15 教育

食習慣の改善

masashi0025

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(こどもの食習慣を取り巻く環境)

  • 自治体がこどもの食習慣の改善を行う意義は「こどもの健全な心身の発達と生涯にわたる健康の基礎を築くこと」と「将来の医療費抑制や地域社会の活力向上に繋がる、持続可能な社会を構築すること」にあります。
  • こどもの食習慣は、単なる栄養摂取の問題にとどまりません。食育基本法が示すように、知育・徳育・体育の基礎であり、感謝の心や社会性を育む重要な営みです。
  • しかし、現代の東京都特別区においては、共働き世帯の増加、ライフスタイルの多様化、地域コミュニティの希薄化などを背景に、朝食欠食、栄養バランスの偏り、孤食の増加といった課題が深刻化しています。これらの課題は、こどもの健康だけでなく、将来の日本全体の活力にも影響を及ぼす喫緊の行政課題です。

意義

こどもにとっての意義

心身の健康の基礎形成

保護者にとっての意義

子育て負担の軽減と安心感の醸成

学校・教師にとっての意義

教育効果の向上
  • 朝食をきちんと摂取しているこどもは、授業中の集中力が高く、学習への参加意欲も向上する傾向があり、クラス全体の教育効果の向上に寄与します。
  • 学校給食費が無償化されるなど、給食費の未納問題が解消されることで、教員はこれまで費やしてきた徴収業務や督促といった事務的・精神的負担から解放され、本来注力すべき教育活動に専念できるようになります。
    • (出典)(https://tbs-mri.com/n/n9f3abd00a6f1)2024年度 8

地域社会にとっての意義

地域経済の活性化とコミュニティの再生

行政にとっての意義

将来的な社会保障費の抑制

(参考)歴史・経過

食習慣改善に関する現状データ

肥満・痩身傾向の二極化と推移

小学生の肥満傾向児の出現率(東京都)
  • 令和5年度の東京都学校保健統計調査によると、男子の肥満傾向児の割合は依然として高く、特に11歳(小学6年生)では14.3%に達しています。女子においても、学年が上がるにつれて増加する傾向が見られます。
  • 過去5年間の推移を見ると、新型コロナウイルス感染症拡大期における外出自粛や運動機会の減少が一因となり、出現率が一時的に上昇し、その後も高い水準で推移していることがうかがえます。
中学生の肥満傾向児の出現率(東京都)
小学生・中学生の痩身傾向児の出現率(東京都)

朝食欠食の常態化

全国の状況
  • 第4次食育推進基本計画では、こどもの朝食欠食率を0%にすることを高い目標として掲げていますが、令和元年度時点で4.6%のこどもが朝食を欠食しています。
  • さらに、子育て世代でもある若い世代(20〜39歳)では、朝食を欠食する割合が21.5%(令和2年度)と非常に高く、目標値である15%以下とは大きな隔たりがあります。この世代の食習慣が、そのこどもたちの食習慣に影響を与える可能性も懸念されます。
東京都特別区の状況

栄養バランスの偏り

バランスの取れた食事の実践率
  • 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上、ほぼ毎日食べている国民の割合は、全体では36.4%ですが、若い世代(20〜39歳)に限ると27.4%(令和2年度)にまで低下します。
野菜・果物の摂取状況

孤食・共食の状況

共食の減少
孤食の増加

課題

こどもの課題

不健康な食習慣の定着
孤食による食の楽しみの喪失とコミュニケーション能力の低下
  • 家族団らんの食事が減り、一人で食事をする「孤食」が増えることで、食事の楽しさや、食を通じたコミュニケーションの機会が失われています。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 食事のマナーや家庭の味といった食文化の継承が困難になり、社会性やコミュニケーション能力の発達が阻害されます。
痩身願望と肥満の二極化による健康リスク
  • メディアやSNS等の影響による過度な痩身願望が特に女子生徒に見られる一方で、男子生徒を中心に肥満傾向も依然として高い水準にあり、健康状態の二極化が進んでいます。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 心身の健全な発育が妨げられ、摂食障害や、自己肯定感の低下といったメンタルヘルスの問題につながります。

保護者の課題

時間的・精神的余裕のなさによる食育実践の困難
  • 共働き世帯の増加や長時間労働といった社会構造の変化により、保護者が日々の食事の準備に十分な時間をかけられず、栄養バランスの取れた手作りの食事を提供することが困難な状況にあります。
経済的負担と食の格差
食に関する知識・情報の不足と氾濫
  • 食に関する健康情報や食育のノウハウが、インターネットやSNS上に真偽不明なものも含めて氾濫しており、保護者がどの情報を信じて実践すればよいのかを取捨選択することが極めて困難になっています。

学校・教師の課題

栄養教諭の配置不足と多忙化
  • 学校における食育の中核を担うべき栄養教諭の配置が十分に進んでおらず、特に東京都は全国的に見ても配置率が著しく低い状況が長年続いています。
給食費の徴収業務による負担
  • 学校給食費の徴収や、未納者への督促・対応は、本来の教育活動とは異なる業務であり、教職員にとって大きな事務的・精神的負担となっています。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省の調査に対し、学校給食費の無償化を実施した自治体の28%が、その成果として「給食費徴収や未納者等への対応負担の解消」を挙げています。
        • (出典)(https://tbs-mri.com/n/n9f3abd00a6f1)2024年度 8
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 教員がこども一人ひとりと向き合う貴重な時間が削られ、教育活動全体の質の低下を招きます。
教科横断的な食育指導体制の未整備
  • 食育を家庭科や保健体育科といった特定の教科だけの問題と捉えてしまい、学校全体で協力する体制や、各教科の特性を活かした教科横断的な指導計画が十分に構築されていない学校が多く見受けられます。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • こどもが食に関する知識を断片的にしか学べず、実生活で主体的に活用できる「生きる力」として身につきません。

地域社会の課題

生産現場との断絶による食への感謝の念の希薄化
  • 都市部で生活するこどもたちは、農業や漁業といった食料生産の現場に触れる機会がほとんどなく、食べ物が多くの人々の労働や自然の恩恵によって支えられていることを実感しにくいため、感謝の気持ちが育ちにくい環境にあります。
こども食堂等の地域支援拠点の不足と運営課題
  • 孤食や貧困に対応する「こども食堂」などの共食の場は、地域住民の善意やボランティア活動に支えられて広がりを見せていますが、その多くは資金、人材、場所の確保に困難を抱えており、安定的・継続的な運営には多くの課題があります。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 支援を必要とするこどもへのセーフティネットが脆弱なままとなり、食をめぐる格差が固定化・拡大します。

行政の課題

学校給食費無償化に伴う財源確保
  • 子育て支援の柱として学校給食費の無償化に踏み切る自治体が増加する一方で、全国実施には年間約5100億円とも試算される恒久的な財源の確保が、行政にとって最大の課題となっています。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 財政力の弱い自治体では無償化に踏み切れず、居住地による子育て支援サービスの格差がさらに拡大します。
縦割り行政による連携不足
  • 食育は、教育委員会(学校)、保健福祉局(健康・子育て支援)、産業経済局(農業振興)、環境局(食品ロス)など、複数の部局にまたがるテーマですが、部局間の連携が不十分なため、施策が個別に実施され、相乗効果を発揮できずに非効率的になりがちです。
国の目標値と実態の乖離
  • 国が定める第4次食育推進基本計画では、食習慣改善に関する様々な数値目標が設定されていますが、多くの項目で現状値と目標値の間に大きな乖離があり、計画が実態に追いついていない状況です。目標達成に向けた、より実効性のある施策の立案と実行が求められています。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 国の計画が「絵に描いた餅」で終わり、国民の健康増進という食育の最終目標が達成されません。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

  • 各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。
    • 即効性・波及効果:
      • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、食習慣の改善という直接的な効果に加え、子育て支援、地域経済の活性化、教員の負担軽減など、複数の政策分野に良い影響を及ぼす施策を高く評価します。
    • 実現可能性:
      • 現行の法制度や予算、人員体制の中で、大きな制度改正や追加投資を伴わずに着手・実行できる施策を優先します。特に、学校給食のような既存の仕組みやインフラを最大限活用できる施策は、実現可能性が高いと判断します。
    • 費用対効果:
      • 投入する予算や人員といった行政コストに対して、得られる成果(こどもの健康改善、保護者の負担軽減、将来的な医療費抑制効果など)が大きい施策を優先します。短期的な支出だけでなく、長期的な視点での便益を重視します。
    • 公平性・持続可能性:
      • 特定の地域や所得階層のこども・家庭だけでなく、区内に住む全てのこどもが等しく裨益する公平性の高い施策を優先します。また、単年度の事業で終わることなく、継続的に実施可能な仕組みを持つ施策を高く評価します。
    • 客観的根拠の有無:
      • 国の白書や統計調査、あるいは他の自治体の先進事例によって、その効果が客観的に示されているエビデンスに基づいた施策を最優先します。国の第4次食育推進基本計画の目標達成に直結する施策を特に重視します。

支援策の全体像と優先順位

  • こどもの食習慣改善は、①全てのこどもに公平に届く「日常の食の基盤」である学校給食の質的向上、②知識を行動に変える「食を選択する力」を育む体験活動の提供、③学校だけでは完結しない食育を社会全体で支えるための「家庭・地域との連携」という、3つの側面から総合的にアプローチする必要があります。
  • 上記の優先順位の考え方に基づき、**優先度【高】**として「学校給食を核とした食育基盤の強化」、**優先度【中】**として「体験を通じた『食を選択する力』の育成」、**優先度【低】**として「家庭・地域との連携による食育エコシステムの構築」の3つの支援策パッケージを提案します。
  • 最も優先度が高い「支援策①」は、学校給食という既存のインフラを活用するため実現可能性が高く、全てのこどもに公平にアプローチできるため波及効果も絶大です。まずこの基盤を強固なものにした上で、より能動的な学びを促す体験活動(支援策②)や、地域全体を巻き込む連携体制の構築(支援策③)へと段階的に展開していくことが、最も効果的かつ効率的な政策推進に繋がると考えます。

各支援策の詳細

支援策①:学校給食を核とした食育基盤の強化(優先度:高)

目的
  • 全てのこどもに栄養バランスの取れた温かい食事を保障し、家庭の経済状況による健康格差や栄養格差を是正します。
  • 学校給食を単なる食事提供の場ではなく、「生きた教材」として最大限に活用し、こどもたちが食に関する知識や望ましい食習慣を実践的に学ぶ機会を創出します。
    • 客観的根拠:
      • 学校給食法は、学校給食がこどもの心身の健全な発達に資するとともに、食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を担うと定めています。
      • 文部科学省の調査では、給食費無償化を実施する自治体の90.3%がその目的として「保護者の経済的負担の軽減、子育て支援」を挙げており、セーフティネットとしての役割が期待されています。
主な取組①:段階的な学校給食費の無償化
  • まずは喫緊の課題に対応するため、多子世帯や所得制限を設けた形での支援から開始し、区の財政状況を見ながら段階的に対象を拡大し、最終的には全ての区立小中学校に通う児童・生徒の給食費無償化を目指します。
  • 財源については、自己財源に加え、東京都との連携による補助制度の創設・拡充を働きかけるとともに、ふるさと納税の活用(使途の明確化)や、食育に関心のある民間企業からの寄付を募る仕組みを検討します。
    • 客観的根拠:
      • 令和5年9月時点で、全国547の自治体が小中学校の給食費完全無償化を実施しており、これは子育て支援の主要施策として社会的な潮流となっています。
      • 無償化は保護者の経済的負担軽減だけでなく、教員の徴収業務負担を解消し、本来の教育活動に専念できる環境を整備するという副次的な効果も報告されています。
        • (出典)(https://tbs-mri.com/n/n9f3abd00a6f1)2024年度 8
主な取組②:「日本一おいしい給食」を目指す品質向上
  • 東京都足立区の先進事例を参考に、各区に「おいしい給食担当」のような専門部署または担当者を設置し、給食メニューコンクールの開催や、プロの料理人と連携したレシピ開発を通じて、こどもが毎日心待ちにするような魅力的な給食メニューを追求します。
  • 化学調味料に頼らず、昆布や鰹節から取る天然だしを基本とし、薄味でも食材本来の旨味を感じられる味覚を育て、将来の生活習慣病予防に繋がる減塩を推進します。
主な取組③:栄養教諭・学校栄養職員の全校配置と専門性向上
  • 計画的な採用計画を策定し、育成プログラムを充実させることで、全ての区立小中学校への栄養教諭または学校栄養職員の配置を目指します。
  • 食物アレルギー、宗教上の配慮、発達障害に伴う偏食など、多様化・複雑化する食の課題に対応できるよう、専門性を高めるための研修機会を拡充し、指導力の向上を支援します。
主な取組④:地場産物(東京産野菜等)の活用推進
  • 学校給食における地場産物の使用割合について、金額ベースまたは品目数ベースでの具体的な目標値を各区で設定し、達成に向けた取り組みを推進します。
  • JA東京中央会などの農業団体や個々の生産者と、各学校の栄養士・栄養教諭とを繋ぐマッチングの機会を行政が支援する仕組みを構築します。
  • 地場産物を通して、自分たちの住む地域の自然や文化、産業への理解と愛着を深める食に関する指導を、年間指導計画の中に体系的に位置づけます。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 生活習慣病の予防や改善のために、ふだんから適正体重の維持や減塩等に気をつけた食生活を実践する国民の割合:75%以上(第4次食育推進基本計画目標)
      • データ取得方法: 国民健康・栄養調査、各区で実施する住民健康意識調査
  • KSI(成功要因指標)
    • 学校給食における地場産物を使用する割合(金額ベース):各区で独自の目標値(例:30%以上)を設定
      • データ取得方法: 各学校から教育委員会への給食調達実績報告
    • 栄養教諭・学校栄養職員の配置率:100%
      • データ取得方法: 教育委員会の人事データ
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 学校給食の残菜率:対前年度比10%削減
      • データ取得方法: 各学校における定期的な残菜量調査
    • こどもの給食に対する満足度:「満足」または「やや満足」と回答した児童・生徒の割合90%以上
      • データ取得方法: 児童・生徒を対象とした無記名アンケート調査(年1回)
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 学校給食費の無償化実施率(対象児童・生徒の割合):100%
      • データ取得方法: 区の予算及び事業実績報告
    • 栄養教諭による食に関する指導の平均実施回数:月12回以上(第4次食育推進基本計画目標を参考)
      • データ取得方法: 各学校の食に関する指導計画及び実施報告

支援策②:体験を通じた「食を選択する力」の育成(優先度:中)

目的
主な取組①:区内農地・体験農園の活用
  • 世田谷区の先進事例を参考に、区内に残された貴重な農地を「体験農園」として公的に借り上げる、あるいは所有者と協定を結ぶなどして整備・活用し、学校単位での作付け・収穫体験を総合的な学習の時間などに体系的に組み込みます。
  • JA(農協)や農業に知見のあるNPO法人と連携し、体験プログラムの企画運営や、こどもたちへの指導ができる人材の確保・育成を支援します。
主な取組②:企業と連携した食育プログラムの開発
  • 品川区の事例のように、行政がハブとなり、区内に事業所を持つ食品関連企業(食品メーカー、スーパーマーケット、外食産業等)と学校を繋ぎ、企業の専門知識やリソースを活かした食育プログラムを共同で開発・実施します。
  • プログラムの内容は、出前授業や工場見学といった従来のものに加え、食品ロス削減やサステナビリティ(持続可能性)など、SDGsに関連する現代的なテーマを積極的に取り扱います。
    • 客観的根拠:
      • 品川区では、オイシックス・ラ・大地株式会社及び青稜中学校と連携し、中学生が海のフードロス削減をテーマにした「SDGs丼」を考案し、実際に販売する先進的なプロジェクトを実施しました。
        • (出典)(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000794.000008895.html)2023年度 34
      • 第4次食育推進基本計画では、食品ロス削減のために何らかの行動をしている国民の割合を80%以上に高めることを目標としており、こどもへの教育が効果的です。
主な取組③:「こどもがつくる弁当の日」の導入支援
  • こども自身が弁当を作る「弁当の日」を特別区内でモデル的に実施し、その効果を検証します。こどもが献立作成、買い出し、調理、片付けまでを担うことで、食への感謝や自己肯定感を育みます。
  • 栄養教諭や調理師、地域のボランティアが連携し、企画段階からこどもたちをサポートする体制を構築します。
  • 保護者や地域住民を招いた試食会などを開催し、活動の輪を広げ、家庭や地域全体でこどもの食への主体性を育む文化を醸成します。
主な取組④:ひとり親家庭等への食のセーフティネット強化
  • 品川区の「しあわせ食卓事業」のように、企業からの寄付やフードバンクと連携し、経済的に困難な状況にあるひとり親家庭等へ定期的に食材を配送するアウトリーチ型の支援を拡充します。
  • 食材提供だけでなく、支援員による相談対応や、地域の社会資源(子ども食堂、学習支援等)へのつなぎ役も担い、食を切り口とした包括的な支援体制を構築します。
  • 企業が社会貢献活動として参画しやすいよう、自治体がマッチングのプラットフォームとしての役割を強化します。
主な取組⑤:保護者向け食育講座・情報提供のデジタル化
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 朝食を欠食するこどもの割合 0%
      • データ取得方法: 学校保健委員会等で実施する全児童・生徒への生活習慣アンケート調査(年1回)
    • 経済格差による食習慣の格差を示す指標(例:生活困難世帯とその他世帯の朝食欠食率の差)の解消
      • データ取得方法: 子どもの生活実態調査(隔年実施)におけるクロス集計分析
  • KSI(成功要因指標)
    • 家族と一緒に夕食を食べるこどもの割合 70%以上
      • データ取得方法: 生活習慣アンケート調査(年1回)
    • 食事の準備や片付けを手伝うこどもの割合 80%以上
      • データ取得方法: 生活習慣アンケート調査(年1回)
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 食材支援や子ども食堂を利用した世帯の保護者の「食に関する不安」の軽減度 30%向上
      • データ取得方法: 支援事業利用者への満足度・効果測定アンケート(事業終了後)
    • 保護者向け食育講座の参加者満足度 90%以上
      • データ取得方法: 講座参加者アンケート(講座終了後)
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 「弁当の日」モデル実施校数 年間3校以上
      • データ取得方法: 教育委員会による事業実績報告
    • 食材支援の対象世帯数 年間500世帯以上
      • データ取得方法: 福祉主管課による事業実績報告
    • 保護者向け食育コンテンツの年間配信数 50件以上
      • データ取得方法: 広報・DX推進課による配信実績管理

支援策③:多様な主体と連携した食育体験機会の拡充

目的
  • 学校教育の枠を超え、地域全体でこどもの食への興味・関心を育むため、農業体験や企業連携など、多様な主体と連携した実践的な食育の機会を拡充します。
  • 令和6年度食育白書の特集でも強調されている「食卓と農の現場の距離を縮める」取組を具体化し、こどもたちが食の循環や生産者の想いに触れる機会を提供します。
主な取組①:学校農園・体験農園の活用促進
  • 世田谷区の事例のように、区内に残る農地や公園を活用し、学校単位で利用できる「学校農園」や、個人・家族で参加できる「体験農園」を拡充します。
  • 農業者や地域のボランティアを「農の先生」として学校に派遣し、作物の栽培から収穫、調理までを一貫して体験できるプログラムを支援します。
  • 収穫した野菜を学校給食で使用したり、地域の子ども食堂へ提供したりすることで、地域内での食の循環を生み出します。
    • 客観的根拠:
主な取組②:企業・NPO等と連携した食育プログラムの共同開発
  • 食品メーカー、流通業者、飲食店など、食に関連する地域の企業やNPOと学校が連携し、専門知識を活かした食育プログラムを共同で開発・実施します。
  • 品川区の企業連携事例のように、フードロス削減や地産地消、新しい食品開発などをテーマにした出前授業やワークショップを開催します。
  • プログラム開発にあたり、自治体が学校と企業の間のコーディネーター役を担い、マッチングを促進します。
主な取組③:地域の食文化の継承と発信
  • 足立区の「未来へつなぐ あだちプロジェクト」のように、地域に古くから伝わる郷土料理や伝統野菜などをテーマにした学習機会を設けます。
  • 地域の高齢者を「食文化の語り部」として学校に招き、こどもたちに料理の調理法や、その背景にある歴史・文化を伝える授業を実施します。
  • 学習の成果として、こどもたちが地域の食文化を紹介するマップやレシピ集を作成し、デジタルアーカイブとして公開・発信します。
主な取組④:食に関わる職業体験(キャリア教育)の推進
  • 中学生を対象に、地域の農家、食品工場、レストラン、スーパーマーケットなどで職業体験を行う機会を提供し、食を支える多様な仕事への理解を深めます。
  • キャリア教育の一環として、食関連の職業人を学校に招き、仕事のやりがいや食への想いを語ってもらう講演会を実施します。
  • 夏休みなどを活用し、企業やNPOが実施する食育関連のイベントに、職業体験として参加できるような連携体制を構築します。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 食育体験活動を通じて「食への関心が高まった」と回答したこどもの割合 90%以上
      • データ取得方法: 各種体験プログラム参加者へのアンケート調査(プログラム終了後)
    • 自分の住む地域の「食」に誇りを持つこどもの割合 70%以上
      • データ取得方法: 生活習慣アンケート調査(年1回)
  • KSI(成功要因指標)
    • 農林漁業体験をしたこどもの割合 50%以上
      • データ取得方法: 生活習慣アンケート調査(年1回)
    • 地域の企業・団体等と連携して食育を実施した学校の割合 80%以上
      • データ取得方法: 教育委員会による各校の食育活動実績調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 地域の食材や郷土料理を「好き」と回答したこどもの割合 30%向上
      • データ取得方法: 生活習慣アンケート調査(年1回、事前事後比較)
    • 食に関する職業への興味・関心度 20%向上
      • データ取得方法: 中学生向けキャリア教育関連アンケート調査(職業体験前後)
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 年間の食育体験プログラムの開催回数 100回以上
      • データ取得方法: 関係各課(教育、産業、福祉等)の事業実績報告の集計
    • 食育活動に協力する地域の企業・団体・個人の登録数 50以上
      • データ取得方法: 自治体が運営する連携プラットフォームの登録状況
    • 学校農園・体験農園の設置数 各区5ヶ所以上
      • データ取得方法: 資産管理・公園主管課等による設置状況調査

先進事例

東京都特別区の先進事例

足立区「日本一おいしい給食プロジェクト」

世田谷区「多様な農業体験の場の提供」

  • 区内に残る貴重な農地を保全・活用し、区民が土に親しむ機会を多様な形で提供しています。「喜多見農業公園」では、誰でも気軽に農作業を体験できるプログラムを実施。「体験農園」では、専門家の指導を受けながら年間を通じて野菜作りが楽しめます。
  • これらの農園は、学校の食育活動の場としても活用されており、子どもたちが種まきから収穫までを体験することで、食材への愛着や感謝の気持ちを育んでいます。
  • 民間企業とも連携し、マンションの敷地内で入居者向けの農園サービスを提供するなど、都市部における新しい農業との関わり方を提案しています。

品川区「企業や地域と連携した食のセーフティネット」

  • ひとり親家庭などを対象に、無料で食品を配送する「しあわせ食卓事業」を展開。この事業は、ふるさと納税による寄付金に加え、パルシステムやローソン、地域の企業など、多くの民間事業者からの食材提供によって支えられています。
  • 単なる食品提供に留まらず、アンケートや相談を通じて各家庭が抱える課題を把握し、必要な支援につなげる「アウトリーチ型支援」の側面も持っています。
  • 企業にとっては、自社のリソースを活かした具体的な社会貢献活動となり、区民にとっては必要な支援が届く、官民連携の成功モデルとなっています。

全国自治体の先進事例

全国に広がる「学校給食費の無償化」

  • 「こども未来戦略方針」(令和5年6月閣議決定)で全国的な実態調査の方針が示されて以降、学校給食費の無償化に取り組む自治体が急増しています。
  • 文部科学省の調査によると、令和5年9月時点で、全国の自治体のうち30.7%(552自治体)が何らかの形で給食費の無償化を実施。特に市区町村単位では33.9%に上ります。
  • 財源確保や、保護者の所得制限の有無、第2子・第3子以降への限定など、自治体によって制度設計は様々ですが、子育て支援と教育の機会均等の観点から、重要な政策課題として全国的な広がりを見せています。

福井県・燕市など「弁当の日」の実践

  • 香川県の小学校で始まった「弁当の日」は、子ども自身が弁当を作る取り組みとして全国に広がり、福井県や新潟県燕市など多くの自治体で食育の柱の一つとして導入されています。
  • 子どもが自分のお弁当を自分で作ることで、栄養バランスを考え、食材を選び、調理する一連のプロセスを経験。これにより、食への関心だけでなく、計画性や自己管理能力、家族への感謝の気持ちが育まれるとされています。
  • 第5回食育活動表彰で農林水産大臣賞を受賞した福井県の取り組みなど、地域の実情に合わせて内容を発展させ、継続的な活動として根付いている事例が多く見られます。

参考資料[エビデンス検索用]

まとめ

 東京都特別区の小中学校における食習慣の改善は、単にこどもの健康を守るだけでなく、学習意欲の向上、自己肯定感の育成、さらには家庭や地域とのつながりを強化する上で極めて重要です。現状では、朝食の欠食、栄養の偏り、経済格差による食生活の質の低下といった課題が依然として存在します。これらの課題に対応するためには、学校給食を「生きた教材」として最大限に活用するとともに、困難を抱える家庭への支援、そして地域社会全体を巻き込んだ多様な食育体験の機会を創出するという、多角的なアプローチが不可欠です。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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