17 健康・保健

食育・栄養指導

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目次
  1. はじめに
  2. 食育・栄養指導に関する現状データ
  3. 課題
  4. 行政の支援策と優先度の検討
  5. 先進事例
  6. 参考資料［エビデンス検索用］
  7. まとめ

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要（食育・栄養指導を取り巻く環境）

  • 自治体が食育・栄養指導を行う意義は「住民の生涯にわたる心身の健康の実現」と「持続可能な社会基盤の構築」にあります。
  • 食育とは、単に栄養や食事のマナーに関する教育を指すものではありません。食育基本法では、「生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの」と位置づけられています。様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、生涯にわたって健全な食生活を実践できる人間を育てることを目的としています 1, 2, 3 ]。
  • 東京都特別区のような都市部では、ライフスタイルの多様化、食の外部化、地域コミュニティの希薄化が進んでおり、個人の努力だけでは健全な食生活を維持することが困難な状況にあります。そのため、行政が主体となり、家庭、地域、学校、企業等と連携して食育を総合的に推進することが極めて重要です。

意義

住民にとっての意義

生涯を通じた健康の維持・増進
  • 適切な食育・栄養指導は、生活習慣病（肥満、糖尿病、高血圧など）の発症を予防し、健康寿命の延伸に直接的に寄与します。
  • 子どもの頃から正しい食習慣を身につけることで、生涯にわたる健康の礎を築くことができます 3, 4 ]。
豊かな人間形成
  • 食育は、食べ物への感謝の念や、食文化への理解を深めることを通じて、豊かな人間性を育みます。
  • 食育基本法第2条においても、食育が「国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成に資する」ことが明記されています 5, 6 ]。
食を選択する力の習得
  • 食に関する正しい知識や情報を基に、自らの健康状態やライフスタイルに応じて、主体的かつ適切に食を選択する能力（フードリテラシー）が身につきます。
  • これにより、氾濫する食情報に惑わされず、賢い消費者として行動できるようになります 1, 2, (https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/attach/pdf/kannrennhou-2.pdf) ]。

地域社会にとっての意義

医療費・介護給付費の抑制
  • 区民の健康増進により生活習慣病が減少すれば、中長期的には国民健康保険における医療費や介護保険給付費の伸びを抑制することが期待できます。
  • これは、持続可能な社会保障制度の構築に不可欠な要素です。
食文化の継承と地域活性化
共食によるコミュニティの強化

行政にとっての意義

健康寿命の延伸と健康格差の縮小
持続可能な開発目標（SDGs）への貢献
  • 食育の推進は、SDGsの多くの目標達成に貢献します。
  • 例えば、「目標3：すべての人に健康と福祉を」「目標2：飢餓をゼロに」「目標4：質の高い教育をみんなに」「目標12：つくる責任 つかう責任」など、多岐にわたる目標と関連しています (https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001158816.pdf), (https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002500.html) ]。

（参考）歴史・経過

1940年代～1950年代
  • 戦後の食糧難を背景に、子どもの栄養改善を目的として学校給食が開始されます（1946年）。
  • その後、単なる栄養補給から、望ましい食習慣を形成するための「教育の一環」として位置づけられるようになります（1954年「学校給食法」制定） 10 ]。
1960年代～1980年代
1985年～2000年
2005年
  • 食に関する問題（栄養の偏り、食の安全、食文化の喪失等）が深刻化する中、国を挙げて食育を推進するため、画期的な「食育基本法」が制定・施行されます。
  • これに基づき、具体的な目標や施策を定めた「食育推進基本計画」が策定され、食育が国民運動として本格的に始動します 3, (https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/hyoji/250610.html), (https://www.bus.nihon-u.ac.jp/wp-content/themes/nichidai/assets/img/unique/laboratory/kiyo/23-1_TanakaKoji.pdf) ]。
2016年～現在
  • 第3次、第4次の食育推進基本計画が策定されます。
  • これまでの取組に加え、「多様な暮らしへの対応」「食と環境の調和（食品ロス削減など）」「新たな日常（コロナ禍）やデジタル化への対応」といった新たな重点課題が盛り込まれ、時代の変化に対応した食育が求められています 3, 8, (https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_002500.html) ]。

食育・栄養指導に関する現状データ

  • 最新の国の調査からは、長年の政策努力にもかかわらず、国民、特に都市部で生活する人々の食生活が多くの課題を抱えている実態が浮き彫りになっています。目標と現実の乖離は依然として大きく、特に特定の世代や所得層で問題が深刻化している傾向が見られます。
肥満とやせの状況
主要な食生活指標の目標と現状
運動習慣と共食
  • 運動習慣の低下： 1日の平均歩数はこの10年間で男女ともに有意に減少しており、男性6,628歩、女性5,659歩となっています (https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45540.html), (https://www.dietitian.or.jp/trends/2024/396.html) ]。身体活動量の低下は、消費エネルギーの減少を通じて肥満のリスクを高めます。
  • 共食機会の減少と地域のつながりの希薄化： 「地域の人々と共食している」と回答した国民は19.0%に過ぎず、「地域の人々とのつながりが強い」と感じる人の割合も平成23年（2011年）以降、有意に減少しています (https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45540.html) ]。都市部における社会的な孤立が食生活にも影響を及ぼしている可能性が示唆されます。

課題

住民の課題

ライフステージ別の栄養課題の深刻化
健康格差の固定化・拡大

地域社会の課題

食文化の継承の危機と「共食」機会の減少
  • 都市化、核家族化、単身世帯の増加は、家庭内で郷土料理や季節の行事食といった食文化が受け継がれる機会を奪っています 3, 7 ]。
  • 家族や地域の人々と食卓を囲む「共食」は、食事の楽しさを伝え、コミュニケーション能力や社会性を育む上で非常に重要です。しかし、ライフスタイルの変化によりその機会は著しく減少しており、子どもの孤食や高齢者の孤立を助長する一因となっています 8, (https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45540.html) ]。
食の外部化と食品ロス問題

行政の課題

無関心層へのアプローチの困難さ
  • 行政が従来行ってきた、保健センターでの料理教室やパンフレットの配布といった画一的な啓発手法は、もともと健康に関心のある層にしか届きにくいという限界があります。
  • 特に、食生活に課題を抱えがちな若者や働き盛りの男性といった「無関心層」にアプローチすることが極めて困難です (https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/hyoji/250610.html), (https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/hyoji/250610.html) ]。彼らのライフスタイルや価値観に合わせた、新たな情報伝達手法や介入戦略が求められています。
    • 客観的根拠：
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察：
      • 健康格差がさらに拡大し、施策が一部の関心層向けのものに終始してしまいます。
縦割り行政による連携不足
  • 食育は、保健福祉（健康増進）、教育（学校給食）、産業（地産地消）、環境（食品ロス）など、複数の行政分野にまたがる複合的なテーマです。
  • しかし、多くの自治体では、これらの分野が縦割りで事業を進めているため、施策間の連携が不十分となり、相乗効果が生まれにくい構造になっています (https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001158816.pdf), 12 ]。例えば、学校給食で地場産物を使う取り組み（教育委員会・産業振興課）と、地域住民への健康的な食生活の啓発（保健所）がバラバラに行われ、地域全体としての大きなムーブメントにつながっていません。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

  • ※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。
  • 即効性・波及効果： 施策の実施から効果発現までの期間が短く、健康改善だけでなく、コミュニティ活性化や環境問題など、複数の課題解決に横断的に貢献する施策を高く評価します。
  • 実現可能性： 現在の法制度、予算、人員体制の中で実現が見込める施策を優先します。特に、既存の仕組みや民間資源を活用できる施策は実現性が高いと判断します。
  • 費用対効果： 投入する行政コスト（予算・人員）に対し、将来的な医療費削減効果や区民のQOL向上といった社会的便益が大きい施策を優先します。
  • 公平性・持続可能性： 特定の層だけでなく、所得や地域による健康格差の是正に繋がり、一過性でなく長期的に継続可能な仕組みを構築できる施策を高く評価します。
  • 客観的根拠の有無： 国の基本計画や白書で推奨されている、または他の自治体や研究で効果が実証されているエビデンスに基づいた施策を優先します。

支援策の全体像と優先順位

  • これまでの課題分析から、従来の「情報提供」や「知識普及」を中心としたアプローチには限界があることが明らかです。今後は、個人の意識変革を促すだけでなく、①個人を取り巻く「食環境」そのものを健康的に変えていくアプローチ、②多様化するニーズに個別最適化された支援を届けるための「デジタル技術」の活用、そして③最も支援を必要とする層に確実に手を差し伸べる「ターゲット別アプローチ」、この3つの柱を統合的に推進することが不可欠です。
  • この考え方に基づき、優先順位を以下のように設定します。
    • 優先度【高】：支援策② 地域・民間連携による食環境改善
      • 個人の努力だけに依存せず、誰もが自然と健康的な選択をしやすくなる社会環境を構築するこの施策は、最も波及効果と持続性が高いと判断します。特に、多くの時間を職場で過ごす働き盛り世代に直接アプローチできる「健康経営」の推進は、即効性も期待できるため最優先とします。
    • 優先度【中】：支援策③ デジタル技術を活用した食育DXの推進
      • 行政が苦手としてきた無関心層へのリーチや、個別最適化された支援を低コストで実現できる可能性を秘めており、費用対効果の観点から重要です。支援策②と連携させることで効果を最大化できます。
    • 優先度【中】：支援策① ライフステージ・課題別アプローチの強化
      • 健康格差の是正という公平性の観点から極めて重要ですが、個別対応が多くリソースを要するため、単独ではなく、食環境の改善（支援策②）やデジタルツール（支援策③）と組み合わせることで、より効果的かつ効率的に実施します。

各支援策の詳細

支援策①：ライフステージ・課題別アプローチの強化

目的
  • 画一的な支援から脱却し、若年層、働き盛り世代、高齢者といったライフステージや、所得等の社会経済的状況に応じた、きめ細やかで効果的な栄養指導を実施します。
  • 政策の明確な目標として「健康格差の是正」を掲げ、支援が必要な層へ重点的にアプローチします。
主な取組①：若年女性向け「健やかライフデザイン支援」
  • 「やせ」が将来の不妊や骨粗鬆症、低出生体重児出産のリスクを高めることを、若者が頻繁に接触するメディア（SNSインフルエンサー、ファッション誌、大学のキャリアセンター等）と連携して分かりやすく発信します。
  • 所得が低い傾向にある若者でも実践できるよう、コンビニ食材やカット野菜を活用した、安価で手軽に作れる栄養バランスの取れた「ずぼら飯」レシピ動画などを開発し、TikTokやYouTubeショートで配信します。
主な取組②：働き盛り世代向け「職場介入プログラム」
  • 後述の支援策②「健康経営」と連動し、事業所へ管理栄養士を派遣し、昼休み時間などを活用した短時間の栄養セミナー（例：「コンビニ飯の上手な選び方」「飲み会の翌日のリセット術」）や、ワンコインで受けられる個別栄養相談会を実施します。
  • 特に肥満率が高い30～50代男性をターゲットに、メタボリックシンドローム予防に特化した、ゲーム感覚で参加できるチーム対抗の減量プログラムなどを展開します。
主な取組③：高齢者向け「フレイル予防・共食サポート」
  • 地域の高齢者サロンや通いの場、配食サービス事業者と連携し、低栄養・フレイル予防に関する出前講座を実施します。講座では、少量でも効率よくタンパク質を摂取できるレシピの紹介や調理実演を行います。
  • 地域の社会福祉協議会やNPOと協働し、高齢者と地域の多世代が交流できる「地域食堂」の立ち上げを支援し、「共食」の機会を創出します。
  • 歯科医師会と連携し、噛む力の維持・向上を図る「オーラルフレイル」予防と連動した食育を一体的に推進します。
主な取組④：低所得世帯向け「食のアクセス改善支援」
  • フードパントリーや子ども食堂と連携し、単に食品を配付するだけでなく、管理栄養士や地域の食生活改善推進員が、提供された食材を使った簡単でおいしい調理法や栄養バランスの考え方を伝える「栄養相談ブース」を併設します。
  • 板橋区社会福祉協議会の「『食』からつながる応援プロジェクト」のように、食の支援を入口として、生活困窮に関する他の相談支援に繋げる多角的なサポート体制を構築します (https://www.city-itabashi-sdgs.jp/story/features/itabashishakyo/) ]。
KGI・KSI・KPI
  • KGI（最終目標指標）
    • 区内の健康寿命の延伸、および健康格差（所得階級間や地域間の健康寿命の差）の縮小
    • データ取得方法： 厚生労働省・東京都が公表する生命表、市区町村別健康寿命の算定値、国民健康・栄養調査の所得階級別データ
  • KSI（成功要因指標）
    • 所得階級別の野菜摂取量および食塩摂取量の格差縮小率 10%改善
    • データ取得方法： 国民健康・栄養調査（特別集計）、または区が実施する健康・栄養実態調査
  • KPI（重要業績評価指標）アウトカム指標
    • 20代女性の適正体重者（BMI18.5以上25未満）の割合 10%増加
    • 40代男性のメタボリックシンドローム該当者・予備群の割合 10%減少
    • データ取得方法： 区民健康診査データ、国民健康・栄養調査
  • KPI（重要業績評価指標）アウトプット指標
    • 各ライフステージ向けプログラムの年間開催回数および延べ参加者数
    • フードパントリー等における栄養相談の実施回数および延べ相談者数
    • データ取得方法： 各事業の実施記録、参加者アンケート

支援策②：地域・民間連携による食環境改善

目的
  • 個人の意識や努力だけに依存するのではなく、地域社会全体で、誰もが無理なく自然と健康的な食生活を選択できる「ナッジ」を取り入れた環境を構築します。
  • 企業や地域団体など、民間の活力や専門的なノウハウを積極的に活用し、行政だけでは実現できない、持続可能で効果的な食育を推進します。
主な取組①：「健康経営」の推進と認定制度の強化
  • 従業員の健康をコストではなく「投資」と捉える「健康経営」の考え方を区内事業者に普及させます。
  • 具体的には、タニタや味の素の事例を参考に、社員食堂でのヘルシーメニュー（スマートミール等）の提供、野菜摂取を促すサラダバーの設置、従業員向け食育セミナーの開催などを支援します (https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/approach/canteen1.html), 13, 14 ]。
  • 大田区の「おおた健康経営事業所」認定制度のように、区独自の認定制度を創設または強化します (https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/hoken/kenko_dukuri/syokuseikatsu_joho/syokuiku/kihonnhou.files/syokuikukeikaku.pdf) ]。認定事業所には、区の制度融資における利率優遇、区のホームページや広報誌でのPR支援、補助金の交付といったインセンティブを付与し、参加を促進します。
主な取組②：コンビニ・スーパー等との連携による「ベジ活」応援プロジェクト
  • 野菜摂取量が特に少ない若者や働き盛り世代が日常的に利用するコンビニエンスストアやスーパーマーケットと協定を締結します。
  • 大田区の事例のように、野菜を多く含む弁当や惣菜、サラダ等に「野菜たっぷり！あと一皿に最適！」といった共通の推奨POPを掲示します (https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/hoken/kenko_dukuri/syokuseikatsu_joho/syokuiku/kihonnhou.files/syokuikukeikaku.pdf) ]。
  • また、対象商品の購入時にスマートフォンのアプリでポイントが貯まり、景品と交換できるキャンペーンなどを共同で実施し、楽しみながら野菜摂取を促します。
主な取組③：「おいしい給食」を核とした地域食育エコシステムの構築
  • 足立区の「おいしい給食」事業をモデルとし、区立小中学校の給食改革に取り組みます。天然だしを基本とし、減塩でも美味しく食べられる調理法を導入、地場産野菜を積極的に活用します 15, 16, 17 ]。
  • 「給食残菜率の削減」を明確な目標（KPI）に設定し、学校・栄養士・調理事業者が一体となって改善に取り組みます。
  • 給食を「生きた教材」と捉え、地元の農家を招いた出前授業や収穫体験、給食のレシピを家庭向けに紹介する「給食だより」の全戸配布などを通じて、学校から家庭、地域へと食育の輪を広げ、地域全体の食文化への関心を高めます。
主な取組④：フードドライブと連携した食品ロス削減啓発
KGI・KSI・KPI
  • KGI（最終目標指標）
    • 区民一人当たりの1日の平均野菜摂取量：350g（現状約300g）
    • 区民一人当たりの1日の平均食塩摂取量：7.0g（現状約9-10g）
    • データ取得方法： 区が実施する健康・栄養実態調査、または国民健康・栄養調査のデータ
  • KSI（成功要因指標）
    • 区内「健康経営」認定事業所数：100社
    • 認定事業所の従業員における健康診断の有所見率の改善度
    • データ取得方法： 認定制度の登録・更新データ、各事業所からの効果測定報告（任意提出） (https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kigyo/attach/pdf/jirei-1.pdf), 19 ]
  • KPI（重要業績評価指標）アウトカム指標
    • 連携店舗における健康関連商品（野菜惣菜、減塩商品等）の売上構成比 5%向上
    • 区立小中学校の給食平均残菜率 3.0%以下
    • データ取得方法： 連携事業者からのPOSデータ提供、教育委員会による全校の残菜率調査
  • KPI（重要業績評価指標）アウトプット指標
    • 「健康経営」に関する事業者向けセミナーの年間開催回数：10回
    • 「ベジ活」応援プロジェクト連携店舗数：200店舗
    • フードドライブの年間実施回数および食品回収重量
    • データ取得方法： 各事業の実施記録

支援策③：デジタル技術を活用した食育DXの推進

目的
  • スマートフォンアプリやSNSなどのICT（情報通信技術）を最大限に活用し、時間や場所の制約を受けずに、個人の興味や健康課題に合わせた食育情報・サービスを提供します。
  • これまで行政のアプローチが届きにくかった無関心層、特に若者や働き盛り世代へのリーチを強化し、楽しみながら継続できる健康づくりを支援することで、効果的な行動変容を促します。
主な取組①：健康管理アプリの導入・活用支援
主な取組②：オンライン食育コンテンツの拡充とパーソナライズ配信
  • ターゲットを明確にした、短時間で視聴できるオンライン食育コンテンツを制作・配信します。
    • 子育て世代向け： 離乳食の進め方、子どもの偏食対策などをテーマにした、管理栄養士によるオンライン相談会やインスタライブ。
    • 働き盛り向け： 忙しくても実践できる時短・健康レシピ、外食・コンビニ食の賢い選び方などを紹介するYouTubeショート動画。
    • 高齢者向け： 低栄養・フレイル予防を目的とした、簡単調理でタンパク質を補給できるレシピ動画や、口腔体操の動画。
  • 区の公式LINEアカウント等を活用し、利用者が登録した年齢や性別、興味関心（例：「子育て」「生活習慣病予防」）に応じて、最適な情報をプッシュ型で配信する仕組みを構築します。
主な取組③：スマートシティ連携による次世代型食育体験
KGI・KSI・KPI
  • KGI（最終目標指標）
    • 区民の主観的健康感の向上（「健康状態が良い」と回答する割合の増加）
    • 健康診断受診率、特定保健指導実施率の向上
    • データ取得方法： 区民意識調査、区民健康診査データ
  • KSI（成功要因指標）
    • 区が連携する健康管理アプリの半年後の継続利用率：30%以上
    • データ取得方法： 連携するアプリ事業者からの匿名化された利用統計データ
  • KPI（重要業績評価指標）アウトカム指標
    • アプリ利用者の食生活改善スコア（アプリ内で算出される点数）の平均10%向上
    • アプリ利用者の平均野菜摂取量、平均食塩摂取量の改善
    • データ取得方法： アプリのログデータに基づく匿名化された分析レポート
  • KPI（重要業績評価指標）アウトプット指標
    • 連携アプリの区民向けキャンペーン参加者数：年間5,000人
    • オンライン食育コンテンツの年間総視聴回数：10万回
    • 次世代型食育体験イベントの年間開催回数と参加者数
    • データ取得方法： キャンペーン申込者数、YouTubeアナリティクス等のSNS分析データ、イベント実施記録

先進事例

東京都特別区の先進事例

足立区「『おいしい給食』による食育エコシステムの構築」

  • 足立区は、「給食がおいしくない」という声と高い残菜率を問題視し、平成20年度から「おいしい給食事業」を開始しました。単に味を改善するだけでなく、給食を「生きた教材」と位置づけ、食育を総合的に推進しています。具体的には、化学調味料を使わず天然だしを基本とした調理、地産地消の推進、有名シェフとのコラボレーション、全校での統一レシピ開発、家庭向けレシピ集の発行など、多岐にわたる取組を展開しています。
  • この結果、平成20年度に381トン（残菜率11.5%）あった小中学校の給食総残菜量は、令和5年度には112トン（残菜率3.5%）へと約7割もの大幅な削減に成功しました 17, 18, 20 ]。
  • 成功要因は、区長自らがトップダウンで「残菜率の削減」という明確なKPIを掲げたこと、そして給食を学校内だけの問題とせず、生産者、調理事業者、保護者、地域を巻き込んだ一大ムーブメントへと昇華させた点にあります 15, 16, 21 ]。

品川区「全小中学校へのオーガニック給食導入」

大田区「地域連携による働き盛り・若者世代へのアプローチ」

全国自治体の先進事例

株式会社タニタ「社員食堂を起点とした健康経営モデル」

藤沢市「AI食事管理アプリ『あすけん』との官民連携事業」

  • 神奈川県藤沢市は、市民の健康増進を目的として、900万人以上の会員を持つ国内有数のAI食事管理アプリ「あすけん」を運営する株式会社askenと連携協定を締結しました (https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000118.000058653.html) ]。
  • 市民モニターを募集し、アプリの有料プレミアムサービスを期間限定で無償提供。参加者は、食事の写真を撮るだけでAIが栄養素を解析し、管理栄養士が監修した個別のアドバイスを受けられます。これにより、ICTを活用した効果的かつ効率的な食生活改善支援を実現しています。
  • 成功要因は、自治体が自前で多額の費用をかけてシステムを開発するのではなく、既に市場で高い評価を得ている民間の優良なサービス（アプリ）を活用している点です。これにより、低コストかつ迅速に、質の高い個別最適化されたヘルスケアサービスを住民に提供することが可能となっています。

参考資料［エビデンス検索用］

政府（省庁）発行資料
東京都発行資料
特別区・その他自治体発行資料
学術・研究資料

まとめ

　東京都特別区における食育・栄養指導は、単なる知識普及の段階を超え、健康格差の是正という社会的課題に取り組む重要な政策となっています。現状データは、特に若者・働き盛り世代の食生活の乱れや、所得と健康の明確な相関を示しています。今後の支援は、画一的な啓発ではなく、①健康経営の推進など民間と連携した「食環境の改善」、②健康アプリ等を活用した「食育のDX」、③ライフステージや所得層に応じた「ターゲット別支援」を三位一体で推進することが不可欠です。これにより、全ての区民が健やかで心豊かな生活を送れる持続可能な社会の実現を目指します。
　本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
　引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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