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政権流動化時代を読み解く:国政主要政党の徹底分析と新総理3候補の政策展望

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。

概要

 この記事では、もしも日本の政治が大きな分かれ道に立たされたら…という、架空だけれども、ありえそうなシナリオを分析し、東京都特別区の職員の皆さまが政策を考える上で欠かせない客観的な情報をお届けすることを目的としています。自由民主党(自民党)の高市早苗新総裁が誕生したことをきっかけに、長年のパートナーだった公明党が連立政権から離れるという設定の下、国会はどの政党も単独で過半数を持たない「ハングパーラメント(宙吊り国会)」状態に陥りました。この「政治の空白」によって、次の総理大臣が誰になるのか、そして日本の政治がどこへ向かうのかが、全く見えなくなってしまいました。この記事ではまず、この政治の大きな動きの背景と、衆議院での各政党の勢力図を整理します。次に、自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党、日本共産党など、日本の政治の舵を握る主要な政党の考え方、歴史、基本的な政策、そして最近の選挙結果を詳しく見ていきます。最後に、次の総理大臣の有力候補として考えられる高市早苗氏(自民党)、玉木雄一郎氏(国民民主党)、藤田文武氏(日本維新の会)の三人が就任した場合、政策がどう変わるのかを、経済、安全保障、国の仕組みの改革という視点から比べながら分析し、それぞれが私たちの自治体の仕事にどんな影響を与えるのかを考えていきます。

激動する国政:自公連立の解消と新総理選出の行方

背景:高市新総裁の誕生と連立政権の終わり

 日本の政治は、新しい時代を迎えました。保守的な考えを持つ重鎮、高市早苗氏が自由民主党の新しい総裁に選ばれた直後の10月10日、公明党が連立政権から離れることを表明した、というシナリオは、日本の政治の安定を根っこから揺るがす出来事です。1999年の小渕内閣から始まり、一時期を除いて20年以上も日本の政治の軸となってきた自民党と公明党の連立は、その歴史に幕を下ろしました。この連立解消の背景には、高市氏が代表する自民党の保守的な政策と、平和や福祉を大切にする公明党の考え方との間に、無視できないほどの考え方の違いがあったと考えられます。特に、憲法改正や安全保障についての考え方の違いが、最終的に別々の道を歩むきっかけになったのでしょう。この歴史的な連立の解消は、ただ政党の関係が変わったというだけでなく、日本の政策が決まる仕組みそのものが変わることを意味しています。

衆議院における勢力図(令和7年10月8日現在)

 この政治の大きな変化がもたらした危機的な状況は、衆議院の議席数を見ればはっきりとわかります。令和7年10月8日時点の会派ごとの議員数は以下の通りで、どの政党も、自分たちだけでは安定して国会を運営することができない状況です。

  • 自由民主党・無所属の会: 196議席
  • 立憲民主党・無所属: 148議席
  • 日本維新の会: 35議席
  • 国民民主党・無所属クラブ: 27議席
  • 公明党: 24議席
  • れいわ新選組: 9議席
  • 日本共産党: 8議席
  • その他会派・無所属: 18議席
  • 総議席数: 465議席
  • 過半数: 233議席

 この数字が示す一番の問題は、一番大きな政党である自民党が196議席と、過半数の233議席に37議席も足りない点です。連立を解消する前の自民党と公明党を合わせても220議席で、もともと盤石な基盤ではなかったことがわかります。この状況で、高市総裁を総理大臣とする新しい政権を作るためには、他の政党と新たに連立を組むか、あるいは閣外協力という形で協力してもらうことが欠かせません。これからの日本の政治は、どの政党がどう動くか、全く予想がつかない交渉の時代に入ったと言えるでしょう。

一つの時代の終わりと「キングメーカー」の台頭

 自民党と公明党の連立が終わったことは、単なる議席数の問題ではありません。それは日本の政治の仕組みそのものの大きな変化です。20年以上にわたり、この協力関係は自民党に二つの重要な安定させるための装置(バランサー)を提供してきました。一つは、公明党の強い組織票による「選挙の安定」、もう一つは、自民党の保守的な政策を穏やかな方向へ引き戻す「政策の安定」です。この安定装置がなくなった今、自民党の政権運営は根本的な見直しを迫られています。

 選挙において、自民党は都市部の厳しい選挙区で公明党の支援に大きく頼ってきました。この協力関係がなければ、これからの選挙で勝つことは非常に難しくなります。政策面では、公明党は憲法改正や安全保障政策で、自民党のタカ派的な動きに対する「ブレーキ役」を果たしてきました。高市氏が総裁になり、公明党が離れたことで、自民党の保守派が長年目指してきた政策を、制約なく進める可能性が出てきました。

 この「政治の空白」は、これまで中規模の政党だった日本維新の会(35議席)や国民民主党(27議席)を、政権の行方を決める「キングメーカー(王様を決める人)」へと押し上げました。彼らが自民党と手を組むのか、それとも野党としてまとまるのか、その決断が次の政権の形を決めます。自民党は今、これまでとは全く違う優先順位を持つ政党、つまり国の仕組みを根本から変えたい維新や、国民の所得向上を一番に考える国民民主党と、難しい政策の話し合いに臨む必要があります。この不安定な状況は、各党に自分たちの存在意義と政策の優先順位を問い直させています。特に維新と国民民主党は、これまで国政の中心になりにくかった自分たちが一番大事にしている政策(国の仕組みの改革や大規模な減税など)を、連立の話し合いのテーブルに乗せる絶好のチャンスを手にしたのです。

国政主要政党のプロファイル:理念・歴史・政策

自由民主党

概要と現状

 戦後の日本政治で、ずっと中心的な役割を担ってきた大きな保守政党です。その中には色々な考え方を持つグループ(派閥)があり、それらが集まることで、幅広い国民から支持を集めてきました。この記事のシナリオでは、高市早苗総裁のもと、安定多数を失い、2009年に野党になって以来、これまでで最も難しい政権運営を迫られています。

成り立ちと歴史的変遷

 1955年、左右に分かれていた社会党が再び一つになったことに対抗するため、自由党と日本民主党という保守勢力が合わさって結党されました。これにより、自民党が政権を担い、日本社会党が野党第一党として向き合う「55年体制」ができました。この体制のもと、自民党は日本の高度経済成長を引っ張っていき、人々の暮らしを豊かにしました。しかし、長い政権は時に政治とお金の問題などを生み、1993年には初めて政権から離れることになりました。その後、2009年から2012年にかけて再び野党を経験。1993年以降の政治は連立政権が当たり前になり、中でも公明党との長年のパートナーシップは、政権の安定に欠かせないものでした。

基本政策

 結党時の宣言で、議会制民主主義、個人の自由と尊厳、そして公共の福祉を大切にした自由な市場経済を基本の考え方として掲げています。具体的な政策の柱は、経済成長の実現、日米安全保障条約を軸とした外交・安全保障政策、そして党内の保守派が強く目指す憲法改正です。

前回選挙における評価

 2021年の第49回衆議院議員総選挙では、自民党だけで261議席を獲得し、公明党と合わせて安定多数を確保しました。しかし、この勝利は自民党への積極的な支持というよりは、野党がまとまりきれなかったことに助けられた面が強いと分析されています。連立が解消された今、その弱さがはっきりと表れた形です。

立憲民主党

概要と現状

 国会における野党第一党で、日本のリベラル・中道左派を代表する政党です。自民党政権に対抗する一番大きな勢力ですが、政権を担う力があることを示す点で課題があり、国民からの支持を大きく広げることができていません。

成り立ちと歴史的変遷

 そのルーツは、2009年から2012年まで政権を担った民主党にあります。現在の立憲民主党は、2017年の衆院選の直前、当時の民進党が事実上解党し、小池百合子氏が率いる保守系の希望の党へ合流する流れに反発した枝野幸男さんたちリベラルな考えを持つ議員が立ち上げたのが始まりです。その後も分裂や合流を繰り返し、その複雑な経緯は、党が一つにまとまることや、国民からの信頼を得る上での壁になっています。

基本政策

 党の綱領は、立憲主義(特に憲法9条を守ること)、草の根の民主主義、そして多様性を尊重する共生社会の実現を3つの柱にしています。主な政策には、格差をなくすこと、ジェンダー平等の推進、そして「原発ゼロ社会」の実現などが含まれます。

前回選挙における評価

 2021年の衆院選は、党にとって大きな痛手となりました。日本共産党を含む野党5党で候補者を一人に絞って選挙に臨みましたが、議席数は選挙前の110から96へと減ってしまいました。この結果は、共産党との協力に対する無党派層や中道層の警戒感が表れたものであり、自民党に代わる現実的な政権の選択肢として、国民にまだ認められていない現状がはっきりしました。

日本維新の会

概要と現状

 改革を掲げる保守・右派政党で、国政でどんどん力をつけて、野党第三党の地位を確立しました。自公連立が終わった新しい政治状況において、その動きがこれからの政治を大きく左右する、とても重要な存在になっています。

成り立ちと歴史的変遷

 もともとは、橋下徹氏が率いた地域政党「大阪維新の会」にあります。大阪都構想をはじめとする徹底した行政改革を掲げて大阪で大きな支持を集め、その勢いを背景に国政に進出しました。党の歴史は、これまでの政治の「当たり前」を壊し、国の仕組みを根本から変えるというテーマを一貫して掲げています。

基本政策

 党の政策は「改革」という一言にまとめることができます。その中心にあるのは、首相公選制の導入や一院制への移行を含む「国の仕組みの改革」、国から地方へ権限やお金を大きく移すことを目指す「地方分権」、そして議員報酬の削減によく表れているのが「身を切る改革」です。経済政策では、規制を緩め、歳出を削減することで民間の力を引き出す「小さな政府」を目指しています。

前回選挙における評価

 2021年の衆院選は、党にとって歴史的な大勝利となりました。議席数を11から41へと約4倍に増やし、野党の中で3番目の勢力へと大きく成長しました。この結果は、これまでの政治に不満を持つ都市部の有権者を中心に、「改革」を求める声が強い政治の力になりつつあることを示しました。

公明党

概要と現状

 宗教法人・創価学会を支持団体に持つ、中道的な考え方の政党です。「大衆とともに」を立党の精神に掲げ、福祉政策や平和主義を大切にしてきました。長年、自民党との連立で政権運営に深く関わってきましたが、この記事のシナリオでは連立を離れ、野党として自分たちの存在価値を改めて探していく立場に変わりました。

成り立ちと歴史的変遷

 1964年に結党。最初は野党として活動し、福祉を充実させること(例:児童手当法の成立)などを実現してきました。1993年の細川連立内閣で初めて与党に入り、その後、新進党への合流と分党を経て、1999年に自民党との連立政権を樹立。それ以降、日本の政治を安定させる重要な役割を果たしてきました。

基本政策

 「生命・生活・生存の人間主義」を掲げ、人々の暮らしの目線に立った政策を一番に考えています。具体的な政策としては、子育て支援や教育費の負担軽減、社会保障制度の充実といった福祉政策が中心です。また、憲法9条を守る平和主義も党の根本にある考え方であり、核兵器をなくすための世界に向けた取り組みを進めています。

前回選挙における評価

 2021年の衆院選では、選挙区での自民党との協力もあり、29議席から32議席へと議席を増やしました。これは、連立政権の中での存在感と、強い支持団体に支えられた選挙の強さを示す結果となりました。

国民民主党

概要と現状

 「改革中道」を掲げ、現実的な政策を提案することを大切にしている政党です。「対決より解決」をスローガンに、与党とも野党とも、政策ごとに協力したり反対したりする独自のポジションを取っています。政治の行方を決める鍵を握る可能性のある、重要な存在です。

成り立ちと歴史的変遷

 立憲民主党と同じく、そのルーツは旧民主党にあります。2018年に旧民進党と旧希望の党の一部が合流して結党されました。2020年に立憲民主党と合流するかどうかで党が分裂し、合流に参加しなかった玉木雄一郎代表らを中心に現在の新・国民民主党が再び結成されました。

基本政策

 党の政策は「人づくりこそ国づくり」「給料が上がる経済の実現」を二大スローガンとしています。経済政策では、消費税減税やガソリン税減税など、家庭の自由に使えるお金を直接増やすことを一番の課題としています。また、外交・安全保障では現実的な立場をとり、エネルギー政策では原子力発電の活用も認めるなど、特定の考え方にとらわれない政策が特徴です。

前回選挙における評価

 2021年の衆院選では、議席数を8から11へと伸ばしました。野党が協力する枠組みとは一線を画し、独自の政策を訴えたことが、これまでの野党に満足できない人たちの受け皿になったと考えられています。

日本共産党

概要と現状

 1922年に結党された日本で最も歴史の長い政党です。科学的社会主義を考え方の基礎に置き、今の社会の仕組みが持つ問題点を乗り越えることを目指しています。近年は、野党が協力する動きの中心として、存在感を示してきました。

成り立ちと歴史的変遷

 戦前は天皇制絶対の政治と侵略戦争に反対したため非合法とされ、厳しい弾圧を受けました。戦後、合法的な政党として再出発し、一貫して日米安全保障条約の廃棄と自衛隊の解消を主張してきました。1960年代以降は「議会を通じての改革」を掲げ、他の野党と協力する「統一戦線」という考え方を大切にしています。

基本政策

 外交・安保政策では、日米安保条約を廃棄し、対等で平等な新しい日米友好条約を結ぶことを目指しています。経済政策では、大企業や富裕層への課税を強化し、その財源で社会保障を充実させたり、消費税を5%に引き下げたりするとしています。また、ジェンダー平等の実現や気候危機対策(原発ゼロ、再生可能エネルギーへの転換)も大切な政策テーマです。

前回選挙における評価

 2021年の衆院選では、立憲民主党などと協力して臨みましたが、議席数を12から10へと減らしました。野党協力の象徴として注目されましたが、その考え方や政策が、より多くの人々の支持を得るまでには至らなかった、という結果でした。

その他の主要政党

れいわ新選組

 俳優の山本太郎氏が2019年に設立した政党です。「あなたを守ることから始まる」をスローガンに、お金をどんどん使って経済を立て直し、弱い立場の人を救うことを掲げています。主な政策は、消費税の廃止、全国民への現金給付、奨学金チャラなど、デフレから抜け出すために、国が大胆にお金を使う政策です。2021年衆院選では3議席を獲得しました。

参政党

 2020年に「投票したい政党がないから自分たちで作る」を合言葉に結成された国民参加型の政党です。「食と健康、環境保全」「国のまもり」などを重点政策に掲げ、これまでの政治とは違うユニークな主張で支持を広げています。2022年の参院選で国政政党となり、2024年の衆院選では3議席を獲得しました。

分裂する野党と考え方の深い溝

 現在の国会情勢を分析する上で、「野党」を一つの塊として見ることは、もはや現実的ではありません。そこには、政策の根本に関わる、考え方の深い溝が存在します。この溝こそが、自民党が長く政権を維持してきた最大の理由であり、自民党以外の政権が生まれるのを阻む、一番高い壁になっています。

 2021年の衆院選は、立憲民主党と共産党を中心とした「野党共闘」の限界がはっきりしました。候補者を一人に絞ることには成功しましたが、共産党との連携は、安全保障や天皇制についての考え方の違いが、特定の政党を支持しない層の票を逃す原因になりました。

 この溝は、特に安全保障とエネルギー政策ではっきりと表れています。国民民主党の玉木代表は、立憲民主党と協力するための条件として、安全保障関連法制に対する考え方の一致を繰り返し求めています。国民民主党や日本維新の会が、日米同盟を軸とした現実的な安全保障政策や、エネルギーの安定供給のための原発活用を認める「現実的な考え方」の立場をとるのに対し、立憲民主党や共産党は、安保法制の違憲部分の廃止や脱原発を掲げる「理想を掲げる考え方」の色彩が強いです。

 経済政策でも、維新が掲げる規制緩和と歳出削減を中心とした「小さな政府」論は、立憲民主党や共産党が目指す再分配と社会保障の強化を中心とした「大きな政府」論とは、全く逆の方向を向いています。

 したがって、現在の「ハングパーラメント」状況下では、国会は「自民党」「立憲・共産ブロック」「維新・国民ブロック」という、大きく3つのグループに分かれていると考えるのが、より分かりやすいでしょう。自民党が過半数を回復するためには、維新か国民のどちらかを味方につける必要があります。一方で、自民党以外の政権を作るためには、安全保障と経済という国の根本政策における、立憲・共産ブロックと維新・国民ブロックの間の深い溝を埋めるという、とても難しい作業が必要になります。この状況を考えると、たとえ不安定であっても、自民党を中心とした政権が続くのが一番可能性が高いシナリオと言えるでしょう。

新総理候補3氏の政策比較と自治体への影響

高市早苗総理が誕生した場合の政策の方向性

経済政策:「サナエノミクス」の具体的な中身

 高市氏が総理に就任した場合、その経済政策、通称「サナエノミクス」は、安倍政権時代の「アベノミクス」を引き継ぎ、さらに発展させたものになると考えられます。その中心にあるのは、国の借金を心配するよりも、経済を成長させることを優先する「責任ある積極財政」です。物価高騰という今すぐ対応が必要な課題に対しては、補正予算をすぐに編成し、経営が厳しい中小企業、農林水産業、医療・介護施設など、「現場」に直接お金を届けることを一番に考えます。また、国民生活の負担を軽くするため、ガソリン税・軽油引取税の暫定税率の廃止を目指すとしています。中長期的には、低・中所得者層の自由に使えるお金を恒久的に増やすことを目的とした「給付付き税額控除」の導入が、その政策の目玉になるでしょう。

外交・安全保障政策

 かねてより保守的な考えを持つ論客として知られる高市氏は、防衛費の大幅な増額や、有事に備える内容を盛り込んだ憲法改正に強い意欲を見せています。また、総務大臣や初代経済安全保障担当大臣としての経験から、半導体やサイバーセキュリティ、宇宙開発といった戦略的に重要な技術分野へ国として投資することを強力に進め、経済と安全保障をセットで考える政策を本格的に進めるでしょう。

基礎自治体への影響

 高市政権が誕生した場合、基礎自治体は国の大きな経済政策の流れに、直接影響を受けることになります。「責任ある積極財政」という方針は、物価高対策や地域経済を元気にするための「地方創生臨時交付金」などのお金が増える可能性があります。これにより、特別区が独自に行うプレミアム付き商品券の発行や、子育て世帯への給付金といった事業の規模を拡大できるかもしれません。一方で、経済安全保障という国の戦略のもと、国の重点投資分野(DX, GX, 防災など)に関連した大規模な補助金や委託事業が増えることも考えられます。自治体としては、これらの国の動きを的確に捉え、地域の課題を解決できるような新しい事業を、国の動きに合わせて戦略的に考えて提案していく力が、これまで以上に求められます。

玉木雄一郎総理が誕生した場合の政策の方向性

経済政策:「給料が上がる経済」の実現

 玉木氏が総理になった場合、その経済政策は「国民の自由に使えるお金をいかに増やすか」という一つのポイントに集中します。国民民主党が掲げる政策の柱は、基礎控除を大幅に引き上げることなどを通じた所得税減税、実質賃金がプラスに転じるまでの一時的な消費税率5%への引き下げ、そしてガソリン価格を直接引き下げるトリガー条項の凍結解除です。これらは、政府がお金を出す間接的な支援ではなく、減税という形で国民の財布に直接お金が残るようにすることを大切にする考え方に基づいています。また、社会保険料に頼らず「教育国債」を発行することで、子育て・教育予算を倍増させるというユニークな財源の考え方も特徴です。

外交・安全保障政策

 玉木氏は「自分の国は自分で守る」という理念を掲げ、現実的な安全保障政策を訴えています。これは、日米同盟を維持しつつも、他国に頼りすぎることなく、日本自身の防衛力をきちんと整え、強くしていくべきだという考えです。この現実的な姿勢は、リベラル色の強い立憲民主党と協力する上で、いつも大きな議論のポイントになってきました。

基礎自治体への影響

 玉木政権の政策は、基礎自治体の行政に二つの面から影響を与えるでしょう。第一に、大規模な減税策は、地域経済が元気になる可能性があります。住民の自由に使えるお金が増えれば、区内での買い物などが増え、地域の中小企業の経営改善に貢献することが期待されます。第二に、「人づくりこそ国づくり」という理念のもと、教育や子育て分野に重点的に予算が使われると考えられます。これにより、学校給食費の無償化や、保育サービスの拡充といった、特別区が担う基本的な住民サービスを支える国からのお金が、より手厚くなる可能性があります。特定の考え方によらない、実利を重視する政策の進め方は、自治体が国からのお金をより自由に使えるようになるかもしれません。

藤田文武総理が誕生した場合の政策の方向性

経済政策:「身を切る改革」と成長戦略

 日本維新の会の幹事長を務めた藤田氏が総理となった場合、その政策は維新の党の基本方針である「徹底した改革」を中心とします。経済政策の基本は、政府がお金を出すことに頼るのではなく、徹底した規制緩和と競争を促すことで民間企業の力を最大限に引き出すことです。その象徴が、議員定数や議員報酬の削減に代表される「身を切る改革」であり、まずは政治家が手本を示すことで歳出削減への国民の理解を得て、小さな政府を目指します。

国の仕組みの改革

 維新の政策の中心は、経済政策以上に「国の仕組みの改革」にあります。藤田政権は、昔からの中央集権(国に権力が集中する仕組み)をやめ、国の権限やお金を地方に大きく移す「地方分権」(道州制の導入など)を、一番の課題として進めていくでしょう。また、憲法を改正し、国民が直接総理大臣を選ぶ「首相公選制」の導入も党が長年目指してきたことです。

基礎自治体への影響

 藤田政権の誕生は、基礎自治体にとって最も根本的で、同時にリスクもある変化をもたらすでしょう。地方分権の推進は、特別区に対して、これまで国が持っていた権限や財源を渡し、自分たちの判断で地域の課題解決に取り組む、これまでにないほどの自由度を与える可能性があります。これは、地域の特性に合わせた独自の政策を展開する大きなチャンスです。しかし、その一方で、この改革は地方交付税交付金をはじめとする国からのお金の支援が大幅に減ることとセットになっています。財政的に自立できない自治体は、住民サービスを低下させざるを得なくなるかもしれません。まさに「自治体間競争」の時代が到来し、基礎自治体には、自分たちの足で財源を確保し、行政を運営していく本当の意味での経営能力が試されることになります。

国家の役割を巡る三つの競合するビジョン

 高市、玉木、藤田の三候補が示す政策は、単なる政策の違いだけではありません。その根底には、経済と社会における「国家の役割」についての、3つの全く違う考え方があります。

 第一に、高市氏が代表するのは「国が引っ張る資本主義」とでも言うべき考え方です。経済安全保障や国土強靭化といった国の戦略的な目標を掲げ、政府が大規模な財政出動を通じて経済を引っ張っていく、国が強い力を持つ中央集権的な国の姿です。このモデルでは、政府こそが成長の一番のエンジンとなります。

 第二に、玉木氏が示すのは「現実的な介入主義」です。市場の働きだけではうまくいかない部分を直し、特に家計を直接支援するために、政府が現実的な方法(減税や給付)を使って積極的に関わっていきます。ここでの国の役割は、経済が成長した成果が、公平に分けられるように保証し、未来を担う「人」に投資することです。

 第三に、藤田氏(維新)が体現するのは「最小限の国家」という考え方です。政府の役割は、官僚の仕組みをスリムにし、自らの規模を小さくし、地方自治体や民間企業が成長と課題解決の主役になれるよう、その邪魔になるものを取り除くことに限られます。国はステージを用意するだけで、主役はあくまで地方と民間であるべきだ、という考え方です。

 自治体職員にとって、誰が総理になるかという問題は、どの政策が実行されるかというレベルを超え、国と地方の「関係性」そのものがどう変わるかという、より根本的な問いを投げかけています。国が主導する戦略のパートナーとなる未来(高市)、社会への投資を一緒に進めるサポーターを得る未来(玉木)、あるいは、急な変化の中で自立を求められ、自分たちの力でやっていくことを求められる未来(藤田)。これら三つの可能性を頭に入れた上で長期的な視点で戦略を立てることが、これからの自治体運営には欠かせない視点と言えるでしょう。

まとめ

 この記事で示した、高市新総裁の誕生に伴う自公連立の解消というシナリオは、日本の国政が安定多数を欠く、先行きが見えにくい時代に入ったことを示しています。主要政党の政策や理念を分析すると、特に安全保障観や経済政策において、簡単には埋めることができない、考え方の深い溝があることがはっきりしました。これにより、新しい連立政権を作ることはとても難しい交渉が必要となり、政治がどうなるかは不透明です。

 この状況下で、次の総理候補として考えられる高市氏、玉木氏、藤田氏の三者は、日本の未来像について全く違う解決策を示しています。国が経済を強力に引っ張る「国家主導の成長」、減税を通じて家計を直接温める「生活者起点の経済」、そして地方と民間に全てを委ねる「徹底した分権改革」。この選択は、国のあり方を根本から変える力を持っています。

 東京都特別区の職員の皆さまにとって、これは遠い国会での話ではありません。誰が総理の座に就き、どんな政権が生まれるかによって、自治体が使えるお金の規模や、できる政策の自由度、そして国と地方の関係そのものが大きく変わります。この政治の流動化時代を乗り切り、区民へのサービスをきちんと提供し続けるためには、国の政治の動きを常に見守り、どんな変化にも対応できる戦略的な考え方と、大きな視点から自分たちの仕事を見直す姿勢が、今まさに求められています。

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