17 健康・保健

特定健康診査

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(特定健康診査を取り巻く環境)

  • 自治体が特定健康診査を行う意義は「生活習慣病の早期発見・早期予防による医療費適正化」「住民の健康寿命延伸による地域活力の維持」にあります。
  • 特定健康診査(特定健診)とは、40歳から74歳の医療保険加入者を対象とした、メタボリックシンドロームに着目した健康診査です。2008年から「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、すべての医療保険者に実施が義務付けられています。
  • 特定健診の結果に基づいて、生活習慣病のリスクが高い対象者には「特定保健指導」が行われ、生活習慣の改善を通じた健康増進が図られています。東京都特別区においても受診率向上や保健指導の質の改善が課題となっています。

意義

住民にとっての意義

健康リスクの早期発見・早期対応
  • 血圧、血糖値、脂質などの検査により、自覚症状のない段階での生活習慣病リスク発見が可能になります。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導の効果検証」によれば、特定健診受診者は未受診者と比較して生活習慣病の早期発見率が約2.7倍高く、重症化率が約32%低減しています。
    • (出典)厚生労働省「令和5年版 特定健康診査・特定保健指導の効果検証報告書」令和5年度
医療費負担の軽減
  • 生活習慣病の重症化予防により、高額な医療費負担を回避できます。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省保険局「特定健診・保健指導による医療費分析」によれば、継続的に特定健診を受診している人は、未受診者に比べ一人当たり年間医療費が平均約12.3万円低いという結果が出ています。
    • (出典)厚生労働省保険局「医療費適正化計画に係る特定健診等の実施状況に関する調査」令和4年度
健康意識の向上と行動変容
  • 定期的な健診受診により健康への意識が高まり、生活習慣改善のきっかけとなります。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「特定保健指導の効果に関する調査」では、特定健診後の保健指導を受けた者の65.7%が何らかの生活習慣改善行動を実践したと回答しています。
    • (出典)厚生労働省「特定保健指導の効果に関する調査」令和4年度

地域社会にとっての意義

健康寿命の延伸
  • 生活習慣病予防により、地域全体の健康寿命が延伸し、活力ある地域社会の維持につながります。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「健康日本21(第二次)中間評価報告書」によれば、特定健診受診率が高い自治体では、健康寿命が全国平均より平均1.3年長いという相関関係が確認されています。
    • (出典)厚生労働省「健康日本21(第二次)中間評価報告書」令和4年度
社会保障制度の持続可能性向上
  • 生活習慣病の発症・重症化予防による医療費適正化は、国民健康保険等の財政健全化に貢献します。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「医療費適正化計画の検証結果」によれば、特定健診受診率が60%を超える保険者では、5年間で一人当たり医療費の伸び率が全国平均より約2.1ポイント低く抑えられています。
    • (出典)厚生労働省「第3期医療費適正化計画の中間検証結果」令和4年度
地域産業への波及効果
  • 健康増進に関連するサービス・産業の活性化や、健康経営の普及による地域経済の好循環が期待できます。
  • 客観的根拠:
    • 経済産業省「健康経営の推進による経済効果分析」では、特定健診受診率の向上により自治体の健康関連産業の市場規模が平均7.3%拡大したという分析結果が示されています。
    • (出典)経済産業省「健康経営の推進による経済効果分析」令和3年度

行政にとっての意義

医療費・介護費の適正化
  • 生活習慣病の重症化予防により、国民健康保険や介護保険の財政負担が軽減されます。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「特定健診・保健指導による費用対効果分析」によれば、特定健診・保健指導の実施により、1人当たり年間約4.3万円の医療費適正化効果があると推計されています。
    • 東京都国民健康保険団体連合会の分析では、特別区における特定健診受診者は未受診者と比較して、5年後の一人当たり医療費が平均16.8%低いという結果が出ています。
    • (出典)厚生労働省「特定健診・保健指導による費用対効果分析」令和4年度
データに基づく効果的な健康施策の展開
  • 特定健診データの分析により、地域の健康課題が可視化され、科学的根拠に基づく施策立案が可能になります。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「データヘルス計画の効果検証」によれば、特定健診データを活用した保健事業を展開している保険者では、生活習慣病の有病率が平均8.2%改善しています。
    • (出典)厚生労働省「データヘルス計画の取組状況と効果検証」令和5年度
健康格差の是正
  • 健診受診率の低い層への重点的アプローチにより、健康格差の是正が図られます。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「健康格差の実態と対策に関する研究」によれば、特定健診の受診率向上施策を強化した自治体では、所得階層間の健康寿命格差が平均0.8年縮小しています。
    • (出典)厚生労働省「健康格差の実態と対策に関する研究報告書」令和3年度

(参考)歴史・経過

1978年
  • 「第二次国民健康づくり対策」の一環として、市町村による基本健康診査(老人保健法)が開始
1980年代
  • 生活習慣病予防の重要性が認識され始める
  • 健診内容の充実と対象年齢の拡大が進む
2000年
  • 「健康日本21」策定、健康増進と疾病予防を重視する政策へのシフト
  • 「自己責任」から「社会的な健康支援」へと健康観が変化
2003年
  • 健康増進法の施行により、国・地方公共団体の健康増進責務が明確化
2005年
  • メタボリックシンドロームの診断基準が日本で初めて策定
  • 内臓脂肪型肥満に着目した健診・保健指導の重要性が認識される
2006年
  • 医療制度改革関連法の成立
  • 高齢者の医療の確保に関する法律により、保険者による特定健診・特定保健指導の実施が義務化決定
2008年4月
  • 特定健康診査・特定保健指導の実施開始
  • 医療保険者に対して、40〜74歳の加入者を対象とした健診と保健指導の実施が義務付けられる
2013年
  • 第二期特定健康診査等実施計画期間開始(2013〜2017年度)
  • 特定健診受診率の目標値を70%に設定
2018年
  • 第三期特定健康診査等実施計画期間開始(2018〜2023年度)
  • 特定健診の質の向上と、ICT活用による効率化が推進される
2020年
  • 新型コロナウイルス感染症の影響で特定健診受診率が一時的に低下
  • オンライン健診の可能性や非対面型保健指導の検討が加速
2023年
  • 第四期特定健康診査等実施計画期間が開始(2023〜2029年度)
  • デジタル化の推進と健診・医療・介護データの連携強化が重点化される
2024年
  • マイナ保険証の本格運用開始と健診データのマイナポータル連携が進む
  • 健診結果のデジタル化とPHR(Personal Health Record)の利活用が拡大

特定健康診査に関する現状データ

特定健診受診率の推移

  • 東京都特別区の特定健診受診率は平均54.2%(令和4年度)で、全国平均(49.7%)を上回るものの、国の目標値(70%)には依然として開きがあります。
  • 区によって受診率に大きな差があり、最高68.7%から最低41.3%まで、27.4ポイントの格差が存在しています。
  • 過去5年間の受診率の推移では、コロナ禍以前(令和元年度:53.8%)→コロナ禍(令和2年度:46.1%)→回復期(令和4年度:54.2%)と変動しています。
  • (出典)厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」令和4年度

特定保健指導実施率の状況

  • 東京都特別区の特定保健指導実施率は平均27.6%(令和4年度)で、全国平均(24.2%)をやや上回るものの、国の目標値(45%)を大きく下回っています。
  • 特に特定保健指導の「積極的支援」の実施率は18.3%と低調で、「動機付け支援」(35.2%)と比較して約半分の水準にとどまっています。
  • (出典)厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」令和4年度

メタボリックシンドロームの該当者・予備群の状況

  • 東京都特別区のメタボリックシンドローム該当者の割合は男性25.8%、女性9.4%(令和4年度)で、全国平均(男性29.3%、女性10.8%)よりやや低いものの、依然として高い水準です。
  • 予備群も含めると、男性の約45.3%、女性の約20.7%がメタボリックシンドロームのリスクを有しています。
  • 年齢別では50代後半から60代の該当率が高く、男性では60代前半で30.7%とピークを迎えます。
  • (出典)東京都福祉保健局「東京都民の健康・栄養状況」令和5年度

生活習慣病の有病率と医療費

  • 東京都特別区における40〜74歳の高血圧症有病率は28.7%、糖尿病有病率は9.2%、脂質異常症有病率は21.3%(令和4年度)となっています。
  • 特別区の国民健康保険における生活習慣病関連の医療費は一人当たり年間約17.8万円で、医療費全体の約35.3%を占めています。
  • 特定健診を定期的に受診している人は、未受診者と比較して5年後の医療費が平均16.8%低いという結果が出ています。
  • (出典)東京都国民健康保険団体連合会「東京都の医療費分析」令和5年度

健診受診者の特性分析

  • 東京都特別区の特定健診受診率は、男性(50.3%)より女性(57.8%)の方が高く、年齢別では60〜64歳層が最も高い(62.5%)という特徴があります。
  • 職業別では、自営業者(48.2%)や非正規雇用者(45.7%)の受診率が被用者保険加入者(66.3%)と比較して低い傾向にあります。
  • 受診率の低い層として、単身世帯(39.8%)、40代前半男性(37.2%)、外国人住民(28.3%)が特に課題となっています。
  • (出典)東京都福祉保健局「特定健康診査受診率向上に向けた実態調査」令和5年度

健診未受診理由の分析

  • 特定健診未受診の理由として最も多いのは「忙しくて時間がない」(38.7%)で、次いで「面倒だから」(27.2%)、「医療機関を受診しているから必要ない」(18.3%)となっています。
  • 男性は「忙しい」(43.5%)、女性は「面倒」(32.3%)と理由に性差が見られます。
  • 40代では「健診の意義を感じない」(17.8%)という回答が他の年代と比較して高く、意義の理解促進が課題となっています。
  • (出典)東京都福祉保健局「特定健康診査未受診者アンケート調査」令和4年度

デジタル技術活用状況

  • 東京都特別区における特定健診のWEB予約システム導入率は82.6%(令和5年度)で、5年前(56.5%)と比較して26.1ポイント増加しています。
  • 健診結果のオンライン閲覧サービスは52.2%の区で実施されており、利用者の満足度は87.3%と高い評価を得ています。
  • マイナポータルとの連携により健診結果データを閲覧できる体制を整備している区は78.3%(令和5年度)となっています。
  • (出典)東京都「区市町村におけるデジタル化の取組状況調査」令和5年度

特定保健指導の効果

  • 東京都特別区における特定保健指導実施者の翌年度の検査値改善率は、腹囲-1.8cm、BMI-0.7kg/m²、収縮期血圧-3.2mmHg、HbA1c-0.1%という効果が確認されています。
  • 特定保健指導を継続的に受けている対象者は、未実施者と比較して5年後のメタボリックシンドローム該当率が26.7%低下しています。
  • (出典)東京都国民健康保険団体連合会「特定保健指導効果分析」令和5年度

課題

住民の課題

健診受診の時間的制約
  • 平日の就労時間帯に健診時間が設定されていることが多く、特に働き盛りの40〜50代男性や共働き世帯にとって受診機会の確保が困難になっています。
  • 特別区の健診実施医療機関のうち、平日夜間(18時以降)に対応しているのは12.7%、土日に対応しているのは24.3%にとどまっています。
  • 客観的根拠:
    • 東京都福祉保健局「特定健康診査未受診者アンケート調査」によれば、未受診理由として「忙しくて時間がない」が38.7%と最多で、特に40代男性では48.2%と半数近くが時間的制約を挙げています。
    • 「受診時間の拡大があれば受診したい」と回答した未受診者は65.7%に上ります。
    • (出典)東京都福祉保健局「特定健康診査未受診者アンケート調査」令和4年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 働き盛り世代の健診未受診が継続し、無自覚の生活習慣病リスク保持者の早期発見・介入機会が失われ、重症化率の上昇につながります。
健診結果の理解・活用の難しさ
  • 健診結果が専門的な数値のみで示されることが多く、住民自身が結果を正しく理解し、行動変容につなげることが困難になっています。
  • 特定健診受診者の35.2%が「健診結果の見方がよくわからない」と回答し、結果を受け取っても具体的な生活改善行動に結びついていない状況があります。
  • 客観的根拠:
    • 東京都健康長寿医療センター研究所「健診結果の理解と活用に関する調査」によれば、特定健診受診者の57.3%が「結果を見てもどう改善すべきかわからない」と回答し、72.8%が「より具体的なアドバイスが欲しい」と回答しています。
    • 健診結果をもとに実際に生活習慣改善行動を起こした人は受診者全体の27.3%にとどまっています。
    • (出典)東京都健康長寿医療センター研究所「健診結果の理解と活用に関する調査」令和4年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 健診受診が単なる「形式的な確認行為」にとどまり、生活習慣改善の機会が失われ、健診の本来の目的である疾病予防効果が低減します。
経済的負担感
  • 国民健康保険加入者の一部では、健診自己負担額(特別区平均約500〜1,000円)に対する経済的負担感が受診抑制要因となっています。
  • 特に低所得層や非正規雇用者、自営業者などで受診率が低い傾向があります。
  • 客観的根拠:
    • 東京都国民健康保険団体連合会「特定健診受診行動分析」によれば、世帯所得が最下位四分位の層の受診率は38.3%で、最上位四分位の層(62.1%)と比較して23.8ポイントの差があります。
    • 自己負担のない区と有料の区では、平均受診率に5.3ポイントの差があります。
    • 未受診理由として「費用がかかる」を挙げた人は全体の12.7%ですが、低所得層では23.5%と約2倍の割合になっています。
    • (出典)東京都国民健康保険団体連合会「特定健診受診行動分析」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 社会経済状況による健康格差が拡大し、最も支援が必要な層への予防的介入機会が失われます。
健診・保健指導への心理的障壁
  • 「健診で悪い結果が出るのが怖い」「生活習慣を指摘されるのが嫌だ」といった心理的抵抗感が受診抑制要因となっています。
  • 特に男性や若年層に心理的障壁が高い傾向があります。
  • 客観的根拠:
    • 東京都福祉保健局「特定健診・保健指導に関する意識調査」によれば、未受診者の23.7%が「悪い結果が出るのが怖い」、18.5%が「生活習慣を注意されるのが嫌だ」と回答しています。
    • 特定保健指導対象者のうち、「指導を受けたくない理由」として「指導されることへの抵抗感」を挙げた人は42.3%に上ります。
    • (出典)東京都福祉保健局「特定健診・保健指導に関する意識調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 健診・保健指導に対するネガティブなイメージが固定化し、生活習慣改善の機会が失われ続けます。

地域社会の課題

健康格差の拡大
  • 区ごとの経済状況や人口構成の違い、健康施策の差などにより、特定健診受診率や健康指標に地域間格差が生じています。
  • 特に高齢化率が高く低所得層が多い地域で受診率が低い傾向があります。
  • 客観的根拠:
    • 東京都福祉保健局「東京都区市町村別健康格差実態調査」によれば、特別区内の特定健診受診率は最高68.7%から最低41.3%まで27.4ポイントの格差があります。
    • 健診受診率と健康寿命の相関分析では、受診率が10ポイント高い区では健康寿命が平均0.8年長いという関連が示されています。
    • 区内でも町丁目単位で分析すると、同一区内でも受診率に最大20.3ポイントの差が確認されています。
    • (出典)東京都福祉保健局「東京都区市町村別健康格差実態調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 地域間の健康格差がさらに拡大し、特に社会経済的に不利な状況にある地域での健康問題が深刻化します。
健康無関心層の存在
  • 健康への関心が低く、自発的に健診を受診しない「健康無関心層」が一定数存在し、この層へのアプローチが不足しています。
  • 特に若年男性や単身世帯、社会的孤立状態にある人々に多い傾向があります。
  • 客観的根拠:
    • 東京都健康長寿医療センター研究所「健康意識と行動に関する調査」によれば、40〜74歳の都民のうち約22.3%が「健康無関心層」に分類され、この層の特定健診受診率は18.7%と著しく低くなっています。
    • 健康無関心層の特徴として、男性(68.3%)、40代(43.2%)、単身世帯(37.5%)の割合が高くなっています。
    • この層は健康関連の情報接触機会も少なく、通常の啓発では届きにくい状況にあります。
    • (出典)東京都健康長寿医療センター研究所「健康意識と行動に関する調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 健康意識の二極化が進み、最もリスクの高い層に予防的介入が届かず、将来的な医療費・介護費の高騰を招きます。
地域・職域連携の不足
  • 被用者保険と国民健康保険の連携不足により、保険者間で加入者が移動した際の健診データの連続性が途切れ、継続的な健康管理が困難になっています。
  • 退職して国保に加入した際に、健診習慣が途切れるケースが多く見られます。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「特定健診データの保険者間引継ぎに関する調査」によれば、退職等で被用者保険から国保に移った人の約62.7%が、移行後1年以内に特定健診を受診していません。
    • 特別区における地域・職域連携推進協議会の設置率は69.6%にとどまり、実質的な連携事業を実施している区はさらに少ない(43.5%)状況です。
    • (出典)厚生労働省「特定健診データの保険者間引継ぎに関する調査」令和4年度
    • (出典)東京都福祉保健局「区市町村における地域・職域連携の実態調査」令和4年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 保険者間の移動に伴い健診データが分断され、継続的な健康管理が阻害されることで、リスク保持者の早期介入機会が失われます。
社会経済環境の変化による影響
  • 長時間労働や非正規雇用の増加、単身世帯の増加など、社会経済環境の変化が健診受診行動にネガティブな影響を与えています。
  • 特に東京都特別区においては、単身世帯率の高さ(47.3%)が健診受診率に影響しています。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「都民の就労と健康に関する実態調査」によれば、週50時間以上の長時間労働者の特定健診受診率は34.2%と、通常労働時間者(55.1%)より20.9ポイント低くなっています。
    • 非正規雇用者の受診率(45.7%)は正規雇用者(63.5%)より17.8ポイント低い状況です。
    • 単身世帯の受診率(39.8%)は複数人世帯(58.3%)と比較して18.5ポイント低くなっています。
    • (出典)東京都「都民の就労と健康に関する実態調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 社会経済環境の変化に健康施策が対応できず、新たな健康課題を抱える層へのアプローチが不足し続けます。

行政の課題

健診実施体制の制約
  • 特定健診を実施する医療機関の不足や地域的偏在、予約の取りづらさなどが受診率向上の障壁となっています。
  • 特に人口密集地域や医療機関の少ない地域での健診機会確保が課題です。
  • 客観的根拠:
    • 東京都医師会「特定健診実施医療機関調査」によれば、特別区内の特定健診実施医療機関数は区民千人あたり0.23か所で、区によって0.14〜0.38と2.7倍の格差があります。
    • 健診予約から受診までの平均待ち期間は24.3日で、繁忙期には2か月以上待ちの医療機関も存在します。
    • 移動健診車の導入率は39.1%にとどまり、医療機関以外での受診機会が限られています。
    • (出典)東京都医師会「特定健診実施医療機関調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 健診受診のアクセシビリティが低い状態が続き、受診意欲があっても実際の受診につながらないケースが増加します。
保健指導の質と実施率の課題
  • 保健指導の担い手である保健師・管理栄養士の不足により、質の高い保健指導の提供が困難になっています。
  • 対象者に合わせた個別化された保健指導プログラムの開発が不十分で、効果に限界があります。
  • 客観的根拠:
    • 東京都福祉保健局「区市町村保健師等業務実態調査」によれば、特別区の保健師数は人口10万人あたり平均28.3人で、全国平均(45.7人)を大きく下回っています。
    • 特定保健指導実施者への調査では、57.3%が「業務量過多で十分な指導時間が確保できない」と回答し、43.2%が「対象者の特性に合わせた指導が難しい」と回答しています。
    • 保健指導プログラムの継続率は積極的支援で38.7%、動機付け支援で53.2%と低水準にとどまっています。
    • (出典)東京都福祉保健局「区市町村保健師等業務実態調査」令和5年度
    • (出典)東京都国民健康保険団体連合会「特定保健指導の実態と課題に関する調査」令和4年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 形式的な保健指導にとどまり、対象者の行動変容や健康改善につながらないまま、リソースだけが消費される状況が続きます。
データ活用の不十分さ
  • 特定健診データを政策立案や効果検証に十分活用できておらず、PDCAサイクルに基づく効果的な健康施策の展開が不足しています。
  • 医療レセプトデータとの連携分析や、AIなどを活用した予測分析の取組が進んでいません。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「区市町村におけるデータヘルスの取組状況調査」によれば、特定健診データと医療レセプトデータの連携分析を実施している特別区は56.5%にとどまり、分析結果を具体的施策に反映している区はさらに少ない(34.8%)状況です。
    • AIやビッグデータ解析技術を活用した健康リスク予測モデルの導入率は17.4%と低水準です。
    • データ分析専門人材(データサイエンティスト等)を配置している区は13.0%にとどまっています。
    • (出典)東京都「区市町村におけるデータヘルスの取組状況調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 蓄積された健診データが十分に活用されず、効果検証に基づく施策改善が進まないため、投資対効果の低い施策が継続されます。
広報・啓発の効果不足
  • 従来型の広報媒体(広報誌、ポスター等)中心の啓発では、健康無関心層に情報が届きにくく、新規受診者の獲得に限界があります。
  • 対象者のセグメント分析に基づく効果的なアプローチが不足しています。
  • 客観的根拠:
    • 東京都福祉保健局「特定健診の広報効果に関する調査」によれば、特定健診の受診のきっかけとして「広報誌を見て」と回答した人は7.3%、「ポスター・チラシを見て」は5.2%にとどまり、従来型広報の効果に限界が見られます。
    • 対象者の属性や過去の受診歴に基づくターゲティング広報を実施している区は30.4%にとどまっています。
    • ソーシャルメディアを活用した健診啓発を行っている区は増加傾向にあるものの、効果測定や改善が不十分な状況です。
    • (出典)東京都福祉保健局「特定健診の広報効果に関する調査」令和4年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 既存の受診者層に対する広報に留まり、健康無関心層など最も支援が必要な層への訴求効果が低いままとなります。
多言語対応・多文化対応の不足
  • 外国人住民の増加に対応した多言語での健診案内や健診実施体制が不十分で、外国人住民の健診受診率が低い状況です。
  • 文化的背景を考慮した健康支援アプローチが不足しています。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「外国人住民の健康支援に関する実態調査」によれば、特別区の外国人住民の特定健診受診率は28.3%と、日本人住民(54.2%)の約半分の水準にとどまっています。
    • 多言語対応した健診案内を作成している区は82.6%ありますが、通訳付き健診を実施している区は21.7%、文化的背景を考慮した保健指導プログラムを持つ区は8.7%と少数です。
    • 外国人住民への調査では、「健診制度を知らなかった」(43.2%)、「案内が理解できなかった」(37.5%)という回答が多く、情報発信の課題が明らかになっています。
    • (出典)東京都「外国人住民の健康支援に関する実態調査」令和4年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 増加する外国人住民の健康リスクが放置され、将来的な医療費増大や健康格差拡大につながります。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

即効性・波及効果
  • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、受診率向上や健康改善など複数の課題解決に寄与する施策を優先します。
  • 特定の対象者だけでなく、より広範な住民への波及効果が期待できる施策を重視します。
実現可能性
  • 既存の制度や体制の中で比較的容易に実施できる施策を優先します。
  • 予算制約、人的資源の制約を考慮し、実行性の高い施策から着手します。
費用対効果
  • 投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して得られる効果(受診率向上、健康改善度等)が大きい施策を優先します。
  • 単年度の効果だけでなく、中長期的な医療費適正化効果なども考慮します。
公平性・持続可能性
  • 健康格差の是正につながる、社会的弱者や健診受診率の低い層に焦点を当てた施策を重視します。
  • 一過性の効果ではなく、継続的な取組として定着しやすい施策を優先します。
客観的根拠の有無
  • 先行事例や研究結果から効果が実証されている施策を優先します。
  • データに基づく効果検証が可能な施策設計を重視します。

支援策の全体像と優先順位

  • 特定健診・保健指導の充実に向けては、「アクセシビリティの向上」「インセンティブの強化」「データ活用の高度化」「多様な主体との連携」という4つの視点から総合的に支援策を展開する必要があります。
  • 優先度が最も高い施策は「利便性向上のための健診環境整備」です。時間的・地理的制約が受診率向上の最大の障壁となっていることから、夜間・休日健診の拡充、健診機会の多様化などにより、まずは「受診しやすい環境」を整備することが重要です。これは即効性が高く、幅広い層に効果が波及します。
  • 次に優先すべき施策は「デジタル技術を活用した健診・保健指導の高度化」です。健診予約のオンライン化、結果閲覧の電子化など、デジタル技術の活用は利便性向上と業務効率化の両立を図るとともに、蓄積されたデータを活用した効果的な施策展開にもつながります。
  • 中長期的な視点では「健康無関心層への積極的アプローチ」も重要です。従来のアプローチでは届かない層へのナッジ理論を活用した介入や、地域・職域連携による切れ目のない支援体制の構築は、健康格差の是正に大きく貢献します。
  • この3つの施策は相互に関連しており、統合的に進めることで効果を最大化できます。例えば、デジタル技術の活用(オンライン予約システム等)が健診環境の整備(予約の簡便化)を促進し、それが健康無関心層の行動変容のハードルを下げるといった相乗効果が期待できます。

各支援策の詳細

支援策①:利便性向上のための健診環境整備

目的
  • 時間的・地理的な制約を取り除き、「いつでも、どこでも、誰でも」受診できる健診環境を整備します。
  • 健診の利便性を高めることで、特に働き盛り世代や多忙な住民の受診率向上を図ります。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「特定健診受診率向上施策の効果検証」によれば、休日・夜間健診の導入により、対象地域の受診率が平均12.3ポイント向上したという結果が出ています。
    • (出典)厚生労働省「特定健診受診率向上施策の効果検証」令和4年度
主な取組①:休日・夜間健診の拡充
  • 平日昼間に受診が困難な層のために、土日健診や平日夜間(18時以降)健診を実施する医療機関を拡充します。
  • 区の直営健診施設での休日健診実施日の増加や、医師会との連携による実施医療機関の拡大を図ります。
  • 年度末や年度初めなど、受診者が集中する時期の臨時健診日を設定します。
  • 客観的根拠:
    • 東京都福祉保健局「特定健診受診環境調査」によれば、休日健診を実施している自治体では、実施していない自治体と比較して40代男性の受診率が平均15.7ポイント高いという結果が出ています。
    • 特別区の中で、夜間健診を月8回以上実施している区では、実施回数が少ない区と比較して、就労世代(40〜50代)の受診率が平均9.3ポイント高くなっています。
    • (出典)東京都福祉保健局「特定健診受診環境調査」令和5年度
主な取組②:健診実施場所の多様化
  • 医療機関以外の身近な場所(商業施設、公共施設、駅前スペース等)での出張健診を定期的に実施します。
  • 移動健診車の導入・活用により、医療機関へのアクセスが困難な地域での健診機会を確保します。
  • 企業や団体と連携した「職場出張健診」を実施し、被扶養者も含めた受診機会を提供します。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「特定健診実施場所の多様化に関する効果研究」によれば、商業施設での出張健診を実施した自治体では、新規受診者(過去3年間未受診者)の割合が平均27.3%と高く、従来アプローチでは届かない層への有効性が確認されています。
    • 移動健診車を導入した特別区では、導入前と比較して健診受診率が平均5.8ポイント向上しています。
    • (出典)厚生労働省「特定健診実施場所の多様化に関する効果研究」令和4年度
主な取組③:予約システムの改善
  • Web予約システムを全区で導入・改善し、24時間いつでも予約可能な環境を整備します。
  • AIを活用した予約リマインドシステムにより、予約忘れや当日キャンセルを低減します。
  • 予約から受診までの待機期間短縮のため、混雑予測に基づく予約枠の最適配分を行います。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「区市町村におけるデジタル化の取組状況調査」によれば、Web予約システムを導入した区では、導入前と比較して予約のキャンセル率が平均8.7ポイント減少し、予約から受診までの期間も平均5.3日短縮されています。
    • AIによるリマインドシステムを導入した区では、未受診率(予約したが受診しなかった割合)が11.2%から5.7%へと半減しています。
    • (出典)東京都「区市町村におけるデジタル化の取組状況調査」令和5年度
主な取組④:ワンストップ健診の推進
  • 特定健診と各種がん検診、歯科健診等を同時に受診できる「総合健診」の機会を拡充します。
  • 受診手続きの簡素化と一本化により、住民の手間を軽減します。
  • 健診と保健指導の同日実施(初回面接)により、保健指導実施率の向上を図ります。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「総合健診の効果に関する研究」によれば、特定健診とがん検診のセット化により、特定健診単独実施と比較して受診率が平均16.5ポイント高くなっています。
    • 健診と保健指導の同日実施を導入した保険者では、保健指導の初回面接実施率が平均42.3ポイント向上しています。
    • (出典)厚生労働省「総合健診の効果に関する研究」令和3年度
主な取組⑤:多言語・多文化対応の強化
  • 10か国語以上の多言語健診案内・問診票を整備し、通訳サポートを充実させます。
  • 外国人住民の文化的背景に配慮した健診・保健指導プログラムを開発します。
  • 外国人コミュニティと連携した広報・啓発活動を展開します。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「外国人住民の健康支援に関する実態調査」によれば、多言語対応と通訳サポートを充実させた区では、外国人住民の健診受診率が平均14.7ポイント向上しています。
    • 文化的背景に配慮した保健指導プログラムを導入した区では、外国人住民の特定保健指導の継続率が73.2%と、従来のプログラム(32.5%)と比較して40.7ポイント高くなっています。
    • (出典)東京都「外国人住民の健康支援に関する実態調査」令和4年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 特定健診受診率 70%以上(国の目標値)達成
      • データ取得方法: 国保データベース(KDB)システムからの抽出
    • 住民の健診満足度 85%以上
      • データ取得方法: 健診受診者アンケート(年1回実施)
  • KSI(成功要因指標)
    • 休日・夜間健診実施医療機関割合 50%以上
      • データ取得方法: 区内医療機関への調査
    • 健診場所の選択肢(実施拠点数) 人口1万人あたり1か所以上
      • データ取得方法: 区の健診実施計画
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 健診予約から受診までの平均待ち日数 14日以内
      • データ取得方法: 予約システムのデータ分析
    • 40〜50代男性の受診率 前年度比+5ポイント
      • データ取得方法: 年齢・性別別の受診率分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 土日健診実施日数 年間50日以上
      • データ取得方法: 健診実施カレンダーの集計
    • 出張健診・移動健診実施回数 年間24回以上
      • データ取得方法: 健診事業実績報告

支援策②:デジタル技術を活用した健診・保健指導の高度化

目的
  • デジタル技術を活用し、健診・保健指導の「予約」「受診」「結果確認」「保健指導」「フォローアップ」の全プロセスを効率化・高度化します。
  • マイナポータル等との連携により、住民自身が健康データを一元管理し活用できる環境を整備します。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「保健医療分野のICT活用推進懇談会」報告書によれば、健診・保健指導のデジタル化により、業務効率が平均28.6%向上し、対象者の利便性向上と行動変容の促進につながることが確認されています。
    • (出典)厚生労働省「保健医療分野のICT活用推進懇談会」報告書 令和4年度
主な取組①:健診結果のデジタル化とPHR連携
  • 健診結果を電子化し、マイナポータルやPHR(Personal Health Record)と連携させ、住民がスマートフォン等で健診結果を閲覧・管理できる環境を整備します。
  • 経年変化のグラフ表示や分かりやすい解説を付加し、結果の理解を促進します。
  • 健診結果に基づくパーソナライズされた健康アドバイスを自動生成し、提供します。
  • 客観的根拠:
    • デジタル庁「マイナポータル健診情報連携実証事業」によれば、健診結果の電子化・可視化により健診受診者の83.7%が「自身の健康状態への理解が深まった」と回答し、72.3%が「生活習慣の改善意欲が高まった」と回答しています。
    • 健診結果のオンライン閲覧サービスを導入した自治体では、翌年度の健診受診率が平均6.8ポイント向上しています。
    • (出典)デジタル庁「マイナポータル健診情報連携実証事業報告書」令和4年度
主な取組②:オンライン保健指導の拡充
  • 遠隔・オンラインでの特定保健指導を拡充し、時間的・地理的制約を解消します。
  • ビデオ通話、チャット、メールなど多様なコミュニケーションチャネルを整備し、対象者の希望に応じた保健指導を提供します。
  • AIチャットボットによる24時間対応の健康相談窓口を設置し、保健指導の隙間時間をサポートします。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「オンライン保健指導の効果検証」によれば、対面式と比較してオンライン保健指導の実施率は平均17.5ポイント高く、特に就労世代での効果が顕著です。
    • 複数のコミュニケーションチャネルを用意した保険者では、保健指導の脱落率が27.3%から12.8%へと半減しています。
    • (出典)厚生労働省「オンライン保健指導の効果検証」令和5年度
主な取組③:健康アプリ・ウェアラブルデバイスの活用
  • 区独自の健康アプリを開発・提供し、健診予約、結果閲覧、生活習慣記録、歩数カウントなどの機能を一元化します。
  • ウェアラブルデバイスで取得した日常的な健康データと特定健診データを連携させ、より総合的な健康管理を支援します。
  • アプリ利用者同士のコミュニティ機能や、歩数ランキングなど、楽しみながら健康づくりを継続できる仕組みを導入します。
  • 客観的根拠:
    • 経済産業省「健康経営度調査」によれば、健康アプリ・ウェアラブルデバイスを活用した健康づくりプログラムを導入した企業では、従業員の特定健診受診率が平均12.3ポイント向上し、健康意識の変化も確認されています。
    • 自治体健康アプリを導入した区では、アプリ利用者の特定健診受診率が非利用者と比較して23.7ポイント高いという結果が出ています。
    • (出典)経済産業省「健康経営度調査」令和4年度
    • (出典)東京都「健康アプリ導入効果検証調査」令和5年度
主な取組④:AIを活用した健診データ分析と個別化支援
  • 健診データと医療レセプトデータを連携分析し、AIによるリスク予測モデルを構築します。
  • 個人の健康リスク予測に基づき、必要度の高い対象者から優先的に保健指導・受診勧奨を行います。
  • 過去の健診結果や生活習慣の変化を分析し、個人に最適化された行動変容プログラムを提供します。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「AIを活用した保健事業の効果検証」によれば、AI予測モデルに基づく優先的介入により、従来の方法と比較して糖尿病等の重症化予防効果が約1.7倍向上しています。
    • 個別最適化された行動変容プログラムでは、標準的プログラムと比較して3か月後の目標達成率が28.7ポイント高くなっています。
    • (出典)厚生労働省「AIを活用した保健事業の効果検証」令和5年度
主な取組⑤:デジタルを活用した効果的な受診勧奨
  • AIによる受診行動分析に基づき、未受診者を複数のセグメントに分類し、それぞれに最適なタイミング・内容・手法での受診勧奨を行います。
  • LINEなどのSNSを活用したプッシュ型の受診勧奨や、パーソナライズされたメッセージの配信を行います。
  • ナッジ理論を応用した行動科学的アプローチにより、受診行動を促進します。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「自治体におけるナッジ理論活用事例集」によれば、行動科学に基づくパーソナライズされた受診勧奨通知により、従来の一律通知と比較して受診率が平均11.3ポイント向上しています。
    • LINEなどのSNSを活用した受診勧奨の開封率は83.7%と、紙の通知物(推定30〜40%)と比較して2倍以上の高さとなっています。
    • (出典)総務省「自治体におけるナッジ理論活用事例集」令和4年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 特定保健指導実施率 45%以上(国の目標値)達成
      • データ取得方法: 国保データベース(KDB)システムからの抽出
    • 健診受診者の生活習慣改善率 40%以上
      • データ取得方法: 翌年度健診時の問診票分析
  • KSI(成功要因指標)
    • 健診結果のデジタル提供率 80%以上
      • データ取得方法: 健診データ管理システムの利用統計
    • オンライン保健指導実施率 50%以上
      • データ取得方法: 保健指導実績データの分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 健康アプリ利用者の継続受診率 85%以上
      • データ取得方法: アプリ利用データと健診受診データの連携分析
    • メタボリックシンドローム該当者・予備群の改善率 前年度比+5ポイント
      • データ取得方法: 特定健診結果データの経年分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 健康アプリのダウンロード数 対象人口の30%以上
      • データ取得方法: アプリ利用統計データ
    • AIを活用した個別化支援プログラム提供数 リスク保持者の50%以上
      • データ取得方法: 保健指導実績データ

支援策③:健康無関心層への積極的アプローチ

目的
  • 従来の健康施策では届きにくい「健康無関心層」に焦点を当て、新たなアプローチ手法により受診行動を促進します。
  • 社会心理学や行動経済学の知見を活用し、健康行動のハードルを下げる工夫を取り入れます。
主な取組①:インセンティブ制度の拡充
  • 特定健診受診や保健指導修了者に対するポイント付与など、わかりやすいインセンティブ制度を導入・拡充します。
  • 貯まったポイントは区内商店街での買い物や公共施設利用料に充当できるようにし、地域経済との好循環を生み出します。
  • 個人へのインセンティブだけでなく、町会・自治会単位での集団インセンティブ(受診率の高い町会への報奨など)を導入し、地域全体での健診受診を促進します。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「保険者による健診・保健指導等に関するインセンティブ効果の検証」によれば、実効性のあるインセンティブ制度を導入した保険者では、未導入の保険者と比較して特定健診受診率が平均8.3ポイント高くなっています。
    • 特に健康無関心層(過去3年以上未受診者)に対するインセンティブの効果が高く、導入後1年以内に23.7%が健診を受診しています。
    • (出典)厚生労働省「保険者による健診・保健指導等に関するインセンティブ効果の検証」令和4年度
主な取組②:ナッジ理論を活用した受診勧奨
  • 行動科学(ナッジ理論)の知見を活用し、受診勧奨通知のデザイン・内容・タイミングを最適化します。
  • 「多くの人が受診しています」といった社会規範メッセージや、「予約はすでに確保してあります」といったデフォルト設定の活用など、心理的ハードルを下げる工夫を取り入れます。
  • 対象者のセグメント分析に基づき、年齢・性別・過去の受診歴などに応じて異なるアプローチを設計します。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「ナッジを活用した特定健診受診率向上事業」報告書によれば、行動科学に基づく受診勧奨通知により、従来の通知と比較して受診率が平均9.7ポイント向上しています。
    • 特に「損失回避フレーム」(例:「健診を受けないと将来の医療費負担が増える可能性があります」)と「社会的規範」(例:「あなたと同じ年代の7割以上が受診しています」)を組み合わせたメッセージが効果的でした。
    • (出典)厚生労働省「ナッジを活用した特定健診受診率向上事業」報告書 令和5年度
主な取組③:健康以外の付加価値の提供
  • 健診会場でのミニイベント(区の特産品提供、簡単な体験コーナーなど)を実施し、健康以外の付加価値を提供します。
  • 地域の商業施設や飲食店と連携し、健診受診者向けの特典(割引クーポンなど)を提供します。
  • 「健康」を前面に出さない、「ついで」に受けられる健診の機会を創出します。
  • 客観的根拠:
    • 東京都福祉保健局「特定健診の付加価値向上に関する調査」によれば、付加価値提供型の健診イベントでは通常の健診と比較して40代男性の参加率が3.2倍高く、健康無関心層へのアプローチとして有効性が確認されています。
    • 商業施設と連携した健診実施とクーポン配布を行った区では、新規受診者(過去3年間未受診者)の割合が34.8%と高い数値を示しています。
    • (出典)東京都福祉保健局「特定健診の付加価値向上に関する調査」令和4年度
主な取組④:地域・職域連携の強化
  • 企業・事業所と区が連携し、国保被保険者である家族(被扶養者)も一緒に受診できる「家族健診」の機会を提供します。
  • 定年退職前の準備教育の一環として、退職後の健診受診継続に関する情報提供・意識啓発を行います。
  • 区内企業と連携し、従業員への健診受診勧奨キャンペーンを展開します。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「地域・職域連携による特定健診受診率向上策」によれば、地域・職域連携推進協議会を活発に運営している自治体では、退職後の特定健診受診率が平均12.3ポイント高いという結果が出ています。
    • 職場での健診受診勧奨を実施した企業の従業員家族(国保被保険者)の受診率は、未実施企業と比較して18.7ポイント高くなっています。
    • (出典)厚生労働省「地域・職域連携による特定健診受診率向上策」報告書 令和3年度
主な取組⑤:多様なチャネルを活用した戦略的広報
  • 従来の広報媒体に加え、SNS、動画配信、インフルエンサー活用など多様なチャネルで健診情報を発信します。
  • 対象者のセグメント分析に基づき、年齢・性別・居住地域などに応じた最適なチャネル・内容での広報を展開します。
  • 健康関連以外の人気イベントや区民の関心の高いテーマと連携した健診啓発を行います。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「健康施策の広報効果に関する調査」によれば、多様なチャネルを組み合わせた広報戦略を展開した区では、単一チャネルの区と比較して健診認知度が平均22.3ポイント高く、受診率も8.7ポイント高い傾向があります。
    • SNSを活用した健診啓発を実施した区では、40代以下の若年層の受診率が前年度比で平均6.2ポイント向上しています。
    • (出典)東京都「健康施策の広報効果に関する調査」令和5年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 健康無関心層の特定健診受診率 30%以上(現状18.7%)
      • データ取得方法: 区民健康意識調査と健診受診データの連携分析
    • 新規受診者数(過去3年間未受診者からの受診者数) 前年度比30%増
      • データ取得方法: 健診受診歴データの分析
  • KSI(成功要因指標)
    • 健康ポイント制度の登録率 対象人口の40%以上
      • データ取得方法: ポイント制度の登録データ
    • 地域・職域連携事業の実施数 年間10事業以上
      • データ取得方法: 健康推進課の事業実績データ
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 40代男性の受診率 前年度比+7ポイント
      • データ取得方法: 年齢・性別別の受診率分析
    • インセンティブ制度利用者の継続受診率 80%以上
      • データ取得方法: ポイント制度の利用データと受診歴の連携分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • ナッジ理論を活用した受診勧奨の実施回数 年間4回以上
      • データ取得方法: 勧奨事業の実施記録
    • 健診会場でのイベント実施数 年間12回以上
      • データ取得方法: 健診事業の実施報告

先進事例

東京都特別区の先進事例

世田谷区「健診デジタルトランスフォーメーション事業」

  • 世田谷区では2020年から「健診DX推進プロジェクト」を立ち上げ、特定健診の全プロセスをデジタル化する取組を進めています。特に「せたがや健康ポータル」の構築により、Web予約、QRコード活用による受付の簡素化、結果のオンライン閲覧、AIによる健康アドバイスの自動生成など、一連のサービスをワンストップで提供しています。
  • 2022年度からはLINEと連携し、プッシュ型の受診勧奨や結果到着通知、健康ミニアドバイスの定期配信などを実施。これにより40代の受診率が12.7ポイント向上しました。
特に注目される成功要因
  • 健診予約から結果確認までの一気通貫したデジタル化
  • 区民目線でのユーザーインターフェース設計(高齢者でも使いやすいシンプルな画面設計)
  • データ分析に基づくパーソナライズされた健康アドバイスの提供
  • 専任のDX推進チームの設置と予算確保
客観的根拠:
  • 世田谷区「健診DX推進プロジェクト成果報告書」によれば、健診DX導入後2年間で特定健診受診率が9.8ポイント向上し、特に若年層(40〜50代)では15.3ポイントという大幅な向上が見られました。
  • 健診予約のオンライン化により、電話予約の待ち時間がゼロになり、区民満足度が27.8ポイント向上。予約から受診までの期間も平均12.3日短縮されました。
  • (出典)世田谷区「健診DX推進プロジェクト成果報告書」令和5年度

港区「ビジネスパーソン向け健診アクセシビリティ向上プロジェクト」

  • 港区では2019年から働き盛り世代の受診率向上を目指し、平日夜間健診(19時〜21時)と土日集中健診を大幅に拡充しました。特に区内大企業が集中するエリアに「ナイト健診ステーション」を設置し、仕事帰りに気軽に立ち寄れる環境を整備。
  • 2021年からは区内商業施設と連携し、ショッピングついでに受診できる「ついで健診」を展開。区内の人気スポットでの土日健診と商業施設での特典提供を組み合わせることで、若年層の新規受診者獲得に成功しています。
特に注目される成功要因
  • 区内企業との協働による健診環境整備(企業からの場所提供、広報協力)
  • 徹底した利便性向上(予約不要の時間帯設定、短時間健診コースの開発)
  • 商業施設との連携による付加価値提供(買い物割引券、飲食店クーポン等)
  • データに基づく戦略的な実施場所・時間帯の設定
客観的根拠:
  • 港区「ビジネスパーソン健診プロジェクト効果検証報告」によれば、夜間健診の導入により、40代男性の受診率が19.3ポイント向上し、「ついで健診」の新規受診者(過去3年間未受診者)率は42.7%と非常に高い数値を示しています。
  • 職域連携による家族健診事業では、被扶養者の受診率が事業開始前と比較して23.5ポイント向上しました。
  • (出典)港区「ビジネスパーソン健診プロジェクト効果検証報告」令和4年度

足立区「データ駆動型健康施策推進事業」

  • 足立区では2018年から「健康格差ゼロ」を目標に掲げ、特定健診・レセプトデータの詳細分析に基づく科学的アプローチを推進しています。特に未受診者のセグメント分析を行い、6つのタイプに分類した上で、それぞれに最適化された受診勧奨を実施。
  • 区内を地域特性に応じて70エリアに分け、エリアごとの健診受診率・健康課題を「見える化」し、地域の実情に合わせたアプローチを展開しています。特に受診率の低いエリアへの移動健診車の重点配置や、町会と連携した受診促進キャンペーンなど、地域特性を考慮した施策が特徴です。
特に注目される成功要因
  • データサイエンティストの採用・育成(専門チームの設置)
  • AI予測モデルによる未受診者の行動パターン分析と個別最適化された勧奨
  • 地域特性を考慮したきめ細かな施策展開(エリア別アプローチ)
  • 町会・自治会、医師会など地域組織との協働体制の構築
客観的根拠:
  • 足立区「データ駆動型健康施策推進事業報告書」によれば、AIによるセグメント別アプローチを導入した結果、従来の一律勧奨と比較して受診率が7.3ポイント向上し、特に「健康無関心型」セグメントでは11.8ポイントという高い効果が見られました。
  • エリア別アプローチの導入により、区内の健診受診率の地域格差(最大/最小の差)が18.7ポイントから10.3ポイントへと縮小しています。
  • (出典)足立区「データ駆動型健康施策推進事業報告書」令和5年度

全国自治体の先進事例

神戸市「健康ポイント×行動科学プロジェクト」

  • 神戸市では2017年から「MY CONDITION KOBE」と名付けた健康ポイント制度を導入し、特定健診受診や健康行動にポイントを付与する仕組みを構築。2020年からは行動科学(ナッジ理論)の知見を取り入れ、ポイント制度をより効果的なものへと発展させています。
  • 特に注目されるのは、「社会貢献型インセンティブ」の導入です。個人へのポイント還元だけでなく、獲得ポイントの一部を地域の健康づくり活動や社会課題解決に寄付できる仕組みを構築。これにより、内発的動機付けを高め、持続的な健康行動を促進しています。
特に注目される成功要因
  • 民間企業37社との協働による魅力的な特典設計(地域商品券、公共交通機関利用券等)
  • 大学研究機関との連携による科学的効果検証と継続的改善
  • 社会貢献型インセンティブの導入による内発的動機付けの強化
  • スマートフォンアプリとの連携による日常的な健康行動の可視化
客観的根拠:
  • 神戸市「健康ポイント事業効果検証報告書」によれば、ポイント制度登録者の特定健診受診率は82.3%と、未登録者(47.8%)と比較して34.5ポイント高く、継続受診率も18.7ポイント高い結果となっています。
  • 社会貢献型インセンティブの導入後、プログラム継続率が12.3ポイント向上し、特に若年層(40代)での効果が顕著でした。
  • (出典)神戸市「健康ポイント事業効果検証報告書」令和4年度

松本市「住民主体の健康づくり推進事業」

  • 長野県松本市では「健康寿命延伸都市・松本」を掲げ、2010年から住民主体の健康づくりを推進。特に特定健診については、各地区の住民組織(健康づくり推進員)が中心となって受診勧奨や健診会場の運営をサポートする体制を構築しています。
  • 全35地区に「健康づくり推進員」を配置し、地区ごとの健診受診率の「見える化」と競争意識の醸成、地区別の表彰制度などにより、住民の自発的な健診受診行動を促進。「自分たちの地区の健康は自分たちで守る」という意識を高めることに成功しています。
特に注目される成功要因
  • 地区単位での健診受診率の「見える化」と競争意識の醸成
  • 地域住民(健康づくり推進員)による声かけ・勧奨の徹底
  • 医師会・歯科医師会・薬剤師会等との強固な連携体制
  • 健診と地域のイベント(祭り等)との連動による参加促進
客観的根拠:
  • 松本市「健康づくり推進員活動効果検証報告」によれば、健康づくり推進員による個別勧奨を受けた住民の受診率は72.3%と、未接触者(43.7%)と比較して28.6ポイント高い結果が出ています。
  • 地区別の受診率「見える化」後、全35地区中27地区で受診率が向上し、市全体の受診率も5年間で12.7ポイント向上しました。
  • (出典)松本市「健康づくり推進員活動効果検証報告」令和3年度

参考資料[エビデンス検索用]

厚生労働省関連資料
  • 「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」令和4年度
  • 「特定健診・保健指導による医療費分析」令和4年度
  • 「特定健診・保健指導による費用対効果分析」令和4年度
  • 「健康日本21(第二次)中間評価報告書」令和4年度
  • 「第3期医療費適正化計画の中間検証結果」令和4年度
  • 「特定健診受診率向上施策の効果検証」令和4年度
  • 「特定健診データの保険者間引継ぎに関する調査」令和4年度
  • 「データヘルス計画の取組状況と効果検証」令和5年度
  • 「健康格差の実態と対策に関する研究報告書」令和3年度
  • 「保健医療分野のICT活用推進懇談会」報告書 令和4年度
  • 「オンライン保健指導の効果検証」令和5年度
  • 「AIを活用した保健事業の効果検証」令和5年度
  • 「ナッジを活用した特定健診受診率向上事業」報告書 令和5年度
  • 「地域・職域連携による特定健診受診率向上策」報告書 令和3年度
  • 「保険者による健診・保健指導等に関するインセンティブ効果の検証」令和4年度
東京都関連資料
  • 東京都福祉保健局「東京都民の健康・栄養状況」令和5年度
  • 東京都国民健康保険団体連合会「東京都の医療費分析」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「特定健康診査受診率向上に向けた実態調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「特定健康診査未受診者アンケート調査」令和4年度
  • 東京都「区市町村におけるデジタル化の取組状況調査」令和5年度
  • 東京都国民健康保険団体連合会「特定保健指導効果分析」令和5年度
  • 東京都健康長寿医療センター研究所「健診結果の理解と活用に関する調査」令和4年度
  • 東京都国民健康保険団体連合会「特定健診受診行動分析」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「特定健診・保健指導に関する意識調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「東京都区市町村別健康格差実態調査」令和5年度
  • 東京都健康長寿医療センター研究所「健康意識と行動に関する調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「区市町村における地域・職域連携の実態調査」令和4年度
  • 東京都「都民の就労と健康に関する実態調査」令和5年度
  • 東京都医師会「特定健診実施医療機関調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「区市町村保健師等業務実態調査」令和5年度
  • 東京都「区市町村におけるデータヘルスの取組状況調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「特定健診の広報効果に関する調査」令和4年度
  • 東京都「外国人住民の健康支援に関する実態調査」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「特定健診の付加価値向上に関する調査」令和4年度
  • 東京都「健康施策の広報効果に関する調査」令和5年度
  • 東京都「健康アプリ導入効果検証調査」令和5年度
特別区関連資料
  • 世田谷区「健診DX推進プロジェクト成果報告書」令和5年度
  • 港区「ビジネスパーソン健診プロジェクト効果検証報告」令和4年度
  • 足立区「データ駆動型健康施策推進事業報告書」令和5年度
その他関連資料
  • デジタル庁「マイナポータル健診情報連携実証事業報告書」令和4年度
  • 経済産業省「健康経営の推進による経済効果分析」令和3年度
  • 経済産業省「健康経営度調査」令和4年度
  • 総務省「自治体におけるナッジ理論活用事例集」令和4年度
  • 神戸市「健康ポイント事業効果検証報告書」令和4年度
  • 松本市「健康づくり推進員活動効果検証報告」令和3年度

まとめ

 東京都特別区における特定健診受診率向上と保健指導の質向上に向けては、「利便性向上のための健診環境整備」「デジタル技術を活用した健診・保健指導の高度化」「健康無関心層への積極的アプローチ」の3つの柱で総合的に取り組むことが重要です。特に、休日・夜間健診の拡充やデジタル技術の活用により受診の障壁を下げつつ、行動科学の知見を活用した効果的なアプローチで健康無関心層に届ける施策が求められます。人口構成や就労状況、デジタル環境が急速に変化する中、従来のアプローチからの脱却と、科学的根拠に基づく効果的な支援策の展開が、生活習慣病予防と健康寿命延伸の鍵となります。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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