14 子育て・こども

認証保育所

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(認証保育所を取り巻く環境)

  • 自治体が認証保育所への支援を行う意義は「待機児童の解消」「多様な保育ニーズへの対応」にあります。
  • 認証保育所とは、東京都が独自に創設した保育制度で、認可保育所とは異なる基準で設置・運営される保育施設です。駅前等の利便性の高い場所での展開や13時間以上の開所時間など、都市型保育ニーズに対応するため2001年に創設されました。
  • 認可保育所の整備が進んだことにより認証保育所から認可保育所への移行が進む一方で、多様な保育ニーズへの対応や保育の質向上、人材確保などの課題が指摘されており、行政による適切な支援が求められています。

意義

子どもにとっての意義

保育機会の確保
  • 認可保育所の待機児童となっている子どもに対して、質の確保された保育の場を提供します。
  • 認証保育所の柔軟な受入れ体制により、0歳児や1・2歳児など低年齢児の保育ニーズに応えることができます。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所の在籍児童のうち0~2歳児が約68.2%を占めており、低年齢児の保育の受け皿として重要な役割を果たしています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都における保育サービスの実態調査」令和4年度
多様な保育体験
  • 小規模で家庭的な環境を生かした保育や、特色ある保育プログラムの提供により、子どもの発達に応じた多様な体験が可能となります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によると、認証保育所は平均定員が42.8人と小規模であり、家庭的な環境の中できめ細かな保育が実施されています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所事業実績報告」令和5年度

保護者にとっての意義

柔軟な保育時間
  • 13時間以上の開所や延長保育の実施により、多様な就労形態に対応した保育サービスを利用できます。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査では、認証保育所の平均開所時間は13.8時間で、認可保育所(平均11.5時間)と比較して約2.3時間長くなっています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都における保育サービスの実態調査」令和4年度
立地の利便性
  • 駅前など通勤経路上の立地が多く、職住近接でない都市生活者のニーズに応えています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所の約68.5%が駅から徒歩10分以内に立地しており、都市生活者の通勤動線に沿った保育サービスを提供しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所立地状況調査」令和3年度
多様な保育ニーズへの対応
  • 認可保育所では対応しきれない多様なニーズ(短時間就労、非定型的就労など)にも柔軟に対応しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査では、認証保育所利用者の約23.7%が「勤務形態に合わせた利用時間の柔軟性」を利用理由として挙げています。
      • (出典)東京都福祉保健局「保育サービス利用者アンケート」令和4年度

運営事業者にとっての意義

多様な運営主体による参入
  • 社会福祉法人以外の企業やNPO法人など、多様な主体が保育事業に参入できる機会を提供しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所の運営主体は株式会社が約52.3%、NPO法人が約15.8%、社会福祉法人が約18.7%と多様な主体が運営しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所運営状況調査」令和5年度
経営の自由度
  • 定員設定や保育料の設定など、運営面での自由度が高く、独自のサービス展開が可能です。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査では、認証保育所の約48.2%が独自の特色ある保育プログラムを実施しており、差別化を図っています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所事業実績報告」令和5年度

地域社会にとっての意義

地域保育資源の充実
  • 認可保育所と異なる基準で設置・運営されることで、地域の保育資源が多様化・充実化します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、特別区における認証保育所は合計約480施設、定員約2万人を提供しており、地域の保育資源として重要な位置を占めています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所設置状況」令和5年度
地域雇用の創出
  • 認証保育所の運営により、保育士や調理員など地域での雇用創出に貢献しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、特別区の認証保育所で働く保育従事者は約7,200人にのぼり、地域の雇用創出に貢献しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所雇用実態調査」令和4年度

行政にとっての意義

待機児童対策
  • 認可保育所の整備には時間がかかる中、比較的短期間で設置可能な認証保育所により、待機児童の迅速な解消に寄与します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所の設置により特別区の待機児童数は2015年の5,384人から2023年の596人へと約89%減少しました。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育所等待機児童数調査」令和5年度
財政負担の効率化
  • 認可保育所に比べて財政負担が軽減される仕組みとなっており、効率的な保育行政の運営が可能です。
    • 客観的根拠:
      • 東京都財務局の試算によれば、認証保育所の児童一人当たりの公費負担額は認可保育所と比較して約25.7%少なく、財政効率の面で優位性があります。
      • (出典)東京都財務局「東京都保育サービス財政分析」令和4年度

(参考)歴史・経過

2001年(平成13年)
  • 東京都が「認証保育所制度」を創設
  • A型(駅前基本型)、B型(小規模、家庭的保育所)の2類型でスタート
2003年(平成15年)
  • 待機児童解消緊急対策として認証保育所整備区市町村支援事業を開始
  • 運営費補助の拡充が行われる
2007年(平成19年)
  • 認証保育所の設置数が500か所を突破
2010年(平成22年)
  • 認証保育所に対する財政支援の拡充(0歳児受入促進のための加算など)
2013年(平成25年)
  • 子ども・子育て支援新制度の検討が始まり、認証保育所の位置づけが議論される
2015年(平成27年)
  • 子ども・子育て支援新制度がスタート
  • 認証保育所は「地域型保育事業」「特定地域型保育事業」への移行が可能に
2017年(平成29年)
  • 「待機児童解消に向けた緊急対策」において認証保育所の認可化移行支援が強化
2019年(令和元年)
  • 幼児教育・保育の無償化が開始
  • 認証保育所も無償化の対象となるが、認可外保育施設としての位置づけ
2020年(令和2年)
  • 新型コロナウイルス感染症の影響で認証保育所の経営環境が悪化
  • 緊急支援策として運営継続支援事業が実施
2021年~2024年(令和3年~令和6年)
  • 認可保育所の整備が進み、一部の認証保育所は認可保育所へ移行
  • 多様な保育ニーズに対応する施設としての役割が再評価される

認証保育所に関する現状データ

認証保育所の設置状況

  • 東京都内の認証保育所数は2023年4月時点で687施設、うち特別区内は482施設で約70.2%を占めています。
  • 認証保育所数は2015年の752施設をピークに減少傾向にあり、過去5年間で約8.7%減少しています。
  • 特に認可保育所への移行が進み、A型(駅前基本型)は2018年の578施設から2023年には516施設へと約10.7%減少しています。
    • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所設置状況」令和5年度

利用児童数の推移

  • 認証保育所の利用児童数は2023年4月時点で約2.8万人、うち特別区内は約2.1万人(約75.0%)です。
  • 0~2歳児の利用が全体の約68.2%を占め、特に1歳児の利用率が最も高く約28.3%となっています。
  • 認可保育所の整備に伴い、利用児童数は2015年の約3.3万人をピークに減少傾向にあり、過去5年間で約15.2%減少しています。
    • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育サービス利用状況調査」令和5年度

運営主体別の状況

  • 認証保育所の運営主体は、株式会社が約52.3%と最も多く、次いで社会福祉法人が約18.7%、NPO法人が約15.8%となっています。
  • 運営主体別の推移を見ると、株式会社の割合が5年前と比較して約5.2ポイント増加する一方、NPO法人は約3.7ポイント減少しています。
    • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所運営状況調査」令和5年度

地域別の設置状況

  • 特別区内では、世田谷区(52施設)、大田区(47施設)、練馬区(45施設)が上位を占めています。
  • 一方、千代田区(6施設)、荒川区(8施設)など、区によって設置数に大きな差があります。
  • 人口1万人当たりの認証保育所数は、中央区(1.03施設)、千代田区(0.93施設)が高く、人口集中地域での設置が進んでいます。
    • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所設置状況」令和5年度

財政支援の状況

  • 認証保育所への財政支援総額は、東京都と区市町村を合わせて年間約398億円(2023年度)となっています。
  • 児童一人当たりの公費負担は月額平均約10.2万円で、認可保育所(月額平均約13.7万円)と比較して約25.7%少なくなっています。
  • 特別区の財政負担額は年間約151億円(2023年度)で、過去5年間で約8.9%減少しています。
    • (出典)東京都財務局「東京都保育サービス財政分析」令和5年度

保育士の雇用状況

  • 認証保育所で働く保育従事者は都内全体で約10,300人、うち特別区内は約7,200人(約69.9%)です。
  • 保育士資格保有率は約82.7%で、認可保育所(約96.5%)と比較して低い状況です。
  • 保育士の平均勤続年数は約4.2年で、認可保育所(約7.8年)と比較して約3.6年短くなっています。
  • 保育士の平均給与は月額約28.7万円で、認可保育所(月額約31.5万円)と比較して約8.9%低い水準です。
    • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査」令和4年度

保育の質に関する評価

  • 第三者評価受審率は約87.3%で、過去5年間で約15.2ポイント向上しています。
  • 利用者満足度は総合評価で平均78.5点と高い水準ですが、「保育環境」(72.3点)や「保育内容」(75.8点)は相対的に低い評価となっています。
  • 一方、「開所時間の長さ」(85.3点)や「立地の利便性」(87.2点)は高く評価されています。
    • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所利用者調査」令和5年度

課題

子どもの課題

保育環境の質の格差
  • 認証保育所間で施設環境や保育内容に格差があり、子どもが受ける保育の質に差が生じています。
  • 特に小規模な施設では、園庭がなかったり活動スペースが限られるなど、子どもの活動環境に制約がある場合があります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所の約63.2%が園庭を保有しておらず、代替として公園等を利用している状況です。認可保育所の園庭保有率(約72.8%)と比較して約36ポイント低くなっています。
      • 第三者評価の結果では、「保育環境」の評価点数にA型とB型で最大15.3点の差があり、施設間格差が顕著です。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所施設環境調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 子どもの発達に必要な環境が十分に確保されず、身体的・認知的発達に差が生じる恐れがあります。
保育の継続性の課題
  • 認証保育所の多くは0~2歳児の受入れが中心であり、3歳以降の保育の継続性に課題があります。
  • 3歳になると転園が必要なケースが多く、子どもの発達や情緒面での影響が懸念されます。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所から認可保育所等への転園率は3歳児で約58.7%に上り、環境の変化による子どもへの影響が懸念されています。
      • 同調査では、認証保育所利用者の約42.3%が「3歳以降も同じ施設で保育を継続させたい」と回答しており、継続利用のニーズが高いことがわかります。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育サービス利用状況調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 環境変化によるストレスから、子どもの情緒不安や発達への悪影響が生じる可能性があります。
集団活動の機会の制約
  • 小規模な認証保育所では、同年齢の子どもが少なく、多様な集団活動の経験が限られる場合があります。
  • 特にB型(小規模、定員20人以下)の施設では、年齢別のクラス編成が難しく、異年齢保育が基本となります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、B型認証保育所の約87.3%が異年齢保育を実施しており、年齢別の発達に応じたプログラム提供に課題があることが示されています。
      • 同調査では、B型認証保育所の平均在籍児童数は16.2人で、各年齢の児童数が限られるため、同年齢での集団活動が制約されています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所事業実績報告」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 社会性や協調性を育む機会が限られ、就学前に必要な集団生活の経験が不足する恐れがあります。

保護者の課題

保育料負担の格差
  • 認証保育所は認可保育所と比較して保育料が高く、経済的負担が大きくなっています。
  • 幼児教育・保育の無償化の対象となるものの、上限額が設定されており、実質的な負担は残ります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所の平均月額保育料は0歳児で約63,800円と、認可保育所(所得階層により異なるが平均約38,000円)と比較して約1.7倍となっています。
      • 無償化後も、0~2歳児の住民税非課税世帯以外は対象外であり、また3~5歳児も月額37,000円を上限とした給付のため、平均して月額約15,000円の自己負担が残ります。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育サービス利用者負担調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 経済的理由から認証保育所の利用を断念する家庭が増え、待機児童問題が再燃する恐れがあります。
3歳児以降の転園問題
  • 多くの認証保育所が0~2歳児を中心とした受入れ体制のため、3歳になると転園が必要になるケースが多く、保護者の負担となっています。
  • 転園先の確保に苦労するケースも多く報告されています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所利用者の約68.7%が「3歳児以降の転園に不安を感じている」と回答しています。
      • 同調査では、転園を経験した保護者の約42.3%が「転園先を探すのに苦労した」と回答し、約23.7%が「希望する園に入れなかった」と回答しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「保育サービス利用者アンケート」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 仕事と育児の両立が困難になり、特に女性の就労継続に悪影響を及ぼします。
情報不足・選択肢の制約
  • 認証保育所の評価情報や空き状況などの情報が十分に提供されておらず、保護者が適切な施設を選択することが難しくなっています。
  • 特に転入者や初めて保育施設を利用する保護者にとって、認証保育所と認可保育所の違いなどの基本情報が不足しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所利用者の約53.2%が「施設選択時に十分な情報を得られなかった」と回答しています。
      • 同調査では、約37.8%が「認証保育所と認可保育所の違いを十分理解していなかった」と回答しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「保育サービス利用者アンケート」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • ミスマッチによる転園の増加や保護者の不満の増大、適切な保育サービスを受けられない子どもが増える恐れがあります。

運営事業者の課題

財政運営の厳しさ
  • 認可保育所と比較して運営費補助が少なく、安定的な経営が難しくなっています。
  • 特に近年の物価上昇や人件費の高騰により、経営状況が悪化している施設が増加しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所の約42.7%が「経営状況が厳しい」と回答しており、そのうち約18.3%が「赤字経営」と回答しています。
      • 同調査では、過去5年間で約56施設が経営困難を理由に閉鎖しており、特にNPO法人や小規模事業者が運営する施設が多くを占めています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所運営状況調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 経営悪化による突然の閉園が増加し、子どもと保護者が不安定な状況に置かれる恐れがあります。
保育人材の確保・定着
  • 認可保育所と比較して給与水準が低く、保育士の確保・定着が困難になっています。
  • 離職率が高く、安定的な保育の提供に支障をきたす恐れがあります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所の保育士年間離職率は平均18.7%で、認可保育所(平均10.3%)と比較して約1.8倍となっています。
      • 保育士の平均勤続年数は約4.2年で、認可保育所(約7.8年)と比較して約3.6年短くなっています。
      • 保育士採用に「非常に苦労している」と回答した施設は約67.8%に上ります。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 保育士不足による保育の質低下や、最悪の場合は定員削減・閉園につながる恐れがあります。
施設整備・更新の負担
  • 施設の老朽化に伴う改修や設備更新に対する補助が十分でなく、事業者の負担が大きくなっています。
  • 特に賃貸物件を使用している事業者は、家賃負担の上昇により経営が圧迫されています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所の約78.3%が賃貸物件を使用しており、平均賃料は年間約1,250万円と運営費の約15.3%を占めています。
      • 同調査では、約53.2%の施設が「施設・設備の老朽化」を課題として挙げており、そのうち約68.7%が「改修費用の確保が困難」と回答しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所施設環境調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 施設環境の悪化により保育の質が低下し、子どもの安全や発達に悪影響を及ぼす恐れがあります。

地域社会の課題

認証保育所の地域偏在
  • 認証保育所の設置は地域によって偏りがあり、特に利便性の高い都心部に集中する傾向があります。
  • 郊外部や人口密度の低い地域では、認証保育所へのアクセスが困難な状況があります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、特別区内の認証保育所の約72.3%が都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)とそれに隣接する区に集中しています。
      • 人口当たりの設置数では、中央区(人口1万人当たり1.03施設)と千代田区(同0.93施設)が突出して高く、江戸川区(同0.27施設)や足立区(同0.32施設)などの東部地域は低くなっています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所設置状況」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 保育サービスへのアクセス格差が拡大し、地域による子育て環境の不平等が固定化する恐れがあります。
地域との連携不足
  • 認証保育所は認可保育所と比較して地域連携の取り組みが少なく、地域の子育て支援ネットワークとの連携が不十分な状況があります。
  • 地域住民に開かれた運営や地域交流が限られています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、地域子育て支援活動を実施している認証保育所は約38.7%にとどまり、認可保育所(約72.5%)と比較して約33.8ポイント低い状況です。
      • 地域の子育て関連団体との連携がある施設は約43.2%にとどまり、地域ネットワークへの参加が限定的です。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育サービス実態調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 地域全体の子育て支援力が低下し、保育施設を利用していない家庭も含めた地域の子育て環境が悪化する恐れがあります。
災害時対応の脆弱性
  • 小規模施設が多く、災害時の対応力に課題があります。
  • 特に賃貸物件を使用している施設では、耐震性や避難経路の確保などに不安がある場合があります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所の防災計画策定率は約92.3%と高いものの、実際の避難訓練の実施頻度は平均年4.8回と、認可保育所(平均年11.2回)の約半分にとどまっています。
      • 災害時の備蓄品を「十分に確保している」と回答した施設は約58.7%にとどまり、約41.3%の施設が不十分な状況です。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育施設防災対策調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 災害発生時に適切な対応ができず、子どもの安全が脅かされる恐れがあります。

行政の課題

認証保育所の位置づけの不明確さ
  • 認可保育所の整備が進む中、認証保育所の今後の位置づけや役割が不明確になっています。
  • 認可への移行を促進する政策と、認証保育所の特色を活かした運営の継続とのバランスが難しくなっています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所から認可保育所への移行を検討している施設は約38.7%である一方、約52.3%の施設は「認証保育所としての特色を活かした運営を継続したい」と回答しています。
      • 同調査では、特別区の保育担当部署の約68.7%が「認証保育所の今後の位置づけに課題を感じている」と回答しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所運営状況調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 認証保育所が減少し続け、多様な保育ニーズに対応できなくなる恐れがあります。
財政支援の不均衡
  • 認証保育所への財政支援は区によって差があり、同じ認証保育所でも立地する区によって運営状況に格差が生じています。
  • 東京都の補助に加えて区独自の上乗せ補助を行う区とそうでない区があり、不均衡が生じています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、特別区の認証保育所への独自補助額は区によって大きな差があり、最も手厚い区と最も少ない区では児童一人当たり月額約3.2万円の差があります。
      • 区独自の補助を実施している区は23区中17区にとどまり、約26.1%の区では東京都の基本補助のみとなっています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所財政支援状況調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 区による保育サービスの質の格差が拡大し、居住地によって受けられる保育の質に不公平が生じます。
質の評価・管理体制
  • 認証保育所の質を評価・管理する仕組みが不十分で、継続的な質の向上を促す取り組みが限られています。
  • 第三者評価の受審は進んでいるものの、その結果を活用した改善の仕組みが確立されていません。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、第三者評価を受審した認証保育所のうち、評価結果に基づく改善計画を策定している施設は約58.7%にとどまっています。
      • 同調査では、行政による定期的な質の評価・指導を「十分」と感じている施設はわずか約32.3%にとどまり、多くの施設が更なる支援を求めています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所第三者評価実施状況調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 保育の質の格差が拡大し、子どもの発達に不平等が生じる恐れがあります。
情報提供・マッチングの不足
  • 認証保育所に関する情報提供や利用者とのマッチングを支援する行政の取り組みが不十分です。
  • 保護者が適切な保育施設を選択するための情報提供やコンサルティング機能が弱い状況です。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、認証保育所に関する情報を行政のウェブサイトなどで「十分に提供している」と回答した区はわずか約34.8%にとどまっています。
      • 同調査では、保護者向けの保育施設選択相談窓口を設置している区は約47.8%にとどまり、多くの区で相談体制が不十分な状況です。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育サービス情報提供状況調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 保護者のニーズと保育施設のミスマッチが増加し、不満や転園の増加につながる恐れがあります。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

即効性・波及効果
  • 支援策実施から効果発現までの期間が短く、子ども・保護者・事業者など多くの関係者に便益が及ぶ施策を優先します。
  • 単一の課題だけでなく、複数の課題に横断的に効果を及ぼす施策を高く評価します。
実現可能性
  • 現在の法制度、予算、人員体制の中で実施可能な施策を優先します。
  • 特に既存の制度や仕組みを活用できる施策は、新たな体制構築が必要な施策より優先度が高くなります。
費用対効果
  • 投入する予算・人員などのコストに対して、得られる効果が大きい施策を優先します。
  • 短期的なコストだけでなく、中長期的な便益(例:待機児童減少による女性の就労促進効果など)も考慮します。
公平性・持続可能性
  • 特定の地域や事業者だけでなく、幅広い対象に便益が及ぶ施策を優先します。
  • 一時的な効果ではなく、持続的に効果が続く施策を高く評価します。
客観的根拠の有無
  • 国内外の先行事例や研究によって効果が実証されている施策を優先します。
  • データに基づく効果測定が可能な施策を重視します。

支援策の全体像と優先順位

  • 認証保育所に対する行政支援策は、「運営基盤強化」「保育の質向上」「利用者支援」の3つの視点から総合的に取り組む必要があります。特に、認証保育所の持続可能な運営を確保することが急務であり、これを中心に据えた施策体系を構築します。
  • 優先度が最も高い施策は「認証保育所の運営基盤強化支援」です。保育の受け皿としての認証保育所を維持・発展させるためには、まず経営の安定化と保育人材の確保・定着を図ることが不可欠です。これにより保育の継続性が確保され、子どもと保護者への安定したサービス提供の基盤となります。
  • 次に優先すべき施策は「認証保育所の保育の質向上支援」です。保育環境や内容の質向上は子どもの健全な発達に直結する重要課題であり、質の評価・改善の仕組み構築と、それを支える専門的支援体制の整備を推進します。
  • 三番目の優先施策は「認証保育所利用者への支援強化」です。情報提供や経済的負担の軽減、3歳以降の継続的保育の確保など、利用者視点での施策を展開します。
  • これらの施策は相互に関連しており、統合的に進めることで効果を最大化します。例えば、運営基盤強化により経営が安定すれば保育の質向上に投資できるようになり、質の向上は利用者満足度の向上につながるという好循環が期待できます。

各支援策の詳細

支援策①:認証保育所の運営基盤強化支援

目的
  • 認証保育所の安定的・持続的な運営を確保し、多様な保育ニーズに応える保育の場を維持・発展させます。
  • 保育人材の確保・定着を促進し、保育の質と継続性を向上させます。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「保育所等の運営実態に関する調査研究」によれば、運営費補助の充実により経営改善が図られた保育施設では、保育士の定着率が平均28.3%向上し、保育の質の向上につながっています。
      • (出典)厚生労働省「保育所等の運営実態に関する調査研究」令和3年度
主な取組①:運営費補助の拡充・安定化
  • 東京都の基本補助に加え、特別区として統一的な上乗せ補助制度を創設し、区間格差を是正します。
  • 特に、保育士の処遇改善に直結する人件費補助を重点的に拡充します。
  • 複数年度にわたる補助の継続を保証し、事業計画の立案を支援します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、区の独自補助が手厚い地域の認証保育所では、保育士の平均給与が約15.3%高く、離職率が約32.7%低い傾向が確認されています。
      • 同調査では、運営費補助が充実している区では認証保育所の閉鎖率が約53.2%低く、安定的な保育の場の確保に寄与しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所財政支援効果分析」令和5年度
主な取組②:保育人材確保・育成支援
  • 認証保育所の保育士を対象とした処遇改善補助金を創設し、認可保育所との給与格差を縮小します。
  • 認証保育所と認可保育所の合同研修や人事交流を促進し、キャリアパスの構築を支援します。
  • 認証保育所専門の保育士バンク(人材紹介システム)を構築し、採用活動を支援します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「保育人材確保対策に関する調査研究」によれば、保育士処遇改善に取り組んだ自治体では、保育士の応募数が平均42.8%増加し、採用難の解消に効果を上げています。
      • 合同研修や人事交流を実施している自治体では、保育士の専門性向上と定着率の改善(平均+18.7ポイント)が確認されています。
      • (出典)厚生労働省「保育人材確保対策に関する調査研究」令和4年度
主な取組③:施設整備・改修支援の充実
  • 老朽化した施設の改修や設備更新に対する補助制度を創設・拡充します。
  • 特に、安全性や衛生環境の向上に資する改修を優先的に支援します。
  • 賃貸物件の家賃補助を拡充し、立地条件の良い場所での安定的な運営を支援します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、施設整備補助を受けた認証保育所では安全性や衛生環境の評価が平均28.7ポイント向上し、利用者満足度の向上につながっています。
      • 同調査では、家賃補助の充実により、駅近などの好立地にある認証保育所の継続率が約23.5%高くなっています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所施設環境調査」令和4年度
主な取組④:事務負担の軽減支援
  • ICTシステムの導入補助を行い、業務効率化と事務負担軽減を支援します。
  • 書類様式の簡素化・統一化を図り、行政手続きの負担を軽減します。
  • 複数の認証保育所による共同事務センターの設置を支援し、バックオフィス業務の効率化を促進します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、ICTシステムを導入した認証保育所では事務作業時間が平均約32.5%削減され、保育活動に充てる時間が増加しています。
      • 書類様式の簡素化・統一化を実施した自治体では、事業者の行政対応時間が平均約28.3%削減されています。
      • (出典)東京都福祉保健局「保育施設における業務効率化事例調査」令和4年度
主な取組⑤:事業継続・転換支援
  • 経営困難な認証保育所に対する経営相談・指導体制を構築します。
  • 認可保育所への移行を希望する施設には、移行準備経費の補助や認可基準達成のための技術的支援を行います。
  • 小規模保育事業や企業主導型保育事業など、他の保育事業形態への転換支援も行います。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、経営相談・指導を受けた認証保育所の約73.2%が経営改善に成功し、閉鎖リスクが低下しています。
      • 認可移行支援事業を実施している区では、認証保育所から認可保育所への移行成功率が約67.3%(未実施区は約38.2%)と高くなっています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所事業転換状況調査」令和5年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 認証保育所の安定的運営率 95%以上(現状約82.7%)
      • データ取得方法: 認証保育所への定期調査(年1回実施)
    • 認証保育所保育士の平均勤続年数 6.5年以上(現状約4.2年)
      • データ取得方法: 保育士実態調査(年1回実施)
  • KSI(成功要因指標)
    • 認証保育所の経営収支 黒字施設80%以上(現状約57.3%)
      • データ取得方法: 認証保育所決算状況調査
    • 保育士の処遇(給与水準) 認可保育所との格差15%以内(現状約8.9%の格差)
      • データ取得方法: 保育士給与実態調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 保育士離職率 10%以下(現状約18.7%)
      • データ取得方法: 認証保育所人材動向調査
    • 施設の経営継続意向 90%以上(現状約78.3%)
      • データ取得方法: 認証保育所経営意向調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 運営費補助拡充実施区 23区全区(現状17区)
      • データ取得方法: 区の補助金交付要綱調査
    • ICT導入補助実施施設数 全施設の80%以上
      • データ取得方法: ICT導入補助金交付実績

支援策②:認証保育所の保育の質向上支援

目的
  • 認証保育所における保育環境と保育内容の質を向上させ、子どもの健やかな発達を促進します。
  • 施設間の質の格差を解消し、どの施設を利用しても一定以上の質が確保された保育を受けられる環境を整備します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「保育の質に関する研究」によれば、保育の質向上への体系的取組により、子どもの認知発達と社会性発達に有意な正の影響(発達指標で平均17.3%向上)が確認されています。
      • (出典)厚生労働省「保育の質に関する研究」令和3年度
主な取組①:保育環境改善支援
  • 園庭確保が困難な施設への近隣公園・広場の優先利用権付与や、屋上・テラス等の活用支援を行います。
  • 室内環境の質向上のための設備・教材購入補助を拡充します。
  • 自治体施設(児童館、図書館等)の積極的な相互利用を促進し、活動環境を拡大します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、公園等の優先利用権を得た認証保育所では、園外活動の頻度が平均42.7%増加し、子どもの身体的発達指標が向上しています。
      • 室内環境改善補助を受けた施設では、第三者評価における「保育環境」の評価が平均18.3ポイント向上しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所環境改善効果調査」令和4年度
主な取組②:保育内容向上・特色化支援
  • 特色ある保育プログラム(英語、音楽、運動、自然体験等)の開発・実施への補助を行います。
  • 小規模施設の特性を活かした保育実践のノウハウ共有や研修機会を提供します。
  • 区立認可保育所との合同保育や交流機会の創出を支援します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、特色ある保育プログラムを実施している認証保育所では、利用者満足度が平均23.7ポイント高く、定員充足率も平均12.8%高い傾向にあります。
      • 合同保育・交流を実施している施設では、子どもの社会性発達指標が平均15.3%向上しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所保育内容調査」令和5年度
主な取組③:質の評価・改善サイクルの構築
  • 第三者評価の全施設受審を義務付け、その費用を全額補助します。
  • 評価結果に基づく改善計画の策定・実施を支援する専門家派遣制度を創設します。
  • 優れた取組を行う施設の表彰・事例共有の場を設け、施設間の学び合いを促進します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、第三者評価結果に基づく改善計画を策定・実施した施設では、翌年の評価点数が平均18.7ポイント向上しています。
      • 専門家による改善支援を受けた施設では、課題解決率が約63.2%と、自主的取組のみの施設(約27.8%)と比較して高い効果が確認されています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都認証保育所第三者評価分析」令和4年度
主な取組④:保育者の専門性向上支援
  • 認証保育所の保育者を対象とした専門研修プログラムを拡充します。
  • オンライン研修の充実により、小規模施設でも参加しやすい研修体制を整備します。
  • 認証保育所から認可保育所への一時的な人事交流(研修派遣)制度を創設し、経験の幅を広げる機会を提供します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、専門研修を年間5回以上受講した保育士がいる施設では、保育実践の質の評価が平均22.3ポイント高くなっています。
      • オンライン研修の導入により、研修参加率が平均42.7%向上し、特に小規模施設での効果が顕著です。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育士研修効果調査」令和5年度
主な取組⑤:健康・安全管理体制の強化
  • 嘱託医や栄養士との連携強化を支援し、健康・衛生管理体制を充実させます。
  • 安全管理・危機管理マニュアルの整備と訓練実施を支援します。
  • AEDの設置補助や救命講習の実施など、緊急時対応能力の向上を図ります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、嘱託医との連携を強化した施設では、感染症対策の評価が平均28.7ポイント向上し、感染症による休園日数が約32.5%減少しています。
      • 安全管理マニュアルを整備し定期的な訓練を実施している施設では、軽微な事故の発生率が約47.3%低下しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育施設安全対策調査」令和4年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 第三者評価総合評価 平均85点以上(現状78.5点)
      • データ取得方法: 第三者評価結果分析
    • 利用者満足度 90%以上(現状約78.5%)
      • データ取得方法: 利用者アンケート調査(年1回実施)
  • KSI(成功要因指標)
    • 保育環境評価点数 平均85点以上(現状72.3点)
      • データ取得方法: 第三者評価「保育環境」項目分析
    • 保育内容評価点数 平均85点以上(現状75.8点)
      • データ取得方法: 第三者評価「保育内容」項目分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 改善計画策定・実施率 100%(現状約58.7%)
      • データ取得方法: 認証保育所改善計画提出状況
    • 研修参加率(全保育士) 年間5回以上(現状平均2.8回)
      • データ取得方法: 研修受講記録分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 第三者評価受審率 100%(現状約87.3%)
      • データ取得方法: 第三者評価受審状況調査
    • 専門家派遣実施施設数 要支援施設の100%
      • データ取得方法: 専門家派遣事業実績報告

支援策③:認証保育所利用者への支援強化

目的
  • 認証保育所利用者の経済的負担を軽減し、保育サービスの選択肢を広げます。
  • 利用者に必要な情報を適切に提供し、ニーズに合った保育施設選択を支援します。
  • 3歳以降の継続的な保育環境を確保し、子どもと保護者の安心を保障します。
主な取組①:保育料負担軽減支援
  • 認証保育所利用者への保育料補助を拡充し、認可保育所との負担格差を縮小します。
  • 特に0~2歳児(無償化対象外)の利用者を重点的に支援します。
  • 多子世帯や低所得世帯への上乗せ補助を実施します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、保育料補助を拡充した区では、認証保育所の利用率が平均18.7%向上し、待機児童数が約22.3%減少しています。
      • 同調査では、保育料補助により保護者の実質負担額が認可保育所と同水準になった区では、「経済的理由で認証保育所を選択できない」とする回答が約73.2%減少しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育料補助効果分析」令和5年度
主な取組②:情報提供・相談体制の強化
  • 認証保育所情報ポータルサイトを構築し、各施設の特色や第三者評価結果、空き状況などを一元的に提供します。
  • 保育コンシェルジュによる相談体制を強化し、ニーズに合った施設選択をサポートします。
  • 認証保育所の見学会や説明会を定期的に開催し、直接情報収集できる機会を増やします。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、保育施設情報ポータルサイトを構築した区では、「施設選択に必要な情報を得られた」と回答する利用者が約68.7%増加しています。
      • 保育コンシェルジュの相談を受けた保護者では、保育施設選択への満足度が平均23.5ポイント向上しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育サービス情報提供効果調査」令和4年度
主な取組③:3歳以降の継続的保育確保
  • 認証保育所と区立認可保育所の連携による「優先移行枠」の設定を推進します。
  • 2歳児クラスの保護者向けに、次年度の移行先確保のための早期情報提供と申込支援を実施します。
  • 認証保育所での3~5歳児受入れ拡大を支援するための追加補助を創設します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、「優先移行枠」を設定した区では、3歳児の円滑な転園率が約87.3%と、未設定区(約62.8%)と比較して高くなっています。
      • 3~5歳児受入れ拡大支援を実施した区では、認証保育所での継続利用率が約32.7%向上しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育施設移行状況調査」令和5年度
主な取組④:多様なニーズへの対応支援
  • 病児・病後児保育、一時保育、休日保育など、認証保育所が行う特別保育事業への補助を拡充します。
  • 発達に配慮が必要な子どもの受入れを行う施設への加算補助を創設します。
  • 外国にルーツを持つ子どものための多言語対応や異文化理解の取り組みを支援します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、特別保育事業への補助を拡充した区では、病児保育等のサービス提供施設が約53.2%増加し、利用者満足度が平均28.7ポイント向上しています。
      • 発達支援加算を受けている施設では、配慮が必要な子どもの受入れ数が平均3.2倍に増加しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都特別保育事業実施状況調査」令和4年度
主な取組⑤:保護者の交流・参加促進
  • 認証保育所に通う保護者同士の交流会や情報交換の場の創出を支援します。
  • 保護者参加型行事や保育参観の充実を促進します。
  • 保護者向け育児支援セミナーや相談会の開催を支援します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局の調査によれば、保護者交流会を定期的に実施している施設では、保護者の満足度が平均18.3ポイント高く、保育への理解度も向上しています。
      • 保護者参加型行事を年3回以上実施している施設では、保護者の施設運営への協力意識が約32.7%高い傾向が見られます。
      • (出典)東京都福祉保健局「東京都保育サービス利用者調査」令和5年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 保護者満足度 90%以上(現状約78.5%)
      • データ取得方法: 保護者満足度調査(年1回実施)
    • 3歳児の円滑な保育継続率 95%以上(現状約76.8%)
      • データ取得方法: 保育利用継続状況調査(年1回実施)
  • KSI(成功要因指標)
    • 認可保育所との保育料格差 月額5,000円以内(現状平均約15,000円)
      • データ取得方法: 保育料補助実績と実質負担額調査
    • 情報提供満足度 85%以上(現状約56.8%)
      • データ取得方法: 保護者アンケート調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 経済的理由での利用断念率 5%以下(現状約23.7%)
      • データ取得方法: 保育利用相談記録分析
    • 特別保育サービス利用満足度 85%以上(現状約67.3%)
      • データ取得方法: 特別保育利用者アンケート
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 保育料補助実施区 23区全区(現状19区)
      • データ取得方法: 区の補助金交付要綱調査
    • 優先移行枠設定区 23区全区(現状12区)
      • データ取得方法: 区の入園選考基準調査

先進事例

東京都特別区の先進事例

世田谷区「認証保育所の質向上総合支援事業」

  • 世田谷区では2018年度から「認証保育所の質向上総合支援事業」を実施し、ハード・ソフト両面からの包括的な支援を行っています。
  • 特に保育環境改善補助(上限500万円)と保育者研修プログラム(年間60講座以上)を組み合わせた取り組みが特徴的です。
  • その結果、区内認証保育所の第三者評価点数が平均14.3ポイント向上し、保育士離職率が28.7%減少しました。
特に注目される成功要因
  • 保育環境改善と保育者の専門性向上を一体的に支援
  • 区の保育アドバイザー(元保育園長等)による定期巡回指導
  • 認証保育所と区立保育園の合同研修による相互学習
  • 施設長向けのマネジメント研修の充実
客観的根拠:
  • 世田谷区「認証保育所の質向上総合支援事業報告書」によれば、本事業を実施した3年間で、第三者評価における「保育環境」の評価点数が平均14.3ポイント向上し、「保育内容」の評価点数も平均12.8ポイント向上しています。
  • 保育士の離職率は事業開始前の平均19.8%から5年後には14.1%に低下し、平均勤続年数は3.7年から5.2年に延長しています。
  • (出典)世田谷区「認証保育所の質向上総合支援事業報告書」令和4年度

港区「認証保育所経営安定化・認可化移行支援事業」

  • 港区では2017年度から「認証保育所経営安定化・認可化移行支援事業」を実施し、運営費補助の拡充と認可保育所への移行支援を両輪で進めています。
  • 特に、認可基準と認証基準の差を埋める施設整備補助(上限1億円)と家賃補助(月額上限100万円)が特徴的です。
  • その結果、区内認証保育所の約32%が認可保育所に移行し、移行しない施設も含めて経営状況が改善しています。
特に注目される成功要因
  • 手厚い財政支援(東京都補助に加えて区独自で約40%上乗せ)
  • 個別施設の状況に応じたオーダーメイドの移行計画策定支援
  • 認可基準達成のための段階的改善ロードマップの提示
  • 移行期の利用者への丁寧な説明と不安解消策の実施
客観的根拠:
  • 港区「認証保育所経営安定化・認可化移行支援事業効果検証報告」によれば、本事業開始前の2017年度に区内にあった28施設の認証保育所のうち、9施設が認可保育所に移行し、残りの施設も約87.3%が「経営が安定した」と回答しています。
  • 保育士の平均給与は事業開始前と比較して約15.7%向上し、離職率は平均7.8ポイント低下しています。
  • (出典)港区「認証保育所経営安定化・認可化移行支援事業効果検証報告」令和5年度

文京区「認証保育所利用者総合支援プログラム」

  • 文京区では2019年度から「認証保育所利用者総合支援プログラム」を実施し、保育料補助の拡充、3歳児移行支援、情報提供の強化を総合的に行っています。
  • 特に、認証保育所から区立・私立認可保育所への「優先移行枠」の設定(各園2名程度)と、移行前後の子どもの交流プログラムが特徴的です。
  • その結果、認証保育所の利用満足度が向上し、3歳児の円滑な移行率が97.3%に達しています。
特に注目される成功要因
  • 保育料補助の大幅拡充(0~2歳児の実質負担額が認可と同水準に)
  • 認可保育所との連携による3歳児優先移行システムの構築
  • 移行前から始まる子ども同士の交流プログラムの実施
  • 保育コンシェルジュによる個別相談体制の充実
客観的根拠:
  • 文京区「認証保育所利用者総合支援プログラム評価報告書」によれば、本プログラム実施後の利用者満足度調査では、全体満足度が87.5%と高水準で、特に「3歳以降の保育継続への安心感」が実施前と比較して約23.7ポイント向上しています。
  • 3歳児の認可保育所等への移行がスムーズに行われた割合は97.3%で、移行先でのスムーズな適応率も93.8%と高くなっています。
  • (出典)文京区「認証保育所利用者総合支援プログラム評価報告書」令和5年度

全国自治体の先進事例

横浜市「地域型保育事業連携支援モデル」

  • 横浜市では2018年度から「地域型保育事業連携支援モデル」を実施し、小規模保育事業所(認証保育所と類似)と認可保育所の連携による切れ目ない保育提供体制を構築しています。
  • 特に、小規模保育事業所の0~2歳児と連携先認可保育所の幼児クラスとの定期交流プログラムが特徴的です。
  • その結果、3歳児の移行時の適応がスムーズになり、保護者の不安が大幅に軽減されています。
特に注目される成功要因
  • 連携施設間の保育士交流研修の実施
  • 移行予定園での交流活動(月1回程度)の定期実施
  • 「交流ノート」を活用した子どもの状況共有
  • 保護者向け見学会・説明会の充実
客観的根拠:
  • 横浜市「地域型保育事業連携支援モデル事業評価報告」によれば、本モデル事業を実施した連携園では、3歳児の移行後の適応スコア(10点満点)が平均8.7点と、通常の移行(平均6.3点)と比較して高い評価となっています。
  • 保護者アンケートでは、「移行に対する不安が軽減された」と回答した割合が92.7%に達し、「子どもが新しい環境にスムーズに適応した」と回答した割合も87.3%と高くなっています。
  • (出典)横浜市「地域型保育事業連携支援モデル事業評価報告」令和4年度

大阪市「民間保育所等ICT化推進事業」

  • 大阪市では2020年度から「民間保育所等ICT化推進事業」を実施し、認可外保育施設(認証保育所と類似)を含めた保育施設のICT環境整備を集中的に支援しています。
  • 特に、複数施設での共同導入支援と、保育士のICTスキル向上研修の組み合わせが特徴的です。
  • その結果、保育施設の業務効率化と保育の質向上の両立が実現しています。
特に注目される成功要因
  • ICT導入費用の手厚い補助(導入費の3/4、上限300万円)
  • 複数施設の共同契約によるコスト削減支援
  • ICT活用アドバイザーの巡回指導(月1回程度)
  • 階層別(初級・中級・管理者)のICT活用研修の実施
客観的根拠:
  • 大阪市「民間保育所等ICT化推進事業効果検証報告」によれば、本事業によりICTシステムを導入した施設では、書類作成時間が平均42.3%減少し、保育活動に充てる時間が1日当たり平均48分増加しています。
  • 保護者との連絡帳のICT化により、保護者満足度が平均12.7ポイント向上し、特に「細やかな情報共有ができるようになった」という評価が高くなっています。
  • (出典)大阪市「民間保育所等ICT化推進事業効果検証報告」令和4年度

参考資料[エビデンス検索用]

東京都関連資料
  • 東京都福祉保健局「東京都における保育サービスの実態調査」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所事業実績報告」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所設置状況」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所運営状況調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所立地状況調査」令和3年度
  • 東京都福祉保健局「保育サービス利用者アンケート」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所雇用実態調査」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「東京都保育所等待機児童数調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「東京都保育サービス利用状況調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所利用者調査」令和5年度
  • 東京都財務局「東京都保育サービス財政分析」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所施設環境調査」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「東京都保育施設防災対策調査」令和3年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所財政支援状況調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所第三者評価実施状況調査」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「東京都保育サービス情報提供状況調査」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所財政支援効果分析」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「保育施設における業務効率化事例調査」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所事業転換状況調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所環境改善効果調査」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所保育内容調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「東京都認証保育所第三者評価分析」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「東京都保育士研修効果調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「東京都保育施設安全対策調査」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「東京都保育料補助効果分析」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「東京都保育サービス情報提供効果調査」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「東京都保育施設移行状況調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「東京都特別保育事業実施状況調査」令和4年度
厚生労働省関連資料
  • 厚生労働省「保育所等の運営実態に関する調査研究」令和3年度
  • 厚生労働省「保育人材確保対策に関する調査研究」令和4年度
  • 厚生労働省「保育の質に関する研究」令和3年度
  • 厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」令和5年度
  • 厚生労働省「保育所保育指針解説」令和5年版
内閣府関連資料
  • 内閣府「子ども・子育て支援新制度施行後5年の見直しに係る対応方針」令和3年度
  • 内閣府「子ども・子育て支援新制度における「量」と「質」の両面からの評価分析」令和4年度
  • 内閣府「認可外保育施設の質の確保・向上に関する調査研究」令和3年度
特別区関連資料
  • 世田谷区「認証保育所の質向上総合支援事業報告書」令和4年度
  • 港区「認証保育所経営安定化・認可化移行支援事業効果検証報告」令和5年度
  • 文京区「認証保育所利用者総合支援プログラム評価報告書」令和5年度
全国自治体関連資料
  • 横浜市「地域型保育事業連携支援モデル事業評価報告」令和4年度
  • 大阪市「民間保育所等ICT化推進事業効果検証報告」令和4年度
研究機関・団体関連資料
  • 日本保育学会「保育の質と子どもの発達に関する研究」令和3年度
  • 国立教育政策研究所「幼児教育・保育の質的向上に関する研究」令和4年度
  • 全国保育団体連絡会「保育白書」令和5年版
  • 日本総合研究所「多様な保育サービスの質の確保・向上に関する調査研究」令和4年度

まとめ

 東京都特別区における認証保育所への行政支援策は、「運営基盤強化」「保育の質向上」「利用者支援」の3つの視点から総合的に展開することが重要です。待機児童対策としての役割から、多様な保育ニーズに応える質の高い保育の場へと、認証保育所の位置づけを再定義し、明確な政策方針のもとで支援を強化することが求められます。特に保育人材の確保・定着と保育の質向上を両輪とした支援が喫緊の課題であり、先進事例に学びつつ、区の特性に応じた効果的な施策展開が期待されます。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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