2025.06.14 80 スキルアップ 行政用語集 masashi0025 ※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。 あいういえお アウトカム(あうとかむ) 意味 行政の事業や政策によって生み出された、住民や社会にもたらされる具体的な成果や効果、変化のこと。「事業の実施により、どのような状態が実現したか」を示す指標。 歴史・経過 1990年代以降の行政評価の導入とともに重視されるようになった概念。事業の直接的な産物である「アウトプット(例:道路の建設距離)」と区別し、政策の真の目的(例:交通渋滞の緩和、地域経済の活性化)が達成されたかを測るために用いられる。 アウトソーシング(あうとそーしんぐ) 意味 「外部委託」のこと。行政サービスや内部事務の一部を、専門的なノウハウや効率性を持つ民間企業などに委託すること。民間委託とも言う。 歴史・経過 1980年代の臨時行政調査会(臨調)答申以降、行財政改革の主要な手法として注目された。コスト削減や専門性の活用、行政組織のスリム化を目的として、窓口業務、情報システムの管理、施設の管理運営など幅広い分野で導入が進んでいる。 アカウンタビリティ(あかうんたびりてぃ) 意味 「説明責任」と訳される。行政機関が、自らの活動や決定、その結果について、議会や住民に対して十分に説明する責任のこと。 歴史・経過 1990年代後半からの地方分権改革や情報公開制度の整備に伴い、行政運営の透明性と公正性を確保するための基本原則として定着した。予算や決算、政策評価の結果などを分かりやすく公表することが求められる。 アクションプラン(あくしょんぷらん) 意味 行政の基本計画や長期ビジョンで示された目標を達成するための、具体的な行動計画。実施項目、担当部署、スケジュール、数値目標などを明確に定めたもの。 歴史・経過 行政評価や進行管理(PDCAサイクル)の考え方が普及する中で、計画の実効性を高める手法として多くの自治体で策定されている。計画の進捗状況を定期的に点検・公表し、見直しを行うことが一般的。 足切り(あしきり) 意味 予算編成過程において、財政担当部局が各部局からの予算要求(概算要求)に対し、一律の削減率を機械的に適用して査定すること。シーリング(歳出要求の上限枠)の一種。 歴史・経過 厳しい財政状況下で歳出総額を抑制するために用いられる手法。ただし、事業の優先順位や必要性を十分に吟味しない一律削減は、非効率な予算配分につながるという批判もある。 アジェンダ(あじぇんだ) 意味 会議における「協議事項」や「議題」のこと。転じて、政府や自治体が取り組むべき「政策課題」や「行動計画」を指す言葉としても用いられる。 歴史・経過 1992年の地球サミットで採択された「アジェンダ21」以降、行政分野でも広く使われるようになった。政策形成過程において、どの課題を優先的に議論のテーブルに乗せるかという「アジェンダ設定」が重要となる。 アセスメント(あせすめんと) 意味 「評価」「査定」のこと。行政分野では、特に大規模な事業などを実施する前に、その影響を事前に調査・予測・評価することを指す。環境アセスメント(環境影響評価)が代表的。 歴史・経過 1997年(平成9年)に環境影響評価法が制定され、国が実施する大規模事業等で法的な手続きが義務化された。地方公共団体でも独自の条例を制定し、環境保全や住民合意形成のための重要な手続きとして位置づけている。 アセットマネジメント(あせっとまねじめんと) 意味 自治体が保有する道路、橋りょう、上下水道、公共建築物などの資産(アセット)を、中長期的な視点で総合的に企画、管理、活用する経営手法。公共施設等総合管理計画がこれにあたる。 歴史・経過 高度経済成長期に集中整備されたインフラの一斉老朽化が深刻な課題となる中、2010年代から国が各自治体に計画策定を要請。従来の対症療法的な修繕から、計画的な予防保全へと転換し、財政負担の平準化と施設の長寿命化を目指す。 アドバイザリーボード(あどばいざりーぼーど) 意味 「諮問委員会」や「懇談会」など、首長や行政機関の諮問に応じて、専門的な見地から助言や提言を行う組織の総称。法的な設置根拠を持つ審議会とは区別されることが多い。 歴史・経過 政策の高度化・専門化に対応するため、学識経験者や民間専門家などの知見を機動的に行政運営に活かす目的で設置される。政策形成の初期段階での意見聴取などに活用される。 アドボカシー(あどぼかしー) 意味 特定の政策や社会問題の解決を目指し、政府や社会に対して働きかけを行う「政策提言」や「権利擁護」の活動。NPOや市民団体が主体となることが多い。 歴史・経過 市民社会の成熟とともに、行政が一方的にサービスを提供するだけでなく、市民や団体と協働して課題解決にあたる「協治(ガバナンス)」の考え方が広まる中で、その重要性が認識されるようになった。 アーカイブズ(あーかいぶず) 意味 歴史資料として重要な価値を持つ公文書や記録類を、組織的に収集・整理・保存し、一般の利用に供する施設や機能、またはその資料群自体のこと。公文書館がこれにあたる。 歴史・経過 2009年(平成21年)に公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)が制定され、行政文書の適正な管理と歴史公文書等の適切な保存・利用が国の責務とされた。地方公共団体においても、条例を制定し、地域の歴史や文化を伝える貴重な資産としてアーカイブズの整備が進められている。 相手方負担金(あいてがたふたんきん) 意味 地方公共団体が行う特定の事業によって、特に利益を受ける者(受益者)から、その受益の限度において経費の一部を負担してもらう収入。受益者負担金の一種。 歴史・経過 地方財政法第6条に規定されている。都市計画事業における負担金や、道路事業における沿線住民からの負担金などが該当する。公平性の観点から、事業による利益と負担の関係を明確にすることが求められる。 青色申告(あおいろしんこく) 意味 所得税や法人税の確定申告の方法の一つ。正規の簿記の原則に従って記帳し、その帳簿に基づいて所得を申告する制度。様々な税制上の特典が受けられる。 歴史・経過 1949年(昭和24年)のシャウプ勧告に基づき、納税者の記帳習慣を確立し、適正な申告納税制度を推進するために導入された。青色申告者の所得は、地方税である個人住民税や事業税の算定基礎となるため、地方財政にも深く関わる。 安全・安心(あんぜん・あんしん) 意味 災害、犯罪、事故などから住民の生命、身体、財産を守ること。行政の最も基本的な役割の一つであり、防災、防犯、交通安全、食品安全、危機管理など幅広い分野にわたる政策目標。 歴史・経過 1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災や、その後の様々な自然災害、凶悪犯罪の発生などを契機に、行政課題としての重要性が飛躍的に高まった。多くの自治体で「安全・安心まちづくり条例」などが制定されている。 アンダーパス(あんだーぱす) 意味 道路や鉄道などの下を通過するために、掘り下げて作られた道路。立体交差の一種で、踏切による交通渋滞や事故を解消する目的で整備される。 歴史・経過 都市化の進展と交通量の増大に伴い、都市計画事業や道路整備事業の一環として建設が進められてきた。特に「開かずの踏切」対策として重要な役割を担う。冠水対策が課題となることが多い。 委任事務(いにんじむ) 意味 法律や政令により、国や都道府県が、その事務の一部を市区町村などの下級の地方公共団体に委ねて処理させる事務。指揮監督権は委任した団体が持つ。 歴史・経過 2000年(平成12年)の地方分権一括法施行以前は、国が地方に事務を執行させる「機関委任事務」が存在したが、国と地方の対等な関係を構築するため廃止された。現在の地方自治法では、自治事務と法定受託事務に大別される。 委託費(いたくひ) 意味 地方公共団体が、法令や契約に基づき、事務や事業を他の団体や民間に委託して行わせるために支出する経費。予算の性質別分類における「物件費」の一つ。 歴史・経過 行財政改革の流れの中で、民間の専門性や効率性を活用する「アウトソーシング」が推進され、委託費は増加傾向にある。情報システム開発、調査研究、施設の管理運営、窓口業務など、その対象は多岐にわたる。 一時借入金(いちじかりいれきん) 意味 一会計年度内において、歳計現金が一時的に不足した場合に、その支払資金を補うために借り入れる資金。その年度の歳入をもって出納閉鎖期日(翌年度5月31日)までに償還しなければならない。 歴史・経過 地方自治法第235条の3に規定されている。税収が入る時期と経費を支払う時期のズレ(年度内の資金収支の不均衡)を調整するための短期的な資金繰りの手段であり、地方債とは区別される。 一部事務組合(いちぶじむくみあい) 意味 複数の市町村や特別区が、行政サービスの一部(例:ごみ処理、消防、火葬場の運営など)を共同で処理するために設置する特別地方公共団体。 歴史・経過 地方自治法に基づき設置される。単独の自治体では効率的な運営が困難な事務や、広域的な対応が必要な事務について、スケールメリットを活かして行政の効率化と住民サービスの向上を図る目的で組織される。 一括交付金(いっかつこうふきん) 意味 国から地方公共団体に交付される補助金の一種で、従来の個別補助金と異なり、使途の自由度が高く、自治体が地域の実情に応じて柔軟に事業を選択できるもの。 歴史・経過 地方分権・地域主権改革の流れの中で、国の関与を減らし、地方の自主性・自立性を高める目的で創設された。沖縄振興一括交付金や、かつて存在した地域自主戦略交付金などが代表例。 一般会計(いっぱんかいけい) 意味 地方公共団体の行政運営の基本的な経費を網羅して経理する中心的な会計。地方税、地方交付税などを主たる財源とし、福祉、教育、土木、衛生など、行政の根幹をなす事業の歳入歳出を扱う。 歴史・経過 地方自治法により、自治体の会計は一般会計と特別会計に区分される。すべての自治体で必ず設置され、予算・決算の中心となる。その規模や内容は、自治体の財政状況や政策の方向性を最もよく表す。 一般競争入札(いっぱんきょうそうにゅうさつ) 意味 公共事業の契約や物品購入などにおいて、公告によって参加希望者を広く募り、最も有利な条件(通常は最も低い価格)を提示した者と契約を締結する方式。 歴史・経過 会計法および地方自治法で、契約の原則的な方式として定められている。機会均等、公正性、透明性の確保を目的とするが、品質の低下やダンピング(不当廉売)を招く懸念から、総合評価方式の導入なども進んでいる。 一般財源(いっぱんざいげん) 意味 地方公共団体が、その使途を特定されず、どのような経費にも自主的に使用できる財源。地方税、地方譲与税、地方交付税、地方特例交付金などがこれにあたる。 歴史・経過 使途が特定されている「特定財源」(国庫支出金、地方債など)と対比される。一般財源の比率が高いほど、自治体の財政運営の自由度が高まり、地域の実情に応じた独自の政策を展開しやすくなる。 移譲事務(いじょうじむ) 意味 法律や条例の改正により、これまで国や都道府県が担っていた事務・権限が、市町村などのより住民に近い地方公共団体に移されること。または、その移された事務のこと。 歴史・経過 地方分権改革の重要な柱の一つ。「補完性の原則(住民に身近な行政は、まず身近な自治体が担う)」に基づき、パスポートの発給事務や一部の国道・県道の管理権限などが市町村へ移譲されてきた。 意見公募手続(いけんこうぼてつづき) 意味 行政機関が条例や規則、計画などを策定する際に、その案を事前に公表し、広く住民や関係者から意見を募集する手続き。パブリック・コメント制度とも呼ばれる。 歴史・経過 1993年(平成5年)の行政手続法制定(国の機関が対象)を契機に、地方公共団体でも条例によって制度化が進んだ。行政運営の公正性の確保と透明性の向上、住民参加の促進を目的とする。 イシュー(いしゅー) 意味 「論点」「争点」「課題」のこと。行政においては、解決すべき政策課題や、議論の中心となるべき重要な問題を指す。 歴史・経過 政策形成において、数ある問題の中から本質的なイシューを見極め、それを政策課題として設定する能力が重要とされる。限られた行政資源を効果的に投入するための第一歩となる。 イニシアチブ(いにしあてぃぶ) 意味 「主導権」「率先」「構想」などの意味。行政分野では、住民が条例の制定・改廃や事務監査を直接請求する「住民発案(住民イニシアチブ)」制度を指すことが多い。 歴史・経過 住民イニシアチブは、地方自治法に定められた直接請求権の一つ。有権者の50分の1以上の署名を集めることで、首長に対して条例の制定などを請求できる。議会中心主義を補完し、住民の意思を直接的に自治体運営に反映させる仕組み。 イノベーション(いのべーしょん) 意味 「技術革新」や「革新」。既存の仕組みや方法に新たな考え方や技術を取り入れ、新しい価値を創造し、社会的な変革をもたらすこと。 歴史・経過 近年、行政分野においても、デジタル技術を活用した行政サービスの改革(DX)、新たな官民連携手法の導入、EBPMの推進など、イノベーションの創出が重要な政策課題となっている。 インクルーシブ(いんくるーしぶ) 意味 「包摂的な」「すべてを包み込む」という意味。行政分野では、年齢、性別、国籍、障害の有無、経済状況などにかかわらず、誰もが社会の構成員として尊重され、支え合い、参加できる「社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)」の理念を指す。 歴史・経過 貧困や社会的孤立が問題となる中で、福祉、教育、まちづくりなど、あらゆる政策分野でインクルーシブな視点が重要視されている。共生社会の実現を目指す基本理念となっている。 インセンティブ(いんせんてぃぶ) 意味 人々の行動を特定の方向へ誘導するための「誘因」や「動機付け」。政策目標を達成するために、補助金、税制優遇、規制緩和などの手法が用いられる。 歴史・経過 従来の規制や直接的な介入に代わる、より柔軟な政策手法として注目されている。省エネ家電の購入補助金や、企業の地方移転に対する優遇措置などが具体例。 インセンティブ予算(いんせんてぃぶよさん) 意味 行政組織内部の予算編成において、行財政改革や業務改善で成果を上げた部局に対し、その努力に報いる形で予算を重点的に配分する仕組み。 歴史・経過 一律の経費削減は職員の意欲を削ぐとの反省から、2000年代以降、多くの自治体で導入が試みられた。職員の改革意欲を引き出し、組織全体の活性化を図ることを目的とする。 インフラストラクチャー(いんふらすとらくちゃー) 意味 「社会資本」または「社会基盤施設」のこと。道路、鉄道、港湾、空港、上下水道、電気、ガス、通信網など、国民の生活や経済活動を支える基本的な施設や設備を指す。 歴史・経過 日本のインフラは高度経済成長期に集中的に整備された。近年は、施設の老朽化対策が喫緊の課題となっており、維持管理・更新費用の増大が国・地方の財政を圧迫している。計画的な長寿命化対策が不可欠となっている。 ウォーターフロント開発(うぉーたーふろんとかいはつ) 意味 港湾、河川、湖沼などの水際に面した地域(ウォーターフロント)の再開発。工場や倉庫の跡地などを、商業施設、オフィス、住宅、公園などに転換し、魅力的な都市空間を創出する事業。 歴史・経過 1980年代以降、産業構造の変化に伴い、全国の臨海部で活発化した。東京都の臨海副都心開発や横浜市の「みなとみらい21」などが代表例。都市の活性化や新たな観光資源の創出に貢献してきた。 請負(うけおい) 意味 当事者の一方(請負人)が、ある仕事の完成を約束し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを内容とする契約。公共工事契約の典型的な形態。 歴史・経過 民法に規定される契約類型の一つ。行政においては、会計法や地方自治法に基づき、原則として競争入札により請負契約を締結する。仕事の完成が目的であり、労働力を提供する「委任」や「雇用」とは区別される。 運営権(うんえいけん) 意味 空港、上下水道、道路などの公共施設の運営を、民間事業者に長期間にわたって委ねる権利。施設の所有権は公共が保持したまま、運営を民間のノウハウに任せる「コンセッション方式」の中核をなす。 歴史・経過 2011年(平成23年)のPFI法改正により導入された。民間の資金と経営能力を活用し、効率的な施設運営とサービス向上、財政負担の軽減を図ることを目的とする。関西国際空港や仙台空港などで導入されている。 ウェルビーイング(うぇるびーいんぐ) 意味 身体的、精神的、社会的にすべてが満たされた良好な状態。従来の経済的な豊かさ(GDPなど)だけでなく、個人の幸福感や生活の質を重視する概念。 歴史・経過 近年、持続可能な社会の目標として、行政の政策目標にも取り入れられるようになった。住民のウェルビーイング向上を基本理念に据え、各種の計画や事業を推進する自治体が増えている。 営繕(えいぜん) 意味 建築物の新築、増築、改築、修繕、模様替えなどを行うこと。特に、官公庁の施設(庁舎、学校、公営住宅など)の建設や維持保全を指すことが多い。 歴史・経過 国の機関では国土交通省に営繕部が置かれ、技術的な計画や指導を行っている。地方公共団体でも、専門の部署(建築課、営繕課など)が公共施設の計画的な建設・維持管理を担っている。 衛生費(えいせいひ) 意味 地方公共団体の歳出予算を、その行政目的によって分類した区分(目的別分類)の一つ。保健衛生、感染症対策、精神保健、ごみ・し尿処理、公害対策などに関する経費が含まれる。 歴史・経過 住民の健康維持や生活環境の保全に直結する重要な経費。近年では、新型コロナウイルス感染症対策や、ごみ処理施設の老朽化対策、最終処分場の確保などが大きな財政課題となっている。 EBPM(えびでんすべーすどぽりしーめいきんぐ) 意味 「証拠に基づく政策立案」と訳される。統計データなどの客観的な証拠(エビデンス)に基づき、政策の企画・立案、効果測定、改善を行うこと。 歴史・経過 2010年代後半から、政府全体で推進が強化された。従来の経験や勘に頼る政策決定から脱却し、政策の有効性を科学的に検証することで、行政資源の効率的・効果的な配分を目指す。ロジックモデルの活用などが進められている。 NPO(えぬぴーおー) 意味 Non-Profit Organization(非営利組織)の略。利益の追求を目的とせず、社会的な課題の解決を目指して活動する民間の組織。日本では、特定非営利活動促進法(NPO法)に基づく「特定非営利活動法人」を指すことが多い。 歴史・経過 1998年(平成10年)のNPO法制定により、法人格の取得が容易になった。福祉、環境、まちづくり、国際協力など多様な分野で活動し、行政のパートナーとして協働事業を行う事例も増えている。 LRT(えるあーるてぃー) 意味 Light Rail Transitの略。「次世代型路面電車システム」と訳される。低床車両の導入によるバリアフリー化、定時性の確保、環境負荷の低減などを特徴とする、新しい公共交通システム。 歴史・経過 自動車中心社会への反省や、環境問題、高齢化への対応から、欧米で普及が進んだ。日本では、富山市の富山ライトレール(現・富山地方鉄道富山港線)が成功事例として知られ、宇都宮市などでも導入が進んでいる。 エリアマネジメント(えりあまねじめんと) 意味 特定の地域(エリア)において、住民、事業者、地権者などが主体となり、地域の価値や魅力を維持・向上させるための様々な取り組みを継続的に行うこと。 歴史・経過 清掃活動、イベント開催、防犯パトロール、景観維持など、活動内容は多岐にわたる。行政は、こうした民間の主体的な取り組みを支援・連携することで、地域コミュニティの活性化や良好な都市環境の形成を図る。 エスカレーター条項(えすかれーたーじょうこう) 意味 法律や契約において、物価や賃金などの経済指標の変動に応じて、給付額や負担額などを自動的に改定する旨を定めた条項。スライド条項ともいう。 歴史・経過 年金の給付額を物価や賃金の変動に連動させる「マクロ経済スライド」が代表例。公共工事の請負契約においても、資材価格の急激な変動に対応するためのインフレスライド条項が設けられている。 応益負担(おうえきふたん) 意味 行政サービスを受けることによって得られる利益(受益)の大きさに応じて、その費用を負担するという考え方。サービスの利用者と非利用者の間の公平性を確保することを目的とする。 歴史・経過 公営住宅の家賃、保育所の保育料、公共施設の使用料、各種手数料などがこれにあたる。支払い能力に応じて負担する「応能負担」(税金など)と対比される原則。 応能負担(おうのうふたん) 意味 個人の支払い能力(所得や資産の大きさ)に応じて、費用を負担するという考え方。所得の再分配機能を通じて、社会全体の公平性を確保することを目的とする。 歴史・経過 所得税や住民税などの租税が典型例。所得が高い人ほど高い税率が適用される累進課税は、応能負担の原則を具現化したものである。サービスの受益の有無にかかわらず、能力のある者が広く負担を分かち合う。 オープンデータ(おーぷんでーた) 意味 国や地方公共団体が保有する公共データを、誰もが二次利用しやすいように、機械判読に適した形式で、利用ルールを明示して公開すること。 歴史・経過 2012年(平成24年)に政府が「電子行政オープンデータ戦略」を策定して以降、本格的な取り組みが始まった。行政の透明性・信頼性の向上、住民参加の促進、民間事業者による新サービス創出などが期待されている。 オウンソース(おうんそーす) 意味 Own Sourceのカタカナ表記で、「自主財源」のこと。地方公共団体が自らの権能に基づいて収入できる財源を指し、地方税がその中心となる。 歴史・経過 国からの交付金や補助金などの「依存財源」と対比される。オウンソースの割合が高いほど、財政基盤が安定し、国からの制約を受けずに独自の政策を展開できるため、地方分権の観点からその確保・拡充が重要とされる。 オール東京(おーるとうきょう) 意味 東京都と都内に存在する62の区市町村が、それぞれの役割分担のもと、緊密に連携・協力して共通の行政課題に取り組む姿勢や体制を指す言葉。 歴史・経過 首都直下地震などの大規模災害対策、待機児童問題、高齢化対策など、一つの自治体だけでは解決が困難な課題に対し、都と区市町村が一体となって対応することの重要性が強調される際に用いられる。 オンブズマン制度(おんぶずまんせいど) 意味 行政機関から独立した中立・公正な立場で、住民からの苦情を受け付け、簡易・迅速に調査し、行政の非を是正したり、制度改善を勧告したりする制度。 歴史・経過 スウェーデンで始まった制度。日本では、1990年(平成2年)に川崎市が初めて条例に基づく市民オンブズマン制度を創設して以来、多くの地方公共団体で導入されている。行政の自己統制機能を補完し、住民の権利利益を擁護する役割を担う。 温室効果ガス(おんしつこうかがす) 意味 地球温暖化の主な原因とされるガスの総称。二酸化炭素(CO2)、メタン、フロンガスなどが含まれる。大気中にこれらのガスが増えることで、地表からの熱が宇宙に逃げにくくなる。 歴史・経過 1997年の京都議定書や2015年のパリ協定など、国際的な枠組みで排出削減が目標とされている。国は2050年カーボンニュートラルを宣言し、地方公共団体においても「地球温暖化対策実行計画」の策定や再生可能エネルギーの導入促進などが進められている。 オフサイトセンター(おふさいとせんたー) 意味 原子力発電所などで災害が発生した際に、国、地方公共団体、原子力事業者、自衛隊、警察、消防などが一堂に会し、合同で住民の避難誘導や被ばく医療などの災害対策活動を指揮する拠点施設。 歴史・経過 1999年(平成11年)の原子力災害対策特別措置法に基づき、全国の原子力施設からおおむね5〜30km圏内に整備されている。2011年の福島第一原発事故の教訓を踏まえ、機能強化が図られている。 オフバランス化(おふばらんすか) 意味 企業の貸借対照表(バランスシート)に、特定の資産や負債を計上しないようにする会計上の手法。行政分野では、PFI事業などで、自治体が整備する施設や関連する負債を、自治体の財務書類に計上しないことを指す場合がある。 歴史・経過 PFI事業において、事業リスクの大部分を民間事業者が負うなどの要件を満たす場合にオフバランス化が可能となる。自治体の財政指標(将来負担比率など)への影響を抑えることができるが、実質的な財政負担を隠すことにつながるとの批判もある。 かきくけこ 会計管理者(かいけいかんりしゃ) 意味 地方公共団体において、会計事務をつかさどる必置の特別職。首長から独立した立場で、予算の執行に伴う現金の出納・保管、決算の調製などの会計事務を統括する。 歴史・経過 2006年(平成18年)の地方自治法改正により、それまでの「収入役」が廃止され、2007年(平成19年)4月から設置された。首長の補助機関であると同時に、会計事務の適正を確保するためのチェック機能を担う重要な役職。 会計検査院(かいけいけんさいん) 意味 内閣から独立した憲法上の機関で、国や法律で定められた機関の会計を検査し、会計経理が正しく行われるように監督する。決算検査報告を作成し、内閣を通じて国会に提出する。 歴史・経過 1880年(明治13年)に大蔵省から独立して設置。日本国憲法第90条に規定されている。地方自治体の会計に対しても、国庫支出金が投入された事業などについて、その使途が適正かどうかを検査する権限を持つ。 開発許可制度(かいはつきょかせいど) 意味 都市計画区域内において、一定規模以上の宅地造成などの開発行為を行う際に、都道府県知事(または指定都市等の長)の許可を必要とする制度。無秩序な市街化を防止し、良好な市街地の形成を図ることを目的とする。 歴史・経過 1968年(昭和43年)の都市計画法改正により創設された(新・都市計画法)。スプロール現象(都市の無秩序な拡大)を抑制するための重要な仕組みであり、道路、公園、下水道などの公共施設の整備基準も定められている。 可決(かけつ) 意味 議会において、提出された議案(条例案、予算案など)に対し、審議の結果、議会として賛成の意思決定をすること。これに対し、賛成しない意思決定を「否決」という。 歴史・経過 地方自治法では、議会の議事は、特別の定めがある場合を除き、出席議員の過半数で決するとされている。可決された議案は、首長の署名などを経て正式に効力を生じる。 過疎地域(かそちいき) 意味 人口が著しく減少し、地域社会の活力が低下している地域。法律(過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法)に基づき、人口要件や財政力要件に該当する市町村が指定される。 歴史・経過 1970年(昭和45年)に最初の過疎地域対策緊急措置法が制定されて以来、10年間の時限法として更新されてきた。指定された地域は、財政上の特別措置(過疎対策事業債など)や税制上の優遇措置を受けることができる。 仮徴収(かちょうしゅう) 意味 国民健康保険料(税)や介護保険料などにおいて、前年度の所得が確定するまでの間、前年度の保険料額を基に算定した額を暫定的に徴収すること。 歴史・経過 保険料は、前年の所得を基に算定されるため、年度当初(4月、5月)にはその年度の正確な保険料額が確定していない。そのため、年度内の納付額を平準化し、被保険者の急激な負担増を避けるためにこの方式がとられる。所得確定後、年間の保険料額が決定され、差額が精算される。 仮年度(かねんど) 意味 東京都の予算編成における独自の概念。予算案の公表から議決までの間に、新年度の事業に着手できるよう、前年度予算の一部を新年度の事業に充当することを可能にする仕組み。 歴史・経過 東京都の予算規模が大きく、議会での審議に時間を要することから、年度開始と同時に事業に着手できない「切れ目」を生じさせないために導入された。地方自治法上の「暫定予算」とは異なる、実務上の工夫である。 仮予算(かりよさん) 意味 「暫定予算」とほぼ同義。年度開始までに本予算が成立しない場合に、本予算が成立するまでの間の必要最小限の経費について編成される、一時的な予算。 歴史・経過 地方自治法第218条に規定されている。国政の混乱や災害など、やむを得ない理由で本予算の成立が遅れる場合に編成される。仮予算が執行されても、本予算が成立すればそれに吸収される。 環境影響評価(かんきょうえいきょうひょうか) 意味 環境アセスメントとも言う。道路、ダム、発電所などの大規模な開発事業が、環境にどのような影響を及ぼすかについて、事前に調査、予測、評価を行い、その結果を公表して住民や関係者の意見を聴き、環境保全策を検討する手続き。 歴史・経過 1997年(平成9年)に環境影響評価法が制定され、法的な制度として確立した。地方公共団体においても、独自の条例を制定し、よりきめ細かな対象事業や手続きを定めている例が多い。 環境基本計画(かんきょうきほんけいかく) 意味 地方公共団体が、その区域の環境保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために定める基本的な計画。 歴史・経過 1993年(平成5年)の環境基本法に基づき、国が基本計画を策定し、地方公共団体にも策定が努力義務として課された。地球温暖化対策、循環型社会の形成、生物多様性の保全など、地域の環境課題に応じた目標や施策が盛り込まれる。 監査委員(かんさいいん) 意味 地方公共団体の財務に関する事務の執行や、経営に係る事業の管理などを監査するために設置される独任制の執行機関。議会が選任する議員選出委員と、首長が選任する識見を有する委員(行政経験者や公認会計士など)で構成される。 歴史・経過 地方自治法に設置が義務付けられている。定期監査(毎年実施)、行政監査、住民からの監査請求に基づく監査などを行う。監査結果は議会や首長に報告され、行政の適正な運営を確保する役割を担う。 監理団体(かんりだんたい) 意味 東京都が、基本財産の25%以上を出資・出えんしているなど、経営に主体的に関与している外郭団体のこと。 歴史・経過 東京都が独自の基準で指定する呼称。都は監理団体に対し、経営状況の報告を求め、指導監督を行う。行財政改革の中で、団体の事業評価や情報公開の徹底、統廃合などが進められてきた。 官製談合(かんせいだんごう) 意味 国や地方公共団体などの発注機関の職員が、入札に参加する業者に対して予定価格を漏らしたり、特定の業者が受注できるよう指名業者を調整したりするなど、不正に関与して競争の公正を害する行為。 歴史・経過 2002年(平成14年)に入札談合等関与行為防止法が制定され、職員による談合への関与行為に対する罰則や、国や自治体による損害賠償請求などが定められた。公正な入札制度の根幹を揺るがす行為として厳しく禁じられている。 官民ファンド(かんみんふぁんど) 意味 政府(官)と民間企業(民)が共同で出資して設立する投資ファンド。民間の資金やノウハウを呼び込み、特定の政策目的(例:地域活性化、新産業育成、インフラ整備)を実現するために、リスクの高い事業へ投資を行う。 歴史・経過 2000年代以降、様々な政策分野で設立された。産業革新投資機構(JIC)や地域経済活性化支援機構(REVIC)などが代表例。一方で、投資成果が上がらず、国の財政負担が増大するなどの課題も指摘されている。 元利均等償還(がんりきんとうしょうかん) 意味 地方債などの借入金の返済方法の一つ。毎回の返済額(元金+利子)が一定になるように計算された返済方式。 歴史・経過 返済当初は利子の割合が大きく、返済が進むにつれて元金の割合が大きくなる。毎回の返済額が同じであるため、返済計画が立てやすいメリットがある。住宅ローンなどで一般的な方式。元金均等償還に比べ、総返済額は多くなる。 議案(ぎあん) 意味 地方公共団体の議会の議決を得るために、首長または議員が提出する案件。条例の制定・改廃案、予算案、決算の認定、重要な契約の締結、人事案件などがある。 歴史・経過 議案は、議会で審議され、可決・否決・修正などの議決が行われる。首長が提出する議案が大多数を占めるが、議員にも議案提出権(議員提出議案)が認められている。 議会(ぎかい) 意味 住民の直接選挙で選ばれた議員で構成される、地方公共団体の意思決定機関(議決機関)。条例の制定・改廃、予算の議決、決算の認定、行政の監視などを行う。 歴史・経過 首長(執行機関)と議会(議決機関)が互いに独立・対等な立場で牽制し合う「二元代表制」が地方自治の基本構造となっている。近年は、議会改革として、通年議会の導入や議会基本条例の制定などが進められている。 議決(ぎけつ) 意味 議会が、その権限に属する事項について意思を決定する行為。可決、否決、修正可決、認定、不認定、同意、不同意など、議案の内容に応じて様々な形式がある。 歴史・経過 議決は、議会の最も重要な権能であり、その決定は自治体の意思として法的な効力を持つ。地方自治法により、議決すべき事件が定められている。 危機管理(ききかんり) 意味 大規模な自然災害、重大な事故、感染症のまん延、テロなど、予測される危機(クライシス)の発生を未然に防止し、万一発生した場合には、被害を最小限に抑え、迅速な復旧を図るための一連の活動。 歴史・経過 1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災を大きな教訓として、国・地方公共団体ともに体制整備が本格化した。危機管理監や危機管理室などの専門部署の設置、防災計画や業務継続計画(BCP)の策定が進められている。 企業会計(きぎょうかいけい) 意味 地方公共団体が経営する公営企業(水道、交通、病院など)に適用される会計制度。独立採算を原則とし、経営成績や財政状態を明確にするため、民間企業と同様の複式簿記や発生主義会計が用いられる。 歴史・経過 地方公営企業法に定められている。一般の行政活動を扱う「官庁会計(一般会計)」とは異なり、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を作成し、経営の効率性を評価する。 企業債(きぎょうさい) 意味 地方公営企業が、施設の建設・改良などの資金を調達するために発行する地方債。水道管の更新、地下鉄の建設、病院の建て替えなどに充てられる。 歴史・経過 地方公営企業法に基づき発行される。その償還金は、原則として当該事業の料金収入などで賄われる。発行には総務大臣等との協議が必要となる場合がある。 企業版ふるさと納税(きぎょうばんふるさとのうぜい) 意味 地方創生応援税制とも言う。企業が、地方公共団体の認定を受けた地方創生プロジェクトに対して寄附を行った場合に、法人関係税から税額控除される仕組み。 歴史・経過 2016年度(平成28年度)の税制改正で創設された。個人のふるさと納税と異なり、返礼品はない。企業の社会貢献を促進し、地方創生に向けた官民連携を深化させることを目的としている。 起債(きさい) 意味 地方債を発行し、資金を借り入れること。道路や学校の建設など、多額の費用を要し、その効果が長期間にわたる事業の財源として活用される。 歴史・経過 地方債の発行は、将来世代に負担を先送りすることになるため、地方財政法により、その対象事業や手続きが厳しく定められている。発行には、原則として国や都道府県の許可・協議が必要となる。 起債許可団体(きさいきょかだんたい) 意味 地方債を発行する際に、総務大臣または都道府県知事の許可が必要となる地方公共団体。財政状況が比較的健全な団体は、許可が不要な「起債協議団体」となる。 歴史・経過 2006年度(平成18年度)の地方債制度改革により、国の事前関与が緩和され、多くの団体が協議団体に移行した。しかし、財政状況が悪化した団体は再び許可団体となり、国のより強い財政的な指導監督を受けることになる。 起債制限比率(きさいせいげんひりつ) 意味 地方公共団体の財政状況を示す指標の一つ。公債費(借金返済額)に充てられた一般財源の額が、標準的な財政規模に占める割合。この比率が高いほど、財政の硬直化が進んでいることを示す。 歴史・経過 地方債制度改革に伴い、2006年度(平成18年度)から導入された。この比率が一定水準(25%)を超えると、地方債の発行が一部制限される。早期健全化基準の一つでもある。 基礎自治体(きそじちたい) 意味 住民に最も身近な行政サービスを提供する地方公共団体である「市町村」(東京都の場合は特別区を含む)のこと。 歴史・経過 都道府県などの「広域自治体」と対比して用いられる。住民票の交付、ごみ収集、小中学校の運営、国民健康保険、介護保険など、住民の日常生活に密着した多くの事務を担っている。 寄附金(きふきん) 意味 地方公共団体が、個人や法人から任意に受け入れる金銭。特定の目的(例:文化施設の建設、緑化推進)のために使途を定めて受け入れる「指定寄附金」と、使途を定めない「一般寄附金」がある。 歴史・経過 地方自治法に規定された歳入の一つ。近年は、ふるさと納税制度の活用により、自治体間の寄附金獲得競争が活発化している。寄附金は、自治体の自主財源を補い、特色ある施策を展開するための貴重な財源となる。 基本構想(きほんこうそう) 意味 地方公共団体が、その目指すべき将来像と、その実現に向けた政策の基本的な方向を定める、最上位の行政計画。議会の議決を経て定められる。 歴史・経過 かつては地方自治法で策定が義務付けられていたが、2011年(平成23年)の法改正で義務付けは廃止された。しかし、多くの自治体では、まちづくりの総合的な指針として、引き続き自主的に策定している。 義務教育費国庫負担制度(ぎむきょういくひこっこふたんせいど) 意味 公立の義務教育諸学校(小・中学校など)の教職員給与費について、国がその一部(現在は3分の1)を負担する制度。教育の機会均等と水準の維持向上を図ることを目的とする。 歴史・経過 1952年(昭和27年)に創設。国の負担割合は、財政状況や地方分権の流れの中で変遷してきた。地方財源を保障し、全国どこでも一定水準の教育が受けられるようにするための根幹的な制度である。 義務的経費(ぎむてきけいひ) 意味 地方公共団体の歳出のうち、その支出が義務付けられており、任意に削減することが困難な経費。人件費、扶助費(生活保護費など)、公債費(借金返済費)の3つを指す。 歴史・経過 歳出全体に占める義務的経費の割合が高いと、政策的に使える経費(投資的経費など)が圧迫され、財政の硬直化を招く。この割合を示すのが「経常収支比率」である。 給与勧告(きゅうよかんこく) 意味 人事院(国の機関)や人事委員会(地方公共団体の機関)が、国家公務員や地方公務員の給与水準を、民間企業の給与水準と均衡させる(情勢適応の原則)ために、国会と内閣、または議会と首長に対して行う勧告。 歴史・経過 公務員の労働基本権が制約されていることの代償措置として位置づけられている。毎年、民間の給与実態を調査し、その結果に基づいて給与の改定(引き上げ・引き下げ)を勧告する。 協働(きょうどう) 意味 行政、住民、NPO、企業など、異なる主体が、共通の目的(地域課題の解決など)のために、それぞれの特性を活かし、対等な立場で連携・協力して活動すること。 歴史・経過 1990年代後半から、市民社会の成熟や行政需要の多様化を背景に、行政運営の基本理念として重視されるようになった。単なる「協力」とは異なり、企画段階から対等なパートナーとして関わる点が特徴。 許可(きょか) 意味 法令によって一般的に禁止されている行為について、特定の場合にその禁止を解除し、適法に行えるようにする行政行為。申請に基づき、行政庁が一定の要件を満たしているか審査して判断する。 歴史・経過 飲食店営業許可、建設業許可、自動車の運転免許などが典型例。公共の安全や秩序の維持を目的とする。許可を受けずに行為を行った場合は、罰則の対象となる。 許認可(きょにんか) 意味 「許可」「認可」「免許」「登録」「届出」など、法令に基づき、行政機関が民間等の活動に対して行う規制や関与の総称。 歴史・経過 行政手続法や各地方公共団体の行政手続条例で、許認可等の審査基準や標準処理期間を設定・公表することが定められており、行政手続きの透明性・公平性の確保が図られている。 緊急財政対策(きんきゅうざいせいたいさく) 意味 地方公共団体の財政が著しく悪化し、破綻の危機に瀕した場合に、歳入の確保と歳出の徹底的な削減を図るために策定される非常時の財政再建計画。 歴史・経過 かつては「財政再建団体」の指定を受ける制度があったが、2007年(平成19年)に地方公共団体財政健全化法が施行され、「財政再生団体」の仕組みに移行した。財政再生団体になると、国の厳しい監督のもとで財政再建に取り組むことになる。 繰上償還(くりあげしょうかん) 意味 地方債などの借入金について、定められた償還期限より前に、元金の一部または全部を返済すること。 歴史・経過 財政に余裕が生まれた場合や、高金利の地方債を低金利のものに借り換える(借換債の発行)ために行われる。将来の利子負担を軽減し、公債費を抑制する効果があるため、財政健全化の一つの手法として活用される。 繰越明許費(くりこしめいきょひ) 意味 予算の単年度主義の例外。歳出予算のうち、その性質上または予算成立後の事由により、年度内に支出を終えることが見込まれない経費について、あらかじめ議会の議決を経て、翌年度に繰り越して使用することを認める制度。 歴史・経過 地方自治法第213条に規定されている。大規模な建設事業や、年度末に契約する委託業務などで、年度をまたいで経費の支払いが必要となる場合に用いられる。 グリーンインフラ(ぐりーんいんふら) 意味 自然環境が持つ多様な機能(防災・減災、生物の生息空間、良好な景観形成、気温上昇の抑制など)を、社会資本整備や土地利用に活用しようとする考え方。 歴史・経過 2010年代から、持続可能な社会の実現に向けた新たなアプローチとして注目されている。公園や緑地、河川などをネットワーク化し、従来のコンクリート中心のインフラを補完・代替することで、より多機能で質の高い社会基盤の形成を目指す。 訓令(くんれい) 意味 行政機関が、その権限の範囲内において、所管の機関や職員に対して発する命令。職務執行に関する事項や内部規律などを定める。 歴史・経過 住民などの外部に対する法的な拘束力はなく、行政組織内部のルールである点が、条例や規則と異なる。地方自治法第154条に規定されている。 経常収支比率(けいじょうしゅうしひりつ) 意味 地方公共団体の財政構造の弾力性を示す指標。人件費、扶助費、公債費などの義務的経費(経常的経費)に、地方税、地方交付税などの経常的一般財源がどの程度充当されているかを示す。 歴史・経過 この比率が低いほど、臨時的な財政需要や新たな政策課題に対応できる余力(投資的経費などに使える財源)が大きいことを意味し、財政運営に弾力性があるとされる。一般的に80%を超えると財政が硬直化していると見なされる。 景観計画(けいかんけいかく) 意味 良好な景観の形成を図るために、景観法に基づき、地方公共団体(景観行政団体)が定める計画。景観づくりの方針、建築物等のデザインや色彩に関する基準などを定める。 歴史・経過 2004年(平成16年)に景観法が制定され、自治体が主体的に景観行政を推進するための法的枠組みが整備された。景観計画区域内では、一定の建築行為などを行う際に事前の届出が義務付けられる。 契約(けいやく) 意味 地方公共団体が、物品の購入、工事の請負、業務の委託などを行う際に、相手方となる私人(法人・個人)との間で権利義務関係を発生させる法律行為。 歴史・経過 地方自治法や会計法では、契約の締結にあたっては、公正性と経済性を確保するため、原則として一般競争入札によることとされている。その他、指名競争入札や随意契約などの方式がある。 決算(けっさん) 意味 一会計年度における歳入と歳出の実績を取りまとめた計算書。予算が計画であるのに対し、決算はその執行結果を示すもの。 歴史・経過 首長は、会計管理者が作成した決算書を、監査委員の審査に付した後、議会の認定に付さなければならない。決算の分析は、次年度以降の予算編成や行政運営の改善に活かされる重要なプロセスである。 決算剰余金(けっさんじょうよきん) 意味 一会計年度の歳入総額から歳出総額を差し引いた形式的な差額(歳計剰余金)から、翌年度に繰り越すべき財源を控除した、実質的な剰余金のこと。 歴史・経過 地方財政法により、決算剰余金の2分の1を下らない額を基金に積み立てるか、地方債の繰上償還の財源に充てなければならないと定められている。残りは翌年度の歳入に繰り入れることができる。 欠損処分(けっそんしょぶん) 意味 地方税や使用料などの債権について、徴収する見込みがないと判断された場合に、法律や条例の規定に基づき、その債権を消滅させる会計上の処理。 歴史・経過 地方税法では、時効の完成や、滞納者の所在不明・財産なしなどの理由で徴収不能な場合に、不納欠損として処理することが定められている。債権管理の適正化のために行われるが、安易な処分は許されない。 減債基金(げんさいききん) 意味 地方債の償還(返済)を計画的に行うために、資金を積み立てる目的で設置される基金(特定の目的のための積立金)。 歴史・経過 地方自治法に基づき、条例によって設置できる。決算剰余金の一部や、一般財源から計画的に積み立てられる。将来の公債費負担の増大に備え、財政運営の安定化を図る役割を持つ。 権限移譲(けんげんいじょう) 意味 国から都道府県へ、または都道府県から市区町村へと、法律の改正などによって、行政の事務・権限を移すこと。地方分権改革の主要な手法の一つ。 歴史・経過 「住民に身近な行政は、できる限り身近な地方公共団体が担う」という補完性の原則に基づき推進されている。パスポートの発給事務や、一部の国道・県道の管理権限などが市町村へ移譲された例がある。 建設公債(けんせつこうさい) 意味 国の歳出を賄うために発行される国債の一種。公共事業費、出資金、貸付金など、国の資産として将来に残るものの財源に充てるために発行が認められている。 歴史・経過 財政法第4条で発行が認められているため、「4条国債」とも呼ばれる。財源の使途が赤字の補てんに充てられる「赤字国債(特例公債)」とは区別される。地方における「建設地方債」に相当する。 公営企業(こうえいきぎょう) 意味 地方公共団体が、住民の福祉増進を目的として経営する企業。水道、下水道、交通(バス・地下鉄)、病院、ガス、市場などがある。 歴史・経過 地方公営企業法に基づき運営され、独立採算制が原則とされる。サービスの対価として料金を徴収し、その収入で経営を行う。経営には民間企業的な手法(企業会計など)が導入されている。 公会計(こうかいけい) 意味 国や地方公共団体など、公的部門で用いられる会計の総称。現金主義・単式簿記を基本とする「官庁会計」と、発生主義・複式簿記を用いる「企業会計」に大別される。 歴史・経過 近年、一般会計などにおいても、資産や負債を一体的に把握するため、企業会計的な手法(複式簿記・発生主義)を取り入れた財務書類を作成する「新公会計制度」の導入が全国の自治体で進められている。 公共施設等総合管理計画(こうきょうしせつとうそうごうかんりけいかく) 意味 地方公共団体が保有する全ての公共施設(庁舎、学校、公民館など)やインフラ(道路、橋りょう、上下水道など)について、中長期的な視点で、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うために策定する基本方針。 歴史・経過 高度経済成長期に整備された施設の大量更新時期を迎え、財政負担の増大が懸念される中、2014年(平成26年)に総務省が全国の自治体に策定を要請した。アセットマネジメントの中核をなす計画である。 公共事業(こうきょうじぎょう) 意味 国や地方公共団体が、社会全体の利益のために行う、道路、河川、港湾、公園、下水道、学校などの社会資本(インフラ)の整備事業。 歴史・経過 経済成長の基盤整備や、国土の保全、災害防止に大きな役割を果たしてきた。近年は、事業の費用対効果を検証する「公共事業評価」の導入や、維持管理・更新の重要性が高まっている。 公債(こうさい) 意味 国や地方公共団体が、財政上の必要から資金を調達するために発行する債券。国の発行するものを「国債」、地方公共団体の発行するものを「地方債」といい、これらを総称して公債と呼ぶ。 歴史・経過 公債の発行は、将来世代への負担の先送りとなるため、財政法や地方財政法でその発行目的や手続きが厳しく制限されている。その残高は、国・地方の財政状況を測る重要な指標となる。 公債費(こうさいひ) 意味 地方公共団体が借り入れた地方債の元金・利子の支払いに要する経費。歳出の性質別分類の一つであり、「義務的経費」に含まれる。 歴史・経過 公債費の増大は、他の政策に使える経費を圧迫し、財政の硬直化を招く。そのため、「実質公債費比率」や「起債制限比率」などの財政指標を用いて、その動向が厳しく監視されている。 公示価格(こうじかかく) 意味 地価公示法に基づき、国土交通省の土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点における全国の標準的な地点(標準地)の正常な価格を判定し、公表するもの。 歴史・経過 1969年(昭和44年)に創設。一般の土地取引の価格の目安となるほか、公共事業用地の取得価格の算定や、固定資産税評価、相続税評価などの基準としても活用される、最も基本となる地価指標である。 公設民営(こうせつみんえい) 意味 地方公共団体が施設を設置(公設)し、その管理運営をNPOや民間事業者などの民間主体に委ねる方式。 歴史・経過 指定管理者制度の導入により、この方式が広く活用されるようになった。行政の財政負担を抑えつつ、民間のノウハウや創意工夫を活かして、効率的で質の高い住民サービスを提供することを目的とする。 公聴会(こうちょうかい) 意味 行政機関や議会が、重要な政策や計画を決定するにあたり、広く一般から利害関係者の意見を直接聴くために開く会。 歴史・経過 地方自治法では、議会が予算その他の重要議案を審議する際に開催できると定められている。都市計画の決定プロセスなど、法律で公聴会の開催が義務付けられている場合もある。住民参加と合意形成のための重要な手続き。 公文書(こうぶんしょ) 意味 行政機関の職員が、職務上作成し、または取得した文書、図画、電磁的記録(電子データ)であって、その機関が組織的に用いるものとして保有しているもの。 歴史・経過 2009年(平成21年)に公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)が制定され、行政の意思決定過程を後から検証できるよう、適正な作成・保存・管理が義務付けられた。情報公開請求の対象となるほか、歴史的に重要なものは公文書館で保存される。 広域連合(こういきれんごう) 意味 複数の市町村や都道府県が、広域にわたる行政事務を共同で処理するために設置する特別地方公共団体。一部事務組合と異なり、国や都道府県から直接権限移譲を受けることができる。 歴史・経過 1994年(平成6年)の地方自治法改正で創設された。介護保険の運営や、後期高齢者医療制度の運営主体として設立されている例が多い。より広域的で専門的な事務に対応するための組織形態。 国庫支出金(こっこししゅつきん) 意味 国が地方公共団体に対して、特定の行政目的のために支出する資金の総称。国庫負担金、国庫補助金、国庫委託金の3種類に大別される。 歴史・経過 地方の財源不足を補い、ナショナル・ミニマム(国として保障すべき最低限の行政水準)を確保する機能を持つ。一方で、地方の自主性を損なうとの批判もあり、地方分権改革の中で補助金の整理合理化が進められてきた。 国勢調査(こくせいちょうさ) 意味 日本国内に住むすべての人と世帯を対象として、5年ごとに実施される、国の最も重要かつ基本的な統計調査。 歴史・経過 統計法に基づき、1920年(大正9年)から実施されている。調査結果は、地方交付税の算定、選挙区の画定、各種の行政計画の策定など、国や地方公共団体の行政運営の基礎資料として不可欠である。 国民健康保険(こくみんけんこうほけん) 意味 日本の公的医療保険の一つ。職場の健康保険などに加入していない自営業者、農林漁業者、無職の人などを対象とする。 歴史・経過 国民健康保険法に基づき、市町村および特別区が保険者として運営していたが、2018年度(平成30年度)から、財政運営の責任主体が都道府県に移管された。これにより、保険財政の安定化が図られている。 国民保護計画(こくみんほごけいかく) 意味 武力攻撃や大規模テロなどの事態が発生した場合に、国民の生命、身体、財産を保護し、被害を最小限に抑えるための、国および地方公共団体の計画。 歴史・経過 2004年(平成16年)に制定された国民保護法(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律)に基づき、国が基本指針を、都道府県および市町村がそれぞれの計画を策定することが義務付けられている。避難、救援、武力攻撃災害への対処などが定められる。 固定資産税(こていしさんぜい) 意味 毎年1月1日現在で、土地、家屋、償却資産(事業用の機械など)を所有している者に対して、その資産が所在する市町村(東京23区の場合は都)が課税する地方税。 歴史・経過 市町村税収の根幹をなす重要な基幹税目。税額は、総務大臣が定める固定資産評価基準に基づき市町村長が決定した課税標準額に、標準税率(1.4%)を乗じて算出される。 コンセッション方式(こんせっしょんほうしき) 意味 空港、上下水道、道路などの公共施設の所有権を公的機関が保有したまま、施設の運営権(コンセッション)を民間事業者に売却する官民連携(PPP)の手法。 歴史・経過 2011年(平成23年)のPFI法改正により導入された。民間の資金や経営ノウハウを最大限に活用し、効率的な運営と利用料金の抑制、財政負担の軽減を目指す。関西国際空港や仙台空港などで導入事例がある。 コンプライアンス(こんぷらいあんす) 意味 「法令遵守」と訳される。法律や条例、規則などの法令はもちろん、社会規範や倫理、組織内のルールなどを遵守すること。 歴史・経過 民間企業で不祥事が相次いだことを背景に重要性が認識され、行政分野でも、職員の不祥事防止や公正な職務執行、住民からの信頼確保のために、コンプライアンス意識の徹底が求められている。多くの自治体でコンプライアンス条例や行動規範が定められている。 コンパクトシティ(こんぱくとしてぃ) 意味 人口減少・高齢化社会に対応するため、都市の居住機能や医療・福祉・商業などの都市機能を中心市街地や生活拠点に集約し、公共交通で結ぶことで、持続可能で効率的な都市構造を目指すまちづくりの考え方。 歴史・経過 2014年(平成26年)の都市再生特別措置法改正で「立地適正化計画」制度が創設され、コンパクトシティの実現に向けた法的な枠組みが整備された。行政コストの抑制や、高齢者が暮らしやすいまちづくりにつながることが期待されている。 さしすせそ 歳入(さいにゅう) 意味 一会計年度における地方公共団体のすべての収入のこと。地方税、地方交付税、国庫支出金、地方債、使用料・手数料などが含まれる。 歴史・経過 地方自治法および地方財政法に規定されている。歳入は、使途が特定されない「一般財源」と、使途が特定されている「特定財源」に大別される。安定した歳入構造を確立することが、健全な財政運営の基礎となる。 歳出(さいしゅつ) 意味 一会計年度における地方公共団体のすべての支出のこと。人件費、物件費、扶助費、公債費、普通建設事業費など、行政サービスを提供するためのあらゆる経費が含まれる。 歴史・経過 歳出は、その行政目的によって分類する「目的別分類」(民生費、土木費など)と、経費の経済的な性質によって分類する「性質別分類」(人件費、物件費など)がある。予算編成を通じて、限られた財源をどの歳出に配分するかが決定される。 歳計現金(さいけいげんきん) 意味 地方公共団体の歳入・歳出に属する現金のこと。日々の支払いに充てるための資金であり、会計管理者が保管・運用する。 歴史・経過 地方自治法に規定されている。年度の途中で支払資金が不足する場合には、一時借入金によって補われる。確実かつ有利な方法で保管することが求められ、指定金融機関等に預金されるのが一般的。 歳計剰余金(さいけいじょうよきん) 意味 一会計年度における歳入決算額から歳出決算額を単純に差し引いた差額。形式的な黒字額のこと。 歴史・経過 この歳計剰余金から、翌年度に繰り越すべき財源を控除したものが「実質収支(実質剰余金)」となる。地方財政法により、剰余金の半分以上は基金への積立または地方債の繰上償還に充てることが義務付けられている。 災害救助法(さいがいきゅうじょほう) 意味 大規模な災害が発生した際に、国が地方公共団体や日本赤十字社などと協力して、被災者の保護と社会秩序の保全を図るために必要な救助(避難所の設置、炊き出し、住宅の応急修理など)を定めた法律。 歴史・経過 1947年(昭和22年)に制定。都道府県知事が救助を実施するが、その費用は国が一定割合を負担する。迅速な救助活動の実施を目的とするため、資材の収用など、知事に強い権限が与えられている。 災害対策基本法(さいがいたいさくきほんほう) 意味 防災に関する国、地方公共団体、住民などの責務を明確にし、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧など、防災行政の基本を定めた法律。 歴史・経過 1959年(昭和34年)の伊勢湾台風を教訓に、1961年(昭和36年)に制定された。日本の防災法制の根幹をなす法律であり、その後の大規模災害の教訓を踏まえて、たびたび改正が行われている。 債権(さいけん) 意味 地方公共団体が、特定の人(法人を含む)に対して、金銭の給付などを請求できる権利。地方税、使用料、手数料、貸付金の返還請求権などがある。 歴史・経過 債権の適切な管理(発生把握、徴収、滞納整理など)は、歳入確保と住民負担の公平性の観点から極めて重要。近年、多くの自治体で債権管理条例を制定し、管理体制の強化を図っている。 債務(さいむ) 意味 地方公共団体が、特定の人(法人を含む)に対して、金銭の支払いなどをしなければならない義務。地方債の償還、工事代金の支払い、職員への給与支払いなどがある。 歴史・経過 地方債などの債務残高は、将来の財政負担を示す重要な指標となる。地方公共団体財政健全化法では、将来負担比率などの指標を用いて、債務の状況が監視されている。 債務負担行為(さいむふたんこうい) 意味 予算の単年度主義の例外の一つ。数年度にわたる契約など、将来の財政支出を約束する行為。あらかじめ議会の議決を得て、その限度額や期間を定める必要がある。 歴史・経過 地方自治法第214条に規定。土地の購入契約や、PFI事業、複数年度にわたるリース契約など、単年度の歳出予算だけでは対応できない場合に用いられる。将来の財政を拘束するため、計画的な活用が求められる。 最終処分場(さいしゅうしょぶんじょう) 意味 廃棄物(ごみ)を、埋め立てによって最終的に処分するための施設。燃やした後の灰や、リサイクルできない不燃ごみなどが埋め立てられる。 歴史・経過 廃棄物処理法に基づき、構造基準や維持管理基準が厳しく定められている。残余年数(あと何年埋め立てられるか)が全国的に逼迫しており、ごみの減量・リサイクルを推進し、最終処分場の延命化を図ることが大きな行政課題となっている。 財源(ざいげん) 意味 行政活動を行うために必要となる歳入のこと。使途が特定されず自由に使える「一般財源」(地方税など)と、使途が定められている「特定財源」(国庫支出金など)に大別される。 歴史・経過 地方分権の進展のためには、自治体が自主的に確保・決定できる一般財源、特に地方税の割合を高めることが重要とされる。財源の確保は、予算編成における最も重要なプロセスである。 財政(ざいせい) 意味 国や地方公共団体が、行政サービスを提供するために行う一連の経済活動。租税などを徴収し(歳入)、それを予算として配分し、公共の目的のために支出(歳出)する仕組み全体を指す。 歴史・経過 財政の役割には、資源配分機能、所得再分配機能、経済の安定化機能の3つがあるとされる。近年は、少子高齢化に伴う社会保障費の増大や公共施設の老朽化対策など、厳しい課題に直面している。 財政再生団体(ざいせいさいせいだんたい) 意味 地方公共団体財政健全化法に定める財政再生基準(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率のいずれか)以上となった、財政破綻状態にある地方公共団体。 歴史・経過 2007年(平成19年)に北海道夕張市が財政破綻したことを契機に、同年に財政健全化法が制定され、この制度が設けられた。財政再生団体になると、国の同意がなければ地方債の発行などができなくなり、国の関与のもとで徹底した財政再建に取り組むことになる。 財政調整基金(ざいせいちょうせいききん) 意味 地方公共団体が、年度間の財源の不均衡を調整するために、財源に余裕がある年度に資金を積み立てておくための基金(貯金)。 歴史・経過 地方財政法に基づき、条例で設置される。景気の変動による税収の増減や、大規模災害などの不測の事態に備える役割を持つ。自治体の「貯金」として、財政運営の安定化に不可欠な存在。 財政力指数(ざいせいりょくしすう) 意味 地方公共団体の財政力を示す指標。標準的な行政需要額(基準財政需要額)に対して、自主的に確保できる標準的な税収額(基準財政収入額)がどの程度の割合を占めるかを示す。 歴史・経過 地方交付税の算定に用いられる。この指数が1.0を上回ると、自前の税収で行政需要を賄える「不交付団体」となり、地方交付税(普通交付税)が交付されない。東京都は長年、代表的な不交付団体である。 査定(さてい) 意味 予算編成過程において、財政担当部局(国の財務省、地方公共団体の財政課など)が、各部局から提出された予算要求(概算要求)の内容を精査し、その必要性や金額の妥当性を判断して、予算案に計上する金額を決定すること。 歴史・経過 財政規律を維持し、限られた財源を重点的・効率的に配分するための重要なプロセス。各部局と財政担当部局との間で厳しい折衝が行われる。 サウンディング型市場調査(さうんでぃんぐがたしじょうちょうさ) 意味 行政が保有する公共施設や土地の活用、PFIなどの官民連携事業を検討する初期段階で、民間事業者から直接意見やアイデアを聴取し、対話を通じて市場性を把握する調査手法。 歴史・経過 2010年代から、官民連携を円滑に進める手法として普及した。事業の実現可能性を高め、より良い事業条件を設定することや、民間事業者の参入意欲を喚起することを目的とする。 サテライトオフィス(さてらいとおふぃす) 意味 企業などが、本拠地から離れた場所に設置する小規模なオフィス。行政分野では、地方創生の一環として、都市部の企業が地方に設置するオフィスを誘致する取り組みや、職員の多様な働き方を実現するために自治体が設置する執務スペースを指す。 歴史・経過 ICTの進展により、場所にとらわれない働き方が可能になったことで注目された。特にコロナ禍以降、テレワークの普及とともに、地方への人の流れを創出する施策として、多くの自治体が誘致や整備を進めている。 参事(さんじ) 意味 地方公共団体における職名の一つ。主に課長級や部長級の職員が就く役職で、特定の重要事項の企画・立案や調査、関係機関との調整などを担当するスタッフ職として置かれることが多い。 歴史・経過 ライン組織(部長-課長-係長)の管理職とは別に、高度な専門性や経験を活かして組織横断的な課題に対応するために設置される。東京都などでは、重要な政策課題を担当するポストとして活用されている。 産業廃棄物(さんぎょうはいきぶつ) 意味 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、廃棄物処理法で定められた20種類のもの(燃え殻、汚泥、廃油、廃プラスチック類など)。 歴史・経過 産業廃棄物の処理責任は、原則としてそれを排出した事業者にある。不法投棄が深刻な社会問題となったことから、排出事業者責任の徹底や、マニフェスト(産業廃棄物管理票)制度による管理強化が図られてきた。 三位一体の改革(さんみいったいのかいかく) 意味 2000年代前半の小泉純一郎内閣で進められた、地方分権を推進するための財政改革。「国庫補助負担金の改革」「地方交付税の改革」「税源移譲」の3つを一体的に行うことから名付けられた。 歴史・経過 国の関与を減らし、地方の自主性と責任を高めることを目的とした。国庫補助負担金を削減し、その見合いとして、所得税から住民税へ約3兆円の税源が移譲された。地方財政に大きな影響を与えた改革として知られる。 参与(さんよ) 意味 地方公共団体において、特定の分野に関する高度な専門知識や豊富な経験を持つ外部の専門家などを、非常勤の特別職として任命し、首長や幹部職員に対して助言や提言を行ってもらう役職。 歴史・経過 行政だけでは対応が困難な専門性の高い課題(国際金融、デジタル戦略、危機管理など)について、民間の知見を迅速かつ柔軟に活用するために設置される。 シーリング(しーりんぐ) 意味 「天井」「上限」の意味。予算編成において、歳出の膨張を抑制するために、各省庁や各部局が要求できる予算額に、あらかじめ上限枠を設定すること。概算要求基準ともいう。 歴史・経過 国の予算編成では、1980年代から財政再建の手法として本格的に導入された。経済情勢や政策の優先順位を反映したシーリングが設定され、予算編成の大きな枠組みを決定する。 市街化区域(しがいかくいき) 意味 都市計画法に基づき、都市計画区域内に定められる区域の一つ。「すでに市街地を形成している区域」および「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」。 歴史・経過 1968年(昭和43年)の都市計画法改正で、無秩序な市街化を防止するための「線引き」制度とともに導入された。この区域内では、開発行為が比較的容易に認められ、道路・公園・下水道などの都市基盤が重点的に整備される。 市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき) 意味 都市計画法に基づき、都市計画区域内に定められる区域の一つ。「市街化を抑制すべき区域」とされ、原則として開発行為や建築行為が厳しく制限される。 歴史・経過 市街化区域とともに「線引き」制度の中核をなす。都市の無秩序な拡大(スプロール)を防ぎ、農地や緑地などの自然環境を保全することを目的とする。 事業仕分け(じぎょうしわけ) 意味 国や地方公共団体の個別の事業について、公開の場で外部の視点も交えながら、その必要性や効率性を評価し、「廃止」「見直し」「継続」などを判定する行政改革の手法。 歴史・経過 2009年(平成21年)に発足した鳩山由紀夫内閣の行政刷新会議で実施され、注目を集めた。予算編成プロセスを可視化し、無駄を削減する効果が期待されたが、短期的な視点での判断に陥りやすいなどの批判もあった。 事業評価(じぎょうひょうか) 意味 「事務事業評価」とも言う。地方公共団体が行う個々の事業(事務事業)について、目的の妥当性、有効性、効率性などの観点から評価し、その結果を予算編成や事業の見直し・改善に反映させる仕組み。 歴史・経過 1990年代後半からの行政評価の導入に伴い、多くの自治体で実施されている。PDCAサイクルを回し、限られた行政資源を効果的に活用することを目的とする。 資産(しさん) 意味 地方公共団体が保有する財産のうち、将来的に現金収入や行政サービスをもたらすもの。土地、建物、インフラ(道路、橋りょうなど)、基金、有価証券などが含まれる。 歴史・経過 新公会計制度の導入により、自治体の資産と負債を一覧にした貸借対照表(バランスシート)の作成が進められている。これにより、自治体がどれだけの資産を持ち、将来世代に引き継いでいくのかを可視化できるようになった。 シティプロモーション(してぃぷろもーしょん) 意味 自治体が、自らの都市の魅力(観光、産品、文化、居住環境など)を地域内外に積極的に発信し、イメージ向上、交流人口・定住人口の増加、地域経済の活性化などを目指す戦略的な広報活動。 歴史・経過 人口減少社会を迎え、都市間の競争が激化する中で、2000年代以降、多くの自治体が重要施策として取り組んでいる。ゆるキャラの活用、SNSでの情報発信、移住体験ツアーなど、手法は多様化している。 指定管理者制度(していかんりしゃせいど) 意味 地方公共団体が設置した「公の施設」(ホール、体育館、公園、福祉施設など)の管理運営を、株式会社などの民間事業者やNPO法人なども含む幅広い団体に委ねることができる制度。 歴史・経過 2003年(平成15年)の地方自治法改正により導入された。それまでの管理委託制度が委託先を公共的団体に限定していたのに対し、民間事業者の参入を可能にした。民間のノウハウを活用し、住民サービスの向上と経費の削減を図ることを目的とする。 指名競争入札(しめいきょうそうにゅうさつ) 意味 公共事業の契約方式の一つ。発注機関が、資力、信用、技術、実績などから、あらかじめ複数の特定の業者を指名し、その業者間で競争させて契約相手を決定する方式。 歴史・経過 一般競争入札に比べ、不良・不適格業者の参入を排除できるメリットがあるが、業者選定の過程が不透明になりやすく、談合の温床となりやすいとの批判もある。そのため、近年は一般競争入札への移行が進んでいる。 市民参加(しみんさんか) 意味 住民が、地方公共団体の政策形成、実施、評価といった行政のプロセスに、様々な形で関与すること。審議会への参加、パブリックコメント、住民投票、協働事業などが含まれる。 歴史・経過 地方分権の進展とともに、行政運営の透明性・公正性を高め、多様な住民ニーズを的確に反映させるために、その重要性が高まっている。多くの自治体で、市民参加条例などを制定し、参加の機会を保障している。 事務監査請求(じむかんさせいきゅう) 意味 地方自治法に定められた住民の直接請求権の一つ。選挙権を有する者の総数の50分の1以上の署名をもって、監査委員に対し、地方公共団体の事務の執行に関する監査を請求できる制度。 歴史・経過 財務会計上の行為に限定される住民監査請求と異なり、事務執行全般を対象とできるのが特徴。行政運営の適法性や効率性を住民の側からチェックするための重要な権利。 社会資本(しゃかいしほん) 意味 インフラストラクチャーとも言う。道路、港湾、空港、上下水道、公園、学校、病院など、国民の生活や経済活動の基盤となる公共施設。 歴史・経過 高度経済成長期に集中的に整備された社会資本が、一斉に老朽化し、その維持管理・更新が国・地方の大きな財政課題となっている。計画的なメンテナンスによる長寿命化(アセットマネジメント)が急務。 社会保障(しゃかいほしょう) 意味 病気、高齢、障害、失業、貧困など、国民が生活の上で直面する様々なリスクに対して、国や社会が所得を保障したり、医療や介護のサービスを提供したりすることで、生活の安定を図る仕組みの総称。「年金」「医療」「介護」「子ども・子育て支援」などが柱。 歴史・経過 少子高齢化の急速な進展により、社会保障給付費は増大の一途をたどっており、その費用をどう賄うかが国・地方の財政における最大の課題となっている。制度の持続可能性を確保するための改革が常に議論されている。 社会保障・税番号制度(しゃかいほしょう・ぜいばんごうせいど) 意味 マイナンバー制度のこと。住民票を持つすべての人に12桁の個人番号(マイナンバー)を付番し、社会保障、税、災害対策の分野で情報を連携させ、行政の効率化、国民の利便性向上、公平・公正な社会の実現を目指す社会基盤。 歴史・経過 2013年(平成25年)に番号法が成立し、2016年(平成28年)から運用が開始された。マイナンバーカードの普及や、利用範囲の拡大が国の重要政策として進められている。 収入役(しゅうにゅうやく) 意味 2007年(平成19年)3月まで地方公共団体に置かれていた必置の特別職。首長から独立して、会計事務をつかさどる機関であった。 歴史・経過 2006年(平成18年)の地方自治法改正により、助役とともに廃止され、新たに「会計管理者」が設置された。収入役は議会の同意を得て首長が選任する独任制の機関であったが、会計管理者は一般職または特別職の職員から首長が任命する補助機関となった。 受益者負担金(じゅえきしゃふたんきん) 意味 特定の公共事業(道路、下水道、公園の整備など)によって、特に利益を受ける者(受益者)に、その受益の限度において、事業経費の一部を負担してもらう制度。 歴史・経過 地方財政法に規定されている。事業によって利益を受ける者と受けない者との間の負担の公平性を確保することを目的とする。下水道事業受益者負担金などが代表例。 主査(しゅさ) 意味 地方公共団体における職名の一つ。一般的に、係長級の職員が就く役職で、係の業務の中核を担い、他の係員の指導や、特定の専門業務を担当する。 歴史・経過 係長というライン管理職のポストとは別に、経験豊富な職員を処遇し、専門性を活かしてもらうためのスタッフ職として設けられることが多い。組織によってその役割や位置づけは異なる。 主税局(しゅぜいきょく) 意味 地方公共団体の組織において、地方税の賦課・徴収事務を専門に所管する部局。東京都や一部の政令指定都市に設置されている。 歴史・経過 東京都主税局は、都税に関する企画立案から賦課・徴収までを一元的に担う巨大な専門組織。都の歳入の根幹をなす都税を安定的に確保する重要な役割を担っている。 首長(しゅちょう) 意味 地方公共団体の長のこと。都道府県知事、市町村長、特別区長を指す。住民の直接選挙によって選ばれ、当該自治体を統括し、代表する執行機関。 歴史・経過 議会(議決機関)と首長(執行機関)が互いに抑制と均衡を保ちながら自治体運営を担う「二元代表制」の一翼を担う。予算案の提出権、条例の公布、職員の任免などの権限を持つ。 出納整理期間(すいとうせいりきかん) 意味 会計年度が終了した後、その年度の歳入の収納や歳出の支払いを完結させるために設けられた期間。会計年度独立の原則の例外。 歴史・経過 地方自治法施行令により、新年度の4月1日から5月31日までと定められている。この期間中に行われる前年度所属の現金の出納をもって、前年度の決算が確定する。 出納閉鎖(すいとうへいさ) 意味 出納整理期間が終了する5月31日をもって、前会計年度に属する一切の現金の出納を打ち切ること。これにより、その年度の歳入歳出が完全に確定する。 歴史・経過 出納閉鎖後、会計管理者は決算書を作成し、首長に提出する。この決算書が、監査委員の審査を経て、議会の認定に付されることになる。 住民監査請求(じゅうみんかんさせいきゅう) 意味 地方自治法に定められた住民の直接請求権の一つ。住民が、地方公共団体の長や職員による違法・不当な公金の支出、財産の管理、契約の締結などがあると認めるとき、監査委員に対して監査を求め、必要な措置を講ずるよう請求できる制度。 歴史・経過 地方自治体の財務の公正を確保し、住民の利益を守るための重要な制度。この監査請求に不服がある場合などに、次の段階として「住民訴訟」を提起することができる。 住民基本台帳(じゅうみんきほんだいちょう) 意味 市町村(および特別区)が、その区域内に住所を有する住民について、氏名、生年月日、性別、住所などを記録する公の帳簿。住民票の基礎となる。 歴史・経過 1967年(昭和42年)に住民基本台帳法が制定され、整備された。選挙人名簿の登録、国民健康保険や国民年金の資格管理など、様々な行政サービスの基礎情報として利用される。 住民税(じゅうみんぜい) 意味 地方税の一つで、「個人住民税」と「法人住民税」がある。個人住民税は、都道府県が課す「道府県民税」と、市区町村が課す「市町村民税」の総称。前年の所得に応じて課される「所得割」と、所得にかかわらず定額で課される「均等割」からなる。 歴史・経過 市町村(特別区)が、都道府県民税とあわせて一括して賦課・徴収する。地方公共団体にとって、固定資産税と並ぶ重要な基幹税目である。 住民訴訟(じゅうみんそしょう) 意味 住民監査請求を行った結果に不服がある場合などに、住民が地方公共団体を相手取って、裁判所に違法な財務会計行為の差止めや損害賠償などを請求する訴訟。 歴史・経過 地方自治法第242条の2に規定されている。納税者として、自治体の財政の適正な運営を確保するために認められた権利であり、「納税者訴訟」とも呼ばれる。 住民投票(じゅうみんとうひょう) 意味 地方公共団体の重要な政策課題について、住民が直接、賛成か反対かの意思表示を行う投票。 歴史・経過 地方自治法には、特定の自治体のみに適用される条例の制定(地方特別法)や、議会の解散請求、首長・議員の解職請求など、特定の事項について規定がある。それ以外に、自治体が条例を制定して、特定の政策課題(例:大規模施設の建設、市町村合併)について住民の意思を問うために任意で行うものもある。 将来負担比率(しょうらいふたんひりつ) 意味 地方公共団体財政健全化法に定められた財政指標の一つ。地方債残高や将来支払う可能性のある負担など、自治体が将来支払っていく負債の大きさを、標準的な財政規模に対する割合で示したもの。 歴史・経過 2007年(平成19年)に導入。この比率が高いほど、将来の財政を圧迫する可能性が高いことを示す。一定の基準(早期健全化基準は350%)を超えると、財政健全化計画の策定が義務付けられる。 情報公開制度(じょうほうこうかいせいど) 意味 国や地方公共団体が保有する行政文書を、住民や国民からの請求に応じて原則として公開することを定めた制度。 歴史・経過 1999年(平成11年)に国の情報公開法が制定され、地方公共団体でも条例の制定が進んだ。行政運営の透明性を高め、住民による行政への参加を促進し、開かれた行政を実現することを目的とする。 消防団(しょうぼうだん) 意味 市町村の消防機関の一つ。常勤の消防職員が勤務する消防本部・消防署とは異なり、普段は各自の仕事を持ちながら、火災や災害が発生した際に活動する非常勤の地方公務員で構成される組織。 歴史・経過 消防組織法に基づき設置される。地域に密着した存在として、初期消火活動や住民の避難誘導、平常時の防火啓発活動など、地域の防災力の中核を担う重要な役割を果たしている。 条例(じょうれい) 意味 地方公共団体が、その自治権に基づき、議会の議決によって制定する自主法。法律の範囲内で、その地域の事務について定めることができる。 歴史・経過 日本国憲法第94条で制定権が保障されている。条例で、義務を課したり権利を制限したりする場合には、法律の委任が必要。また、罰則を設けることもできる。まちづくり条例、環境基本条例、情報公開条例など、地域の課題に応じた多様な条例が制定されている。 除却(じょきゃく) 意味 建物や設備などの固定資産を、取り壊しや廃棄によって事業の用に供さなくなること。会計上、その資産を帳簿から除く処理を指す。 歴史・経過 公共施設の老朽化が進む中、施設の統廃合や建て替えに伴う除却が増加している。除却には解体費用などが発生するため、公共施設等総合管理計画において、将来の除却費用を見込んだ計画的な資産管理が求められる。 審議会(しんぎかい) 意味 法律や条例に基づき、地方公共団体の長の諮問(意見を求めること)に応じて、特定の専門事項を調査・審議し、答申(意見を報告すること)を行う付属機関。 歴史・経過 学識経験者や各種団体の代表者、公募の住民などで構成される。政策決定の過程に専門的な知見や多様な民意を反映させ、決定の客観性・公正性を担保する役割を持つ。 新公会計制度(しんこうかいけいせいど) 意味 地方公共団体の会計において、従来の現金主義・単式簿記に加えて、企業会計的な手法である発生主義・複式簿記を導入し、資産や負債を含むストック情報や、減価償却費などのコスト情報を把握できるようにする会計制度。 歴史・経過 2006年(平成18年)頃から総務省が推進し、全国の自治体で導入が進められた。貸借対照表や行政コスト計算書などの財務書類を作成・公表することで、財政の透明性を高め、住民への説明責任を果たすことを目的とする。 人件費(じんけんひ) 意味 地方公共団体が、職員の勤務の対価として支払う一切の経費。給料、職員手当、共済費(社会保険料の事業主負担分)などが含まれる。歳出の性質別分類の一つで、義務的経費の中核。 歴史・経過 歳出に占める割合が大きく、一度増えると削減が困難なため、その動向は財政運営に大きな影響を与える。定員管理の適正化や給与制度の見直しなどが、行財政改革の重要なテーマとなる。 人事委員会(じんじいいんかい) 意味 地方公務員法に基づき、政令指定都市や都道府県に設置される人事行政の専門機関。中立・公正な立場で、職員の採用試験、給与に関する勧告、職員の不利益処分に対する審査などを行う。 歴史・経過 公務員の労働基本権が制約されていることの代償措置として、人事行政の公正を確保し、職員の利益を保護する役割を担う。3人の委員で構成される合議制の執行機関。 随意契約(ずいいけいやく) 意味 競争入札によらず、地方公共団体が任意に特定の相手方を選んで契約を締結する方式。 歴史・経過 地方自治法施行令で、随意契約によることができる場合が限定的に定められている(少額の契約、緊急の必要、特定の者でなければ履行できない契約など)。競争性・透明性の観点から、その適用は抑制的であるべきとされ、近年、適用基準の厳格化や理由の公表などが進められている。 スクラップ・アンド・ビルド(すくらっぷ・あんど・びるど) 意味 「古いものを壊して(スクラップ)、新しいものを作る(ビルド)」という意味。行政改革の文脈では、新規の事業や組織を立ち上げる際には、既存の事業や組織を同等規模で廃止・見直し、歳出の純増を抑制するという原則を指す。 歴史・経過 行財政改革において、歳出削減と行政のスリム化を徹底するためのスローガンとして用いられてきた。限られた財源の中で、時代の変化に対応した新たな政策課題に取り組むための手法。 スマートシティ(すまーとしてぃ) 意味 AIやIoTなどの先端技術を活用して、都市が抱える様々な課題(防災、交通、エネルギー、健康、行政サービスなど)を解決し、住民の生活の質を高める、持続可能な都市またはその取り組み。 歴史・経過 2010年代後半から、国の成長戦略の柱として推進されている。データ連携基盤を整備し、分野横断でデータを活用することで、効率的で質の高いサービスを提供することを目指す。 ステークホルダー(すてーくほるだー) 意味 「利害関係者」のこと。行政の活動によって、直接的または間接的に影響を受けるすべての人々や組織を指す。住民、企業、NPO、議会、職員、近隣自治体などが含まれる。 歴史・経過 政策の企画・立案や事業の実施にあたっては、多様なステークホルダーの意見を聴き、合意形成を図ることが、円滑な行政運営のために不可欠となっている。 ストック(すとっく) 意味 「蓄積」「在庫」の意味。財政分析において、ある一時点で自治体が保有している資産や負債の残高を指す。貸借対照表(バランスシート)で示される。 歴史・経過 毎年度の現金の出入りである「フロー」(歳入・歳出)と対比される概念。新公会計制度の導入により、ストック情報を把握し、資産・負債の総合的な管理(アセットマネジメント)を行うことの重要性が高まった。 スプロール現象(すぷろーるげんしょう) 意味 都市の郊外部において、無秩序・無計画に宅地開発が進み、住宅や施設が虫食い状に広がっていく現象。 歴史・経過 高度経済成長期の都市化の過程で大きな問題となった。道路や下水道などのインフラ整備が追いつかず、非効率な都市運営や、農地・緑地の喪失を招く。これを防ぐため、1968年(昭和43年)の都市計画法改正で「線引き」制度が導入された。 生活保護制度(せいかつほごせいど) 意味 日本国憲法第25条の理念に基づき、生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする制度。 歴史・経過 1950年(昭和25年)に現行の生活保護法が制定。保護の実施機関は、都道府県知事、市長、福祉事務所を設置する町村長である。生活扶助、住宅扶助、医療扶助など8種類の扶助がある。 政策(せいさく) 意味 行政が、特定の社会的な課題を解決し、公共の利益を実現するために設定する目標と、その目標を達成するための一連の行動方針や手段のこと。 歴史・経過 政策は、条例、予算、計画、事業といった具体的な形で具現化される。近年は、EBPM(証拠に基づく政策立案)の考え方が広まり、客観的なデータに基づいて政策を企画・立案・評価することが重視されている。 政策評価(せいさくひょうか) 意味 行政機関が行う政策や事業について、その効果や必要性を客観的に分析・評価し、結果を公表するとともに、政策の見直しや改善に役立てる仕組み。 歴史・経過 2001年(平成13年)に行政機関が行う政策の評価に関する法律(政策評価法)が制定され、国の機関で義務化された。地方公共団体でも、行政評価条例などを制定し、説明責任の向上と効果的・効率的な行政運営を目指して取り組みが進んでいる。 政策法務(せいさくほうむ) 意味 法的な知識や思考(リーガルマインド)を活用して、積極的に政策の企画・立案や実現を図っていく行政活動。単なる法令の解釈・運用にとどまらず、新たな条例の制定や法改正の提案なども含む。 歴史・経過 地方分権の進展により、自治体が自己決定・自己責任で地域課題を解決する必要性が高まる中で、その重要性が認識されるようになった。法務担当部署だけでなく、すべての職員に求められる能力とされる。 政令指定都市(せいれいしていとし) 意味 地方自治法に基づき、政令で指定された人口50万人以上の市。「指定都市」とも呼ばれる。都道府県が処理する事務の一部(児童相談所の設置、教職員の任免など)を、都道府県に代わって処理できる権限を持つ。 歴史・経過 1956年(昭和31年)に制度が創設され、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市の5市が最初に指定された。行政区を設置することができるなど、大都市行政の効率化を図るための特例が認められている。 性質別分類(せいしつべつぶんるい) 意味 地方公共団体の歳出予算を、その経済的な性質によって分類したもの。「人件費」「物件費」「維持補修費」「扶助費」「補助費等」「普通建設事業費」「公債費」「積立金」「投資及び出資金」「貸付金」などに分けられる。 歴史・経過 行政の目的で分類する「目的別分類」とともに、予算・決算を分析するための基本的な分類方法。財政の硬直度を示す経常収支比率の算出などに用いられる。 清掃工場(せいそうこうじょう) 意味 家庭などから出される可燃ごみを焼却処理するための施設。ごみ焼却場とも呼ばれる。 歴史・経過 ごみを焼却することで、衛生的に処理し、容積を大幅に減らすことができる。近年は、焼却の際に発生する熱エネルギーを利用して発電を行う「ごみ発電」や、熱を温水プールなどに供給する「熱供給」など、エネルギーの有効活用が図られている。 請願(せいがん) 意味 国民や住民が、国や地方公共団体に対して、その職務に関する事項について、文書で希望を述べること。日本国憲法で保障された権利。 歴史・経過 地方議会に対する請願は、議員の紹介により提出する必要がある。議会は、採択した請願のうち、執行機関で処理することが適当と認めるものは、首長などに送付し、その処理の経過や結果の報告を求めることができる。 専決処分(せんけつしょぶん) 意味 本来は議会の議決が必要な事項について、地方公共団体の長が、議会の議決に代わって決定を下すこと。 歴史・経過 地方自治法に規定されており、議会を招集する時間的余裕がない緊急の場合や、議会が定めた軽易な事項について認められる。専決処分を行った後は、次の議会に報告し、承認を求めなければならない。 選挙(せんきょ) 意味 住民が、自分たちの代表者(首長や議員)を投票によって選ぶ行為。間接民主制の根幹をなす。 歴史・経過 選挙の公正を確保するため、公職選挙法で投票、選挙運動、選挙資金などについて詳細なルールが定められている。選挙に関する事務は、首長から独立した行政委員会である選挙管理委員会が管理する。 選挙管理委員会(せんきょかんりいいんかい) 意味 国や地方公共団体の選挙が公正に行われるよう、管理・執行するための中立的な機関。地方公共団体に設置されるものは、議会で選挙された4人の委員で構成される行政委員会。 歴史・経過 地方自治法および公職選挙法に基づき設置される。選挙人名簿の調製、投票・開票事務の管理、選挙違反の取締り、選挙啓発などを行う。 ゼロカーボンシティ(ぜろかーぼんしてぃ) 意味 2050年までに、二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにすることを目指す旨を表明した地方公共団体のこと。「実質ゼロ」とは、CO2などの温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いて、合計をゼロにすることを意味する。 歴史・経過 2018年(平成30年)のIPCC特別報告書などを背景に、2019年(令和元年)に当時の小泉環境大臣が自治体への表明を呼びかけたことから広まった。再生可能エネルギーの導入、省エネの徹底、ライフスタイルの転換などを通じて目標達成を目指す。 総合計画(そうごうけいかく) 意味 地方公共団体が、その行政を総合的かつ計画的に運営するために定める、自治体経営の最上位計画。「基本構想」「基本計画」「実施計画」の3層で構成されることが多い。 歴史・経過 かつては地方自治法で策定が義務付けられていたが、2011年(平成23年)の法改正で義務付けは廃止された。しかし、多くの自治体では、まちづくりの羅針盤として、議会の議決を経て自主的に策定している。 総合評価方式(そうごうひょうかほうしき) 意味 公共工事の入札において、価格だけでなく、企業の技術力、品質、安全性、環境への配慮なども含めて総合的に評価し、落札者を決定する方式。 歴史・経過 価格のみで競争する一般競争入札では、品質の低下やダンピング(不当廉売)が懸念されることから、2005年(平成17年)に公共工事品質確保促進法(品確法)が改正され、本格的に導入された。「価格と品質で最も優れた調達」を目指す。 ソーシャル・インパクト・ボンド(そーしゃる・いんぱくと・ぼんど) 意味 SIBと略される。行政が民間資金を活用して社会課題解決を目指す成果連動型の官民連携手法。民間事業者が、投資家から調達した資金で予防的な福祉サービスなどを実施し、事業の成果(行政コストの削減額など)に応じて、行政が投資家や事業者に対価を支払う仕組み。 歴史・経過 2010年にイギリスで始まり、日本では2010年代半ばから導入が試みられている。再犯防止、特別養子縁組の推進、糖尿病の重症化予防などの分野で活用事例がある。 措置(そち) 意味 行政が、法律に基づき、特定の状況にある人に対して、その意思にかかわらず、一方的にサービス提供や保護などを決定し、実施すること。 歴史・経過 かつての老人福祉や障害者福祉は、行政が必要性を判断してサービスを決定する「措置制度」が中心であった。2000年の介護保険制度や2003年の支援費制度(後の障害者自立支援法)の導入により、利用者がサービスを選択・契約する「契約制度」への転換が進んだ。 たちつてと 第一号法定受託事務(だいいちごうほうていじゅたくじむ) 意味 国が本来果たすべき役割に係る事務のうち、法律や政令により、都道府県、市町村または特別区が処理することとされた事務。 歴史・経過 2000年(平成12年)の地方分権一括法の施行により、それまでの機関委任事務制度が廃止され、創設された。国政選挙、旅券(パスポート)の交付、戸籍事務、生活保護の決定・実施などが該当する。国は、事務の処理について、自治体に対して必要な指示などを行うことができる。 第二号法定受託事務(だいにごうほうていじゅたくじむ) 意味 都道府県が本来果たすべき役割に係る事務のうち、法律や政令により、市町村または特別区が処理することとされた事務。 歴史・経過 第一号法定受託事務と同様に、2000年(平成12年)の地方分権一括法により創設された。都道府県議会議員選挙の執行、市町村を通じた県税の徴収事務などが該当する。都道府県は、市町村などに対して必要な指示を行うことができる。 第三セクター(だいさんせくたー) 意味 国や地方公共団体(第一セクター)と、民間企業(第二セクター)が共同で出資して設立した事業体のこと。地域の振興や公共的な事業を、民間の経営手法を取り入れて効率的に行うことを目的とする。 歴史・経過 1970年代から、地域開発や公共サービス提供の担い手として全国で数多く設立された。しかし、バブル経済崩壊後、経営不振に陥る例が相次ぎ、自治体の財政を圧迫する要因ともなった。近年は、経営の透明化や抜本的な見直しが進められている。 ダイバーシティ(だいばーしてぃ) 意味 「多様性」のこと。行政分野では、性別、年齢、国籍、人種、障害の有無、性的指向、価値観などの多様性を尊重し、誰もが個性と能力を発揮して活躍できる社会の実現を目指す理念。 歴史・経過 企業の経営戦略として広まった後、行政においても重要な政策理念として定着した。男女共同参画、多文化共生、障害者雇用促進、LGBTQ支援など、様々な施策がダイバーシティの推進を目的として行われている。 滞納(たいのう) 意味 納付すべき税金、保険料、使用料などを、定められた納期限までに納付しないこと。 歴史・経過 滞納が発生すると、督促状が送付され、延滞金が加算される。それでも納付されない場合は、法律に基づき、財産の差押えなどの滞納処分が行われる。住民負担の公平性を確保するため、自治体は徴収率の向上と滞納の解消に努めている。 滞納処分(たいのうしょぶん) 意味 滞納された地方税などを、法律に基づいて強制的に徴収するための一連の手続き。財産の調査、差押え、換価(公売などによる現金化)、配当(滞納税への充当)からなる。 歴史・経過 国税徴収法および地方税法に手続きが定められている。行政が自らの判断で強制的に権利を実現できる「自力執行権」の行使であり、裁判所の令状などを必要としない点が特徴。適正な手続きの遵守が厳しく求められる。 待機児童(たいきじどう) 意味 保育所などへの入所を申請しているが、施設の定員超過などの理由で入所できず、待機している状態にある児童のこと。 歴史・経過 女性の社会進出や核家族化を背景に、特に都市部で深刻な社会問題となった。国・地方公共団体は、保育所の整備、保育士の確保・処遇改善など、待機児童解消に向けた様々な対策(「子ども・子育て支援新制度」など)を推進してきた。 耐震化(たいしんか) 意味 建築物や橋りょうなどの構造物を、地震の揺れに対して倒壊・損壊しないように、または被害を最小限に抑えるために、補強工事などを行うこと。 歴史・経過 1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災を大きな教訓として、建築基準法の耐震基準が強化されるとともに、公共施設(学校、庁舎など)や住宅の耐震化が国の重要政策となった。自治体は、耐震診断や改修工事に対する補助制度を設けている。 代表監査委員(だいひょうかんさいいん) 意味 地方公共団体の監査委員の中から、互選によって選ばれる代表者。監査委員に関する庶務や、監査結果の報告書の提出などを行う。 歴史・経過 地方自治法に規定されている。監査委員は複数名で構成される合議制の機関であるが、対外的な代表者として、また内部の事務を整理する者として代表監査委員が置かれる。識見を有する委員(常勤)が就くことが多い。 多文化共生(たぶんかきょうせい) 意味 国籍や民族、文化的な背景が異なる人々が、互いの違いを認め合い、尊重し、対等な関係を築きながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと。 歴史・経過 在留外国人の増加に伴い、1990年代後半から行政の重要な課題として認識されるようになった。日本語教育の支援、多言語による情報提供、外国人住民が参加する地域づくりなどが、多くの自治体で推進されている。 単独事業(たんどくじぎょう) 意味 国からの国庫補助金などを受けずに、地方公共団体が独自の判断と財源(一般財源)のみで実施する事業。 歴史・経過 国庫補助事業が、国の基準や方針に従う必要があるのに対し、単独事業は自治体が地域の実情に応じて自由に内容を設計できるため、地方自治の本旨である「自己決定・自己責任」を最もよく体現する事業といえる。 単年度主義の原則(たんねんどしゅぎのげんそく) 意味 地方公共団体の予算は、一会計年度(4月1日〜翌年3月31日)で独立しており、その年度の歳入をもってその年度の歳出を賄うという原則。 歴史・経過 地方自治法第208条に規定されている。毎年度、議会の議決を経て予算を確定させ、財政の健全性と透明性を確保することを目的とする。ただし、繰越明許費や債務負担行為など、複数年度にわたる事業に対応するための例外規定も設けられている。 地域医療構想(ちいきいりょうこうそう) 意味 団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え、将来の医療需要を推計し、その地域にふさわしいバランスの取れた医療機能の分化と連携を推進するためのビジョン。 歴史・経過 2014年(平成26年)の医療介護総合確保推進法に基づき、各都道府県が策定。病床の機能を高度急性期、急性期、回復期、慢性期に分け、地域の医療機関が協議を通じて役割分担を進めることを目指す。 地域おこし協力隊(ちいきおこしきょうりょくたい) 意味 都市部の住民が、過疎・山村地域などに移住し、一定期間、地域協力活動(農林水産業への従事、特産品の開発・PR、住民の生活支援など)を行いながら、その地域への定住・定着を図る総務省の制度。 歴史・経過 2009年度(平成21年度)に創設。地方への新たな人の流れを生み出し、地域の活性化を図ることを目的とする。隊員の活動経費などについて、国が地方公共団体に財政支援を行う。 地域包括ケアシステム(ちいきほうかつけあしすてむ) 意味 高齢者が、要介護状態となっても、可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する体制。 歴史・経過 団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、国が構築を推進。保険者である市町村や特別区が中心となり、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが求められる。 地方財政(ちほうざいせい) 意味 地方公共団体(都道府県、市町村、特別区)が、住民福祉の向上のために行う行政サービスを、金銭的な側面から捉えた経済活動。歳入の確保と歳出の執行からなる。 歴史・経過 地方自治の根幹をなすものであり、その自主性と健全性の確保が重要。地方税、地方交付税、国庫支出金、地方債などが主な財源。少子高齢化による社会保障費の増大など、厳しい課題に直面している。 地方財政計画(ちほうざいせいけいかく) 意味 国が、翌年度の地方公共団体全体の歳入歳出総額の見込額を、マクロの視点で推計したもの。地方財源の保障と、地方公共団体の計画的な財政運営の指針としての役割を持つ。 歴史・経過 毎年、国の予算編成と並行して策定され、閣議決定を経て国会に提出される。地方交付税の総額や、地方債の発行計画などが盛り込まれ、個々の自治体の予算編成に大きな影響を与える。 地方債(ちほうさい) 意味 地方公共団体が、道路・学校の建設などの大規模な事業に必要な資金を調達するために、一会計年度を超えて返済する借入金。および、その借入れを証するために発行する債券。 歴史・経過 将来世代も利用する施設の建設費を、世代間で公平に負担する機能を持つ。発行には、地方財政法により、対象事業や手続きが厳しく定められており、原則として総務大臣または都道府県知事の許可・協議が必要。 地方自治(ちほうじち) 意味 一定の地域社会における公共的な事柄を、国から独立した立場で、その地域の住民の意思と責任に基づいて処理すること。「住民自治」(住民が政治に参加する)と「団体自治」(国から独立した団体が政治を行う)の二つの要素からなる。 歴史・経過 日本国憲法第8章で保障されている。その具体的な仕組みは地方自治法で定められており、地方分権改革を通じて、その拡充が図られてきた。 地方自治法(ちほうじちほう) 意味 地方自治の制度と運営に関する基本を定めた法律。地方公共団体の種類、組織(議会、長)、権能、住民の権利(直接請求など)、財務などを規定している。 歴史・経過 1947年(昭和22年)に日本国憲法と同時に施行。その後、社会経済情勢の変化に対応して、数多くの改正が行われてきた。特に2000年(平成12年)の地方分権一括法による改正は、国と地方の関係を大きく変えるものであった。 地方譲与税(ちほうじょうよぜい) 意味 国が国税として徴収した税の一部を、特定の客観的な基準(道路の面積・延長など)に基づき、地方公共団体に譲与(配分)するもの。 歴史・経過 地方揮発油譲与税、自動車重量譲与税などがある。使途が特定されているものが多いが、地方交付税と異なり、自治体の財政力に関係なく配分される。地方の重要な財源の一つ。 地方税(ちほうぜい) 意味 地方公共団体が、法律の範囲内で、その経費に充てるために住民などから徴収する税金。自治体の最も重要な自主財源。 歴史・経過 都道府県税(法人事業税、自動車税など)と、市町村税(個人・法人住民税、固定資産税など)に大別される。地方税法で税目や課税の根拠が定められているが、自治体は条例で税率を変更(超過課税)したり、新たな税(法定外税)を設けたりすることができる。 地方創生(ちほうそうせい) 意味 人口急減・超高齢化という課題に対し、東京一極集中の是正、若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現、地域の特性を活かした地域経済の活性化などを目指す一連の政策。 歴史・経過 2014年(平成26年)に「まち・ひと・しごと創生法」が制定され、本格的に始動。各自治体は、国の総合戦略を踏まえ、独自の「地方版総合戦略」を策定し、交付金などを活用して様々な取り組みを進めている。 地方交付税(ちほうこうふぜい) 意味 地方公共団体間の財政力格差を是正し、すべての自治体が一定水準の行政サービスを提供できるよう、国税(所得税、法人税、消費税など)の一部を原資として、国が地方に配分する資金。 歴史・経過 使途が特定されない一般財源であり、地方財政の調整機能と財源保障機能を持つ。各自治体の標準的な行政経費(基準財政需要額)と標準的な税収(基準財政収入額)を算定し、財源不足額を基に交付される。 地方分権(ちほうぶんけん) 意味 国に集中している権限と財源を地方公共団体に移し、住民に身近な行政を、できる限り身近な自治体が、自らの判断と責任において行えるようにする改革。 歴史・経過 1990年代から本格的な議論が始まり、2000年(平成12年)の地方分権一括法の施行により、機関委任事務の廃止や権限移譲が進んだ。国と地方を「上下・主従」の関係から「対等・協力」の関係へと転換させることを目指す。 地方法人二税(ちほうほうじんにぜい) 意味 地方税のうち、法人の所得に対して課される「法人住民税」と「法人事業税」の総称。 歴史・経過 企業の経済活動が盛んな大都市部に税収が偏在する傾向がある。この税収の地域間格差を是正するため、法人事業税の一部を国税化し、地方交付税の原資とするなどの措置(地方法人特別税、特別法人事業税)が講じられてきた。 地縁による団体(ちえんによるだんたい) 意味 町内会、自治会、集落会など、一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体。 歴史・経過 従来は法人格が取得できず、団体名義での不動産登記ができなかった。1991年(平成3年)の地方自治法改正により、市町村長の認可を受けることで法人格を取得し、不動産などを団体名で保有できるようになった(認可地縁団体)。 中核市(ちゅうかくし) 意味 地方自治法に基づき、政令で指定された人口20万人以上の市。都道府県が処理する事務の一部(民生、保健衛生、環境、都市計画など)を、移譲されて処理することができる。 歴史・経過 1994年(平成6年)の地方自治法改正により創設。政令指定都市に次ぐ権限を持つ都市制度であり、市民サービスの向上と、より地域の実情に合った行政運営を目的とする。 中期財政計画(ちゅうきざいせいけいかく) 意味 複数年度(おおむね3〜5年)にわたる財政収支の見通しと、財政運営の基本方針を示す計画。「財政フレーム」とも呼ばれる。 歴史・経過 単年度の予算編成では捉えきれない中長期的な財政課題(社会保障費の増大、公債費の推移など)を明らかにし、計画的な財政運営を行うために多くの自治体で策定されている。 超過課税(ちょうかかぜい) 意味 地方公共団体が、地方税法で定められている標準税率(通常適用すべきとされる税率)を超える税率を、条例で定めて課税すること。 歴史・経過 地方分権の進展に伴い、自治体が独自の財政需要に対応するための自主的な財源確保策として活用されている。法人住民税や固定資産税などで実施される例が多い。 徴収(ちょうしゅう) 意味 税金、保険料、手数料、使用料などを、法律や条例の規定に基づいて、納付義務者から取り立てること。 歴史・経過 地方税の徴収は、市町村(特別区)の重要な責務。納期限までに納付されない場合は、督促や催告を行い、最終的には滞納処分によって強制的に徴収する。徴収事務の効率化と徴収率の向上が常に課題となる。 庁議(ちょうぎ) 意味 地方公共団体の長が主宰し、副知事・副市町村長、各部局長などの幹部職員が出席して、自治体の重要政策や行政運営に関する基本方針を審議・決定・情報共有する最高レベルの会議。 歴史・経過 法的な根拠を持つ会議ではないが、自治体の意思決定において事実上、極めて重要な役割を果たしている。議会に提出する条例案や予算案などが、庁議での議論を経て決定される。 直接請求(ちょくせつせいきゅう) 意味 住民が、地方公共団体の運営に直接参加するための権利。一定数以上の有権者の署名を集めることにより、条例の制定・改廃、事務監査、議会の解散、首長・議員の解職などを請求できる。 歴史・経過 地方自治法に定められた、住民自治を保障するための重要な制度。議会制(間接民主制)を補完する役割を持つ。 通年議会(つうねんぎかい) 意味 定例会の回数を年1回とし、会期を1年近くにわたって定めることで、議長が必要と認める場合や首長からの請求があった場合に、いつでも本会議や委員会を開くことができる議会の運営方式。 歴史・経過 議会の監視機能の強化や、災害時などの緊急事態への迅速な対応を目的として、2012年(平成24年)の地方自治法改正で導入が容易になった。議会改革の一環として、導入する自治体が増えている。 通達(つうたつ) 意味 上級の行政機関が、下級の機関や職員に対して、職務運営上の細則、法令の解釈、行政運営の方針などを示すために発する命令または指示文書。 歴史・経過 行政組織内部の命令であり、国民や住民を直接拘束する法的な効力はない。しかし、行政実務においては、法令と同様に重要な規範として機能している。 積立金(つみたてきん) 意味 基金のこと。地方公共団体が、特定の行政目的のために、条例に基づいて財産を維持し、資金を積み立て、または定額の資金を運用するために設けるもの。 歴史・経過 年度間の財源調整のための「財政調整基金」、地方債の償還資金を積み立てる「減債基金」、特定の施設の建設などのための「特定目的基金」などがある。計画的な財政運営に不可欠な制度。 DX(でじたるとらんすふぉーめーしょん) 意味 デジタル技術の活用により、行政サービス、業務プロセス、組織、働き方などを根本的に変革し、住民の利便性向上や行政運営の効率化を図ること。 歴史・経過 2018年頃から国の重要戦略として位置づけられ、地方公共団体においても推進計画の策定が進められている。単なるデジタル化(電子化)にとどまらず、データ活用を前提とした組織・制度の変革を目指す。 定員管理(ていいんかんり) 意味 地方公共団体における職員の総数を、行政需要の動向や財政状況を踏まえて、計画的に管理すること。 歴史・経過 人件費は歳出の大きな割合を占めるため、定員管理は行財政改革の重要な柱となる。定員適正化計画などを策定し、業務の見直し(アウトソーシングなど)とあわせて、職員数の削減や重点分野への再配置が行われる。 定住自立圏構想(ていじゅうじりつけんこうそう) 意味 人口減少・高齢化が進む地方圏において、中心的な役割を担う「中心市」と、その近隣の「連携市町村」が協定を結び、圏域全体で生活機能を確保し、地方への人の流れを創出することを目指す総務省の広域連携の仕組み。 歴史・経過 2008年度(平成20年度)から推進されている。医療、福祉、教育、産業振興などの分野で連携し、圏域全体の活性化を図る。形成された圏域には、国からの財政支援がある。 ディスクロージャー(でぃすくろーじゃー) 意味 「情報開示」のこと。行政分野では、財政状況や経営状況に関する情報を、住民や投資家などに対して、分かりやすく自主的に公開すること。 歴史・経過 地方債の購入者(投資家)への説明責任を果たすため、財政状況や事業内容をまとめた「ディスクロージャー誌」を発行する自治体が多い。情報公開制度が請求に基づく受動的な開示であるのに対し、より積極的な情報提供を意味する。 出先機関(でさききかん) 意味 都道府県庁や市役所などの本庁から離れた場所に設置され、特定の所管区域の事務を分掌する機関。 歴史・経過 都道府県の県民局、県税事務所、保健所、土木事務所などが典型例。住民に身近な場所でサービスを提供し、地域の実情に応じた行政を展開する役割を持つ。行財政改革の中で、統廃合や機能の見直しが進められることが多い。 デジタル田園都市国家構想(でじたるでんえんとしこっかこうそう) 意味 デジタルの力を活用して、地方が抱える人口減少、高齢化、産業空洞化などの課題を解決し、都市の利便性と地方の豊かさを両立させ、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指す国の構想。 歴史・経過 2021年(令和3年)に岸田内閣の重要政策として打ち出された。デジタル基盤の整備、デジタル人材の育成・確保、地方の特色を活かしたデジタル実装などを支援する交付金が創設されている。 手数料(てすうりょう) 意味 地方公共団体が、特定の個人のために行う事務(例:住民票の写しの交付、許認可の審査)に対して、そのサービスを受ける者から実費弁償として徴収する金銭。 歴史・経過 地方自治法に規定されている。サービスを受ける者と受けない者との間の負担の公平性を図る「応益負担」の原則に基づく。手数料の額は、条例で定められる。 答申(とうしん) 意味 審議会や調査会などの諮問機関が、長(首長など)からの諮問(意見を求められること)に対して、調査・審議した結果を意見として取りまとめ、報告すること。 歴史・経過 答申は、諮問機関の公式な意見であり、長はこれを尊重することが求められるが、法的な拘束力はない。政策決定の客観性や透明性を高める上で重要なプロセス。 統一地方選挙(とういつちほうせんきょ) 意味 地方公共団体の首長および議員の選挙について、国民の関心を高め、選挙事務を効率化するため、全国的に選挙期日を統一して行う選挙。 歴史・経過 1947年(昭和22年)から4年ごとに行われている。4月の第2日曜日に都道府県知事・議員、政令指定都市の市長・議員の選挙が、第4日曜日にそれ以外の市区町村長・議員の選挙が行われることが多い。 道路占用許可(どうろせんようきょか) 意味 道路に、電柱、ガス管、看板、日よけ、工事用足場など、特定の工作物や施設を設置し、継続して道路を使用する場合に、道路管理者(国、都道府県、市町村)が行う許可。 歴史・経過 道路法に基づき行われる。道路は本来、一般交通の用に供されるものであるため、占用は必要やむを得ない場合に限定される。許可にあたっては、占用料を徴収することができる。 答弁(とうべん) 意味 議会において、議員からの質問や質疑に対して、首長、副知事・副市町村長、教育長、各部局長などの執行機関の側が、回答または説明を行うこと。 歴史・経過 議会における質疑・応答は、議会が執行機関を監視・チェックする上で最も重要な活動の一つ。答弁の内容は議事録として記録され、自治体の公式な見解となる。 当面する課題(とうめんするかだい) 意味 東京都の予算編成プロセスにおいて、各局が翌年度の予算要求を行う前提として、所管する行政分野の現状分析、課題、今後の政策展開の方向性などを取りまとめた文書。 歴史・経過 東京都独自の予算編成システムの一部。この「当面する課題」に基づき、各局が具体的な事業を盛り込んだ予算要求書を作成する。政策と予算の連携を確保するための重要なツールとなっている。 特例市(とくれいし) 意味 かつて存在した日本の都市制度の一つ。地方自治法に基づき、人口20万人以上の市が政令で指定された。中核市が処理する事務の一部を処理することができた。 歴史・経過 1999年(平成11年)の地方自治法改正で創設されたが、都市制度を簡素で分かりやすいものにするため、2014年(平成26年)の法改正により廃止された。経過措置を経て、2020年(令和2年)4月までにすべての特例市が中核市へ移行した。 特例公債(とくれいこうさい) 意味 赤字国債のこと。公共事業費などの財源を賄う建設公債とは異なり、税収不足などによる歳入の不足を補うために、財政法第4条の規定の例外として、特別の法律(特例公債法)に基づいて発行される国債。 歴史・経過 財政規律の観点から、その発行は本来抑制されるべきものとされる。しかし、バブル崩壊後の景気低迷や社会保障費の増大により、1990年代以降、ほぼ毎年度発行が常態化している。 特定財源(とくていざいげん) 意味 地方公共団体の歳入のうち、その使い道が特定されている財源。国庫支出金、地方債、分担金・負担金、使用料、手数料などが該当する。 歴史・経過 使途が特定されず、自治体が自主的に使える「一般財源」と対比される。特定財源の割合が高いと、財政運営の自由度が低くなる傾向がある。 特別会計(とくべつかいけい) 意味 地方公共団体が、特定の事業(国民健康保険、介護保険、公営企業など)を行うにあたり、その収支を明確にするため、一般会計とは別に経理を区分して設ける会計。 歴史・経過 地方自治法に基づき、条例で設置される。特定の歳入をもって特定の歳出に充てるもので、受益と負担の関係を明確にするなどの目的がある。 特別区(とくべつく) 意味 東京都の区部(23区)に置かれる地方公共団体。市町村と同様の基礎的な自治体としての権能を持つが、大都市行政の一体性を確保するため、消防、上下水道などの事務は東京都が処理する。 歴史・経過 1947年(昭和22年)の地方自治法制定時に創設。当初は都の内部的な団体とされたが、その後の制度改正により自治権が拡充され、現在では「市に準ずる」基礎自治体と位置づけられている。 特別区税(とくべつくぜい) 意味 特別区が課税権を持つ地方税。特別区民税(個人・法人)、軽自動車税、特別区たばこ税などがある。 歴史・経過 市町村税に相当する税目。ただし、固定資産税、法人住民税の一部などは、都と特別区の財源調整のため、東京都が都税として課税し、その一部が特別区財政調整交付金として各区に配分される。 特別区財政調整交付金(とくべつくざいせいちょうせいこうふきん) 意味 都と特別区の間の財源の不均衡を調整し、各特別区が一定水準の行政サービスを提供できるよう、東京都が都税収入の一部を財源として、各特別区に交付する資金。 歴史・経過 地方交付税制度が適用されない都区間の独自の財政調整制度。固定資産税、法人住民税、市町村民税法人分(都が課税)を原資とし、各区の基準財政需要額と基準財政収入額を算定して交付額を決定する。 特別交付税(とくべつこうふぜい) 意味 地方交付税の一種。普通交付税の算定では捕捉できない、災害などの特別な財政需要がある場合や、その他特別の事情がある場合に、国が地方公共団体に対して交付する。 歴史・経過 地方交付税総額の6%程度が特別交付税として確保されている。交付額は、各自治体からの申請に基づき、個別の事情を審査して決定されるため、普通交付税に比べて裁量的な性格が強い。 独立行政法人(どくりつぎょうせいほうじん) 意味 国の行政機関が行っていた事業のうち、分離して法人格を与えた方が効率的・効果的に運営できるものを担う法人。 歴史・経過 1990年代後半の中央省庁改革の一環として制度が創設された。国が中期目標を示し、法人はそれを達成するための中期計画を作成して業務を運営する。国立印刷局、造幣局、国立病院機構などがある。 土地区画整理事業(とちくかくせいりじぎょう) 意味 公共施設が不十分な市街地において、土地の所有者からその土地の一部を提供(減歩)してもらい、その土地を道路・公園などの公共用地や事業資金を生み出すための保留地に充て、残りの土地(宅地)を整形して再配分する、総合的なまちづくり事業。 歴史・経過 土地区画整理法に基づき行われる。戦災復興や新市街地の開発などで広く活用されてきた。公共施設整備と宅地の利用増進を一体的に行えるのが特徴。 都市計画(としけいかく) 意味 都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため、土地利用(市街化区域など)、都市施設(道路、公園、下水道など)、市街地開発事業(土地区画整理事業など)について、一体的・総合的に定める計画。 歴史・経過 都市計画法に基づき、都道府県または市町村が決定する。決定された都市計画は、開発許可や建築確認などを通じて、個人の土地利用や建築活動を規制・誘導する効力を持つ。 都市計画税(としけいかくぜい) 意味 都市計画事業または土地区画整理事業に要する費用に充てるために、市街化区域内に所在する土地および家屋の所有者に対して課される目的税。 歴史・経過 地方税法に定められており、市町村(東京23区の場合は都)が課税する。固定資産税とあわせて賦課・徴収されるのが一般的。 都民税(とみんぜい) 意味 東京都が課税する地方税の総称。個人の都民税、法人の都民税、事業税、固定資産税(23区内)、自動車税など、多様な税目から構成される。 歴史・経過 東京都の歳入の根幹をなす財源。特に法人二税(法人住民税・法人事業税)の割合が高く、景気変動の影響を受けやすい財政構造となっている。 トップダウン(とっぷだうん) 意味 組織の上層部(トップ)が意思決定を行い、その指示・命令が下部組織へと伝達されていく管理方式。 歴史・経過 迅速な意思決定や、組織全体としての一貫した行動が可能になるメリットがある。一方で、現場の実情が反映されにくい、職員の自主性が育ちにくいといったデメリットも指摘される。住民や現場職員からの意見を吸い上げる「ボトムアップ」とのバランスが重要。 ドローン(どろーん) 意味 無人航空機の総称。遠隔操作や自動操縦によって飛行する。 歴史・経過 近年、技術の進歩と規制緩和により、行政分野でも活用が急速に広がっている。災害発生時の被害状況の把握、橋りょうなどのインフラ点検、測量、農薬散布、鳥獣被害対策、物資輸送など、多岐にわたる分野で導入が進められている。 なにぬねの 内示(ないじ) 意味 行政機関内部で、人事異動や予算配分などの決定事項を、正式な辞令や通知の前に、非公式に関係者に伝えること。 歴史・経過 円滑な業務の引継ぎや、関係者の事前の心構えを促すために、慣例として行われる。特に大規模な人事異動の際には、混乱を避けるために重要なプロセスとされるが、あくまで非公式な伝達であり、正式な効力は持たない。 内水(ないすい) 意味 堤防で守られた居住区域側の土地にある水のこと。主に、市街地に降った雨水が、下水道や排水路の能力を超えて地表にあふれた状態を指す。 歴史・経過 河川の水が堤防を越えてあふれる「外水氾濫」と区別される。都市化の進展により地表の保水・遊水機能が低下し、また、局地的な集中豪雨(ゲリラ豪雨)の頻発により、内水による浸水被害が深刻化している。下水道の整備や雨水貯留施設の設置などが対策として進められている。 内水氾濫(ないすいはんらん) 意味 短時間に多量の雨が降った際、下水道や排水路、小河川などで雨水を排出しきれなくなり、マンホールや側溝から水があふれて、建物や土地が水に浸かる災害。 歴史・経過 都市部で頻発する浸水被害の典型的なパターン。2015年(平成27年)の水防法改正により、自治体は内水浸水想定区域図や内水ハザードマップの作成・公表に努めることとされた。住民への情報提供と避難行動の促進が課題となっている。 内規(ないき) 意味 行政機関の内部における事務処理の手続きや、組織運営に関するルールを定めたもの。訓令や通達よりも非公式な、部局内での申し合わせなどを指すことが多い。 歴史・経過 法令や条例、規則などのように外部への法的拘束力はなく、あくまで組織内部のルール。しかし、行政実務の運用においては、事実上の基準として機能することがある。情報公開請求の対象となる場合もある。 内閣府(ないかくふ) 意味 内閣の重要政策に関する企画立案・総合調整を行うことを任務とする、内閣に置かれる行政機関。経済財政諮問会議、総合科学技術・イノベーション会議などを所管する。 歴史・経過 2001年(平成13年)の中央省庁再編により、総理府などを母体として設置された。内閣総理大臣が長となり、他の省庁よりも一段高い立場から、省庁横断的な重要課題(防災、男女共同参画、沖縄・北方対策、地方創生など)を担う。 内部監査(ないぶかんさ) 意味 行政機関の内部に設けられた専門の部署や担当者が、組織の業務運営や会計処理が、法令や規程に則って適正かつ効率的に行われているかを、客観的な立場で検証・評価し、助言・勧告を行うこと。 歴史・経過 監査委員による外部監査を補完する役割を持つ。コンプライアンスの徹底や、業務改善、リスク管理の強化を目的として、多くの自治体で内部監査部門の設置が進んでいる。 内部統制(ないぶとうせい) 意味 行政機関が、事務の適正な執行を確保するため、組織内部に構築・運用する仕組み。業務の有効性・効率性、財務報告の信頼性、法令等の遵守、資産の保全を目的とする。 歴史・経過 民間企業で導入が進んだ後、行政の信頼性確保のため、2017年(平成29年)の地方自治法改正により、都道府県と政令指定都市に内部統制体制の整備が義務付けられ、2020年度(令和2年度)から本格的に運用が開始された。 ナショナル・トラスト(なしょなる・とらすと) 意味 住民や企業からの寄附や会費によって、貴重な自然環境や歴史的建造物を買い取り、保全・管理していく市民運動。 歴史・経過 19世紀末にイギリスで始まった運動。日本では、1960年代から各地で取り組みが広まった。行政だけでは守りきれない文化遺産や自然を、市民の力で次世代に継承していく活動として、自治体も連携・支援を行っている。 ナショナル・ミニマム(なしょなる・みにまむ) 意味 国が、国民全体に対して保障すべき「健康で文化的な最低限度の生活水準」のこと。 歴史・経過 イギリスの社会学者ウェッブ夫妻が提唱した概念。日本の憲法第25条(生存権)の理念を具体化するものであり、生活保護制度や義務教育費国庫負担制度、地方交付税制度などは、ナショナル・ミニマムを確保するための制度的基盤となっている。 捺印(なついん) 意味 印鑑を押すこと。「記名捺印」は、氏名がゴム印や印刷などで記されたものに印鑑を押すこと。「署名捺印」は、自筆で署名した上で印鑑を押すこと。 歴史・経過 日本の行政手続きにおいて、長らく本人確認や意思確認の手段として広く用いられてきた。近年、行政のデジタル化(DX)推進の流れの中で、手続きのオンライン化とあわせて「脱ハンコ」「押印廃止」の動きが国・地方で急速に進んでいる。 生ごみ(なまごみ) 意味 家庭や事業所から出る、調理くずや食べ残しなどの食品廃棄物のこと。水分を多く含むため、焼却効率の低下や、悪臭の原因となる。 歴史・経過 ごみ減量の観点から、生ごみの堆肥化(コンポスト化)や、水切りによる減量が多くの自治体で推奨されている。一部の自治体では、生ごみを分別収集し、バイオガス発電などに利用する取り組みも行われている。 縄張り(なわばり) 意味 行政組織において、各部局が自らの所管する事務や権限、予算に固執し、他部局からの干渉を排除しようとする排他的な傾向。セクショナリズム(縦割り行政)の俗称。 歴史・経過 専門性を高める半面、組織横断的な課題への対応が遅れたり、住民にとって非効率なサービス提供につながったりする弊害がある。総合調整機能の強化や、職員の人事交流などが、縄張り意識を打破するための方策とされる。 二元代表制(にげんだいひょうせい) 意味 地方自治において、住民が、首長(執行機関)と議会議員(議決機関)を、それぞれ直接選挙で選ぶ制度。 歴史・経過 地方自治法で定められた、日本の地方自治の基本構造。首長と議会が、互いに独立・対等な立場で、抑制と均衡(チェック・アンド・バランス)を保ちながら、緊張感をもって自治体運営を担うことを目的とする。 二事業(にじぎょう) 意味 東京都の財政用語で、「特別区財政調整事業」と「市町村総合交付金事業」の総称。 歴史・経過 都と区市町村との間の財政調整を行うための事業。都が徴収する固定資産税などを原資として、特別区には「特別区財政調整交付金」を、市町村には「市町村総合交付金」を交付し、都内全体の均衡ある発展を図る。 二重行政(にじゅうぎょうせい) 意味 広域自治体(都道府県)と、その域内にある基礎自治体(市町村)が、類似の施設を設置したり、同様の事業を実施したりすることで生じる、非効率な行政運営や財源の無駄遣いのこと。 歴史・経過 特に、都道府県と政令指定都市との間で問題となることが多い。役割分担の明確化や、広域連携の推進、大阪都構想のような大都市制度改革の議論の背景となってきた。 認可(にんか) 意味 第三者(私人)間で行われる法律行為(契約、法人の設立など)に対して、行政が同意を与えることで、その法律上の効力を完成させる行政行為。 歴史・経過 農地の権利移転の許可や、社会福祉法人の設立認可、バス事業の運賃改定の認可などが該当する。認可を受けずに行われた行為は、法的に無効となる。 認可地縁団体(にんかちえんだんたい) 意味 町内会や自治会などの地縁による団体が、市町村長の認可を受けることで法人格を取得したもの。 歴史・経過 1991年(平成3年)の地方自治法改正で制度化。これにより、従来は代表者の個人名義でしか登記できなかった集会所の土地や建物などを、団体名義で所有・登記できるようになった。 認知症サポーター(にんちしょうさぽーたー) 意味 認知症について正しく理解し、認知症の人やその家族を温かく見守る応援者。特定の研修(認知症サポーター養成講座)を受講することで誰でもなることができる。 歴史・経過 厚生労働省が2005年(平成17年)から推進している「認知症を知り地域をつくるキャンペーン」の一環。認知症になっても安心して暮らせるまちづくりを目指し、全国の自治体で養成講座が開催されている。 認定(にんてい) 意味 行政機関が、特定の事実や法律関係の存否を、公の権威をもって確認する行為。 歴史・経過 議会が行う「決算の認定」、介護保険制度における「要介護認定」、道路交通法における「運転免許の効力の停止」などが該当する。認定には、法的な効果が付与されることが多い。 認定こども園(にんていこどもえん) 意味 幼稚園の教育機能と、保育所の保育機能をあわせ持ち、地域の子育て支援も行う施設。都道府県知事などから認定を受ける。 歴史・経過 2006年(平成18年)に制度が創設。2015年(平成27年)施行の「子ども・子育て支援新制度」において、中核的な施設として位置づけられ、設置が進められている。保護者の就労状況にかかわらず利用できるなどの特徴がある。 任意団体(にんいだんたい) 意味 法人格を持たない団体のこと。権利能力なき社団とも呼ばれる。町内会・自治会(認可を受けていないもの)、サークル、ボランティアグループなどが該当する。 歴史・経過 設立に登記などの手続きが不要で、自由な活動ができる。一方で、団体名義での契約や財産所有ができないため、代表者の個人名義で行う必要があり、責任の所在が不明確になるなどの課題がある。 任意事業(にんいじぎょう) 意味 法律で実施が義務付けられていないが、地方公共団体が、住民福祉の向上のために、独自の判断で任意に行う事業。 歴史・経過 法律で義務付けられている「義務事業」と対比される。地域の特性や住民ニーズに応じて、文化振興事業、スポーツ振興事業、独自の福祉サービスなど、多様な事業が展開される。自治体の自主性・独自性が最も発揮される分野。 入札(にゅうさつ) 意味 公共工事の発注や物品の購入などにおいて、契約を希望する複数の業者に、金額などの契約条件を提示させ、最も有利な条件を提示した者と契約を締結する方式。 歴史・経過 会計法や地方自治法で、契約の原則的な方式とされている。競争性、公正性、透明性を確保することを目的とする。「一般競争入札」「指名競争入札」「随意契約」などの種類がある。 入札参加資格(にゅうさつさんかしかく) 意味 国や地方公共団体が行う入札に参加するために必要な資格。経営状況、技術力、過去の実績などについて、あらかじめ審査を受け、名簿に登録される必要がある。 歴史・経過 不良・不適格業者の参入を排除し、契約の確実な履行を確保するために設けられている。資格審査は、定期的に(1〜2年ごと)行われるのが一般的。 入札談合(にゅうさつだんごう) 意味 入札に参加する業者同士が、事前に話し合って、受注する業者や入札価格などを決めてしまう不正行為。自由で公正な競争を阻害する。 歴史・経過 刑法の談合罪や、独占禁止法で禁止されている。発注機関の職員が関与した場合は「官製談合」と呼ばれ、より厳しく罰せられる。電子入札の導入や、予定価格の事後公表など、談合防止のための対策が講じられている。 入札保証金(にゅうさつほしょうきん) 意味 競争入札において、落札者が契約を締結しない場合に備え、入札参加者から事前に徴収する保証金。 歴史・経過 地方自治法施行令に規定されている。入札の公正性と確実性を担保するための制度。落札者が正当な理由なく契約を結ばない場合、保証金は没収される。ただし、実務上は免除されることが多い。 入庁(にゅうちょう) 意味 公務員試験に合格した者が、採用されて初めて役所に勤務すること。または、一般の人が、手続きなどのために役所の建物に入ること。 歴史・経過 行政用語としては、前者の意味で使われることが多い。毎年4月1日には、多くの自治体で新規採用職員の「入庁式」(辞令交付式)が行われる。 入湯税(にゅうとうぜい) 意味 鉱泉浴場(温泉施設)における入浴行為に対して課される市町村の目的税。 歴史・経過 地方税法に定められている。環境衛生施設、鉱泉源の保護管理施設、消防施設、観光振興などに要する費用に充てるために課税される。標準税率は、入湯客1人1日につき150円。 入港料(にゅうこうりょう) 意味 港湾管理者が、港湾に入港する船舶から、そのトン数に応じて徴収する料金。 歴史・経過 港湾法に基づき、条例で定められる。港湾施設の維持管理費用に充てられる。国際競争力強化のため、戦略的に入港料を減免する港湾もある。 抜き打ち検査(ぬきうちけんさ) 意味 行政機関が、法令遵守の状況などを確認するため、事前に通告することなく、事業所や施設に立ち入って検査を行うこと。 歴史・経過 食品衛生法に基づく飲食店への立入検査や、廃棄物処理法に基づく事業所への立入検査、労働基準監督署による事業場への臨検監督などが該当する。日常的な監視体制の実効性を高めるために行われる。 根回し(ねまわし) 意味 会議などで正式に提案・決定する前に、関係者にあらかじめ話を通し、内々に合意形成を図っておくこと。 歴史・経過 行政の政策決定プロセスにおいて、円滑な合意形成のために、事実上、広く行われている。議会への議案提出前に関係会派へ説明を行ったり、省庁間の調整を行ったりすることが該当する。透明性の観点から批判されることもある。 年金(ねんきん) 意味 高齢、障害、死亡などによって所得を得る能力が失われたり低下したりした場合に、生活の安定を図るために、国が定期的に金銭を給付する社会保険制度。 歴史・経過 日本の公的年金制度は、全国民が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社員などが加入する「厚生年金」の2階建て構造となっている。少子高齢化に伴う給付と負担のバランスが、国の最大の政策課題の一つ。 年次有給休暇(ねんじゆうきゅうきゅうか) 意味 労働基準法で定められた、労働者が賃金を受け取りながら取得できる休暇。公務員にも同様の制度が法律や条例で保障されている。 歴史・経過 心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障することを目的とする。近年、働き方改革の一環として、年5日の年次有給休暇の取得が使用者に義務付けられるなど、取得促進の動きが強まっている。 年少人口(ねんしょうじんこう) 意味 人口統計において、0歳から14歳までの年齢層の人口。 歴史・経過 総人口に占める年少人口の割合は、将来の人口動態や社会保障制度の持続可能性を予測する上で重要な指標となる。日本では、少子化の進行により、年少人口およびその割合は長期的に減少し続けている。 年末調整(ねんまつちょうせい) 意味 給与所得者が、毎月の給与から源泉徴収された所得税の年間の合計額と、本来納めるべき年間の税額との差額を、年末に精算する手続き。 歴史・経過 所得税法に定められている。事業主(給与の支払者)が行う義務がある。この結果は、翌年度の個人住民税の算定基礎となるため、地方財政にも深く関わる。 年度(ねんど) 意味 特定の目的のために便宜上区分された1年間の期間。日本の行政機関や多くの企業では、4月1日から翌年3月31日までを指す「会計年度」が用いられる。 歴史・経過 予算や事業計画、統計などは、この年度を単位として作成・管理される。暦年(1月1日〜12月31日)とは異なるため、統計資料などを参照する際には注意が必要。 年度開始前着工(ねんどかいしまえちゃっこう) 意味 公共事業において、新年度の予算成立を待たずに、前年度中(2月〜3月頃)に新年度の事業の契約や工事に着手することを可能にする制度。 歴史・経過 年度末から年度初めにかけての工事の「切れ目」をなくし、年間を通じた事業量の平準化を図ることで、建設業界の経営効率化や、公共施設の早期完成を目指す。ゼロ国債(債務負担行為の一種)などが活用される。 燃料費調整制度(ねんりょうひちょうせいせいど) 意味 電気や都市ガスの料金を算定する際に、火力発電の燃料(原油、LNG、石炭)やガス原料の価格変動を、自動的に料金に反映させる仕組み。 歴史・経過 公営の電気事業やガス事業においても導入されている。事業者の経営効率化努力の及ばない燃料価格の変動を、迅速かつ透明に料金に反映させることで、事業者の経営安定と利用者間の負担の公平を図る。 念書(ねんしょ) 意味 後日の証拠として、約束した事柄などを記して相手に差し出す文書。 歴史・経過 行政手続きにおいて、申請者などに特定の事項を遵守させるため、または確認のために提出を求めることがある。契約書ほどの強い法的拘束力はないが、当事者間の合意内容を示す証拠となりうる。 農地(のうち) 意味 耕作の目的に供される土地のこと。農地法によって、その権利移動や転用が厳しく規制されている。 歴史・経過 食料の安定供給の基盤であり、国土の保全や良好な景観形成など多面的な機能を持つ。農業従事者の高齢化や後継者不足による耕作放棄地の増加が深刻な問題となっており、農地の集約化や有効活用が課題。 農地転用(のうちてんよう) 意味 農地を、住宅、工場、駐車場、資材置場など、農地以外の目的に使用すること。 歴史・経過 優良な農地を確保するため、農地法に基づき、原則として都道府県知事または農林水産大臣の許可が必要となる。無許可で転用した場合は、罰則や原状回復命令の対象となる。 農道(のうどう) 意味 主として、農産物の輸送や農業機械の通行など、農業の用に供するために設けられた道路。 歴史・経過 土地改良法に基づく土地改良事業などによって整備されることが多い。市町村などが管理する。農業の生産性向上に不可欠なインフラであるが、近年は、一般車両の通行や、維持管理費の増大が課題となっている。 納税(のうぜい) 意味 国や地方公共団体に対して、法律の定めに従って税金を納めること。日本国憲法で定められた国民の三大義務の一つ。 歴史・経過 納税者が自ら税額を計算して申告・納付する「申告納税方式」(所得税、法人税など)と、行政機関が税額を計算して通知し、それに基づき納付する「賦課課税方式」(固定資産税、個人住民税など)がある。 納税義務者(のうぜいぎむしゃ) 意味 税法に基づき、税金を納める義務を負う個人または法人のこと。 歴史・経過 各税法で、納税義務者となるための要件(住所、所得、資産の所有など)が具体的に定められている。納税義務者は、税法に従って、申告、納税、帳簿の備付けなどの義務を負う。 納税管理人(のうぜいかんりにん) 意味 納税義務者が、国内に住所や事業所などを有しない場合に、納税申告や納税に関する一切の手続きを、本人に代わって処理するために定める代理人。 歴史・経過 地方税法に規定されている。海外へ転出する個人や、国内に支店などを持たない外国法人が、固定資産税や住民税の納税義務を負う場合に、市町村長に届け出る必要がある。 納期(のうき) 意味 税金や保険料などを納付すべき期間のこと。通常、「○月○日から○月○日まで」と期間で示される。 歴史・経過 この期間の末日を「納期限」という。個人住民税や固定資産税は、年4回など、複数回に納期が分けられている(分納)のが一般的。 納期限(のうきげん) 意味 税金や保険料などを納付しなければならない最終日。この日を過ぎると滞納となり、延滞金が発生する。 歴史・経過 納期限は、各税法や条例で定められている。災害などのやむを得ない理由がある場合には、申請により、納期限の延長が認められることがある。 納付(のうふ) 意味 納税者が、国や地方公共団体に税金を納める行為。 歴史・経過 納付方法は、金融機関や役所の窓口での現金納付のほか、口座振替、クレジットカード納付、スマートフォン決済アプリによる納付など、近年、多様化・利便性の向上が図られている。 納入告知(のうにゅうこくち) 意味 地方公共団体が、使用料や手数料などの税外収入を徴収する際に、納入義務者、納入すべき金額、納期限などを、文書で通知する行為。 歴史・経過 地方自治法に規定されている。この告知行為によって、具体的な金銭債権が確定する。この告知に用いる文書が「納入通知書」である。 納入通知書(のうにゅうつうちしょ) 意味 地方税や使用料、手数料などを納付するために、地方公共団体から納税者・納入義務者に送付される文書。納付書とも呼ばれる。 歴史・経過 納付すべき金額、納期限、納付場所などが記載されている。金融機関などで納付する際に必要となる。近年は、バーコードやQRコードが印刷され、コンビニエンスストアやスマートフォン決済での納付に対応したものが増えている。 ノーマライゼーション(のーまらいぜーしょん) 意味 障害のある人もない人も、等しく社会の一員として、家庭や地域で普通の生活を送ることができるような社会を目指すという理念。 歴史・経過 1950年代にデンマークで提唱された。日本の障害者福祉政策の基本理念となっており、バリアフリーの推進や、障害者の社会参加・就労支援など、様々な施策の根底にある考え方。 ノンステップバス(のんすてっぷばす) 意味 乗降口のステップ(段差)をなくし、床面を低くすることで、高齢者や車いす利用者、ベビーカー利用者などが、楽に乗り降りできるようにしたバス車両。 歴史・経過 2000年(平成12年)に施行された交通バリアフリー法(現在はバリアフリー新法に継承)により、導入が促進された。公営バス事業をはじめ、全国のバス事業者で標準的な車両として導入が進んでいる。 はひふへほ バイオマス(ばいおます) 意味 再生可能な、生物由来の有機性資源(化石資源を除く)。木材、家畜排せつ物、生ごみ、稲わら、エネルギー作物などが含まれる。 歴史・経過 地球温暖化対策や循環型社会の形成、農山漁村の活性化の観点から、その利活用が推進されている。2009年(平成21年)に「バイオマス活用推進基本法」が制定され、国が基本計画を、地方公共団体が地域の特性に応じた活用推進計画を策定することとされている。 背後地(はいごち) 意味 港湾や空港、あるいは都市の経済活動を支える後方の地域。港湾であれば、その港を利用して輸出入される貨物の生産地や消費地を指す。 歴史・経過 港湾計画や都市計画において、物流の効率化や産業の集積を図る上で重要な概念。背後地とのアクセス道路や鉄道網の整備が、港湾や都市の国際競争力を左右する要因となる。 配偶者控除(はいぐうしゃこうじょ) 意味 納税者に、所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に、その納税者の総所得金額から一定の金額を控除できる制度。個人住民税にも同様の制度がある。 歴史・経過 1961年(昭和36年)に創設。女性の就労促進や働き方の多様化に対応するため、2018年(平成30年)の税制改正で、控除を受ける納税者本人にも所得制限が設けられるなど、制度の大きな見直しが行われた。 廃棄物(はいきぶつ) 意味 ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物または不要物。事業活動に伴って生じる「産業廃棄物」と、それ以外の「一般廃棄物」に大別される。 歴史・経過 廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)で定義や処理方法が定められている。一般廃棄物の処理責任は市町村にあり、産業廃棄物の処理責任は排出した事業者にある。3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進が重要な政策課題。 廃棄物処理計画(はいきぶつしょりけいかく) 意味 市町村が、その区域内の一般廃棄物の処理について定める計画。「一般廃棄物処理基本計画」として、ごみの排出抑制、分別収集、処理施設の整備などに関する長期的な方針を定める。 歴史・経過 廃棄物処理法に基づき、策定が義務付けられている。計画期間はおおむね10〜15年で、社会情勢の変化に応じて見直しが行われる。循環型社会形成推進基本計画など、上位計画との整合性を図る必要がある。 配当割(はいとうわり) 意味 都道府県民税の一つ。上場株式等の配当等の支払を受ける個人に対して、その配当所得に課される税金。 歴史・経過 所得税とあわせて、配当の支払者が源泉徴収し、都道府県に納入する。納税者は、源泉徴収だけで課税関係を終了させることも、総合課税または申告分離課税として確定申告することも選択できる。 ハザードマップ(はざーどまっぷ) 意味 自然災害による被害の予測範囲や程度、避難場所、避難経路などの情報を地図上に示したもの。洪水、津波、土砂災害、火山、地震など、災害の種類ごとに作成される。 歴史・経過 災害対策基本法や水防法、土砂災害防止法などに基づき、市町村に作成・公表が義務付けられているものが多い。住民が自らの地域の災害リスクを認識し、適切な避難行動をとれるようにすることを目的とする。 橋りょう(はしりょう) 意味 河川、渓谷、道路、鉄道などを横断するために架け渡される構造物。「橋(はし)」のこと。 歴史・経過 道路や鉄道網を構成する重要な社会資本。高度経済成長期に建設された多くの橋りょうが老朽化し、その点検・修繕・架け替えが大きな行政課題となっている。国は、2014年度から、自治体に対して5年に1度の近接目視による点検を義務付けている。 バスレーン(ばすれーん) 意味 道路交通の円滑化を図るため、路線バスなどの通行を優先する車線。「優先レーン」と、バス以外の車両の通行を禁止する「専用レーン」がある。 歴史・経過 道路交通法に基づき、都道府県の公安委員会が指定する。バスの定時性・速達性を向上させ、公共交通の利用を促進することを目的とする。都市部の交通渋滞対策として導入されている。 発議(はつぎ) 意味 議会において、議員が議案の提出者となること。議員が提出する議案を「議員提出議案」または「議員発議案」という。 歴史・経過 地方自治法で、議員は、議会の議決すべき事件につき、議会に議案を提出することができると定められている(予算を除く)。首長が提出する議案が大多数を占めるが、議員発議による条例制定も、議会の政策立案機能の発揮として重要。 バックオフィス(ばっくおふぃす) 意味 行政組織において、住民と直接対面しない後方の事務部門。人事、給与、会計、庶務、情報システム管理などが該当する。 歴史・経過 住民と直接接する「フロントオフィス」(窓口部門)と対比される。行政DX(デジタル変革)の一環として、複数の部局に分散しているバックオフィス業務を集約し、標準化・効率化を図る「BPR(業務プロセス改革)」が進められている。 バリアフリー(ばりあふりー) 意味 高齢者や障害者などが、社会生活を送る上で障壁(バリア)となるものを、物理的・制度的・心理的に取り除くという考え方。 歴史・経過 当初は建築物や道路の段差解消など物理的な障壁除去が中心だったが、近年は、情報の入手しやすさ(情報バリアフリー)や、人々の意識の中にある偏見(心のバリアフリー)の解消も含む、より広い概念となっている。 バリアフリー新法(ばりあふりーしんぽう) 意味 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の通称。公共交通機関、建築物、道路などを対象に、一体的なバリアフリー化を推進するための法律。 歴史・経過 2006年(平成18年)に、従来の交通バリアフリー法とハートビル法を統合して制定された。市町村が、重点的にバリアフリー化を進める地区について「基本構想」を策定できるなど、地域の主体的な取り組みを促す仕組みが盛り込まれている。 ハローワーク(はろーわーく) 意味 「公共職業安定所」の愛称。国民に安定した雇用機会を確保することを目的として、国(厚生労働省)が設置する行政機関。 歴史・経過 職業紹介、雇用指導、雇用保険の給付、各種助成金の支給などを行っている。地方公共団体も、生活困窮者支援や移住促進などの観点から、ハローワークと連携して就労支援事業を実施することが多い。 PFI(ぴーえふあい) 意味 Private Finance Initiativeの略。公共施設等の建設、維持管理、運営などを、民間の資金、経営能力、技術的能力を活用して行う手法。 歴史・経過 1999年(平成11年)に「PFI法」が制定され、導入が本格化した。民間の創意工夫を引き出すことで、より効率的で質の高い公共サービスの提供を目指す。庁舎、学校、体育館、廃棄物処理施設など、多様な施設で活用されている。 BPO(びーぴーおー) 意味 Business Process Outsourcingの略。自社の業務プロセスの一部を、企画・設計から実施まで一括して、専門的なノウハウを持つ外部の事業者に委託すること。 歴史・経過 行政分野では、給与計算、コールセンター業務、各種申請の受付・審査業務などで活用が進んでいる。単なる作業の外部委託(アウトソーシング)と異なり、業務全体の効率化・高度化を目指す戦略的な委託を指す。 BCP(びーしーぴー) 意味 Business Continuity Plan(業務継続計画)の略。大規模な災害や事故、感染症のまん延などの緊急事態が発生した際に、優先的に継続・復旧すべき業務を特定し、そのための手順や体制、資源配分などをあらかじめ定めておく計画。 歴史・経過 東日本大震災やコロナ禍を教訓に、国・地方公共団体ともに策定が急務となった。住民の生命・財産を守る業務や、行政機能を維持するために不可欠な業務を、非常時でも滞りなく実施できるようにすることを目的とする。 非課税(ひかぜい) 意味 特定の所得や取引、財産などについて、政策的な配慮や課税技術上の理由から、税法上、課税の対象としないこと。 歴史・経過 地方税では、社会福祉法人が行う事業に係る固定資産や、宗教法人の境内地などが非課税とされている。また、一定の所得以下の人に対して、個人住民税を非課税とする措置がある。 非課税世帯(ひかぜいせたい) 意味 世帯に属する全員の個人住民税(市町村民税・特別区民税)が非課税である世帯。 歴史・経過 住民税の非課税基準は、前年の所得や扶養親族の数などによって決まる。国や自治体が行う各種の給付金や、国民健康保険料・介護保険料の減免、高額療養費の自己負担限度額の軽減など、様々な福祉的支援の対象者を判断する際の基準として用いられる。 被災者生活再建支援制度(ひさいしゃせいかつさいけんしえんせいど) 意味 自然災害により、住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して支援金を支給する制度。 歴史・経過 1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災を契機に、1998年(平成10年)に被災者生活再建支援法が制定された。住宅の被害程度に応じて支給される「基礎支援金」と、住宅の再建方法に応じて支給される「加算支援金」からなる。 非常勤職員(ひじょうきんしょくいん) 意味 地方公共団体において、常時勤務を要しない(勤務時間が正規職員より短い)職員。 歴史・経過 かつては、専門的な業務に従事する「特別職非常勤職員」と、補助的な業務に従事する「臨時的任用職員」などが混在していた。2020年(令和2年)4月からは、地方公務員法の改正により、その多くが一般職の「会計年度任用職員」に移行し、期末手当の支給対象となるなど処遇改善が図られた。 ビッグデータ(びっぐでーた) 意味 従来の技術では扱うことが困難なほど、巨大で複雑なデータ群。量(Volume)、種類(Variety)、発生頻度・更新頻度(Velocity)の3つのVを特徴とする。 歴史・経過 行政分野でも、人流データ、気象データ、公共交通の運行データ、各種センサーデータなどを分析し、EBPM(証拠に基づく政策立案)や、より効果的な住民サービスの提供に活用する取り組みが進められている。 必置義務(ひっちぎむ) 意味 法律や条例によって、特定の資格を持つ者や、特定の審議会・機関などを、必ず置かなければならないと定められている義務。 歴史・経過 地方自治法では、議会、長、委員会(教育委員会、監査委員など)、会計管理者などが必置機関とされている。また、社会福祉法では福祉事務所の設置が、食品衛生法では食品衛生監視員の配置が義務付けられている。 標準化(ひょうじゅんか) 意味 製品の規格、業務の手順、情報の形式などを、一定の基準やルールに基づいて統一すること。 歴史・経過 行政分野では、2021年(令和3年)にデジタル社会形成基本法が制定され、地方公共団体の情報システムの標準化が国の重要政策となった。住民記録、税、福祉などの中核的な業務システムについて、国が示す標準仕様に準拠することが、2025年度末までに義務付けられている。 標準処理期間(ひょうじゅんしょりきかん) 意味 行政機関が、許認可などの申請が到達してから、その処分を行うまでに、通常要すべき標準的な期間。 歴史・経過 行政手続法および各自治体の行政手続条例により、標準処理期間を定め、公にしておくことが行政機関の努力義務とされている。行政手続きの透明性を高め、不当な遅延を防ぐことを目的とする。 標準税率(ひょうじゅんぜいりつ) 意味 地方税法において、地方公共団体が課税する場合に、通常よるべきものとされる税率。財政上、特に必要がある場合には、これと異なる税率(超過課税)を条例で定めることができる。 歴史・経過 地方税の税率には、この標準税率のほか、必ずその税率で課税しなければならない「制限税率」や、一定の税率で固定されている「固定税率」がある。個人住民税や固定資産税の税率は標準税率である。 評価替え(ひょうかがえ) 意味 固定資産税の課税の基礎となる土地および家屋の価格(評価額)を、資産価格の変動に対応させるため、3年ごとに見直すこと。 歴史・経過 地方税法に定められている。総務大臣が定める固定資産評価基準に基づき、市町村長(東京23区の場合は都知事)が評価額を決定する。評価替えが行われる年度を「基準年度」という。 費用対効果(ひようたいこうか) 意味 事業や政策に投入した費用(コスト)と、それによって得られた効果(ベネフィット)を比較衡量すること。コストパフォーマンスとも言う。 歴史・経過 公共事業の分野では、事業の採択を判断する際に、費用便益分析(B/C)などの手法を用いて、費用対効果を客観的に評価することが義務付けられている。限られた財源を効率的に活用するための重要な考え方。 費用弁償(ひようべんしょう) 意味 地方公共団体の議員や、審議会の委員などが、その職務を行うために要した費用の実費を弁償するために支給される金銭。 歴史・経過 地方自治法に規定されており、支給額や支給方法は条例で定められる。職務遂行のための交通費などがこれにあたる。給与や報酬とは区別される。 ファシリティマネジメント(ふぁしりてぃまねじめんと) 意味 土地、建物、設備などの施設(ファシリティ)を、経営的な視点から総合的に企画、管理、活用する手法。 歴史・経過 地方公共団体においては、公共施設の老朽化対策や維持管理コストの増大が課題となる中、その重要性が高まっている。「公共施設等総合管理計画」は、ファシリティマネジメントの考え方に基づき策定される。 不交付団体(ふこうふだんたい) 意味 地方交付税のうち、普通交付税の交付を受けていない地方公共団体。標準的な行政需要額(基準財政需要額)を、自前の標準的な税収(基準財政収入額)で賄うことができる、財政力が豊かな団体。 歴史・経過 財政力指数の単年度数値が1.0を上回ると不交付団体となる。東京都や、愛知県、神奈川県などの一部の都県、および企業城下町や都市部の市などが該当することが多い。 複合施設(ふくごうしせつ) 意味 公民館、図書館、支所、保育所など、複数の異なる機能を持つ公共施設を、一つの建物や敷地内に集約して整備した施設。 歴史・経過 公共施設の老朽化対策や行財政改革の一環として、施設の統廃合とあわせて整備が進められている。建設コストや維持管理費の削減、住民の利便性向上、機能間の連携による相乗効果などが期待される。 副市長・副町長・副村長(ふくしちょう・ふくちょうちょう・ふくそんちょう) 意味 市町村長を補佐し、その命令を受けて政策や企画をつかさどり、職員の担任する事務を監督し、長の職務を代理する特別職の地方公務員。 歴史・経過 2007年(平成19年)の地方自治法改正により、それまでの「助役」に代わって設置された。議会の同意を得て、長が選任する。 副知事(ふくちじ) 意味 都道府県知事を補佐し、その命令を受けて政策や企画をつかさどり、職員の担任する事務を監督し、知事の職務を代理する特別職の地方公務員。 歴史・経過 副市長などと同様に、2007年(平成19年)の地方自治法改正で「助役」から名称が変更された。議会の同意を得て、知事が選任する。 不作為(ふさくい) 意味 行政庁が、法令に基づく国民・住民からの申請や審査請求などに対して、相当の期間が経過したにもかかわらず、何らの処分または裁決をしないこと。 歴史・経過 行政手続法や行政不服審査法、行政事件訴訟法で定義されている。申請者の権利利益が不当に侵害されることを防ぐため、不作為に対する不服申立てや、不作為の違法確認訴訟を提起することができる。 扶助費(ふじょひ) 意味 地方公共団体の歳出のうち、生活保護法、児童福祉法、老人福祉法などの法令に基づき、被保護者や児童、高齢者、障害者などを援助するために支出される経費。 歴史・経過 歳出の性質別分類の一つで、人件費、公債費と並ぶ「義務的経費」の中核。少子高齢化の進展に伴い、社会保障関係経費である扶助費は増加傾向にあり、地方財政を圧迫する最大の要因となっている。 不当利得(ふとうりとく) 意味 法律上の正当な原因なしに、他人の財産または労務によって利益を受け、その結果として他人に損失を及ぼすこと。 歴史・経過 民法に規定されている。行政分野では、税金や使用料の過誤納があった場合に、自治体が法律上の原因なく金銭を保有している状態となり、納税者に対して返還義務(不当利得返還義務)を負う。 不納欠損処分(ふのうけっそんしょぶん) 意味 地方税や使用料などの債権について、時効の完成や、滞納者の所在不明・無資力などの理由により、徴収することが不可能であると確定した場合に、その債権を会計上消滅させる手続き。 歴史・経過 地方税法などに規定されている。債権管理の適正化のために行われるが、徴収努力を尽くした上での最終的な手段であり、安易な処分は許されない。議会の承認が必要な場合もある。 不服申立て(ふふくもうしたて) 意味 行政庁の違法または不当な処分その他公権力の行使に不服がある者が、行政機関に対して、その見直しや是正を求める手続き。 歴史・経過 行政不服審査法に定められている。「審査請求」が原則的な形態。裁判(行政事件訴訟)に比べて、簡易・迅速に国民の権利利益の救済を図ることを目的とする。 普通会計(ふつうかいけい) 意味 個々の地方公共団体の財政比較や、地方財政全体の状況を把握するために、総務省の定める基準で統一的に分類し直した会計区分。一般会計に、一部の特別会計(母子父子寡婦福祉資金貸付金事業会計など)を合算して作成される。 歴史・経過 地方財政統計上で用いられる、統計上の架空の会計。公営企業会計は含まれない。決算統計の基礎となる最も重要な会計区分である。 普通建設事業費(ふつうけんせつじぎょうひ) 意味 地方公共団体の歳出のうち、道路、橋りょう、公園、学校、庁舎などの公共施設の建設や整備に要する経費。投資的経費の代表。 歴史・経過 性質別分類の一つ。国の補助を受けて行う「補助事業」と、自治体独自の財源で行う「単独事業」に分けられる。景気対策として、補正予算で追加されることも多い。 普通交付税(ふつうこうふぜい) 意味 地方交付税の大部分(94%)を占めるもの。各地方公共団体が、標準的な行政サービスを提供するために必要と見込まれる財源の不足額を補うために交付される。 歴史・経過 基準財政需要額から基準財政収入額を差し引いた額(財源不足額)を基礎として、客観的な基準に基づき算定・交付される。地方財政の調整機能の中核をなす。 普通財産(ふつうざいさん) 意味 地方公共団体が所有する公有財産のうち、「行政財産」(公用・公共用に供されている財産)以外のすべての財産。 歴史・経過 地方自治法に規定されている。行政財産と異なり、貸し付け、売り払い、交換などの処分が比較的自由にできる。未利用の土地や建物、基金などが該当し、財源確保のための有効活用が求められる。 普通地方公共団体(ふつうちほうこうきょうだんたい) 意味 地方自治法で定められた地方公共団体の分類の一つ。都道府県と市町村を指す。 歴史・経過 特定の事務を共同処理するために設立される「特別地方公共団体」(特別区、一部事務組合、広域連合など)と対比される。日本の地方自治制度の基本的な担い手である。 普通税(ふつうぜい) 意味 地方税の分類の一つで、その使い道が特定されておらず、どのような経費にも充てることができる税。一般財源となる。 歴史・経過 特定の経費に充てるために課税される「目的税」(入湯税、都市計画税など)と対比される。住民税、固定資産税、事業税など、地方税のほとんどは普通税である。 プライマリーバランス(ぷらいまりーばらんす) 意味 「基礎的財政収支」のこと。国や地方公共団体の財政収支のうち、税収などの歳入から、過去の借金の元利払い(国債費・公債費)を除いた政策的経費を差し引いた収支。 歴史・経過 この収支が黒字であれば、その年度の政策的経費を、その年度の税収などで賄えていることを意味し、財政健全化の重要な指標とされる。国は、プライマリーバランスの黒字化を財政再建の目標に掲げている。 プラットフォーム(ぷらっとふぉーむ) 意味 「土台」「基盤」のこと。行政分野では、様々なサービスや機能を提供する共通の基盤を指す。例として、複数の主体がデータを共有・活用するための「データ連携基盤」や、地域課題解決のための「官民連携プラットフォーム」などがある。 歴史・経過 デジタル社会の進展に伴い、分野横断的な連携や新たな価値創造の基盤として、プラットフォームの構築が重視されている。 文化財(ぶんかざい) 意味 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産(有形文化財)や、演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産(無形文化財)、史跡、名勝、天然記念物など、我が国にとって歴史上・芸術上・学術上価値の高いもの。 歴史・経過 文化財保護法に基づき、国や地方公共団体が指定・選定・登録を行い、その保存と活用を図っている。地域の歴史やアイデンティティを形成する重要な資産。 閉会(へいかい) 意味 議会の会期が終了すること。議長が本会議の終わりに宣言する。 歴史・経過 会期中に議決に至らなかった議案は、原則として審議未了(廃案)となる。ただし、委員会が付託された議案について、議会の議決により「閉会中の継続審査」とすることができる。 平成の大合併(へいせいのだいがっぺい) 意味 1999年(平成11年)の地方分権一括法の施行を契機に、2010年(平成22年)頃まで全国的に進められた市町村合併の動き。 歴史・経過 行財政基盤の強化や、行政サービスの効率化、地方分権の受け皿づくりなどを目的として、国が合併特例法による財政支援策などを講じて推進した。この結果、全国の市町村数は3,232(1999年)から1,727(2010年)へと大幅に減少した。 ペーパーレス化(ぺーぱーれすか) 意味 会議資料、申請書、決裁文書などを、紙媒体ではなく電子データで作成、共有、保存すること。 歴史・経過 行政DX(デジタル変革)の重要な取り組みの一つ。印刷コストや保管スペースの削減、情報共有の迅速化、業務の効率化、テレワークの推進などを目的として、国・地方で強力に推進されている。 ヘッドライン(へっどらいん) 意味 東京都の予算編成プロセスで用いられる用語。各局が、翌年度予算で特にアピールしたい主要事業の概要を、簡潔にまとめたもの。 歴史・経過 予算案の公表時に、都民やメディアに対して、新年度予算のポイントを分かりやすく示すために作成される。政策と予算の連動性を象徴する、東京都独自のツール。 ヘイトスピーチ(へいとすぴーち) 意味 特定の国の出身者であることや、その子孫であることなどを理由に、著しく侮蔑し、地域社会から排除することを扇動するような、不当な差別的言動。 歴史・経過 社会問題化したことを受け、2016年(平成28年)に「ヘイトスピーチ解消法」が施行された。法務省が人権啓発活動を強化するとともに、川崎市など一部の自治体では、刑事罰を伴う禁止条例を制定している。 ベンチマーキング(べんちまーきんぐ) 意味 自らの組織の行政サービスや業務プロセスを、他の優れた実績を上げている団体(ベストプラクティス)の事例を指標(ベンチマーク)として、客観的に比較・分析し、改善点を見つけ出す経営管理手法。 歴史・経過 行政評価や業務改革の手法として、1990年代後半から導入が試みられてきた。客観的な比較を通じて、サービスの質の向上や効率化を目指す。 包括外部監査(ほうかつがいぶかんさ) 意味 都道府県、政令指定都市、中核市が、監査委員の監査とは別に、弁護士や公認会計士などの外部の専門家と契約を結び、毎年度、特定のテーマを決めて、財務に関する事務の執行が適正かつ効率的に行われているかを監査する制度。 歴史・経過 1997年(平成9年)の地方自治法改正で導入された。監査委員制度を補完し、外部の専門的な視点から行政をチェックすることで、透明性の向上と行財政改革の推進を図る。 法規(ほうき) 意味 国民や住民の権利を制限し、または義務を課す内容を持つ法規範。行政機関が制定するものとしては、政令、府省令、そして地方公共団体の条例、規則などが該当する。 歴史・経過 行政組織内部のルールである訓令や通達とは区別される。法規の制定・改廃には、法律に基づく明確な根拠と、適正な手続き(議会の議決、パブリックコメントなど)が必要。 防災会議(ぼうさいかいぎ) 意味 災害対策基本法に基づき、国(中央防災会議)および地方公共団体(都道府県防災会議、市町村防災会議)に設置される、防災に関する重要事項を審議する機関。 歴史・経過 長を会長とし、指定行政機関や指定公共機関の職員、学識経験者などで構成される。地域防災計画の作成・修正や、防災に関する情報の共有、対策の推進など、地域の防災体制の中核を担う。 傍聴(ぼうちょう) 意味 議会の本会議や委員会、審議会などの会議を、住民などが直接、会場で見聞きすること。 歴史・経過 地方自治法で、本会議の公開が原則とされており、傍聴は住民の知る権利を保障し、開かれた議会・行政を実現するための重要な制度。近年は、インターネットによる議会中継も普及している。 法定外税(ほうていがいぜい) 意味 地方税法に定められている税目(法定税)以外に、地方公共団体が、総務大臣の同意を得て、条例によって独自に新設する税。 歴史・経過 地方分権の進展とともに、自治体の課税自主権の象徴として注目されている。神奈川県の「水源環境保全税」、東京都の「宿泊税」、福岡県北九州市の「事業所用家屋への新増築に係る事業所税」などが代表例。 法定受託事務(ほうていじゅたくじむ) 意味 本来は国や都道府県が果たすべき事務を、法律や政令により、市町村などが処理することとされた事務。「第一号」(国→都道府県・市町村)と「第二号」(都道府県→市町村)がある。 歴史・経過 2000年(平成12年)の地方分権一括法で、機関委任事務に代わって創設された。国政選挙、パスポート交付、生活保護などが該当。自治事務と異なり、国や都道府県は、その処理について必要な関与(指示など)を行うことができる。 補助金(ほじょきん) 意味 国や地方公共団体が、特定の公益上の必要がある場合に、特定の事業や研究を奨励・助成するために、反対給付を求めずに交付する金銭。 歴史・経過 国から地方への補助金(国庫補助金)は、地方財源を補い、ナショナル・ミニマムを確保する機能を持つが、地方の自主性を損なうとの批判もある。三位一体の改革などで整理合理化が進められた。 補助事業(ほじょじぎょう) 意味 地方公共団体が、国(または都道府県)から補助金の交付を受けて実施する事業。 歴史・経過 道路、学校、保育所などの施設整備や、特定の福祉サービスなどで広く活用される。事業の実施にあたっては、国の定めた基準や手続きに従う必要があり、会計検査院の検査対象ともなる。 補正予算(ほせいよさん) 意味 年度の途中で、当初予算で定めた内容に変更を加える必要が生じた場合に、それを追加・修正するために編成される予算。 歴史・経過 地方自治法に規定されている。災害の発生、経済情勢の急変、国の補正予算への対応などの理由で編成される。当初予算と同様に、議会の議決が必要。 補償(ほしょう) 意味 国や地方公共団体の適法な公権力の行使(例:公共事業のための土地収用)によって、特定の個人が受けた財産上の特別な犠牲に対して、全体の公平負担の見地から、その損失を填補するために行われる金銭的な給付。 歴史・経過 憲法第29条第3項の「正当な補償」に基づく。違法な行為に対する「損害賠償」とは区別される。土地収用法などに具体的な手続きが定められている。 ボトムアップ(ぼとむあっぷ) 意味 組織の下層部(現場の職員や住民)からの意見、提案、アイデアを吸い上げて、上層部が意思決定を行う管理方式。 歴史・経過 現場の実情に合った、実効性の高い政策や業務改善につながるメリットがある。上意下達の「トップダウン」と対比されるが、両者のバランスをとることが、柔軟で強い組織運営には不可欠とされる。 本会議(ほんかいぎ) 意味 議会を構成する全議員によって開かれる会議。議会の最終的な意思を決定する場であり、議案の議決、選挙、一般質問などが行われる。 歴史・経過 議会の活動の中心。議長が議事を整理し、会議を主宰する。本会議での審議を効率的・専門的に行うため、事前に所管の常任委員会などで議案の審査が行われる。 本庁(ほんちょう) 意味 地方公共団体の行政機関のうち、中心となる庁舎。または、出先機関(支所、事業所など)に対して、中心となる組織全体を指す言葉。 歴史・経過 首長や、企画、財政、人事などの主要な部局が置かれている。本庁と出先機関との間の役割分担や連携が、効率的な行政運営の鍵となる。 まみむめも 埋蔵文化財(まいぞうぶんかざい) 意味 土地に埋蔵されている文化財(包蔵地)のこと。主に、住居跡、古墳、貝塚などの「遺構」と、土器、石器、木製品などの「遺物」からなる。 歴史・経過 文化財保護法で保護の対象とされている。埋蔵文化財包蔵地で土木工事などを行う場合は、事前に教育委員会への届出が義務付けられており、工事に先立って発掘調査が行われることがある。 マイナンバーカード(まいなんばーかーど) 意味 「個人番号カード」の通称。ICチップが搭載されたプラスチック製のカードで、表面に氏名、住所、生年月日、性別、顔写真が、裏面に12桁の個人番号(マイナンバー)が記載されている。 歴史・経過 2016年(平成28年)1月から交付が開始された。公的な身分証明書として利用できるほか、e-Taxなどの電子申請、コンビニでの証明書交付、健康保険証としての利用など、機能の拡充が進められている。国の重要政策として普及が強力に推進されている。 マイナンバー制度(まいなんばーせいど) 意味 「社会保障・税番号制度」の通称。住民票を持つすべての人に12桁の個人番号(マイナンバー)を付番し、社会保障、税、災害対策の分野で情報を効率的に管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人のものであることを確認するための社会基盤。 歴史・経過 2013年(平成25年)に番号法が成立し、2016年(平成28年)から運用が開始された。行政の効率化、国民の利便性向上、公平・公正な社会の実現を目的とする。 マイナポータル(まいなぽーたる) 意味 政府が運営するオンラインサービス。マイナンバーカードを使ってログインし、行政機関が保有する自分の情報の確認(自己情報表示)、行政手続きの電子申請(ぴったりサービス)、行政からのお知らせの受信などを行うことができる。 歴史・経過 2017年(平成29年)から本格運用を開始。子育てや介護に関する手続きのワンストップ化や、確定申告における医療費控除情報の自動入力など、国民の利便性向上に向けた機能拡充が進められている。 前金払(まえきんばらい) 意味 公共工事や製造の請負、物品の購入契約などにおいて、業務の着手や履行の前に、契約金額の一部を前払いする制度。 歴史・経過 会計法および地方自治法施行令に規定されている。受注者の円滑な資金調達を助け、契約の確実な履行を確保することを目的とする。公共工事では、契約金額の4割を上限として前払いすることが一般的。 マクロ経済スライド(まくろけいざいすらいど) 意味 公的年金の給付水準を調整する仕組み。年金額の改定率を、賃金や物価の変動率から、現役の被保険者数の減少率や平均余命の伸び率を勘案した「スライド調整率」を差し引いて決定する。 歴史・経過 2004年(平成16年)の年金制度改正で導入され、2015年度(平成27年度)に初めて発動された。少子高齢化が進む中で、年金制度の持続可能性を確保するため、給付と負担のバランスを自動的に調整することを目的とする。 マスタープラン(ますたーぷらん) 意味 特定の分野における、長期的・総合的な基本計画。行政の様々な分野で、将来像や目標、施策の方向性を示すために策定される。 歴史・経過 都市計画分野における「都市計画マスタープラン」が代表的で、市町村が定める都市計画の基本的な方針を示す。その他、「緑の基本計画」や「住宅マスタープラン」など、分野ごとの最上位計画として策定されることが多い。 まち・ひと・しごと創生(まち・ひと・しごとそうせい) 意味 人口急減・超高齢化という課題に対し、東京一極集中の是正、若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現、地域の特性を活かした魅力的な地域社会の形成を目指す一連の政策。いわゆる「地方創生」。 歴史・経過 2014年(平成26年)に「まち・ひと・しごと創生法」が制定され、国が「総合戦略」を、各地方公共団体が「地方版総合戦略」を策定し、交付金などを活用して具体的な取り組みを進めている。 まちづくり(まちづくり) 意味 住民、事業者、行政などが、それぞれの役割を果たしながら連携・協力(協働)し、地域の課題解決や魅力向上を図り、良好な地域社会を形成・維持・管理していく一連の活動。 歴史・経過 ハード面の整備(都市計画など)だけでなく、福祉、防災、景観、文化振興などのソフト面の活動も含む幅広い概念。住民参加や協働の理念が重視され、多くの自治体で「まちづくり基本条例」などが制定されている。 まちづくり三法(まちづくりさんぽう) 意味 1998年(平成10年)から2000年(平成12年)にかけて制定・改正された、「大規模小売店舗立地法」「改正都市計画法」「中心市街地活性化法」の3つの法律の総称。 歴史・経過 郊外における大規模店舗の出店を規制・誘導し、空洞化が進む中心市街地の活性化を図ることを目的とした。しかし、効果が限定的であったとの評価もあり、その後の法改正で、よりコンパクトなまちづくりを目指す方向へと転換が図られている。 窓口(まどぐち) 意味 行政機関において、住民からの申請、届出、相談などを受け付け、証明書の発行などを行う、住民と直接接する場所や機能のこと。 歴史・経過 住民サービスの最前線であり、行政の「顔」ともいえる。近年は、住民の利便性向上のため、複数の手続きを一つの窓口で済ませる「ワンストップ窓口」の設置や、オンライン申請の導入、民間委託による開庁時間の延長などが進められている。 マニフェスト(まにふぇすと) 意味 選挙において、政党や候補者が、有権者に対して示す具体的な政策の公約。政策の目標、実施手段、期限、財源などを明記する点が特徴。また、産業廃棄物の処理においては、排出事業者がその処理を委託する際に交付する「産業廃棄物管理票」を指す。 歴史・経過 選挙公約としてのマニフェストは、2003年(平成15年)の統一地方選挙頃から日本で注目されるようになった。有権者が政策本位で投票先を選び、当選後の実績を検証するためのツールとされる。 マル政(まるせい) 意味 公務員の政治的行為の制限に関する違反事件を指す警察用語。 歴史・経過 国家公務員法および地方公務員法では、行政の中立性を確保するため、公務員の政治的行為が一定の範囲で制限されている。特定の政党を支持・反対する目的での署名運動や、選挙における投票の勧誘などが禁止行為にあたる。 マルチハザードマップ(まるちはざーどまっぷ) 意味 洪水、土砂災害、津波、高潮、地震など、複数の種類の災害リスクに関する情報を、一枚の地図や、重ね合わせることができる形でまとめたハザードマップ。 歴史・経過 災害は複合的に発生することがあるため、個別のハザードマップを統合することで、住民が自らの地域の災害リスク全体を、より総合的に理解できるようにすることを目的とする。近年、作成・公表する自治体が増えている。 満額回答(まんがくかいとう) 意味 予算編成過程において、各部局が行った予算要求に対し、財政担当部局が、削減することなく要求額の全額を認めて予算案に計上すること。 歴史・経過 厳しい財政状況下では極めて稀なケース。国の重要政策や、首長の公約に直結する事業など、政治的に優先度が非常に高い事業に対して行われることがある。 マンション管理適正化法(まんしょんかんりてきせいかほう) 意味 マンションの管理の適正化を推進し、良好な居住環境を確保することを目的とした法律。正式名称は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」。 歴史・経過 2000年(平成12年)に制定。管理組合に対する情報提供や、管理業者の登録制度などを定めている。2020年(令和2年)の改正では、地方公共団体による管理計画の認定制度が創設され、行政の関与が強化された。 マンホール(まんほーる) 意味 下水道、上水道、通信ケーブルなどの地下埋設物の維持管理(点検、清掃、修理)のために、作業員が出入りする垂直の穴。および、その開口部を覆う鉄製の蓋。 歴史・経過 近年、老朽化したマンホールの蓋が、車両の通行などにより浮き上がったり破損したりする事故が問題となっている。自治体は、計画的な点検・更新を進めている。また、ご当地デザインの蓋は「マンホールカード」として観光資源にもなっている。 未収金(みしゅうきん) 意味 地方税、使用料、手数料、貸付金などの債権のうち、納期限を過ぎてもまだ納付・返済されていないもの。滞納金。 歴史・経過 未収金の増大は、自治体の財政を圧迫し、住民負担の公平性を損なう。そのため、多くの自治体で「債権管理条例」を制定し、徴収体制の強化や、計画的な滞納整理に取り組んでいる。 水循環基本法(みずじゅんかんきほんほう) 意味 水循環(水が蒸発し、雨や雪となって降り、川となって海に注ぐ一連の流れ)に関する施策を総合的・一体的に推進するための基本法。 歴史・経過 2014年(平成26年)に制定。健全な水循環を維持・回復させることを目的とし、国や地方公共団体の責務を定めている。流域全体の関係者が連携する「流域水循環協議会」の設置などが規定されている。 緑の基本計画(みどりのきほんけいかく) 意味 都市緑地法に基づき、市町村が、その区域内の緑地の保全や緑化の推進に関する目標や施策を、総合的・計画的に定めるマスタープラン。 歴史・経過 1994年(平成6年)の都市緑地法改正で制度化された。公園・緑地の配置、公共施設の緑化、生産緑地の保全、住民参加による緑化活動の推進など、地域の緑に関する総合的な方針を示す。 みなし公務員(みなしこうむいん) 意味 公務員ではないが、その職務の公共性・中立性から、刑法などの一部の規定(収賄罪、守秘義務など)の適用において、公務員とみなされる者。 歴史・経過 日本銀行の役職員、指定管理者制度で公の施設の管理を行う団体の職員、自動車検査員、民生委員などが該当する。職務の公正さを担保するために設けられた規定。 見直し(みなおし) 意味 行政評価や事業仕分け、決算の分析などの結果を踏まえ、既存の事業や計画、制度の内容、実施方法、予算などを再検討し、改善・改革すること。 歴史・経過 PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)における「Action(改善)」の段階に相当する。社会経済情勢の変化に対応し、限られた行政資源を効果的・効率的に活用するために不可欠なプロセス。 身分証明書(みぶんしょうめいしょ) 意味 個人の身元や本人であることを証明する公的な書類。行政機関が発行するものとしては、マイナンバーカード、運転免許証、旅券(パスポート)などがある。 歴史・経過 行政手続きや金融機関での取引など、社会生活の様々な場面で本人確認のために必要となる。近年、偽造防止技術の高度化や、ICチップ搭載による機能の多様化が進んでいる。 身元保証(みもとほしょう) 意味 地方公務員の採用にあたり、採用される職員が、将来、職務上の故意または過失によって自治体に損害を与えた場合に、その賠償を連帯して保証することを、第三者(保証人)が約束すること。 歴史・経過 多くの自治体で、採用時の提出書類として身元保証書が求められてきた。しかし、保証人の負担が大きいことや、実効性に疑問があることなどから、近年、身元保証を廃止する自治体が増加している。 未来投資戦略(みらいとうしせんりゃく) 意味 安倍内閣が、日本の成長戦略として策定した一連の政策パッケージ。Society 5.0の実現を掲げ、健康寿命の延伸、移動革命の実現、新たなフロンティアの開拓などを柱とした。 歴史・経過 2017年(平成29年)から毎年改定された。AI、IoT、ビッグデータなどの先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れることで、社会課題の解決と経済成長の両立を目指した。地方創生や行政のデジタル化も重要なテーマとされた。 民間委託(みんかんいたく) 意味 アウトソーシングとも言う。地方公共団体が、その事務や事業の一部を、契約に基づき、民間事業者に委ねること。 歴史・経過 行財政改革の主要な手法の一つ。民間の専門性や効率性を活用し、コスト削減と住民サービスの向上を図ることを目的とする。窓口業務、施設の管理運営、情報システムの開発・運用、給食調理など、幅広い分野で導入されている。 民間活力(みんかんかつりょく) 意味 「民活」と略される。民間の持つ資金、経営ノウハウ、技術力、人材などを指す。これらを公共サービスの提供や社会資本の整備に活用すること。 歴史・経過 1980年代の臨時行政調査会(臨調)以降、行財政改革のキーワードとなっている。PFI、指定管理者制度、公設民営、民間委託などは、民間活力を導入するための具体的な手法である。 民生費(みんせいひ) 意味 地方公共団体の歳出を、その行政目的によって分類した区分(目的別分類)の一つ。社会福祉、老人福祉、児童福祉、生活保護などに関する経費が含まれる。 歴史・経過 少子高齢化の進展に伴い、社会保障関係経費である民生費は、歳出の中で最も大きな割合を占め、増加し続けている。その財源確保が、地方財政における最大の課題となっている。 民生委員(みんせいいいん) 意味 民生委員法に基づき、厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員(特別職)。地域住民の身近な相談相手として、福祉に関する相談に応じ、必要な支援や行政サービスにつなぐ役割を担う。 歴史・経過 1917年(大正6年)に岡山県で始まった「済世顧問制度」が源流。児童福祉法に定める「児童委員」を兼ねることとされている。地域福祉の重要な担い手だが、なり手不足や高齢化が課題となっている。 民泊(みんぱく) 意味 住宅(戸建住宅、マンションの一室など)を活用して、旅行者などに宿泊サービスを提供すること。 歴史・経過 インターネットの普及で急速に広がったが、旅館業法上の許可を得ない違法な施設が問題となった。2018年(平成30年)に「住宅宿泊事業法」(民泊新法)が施行され、都道府県知事等への届出をすれば、年間180日を上限に営業できるようになった。 無過失責任(むかしつせきにん) 意味 損害が発生した場合に、加害者に故意や過失がなくても、法律の規定によって賠償責任を負うこと。 歴史・経過 国家賠償法第2条では、道路や河川などの公の営造物の設置または管理の瑕疵(欠陥)によって他人に損害を生じさせた場合、国や地方公共団体は無過失責任を負うとされている。 無形文化財(むけいぶんかざい) 意味 演劇、音楽、工芸技術、その他の無形の文化的所産で、歴史上または芸術上価値の高いもの。文化財保護法で定められている。 歴史・経過 国は、重要なものを「重要無形文化財」に指定し、そのわざを体得した個人を「人間国宝」として認定する。地方公共団体も、条例で独自の無形文化財を指定し、その保存・伝承を図っている。 無効(むこう) 意味 法律行為が、成立当初から、法律上、意図した効果が全く生じないこと。 歴史・経過 行政行為においては、その瑕疵(欠陥)が重大かつ明白である場合に、無効となるとされる。無効な行政行為は、誰でも、いつでもその無効を主張でき、取消訴訟のような出訴期間の制限はない。 無作為抽出(むさくいちゅうしゅつ) 意味 統計調査において、調査対象となる母集団の中から、作為を加えずに、くじ引きのようにランダムに調査対象(標本)を抽出する方法。 歴史・経過 世論調査や、各種の統計調査で用いられる。標本に偏りが生じにくく、調査結果から母集団全体の性質を科学的に推測することが可能になる。 無電柱化(むでんちゅうか) 意味 道路上の電柱や電線をなくし、電線類を地中に埋設すること。 歴史・経過 良好な景観の形成、歩行空間の安全性・快適性の向上、大規模災害時の電柱倒壊による道路閉塞の防止などを目的とする。2016年(平成28年)に「無電柱化の推進に関する法律」が施行され、国・地方公共団体の責務として計画的な推進が求められている。 無届け(むとどけ) 意味 法令や条例によって義務付けられている届出を、正当な理由なく行わないこと。 歴史・経過 建築基準法における建築届や、住民基本台帳法における転入・転出届など、多くの行政手続きで届出が義務付けられている。無届けの行為は、罰則の対象となったり、他の行政サービスを受けられなくなったりすることがある。 無投票当選(むとうひょうとうせん) 意味 公職の選挙において、選挙の告示日に立候補の届出をした者の総数が、その選挙で選ばれる定数を超えなかった場合に、投票を行わずに当選が決定すること。 歴史・経過 公職選挙法に規定されている。特に、地方議会議員選挙において、人口減少やなり手不足を背景に、無投票となる選挙区が増加しており、住民の民意を問う機会が失われることへの懸念が指摘されている。 名義後援(めいぎこうえん) 意味 地方公共団体などが、民間団体が主催する事業に対して、資金的な援助は行わず、「後援」という名称の使用を許可すること。 歴史・経過 事業の公益性や信頼性を高める効果がある。自治体は、事業の目的や内容が、行政の施策の方向性と合致するかなどを審査し、承認の可否を決定する。 名簿(めいぼ) 意味 特定の目的のために、個人の氏名や住所などを一定の順序で記載した帳票。 歴史・経過 行政が作成・管理する名簿には、選挙の投票資格者を登録する「選挙人名簿」、住民基本台帳法に基づく「住民基本台帳」、公務員試験の合格者を成績順に記載する「採用候補者名簿」など、重要なものが数多くある。 迷惑防止条例(めいわくぼうしじょうれい) 意味 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、住民の平穏な生活を保持することを目的として、各都道府県および一部の市が制定している条例。 歴史・経過 ダフ屋行為、客引き、痴漢、つきまとい行為などを規制・処罰の対象としている。社会情勢の変化に応じて、盗撮やストーカー行為に関する規制が強化されるなど、改正が重ねられている。 命令(めいれい) 意味 行政機関が、その権限に基づいて制定する法形式の総称。内閣が制定する「政令」、各省大臣が制定する「省令」、地方公共団体の長が制定する「規則」などがある。 歴史・経過 法律や条例の委任を受けて、その施行に必要な細則を定めたり、法律や条例を実施するために必要な事項を定めたりする。 メセナ(めせな) 意味 企業が、資金提供などを通じて、文化・芸術活動を支援すること。古代ローマで文化・芸術を擁護した政治家マエケナスに由来する。 歴史・経過 企業の社会貢献活動(CSR)の一環として行われる。地方公共団体も、地域の文化振興を図るため、メセナ活動を行う企業と連携したり、税制上の優遇措置を設けたりすることがある。 メーター制(めーたーせい) 意味 水道やガスなどの供給サービスにおいて、各戸に設置した計量器(メーター)で測定した使用量に応じて料金を算定する方式。 歴史・経過 使用量にかかわらず一定額を課す「定額制」と対比される。受益と負担の関係が明確であり、利用者に使用量の節約を促す効果があるため、公営の水道事業などでは、メーター制が原則となっている。 免許(めんきょ) 意味 法令によって一般的に禁止されている行為を、特定の場合に、特定の人に対して許可し、適法に行えるようにする行政行為。 歴史・経過 医師免許、自動車運転免許、飲食店営業許可(法律上の性質は「許可」だが通称として)などが該当する。一定の知識や技能、設備などを有することを確認した上で与えられる。 免責(めんせき) 意味 法律上の義務や責任を免除すること。 歴史・経過 国家賠償法では、国や地方公共団体の職員が、職務を行うについて、故意または重過失によって他人に損害を与えた場合、国などが賠償責任を負うが、職員個人は直接の賠償責任を免れる。ただし、国などは、その職員に求償権を行使できる。 免税(めんぜい) 意味 本来は課税対象となるものについて、特定の政策的な目的から、法律で特別に課税を免除すること。 歴史・経過 消費税における、輸出取引や、社会保険医療などの非課税取引が代表例。地方税では、軽油引取税において、特定の船舶や農業用機械に使用される軽油が免税(免税軽油)となる制度がある。 免税点(めんぜいてん) 意味 課税標準額が一定の金額に満たない場合に、課税を免除する制度。その基準となる金額のこと。 歴史・経過 少額の取引や資産について、徴税コストが税収を上回ることを避けるために設けられている。固定資産税では、同一市町村内に所有する土地、家屋、償却資産の課税標準額が、それぞれ一定額未満の場合は課税されない。 申合せ(もうしあわせ) 意味 行政機関の内部において、特定の事務の取り扱いや、組織運営に関するルールなどを、関係者間の合意によって定めたもの。内規の一種。 歴史・経過 法令や条例のような法的な拘束力はなく、あくまで内部の自主的なルール。しかし、行政実務の運用においては、事実上のガイドラインとして機能することが多い。 目的税(もくてきぜい) 意味 地方税のうち、その税収の使い道が、あらかじめ特定の経費に充てることと定められている税。 歴史・経過 使途が特定されない「普通税」と対比される。受益と負担の関係を明確にし、特定の事業の財源を安定的に確保するために設けられる。都市計画税、事業所税、入湯税、水利地益税などが該当する。 目的別分類(もくてきべつぶんるい) 意味 地方公共団体の歳出予算を、その行政の目的によって分類したもの。「議会費」「総務費」「民生費」「衛生費」「土木費」「教育費」などに分けられる。 歴史・経過 経費の経済的な性質で分類する「性質別分類」とともに、予算・決算を分析するための基本的な分類方法。自治体が、どの行政分野に重点を置いて財源を配分しているかを示している。 木密地域(もくみつちいき) 意味 「木造住宅密集市街地」の略。古い木造建築物が密集し、道路などの基盤整備が不十分で、地震時の火災延焼や、家屋倒壊などの危険性が高い地域。 歴史・経過 特に、東京、大阪、名古屋などの大都市に多く存在する。国や自治体は、不燃化特区制度の創設、道路拡幅、公園整備、建て替え助成などを通じて、木密地域の防災性向上を図る「不燃化・耐震化事業」を重点的に進めている。 モデル事業(もでるじぎょう) 意味 パイロット事業とも言う。新しい政策や事業を、全国や自治体全域で本格的に実施する前に、特定の地域や対象者を限定して先行的に実施し、その効果や課題、実現可能性などを検証する事業。 歴史・経過 本格実施後の失敗リスクを低減し、より効果的な制度設計に繋げることを目的とする。検証結果は、本格展開に向けた計画の見直しなどに活用される。 モニタリング(もにたりんぐ) 意味 政策や事業の進捗状況、成果、影響などを、継続的に観測・測定・監視すること。 歴史・経過 行政評価や進行管理(PDCAサイクル)において、重要なプロセス。計画通りに進んでいるか、意図した効果が現れているかを定期的に把握し、必要に応じて計画の修正や改善を行うための基礎情報となる。 盛り土(もりど) 意味 土地を造成する際に、低い地盤や斜面に土砂を盛って、平坦な地盤や新たな土地を造成すること。または、その盛られた土砂のこと。 歴史・経過 2021年(令和3年)に静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害を契機に、危険な盛り土を全国的に規制する必要性が高まった。2022年(令和4年)に「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称:盛土規制法)が成立し、都道府県知事等の許可が必要な区域が指定されるなど、規制が大幅に強化された。 持ち回り決裁(もちまわりけっさい) 意味 決裁(承認)を得るべき案件について、会議を開く代わりに、担当者が起案文書を持って関係する決裁者のところを順番に回り、承認印を得ていく決裁方法。 歴史・経過 緊急を要する案件や、定型的な案件について、迅速に意思決定を行うために用いられる。近年は、電子決裁システムの導入により、物理的に回るのではなく、システム上で回議することが一般的になっている。 問題行動(もんだいこうどう) 意味 教育分野において、学校のルールや社会の規範から逸脱する児童生徒の行動を指す言葉。いじめ、暴力行為、不登校、非行などが含まれる。 歴史・経過 文部科学省が、毎年「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」を実施し、その実態を把握している。教育委員会や学校は、スクールカウンセラーの配置や、関係機関との連携を通じて、未然防止と早期対応に取り組んでいる。 問責決議(もんせきけつぎ) 意味 国会や地方議会が、大臣や委員長、あるいは地方公共団体の長などに対して、その政治的・道義的責任を問うために行う決議。 歴史・経過 法的拘束力はなく、辞職などを強制する効力はない。しかし、可決された場合は、対象者の政治的・道義的責任が議会によって公式に表明されたことになり、その後の政局や行政運営に大きな影響を与えることがある。 やゆよ 夜間中学(やかんちゅうがく) 意味 様々な事情で義務教育を修了できなかった人や、自国で十分な教育を受けられなかった外国籍の人などのために、夜間に中学校教育を行う公立中学校の学級。 歴史・経過 戦後の混乱期に設立されたものが始まり。近年、不登校経験者や外国人の増加などを背景に、学び直しの機会を提供する重要な役割が再評価されている。2016年(平成28年)に教育機会確保法が施行され、国や地方公共団体に設置促進の責務が課された。 役員報酬(やくいんほうしゅう) 意味 地方公共団体が設立した外郭団体(第三セクターなど)や、公営企業の役員(理事、監事など)に対して支払われる報酬。 歴史・経過 行財政改革の中で、役員報酬の決定プロセスや水準の妥当性が厳しく問われるようになった。多くの自治体では、条例や定款で報酬の基準を定め、審議会などの意見を聴いた上で決定するなど、透明性の確保に努めている。 役所(やくしょ) 意味 国や地方公共団体の公務員が、行政事務を取り扱う施設。官公庁。一般的には、市役所、区役所、町・村役場などを指すことが多い。 歴史・経過 明治時代の地方制度確立とともに、現在の役所の原型が形成された。近年は、単なる事務処理の場から、住民サービスの拠点、情報発信の拠点、地域活動の拠点としての多機能化が求められている。 役場(やくば) 意味 町または村の行政事務を取り扱う施設。町役場、村役場。 歴史・経過 市における市役所、特別区における区役所に相当する。地域住民に最も身近な行政機関として、戸籍、税、福祉など、日常生活に密着した幅広い業務を担っている。 ヤード条例(やーどじょうれい) 意味 自動車の解体や、中古部品の輸出などを行う事業所(ヤード)について、盗難自動車の不正な解体・輸出を防止し、周辺の生活環境を保全するために、地方公共団体が制定する条例の通称。 歴史・経過 2010年代以降、自動車盗難の温床となっているとの指摘を受け、千葉県や茨城県など、ヤードが集中する自治体を中心に制定が進んだ。事業の届出制、本人確認義務、帳簿の備付け、立入検査権などを定めている。 ヤングケアラー(やんぐけあらー) 意味 本来、大人が担うと想定されているような家事や家族の世話(病気の親の介護、幼いきょうだいの世話など)を、日常的に行っている18歳未満の子ども。 歴史・経過 2010年代後半から、学業や心身の成長に深刻な影響を及ぼす可能性があるとして、社会問題として認識されるようになった。2020年度(令和2年度)に国が初の実態調査を行い、自治体においても、相談体制の整備や支援策の検討が急がれている。 有価証券(ゆうかしょうけん) 意味 財産的価値を持つ権利を表す証券。地方公共団体においては、基金(貯金)の効率的な運用のため、安全性・確実性を確保した上で、国債や地方債などの有価証券で保有・運用することがある。 歴史・経過 地方自治法では、基金の運用について、確実かつ効率的に行わなければならないと定められている。金融市場の変動による価格下落のリスクがあるため、運用にあたっては、条例や内部規程で厳格なルールが定められている。 有期労働契約(ゆうきろうどうけいやく) 意味 「1年」「6か月」など、労働契約の期間に定めがある労働契約。 歴史・経過 地方公共団体で働く「会計年度任用職員」は、一会計年度(4月1日〜翌年3月31日)を超えない範囲で任用されるため、有期労働契約にあたる。労働契約法では、同一の使用者との間で有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換できるルール(無期転換ルール)が定められている。 遊休施設(ゆうきゅうしせつ) 意味 地方公共団体が保有する公共施設のうち、廃止されたり、利用頻度が著しく低かったりして、有効に活用されていない施設。 歴史・経過 人口減少や行政需要の変化により、廃校となった学校施設や、利用者の少ない公民館などが遊休化する例が増えている。施設の維持管理コストを削減し、財源を確保するため、民間への売却や貸付け、他の用途への転用などが検討される。 遊休土地(ゆうきゅうとち) 意味 地方公共団体が保有する土地(公有地)のうち、特定の行政目的で利用されておらず、将来の利用計画も明確でない土地。 歴史・経過 国土利用計画法では、一定規模以上の土地を取得した者に対し、利用目的の届出を義務付け、利用されていない土地(遊休土地)については、知事が助言や勧告、買取り協議を行える制度がある。自治体自身も、財源確保や地域活性化のため、保有する遊休土地の売却や有効活用を進めている。 有効求人倍率(ゆうこうきゅうじんばいりつ) 意味 公共職業安定所(ハローワーク)における、月間の有効求職者数に対する有効求人数の割合。求職者1人あたり何件の求人があるかを示す。景気動向を示す重要な経済指標の一つ。 歴史・経過 厚生労働省が毎月発表している。この数値が高いと人手不足(求職者にとって有利)、低いと就職難(企業にとって有利)とされる。地方公共団体は、地域の雇用情勢を把握し、産業政策や雇用対策を立案する際の基礎資料として活用する。 融資(ゆうし) 意味 資金を必要とする者に、利子を付けて貸し出すこと。地方公共団体においては、中小企業の経営安定や、住民の生活資金などを支援するため、金融機関と連携して低利の融資を行う「制度融資」がある。 歴史・経過 制度融資は、自治体が金融機関に預託金を預けたり、信用保証協会への保証料を補助したりすることで、中小企業などが通常より有利な条件で融資を受けられるようにする仕組み。地域経済の活性化を目的とする。 有事(ゆうじ) 意味 戦争、大規模なテロ、重大な自然災害など、国家や国民の安全に重大な影響を及ぼす非常事態のこと。平時と対比される。 歴史・経過 2003年(平成15年)に武力攻撃事態法が制定されるなど、有事に対応するための法整備(有事法制)が進められた。地方公共団体も、国民保護法に基づき、有事の際の住民の避難や救援に関する計画(国民保護計画)を策定することが義務付けられている。 有事法制(ゆうじほうせい) 意味 日本に対する外部からの武力攻撃などの有事に際して、国や国民の安全を確保し、対処するための一連の法律群。 歴史・経過 2003年(平成15年)から2004年(平成16年)にかけて、武力攻撃事態対処法、国民保護法、米軍行動円滑化法などが制定された。これらの法律は、自衛隊の行動、国民の権利の制限、地方公共団体の役割などについて定めている。 優先交渉権者(ゆうせんこうしょうけんじゃ) 意味 PFI事業や公募型のプロポーザル方式において、最も優れた提案を行ったとして選定され、契約締結に向けて優先的に交渉する権利を得た事業者。 歴史・経過 選定後、自治体と優先交渉権者との間で、提案内容の詳細な協議が行われ、仕様や金額などを確定させた上で、正式な契約が締結される。協議が不調に終わった場合は、次点の候補者(次順位交渉権者)と交渉が行われることもある。 郵送請求(ゆうそうせいきゅう) 意味 住民票の写しや戸籍謄本・抄本などの証明書を、役所の窓口に出向くことなく、郵便を利用して請求・取得する手続き。 歴史・経過 遠隔地に住んでいる人や、日中に窓口に行けない人の利便性を確保するために設けられている。近年は、マイナンバーカードを利用したコンビニ交付サービスや、オンライン申請の普及により、郵送請求の代替手段も増えている。 優良運転者(ゆうりょううんてんしゃ) 意味 継続して免許を受けている期間が5年以上で、かつ過去5年間に違反行為や人身事故を起こしていない運転者。ゴールド免許の交付対象となる。 歴史・経過 1994年(平成6年)の道路交通法改正で制度化。優良運転者には、免許証の有効期間が5年となる、更新時の講習時間が短縮される、自動車保険料の割引が適用されるなどの優遇措置がある。 有料道路(ゆうりょうどうろ) 意味 その道路の建設や維持管理の費用を、通行料金によって賄う道路。高速自動車国道や、都市高速道路、一般有料道路などがある。 歴史・経過 道路整備特別措置法などに基づき整備・管理される。建設費の償還が終了すれば、無料開放されるのが原則。近年は、PFI手法の一つであるコンセッション方式により、民間事業者が料金徴収と運営を行う例も増えている。 有害鳥獣(ゆうがいちょうじゅう) 意味 農林水産業や生活環境に被害を及ぼす、またはその恐れのある野生鳥獣。イノシシ、シカ、サル、カラスなどが代表例。 歴史・経過 鳥獣保護管理法に基づき、被害防止の目的で、都道府県知事や市町村長の許可を得て捕獲することができる。近年、全国的にシカやイノシシによる農業被害が深刻化しており、自治体は、捕獲の担い手確保や、ジビエ利用の促進などに取り組んでいる。 誘致(ゆうち) 意味 企業、工場、研究機関、大規模なイベント(国際会議、スポーツ大会など)を、自らの地域に招き寄せること。 歴史・経過 企業誘致は、雇用の創出や税収の増加、地域経済の活性化を目的として、多くの自治体が重要な政策と位置づけている。税制上の優遇措置、補助金の交付、用地の斡旋など、様々なインセンティブを用意して、都市間競争を繰り広げている。 郵便投票(ゆうびんとうひょう) 意味 選挙人が、投票所に行かずに、郵便を利用して投票できる制度。 歴史・経過 公職選挙法に定められている。対象者は、身体に重度の障害があるなどの理由で、投票所に行くことが困難な人に限定されている(身体障害者手帳や戦傷病者手帳、介護保険の要介護5の認定などが要件)。 遊水地(ゆうすいち) 意味 大雨の際に、河川の水を一時的に貯留し、下流への流量を調節して、洪水被害を軽減するために設けられる土地や施設。 歴史・経過 河川法に基づき、河川整備計画の一環として整備される。普段は公園やグラウンドとして利用されていることが多い。近年の気候変動による豪雨の頻発・激甚化を受け、治水対策としての重要性が高まっている。 UJIターン(ゆーじぇーあいたーん) 意味 地方出身者が、出身地(Uターン)やその近隣(Jターン)、あるいは出身地とは異なる地方(Iターン)へ移住することの総称。 歴史・経過 地方創生の文脈で、地方への人の流れを創出するための重要な概念。多くの自治体が、移住相談窓口の設置、移住支援金の支給、就労支援、住宅支援など、UJIターンを促進するための様々な施策を展開している。 UNESCO(ゆねすこ) 意味 国際連合教育科学文化機関(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)の略。教育、科学、文化の発展と推進を通じて、国際平和と人類の福祉に貢献することを目的とする国連の専門機関。 歴史・経過 世界遺産(文化遺産、自然遺産)、無形文化遺産、ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)などの登録を行っている。これらの登録は、地域のブランド価値を高め、観光振興や地域活性化につながるため、多くの自治体が登録を目指して活動している。 ユニバーサルデザイン(ゆにばーさるでざいん) 意味 年齢、性別、国籍、能力、障害の有無などにかかわらず、できるだけ多くの人が、特別な改造や設計を必要とせずに、利用しやすいように、製品、建築、環境、サービスなどをデザインするという考え方。 歴史・経過 バリアフリーが「障壁を取り除く」という考え方であるのに対し、ユニバーサルデザインは「最初から誰もが使いやすいように設計する」という点が特徴。自治体では、公共施設の整備や情報提供において、この理念の導入が進められている。 ゆるキャラ(ゆるきゃら) 意味 地方公共団体や地域の企業、団体などが、地域おこしや名産品のPRのために作成したマスコットキャラクター。多くは、親しみやすい、ゆるい雰囲気のデザインを特徴とする。 歴史・経過 2000年代後半からブームとなり、全国各地で数多くのゆるキャラが誕生した。「くまモン」(熊本県)や「ひこにゃん」(滋賀県彦根市)などの成功事例は、シティプロモーションの手法として大きな影響を与えた。 要介護認定(ようかいごにんてい) 意味 介護保険制度において、被保険者が介護サービスを利用するために、どの程度の介護が必要な状態にあるかを、市町村(特別区)が判定・認定する手続き。 歴史・経過 2000年(平成12年)の介護保険制度開始とともに導入。申請に基づき、訪問調査と、医師の意見書、コンピュータによる一次判定、介護認定審査会による二次判定を経て、「要支援1・2」「要介護1〜5」のいずれかの区分、または「非該当」が決定される。 要綱(ようこう) 意味 行政機関が、特定の事務や事業の実施に関する手続きや基準などを定めた内部規程。 歴史・経過 条例や規則と異なり、法的な拘束力を持たないが、行政実務の運用においては、事実上のルールとして機能する。補助金の交付要綱や、審議会の設置要綱などが代表例。情報公開請求の対象となる。 要綱・要領(ようこう・ようりょう) 意味 「要綱」が事務処理の基本方針や大綱を示すのに対し、「要領」は、より具体的な手順や細目を定めたものとして、使い分けられることがある。両者を総称して、行政内部のルールを指す言葉。 歴史・経過 法令を補完し、円滑な行政運営を確保するために策定される。ただし、住民の権利義務に直接影響を与えるような内容を、議会の議決を経ない要綱・要領で定めることは、法律による行政の原理から問題視されることがある。 要請(ようせい) 意味 行政機関が、他の機関や、民間事業者、住民などに対して、特定の行動をとるよう、協力を求めること。 歴史・経過 法的な強制力はないが、一定の事実上の効果を期待して行われる。災害時の住民への避難要請や、感染症対策における事業者への営業時間短縮の要請、国から地方への政策協力の要請など、様々な場面で用いられる。 用途地域(ようとちいき) 意味 都市計画法に基づき、都市の土地利用を計画的に誘導するために、住居、商業、工業など、建築できる建物の種類、用途、規模などを定めた区域。 歴史・経過 住居系、商業系、工業系の3つに大別され、さらに13種類の地域に細分化されている。用途の異なる建物の混在を防ぎ、機能的な都市活動と良好な都市環境を確保することを目的とする。 容積率(ようせきりつ) 意味 敷地面積に対する、建築物の延べ面積(各階の床面積の合計)の割合。建築基準法および都市計画で、用途地域ごとに上限が定められている。 歴史・経過 建物の密度をコントロールし、道路や下水道などのインフラへの負荷を調整するとともに、日照や通風などの市街地環境を確保する役割を持つ。建ぺい率とともに、土地利用を規制する基本的な指標。 養護老人ホーム(ようごろうじんほーむ) 意味 老人福祉法に基づき、65歳以上で、環境上の理由(身寄りがない、虐待を受けているなど)および経済的な理由により、居宅での生活が困難な高齢者が入所する施設。 歴史・経過 介護保険制度の「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」とは異なり、介護を主目的とする施設ではない。市町村長による「措置」によって入所が決定される。 幼保一元化(ようほいちげんか) 意味 所管官庁や根拠法が異なる幼稚園(文部科学省所管、学校教育法)と保育所(厚生労働省所管、児童福祉法)の制度を統合し、教育と保育を一体的に提供する仕組みを作ること。 歴史・経過 長年の課題であったが、2006年(平成18年)に両方の機能を併せ持つ「認定こども園」制度が創設され、部分的に実現した。2015年(平成27年)の「子ども・子育て支援新制度」で、その普及がさらに推進されている。 様式(ようしき) 意味 申請書、届出書、証明書など、行政手続きで用いられる書類の、定められた形式や書式。 歴史・経過 条例や規則で様式が定められていることが多い。行政事務の標準化と効率化に役立つ一方、複雑で分かりにくい様式は、住民にとって負担となる。近年、押印欄の見直しや、オンライン化を前提とした様式の簡素化が進められている。 養子縁組届(ようしえんぐみとどけ) 意味 法律上の親子関係(嫡出親子関係)を、血縁関係のない者との間に創設するための届出。 歴史・経過 戸籍法に基づき、市区町村長に届け出る。当事者間の合意に基づく「普通養子縁組」と、家庭裁判所の審判により、実の親との親子関係を終了させて縁組する「特別養子縁組」がある。 予算(よさん) 意味 一会計年度における、地方公共団体の歳入と歳出の見積もり。行政活動の計画を、金額で表したもの。 歴史・経過 地方自治法により、首長は毎会計年度、予算を調製し、議会に提出して、その議決を得なければならないと定められている。予算は、条例や契約と並び、自治体の意思決定の最も重要な形式の一つ。 予算決算委員会(よさんけっさんいいんかい) 意味 地方議会に設置される委員会の一つ。主に、首長から提出された予算案や、決算の認定に関する議案を、集中的に審査する。 歴史・経過 常任委員会ではなく、必要に応じて設置される「特別委員会」として設けられることが多い。全議員で構成されることもあり、議会の会期中の最も重要な審議の場となる。 予算執行(よさんしっこう) 意味 議会で議決され、成立した予算に基づいて、実際に収入を確保し、経費を支出する一連の行為。 歴史・経過 予算の執行権は、首長に属する。首長は、予算の定めるところに従い、効率的かつ効果的に執行する責任を負う。監査委員は、予算の執行が適正に行われているかを監査する。 予算説明書(よさんせつめいしょ) 意味 首長が、予算を議会に提出する際に、あわせて提出しなければならない書類。歳入歳出予算事項別明細書、給与費明細書、債務負担行為に関する調書などが含まれる。 歴史・経過 地方自治法第211条に規定されている。議会が予算を審議する上で、その内容を詳細に理解するための基礎資料となる。 予算の移替え(よさんのうつしかえ) 意味 都財政用語。予算執行の過程で、組織の改編などがあった場合に、ある局の予算を、他の局の予算に移すこと。 歴史・経過 行政需要の変化に弾力的に対応するための実務的な手続き。予算の流用とは異なり、経費の性質や目的を変えるものではない。 予算の繰上充用(よさんのくりあげじゅうよう) 意味 会計年度の途中で、歳計現金が不足した場合に、翌年度の歳入を繰り上げて、その年度の歳出の財源に充てること。 歴史・経過 地方財政法に規定されている。歳入の著しい減少など、非常時の例外的な措置であり、議会の議決が必要。一時借入金でも対応できないような、深刻な資金不足の場合に用いられる。 予算の流用(よさんのりゅうよう) 意味 歳出予算で定められた、款・項・目・節といった区分の間で、経費を融通し合うこと。 歴史・経過 地方自治法では、予算の執行上やむを得ない場合に、各項の間での流用(項間流用)は、あらかじめ予算で定めておけば可能とされている。ただし、人件費と公債費など、特定の経費への流用は制限されている。 予算編成(よさんへんせい) 意味 首長が、次年度の行政運営に必要な歳入と歳出の見積もりを行い、予算案として取りまとめる一連の作業。 歴史・経過 通常、前年の夏頃から、各部局からの予算要求(概算要求)、財政担当部局による査定、首長による最終決定(首長査定)というプロセスを経て、翌年2月〜3月の議会に提出される。 予定価格(よていかかく) 意味 地方公共団体が、競争入札や随意契約を行う際に、その契約金額の上限として、あらかじめ定めておく価格。 歴史・経過 地方自治法施行令に規定されている。予定価格を超えた入札は無効となる。談合防止のため、入札執行前には公表せず、事後に公表することが一般的となっている。 予備費(よびひ) 意味 予算外の支出や、予算で計上した額を超過した支出に充てるために、歳出予算の中に計上しておく予備の経費。 歴史・経過 地方自治法で、一般会計の歳出予算に計上することが義務付けられている。予測できない事態に備えるためのものであり、その支出にあたっては、首長の責任で決定されるが、議会への報告が必要。 予防接種(よぼうせっしゅ) 意味 感染症の予防のため、ワクチンを接種すること。 歴史・経過 予防接種法に基づき、市町村が実施主体となって行われる。個人の発病・重症化を防ぐとともに、社会全体での感染症のまん延を防止する目的がある。接種が強く推奨される「定期接種」と、希望者が任意で受ける「任意接種」がある。 読み替え規定(よみかえきてい) 意味 法律や条例の条文において、ある規定を別の対象に適用する際に、その規定中の特定の字句を、別の字句に置き換えて適用する旨を定める規定。 歴史・経過 法令の条文を簡潔にするための立法技術の一つ。「Aについては、第○条の規定を準用する。この場合において、同条中『B』とあるのは『C』と読み替えるものとする」といった形式で用いられる。 予約システム(よやくしすてむ) 意味 公民館、体育館、ホールなどの公共施設の利用予約や、各種相談、イベント参加の申込みなどを、インターネットや電話を通じて行えるようにする仕組み。 歴史・経過 住民の利便性向上と、窓口業務の効率化を目的として、多くの自治体で導入されている。24時間いつでも手続きが可能になるメリットがある。 寄合(よりあい) 意味 地域住民が集まって、地域の課題や共同の仕事について話し合い、決定する会合。 歴史・経過 江戸時代から続く、日本の地域社会における意思決定の伝統的な形。現代においても、町内会・自治会の総会や、水利組合の会合など、様々な形で存続しており、地域コミュニティの維持や、住民自治の基盤として重要な役割を果たしている。 らりるれろ ライフライン(らいふらいん) 意味 電気、ガス、上下水道、電話、通信、輸送など、都市の機能や市民の生活を維持するために不可欠な基幹的な供給・処理施設やシステムの総称。 歴史・経過 1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災で、ライフラインが寸断され、都市機能が麻痺したことを教訓に、その重要性が広く認識された。災害対策基本法や各自治体の地域防災計画において、ライフラインの耐震化や、災害時の早期復旧体制の確立が重要な課題とされている。 ライフ・ワーク・バランス(らいふ・わーく・ばらんす) 意味 「仕事と生活の調和」と訳される。仕事上の責任を果たしつつ、家庭や地域生活など、個人の私生活も充実させられるような、バランスの取れた状態。 歴史・経過 少子化対策や男女共同参画の推進、働き方の多様化などを背景に、2000年代から国・地方公共団体で重要な政策課題となった。長時間労働の是正、年次有給休暇の取得促進、テレワークの導入などが、公務員組織内でも進められている。 ライン組織(らいんそしき) 意味 指揮命令系統が、組織のトップから末端まで、一本の線(ライン)で結ばれている階層的な組織形態。部長-課長-係長といった、直接的な業務執行を担う部門を指す。 歴史・経過 行政組織の基本的な形態。指揮命令系統が明確で、迅速な意思決定が可能になる。一方で、専門的な企画・助言を行う「スタッフ組織」(企画課、人事課など)と対比され、両者の適切な連携が効率的な組織運営には不可欠とされる。 落札(らくさつ) 意味 競争入札において、発注者(国や地方公共団体)が、最も有利な条件を提示した入札者(申込者)の申し込みを承諾し、契約の相手方として決定すること。 歴史・経過 落札した者を「落札者」という。落札者は、正当な理由なく契約を辞退することはできない。落札の決定方法には、価格のみで判断する「価格競争方式」と、価格と技術力を総合的に評価する「総合評価方式」がある。 落札率(らくさつりつ) 意味 入札における、予定価格(発注者が見積もった契約金額の上限)に対する落札価格の割合。 歴史・経過 落札率が100%に近い水準で高止まりしている場合、競争が十分に機能しておらず、入札談合が行われている可能性が疑われることがある。そのため、入札の公正性を測る指標の一つとして、会計検査や監査で注視される。 乱開発(らんかいはつ) 意味 都市計画や自然環境への配慮を欠いた、無秩序で無計画な開発行為。スプロール現象の主な原因となる。 歴史・経過 高度経済成長期に、都市郊外で乱開発が進行し、インフラ整備の遅れや、良好な自然環境の喪失などの問題が生じた。これを防ぐため、1968年(昭和43年)の都市計画法改正で、市街化区域と市街化調整区域を分ける「線引き」制度や、開発許可制度が導入された。 ランニングコスト(らんにんぐこすと) 意味 施設や設備、システムなどを維持・管理・運営していくために、継続的に必要となる経費。維持管理費。 歴史・経過 施設の建設費などの初期投資(イニシャルコスト)と対比される。公共施設の整備にあたっては、建設費だけでなく、将来にわたって発生するランニングコストを考慮した、ライフサイクルコストの視点が重要となっている。 濫用(らんよう) 意味 与えられた権限や権利を、その本来の目的を逸脱して、不正または不当に行使すること。 歴史・経過 地方自治法では、地方公共団体は、その権限を濫用してはならないと定められている。また、行政事件訴訟法では、裁量権の範囲を逸脱または濫用した処分は、裁判所が取り消すことができるとされている。 リース(りーす) 意味 企業や個人が、特定の物件(コピー機、自動車、コンピュータなど)を、比較的長期間にわたって賃貸借すること。 歴史・経過 地方公共団体においても、購入する場合に比べて初期投資を抑えられるため、事務用機器や公用車などで広く活用されている。複数年度にわたるリース契約は、予算の単年度主義の例外である「債務負担行為」の設定が必要となる。 リーガルチェック(りーがるちぇっく) 意味 条例案、規則案、契約書、行政処分など、行政が行う行為が、憲法や法律、その他の法令に違反していないか、法的な観点から事前に審査・検証すること。 歴史・経過 行政運営の適法性を確保し、将来の紛争や訴訟リスクを回避するために不可欠なプロセス。法務担当部署や、顧問弁護士などがこの役割を担う。 リーディングプロジェクト(りーでぃんぐぷろじぇくと) 意味 先導的な事業。自治体の総合計画や基本構想で掲げた将来像を実現するため、特に重点的に、かつ率先して取り組む、象徴的な事業のこと。 歴史・経過 計画全体の推進役となり、他の事業を牽引する役割が期待される。予算や人員を重点的に配分し、計画の実効性を高めるための戦略的な取り組みとして位置づけられる。 利益相反(りえきそうはん) 意味 公務員が、その職務上の地位や権限を利用して、自己または第三者の利益を図り、結果として、その職務の公正さが損なわれるような状況。 歴史・経過 国家公務員倫理法や、各自治体の職員倫理条例などで、利害関係者からの贈与の禁止や、特定の行為を行う際の届出などが定められている。職務執行の公正さに対する住民の信頼を確保するために、厳しく規制される。 利害関係人(りがいかんけいにん) 意味 特定の事項や行政処分などについて、法律上の直接的な利害関係を有する者。 歴史・経過 行政手続法では、不利益処分を行う際の聴聞手続きにおいて、当事者以外の利害関係人も、許可を得て参加し、意見を述べることができるとされている。 リサイクル(りさいくる) 意味 廃棄物などを、原材料やエネルギー源として再利用すること。3R(リデュース、リユース、リサイクル)の一つ。 歴史・経過 循環型社会の形成を目指し、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、食品リサイクル法など、品目ごとのリサイクルを推進する法律が整備された。市町村は、住民や事業者と協力し、ごみの分別収集や再資源化に取り組んでいる。 利子補給(りしほきゅう) 意味 地方公共団体が、中小企業や個人が金融機関から融資を受ける際に、その利子の一部を負担(補給)することで、実質的な金利負担を軽減する制度。 歴史・経過 中小企業の育成、住宅取得の促進、特定の産業振興などを目的として行われる。補助金の一種であり、条例や要綱に基づいて実施される。 リスクコミュニケーション(りすくこみゅにけーしょん) 意味 災害、食品安全、環境問題、感染症などのリスク(危険性)に関する情報を、行政、専門家、企業、住民などのすべての関係者が共有し、相互に意思疎通を図ること。 歴史・経過 行政が一方的に情報を伝達するだけでなく、住民の不安や意見を聴き、対話を通じて相互理解と信頼関係を築き、社会全体でリスクを管理していくことを目指す。 リスクマネジメント(りすくまねじめんと) 意味 行政運営に伴う様々なリスク(災害、事故、不祥事、財政悪化など)を、組織的に把握・分析・評価し、その発生を未然に防止したり、発生した場合の損失を最小限に抑えたりするための一連の管理プロセス。 歴史・経過 危機管理(クライシスマネジメント)が、発生した危機への対応に重点を置くのに対し、リスクマネジメントは、より広範なリスクの予防的管理を含む。内部統制システムの構築と一体で進められる。 リスキリング(りすきりんぐ) 意味 技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、既存の業務で必要とされなくなったスキルを持つ人材に、新たなスキルを習得させて、新しい業務や職業に就けるようにすること。 歴史・経過 DX(デジタル変革)の進展に伴い、企業の成長戦略として注目されている。行政においても、職員のデジタル人材への転換や、地域住民の就労支援策として、リスキリングを推進する動きが広がっている。 立案(りつあん) 意味 政策や計画、条例などの案を考え、組み立てること。企画・立案。 歴史・経過 行政の政策形成プロセスにおける最初の重要な段階。社会課題の分析、目標設定、具体的な手段の検討などが行われる。近年は、EBPM(証拠に基づく政策立案)の考え方に基づき、客観的なデータを用いて立案することの重要性が高まっている。 立地適正化計画(りっちてきせいかけいかく) 意味 人口減少社会に対応し、コンパクトなまちづくり(コンパクトシティ)を実現するため、市町村が定める計画。居住を誘導する「居住誘導区域」と、医療・福祉・商業などの都市機能を誘導する「都市機能誘導区域」を設定する。 歴史・経過 2014年(平成26年)の都市再生特別措置法改正により制度化された。人口密度を維持し、行政サービスやインフラ維持の効率化を図ることを目的とする。 立入検査(たちいりけんさ) 意味 行政機関の職員が、法令の規定に基づき、事業所や施設、土地などに立ち入り、業務の状況や帳簿書類などを検査すること。 歴史・経過 消防法、食品衛生法、建築基準法、廃棄物処理法など、多くの行政法規で、許認可の監督や、法令違反の是正のために、立入検査の権限が職員に与えられている。 立候補(りっこうほ) 意味 公職の選挙において、候補者になろうとする者が、選挙管理委員会に所定の届出を行うこと。 歴史・経過 公職選挙法に手続きが定められている。一定の年齢に達した日本国民であれば、被選挙権を有する。供託金の納付が必要となる選挙が多い。 リデュース(りでゅーす) 意味 廃棄物(ごみ)の発生を抑制すること。3R(リデュース、リユース、リサイクル)の中で、最も優先順位が高い取り組みとされる。 歴史・経過 循環型社会形成推進基本法で、取り組みの優先順位が定められた。具体的には、過剰包装を断る、詰め替え製品を選ぶ、マイバッグを持参するなどの行動が該当する。 リモートワーク(りもーとわーく) 意味 テレワークとほぼ同義。ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所にとらわれずに、柔軟に働く形態。在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務などがある。 歴史・経過 新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、行政機関でも急速に導入が進んだ。業務の継続性確保(BCP対策)、職員のワーク・ライフ・バランスの向上、多様な人材の確保などを目的とする。 理由付記(りゆうふき) 意味 行政庁が、許認可の拒否や、不利益処分などを行う際に、その処分の根拠となる法令の条項と、その処分に至った具体的な事実関係を、相手方に示すこと。 歴史・経過 行政手続法で義務付けられている。行政庁の判断の慎重さと合理性を担保し、相手方が不服申立てなどを行う際の便宜を図ることを目的とする。 リユース(りゆーす) 意味 一度使用された製品を、廃棄せずに、そのままの形で繰り返し使用すること。3R(リデュース、リユース、リサイクル)の一つ。 歴史・経過 リターナブルびん(ビールびん、牛乳びんなど)の利用や、フリーマーケット、リユースショップの活用が該当する。自治体によっては、粗大ごみとして出された家具などを修理して、希望者に安価で提供する事業を行っている。 流域治水(りゅういきちすい) 意味 気候変動による水害の激甚化に対応するため、河川の管理者だけでなく、流域に関わるあらゆる関係者(国、都道府県、市町村、企業、住民など)が協働して、河川の集水域(流域)全体で、水を貯留・浸透させる取り組み。 歴史・経過 従来の堤防やダムなどの河川整備に加え、田んぼダム、雨水貯留施設の整備、ハザードマップによる土地利用の誘導など、多様な対策を組み合わせて、洪水被害の軽減を目指す。2020年頃から国の重要政策として推進されている。 留保(りゅうほ) 意味 決定や実行を、一時的に差し控えて、保留すること。行政分野では、権限の一部を上級の行政機関が保持し、下級機関に移譲しないことを「権限の留保」という。 歴史・経過 地方分権改革において、国から地方へ、あるいは都道府県から市町村へ権限移譲が進められる中で、全国的な統一性が求められる事務などについて、国や都道府県が権限を留保するケースがある。 両性平等(りょうせいびょうどう) 意味 男女が、互いにその人権を尊重し、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会の状態。男女共同参画とほぼ同義。 歴史・経過 1999年(平成11年)に男女共同参画社会基本法が制定され、国の最も重要な政策課題の一つとされた。地方公共団体も、男女共同参画計画を策定し、政策決定過程への女性の参画拡大や、ワーク・ライフ・バランスの推進などに取り組んでいる。 猟友会(りょうゆうかい) 意味 狩猟者の団体。一般社団法人大日本猟友会を頂点とし、各都道府県や地域に支部組織がある。 歴史・経過 近年、シカやイノシシなどによる農作物被害が深刻化する中で、有害鳥獣の捕獲の担い手として、地方公共団体にとって不可欠な協力団体となっている。会員の高齢化や後継者不足が大きな課題。 臨時会(りんじかい) 意味 地方議会において、定例会(年に4回以内)とは別に、特定の案件を審議するために、必要に応じて招集される議会。 歴史・経過 地方自治法に基づき、首長が必要と認める時、または議員定数の4分の1以上の者から請求があった時に、首長が招集する。災害対策や、緊急の補正予算の審議などのために開かれる。 臨時財政対策債(りんじざいせいたいさくさい) 意味 地方交付税の原資となる国税収入が不足し、本来、地方に交付すべき額を確保できない場合に、その不足分を補うために、地方公共団体が特例として発行を認められる地方債。 歴史・経過 2001年度(平成13年度)に創設。地方の財源不足を、地方が借金をする形で穴埋めする仕組み。その元利償還金は、後年度、全額が地方交付税の基準財政需要額に算入されることになっているが、地方の借金残高を増大させる大きな要因となっている。 臨時の任用(りんじのにんよう) 意味 地方公務員法に基づき、常時勤務を要する職に欠員が生じた場合などに、緊急の必要から、正式な任用手続きによらずに、臨時的に職員を採用すること。 歴史・経過 任用期間は原則6か月以内で、1回に限り更新できる。かつては、多くの非常勤職員がこの制度で雇用されていたが、2020年度の会計年度任用職員制度の導入により、その対象は限定的となった。 臨海副都心(りんかいふくとしん) 意味 東京都が、都心部の機能の一部を分担し、新たなビジネスや文化の拠点を形成するために、東京港の埋立地(台場、青海、有明など)に開発した大規模な都市基盤。 歴史・経過 1980年代後半から計画が始動。バブル経済の崩壊により、当初の計画は変更を余儀なくされたが、その後、フジテレビの移転や、東京ビッグサイト、各種商業施設の開業、タワーマンションの建設などが進んだ。東京2020オリンピック・パラリンピックでは多くの競技会場が設置された。 累進課税(るいしんかぜい) 意味 課税対象となる所得や資産の金額が大きくなるほど、より高い税率が適用される課税方式。 歴史・経過 所得の再分配機能を持ち、担税力(税を負担する能力)に応じた公平な負担を実現することを目的とする。国の所得税が代表例。地方税では、個人住民税の所得割は、かつて累進税率であったが、2007年度から一律10%の比例税率に改められた。 類似団体(るいじだんたい) 意味 地方公共団体の財政状況を比較分析するために、人口と産業構造(産業別就業者数の構成比)が類似している他の自治体をグループ化したもの。 歴史・経過 総務省が、毎年度の決算統計(地方財政状況調査)に基づき、全国の市町村を分類している。自らの団体の財政指標(歳入・歳出の構成、各種比率など)を、類似団体の平均値と比較することで、財政上の課題や特徴を客観的に把握することができる。 令和(れいわ) 意味 日本の元号の一つ。2019年(令和元年)5月1日から使用されている。 歴史・経過 元号法に基づき、政令によって定められた。日本の古典である『万葉集』から引用された初の元号。行政文書の日付は、元号で表記されるのが通例。 レガシー(れがしー) 意味 「遺産」のこと。行政分野では、オリンピック・パラリンピックなどの大規模な国際イベントを契機として整備された競技施設やインフラ、あるいは、それによって醸成されたボランティア文化やスポーツ振興、共生社会の理念など、開催後に地域や社会に残される有形・無形の資産を指す。 歴史・経過 東京2020大会では、大会のレガシーを次世代に継承し、発展させていくことが重要なテーマとされた。施設の有効活用や、大会で得られた知見の活用が、開催都市である東京都などの課題となっている。 レジリエンス(れじりえんす) 意味 「強靭性」「回復力」「しなやかさ」などと訳される。防災・減災の文脈では、大規模な災害などの危機的な事態に直面しても、致命的なダメージを回避し、迅速に回復・再生できる、しなやかで強い社会や組織の能力を指す。 歴史・経過 東日本大震災を教訓に、国土強靭化基本法(2013年)が制定されるなど、国の防災政策の基本理念となった。ハード対策(インフラ整備)とソフト対策(BCP策定、人材育成など)を組み合わせ、社会全体のレジリエンスを高めることが目指されている。 レセプト(れせぷと) 意味 「診療報酬明細書」のこと。医療機関が、健康保険の保険者(市町村国保、健保組合など)に対して、患者に提供した診療行為の報酬を請求するために作成する明細書。 歴史・経過 市町村や都道府県(国保の財政運営主体)は、審査支払機関を通じて、レセプトの内容が適正であるかを審査した上で、医療機関に診療報酬を支払う。レセプトデータは、地域の医療費の動向分析や、保健事業の計画策定にも活用される。 レッドリスト(れっどりすと) 意味 絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト。国際的にはIUCN(国際自然保護連合)が、国内では環境省が作成している。 歴史・経過 生物の絶滅リスクを科学的・客観的に評価し、その結果を公表することで、保護活動を促進することを目的とする。地方公共団体においても、地域の特性を反映した独自のレッドリスト(またはレッドデータブック)を作成し、生物多様性の保全施策に活用している。 連携(れんけい) 意味 行政機関が、他の行政機関(国、他の自治体)や、民間事業者、NPO、大学、住民など、異なる主体と、共通の目的のために協力し、連絡を取り合って物事を進めること。 歴史・経過 行政課題が複雑化・多様化する中で、単独の組織だけでは解決が困難な問題が増えている。広域連携、官民連携、産学官連携など、様々な形での連携が、効果的な行政運営のために不可欠となっている。 連携中枢都市圏(れんけいちゅうすうとしけん) 意味 地方圏において、相当の規模と中核性を備える「中心市」と、その近隣の「連携市町村」が、相互に連携・協力する協約を結び、圏域全体の経済成長を牽引し、住民が安心して暮らせる社会を確保するための広域連携の仕組み。 歴史・経過 2014年(平成26年)に総務省が制度化した。圏域全体の経済戦略の策定、生活関連機能の連携強化、都市機能の集約などを目指す。形成された圏域には、国からの財政支援がある。 連結実質赤字比率(れんけつじっしつあかじひりつ) 意味 地方公共団体財政健全化法に定められた財政指標の一つ。一般会計だけでなく、公営企業会計などを含む、自治体の全会計を連結して算出した実質的な赤字額が、標準的な財政規模に占める割合。 歴史・経過 2007年(平成19年)に導入。一般会計は黒字でも、下水道事業や病院事業などの特別会計で多額の赤字を抱えている場合があるため、自治体全体の財政状況をより正確に把握するために用いられる。 連帯納付義務(れんたいのうふぎむ) 意味 一つの納税義務について、複数の者が、各自独立して、その全額を納付する義務を負うこと。そのうちの一人が全額を納付すれば、他の者の義務も消滅する。 歴史・経過 地方税法では、共有物に係る固定資産税や、相続によって承継された納税義務などについて、共有者や共同相続人が連帯納付義務を負うと定められている。 労使関係(ろうしかんけい) 意味 使用者(経営者)と労働者(従業員)との間の関係。地方公共団体においては、任命権者(首長など)と、職員およびその団体である職員組合との関係を指す。 歴史・経過 地方公務員の労働基本権は、その地位の特殊性から、法律で一定の制約を受けている。勤務条件などに関する交渉は、人事委員会勧告制度や、職員団体との交渉を通じて行われる。 労働基準監督署(ろうどうきじゅんかんとくしょ) 意味 労働基準法などの関係法令に基づいて、事業場に対する監督、労災保険の給付、安全衛生の指導などを行う、国(厚生労働省)の第一線の出先機関。 歴史・経過 地方公共団体の職場も、労働基準法の適用を受けるため、労働基準監督署の監督対象となる。職員の労働時間管理や、安全衛生管理について、指導や是正勧告を受けることがある。 労働組合(ろうどうくみあい) 意味 労働者が、主体となって、自主的に労働条件の維持・改善などを図ることを目的として組織する団体。地方公務員の場合は「職員団体」と呼ばれる。 歴史・経過 地方公務員の職員団体は、地方公務員法に基づき、当局と勤務条件などについて交渉することができる。ただし、争議行為(ストライキなど)は禁止されている。 老朽化(ろうきゅうか) 意味 建物や設備、インフラなどが、時間の経過とともに、物理的・機能的に劣化し、古くなること。 歴史・経過 高度経済成長期に集中的に整備された全国の公共施設やインフラが一斉に老朽化し、その維持管理・更新費用の増大が、国・地方の共通の大きな財政課題となっている。計画的な対策(アセットマネジメント)が急務。 老人福祉法(ろうじんふくしほう) 意味 高齢者の福祉に関する原理を明らかにするとともに、高齢者に対し、心身の健康の保持および生活の安定のために必要な措置を講じ、もって高齢者の福祉を図ることを目的とする法律。 歴史・経過 1963年(昭和38年)に制定。当初は、老人ホームへの入所などの「措置」制度が中心であった。2000年(平成12年)の介護保険法の施行により、介護サービスは契約制度に移行したが、養護老人ホームへの入所や、虐待防止、敬老事業など、現在も老人福祉の基本法として重要な役割を担っている。 路線価(ろせんか) 意味 主要な道路に面した標準的な宅地の、1平方メートルあたりの価格。相続税や贈与税の算定基準として、国税庁が毎年公表する「相続税路線価」と、固定資産税の評価のために、市町村が算定する「固定資産税路線価」がある。 歴史・経過 一般的に「路線価」という場合は、相続税路線価を指すことが多い。これは、地価公示価格の8割程度を目安に評価される。 ロジックモデル(ろじっくもでる) 意味 行政の事業や政策について、投入する資源(Input)、それによって行われる活動(Activity)、生み出される直接的な産物(Output)、その結果として得られる成果(Outcome)の間の、論理的な因果関係を図で示したもの。 歴史・経過 EBPM(証拠に基づく政策立案)を推進するための重要なツール。事業の目的と手段の関係を可視化し、関係者間の共通認識を形成するとともに、どの段階で効果を測定(モニタリング)すべきかを明確にするのに役立つ。 わ ワーケーション(わーけーしょん) 意味 「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語。テレワークなどを活用し、リゾート地や地方など、普段の職場とは異なる場所で働きながら、休暇も取得する勤務形態。 歴史・経過 2010年代後半から働き方改革の一環として注目され、特に新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に急速に普及した。地方公共団体にとっては、都市部からの人の流れを創出し、交流人口・関係人口の増加や、将来的な移住につなげる地方創生の切り札として期待されており、多くの自治体がサテライトオフィスの整備や、滞在費の補助など、誘致策を積極的に展開している。 ワークショップ(わーくしょっぷ) 意味 参加者が主体的に議論や共同作業を行い、課題の発見や解決策の創出、合意形成などを図るための会議手法。「協働参加型学習」とも訳される。 歴史・経過 1990年代以降、まちづくりや総合計画の策定、行政評価などの分野で、住民参加を促進するための有効な手法として広く導入された。行政が一方的に説明するのではなく、ファシリテーターの進行のもと、参加者同士が対等な立場で意見を出し合い、創造的な結論を導き出すことを目指す。 ワイズスペンディング(わいずすぺんでぃんぐ) 意味 「賢い支出」のこと。限られた財源を有効に活用するため、EBPM(証拠に基づく政策立案)などの手法を用いて、事業の費用対効果を徹底的に検証し、真に効果の高い事業に予算を重点的に配分していくという考え方。 歴史・経過 行財政改革の文脈で用いられる言葉。特に東京都が、都政改革の中でこの考え方を強く打ち出している。単なる歳出削減ではなく、事業の成果(アウトカム)を最大化することに主眼を置き、質の高い行政サービスの提供を目指す。 和解(わかい) 意味 紛争の当事者同士が、互いに譲歩し、争いをやめることを合意すること。行政分野では、国や地方公共団体が当事者となる訴訟において、判決によらずに、裁判上または裁判外で紛争を解決することを指す。 歴史・経過 国家賠償請求訴訟や、行政処分の取消訴訟などで、訴訟の長期化を避け、早期に紛争を解決するために和解が選択されることがある。裁判上の和解は、確定判決と同一の効力を有する。和解にあたっては、議会の議決が必要となる場合がある。 割印(わりいん) 意味 2通以上作成した契約書などの文書が、同一の内容であること、または関連する文書であることを証明するために、それぞれの文書にまたがって印章を押すこと。 歴史・経過 地方公共団体が、事業者などと契約を締結する際に、慣行として広く用いられてきた。しかし、法的な義務はなく、近年、行政手続きのデジタル化や「脱ハンコ」の流れの中で、割印を求めない自治体も増えている。 割れ窓理論(われまどりろん) 意味 建物の窓ガラスが1枚割れたまま放置されていると、やがて他の窓も割られ、地域全体の環境が悪化し、凶悪な犯罪につながっていくという犯罪学の理論。軽微な秩序違反を放置しないことが、重大な犯罪の抑止につながるという考え方。 歴史・経過 1980年代にアメリカで提唱された。行政分野では、地域の防犯対策や、落書きの消去、不法投棄の防止といった環境美化活動、まちづくり条例の根拠などに応用されている。住民や地域コミュニティと連携した取り組みが重要とされる。 ワンストップサービス(わんすとっぷさーびす) 意味 関連する複数の行政手続きを、一つの場所や窓口で、一度にまとめて提供するサービス。 歴史・経過 住民の利便性向上と行政の効率化を目的として、1990年代後半からの行政改革の中で推進されてきた。転入・転出に伴う手続きをまとめた「総合窓口」の設置や、マイナポータルを通じた子育て・介護に関する電子申請のワンストップ化などが具体例。 ワンストップ支援センター(わんすとっぷしえんせんたー) 意味 性犯罪・性暴力の被害者が、被害直後から、心身の負担なく必要な支援を受けられるように、産婦人科医療、カウンセリング、捜査に関する相談・支援などを、一つの場所でまとめて提供する拠点。 歴史・経過 2017年(平成29年)の刑法改正などを背景に、国が設置を推進。内閣府の交付金を活用し、各都道府県に少なくとも1か所設置することが目標とされている。被害者に寄り添い、関係機関と連携して総合的な支援を行う。 ワンルームマンション条例(わんるーむまんしょんじょうれい) 意味 ワンルーム形式の住戸を中心とするマンションの建設について、地方公共団体が、独自の基準を定めて規制・誘導する条例の通称。 歴史・経過 2000年代以降、特に東京23区などの都市部で、単身世帯の急増に伴うワンルームマンションの乱立が、地域コミュニティの希薄化や、ファミリー世帯の流出を招くとして問題視された。一定割合のファミリー向け住戸の設置義務付けや、駐車場の設置基準の強化、事業者に対する協力金の要請などを定めている。 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