09 DX

ICT活用による校務効率化

masashi0025

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(ICT活用による校務効率化を取り巻く環境)

  • 自治体がICT活用による校務効率化を行う意義は、「教員の働き方改革を通じた教育の質の向上」と「デジタル社会に対応した持続可能な教育基盤の構築」にあります。
  • GIGAスクール構想による全国的な1人1台端末の配備完了に伴い、国の政策の主眼はハードウェアの整備から、その利活用へと移行しました。これは、教育現場全体の変革を目指す「教育DX(デジタル・transuformation)」の中核をなす動きです。
  • しかし、こどもたちの「学習系」で進む最先端のICT環境と、教職員が日常業務で用いる「校務系」のシステムとの間には深刻な乖離が存在します。多くの学校で校務システムは旧態依然としており、教員の長時間労働の根本原因となっています。本記事では、この喫緊の課題を解決するための具体的な方策を、客観的データに基づき提言します。

意義

こどもにとっての意義

教育の質の向上

保護者にとっての意義

コミュニケーションの円滑化と利便性向上

学校・教師にとっての意義

働き方改革の推進と業務負担の軽減
  • 成績処理、出欠管理、指導要録作成といった定型業務を統合型校務支援システムで一元化・自動化することで、データの転記作業や手作業による集計といった非効率な業務を抜本的に削減できます。
    • 客観的根拠:
      • 熊本県の事例では、Webアンケートフォームの活用で欠席連絡の対応時間が年間約33時間、グループウェアによる職員間の情報共有で年間約43時間もの削減効果が試算されています。
      • (https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/216300.pdf)
  • システムがクラウド化されることで、職員室の特定の端末に縛られることなく、安全な環境下でどこからでも校務を行えるようになり、テレワークなど柔軟な働き方の実現や、災害・感染症流行時における業務継続性の確保につながります。

地域社会にとっての意義

安全・安心な情報共有

行政にとっての意義

データに基づく政策立案(EBPM)の実現
行政事務の効率化

(参考)歴史・経過

2000年代:教育の情報化黎明期
  • 国の「e-Japan戦略」などを背景に、学校へのコンピュータ設置やインターネット接続といった基本的なインフラ整備が始まりました。
2010年代:「教育の情報化ビジョン」と環境整備計画
  • 文部科学省が「教育の情報化ビジョン」や「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」を策定し、計画的なICT環境整備を目指しました。しかし、財政的な課題から児童生徒3人に1台のコンピュータ整備目標は達成されませんでした。
  • この時期に策定された「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に基づき、多くの自治体で「学習系」と「校務系」のネットワークが厳格に分離され、これが後のDX推進における大きな技術的障壁となりました。
  • 「校務支援システム」の導入が各地で始まりましたが、多くは各学校のサーバーで管理するオンプレミス型が主流でした。
2019年:GIGAスクール構想の始動
  • 新型コロナウイルス感染症のパンデミックを契機に、国の政策が大きく転換しました。こどもたちの学びを保障するため、補正予算が組まれ、前例のないスピードで「1人1台端末」と高速大容量の通信ネットワークが全国の学校に整備されました。
  • この段階では、整備の重点はあくまで授業で活用する「学習系」の環境に置かれていました。
2022年以降:教育DXへの転換
  • ハードウェア整備が一段落し、政策の焦点はICTを教育活動全体に変革をもたらす「教育DX」へと移行しました。
    • (https://surala.jp/school/column/4150/)
  • デジタル庁などが「教育データ利活用ロードマップ」を策定し、学習データと校務データの連携の重要性を指摘しました。
  • 文部科学省は「次世代の校務DX」という方針を打ち出し、令和11年度(2029年度)までに「次世代型校務支援システムの導入率100%」「ロケーションフリーでの校務処理実現率100%」という具体的な目標を掲げ、校務系の抜本的な改革へと舵を切りました。

ICT活用による校務効率化に関する現状データ

教員の長時間勤務の実態
  • 文部科学省の最新の「教員勤務実態調査(令和4年度)」によると、平成28年度の前回調査と比較して在校等時間はやや減少したものの、依然として極めて高い水準にあります。
  • 特に注目すべきは、在校等時間の減少の一方で、平日の「持ち帰り時間」が増加している点です。小学校で前回調査比8分増、中学校で12分増となっており、業務の総量が減るのではなく、業務を行う場所が学校から家庭へシフトしている実態がうかがえます。これは、校務の根本的な効率化が進んでいないことの証左と言えます。
統合型校務支援システムの導入状況の推移
クラウド化とネットワーク統合の遅れ
  • 令和3年5月時点で、校務支援システムのサーバーがインターネットに接続されている割合は48.7%に過ぎず、多くの自治体でリモートアクセスが物理的に不可能な状況でした。
  • 令和7年3月の調査では、校務系と学習系のネットワークを「統合する方針」を持つ自治体が44%まで増加した一方、「分離を維持する方針」の自治体も依然として45%存在します。歴史的にセキュリティを理由として分離されてきたネットワーク構成が、現代の柔軟な働き方やデータ連携を阻む最大の技術的障壁となっています。
    • (https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=671)
校務系・学習系データの連携不足
校務DXの具体的な取組状況(デジタル庁ダッシュボードより)
  • 教員-保護者間連絡
    • 欠席・遅刻連絡のデジタル化実施率は全国で88.5%、学校からの配布物のデジタル化実施率は92.5%と、非常に高い水準で進んでいます(令和7年6月時点)。
  • 校内連絡
    • 校内での情報共有のデジタル化実施率は98.6%に達する一方、FAXの原則廃止は87.7%、押印の原則廃止は78.4%にとどまり、旧来のアナログな業務プロセスが根強く残っていることが示されています。
  • 東京都特別区の状況
    • デジタル庁のダッシュボードを分析すると、特別区の多くは保護者連絡や校内情報共有のデジタル化率が100%に達しており、全国をリードしています。しかし、押印やFAXの廃止については区によって進捗にばらつきが見られ、先進地域である東京においても、長年の慣行を完全に刷新することの難しさを示唆しています。
    • (https://www.digital.go.jp/resources/govdashboard/school-affairs-dx)

課題

こどもの課題

ICT活用による健康・生活習慣への懸念
ネットいじめ・トラブルのリスク
  • 1人1台端末が、こども間の新たなネットいじめやトラブルの温床となるリスクがあります。教員や保護者がこうした問題に適切に対応するための知識や体制が不可欠です。

保護者の課題

デジタルデバイドと情報格差
  • 全ての保護者がデジタルツールに習熟しているわけではなく、急激なデジタル化は、ICTが苦手な保護者を情報から取り残してしまう可能性があります。
    • 客観的根拠:
      • ICT導入の初期段階では、教員だけでなく保護者への丁寧な説明とサポートが不可欠であることが指摘されています。
      • (https://reseed.resemom.jp/article/2021/08/27/2171.html)
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 学校からの重要な連絡が一部の保護者に届かず、こどもの教育機会に不公平が生じます。
連絡手段の乱立による混乱
  • 欠席連絡はAアプリ、お便り配布はBシステム、成績確認はCサイト、といったように用途別に異なるツールが導入されると、保護者は複数のID・パスワードを管理する必要が生じ、かえって負担が増大します。
    • 客観的根拠:
      • 熊本県の事例では、連絡手段を一つのシステムに「一元化」することが、保護者の利便性向上と学校側の業務省力化を同時に実現する鍵であると示されています。
      • (https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/216300.pdf)
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 保護者の利便性が損なわれ、学校への不信感やコミュニケーション不全を招きます。

学校・教師の課題

統合されていないシステムによる二重入力の手間
  • 「校務系」と「学習系」のシステムが連携していないため、教員は同じ児童生徒の名簿や情報を双方のシステムに手入力する非効率な作業を強いられています。
クラウド化の遅れによる柔軟な働き方の阻害
  • 校務支援システムが学校内のサーバー(オンプレミス)で運用されている場合、教員は校務を行うために必ず出勤し、職員室の特定のPCを使わなければなりません。これはテレワーク等の柔軟な働き方を物理的に不可能にし、働き方改革の理念と真っ向から対立します。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 教員の働き方改革が掛け声倒れに終わり、長時間労働が是正されず、優秀な人材の確保が困難になります。
ICT活用スキルの格差と研修不足
  • 教員間のICTスキルには大きな差があり、特に校務の効率化に結びつくような実践的な研修の機会が不足しています。これにより、導入されたツールが十分に活用されない「宝の持ち腐れ」状態が生じています。

行政の課題

財政負担の増大(維持・更新コスト)
  • 既存のオンプレミス型システムの維持管理費用に加え、新たなクラウドシステムへの移行費用が自治体の財政を圧迫しています。特にシステムの改修や更新には多額の費用が必要となります。
専門人材(ICT支援員)の不足
  • 教員がICTを円滑に活用するためには、技術的・実践的なサポートを行うICT支援員の存在が不可欠ですが、その配置は国の目標(4校に1人)に遠く及ばないのが現状です。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 教員がICT機器のトラブル対応に追われ、授業や校務が停滞し、ICT活用そのものへの意欲が削がれてしまいます。
自治体間の格差
  • 校務DXへの取り組みは、自治体の財政力や首長のリーダーシップによって大きな差が生じています。これにより、教員の労働環境やこどもたちが受ける教育の質に地域間格差が生まれています。
    • 客観的根拠:
      • 次世代校務支援システムの導入率が都道府県によって0%から67%まで大きな開きがあるなど、自治体間のデジタルデバイドが深刻化しています。
      • (https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=671)
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 居住する自治体によって教育の機会均等が損なわれ、社会全体の不平等を助長します。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

  • 即効性・波及効果
    • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、単一の課題解決にとどまらず、複数の課題解決や多くの関係者(教員、保護者、こども)への便益につながる施策を高く評価します。
  • 実現可能性
    • 現在の法制度、予算、人員体制の中で実現可能な施策を優先します。既存の仕組みやリソースを活用できる施策は、新たな体制構築が必要な施策より優先度が高くなります。
  • 費用対効果
    • 投入する経営資源(予算・人員等)に対して、得られる業務削減時間や教育の質の向上といった効果が大きい施策を優先します。
  • 公平性・持続可能性
    • 特定の学校や教員だけでなく、全ての学校・教職員に便益が及び、一時的な効果でなく長期的に効果が持続する施策を高く評価します。
  • 客観的根拠の有無
    • 国の調査データや先進自治体の成功事例など、効果が客観的なエビデンスによって裏付けられている施策を優先します。

支援策の全体像と優先順位

  • ICTによる校務効率化は、**「①基盤整備」「②人的支援」「③業務改革」の3つの階層で捉える必要があります。強固で柔軟な「基盤」なくして効果的な「人的支援」は行えず、その両方が揃って初めて、真の「業務改革」**が可能となります。この論理的な依存関係に基づき、優先順位を設定します。
  • 最優先(Priority 1):支援策① 次世代校務DX基盤の整備推進
    • 全ての効率化の前提となるクラウドベースの統合システム環境を構築します。これがなければ、他の施策は対症療法に過ぎず、根本的な課題解決には至りません。
  • 優先(Priority 2):支援策② 現場を支える人的・組織的サポート体制の強化
    • 優れたシステムも、使いこなせる人がいなければ意味を成しません。基盤整備と並行して、教員が安心してICTを活用できる支援体制を構築することが不可欠です。
  • 推奨(Priority 3):支援策③ 業務プロセスの標準化とデジタル化の徹底
    • 基盤と支援体制が整った上で、具体的な業務プロセス(保護者連絡、会議運営等)のデジタル化を徹底します。これにより、日々の業務負担が目に見えて軽減されます。

各支援策の詳細

支援策①:次世代校務DX基盤の整備推進

目的
主な取組①:統合型校務支援システムのクラウド移行(SaaS化)促進
  • 各区が個別にサーバーを管理するオンプレミス型システムから、専門事業者が提供するクラウドサービス(SaaS)への移行を強力に推進します。
  • これにより、サーバー管理の負担とコストを削減し、システムの自動更新やセキュリティ対策の強化、場所を選ばないアクセス環境を実現します。
  • 移行に必要な初期費用やデータ移行作業に対して、重点的に補助を行います。
    • 客観的根拠:
      • 令和7年の調査では、次世代システムを検討する自治体の主流はSaaS型となっており、クラウド化が標準的な流れであることが示されています。
      • (https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=671)
主な取組②:校務系・学習系ネットワークの統合とゼロトラストセキュリティの導入
  • 従来の分離されたネットワーク構成を見直し、両ネットワークの安全な統合を技術的に支援します。
  • 「何も信頼しない」ことを前提にあらゆるアクセスを検証する「ゼロトラストセキュリティ」モデルを導入することで、教員が校外からでも安全に校務データにアクセスできる環境を構築します。
主な取組③:都道府県・政令市を参考とした共同調達・共同利用の推進
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 次世代校務支援システム導入自治体率:100%(令和11年度目標)
      • データ取得方法: 文部科学省・デジタル庁による自治体調査
  • KSI(成功要因指標)
    • 統合型校務支援システムのクラウド(SaaS)化率:80%(令和9年度目標)
      • データ取得方法: 自治体ICT整備状況調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 教職員による校務システムの自宅・遠隔地からの利用率:50%
      • データ取得方法: 教職員アンケート、システムアクセスログ分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 共同調達に参加する特別区の割合:80%
      • データ取得方法: 東京都教育委員会による実施状況調査

支援策②:現場を支える人的・組織的サポート体制の強化

目的
  • 全ての教員がICTスキルに不安を感じることなく、導入されたシステムを効果的に校務効率化に活用できるよう、専門的かつ実践的なサポート体制を構築し、教員間のスキル格差を解消します。
主な取組①:ICT支援員の配置拡充と役割の明確化
  • 国の目標である「4校に1人」のICT支援員配置を実現するため、財政支援を強化します。
  • 支援員の役割を、単なる機器のトラブル対応だけでなく、教員の校務プロセス改善を支援する「業務改善コンサルタント」としても位置づけ、具体的な業務効率化の提案や操作支援を行えるよう、研修や情報共有を強化します。
主な取組②:ヘルプデスクの共同設置・運営
主な取組③:実践的な校務DX研修プログラムの開発・提供
  • 「ボタンの押し方」を教えるだけの研修ではなく、「Webフォームと共有フォルダを活用して、保護者アンケート業務の印刷・配布・回収・集計をゼロにする方法」といった、具体的な業務改善に直結する実践的な研修プログラムを開発し、動画配信などで提供します。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
  • KSI(成功要因指標)
    • ICT支援員の配置率:1名/4校
      • データ取得方法: 教育委員会の人員配置データ
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 教員1人あたりのヘルプデスクへの問い合わせ解決満足度:90%
      • データ取得方法: ヘルプデスク利用後アンケート調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 校務DX研修の教員受講率:100%(対象者)
      • データ取得方法: 研修管理システムの受講記録

支援策③:業務プロセスの標準化とデジタル化の徹底

目的
  • 紙、電話、手書き、押印といった非効率なアナログ業務を撲滅し、校務プロセスをデジタル前提で再設計(BPR)することで、教員の業務負担を抜本的に軽減します。
主な取組①:保護者連絡・アンケートの完全デジタル化
  • 欠席連絡、お便り配布、アンケート、面談調整など、保護者との全てのやり取りを、原則として統一されたデジタルプラットフォーム(連絡アプリやWebフォーム等)に一本化することを推進します。
  • 各業務のデジタル化による具体的な時間削減効果を算出し、導入のメリットを可視化します。
    • 客観的根拠:
      • 熊本県の詳細な試算によれば、欠席連絡のデジタル化で年間約33時間、お便り配布のデジタル化で年間約7時間、アンケート業務で年間3~12時間の業務削減が見込めます。
      • (https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/216300.pdf)
主な取組②:会議のペーパーレス化と意思決定の迅速化
  • 全ての会議資料をクラウド上の共有フォルダで事前共有することを原則とし、会議のペーパーレス化を徹底します。
  • 日常的な情報共有や簡単な意見交換はチャットツール等を活用し、会議そのものの数と時間を削減します。
    • 客観的根拠:
      • 熊本県の試算では、文書回覧のデジタル化で年間約10時間、会議のペーパーレス化で年間約6時間の削減効果があります。奈良市では職員朝礼の時間を年間16~32時間削減することに成功しています。
      • (https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/216300.pdf)
      • (https://edu.watch.impress.co.jp/docs/report/1672643.html)
主な取組③:押印・手書き文化からの脱却
  • 校内で使用される各種申請書や報告書について「押印原則廃止」のガイドラインを策定し、電子決裁ワークフローの導入を支援します。
  • 手書きが前提となっている帳票類をデジタル様式に統一します。
    • 客観的根拠:
      • デジタル庁の調査で「押印の原則廃止」の実施率は78.4%と他の項目に比べて低く、慣習からの脱却には行政からの強力な後押しが必要であることを示しています。
      • (https://www.digital.go.jp/resources/govdashboard/school-affairs-dx)
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 教員1人あたりの校務関連業務時間:20%削減
      • データ取得方法: 教員勤務実態調査、業務量タイムスタディ調査
  • KSI(成功要因指標)
    • 保護者連絡のデジタル化率(欠席連絡・お便り配布):100%
      • データ取得方法: デジタル庁 校務DXダッシュボード
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 学校における印刷用紙の消費量:50%削減
      • データ取得方法: 各学校の消耗品購入実績データ
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 押印を必要としない電子決裁プロセスの導入率:90%
      • データ取得方法: 自治体・学校の業務プロセス調査

先進事例

東京都特別区の先進事例

千代田区「ちよだスマートスクール構想」

  • 取り組み
    • 先進的なICT環境整備を早期から推進し、学習用・校務用・持ち帰り用の機能を1台で兼ねる「1台3役」の教職員用端末を導入しました。
    • シングルサインオン(SSO)による強固なセキュリティを確保しつつ、将来的には学習データ(スタディログ)と校務情報の連携を見据えたシステムを構築しています。
  • 成功要因

渋谷区「LTEタブレットと校務支援システムの活用」

  • 取り組み
    • 全ての児童生徒・教員にLTE通信機能を内蔵したタブレットを配備し、学校内外を問わないシームレスなネットワーク接続環境を実現しました。
    • 校務支援システムはセキュリティが確保された専用回線を通じて利用可能とし、教員が場所を選ばずに校務を行える環境を整備しました。
  • 成功要因

港区「Next“GIGA”とクラウド活用」

  • 取り組み
    • Microsoft Teamsなどのクラウドツールを全面的に活用し、教職員間の情報共有、会議、研修などをオンライン化しました。
    • これにより、職員会議の回数削減や資料印刷の完全なペーパーレス化を実現しています。
  • 成功要因

全国自治体の先進事例

熊本県「ICTを活用した働き方改革事例集」

  • 取り組み
    • 教職員間の連絡、会議、保護者対応、成績処理といった具体的な校務項目ごとに、ICTを活用した場合の「年間削減時間」を詳細に算出し、具体的なツールと共に「事例集」として公開しています。
  • 成功要因
    • 「効果の可視化」にあります。「欠席連絡のオンライン化で年間33時間削減」といった定量的なデータを示すことで、現場の教員がICT活用のメリットを具体的に理解し、導入への動機付けを強力に促しました。この事例集は、他自治体がそのまま参考にできる実践的なマニュアルとなっています。
    • (https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/216300.pdf)

奈良市「フルクラウド化と業務の抜本的見直し」

  • 取り組み
    • 「学校によくある無駄な時間」を徹底的に削減するという方針のもと、職員朝礼や朝の欠席連絡の電話対応を原則廃止しました。
    • 全ての連絡・情報共有をクラウド上のポータルサイトに集約し、保護者からの連絡もWebフォームに一本化しました。
  • 成功要因
    • 既存業務のやり方をデジタルに置き換えるのではなく、「業務のやり方そのものを変える」という強いリーダーシップと発想の転換にあります。これにより、朝の電話対応だけで年間約66時間という劇的な時間削減を実現し、その時間をこどもと向き合う時間に再配分しています。
    • (https://edu.watch.impress.co.jp/docs/report/1672643.html)

参考資料[エビデンス検索用]

政府・省庁関連資料
自治体・関係団体資料
シンクタンク・企業等調査資料

まとめ

 GIGAスクール構想によるハードウェア整備から、真の教育DXへと移行するためには、戦略の主眼を校務の効率化へと転換することが不可欠です。1人1台端末が普及したにもかかわらず教員の長時間労働が続く現状は、教員を支えるシステムと業務プロセスが時代に取り残されていることを示しています。この課題を解決するため、行政は「クラウドを前提とした次世代DX基盤の整備」「ICT支援員など現場を支える人的体制の強化」「紙と電話を撲滅する業務プロセスの標準化・デジタル化」という3つの支援策を統合的に推進すべきです。先進自治体の定量的な成功事例に学び、テクノロジーへの投資を、教員の業務負担の確実な軽減と、こども一人ひとりへの教育の質の向上へと結実させることが、今まさに求められています。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

ABOUT ME
行政情報ポータル
行政情報ポータル
あらゆる行政情報を分野別に構造化
行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。
記事URLをコピーしました