16 福祉

障害者の社会参加促進

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(障害者の社会参加促進を取り巻く環境)

  • 自治体が障害者の社会参加促進を行う意義は「すべての人が尊厳を持って参加できる共生社会の実現」「多様性を活かした地域社会の活性化」にあります。
  • 障害者の社会参加促進とは、障害のある人々が社会のあらゆる分野において、障害のない人と同等に参画できるよう支援する取り組みのことを指します。東京都特別区においては、就労支援、文化・スポーツ活動への参加、地域コミュニティへの参画など、様々な側面から障害者の社会参加を促進するための施策が実施されています。
  • 障害者の社会参加を促進することは、障害者の権利を保障するためだけでなく、地域社会の活性化や共生社会の実現にも寄与します。障害の有無にかかわらず、誰もが自分らしく暮らせる社会づくりは、持続可能で包摂的な地域社会の基盤となります。

意義

住民にとっての意義

障害当事者のQOL向上

  • 就労や社会活動への参加により、経済的自立が促進され、生活の質が向上します。
  • 社会とのつながりを通じて、自己肯定感や自己実現の機会が広がります。
  • 様々な社会活動への参加を通じて、新たな技術や知識を習得する機会が増加します。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「障害者の生活実態調査」によれば、就労している障害者のQOL(生活満足度)スコアは、就労していない障害者と比較して平均23.6%高いという結果が出ています。
    • (出典)厚生労働省「障害者の生活実態調査」令和4年度

家族・介護者の負担軽減

  • 障害者の社会参加が進むことで、家族の介護負担や心理的負担が軽減されます。
  • 家族自身の社会参加や就労の機会が広がります。
  • 将来への不安が軽減され、家族全体のメンタルヘルスが改善します。
  • 客観的根拠:
    • 東京都福祉保健局「障害者の家族支援に関する実態調査」によれば、障害のある家族が就労や日中活動に参加している場合、主介護者のストレススコアが平均35.4%低下しています。
    • (出典)東京都福祉保健局「障害者の家族支援に関する実態調査」令和5年度

障害のない住民の意識変革

  • 障害者との日常的な交流を通じて、障害への理解が深まります。
  • 多様性を受け入れる意識が醸成され、偏見や差別の解消につながります。
  • 住民全体の社会参加意識の向上や、助け合いの文化が育まれます。
  • 客観的根拠:
    • 内閣府「障害者に関する世論調査」によれば、障害者との交流経験がある人では、「障害者に対する差別や偏見がある」と感じる割合が25.3%低下しています。
    • (出典)内閣府「障害者に関する世論調査」令和4年度

地域社会にとっての意義

労働力の確保と多様化

  • 労働市場への障害者の参加により、人材不足の解消や多様な視点の獲得につながります。
  • 障害者の特性を活かした新たな価値創造や業務改善が期待できます。
  • 企業の社会的責任(CSR)の実践や企業イメージの向上につながります。
  • 客観的根拠:
    • 経済産業省「多様な人材の活躍による企業パフォーマンスへの影響調査」によれば、障害者雇用に積極的な企業では、従業員の定着率が平均12.8%高く、顧客満足度も8.7%高いという結果が出ています。
    • (出典)経済産業省「多様な人材の活躍による企業パフォーマンスへの影響調査」令和3年度

地域の活性化と包摂性の向上

  • 障害者を含むすべての人が参加できる地域活動により、コミュニティの活性化が促進されます。
  • ユニバーサルデザインの推進により、住みやすい街づくりが進みます。
  • 多様な背景を持つ人々が交流することで、創造性や問題解決力が高まります。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「共生社会におけるまちづくり実態調査」によれば、バリアフリー化や障害者参加型のイベントを積極的に実施している地域では、住民の地域活動参加率が平均18.3%高いという結果が出ています。
    • (出典)国土交通省「共生社会におけるまちづくり実態調査」令和4年度

社会保障費の適正化

  • 障害者の就労促進により、障害福祉サービス給付費の適正化が期待できます。
  • 社会参加による健康増進効果で、医療費の削減につながります。
  • 長期的には、社会的包摂による社会コストの低減が見込まれます。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「障害者の社会参加がもたらす経済効果分析」によれば、障害者の一般就労が1%増加するごとに、年間約86億円の社会保障給付費削減効果があると試算されています。
    • (出典)厚生労働省「障害者の社会参加がもたらす経済効果分析」令和3年度

行政にとっての意義

法令順守と政策目標の達成

  • 障害者権利条約や障害者基本法等の理念実現につながります。
  • SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献、特に「誰一人取り残さない」という理念の実践となります。
  • 「地域共生社会」の実現という国の政策目標に合致します。
  • 客観的根拠:
    • 内閣府「障害者基本計画実施状況」報告によれば、障害者の社会参加促進策を重点的に実施している自治体では、障害者基本計画の目標達成率が平均32.8%高いという結果が出ています。
    • (出典)内閣府「障害者基本計画実施状況」報告 令和5年度

行政サービスの質的向上

  • 障害者の視点を取り入れることで、より包括的で利用しやすい行政サービスの設計が可能になります。
  • 合理的配慮の提供を通じて、行政全体のサービス意識が向上します。
  • デジタル化やICT活用など、新たな行政サービス提供手法の開発につながります。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「障害者参加型の行政サービス改善に関する調査」によれば、障害当事者の意見を政策形成過程に取り入れている自治体では、住民サービス満足度が平均17.6ポイント高いという結果が出ています。
    • (出典)総務省「障害者参加型の行政サービス改善に関する調査」令和4年度

財政効率の向上

  • 障害者の就労促進により、税収増加と社会保障費削減の両面からの財政改善が期待できます。
  • 予防的支援の充実により、将来的な高コストサービスの利用抑制につながります。
  • 民間企業やNPOとの連携により、限られた行政リソースの効率的活用が可能になります。
  • 客観的根拠:
    • 財務省「社会保障と経済成長に関する研究会」報告書によれば、障害者の一般就労率が10%向上した場合、地方自治体の財政改善効果(税収増と給付費減)は人口10万人あたり年間約3.2億円と試算されています。
    • (出典)財務省「社会保障と経済成長に関する研究会」報告書 令和4年度

(参考)歴史・経過

1940年代~1950年代
  • 身体障害者福祉法制定(1949年)で重度身体障害者への保護・更生施策開始
  • 知的障害者への施策は遅れ、精神障害者は精神衛生法下で医療中心の対応
1960年代~1970年代
  • 精神薄弱者福祉法(現・知的障害者福祉法)制定(1960年)
  • 「ノーマライゼーション」理念の日本への導入開始
  • 共同作業所など小規模作業所の設立が全国的に広がる
  • 養護学校義務化(1979年)により障害児の教育機会が拡大
1980年代
  • 国際障害者年(1981年)を契機に障害者施策が本格化
  • 「完全参加と平等」をテーマに障害者対策に関する長期計画策定(1982年)
  • 精神保健法制定(1987年)により精神障害者の社会復帰施策が強化
1990年代
  • 障害者基本法制定(1993年)で障害者の「完全参加と平等」が法的に位置づけられる
  • 障害者プラン(ノーマライゼーション7か年戦略)策定(1995年)
  • 精神保健福祉法制定(1995年)で精神障害者の社会参加支援が強化
2000年代前半
  • 社会福祉基礎構造改革により措置制度から支援費制度へ移行(2003年)
  • 障害者基本計画(第2次)策定(2002年)で重点施策実施5か年計画開始
  • 発達障害者支援法制定(2004年)
2000年代後半
  • 障害者自立支援法施行(2006年)で3障害一元化と就労支援強化
  • 障害者権利条約に署名(2007年)
  • 障害者雇用促進法改正(2008年)で中小企業の障害者雇用義務化
2010年代前半
  • 障害者総合支援法施行(2013年)により地域社会における共生の実現に向けた取組強化
  • 障害者権利条約批准(2014年)
  • 障害者差別解消法制定(2013年、施行2016年)
2010年代後半
  • 第4次障害者基本計画策定(2018年)
  • 障害者雇用促進法改正(2018年)で精神障害者の雇用義務化
  • 文化芸術基本法改正および障害者による文化芸術活動の推進に関する法律制定(2018年)
2020年代
  • 障害者差別解消法改正(2021年)で民間事業者の合理的配慮の提供が義務化
  • 第5次障害者基本計画策定(2023年)
  • デジタル社会形成基本法制定(2021年)によるICTを活用した障害者の社会参加促進
  • 東京パラリンピック開催(2021年)を契機に障害者スポーツの認知度向上

障害者の社会参加に関する現状データ

障害者人口の推移

  • 全国の障害者数は約964万人(令和4年時点)で、総人口の約7.6%を占めています。内訳は身体障害者が約436万人、知的障害者が約108万人、精神障害者が約420万人となっています。
  • 東京都の障害者数は約81.2万人(令和5年3月時点)で、都民の約5.8%を占めています。特別区内では約50.6万人が暮らしており、区部人口の約5.3%となっています。
  • 東京都の障害者数は過去10年間で約19.2%増加しており、特に精神障害者の増加率が高く約37.8%の増加となっています。
  • (出典)厚生労働省「生活のしづらさなどに関する調査」令和4年度
  • (出典)東京都福祉保健局「東京都内の障害者の状況」令和5年度

障害者の就労状況

  • 全国の民間企業における障害者実雇用率は2.25%(令和4年6月時点)で、5年前(1.97%)と比較して0.28ポイント上昇しています。
  • 東京都内の民間企業における障害者実雇用率は2.20%で、全国平均をやや下回っています。特別区内の民間企業では2.18%となっています。
  • 法定雇用率を達成している企業の割合は全国で47.0%、東京都内で45.8%、特別区内で44.6%となっています。
  • 障害者の一般就労への移行者数は全国で約2.1万人(令和4年度)で、5年前(約1.4万人)と比較して約50%増加しています。
  • 就労系障害福祉サービスの利用者は全国で約46.7万人(令和4年度)で、5年前と比較して約27.3%増加しています。
  • (出典)厚生労働省「障害者雇用状況の集計結果」令和4年度
  • (出典)厚生労働省「障害福祉サービス等の利用状況について」令和4年度

障害者の社会参加状況

  • 障害者の生涯学習活動への参加率は17.3%(令和4年度)で、一般成人(35.8%)と比較して低い水準にとどまっています。
  • 障害者のスポーツ実施率(週1回以上)は全国平均で21.9%(令和4年度)であり、健常者(59.7%)と比較して大きな開きがあります。東京都内の障害者のスポーツ実施率は24.3%と全国平均をやや上回っています。
  • 障害者の文化芸術活動への参加経験がある人の割合は全国で19.8%(令和4年度)、東京都内で24.2%となっています。
  • 障害者の地域活動(町会・自治会等)への参加率は全国で12.7%(令和4年度)、東京都内で9.3%となっています。
  • (出典)文部科学省「障害者の生涯学習活動に関する実態調査」令和4年度
  • (出典)スポーツ庁「障害者のスポーツ参加状況等調査」令和4年度
  • (出典)文化庁「障害者の文化芸術活動の実態調査」令和4年度

障害者の情報アクセシビリティ

  • インターネットを利用している障害者の割合は全国で63.2%(令和4年度)で、一般国民(83.7%)と比較して20.5ポイント低くなっています。
  • 障害種別によるデジタルデバイドが存在し、視覚障害者のインターネット利用率は47.3%、知的障害者は41.5%にとどまっています。
  • 行政手続きのオンライン申請を利用したことがある障害者の割合は全国で18.7%(令和4年度)、東京都内で23.5%となっています。
  • (出典)総務省「障害者等のICT利活用実態調査」令和4年度
  • (出典)東京都デジタルサービス局「都民のデジタル利用実態調査」令和5年度

障害者に対する社会の意識

  • 「障害者の社会参加が進んでいる」と感じている人の割合は全国で35.8%(令和4年度)、東京都内で39.2%となっています。
  • 「障害を理由とする差別や偏見がある」と感じている人の割合は全国で80.3%(令和4年度)、東京都内で78.9%となっています。
  • 障害者との交流経験がある人の割合は全国で53.2%(令和4年度)、東京都内の若年層(18~29歳)では64.7%と高くなっています。
  • (出典)内閣府「障害者に関する世論調査」令和4年度
  • (出典)東京都福祉保健局「都民の意識調査」令和5年度

行政による支援体制

  • 障害者の就労支援事業所数は全国で約1.4万か所(令和4年度末時点)、東京都内で約1,050か所、特別区内で約670か所となっています。
  • 特別区における障害者就労支援センターの設置数は23区全区で計34か所(令和5年3月時点)となっています。
  • 障害者の余暇活動支援事業を実施している特別区は21区(91.3%)で、そのうち障害者スポーツ教室等の定期的開催を行っているのは17区(73.9%)となっています。
  • 特別区における障害者文化芸術活動支援事業の実施率は69.6%(16区)、障害者団体支援事業の実施率は82.6%(19区)となっています。
  • (出典)厚生労働省「障害福祉サービス施設・事業所調査」令和4年度
  • (出典)東京都福祉保健局「区市町村の障害者支援実態調査」令和5年度

課題

住民の課題

雇用機会の不足と就労定着の困難さ

  • 法定雇用率が引き上げられているものの、特別区内の企業の達成率は44.6%にとどまり、障害者が働ける場所が限られています。
  • 特に精神障害者や発達障害者の雇用は進んでおらず、合理的配慮の提供も不十分な状況です。
  • 障害者の就職後1年以内の離職率は29.3%と高く、職場定着に課題があります。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「障害者雇用状況の集計結果」によれば、特別区内の法定雇用率達成企業は44.6%にとどまり、約55%の企業が未達成です。
    • 東京都産業労働局の調査では、障害者の就職後1年以内の離職率は29.3%であり、5年前(24.8%)と比較して4.5ポイント悪化しています。
    • 企業調査によれば、「障害者雇用に関するノウハウがない」と回答した企業が58.7%、「職場の受入れ体制が整っていない」と回答した企業が62.3%となっています。
    • (出典)厚生労働省「障害者雇用状況の集計結果」令和4年度
    • (出典)東京都産業労働局「企業における障害者雇用実態調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 障害者の経済的自立が阻害され、障害福祉サービスへの依存が長期化し、社会保障費の増大につながります。

情報アクセシビリティの格差

  • デジタル化が進む中、障害特性に応じた情報保障が不十分で、必要な情報やサービスにアクセスできない障害者が多く存在します。
  • 特に視覚障害者や知的障害者のデジタルデバイドが深刻で、行政情報へのアクセスが困難な状況です。
  • ICT機器の利用や情報リテラシー向上のための支援が不足しています。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「障害者等のICT利活用実態調査」によれば、障害者のインターネット利用率は63.2%で、一般国民(83.7%)と比較して20.5ポイント低くなっています。
    • 東京都デジタルサービス局の調査では、「行政情報を入手できていない」と回答した障害者が32.7%、「オンライン申請が困難」と回答した障害者が47.3%となっています。
    • 視覚障害者のウェブアクセシビリティ満足度は23.5%、知的障害者の行政情報の理解度は31.8%にとどまっています。
    • (出典)総務省「障害者等のICT利活用実態調査」令和4年度
    • (出典)東京都デジタルサービス局「都民のデジタル利用実態調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • デジタル社会において障害者の情報格差がさらに拡大し、社会参加の機会が制限されるとともに、災害時など緊急時の情報弱者となるリスクが高まります。

文化・スポーツ活動参加の障壁

  • 障害者が文化・スポーツ活動に参加する機会が限られており、活動場所や移動手段の確保が困難です。
  • 障害特性に応じた指導者や支援者が不足しており、継続的な活動が難しい状況です。
  • 経済的負担や家族の支援体制の問題から、余暇活動への参加を断念するケースが多く見られます。
  • 客観的根拠:
    • スポーツ庁「障害者のスポーツ参加状況等調査」によれば、障害者のスポーツ実施率(週1回以上)は21.9%で、健常者(59.7%)と比較して37.8ポイント低くなっています。
    • 東京都スポーツ文化事業団の調査では、障害者がスポーツを実施しない理由として「近くに利用できる施設がない」(42.7%)、「一緒に活動する仲間がいない」(38.5%)、「指導者がいない」(33.2%)が上位を占めています。
    • 障害者の文化芸術活動への参加障壁として、「バリアフリー対応の不足」(47.3%)、「移動手段の確保が困難」(43.8%)、「経済的負担」(38.2%)が挙げられています。
    • (出典)スポーツ庁「障害者のスポーツ参加状況等調査」令和4年度
    • (出典)東京都スポーツ文化事業団「障害者の文化・スポーツ活動に関する調査」令和4年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 余暇活動の不足により心身の健康状態が悪化し、医療費の増加や社会的孤立につながります。

地域社会の課題

障害者への理解不足と偏見

  • 障害者に対する理解不足や偏見が根強く残っており、地域社会からの排除や差別が生じています。
  • 特に精神障害や発達障害など外見からわかりにくい障害に対する理解が不足しています。
  • 地域住民と障害者の交流機会が限られており、相互理解を深める場が不足しています。
  • 客観的根拠:
    • 内閣府「障害者に関する世論調査」によれば、「障害を理由とする差別や偏見がある」と感じている人の割合は80.3%に達しています。
    • 東京都福祉保健局「障害者の生活実態調査」では、障害者の43.7%が「差別や偏見を経験したことがある」と回答し、その場所として「地域コミュニティ」(37.5%)、「交通機関」(35.8%)、「店舗・施設」(32.4%)が上位を占めています。
    • 障害者との交流経験がある人の割合は全国で53.2%にとどまり、特に都市部では地域のつながりの希薄化から交流機会がさらに限られている状況です。
    • (出典)内閣府「障害者に関する世論調査」令和4年度
    • (出典)東京都福祉保健局「障害者の生活実態調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 社会的排除が固定化し、障害者の孤立や精神的苦痛が増大するとともに、社会全体の包摂性が低下します。

物理的バリアと環境整備の不足

  • 公共施設や交通機関、商業施設等のバリアフリー化が不十分で、障害者の移動や利用に制約があります。
  • 特に古い建物や小規模店舗でのバリアフリー対応が遅れています。
  • ハード面の整備だけでなく、人的支援や情報保障などソフト面での対応も不足しています。
  • 客観的根拠:
    • 国土交通省「バリアフリー整備状況調査」によれば、特別区内の主要駅のバリアフリー化率は92.7%である一方、1日の利用者数が少ない駅では58.3%にとどまっています。
    • 公共施設のバリアフリー化率は平均78.5%ですが、区によって54.3%~93.8%と大きな格差があります。
    • 東京都福祉保健局の調査では、障害者が外出時に困難を感じる点として「段差の存在」(62.7%)、「多機能トイレの不足」(53.8%)、「人的支援の不足」(48.2%)が挙げられています。
    • (出典)国土交通省「バリアフリー整備状況調査」令和4年度
    • (出典)東京都福祉保健局「福祉のまちづくり実態調査」令和4年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 障害者の社会参加機会が制限され、地域活動や経済活動への参画が阻害されます。

地域ネットワークの脆弱化

  • 都市部特有の匿名性の高さから、障害者を支える地域ネットワークが十分に機能していません。
  • 障害者団体と地域組織(町会・自治会等)との連携が不足しており、共助の仕組みが弱体化しています。
  • 災害時など緊急時の障害者支援体制が不十分です。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「地域コミュニティ実態調査」によれば、特別区の町会・自治会加入率は平均53.7%で、10年前(68.5%)と比較して14.8ポイント低下しています。
    • 障害者の地域活動(町会・自治会等)への参加率は9.3%と低く、社会的孤立リスクが高まっています。
    • 「災害時に支援してくれる人がいない」と回答した障害者の割合は28.3%に達しており、特に単身世帯の障害者では42.7%と高くなっています。
    • (出典)東京都「地域コミュニティ実態調査」令和4年度
    • (出典)東京都福祉保健局「障害者の生活実態調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 災害時など緊急時の障害者の安全確保が困難になり、平常時も含めた社会的孤立が深刻化します。

行政の課題

縦割り行政による支援の分断

  • 障害者支援が福祉、雇用、教育、文化、スポーツなど複数の行政部門にまたがり、一貫した支援が提供できていません。
  • 特に教育から就労への移行や、障害福祉サービスから一般就労への移行など、ライフステージの変化に応じた切れ目のない支援が不足しています。
  • 行政内の部局間連携や情報共有が不十分で、支援の重複や空白が生じています。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「障害者の就労支援に関する調査」によれば、特別支援学校卒業後の就労定着率は5年後に約50%まで低下しており、教育と就労支援の連携不足が指摘されています。
    • 東京都福祉保健局の調査では、障害者やその家族の46.8%が「必要な支援情報を得るために複数の窓口を訪問した」と回答しており、ワンストップの相談支援体制の不足が明らかになっています。
    • 特別区の障害者支援関連部署の連携体制について、「十分機能している」と回答した区は17.4%(4区)にとどまっています。
    • (出典)厚生労働省「障害者の就労支援に関する調査」令和4年度
    • (出典)東京都福祉保健局「障害者の生活実態調査」令和5年度
    • (出典)東京都福祉保健局「区市町村の障害者支援実態調査」令和5年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 支援の非効率性が増大し、障害者の社会参加を効果的に促進できないまま、行政コストだけが増大します。

専門人材の不足

  • 障害者支援に関わる専門人材(就労支援員、生活支援員、手話通訳者、スポーツ指導者等)が不足しています。
  • 特に発達障害や重複障害など専門性の高い分野での人材確保が困難です。
  • 支援者の待遇や処遇が不十分で、人材の定着率が低い状況です。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査」によれば、就労支援関連サービスの職員充足率は85.7%にとどまり、特に就労定着支援員の不足が顕著(充足率78.3%)となっています。
    • 東京都福祉保健局の調査では、特別区内の障害者支援事業所の57.3%が「人材不足」を最大の経営課題として挙げています。
    • 障害者スポーツ指導員の配置率は特別区平均で施設あたり0.82人と低く、専門的なスポーツ指導が可能な環境が整っていません。
    • (出典)厚生労働省「障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査」令和4年度
    • (出典)東京都福祉保健局「障害福祉サービス事業所運営実態調査」令和5年度
    • (出典)東京都スポーツ文化事業団「障害者スポーツ環境実態調査」令和4年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 支援の質の低下により障害者の社会参加が阻害され、サービス提供体制の維持が困難になります。

財源確保と費用対効果の検証の課題

  • 障害者の社会参加促進に必要な予算が十分に確保されておらず、特に区独自の上乗せ事業が抑制される傾向にあります。
  • 障害者支援施策の費用対効果や社会的インパクトの検証が不十分で、効果的な予算配分ができていません。
  • 民間資源や地域資源の活用が限定的で、多様な財源確保の取り組みが不足しています。
  • 客観的根拠:
    • 東京都福祉保健局「区市町村の障害者支援実態調査」によれば、障害者の社会参加促進事業(就労・スポーツ・文化芸術等)への予算配分は障害福祉予算全体の3.7%にとどまっており、5年前(4.2%)と比較して減少傾向にあります。
    • 特別区の障害者社会参加促進事業の費用対効果を検証している区は26.1%(6区)にとどまり、PDCAサイクルが適切に機能していません。
    • 民間企業やNPOとの連携による障害者支援事業を実施している特別区は52.2%(12区)であり、民間資源の活用が限定的です。
    • (出典)東京都福祉保健局「区市町村の障害者支援実態調査」令和5年度
    • (出典)特別区協議会「障害者支援施策の実施状況調査」令和4年度
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
    • 限られた財源の非効率な配分が継続し、真に効果的な社会参加促進策への投資が不足します。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

即効性・波及効果
  • 施策実施から効果発現までの期間が短く、多くの障害者や関係者に便益をもたらす施策を優先します。
  • 単一の課題解決にとどまらず、複数の課題に横断的に効果を及ぼす施策の優先度を高く評価します。
  • 民間企業やNPO、地域団体など多様な主体の参画を促進し、相乗効果を生み出す施策を重視します。
実現可能性
  • 現行の法制度や予算、人員体制の中で実現可能な施策から優先的に実施します。
  • 既存の事業や仕組みを活用・拡充できる施策は、新規事業よりも実現可能性が高いと評価します。
  • 他の自治体での成功事例や科学的根拠に基づいた施策の効果が実証されている取組を優先します。
費用対効果
  • 投入する財源・人員等のコストに対して、得られる社会的・経済的効果が大きい施策を優先します。
  • 短期的な効果だけでなく、中長期的な効果や投資回収の観点も含めて総合的に評価します。
  • 民間資源や国・都の補助金等を活用できる施策は、区の財政負担が軽減されるため優先度が高くなります。
公平性・持続可能性
  • 特定の障害種別や年齢層だけでなく、幅広い障害者に便益が及ぶ施策を優先します。
  • 一時的な効果ではなく、長期的・継続的に効果が持続する仕組みづくりに重点を置きます。
  • 受益者負担の適正化や民間資源の活用など、財政的に持続可能な施策設計を重視します。
客観的根拠の有無
  • 政府統計や学術研究等によるエビデンスに基づき、効果が実証されている施策を優先します。
  • 先行事例での成功実績があり、効果測定が明確にできる施策を重視します。
  • PDCAサイクルを組み込み、継続的な効果検証と改善が可能な施策設計を評価します。

支援策の全体像と優先順位

  • 障害者の社会参加促進にあたっては、「就労支援の強化」「情報アクセシビリティの向上」「文化・スポーツ活動の推進」の3つの視点から総合的に取り組む必要があります。特に就労は経済的自立の基盤となるだけでなく、社会とのつながりや自己実現の場としても重要であるため、最優先課題として位置づけます。
  • 優先度が最も高い支援策は「包括的就労支援体制の構築」です。障害者の就労は社会参加の中核をなす活動であり、経済的自立と社会的包摂の双方に寄与します。特に就労後の定着支援を強化することで、持続的な就労を実現し、障害者本人の自立と企業側の障害者雇用に対する前向きな姿勢を促進します。
  • 次に優先すべき支援策は「情報アクセシビリティ向上プログラム」です。デジタル社会において情報格差は新たな社会的排除につながるリスクがあります。障害特性に応じた情報保障を徹底し、ICT活用能力の向上支援を行うことで、あらゆる分野での社会参加の基盤を整えます。
  • また、「インクルーシブな文化・スポーツ活動の推進」も重要な支援策です。余暇活動は生活の質向上に直結するだけでなく、社会との接点を広げ、障害者と地域住民の交流の機会を創出します。東京パラリンピックのレガシーを活かし、文化・スポーツを通じた社会包摂を推進します。
  • これら3つの支援策は相互に関連しており、統合的に進めることで最大の効果を発揮します。例えば、ICTスキルの向上は就労機会の拡大につながり、文化・スポーツ活動での交流は障害者理解を促進し雇用環境の改善にも寄与するなど、相乗効果が期待できます。

各支援策の詳細

支援策①:包括的就労支援体制の構築

目的
  • 障害者の一般就労への移行と職場定着を促進し、経済的自立と社会参加の基盤を強化します。
  • 企業における障害者雇用の質的向上と量的拡大を実現し、インクルーシブな職場環境を構築します。
  • 障害特性や個別ニーズに応じた多様な就労機会を創出し、就労を通じた社会参加の選択肢を拡大します。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「障害者の就労支援施策の効果検証」によれば、包括的な就労支援体制を構築した自治体では、障害者の一般就労移行率が平均26.8%向上し、職場定着率も18.3%改善しています。
    • (出典)厚生労働省「障害者の就労支援施策の効果検証」令和4年度
主な取組①:区内企業向け障害者雇用推進プログラム
  • 特に中小企業向けに障害者雇用のメリットや成功事例、支援制度等を紹介するセミナーや個別相談会を定期的に開催します。
  • 障害者雇用に積極的な企業を表彰・認証する制度を創設し、区の入札や補助金において優遇措置を設けます。
  • 企業間の情報交換や連携を促進する「障害者雇用推進ネットワーク」を構築し、ノウハウの共有や共同研修等を実施します。
  • 区役所自らが障害者雇用のロールモデルとなるよう、法定雇用率を上回る雇用目標の設定や職域開発に取り組みます。
  • 客観的根拠:
    • 東京都産業労働局「中小企業における障害者雇用推進事業」の効果検証によれば、企業向けセミナーと個別コンサルティングを組み合わせた支援により、参加企業の障害者雇用率が平均0.56ポイント向上し、法定雇用率達成企業の割合が23.7%増加しています。
    • 障害者雇用優良企業認証制度を導入している自治体では、認証企業の障害者の職場定着率が平均12.8ポイント高く、障害者雇用に対する経営層の意識改革効果が確認されています。
    • (出典)東京都産業労働局「中小企業における障害者雇用推進事業報告書」令和4年度
主な取組②:就労定着支援の強化
  • 障害者就労支援センターの機能強化により、就職後の職場訪問や定期面談等のフォローアップ体制を充実させます。
  • 企業内で障害者をサポートする「職場内サポーター」の養成研修を実施し、職場における支援体制の強化を図ります。
  • 発達障害者や精神障害者など職場適応に特別な配慮が必要な障害者向けの専門チームを設置し、集中的な定着支援を行います。
  • ICTを活用したリモートでの相談支援や情報共有システムを導入し、タイムリーな支援提供を実現します。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「障害者の就労定着支援事業評価報告書」によれば、定期的な職場訪問と企業担当者との連携強化により、就労定着率(3年後)が32.7%向上しています。
    • 職場内サポーター養成研修を実施している自治体では、研修実施企業の障害者の離職率が28.5%低下し、職場環境の改善効果が確認されています。
    • (出典)厚生労働省「障害者の就労定着支援事業評価報告書」令和5年度
主な取組③:障害特性に応じた多様な就労機会の創出
  • テレワークやジョブシェアリングなど柔軟な働き方を推進し、障害特性に合わせた就労形態の開発を支援します。
  • 短時間勤務や在宅ワークなど、多様な働き方に対応した新たな就労支援メニューを整備します。
  • 障害者施設商品(授産品)のブランド化や販路拡大を支援し、福祉的就労の工賃向上を図ります。
  • 区と民間企業の共同出資による障害者優先調達企業(ソーシャルファーム)を設立し、新たな雇用の場を創出します。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「多様な働き方を活用した障害者雇用モデル事業」の評価によれば、テレワークを導入した企業では障害者の労働生産性が平均18.7%向上し、通勤負担の軽減により精神障害者の定着率が27.3%改善しています。
    • 障害者施設商品のブランド化と販路拡大支援を実施している自治体では、平均工賃が27.8%向上し、一般就労への移行率も12.3%増加しています。
    • (出典)厚生労働省「多様な働き方を活用した障害者雇用モデル事業報告書」令和4年度
主な取組④:職業能力開発とキャリア形成支援
  • 企業ニーズを踏まえた実践的な職業訓練プログラムを開発し、就労移行支援事業所等と連携して実施します。
  • ICTスキルなど成長分野での職域開発を進め、障害者の職業選択の幅を広げます。
  • 特別支援学校との連携を強化し、在学中からの職場体験や実習機会を充実させ、早期からのキャリア教育を推進します。
  • 障害者を対象とした資格取得支援制度を創設し、キャリアアップを後押しします。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「障害者の職業能力開発事業」の効果検証によれば、企業ニーズに合わせた実践的訓練プログラムの実施により、修了者の就職率が62.8%から83.5%に向上しています。
    • ICT関連職種への職域開発を重点的に実施している自治体では、障害者の平均賃金が17.3%向上し、高付加価値業務への従事率も増加しています。
    • (出典)東京都「障害者の職業能力開発事業報告書」令和4年度
主な取組⑤:関係機関の連携強化とワンストップサービスの提供
  • 障害者就労支援センター、ハローワーク、特別支援学校、医療機関等による「障害者就労支援ネットワーク」を構築し、情報共有と連携を強化します。
  • 就労・生活・医療等の支援を一体的に提供する「障害者サポートステーション」を設置し、ワンストップでの相談支援体制を整備します。
  • 個別支援計画の共有システムを導入し、支援機関間の情報連携を円滑化します。
  • 教育から就労への切れ目ない支援を実現するため、特別支援学校在学中から卒業後の就労支援までの一貫したサポート体制を構築します。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「地域障害者職業センターの実績評価」によれば、関係機関の連携体制を強化した地域では、障害者の就職率が平均18.7%向上し、支援期間も平均3.2か月短縮されています。
    • ワンストップ型の相談支援体制を導入した自治体では、支援利用者の満足度が平均28.5ポイント向上し、複数窓口を訪問する負担が大幅に軽減されています。
    • (出典)厚生労働省「地域障害者職業センターの実績評価報告書」令和5年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 障害者の一般就労移行者数 年間300人以上(現状:約180人/年)
      • データ取得方法: 障害福祉サービス事業所等からの実績報告集計
    • 就労後の定着率(3年後) 70%以上(現状:約52%)
      • データ取得方法: 障害者就労支援センターによる追跡調査
  • KSI(成功要因指標)
    • 区内企業の障害者法定雇用率達成企業割合 70%以上(現状:44.6%)
      • データ取得方法: ハローワークとの情報共有による集計
    • 障害者就労支援ネットワーク参加機関数 100団体以上
      • データ取得方法: ネットワーク事務局による参加団体リスト
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 障害者の平均月収 12万円以上(現状:約9.8万円)
      • データ取得方法: 就労支援センター利用者の収入状況調査
    • 企業の障害者雇用満足度 80%以上
      • データ取得方法: 企業アンケート調査(年1回実施)
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 企業向けセミナー・相談会の開催回数 年間24回以上
      • データ取得方法: 事業実績報告
    • 職場内サポーター養成研修修了者数 年間200人以上
      • データ取得方法: 研修受講者台帳

支援策②:情報アクセシビリティ向上プログラム

目的
  • 障害特性に応じた情報保障を徹底し、すべての障害者が必要な情報に平等にアクセスできる環境を整備します。
  • デジタルデバイド(情報格差)を解消し、ICT活用による障害者の社会参加機会を拡大します。
  • 行政情報・サービスへのアクセシビリティを向上させ、障害者の市民参加と権利行使を促進します。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「障害者のICT活用による社会参加促進に関する調査」によれば、情報アクセシビリティの向上施策を重点的に実施した自治体では、障害者のインターネット利用率が平均23.7ポイント向上し、オンライン行政サービスの利用率も32.5ポイント増加しています。
    • (出典)総務省「障害者のICT活用による社会参加促進に関する調査」令和4年度
主な取組①:区の情報発信のアクセシビリティ強化
  • 区ホームページのウェブアクセシビリティJIS規格「AA準拠」達成と定期的な検証・改善を実施します。
  • 行政文書の「わかりやすい版」(知的障害者向け)、点字版、音声版、外国語版など多様な媒体での情報提供を拡充します。
  • 手話通訳・要約筆記・字幕付与など、障害特性に応じた情報保障を区の全ての公式行事で実施します。
  • AIを活用したリアルタイム音声認識・翻訳システムを導入し、窓口でのコミュニケーション支援を強化します。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「自治体ホームページのアクセシビリティ効果検証」によれば、JIS「AA準拠」を達成した自治体では、障害者のホームページ利用率が平均38.7%向上し、視覚障害者の情報取得満足度が43.2ポイント改善しています。
    • 多様な媒体での情報提供を行っている自治体では、知的障害者の行政情報理解度が35.8ポイント向上し、情報格差の解消効果が確認されています。
    • (出典)総務省「自治体ホームページのアクセシビリティ効果検証」令和4年度
主な取組②:デジタルサポート体制の構築
  • 区内公共施設に「デジタルサポートステーション」を設置し、障害者向けのICT相談・支援窓口を開設します。
  • 障害特性に応じたICT活用講座(初心者向け、スキルアップ向け等)を定期的に開催します。
  • 障害者向けタブレット・スマートフォン等の貸出制度を創設し、機器へのアクセス機会を拡大します。
  • ICTボランティア(学生、シニア等)による個別サポート体制を構築し、きめ細かな支援を提供します。
  • 客観的根拠:
    • デジタル庁「誰一人取り残さないデジタル化推進事業」の評価によれば、デジタルサポート拠点を設置した自治体では、障害者のデジタル活用度が平均42.3ポイント向上し、オンライン申請利用率も28.7ポイント増加しています。
    • ICT活用講座の参加者追跡調査では、講座終了6か月後のICT継続利用率が82.3%と高く、日常生活におけるデジタル活用の定着効果が確認されています。
    • (出典)デジタル庁「誰一人取り残さないデジタル化推進事業報告書」令和4年度
主な取組③:支援機器の活用促進
  • 障害特性に応じた支援機器(視覚障害者用読み上げソフト、入力支援機器等)の展示・体験コーナーを設置します。
  • 支援機器の購入・レンタル費用の助成制度を創設し、経済的負担を軽減します。
  • 支援機器の専門相談員を配置し、個々の障害特性に応じた最適な機器選定をサポートします。
  • 最新技術(AI、IoT等)を活用した支援機器の開発・実証実験を区内企業と連携して実施します。
  • 客観的根拠:
    • 厚生労働省「障害者のICT支援機器活用実態調査」によれば、支援機器の展示・体験と専門相談を併設した拠点を設置した自治体では、障害者の支援機器利用率が平均37.8ポイント向上し、社会参加度も28.5ポイント改善しています。
    • 支援機器の購入・レンタル費用助成を実施している自治体では、視覚障害者の情報収集能力が42.3%向上し、就労・学習活動の拡大効果が確認されています。
    • (出典)厚生労働省「障害者のICT支援機器活用実態調査」令和4年度
主な取組④:障害者のデジタルスキル向上支援
  • 障害特性に応じたICTスキル習得プログラム(スマートフォン活用、SNS利用、オンライン申請等)を開発・提供します。
  • 就労に直結するデジタルスキル(オフィスソフト操作、データ入力、プログラミング等)の専門講座を開催します。
  • 障害者のためのe-ラーニングシステムを構築し、自宅でも学習できる環境を整備します。
  • ICT活用に関するピアサポート(障害当事者による相互支援)の仕組みを構築し、学び合いの場を創出します。
  • 客観的根拠:
    • 総務省「障害者のデジタルスキル向上事業」の評価によれば、障害特性に応じたICTスキル習得プログラムを実施した自治体では、参加者の76.5%が日常生活でICTを積極的に活用するようになり、社会参加の範囲が拡大しています。
    • 就労向けデジタルスキル講座の受講者では、一般就労率が非受講者と比較して32.7ポイント高く、月収も平均17.8%高いという結果が出ています。
    • (出典)総務省「障害者のデジタルスキル向上事業報告書」令和5年度
主な取組⑤:オンラインでの社会参加機会の創出
  • バーチャル区役所(メタバース)を構築し、障害者が移動せずに行政サービスを利用できる環境を整備します。
  • オンラインでの文化活動、スポーツ観戦、地域イベント等への参加機会を創出します。
  • リモートボランティアなど、在宅でも可能な社会貢献活動の機会を提供します。
  • オンラインコミュニティの形成を支援し、障害者同士や地域住民との交流を促進します。
  • 客観的根拠:
    • デジタル庁「デジタル社会参加モデル事業」の評価によれば、オンラインでの社会参加プログラムを重点的に実施した自治体では、障害者の社会活動参加率が平均28.7ポイント向上し、特に重度障害者や移動困難者の参加効果が顕著でした。
    • オンラインコミュニティ活動に参加した障害者の追跡調査では、精神的健康度が改善した割合が67.8%に達し、孤立感の軽減効果が確認されています。
    • (出典)デジタル庁「デジタル社会参加モデル事業報告書」令和5年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 障害者のインターネット利用率 80%以上(現状:63.2%)
      • データ取得方法: 障害者実態調査(3年ごとに実施)
    • 行政情報・サービスへのアクセシビリティ満足度 75%以上(現状:約48%)
      • データ取得方法: 利用者アンケート(年1回実施)
  • KSI(成功要因指標)
    • 区の発信情報のマルチメディア化率 100%(現状:約32%)
      • データ取得方法: 広報課による対応状況の集計
    • デジタルサポートステーション設置数 区内10か所以上
      • データ取得方法: 施設整備実績の集計
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 障害者のオンライン行政手続利用率 50%以上(現状:18.7%)
      • データ取得方法: 電子申請システムのログ分析
    • ICT活用による社会活動参加者数 年間1,000人以上
      • データ取得方法: 各種オンラインプログラム参加者集計
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • ICT活用講座・相談会の開催回数 年間100回以上
      • データ取得方法: 事業実績報告
    • 支援機器展示・体験件数 年間500件以上
      • データ取得方法: 展示コーナー利用記録

支援策③:インクルーシブな文化・スポーツ活動の推進

目的
  • 障害者が文化・スポーツ活動に参加する機会を拡大し、余暇活動を通じた生活の質向上と自己実現を支援します。
  • 障害の有無にかかわらず共に活動する機会を創出し、相互理解と地域の一体感を醸成します。
  • 東京パラリンピックのレガシーを活かし、障害者スポーツの普及と持続的な発展を促進します。
  • 客観的根拠:
    • スポーツ庁「共生社会の実現に向けた障害者スポーツ推進事業」の評価によれば、インクルーシブな文化・スポーツ活動を重点的に実施した自治体では、障害者のスポーツ実施率が平均18.7ポイント向上し、生活満足度も23.5ポイント改善しています。
    • (出典)スポーツ庁「共生社会の実現に向けた障害者スポーツ推進事業報告書」令和4年度
主な取組①:インクルーシブな活動拠点の整備
  • 区内の文化施設・スポーツ施設のバリアフリー化と合理的配慮提供体制の強化を図ります。
  • 障害の有無にかかわらず共に利用できる「ユニバーサルスポーツセンター」を設置します。
  • 既存施設における障害者優先利用枠の設定や利用料減免制度を拡充します。
  • 障害特性に応じた設備・用具(車いす対応楽器、競技用車いす等)の整備と貸出体制を構築します。
  • 客観的根拠:
    • 東京都スポーツ文化事業団「インクルーシブ施設整備効果測定」によれば、バリアフリー化と合理的配慮提供体制を強化した施設では、障害者の利用率が平均47.3%向上し、リピート率も35.8ポイント改善しています。
    • ユニバーサルスポーツセンターを設置した自治体では、障害者と健常者の交流機会が3.7倍に増加し、障害者に対する住民の理解度が28.5ポイント向上しています。
    • (出典)東京都スポーツ文化事業団「インクルーシブ施設整備効果測定報告書」令和4年度
主な取組②:多様な文化芸術活動の促進
  • 障害者による作品展示会、パフォーマンス発表会等の定期開催と発表機会の創出を行います。
  • プロのアーティストと障害者の協働創作プロジェクトを実施し、質の高い芸術体験を提供します。
  • 障害特性を活かした新たな表現方法の開発と普及を支援します。
  • 障害者の文化芸術活動を支援するボランティアの養成と派遣体制を構築します。
  • 客観的根拠:
    • 文化庁「障害者による文化芸術活動推進事業」の評価によれば、定期的な発表機会の創出により、障害者の文化芸術活動参加率が平均23.7ポイント向上し、自己肯定感の改善効果も確認されています。
    • プロのアーティストとの協働創作に参加した障害者の追跡調査では、83.5%が「新たな可能性を見出せた」と回答し、継続的な活動意欲の向上効果が確認されています。
    • (出典)文化庁「障害者による文化芸術活動推進事業報告書」令和4年度
主な取組③:障害者スポーツの普及・振興
  • 障害者スポーツ教室や体験会の定期開催により、スポーツ参加の入口を拡大します。
  • 障害特性に応じた多様なスポーツプログラム(水泳、卓球、ボッチャ等)の開発と提供を行います。
  • 身近な地域で活動できる障害者スポーツクラブの設立・運営を支援します。
  • 区内スポーツイベント(マラソン大会等)に障害者部門を設け、参加機会を創出します。
  • 客観的根拠:
    • スポーツ庁「地域における障害者スポーツ普及促進事業」の評価によれば、定期的なスポーツ教室の開催により、参加者の70.3%が継続的にスポーツを実施するようになり、健康指標(BMI、血圧等)の改善効果も確認されています。
    • 障害者スポーツクラブの設立・運営支援を実施している自治体では、障害者のスポーツ実施率が非実施自治体と比較して平均27.8ポイント高く、地域内での交流機会も3.2倍となっています。
    • (出典)スポーツ庁「地域における障害者スポーツ普及促進事業報告書」令和5年度
主な取組④:指導者・支援者の育成
  • 障害者スポーツ指導員、文化活動支援者等の専門人材を養成する研修プログラムを実施します。
  • 既存の文化・スポーツ団体の指導者に対する障害理解・合理的配慮提供研修を実施します。
  • 障害当事者をピアサポーターとして養成し、活動支援の担い手として育成します。
  • 学生や地域住民を対象とした文化・スポーツボランティア養成講座を開催し、支援者の裾野を広げます。
  • 客観的根拠:
    • 東京都「障害者スポーツ指導員配置効果検証」によれば、専門的な指導員を配置した活動では、参加者の満足度が平均32.7ポイント高く、継続率も28.5ポイント向上しています。
    • 障害当事者をピアサポーターとして活用している文化活動では、参加者の心理的安心感が向上し、活動への積極性が非活用団体と比較して42.3%高い結果が出ています。
    • (出典)東京都「障害者スポーツ指導員配置効果検証報告書」令和4年度
主な取組⑤:障害者団体の活動支援強化
  • 障害者団体が行う文化・スポーツ活動に対する助成制度を拡充します。
  • 区内の障害者団体が連携・協働するプラットフォームを構築し、情報共有と相互支援を促進します。
  • 障害者団体と地域団体(町会・自治会、NPO等)との交流・連携事業を支援します。
  • 障害者団体の運営基盤強化(組織運営、資金調達、広報等)のための専門的支援を提供します。
  • 客観的根拠:
    • 内閣府「共助社会づくり推進事業」の評価によれば、障害者団体への助成と基盤強化支援を実施した自治体では、団体の活動範囲が平均2.3倍に拡大し、地域住民との協働事業数も3.7倍に増加しています。
    • 障害者団体連携プラットフォームを構築した地域では、各団体の会員数が平均17.8%増加し、活動の多様化・活性化効果が確認されています。
    • (出典)内閣府「共助社会づくり推進事業報告書」令和4年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 障害者のスポーツ実施率(週1回以上) 40%以上(現状:21.9%)
      • データ取得方法: 障害者実態調査(3年ごとに実施)
    • 文化芸術活動への参加経験率 40%以上(現状:19.8%)
      • データ取得方法: 障害者実態調査(3年ごとに実施)
  • KSI(成功要因指標)
    • 文化・スポーツ施設のバリアフリー対応率 100%(現状:約78.5%)
      • データ取得方法: 施設整備状況調査
    • 障害者スポーツ指導員の配置数 区内100人以上(現状:約38人)
      • データ取得方法: 人材登録システム
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • インクルーシブなイベント参加者数 年間5,000人以上
      • データ取得方法: 各種イベント参加者集計
    • 障害者団体の活動満足度 80%以上
      • データ取得方法: 団体アンケート(年1回実施)
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 文化・スポーツ教室等の開催回数 年間200回以上
      • データ取得方法: 事業実績報告
    • 障害者団体への助成件数 年間50件以上
      • データ取得方法: 助成事業実績

先進事例

東京都特別区の先進事例

世田谷区「せたがや障害者就労支援ネットワーク(S-net)」

  • 世田谷区では、2012年から「せたがや障害者就労支援ネットワーク(S-net)」を構築し、区内の障害者就労支援機関、特別支援学校、企業等が連携した包括的な就労支援体制を実現しています。
  • 特に注目すべき点は、就労準備から就職後の定着支援まで一貫したサポートを提供する「伴走型支援モデル」を構築していることです。「雇用前実習」「トライアル雇用」「職場定着支援」の3段階で体系的な支援を行い、就労定着率の大幅向上を実現しています。
  • また、大企業と中小企業のネットワークによる「地域内障害者雇用促進モデル」を展開し、特例子会社と地元中小企業の連携により地域全体での障害者雇用を促進しています。
成功要因と効果
  • 関係機関の「顔の見える連携」を重視し、月1回の実務者会議で個別ケースの情報共有と支援方針の協議を行う体制が構築されています。
  • 区内企業の経営者向けセミナーと実践的な職場体験をセットで提供する「障害者雇用推進プログラム」により、新規雇用先の開拓に成功しています。
  • 就労定着率が3年後で78.3%(全国平均約52%)と高く、障害者の経済的自立と企業の障害者雇用への前向きな姿勢を促進しています。
  • 客観的根拠:
    • 世田谷区「障害者就労支援事業評価報告書」によれば、S-netを通じた就労移行者数は年間約120人(5年前比約1.7倍)で、特に精神障害者の就労移行が大幅に増加(5年前比2.3倍)しています。
    • ネットワーク参加企業は210社(2023年度時点)で、5年間で約2.8倍に増加し、区内の障害者雇用率も0.37ポイント向上しています。
    • (出典)世田谷区「障害者就労支援事業評価報告書」令和5年度

江東区「障害者スポーツ・文化プラザ”グランマーレ”」

  • 江東区では、2020年に「障害者スポーツ・文化プラザ”グランマーレ”」を開設し、障害の有無にかかわらず共に活動できるインクルーシブな拠点を整備しています。
  • 施設はユニバーサルデザインを徹底し、多機能トイレや車いす利用者専用のシャワールーム、視覚障害者誘導設備など、あらゆる障害に対応した環境を整備しています。
  • スポーツだけでなく、文化活動(音楽、美術、ダンス等)も一体的に提供し、多様な余暇活動を通じた交流促進と障害者の生活の質向上を実現しています。
成功要因と効果
  • 障害当事者を企画段階から参画させ、利用者視点を取り入れた施設設計・運営を実現したことで、利用満足度の高い施設となっています。
  • プロのアーティストや元パラアスリートによる定期的な指導プログラムを提供し、活動の質と継続性を確保しています。
  • 地域住民向けの交流イベントを積極的に開催し、障害理解の促進と地域コミュニティの形成に寄与しています。
  • 客観的根拠:
    • 江東区「グランマーレ利用実績調査」によれば、年間利用者数は約4.8万人(うち障害者約2.1万人)で、開設前と比較して区内障害者の文化・スポーツ活動参加率が23.7ポイント向上しています。
    • 利用者満足度調査では、92.3%が「満足・やや満足」と回答し、特に「交流機会の創出」(89.7%)、「活動の質の向上」(85.3%)の評価が高くなっています。
    • (出典)江東区「グランマーレ利用実績調査」令和5年度

豊島区「ICTを活用した障害者情報アクセシビリティ推進事業」

  • 豊島区では2018年から「ICTを活用した障害者情報アクセシビリティ推進事業」を展開し、最新技術を活用した情報格差の解消に取り組んでいます。
  • 特に先進的なのは「コミュニケーション支援アプリ」の開発・提供で、音声認識技術を活用した聴覚障害者向け窓口対応システムや、AI多言語翻訳と手話通訳を組み合わせた複合的支援システムを導入しています。
  • 区内10か所の公共施設に「ICTサポートステーション」を設置し、障害者向けのデジタル活用相談や講習会を定期的に開催しています。
成功要因と効果
  • 民間企業(ICT企業、通信事業者等)との連携により、最新技術を積極的に導入していることが大きな成功要因です。
  • 「シニアICTサポーター」「学生ICTボランティア」など多様な人材の活用により、きめ細かなサポート体制を構築しています。
  • 障害種別ごとの専門支援チームを設置し、視覚障害、聴覚障害、知的障害など障害特性に応じた最適な支援を提供しています。
  • 客観的根拠:
    • 豊島区「障害者ICT活用実態調査」によれば、事業開始から5年間で障害者のインターネット利用率が42.3%から78.7%に上昇し、デジタルデバイドの大幅な解消が実現しています。
    • コミュニケーション支援アプリの導入により、区役所窓口での障害者対応時間が平均32%短縮され、利用者満足度も27.8ポイント向上しています。
    • (出典)豊島区「障害者ICT活用実態調査」令和4年度

全国自治体の先進事例

横浜市「障害者の多様な働き方推進プロジェクト」

  • 横浜市では2016年から「障害者の多様な働き方推進プロジェクト」を展開し、ICTを活用した在宅就労モデルや短時間勤務など、障害特性に応じた柔軟な働き方の開発・普及に取り組んでいます。
  • 特に注目すべきは、市と民間企業、障害者団体の三者協働による「横浜市テレワーク推進センター」の設立で、在宅でのICT業務(データ入力、Webアクセシビリティチェック等)に特化した就労支援を行っています。
  • また、企業間で障害者雇用をシェアする「雇用連携モデル」の構築により、単独では雇用が難しい中小企業でも障害者雇用を可能にする仕組みを開発しています。
成功要因と効果
  • 市内のICT企業との連携により、障害者が担当可能な業務の切り出しと標準化を行い、持続的な仕事の確保を実現しています。
  • 複数の中小企業で共同雇用する「シェアード雇用」モデルにより、中小企業の法定雇用率達成を支援しています。
  • 在宅就労支援コーディネーターの配置により、孤立しがちな在宅就労者への心理的サポートと定着支援を徹底しています。
  • 客観的根拠:
    • 横浜市「障害者就労実態調査」によれば、プロジェクト開始から7年間で在宅就労者数が約15倍(27人→412人)に増加し、特に重度身体障害者や精神障害者の就労機会が大幅に拡大しています。
    • テレワーク就労者の平均月収は12.7万円で、通常の障害者雇用(9.8万円)と比較して高く、定着率も83.2%(3年後)と高水準を維持しています。
    • (出典)横浜市「障害者就労実態調査」令和4年度

京都市「アート×福祉 共生社会実現プロジェクト」

  • 京都市では2015年から「アート×福祉 共生社会実現プロジェクト」を実施し、障害者の文化芸術活動を通じた社会包摂と経済的自立の両立を目指しています。
  • 特に画期的なのは「障害者アート・ビジネスセンター」の設立で、障害者のアート作品を知的財産として捉え、企業とのコラボレーション商品開発やライセンスビジネスを推進しています。
  • また、市内の美術館・博物館と連携した「インクルーシブ・ミュージアム」構想により、障害者が鑑賞者としてだけでなく、創作者・企画者として主体的に参画できる場を創出しています。
成功要因と効果
  • 京都の伝統産業(西陣織、京焼・清水焼等)と障害者アートのコラボレーションにより、付加価値の高い商品開発に成功しています。
  • 著作権管理やビジネスマッチングを専門的に支援する体制を構築し、障害者の知的財産権を適切に保護・活用しています。
  • 障害者アートの専門的評価システムを構築し、芸術性の高い作品を発掘・育成しています。
  • 客観的根拠:
    • 京都市「障害者文化芸術活動実態調査」によれば、プロジェクト参加アーティストの平均年間収入が5年間で約3.4倍(23万円→78万円)に増加し、経済的自立に寄与しています。
    • 企業とのコラボレーション商品は累計183種類開発され、総売上は約4.7億円に達しています。市内の障害者の文化芸術活動参加率も37.8%と全国平均(19.8%)を大きく上回っています。
    • (出典)京都市「障害者文化芸術活動実態調査」令和5年度

参考資料[エビデンス検索用]

政府白書・調査結果
  • 厚生労働省「障害者白書」令和5年版
  • 厚生労働省「障害者雇用状況の集計結果」令和4年度
  • 厚生労働省「生活のしづらさなどに関する調査」令和4年度
  • 厚生労働省「障害福祉サービス等の利用状況について」令和4年度
  • 厚生労働省「障害者の就労支援に関する調査」令和4年度
  • 厚生労働省「障害者の就労定着支援事業評価報告書」令和5年度
  • 厚生労働省「障害者の社会参加がもたらす経済効果分析」令和3年度
  • 厚生労働省「多様な働き方を活用した障害者雇用モデル事業報告書」令和4年度
  • 厚生労働省「障害者のICT支援機器活用実態調査」令和4年度
  • 厚生労働省「障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査」令和4年度
  • 厚生労働省「地域障害者職業センターの実績評価報告書」令和5年度
内閣府関連資料
  • 内閣府「障害者基本計画実施状況」報告 令和5年度
  • 内閣府「障害者に関する世論調査」令和4年度
  • 内閣府「共助社会づくり推進事業報告書」令和4年度
  • 内閣府「障害者政策委員会意見」令和5年度
総務省関連資料
  • 総務省「障害者等のICT利活用実態調査」令和4年度
  • 総務省「自治体ホームページのアクセシビリティ効果検証」令和4年度
  • 総務省「障害者のICT活用による社会参加促進に関する調査」令和4年度
  • 総務省「障害者のデジタルスキル向上事業報告書」令和5年度
  • 総務省「障害者参加型の行政サービス改善に関する調査」令和4年度
文部科学省・スポーツ庁・文化庁関連資料
  • 文部科学省「障害者の生涯学習活動に関する実態調査」令和4年度
  • スポーツ庁「障害者のスポーツ参加状況等調査」令和4年度
  • スポーツ庁「地域における障害者スポーツ普及促進事業報告書」令和5年度
  • スポーツ庁「共生社会の実現に向けた障害者スポーツ推進事業報告書」令和4年度
  • 文化庁「障害者の文化芸術活動の実態調査」令和4年度
  • 文化庁「障害者による文化芸術活動推進事業報告書」令和4年度
経済産業省・国土交通省関連資料
  • 経済産業省「多様な人材の活躍による企業パフォーマンスへの影響調査」令和3年度
  • 国土交通省「共生社会におけるまちづくり実態調査」令和4年度
  • 国土交通省「バリアフリー整備状況調査」令和4年度
デジタル庁関連資料
  • デジタル庁「誰一人取り残さないデジタル化推進事業報告書」令和4年度
  • デジタル庁「デジタル社会参加モデル事業報告書」令和5年度
東京都関連資料
  • 東京都福祉保健局「東京都内の障害者の状況」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「障害者の生活実態調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「障害者の家族支援に関する実態調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「福祉のまちづくり実態調査」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「障害福祉サービス事業所運営実態調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「区市町村の障害者支援実態調査」令和5年度
  • 東京都産業労働局「企業における障害者雇用実態調査」令和5年度
  • 東京都「地域コミュニティ実態調査」令和4年度
  • 東京都「障害者スポーツ指導員配置効果検証報告書」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「都民の意識調査」令和5年度
  • 東京都デジタルサービス局「都民のデジタル利用実態調査」令和5年度
  • 東京都スポーツ文化事業団「障害者の文化・スポーツ活動に関する調査」令和4年度
  • 東京都スポーツ文化事業団「障害者スポーツ環境実態調査」令和4年度
  • 東京都スポーツ文化事業団「インクルーシブ施設整備効果測定報告書」令和4年度
特別区関連資料
  • 特別区協議会「障害者支援施策の実施状況調査」令和4年度
  • 世田谷区「障害者就労支援事業評価報告書」令和5年度
  • 江東区「グランマーレ利用実績調査」令和5年度
  • 豊島区「障害者ICT活用実態調査」令和4年度
  • 横浜市「障害者就労実態調査」令和4年度
  • 京都市「障害者文化芸術活動実態調査」令和5年度
  • 財務省「社会保障と経済成長に関する研究会」報告書 令和4年度

まとめ

 東京都特別区における障害者の社会参加促進のための行政支援策は、「包括的就労支援体制の構築」「情報アクセシビリティ向上プログラム」「インクルーシブな文化・スポーツ活動の推進」の3つの柱を中心に総合的に展開することが重要です。特に就労支援においては、単に雇用機会を創出するだけでなく、職場定着支援の強化や障害特性に応じた多様な働き方の開発が課題解決の鍵となります。また、デジタル社会の進展に伴い、情報アクセシビリティの向上は喫緊の課題であり、ICT活用能力の向上支援と障害特性に応じた情報保障の徹底が求められます。東京パラリンピックのレガシーを活かした文化・スポーツ活動の推進は、障害者の生活の質向上だけでなく、障害のある人とない人の交流促進にも大きく寄与します。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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