機能を果たせていない危機にあります。この状況を打開するには、評価と予算を直結させる「成果連動型マネジメント」への転換が最優先です。さらに、EBPMを支える組織基盤の強化と、無作為抽出などを活用した「共創」による計画プロセスの革新を一体的に進めることで、計画・評価制度を、持続可能な自治体経営と住民からの信頼を確保するための戦略的ツールへと再生させることが求められます。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

ABOUT ME
行政情報ポータル
行政情報ポータル
あらゆる行政情報を分野別に構造化
行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。
記事URLをコピーしました