18 地域

NPO・ボランティア団体等との連携によるまちづくり

masashi0025

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(NPO・ボランティア団体等との連携を取り巻く環境)

  • 自治体がNPO・ボランティア団体等との連携によるまちづくりを行う意義は、「多様化・複雑化する地域課題への効果的な対応」と「市民の主体的な参加による共助社会の構築」にあります。
  • 現代の地域社会は、少子高齢化、単身世帯の増加、価値観の多様化などにより、行政サービスだけでは解決が困難な複合的課題に直面しています。
  • NPO・ボランティア団体は、その専門性、機動力、地域密着性を活かし、行政の手が届きにくいきめ細やかなニーズに対応できる重要なパートナーとして、その役割への期待が高まっています。

意義

住民にとっての意義

  • 多様なサービスの享受
  • 社会参加と自己実現の機会
    • ボランティア活動等への参加を通じて、地域社会に貢献し、生きがいや新たな人とのつながりを見出すことができます。NPO活動は参加の方法が多様であり、高齢者や主婦、学生、会社員などがそれぞれの生活パターンに合わせて参加できる「新しい自己実現の場」となります。

地域社会にとっての意義

  • 地域課題解決能力の向上
  • 新たなコミュニティの形成
    • 共通の目的を持つ活動を通じて、従来の自治会のような地縁によるつながりだけでなく、志や共感でつながる新しい関係(志縁)が生まれます。これにより、地域の連帯感が強化され、新たなコミュニティが形成されます。
  • 地域のレジリエンス強化
    • 平時から多様な主体が連携する体制が構築されていることは、災害などの非常時における迅速な支援活動や、その後の復興を支える大きな力となります。阪神・淡路大震災の経験は、自助・共助・公助によるまちづくりの重要性を示しました。

行政にとっての意義

(参考)歴史・経過

NPO・ボランティア団体等との連携に関する現状データ

  • このセクションでは、NPO・ボランティア活動の現状を、最新の全国調査から浮き彫りにします。データが示すのは、協働の基盤そのものが揺らいでいるという厳しい現実です。活動の担い手である「ボランティア人口の急減」と、活動主体である「NPO法人の脆弱な経営基盤」という二つの構造的な衰退(デュアル・ディクライン)が同時に進行しており、このままでは「行政とNPOの協働」というモデル自体が立ち行かなくなる危機に瀕しています。
NPO法人の概況(令和5年度)
  • 法人数と活動分野
    • 全国の特定非営利活動法人の認証数は、2024年5月末時点で49,296法人であり、近年は横ばいから微減傾向にあります。東京都の認証法人数は3,839法人で、全国最多です。
      • (出典)内閣府NPOホームページ「特定非営利活動法人の所轄庁別認証・認定・特例認定数」2024年
    • NPO法人が主たる活動分野として取り組んでいるのは、「保健、医療又は福祉の増進」(認証法人の40.4%)が最も多く、次いで「子どもの健全育成」(同40.2%)、「まちづくりの推進」(同35.7%)と、地域生活に密着した分野に集中しています。
  • 財政規模:脆弱な収益構造
    • NPO法人の財政基盤は極めて脆弱です。特に、税制上の優遇措置がある「認定」を取得している法人と、そうでない「認証」法人との格差は深刻です。
    • 経常収益額の中央値: 認証法人で600.4万円であるのに対し、認定・特例認定法人では2,674.5万円と、4倍以上の開きがあります。多くのNPOが小規模な予算で運営されています。
    • 収入構成: 収入源の構造にも大きな違いがあります。認証法人の収入の**81.4%が「事業収益」(サービスの対価など)である一方、認定・特例認定法人は「寄附金」が48.2%**を占めます。これは、多くのNPOが実質的に対価を得てサービスを提供する小規模事業体として運営されており、寄付による安定的な財源確保ができていない実態を示しています。
  • 人材:有給職員を雇用できない現実
    • 人材確保はNPOにとって最大の課題であり、特に活動の担い手となる有給の常勤職員を雇用できている団体はごく少数です。
    • 役員以外の職員数(中央値): 認証法人で4.0人ですが、そのうち常勤の有給職員の中央値は0.0人です。認定・特例認定法人でさえ、職員数の中央値は5.5人、常勤有給職員の中央値は1.0人に留まります。大半のNPOが、無給の役員と少数のパートタイム職員、そしてボランティアによって支えられているのが実態です。
ボランティア活動の動向
  • 行動者率の歴史的な急落
    • 過去1年間に何らかのボランティア活動を行った人の割合(行動者率)は、全国で17.8%(令和3年)となり、5年前の平成28年調査の26.0%から8.2ポイントも大幅に低下しました。これは、比較可能な平成8年調査以降で最大の下げ幅であり、日本の市民参加の基盤が急速に縮小していることを示す衝撃的なデータです。
  • 東京都の厳しい状況
    • 東京都のボランティア行動者率は、全国平均を下回る傾向にあります。特に、人口が密集し匿名性が高い大都市部で参加率が低いことが指摘されています。令和3年調査では、大都市(人口100万人以上)における65~74歳の行動者率は約2割にとどまり、地方の町村部(約3割)と比べて低い水準です。
  • 全世代での低下と高齢層への依存
    • 令和3年調査では、全ての年代で行動者率が低下しましたが、特に将来の担い手である10~14歳の落ち込み(14.4ポイント減)が顕著でした。
    • 一方で、行動者率が最も高いのは65~69歳の23.4%であり、現在のボランティア活動が高齢層によってかろうじて支えられている構造が浮き彫りになっています。
  • 活動分野の傾向

課題

住民の課題

  • ボランティア活動への参加障壁
    • ボランティアに参加したくてもできない最大の理由は「参加する時間がない」(男性49.6%、女性45.3%)と「ボランティア活動に関する十分な情報がない」(男性36.1%、女性40.6%)が上位を占めています。特に現役世代にとっては、時間的制約が大きな壁となっています。
  • 支援ニーズとサービス提供のミスマッチ
    • 住民が本当に求める支援(例:高齢者のゴミ出し支援、子どもの一時預かり、ヤングケアラー支援)と、実際に提供されている画一的なサービスとの間に乖離が生じています。特に、複数の課題を抱え、既存の制度の狭間にいる人々に対応できるサービスが不足しています。

地域社会の課題

  • NPO・ボランティア団体の担い手不足と高齢化
    • 多くの団体で「役員の高齢化と次世代リーダーの不在」や「新しいメンバーの不足」が深刻な運営課題となっています。これは、前述のボランティア人口の減少と直結する問題です。
      • 客観的根拠:
      • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
        • 地域の自発的な課題解決活動が停滞・縮小し、やがて消滅することで、地域コミュニティの活力が失われます。
  • 財政基盤の脆弱性と収入源の偏り
    • 多くのNPOは、不安定な会費や事業収入に依存しており、活動の安定化に必要な寄付金収入が極めて少ない状況です。背景には、日本社会に寄付文化が十分に醸成されていないことや、税制優遇の対象となる認定NPO法人の数が少ないことがあります。
  • 団体間の連携不足と活動のサイロ化
    • NPO間、あるいはNPO・行政・企業といった異なるセクター間での情報共有や連携体制が不十分なため、各々が孤立して活動する「サイロ化」に陥りがちです。これにより、地域全体の資源が有効活用されていません。

行政の課題

  • 協働に対する職員の意識・ノウハウ不足
    • 行政職員側に、NPOを対等なパートナーとして尊重する意識や、協働事業を円滑に進めるための調整・企画能力といったノウハウが不足している場合があります。前例踏襲主義や縦割り行政の文化も、柔軟な連携の障壁となります。
      • 客観的根拠:
      • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
        • 形式的な連携に終わり、NPOの持つポテンシャルを最大限に引き出すことができず、協働の効果が限定的になります。
  • 支援制度の硬直性と手続きの煩雑さ
    • 補助金や委託事業の制度設計が画一的で柔軟性に欠け、単年度会計の原則に縛られることが多いです。また、申請や報告の手続きが煩雑なため、事務能力の低い小規模な団体にとっては活用しにくい制度になっています。
  • 協働の成果を評価する仕組みの欠如
    • 協働事業の成果について、事業費の執行額やイベントの参加人数といったアウトプット指標だけでなく、事業を通じて住民の行動や地域社会にどのような良い変化(アウトカム)がもたらされたかを評価する仕組みが十分に確立されていません。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

  • 各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。
    • 即効性・波及効果:
      • 課題解決に直結し、短期間で効果が現れるか。また、他の課題解決にも好影響を与えるか。
    • 実現可能性:
      • 財源、法制度、関係者の合意形成などの観点から、実現のハードルは高くないか。
    • 費用対効果:
      • 投じるコスト(予算、人員)に対して、得られる効果は大きいか。
    • 公平性・持続可能性:
      • 特定の団体だけでなく、広く多くの団体に裨益するか。一過性でなく、長期的に継続可能な仕組みか。
    • 客観的根拠の有無:
      • 課題の深刻さや支援策の有効性について、信頼できるデータや先進事例が存在するか。

支援策の全体像と優先順位

  • 本報告書では、課題分析に基づき、3つの戦略的アプローチを提案します。これらは相互に関連し、一体的に推進することで最大の効果を発揮します。
    • 【優先度:高】支援策①:NPO・ボランティア団体の経営基盤強化
      • 理由: 担い手であるNPO等の組織が脆弱では、いかなる協働も成り立ちません。ボランティア人口の減少とNPOの経営難という「デュアル・ディクライン」に歯止めをかけるため、人材・財源・デジタルの3つの側面から足腰を強化することが全ての土台となります。即効性と波及効果が最も高い施策です。
    • 【優先度:高】支援策②:セクター横断型協働エコシステムの構築
      • 理由: 個別の協働事業を点として行うのではなく、多様な主体が継続的に出会い、情報・資源を交換し、新たな連携が自律的に生まれる「場」と「仕組み」を構築することが、持続的な課題解決に不可欠です。組織基盤強化と並行して進めることで、相乗効果が期待できます。
    • 【優先度:中】支援策③:参加と共助の文化醸成
      • 理由: ボランティア人口の減少という根源的な課題に対応する、より長期的・根本的なアプローチです。即効性は低いですが、将来の地域社会の担い手を育み、持続可能性を左右する重要な未来への投資です。

各支援策の詳細

支援策①:NPO・ボランティア団体の経営基盤強化

目的
  • NPO・ボランティア団体が安定的・継続的に活動できるよう、人材、財源、情報発信の3つの側面から組織基盤を強化し、地域課題解決の担い手としての能力を向上させます。
主な取組①:人材育成・確保支援(伴走型支援プログラム)
  • 地域のNPO支援センターなどの中間支援組織と連携し、NPOの経営層や次世代リーダーを対象とした伴走型の経営支援プログラムを実施します。
  • 内容は、ファンドレイジング(資金調達)、人材マネジメント、広報・マーケティング、事業計画策定、デジタル活用など、組織運営に必要な専門スキル研修を体系的に提供します。
    • 客観的根拠:
      • 中間支援組織は、NPO支援のための「マネジメントノウハウ」の提供に強みを持っており、行政と協力して事業を実施することで、NPOのニーズに即した効果的な支援を展開できます。
主な取組②:財源多様化支援(寄付・クラウドファンディング促進)
主な取組③:デジタル・トランスフォーメーション(DX)支援
  • NPOの事務効率化(会計、会員管理等)や効果的な情報発信(ウェブサイト、SNS)、オンラインでの活動提供(イベント、相談会)を支援するため、安価に利用できるITツールの導入補助や、専門家による活用セミナーを定期的に実施します。
    • 客観的根拠:
      • 特別区内のNPO等のうち「デジタル化に十分対応できている」と回答した団体はわずか18.5%に留まっています。その課題として「専門知識・スキルを持つ人材の不足」(65.2%)、「導入・運用コストが高い」(48.9%)が挙げられており、人材とコスト両面での支援が必要です。
主な取組④:プロボノ・企業ボランティアのマッチング
  • 企業の従業員が持つ専門スキル(マーケティング、法務、IT等)を活かしてNPOの運営課題を解決する「プロボノ」や、企業単位でのボランティア活動を促進するため、区が仲介役となり、企業とNPOのマッチング会を定期的に開催します。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標):
    • 区内のNPO法人のうち、3年以内に常勤有給職員を1名以上雇用する法人の割合を現状から10ポイント増加させる。
    • データ取得方法: 内閣府「特定非営利活動法人に関する実態調査」の区内データ、または区が実施するNPO実態調査。
  • KSI(成功要因指標):
    • 区内NPO法人の寄付金収入総額(ふるさと納税を含む)を3年間で1.5倍にする。
    • データ取得方法: 区独自のNPO実態調査、ふるさと納税制度の実績報告。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標:
    • 経営支援プログラム参加団体のうち、プログラム終了後1年以内に新たな財源獲得や人材確保に成功した団体の割合。
    • データ取得方法: プログラム参加団体への追跡アンケート調査、ヒアリング調査。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標:
    • 経営支援プログラムの年間開催回数及び延べ参加団体数。
    • ふるさと納税制度を通じたNPOへの年間寄付総額及び寄付者数。
    • プロボノ・企業ボランティアの年間マッチング成立件数。
    • データ取得方法: 各事業の実施報告書。

支援策②:セクター横断型協働エコシステムの構築

目的
  • 行政、NPO、企業、大学、地域団体等が、組織の壁を越えて出会い、情報・資源を共有し、新たな連携が自律的に生まれるためのプラットフォーム(物理的・オンライン上の「場」と「仕組み」)を構築します。これにより、個別の課題解決から、地域全体の課題解決力を高める協働のエコシステム(生態系)へと転換させます。
主な取組①:オンライン協働推進プラットフォームの構築・運営
  • 「地域の課題(ニーズ)」と「NPOや企業等が持つ解決策(シーズ)」を可視化し、ウェブ上でマッチングを促進するデジタルプラットフォームを構築・運営します。
  • プラットフォームには、各団体の活動情報、イベントカレンダー、ボランティア募集情報、助成金情報などを一元的に集約・発信し、ワンストップで情報が得られるようにします。
主な取組②:テーマ別官民連携ラウンドテーブルの定例開催
  • 「子育て支援」「防災・減災」「環境保全」「高齢者支援」「デジタルデバイド解消」など、特定の社会課題をテーマにした対話の場(ラウンドテーブル)を四半期に一度開催します。
  • 課題に関心のあるNPO、企業、行政担当課、研究者、住民等がフラットな立場で集まり、課題の共有、先進事例の学習、連携プロジェクトの組成を行います。横浜市の「リビングラボ」の考え方を参考に、当事者中心の課題解決を目指します。
主な取組③:協働事業の提案・相談窓口の一本化と伴走支援
  • NPOや企業からの協働に関するあらゆる提案や相談をワンストップで受け付ける「協働推進課(仮称)」を区役所内に設置します。
  • 世田谷区の「提案型協働事業」を参考に、NPO等からの自由な発想による事業提案を積極的に受け付け、担当課との調整や事業化に向けた計画策定を専門のコーディネーターが伴走支援します。
主な取組④:協働に関するガイドラインの策定と研修の実施
  • 協働の基本原則(対等性、相互理解、自主性の尊重等)、役割分担、情報公開、成果の評価方法などを分かりやすく定めた「協働推進ガイドライン」を、NPO等との対話を通じて策定し、公開します。
  • 区職員及びNPO関係者を対象に、このガイドラインの理解促進と、ファシリテーションや合意形成などの協働スキルを向上させるための合同研修を定期的に実施します。
    • 客観的根拠:
      • 協働事業の成功要因として「目的を共有し合うこと」「対等な関係」「十分な対話」「互いの違いを尊重すること」が重要であり、これらを制度的に担保するガイドラインの策定は、円滑な協働の基盤となります。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標):
    • 区内で実施される、3つ以上の異なるセクター(行政、NPO、企業、大学等)が連携する協働事業件数を3年間で2倍にする。
    • データ取得方法: 協働推進プラットフォームの登録データ、区の事業報告書。
  • KSI(成功要因指標):
    • オンライン協働推進プラットフォームを介して成立した新規マッチング件数を年間50件以上とする。
    • データ取得方法: プラットフォーム上の実績データ、関係者へのヒアリング。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標:
    • ラウンドテーブル参加者のうち、「新たな連携のきっかけが得られた」と回答した者の割合を70%以上とする。
    • データ取得方法: イベント終了後のアンケート調査。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標:
    • オンラインプラットフォームへの年間団体登録数、情報掲載件数。
    • ラウンドテーブルの年間開催回数及び延べ参加者数。
    • 協働相談窓口の年間相談件数及び事業化に至った件数。
    • データ取得方法: 各事業の実施報告書。

支援策③:参加と共助の文化醸成

目的
  • ボランティア参加率の低下という構造的課題に対し、子ども・若者世代から現役世代、高齢者まで、多様な世代が自らの関心やスキルに応じて地域活動に参加できる機会を創出し、「支え合い」が当たり前となる地域文化を地域に根付かせます。
主な取組①:大学・高校との連携によるサービスラーニングの推進
  • 京都市の先進事例を参考に、区内及び近隣の大学・高等学校と包括連携協定を締結します。
  • 学生が地域やNPOでのボランティア活動を通じて地域課題を学び、それが大学等の単位として認定される「サービスラーニング」プログラムの導入を、大学とNPOの双方に働きかけ、コーディネートします。
    • 客観的根拠:
      • 京都市では大学との連携により、学生がまちづくりに参画し、空き店舗活用やイベント運営、情報発信などで地域の活性化に貢献する多数の事例が生まれています。
      • 大学連携は、学生に教室では得られない実践的な学びの機会を提供し、地域に若者の斬新な発想や活気をもたらす効果があります。
主な取組②:地域貢献活動の「見える化」とインセンティブ付与
  • ボランティア活動の時間や内容をスマートフォンアプリ等で記録・認証し、活動に応じて地域商店街で使えるポイントや、協力企業・施設での割引など、ささやかなインセンティブ(動機付け)を付与する仕組みを検討・導入します。
  • 活動の様子を区の広報誌やウェブサイト、SNSで積極的に紹介し、活動者の功績を称え、ボランティア活動の社会的な評価を高めます。
主な取組③:小中学校における市民活動・NPOに関する学習機会の提供
  • 総合的な学習の時間などを活用し、地域のNPO職員や活動家をゲストティーチャーとして学校に招き、身近な地域の課題やその解決に向けた活動について学ぶ出前授業を、教育委員会と連携して実施します。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標):
    • 区民のボランティア活動行動者率を、次回の社会生活基本調査(令和8年実施予定)において、前回調査(令和3年)の結果から5ポイント上昇させることを目指す。
    • データ取得方法: 総務省「社会生活基本調査」の公表データ。必要に応じて区単位での特別集計を依頼。または、区が隔年で実施する区民意識調査。
  • KSI(成功要因指標):
    • 区内の大学・高等学校におけるサービスラーニング関連科目の導入校数及び年間参加学生数。
    • データ取得方法: 大学・高校との連携協定に基づく実績報告。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標:
    • サービスラーニング参加学生のうち、プログラム終了後も何らかのボランティア活動を継続している学生の割合を30%以上とする。
    • データ取得方法: プログラム参加学生への卒業時等の追跡アンケート調査。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標:
    • 大学・高等学校との包括連携協定の締結数。
    • NPOによる小中学校への年間出前授業の実施回数及び延べ参加児童・生徒数。
    • 地域貢献活動の見える化・インセンティブ付与システムの年間登録者数及び活動認証件数。
    • データ取得方法: 各事業の実施報告書。

先進事例

東京都特別区の先進事例

  • 世田谷区「提案型協働事業」
    • 区が抱える行政課題に対してNPO等から事業提案を公募する「行政提案型」と、NPO等が自由な発想で地域の課題解決を提案する「市民提案型」の2つのタイプを持つ、柔軟な協働事業制度です。NPO等を対等なパートナーとして位置づけ、その自主性や専門性を最大限に活かすことを目指しています。例えば、NPO法人元気ネットによる食品ロス削減の普及啓発事業や、NPO法人neomuraによる区の遊休地を活用したコミュニティ農園づくり「タマリバタケ」など、行政だけでは生まれにくい多様な協働が生まれています 。
    • 成功要因: NPOの発想を起点とするボトムアップ型のアプローチを制度として確立している点です。これにより、行政の縦割りを越えた創造的な解決策を創出しています 。また、中間支援組織である世田谷ボランティア協会が区とNPOの間に入り、専門的な知見から円滑な事業推進をサポートしている点も重要な成功要因です 1
  • 渋谷区「ふるさと納税を活用した認定NPO法人支援」
    • ふるさと納税制度を利用し、寄付者が支援したい区内の認定NPO法人を選んで寄付できる画期的な仕組みです。区は寄付のプラットフォームを提供し、集まった寄付金から事務経費等を差し引いた額をNPOに交付します 。これにより、NPOは新たな財源を獲得し、寄付者は税制優遇を受けながら自らの意思で社会貢献に参加できます。認定NPO法人フローレンスは、この制度を通じて令和5年度に約8,300万円の支援を受け、ひとり親家庭への病児保育支援や予期せぬ妊娠に悩む女性の相談支援事業などに活用しました 。
    • 成功要因: NPOの最大の課題である財源多様化に対し、既存の制度(ふるさと納税)を創造的に活用した点にあります。寄付者にとっても「税金の使い道を選べる」という分かりやすい魅力があり、新たな寄付層の開拓に繋がっています。
  • 千代田区「公民連携推進事業(ネズミ対策ごみ袋)」
    • 繁華街におけるネズミ被害という地域課題に対し、地域の事業者(商店会等)や専門企業と連携して取り組んだ事例です。ネズミが嫌う忌避効果のある香料を添加したごみ袋を専門企業と共同で開発・製作し、地域の排出事業者に提供して効果を検証しました 3。これは、行政、地域事業者、専門企業がそれぞれの知見や資源を持ち寄って課題解決にあたる公民連携(PPP)の好例です。
    • 成功要因: 行政が単独で解決しようとするのではなく、課題に最も知見を持つ民間事業者(ごみ袋メーカー)や、課題の当事者である地域事業者(商店会)を対等なパートナーとして巻き込み、具体的な解決策(製品開発と実証実験)に繋げた点です。

全国自治体の先進事例

  • 横浜市「リビングラボを活用した共創の推進」
    • 横浜市は、市民、NPO、企業、大学等が対話を通じて地域課題を解決する「共創」を推進しています 4。その具体的な手法の一つが「リビングラボ」です。これは、実際の生活現場(Living)を実験室(Lab)に見立て、サービスの利用者(市民)と提供者が一緒になって新しいサービスや製品を開発・実証するオープンイノベーションの手法です 5。例えば、団地の高齢化という複合的な課題に対し、住民、NPO、大学、企業が連携して持続可能な団地づくりを目指す「すすきの団地リビングラボ」などの活動が行われています 6
    • 成功要因: 行政が事業を委託する「協働」から一歩進んだ「共創(Co-creation)」を理念として掲げ、課題設定や解決策の考案といった上流のプロセスから多様な主体が深く関与する仕組みを構築している点です。これにより、利用者の真のニーズに即した、実効性の高い解決策が生まれます。
  • 京都市「『大学のまち』を活かした学生との協働」
    • 京都市は、市内に多数の大学が立地する「大学のまち」という地域資源を最大限に活用し、学生のまちづくり参加を積極的に推進しています 。(公財)大学コンソーシアム京都を拠点とし、学生が地域活動やNPO活動に参加する多様なプログラムを展開しています 8。例えば、学生が地域の竹林整備や不法投棄問題の解決に労働力とアイデアを提供したり、商店街の活性化イベントを企画・運営して情報発信を担ったりするなど、多岐にわたる活動が行われています 9
    • 成功要因: NPOや地域コミュニティが抱える「担い手不足・高齢化」という課題と、学生が求める「社会と関わる実践的な学びの機会」というニーズを巧みにマッチングさせている点です。これにより、地域は活性化し、学生は成長でき、大学は社会貢献を果たせるという「三方よし」の関係性を築いています。

参考資料[エビデンス検索用]

まとめ

 NPO・ボランティア団体等との連携は、複雑化する地域課題を解決し、共助社会を築く上で不可欠な戦略です。しかし、その基盤であるボランティア参加率は歴史的な水準まで急落し、多くのNPOは脆弱な経営基盤の上で活動しているという厳しい現実に直面しています。今、行政に求められるのは、個別の協働事業を増やすこと以上に、NPOの足腰を組織として強化し、多様な主体が連携しやすいエコシステムを構築し、そして市民参加の文化そのものを地域に再興するという、より構造的・戦略的なアプローチへの転換です。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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あらゆる行政情報を分野別に構造化
行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。
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