masashi0025
はじめに
※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。
概要(認可外保育施設を取り巻く環境)
- 自治体が認可外保育施設に関する支援策を検討する意義は、「多様な保育ニーズに応える社会基盤の維持・向上」と「すべての子どもに安全で質の高い保育を保障する責務の遂行」にあります。
- 「認可外保育施設」とは、児童福祉法に基づく都道府県知事等の認可を受けずに乳幼児の保育を行う施設の総称です。
- その形態は、企業の従業員向けに設置される事業所内保育施設、英語教育などの特色あるプログラムを提供する施設、夜間や宿泊に対応するベビーホテル、個人の自宅で行う家庭的な保育など、極めて多岐にわたります。
- これらの施設は、認可保育所では対応が困難な保護者の就労形態や緊急時の需要に応える柔軟なサービスを提供しており、単なる認可保育所の代替ではなく、東京都特別区における多様化した保育ニーズを支える不可欠な社会基盤として機能しています。
意義
こどもにとっての意義
多様な保育・教育機会の提供
- 認可保育所の画一的な保育内容とは異なり、英語教育、スポーツ、芸術など、特色ある教育プログラムを提供する施設が存在し、子どもの個性や可能性を伸ばす選択肢となり得ます。
- 少人数制の施設も多く、家庭的な環境できめ細やかな関わりが期待できる場合があります。
保護者にとっての意義
柔軟な保育サービスの利用
- 認可保育所では対応が難しい夜間や休日、宿泊を伴う保育、急な一時預かりなど、保護者の多様な就労形態や緊急時のニーズに対応します。
- 入園手続きが自治体の利用調整を経由せず、施設との直接契約であるため、空きがあれば迅速に入園できる可能性があります。これは、転入者や急な職場復帰が必要な保護者にとって重要な選択肢です。
地域社会にとっての意義
待機児童問題の受け皿
- 待機児童数が大幅に減少した現在でも、特定の地域や年齢(特に0~2歳児)における保育需要の受け皿として、また認可保育所の利用調整から漏れた世帯のセーフティネットとして機能しています。
企業の労働力確保への貢献
- 企業が設置する事業所内保育施設は、従業員の働きやすさを支え、企業の労働力確保に貢献することで、地域経済の安定にも寄与します。
行政にとっての意義
保育供給量の補完と多様性の確保
- 行政だけでは整備が追いつかない保育需要を補い、保育サービスの供給量全体を底上げします。
- 民間事業者の自由な発想による多様なサービスが生まれることで、行政主導では生まれにくい新たな保育モデルの創出を促し、地域全体の保育サービスの質的向上に繋がる可能性があります。
(参考)歴史・経過
1990年代
- 待機児童問題が深刻化し、認可保育所の不足を補う存在として認可外保育施設が増加しました。1994年の「エンゼルプラン」策定以降、保育需要が急増し、認可外施設がその受け皿として重要な役割を担いました。
2000年代初頭
- 2001年の児童福祉法改正により、認可外保育施設に対する規制が強化されました。事業開始の届出義務、利用者への情報提供義務、行政による指導監督の強化(改善勧告の導入等)が法制化され、質の確保に向けた第一歩となりました。
- この改正は、それまで監督が手薄であった施設への行政の関与を強め、安全基準への意識を高める契機となりました。
2010年代
- 待機児童問題が再び深刻化し、都市部を中心に認可外施設の需要が再度高まりました。
- 2015年に「子ども・子育て支援新制度」が開始され、小規模保育事業など、これまで認可外の枠組みにあった一部の施設が、新たな認可事業(地域型保育事業)として位置づけられました。
- 2016年に「企業主導型保育事業」が創設されました。認可外でありながら認可並みの助成を受けられるこの事業は、事業所内保育の設置を促進し、認可外施設の中に新たなカテゴリーを生み出しました。
2020年代
- 2019年10月から「幼児教育・保育の無償化」が開始されました。認可外保育施設も、自治体から「保育の必要性の認定」を受ければ、一定額まで利用料の補助が受けられるようになり、保護者負担が軽減されました。
- こども家庭庁は、2024年10月から「認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書」のない施設を無償化の対象外とする方針を決定しました。これにより、施設の質向上へのインセンティブが格段に強化されました。
認可外保育施設に関する現状データ
全国の施設数・利用者数の推移
施設数の動向
- 全国の認可保育所等の施設数は増加傾向にあるものの、その伸び率は鈍化しています。令和6年時点で39,805カ所と、前年比で216カ所の微増にとどまっています。
- 一方で、届出対象の認可外保育施設数は、令和5年3月末時点で19,955か所と、前年(20,058か所)から103か所減少しており、全体として緩やかな減少傾向にあります。
施設種別内訳(令和5年3月末時点)
- ベビーホテル:1,013か所(前年比38か所減)
- 事業所内保育施設:8,579か所(前年比104か所減)
- その他の認可外保育施設:6,519か所(前年比17か所増)
- 認可外の居宅訪問型保育事業:3,844事業者(前年比22事業者増)
利用者数の動向
- 令和4年3月末時点で、全国の認可外保育施設の就学前入所児童数は232,995人でした。 17
- このうち、待機児童問題が最も深刻な0~2歳児が137,257人と、全体の約59%を占めており、低年齢児保育における重要な役割を担っていることが分かります。 17
待機児童数の減少と保育ニーズの変化
- 全国の待機児童数は令和6年4月1日時点で2,567人と過去最少を更新し、平成29年のピーク時(26,081人)から7年連続で減少し、10分の1以下となりました。
- この待機児童数の劇的な減少は、保育の受け皿整備が進んだことを明確に示しています。しかし、同時に25~44歳の女性就業率が令和5年に80.8%へ上昇するなど、保育ニーズ自体は依然として高い水準にあります。このことは、行政の政策課題が、単なる「量の確保」から、地域ごとの需要のミスマッチ解消や、多様なニーズに応える「保育の質の確保・向上」へと、その重心を移しつつあることを強く示唆しています。待機児童問題の緩和は、これまで後回しにされがちだった認可外保育施設の質の問題に本格的に取り組むための好機とも言えます。 9
東京都特別区の状況
保育料の状況
- 認可外保育施設の保育料は施設が自由に設定でき、全国平均で月額4万円~6万円程度が相場とされています。
- 東京都特別区では、この高額な保護者負担を軽減するため、各区が独自の補助制度を設けています。
補助金制度の多様性
- 特別区の補助金は、所得制限の有無、第2子以降の加算、補助上限額などが区によって大きく異なり、各区の財政力や政策方針が色濃く反映されています。
- 例えば、北区では0~2歳児の課税世帯で最大月額67,000円の補助がある一方、府中市では所得に応じて20,000円~57,000円、新宿区では令和7年9月以降、第1子に対し月額最大4万円の助成を行うなど、居住区によって受けられる支援に大きな差が生じています。
「証明書」の重要性
- 中央区、北区、府中市、新宿区など多くの区で、補助金の対象施設を「認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書」の交付を受けている施設に限定、または限定する方向で検討が進んでいます。
- これは、財政支援と質の確保を連動させるという明確な政策的意図の表れであり、今後の認可外保育施設支援の大きな潮流となっています。
保育の質に関するデータ
有資格者比率の基準
- 認可保育所では原則として全ての職員が保育士資格を持つ必要があるのに対し、認可外保育施設(乳幼児6人以上)では、保育に従事する者のうち3分の1以上が保育士または看護師であればよい、とされています。
- この基準の違いが、保育の質のばらつきを生む構造的な一因と考えられます。
指導監督基準の遵守状況
- 令和元年度の厚生労働省の調査では、立入調査を実施した施設のうち、指導監督基準を全て満たしていた施設は59.8%でした。 27
- これは、改善が必要な施設が約4割存在することを示しており、質の確保が依然として大きな課題であることを客観的に示しています。
事故事例
- こども家庭庁の令和5年事故報告集計によると、報告された死亡事故9件のうち、3件が「その他の認可外保育施設」で発生しており、その全てが最も注意を要する0歳児でした。
- 負傷等の事故も多数報告されており、安全確保が喫緊の課題であることを裏付けています。
課題
こどもの課題
保育の質と安全性のばらつき
- 認可保育所に比べて職員配置基準や施設面積基準が緩やかであるため、保育の質が施設によって大きく異なります。特に、有資格者の配置が3分の1でよいという基準は、専門的な知識に基づく子どもへの関わりが不十分になるリスクをはらんでいます。
- 客観的根拠:
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 子どもの安全が脅かされ、健やかな発達に必要な安定した愛着形成や発達支援の機会が損なわれる恐れがあります。
不適切な保育のリスク
- 行政の指導監督が十分に行き届かない施設では、午睡時の安全確認の不徹底(SIDSリスク)、不衛生な環境、不適切な関わりなど、子どもの心身の健康を損なう事態が発生する可能性があります。
- 客観的根拠:
- 過去の指導監督事例では、「おむつの取り換えがされていない」「職員が定期健康診断を未受診」といった健康管理上の問題や、「常態的に長時間・長距離の園外保育を実施し、午睡時間がない」など、子どもの発達段階を考慮しない保育内容が指摘されています。 31
- (出典)こども家庭庁「認可外保育施設に対する指導監督の実施における標準化に向けた調査研究」令和4年度 31
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 子どもの基本的な生活習慣の確立が妨げられ、心身の発達に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。
保護者の課題
経済的負担の大きさ
- 認可保育所の保育料が世帯所得に応じた応能負担であるのに対し、認可外保育施設の保育料は施設が設定する応益負担であり、一般的に高額です。
- 客観的根拠:
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 保育料の負担が家計を圧迫し、保護者の就労継続を困難にしたり、第二子以降の出産をためらわせる一因となります。
情報の不足と選択の難しさ
- 認可外保育施設は運営方針や保育内容、料金体系が多様である一方、情報公開が十分でない施設も存在します。保護者は限られた情報の中で、質の高い施設を自ら見極めなければならないという負担を負っています。
- 客観的根拠:
- 児童福祉法では利用者への情報提供が義務付けられていますが、行政の指導監督結果(改善指導の内容等)が全ての利用者にとって分かりやすく公表されているとは限らず、保護者が施設の質を客観的に判断するための材料が不足しています。 11
- (出典)厚生労働省「児童福祉法の一部を改正する法律等の公布について」 11
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 保護者が意図せず質の低い施設を選択してしまい、子どもが不利益を被るリスクが高まります。
地域社会の課題
保育の質の二極化
- 手厚い公的補助を受ける認可保育所と、主に利用者負担で運営される認可外保育施設との間で、職員の待遇や研修機会、施設設備などに格差が生じ、保育の質が二極化する懸念があります。
- 客観的根拠:
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 居住地域や経済状況によって受けられる保育の質に格差が生じ、子どもの育ちにおける機会の不平等を助長します。
行政の課題
指導監督の実効性確保の難しさ
- 施設数が多く、運営形態も多様な認可外保育施設すべてに対し、行政が年1回の立入調査を徹底し、実効性のある指導監督を行うことには人的・時間的な制約があります。
- 客観的根拠:
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 行政のチェック機能が十分に働かず、不適切な運営を行う施設が見過ごされ、重大な事故やトラブルに繋がるリスクが高まります。
指導と施設存続のジレンマ
- 行政が基準を満たさない施設に対して事業停止命令などの厳しい措置を取ることは、法的には可能です。しかし、それを実行すると、その施設を利用している子どもや保護者が行き場を失い、結果として地域の保育供給量を減らしてしまうことになります。このため、行政は質の低い施設であっても、その存在を黙認せざるを得ないという構造的なジレンマに陥っています。
- 客観的根拠:
- 自治体への調査では、改善勧告以上の措置に躊躇した事例が報告されています。その理由として「勧告以上の措置を取った場合、利用者が不利益を被る可能性があるため」という回答があり、特に人員配置基準の不適合など、改善が容易でない課題に対してこのジレンマが生じやすいことが示されています。 31
- (出典)こども家庭庁「認可外保育施設に対する指導監督の実施における標準化に向けた調査研究」令和4年度 31
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 質の低い施設が温存され、結果的に子どもの安全が継続的にリスクに晒されるという本末転倒な状況を招きます。
行政の支援策と優先度の検討
優先順位の考え方
- 各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。
- **即効性・波及効果:**施策の実施から効果発現までの期間が短く、複数の課題解決や多くの住民への便益につながる施策を高く評価します。
- **実現可能性:**現在の法制度、予算、人員体制の中で実現可能な施策を優先します。
- **費用対効果:**投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して得られる効果が大きい施策を優先します。
- **公平性・持続可能性:**特定の地域・年齢層だけでなく、幅広い住民に便益が及ぶ施策を優先します。
- **客観的根拠の有無:**政府資料や学術研究等のエビデンスに基づく効果が実証されている施策を優先します。
支援策の全体像と優先順位
- 認可外保育施設への支援は、「①質の安全網の構築」「②保護者負担の公平化」「③持続可能な運営基盤の確立」の三層構造で捉え、総合的に推進する必要があります。
- 最優先(Priority 1):支援策① 保育の質と安全の抜本的向上支援
- 子どもの生命と安全を守ることは行政の最も根源的な責務であり、他の全ての施策の土台となるため、最優先で取り組みます。特に「指導監督基準適合証明書」を核としたインセンティブ設計は、質の向上を促す最も強力な政策ツールです。
- 次優先(Priority 2):支援策② 保護者負担の公平な軽減と多様なニーズへの対応
- 質の確保と並行し、保護者が経済的理由で保育の選択を諦めることがないよう、公平な負担軽減策を講じます。これは子育て世帯への直接的な支援となり、即効性が高い施策です。
- 中長期的視点(Priority 3):支援策③ 持続可能な運営基盤の強化と認可移行の促進
- 質の高い保育を継続的に提供できるよう、施設の経営面を支援します。また、条件の整った施設がより安定した認可施設へ移行する道を拓くことは、地域全体の保育の質を底上げする上で重要です。
各支援策の詳細
支援策①:保育の質と安全の抜本的向上支援
目的
- 全ての認可外保育施設において、子どもが安全かつ安心して過ごせる環境を保障すること。
- 「指導監督基準を満たす旨の証明書」の取得を強力に推進し、施設間の質のばらつきを是正すること。
- 客観的根拠:
- 国の無償化制度において、令和6年10月から「証明書」のない施設が対象外となる方針が示されており、この証明書を質の指標として活用することは国の政策方向とも合致しています。
- (出典)沖縄県「認可外保育施設ご利用の保護者の皆様へ」 13
主な取組①:証明書取得と連動した階層的補助金制度の導入
- 補助金制度を再設計し、「指導監督基準を満たす旨の証明書」の有無によって補助単価に明確な差を設けます。
- 「証明書」取得施設には、運営費補助や設備投資補助を手厚く配分します。
- 未取得施設に対しては、補助を基礎的なものに限定しつつ、証明書取得に向けたコンサルティングや改善計画策定支援をセットで提供することで、単なる切り捨てではなく質の向上を促します。
- 客観的根拠:
主な取組②:安全対策強化のための設備導入支援
- SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクが高い0歳児の死亡事故が報告されていることを踏まえ、午睡チェック用の呼吸センサーや監視カメラ等のICT機器導入費用を重点的に補助します。 29
- 施設の事故事例で多い、室内外での転倒や衝突による骨折事故を防ぐため、床材のクッション化、遊具の安全点検・改修、コーナーガード設置などの費用を補助対象とします。
- 客観的根拠:
主な取組③:保育従事者の専門性向上支援
- 有資格者比率が低いという構造的課題に対し、施設内で働きながら保育士資格取得を目指す職員への支援(受講料補助、代替職員配置費用の補助)を拡充します。
- 全ての保育従事者を対象とした、救命救急講習、SIDS予防、アレルギー対応、虐待防止に関する研修の受講を義務化し、受講費用を全額補助します。
- 客観的根拠:
- 国は認可外施設の認可移行を支援する事業の中で、保育士資格取得支援をメニューに含めており、人材育成の重要性を認識しています。
- (出典)文部科学省・厚生労働省「認可外保育施設の認可化移行支援事業」 38
主な取組④:「質の向上チャレンジャー施設」伴走支援プログラムの創設
- 行政の「指導と施設存続のジレンマ」を解消するため、基準未達だが改善意欲のある施設を「質の向上チャレンジャー施設」として認定します。
- 認定施設には、行政職員や外部専門家(元保育所長、社会保険労務士等)がチームで定期的に訪問し、経営改善や労務管理、保育内容の向上について伴走支援を行います。
- 一時的に基準を満たすための代替職員派遣や、小規模な改修費用の緊急補助など、柔軟な支援を提供します。
- 客観的根拠:
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 認可外保育施設における重大事故(死亡・重傷)発生件数 ゼロ
- **データ取得方法:**こども家庭庁「教育・保育施設等における事故報告集計」の自区内データ、区への直接報告
- KSI(成功要因指標)
- 区内認可外保育施設の「指導監督基準適合証明書」取得率 95%以上
- **データ取得方法:**区の保育主管課による証明書交付状況の管理・集計
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 立入調査における指摘事項(文書・口頭指導)件数 前年度比30%減
- **データ取得方法:**区の指導監査記録の集計・分析
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- 安全対策設備(ICT機器等)導入補助の実施施設数 年間20件
- **データ取得方法:**補助金交付実績の集計
- 資格取得支援制度の利用者数 年間30人
- **データ取得方法:**制度利用申請・実績の集計
支援策②:保護者負担の公平な軽減と多様なニーズへの対応
目的
- 認可・認可外を問わず、保育を必要とする全ての世帯が、経済的な障壁なく必要なサービスを選択できる環境を整備すること。
- 特別区間で異なる補助制度の格差を是正し、公平性を確保すること。
- 客観的根拠:
主な取組①:特別区統一基準による保育料補助制度の導入
- 特別区長会等を通じて、補助金の対象者要件(所得制限等)、補助上限額、多子世帯への加算について、統一的な基準を設けることを提案・協議します。
- 利用する施設が「証明書」を取得していることを補助の必須要件とし、質の確保と負担軽減を両立させます。
- 補助額は、認可保育所を利用した場合の標準的な保育料との差額を基本としつつ、公平性を担保した上限額(例:全区一律で月額67,000円など)を設定します。
- 客観的根拠:
主な取組②:多様な保育サービス利用への補助対象拡大
- 病児・病後児保育や、休日・夜間保育、産後ケア等を目的としたベビーシッターの利用についても、補助対象として積極的に位置づけます。
- 利用時間単位で補助額を算定するクーポン方式などを導入し、保護者が月極契約だけでなく、必要な時に必要な時間だけサービスを利用しやすくします。
- 客観的根拠:
主な取組③:情報提供・相談支援体制の強化
- 区のウェブサイトに、管内の全認可外保育施設(証明書取得施設)の基本情報、料金体系、特色、行政の直近の立入調査結果の概要を一覧できるポータルサイトを構築します。
- 保護者が施設選択に悩んだ際に、中立的な立場で相談に応じる「保育コンシェルジュ」を配置し、各家庭のニーズに合った施設選びをサポートします。
- 客観的根拠:
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 認可外保育施設を利用する区民のサービス満足度 80%以上
- **データ取得方法:**利用者アンケート調査(年1回実施)
- KSI(成功要因指標)
- 認可保育所と認可外保育施設の利用者世帯における、保育料自己負担額の平均格差 20%以内
- **データ取得方法:**補助金データと認可保育料徴収データに基づくシミュレーション分析
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 補助金制度利用者のうち「経済的負担が軽減された」と回答した割合 90%以上
- **データ取得方法:**利用者アンケート調査
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- 保育料補助金の申請・交付件数 年間1,000件
- **データ取得方法:**補助金交付システムのデータ集計
- 保育情報ポータルサイトの年間アクセス数 50,000件
- **データ取得方法:**ウェブサイトのアクセス解析
支援策③:持続可能な運営基盤の強化と認可移行の促進
目的
- 質の高い保育を提供する認可外保育施設が、安定した経営基盤を確立し、持続的に運営できるよう支援すること。
- 意欲と条件の整った施設が、より安定した認可保育所等へ円滑に移行できる道筋を整備すること。
主な取組①:経営・労務管理に関するコンサルティング支援
- 社会保険労務士や中小企業診断士などの専門家を区が委託契約し、各施設に無料で派遣する制度を創設します。
- 専門家が、職員の雇用契約、就業規則の整備、助成金の活用、財務管理など、経営全般に関するアドバイスを行います。
- 客観的根拠:
- 多くの認可外施設は小規模事業主であり、保育以外の専門知識(経営、労務)が不足している場合が多く、安定経営の障壁となっています。専門家による支援は、運営基盤の強化に直結します。
主な取組②:ICT化推進による業務効率化支援
- 保育士の事務負担を軽減し、子どもと向き合う時間を確保するため、保育計画・記録、保護者連絡、職員の勤怠管理などを一元的に行えるICTシステムの導入費用を補助します。
- 客観的根拠:
主な取組③:認可移行ワンストップ相談窓口の設置
- 認可保育所等への移行を希望する施設に対し、手続き、施設整備基準、資金計画など、あらゆる相談に一元的に対応するワンストップ窓口を設置します。
- 建築士や金融機関とも連携し、具体的な改修計画や資金調達についてもサポートします。
- 客観的根拠:
- 国は、認可外保育施設が認可基準を満たすための改修費や移転費を補助する「認可化移行支援事業」を実施しています。この国の制度と連携し、自治体としてきめ細かな相談支援を行うことで、制度活用を促進できます。
- (出典)文部科学省・厚生労働省「認可外保育施設の認可化移行支援事業」 38
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 区内の認可外保育施設から認可施設への移行件数 年間3件
- **データ取得方法:**保育施設所管課による移行実績の追跡調査
- KSI(成功要因指標)
- 支援を受けた施設の職員離職率 前年度比10%改善
- **データ取得方法:**各施設へのヒアリング調査、雇用保険データ等の活用
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 経営コンサルティングを受けた施設のうち、経営状況が「改善した」と回答した割合 80%以上
- **データ取得方法:**支援後のフォローアップアンケート
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- 経営コンサルティング派遣実績 年間15施設
- **データ取得方法:**事業実績の集計
- ICTシステム導入補助件数 年間10施設
- **データ取得方法:**補助金交付実績の集計
先進事例
東京都特別区の先進事例
新宿区「多角的な保育料助成と要件設定」
- 新宿区は、認証保育所・認可外保育施設の利用者に対し、所得階層や子どもの人数に応じてきめ細かく設定された保育料助成を行っています。令和7年9月からは第1子への助成額を拡充するなど、制度を柔軟に見直しています。
- 成功要因は、助成の条件として「認可保育所等の利用調整の対象であること」や「空きのある区内認可園等に1園以上申し込み続けていること」を課すことで、認可保育所への入所を希望する層への支援に重点を置きつつ、認可外施設を積極的に選択する層との公平性を図っている点にあります。
- この戦略的な制度設計により、待機児童対策と保護者負担軽減を両立させています。
- 客観的根拠:
北区「手厚い補助上限額と制度の分かりやすさ」
- 北区は、0~2歳児の課税世帯に対して最大月額67,000円という、特別区の中でも特に手厚い補助上限額を設定しています。
- 成功要因は、制度案内の中で、利用者が自身がどの補助制度の対象になるかを判断できるフローチャートを提示し、複雑な制度を分かりやすく伝える工夫をしている点です。また、令和7年度から企業主導型保育施設も補助対象に加えるなど、利用者のニーズに合わせて制度を更新しています。
- 高いレベルの経済的支援と利用者本位の情報提供により、保護者の満足度向上に繋がっています。
- 客観的根拠:
中央区「証明書を核とした段階的な補助制度」
- 中央区は、補助対象を「国が定める基準(認可外保育施設指導監督基準)を満たす旨の証明書の交付を受けている認可外保育施設」に明確に限定しています。
- 成功要因は、令和7年9月から第1子も補助対象に加えるなど段階的に制度を拡充する一方、「質の確保」という一貫した方針を崩していない点です。補助金というインセンティブを用いて、施設側に質の向上を促す明確なメッセージとなっています。
- 区全体の保育の質の底上げと、保護者が安心して施設を選べる環境整備に貢献しています。
- 客観的根拠:
全国自治体の先進事例
横浜市「横浜保育室制度による質の標準化」
- 横浜市は、国の制度に先駆けて「横浜保育室」という独自の認定制度を設け、認可外保育施設の質の確保と向上に取り組んできました。市が独自に定めた基準(職員配置、施設面積、保育料上限等)を満たした施設を「横浜保育室」として認定し、重点的に運営費を補助します。
- 成功要因は、行政が質の「お墨付き」を与えることで、保護者は安心して施設を選ぶことができる点です。また、施設側は安定した運営基盤を得られるため、質の高い保育を持続的に提供できます。これは、行政による「指導・監督」と「支援」を一体化させた優れたモデルです。
- この取り組みにより、認可外でありながら認可に近い水準の質を確保し、多様な保育ニーズに応える重要な社会資源として定着させています。
- 客観的根拠:
福岡市「多様な保育ニーズに応えるベビーシッター助成」
- 福岡市は、産後の家事・育児支援を目的とする「産後ヘルパー派遣事業」において、提携事業者としてベビーシッターサービス会社を認定し、利用料の一部を助成しています。
- 成功要因は、従来の「施設型」の保育サービスだけでなく、保護者の自宅に赴く「訪問型」のサービスも公的支援の対象とすることで、産後で外出が困難な家庭や、より個別的な支援を必要とする家庭のニーズにきめ細かく応えている点です。
- この取り組みは、保育の概念をより広く捉え、保護者の選択肢を広げ、特に支援が必要な産褥期の母親の負担を効果的に軽減する先進的な事例です。
- 客観的根拠:
参考資料[エビデンス検索用]
こども家庭庁
厚生労働省
東京都特別区 各区ウェブサイト(令和7年度情報)
その他
まとめ
東京都特別区において、認可外保育施設は、保護者の多様なニーズに応える柔軟なサービスを提供する、不可欠な社会資源です。しかしその一方で、施設の質や安全性、保護者負担の大きさといった課題も抱えています。待機児童数が減少し、保育政策が「量の確保」から「質の向上」へと転換期を迎える今、行政の支援策も新たな段階に進むべきです。具体的には、子どもの安全を最優先に、指導監督基準適合証明書を核とした支援による質の標準化を図るとともに、区ごとの格差を是正した公平な保護者負担軽減策を講じる必要があります。さらに、施設が持続可能な運営を行い、より質の高い認可施設へと移行する道筋を支援することで、全ての子供たちが安全で質の高い保育を受けられる社会の実現を目指すべきです。
本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
引き続き、関連データの動向も見ながら改善・更新して参ります。
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行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。