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行政用語集

masashi0025

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。

アーカイブズ(あーかいぶず)
  • 意味
    • 歴史資料として重要な価値を持つ公文書や記録類を、組織的に収集・整理・保存し、一般の利用に供する施設や機能、またはその資料群自体のこと。日本の「公文書館」がこれにあたる。
  • 歴史・経過
    • 日本では、1987年(昭和62年)に公文書館法が制定され、公文書等を歴史資料として保存・利用する体制整備の基礎が築かれた。その後、2009年(平成21年)には「公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)」が制定され、現用文書から歴史的公文書までの一貫した管理体制と、国民の共有財産としての利用促進が国の責務として明確化された。
相手方負担金(あいてがたふたんきん)
  • 意味
    • 地方公共団体が行う特定の事業によって、特に利益を受ける者(受益者)から、その受益の限度において経費の一部を負担してもらう収入。「受益者負担金」の一種。
  • 歴史・経過
    • 地方財政法第6条に規定されている地方公共団体の歳入の一つ。道路、公園、下水道などの整備事業のように、その利益が特定の地域や住民に及ぶ場合に、サービスの受益と負担の公平性を確保する目的で徴収される。
合見積もり(あいみつもり)
  • 意味
    • 物品の購入や工事の発注など、地方公共団体が契約を締結する際に、経済性・公正性を確保するため、複数の事業者から見積書を提出させ、内容や金額を比較検討すること。「相見積もり」「あいみつ」とも言う。
  • 歴史・経過
    • 会計法や地方自治法施行令などの法令で、競争入札や随意契約の際に求められる手続き。特に随意契約においては、契約の適正さを担保するための重要なプロセスとなる。予定価格の範囲内で、最も有利な条件を提示した者と契約することを原則とする。
アウトカム(あうとかむ)
  • 意味
    • 行政の事業や政策によって生み出された、住民や社会にもたらされる具体的な成果や効果、変化のこと。「事業の実施により、どのような状態が実現したか」を示す指標。
  • 歴史・経過
    • 1990年代以降、行政評価が本格化する中で重視されるようになった概念。事業の直接的な産物である「アウトプット(例:講座の開催回数)」と明確に区別し、政策の真の目的(例:住民の健康増進)が達成されたかを測るために用いられる。
アウトソーシング(あうとそーしんぐ)
  • 意味
    • 「外部委託」のこと。行政サービスや内部事務の一部を、専門的なノウハウや効率性を持つ民間企業などに委託すること。「民間委託」とも言う。
  • 歴史・経過
    • 1980年代の臨時行政調査会(臨調)答申以降、行財政改革の主要な手法として注目された。「官から民へ」のスローガンの下、コスト削減や住民サービス向上を目的として、窓口業務、施設の管理運営など幅広い分野で導入が進んでいる。
青色申告(あおいろしんこく)
  • 意味
    • 所得税や法人税の確定申告の方法の一つ。正規の簿記の原則に従って記帳し、その帳簿に基づいて所得を申告する制度。青色申告特別控除など、様々な税制上の特典が受けられる。
  • 歴史・経過
    • 1949年(昭和24年)のシャウプ勧告に基づき、納税者の記帳習慣を確立し、適正な申告納税制度を推進するために1950年(昭和25年)に導入された。青色申告者の所得は、地方税である個人住民税や事業税の算定基礎となるため、地方財政にも深く関わっている。
悪臭防止法(あくしゅうぼうしほう)
  • 意味
    • 事業活動に伴って発生する悪臭を規制することにより、住民の生活環境を保全することを目的とした法律。都道府県知事(または政令指定都市等の長)が規制地域を指定し、悪臭の原因となる物質の排出基準を定める。
  • 歴史・経過
    • 1971年(昭和46年)に制定。当初はアンモニアなど物質ごとの濃度規制だったが、1995年(平成7年)の改正で、人の嗅覚を用いてにおいの程度を評価する「臭気指数規制」が導入され、より多様なにおいに対応できるようになった。
アカウンタビリティ(あかうんたびりてぃ)
  • 意味
    • 一般的に「説明責任」と訳される。行政機関が、自らの活動(予算の使途、政策決定の過程など)やその結果について、議会や住民に対して十分に説明する責任のこと。
  • 歴史・経過
    • 1990年代後半からの地方分権改革や、2001年(平成13年)に全面施行された情報公開制度の整備に伴い、行政運営の透明性と公正性を確保するための基本原則として定着した。
赤字団体(あかじだんたい)
  • 意味
    • 地方財政において、実質収支(歳入総額から歳出総額を差し引いた形式収支から、翌年度に繰り越すべき財源を控除した額)が赤字である地方公共団体のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方財政法により、実質収支の赤字は、繰上充用(翌年度歳入を繰り上げて赤字を補填すること)や、それでも解消できない場合は赤字補填のための地方債(赤字債)発行などで解消しなければならない。さらに財政状況が悪化すると「財政再生団体」となる。
赤字比率(あかじひりつ)
  • 意味
    • 「実質赤字比率」のこと。地方公共団体の一般会計等を対象とした実質的な赤字額の、標準財政規模に対する割合。地方公共団体の財政の健全度を測る指標の一つ。
  • 歴史・経過
    • 2007年(平成19年)に制定された「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(財政健全化法)」で定められた4つの健全化判断比率の一つ。この比率が一定基準(早期健全化基準)以上になると、財政健全化計画の策定が義務付けられる。
空き家対策(あきやたいさく)
  • 意味
    • 管理不全な空き家が、防災、防犯、景観等の面で周辺環境に悪影響を及ぼすことを防ぎ、また地域の資源として活用を図るための一連の行政施策。
  • 歴史・経過
    • 全国的な空き家の増加と社会問題化に対応するため、2014年(平成26年)に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が成立。これにより、市町村は実態調査や所有者への指導、特に危険な「特定空家」の指定と、それに対する命令や行政代執行まで行えるようになった。
アクセシビリティ(あくせしびりてぃ)
  • 意味
    • 高齢者や障害者を含め、誰もが心身の機能やおかれている状況にかかわらず、様々な製品や建物、サービスなどを支障なく利用できる度合いのこと。行政においては、公共施設のバリアフリー化や、公式ウェブサイトの利用しやすさ(ウェブアクセシビリティ)などが問われる。
  • 歴史・経過
    • 2006年(平成18年)のバリアフリー新法の制定や、ウェブアクセシビリティに関する日本産業規格(JIS X 8341-3)の整備などを通じ、行政に求められる基本的な配慮として定着が進んでいる。
アクションプラン(あくしょんぷらん)
  • 意味
    • 行政の基本計画や長期ビジョンで示された目標を達成するための、具体的な行動計画。「実施計画」とも呼ばれる。実施項目、担当部署、スケジュール、数値目標などを明確に定めたもの。
  • 歴史・経過
    • 行政評価や進行管理(PDCAサイクル)の考え方が普及する中で、計画の実効性を高める手法として多くの自治体で策定されている。計画倒れを防ぎ、着実な政策推進を目指す。
足切り(あしきり)
  • 意味
    • 予算編成過程において、財政担当部局が各部局からの予算要求(概算要求)に対し、事業の優先順位等を十分に吟味せず、一律の削減率を機械的に適用して査定すること。予算のシーリング(歳出要求の上限枠)の一種。
  • 歴史・経過
    • 厳しい財政状況下で歳出総額を抑制するために古くから用いられる手法。予算編成作業の効率化にはつながるが、真に必要な事業まで削られ、非効率な予算配分につながるという批判が常にある。
足高(あしだか)
  • 意味
    • 国庫補助金などの特定財源が、その対象となる事業の経費を上回ること。補助金が事業費より「足が高い(多い)」状態を指す。
  • 歴史・経過
    • 補助金は通常、事業費の一部を補助するもの(補助率が1/2など)だが、メニューによっては定額補助の場合もある。足高が生じた場合、その超過分は国などに返還するのが原則だが、他の同種事業に充当できる場合もあり、会計処理には注意が求められる。
アジェンダ(あじぇんだ)
  • 意味
    • 会議における「協議事項」や「議題」のこと。転じて、政府や自治体が取り組むべき「政策課題」や「行動計画」を指す言葉としても用いられる。
  • 歴史・経過
    • 1992年の地球サミットで採択された行動計画「アジェンダ21」以降、行政分野でも広く使われるようになった。政策形成過程において、どの課題を優先的に議論のテーブルに乗せるかという「アジェンダ設定」が重要となる。
アセスメント(あせすめんと)
  • 意味
    • 「評価」「査定」のこと。行政分野では、特に大規模な開発事業が環境に及ぼす影響を事前に調査・予測・評価することを指す。「環境アセスメント」「環境影響評価」とも呼ばれる。
  • 歴史・経過
    • 1997年(平成9年)に環境影響評価法が制定され、国の大規模事業等で法的な手続きが義務化された。地方公共団体でも独自の条例を制定し、環境保全や住民合意形成のための重要な手続きとして位置づけている。
アセットマネジメント(あせっとまねじめんと)
  • 意味
    • 自治体が保有する道路、橋りょう、公共建築物などの資産(アセット)を、中長期的な視点で総合的に企画、管理、活用する経営手法。「公共施設等総合管理計画」がこれにあたる。
  • 歴史・経過
    • 高度経済成長期に集中整備された公共インフラの一斉老朽化が深刻な課題となる中、2010年代から国が各自治体に計画策定を要請。従来の対症療法的な修繕から、計画的な予防保全へと転換し、財政負担の平準化と施設の長寿命化を目指す。
新しい公共(あたらしいこうきょう)
  • 意味
    • 従来「官」が担ってきた公共的なサービスや活動を、NPO、ボランティア、企業などの多様な主体が新たな担い手となり、官民が協働して支え合う社会を目指す考え方。
  • 歴史・経過
    • 2009年(平成21年)頃から政府によって提唱され始めた概念。背景には、厳しい財政状況や複雑化する社会課題がある。具体的な施策として、NPO法人への寄付に対する税制優遇措置の拡充などが進められた。
頭出し(あたまだし)
  • 意味
    • 本格的な検討や公式な協議に入る前に、関係者に対して政策や事業の概要を非公式に説明し、内々の感触や意見を探る行為。一種の「根回し」であり、円滑な合意形成のための地ならしとして行われる。
  • 歴史・経過
    • 予算要求や条例改正、組織改編など、重要な意思決定の初期段階で行われる慣行。公式な会議の場で突然提案して反発を招くことを避け、事前に論点を整理し、調整を図る目的で古くから行政組織内部で行われている。
あて職(あてしょく)
  • 意味
    • 特定の職や地位にある者が、その職にあるという理由で、当然に兼ねることになる別の職のこと。「充て職」とも書く。
  • 歴史・経過
    • 例えば、審議会や委員会の委員に「〇〇部長」や「〇〇学校長」を指定する場合がこれにあたる。職務の関連性から特定の知見や立場を代表する者として参加を求める場合に用いられる。人事異動で元の職を離れれば、あて職も自動的に離れることになる。
アドバイザリーボード(あどばいざりーぼーど)
  • 意味
    • 「諮問委員会」や「懇談会」など、首長や行政機関の諮問に応じ、専門的な見地から助言や提言を行う組織の総称。法的な設置根拠を持つ「審議会」とは区別されることが多い。
  • 歴史・経過
    • 政策の高度化・専門化に対応するため、学識経験者や民間専門家などの知見を機動的に行政運営に活かす目的で設置される。法的な拘束力はないが、政策形成の初期段階での意見聴取などに活用される。
アドホック(あどほっく)
  • 意味
    • ラテン語で「このために」「特定の目的のための」を意味する言葉。行政では、特定の課題を調査・検討するために臨時で設置される委員会などを「アドホック委員会」と呼ぶ。
  • 歴史・経過
    • 恒常的な組織ではなく、特定の目的が達成されたり、一定期間が経過したりすると解散する時限的な組織を指す。専門的・緊急的な課題に対して、既存の組織の枠を超えて機動的に対応するために設けられる。
アドボカシー(あどぼかしー)
  • 意味
    • 特定の政策の実現や社会問題の解決を目指し、政府や社会に対して働きかけを行う「政策提言」や「権利擁護」の活動。NPOや市民団体、当事者団体が主体となることが多い。
  • 歴史・経過
    • 市民社会の成熟とともに、行政が一方的にサービスを提供するだけでなく、市民や団体と協働して課題解決にあたる「協治(ガバナンス)」の考え方が広まる中で、その重要性が認識されるようになった。
洗い替え(あらいがえ)
  • 意味
    • 予算編成において、前年度の予算額を一旦ゼロ(白紙)とみなし、全ての事業についてゼロから必要性や効果を再評価して予算を要求・査定する方式。「ゼロベース予算(ZBB)」とほぼ同義で使われる。
  • 歴史・経過
    • 前年度予算を基準に増減を考える「インクリメンタリズム(漸増主義)」の弊害である、事業の既得権益化を防ぐために導入が試みられる。しかし、全事業を毎年評価するには膨大な手間がかかるため、完全な形での導入は難しいとされる。
アルコール健康障害対策基本法(あるこーるけんこうしょうがいたいさくきほんほう)
  • 意味
    • 不適切な飲酒がもたらすアルコール健康障害(アルコール依存症、肝疾患など)の発生、進行、再発の防止に関する施策を総合的に推進するための法律。
  • 歴史・経過
    • 2013年(平成25年)に制定。国や地方公共団体の責務を明らかにするとともに、毎年11月10日から16日までを「アルコール関連問題啓発週間」と定めている。自治体は、国の基本計画に基づき、地域の実情に応じた推進計画の策定に努めることとされている。
按分(あんぶん)
  • 意味
    • ある基準となる数量(人口、面積、利用量など)に応じて、費用、収益、事務量などを比例して割り振ること。「按分比例」とも言う。
  • 歴史・経過
    • 行政においては、複数の自治体で経費を分担する際(一部事務組合の負担金など)や、交付金などを市町村に配分する際の計算方法として用いられる。公平な負担・配分を実現するための基本的な手法の一つ。
案件(あんけん)
  • 意味
    • 審議や処理の対象となる事柄。特に議会においては、市長が提出する条例案、予算案、決算認定、人事同意案や、議員が提出する意見書案などが「案件」として扱われる。
  • 歴史・経過
    • 議会運営の基本単位であり、各案件は委員会での審査を経て、本会議での審議・採決に付される。行政内部でも、決裁を求める個別の事案を指して「〇〇の案件」といった形で日常的に用いられる。
アンダーパス(あんだーぱす)
  • 意味
    • 道路や鉄道などの下を通過するために、周囲の地面より掘り下げて作られた道路。立体交差の一種で、踏切による交通渋滞や事故を解消する目的などで整備される。
  • 歴史・経過
    • 都市化の進展に伴い、「開かずの踏切」対策などで建設が進められてきた。構造上、大雨の際に雨水が集中して冠水しやすいため、排水ポンプの設置や監視カメラによる情報提供といった冠水対策が重要な課題となっている。
安定財源(あんていざいげん)
  • 意味
    • 毎年度、景気の動向などに大きく左右されず、安定的に確保できる見込みのある財源のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方税の中でも、固定資産税や住民税(個人均等割など)は比較的安定しているとされる。自治体が継続的な行政サービスを計画的に提供していく上で、安定財源の確保は極めて重要であり、財政運営の基本となる。
安否確認(あんぴかくにん)
  • 意味
    • 災害発生時などに、住民や職員が無事であるかどうか(生命や身体の安全)を確認すること。特に、自力での避難が困難な高齢者や障害者など(災害時要援護者)の安否確認は、行政の重要な初動対応となる。
  • 歴史・経過
    • 阪神・淡路大震災以降、災害対策基本法が改正され、市町村は災害時要援護者の名簿を作成することが義務付けられた。この名簿を基に、自治会や民生委員、消防団など地域と連携した安否確認体制の構築が進められている。
安全・安心(あんぜん・あんしん)
  • 意味
    • 災害、犯罪、事故、健康不安など、住民の生命、身体、財産を脅かす様々な要因から守られている状態を指す。行政の最も基本的かつ重要な役割の一つであり、幅広い分野にわたる政策目標。
  • 歴史・経過
    • 1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災や、その後の様々な自然災害、凶悪犯罪の発生、食の安全問題などを契機に、行政が取り組むべき最重要課題として強く認識されるようになった。多くの自治体で住民、事業者、行政が一体となって取り組むための「安全・安心まちづくり条例」などが制定されている。

委員会(いいんかい)
  • 意味
    • 地方議会において、本会議での審議に先立ち、議案や請願などを専門的・効率的に審査するために設置される内部組織。全議員で構成される本会議の予備的審査機関としての役割を担う。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に基づき、議会は条例で常任委員会、議会運営委員会、特別委員会を置くことができる。常任委員会は総務、文教厚生、経済建設など所管分野ごとに設置され、議員はいずれかの委員会に所属する。ここで詳細な質疑応答や修正案の検討が行われる。
意見公募手続(いけんこうぼてつづき)
  • 意味
    • 行政機関が政令や省令、条例に基づく規則などのルール(「命令等」という)を定めようとするときに、あらかじめその案を公表し、広く一般から意見を募集する手続きのこと。「パブリック・コメント」とも呼ばれる。
  • 歴史・経過
    • 行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図る目的で、1993年(平成5年)制定の行政手続法に規定された(地方公共団体は2005年の法改正で努力義務化)。提出された意見は十分に考慮されなければならず、行政機関は、意見の概要やそれに対する考え方などを結果とともに公示する義務がある。
意見書(いけんしょ)
  • 意味
    • 地方公共団体の公益に関することについて、地方議会がその意思をとりまとめ、国会や関係行政庁(内閣総理大臣、各省大臣など)に対し提出する文書のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法第99条に規定された議会の権能の一つ。法律の制定や改正、国の施策の改善などを求めるために活用される。議員が議案として提出し、本会議で議決されることで議会の公式な意思となる。法的な拘束力はないが、地域の民意を国政に反映させるための重要な手段である。
育児休業(いくじきゅうぎょう)
  • 意味
    • 原則として1歳に満たない子を養育する労働者が、事業主に申し出て取得できる休業のこと。地方公務員についても「地方公務員の育児休業等に関する法律」に基づき、権利が保障されている。
  • 歴史・経過
    • 1991年(平成3年)に育児休業法が制定され、仕事と育児の両立支援策として定着した。その後、法改正が重ねられ、男性の取得促進(産後パパ育休など)や期間の延長、非正規雇用労働者への適用拡大など、制度の拡充が図られている。
育成医療(いくせいいりょう)
  • 意味
    • 身体に障害のある18歳未満の児童で、その障害を除去・軽減する手術等の治療によって確実に効果が期待できる場合に、医療費の自己負担分を公費で助成する制度。
  • 歴史・経過
    • 障害者総合支援法に基づく自立支援医療の一つ。手術、入院、リハビリテーションなどが対象となる。実施主体は都道府県または指定都市、中核市で、保護者の所得に応じて自己負担上限額が設定される。
生垣(いけがき)
  • 意味
    • 樹木を列状に植えて作った垣根。行政においては、都市の緑化を推進し、景観の向上や防災(火災の延焼防止など)、生活環境の保全を図るための重要な要素と位置づけられている。
  • 歴史・経過
    • 多くの自治体では、ブロック塀などを撤去して生垣を新たに設置する住民や事業者に対し、費用の一部を助成する「生垣設置奨励補助金制度」などを設けている。都市緑地法などに基づき、緑化協定の対象となることもある。
遺失物法(いしつぶつほう)
  • 意味
    • 忘れ物や落とし物(遺失物)の拾得から返還、所有権の帰属までの手続きを定めた法律。警察署が主な窓口となる。
  • 歴史・経過
    • 明治32年に制定され、2006年(平成18年)に大幅な改正が行われた。公共交通機関や店舗など施設内での拾得物の管理ルールが明確化され、3ヶ月経っても所有者が現れない場合は拾得者が所有権を得る(または都道府県に帰属する)ことなどが定められている。
意思能力(いしのうりょく)
  • 意味
    • 自己の行為の結果を判断できる精神能力。この能力がない者が行った法律行為(契約など)は無効とされる。行政手続きにおいても、申請や届出が有効になされるための前提となる。
  • 歴史・経過
    • 幼児や重度の知的障害・精神障害のある者などは意思能力がないと判断される場合がある。意思能力が不十分な者を支援するため、成年後見制度(後見・保佐・補助)が設けられており、行政も福祉サービスの一環として制度利用の支援を行っている。
維持管理(いじかんり)
  • 意味
    • 道路、橋りょう、上下水道、公園、公共建築物などの公共施設やインフラを、建設当初の機能や性能を損なわないよう、点検、清掃、補修などを行い、良好な状態に保つこと。
  • 歴史・経過
    • かつては建設(スクラップ・アンド・ビルド)が重視されたが、インフラの老朽化が進む現代では、維持管理の重要性が増している。計画的な点検・修繕により施設の寿命を延ばす「予防保全」や、アセットマネジメントの考え方が主流となっている。
移譲(いじょう)
  • 意味
    • 国から地方公共団体へ、または都道府県から市町村へと、行政の権限や事務を移し替えること。「権限移譲」ともいう。事務処理の責任と権限が一体として移される。
  • 歴史・経過
    • 地方分権を推進するための主要な手法。特に2000年(平成12年)に施行された「地方分権一括法」により、国が地方を指揮監督した「機関委任事務」が廃止され、多くの事務・権限が地方に移譲された。
依存財源(いぞんざいげん)
  • 意味
    • 地方公共団体の歳入のうち、国や都道府県の意思決定に基づいて配分され、多くの場合、使途が特定されている財源のこと。国庫支出金、都道府県支出金、地方債、地方譲与税などが含まれる。
  • 歴史・経過
    • 自治体が自らの課税権に基づき徴収する地方税などの「自主財源」と対をなす概念。依存財源の割合が高いと、国の政策に財政が左右されやすく、自治体の財政的な自由度が低いとされる。
委託(いたく)
  • 意味
    • 本来、行政が行うべき事務や事業を、法律や契約に基づき、外部の団体(民間企業、NPO、他の地方公共団体など)に代行させること。権限そのものは移らず、指揮監督権は行政に残る。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法等に根拠規定があり、行政の効率化や専門性の活用を目的として広く行われている。「アウトソーシング」とほぼ同義。「公の施設の管理委託」や「事務委託」などがある。権限そのものを移す「移譲」とは区別される。
委託金(いたくきん)
  • 意味
    • 国や他の地方公共団体などから、法令に基づいて事務の委託を受けた地方公共団体が、その事務の処理に要する経費として交付を受ける金銭。会計上は歳入として扱われる。
  • 歴史・経過
    • 例えば、国政選挙の事務を市町村が国から委託されて執行する際に、国から交付される経費などが該当する。あくまで事務処理のための経費であり、自治体が自由に使える財源ではない。
委託費(いたくひ)
  • 意味
    • 地方公共団体が、民間事業者や団体などに事務や事業を委託する際に、その対価として支払う経費。予算科目の一つであり、歳出として扱われる。
  • 歴史・経過
    • 窓口業務、情報システム管理、施設管理、調査業務、イベント運営など、様々な分野で活用される。アウトソーシングの進展に伴い、自治体の歳出に占める委託費の割合は増加傾向にある。
一次避難場所(いちじひなんばしょ)
  • 意味
    • 災害発生時に、まず身の安全を確保するために緊急的に避難する場所のこと。洪水や津波、土砂災害などの危険が切迫した場合に、命を守ることを最優先に行動するための避難先。
  • 歴史・経過
    • 2011年の東日本大震災の教訓から、災害対策基本法が改正され、市町村は災害種別ごとに「指定緊急避難場所」を指定することが義務付けられた。公園、広場、高台、頑丈なビルの高層階などが指定される。避難生活を送る「避難所」とは区別される。
一事不再議(いちじふさいぎ)
  • 意味
    • 地方議会などの会議において、一度議決された議案(可決・否決を問わず)は、同じ会期中には再び議案として提出し、審議・議決することができないという会議運営上の原則。
  • 歴史・経過
    • 議会の意思の安定性を確保し、審議の蒸し返しによる混乱を防ぎ、能率的な議事運営を図るために、古くから確立されている原則。地方自治法に明文規定はないが、標準会議規則などに定められている。
一時借入金(いちじかりいれきん)
  • 意味
    • 地方公共団体が、会計年度内の一時的な支払い資金の不足を補うために借り入れる資金。歳入と歳出の時期のズレを埋めるためのもので、その年度の歳入をもって償還される。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法第235条の3で認められている制度。将来世代の負担となる「地方債」とは異なり、あくまで同一会計年度内の資金繰りのための短期的な借入れである。予算で借入最高額を定めておく必要がある。
一部事務組合(いちぶじむくみあい)
  • 意味
    • 複数の市町村や都道府県が、行政サービスの一部(例:ごみ処理、消防、斎場運営、広域観光など)を共同で処理するために設置する、地方自治法上の「特別地方公共団体」。
  • 歴史・経過
    • 一つの自治体では効率的に実施できない、あるいは財政的に困難な広域的な行政課題に対応するため、古くから活用されている広域行政の手法。構成する自治体からの負担金によって運営される。
一般会計(いっぱんかいけい)
  • 意味
    • 地方公共団体の行政運営の基本的な経費を網羅して経理する中心的な会計。福祉、教育、土木、産業振興など、自治体の主要な事業の歳入・歳出が計上される。
  • 歴史・経過
    • 予算・決算の基本となる会計。これに対し、国民健康保険事業や下水道事業など、特定の事業の収支を独立して経理する会計を「特別会計」と呼び、両者を明確に区分して財政状況を管理する。

一般競争入札(いっぱんきょうそうにゅうさつ)

  • 意味
    • 物品の購入や工事の発注などの契約において、広く一般に公告し、不特定多数の希望者を競争させて、最も有利な条件を提示した者と契約を締結する方式。
  • 歴史・経過
    • 会計法および地方自治法において、契約の原則的な方式とされている。機会の均等、公正性の確保、経済性の追求という点で最も優れた方式とされるが、手続きに時間がかかる、ダンピング(不当廉売)を招く恐れがあるなどの課題もある。
一般財源(いっぱんざいげん)
  • 意味
    • 地方公共団体が、使途を特定されず、どのような経費にも自由に充当できる財源のこと。地方税、地方交付税、地方譲与税などがこれにあたる。
  • 歴史・経過
    • 使途が限定されている「特定財源(国庫支出金、地方債など)」と対をなす概念。一般財源の割合が高いほど、自治体が独自の判断で政策を展開できる余地が大きく、財政の自主性・弾力性が高いとされる。
一般質問(いっぱんしつもん)
  • 意味
    • 地方議会の定例会において、個々の議員が、首長や教育長などに対し、行政全般にわたる課題や方針、問題点などについて所見を質すこと。
  • 歴史・経過
    • 議会の持つ行政監督機能の重要な柱であり、議員活動のハイライトの一つ。議題の制約なく、地域の様々な課題を取り上げることができる。質問時間や回数などは各議会の規則で定められている。
一般廃棄物(いっぱんはいきぶつ)
  • 意味
    • 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」上の廃棄物の区分の一つで、「産業廃棄物」以外の廃棄物のこと。家庭から出るごみ(生活系ごみ)や、事業活動から出るごみのうち産業廃棄物以外のものが該当する。
  • 歴史・経過
    • 一般廃棄物の処理責任は、法律により市町村にあると定められている。市町村は、収集・運搬・処分に関する計画を立て、自ら処理施設を運営したり、民間業者に委託したりして適正に処理しなければならない。
移転価格税制(いてんかかくぜいせい)
  • 意味
    • 多国籍企業が、海外の関連会社との取引価格(移転価格)を通常の価格と異なる金額に設定することで、所得を税率の低い国へ移転し、法人税の負担を軽減しようとすることを防止するための税制。
  • 歴史・経過
    • 国税(法人税)に関する制度だが、法人住民税や法人事業税は法人税額や所得を基に算定されるため、地方税収にも影響を及ぼす。国際的な租税回避への対策として、OECDを中心にルール作りが進められている。
犬の登録(いぬのとうろく)
  • 意味
    • 犬の所有者が、その犬の所在地を管轄する市町村に登録を申請する義務のこと。登録により、犬鑑札が交付される。
  • 歴史・経過
    • 狂犬病予防法に基づき、生後91日以上の犬の所有者に義務付けられている。目的は、犬の所有者を明確にし、狂犬病の発生・まん延を防止することにある。登録のほか、毎年の狂犬病予防注射の接種と、注射済票の装着も義務付けられている。
違法公金支出(いほうこうきんししゅつ)
  • 意味
    • 地方公共団体の長や職員が、法令に違反して公金(税金など)を支出すること。または、契約など財産管理を不当に怠ること。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に基づき、有権者は違法な公金支出等に対して監査委員に監査を求める「住民監査請求」を行うことができる。監査の結果に不服がある場合は、裁判所に「住民訴訟」を提起して、当該職員等への損害賠償請求などを求めることができる。
入会権(いりあいけん)
  • 意味
    • ある村落など、一定の地域住民が共同で特定の山林や原野(入会地)に入り、草、木、キノコなどを採取したり、放牧したりする慣習法上の権利。
  • 歴史・経過
    • 古くからの慣習に基づく権利で、民法にも規定がある。入会地の管理は、自治会や森林組合などが行う場合や、地方自治法上の「財産区」(特別地方公共団体の一種)として自治体が管理に関わる場合がある。
医療計画(いりょうけいかく)
  • 意味
    • 地域における医療提供体制の確保を図るため、医療法に基づき、都道府県が策定する計画。地域の実情に応じて、病床数や医療機関の役割分担、在宅医療の推進などを定める。
  • 歴史・経過
    • 1985年(昭和60年)の医療法改正で創設。社会の高齢化や疾病構造の変化に対応するため、数年ごとに見直される。近年は、5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)5事業および在宅医療に関する具体的な目標設定が求められている。
医療法人(いりょうほうじん)
  • 意味
    • 医療法に基づき、病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所、または介護老人保健施設を開設することを目的として設立される法人。
  • 歴史・経過
    • 医療の非営利性を確保しつつ、経営の安定化と近代化を図るために設けられた制度。設立には都道府県知事(または政令指定都市等の長)の認可が必要。財団または社団の形態があり、剰余金の配当が禁止されている。
医療保護入院(いりょうほごにゅういん)
  • 意味
    • 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)」に基づく精神科病院への入院形態の一つ。本人の同意がなくても、精神保健指定医の診察と、家族等(配偶者、親権者、扶養義務者など)の同意があれば入院させることができる措置。
  • 歴史・経過
    • 本人が病識を欠き、医療を受け入れないが、医療と保護が必要な場合に適用される。人権擁護の観点から、適用には厳格な要件が定められており、入院後は都道府県知事等への届出や、定期的な入院継続の要否審査が行われる。
印鑑登録(いんかんとうろく)
  • 意味
    • 個人の印鑑を、住民登録をしている市町村に届け出て、公にその印鑑が本人のものであることを証明してもらうための制度。登録された印鑑は「実印」と呼ばれる。
  • 歴史・経過
    • 不動産登記や自動車の登録、公正証書の作成など、重要な財産取引や法的手続きに必要となる。市町村は、登録された印影や氏名、住所などを記載した「印鑑登録原票」を作成・管理し、請求に応じて「印鑑登録証明書」を交付する。
インキュベーション(いんきゅべーしょん)
  • 意味
    • 「孵化」を原義とし、行政分野では、創業初期の企業や新たな事業を始めようとする起業家(ベンチャー)に対して、安価なオフィススペースや経営相談、技術指導、資金調達支援などを提供し、その成長を促進する取り組みや施設を指す。
  • 歴史・経過
    • 地域の産業振興や雇用創出を目的とした経済政策の一環として、多くの自治体や大学、民間企業がインキュベーション施設を運営している。公設の施設では、低廉な賃料で入居できるなどの支援が特徴。
インクルージョン(いんくるーじょん)
  • 意味
    • 「社会的包摂」と訳される。障害の有無、年齢、性別、人種、国籍などの違いにかかわらず、すべての人が社会の構成員として尊重され、支え合い、孤立や排除されることなく共に生きていくことを目指す理念。
  • 歴史・経過
    • 元々は障害者教育の分野で使われ始めたが、現在では福祉、まちづくり、教育など行政のあらゆる分野で重要な基本理念となっている。「ダイバーシティ(多様性)」の尊重とともに、共生社会を実現するためのキーワードである。
インセンティブ(いんせんてぃぶ)
  • 意味
    • 人の意欲を引き出すための「誘因」や「動機付け」のこと。行政においては、住民や事業者の行動を特定の政策目的に沿って誘導するために用いられる、補助金、税制優遇、表彰、規制緩和などの手法を指す。
  • 歴史・経過
    • 従来の規制や直接的な介入といった手法に代わり、相手方の自発的な行動を促す柔軟な政策手法として注目されている。省エネ設備の導入補助金や、子育て支援に積極的な企業への優遇措置などがその例。
インフラストラクチャー(いんふらすとらくちゃー)
  • 意味
    • 国民生活や産業活動の基盤となる公共的な施設や設備のこと。「社会資本」「社会基盤」「インフラ」とも呼ばれる。道路、鉄道、港湾、空港、上下水道、電気、ガス、通信網などが含まれる。
  • 歴史・経過
    • 戦後の高度経済成長期に集中的に整備されたが、近年はその老朽化対策が国・地方を問わず大きな行政課題となっている。維持管理・更新費用の増大に対応するため、アセットマネジメントの手法による長寿命化が推進されている。
インフォームド・コンセント(いんふぉーむどこんせんと)
  • 意味
    • 「説明と同意」と訳される。元々は医療現場において、医師が患者に治療法などを十分に説明し、患者がその内容を理解・納得した上で治療に同意するという考え方。
  • 歴史・経過
    • この理念は、行政サービス全般に広がっている。行政が許認可や不利益処分、事業実施などを行う際に、対象となる住民等に対して、その内容や理由、権利などを十分に説明し、理解と納得を得ることの重要性を示す言葉として用いられる。行政手続法にもこの精神が反映されている。

ウェブアクセシビリティ(うぇぶあくせしびりてぃ)
  • 意味
    • 高齢者や障害者を含め、誰もが心身の機能や利用環境にかかわらず、ウェブサイトで提供されている情報やサービスを支障なく利用できる度合いのこと。
  • 歴史・経過
    • 行政機関のウェブサイトは、重要な情報発信手段であるため、高いアクセシビリティの確保が求められる。日本産業規格(JIS X 8341-3)への準拠が事実上の標準となっており、総務省のガイドライン等に基づき、各自治体で対応が進められている。
ウェブ会議(うぇぶかいぎ)
  • 意味
    • パソコンやスマートフォンなどの端末とインターネットを利用して、遠隔地にいる人同士が、映像・音声・資料を共有しながら行う会議のこと。
  • 歴史・経過
    • 2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、行政機関でも急速に普及した。BCP(事業継続計画)対策としての有効性が認識されたほか、出張経費の削減、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の推進に貢献している。
ウェルネス(うぇるねす)
  • 意味
    • 病気ではない状態(ヘルス)を基盤とし、さらに豊かな人生を目指して、身体的、精神的、社会的にいきいきと輝いている状態のこと。「より良く生きようとする生活態度」そのものを指すこともある。
  • 歴史・経過
    • 単なる健康増進(病気の予防)だけでなく、生きがいづくり、自己実現、QOL(生活の質)の向上までを含む、より積極的で包括的な健康観。自治体の健康増進計画や、生涯学習、まちづくり政策などに取り入れられるようになっている。
ウォーカブル(うぉーかぶる)
  • 意味
    • 「歩きやすい」「歩いて楽しい」という意味。単に歩道が整備されているだけでなく、景観が良く、魅力的な店舗や休憩できる場所があり、居心地良く歩きたくなるようなまちなかの空間や、そうしたまちづくりを目指す考え方を指す。
  • 歴史・経過
    • 自動車中心社会からの脱却、中心市街地の活性化、住民の健康増進、交流の促進などを目的に、国が推進している新しいまちづくりのコンセプト。道路空間を人中心に再編するなどの取り組みが行われている。
受入(うけいれ)
  • 意味
    • 申請書や届出の受理、物品の受領、出向者や転入者の受け入れなど、行政機関が外部からの人や物、意思表示を受け取ること全般を指す。
  • 歴史・経過
    • 行政手続きの第一歩であり、正確な記録と管理が求められる。近年では、廃棄物処理における「広域受入」や、災害時の「被災者受入」「応援職員受入」など、広域連携や危機管理の文脈で重要性が増している。
請負(うけおい)
  • 意味
    • 当事者の一方(請負人)がある仕事を完成させることを約束し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを内容とする契約のこと。行政では、庁舎や道路などの建設工事契約が代表例。
  • 歴史・経過
    • 民法に規定された契約形態の一つ。地方自治法や会計法において、公共事業などの契約は原則として競争入札によることとされており、その多くは請負契約として締結される。完成した目的物(建物など)の引渡しと引き換えに代金が支払われるのが原則で、仕事の完成責任を負う点が特徴。
請書(うけしょ)
  • 意味
    • 契約の際に、注文や申込みを承諾したことを証明するために、承諾者側が作成し、申込者側に提出する文書のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政の契約実務において、契約書の作成が省略されるような少額の契約(随意契約など)の場合に、発注書(注文書)に対する請書を交わすことで契約の成立を証明する簡便な方法として用いられる。
受付(うけつけ)
  • 意味
    • 庁舎の窓口などで、住民からの申請書、届出、相談などを受け付ける業務、またはその場所のこと。行政と住民が直接接する最前線。
  • 歴史・経過
    • かつては所管課ごとに受付が分かれているのが一般的だったが、住民の利便性向上のため、様々な手続きを一つの窓口で案内・完結させる「総合窓口」「ワンストップサービス」の導入が進んでいる。
雨水渠(うすいきょ)
  • 意味
    • 市街地などに降った雨水を集め、河川や海に排出するための水路や管路のこと。道路の側溝や、地下に埋設された雨水管など。
  • 歴史・経過
    • 都市化の進展に伴う浸水被害を防ぐために、下水道事業の一環として整備が進められてきた。近年、局地的な集中豪雨(ゲリラ豪雨)が頻発していることから、既存の雨水渠の能力向上や、後述の貯留・浸透施設との連携が重要な課題となっている。
雨水貯留浸透施設(うすいちょりゅうしんとうしせつ)
  • 意味
    • 雨水を一時的に貯めたり、地中に浸透させたりすることで、河川への急激な流出を抑制する施設のこと。公園の地下に設置する大規模な貯留槽、各家庭に設置する雨水タンク、透水性のあるアスファルト舗装などがある。
  • 歴史・経過
    • 都市型水害の対策として1980年代頃から本格的に導入された。河川の氾濫を防ぐだけでなく、地下水のかん養や、ヒートアイランド現象の緩和にも効果が期待される。開発事業者に対し、条例で設置を義務付けている自治体も多い。
打合せ(うちあわせ)
  • 意味
    • 特定の業務や案件について、関係者が集まり、情報共有、意見交換、意思決定などを行うこと。行政内部の職員間、他部署との間、外部機関や住民との間など、様々なレベルで行われる。
  • 歴史・経過
    • 円滑な行政運営に不可欠な基本動作。かつては対面が主だったが、情報通信技術の発展とコロナ禍を経て、ウェブ会議システム等を利用したオンラインでの打合せが急速に普及し、働き方改革にも寄与している。
内訳(うちわけ)
  • 意味
    • 金銭の総額や物品の総数などについて、その内容や項目を細かく分類して示したもの。
  • 歴史・経過
    • 行政においては、予算書や決算書で歳入・歳出の「内訳」を明らかにすることが、財政の透明性と説明責任を果たす上で不可欠である。また、工事や物品購入の見積書・契約書においても、適正な価格を審査するために詳細な内訳の提出が求められる。
写し(うつし)
  • 意味
    • 原本の内容をそのまま書き写したり、複写機でコピーしたりした文書のこと。行政手続きでは、住民票の原本(市町村が保管)の内容を公的に証明する書類として「住民票の写し」が交付される。
  • 歴史・経過
    • 「写し」は、単なるコピーではなく、市区町村長名で「原本と相違ない」ことを証明する「認証文」が付された公文書である。各種の申請や資格取得、契約手続きなどで本人確認や住所証明のために広く利用される。
埋立て(うめたて)
  • 意味
    • 廃棄物を土中に埋めて処分すること(最終処分)、または海や湖沼などの水面を土砂で埋めて陸地を造成すること(公有水面埋立て)。
  • 歴史・経過
    • 廃棄物処理においては、焼却などの中間処理を経た後の最終手段と位置づけられる。最終処分場の残余年数には限りがあるため、ごみの減量化・資源化(3R)が最重要課題となっている。公有水面埋立ては、港湾や空港、工業用地などを確保するために行われてきたが、環境保全への配慮から近年は厳しく管理されている。
売払い(うりはらい)
  • 意味
    • 地方公共団体が所有する財産(土地、建物、物品など)を、一般競争入札などの手続きを経て売り渡すこと。「売却」とほぼ同義。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法や関連条例に基づき、適正な価格と公正な手続きで行われなければならない。人口減少社会を背景に、利用されなくなった学校や庁舎などの「未利用公有財産」の売払いは、財源確保と地域の活性化を図る上で重要な政策となっている。
上乗せ条例(うわのせじょうれい)
  • 意味
    • 法律が定める規制や給付の基準に対し、地方公共団体が地域の実情に応じて、法律の趣旨を逸脱しない範囲で、より厳しい基準を課したり(上乗せ規制)、より手厚い給付を追加したり(上乗せ給付)する条例のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方分権の進展を象徴するもので、自治体の自己決定権・自己責任の範囲が広がる中で活用が進んだ。例えば、国の基準より厳しい公害防止条例や、自治体独自の児童手当を支給する条例などがあり、地域の特色ある政策展開を可能にする。
上屋(うわや)
  • 意味
    • 港湾の埠頭や駅、貨物ターミナルなどに設置される、雨風から貨物や旅客を守るための屋根のある建築物のこと。壁のない簡易な構造のものが多い。
  • 歴史・経過
    • 物流や交通の基盤となるインフラ施設の一つ。行政(国や地方公共団体)が港湾管理者や鉄道事業者として建設・管理することが多い。施設の老朽化対策や、より効率的な物流に対応するための再編などが課題となる。
運営協議会(うんえいきょうぎかい)
  • 意味
    • 公民館やコミュニティセンター、学校などの公共施設の運営や、特定の事業の実施方針について、地域住民や利用者、学識経験者、関係団体などが参加して協議するために設置される組織。
  • 歴史・経過
    • 行政だけでなく、地域の多様な主体が運営に関わることで、利用者ニーズを的確に反映し、地域に開かれた施設運営を目指すために設けられる。協働のまちづくり(ガバナンス)を推進する上での重要な仕組みの一つ。
運行(うんこう)
  • 意味
    • バスや鉄道、船舶などが、定められた路線や航路を、時刻表に基づいて定期的に、または計画に沿って運転・航行すること。
  • 歴史・経過
    • 民間事業者による路線が廃止された地域などで、住民の移動手段を確保するために、市町村が主体となって「コミュニティバス」を運行する事例が増えている。赤字分を税金で補填することが多く、持続可能な運行形態の模索が課題となっている。
運賃(うんちん)
  • 意味
    • 旅客や貨物を運送するサービスの対価として支払われる料金。
  • 歴史・経過
    • 公共交通機関の運賃は、住民の生活に大きな影響を与えるため、法律(鉄道事業法、道路運送法など)に基づき、上限額が国の認可制となっていることが多い。市町村が、高齢者や障害者、子育て世帯などを対象に、コミュニティバス等の運賃割引や助成を行う制度もある。
運動(うんどう)
  • 意味
    • 特定の目的を達成するために、社会や人々に広く働きかける組織的な活動のこと。行政では「春の全国交通安全運動」や「赤い羽根共同募金運動」など、住民の意識啓発や参加促進を目的としたキャンペーンを指すことが多い。
  • 歴史・経過
    • 行政課題の解決には、行政の取り組みだけでなく、住民一人ひとりの理解と協力が不可欠であるため、古くから重要な広報・啓発の手法として用いられてきた。関係団体と連携して実施されることが多い。
運用(うんよう)
  • 意味
    • 制度、法律、計画、システム、財産などを、実際に動かし、活用すること。
  • 歴史・経過
    • 優れた制度や計画も、適切な運用がなされなければ意味をなさない。条例や規則の「解釈運用」、システムの安定的な「運用保守」、基金などの公有財産の安全かつ効率的な「資金運用」など、行政のあらゆる場面でその適正さが求められる。

影響評価(えいきょうひょうか)
  • 意味
    • 事業や政策などを実施する前に、それが環境、経済、社会、人権などにどのような影響を及ぼすかを事前に調査、予測、評価すること。「アセスメント」ともいう。代表的なものに環境影響評価(環境アセスメント)がある。
  • 歴史・経過
    • 1997年(平成9年)に環境影響評価法が制定され、大規模事業での環境アセスメントが法的に義務化された。近年では、政策や条例が男女共同参画に与える影響を評価する「ジェンダー影響評価」や、個人情報保護の観点からの「プライバシー影響評価」など、対象が多様化している。
衛生(えいせい)
  • 意味
    • 人の健康を保持増進し、疾病を予防すること。行政分野では、食品衛生、環境衛生(ごみ、し尿、上下水道など)、医事・薬事、感染症対策など、公衆衛生に関わる幅広い領域を指す。
  • 歴史・経過
    • 近代国家の成立とともに、コレラなどの感染症対策をきっかけに公衆衛生行政が本格化した。保健所が地域における中核機関として、監視、指導、検査、健康相談などの業務を担う。近年では、新型コロナウイルス感染症のような新興感染症への対応が最大の課題となっている。
衛生管理者(えいせいかんりしゃ)
  • 意味
    • 労働安全衛生法に基づき、事業場の規模に応じて選任が義務付けられている、事業場の衛生全般を管理する者。職員の健康障害の防止や、健康教育、労働災害の原因調査などを行う。
  • 歴史・経過
    • 常時50人以上の労働者を使用する事業場(庁舎なども含む)では、衛生管理者免許を持つ者の中から選任しなければならない。職員が安全で健康に働くことができる職場環境(安全配慮義務)を確保するため、行政機関においても重要な役割を担う。
営繕(えいぜん)
  • 意味
    • 建築物の新築、増築、改築、修繕、模様替えなどを行うこと。特に行政においては、庁舎、学校、公営住宅、公民館といった公共建築物の建設や維持保全に関する事務全般を指す。
  • 歴史・経過
    • 多くの地方公共団体では、専門の部署(営繕課、施設課など)が、公共建築物のライフサイクル(企画・設計・積算・工事監理・保全)を一元的に管理している。近年は、施設の長寿命化、耐震化、バリアフリー化、環境配慮(省エネ化)などが重要なテーマとなっている。
栄典(えいてん)
  • 意味
    • 国や地方公共団体が、社会に貢献した人や功労のあった人に対し、その功績や徳行を表彰するために授与する栄誉のこと。勲章、褒章、表彰状、感謝状、称号などがある。
  • 歴史・経過
    • 国の栄典は日本国憲法第7条に基づき、天皇が内閣の助言と承認により授与する国事行為である。地方公共団体においても、条例に基づき、自治の振興や公共の福祉に貢献した個人や団体を対象とする独自の表彰制度(市民栄誉賞、功労者表彰など)を設けている。
営利法人(えいりほうじん)
  • 意味
    • 事業によって得た利益を、構成員(株主など)に分配することを目的とする法人のこと。株式会社や合同会社などがこれにあたる。
  • 歴史・経過
    • 行政との関わりでは、公共サービスの提供主体として、アウトソーシング(外部委託)の相手方となることが多い。NPOや社会福祉法人などの「非営利法人」と対比される概念だが、非営利法人も収益事業を行うことは可能であり、違いは利益を分配するか否かにある。
益金(えききん)
  • 意味
    • 法人の所得を計算する上で、収益として算入される金額のこと。法人税法上の用語で、会計上の「収益」とは必ずしも一致しない。
  • 歴史・経過
    • 法人の所得は「益金の額」から「損金の額」を差し引いて計算される。この所得金額が、国税である法人税、および地方税である法人住民税(法人税割)・法人事業税の課税標準となるため、地方財政にも密接に関わる概念である。
液状化(えきじょうか)
  • 意味
    • 地震の強い揺れにより、水分を多く含んだ砂質の地盤が、一時的に液体のようにドロドロになる現象。これにより、建物が傾いたり、地中から砂や水が噴き出したり、ライフライン(上下水道、ガス管など)が破損したりする。
  • 歴史・経過
    • 1964年の新潟地震で注目され、東日本大震災でも広範囲で発生し、大きな被害をもたらした。各自治体では、ハザードマップを作成して液状化の危険度を示し、住民に注意を促すとともに、公共施設の耐震化や宅地の液状化対策に関する助成などを行っている。
エキスパート(えきすぱーと)
  • 意味
    • 特定の分野において、高度な専門知識や優れた技術、豊富な経験を持つ専門家・熟練者のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政課題が高度化・複雑化する中で、内部職員だけでは対応が困難な分野(法律、医療、情報通信、金融など)において、外部の専門家を「アドバイザー」や「専門委員」として任用したり、特定の業務を委託したりするケースが増えている。また、職員のキャリアパスとして、特定の分野を究める専門職(エキスパート職)を設ける人事制度もある。
駅前広場(えきまえひろば)
  • 意味
    • 鉄道駅の前に設けられる広場空間のこと。バス、タクシー、自家用車などの乗降場や待機場、歩行者空間、イベントスペースなどの複合的な機能を持つ。都市計画法上の「交通広場」として整備されることが多い。
  • 歴史・経過
    • 都市の「顔」ともいえる重要な公共空間。古くから交通結節点として整備されてきたが、近年では、単なる交通処理の場でなく、にぎわいや交流を生み出す空間としての再整備が進んでいる。バリアフリー化や景観への配慮も重要なテーマである。
エコタウン(えこたうん)
  • 意味
    • 地域の産業と連携し、廃棄物のゼロ・エミッション(排出ゼロ)を目指す先進的な環境調和型のまちづくりのこと。ある産業から出る廃棄物を、別の産業が原材料として活用するなど、地域全体で資源を循環させる構想。
  • 歴史・経過
    • 1997年(平成9年)に通商産業省(当時)と厚生省(当時)が提唱し、国の承認を受けた地域で、リサイクル施設などの整備に対する財政支援が行われた。循環型社会を構築するための先進的なモデル事業として位置づけられている。
エコミュージアム(えこみゅーじあむ)
  • 意味
    • 特定の地域全体を、屋根のない博物館と捉え、その地域固有の自然、文化、歴史、生活、産業などを、ありのままの姿で保存・継承・活用していく考え方、またその活動。
  • 歴史・経過
    • フランスで生まれた概念。中心となる施設(コア施設)を置きつつ、地域内に点在する価値あるものを案内板などで結び(サテライト)、住民が主体となってその魅力を発信・活用していくのが特徴。地域振興や生涯学習の手法として、いくつかの自治体で導入されている。
越権(えっけん)
  • 意味
    • 行政機関や公務員が、法律や条例で与えられた権限の範囲を越えて行為をすること。権限を逸脱した行為。「権限踰越(けんげんゆえつ)」ともいう。
  • 歴史・経過
    • 越権行為は、行政事件訴訟法における取消訴訟の対象となる「違法な処分」にあたる可能性がある。例えば、法律上は都道府県知事の権限とされている許認可を、市町村長が行った場合などが該当する。法律による行政の原理の観点から、厳しく戒められるべき行為である。
エスカレーター条項(えすかれーたーじょうこう)
  • 意味
    • 賃金や年金、各種の手当などの額を、物価や賃金の変動率に応じて自動的に改定(スライド)させることを定めた条項のこと。
  • 歴史・経過
    • 公的年金の支給額は、物価や賃金の変動に応じて改定される仕組み(マクロ経済スライドなど)が導入されており、年金受給者の実質的な購買力を維持することが目的。地方公務員の給与も、人事院勧告・人事委員会勧告を経て、民間の給与水準に合わせて改定されるため、一種のエスカレーター条項と見ることができる。
閲覧(えつらん)
  • 意味
    • 行政が保有する公文書や図面、帳簿などを、住民などが直接見ること。
  • 歴史・経過
    • 情報公開制度における「開示」の方法の一つであり、文書の写しの交付と並んで基本的な権利として保障されている。また、各種の計画策定や許認可の過程で、利害関係者の意見を聴くために、案を一定期間、公衆の閲覧に供する「縦覧(じゅうらん)」という手続きもある。
エネルギー基本計画(えねるぎーきほんけいかく)
  • 意味
    • 日本のエネルギー政策の基本的な方向性を示すため、エネルギー政策基本法に基づき、政府が策定する計画。エネルギーの需給に関する長期的な目標や、省エネ、再生可能エネルギー導入、原子力政策などの方針が定められる。
  • 歴史・経過
    • 2003年(平成15年)に最初の計画が策定されて以降、国際情勢や技術動向、東日本大震災などを踏まえて、おおむね3年ごとに見直されている。地方公共団体は、この計画を基本としつつ、地域特性に応じたエネルギー関連施策を推進する。
エビデンス(えびでんす)
  • 意味
    • 「証拠」「根拠」のこと。行政分野では、政策の企画・立案を行う際に、勘や経験だけに頼るのではなく、統計データや先行研究、科学的知見などの客観的な証拠に基づいて行うことを指す。「EBPM(Evidence-Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)」という言葉で知られる。
  • 歴史・経過
    • 2000年代以降、限られた財源の中で、より効果の高い政策を実施する必要性が高まったことから、世界的に重視されるようになった。政策の効果を客観的に測定・評価し、その結果を次の政策に活かしていくことが求められる。
円滑化法(えんかつかほう)
  • 意味
    • 特定の政策目的を達成するため、複雑な手続きや権利関係の調整をスムーズに進める(円滑化する)ことを目的とした法律の通称。様々な分野に「〇〇円滑化法」が存在する。
  • 歴史・経過
    • 代表的なものに、中心市街地活性化の促進を目指す「中心市街地活性化法」(正式名称に円滑化は入らないが趣旨は同じ)や、農地の集約を促す「農地中間管理事業の推進に関する法律」(通称:農地バンク法)などがある。関係者間の合意形成や事業の推進を法的に後押しする役割を持つ。
縁故募集(えんこぼしゅう)
  • 意味
    • 職員の採用において、特定の縁故(血縁、地縁、有力者の紹介など)を持つ者を優先的に採用すること。コネ採用。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法では、職員の採用は「競争試験」によることが原則とされており、すべての受験者に平等な機会が与えられなければならない。縁故募集は、この平等取扱の原則や成績主義に反するものであり、住民の信頼を著しく損なう不公正な行為として厳しく禁じられている。
演習(えんしゅう)
  • 意味
    • 実際に起こりうる事態を想定して、対処の手順や連携を確認するために行う実践的な訓練のこと。行政では、特に防災分野で、地震、津波、風水害などを想定した「防災演習(防災訓練)」が重要となる。
  • 歴史・経過
    • 災害対策基本法では、国や地方公共団体、住民などが一体となって、実践的な防災訓練を定期的に実施するよう努めることが定められている。図上でのシミュレーション演習(図上訓練)や、実際に避難所を開設したり、救助活動を行ったりする実動演習がある。
援助(えんじょ)
  • 意味
    • 困っている人や組織に対し、力を貸し、助けること。行政分野では、生活困窮者や障害者、子どもなどに対する公的な支援(ソーシャルワーク)を指すことが多い。
  • 歴史・経過
    • 金銭や物品を給付するだけでなく、専門的な知識や技術を持つ職員(ケースワーカーなど)が、対象者の相談に応じ、自立に向けた計画を一緒に考え、必要なサービスにつなげるなどの人的な支援も含まれる。個人の尊厳を保持し、自立を助けることが基本理念とされる。
延焼のおそれのある部分(えんしょうのおそれのあるぶぶん)
  • 意味
    • 建築基準法上の用語で、隣の敷地で火災が発生した場合に、火が燃え移る可能性が高い建物の部分のこと。具体的には、隣地境界線や道路中心線から1階は3m以下、2階以上は5m以下の距離にある建物の部分を指す。
  • 歴史・経過
    • 市街地の火災の延焼を防ぐため、この部分の外壁や軒裏、窓などには、燃えにくい防火材料を使用したり、防火戸を設置したりするなどの防火措置が義務付けられている。都市計画で定められる防火地域・準防火地域では、さらに厳しい規制が課される。
延滞金(えんたいきん)
  • 意味
    • 地方税や国民健康保険料、公営住宅の家賃などを、定められた納期限までに納付しなかった場合に、遅延した日数に応じて、本来の納付額に加えて徴収される金銭。利息に相当する性質を持つ。
  • 歴史・経過
    • 納期限内に納付した者との公平性を確保し、滞納の発生を防ぐことを目的として、地方税法などの法律に基づき課される。その利率は法律で上限が定められており、市中金利の動向に合わせて変動する。
沿道(えんどう)
  • 意味
    • 道路に沿った、その両側の区域のこと。
  • 歴史・経過
    • 幹線道路の沿道は、自動車の騒音・振動・排出ガスによる公害(道路交通公害)が発生しやすい。このため、「幹線道路の沿道の整備に関する法律」などに基づき、緩衝帯となる緑地の整備や、遮音壁の設置、住宅の防音工事への助成など、生活環境を保全するための対策が講じられる。

押印(おういん)
  • 意味
    • 印鑑を押すこと。特に、文書に記載された氏名の横に押すことで、その文書が本人の意思によって作成されたことを証明する行為を指す。「記名押印」の略。
  • 歴史・経過
    • 日本の行政手続きにおいて、文書の真正性を担保する手段として長らく重要な役割を果たしてきた。しかし、近年、デジタル化の推進、行政手続きのオンライン化、働き方改革の流れの中で、住民や事業者の負担軽減と行政の効率化を図るため「脱ハンコ」「押印廃止」の動きが急速に進んでいる。
応益負担(おうえきふたん)
  • 意味
    • 行政サービスを受けることによって得られる利益の大きさに応じて、費用を負担するという考え方。所得の大小にかかわらず、同じサービスを受ければ同じ額を負担することが原則。
  • 歴史・経過
    • 介護保険制度の利用料や、保育所の利用者負担、公営施設の使用料などが代表例。サービスの受益と負担の関係が明確である一方、低所得者にとっては負担が重くなるという課題がある。所得に応じて負担額を決める「応能負担」と対比される概念。
応援協定(おうえんきょうてい)
  • 意味
    • 大規模な災害が発生した際に、被災した地方公共団体だけでは対応が困難になる事態に備え、他の地方公共団体や民間事業者、団体などが、人員の派遣、物資の提供、被災者の受け入れなどの支援を行うことを、あらかじめ取り決めておく協定。
  • 歴史・経過
    • 1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災を教訓として、自治体単独での災害対応の限界が認識され、全国の自治体間で相互応援協定の締結が飛躍的に進んだ。近年では、特定の分野(水道事業、廃棄物処理など)に特化した協定や、民間企業との協定も増えている。
応急仮設住宅(おうきゅうかせつじゅうたく)
  • 意味
    • 大規模な災害により住宅を失い、自らの資力では住宅を確保できない被災者に対して、一時的な住まいとして無償で供与される住宅。
  • 歴史・経過
    • 災害救助法に基づき、都道府県が主体となって建設・提供する。かつてはプレハブ工法のものが一般的だったが、東日本大震災以降は、民間賃貸住宅を借り上げて提供する「みなし仮設」や、地域材を活用した木造の仮設住宅など、多様な形態が採用されるようになっている。
応急危険度判定(おうきゅうきけんどはんてい)
  • 意味
    • 大規模な地震の発生後、被災した建築物について、その後の余震などによる倒壊の危険性や、外壁・窓ガラスの落下などの危険性を判定し、二次災害を防止するために行う調査。
  • 歴史・経過
    • 1985年に創設され、阪神・淡路大震災以降、全国で体制整備が進んだ。都道府県が養成した「応急危険度判定士」(建築士などの有資格者)がボランティアで判定にあたり、調査結果を「危険(赤紙)」「要注意(黄紙)」「調査済(緑紙)」のステッカーで表示する。
応札(おうさつ)
  • 意味
    • 地方公共団体が行う競争入札に参加し、発注される工事や業務の請負金額、物品の購入金額などを記載した入札書を提出すること。
  • 歴史・経過
    • 入札は、行政契約の公正性・経済性を確保するための基本的な手続きである。応札の結果、予定価格の制限内で最も有利な条件(通常は最低価格)を提示した者が「落札者」として契約の交渉権を得る。
横断歩道(おうだんほどう)
  • 意味
    • 歩行者が安全に道路を横断するために、道路標識や道路標示によって指定された道路の部分のこと。
  • 歴史・経過
    • 道路交通法に基づき、各都道府県の公安委員会(警察)が設置・管理する。自治体は、住民からの要望を受け、生活道路などにおける横断歩道の新設や、安全対策(信号機設置、カラー舗装など)について、警察と協議・連携して対応する。
応能負担(おうのうふたん)
  • 意味
    • 行政サービスにかかる費用を、その人の支払い能力(所得や資産など)に応じて負担するという考え方。所得が高い人ほど多くの額を負担する。
  • 歴史・経過
    • 所得税や住民税の累進課税が典型例。社会保障分野では、保育料や国民健康保険料(所得割部分)などにこの考え方が取り入れられている。所得再分配機能があり、社会的な公平に資するとされる。「応益負担」と対比される。
往復文書(おうふくぶんしょ)
  • 意味
    • 行政機関の間、または行政機関と住民・団体の間で、照会(往信)とそれに対する回答(復信)など、相互に関連する一対のやりとりで構成される文書のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政の意思決定過程や、事務処理の経緯を正確に記録・把握するために重要な役割を持つ。文書管理規則などに基づき、一連のやりとりが完結するまで、または案件が終了するまで一つのファイルでまとめて管理されるのが一般的である。
大規模小売店舗立地法(おおきぼこうりてんぽりっちほう)
  • 意味
    • 店舗面積が1,000平方メートルを超える大規模な小売店舗(スーパー、ショッピングセンターなど)の出店に際し、その設置者が、交通渋滞、騒音、廃棄物といった面で、周辺の生活環境の保持のために配慮すべき事項を定めた法律。通称「大店立地法」。
  • 歴史・経過
    • 中小小売業の事業機会の確保を目的とした「大規模小売店舗法(大店法)」に代わり、2000年(平成12年)に施行。商業調整から生活環境の保全へと規制の目的を転換した。店舗の設置者は、都道府県や政令指定都市に対し、届出や説明会の開催などが義務付けられる。
オープンダイアログ(おーぷんだいあろぐ)
  • 意味
    • 「開かれた対話」を意味し、特定のテーマについて、多様な立場の人々が、結論を出すことを急いだり、互いを論破したりするのではなく、対等な立場で自由に安心して話し合い、相互理解を深めることを目的とした対話の手法。
  • 歴史・経過
    • 元々はフィンランドで始まった精神医療分野のケアの手法。近年、行政分野でも、賛否が分かれるような複雑な課題に対する住民との合意形成や、協働のまちづくりのプロセスにおいて、信頼関係を醸成し、新たな解決策を見出すための手法として注目されている。
オープンデータ(おーぷんでーた)
  • 意味
    • 国や地方公共団体などが保有する公共データを、営利・非営利を問わず誰もが自由に利用(複製、加工、再配布など)できるよう、二次利用が可能なルールのもとで、機械判読に適した形式(コンピュータで自動処理しやすい形式)で公開すること。また、そのように公開されたデータ自体を指す。
  • 歴史・経過
    • 2012年(平成24年)の「電子行政オープンデータ戦略」策定以降、政府全体で本格的に推進されている。行政の透明性・信頼性の向上、住民参加・官民協働の推進、そして、公開されたデータを活用した新たなサービスやビジネスの創出による経済の活性化を目的とする。
オープンミーティング(おーぷんみーてぃんぐ)
  • 意味
    • 行政が特定の政策や計画、地域の課題について、住民に広く参加を呼びかけて開催する集会や意見交換会のこと。
  • 歴史・経過
    • 住民参加の代表的な手法の一つ。行政側からの一方的な説明会形式とは異なり、参加者からの自由な質疑応答や意見交換の時間を十分に確保し、双方向のコミュニケーションを重視する点に特徴がある。ワークショップ形式を取り入れ、参加者同士の対話を促すことも多い。
公(おおやけ)
  • 意味
    • 国や地方公共団体、または社会全体に関わること。個人的な領域である「私」と対比される概念。
  • 歴史・経過
    • 行政活動はすべて「公」の利益(公益)の増進のために行われるということが、行政の基本原則である。また、道路や公園、庁舎などのように、国や地方公共団体が所有し、一般公衆の利用に供される財産を「公の物(おおやけのもの)」という。
屋外広告物(おくがいこうこくぶつ)
  • 意味
    • 常時または一定の期間継続して、屋外で公衆に表示される看板、立て看板、広告塔、広告板、貼り紙、のぼり旗などのこと。商業目的のものだけでなく、非営利のものも含まれる。
  • 歴史・経過
    • 無秩序に設置されると、良好な景観を損なったり、風致を害したり、落下・倒壊などにより公衆に危害を及ぼしたりするおそれがある。このため、「屋外広告物法」及び各自治体の「屋外広告物条例」によって、設置できる場所、大きさ、デザイン、色彩などが規制されており、多くの場合、設置には許可が必要となる。
汚水(おすい)
  • 意味
    • 家庭の台所、風呂、洗濯、水洗トイレなどから出る生活排水や、事業所の活動に伴って排出される水のこと。下水道法上の用語。
  • 歴史・経過
    • 公共下水道によって集められ、終末処理場できれいに浄化してから河川や海に放流される。下水道の整備は、伝染病の予防など公衆衛生の向上と、河川などの公共用水域の水質保全に不可欠なインフラとして、市町村を中心に進められてきた。
汚染者負担の原則(おせんしゃふたんのげんそく)
  • 意味
    • 公害や環境汚染を引き起こした者が、その被害の防止、除去、回復にかかる費用を負担すべきであるという、環境政策の基本的な考え方。Polluter-Pays Principle (PPP) 。
  • 歴史・経過
    • 1972年(昭和47年)にOECD(経済協力開発機構)で採択され、世界の環境政策の基本原則となった。日本の「公害健康被害の補償等に関する法律」や、各種の環境関連法規の基礎となっている。
汚職(おしょく)
  • 意味
    • 公務員が、その地位や職権を利用して、賄賂を受け取ったり、特定の人に便宜を図ったりして、不正な利益を得ること。または職務の公正さを汚す行為。
  • 歴史・経過
    • 刑法の贈収賄罪などで処罰の対象となる。行政に対する住民の信頼を根底から覆す行為であり、公務員倫理の最も重要な課題の一つ。各自治体では、倫理条例の制定やコンプライアンス研修の実施など、汚職防止のための取り組みが強化されている。
折衝(おっしょう)
  • 意味
    • ある目的を達成するために、利害関係が一致しない相手と、問題解決に向けて話し合い、駆け引きをし、妥協点を見出すこと。
  • 歴史・経過
    • 行政実務において、予算獲得のための国や財務部局とのやりとり、事業実施にあたっての住民や関係機関との調整、自治体間の広域連携に関する協議など、様々な場面で必要となる重要なスキル。円滑な合意形成のための高度なコミュニケーション能力が求められる。
汚泥(おでい)
  • 意味
    • 下水処理場や工場の排水処理施設、浄水場などで、水中の汚濁物質を処理する過程で発生する、水分を多く含んだ泥状の物質。
  • 歴史・経過
    • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)上、その多くは産業廃棄物に分類される。最終処分場の延命化や環境負荷の低減のため、脱水、焼却などによる減量化処理が行われ、セメント原料や肥料、建設資材として再利用(リサイクル)する技術開発が進められている。
オフサイトセンター(おふさいとせんたー)
  • 意味
    • 原子力発電所などで原子力災害が発生、または発生するおそれがある場合に、国、地方公共団体、事業者、専門家などが一堂に会し、情報を集約・共有し、合同で事故対応の指揮にあたる拠点施設。
  • 歴史・経過
    • 原子力災害対策特別措置法に基づき、各原子力発電所からおおむね5kmから30km圏内に設置される。住民の避難・屋内退避の指示、緊急時モニタリング、広報活動などの司令塔としての役割を担う。
オブザーバー(おぶざーばー)
  • 意味
    • 会議などに、議決権(投票権)を持たずに参加し、意見を述べたり、審議の経過を見守ったりする者。「傍聴人」とは異なり、会議の主催者の許可を得て発言が認められる場合が多い。
  • 歴史・経過
    • 行政の審議会や委員会などの場で、直接の委員ではないが、専門的な知見を持つ関係省庁の職員や、利害関係のある団体の代表者などが、情報提供や意見表明のためにオブザーバーとして参加することがある。
覚え書き(おぼえがき)
  • 意味
    • 本格的な契約や協定を締結する前に、当事者間の基本的な合意事項や、今後の協議の進め方などを確認・記録するために作成する文書。MOU(Memorandum of Understanding)とも呼ばれる。
  • 歴史・経過
    • 通常、契約書ほどの法的な拘束力は持たないとされるが、当事者の紳士協定として尊重される。行政機関の間や、行政と民間企業、大学などが共同で事業を行う際の初期段階で、協力関係の基礎を築くために交わされることが多い。
オルタナティブ(おるたなてぃぶ)
  • 意味
    • 「代替」「代わり」「もう一つの選択肢」という意味。既存の主流な方法や考え方とは異なる、新しい、あるいは別の選択肢を指す言葉。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、従来型の公共サービスに対する「オルタナティブ」として、NPOや民間企業による新たなサービス提供のあり方や、直接的な規制とは異なる政策手法(ナッジなど)が議論される際に用いられる。
卸売市場(おろしうりしじょう)
  • 意味
    • 生鮮食料品(青果、水産物、食肉、花き)などを、全国各地から効率的に集荷し、せりや入札などの公正な方法で価格を決定し、小売業者などに迅速に配分(分荷)するための拠点施設。
  • 歴史・経過
    • 卸売市場法に基づき、国民生活の安定に不可欠な施設として、多くは地方公共団体が「中央卸売市場」や「地方卸売市場」を開設・運営してきた。流通構造の変化に対応するため、近年、市場の再編や民営化の動きが進んでいる。
恩給(おんきゅう)
  • 意味
    • 長年にわたり国に貢献した公務員や軍人などが、退職後や死亡後に、国から本人やその遺族に対して終身にわたって支給された年金のこと。
  • 歴史・経過
    • 日本の公的年金制度の源流の一つ。1953年(昭和28年)の法改正により、以降の公務員は厚生年金保険制度に統合されたため、現在はそれ以前から勤めていた旧軍人や一部の公務員など、対象者は限定されている。総務省が所管している。
温室効果ガス(おんしつこうかがす)
  • 意味
    • 地球温暖化の主な原因とされる、大気中の熱(赤外線)を吸収して大気を暖める性質を持つガスの総称。二酸化炭素(CO2)、メタン、一酸化二窒素、フロンガス類などが代表例。
  • 歴史・経過
    • 気候変動に関する国際連合枠組条約や京都議定書、パリ協定など、国際的な枠組みで排出削減目標が定められている。国は地球温暖化対策計画を策定し、自治体もその区域の自然的社会的条件に応じた「地方公共団体実行計画」を策定して、具体的な取り組みを推進する義務がある。
音声コード(おんせいこーど)
  • 意味
    • 印刷物に掲載されている文字情報をデジタルデータとして記録した、二次元コードの一種。専用の読み取り装置やスマートフォンアプリでコードを読み取ると、記録されたテキスト情報が音声で再生される。
  • 歴史・経過
    • 視覚障害者など、印刷された文字を読むことが困難な人への情報保障を目的として開発された。地方公共団体では、広報紙やウェブサイトと並ぶ重要な情報伝達手段である各種通知書(納税通知書、各種健診の案内など)に音声コードを印刷し、情報アクセシビリティの向上に努める動きが広がっている。
温暖化対策(おんだんかたいさく)
  • 意味
    • 地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出を抑制する「緩和策」と、すでに現れている、あるいは将来予測される気候変動の影響(気温上昇、豪雨の激甚化など)による被害を回避・軽減する「適応策」の総称。
  • 歴史・経過
    • 地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づき、国、地方公共団体、事業者、国民それぞれの責務が定められている。自治体は、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの導入促進、公共交通の利用促進、緑化の推進、防災対策の強化など、多岐にわたる施策を計画的に実施する。
オンブズマン(おんぶずまん)
  • 意味
    • スウェーデン語で「代理人」を意味し、行政に対する市民からの苦情を受け付け、中立・公正な第三者の立場から簡易迅速に調査し、行政の不当・不適切な行為の是正や制度改善を求める機関や個人のこと。
  • 歴史・経過
    • 19世紀初頭にスウェーデンで生まれた制度。日本では、国レベルでは総務省の行政相談委員が類似の役割を担う。地方自治体では、1990年(平成2年)に川崎市で初めて条例に基づく市民オンブズマン制度が導入され、その後、多くの自治体で設置が進んだ。
オンライン申請(おんらいんしんせい)
  • 意味
    • 従来は市役所などの窓口に出向いたり、郵送したりして行っていた各種の行政手続き(住民票の写しの請求、児童手当の申請、各種許認可など)を、パソコンやスマートフォンを利用して、インターネットを通じて行うこと。
  • 歴史・経過
    • 電子政府・電子自治体の推進に伴い、2000年代から導入が進められてきた。特に、マイナンバーカードの普及や、政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」の機能拡充により、24時間365日いつでもどこでも申請が可能になり、住民の利便性向上と行政の業務効率化に大きく貢献している。

外部監査(がいぶかんさ)
  • 意味
    • 地方公共団体の組織から独立した外部の専門家(弁護士、公認会計士など)が、自治体の財務に関する事務の執行などを監査する制度。
  • 歴史・経過
    • 1997年(平成9年)の地方自治法改正により導入された。従来の内部組織である監査委員による監査を補完し、監査機能の専門性・独立性を強化することで、行政運営の透明性と公正性を高めることを目的とする。
会員(かいいん)
  • 意味
    • 審議会や委員会など、行政機関が設置する合議制の組織を構成するメンバーのこと。「委員」と呼ばれることが多い。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法や個別の設置条例に基づき、首長などから任命または委嘱される。学識経験者、関係団体の代表者、公募に応じた住民などが選ばれ、専門的な見地や多様な民意を行政の意思決定に反映させる役割を担う。
開会(かいかい)
  • 意味
    • 議会や委員会などの会議活動を開始すること。特に、定例会や臨時会の活動期間(会期)が始まることを指す。
  • 歴史・経過
    • 地方議会は、首長が招集し、議長が開会を宣言することで始まる。開会日には、会期の決定や諸般の報告などが行われ、本格的な議案審議に入る。対義語は「閉会(へいかい)」。
会議(かいぎ)
  • 意味
    • 特定の目的のために、関係者が一堂に会して協議し、意思決定を行う集まりのこと。行政においては、議会の本会議や委員会、庁内の部長会議、審議会など、様々なレベル・目的の会議が存在する。
  • 歴史・経過
    • 行政の意思決定プロセスの中核をなす。近年は、ペーパーレス会議システムの導入による効率化や、ウェブ会議の活用による柔軟な開催が進んでいる。また、情報公開の観点から、原則として会議を公開することが求められる。
会計(かいけい)
  • 意味
    • 国や地方公共団体の活動に伴う金銭や物品の出納、記録、管理に関すること全般。また、それらを担当する組織(会計課など)や職員(会計管理者など)を指す。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法や会計法に基づき、厳格なルール(会計年度独立の原則、予算中心主義など)に沿って執行されなければならない。その目的は、財政の健全性と透明性を確保し、住民に対する説明責任を果たすことにある。
会計監査(かいけいかんさ)
  • 意味
    • 地方公共団体の財務に関する事務の執行や経営に係る事業の管理が、法令等に従って適正に行われているか、また、最少の経費で最大の効果を挙げているか(経済性・効率性・有効性)を、独立した第三者の立場から検証・評価すること。
  • 歴史・経過
    • 監査委員による監査(内部監査)が基本だが、地方自治法の改正により、外部の専門家(弁護士、公認会計士など)と契約して監査を受ける「外部監査制度」も導入されている。
会計管理者(かいけいかんりしゃ)
  • 意味
    • 地方公共団体において、首長の補助機関として、会計事務を専門的につかさどる必置の特別職(または一般職)。現金や有価証券の出納・保管、決算の調製などを行う。
  • 歴史・経過
    • 2006年(平成18年)の地方自治法改正により、従来の「収入役」が廃止され、新たに設置された。首長の命令に反してでも、違法な支出命令を拒否できるなど、財務の適正性を確保するためのチェック機能を持つ。
会計年度(かいけいねんど)
  • 意味
    • 国や地方公共団体が、歳入・歳出を整理し、その収支を明確にするために設ける期間のこと。日本では、法律により、毎年4月1日から翌年の3月31日までと定められている。
  • 歴史・経過
    • 予算はこの会計年度を単位として編成され、各年度の支出はその年度の歳入で賄わなければならないという「会計年度独立の原則」は、財政運営の基本中の基本である。
会計年度任用職員(かいけいねんどにんようしょくいん)
  • 意味
    • 一会計年度(4月1日~3月31日)を超えない範囲で任用される、地方公務員法の適用を受ける一般職の非常勤職員のこと。
  • 歴史・経過
    • 2020年(令和2年)4月から、従来の臨時・非常勤職員制度に代わって導入された。期末手当の支給対象となるなど、これまでの制度に比べて勤務条件の明確化・処遇の改善が図られた。
介護保険(かいごほけん)
  • 意味
    • 加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病などにより要介護状態となった者に対し、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うことを目的とした社会保険制度。
  • 歴史・経過
    • 2000年(平成12年)4月に創設。市町村および特別区が保険者として運営される。40歳以上の国民が被保険者として保険料を支払い、要介護・要支援認定を受けた場合に、費用の一定割合(原則1割~3割)を負担して介護サービスを利用する。
開示請求(かいじせいきゅう)
  • 意味
    • 情報公開法や情報公開条例に基づき、住民などが国や地方公共団体に対し、その保有する行政文書の開示(閲覧や写しの交付)を求めること。
  • 歴史・経過
    • 行政の透明性を確保し、住民の「知る権利」に応えるための制度の根幹をなす。請求があれば、個人情報など条例で定められた非開示情報を除き、原則としてすべて開示しなければならない。
改修(かいしゅう)
  • 意味
    • 道路、河川、公共建築物などの既存の施設について、老朽化した部分を修理したり、機能や性能を向上させたりするために、改良工事を行うこと。
  • 歴史・経過
    • 単に元の状態に戻す「補修」や「修繕」とは異なり、耐震補強、バリアフリー化、省エネ化など、新たな社会的要請に応えるための付加価値的な改良を含むことが多い。アセットマネジメント計画に基づき、計画的に実施される。
解職請求(かいしょくせいきゅう)
  • 意味
    • 住民が、地方公共団体の首長や議員、副知事・副市町村長、教育委員などの役職者を、任期満了前に辞めさせることを求めて、選挙管理委員会に請求すること。リコール制度。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に定められた住民の直接請求権の一つ。有権者の一定数(通常は3分の1)以上の署名を集めて請求し、住民投票が行われ、その過半数の同意があれば、対象者は失職する。
改正(かいせい)
  • 意味
    • 法律や条例、規則などの既存の条文の一部を、改め、正すこと。条文を追加、変更、削除することによって行われる。
  • 歴史・経過
    • 社会経済情勢の変化や、新たな行政課題に対応するために行われる。改正案は、内閣や首長、または議員が議会に提出し、議決を経て成立する。法令の連続性を保つため、全部を新しくする「全部改正」と、一部だけを直す「一部改正」がある。
開発許可(かいはつきょか)
  • 意味
    • 主として市街化を抑制すべき市街化調整区域などにおいて、宅地造成や建築物の建築など、土地の区画形質の変更(開発行為)を行う場合に、事前に都道府県知事(または指定都市等の長)から受けなければならない許可のこと。
  • 歴史・経過
    • 都市計画法に基づき、無秩序な市街地の拡大(スプロール化)を防ぎ、計画的なまちづくりを誘導するために設けられた制度。許可にあたっては、道路や排水施設、公園の整備など、一定の技術基準に適合する必要がある。
科学的根拠(かがくてきこんきょ)
  • 意味
    • 政策の企画立案や評価を行う際に、その判断のよりどころとなる、統計データや調査・研究結果などの客観的な証拠のこと。「エビデンス」ともいう。
  • 歴史・経過
    • 限られた行政資源を有効に活用するため、勘や経験、前例踏襲に頼るのではなく、客観的な根拠に基づいて政策を立案・実行する「EBPM(証拠に基づく政策立案)」の考え方が、国・地方を問わず重視されている。
学識経験者(がくしきけいけんしゃ)
  • 意味
    • 特定の専門分野について、深い学問的知識と社会的な経験を併せ持つ人物のこと。大学教授や研究者、弁護士、公認会計士、医師などが代表例。
  • 歴史・経過
    • 行政の審議会や委員会、各種の計画策定委員会などにおいて、専門的・中立的な立場から意見を述べ、助言を行う委員として参加を求められることが多い。行政の意思決定に専門性と客観性をもたらす重要な役割を担う。
学童保育(がくどうほいく)
  • 意味
    • 保護者が就労などにより昼間家庭にいない小学生に対し、授業の終了後に適切な遊びや生活の場を提供して、その健全な育成を図る事業のこと。正式名称は「放課後児童健全育成事業」。
  • 歴史・経過
    • 児童福祉法に位置づけられており、主に市町村が実施主体となる。共働き家庭の増加などを背景にニーズが急増しており、待機児童の解消や、指導員の確保・資質向上、施設の量的・質的拡充が大きな課題となっている。
格付け(かくづけ)
  • 意味
    • 地方公共団体が発行する地方債について、民間の格付機関が、その元本や利子の支払いの確実性(信用力)を、客観的な基準に基づいて評価し、アルファベットなどを用いた記号でランク付けすること。
  • 歴史・経過
    • 2006年度から地方債の発行が許可制から協議制に移行し、市場を通じて資金調達する「市場公募債」が増えたことから、投資家が投資判断を行うための重要な情報として活用されるようになった。高い格付けを得ることは、より有利な条件での資金調達につながる。
画定(かくてい)
  • 意味
    • 境界などを区切って、はっきりと定めること。行政分野では、都市計画区域、用途地域、選挙区などの区域の境界を定める際に用いられる。
  • 歴史・経過
    • 区域の画定は、法律や条例に基づき、地図(総括図、計画図など)上にその範囲を明示することによって行われる。区域の内外で法的な規制や権利・義務が異なるため、その境界は明確でなければならず、住民の財産権などに大きな影響を与える。
確定申告(かくていしんこく)
  • 意味
    • 個人が、1年間(1月1日~12月31日)のすべての所得の金額と、それに対する所得税の額を計算し、税務署に申告・納税する手続きのこと。
  • 歴史・経過
    • 所得税は国税だが、確定申告された内容は、地方税である個人住民税や国民健康保険料(税)を算定するための基礎資料となる。そのため、税務署と市町村は情報を共有しており、地方財政に極めて重要な手続きである。
可決(かけつ)
  • 意味
    • 議会などの合議制の機関において、提出された議案(条例案、予算案、意見書案など)に対し、審議の結果、賛成の意思表示が多数を占め、その機関の有効な意思として決定されること。
  • 歴史・経過
    • 議会の意思決定は、地方自治法に特別な定めがある場合を除き、出席議員の過半数で決する。可決された議案は、首長への送付や公布などの手続きを経て、効力を生じる。対義語は「否決(ひけつ)」。
過疎(かそ)
  • 意味
    • 人口が著しく減少し、それによって地域社会の機能が低下し、住民が一定水準の生活を維持することが困難になっている状態。
  • 歴史・経過
    • 若者の流出と高齢化が同時に進行することが特徴。「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に基づき、人口要件や財政力要件が一定基準以下の市町村が「過疎地域」として指定され、財政上の特別措置(過疎対策事業債など)や税制上の優遇措置が講じられる。
課税(かぜい)
  • 意味
    • 国や地方公共団体が、法律や条例の定めに従い、その経費に充てるため、住民や事業者などに対して、租税(税金)を賦課し、徴収すること。
  • 歴史・経過
    • 税金を課すためには、必ず法律や条例の根拠が必要であるという考え方を「租税法律主義(租税条例主義)」という。行政活動の根幹をなす財源を確保するための最も基本的な行為である。
瑕疵(かし)
  • 意味
    • 売買の目的物や、請負契約によって完成した建物・道路などに、通常備わっているべき品質や性能が欠けていること。隠れた欠陥や不具合。
  • 歴史・経過
    • 行政が発注した工事や購入した物品に瑕疵があった場合、民法や契約書の規定に基づき、受注者に対して、補修(追完)や代金の減額、損害賠償などを請求することができる(契約不適合責任、旧:瑕疵担保責任)。
過半数(かはんすう)
  • 意味
    • 全体の数の半分を超える数のこと。
  • 歴史・経過
    • 議会などの合議制機関における意思決定の基本原則(多数決)。地方自治法では、議会の議事は、特別な定めがない限り「出席議員の過半数」で決することとされている。例えば、出席議員が10人ならば6人以上、11人ならば同じく6人以上が賛成すれば可決となる。
貸付金(かしつけきん)
  • 意味
    • 地方公共団体が、特定の政策目的(中小企業振興、住宅建設、奨学資金など)のために、住民や事業者などに対して貸し付けた金銭のこと。会計上は、将来返還されるべき「債権」として、資産に計上される。
  • 歴史・経過
    • 条例や規則に基づき、貸付対象、利率、償還期間などの条件が定められる。適切な審査と、貸付後の回収管理が重要であり、回収が困難となった不良債権の処理は、財政上の課題となることがある。
紙媒体(かみばいたい)
  • 意味
    • 情報を伝達・記録する媒体のうち、紙を素材とするもの。公文書、広報紙、ポスター、チラシ、書籍など。
  • 歴史・経過
    • 長らく行政の情報伝達・記録の基本であったが、デジタル化の進展により、その役割は相対的に変化している。ペーパーレス化による行政の効率化、コスト削減、環境負荷の低減が進む一方で、情報アクセシビリティ(インターネットを利用しない人への配慮など)の観点から、紙媒体の重要性も依然として残っている。
過料(かりょう)
  • 意味
    • 法律や条例で定められた、行政上の義務違反(届出を怠る、正当な理由なく調査を拒否するなど)に対して課される、金銭的な制裁のこと。刑罰である「科料」とは異なり、前科にはならない。
  • 歴史・経過
    • 行政上の秩序を維持するために科される、一種の秩序罰である。例えば、住民基本台帳法では、正当な理由なく転入・転居などの届出をしない者に対し、5万円以下の過料に処することが定められている。
河川(かせん)
  • 意味
    • 公共の利害に重要な関係がある川のこと。河川法に基づき、その重要度に応じて、国土交通大臣が管理する「一級河川」、都道府県知事が管理する「二級河川」、市町村長が管理する「準用河川」などに分類される。
  • 歴史・経過
    • 治水(洪水や高潮などの水害を防ぐ)、利水(生活用水、工業用水、農業用水などとして利用する)、環境(良好な景観や動植物の生息環境を保つ)の3つの目的を達成するため、河川管理者が堤防の整備や河道の掘削、水質の監視などの管理を行う。
監査(かんさ)
  • 意味
    • 地方公共団体の財務に関する事務や、経営に係る事業の管理が、法令に従って適正かつ効率的に行われているかどうかを、独立した第三者の立場から検証し、評価すること。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に基づき、各自治体に設置される監査委員が定期的に行う「定期監査」が基本。このほか、住民からの請求に基づいて行う「住民監査請求」、外部の専門家が行う「外部監査」などの種類がある。
監査委員(かんさいいん)
  • 意味
    • 地方公共団体の財務や事業の管理を監査するために、地方自治法に基づき、すべての普通地方公共団体に設置される独任制の執行機関。
  • 歴史・経過
    • 人格が高潔で、行政運営に関し優れた識見を持つ者(識見委員)と、議会議員(議員選出委員)の中から、議会の同意を得て首長が任命する。監査の結果を議会や首長に報告し、住民に公表する権限を持つ。
官製談合(かんせいだんごう)
  • 意味
    • 国や地方公共団体が発注する競争入札において、発注者側の公務員が、特定の業者に工事などを受注させる目的で、入札価格などの秘密情報を漏らしたり、受注業者の調整(談合)を主導したりする不正行為。
  • 歴史・経過
    • 入札の公正を害し、税金の無駄遣いにつながる悪質な行為であり、「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(官製談合防止法)」などにより厳しく禁じられている。
幹線道路(かんせんどうろ)
  • 意味
    • 全国や地域における道路網の骨格を形成し、都市間を結んだり、都市の主要な地区を連絡したりする、交通上重要な役割を担う道路のこと。
  • 歴史・経過
    • 高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道の主要な路線がこれにあたる。大量の自動車交通を円滑に処理する機能が求められる一方、沿道の騒音や大気汚染など環境問題への対策も重要な課題となる。
環境基本法(かんきょうきほんほう)
  • 意味
    • 日本の環境政策の基本理念(環境の恵沢の享受と継承、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築など)や、国、地方公共団体、事業者、国民の責務を定め、環境保全に関する施策の基本的な事項を規定した法律。
  • 歴史・経過
    • 公害対策基本法に代わり、1993年(平成5年)に制定。公害対策だけでなく、地球環境問題や自然環境の保全までを視野に入れた、包括的な環境政策の枠組みを示している。この法律に基づき、政府は「環境基本計画」を策定する。
官公需(かんこうじゅ)
  • 意味
    • 国や地方公共団体などの「官公庁」が、物品を購入したり、工事を発注したり、サービスを調達したりすることによって生じる需要のこと。
  • 歴史・経過
    • 「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」に基づき、国は、中小企業の受注機会の増大を図るための方針を定め、公表している。地方公共団体においても、地域の経済活性化や中小企業振興の観点から、地元企業への優先的な発注に努めるよう求められている。
官民連携(かんみんれんけい)
  • 意味
    • 行政(官)と、民間事業者(民)が連携し、それぞれの強みやノウハウを活かしながら、公共サービスの提供や社会資本の整備・運営などを効率的・効果的に行うこと。PPP(Public Private Partnership)。
  • 歴史・経過
    • 厳しい財政状況や、多様化・高度化する住民ニーズに対応するため、PFI(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づく事業)や、指定管理者制度、公設民営など、様々な手法が導入・活用されている。

議案(ぎあん)
  • 意味
    • 首長や議員が、議会の意思決定(議決)を求めるために、議会に提出する案件のこと。条例の制定・改廃案、予算案、決算認定案、重要な契約の締結案、意見書案、決議案などがある。
  • 歴史・経過
    • 議会の活動は、議案の審議を中心に行われる。首長から提出される議案(首長提出議案)が大多数を占めるが、議員も一定数(議員定数の12分の1以上など)の賛成があれば議案を提出できる(議員提出議案)。
議会(ぎかい)
  • 意味
    • 住民の直接選挙によって選ばれた議員で構成され、地方公共団体の意思を決定する最高の議決機関。条例の制定・改廃、予算の決定、決算の認定、重要な契約の承認などを行う権限を持つ。
  • 歴史・経過
    • 首長(執行機関)と対等な立場で、相互に牽制し、均衡を保つ「二元代表制」の一翼を担う。執行機関の事務を監視する役割(監視機能)も持つ。
議会運営委員会(ぎかいうんえいいいんかい)
  • 意味
    • 議会の円滑な運営を図るため、会期、議事日程、議案や請願・陳情の取扱い、議会のルールなどについて協議・調整する委員会。通称は「議運(ぎうん)」。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に基づき、各議会が条例で設置する。議会内の各会派の代表者などで構成され、本会議の議事を進める上での司令塔的な役割を担う。
議決(ぎけつ)
  • 意味
    • 議会が、提出された議案に対して、審議の最終段階として、賛成または反対の意思表示を行い、その機関としての意思を決定すること。「可決」「否決」「修正可決」などがある。
  • 歴史・経過
    • 議会の意思決定は、地方自治法に特別な定めがある場合を除き、出席議員の過半数で決する。議決された内容は、首長に通知され、法的な効力を持つ。
既決(きけつ)
  • 意味
    • すでに議決されたこと。議会においては、一度議決した案件は、同じ会期中には再び提出し、審議することができないという「一事不再議」の原則がある。
  • 歴史・経過
    • 議会の意思の安定性を保ち、審議の混乱や蒸し返しを防ぐための重要な会議原則。「未決(みけつ)」(まだ議決されていない)の対義語。
起債(きさい)
  • 意味
    • 地方公共団体が、道路、学校、公営住宅の建設など、大規模な事業の財源を確保するために、資金の借入れ(地方債の発行)を行うこと。
  • 歴史・経過
    • 地方債の発行は、将来の住民に負担を求めることになるため、その対象となる事業や発行額は、地方財政法などで厳しく制限されている。
議事堂(ぎじどう)
  • 意味
    • 議会が会議を開くための建物。本会議が開かれる「本会議場」や、委員会が開かれる「委員会室」、各議員や会派の「控室」などから構成される。
  • 歴史・経過
    • 地方自治体においては、多くの場合、市役所や県庁などの庁舎内に設置されている。建物の様式は、その自治体の歴史や象徴性を反映していることが多い。
議事日程(ぎじにってい)
  • 意味
    • 本会議の当日の議事の進行スケジュールを記載したもの。開議の日時、会議に付する案件(議題)、その審議の順序などが記載されている。
  • 歴史・経過
    • 議長が作成し、開議前に議員に配布される。これにより、議員は会議の見通しを立て、質疑の準備などを行うことができる。議会の円滑な運営に不可欠なもの。
議事録(ぎじろく)
  • 意味
    • 本会議の内容(開会日時、出席・欠席議員の氏名、議題、質疑応答、討論、採決の結果など)を、法令に基づき記録した公文書。
  • 歴史・経過
    • 議長が作成し、議会が指定する2人以上の議員とともに署名することが義務付けられている。住民は誰でも閲覧や写しの交付を請求でき、近年では多くの自治体でインターネット上での公開が進んでいる。
規程(きてい)
  • 意味
    • ある特定の目的(例:文書管理、公印の管理、情報公開)について、一連の手続きやルールを定めた、複数の条文からなる内部的なルールのまとまり全体を指す名称。
  • 歴史・経過
    • 「〇〇規程」という形で使われることが多い(例:文書管理規程、公印規程)。法令の委任に基づき定められることもあるが、行政組織内部のルールとして定められることが多い。「規定」が個別の条文を指すのに対し、「規程」はルールの集合体全体を指すニュアンスで使い分けられる。
規定(きてい)
  • 意味
    • 法律、条例、規則などの中で、個々の事柄について「このように定める」と記されている、個々の条文やルールのこと。
  • 歴史・経過
    • 「法令の規定により」「条例の規定に基づき」といった形で使われる。行政活動は、すべて法律や条例の規定に基づいて行われなければならないという「法律による行政の原理」の基本要素。
義務(ぎむ)
  • 意味
    • 法令や契約などによって、特定の者が、特定の行為をすること(作為義務)またはしないこと(不作為義務)を強制されること。
  • 歴史・経過
    • 行政法上、国民が国家に対して負う「納税の義務」「(子に普通教育を)受けさせる義務」などと、行政機関が国民に対して負う「法令遵守義務」「説明責任(アカウンタビリティ)」などがある。
義務教育(ぎむきょういく)
  • 意味
    • 保護者が、その保護する子に受けさせなければならないと、憲法および教育基本法で定められている教育のこと。
  • 歴史・経過
    • 日本では、小学校6年間と中学校3年間の合計9年間が義務教育とされている。国および地方公共団体には、その機会を保障し、無償とする義務がある。
義務付け訴訟(ぎむづけそしょう)
  • 意味
    • 行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らの処分をしない場合や、申請を拒否する処分を行った場合に、裁判所に対して、行政庁が一定の処分をすべき旨を命じる判決を求める訴訟。
  • 歴史・経過
    • 2004年(平成16年)の行政事件訴訟法改正で導入された。従来は、拒否処分を取り消す判決が出ても、行政庁が再び異なる理由で拒否することが可能だったが、この訴訟により、国民の権利救済がより実効的に行えるようになった。
逆指名競争入札(ぎゃくしめいきょうそうにゅうさつ)
  • 意味
    • 工事の発注などに際し、発注機関が複数の企業から技術提案などを公募し、優れた提案を行った企業を数社選定(逆指名)した上で、その企業間だけで価格などを競争させる入札方式。
  • 歴史・経過
    • 価格だけでなく、技術力やノウハウも重視される複雑な工事などで採用されることがある。談合の防止や透明性の確保を目的として導入されたが、選定プロセスの客観性・公平性が厳しく問われる。
休会(きゅうかい)
  • 意味
    • 議会が、会期中に、本会議の活動を一時的に休止すること。
  • 歴史・経過
    • 議案の調査や審査のために委員会を集中して開いたり、議会運営上の調整を行ったりするために、本会議の冒頭で「〇月〇日から〇月〇日まで休会」といった形で議決して設けられる。
求償権(きゅうしょうけん)
  • 意味
    • 他人の債務を代わりに弁済した者が、その他人(本来の債務者)に対して、返還を請求する権利。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、公務員の職務上の不法行為により、地方公共団体が被害者に損害賠償を行った場合に、その原因を作った公務員に故意または重大な過失があったときは、自治体はその職員に対して、支払った賠償額の全部または一部を請求できる。これを求償権の行使という。
休職(きゅうしょく)
  • 意味
    • 任命権者が、職員が特定の事由(心身の故障による長期療養、刑事事件での起訴など)に該当する場合に、本人の意に反して、または本人の同意を得て、一定期間、職務に従事させない処分。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法に基づく分限処分の一種。職員の身分は保持されるが、休職期間中は給与が減額されたり、支給されなかったりする。
給食(きゅうしょく)
  • 意味
    • 学校、病院、事業所などの施設において、特定多数の人に対して、継続的に食事を供給すること。
  • 歴史・経過
    • 特に「学校給食」は、児童生徒の心身の健全な発達に資すること、食に関する正しい理解と適切な判断力を養うことなどを目的に、学校給食法に基づき実施される。市町村の教育委員会が中心となって運営される重要な教育活動の一環である。
休日(きゅうじつ)
  • 意味
    • 勤務を割り振られず、勤務の義務が元々ない日のこと。土曜日や日曜日、祝日、年末年始などがこれにあたる。
  • 歴史・経過
    • 職員が申請して勤務の義務を免除される「休暇」(年次有給休暇など)とは区別される。地方公共団体の休日は、条例で定められている。
給付(きゅうふ)
  • 意味
    • 法律や条例に基づき、国や地方公共団体が、国民や住民に対して、金銭やサービスを提供すること。
  • 歴史・経過
    • 児童手当や生活保護費、年金などの「金銭給付」と、介護保険のデイサービスや医療保険による診療行為などの「現物給付」の2種類がある。社会保障制度の中核をなす概念である。
給与(きゅうよ)
  • 意味
    • 地方公務員が、その勤務の対価として地方公共団体から受け取る金銭の総称。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法において、給与は、生計費のほか、国や他の地方公共団体の職員、民間企業の従業員の給与などを考慮して定められなければならないとされている(給与決定の原則)。月々の給料のほか、扶養手当、住居手当、通勤手当、期末・勤勉手当などが含まれる。
協議(きょうぎ)
  • 意味
    • 特定の事項について、関係する当事者が、対等な立場で集まり、話し合い、検討すること。
  • 歴史・経過
    • 行政機関の間(例:国と地方の協議の場)、あるいは行政と住民・事業者との間で、意思決定の前段階として広く行われる。合意形成を目指すプロセスそのものを指すことが多い。
協定(きょうてい)
  • 意味
    • 当事者間の合意事項を書面などに取りまとめたもの。法的な拘束力を持つ契約とは異なり、当事者の自主的なルールとして、相互の信頼関係に基づいて遵守される紳士協定的なものも多い。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、災害時の応援協定、地域の環境保全のための緑化協定、まちづくりのルールを定める建築協定など、様々な目的で、住民、事業者、行政などの間で締結される。
協働(きょうどう)
  • 意味
    • 住民、NPO、企業、行政など、異なる立場や分野の主体が、共通の社会的な目的(地域課題の解決など)を達成するために、それぞれの特性や資源を活かし、対等な立場で協力し、役割を分担しながら、共に行動すること。
  • 歴史・経過
    • 少子高齢化や価値観の多様化により行政だけでは解決できない課題が増える中、1990年代後半から、新しい公共の担い手との連携によるまちづくりの基本理念として重視されるようになった。
共同溝(きょうどうこう)
  • 意味
    • 道路の地下空間の有効活用、都市景観の向上、災害時のライフラインの安全性確保などを目的に、電気、通信、ガス、上下水道などの複数の公益物件(ライフライン)をまとめて収容するために設置される施設(トンネル)。
  • 歴史・経過
    • 「共同溝の整備等に関する特別措置法」に基づき、主に国や都道府県が主体となって、交通量の多い都市部の幹線道路の地下に整備を進めている。
競争入札(きょうそうにゅうさつ)
  • 意味
    • 地方公共団体などが、工事の発注や物品の購入といった契約の相手方を決める際に、複数の希望者に価格などを競争させて、自治体にとって最も有利な条件を提示した者を選ぶ方式。
  • 歴史・経過
    • 会計法や地方自治法で定められた契約の基本原則。機会均等、公正性、経済性を確保する目的がある。「一般競争入札」と、あらかじめ自治体が指名した者だけで競争させる「指名競争入札」がある。
供託(きょうたく)
  • 意味
    • 金銭や有価証券などを、国の機関である「供託所」(法務局・地方法務局)に預けることで、債務の弁済、裁判上の保証など、一定の法律上の目的を達成するための制度。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、選挙に立候補する際の「供託金」がよく知られる。これは、候補者の乱立を防ぎ、立候補の真摯さを担保する目的で預けるもので、得票数が一定数に達しないと没収される。
共有(きょうゆう)
  • 意味
    • 一つの物を、複数の者(個人または法人)が共同で所有すること。各所有者は、その持分に応じて、物全体を使用する権利を持つ。
  • 歴史・経過
    • 相続によって不動産が複数人の共有となったり、分譲マンションの廊下や階段などの「共用部分」を区分所有者が共有したりするケースがある。固定資産税の納税義務は、原則として共有者全員が連帯して負うことになる。
共用(きょうよう)
  • 意味
    • 一つの物や施設を、複数の者(個人または法人)が共同で使用すること。
  • 歴史・経過
    • 行政においては、複数の部署で共用する会議室や公用車、あるいは複数の自治体で共用するごみ処理施設や図書館などがある。財源の効率的な活用や、行政サービスの広域化の観点から、施設の共用が進められることがある。
許可(きょか)
  • 意味
    • 法令により、公衆の安全や衛生などの観点から、一般的に禁止されている行為(例:飲食店の営業、自動車の運転、建物の建築)を、特定の場合に、行政庁がその禁止を解除し、適法に行えるようにする行政行為。
  • 歴史・経過
    • 申請に基づき、行政庁が一定の要件を満たしているかを審査し、裁量によって可否を判断する。許可を受けずに行為をすると、罰則の対象となることが多い。
許認可(きょにんか)
  • 意味
    • 「許可」と「認可」を合わせた総称。広く、行政庁が法令に基づき、国民や事業者の特定の行為に対して行う、許可、認可、免許、承認、指定、登録などの行為全般を指す言葉。
  • 歴史・経過
    • 国民の権利や活動に直接関わる重要な行政作用であり、その手続きや判断基準は、法律や条例で明確に定められていなければならない。
帰化(きか)
  • 意味
    • 本人の希望に基づき、外国人が日本の国籍を取得し、日本人になること。
  • 歴史・経過
    • 国籍法に定められた手続きであり、法務大臣の許可によって効力が生じる。住所要件、能力要件、素行要件などを満たす必要がある。許可されると官報に告示され、戸籍が作られる。
危機管理(ききかんり)
  • 意味
    • 大規模な自然災害、テロ、重大事故、感染症のパンデミックなど、組織や社会の存立を脅かす不測の事態(クライシス)の発生を想定し、被害を最小限に抑えるための体制や対応策をあらかじめ準備・整備しておくこと。
  • 歴史・経過
    • 阪神・淡路大震災や東日本大震災、近年の感染症拡大などを教訓に、その重要性が広く認識された。BCP(事業継続計画)の策定、防災訓練の実施、情報伝達体制の構築などが含まれる。
基金(ききん)
  • 意味
    • 地方公共団体が、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、または定額の資金を運用するために設置する資金や財産。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に基づき、条例で設置される。年度間の財源の不均衡を調整するための「財政調整基金」や、地方債の償還を計画的に行うための「減債基金」のほか、特定の目的(福祉、教育、地域振興など)のために設置されるものがある。
起工(きこう)
  • 意味
    • 土木・建設工事を始めること。「着工」とほぼ同義で使われる。
  • 歴史・経過
    • 公共事業においては、予算の成立、設計、用地取得、入札・契約などの手続きを経て、起工に至る。多くの関係者の調整を経て工事が開始されることを意味する。
起工式(きこうしき)
  • 意味
    • 大規模な建設工事の開始に先立ち、工事の安全と無事な完成を祈願して行われる儀式。「地鎮祭」と合わせて行われることも多い。
  • 歴史・経過
    • 行政が発注する公共事業においても、地域の重要なプロジェクトの開始を広く知らせ、関係者の意識を高める目的で、首長や議員、地元関係者などを招いて行われることがある。
寄附(きふ)
  • 意味
    • 個人や法人などが、見返りを求めずに、国や地方公共団体、公益法人などに対し、金銭や財産を無償で提供すること。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法にも規定があり、自治体は寄附(寄附金、寄附物品)を受け入れることができる。近年では、特定の使い道を指定して寄附を募る「クラウドファンディング」や、返礼品を伴う「ふるさと納税」制度も、寄附の一形態として広く活用されている。
寄附金控除(きふきんこうじょ)
  • 意味
    • 国や地方公共団体、特定の公益法人などに寄附(特定寄附金)をした場合に、所得税や個人住民税の額を計算する上で、その人の所得額や税額から一定額を差し引くことができる制度。
  • 歴史・経過
    • 社会的に有益な活動を税制面から支援することを目的とする。近年、多くの人が利用する「ふるさと納税」制度は、この寄附金控除の仕組みを応用したものである。
基本構想(きほんこうそう)
  • 意味
    • 地方公共団体が目指すべき将来像やまちづくりの基本理念など、最も長期的・大局的な方針を総合的に示す計画。自治体におけるすべての計画の最上位に位置づけられる。
  • 歴史・経過
    • かつては地方自治法で議会の議決が必要とされていたが、法改正により議決は必須ではなくなった。しかし、多くの自治体では、引き続き議会の議決を経て定めることで、計画の重要性や正統性を担保している。
基本計画(きほんけいかく)
  • 意味
    • 基本構想で示された将来のまちの姿を実現するため、福祉、教育、産業、都市基盤などの各分野における施策の基本的な方向性や目標を、5年~10年程度の中期的な視点で体系的に定めた計画。
  • 歴史・経過
    • 基本構想をより具体化し、各分野の個別計画(〇〇プラン)の指針となる役割を持つ。策定にあたっては、審議会やパブリック・コメントなどを通じ、広く住民の意見を反映させることが求められる。
期末手当(きまつてあて)
  • 意味
    • 民間企業のボーナス(賞与)に相当するものの一つで、公務員に対し、在職期間に応じて、生活費の補給などの目的で、6月と12月に支給される手当。
  • 歴史・経過
    • 同じく賞与に相当する「勤勉手当」が勤務成績に応じて支給されるのに対し、期末手当は在職していること自体を基礎として支給される点が異なる。支給月数は、人事院勧告や各自治体の人事委員会勧告を踏まえて条例で定められる。
記名(きめい)
  • 意味
    • 文書に、本人の氏名を記すこと。本人が自ら書く「署名(サイン)」とは異なり、ゴム印や印刷、あるいは他の人が代筆したものも含まれる。
  • 歴史・経過
    • 日本の行政文書では、本人の意思を証明する方法として「記名押印」(記名し、印鑑を押す)が長らく求められてきた。近年、行政手続きのオンライン化や効率化の流れの中で、押印と合わせて見直しの対象となっている。
記録(きろく)
  • 意味
    • 行政機関が、その組織としての意思決定に至る過程や、事務・事業の実績を、後から検証できるよう、文書、図画、電磁的記録(電子データ)など媒体を問わず作成し、残すこと。また、その残されたもの自体。
  • 歴史・経過
    • 公文書管理法において、行政機関の活動を現在および将来の国民に説明する責務(アカウンタビリティ)を全うするための基本と位置づけられている。適正な作成・管理が義務付けられる。
起立採決(きりつさいけつ)
  • 意味
    • 議会で議案の賛否を採決する方法の一つ。議長が、議案に賛成する議員に起立を求め、その人数を数えて賛成者の多寡を確認し、可否を決定する。
  • 歴史・経過
    • 簡易な採決方法である「異議なし採決」で決着がつかない場合や、より明確に各議員の賛否の態度を示す必要がある場合などに用いられる。最も一般的な採決方法の一つ。
緊急輸送道路(きんきゅうゆそうどうろ)
  • 意味
    • 大規模な災害が発生した際に、救命・救助活動、消火活動、緊急物資の輸送などを円滑に行うため、優先的に通行を確保すべき重要な道路として、あらかじめ指定された道路網。
  • 歴史・経過
    • 災害対策基本法に基づき、都道府県の公安委員会と道路管理者が協議して指定する。災害発生時には、一般車両の通行が禁止・制限されることがある。
近隣窮乏の原則(きんりんきゅうぼうのげんそく)
  • 意味
    • 国際経済において、一国が為替レートの切り下げ競争や輸入制限など、自国の利益のみを追求し、他国(近隣窮乏)の経済を犠牲にするような政策をとるべきではないという考え方。
  • 歴史・経過
    • 直接的な行政用語ではないが、広域的な視点を欠き、近隣自治体の不利益(例:廃棄物処理施設の押し付け合い、大規模商業施設の過当競争)を顧みない施策を批判する際に、比喩的に使われることがある。
勤勉手当(きんべんてあて)
  • 意味
    • 民間企業のボーナス(賞与)に相当するものの一つで、公務員に対し、その勤務成績に応じて、6月と12月に支給される手当。
  • 歴史・経過
    • 同じく賞与に相当する「期末手当」が在職期間に応じて支給されるのに対し、勤勉手当は、個々の職員の勤務評定の結果に基づいて支給率が変動する。職員の意欲向上や、努力が報われる人事評価制度の実現を目的とする。

グリーンインフラ(ぐりーんいんふら)
  • 意味
    • 自然環境が持つ多様な機能(雨水の貯留・浸透、水質浄化、気温上昇の抑制、生物の生息場所、レクリエーション空間など)を、社会の様々な課題解決に活用しようという考え方。公園、緑地、森林、水辺などを、社会基盤(インフラ)の一つとして捉える。
  • 歴史・経過
    • 従来のコンクリート中心のインフラ整備だけでは対応が困難な、気候変動による自然災害の激甚化や、生物多様性の損失といった課題に対応するため、2010年代から国・地方で推進されている。持続可能なまちづくりの重要な要素。
グローバル化(ぐろーばるか)
  • 意味
    • 経済活動、文化、情報などが、国境を越えて地球規模で一体化し、相互の結びつきが強まること。国際化。
  • 歴史・経過
    • 地方自治体においても、外国人住民の増加(多文化共生)、インバウンド観光客の誘致、地元企業の海外展開支援、国際姉妹都市交流など、グローバル化への対応は避けて通れない重要な政策課題となっている。
群(ぐん)
  • 意味
    • 都道府県の区域の中の、地理的なまとまりとして、複数の町や村を包括する行政区画。
  • 歴史・経過
    • かつては、郡役所や郡長、郡会が置かれ、行政機関としての機能を持っていたが、1920年代にその機能は廃止された。現在では、住所の表記や、広域的な地域の名称(例:〇〇郡町村会)として用いられる、地理的な区分となっている。市は郡に属さない。
区(く)
  • 意味
    • 市の中に設けられる行政上の区画。政令指定都市に置かれる「行政区」と、東京23区である「特別区」の2種類がある。
  • 歴史・経過
    • 行政区は、市の内部的な区画で、区長は市長が任命する職員であり、区議会はない。区役所が設置され、住民に身近な窓口業務などを分掌する。
    • 特別区は、市に準ずる基礎的な地方公共団体として、独立した法人格を持つ。住民の選挙で選ばれる区長と区議会があり、課税権も持つなど、行政区に比べてはるかに強い権限を有する。1947年(昭和22年)の地方自治法制定により、旧東京市の35区を母体として誕生した。
区域(くいき)
  • 意味
    • ある目的のために、地理的に区切られた一定の範囲。エリア。
  • 歴史・経過
    • 行政では、様々な法律や条例に基づき、多様な区域が設定される。例として、都市計画法に基づく「市街化区域」「用途地域」、災害対策基本法に基づく「避難指示区域」、学校教育法に基づく「通学区域(学区)」などがあり、それぞれの区域内で特定の規制やルールが適用される。
空域(くういき)
  • 意味
    • 航空機の航行のために指定された、地表または水面から上の空間。航空法に基づき、様々な種類が設定される。
  • 歴史・経過
    • 主に国土交通省が管理する。近年、ドローン(小型無人機)の利用が急速に拡大したことから、空港周辺や人口集中地区の上空など、ドローンの飛行が原則禁止される空域が設定された。自治体も、条例で独自の飛行禁止区域を定めることがある。
空港(くうこう)
  • 意味
    • 航空機が離着陸するための滑走路や、旅客が乗り降りしたり貨物を積み降ろししたりするための施設(ターミナルビルなど)を備えた飛行場のこと。
  • 歴史・経過
    • 空港法に基づき、国際線・国内線の拠点となる「拠点空港」(成田、羽田など)、地域の航空輸送を担う「地方管理空港」(地方公共団体が設置・管理)、自衛隊などが設置する「共用空港」などに分類される。地域の経済や観光に大きな影響を与える重要なインフラ。
区画(くかく)
  • 意味
    • 土地を用途や目的などに応じて区切り、分けること。また、その区切られた一つひとつの範囲。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、都市計画における「土地区画整理事業」が代表的。これは、無秩序に市街化された区域などで、土地の所有者からその一部を提供してもらい(減歩)、道路や公園などの公共施設を整備し、宅地を整形して、健全な市街地を造成する事業である。
区画漁業(くかくぎょぎょう)
  • 意味
    • 海や湖沼などの一定の区域(区画)を定めて、その中で魚介類や海藻などを養殖する漁業のこと。カキ、ノリ、真珠などの養殖がこれにあたる。
  • 歴史・経過
    • 漁業法に基づき、都道府県知事から免許を受ける必要がある。地域の漁業協同組合などが免許を取得し、組合員に漁場を利用させる形態が一般的。地域の水産業を支える重要な産業である。
苦情(くじょう)
  • 意味
    • 行政機関の業務の進め方や決定、職員の対応などについて、住民が感じる不平・不満のこと。
  • 歴史・経過
    • 苦情は、行政サービスの問題点や改善点を把握するための貴重な情報源である。多くの自治体では、専門の相談窓口(市民相談課など)や、オンブズマン制度を設け、苦情の申立てを受け付け、迅速かつ公正な処理に努める体制を整備している。
掘削(くっさく)
  • 意味
    • 地面や岩盤などを、機械や人力で掘り、削ること。
  • 歴史・経過
    • 道路工事、上下水道管の埋設、建物の基礎工事、トンネル工事など、公共事業のあらゆる場面で行われる基本的な作業。工事に伴う騒音、振動、交通規制など、周辺住民の生活に直接影響を与えるため、事前の周知や安全対策の徹底が求められる。
クロスセクター(くろすせくたー)
  • 意味
    • 「分野横断」のこと。行政、NPO、企業、大学など、異なるセクター(組織・分野)が、それぞれの壁を越えて連携・協働し、複雑な社会課題の解決にあたること。
  • 歴史・経過
    • 一つのセクターだけでは解決が困難な課題(例:貧困、環境問題、まちの活性化)が増える中で、それぞれの持つ知識、ノウハウ、資源、ネットワークなどを持ち寄り、相乗効果を生み出すアプローチとして、その重要性が高まっている。
黒塗り(くろぬり)
  • 意味
    • 情報公開請求などにより行政文書を開示する際に、個人情報や法令で非開示と定められた部分を、黒く塗りつぶして見えないようにする処理のこと。
  • 歴史・経過
    • 情報公開条例などでは、個人のプライバシーや、法人の正当な利益、公共の安全などを保護するため、特定の情報を非開示とすることができると定められている。この非開示部分を隠すために行われるが、過度な黒塗りは、行政の「隠蔽体質」として批判の対象となることがある。
訓告(くんこく)
  • 意味
    • 公務員が職務上の義務に違反した場合や、公務員としてふさわしくない行為をした場合に、その職員の将来を戒めるために、任命権者が行う監督上の措置。口頭または文書で行われる。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法に定められた懲戒処分(免職、停職、減給、戒告)よりも軽い、行政内部の措置(服務上の措置)と位置づけられる。懲戒処分には至らない程度の、比較的軽微な非違行為に対して行われることが多い。
訓令(くんれい)
  • 意味
    • 上級の行政機関が、その監督下にある下級の行政機関に対して、権限の行使や事務の運営について、指揮するために発する命令。
  • 歴史・経過
    • 行政組織内部の規律であり、国民や住民を直接拘束する効力はない。規則や規程など、組織の基本ルールを定める際に用いられることが多い。首長が、職員に対して発する「訓」や「達」も、訓令の一種である。
訓練(くんれん)
  • 意味
    • 特定の状況に対応できるよう、知識や技術を習得し、向上させるために、繰り返し練習すること。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、特に災害対策基本法に基づき、自治体、防災関係機関、住民などが連携して行う「防災訓練」が重要。実際に避難所を開設したり、情報伝達の手順を確認したりするなど、実践的な訓練を通じて、災害対応能力の維持・向上を図る。

景観(けいかん)
  • 意味
    • 山、川、海などの自然の要素と、建物、道路、街並みなどの人工的な要素が一体となって織りなす、地域固有の眺めや様子のこと。
  • 歴史・経過
    • かつては個別の建物のデザインなどが主だったが、2004年(平成16年)に景観法が制定され、地域全体の良好な景観を、住民共有の資産として保全・創造していくための総合的な枠組みができた。自治体は、景観計画を策定し、条例で独自のルールを定めることができる。
景観計画(けいかんけいかく)
  • 意味
    • 景観法に基づき、良好な景観の形成を図るため、地方公共団体が定める計画。景観計画の区域や、その区域における建築物や工作物のデザイン、色彩、高さなどに関する基準(景観形成基準)を定める。
  • 歴史・経過
    • 景観計画区域内では、一定規模以上の建築などを行う際に、あらかじめ行政への届出が義務付けられ、基準に適合しない場合には、設計変更などの勧告や命令が出されることがある。住民参加で策定されることが重要。
計画(けいかく)
  • 意味
    • 行政が、将来の目標を設定し、その目標を達成するための具体的な手段や手順、スケジュールなどを体系的に示すこと。また、その内容をまとめた文書。
  • 歴史・経過
    • 行政運営の基本であり、総合計画、都市計画、防災計画、福祉計画など、あらゆる分野で策定される。計画を策定することで、施策の総合性・整合性を確保し、住民への説明責任を果たし、継続的・安定的な行政運営を図る。
計画行政(けいかくぎょうせい)
  • 意味
    • 個別の事案に対し、その場限りで場当たり的に対応するのではなく、あらかじめ中長期的な視点に立った計画を策定し、その計画に基づいて、総合的かつ体系的に行政を運営していく手法や考え方。
  • 歴史・経過
    • 戦後の経済成長期から、社会資本整備などの分野で定着した。近年の行政運営においては、計画の策定(Plan)、実施(Do)、評価(Check)、見直し(Action)というPDCAサイクルを回し、実効性を確保することが強く求められる。
警察(けいさつ)
  • 意味
    • 個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当たる行政作用、およびその任務を担う行政機関。
  • 歴史・経過
    • 警察法に基づき、国に警察庁が、都道府県に都道府県警察が置かれる。都道府県警察は、知事の所轄の下に置かれる公安委員会が管理する。市町村には警察組織はなく、都道府県の警察署が管轄区域の警察活動を担う。
係争(けいそう)
  • 意味
    • 当事者間で争いがあり、それが裁判所で審理されている状態。訴訟が続いていること。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、許認可の取消しを求める訴訟や、住民訴訟、国家賠償請求訴訟など、行政を当事者とする様々な訴訟がある。「係争中」の案件については、議会での答弁や情報公開が、裁判に与える影響を考慮して一部制限されることがある。
経常収支比率(けいじょうしゅうしひりつ)
  • 意味
    • 地方公共団体の財政構造の弾力性を判断するための指標。人件費や扶助費(生活保護費など)、公債費(借金の返済)のように、毎年度経常的に支出される経費(経常的経費)が、地方税や普通交付税など、毎年度経常的に収入される一般財源(経常一般財源)の何%を占めるかを示す。
  • 歴史・経過
    • この比率が低いほど、臨時的な事業や新たな住民ニーズに対応するための財源(裁量的経費)に余裕があることを意味し、財政運営の弾力性が高いとされる。一般的に、75%~80%が目安とされる。
携帯電話(けいたいでんわ)
  • 意味
    • 持ち運び可能な電話機。スマートフォンを含む。現代社会における最も基本的なコミュニケーションツールであり、情報収集・発信の手段。
  • 歴史・経過
    • 行政サービスにおいても、その活用は不可欠となっている。災害時の緊急速報メール(エリアメール)の配信、各種手続きのオンライン申請、公式SNSによる情報発信、アプリを通じた住民サービス提供など、その用途は拡大し続けている。
契約(けいやく)
  • 意味
    • 当事者双方の意思表示が合致することによって、法的な権利・義務関係を発生させる行為。行政が、物品を購入したり、工事を発注したり、施設管理を委託したりする際は、民間事業者と契約を締結する。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法や会計法により、行政の契約は、原則として「一般競争入札」によることとされている。これは、契約の機会均等、公正性、経済性を確保するためである。契約内容を記した「契約書」の作成が原則だが、少額の場合は省略できる場合もある。
ケアプラン(けあぷらん)
  • 意味
    • 介護保険サービスを利用する際に、どのようなサービスを、どの事業者から、どれくらいの頻度で利用するかを具体的に定めた計画書のこと。正式には「居宅サービス計画」や「施設サービス計画」という。
  • 歴史・経過
    • 介護支援専門員(ケアマネジャー)が、利用者や家族の希望を聞き取りながら作成する。利用者はこのケアプランに基づいてサービスを利用する。保険給付の適正化と、利用者本位のサービス提供を実現するための重要なツールである。
ケアマネジメント(けあまねじめんと)
  • 意味
    • 介護や支援を必要とする人(高齢者、障害者など)に対し、その人の心身の状態や生活環境、本人・家族の希望などを踏まえ、様々な保健・医療・福祉サービスを組み合わせて、一体的・継続的に提供するための支援プロセス。
  • 歴史・経過
    • 介護保険制度の中核をなす仕組み。介護支援専門員(ケアマネジャー)が、利用者からの相談に応じ、支援計画(ケアプラン)を作成し、サービス事業者との連絡調整や、給付管理、モニタリングなどを行う。
決議(けつぎ)
  • 意味
    • 議会が、その機関としての意思を、対外的に表明するために行う議決のこと。
  • 歴史・経過
    • 法律上の効果を伴う「議決」(例:条例制定、予算決定)とは異なり、政治的・道義的な効果を期待して行われることが多い。国の政策に対する要望や、特定の社会問題に関する議会の意思表明、議員の辞職勧告などが「決議」として行われる。
決裁(けっさい)
  • 意味
    • 行政機関において、権限を持つ者(首長、部長、課長など)が、部下から提出された案(起案)の内容を検討し、その内容で実施することについて、最終的な意思決定(承認)を行うこと。
  • 歴史・経過
    • 起案文書に関係する部署が順に印鑑を押していく「回議」を経て、最終決裁権者の決裁印が押されることで、組織としての公式な意思決定となる。近年は、電子決裁システムの導入により、業務の迅速化・ペーパーレス化が進んでいる。
決算(けっさん)
  • 意味
    • 一会計年度における、地方公共団体の歳入と歳出の実績を取りまとめた計算書。予算が計画であるのに対し、決算はその結果報告である。
  • 歴史・経過
    • 首長は、会計年度の終了後、決算を作成し、監査委員の審査を経て、議会の認定に付さなければならない。議会が決算を審査し、「認定」または「不認定」の議決をすることで、住民に対する行政の説明責任が果たされる。
欠損処分(けっそんしょぶん)
  • 意味
    • 地方公共団体が有する債権(税金、貸付金など)について、時効の完成や、徴収の見込みがないなどの理由で、その債権を会計上、消滅させる手続きのこと。
  • 歴史・経過
    • 債権そのものが法的に消滅するわけではなく、あくまで会計上の処理である。しかし、事実上、徴収を断念することを意味するため、その判断は、条例や内部規程に基づき、客観的な基準に従って慎重に行われなければならない。
結審(けっしん)
  • 意味
    • 裁判所における訴訟の口頭弁論(当事者が主張や証拠を提出する手続き)を終結させること。これにより、裁判所は判決を言い渡す段階に入る。
  • 歴史・経過
    • 行政訴訟においても、原告(住民など)と被告(国や地方公共団体)の双方が主張を尽くし、証拠調べが完了した段階で、裁判長が弁論の終結を宣言する。
月例給(げつれいきゅう)
  • 意味
    • 公務員の給与のうち、毎月きまって支給されるものの総称。基本給である「給料」と、扶養手当、通勤手当、住居手当などの「諸手当」とで構成される。
  • 歴史・経過
    • 期末手当・勤勉手当(ボーナス)と対比して使われる言葉。国家公務員の月例給の額は、人事院が国会と内閣に対して行う「給与勧告」に基づいて改定されるのが通例であり、地方公務員の給与もこれに準じて改定されることが多い。
下水道(げすいどう)
  • 意味
    • 家庭や事業所から出る汚水や、市街地に降った雨水を、地下の管路(下水道管)によって集め、処理場まで運び、きれいにしてから河川や海に放流するための一連の施設(管路、ポンプ場、処理場など)の総称。
  • 歴史・経過
    • 下水道法に基づき、原則として市町村が管理する。公衆衛生の向上、浸水の防除、公共用水域の水質保全という3つの大きな役割を担う、現代の都市生活に不可欠なインフラである。
下水道使用料(げすいどうしようりょう)
  • 意味
    • 公共下水道を利用する者(住民や事業者)が、汚水の処理や施設の維持管理にかかる経費の一部を負担するために、その使用量に応じて市町村に支払う料金。
  • 歴史・経過
    • 水道の使用量に基づいて算定されるのが一般的。税金とは異なり、下水道という特定のサービスを利用する対価として徴収されるため、会計上は「使用料」として扱われる。
減額(げんがく)
  • 意味
    • 金銭の額を減らすこと。行政分野では、予算編成の過程で、各部署からの要求額を財政担当部署が査定して減らすこと(予算の減額)や、条例に基づき、税金や保険料、使用料などを、特定の要件を満たす人について減らすこと(減免)などを指す。
  • 歴史・経過
    • 予算の減額は、財政規律を保つために不可欠なプロセスである。税金などの減額(減免)は、担税力(税を負担する能力)の低い人への配慮や、特定の政策目的を達成するために行われる。
見解(けんかい)
  • 意味
    • ある物事についての、考え方や意見のこと。
  • 歴史・経過
    • 議会などにおいて、議員からの質問に対し、首長や行政機関の幹部が、特定の政策や課題に対する公式な「見解」を述べることがある。これは、その時点での行政の公式な立場や方針を示すものであり、議事録にも記録される。
原級(げんきゅう)
  • 意味
    • 「元の職務の級」のこと。地方公務員の給与制度において、職員の職務の複雑さや困難さ、責任の度合いに応じて定められる等級(級)を指す。
  • 歴史・経過
    • 懲戒処分や分限処分で、職員を現在の職務の級より下位の級に降格させることを「原級より下位の職務の級に格付する」と表現する。職員の身分に重大な影響を及ぼす処分である。
原議(げんぎ)
  • 意味
    • 起案者が最初に作成した、決裁を求めるための文書の原本のこと。「起案文書」とほぼ同義。
  • 歴史・経過
    • 行政機関の意思決定の出発点となる文書であり、その内容が、回議(関係部署の合議)や上司の承認を経て、最終的な決裁に至るまでの過程を記録する基本となる。
健康(けんこう)
  • 意味
    • 単に病気でない、虚弱でないというだけでなく、肉体的、精神的、そして社会的に、すべてが満たされた状態(well-being)にあること。(WHO憲章より)
  • 歴史・経過
    • 行政の役割は、疾病の治療や予防にとどまらず、住民一人ひとりが、生涯にわたって健やかで心豊かな生活を送れるよう、健康づくり(健康増進)、食育、スポーツ振興、生きがいづくりなどを総合的に支援することへと広がっている。
健康保険(けんこうほけん)
  • 意味
    • 主に民間企業の従業員やその家族が加入する公的な医療保険制度。業務外の病気やけが、出産、死亡などに対して、必要な医療給付や手当金を支給する。
  • 歴史・経過
    • 健康保険法に基づく制度。保険者は、全国健康保険協会(協会けんぽ)と、大企業などが設立する健康保険組合(組合健保)の2種類がある。自営業者などが加入する「国民健康保険」と並ぶ、日本の医療保険制度の二本柱の一つ。
健康増進法(けんこうぞうしんほう)
  • 意味
    • 国民の健康の増進の総合的な推進に関し、基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養改善や、受動喫煙の防止などに関する措置を講ずることで、国民保健の向上を図ることを目的とした法律。
  • 歴史・経過
    • 2002年(平成14年)に、栄養改善法を全部改正する形で制定された。この法律に基づき、市町村は住民を対象とした健康診査や保健指導を実施する。近年では、飲食店や公共施設などでの受動喫煙対策の強化が大きな改正点となった。
原告(げんこく)
  • 意味
    • 裁判所に、訴え(訴訟)を起こした側の当事者のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政事件訴訟においては、国や地方公共団体の処分の取消しを求めたり、損害賠償を請求したりする住民や事業者が原告となる。訴えられた側の行政機関は「被告」となる。
減債基金(げんさいききん)
  • 意味
    • 地方公共団体が発行した地方債(借金)の償還(返済)を、計画的に、かつ確実に行うために、資金を積み立てておくための基金。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に基づき、条例で設置することができる。決算上の余剰金や、計画的な積立金などを原資として、将来の公債費負担の増大に備える。財政調整基金と並び、自治体の財政運営の安定化に重要な役割を果たす。
現地調査(げんちちょうさ)
  • 意味
    • 机上の資料だけでなく、実際にその場所(現地)へ赴き、自分の目で見て、状況を確認したり、関係者から話を聞いたりして、情報を収集する調査活動のこと。
  • 歴史・経過
    • 許認可の審査、補助金の交付決定、災害状況の把握、苦情の処理など、行政のあらゆる場面で、事実確認のための基本動作として行われる。「現場主義」の根幹をなす。
建築確認(けんちくかくにん)
  • 意味
    • 建築物の建築(新築、増築など)や大規模な修繕などを行う前に、その計画が、建築基準法や関連する法令(都市計画法、消防法など)の規定に適合しているかどうかを、建築主事または指定確認検査機関が審査し、確認する手続きのこと。
  • 歴史・経過
    • 建築物の安全性を確保し、違法建築を防ぐための根幹となる制度。この確認を受けなければ、工事に着手することはできない。確認済証が交付されると、工事が可能になり、工事完了後には「完了検査」を受ける必要がある。
検定(けんてい)
  • 意味
    • ある物が、法令などで定められた一定の基準や規格に適合しているかどうかを検査し、その資格を公的に証明・承認すること。
  • 歴史・経過
    • 例えば、水道メーターやガスメーター、タクシーメーターなどは、計量法に基づき、国や都道府県などが行う「検定」に合格したものでなければ、取引や証明に使用することができない。
減免(げんめん)
  • 意味
    • 条例などの特別な規定に基づき、本来納付すべき税金や保険料、使用料などの全額または一部を免除すること。
  • 歴史・経過
    • 災害で被害を受けた場合(罹災減免)や、生活が著しく困窮している場合、あるいは公益上の理由がある場合などに適用される。申請に基づいて行われるのが原則であり、その適用要件は厳格に定められている。
原本(げんぽん)
  • 意味
    • 最初に作成された、オリジナルの文書のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政手続きで住民に交付される「住民票の写し」や「戸籍謄本」は、役所が保管する「原本」の内容を、権限のある者が認証した公文書である。公文書管理において、原本の適正な保管は、行政の信頼性を担保する上で極めて重要である。
言語聴覚士(げんごちょうかくし)
  • 意味
    • 音声機能、言語機能、聴覚に障害のある人に対し、その機能の維持・向上を図るため、言語訓練や聴覚訓練、その他のリハビリテーションを行ったり、必要な助言や指導を行ったりする専門職。
  • 歴史・経過
    • 1997年(平成9年)に制定された言語聴覚士法に基づく国家資格。病院などの医療機関のほか、保健所や特別支援学校、福祉施設など、行政が関わる様々な場で、コミュニケーションに困難を抱える人々を支援する役割を担う。

合意形成(ごういけいせい)
  • 意味
    • ある政策や事業の決定・実施にあたり、多様な意見を持つ利害関係者(住民、事業者、団体など)との対話や調整を通じて、相互の納得と協力を得ながら、意思決定のプロセスを進めること。
  • 歴史・経過
    • かつての行政主導・トップダウン型の意思決定が行き詰まりを見せる中で、行政運営の透明性、公正性、住民の納得感を高めるために、1990年代以降、その重要性が広く認識された。パブリック・コメント、公聴会、ワークショップ、市民討議会など、多様な手法が活用される。
広域(こういき)
  • 意味
    • 個別の市町村の区域を越えた、より広い地域のこと。
  • 歴史・経過
    • ごみ処理、消防、介護保険、観光振興など、一つの市町村だけでは効率的に対応することが困難な行政課題について、複数の市町村が連携・協力して取り組む「広域行政」が推進されている。一部事務組合や広域連合といった共同処理のための組織(特別地方公共団体)が設置される。
公開(こうかい)
  • 意味
    • 特定の者だけでなく、広く一般の人々が見たり、聞いたり、知ったりすることができる状態に置くこと。
  • 歴史・経過
    • 行政運営の透明性を確保するための基本原則。議会の本会議や委員会、審議会などの会議は原則として公開される(会議の公開)。また、行政機関が保有する文書は、情報公開制度に基づき、住民からの請求に応じて原則として公開(開示)される(情報の公開)。
公害(こうがい)
  • 意味
    • 事業活動やその他の人の活動に伴って生ずる、相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下、悪臭によって、人の健康または生活環境に係る被害が生ずること。
  • 歴史・経過
    • 環境基本法で定義されている。高度経済成長期に深刻な社会問題となり、各種の公害規制法が整備された。原因者(企業など)が対策費用を負担するという「汚染者負担の原則」が基本となっている。
工業団地(こうぎょうだんち)
  • 意味
    • 工場や事業所を、計画的に一か所に集めて立地させるために造成された区域。
  • 歴史・経過
    • 高度経済成長期に、産業の振興と、住居と工場が混在する住工混在の解消などを目的に、地方公共団体やその外郭団体(土地開発公社など)が主体となって全国で整備が進められた。近年は、企業のニーズの変化に対応した区画の再編や、老朽化したインフラの更新が課題となっている。
公共(こうきょう)
  • 意味
    • 社会や国家など、特定の個人や集団だけでなく、社会全体に関わること。パブリック。
  • 歴史・経過
    • 行政が提供するサービスは「公共サービス」と呼ばれ、その活動の目的は「公共の福祉」の増進にあるとされる。近年では、行政(官)だけでなく、NPOや企業、市民といった多様な主体が公共的な役割を担う「新しい公共」という考え方も広がっている。
公共施設(こうきょうしせつ)
  • 意味
    • 国や地方公共団体が、住民の福祉を増進する目的で設置し、住民の利用に供する施設のこと。庁舎、学校、公民館、図書館、体育館、公園、公営住宅などが含まれる。
  • 歴史・経過
    • 多くは高度経済成長期に集中的に整備されたため、全国的に老朽化が深刻な課題となっている。このため、各自治体では「公共施設等総合管理計画」を策定し、施設の統廃合や長寿命化、複合化などを計画的に進めている。
公共事業(こうきょうじぎょう)
  • 意味
    • 国や地方公共団体が、社会全体の利益のために、予算を用いて行う、道路、河川、港湾、空港、上下水道、公園などの社会資本(インフラ)の整備事業のこと。
  • 歴史・経過
    • 国民生活の基盤を整備し、国土を保全するとともに、経済活動を支え、景気対策としての役割も担ってきた。近年では、費用対効果の観点から事業評価が厳しく行われるほか、環境への配慮や住民合意形成のプロセスが重視される。
公告(こうこく)
  • 意味
    • 行政機関が、特定の事項を、広く住民一般に知らせるために、公の掲示板(公告式場)や、広報紙、ウェブサイトなどに掲載して公示する行為。
  • 歴史・経過
    • 法令や条例に基づき、必ず公告しなければならない事項が定められている。例えば、一般競争入札の実施、各種計画の決定や変更、土地の収用など、住民の権利義務に影響を与える重要な事項が対象となる。
公債(こうさい)
  • 意味
    • 国や地方公共団体が、財政上の必要から、資金を調達するために発行する債券のこと。地方公共団体が発行するものは特に「地方債」と呼ばれる。
  • 歴史・経過
    • 道路や学校の建設など、その効果が将来の世代にも及ぶ公共事業の財源として発行されるのが原則(建設公債の原則)。将来世代への負担の先送りとなるため、その発行には法律で厳しい制約が設けられている。
公示(こうじ)
  • 意味
    • 特定の事実を、広く一般の人々が知りうる状態に置くこと。行政機関が、法令の規定に基づき、特定の事項を公に知らせる行為全般を指す。
  • 歴史・経過
    • 「公告」とほぼ同義で使われるが、法律によっては明確に使い分けられる。例えば、衆議院・参議院議員選挙では、選挙の期日を知らせる行為を「公示」と呼び(天皇の国事行為として行われる)、地方選挙では「告示」と呼ぶ。
公衆衛生(こうしゅうえいせい)
  • 意味
    • 地域社会全体の健康の維持・増進を図るための、組織的な取り組み。個人の病気の治療だけでなく、感染症の予防、環境衛生の改善、健康教育などを通じて、集団全体の健康水準の向上を目指す。
  • 歴史・経過
    • 伝染病の流行を契機として発展した。保健所が地域における公衆衛生活動の中核的な拠点となり、市町村と連携しながら、母子保健、精神保健、難病対策、健康危機管理など、幅広い業務を担っている。
公職選挙法(こうしょくせんきょほう)
  • 意味
    • 衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議会の議員および長の選挙制度について定めた法律。選挙権・被選挙権、選挙人名簿、投票、開票、選挙運動、当選、罰則など、選挙に関するあらゆるルールが規定されている。
  • 歴史・経過
    • 1950年(昭和25年)に制定。公正な選挙を確保し、国民・住民の意思を的確に政治に反映させることを目的とする。時代の変化に合わせて、選挙権年齢の引下げや、インターネット選挙運動の解禁など、度重なる改正が行われている。
公正取引委員会(こうせいとりひきいいんかい)
  • 意味
    • 私的独占の禁止及び公正な取引の確保に関する事務を担う、内閣府の外局として設置された行政委員会。独占禁止法を運用し、事業者間の公正で自由な競争を促進する役割を持つ。
  • 歴史・経過
    • 1947年(昭和22年)に設立。不当な取引制限(カルテルや談合)や、不公正な取引方法(優越的地位の濫用など)を監視し、違反行為に対しては排除措置命令や課徴金納付命令などの行政処分を行う。
構想(こうそう)
  • 意味
    • 物事の骨組みや全体像についての、大きな考えや組み立て。行政計画においては、最も上位に位置づけられる「基本構想」が、自治体の目指すべき将来像や理念を長期的な視点で示す。
  • 歴史・経過
    • 基本構想は、その下の「基本計画」や、さらに具体的な「実施計画」の指針となる。自治体のすべての施策の方向性を定める、最上位の計画としての役割を持つ。
交通安全(こうつうあんぜん)
  • 意味
    • 道路における交通に起因する人の死傷や物の損壊(交通事故)を防止し、安全で円滑な交通を確保すること。
  • 歴史・経過
    • 交通安全対策基本法に基づき、国や地方公共団体は、交通安全計画を策定し、交通安全施設の整備、交通指導取締り、交通安全教育などを総合的に推進する責務を負う。春・秋の全国交通安全運動などもその一環。
公聴会(こうちょうかい)
  • 意味
    • 行政機関が、重要な政策や計画を決定する前に、広く一般から、または利害関係者から直接意見を聴くために開催する公式な会合。
  • 歴史・経過
    • 都市計画法や、議会での予算審査など、法律で公聴会の開催が義務付けられている場合がある。提出された意見は、意思決定の際に参考にされる。パブリック・コメント(意見公募手続)が書面での意見提出であるのに対し、公聴会は口頭で意見を述べる機会を保障する。
交付金(こうふきん)
  • 意味
    • 国が地方公共団体に対して、あるいは都道府県が市町村に対して、特定の政策目的のために、法令に基づいて交付する金銭。
  • 歴史・経過
    • 国庫支出金の一種であるが、補助金に比べて、使途の自由度(裁量)が比較的高いという特徴があるものが多い。地方創生の推進などを目的とした、多様な交付金が創設されている。
交付税(こうふぜい)
  • 意味
    • 「地方交付税」のこと。全国のどこに住んでも、一定水準の行政サービスを受けられるよう、自治体間の財政力格差を調整するために、国税の一部(所得税・法人税・消費税など)を原資として、国が地方公共団体に配分する税。
  • 歴史・経過
    • 使途が特定されない一般財源であり、自治体にとっては地方税と並ぶ基幹的な財源。各自治体の標準的な財政需要額と財政収入額を計算し、その差額(財源不足額)を埋める形で交付される(普通交付税)。
広報(こうほう)
  • 意味
    • 行政機関が、その施策や事業の内容、各種のお知らせなどを、広く住民に知らせ、理解と協力を得るための活動全般。Public Relations (PR) 。
  • 歴史・経過
    • 主な手段として、広報紙(市報、県報など)の発行があるが、近年は、公式ウェブサイト、SNS(Twitter, Facebookなど)、動画配信、プレスリリースなど、多様なメディアを活用した情報発信が行われている。
公募(こうぼ)
  • 意味
    • 広く一般から、募集すること。行政分野では、審議会などの委員、特定の職種の職員、事業の委託先、補助金の交付対象事業などを、資格や条件を示して広く募集することを指す。
  • 歴史・経過
    • 行政運営の透明性・公正性を高め、多様な人材や意見、提案を行政に取り入れるために、様々な場面で公募の手法が活用されるようになっている。
公務員(こうむいん)
  • 意味
    • 国または地方公共団体に勤務し、公務(社会全体の利益に資する職務)に従事する職員の総称。国に勤務する「国家公務員」と、地方公共団体に勤務する「地方公務員」に大別される。
  • 歴史・経過
    • 「全体の奉仕者」と位置づけられ、特定の個人や団体の利益のためではなく、公共の利益のために働くことが求められる。その身分や勤務条件は、国家公務員法、地方公務員法などの法律で定められている。
公用車(こうようしゃ)
  • 意味
    • 地方公共団体などが、公務を遂行するために所有または借上げて使用する自動車のこと。
  • 歴史・経過
    • 首長の送迎用、職員の出張用、パトロール用、ごみ収集車、消防車、バスなど、用途は多岐にわたる。公有財産として、その管理や使用については、適正な運用を定めた規則(公用車管理規程など)に従わなければならない。
効率化(こうりつか)
  • 意味
    • 最小の費用(コスト)や労力で、最大の効果(成果)を上げられるように、業務の進め方や組織のあり方を改善すること。
  • 歴史・経過
    • 厳しい財政状況と、多様化する住民ニーズに対応するため、行政運営における永遠の課題。アウトソーシング(外部委託)の推進、ICT(情報通信技術)の活用による業務の自動化、窓口業務のワンストップ化、組織のスリム化などが、効率化の手法として行われる。
国際化(こくさいか)
  • 意味
    • 人、物、資本、情報などが国境を越えて活発に移動し、国内の社会や経済、文化が、国際的な相互依存関係を深めていくこと。グローバル化。
  • 歴史・経過
    • 地方自治体においても、外国人住民への多言語対応や生活支援(多文化共生)、海外の都市との姉妹都市・友好都市交流、地域の特産品の海外輸出支援、インバウンド観光の振興など、国際化への対応は重要な政策課題となっている。
国庫支出金(こっこししゅつきん)
  • 意味
    • 国が、地方公共団体に対して、特定の行政目的のために、使途を定めて支出する資金の総称。地方公共団体の歳入の一つ。
  • 歴史・経過
    • 国の施策を地方で実施させるための「国庫負担金」、国の政策を奨励するための「国庫補助金」、事務処理のための「国庫委託金」の3種類に大別される。使途が限定される「特定財源」の代表例。
国民健康保険(こくみんけんこうほけん)
  • 意味
    • 日本の公的医療保険制度の一つで、主に自営業者、農林漁業者、無職の人、退職者など、職場の健康保険に加入していない人を対象とする制度。通称「国保(こくほ)」。
  • 歴史・経過
    • 国民皆保険制度の中核をなす。かつては市町村が保険者として運営していたが、2018年度(平成30年度)から、財政運営の責任主体が都道府県に移管され、市町村は資格管理や保険料(税)の徴収などを担う体制となった。
国民年金(こくみんねんきん)
  • 意味
    • 日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられている、日本の公的年金制度の基礎となる部分。通称「基礎年金」。
  • 歴史・経過
    • 老齢、障害、死亡によって生活の安定が損なわれることを防ぐため、世代間で支え合う社会保険方式で運営される。老齢になったときに支給される「老齢基礎年金」のほか、障害状態になったときの「障害基礎年金」、加入者が死亡したときに遺族に支給される「遺族基礎年金」がある。
戸籍(こせき)
  • 意味
    • 日本国民の、出生、婚姻、養子縁組、死亡などの身分関係(身分変動)を、登録・公証するための公文書。夫婦と、その未婚の子を単位として編製される。
  • 歴史・経過
    • 戸籍法に基づき、個人の本籍地の市町村役場が戸籍事務を取り扱う。各種の届出を受け付け、戸籍簿に記録し、請求に応じてその内容を証明する「戸籍謄本(全部事項証明書)」「戸籍抄本(個人事項証明書)」などを交付する。
固定資産税(こていしさんぜい)
  • 意味
    • 毎年1月1日(賦課期日)現在において、土地、家屋、償却資産(事業用の機械など)といった「固定資産」を所有している人に対し、その資産価値に応じて、資産の所在する市町村が課税する地方税。
  • 歴史・経過
    • 市町村の税収の中心をなす基幹的な税目であり、景気の変動による税収の増減が比較的小さく、安定した財源であるという特徴がある。税額は、市町村が評価・決定した「固定資産税評価額(課税標準額)」に、標準税率(1.4%)を乗じて計算される。
子ども・子育て支援新制度(こども・こそだてしえんしんせいど)
  • 意味
    • 質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供、保育の量的拡充・確保、地域の子ども・子育て支援の充実を目指して、2015年度(平成27年度)から本格的にスタートした制度。
  • 歴史・経過
    • 認定こども園、幼稚園、保育所を通じた一体的な支援や、小規模保育などの地域型保育事業の創設、地域の子育て相談窓口の設置などが主な内容。市町村が、地域のニーズに基づき「子ども・子育て支援事業計画」を策定し、事業を実施する。
個別計画(こべつけいかく)
  • 意味
    • 自治体の総合計画が示す、まちづくりの大きな方向性に基づき、特定の行政分野(例:福祉、環境、都市計画、防災など)について、より具体的な施策や事業の内容を定める計画のこと。
  • 歴史・経過
    • 「高齢者福祉計画」「地球温暖化対策実行計画」「都市計画マスタープラン」などがこれにあたる。総合計画の基本計画で示された方針を、それぞれの分野で実現するための詳細なアクションプランとして位置づけられる。
雇用保険(こようほけん)
  • 意味
    • 労働者が失業した場合などに、生活の安定と再就職の促進を図るため、必要な給付(失業手当など)を行う、国が管掌する強制的な社会保険制度。
  • 歴史・経過
    • 雇用保険法に基づく制度で、労働者を一人でも雇用する事業所は、原則として加入義務がある。失業等給付のほか、労働者の能力開発を支援する事業や、雇用の安定を図るための助成金事業なども行っている。ハローワーク(公共職業安定所)が窓口となる。
懇談会(こんだんかい)
  • 意味
    • 特定のテーマについて、意見交換や情報共有を行うために開かれる、比較的自由な雰囲気の会合。
  • 歴史・経過
    • 行政機関が、政策形成の初期段階で、学識経験者や関係団体の代表者、住民などから、公式な審議会よりも気軽に、幅広く意見を聴取する目的で設置することが多い。「〇〇懇談会」という名称が用いられる。
コンセプト(こんせぷと)
  • 意味
    • 「概念」「構想」「基本理念」のこと。計画や事業の全体を貫く、基本的な考え方や捉え方。
  • 歴史・経過
    • 行政計画の策定や、新たな事業の立案、イベントの企画などにおいて、まず初めに明確なコンセプトを設定することが、その後の方向性のブレを防ぎ、関係者間の意思統一を図る上で重要となる。
コンソーシアム(こんそーしあむ)
  • 意味
    • 特定の目的を達成するために、複数の企業、大学、研究機関、行政機関などが協力して形成する、共同事業体や連携組織のこと。
  • 歴史・経過
    • 単独の組織では実施が困難な、大規模な研究開発プロジェクトや、地域の課題解決のための事業などを、それぞれの組織の強みを持ち寄って実施するために設立される。法人格を持つ場合と、持たない任意団体の場合がある。
コンプライアンス(こんぷらいあんす)
  • 意味
    • 「法令遵守」と訳されることが多いが、単に法律や条例などのルールを守るだけでなく、社会的な規範や倫理観に基づき、公正・誠実に行動することまでを含む概念。
  • 歴史・経過
    • 民間企業で重視されてきたが、公務員の不祥事などを背景に、行政機関においても、住民の信頼を確保するための組織運営の基本原則として、その徹底が強く求められるようになった。コンプライアンス条例の制定や、研修の実施などが行われている。

再開発(さいかいはつ)
  • 意味
    • 老朽化した木造建築物が密集していたり、公共施設が不十分であったりする既存の市街地において、土地利用の細分化を解消し、道路、公園などを整備するとともに、土地の高度利用を図り、安全で快適な都市環境を創出する事業。
  • 歴史・経過
    • 都市再開発法に基づき、地権者が組合を設立して行う「第一種市街地再開発事業」が代表的。行政は、都市計画決定、事業の認可、補助金の交付などを通じて、事業を支援・誘導する役割を担う。
災害(さいがい)
  • 意味
    • 地震、台風、豪雨、噴火などの自然現象や、大規模な火事、事故などによって、人の生命、身体、財産に被害が生じること。
  • 歴史・経過
    • 災害対策基本法において、行政、住民、事業者の責務が定められている。阪神・淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)などの教訓を踏まえ、ハード面(堤防、避難施設など)の整備だけでなく、ソフト面(ハザードマップ、避難訓練、情報伝達など)の対策の重要性が増している。
災害救助法(さいがいきゅうじょほう)
  • 意味
    • 大規模な災害が発生した場合に、国が地方公共団体や日本赤十字社などと協力して、被災者の保護と社会秩序の保全を図るために、応急的な救助を行うことを定めた法律。
  • 歴史・経過
    • 1947年(昭和22年)に制定。避難所の設置、炊き出し等の食料供給、応急仮設住宅の供与など、救助の種類が定められている。適用されると、救助にかかる費用は、原則として国がその大部分を負担する。
採決(さいけつ)
  • 意味
    • 議会などにおいて、議案に対する各議員の賛成・反対の意思表示を求め、集計し、議会の最終的な意思(可決・否決)を決定する行為。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に基づき、議長が採決を行う。方法には、議長の「異議ありませんか?」との問いに誰も異議を唱えないことで可決する「異議なし採決」、賛成者の起立を求める「起立採決」、投票用紙に賛否を記入する「記名投票」などがある。
裁決(さいけつ)
  • 意味
    • 行政不服審査法において、審査請求(行政処分に対する不服申立て)に対し、審査庁(処分庁の上級庁など)が、審理員による審理や行政不服審査会の答申を経て、その請求が妥当かどうかを判断し、下す最終的な決定のこと。
  • 歴史・経過
    • 裁判所の判決に相当する、行政部内での判断。請求を認める「認容」、退ける「棄却」、門前払いする「却下」がある。この裁決に不服がある場合は、裁判所に取消訴訟を提起することができる。
再生可能エネルギー(さいせいかのうエネルギ―)
  • 意味
    • 太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど、自然界に常に存在し、利用しても枯渇することがなく、繰り返し再生できるエネルギーの総称。
  • 歴史・経過
    • 地球温暖化対策と、エネルギーの安定供給確保の観点から、その導入促進が国・地方の重要な政策課題となっている。固定価格買取制度(FIT)などを通じて普及が進んだ。自治体は、公共施設への太陽光パネル設置や、地域特性に応じた再生可能エネルギー導入計画の策定などを進めている。
最低制限価格(さいていせいげんかかく)
  • 意味
    • 地方公共団体が競争入札で工事などを発注する際に、品質の低下や下請けへのしわ寄せを防ぐため、あらかじめ設定する、これより低い価格での入札は無効(または失格)とする最低ラインの価格。
  • 歴史・経過
    • ダンピング(不当廉売)受注による、粗雑工事や労働条件の悪化を防止する目的で導入されている。予定価格の範囲内で、一定の計算式に基づいて設定されることが多い。
最適化(さいてきか)
  • 意味
    • 特定の制約の中で、ある指標(コスト、効率、効果など)が最も良い状態になるように、計画や業務プロセス、資源配分などを調整・改善すること。
  • 歴史・経過
    • 行政運営において、限られた人員や予算で、住民満足度を最大化するための様々な取り組みを指す。例として、窓口業務の配置や動線の「最適化」、情報システムの「最適化」、公共施設の配置の「最適化」などがある。
歳出(さいしゅつ)
  • 意味
    • 一会計年度における、地方公共団体のすべての支出のこと。
  • 歴史・経過
    • 予算書では、その性質によって、人件費、物件費、維持補修費、扶助費、補助費、公債費、積立金などに分類される(性質別分類)。また、その目的によって、議会費、総務費、民生費、衛生費、土木費、教育費などに分類される(目的別分類)。
最終処分場(さいしゅうしょぶんじょう)
  • 意味
    • 廃棄物を、環境保全上、支障が生じないように、埋め立てて処分するための施設。廃棄物処理の最後の砦となる。
  • 歴史・経過
    • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、廃棄物の種類によって構造基準などが厳しく定められている。残余容量の逼迫が全国的な課題であり、ごみの減量化・資源化(3R)を推進し、最終処分量を減らすことが極めて重要となっている。
歳入(さいにゅう)
  • 意味
    • 一会計年度における、地方公共団体のすべての収入のこと。
  • 歴史・経過
    • 予算書では、地方税、地方譲与税、地方交付税、国庫支出金、地方債、使用料・手数料などに分類される。自主的に確保できる「自主財源」(地方税など)と、国などの意思により交付される「依存財源」(地方交付税、国庫支出金など)に大別される。
採用(さいよう)
  • 意味
    • 試験などの選考手続きを経て、人を職員として任用(任命)すること。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法において、職員の採用は、能力の実証に基づく「競争試験」によることが原則とされている。すべての受験者に平等な機会を保障し、成績主義に基づき、公正に行われなければならない。
再任用(さいにんよう)
  • 意味
    • 定年退職した公務員を、本人の希望に基づき、非正規の職員(短時間勤務職員など)として再び採用する制度。
  • 歴史・経過
    • 公的年金の支給開始年齢の引上げに対応し、高齢期の職員の雇用と所得を確保するとともに、長年培われた知識や経験、ノウハウを行政サービスに活かすことを目的として導入された。
裁量(さいりょう)
  • 意味
    • 法令の条文が「〇〇することができる」といった形で、行政庁に一定の判断の余地を与えている場合に、その範囲内で、行政庁が具体的な状況に応じて、何をすべきか、またはすべきでないかを、自らの判断で決定できること。
  • 歴史・経過
    • 複雑多様な行政需要に、柔軟に対応するために認められている。しかし、その判断は全くの自由ではなく、法の目的や平等原則などに反する場合は「裁量権の逸脱・濫用」として、違法となる。
裁量行為(さいりょうこうい)
  • 意味
    • 法令が、その要件や効果の決定について、行政庁に判断の余地(裁量)を認めている行政行為。
  • 歴史・経過
    • 法令の文言が「〇〇しなければならない」と定められ、判断の余地がない「覊束行為(きそくこうい)」と対比される。多くの許認可や、公務員の任命などが裁量行為にあたる。
サウンディング型市場調査(さうんでぃんぐがたしじょうちょうさ)
  • 意味
    • 市有地の活用や、公共施設の整備・運営などについて、事業の検討の早い段階で、民間事業者との直接の対話(サウンディング)を行い、市場性(事業として成り立つか)、活用に関するアイディア、参入の意向などを把握するための調査手法。
  • 歴史・経過
    • 行政だけでは良い活用策が見出せない場合に、民間事業者の知見やノウハウを広く求めるために行われる。これにより、より実現可能性の高い事業計画の策定や、PPP・PFI事業への円滑な移行が期待される。
差押え(さしおさえ)
  • 意味
    • 税金や保険料などを滞納している者に対し、その者の財産(預金、給与、不動産など)の処分を法的に禁止し、強制的に徴収するための手続きの第一段階。
  • 歴史・経過
    • 国税徴収法や地方税法に基づく滞納処分の一つ。再三の督促や催告に応じない場合に行われる最終的な手段であり、差押え後も納付がない場合は、財産を公売にかけ、売却代金を滞納分に充当する。
査定(さてい)
  • 意味
    • 内容を調査・検査した上で、金額や等級などを決定すること。行政分野では、特に予算編成の過程で、財政担当部局が、各部署から提出された予算要求の内容を精査し、その可否や金額を決定する「予算査定」を指すことが多い。
  • 歴史・経過
    • 予算査定は、限られた財源を、どの事業に優先的に配分するかを決定する、予算編成の中核的なプロセスである。財政担当部局と要求部署との間で、厳しい折衝が行われる。
サテライトオフィス(さてらいとおふぃす)
  • 意味
    • 企業などが、本社のオフィスから離れた場所に設置する、小規模なオフィスのこと。行政分野では、地方創生や関係人口の創出を目的に、都市部の企業が地方にサテライトオフィスを設置することを、自治体が補助金などで支援する取り組みを指すことが多い。
  • 歴史・経過
    • ICTの発展と、コロナ禍を機としたテレワークの普及により、注目が高まった。地域にとっては、新たな雇用の創出、移住・定住の促進、地域経済の活性化などの効果が期待される。
砂防(さぼう)
  • 意味
    • 土石流、地すべり、がけ崩れなどの土砂災害から、下流にある人家や公共施設などを守るための事業や、そのための施設(砂防堰堤など)のこと。
  • 歴史・経過
    • 砂防法に基づき、主に国土交通省や都道府県が、砂防指定地において、砂防堰堤(砂防ダム)の建設や、荒廃した山腹の緑化などを行う。国土の保全と、住民の安全確保に不可欠な事業である。
サプライチェーン(さぷらいちぇーん)
  • 意味
    • 製品が、原材料の調達から、製造、在庫管理、物流、販売を経て、消費者の手元に届くまでの、一連の流れのこと。供給網。
  • 歴史・経過
    • 近年、自然災害や国際紛争、感染症などにより、グローバルなサプライチェーンが寸断されるリスクが顕在化した。このため、行政においても、医療品や半導体など、国民生活・経済活動に不可欠な重要物資の、国内での安定的な供給確保(経済安全保障)が、重要な政策課題となっている。
サービス付き高齢者向け住宅(さーびすつきこうれいしゃむけじゅうたく)
  • 意味
    • 高齢者住まい法に基づき、高齢者単身・夫婦世帯が安心して居住できる、バリアフリー構造の賃貸住宅。安否確認や生活相談サービスが提供される。通称「サ高住(さこうじゅ)」。
  • 歴史・経過
    • 2011年(平成23年)に制度が創設。介護・医療と連携し、高齢者の在宅生活を支える拠点として位置づけられている。事業者は都道府県への登録が必要で、入居者の権利を守るためのルールが定められている。
参事(さんじ)
  • 意味
    • 地方公共団体の職員の職名の一つ。一般的に、部長級や次長級、あるいは課長級で、特定の重要な事務や、部署を横断する課題を専門的に担当する、ライン(部長-課長-係長といった指揮命令系統)から外れたスタッフ職として置かれることが多い。
  • 歴史・経過
    • 特定の分野で高度な専門性を持つ職員を、ラインの管理職とは別に処遇し、その能力を組織として活用するために設けられる。組織の規模や人事制度によって、その位置づけは様々である。
参加(さんか)
  • 意味
    • 計画の策定や事業の運営などのプロセスに、一員として加わり、関わること。行政分野では、住民が、まちづくりや行政運営の意思決定の過程に関わる「住民参加」が重要な概念となる。
  • 歴史・経過
    • 行政の意思決定の正統性と、住民の納得感を高めるために、その重要性が増している。審議会への参加、パブリック・コメントによる意見提出、ワークショップでの議論など、多様な参加の手法がある。
産業廃棄物(さんぎょうはいきぶつ)
  • 意味
    • 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で定められた20種類のもの(燃え殻、汚泥、廃油、廃プラスチック類など)と、輸入された廃棄物のこと。
  • 歴史・経過
    • 「産廃(さんぱい)」と略される。排出事業者が自らの責任で適正に処理することが義務付けられている。不法投棄の防止や、リサイクルの推進が重要な課題。
産業振興(さんぎょうしんこう)
  • 意味
    • 地域の産業(農業、工業、商業、観光業など)の活動を活発にし、発展させるために、行政が行う支援策の総称。
  • 歴史・経過
    • 雇用の創出と、地域経済の活性化を目的とする。具体的な施策として、中小企業への融資制度、新製品開発への補助金、企業誘致のための優遇措置、地場産品の販路拡大支援、観光キャンペーンの実施などがある。
参与(さんよ)
  • 意味
    • 地方公共団体の非常勤の特別職として置かれる役職の一つ。特定の重要な政策課題について、首長の諮問に応じ、高度な専門的知見から助言や提言を行う。
  • 歴史・経過
    • 学識経験者や、民間企業で高い実績を上げた人などが、外部の専門家として任命されることが多い。常設の審議会とは異なり、より機動的に、首長のブレーンとして活動する。
財産区(ざいさんく)
  • 意味
    • 市町村の合併や、一部の地域が市制・町制を施行した際に、元の町村や地域が所有していた山林、原野、ため池などの財産を、その地域の住民が共同で管理・運営するために、地方自治法に基づき設置される「特別地方公共団体」。
  • 歴史・経過
    • 古くからの地域の共有財産(入会権など)を、合併後もその地域の住民のために維持・活用していくための仕組み。独自の議会や管理会を持ち、財産の管理や処分、収益の使途などを決定する。
暫定予算(ざんていよさん)
  • 意味
    • 何らかの理由で、新年度が始まる前(4月1日まで)に、年間を通じた本予算(当初予算)が成立しない場合に、年度開始後の当面の期間(2~3ヶ月程度)に必要な、最小限の経費のみを計上して編成される、つなぎの予算。
  • 歴史・経過
    • 国政選挙の時期が予算編成と重なる場合などに編成されることがある。行政サービスが滞らないよう、人件費や義務的な経費などが中心となり、新規の事業や投資的な経費は原則として含まれない。
雑則(ざっそく)
  • 意味
    • 法律や条例の条文構成において、本則(本体となる規定)に付随する、こまごまとした事項や、経過措置などを定める部分のこと。
  • 歴史・経過
    • 通常、法令の末尾の章に置かれる。「この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める」といった委任規定などが、雑則に置かれることが多い。
雑入(ざつにゅう)
  • 意味
    • 地方公共団体の歳入のうち、他のどの科目にも分類できない、こまごまとした収入をまとめて計上する科目。
  • 歴史・経過
    • 延滞金、貸付金の利子、物品の売払収入、広告収入などが該当する。多様な収入を包括的に処理するための、会計上の受け皿としての役割を持つ。
座談会(ざだんかい)
  • 意味
    • 特定のテーマについて、複数の人が集まり、それぞれの意見を自由に述べ合う形式の会合。行政においては、政策形成の初期段階で、住民や有識者などから形式にとらわれない幅広い意見を聴取する目的で開催されることがある。
  • 歴史・経過
    • 審議会や公聴会のような、法令に基づく厳格な会議とは異なり、自由な雰囲気の中で、参加者の本音や創造的なアイディアを引き出すことを狙いとする。住民参加や協働のまちづくりを進める手法の一つとして活用される。

市(し)
  • 意味
    • 地方公共団体の一種で、町や村よりも規模の大きい基礎的な自治体。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に定められた普通地方公共団体。原則として、人口が5万人以上であること、中心的な市街地に全戸数の6割以上が集中していること、商工業などの都市的な業態に従事する世帯が全戸数の6割以上であること、などの要件(市制要件)を満たした上で、都道府県の同意を得て、総務大臣の決定により指定される。
市街化区域(しがいかくいき)
  • 意味
    • 都市計画法に基づき、都市計画区域の中に定められる区域の一つ。「すでに市街地を形成している区域」と、「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」のこと。
  • 歴史・経過
    • 1968年(昭和43年)の法改正で導入された「線引き」制度による区分。この区域では、用途地域を定め、道路、公園、下水道などの都市基盤を計画的に整備し、積極的な土地利用が図られる。「市街化調整区域」と対をなす。
市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)
  • 意味
    • 都市計画法に基づき、都市計画区域の中に定められる区域の一つ。「市街化を抑制すべき区域」のこと。
  • 歴史・経過
    • 「線引き」制度による区分の一つ。無秩序な市街地の拡大(スプロール化)を防ぎ、自然環境や農地を保全することを目的とする。原則として、開発行為や建築行為が厳しく制限され、農林漁業用の施設や、ごく一部の例外を除き、住宅などを建てることはできない。
指揮監督権(しきかんとくけん)
  • 意味
    • 上級の行政機関が下級の行政機関に対して、または上司が部下に対して、その職務の遂行について、指示・命令し、その結果を監督する権限のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政組織の統一性を保ち、効率的な事務執行を確保するために不可欠な権限。地方自治法上、首長は、その補助機関である職員を指揮監督する権限を持つ。
資金(しきん)
  • 意味
    • 事業や活動の元手となる金銭。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、特定の目的のために積み立てられる「基金」や、中小企業支援のための「融資資金」、災害時の「応急対策資金」など、様々な文脈で用いられる。資金の適切な管理と効率的な運用は、健全な財政運営の基本である。
資源(しげん)
  • 意味
    • 産業や生活の元となる、有用な物や人材のこと。石油や鉱物などの「天然資源」、労働力としての「人的資源」、観光地や文化財などの「観光資源」などがある。
  • 歴史・経過
    • 近年では、廃棄物(ごみ)も、単に処理すべきものではなく、再生利用が可能な「循環資源」として捉える考え方が定着している。持続可能な社会を構築するため、限りある資源の有効活用が行政の重要な課題となっている。
事故繰越し(じこくりこし)
  • 意味
    • 年度内に工事などの事業が完了しない場合に、予算を翌年度に繰り越す手続きの一つ。年度内に支出が終わらなかったやむを得ない理由(事故)がある場合に、議会の議決を経ずに、翌年度に限り予算を繰り越して使用できる制度。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法施行令に定められている。ここでの「事故」とは、不測の災害、用地買収の遅れ、資材の入手難など、避けがたい事由を指す。あらかじめ年度内に完了しないことが予測され、議会の議決を経て繰り越す「繰越明許費」とは区別される。
自己評価(じこひょうか)
  • 意味
    • 行政機関が、自らの組織運営や、実施した施策・事業の成果、課題などを、自らの責任において点検・評価すること。
  • 歴史・経過
    • 行政評価の一環として、多くの自治体で導入されている。外部の視点による「第三者評価」と組み合わせることで、より客観的で実効性のある評価を目指す。PDCAサイクルを回し、継続的な業務改善につなげることが目的。
資産(しさん)
  • 意味
    • 地方公共団体が所有する、経済的価値のある財産のこと。土地、建物、物品などの「有形固定資産」、ソフトウェアなどの「無形固定資産」、基金や貸付金などの「投資その他の資産」に大別される。
  • 歴史・経過
    • かつては現金の出入りを記録する「現金主義会計」が主だったが、近年、企業会計的な手法(複式簿記・発生主義)を導入し、貸借対照表(バランスシート)を作成して、資産や負債(地方債など)の全体像を「見える化」する取り組みが進んでいる。
施策(しさく)
  • 意味
    • 特定の政策目的を達成するために、行政が実施する具体的な手段や取り組みのこと。
  • 歴史・経過
    • 政策(Policy)が大きな方針を示すのに対し、施策(Program)は、その方針を具現化するための、より具体的な事業のまとまりを指すことが多い。自治体の総合計画などでは、「政策-施策-事務事業」という階層構造で体系化される。
指令(しれい)
  • 意味
    • 上級の行政機関が下級の機関に、または上司が部下に対して、特定の職務の執行を命じること。また、その命令を記した文書。
  • 歴史・経過
    • 指揮監督権の具体的な行使であり、行政組織の階層構造(ヒエラルキー)において、上位の意思を下位に伝達し、組織として一体的な行動を確保するための基本的な手段。
市税(しぜい)
  • 意味
    • 市(または特別区)が、その行政サービスを提供するための経費に充てるために、法律に基づいて住民や法人に課税する地方税。
  • 歴史・経過
    • 市町村の歳入の根幹をなす最も重要な自主財源。主なものに、個人・法人の「市民税」、土地・家屋などにかかる「固定資産税」、「都市計画税」、「軽自動車税」などがある。
自然災害(しぜんさいがい)
  • 意味
    • 台風、豪雨、洪水、暴風、高潮、地震、津波、噴火などの、自然現象によって引き起こされる災害。
  • 歴史・経過
    • 近年、気候変動の影響により、豪雨災害などが激甚化・頻発化する傾向にある。行政には、ハザードマップの作成・周知、避難体制の構築、防災インフラの整備、被災者支援など、予防から復旧・復興まで、多岐にわたる対応が求められる。
施設(しせつ)
  • 意味
    • 特定の目的のために設けられた、建物や設備のこと。行政分野では、住民の利用に供する「公共施設」や、行政サービス提供の拠点となる「行政施設」などを指す。
  • 歴史・経過
    • 学校、公民館、道路、公園、上下水道など、その種類は多岐にわたる。全国的に老朽化が進んでおり、計画的な維持管理・更新や、統廃合、複合化などが喫緊の課題となっている。(⇒公共施設等総合管理計画)
質疑(しつぎ)
  • 意味
    • 議会や委員会において、提出された議案や報告などに対し、議員が、不明な点をただしたり、説明を求めたりする発言のこと。
  • 歴史・経過
    • 議案を十分に審査し、論点を明らかにするための重要な手続き。自分の意見を述べる「討論」や、行政全般を問いただす「一般質問」とは区別される。質疑を通じて、執行機関の説明責任が果たされる。
実地指導(じっちしどう)
  • 意味
    • 介護保険サービス事業所などに対し、都道府県や市町村の職員が、実際に事業所を訪れて、人員配置や運営、介護報酬の請求などが、法令等に基づいて適正に行われているかを確認・指導すること。
  • 歴史・経過
    • 介護保険制度の健全な運営と、サービスの質の確保を目的として、定期的に行われる。監査とは異なり、育成・支援の観点も重視されるが、重大な不正が発見された場合は、指定の取消しなどの行政処分につながることもある。
実証実験(じっしょうじっけん)
  • 意味
    • 新しい技術やサービスを、本格的に導入する前に、実際の環境に近い条件の下で、限定的に試行し、その効果、実現可能性、課題などを検証する実験。
  • 歴史・経過
    • 近年、自動運転、ドローン配送、オンライン行政手続き、AIの活用など、先進技術を行政サービスに取り入れる際に、安全性や有効性を確認するために、国や自治体が民間企業と連携して実施する例が増えている。
指定管理者制度(していかんりしゃせいど)
  • 意味
    • 地方公共団体が設置した「公の施設」(公民館、図書館、体育館など)の管理運営を、株式会社などの民間事業者やNPO、その他の団体に、包括的に代行させることができる制度。
  • 歴史・経過
    • 2003年(平成15年)の地方自治法改正により導入。民間のノウハウを活用し、住民サービスの向上と、経費の削減を図ることを目的とする。議会の議決を経て、指定する管理者や期間を決定する。
私道(しどう)
  • 意味
    • 個人や法人が所有し、管理している道のこと。
  • 歴史・経過
    • 国や地方公共団体が管理する「公道」と対比される。建築基準法上の道路として指定されている場合は、沿道に建物を建てることができるが、維持管理(舗装の補修、側溝の清掃など)は所有者が自己責任で行うのが原則。ただし、公共性が高い私道については、自治体が補助制度を設けている場合がある。
指導(しどう)
  • 意味
    • 行政機関が、法令の規定に基づき、事業者や住民などに対し、特定の作為または不作為を求める、権力的ではない任意の協力をお願いする行為。行政指導の一種。
  • 歴史・経過
    • 許認可の取り消しや罰則といった強制的な手段によらず、相手方の自発的な改善を促す、柔軟な行政手法。行政手続法により、指導はあくまで任意であり、相手方が従わないことを理由に不利益な取扱いをしてはならない、と定められている。
市民(しみん)
  • 意味
    • 市に住所を有する住民のこと。広義には、その地域社会を構成し、まちづくりに参加するすべての人(在勤者、在学者などを含む)を指す言葉としても使われる。
  • 歴史・経過
    • 地方自治の主権者であり、選挙権、直接請求権などの権利を持つ。近年は、行政サービスの受け手(受益者)としてだけでなく、行政とともに地域課題の解決にあたる「協働のパートナー」としての役割が期待されている。
市民活動(しみんかつどう)
  • 意味
    • 市民が、営利を目的とせず、自主的・自発的に行う、公益的な(社会の役に立つ)活動のこと。ボランティア活動や、NPOによる活動などが含まれる。
  • 歴史・経過
    • まちづくり、福祉、環境、文化、国際交流など、その分野は多岐にわたる。行政の手が届きにくい、きめ細かな課題に対応する、地域社会の重要な担い手。多くの自治体では、市民活動を支援するための拠点施設(市民活動センター)の設置や、助成制度を設けている。
事務(じむ)
  • 意味
    • 組織の目的を達成するために行われる、主として書類の作成、処理、整理、保管などに関する仕事。
  • 歴史・経過
    • 地方公共団体が処理する事務は、地方自治法により、地域の行政を自主的に行う「自治事務」と、本来は国が果たすべき役割だが、法律などにより自治体が処理することとされる「法定受託事務」に大別される。
事務事業評価(じむじぎょうひょうか)
  • 意味
    • 行政評価の手法の一つで、行政が行う最も基礎的な活動単位である「事務事業」(〇〇教室の開催、△△証明書の発行など)を対象として、その必要性、効率性、有効性などを評価すること。
  • 歴史・経過
    • 一つひとつの事務事業について、目的は明確か、コストに見合った成果は上がっているか、などを点検・評価し、その結果を、事業の改善、見直し、廃止・統合、予算要求などに反映させる。
諮問(しもん)
  • 意味
    • 行政機関(特に首長)が、特定の事項について、専門的な知識や幅広い意見を求めるため、審議会などの付属機関に意見を問い求め、調査・審議を依頼すること。
  • 歴史・経過
    • 諮問を受けた審議会は、調査・審議を尽くし、その結果を「答申」として、諮問した機関に報告する。行政は、この答申を尊重して、政策の意思決定を行う。
社会教育(しゃかいきょういく)
  • 意味
    • 学校教育を除き、青少年および成人に対して、組織的に行われる教育活動のこと。
  • 歴史・経過
    • 社会教育法に基づき、住民の自己実現や地域課題の解決に資する学習活動を支援する。図書館、博物館、公民館などが社会教育施設の中核となり、各種講座の開催、サークル活動の支援、地域の文化・伝統の継承活動などが行われる。
社会資本(しゃかいしほん)
  • 意味
    • 国民生活や経済活動の基盤となる、公共的な施設や設備のこと。「インフラストラクチャー(インフラ)」とほぼ同義。
  • 歴史・経過
    • 道路、港湾、上下水道、公園などの物理的な施設だけでなく、近年では、安定したエネルギー供給、情報通信ネットワーク、さらには、豊かな自然環境や、医療・教育・司法といった制度までを含む、より広い概念として捉えられるようになっている。
社会福祉(しゃかいふくし)
  • 意味
    • 高齢者、障害者、子ども、生活困窮者など、社会生活を送る上で様々な困難を抱える人々に対し、公的な支援(サービス提供、相談援助など)を通じて、その自立を助け、尊厳のある生活を保障しようとする理念や、そのための制度・活動の総称。
  • 歴史・経過
    • 社会福祉法がその基本法であり、児童福祉法、身体障害者福祉法、生活保護法などの個別法がある。市町村に設置される福祉事務所が、第一線の相談・支援機関としての役割を担う。
社会保険(しゃかいほけん)
  • 意味
    • 国民が、病気、高齢、障害、失業などの生活上のリスクに備えるため、あらかじめ加入者(被保険者)が保険料を出し合い、必要な人が、必要な給付を受けられるようにする、強制加入を原則とする公的な保険制度。
  • 歴史・経過
    • 「医療保険」(健康保険、国民健康保険など)、「年金保険」(国民年金、厚生年金)、「介護保険」、「雇用保険」、「労働者災害補償保険(労災保険)」の5つを指すことが多い。
収入役(しゅうにゅうやく)
  • 意味
    • 2007年(平成19年)3月まで、地方自治法に基づき、地方公共団体に置かれていた特別職の機関。公金の出納・保管などの会計事務を専門に担当していた。
  • 歴史・経過
    • 首長、議会と並ぶ、必置の機関だった。2006年の地方自治法改正により、首長の権限強化と責任の明確化を図る観点から廃止され、その機能は、新たに設置された「会計管理者」(一般職または特別職)と、首長の補助機関に引き継がれた。
収用(しゅうよう)
  • 意味
    • 道路、ダム、空港といった、公共の利益となる事業のために、どうしてもその土地が必要な場合に、国や地方公共団体などが、土地所有者の意思にかかわらず、正当な補償を行った上で、その土地の所有権などを強制的に取得すること。
  • 歴史・経過
    • 土地収用法に定められた手続き。私有財産権に対する重大な制約であるため、その適用は、事業の公益性が高く、任意での取得が困難な場合に限定され、厳格な手続きと公正な補償が求められる。
出向(しゅっこう)
  • 意味
    • 職員が、元の所属先(自治体など)に籍を置いたまま、一定期間、別の組織(国、他の自治体、民間企業、関係団体など)で勤務すること。
  • 歴史・経過
    • 組織間の人事交流の一環として行われる。職員にとっては、異なる環境での勤務を通じて、新たな知識やスキル、人脈を得る能力開発の機会となる。受け入れ先の組織にとっては、専門的な人材を確保できるメリットがある。
出張(しゅっちょう)
  • 意味
    • 職員が、公務を遂行するため、通常の勤務地を離れて、一時的に他の場所へ旅行すること。
  • 歴史・経過
    • 出張には、所属長(課長など)の命令(出張命令)が必要であり、旅費(交通費、日当、宿泊費)が、旅費条例に基づいて支給される。公務の効率的な遂行と、公金の適正な執行の両立が求められる。
出生届(しゅっしょうとどけ)
  • 意味
    • 子どもが生まれたときに、その事実を市区町村長に届け出る手続き、またそのための書類。
  • 歴史・経過
    • 戸籍法に基づき、原則として、子が生まれた日を含めて14日以内に、父母などが届け出なければならない。この届出により、子が戸籍に記載され、法的な親子関係が公証されるとともに、住民票が作成される。
取得時効(しゅとくじこう)
  • 意味
    • 他人の物(特に土地など)を、所有の意思をもって、一定期間、平穏かつ公然と占有し続けることによって、その所有権を取得できるという、民法上の制度。
  • 歴史・経過
    • 長年継続した事実状態を尊重し、法的安定性を図るための制度。行政財産(道路、公園など)についても、長年の占有を理由に時効取得が主張されることがあるが、公の目的に供されている間は、原則として時効取得の対象とはならないとされる。
首都圏(しゅとけん)
  • 意味
    • 日本の首都である東京とその周辺地域を一体として捉える広域的な圏域。
  • 歴史・経過
    • 首都圏整備法では、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県の1都7県を「首都圏」と定義している。この広域的な圏域を単位として、国の主導で、産業配置や交通網、住宅地などの整備に関する計画が策定される。
首長(しゅちょう)
  • 意味
    • 普通地方公共団体の長のこと。都道府県の「知事」と、市町村(及び特別区)の「長(市長、町長、村長、区長)」の総称。
  • 歴史・経過
    • 住民による直接選挙で選ばれる。地方公共団体を統轄し、代表する、執行機関のトップである。議会が議決した条例や予算を執行するほか、自ら議案を提出したり、職員を任免したりする権限を持つ。
仕様書(しようしょ)
  • 意味
    • 地方公共団体が、工事の発注や、物品の購入、業務の委託などを行う際に、その対象となる仕事の内容、品質、性能、数量、満たすべき基準などを、具体的に、かつ詳細に記載した文書。
  • 歴史・経過
    • 入札に参加する事業者は、この仕様書に基づいて、見積りや提案を行う。契約の相手方が、要求された水準の成果を確実に履行するために、契約内容の根幹をなす重要な書類である。
使用料(しようりょう)
  • 意味
    • 地方公共団体が設置した公の施設(公民館、体育館、駐車場など)を利用したり、特定の行政サービスを受けたりする対価として、利用者が支払う料金のこと。
  • 歴史・経過
    • 税金が、特定のサービスの対価ではなく、一般的に徴収されるのに対し、使用料は、特定の利益を受けることへの反対給付として支払われる。その額は、サービスの提供にかかる原価などを基に、条例で定められる。
消防(しょうぼう)
  • 意味
    • 火災を予防・警戒・鎮圧し、国民の生命、身体、財産を火災から保護するとともに、地震、風水害などの災害を防除し、被害を軽減する活動。
  • 歴史・経過
    • 消防法、消防組織法に基づき、市町村がその責任を負う(消防の市町村責任の原則)。消防本部、消防署を設置し、消防職員(消防吏員)が消火活動、救急活動、救助活動、防災指導などにあたる。
省令(しょうれい)
  • 意味
    • 各省の大臣(総務大臣、厚生労働大臣など)が、その省が所管する行政事務について、法律や政令を施行するため、または法律や政令の委任に基づいて発する命令(法規)。
  • 歴史・経過
    • 法律、政令に次ぐ効力を持つ。法律で定められた大枠の中で、より専門的・技術的な細則を定める役割を担う。官報に掲載されることで公布される。
証明書(しょうめいしょ)
  • 意味
    • ある事実や内容が、真実であることを、公の機関や権限のある者が証明するために発行する文書。
  • 歴史・経過
    • 行政が発行する証明書には、住民票の写し、印鑑登録証明書、戸籍謄本・抄本、課税(非課税)証明書など、多種多様なものがある。これらは、個人の権利義務に関する法律行為や、各種の行政手続きにおいて、重要な役割を果たす。
職員(しょくいん)
  • 意味
    • 国や地方公共団体などの公務に従事する人のこと。一般的には「公務員」と同義で使われる。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法上、職員は、一般職と特別職に分けられる。一般職は、地方公務員法の服務規律や身分保障が適用される一般的な職員であり、特別職は、首長、議員、教育長、公営企業管理者など、法律で個別に定められた職を指す。
職権(しょっけん)
  • 意味
    • その職務や地位に伴って与えられている権限のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、相手方からの申請を待たずに、行政庁が自らの判断で、その権限を行使することを「職権で」行うという。例えば、住民からの届出がなくても、職権で住民票の記載を修正する場合などがある。ただし、その行使は、法律に根拠がある場合に限られる。
書面(しょめん)
  • 意味
    • 文字や記号を用いて、意思や情報が記載された、紙などの媒体。
  • 歴史・経過
    • 行政手続きは、後日の紛争を防ぎ、内容を明確にするため、書面で行うことを原則とする「書面主義」が長らく基本とされてきた。近年、デジタル化の推進により、書面に代えて、電磁的記録(電子データ)による手続き(オンライン申請など)が急速に普及している。
所管(しょかん)
  • 意味
    • ある行政機関が、その権限に基づき、管理し、担当している事務や区域のこと。縄張り。
  • 歴史・経過
    • 行政組織は、条例や規則によって、各部局が担当する事務の範囲(所管事務)が明確に定められている。複数の部署にまたがるような課題については、どこが主管(主たる所管)となるかの調整が重要となる。
資料(しりょう)
  • 意味
    • 調査、研究、審議、判断などの基礎となる材料のこと。文書、図面、写真、統計データなど、様々な形態がある。
  • 歴史・経過
    • 議会や審議会などでは、円滑な審議を行うため、執行機関側が、議題に関連する十分な資料を事前に提供することが求められる。また、情報公開制度により、行政が保有する資料は、原則として開示の対象となる。
私立(しりつ)
  • 意味
    • 国(国立)や地方公共団体(公立)ではなく、民間の個人や学校法人などが設立し、運営すること。
  • 歴史・経過
    • 特に、学校(私立大学、私立高校など)や、社会福祉施設(私立保育園など)で用いられる。行政は、私立の学校や施設に対しても、法令に基づき、設置認可を行ったり、運営費の一部を補助金として助成したり、指導監督を行ったりする。
審議会(しんぎかい)
  • 意味
    • 法律や条例に基づき、行政機関に設置される付属機関の一つ。首長などの諮問に応じ、特定の重要事項について、専門的・中立的な立場から調査・審議し、意見を述べる(答申する)役割を担う。
  • 歴史・経過
    • 委員は、学識経験者、関係団体の代表者、公募の住民などで構成され、行政の意思決定に専門性や多様な意見を反映させる。合議制の機関であり、その議事は原則として公開される。
審査請求(しんさせいきゅう)
  • 意味
    • 行政庁の違法または不当な処分(許認可の不許可、課税処分など)によって権利利益を侵害された国民が、その処分の見直しを求めて、上級行政庁などの第三者機関に対して不服を申し立てる制度。
  • 歴史・経過
    • 行政不服審査法に定められた主要な不服申立て手続き。裁判(訴訟)に比べて、簡易・迅速に、無料で利用できる。処分庁ではない、より上級の、または第三者的な機関が、改めて審査を行う。
申請(しんせい)
  • 意味
    • 法令に基づき、個人や法人が、行政庁に対して、許可、認可、補助金の交付など、何らかの公的な行為を求める意思表示のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政手続きの出発点となる最も基本的な行為。行政手続法では、行政庁は、申請が到達した場合、遅滞なく審査を開始しなければならず、申請を拒否する場合には、その理由を示さなければならない、と定められている。
信書(しんしょ)
  • 意味
    • 「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」のこと。手紙や請求書などが典型例。
  • 歴史・経過
    • 郵便法により、信書の送達(配達)は、原則として、日本郵便株式会社と、国の許可を得た特定の事業者(信書便事業者)だけが行うことができると定められている。地方公共団体が、住民に納税通知書などを送付する際にも、このルールに従う必要がある。

随意契約(ずいいけいやく)
  • 意味
    • 地方公共団体が契約を締結する際に、競争入札によらず、任意に特定の相手方を選んで契約する方式。「随契(ずいけい)」と略される。
  • 歴史・経過
    • 会計法や地方自治法では、競争入札が原則であるが、契約の性質や目的が競争に適さない場合(特定の者でなければ履行できない契約など)、緊急を要する場合、契約金額が少額である場合など、法令で定められた場合に限り、例外的に認められる。透明性・公正性の確保が課題となる。
随契(ずいけい)
  • 意味
    • 「随意契約」の略語。
  • 歴史・経過
    • (随意契約の項を参照)
推計(すいけい)
  • 意味
    • いくつかの既知の数値やデータ(標本調査の結果など)を基にして、全体(母集団)の数値を統計的に推測し、計算すること。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、「将来推計人口」が代表的。これは、過去の国勢調査の結果や出生・死亡・国際移動の動向を基に、将来の人口を推計したもので、自治体の長期計画や社会保障制度の設計など、あらゆる政策の基礎となる重要なデータである。
水源(すいげん)
  • 意味
    • 水道水の元となる、河川の水、ダムの貯留水、地下水などのこと。また、その水が供給される源となる地域(水源地域)。
  • 歴史・経過
    • 安全で良質な水道水を安定的に供給するためには、水源の水質を保全することが不可欠。水道法に基づき、水道事業者(主に市町村)は、水源の汚染防止のための措置を講じるよう努めなければならない。水源地域の森林保全のための「水源環境保全税」を導入している自治体もある。
水準(すいじゅん)
  • 意味
    • 物事の価値や程度を比較する際の、基準となる高さやレベル。標準。
  • 歴史・経過
    • 地方交付税制度における「基準財政需要額」は、各自治体が、標準的な行政を合理的かつ妥当な水準で実施した場合に必要となる経費を算定したものである。これにより、全国どこでも一定の行政水準(ナショナル・ミニマム)が保障されることを目指している。
水準儀(すいじゅんぎ)
  • 意味
    • 土地の高低差を精密に測定するための測量機器。「レベル」とも呼ばれる。望遠鏡と、高感度の気泡管(水平を出すための装置)から構成される。
  • 歴史・経過
    • 2か所に立てた標尺(目盛りのついた棒)の目盛を、水平に設置した水準儀で読み取り、その差から高低差を求める「水準測量」に用いられる。公共事業の設計や施工管理に不可欠な道具。
水準点(すいじゅんてん)
  • 意味
    • 土地の高さを測る際の基準となる点のことで、国土地理院が設置・管理する測量の基準点(三角点、水準点、電子基準点)の一つ。
  • 歴史・経過
    • 測量法に基づき、全国の主要な道路沿いなどに約2km間隔で設置されている。公共事業(道路、河川、上下水道など)の設計や、災害時の地盤変動の調査など、正確な標高データが必要となる様々な場面で、その基準として利用される。
水準測量(すいじゅんそくりょう)
  • 意味
    • 土地の高さ(標高)を、高精度で求めるための測量。2本の標尺の間に水準儀(レベル)を水平に設置し、その目盛の差を読み取ることで、2点間の高低差を測定する。
  • 歴史・経過
    • 全国に設置された水準点網を基準として行われる。公共事業の計画・設計や、地盤沈下の監視、災害復旧など、行政の様々な業務の基礎となる重要な測量技術である。
水道(すいどう)
  • 意味
    • 導管(水道管)などの施設を用いて、人の飲用に適する水を供給する事業、またはその施設のこと。
  • 歴史・経過
    • 水道法に基づき、原則として市町村が経営する「公営企業」として運営される。安全で清浄な水を、いつでも安定的に供給することが最大の使命。近年は、施設の老朽化、耐震化、人口減少に伴う料金収入の減少などが全国的な課題となっている。
水難救護法(すいなんきゅうごほう)
  • 意味
    • 水難(遭難した船舶、溺者、遺体、漂流物など)を発見した場合の、行政機関への通報義務や、救護に協力した者への実費弁償などを定めた法律。
  • 歴史・経過
    • 1899年(明治32年)に制定された古い法律。水難を発見した者は、遅滞なく、市町村長などの行政機関に通報しなければならないと定めている。市町村長は、救護に必要な措置を講じ、費用を支弁する。
推奨(すいしょう)
  • 意味
    • ある物事が望ましいとして、人々に採用や実行を勧めること。
  • 歴史・経過
    • 行政が、特定の行動を住民や事業者に促す際に、義務付けや規制といった強制的な手段ではなく、任意での協力を求める手法として用いられる。例えば、健康診断の受診勧奨や、省エネ機器の導入推奨などがある。
図画(ずが)
  • 意味
    • 図面、地図、写真、絵画などの、視覚的な表現物全般。
  • 歴史・経過
    • 公文書管理法や情報公開条例において、行政機関が職務上作成・取得した図画は、文書や電磁的記録と同様に「行政文書」として扱われ、適正な管理と、開示請求の対象となる。
図書(ずしょ)
  • 意味
    • 書籍や雑誌など、印刷された資料の総称。
  • 歴史・経過
    • 地方公共団体が設置・運営する図書館は、社会教育法に基づき、図書、記録その他必要な資料を収集・整理・保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーションなどに資することを目的とする社会教育施設である。
スクールカウンセラー(すくーるかうんせらー)
  • 意味
    • 児童・生徒が抱える、いじめ、不登校、友人関係の悩み、学習上の問題などについて、臨床心理の専門家として、本人や保護者、教員からの相談に応じ、助言や支援を行う専門職。
  • 歴史・経過
    • 1995年度から文部科学省の事業として導入され、全国の公立小中学校・高校への配置が進められている。都道府県や市町村の教育委員会が、臨床心理士などの資格を持つ専門家を非常勤職員として任用・配置する形態が一般的。
スクールソーシャルワーカー(すくーるそーしゃるわーかー)
  • 意味
    • 児童・生徒が抱える問題の背景にある、貧困、虐待、家庭環境などの課題に対し、社会福祉の専門家として、家庭、学校、関係機関(児童相談所、医療機関など)をつなぎ、問題解決に向けた支援を行う専門職。
  • 歴史・経過
    • 2008年度から文部科学省の事業として導入が進んだ。スクールカウンセラーが心理的な側面に重点を置くのに対し、スクールソーシャルワーカーは、子どもを取り巻く環境に働きかける(環境調整)ことに重点を置く点で役割が異なる。
スクラップ・アンド・ビルド(すくらっぷ・あんど・びるど)
  • 意味
    • 「廃棄と建設」を意味し、老朽化した施設や、非効率になった制度・組織などを廃止(スクラップ)し、新しいものを建設(ビルド)すること。
  • 歴史・経過
    • 行政改革において、時代の変化に対応できない旧来の事業や組織を大胆に見直し、新たな行政需要に対応するための資源を生み出す、という文脈で使われる。特に、公共施設の老朽化対策において、単なる建替えではなく、統廃合や機能の見直しを含めた考え方が重要とされる。
スケジュール(すけじゅーる)
  • 意味
    • 予定、日程、計画表のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政においては、事業や計画を円滑に進めるため、各工程の開始・終了時期、担当部署、マイルストーン(中間目標)などを明確にした、詳細なスケジュール(工程管理表)を作成することが不可欠。予算の執行管理や、議会への報告などにおいても、その遵守が求められる。
スマートシティ(すまーとしてぃ)
  • 意味
    • ICT(情報通信技術)やAI、センサーなどの先進技術を活用して、エネルギー、交通、防災、医療・介護、行政サービスといった、都市が抱える様々な課題を解決し、住民生活の質の向上と、持続可能な都市経営を目指す、新しいまちづくりのコンセプト。
  • 歴史・経過
    • 2010年代から世界的に注目され、日本でも国が推進し、多くの自治体が計画策定や実証実験に取り組んでいる。分野横断でのデータ連携が成功の鍵とされる。
スローガン(すろーがん)
  • 意味
    • 団体や運動の主張、目標を、簡潔に、分かりやすく言い表した標語やモットー。
  • 歴史・経過
    • 行政においても、特定の政策やキャンペーンを推進する際に、住民の理解や共感を呼び、一体感を醸成するために、スローガンが活用される。「春の全国交通安全運動」のスローガンや、自治体の総合計画の将来像を示すキャッチフレーズなどがある。
スポーツ(すぽーつ)
  • 意味
    • 一定のルールにのっとって、勝敗を競ったり、楽しみを求めたりする身体運動の総称。
  • 歴史・経過
    • スポーツ基本法において、スポーツは、心身の健全な発達、健康・体力の保持増進、生きがいのある生活の実現に不可欠な、すべての人々が享受すべき権利であると位置づけられている。地方公共団体は、スポーツの振흥に関する施策を総合的に策定・実施する責務があるとされる。
スプロール現象(すぷろーるげんしょう)
  • 意味
    • 都市の郊外部において、無秩序・無計画に、虫食い状(スプロール)に宅地開発が進行し、市街地が、農地や山林を侵食しながら、まばらに広がっていく現象。
  • 歴史・経過
    • 高度経済成長期の急激な都市化を背景に、全国で問題となった。道路や下水道などのインフラ整備が追いつかず、非効率な都市経営の原因となる。この反省から、1968年に都市計画法が改正され、市街化区域と市街化調整区域を分ける「線引き」制度が導入された。
スペック(すぺっく)
  • 意味
    • 製品やシステムの仕様、性能、諸元。
  • 歴史・経過
    • 行政が、物品(パソコンなど)を購入したり、情報システムを調達したりする際の入札では、要求する品質や性能を明確にするため、詳細なスペックを仕様書に記載する。特定のメーカーの製品でなければ満たせないような過剰なスペックを指定すると、競争性を阻害するとして問題になることがある(スペック・イン)。
ステークホルダー(すてーくほるだー)
  • 意味
    • 「利害関係者」のこと。ある事業や政策の実施によって、直接的または間接的に、利益や不利益などの影響を受けるすべての人々や組織を指す。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、住民、NPO、企業、議会、関係団体、職員など、非常に幅広い主体がステークホルダーとなる。円滑な合意形成を図るためには、これらの多様なステークホルダーの意見を聴き、対話し、意思決定のプロセスに適切に関与させていくことが重要とされる。
図書館(としょかん)
  • 意味
    • 図書、記録その他必要な資料を収集・整理・保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーションなどに資することを目的とする施設。
  • 歴史・経過
    • 図書館法に基づき、地方公共団体が設置する「公立図書館」と、民間が設置する「私立図書館」がある。公立図書館は、入館料その他資料の利用に対する対価を徴収してはならない(入館料無料の原則)と定められている。
住居表示(じゅうきょひょうじ)
  • 意味
    • 市街地において、建物の場所を分かりやすく特定するために、「〇番〇号」といった、整然とした住所の表示方法を定める制度。
  • 歴史・経過
    • 「住居表示に関する法律」に基づき、市町村が実施する。土地の地番(〇番地)をそのまま住所として使うと、分筆や合筆で番号が入り乱れ、場所が分かりにくくなるため、街区方式(〇番〇号)や道路方式(〇条〇丁目)といった、合理的なルールで住所を付け直す。
住民(じゅうみん)
  • 意味
    • 地方公共団体の区域内に住所を有する個人、およびその区域内に事務所などを有する法人のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方自治の主権者であり、その自治体の行政サービスを受ける権利と、税金や保険料などを負担する義務を持つ。選挙権、被選挙権、直接請求権、住民監査請求・住民訴訟などの権利を通じて、行政の運営に参画する。
住民基本台帳(じゅうみんきほんんだいちょう)
  • 意味
    • 市町村が、その区域内に住む住民について、氏名、生年月日、性別、住所、世帯などの事項を記録し、管理する公の帳簿。通称「住基(じゅうき)」。
  • 歴史・経過
    • 住民基本台帳法に基づき作成される。選挙人名簿の登録、国民健康保険・介護保険の資格管理、人口の調査など、行政サービスの基礎となる最も重要な台帳の一つ。
住民基本台帳ネットワークシステム(じゅうみんきほんだいちょうねっとわーくしすてむ)
  • 意味
    • 全国の市町村と都道府県、国の指定情報処理機関を、専用の回線で結び、本人確認情報(氏名、生年月日、性別、住所、住民票コードなど)を共有するシステム。通称「住基ネット」。
  • 歴史・経過
    • 2002年(平成14年)から稼働。年金の現況確認や、パスポートの申請など、従来は住民票の写しの提出が必要だった行政手続きで、その添付を省略できるようになった。マイナンバー制度の基盤の一つでもある。
住民税(じゅうみんぜい)
  • 意味
    • 地方税の一つで、都道府県が課税する「道府県民税」と、市町村が課税する「市町村民税」の総称。個人に課される「個人住民税」と、法人に課される「法人住民税」がある。
  • 歴史・経過
    • その地域社会の費用を、住民がその能力に応じて分担するという性格を持つ。特に個人住民税は、所得に応じて課される「所得割」と、所得にかかわらず定額で課される「均等割」からなる。
住民票(じゅうみんひょう)
  • 意味
    • 住民基本台帳に記録されている、個々の住民や世帯に関する情報のことであり、その内容を証明するために市町村が発行する書類(住民票の写し)のこと。
  • 歴史・経過
    • 選挙、就職、不動産登記、運転免許の取得など、日常生活の様々な場面で、住所や世帯構成を証明するための基本的な公文書として用いられる。

斉一性(せいいつせい)
  • 意味
    • 「ととのっていて、むらがないこと」を意味し、行政分野では、全国のどの地域においても、行政の解釈や運用、サービスの水準などが、一定の基準で統一されている状態を指す。
  • 歴史・経過
    • 国の法令に基づく事務(法定受託事務など)の執行において、地域によって取り扱いに大きな差が生じないよう、斉一性を確保することが求められる。一方で、地方分権の理念からは、地域の実情に応じた多様性も尊重されるべきとされ、両者のバランスが重要となる。
生活保護(せいかつほご)
  • 意味
    • 生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする国の制度。
  • 歴史・経過
    • 日本国憲法第25条の生存権の理念に基づき、生活保護法に定められている。第二次世界大戦後の1946年(昭和21年)に(旧)生活保護法が制定され、GHQの指導の下で全面改正された現行法が1950年(昭和25年)に施行された。 生活、住宅、教育、医療、介護など8種類の扶助があり、国が定めた基準から算定される最低生活費と、世帯の収入を比較し、不足する分が保護費として支給される。
生活保護法(せいかつほごほう)
  • 意味
    • 生活保護制度の目的、原理・原則、種類、実施体制などを定めた法律。
  • 歴史・経過
    • 1946年(昭和21年)に制定された(旧)生活保護法が前身。 その後、日本国憲法の理念に基づき、1950年(昭和25年)に現行の生活保護法が全面改正・施行された。 「国家責任の原理」「無差別平等の原理」「最低生活保障の原理」「保護の補足性の原理」の4つを基本原理とする。
請求(せいきゅう)
  • 意味
    • 相手方に対して、特定の行為や給付を求めること。行政分野では、住民が、法令上の権利に基づいて、行政機関に対して、情報の開示、証明書の発行、不服の審査などを求める行為を指す。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法には、住民が一定数の署名を集めて、条例の制定・改廃、事務の監査、議会の解散、議員・長の解職などを求めることができる「直接請求」制度が定められている。 これは、間接民主制を補完する住民自治の重要な仕組みである。
政策(せいさく)
  • 意味
    • 国や地方公共団体が、特定の社会的な課題を解決し、公益を実現するために設定する、基本的な方針や計画、手段の体系。
  • 歴史・経過
    • 政策の形成プロセスは、課題の認識→目標設定→代替案の検討・比較→決定→実施→評価→見直し、というサイクル(政策サイクル)で捉えられる。近年は、客観的証拠に基づく政策立案(EBPM)の重要性が高まっている。
政策評価(せいさくひょうか)
  • 意味
    • 行政機関が、自ら実施した政策や事業について、その必要性、効率性、有効性などを、客観的な基準に基づいて評価し、その後の政策の見直しや改善、予算編成などに活かすこと。
  • 歴史・経過
    • 2001年(平成13年)に行政機関が行う政策の評価に関する法律(政策評価法)が施行され、国の機関で義務化された。 地方公共団体においても、行政評価条例などを制定し、アカウンタビリティ(説明責任)の向上と、効率的・効果的な行政運営を目指す取り組みが進んでいる。
成年後見制度(せいねんこうけんせいど)
  • 意味
    • 認知症、知的障害、精神障害などにより、判断能力が不十分な人(本人)を、法律的に保護し、支援するための制度。
  • 歴史・経過
    • 従来の禁治産・準禁治産制度に代わり、自己決定権の尊重やノーマライゼーションの理念に基づき、2000年(平成12年)4月1日から施行された。 本人の判断能力の程度に応じて家庭裁判所が援助者を選ぶ「法定後見」と、本人があらかじめ契約で援助者を選んでおく「任意後見」の2種類がある。
請願(せいがん)
  • 意味
    • 国や地方公共団体に対し、その職務に関する希望や要望を、文書で申し述べること。
  • 歴史・経過
    • 日本国憲法第16条で、国民の権利として保障されている。 地方議会に対する請願は、地方自治法第124条に基づき、必ず1人以上の議員の紹介を得て提出しなければならない。 議会は、受理した請願を誠実に処理する義務があり、採択したものは執行機関に送付し、その処理の経過及び結果の報告を求めることができる。
赤十字(せきじゅうじ)
  • 意味
    • 戦争や紛争時の傷病者や捕虜、および平時の災害や疾病に苦しむ人々を、敵味方、人種、信条などを問わず、中立の立場で救護することを目的とする国際的な人道支援団体。
  • 歴史・経過
    • 日本では、1877年(明治10年)に設立された博愛社が前身。1952年(昭和27年)に制定された日本赤十字社法に基づき、認可法人として活動している。災害救助法において、日本赤十字社は、行政機関の協力機関として、災害時の救護活動を担うことが定められている。
責務(せきむ)
  • 意味
    • 責任と義務。立場上、また倫理上、必ず果たさなければならない務め。
  • 歴史・経過
    • 法律や条例において、行政機関や住民、事業者が、それぞれ果たすべき役割を明確にするために、「〇〇の責務」として規定される。例えば、環境基本法では、国、地方公共団体、事業者、国民それぞれの、環境保全に関する責務が定められている。
説明責任(せつめいせきにん)
  • 意味
    • 「アカウンタビリティ」の訳語。行政機関が、自らの活動(政策決定の過程、予算の使途など)や、その結果について、議会や住民に対して、十分に、かつ分かりやすく説明する責任のこと。
  • 歴史・経過
    • 情報公開制度や行政評価制度と並び、住民の信頼を得て、公正で民主的な行政を運営するための基本原則。1990年代以降の地方分権改革の流れの中で、その重要性が広く認識されるようになった。
施行(せこう・しこう)
  • 意味
    • 法律や条例などの法令の効力を、現実に発生させ、実施に移すこと。
  • 歴史・経過
    • 法令は、制定されただけでは効力を持たず、「公布」(官報や公報に掲載すること)され、法令の附則などで定められた「施行日」を迎えることで、初めてその効力を生じる。施行日が定められていない場合は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行されるのが原則。
施工(せこう)
  • 意味
    • 工事を実施すること。
  • 歴史・経過
    • 公共事業において、行政は、事業計画を立て、設計図や仕様書を作成し、入札を経て、民間事業者と工事請負契約を締結する。実際に工事現場で作業を行うのは、契約した事業者(施工業者)である。行政は、工事が設計図書どおりに、かつ安全に行われているかを監督する(施工管理)責任を負う。
ゼロカーボンシティ(ぜろかーぼんしてぃ)
  • 意味
    • 2050年までに、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指すと表明した地方自治体のこと。
  • 歴史・経過
    • 地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定の目標達成に向け、国が2050年カーボンニュートラルを宣言したことを背景に、2019年頃から表明する自治体が増加した。 表明した自治体は、再生可能エネルギーの導入促進や省エネルギーの推進など、地域の実情に応じた具体的な取り組みを進める。
全員協議会(ぜんいんきょうぎかい)
  • 意味
    • 地方議会において、所属する全議員が一堂に会し、市政や町政などに関する重要な事項について、執行機関から説明を受け、協議を行うための会議。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に規定された会議ではなく、各議会の会議規則などに基づいて任意で開かれる。本会議と異なり、議決は行わないが、重要な議案の事前説明や、会派間の意見調整、議会としての意思統一を図る場として、重要な役割を果たしている。
全会一致(ぜんかいいっち)
  • 意味
    • 会議の採決において、出席している構成員の全員が賛成すること。
  • 歴史・経過
    • 議会の意思決定は、通常は過半数で決せられるが、全会一致で可決された議案は、議会全体の総意として、より重みのある決定と受け止められる。特に、意見書や決議など、議会の意思を対外的に表明する際に重視されることがある。
専決処分(せんけつしょぶん)
  • 意味
    • 本来は議会の議決を経なければならない事項について、地方公共団体の長が、議会に代わって自らの判断で決定(処分)すること。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に定められた、長の権限。議会を招集する時間的余裕がない緊急の場合(同法第179条)や、議会が議決によりあらかじめ長に委任した軽易な事項(同法第180条)について認められる。 専決処分を行った場合、長は、次の議会にその内容を報告し、承認を求めなければならない。
選挙(せんきょ)
  • 意味
    • 住民や国民が、その代表者(議員や首長など)を、投票によって選ぶ行為。
  • 歴史・経過
    • 議会制民主主義の根幹をなす制度。日本では、公職選挙法に基づき、普通選挙、平等選挙、直接選挙、秘密選挙の4つの原則が保障されている。地方自治法では、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙について規定されている。
選挙管理委員会(せんきょかんりいいんかい)
  • 意味
    • 選挙の公正を確保するため、国や地方公共団体に設置される、独立した行政委員会。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法第181条に基づき、地方公共団体に設置される。 議会で選挙された4人の委員で組織される。選挙人名簿の調製、投票所・開票所の設置・管理、選挙運動の監督、当選人の決定など、選挙に関する事務全般を管理・執行する。
宣誓(せんせい)
  • 意味
    • 多くの人々の前で、あるいは神仏などに対して、自身の誠実さを誓うこと。行政分野では、新たに公務員となった者が、全体の奉仕者として、憲法を尊重し、誠実かつ公正に職務を執行することを誓う「服務の宣誓」を指す。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法第31条は「職員は、条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない」と規定している。 これを受け、各自治体は条例で宣誓書の様式や提出手続きを定めており、職員は、任命権者に宣誓書を提出してからでなければ、職務を行ってはならないとされている。

造成(ぞうせい)
  • 意味
    • 山林や農地などの土地を、宅地や工業用地などとして利用できるように、切り土や盛り土、地ならしなどを行って、整地すること。
  • 歴史・経過
    • 都市計画法上の開発行為に該当することが多く、大規模な造成を行う場合は、都道府県知事などの開発許可が必要となる。宅地造成等規制法により、がけ崩れなどの災害が生ずるおそれの大きい区域(宅地造成工事規制区域)では、特に厳しい技術基準が適用される。
増額(ぞうがく)
  • 意味
    • 金銭の額を増やすこと。行政分野では、特に補正予算において、当初予算で計上した経費の額を増やすことを「増額補補正」という。
  • 歴史・経過
    • 当初予算の編成後に生じた、新たな行政需要(災害復旧、緊急の経済対策など)に対応するため、あるいは、事業内容の変更に伴い、当初の見込みより経費が多く必要となった場合に行われる。
総合計画(そうごうけいかく)
  • 意味
    • 地方公共団体のすべての計画の基本となる、最上位の計画。その自治体が目指す将来像と、その実現に向けた施策の方向性を、長期的・総合的な視点から体系的に示す。
  • 歴史・経過
    • かつては地方自治法で策定が義務付けられていたが、法改正により努力義務となった。しかし、依然として多くの自治体が、行政運営の羅針盤として策定している。一般的に、「基本構想」(長期的な将来像)、「基本計画」(分野ごとの中期的な施策)、「実施計画」(具体的な短期の事業)の3層構造で構成される。
総合戦略(そうごうせんりゃく)
  • 意味
    • 特に、人口減少の克服と地方創生を目指して、各地方公共団体が策定する、地域の将来展望や、それを実現するための具体的な目標・施策をまとめた計画。「まち・ひと・しごと創生総合戦略」のこと。
  • 歴史・経過
    • 2014年(平成26年)に制定された「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、全国の自治体で策定された。国の総合戦略を勘案しつつ、地域の実情に応じた、今後5か年の目標や施策を定める。国の交付金の交付要件となることが多い。
相殺(そうさい)
  • 意味
    • 二人が互いに、同種の目的を持つ債権を有する場合に、一方の意思表示によって、その債権と債務を、対当額で消滅させること。
  • 歴史・経過
    • 民法に規定されている。行政実務においても、例えば、自治体がA社に対して100万円の支払い債務(工事代金など)を負い、同時にA社から100万円の徴収債権(税金の滞納など)を有する場合に、両者を相殺して、金銭のやりとりを省略することがある。
相続(そうぞく)
  • 意味
    • 人が死亡した場合に、その人の財産(遺産)に関する権利・義務の一切を、配偶者や子などの一定の身分関係にある者(相続人)が、法律上、包括的に承継すること。
  • 歴史・経過
    • 民法に規定されている。空き家問題の一因として、相続したものの、利用する予定のない家屋や土地の管理が、所有者の負担となるケースが社会問題化している。また、相続税は国税だが、その申告内容は、固定資産税の納税義務者の変更など、市町村の業務にも関連する。
相続税(そうぞくぜい)
  • 意味
    • 個人が、相続や遺贈によって財産を取得した場合に、その取得した財産の価額を基に課される国税。
  • 歴史・経過
    • 富の再分配機能を持つ税の一つ。課税対象となる財産の価額が、一定の基礎控除額を超える場合に申告・納税の義務が生じる。相続税の申告内容は、市町村が行う固定資産税の課税において、土地や家屋の所有者を把握するための重要な情報となる。
送達(そうたつ)
  • 意味
    • 行政機関が、特定の相手方に対して、その権利や義務に重要な影響を及ぼす文書(納税通知書、督促状、許認可の通知書など)を、法的に定められた手続きに従って、確実に届け、その内容を了知させる行為。
  • 歴史・経過
    • 相手方に届いたこと、また、いつ届いたかを法的に確定させることが重要となる。民事訴訟法の規定が準用されることが多く、郵便による「交付送達」が原則だが、相手方が受け取らない場合などには、裁判所の執行官が行う「執行官送達」や、裁判所の掲示板に掲示する「公示送達」といった特別な方法がとられる。
測量(そくりょう)
  • 意味
    • 土地の位置、形状、面積などを、専用の機器を用いて測定し、地図や図面を作成する技術や作業のこと。
  • 歴史・経過
    • 測量法に基づき、国土地理院が行う「基本測量」と、地方公共団体や民間が行う「公共測量」などがある。公共事業の計画・設計、固定資産税の課税、災害復旧、まちづくりなど、行政のあらゆる分野の基礎となる、極めて重要な作業である。
促進区域(そくしんくいき)
  • 意味
    • 特定の政策目的(中心市街地の活性化、企業の立地、再生可能エネルギーの導入など)を達成するため、法律に基づき、特に重点的に、規制緩和や財政支援などの措置を講じる対象として指定される区域。
  • 歴史・経過
    • 「中心市街地活性化基本計画」における区域や、「企業立地促進法」に基づく区域など、様々な法律に規定がある。区域を指定することで、官民の投資を呼び込み、集中的・一体的な取り組みを促すことを狙いとする。
即時強制(そくじきょうせい)
  • 意味
    • 目前に急迫した障害や危険を除去する必要がある場合に、法律に基づき、あらかじめ義務を課すことなく、直接、人の身体や財産に実力(物理的な強制力)を加え、行政目的を達成する作用。
  • 歴史・経過
    • 警察官職務執行法に基づく、泥酔者の保護や、危険な事態の避難措置、消防法に基づく消防活動などが典型例。国民の権利・自由に対する重大な制約となるため、法律に明確な根拠がある場合にのみ、厳格な要件の下で認められる。
測定(そくてい)
  • 意味
    • ある量を、測定機器を用いて測り、数値で表すこと。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、環境基準が守られているかを確認するための、大気汚染物質の濃度測定、河川の水質測定、騒音・振動のレベル測定などが、法律に基づき、継続的に行われている。これらの測定データは、公表され、環境政策の基礎資料となる。
組織(そしき)
  • 意味
    • 特定の目的を達成するために、複数の人々が、一定の役割分担や指揮命令系統のもとに統合された、協力体制・集団。
  • 歴史・経過
    • 地方公共団体の行政組織は、地方自治法に基づき、条例で定められる(組織編成権)。社会経済情勢の変化や、新たな行政課題に、効率的・効果的に対応できるよう、定期的な組織改編(機構改革)が行われる。
措置(そち)
  • 意味
    • ある事態に対応するために、具体的な手段を講じ、処置をすること。
  • 歴史・経過
    • 行政法において、特定の目的を達成するために行われる、具体的な公権力の行使を指すことが多い。例として、感染症拡大防止のための「まん延防止等重点措置」、違法建築物に対する「是正措置」、児童福祉法における、行政が親権者に代わって子どもの処遇を決定する「児童福祉施設への入所措置」などがある。
訴訟(そしょう)
  • 意味
    • 当事者間の権利・義務に関する争いについて、裁判所に、法的な判断(判決)を求めて解決を図る手続き。
  • 歴史・経過
    • 行政に関する訴訟は「行政事件訴訟」と呼ばれ、行政庁の違法な処分の取消しを求める「取消訴訟」が中心。このほか、住民監査請求を経た「住民訴訟」や、国の違法な行為による損害の賠償を求める「国家賠償請求訴訟」などがある。
遡及効(そきゅうこう)
  • 意味
    • 法律や条例、契約などが、その成立・施行よりも前の時点にさかのぼって、効力を生ずること。
  • 歴史・経過
    • 法律は、施行された時から将来に向かって効力を持つのが原則であり、遡及効は国民の法的安定性を害するおそれがあるため、法律不遡及の原則(事後法の禁止)が近代法の基本とされる。ただし、国民に利益を与える場合や、特に法律で定められた場合など、例外的に認められることがある。
租税(そぜい)
  • 意味
    • 国または地方公共団体が、その経費に充てるため、法律または条例の規定に基づいて、国民や住民から、反対給付(見返り)なしに、強制的に徴収する金銭。「税金」と同義。
  • 歴史・経過
    • 行政活動を支える最も基本的な財源。何について、誰に、どれだけ課税するかは、必ず法律や条例で定めなければならないという「租税法律主義(租税条例主義)」が、憲法で保障されている。
租税特別措置(そぜいとくべつそち)
  • 意味
    • 特定の政策目的(経済、社会、環境など)を実現するために、本来の税法(所得税法、法人税法など)の規定を、時限的に修正し、税負担を軽減したり、逆に重くしたりする、特別な措置のこと。「租特(そとく)」と略される。
  • 歴史・経過
    • 住宅ローン控除(減税)や、特定の設備投資に対する税額控除などが代表例。景気対策や、特定の産業・活動を奨励するために、毎年の税制改正で、新設、拡充、縮小、廃止が議論される。
粗大ごみ(そだいごみ)
  • 意味
    • 家庭から出るごみのうち、家具、寝具、自転車など、自治体が指定する大きさを超える、比較的大型の廃棄物のこと。
  • 歴史・経過
    • 一般廃棄物の一種であり、その収集・処理は市町村の責任で行われる。多くの場合、通常の収集とは別に、事前の申込み制や、有料の処理券(シール)を貼って排出する方式がとられている。
ソーシャル・インパクト・ボンド(そーしゃる・いんぱくと・ぼんど)
  • 意味
    • 行政が民間事業者などに委託する事業において、その事業の成果(社会的インパクト)と、行政の財政支出を連動させる、成果連動型の民間委託契約。SIB(Social Impact Bond)と略される。
  • 歴史・経過
    • 2010年に英国で始まり、日本では2010年代半ばから導入が検討され始めた。民間資金で事業を先行実施し、事業の成果目標が達成された場合に、行政が、その成果に応じて、事業費と利益を事業者に支払う。予防的な事業(再犯防止、健康増進など)での活用が期待される。
ソーシャルビジネス(そーしゃるびじねす)
  • 意味
    • 貧困、環境問題、高齢者・障害者の支援など、様々な社会課題の解決を、ボランティアや寄附に頼るだけでなく、持続可能な事業(ビジネス)の手法を用いて取り組む活動のこと。
  • 歴史・経過
    • NPO法人、株式会社、協同組合など、多様な組織形態が担い手となる。行政にとっては、公的なサービスだけでは対応しきれない、きめ細かなニーズに応える「協働のパートナー」として、その育成・支援が重要な政策課題となっている。
ソーシャルワーカー(そーしゃるわーかー)
  • 意味
    • 日常生活を営む上で、様々な困難(経済的、身体的、精神的、社会的な問題)を抱える人々からの相談に応じ、その人が持つ能力や、利用できる社会資源(制度、サービスなど)を活用して、問題解決に向けた支援を行う専門職の総称。
  • 歴史・経過
    • 社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格を持つ専門家が、福祉事務所、児童相談所、病院、地域包括支援センターなど、行政機関や関連施設で、ケースワーカーとして活動している。
ソフトウェア(そふとうぇあ)
  • 意味
    • コンピュータを機能させるための、プログラムや、関連する文書のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政の業務効率化に不可欠なツール。財務会計システム、人事給与システム、住民情報システム、電子申請システムなど、多種多様なソフトウェアが利用されている。会計上、一定額以上のものは「無形固定資産」として資産計上される。
損害賠償(そんがいばいしょう)
  • 意味
    • 違法な行為によって、他人の権利や利益を侵害し、損害を与えた者が、その損害を金銭によって埋め合わせる(賠償する)こと。
  • 歴史・経過
    • 公務員の故意または過失による違法な公権力の行使によって損害を受けた場合は、国家賠償法に基づき、国または地方公共団体に対して、損害賠償を請求することができる。
尊厳死(そんげんし)
  • 意味
    • 回復の見込みのない末期状態の患者に対し、本人の意思に基づいて、延命のためだけの医療を中止し、人間としての尊厳を保ちながら、自然な死を迎えさせること。
  • 歴史・経過
    • 明確な法的定義はないが、終末期医療のあり方として、社会的な議論が続いている。多くの自治体では、市民が、自らの望む終末期医療やケアについて、あらかじめ家族やかかりつけ医と話し合い、記録しておくための「リビング・ウィル(事前指示書)」や「エンディングノート」の普及啓発に取り組んでいる。
尊属(そんぞく)
  • 意味
    • 民法上の親族関係において、本人からみて、父母、祖父母、おじ・おばなど、自分より前の世代にあたる血族のこと。
  • 歴史・経過
    • かつては刑法に、尊属に対する殺人や傷害を、通常より重く罰する「尊属殺」などの規定があったが、「法の下の平等」に反するとして、判例で違憲とされ、削除された。現在では、主に戸籍事務や相続関係で用いられる法律用語。
損失補償(そんしつほしょう)
  • 意味
    • 国や地方公共団体が、公共の利益のために、適法な公権力の行使によって、特定の個人の財産に、特別の犠牲(損失)を生じさせた場合に、その損失を、全体の公平な負担の観点から、金銭で補填すること。
  • 歴史・経過
    • 日本国憲法第29条第3項は「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と定めている。土地収用法に基づく、土地の収用に対する補償金が典型例。「違法」な行為に対する「損害賠償」とは区別される。

対応(たいおう)
  • 意味
    • ある事態や状況に応じて、適切な処置をとること。行政においては、住民からの相談・要望への対応、災害などの緊急事態への対応、議会での質問への対応(答弁)など、多岐にわたる場面で使われる。
  • 歴史・経過
    • 行政の信頼性を左右する基本動作。迅速かつ的確な対応、丁寧で分かりやすい説明、関係部署間の緊密な連携が常に求められる。特に、苦情や困難事案への対応は、職員の危機管理能力やコミュニケーション能力が問われる場面である。
体育(たいいく)
  • 意味
    • 身体的な活動を通じて、心身の健全な発達を促す教育のこと。行政分野では、学校における体育の授業だけでなく、住民の生涯にわたるスポーツ活動や健康づくりを支援する社会体育全般を指す。
  • 歴史・経過
    • スポーツ基本法において、地方公共団体は、地域の実情に応じたスポーツ振興の施策を策定・実施する責務があるとされている。体育館、プール、グラウンドなどの社会体育施設の設置・管理や、スポーツ教室の開催、地域のスポーツ団体の育成支援などを行う。
退職(たいしょく)
  • 意味
    • 職員が、任期の満了、辞職、定年、失職、懲戒免職などにより、その職を離れること。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法に基づき、その事由が定められている。特に、一定の年齢(原則60歳、段階的に65歳へ引上げ中)に達すると自動的に職を失う「定年退職」が、多くの職員にとっての退職の形態となる。退職時には、勤続年数などに応じて「退職手当」(退職金)が支給される。
退職手当(たいしょくてあて)
  • 意味
    • 公務員が退職する際に、地方公共団体から支給される金銭のこと。民間企業の退職金に相当する。
  • 歴史・経過
    • 長年の勤務に対する功労報償的な性格と、退職後の生活保障的な性格を併せ持つ。支給額は、退職時の給料月額に、勤続年数などに応じた支給率を乗じて計算されることが多く、その支給基準は各自治体の条例で定められている。
耐震(たいしん)
  • 意味
    • 建築物や土木構造物(橋りょうなど)が、地震の揺れに対して、倒壊・崩壊しないように、その構造的な強度や粘り強さを高めること。
  • 歴史・経過
    • 1981年(昭和56年)に建築基準法が大幅に改正され、導入された「新耐震基準」が、現在の耐震設計の基本となっている。大規模地震の発生を教訓に、学校や庁舎などの公共施設の耐震化が計画的に進められるとともに、自治体は、住民の木造住宅などの耐震化を促進するため、耐震診断や改修工事に対する補助制度を設けている。
ダイバーシティ(だいばーしてぃ)
  • 意味
    • 「多様性」のこと。年齢、性別、人種、国籍、障害の有無、性的指向、価値観など、様々な違いを持つ人々が、組織や社会の中で、それぞれの個性を尊重され、能力を発揮できる状態。
  • 歴史・経過
    • もともとは企業経営の分野で重視されてきたが、近年、行政運営やまちづくりにおいても、多様な住民ニーズに対応し、社会全体の活力を生み出すための重要な理念として位置づけられている。「インクルージョン(社会的包摂)」と一体で語られることが多い。
代執行(だいしっこう)
  • 意味
    • 法律や条例で命じられた行為(例:違法建築物の除却、放置された空き家の解体)を、義務者が履行しない場合に、行政機関が、自ら、または第三者に委託して、その行為を行い、かかった費用を義務者から徴収する制度。
  • 歴史・経過
    • 行政代執行法に定められた、行政上の強制執行の一種。個人の財産権に対する重大な制約となるため、他の手段では目的を達成できないこと(補充性の原則)など、厳格な要件の下でのみ認められる。
代表質問(だいひょうしつもん)
  • 意味
    • 地方議会の定例会において、主に会期の冒頭に、各会派(議員が所属する政党やグループ)を代表する議員が、首長の施政方針演説などに対し、会派としての立場から、行政全般にわたる基本的な方針や重要課題について質問すること。
  • 歴史・経過
    • 個々の議員が行う「一般質問」と並ぶ、議会の重要な質疑の機会。質問時間は、会派の所属議員数に応じて配分されることが多い。
宅地(たくち)
  • 意味
    • 建物の敷地、およびその維持・効用を果たすために必要な土地のこと。
  • 歴史・経過
    • 固定資産税の評価上は、住宅、店舗、工場などの建物の敷地を指す。都市計画法上は、農地や森林、道路などを除いた土地として、より広く解釈される。安全で良質な宅地の供給と、無秩序な開発の防止が、行政の重要な役割の一つ。
多数決(たすうけつ)
  • 意味
    • 会議において、議案の可否などを、構成員の多数の意思によって決定する原則。
  • 歴史・経過
    • 議会制民主主義の基本的な意思決定ルール。地方議会においては、地方自治法に基づき、特別な定めがある場合を除き、「出席議員の過半数」で議決されるのが原則である。
脱炭素(だつたんそ)
  • 意味
    • 地球温暖化の原因となる、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を、実質的にゼロにすることを目指す取り組み。カーボンニュートラル。
  • 歴史・経過
    • パリ協定を契機に、世界的な潮流となった。日本政府も2050年までのカーボンニュートラル実現を宣言し、地方公共団体においても、再生可能エネルギーの導入促進、省エネルギーの徹底、EV(電気自動車)の普及支援、森林吸収源対策など、「ゼロカーボンシティ」を目指す動きが加速している。
脱ハンコ(だつはんこ)
  • 意味
    • 行政手続きにおいて、従来、慣例的に求められてきた、申請書などへの押印(ハンコ)を、原則として廃止する動き。
  • 歴史・経過
    • デジタル化の推進、行政手続きのオンライン化、住民・事業者の負担軽減などを目的に、コロナ禍を機に、国・地方で急速に進められた。法令で押印が義務付けられているものを除き、多くの手続きで見直しが行われた。
縦割り行政(たてわりぎょうせい)
  • 意味
    • 行政組織が、所管する分野ごとに、部、課、係といった形で細分化され、それぞれの組織が、自分の所管分野の利益や権限に固執し、組織間の連携や情報共有が十分に行われない状態。セクショナリズム。
  • 歴史・経過
    • 専門性を高め、責任の所在を明確にするというメリットがある一方、住民から見れば複雑で分かりにくい、分野横断的な課題に対応できない、類似の事業が重複して非効率、といった弊害(縦割り行政の弊害)を生む。総合調整機能の強化や、組織横断的なプロジェクトチームの設置などが、その対策として行われる。
段階(だんかい)
  • 意味
    • 物事が進んでいく上での、順序や区切り。ステップ。
  • 歴史・経過
    • 行政計画や大規模な事業は、複数の段階を経て進められることが多い。例えば、計画策定のプロセスは、「現状分析→課題整理→目標設定→施策立案→決定」といった段階を踏む。事業の実施においても、「調査・設計段階」「工事段階」「維持管理段階」といった区分がある。
短期貸付け(たんきかしつけ)
  • 意味
    • 地方公共団体が、会計年度を越えない、ごく短い期間、資金を貸し付けること。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法上、歳計現金(日々の支払いに充てるための手元資金)に余裕がある場合に、確実かつ有利な方法であれば、国や他の地方公共団体、金融機関に、一時的に貸し付けることができるとされている。資金の効率的な運用のための手法の一つ。
談合(だんごう)
  • 意味
    • 国や地方公共団体が発注する競争入札において、複数の入札参加業者が、事前に話し合って、受注する業者や入札価格を不正に決定すること。
  • 歴史・経過
    • 競争入札の公正を害し、税金の無駄遣いにつながる、独占禁止法や刑法(競売入札妨害罪)で禁じられた違法行為。発覚した場合は、公正取引委員会による排除措置命令や課徴金納付命令、刑事罰の対象となる。
男女共同参画(だんじょきょうどうさんかく)
  • 意味
    • 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野の活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会。(男女共同参画社会基本法より)
  • 歴史・経過
    • 1999年(平成11年)に男女共同参画社会基本法が制定され、国の最も重要な政策課題の一つとして位置づけられた。地方公共団体にも、国の基本計画を勘案し、地域の実情に応じた「男女共同参画計画」を策定する責務がある。
団体(だんたい)
  • 意味
    • 特定の目的のために、複数の人々が結合した組織や集団。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法上の「地方公共団体」のほか、行政との関わりでは、業界団体、NPO、自治会、ボランティア団体、労働組合など、様々な団体が存在する。これらの団体は、陳情や要望活動を通じて行政に影響を与えたり、行政と協働して地域課題の解決にあたったりする、重要なパートナーである。
団体自治(だんたいじち)
  • 意味
    • 地方自治の二つの側面のうちの一つで、地方公共団体が、国から独立した法人格を持つ団体として、国の干渉を受けずに、その地域の行政を自主的に処理する権能を持つこと。
  • 歴史・経過
    • もう一つの側面である「住民自治」(地域の行政が、住民の意思に基づいて行われること)と並び、地方自治を支える車の両輪とされる。団体自治を実質的に保障するためには、独自の課税権や、国からの独立した財源が不可欠である。
担当(たんとう)
  • 意味
    • 特定の職務や役割を受け持つこと。また、その人。
  • 歴史・経過
    • 行政組織は、部、課、係(グループ)、担当といった階層で、所管する事務が明確に分担されている。住民からの問い合わせなどに対し、どの部署の誰が担当であるかを明確にすることが、責任ある行政サービスの第一歩となる。
単年度主義(たんねんどしゅぎ)
  • 意味
    • 「会計年度独立の原則」の別名。地方公共団体の会計は、会計年度(4月1日~3月31日)ごとに独立しており、各年度の歳出は、その年度の歳入で賄わなければならないという財政運営上の基本原則。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法や地方財政法で定められている。これにより、年度ごとの収支が明確になり、財政の健全性が保たれる。ただし、複数年度にわたる事業などに対応するため、繰越明許費や債務負担行為といった例外的な制度も設けられている。
単独事業(たんどくじぎょう)
  • 意味
    • 地方公共団体が、国の補助金(国庫支出金)などに頼らず、独自の財源(地方税、地方債など)だけで、自主的な判断に基づいて実施する事業のこと。通称「単独(たんどく)」。
  • 歴史・経過
    • 国の補助事業が、全国一律の基準で実施されることが多いのに対し、単独事業は、地域の特性や住民のニーズに、よりきめ細かく対応することができる。単独事業をどれだけ実施できるかは、その自治体の財政力や自主性を示す指標となる。

地域(ちいき)
  • 意味
    • ある共通の性質によって区切られた、一定の広がりを持つ土地。
  • 歴史・経過
    • 行政上は、市町村、都道府県といった行政区画を指すことが多いが、小学校区、自治会の範囲、あるいは「〇〇地域」といった、より広域的、または生活に密着した単位で使われることも多い。「地域に根差した」「地域の実情に応じて」といった言葉は、地方分権時代の行政運営のキーワードである。
地域医療(ちいきいりょう)
  • 意味
    • 住民が、その住み慣れた地域で、生涯にわたって、適切な医療を安心して受けられる体制のこと。
  • 歴史・経過
    • かかりつけ医、地域の病院、専門医療を担う中核病院、診療所などが、それぞれの役割を分担し、相互に連携することで、切れ目のない医療を提供することを目指す。都道府県が策定する「医療計画」に基づき、その構築が進められる。
地域おこし協力隊(ちいきおこしきょうりょくたい)
  • 意味
    • 都市部の人材を、過疎地域などの条件不利地域に誘致し、地域協力活動(地域ブランド産品の開発・販売、農林水産業への従事、住民の生活支援など)に従事してもらいながら、その地域への定住・定着を図る、総務省の制度。
  • 歴史・経過
    • 2009年度(平成21年度)に創設。隊員は、自治体から「地域おこし協力隊」として委嘱を受け、最長3年間活動する。活動期間中の給与や経費は、国からの特別交付税措置で賄われる。
地域包括支援センター(ちいきほうかつしえんせんたー)
  • 意味
    • 高齢者が、住み慣れた地域で、尊厳のあるその人らしい生活を継続することができるよう、介護、医療、保健、福祉などの側面から、高齢者を総合的に支えるための中核機関。
  • 歴史・経過
    • 介護保険法に基づき、各市町村が設置する。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職が配置され、総合相談、権利擁護、介護予防ケアマネジメントなどの業務を一体的に行う。
地域防災計画(ちいきぼうさいけいかく)
  • 意味
    • 災害対策基本法に基づき、都道府県および市町村が、その地域の災害対策について、総合的かつ計画的に定めた計画。
  • 歴史・経過
    • 国の防災基本計画に基づき、各自治体の防災会議が作成する。災害の予防、応急対策、復旧・復興の各段階において、自治体、防災関係機関、住民などが、それぞれ何をすべきかを具体的に定めている。定期的に見直しが行われる。
地方(ちほう)
  • 意味
    • 首都以外の地域。国(中央)と対比して、都道府県や市町村といった、地方公共団体およびその区域を指す言葉。
  • 歴史・経過
    • 日本国憲法は、第8章で「地方自治」について定め、国と地方公共団体は、対等・協力の関係にあるとしている。中央集権から地方分権への流れは、戦後日本の大きな政治的テーマであり続けている。
地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)
  • 意味
    • 日本の行政区画のうち、国(中央政府)から独立した法人格を持ち、一定の地域と住民で構成され、公権力を行使して地域の行政を自主的に行う団体の総称。「自治体」ともいう。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法において、都道府県、市町村、特別区を「普通地方公共団体」、特別区、地方公共団体の組合(一部事務組合、広域連合)、財産区を「特別地方公共団体」と定めている。
地方公務員(ちほうこうむいん)
  • 意味
    • 都道府県や市町村などの地方公共団体に勤務し、その事務に従事する職員のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法により、その身分や勤務条件、服務規律などが定められている。住民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、職務の遂行にあたっては、法令、条例、上司の職務上の命令に従う義務を負う。
地方債(ちほうさい)
  • 意味
    • 地方公共団体が、道路、学校の建設といった、将来の世代もその便益を受ける公共事業の財源などを確保するために、一会計年度を超えて借り入れる借金のこと。
  • 歴史・経過
    • その発行は、地方財政法で、対象となる事業や手続きが厳しく定められている(地方債許可制→協議制へ)。将来世代への負担の先送りとなるため、その発行額や残高の管理は、財政の健全性を保つ上で極めて重要である。
地方自治(ちほうじち)
  • 意味
    • ある地域の行政を、国(中央政府)から独立して、その地域の住民の意思と責任に基づいて行うこと。
  • 歴史・経過
    • 日本国憲法で保障された、民主主義の基本的な原理の一つ。「住民自治」(住民が地域の意思決定に参加すること)と、「団体自治」(地方公共団体が国から独立して行政を行うこと)の二つの側面から成り立つとされる。
地方自治法(ちほうじちほう)
  • 意味
    • 地方自治に関する基本法。地方公共団体の種類、組織、運営、住民の権利・義務、国と地方の関係など、地方自治の制度全般について定めている。
  • 歴史・経過
    • 1947年(昭和22年)、日本国憲法の施行と同時に制定。戦前の強力な中央集権体制を改め、民主的な地方自治を確立するための基本ルールとなった。その後も、地方分権改革の流れの中で、度重なる改正が行われている。
地方税(ちほうぜい)
  • 意味
    • 地方公共団体が、その行政サービスを提供するための経費に充てるために、法律の範囲内で、住民や法人に課税する租税の総称。
  • 歴史・経過
    • 都道府県が課す「都道府県税」(道府県民税、事業税、自動車税など)と、市町村が課す「市町村税」(市町村民税、固定資産税、軽自動車税など)に大別される。地方財源の根幹をなす「自主財源」である。
地方創生(ちほうそうせい)
  • 意味
    • 人口急減・超高齢化という、日本が直面する大きな課題に対し、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創り出すことを目指す、一連の政策。
  • 歴史・経過
    • 2014年(平成26年)に、まち・ひと・しごと創生本部が設置され、国を挙げての取り組みが本格化した。各自治体では、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、しごと(雇用の創出)、ひと(移住・定住の促進)、まち(魅力ある地域づくり)に関する具体的な取り組みを進めている。
地方分権(ちほうぶんけん)
  • 意味
    • 国(中央政府)に集中している権限や財源を、住民に身近な地方公共団体に、計画的に移していくこと。
  • 歴史・経過
    • 個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するため、1990年代から本格的な改革が進められてきた。2000年(平成12年)の「地方分権一括法」の施行により、国と地方は「上下・主従」の関係から「対等・協力」の関係へと転換され、機関委任事務の廃止などの大きな改革が実現した。
中間報告(ちゅうかんほうこく)
  • 意味
    • 長期にわたる調査や審議、事業などの途中の段階で、その時点までの進捗状況や、明らかになった事実、論点の整理などを、関係者に報告すること。
  • 歴史・経過
    • 審議会などが、最終的な答申をまとめる前に、主要な論点についての中間的な見解を示し、広く意見を求めるために行われることがある。これにより、最終的な結論の方向性を共有し、より丁寧な合意形成を図ることができる。
中核市(ちゅうかくし)
  • 意味
    • 地方自治法に基づき、政令で指定された、人口20万人以上の市のこと。
  • 歴史・経過
    • 1994年(平成6年)に創設された大都市制度の一つ。政令指定都市に次ぐ規模の都市について、都道府県が処理する事務の一部(民生、保健衛生、環境、都市計画などに関する許認可権限など)を移譲し、行政サービスの効率化と、地域の自主性・自立性を高めることを目的とする。
中間法人(ちゅうかんほうじん)
  • 意味
    • 2002年から2008年まで、旧中間法人法に基づいて設立が認められていた法人の種類。「営利」でも「公益」でもない、同窓会や業界団体など、構成員に共通する利益を図ることを目的とする社団・財団のために創設された。
  • 歴史・経過
    • 2008年(平成20年)の公益法人制度改革に伴い、中間法人法は廃止された。既存の中間法人は、法律の施行から一定期間内に、「一般社団法人」または「一般財団法人」への移行手続きを行った。
中間管理職(ちゅうかんかんりしょく)
  • 意味
    • 行政組織において、部長などの上級管理職と、係長や一般職員などの下位の職員との中間に位置し、双方をつなぐ役割を担う管理職のこと。主に、課長や課長補佐、係長などが該当する。
  • 歴史・経過
    • 上司の方針を部下に伝え、業務の進捗を管理するとともに、現場の職員の意見を吸い上げ、上司に報告するという、組織運営の要となる重要なポジション。
注射(ちゅうしゃ)
  • 意味
    • 薬液などを、注射器を用いて、体内に注入すること。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、特に感染症予防のための「予防接種」が重要。予防接種法に基づき、市町村は、特定の疾病(ジフテリア、百日せき、ポリオ、麻しん、風しん、日本脳炎など)について、住民(主に乳幼児)に対し、定期の予防接種を行う責務がある。
駐車場(ちゅうしゃじょう)
  • 意味
    • 自動車を駐車させるための施設。
  • 歴史・経過
    • 駐車場法に基づき、都市部の商業地域などで、一定規模以上の建築物を建てる際には、駐車需要を賄うための駐車場の附置が義務付けられている(附置義務駐車場)。また、自治体が、交通の円滑化や中心市街地の活性化のために、公営駐車場を設置・運営することもある。
駐車違反(ちゅうしゃいはん)
  • 意味
    • 道路交通法に定められた、駐車が禁止されている場所(駐車禁止場所)や、定められた方法(時間に制限がある場所など)に従わずに、自動車を駐車する違反行為。
  • 歴史・経過
    • 交通の妨げとなり、事故の原因ともなるため、警察官や駐車監視員による取締りの対象となる。違反者には、反則金や、放置違反金が課される。
中小企業(ちゅうしょうきぎょう)
  • 意味
    • 中小企業基本法で定義された、一定の規模(資本金の額または常時使用する従業員の数)以下の企業のこと。
  • 歴史・経過
    • 日本の全企業数の99%以上を占め、地域経済と雇用の中心的な担い手である。このため、地方公共団体は、条例などを制定し、融資制度(制度融資)、経営相談、販路拡大支援、補助金など、様々な中小企業振興策を講じている。
抽象的(ちゅうしょうてき)
  • 意味
    • 個々の具体的な事物から、共通する性質を抜き出して、一つの概念として捉えること。具体的でない、観念的なこと。
  • 歴史・経過
    • 行政計画において、「基本構想」は、まちづくりの理念など、抽象的な将来像を示すことが多い。それに対し、「基本計画」や「実施計画」は、その抽象的な理念を、より具体的な施策や事業へと落とし込んでいく役割を持つ。
抽選(ちゅうせん)
  • 意味
    • くじを引くなど、偶然性を利用して、多くの希望者の中から、当選者や順番などを決める方法。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、希望者が募集数を上回った場合に、公平性を担保するために用いられる。例えば、公営住宅の入居者の決定、保育所の入所選考(同一指数の場合)、あるいは、選挙で得票数が全く同じだった場合の当選人の決定などで、抽選が行われることがある。
中退共(ちゅうたいきょう)
  • 意味
    • 「中小企業退職金共済制度」の略称。単独で退職金制度を設けることが困難な中小企業のために、国(独立行政法人勤労者退職金共済機構)が運営する、公的な退職金制度。
  • 歴史・経過
    • 中小企業退職金共済法に基づき、1959年(昭和34年)に創設。事業主が、従業員のために共済契約を結び、毎月の掛金を納付する。従業員が退職した際には、その従業員に、機構から直接、退職金が支払われる。
町(ちょう)
  • 意味
    • 地方公共団体の一種で、市よりも規模が小さく、村よりは都市的な形態を持つ基礎的な自治体。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に定められた普通地方公共団体。市になるための「市制要件」のような、明確な人口要件は法律で定められておらず、その基準は各都道府県の条例で定められている(例:人口5,000人以上など)。
庁(ちょう)
  • 意味
    • 役所、官庁。行政機関の庁舎(建物)そのものを指す場合(例:県庁、市庁)と、行政機関の組織の単位を指す場合(例:内閣府の外局である警察庁、消防庁など)がある。
  • 歴史・経過
    • 地方公共団体の本庁組織は、一般的に「部-課-係(グループ)」で構成されるが、特定の重要な分野について、部に準ずる組織として「〇〇庁」や「〇〇局」といった名称が用いられることがある。
聴聞(ちょうもん)
  • 意味
    • 行政庁が、許認可の取消しや、営業停止命令など、相手方にとって不利益となる処分(不利益処分)を行おうとする場合に、その名宛人となる人に対し、事前に、言い分を述べ、証拠を提出する機会(弁明の機会)を与えるための、正式な意見聴取の手続き。
  • 歴史・経過
    • 行政手続法に定められており、国民の権利利益を保護するための、デュー・プロセス(適正な手続き)の保障として、極めて重要な手続き。主宰者が、当事者双方の主張を聴き、その内容をまとめた調書を作成する。
町会(ちょうかい)
  • 意味
    • 「町内会」とほぼ同義。一定の地域に住む住民が、自主的に組織し、地域の課題解決や、住民相互の親睦、福祉の向上などを目的として活動する、最も身近な住民自治組織。
  • 歴史・経過
    • 法律上の組織ではない、任意団体である。防犯・防災活動、環境美化(清掃活動)、お祭りなどのイベントの開催、行政からのお知らせの回覧など、地域コミュニティを維持するための重要な役割を担っている。
懲戒(ちょうかい)
  • 意味
    • 公務員に、職務上の義務違反や、全体の奉仕者としてふさわしくない非行があった場合に、その責任を問い、公務における規律と秩序を維持するために科される、制裁(不利益処分)。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法に定められており、「免職」(職を失わせる)、「停職」(一定期間、職務に従事させない)、「減給」、「戒告」(将来を戒める)の4種類がある。任命権者が、公正な手続き(懲戒委員会など)を経て行う。
調査(ちょうさ)
  • 意味
    • ある事柄の実態や動向を、明らかにするために、調べること。
  • 歴史・経過
    • 行政のあらゆる活動の基礎となる行為。政策の企画立案のための「ニーズ調査」、事業の効果を測定するための「効果測定調査」、法令違反の有無を確認するための「立入調査」などがある。統計法に基づく国の「国勢調査」は、最も大規模かつ基本的な調査である。
調整(ちょうせい)
  • 意味
    • 複数の異なる要素や、利害の対立する当事者の間に立って、バランスをとり、物事が円滑に進むように、とりまとめること。
  • 歴史・経過
    • 行政の重要な機能の一つ。部局間の所管争いの「総合調整」、国・県・市町村間の「行政間調整」、開発と環境保全の「利害調整」、住民間のトラブルの「紛争調整」など、様々なレベルで行われる。
調定(ちょうてい)
  • 意味
    • 地方公共団体の歳入について、収入の権限を持つ者(歳入徴収権者)が、誰から(納付義務者)、何を理由に(収入科目)、いくら(金額)、いつまでに(納期限)徴収すべきかを、内部的に決定する行為。
  • 歴史・経過
    • 会計事務における、収入の最初の段階。この調定に基づき、納付義務者に対して、納入通知書が送付される。適正な歳入徴収の基礎となる、重要な内部手続きである。
町内会(ちょうないかい)
  • 意味
    • 「町会」とほぼ同義。一定の地域に住む住民が、自主的に組織し、地域の課題解決や、住民相互の親睦、福祉の向上などを目的として活動する、最も身近な住民自治組織。
  • 歴史・経過
    • 法律上の組織ではない、任意団体である。防犯・防災活動、環境美化(清掃活動)、お祭りなどのイベントの開催、行政からのお知らせの回覧など、地域コミュニティを維持するための重要な役割を担っている。
重複(ちょうふく・じゅうふく)
  • 意味
    • 同じ物事が、重なり合うこと。
  • 歴史・経過
    • 行政改革において、国と地方、あるいは都道府県と市町村の間で、類似の業務や権限が重複している「重複行政」の解消が、効率化の観点から課題とされる。また、複数の部署が、同様の補助金を支出している「重複支出」も、無駄の削減の観点から見直しの対象となる。
条約(じょうやく)
  • 意味
    • 国と国、または国と国際機関との間で、文書によって結ばれる、国際法上の権利・義務に関する合意。
  • 歴史・経過
    • 憲法上、内閣が締結し、国会の承認が必要。締結された条約は、国内法(法律)に対して優位な効力を持つとされる。地方公共団体の条例も、国が締結した条約に違反することはできない。
条例(じょうれい)
  • 意味
    • 地方公共団体が、その議会の議決によって、法律の範囲内で、その地域の事務について定める自主法。
  • 歴史・経過
    • 地方自治の根幹をなす法形式。住民の権利を制限したり、義務を課したりするためには、法律の委任がある場合を除き、条例の根拠が必要となる。まちづくり、福祉、環境保全など、様々な分野で制定される。
直接請求(ちょくせつせいきゅう)
  • 意味
    • 地方公共団体の住民が、選挙で代表者を選ぶ(間接民主制)だけでなく、有権者の一定数以上の署名を集めることで、条例の制定・改廃、事務の監査、議会や役員の解散・解職などを、直接、請求することができる制度。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に定められた、住民自治を保障するための重要な権利。間接民主制を補完し、住民の意思を直接、自治体運営に反映させるための仕組み。
直営(ちょくえい)
  • 意味
    • 地方公共団体が、特定の事業や施設(ごみ収集事業、公営バス、市民病院など)を、外部に委託せず、自らの組織と職員によって、直接、経営・運営すること。
  • 歴史・経過
    • サービスの安定性や、公共性・公平性を確保しやすいというメリットがある。一方で、経営の効率性や、利用者ニーズへの柔軟な対応という観点から、民営化や、指定管理者制度への移行など、経営形態の見直しが進められている分野でもある。
貯水槽(ちょすいそう)
  • 意味
    • 水を貯めておくための水槽。行政分野では、主に、水道水をビルやマンションの屋上などに設置された水槽に一度貯めてから、各戸に給水する「受水槽」や、災害時の飲料水や生活用水を確保するための「緊急貯水槽」などを指す。
  • 歴史・経過
    • 受水槽方式の場合、その衛生管理の責任は、水道事業者(市町村など)ではなく、設置者(建物の所有者)が負うことになる。このため、水道法に基づき、設置者には、定期的な清掃や水質検査が義務付けられている。

通学(つうがく)
  • 意味
    • 児童・生徒が、居住地から、在籍する学校へ通うこと。
  • 歴史・経過
    • 市町村の教育委員会は、学校教育法施行令に基づき、その区域内に住所を有する学齢児童・生徒が就学すべき学校を指定し、保護者に通知する。この際の学校の指定は、通学距離などを考慮して設定された「通学区域」(学区)に基づいて行われるのが一般的。
通学路(つうがくろ)
  • 意味
    • 児童・生徒が、集団で、または個人で、自宅と学校の間を日常的に往復する道路のこと。
  • 歴史・経過
    • 子どもたちを交通事故から守るため、特に安全確保が必要な道路として、学校、保護者、地域住民、警察、道路管理者(市町村など)が連携して、合同点検や危険箇所の改善(歩道の設置、防犯カメラの設置、グリーンベルトの表示など)に取り組んでいる。
通貨(つうか)
  • 意味
    • 社会で、決済手段や価値の尺度、価値の貯蔵手段として、広く流通しているもの。日本では、日本銀行が発行する紙幣(日本銀行券)と、政府が発行する硬貨(貨幣)を指す。
  • 歴史・経過
    • 地方公共団体の会計事務において、現金の出納や保管は、会計管理者が厳格に行わなければならない。近年は、行政サービスの効率化と住民の利便性向上のため、手数料や税金の支払いにおいて、キャッシュレス決済(クレジットカード、電子マネーなど)を導入する自治体が増えている。
通貨膨張(つうかぼうちょう)
  • 意味
    • 「インフレーション」の訳語の一つ。世の中に出回る通貨の量が増加し、物価が持続的に上昇し、通貨の価値が下落する経済現象。
  • 歴史・経過
    • 急激なインフレーションは、国民生活に大きな打撃を与えるため、政府・日本銀行は、金融政策や財政政策を通じて、物価の安定を図る。自治体も、物価高騰の影響を受ける住民や事業者に対し、独自の支援策(給付金、プレミアム付商品券など)を講じることがある。
通告(つうこく)
  • 意味
    • 口頭または文書で、相手方に告げ知らせること。行政分野では、特に、比較的軽微な交通違反(駐車違反、一時不停止など)をした者に対し、警察官が、反則金の納付を求める「交通反則通告制度」が知られる。
  • 歴史・経過
    • この制度は、軽微な違反を、刑事手続き(裁判)によらず、行政上の手続きで処理することで、警察、検察、裁判所の負担を軽減し、違反者の利益(前科がつかない)にも配慮するものである。
通信(つうしん)
  • 意味
    • 手紙、電話、インターネットなどを介して、情報や意思を伝え、知らせること。
  • 歴史・経過
    • 行政運営における、重要なインフラ。住民への情報伝達だけでなく、災害時における、行政機関間、および住民との間の、確実な通信手段の確保は、危機管理上の最重要課題の一つ。
通信秘密(つうしんのひみつ)
  • 意味
    • 電気通信(電話、インターネットなど)における、通信の内容、および、誰が誰と通信したか、という事実自体を、第三者に知られない権利。
  • 歴史・経過
    • 日本国憲法第21条で保障されている、表現の自由の一環とされる。電気通信事業法により、通信事業者は、通信の秘密を侵してはならないと定められている。行政機関であっても、令状なしに通信内容を傍受することは、原則として許されない。
通知(つうち)
  • 意味
    • 行政機関が、特定の相手方に対し、特定の事実や意思を知らせる行為。
  • 歴史・経過
    • 法律上の効果を伴うもの(例:課税処分通知、許可通知)と、伴わない単なる事実の連絡がある。特に、住民の権利義務に直接影響を及ぼす通知は、文書の送達によって、確実に行われなければならない。
通達(つうたつ)
  • 意味
    • 上級の行政機関が、下級の行政機関や職員に対し、法令の解釈や運用方針、事務処理の具体的な基準などを示すために発する、行政組織内部の文書。
  • 歴史・経過
    • 訓令の一種。法律や政令のような、国民を直接拘束する法的な効力はないが、下級機関はこれに従って事務を行うため、事実上、行政の運用を方向づける重要な役割を持つ。通達の内容が、裁判で、行政の裁量権の逸脱・濫用を判断する基準となることもある。
通帳(つうちょう)
  • 意味
    • 金融機関が、預金者に対し、預金の受入れや払戻しなどの取引履歴を記録して交付する冊子。
  • 歴史・経過
    • 行政手続きにおいて、本人確認や資力確認のため、通帳の写しの提出を求められることがある(例:生活保護の申請)。また、児童手当や年金などの公的な給付は、原則として、受給者が指定する金融機関の口座(通帳)への振込みによって行われる。
通夜(つや)
  • 意味
    • 葬儀・告別式の前夜に、近親者や親しい人々が集まり、故人の霊を慰め、最後の夜を過ごす儀式。
  • 歴史・経過
    • 公務員が、親族の死去に伴い、通夜や葬儀に参列する場合、多くの自治体では、条例に基づき、特別休暇(忌引休暇)を取得することができる。
通訳(つうやく)
  • 意味
    • 異なる言語を話す人々の間で、一方の言葉をもう一方の言葉に訳し、意思の疎通を仲介すること。また、その人。
  • 歴史・経過
    • 外国人住民の増加に伴い、自治体の窓口業務、相談業務、災害時の情報提供などにおいて、多言語対応の必要性が高まっている。自治体が、通訳者を非常勤職員として雇用したり、外部の通訳サービスに委託したり、タブレット端末を活用した遠隔通訳を導入したりするなどの取り組みが進んでいる。
通用(つうよう)
  • 意味
    • 広く世間に認められ、行われること。金銭や切符などが、効力を持って使用されること。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法において、職員は、その職の信用を傷つけ、または、職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならないと定められている(信用失墜行為の禁止)。この「信用」とは、「公務に対する社会の信頼」であり、公務員は、勤務時間外であっても、社会一般に通用する良識ある行動が求められる。
使い込み(つかいこみ)
  • 意味
    • 他人の金や、自分が管理を任されている公の金銭を、自分の個人的な目的のために、勝手に使うこと。横領。
  • 歴史・経過
    • 公務員による公金の使い込みは、住民の信頼を著しく損なう、極めて悪質な非違行為であり、懲戒免職などの厳しい処分が科されるとともに、刑法の業務上横領罪などで刑事告発される対象となる。
月次(つきなみ・げつじ)
  • 意味
    • 毎月、決まって行われること。月ごと。
  • 歴史・経過
    • 行政機関では、毎月の歳入・歳出の状況を取りまとめる「月次会計報告」や、事業の進捗状況を確認するための「月例会議」など、業務の計画的な遂行と管理のために、月次のサイクルで実施される業務が多くある。
月割り(つきわり)
  • 意味
    • 年額で定められている料金や税金などを、12で割って、月単位の金額を算出すること。また、年度の途中で加入・脱退した場合などに、加入月数に応じて金額を計算すること。
  • 歴史・経過
    • 例えば、軽自動車税(種別割)は、4月1日現在の所有者に年額で課税されるが、年度の途中で廃車にした場合でも、月割りでの還付(返金)は行われない。一方で、年度途中で新規登録した場合は、その翌月から月割りで課税される。
つくば市(つくばし)
  • 意味
    • 茨城県の南西部に位置する市。筑波研究学園都市として知られる、日本を代表する科学技術の拠点都市。
  • 歴史・経過
    • 国の主導で、国の研究・教育機関などを計画的に移転・集積させて、1960年代から建設が進められた。2000年からは、特例市(当時)、2007年からは中核市に指定されている。
辻(つじ)
  • 意味
    • 道が十字に交差している場所。十字路。
  • 歴史・経過
    • 交通の要衝であり、多くの人が行き交う場所であることから、古くから、道しるべや、高札場(幕府や領主からの法令などを掲示する場所)、地蔵などが置かれた。現代の行政においては、交差点(辻)の安全対策(信号機、横断歩道、隅切りなど)が、交通安全行政の重要なポイントとなる。
津波(つなみ)
  • 意味
    • 海底で発生した地震や火山活動などにより、海底の地形が急激に変化することで、海水が大きな波となって、沿岸に押し寄せる現象。
  • 歴史・経過
    • 東日本大震災(2011年)では、巨大な津波により、甚大な被害が発生した。この教訓から、津波対策の特別措置法が制定され、最大クラスの津波を想定した、ハード(防潮堤など)・ソフト(避難計画、津波ハザードマップ、避難訓練など)一体の「多重防御」による対策が進められている。
吊り橋(つりばし)
  • 意味
    • 橋の形式の一つで、塔と塔の間に渡したメインケーブルから、鉛直に垂らしたハンガーロープで、橋桁を吊り下げて支える構造の橋。
  • 歴史・経過
    • 長い距離(支間長)を跨ぐことが可能で、雄大な景観を持つ。行政が、道路や歩道橋として建設・管理する。点検や維持管理においては、風による振動や、ケーブルの腐食などに、特に注意が必要となる。
ツール(つーる)
  • 意味
    • 道具、工具、手段。
  • 歴史・経過
    • 行政の分野でも、特定の目的を達成するための手段や手法を指して、広く使われる。例えば、「合意形成のためのツール」「業務効率化のためのICTツール」「政策評価の分析ツール」などがある。
ツール・ド・フランス(つーる・ど・ふらんす)
  • 意味
    • 毎年7月に、フランスおよびその周辺国を舞台にして、約3週間にわたって行われる、世界で最も権威のある自転車ロードレース大会。
  • 歴史・経過
    • 直接的な行政用語ではないが、近年、地方創生の手段として、自転車を活用したまちづくり(サイクルツーリズム)が注目されており、その先進事例として、行政の企画担当者などが参考にすることがある。自治体が、公道を使用して、大規模な自転車レースを誘致・開催することもある。
ツイッター(ついったー)
  • 意味
    • 短文の投稿を共有する、インターネット上の情報サービス。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の一種。現在は「X(エックス)」に名称が変更されている。
  • 歴史・経過
    • 情報の即時性・拡散性が高いことから、多くの国・地方公共団体が、公式アカウントを開設し、災害情報、イベント情報、各種のお知らせなどの発信に活用している。住民との双方向のコミュニケーションツールとしての可能性も持つ。
塚(つか)
  • 意味
    • 土を小高く盛り上げた場所。墓や、古墳などを指すことが多い。
  • 歴史・経過
    • 文化財保護法において、古墳などの「塚」は、「記念物」の中の「史跡」として、保護の対象となることがある。史跡に指定されると、その現状を変更したり、保存に影響を及ぼす行為をしたりするには、文化庁長官の許可が必要となる。
追加議案(ついかぎあん)
  • 意味
    • 議会の会期の途中で、当初提出されていた議案に加えて、新たに追加で提出される議案のこと。
  • 歴史・経過
    • 議会の開会後に発生した、緊急に対応が必要な事案(災害復旧のための補正予算など)や、人事案件(副知事・副市町村長の選任同意など)が、追加議案として提出されることが多い。提出には、議会の同意が必要となる。
追徴(ついちょう)
  • 意味
    • 税金の申告漏れや、不正な受給などがあった場合に、不足していた金額に加えて、さらに金銭を徴収すること。
  • 歴史・経過
    • 税務調査などで、申告された所得が実際より少なかったことが判明した場合、本来納めるべきだった税額との差額(追徴税額)を納付しなければならない。この際、ペナルティとして、過少申告加算税や延滞税などが合わせて課される。

定員(ていいん)
  • 意味
    • その組織や施設に、収容または所属することが認められている、最大限の人員数。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、主に2つの意味で使われる。一つは、地方公共団体の職員の総数を定めた「職員定員」であり、地方自治法に基づき、条例で定められる(定員条例)。もう一つは、保育所や公営住宅などの施設ごとに入所・入居できる上限人数(利用定員)である。
定款(ていかん)
  • 意味
    • 社団法人や財団法人、株式会社などの法人の目的、組織、活動、構成員などに関する、基本的な規則を定めた文書のこと。法人の「憲法」ともいえる。
  • 歴史・経過
    • NPO法人や社会福祉法人、土地改良区などの認可法人を設立する際には、所管する行政庁(都道府県や市町村など)に定款を提出し、その内容が法令に適合しているかの審査を受け、認可を得る必要がある。
定義(ていぎ)
  • 意味
    • ある言葉や物事の意味・内容を、他の言葉や物事と区別できるように、明確に限定して定めること。また、その定められた内容。
  • 歴史・経過
    • 法律や条例では、その法令の中で使われる重要な用語の意味を明確にし、解釈のブレを防ぐために、冒頭の条文(総則)に「定義規定」が置かれることが多い。例えば、災害対策基本法第2条には「災害」「防災」などの用語の定義が定められている。
定期監査(ていきかんさ)
  • 意味
    • 地方公共団体の監査委員が、毎会計年度、少なくとも1回以上、期日を定めて、その自治体の財務に関する事務の執行や、経営に係る事業の管理について行う、定例の監査。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法第199条に定められた、監査委員の最も基本的かつ中心的な職務。監査の結果は、議会や首長に報告され、住民に公表される。
定住(ていじゅう)
  • 意味
    • 特定の場所に住所を定め、そこを生活の本拠として、継続的に住み続けること。
  • 歴史・経過
    • 人口減少や東京一極集中が課題となる中、多くの自治体が、移住(他の地域から移り住むこと)の促進と、その後の定住の支援を、地方創生の重要な柱として位置づけている。住宅取得への補助、就業支援、子育て支援など、定住を促すための様々な施策が講じられている。
手当(てあて)
  • 意味
    • 基本給(給料)とは別に、特定の理由や目的に基づいて、追加で支給される金銭。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員の給与は、給料と諸手当で構成される。諸手当には、扶養手当、通勤手当、住居手当といった生活補助的なもの、期末手当・勤勉手当といった賞与的なもの、時間外勤務手当などの勤務の対価としてのものなど、様々な種類がある。
手続き(てつづき)
  • 意味
    • 物事を行う際の、定められた順序や方式。行政分野では、住民が、許認可の申請や届出を行ったり、行政機関が、処分や行政指導を行ったりする際の、一連のプロセスを指す。
  • 歴史・経過
    • 行政手続法や、各自治体の行政手続条例は、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、国民・住民の権利利益を保護することを目的として、許認可の審査基準や標準処理期間の設定・公表、不利益処分を行う際の聴聞などの手続きを定めている。
デュー・プロセス(でゅー・ぷろせす)
  • 意味
    • 「適正な法の手続き」のこと。国家が、個人の生命、自由、財産を奪う場合には、必ず、公平で、公正な、法律に定められた手続きを踏まなければならない、という近代憲法の基本原則。
  • 歴史・経過
    • 日本国憲法第31条にその規定がある。行政手続きにおいては、行政手続法が、不利益処分を行う際の、事前の通知や、聴聞・弁明の機会の付与などを定めているのが、このデュー・プロセスの保障を具体化したものといえる。
デジタル化(でじたるか)
  • 意味
    • 物理的な情報や、従来アナログな手法で行われてきた業務プロセスを、デジタル技術(コンピュータ技術)を活用して、電子的な情報(デジタルデータ)に変換し、取り扱えるようにすること。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、紙の書類を電子化するペーパーレス化、窓口手続きをインターネットで行うオンライン申請、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した業務の自動化など、住民の利便性向上と、行政の業務効率化を目指す取り組みが、国・地方を挙げて強力に推進されている。
デジタル・デバイド(でじたる・でばいど)
  • 意味
    • 「情報格差」のこと。パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器を利用できる能力や機会の有無によって、得られる情報の質や量、あるいは行政サービスや社会参加の機会に、格差が生じること。
  • 歴史・経過
    • 行政のデジタル化が進む一方で、高齢者や障害者、地理的条件が不利な地域に住む人々などが、その恩恵から取り残される懸念がある。このため、自治体では、スマートフォン教室の開催や、情報機器の貸与、公衆無線LANの整備など、デジタル・デバイドの是正に向けた取り組みが重要な課題となっている。
デジタル田園都市国家構想(でじたるでんえんとしこっかこうそう)
  • 意味
    • デジタル技術の活用により、地方の社会課題(人口減少、高齢化、産業空洞化など)を解決し、都市の利便性と地方の豊かさを両立させ、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指す、国の成長戦略。
  • 歴史・経過
    • 2021年(令和3年)に岸田内閣の重要政策として打ち出された。地方における、テレワーク環境の整備、自動配送、遠隔医療・教育、スマート農業などの取り組みを、国の交付金などで支援し、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」の実現を目指す。

答申(とうしん)
  • 意味
    • 審議会などの諮問機関が、行政機関(首長など)からの諮問(調査・審議の依頼)を受けて審議した結果を、取りまとめて報告すること。また、その報告書。
  • 歴史・経過
    • 諮問機関は、専門的・中立的な立場から、あるいは多様な民意を反映して審議を行い、その結論を答申としてまとめる。諮問した行政機関は、この答申を最大限尊重して、政策の最終的な意思決定を行うことが求められる。
答案(とうあん)
  • 意味
    • 試験問題に対する答え。また、その答えを書いた用紙。
  • 歴史・経過
    • 公務員採用試験において、受験者の答案は、受験者の能力や適性を公平・公正に評価するための最も基本的な資料となる。個人情報保護と試験の公正性の観点から、その管理は厳格に行われ、一定期間保存された後に廃棄される。
当該(とうがい)
  • 意味
    • 今、話題になっている、まさにそのもの。「その」「問題の」といった意味で、前に述べられた特定の物事を指し示すために使われる、法律や公用文特有の言葉。
  • 歴史・経過
    • 例えば、「市は、申請があったときは、当該申請の内容を審査し…」というように、直前に出てきた特定の対象を、繰り返しを避けて明確に示すために用いられる。日常会話ではあまり使われない硬い表現。
登記(とうき)
  • 意味
    • 土地や建物などの不動産に関する権利(所有権、抵当権など)や、会社などの法人に関する重要事項(商号、役員、目的など)を、法務局に備えられた公の帳簿(登記簿)に記録し、社会に公示する制度。
  • 歴史・経過
    • 不動産取引の安全や、会社の信用を維持するために不可欠な制度。行政分野では、市町村が固定資産税を課税する際に、法務局から提供される登記情報が、土地・家屋の所有者を把握するための基礎資料となる。
統計(とうけい)
  • 意味
    • 社会集団の状況を、調査によって数量的に把握すること。また、その結果として得られた数値データ。
  • 歴史・経過
    • 統計法に基づき、国が行う「国勢調査」や「経済センサス」などが、最も重要な「基幹統計」として位置づけられている。これらの統計は、国や地方公共団体の政策立案、学術研究、民間企業のマーケティングなど、社会のあらゆる場面で基礎的な情報として活用される。
統合(とうごう)
  • 意味
    • 二つ以上のものを、合わせて一つにすること。
  • 歴史・経過
    • 行政改革において、類似の機能を持つ複数の部署や、近接する複数の公共施設(例:小中学校の統廃合、公民館と図書館の複合化など)を統合し、組織のスリム化や、施設の効率的な運営を目指す取り組みが進められている。
当初予算(とうしょよさん)
  • 意味
    • 一会計年度の、開始前に編成され、議会の議決を経て成立する、その年度の基本的な予算のこと。「本予算」ともいう。
  • 歴史・経過
    • その年度の行政運営の根幹をなす計画であり、通常、前年度の秋から編成作業が始まり、2月または3月の定例会で審議・議決される。年度の途中で、当初予算に変更を加える必要が生じた場合は、「補正予算」が編成される。
投書(とうしょ)
  • 意味
    • 新聞社や行政機関などに対し、自分の意見や要望などを書いた手紙やメールを送り届けること。
  • 歴史・経過
    • 住民が、行政に対して意見を表明する、最も手軽な手段の一つ。「市長への手紙」や「広聴ボックス」といった制度を設け、広く住民からの投書を受け付け、施策の改善や立案に活かしている自治体も多い。
答弁(とうべん)
  • 意味
    • 議会などにおいて、議員からの質問に対し、首長や教育長、部長などの執行機関の側が、公式に回答・説明すること。
  • 歴史・経過
    • 議会の質疑応答における、行政側の発言。答弁の内容は、その時点での行政の公式な見解や方針を示すものであり、議事録に記録される。議員の質問の意図を正確に理解し、誠実かつ分かりやすく答えることが、執行機関の説明責任を果たす上で重要となる。
同報無線(どうほうむせん)
  • 意味
    • 「防災行政無線」の通称。市町村が、災害発生時などに、住民に対し、避難情報や災害情報などの緊急情報を、一斉に、かつ確実に伝達するために整備・運用する、無線通信システム。
  • 歴史・経過
    • 主に、屋外に設置されたスピーカー(拡声子局)から、音声で情報を放送する。近年は、難聴地域の解消のため、各世帯に配布する戸別受信機の導入や、放送内容を電話やメール、SNSで確認できるサービスの提供も進んでいる。
討論(とうろん)
  • 意味
    • 議会などにおいて、議案の採決の前に、議員が、その議案に対して賛成か反対かの自己の意見を表明し、他の議員に賛同を求めるために行う演説。
  • 歴史・経過
    • 議案の論点を明らかにする「質疑」とは区別される、最終的な意思表明の場。通常、反対討論と賛成討論が、交互に行われる。
道路(どうろ)
  • 意味
    • 人や車両が通行するための、地上の通路。
  • 歴史・経過
    • 道路法に基づき、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道の4種類に分類され、それぞれ国、都道府県、市町村が道路管理者として、整備や維持管理を行う。日常生活や経済活動を支える、最も基本的な社会資本(インフラ)である。
道路占用(どうろせんよう)
  • 意味
    • 道路上に、電柱、ガス管、工事用の足場など、道路法で定められた特定の物件を、継続して設置し、使用すること。
  • 歴史・経過
    • 道路は、本来、一般の交通のために利用されるものであるため、特定の者が独占的に使用する「占用」を行うには、道路管理者(国、都道府県、市町村)の許可(道路占用許可)が必要となる。許可を受けた者は、条例で定められた占用料を納付しなければならない。
届出(とどけで)
  • 意味
    • 法令の規定に基づき、特定の事実(出生、死亡、婚姻、転入、建築など)が生じたことを、行政庁に届け出る行為。
  • 歴史・経過
    • 行政庁が、その届出を受理することで、法的な効果が発生するもの(例:婚姻届)と、届出自体は、単に事実を報告する行為であり、行政庁の受理という行為を必要としないものがある。
都道府県(とどうふけん)
  • 意味
    • 市町村を包括する、広域的な地方公共団体のこと。都、道、府、県の総称。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に定められた普通地方公共団体。市町村の区域を越える広域的な事務(広域的な道路・河川の管理、高校の設置など)、市町村に関する連絡調整事務、市町村が処理するには規模や専門性が大きすぎる事務(警察、保健所の一部業務など)を、主に担う。
どの(どの)
  • 意味
    • 主に男性の名前に付けて、敬意を表す言葉。
  • 歴史・経過
    • かつて、行政機関が住民に送付する通知書などでは、宛名に「様」ではなく「殿」が広く用いられてきた。しかし、近年、目下の人に使う印象があることや、男女を問わず使える「様」に統一する方が望ましいとの考えから、多くの自治体で「殿」の使用を取りやめ、「様」に切り替える動きが進んでいる。
土木(どぼく)
  • 意味
    • 道路、橋、鉄道、河川、港湾、ダム、上下水道など、社会生活の基盤となる構造物(インフラ)を、建設・維持管理する技術や事業分野のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政の最も重要な役割の一つ。地方公共団体では、専門の技術職(土木職)が、これらの公共事業の計画、設計、積算、工事監理などを担っている。
土壌(どじょう)
  • 意味
    • 地表を覆う、岩石の風化物と、動植物の遺骸が分解されてできた有機物の混合物。土。
  • 歴史・経過
    • 土壌は、食料生産の基盤であり、水質の浄化や、生物の生息場所など、多様な機能を持つ。行政は、土壌汚染対策法に基づく汚染対策のほか、農地の保全、森林の育成、建設発生土のリサイクルなどを通じて、健全な土壌環境の保全に努めている。
土壌汚染(どじょうおせん)
  • 意味
    • 工場の操業などに伴って、鉛、ヒ素、トリクロロエチレンなどの有害物質が、土壌や地下水に浸透し、蓄積されること。
  • 歴史・経過
    • 人の健康に被害を及ぼすおそれがあるため、土壌汚染対策法に基づき、土地の所有者などには、汚染状況の調査や、汚染の除去などの措置が義務付けられている。都道府県知事は、汚染された土地を「要措置区域」などに指定し、管理する。
土砂災害(どしゃさいがい)
  • 意味
    • 大雨や地震などを引き金として、山やがけが崩れたり、土や石が水と混じって流れ下ったりして、人命や財産に被害を及ぼす災害の総称。主に、「がけ崩れ」「地すべり」「土石流」の3種類がある。
  • 歴史・経過
    • 「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)」に基づき、都道府県は、土砂災害のおそれのある区域を「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」や「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」に指定し、市町村は、これらの区域の住民に対し、ハザードマップの配布や、避難情報の伝達などを行う。
図書館(としょかん)
  • 意味
    • 図書、記録その他必要な資料を収集・整理・保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーションなどに資することを目的とする施設。
  • 歴史・経過
    • 図書館法に基づき、地方公共団体が設置する「公立図書館」と、民間が設置する「私立図書館」がある。公立図書館は、入館料その他資料の利用に対する対価を徴収してはならない(入館料無料の原則)と定められている。
都市計画(としけいかく)
  • 意味
    • 都市の健全な発展と、秩序ある整備を図るための、土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画のこと。
  • 歴史・経過
    • 都市計画法に基づき、都道府県または市町村が決定する。市街化区域・市街化調整区域の「区域区分(線引き)」、住居地域・商業地域・工業地域などの「用途地域」、道路・公園・下水道などの「都市施設」の決定などが、その主な内容である。
都市計画税(としけいかくぜい)
  • 意味
    • 都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てるために、市街化区域内に所在する土地・家屋の所有者に対して、市町村が課税する目的税。
  • 歴史・経過
    • 固定資産税とあわせて徴収される。すべての市町村で課税されるわけではなく、都市計画事業などを実施している市町村が、条例で課税することを定めている場合にのみ課税される。税率の上限は0.3%と定められている。
土地開発公社(とちかいはつこうしゃ)
  • 意味
    • 地方公共団体が、地域の秩序ある整備を図るために、公有地の取得、管理、処分などを行わせることを目的として、全額出資して設立する、特別法上の法人。
  • 歴史・経過
    • 「公有地の拡大の推進に関する法律(公拡法)」に基づき、1972年(昭和47年)に制度が創設。公共事業用地の先行取得などを担ってきたが、バブル経済の崩壊後、所有地の塩漬けや、多額の借入金が、地方財政を圧迫する要因となり、多くの公社で、解散や事業の見直しが進められている。
土地改良区(とちかいりょうく)
  • 意味
    • 農業用の用排水施設の管理や、農地の区画整理(ほ場整備)など、土地改良事業を行うことを目的として、土地改良法に基づき、農家の申請によって設立される、農家の協同組織。
  • 歴史・経過
    • 都道府県知事の認可を受けて設立される法人であり、公共組合としての性格を持つ。事業にかかる費用は、国や地方公共団体の補助金と、組合員である農家からの賦課金で賄われる。
土地区画整理事業(とちくかくせいりじぎょう)
  • 意味
    • 公共施設が不十分な市街地などにおいて、土地の所有者から、その土地の一部を少しずつ提供してもらい(減歩)、それを道路、公園、広場などの公共施設の用地に充てるとともに、残りの土地(宅地)を、整形し、使いやすくして、元の所有者に再配分する(換地)、総合的なまちづくり事業。
  • 歴史・経過
    • 土地区画整理法に基づき、主に、地権者が設立する組合や、地方公共団体が施行者となって実施される。大規模な用地買収を必要とせずに、都市基盤整備と宅地環境の向上を一体的に進めることができるのが特徴。
特例市(とくれいし)
  • 意味
    • かつて存在した大都市制度の一つで、人口20万人以上の市のうち、政令で指定されたもの。
  • 歴史・経過
    • 1999年(平成11年)に創設された。中核市よりも権限は小さいが、都道府県の事務の一部が移譲された。2014年の地方自治法改正により、中核市制度に統合される形で廃止され、2020年4月1日をもって、すべての特例市が中核市へ移行した。
特別会計(とくべつかいけい)
  • 意味
    • 地方公共団体が、特定の事業(国民健康保険、介護保険、下水道事業など)を行う場合に、その事業の収支を、一般の行政経費と区別して、独立して経理するために、条例で設置する会計。
  • 歴史・経過
    • 行政運営の基本経費を網羅する「一般会計」と対をなす。特定の歳入(保険料、使用料など)を、特定の歳出(保険給付、事業費など)に充てることで、事業ごとの収支関係を明確にし、効率的な運営を図ることを目的とする。
特別区(とくべつく)
  • 意味
    • 東京都の区部(23区)を構成する、市に準ずる基礎的な地方公共団体のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法上の「特別地方公共団体」の一種。住民の直接選挙で選ばれる区長と区議会を持ち、条例制定権や課税権を有するなど、政令指定都市の「行政区」とは異なり、独立した自治体としての性格が強い。ただし、上下水道や消防などは、東京都が一体的に処理する。
特別職(とくべつしょく)
  • 意味
    • 地方公務員のうち、地方公務員法の服務規律や身分保障などの規定が、原則として適用されない、特別な任用関係にある職のこと。
  • 歴史・経過
    • 選挙によって選ばれる首長や議員のほか、副知事・副市町村長、教育長、各種行政委員会の委員、監査委員、非常勤の顧問や参与などが、法律で定められている。これに対し、一般的な職員を「一般職」という。
特別徴収(とくべつちょうしゅう)
  • 意味
    • 地方税の徴収方法の一つで、納税義務者から直接税金を徴収する「普通徴収」に対し、納税義務者に給与や所得を支払う者(事業者など)が、その支払いの際に税金を天引きし、納税義務者に代わって、市町村に納入する方法。
  • 歴史・経過
    • 個人住民税における、給与所得者からの徴収(給与からの天引き)が典型例。納税者の納付の手間を省くとともに、市町村にとっては、税収を安定的に、かつ効率的に確保できるというメリットがある。
特命(とくめい)
  • 意味
    • 特別に命じられた任務のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政組織において、通常の分掌事務とは別に、特定の重要な課題(例:大規模イベントの準備、新たな重要政策の企画立案など)に対応するため、部署を横断して、あるいは特任の担当者(特命担当課長など)を置いて、集中的に取り組むことがある。
特定非営利活動法人(とくていひえいりかつどうほうじん)
  • 意味
    • 「特定非営利活動促進法(NPO法)」に基づき、所轄庁(都道府県または指定都市)の認証を受けて設立される法人。ボランティア活動をはじめとする、市民が行う自由な社会貢献活動の健全な発展を促進することを目的とする。通称「NPO法人」。
  • 歴史・経過
    • 1995年の阪神・淡路大震災でのボランティア活動の活発化を背景に、1998年(平成10年)にNPO法が制定された。福祉、教育、まちづくり、環境保全など、20の特定分野での非営利活動を行う団体が、簡易な手続きで法人格を取得できるようになった。
独立行政法人(どくりつぎょうせいほうじん)
  • 意味
    • 国の行政機関が行っていた事務・事業のうち、一定のものを分離し、より効率的・効果的に実施するために、個別の法律に基づいて設立される法人のこと。
  • 歴史・経過
    • 中央省庁等改革の一環として、2001年度(平成13年度)から制度が開始された。国民生活・社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施される必要のある事務・事業で、国が自ら主体となって直接実施する必要のないものが対象となる。国立公文書館や、国民生活センター、造幣局などがこれにあたる。
トップダウン(とっぷだうん)
  • 意味
    • 組織の上層部(トップ)が意思決定を行い、それを下部組織に指示・命令して実行させる、上意下達の管理方式。
  • 歴史・経過
    • 迅速な意思決定や、組織としての一体的な行動が可能になるというメリットがある。一方で、現場の実情や、多様な意見が反映されにくいというデメリットもある。住民参加や職員の自発性を重視する「ボトムアップ」方式と対比される。

内示(ないじ)
  • 意味
    • 正式な辞令や通知を出す前に、関係者だけに、内々(非公式)にその内容を知らせること。
  • 歴史・経過
    • 行政の人事異動において、正式な発表(発令)の数日前から数週間前に、本人や関係部署の上司に対して行われるのが通例。これにより、職員は心の準備や、後任者への事務の引継ぎを円滑に進めることができる。内示の段階では、まだ正式な決定ではないため、外部への公表は厳禁とされる。
内水(ないすい)
  • 意味
    • 市街地などに短時間で強い雨が降った際に、下水道や排水路の能力を超えてしまい、雨水を河川に排出しきれずに、マンホールや側溝から水があふれて、浸水すること。「内水氾濫」ともいう。
  • 歴史・経過
    • 大きな河川が堤防を越えてあふれる「外水氾濫」と区別される。都市化の進展により、地面がコンクリートなどで覆われ、雨水が地中に浸透しにくくなったことが、内水氾濫のリスクを高めている。このため、雨水貯留浸透施設の整備などが重要な対策となる。
内線(ないせん)
  • 意味
    • 庁舎内や、関連施設の間だけで、相互に通話できるように設置された、専用の電話回線網のこと。また、その電話機や、個別の電話番号(内線番号)。
  • 歴史・経過
    • 外部の公衆電話網を通さずに通話できるため、通話料がかからず、職員間の円滑なコミュニケーションを支える基本的なインフラ。近年は、IP電話技術を利用した、より多機能な内線電話システム(部署間の転送、不在応答など)の導入が進んでいる。
内諾(ないだく)
  • 意味
    • 正式な承諾や決定の前に、内々(非公式)に、同意・承諾の意向を示すこと。
  • 歴史・経過
    • 行政機関の間での協議や、人事に関する調整などにおいて、正式な手続きに入る前に、関係者の意向を確認し、円滑な合意形成を図るために行われる。内示と同様、あくまで非公式なものであり、変更される可能性も含む。
縄張り(なわばり)
  • 意味
    • 自分の勢力が及ぶ範囲。行政分野では、各省庁や、自治体の各部局が、それぞれに所管する権限や事務の範囲(所管)を指す、やや俗な言葉。
  • 歴史・経過
    • 「縦割り行政」の弊害として、各組織が、自らの縄張りを守ることに固執し、他の組織との連携を拒んだり、権限を争ったりする「縄張り争い」が起きることが、効率的な行政運営を阻害する要因として、しばしば批判される。
南海トラフ巨大地震(なんかいとらふきょだいじしん)
  • 意味
    • 日本の南海トラフ沿いの広い震源域で、過去100年~150年間隔で繰り返し発生してきた、マグニチュード8から9クラスの巨大地震。将来の発生が確実視されており、甚大な被害が想定されている。
  • 歴史・経過
    • 「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」に基づき、国が、津波からの避難や、建物の耐震化などを、特に重点的に推進すべき地域(南海トラフ地震防災対策推進地域)を指定している。対象となる自治体は、具体的な対策計画の策定が義務付けられる。
軟弱地盤(なんじゃくじばん)
  • 意味
    • 粘土やシルトなどを主成分とする、水分を多く含んだ、軟らかく、締まっていない地盤のこと。地震の際には、揺れが大きくなったり(増幅)、液状化したりしやすく、建物を建てる際には、杭を打つなどの特別な基礎工事が必要となる。
  • 歴史・経過
    • 河川の河口部や、埋立地などに多く分布する。自治体は、ハザードマップなどを通じて、軟弱地盤の分布状況を住民に周知するとともに、公共施設の建設にあたっては、十分な地盤調査と、適切な対策工法を選定する必要がある。
ナンバープレート(なんばーぷれーと)
  • 意味
    • 自動車の前面と後面に取り付けられている、車両を識別するための標識。「自動車登録番号標」が正式名称。
  • 歴史・経過
    • 道路運送車両法に基づき、運輸支局または自動車検査登録事務所が交付する。その車両が、登録・検査を受け、保安基準に適合していることを示す。地方税である「自動車税(種別割)」や「軽自動車税(種別割)」の課税においても、この登録情報が基礎となる。近年、地域の風景や観光名所をデザインした「地方版図柄入りナンバープレート」も導入されている。
ナショナル・トラスト(なしょなる・とらすと)
  • 意味
    • 国民的な信頼(ナショナル・トラスト)に基づき、市民からの寄附や会費によって、貴重な自然環境や、歴史的な建造物を買い取り、保全・管理していく、民間の環境保護活動・団体。
  • 歴史・経過
    • 19世紀末にイギリスで始まった。日本では、1964年(昭和39年)に設立された「鎌倉風致保存会」がその草分けとされる。行政の手が届きにくい、きめ細かな環境保全活動を担う、協働のパートナーとして、自治体が連携・支援することもある。
ナショナル・ミニマム(なしょなる・みにまむ)
  • 意味
    • 国民が、健康で文化的な生活を送るために、国が保障すべき、最低限度の生活水準(ナショナル・ミニマム)のこと。
  • 歴史・経過
    • この理念は、日本国憲法第25条の生存権の保障に具体化されている。地方自治の分野では、全国のどの地域に住んでいても、一定水準の行政サービスが受けられるよう、地方交付税制度によって、自治体間の財政力格差の調整が行われている。
夏休み(なつやすみ)
  • 意味
    • 夏季に設けられる、比較的長期の休みのこと。
  • 歴史・経過
    • 学校教育法に基づき、公立学校の夏休み(夏季休業日)の期間は、市町村や都道府県の教育委員会が定める。また、公務員についても、夏季に、通常の年次有給休暇とは別に、数日間の特別休暇(夏季休暇)を取得できる制度を設けている自治体が多い。
ナッジ(なっじ)
  • 意味
    • 英語で「ひじで軽く突く」という意味。行動経済学の知見に基づき、人々が、強制されたり、経済的なインセンティブを与えられたりすることなく、自発的に、より良い選択をするように、そっと後押しするような、仕掛けや工夫のこと。
  • 歴史・経過
    • 2010年代から、環境、健康、納税などの分野で、その有効性が注目されている。例えば、健診の案内状に「昨年受診した人の9割が、今年も受診を予約しています」といったメッセージを添えることで、受診率を向上させるなどの活用例がある。
生ごみ(なまごみ)
  • 意味
    • 家庭の台所から出る、調理くずや食べ残しなどの、水分を多く含んだごみのこと。
  • 歴史・経過
    • 一般廃棄物(可燃ごみ)の中で、大きな重量を占める。ごみの減量化と、焼却施設の負担軽減、温室効果ガス削減のため、各自治体では、生ごみの「水切り」の徹底を呼びかけるとともに、コンポスト(堆肥化容器)の購入助成や、生ごみ処理機の購入助成などを通じて、家庭でのリサイクルを推進している。

荷さばき(にさばき)
  • 意味
    • 貨物を、仕分けしたり、積み降ろししたり、一時的に保管したりする作業のこと。
  • 歴史・経過
    • 道路交通法において、貨物の積卸しのための停車で、5分を超えないものは「停車」として扱われ、駐車違反とはならない。しかし、都市部の道路上での荷さばきは、交通渋滞の大きな原因となるため、自治体では、共同荷さばきスペースの設置や、時間帯による規制など、円滑な物流と交通の両立を図るための対策を講じている。
日額(にちがく)
  • 意味
    • 1日あたりの金額。
  • 歴史・経過
    • 行政の分野では、公務員が出張する際に支給される「日当」(旅行中の雑費弁償)や、情報公開請求で文書の写しの交付を受ける際の手数料、非常勤職員の報酬などが、日額で定められていることがある。
日常生活用具(にちじょうせいかつようぐ)
  • 意味
    • 重度の障害のある人が、在宅で、安全かつ容易に日常生活を送れるようにするために、必要な用具のこと。
  • 歴史・経過
    • 障害者総合支援法に基づき、市町村が、障害のある人からの申請に基づき、その必要性を判断し、給付(現物支給または購入費の助成)を行う。特殊寝台、入浴補助用具、点字器、人工喉頭などが対象となる。
日直(にっちょく)
  • 意味
    • 休日や夜間などの、通常の勤務時間外に、庁舎に待機し、緊急の連絡や来客への対応、施設の管理などを行う、当番制の勤務のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政サービスの継続性を確保し、緊急事態に備えるための重要な業務。近年は、警備業務の外部委託化や、電話の自動応答システムの導入などにより、日直(宿直)体制を見直す自治体も増えている。
日当(にっとう)
  • 意味
    • 公務員が、公務のために旅行(出張)する際に、交通費や宿泊費とは別に、旅行中の食事代や、その他の雑費の弁償として支給される、定額の手当のこと。
  • 歴史・経過
    • 各自治体の旅費条例に基づき、職員の職務の級や、旅行先の区分(甲地、乙地など)に応じて、日額で定められている。
二元代表制(にげんだいひょうせい)
  • 意味
    • 地方自治において、住民が、その代表として、首長と、議会の議員の両方を、別々の選挙で、直接選ぶ制度のこと。
  • 歴史・経過
    • 議会(議決機関)と、首長(執行機関)が、それぞれ住民に対して直接責任を負い、相互に、独立・対等な立場で、牽制し、均衡(チェック・アンド・バランス)を保ちながら、自治体運営を行うという、地方自治の基本原則。
二重行政(にじゅうぎょうせい)
  • 意味
    • 基礎的な自治体である市町村と、それを包括する広域的な自治体である都道府県が、類似の施設を設置したり、同様の事業を実施したりするなど、役割分担が不明確で、非効率な行政運営が行われている状態。
  • 歴史・経過
    • 特に、政令指定都市とその所在する府県との間で、問題となることが多い。税金の無駄遣いにつながるとして、しばしば批判の対象となり、行政改革における重要な課題とされる。
認可(にんか)
  • 意味
    • 法令に基づき、第三者(私人や法人)が行う特定の法律行為(契約、法人の設立、定款の変更など)に対して、行政庁が、その内容が法令に適合していることを認め、その法律上の効力を完成させる、補充的な行政行為。
  • 歴史・経過
    • 認可がないと、その法律行為は法的な効力を生じない。例えば、社会福祉法人の設立、バス事業の運賃改定、農地の権利移転などは、それぞれ所管行政庁の「認可」が必要となる。「許可」が、禁止を解除する行為であるのに対し、「認可」は、すでに行われた行為を有効にする行為という違いがある。
認可地縁団体(にんかちえんだんたい)
  • 意味
    • 町内会や自治会、集落など、一定の区域に住む住民で構成される地縁による団体が、法人格を取得したい場合に、市町村長の認可を受けることで、法人格を得た団体のこと。
  • 歴史・経過
    • 1991年(平成3年)の地方自治法改正により創設された。従来、法人格を持てなかった町内会などが、この認可を受けることで、団体名義での不動産(集会所など)の登記が可能になり、財産管理が容易になった。
認知症(にんちしょう)
  • 意味
    • 様々な原因で脳の細胞が壊れたり、働きが悪くなったりしたために、記憶・判断力の障害などが起こり、意識障害はないものの、社会生活や対人関係に支障が出ている状態のこと。(厚生労働省の定義より)
  • 歴史・経過
    • 高齢化の進展に伴い、認知症高齢者の数は増加の一途をたどっている。2019年(令和元年)に「認知症施策推進大綱」が策定され、「共生」と「予防」を車の両輪として、国・地方が一体となった施策が進められている。地域包括支援センターが、地域の相談拠点となる。
認証(にんしょう)
  • 意味
    • ある行為や文書が、正当な手続きや権限に基づいて行われたことを、公の機関が証明すること。
  • 歴史・経過
    • 特定非営利活動促進法(NPO法)において、NPO法人を設立しようとする団体は、その定款などが法令に適合していることについて、所轄庁(都道府県や指定都市)の「認証」を受けなければならない。これは、行政が、団体の活動内容を保証するものではなく、あくまで、法人が設立するための要件を満たしていることを確認する行為である。
認定(にんてい)
  • 意味
    • 行政庁が、特定の事実や法律関係の存否について、公の権威をもって確認し、判断する行為。
  • 歴史・経過
    • 様々な場面で用いられる。例えば、介護保険制度における「要介護認定」、障害者総合支援法における「障害支援区分の認定」、議会が、決算の内容が適正であると認める「決算の認定」などがある。
認定こども園(にんていこどもえん)
  • 意味
    • 就学前の子どもに、幼児教育と保育を一体的に提供する施設で、幼稚園と保育所の両方の良いところを併せ持つ施設。「幼保連携型」「幼稚園型」「保育所型」「地方裁量型」の4つのタイプがある。
  • 歴史・経過
    • 2006年(平成18年)に制度が創設され、「子ども・子育て支援新制度」の中核施設として、その普及が図られている。保護者の就労状況にかかわらず、すべての子どもが教育・保育を受けられるとともに、地域の子育て支援の拠点としての役割も担う。
任意(にんい)
  • 意味
    • その人の自由な意思に任されていること。強制ではないこと。
  • 歴史・経過
    • 行政指導は、あくまで相手方の「任意」の協力を求める行為であり、従わないことを理由に不利益な取扱いをしてはならない、と行政手続法で定められている。また、住民が自主的に組織する自治会やNPOなどは、法律で設立が強制されない「任意団体」である。
任意代理(にんいだいり)
  • 意味
    • 本人が、自らの意思で、特定の者(代理人)に代理権を与え、自分に代わって法律行為(契約など)を行わせること。
  • 歴史・経過
    • 行政手続きにおいても、本人が、委任状を作成して、代理人に申請や届出を委任することができる。また、高齢化社会の進展を背景に、将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ本人が代理人を選んでおく「任意後見制度」の活用が重要となっている。
任意売却(にんいばいきゃく)
  • 意味
    • 税金や住宅ローンなどを滞納し、不動産が差押えられた場合に、競売(公売)によらず、債権者(行政や金融機関)の同意を得て、市場で、一般の不動産と同様に、自らの意思で売却すること。
  • 歴史・経過
    • 競売(公売)に比べて、市場価格に近い、より高い価格で売却できる可能性があり、売却後の残債務を減らせるメリットがある。税金の滞納整理において、滞納者の生活再建を支援する観点から、この手法が選択されることもある。
任期(にんき)
  • 意味
    • 特定の役職や地位に、就いていることが定められている期間。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法により、地方公共団体の長および議会の議員の任期は、いずれも4年と定められている。また、審議会の委員や、会計年度任用職員など、多くの職で、条例や規則、契約によって任期が定められている。
人口(じんこう)
  • 意味
    • 特定の地域に住んでいる、人間の総数。
  • 歴史・経過
    • 行政運営における、最も基礎的で重要なデータ。5年ごとに行われる「国勢調査」が、最も正確で詳細な人口統計であり、地方交付税の算定、選挙区の画定、各種の行政計画の策定など、あらゆる施策の基礎となる。
人口減少社会(じんこうげんしょうしゃかい)
  • 意味
    • 死亡数が出生数を上回り、人口が、長期的に、継続して減少していく社会のこと。
  • 歴史・経過
    • 日本は、世界に先駆けて、本格的な人口減少社会に突入した。税収の減少、社会保障制度の維持困難、地域コミュニティの活力低下、インフラの維持管理困難など、行政のあらゆる分野に深刻な影響を及ぼす、国家的な課題であり、「地方創生」は、この課題への対応策である。
任命(にんめい)
  • 意味
    • 特定の者を、特定の役職や職務に就かせること。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員の場合、採用、昇任、転任(配置換え)、降任、免職などの、職員の身分に関わる行為は、すべて、任命権者(首長、議会の議長、教育委員会など)による「任命」という行為によって行われる。
任命権者(にんめいけんじゃ)
  • 意味
    • 公務員の、採用、昇任、転任、免職などの、人事に関する権限(任命権)を持つ者のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法および地方公務員法により、原則として、地方公共団体の長が任命権者となる。ただし、法律で、副知事・副市町村長は長が議会の同意を得て任命する、教育長や委員は長が任命する、議会の事務局職員は議長が任命する、など、個別の規定が置かれている。
任用(にんよう)
  • 意味
    • 「任命」とほぼ同義で、特定の者を、特定の職に就かせること。特に、非常勤職員や、専門職などを、特定の期間や職務内容を定めて採用する場合に、「任用」という言葉が使われることが多い。
  • 歴史・経過
    • 会計年度ごとに任用される「会計年度任用職員」制度が、2020年度から導入された。これにより、非常勤職員の身分や勤務条件が、より明確化された。

盗み(ぬすみ)
  • 意味
    • 他人の財物を、ひそかに盗み取ること。窃盗。
  • 歴史・経過
    • 刑法上の窃盗罪にあたる犯罪行為。公務員が、職務に関連して、あるいは職務とは無関係に、窃盗行為を行った場合、刑事罰の対象となるだけでなく、地方公務員法上の「信用失墜行為」や「全体の奉仕者としてふさしくない非行」にあたるとして、懲戒処分の対象となる。
抜き打ち検査(ぬきうちけんさ)
  • 意味
    • 法令の遵守状況などを確認するため、対象となる施設や事業者に対し、事前の通告なしに、突然、立入検査を行うこと。
  • 歴史・経過
    • 行政が行う監査や調査の具体的な手法の一つ。事前に通告すると、証拠の隠滅や、一時的な取り繕いが行われるおそれがある場合に、実態を正確に把握する目的で実施される。食品衛生法に基づく飲食店への立入検査や、労働基準監督署による事業所への調査などで、この手法がとられることがある。
沼(ぬま)
  • 意味
    • 池や湖よりも小さく、一般的に水深が浅く(多くは5メートル未満)、水底には泥が多く、水草が繁茂している淡水の水域。
  • 歴史・経過
    • 河川法が適用されない「普通河川」や、ため池と同様に、水利権や環境保全の観点から、自治体が独自の条例で管理のルールを定めていることがある。また、地域の景観資源や、住民の憩いの場として、公園の一部として整備・活用されることもある。
沼地(ぬまち)
  • 意味
    • 常に水に浸っていて、泥が深く、葦などの植物が茂っている土地。「沼沢地(しょうたくち)」ともいう。
  • 歴史・経過
    • 湿地として、多様な生物の生息・生育の場所となるなど、重要な生態系の一部を構成することが多い。このため、自然公園法における「国立公園」や「国定公園」、あるいはラムサール条約における「登録湿地」として、その保全が図られることがある。また、都市計画法上の市街化調整区域に指定され、開発が抑制されることも多い。

根回し(ねまわし)
  • 意味
    • 正式な交渉や会議の前に、関係者にあらかじめ話を通し、内々に了解を得ておくなどして、物事が円滑に進むように、下準備をしておくこと。
  • 歴史・経過
    • 日本の組織における、非公式な合意形成の慣行。行政分野でも、予算要求や条例改正、組織改編などにおいて、関係部署や議会、利害関係者などに対し、事前の説明や調整(根回し)が行われることがある。透明性の観点から、そのあり方が問われることもある。
値上げ(ねあげ)
  • 意味
    • 商品やサービスの価格(値段)を、上げること。
  • 歴史・経過
    • 地方公共団体が提供するサービスのうち、水道料金、下水道使用料、公営バスの運賃、施設の使用料など、受益者負担を原則とするものについては、施設の維持管理費の増大や、利用者数の減少などを理由に、料金の改定(値上げ)が行われることがある。その際には、条例の改正が必要となり、議会の議決と、住民への丁寧な説明が求められる。
熱中症(ねっちゅうしょう)
  • 意味
    • 高温多湿な環境に、身体が適応できないことで生じる、様々な症状の総称。めまい、立ちくらみ、筋肉痛、頭痛、吐き気、意識障害など。
  • 歴史・経過
    • 近年の気候変動による気温の上昇に伴い、熱中症による健康被害は深刻化している。2020年(令和2年)には「気候変動適応法」が改正され、国が「熱中症警戒アラート」を発表し、自治体は、住民への注意喚起や、高齢者への声かけ、クーリングシェルター(一時的な避難場所)の指定・周知などの対策を講じることとされている。
ネーミングライツ(ねーみんぐらいつ)
  • 意味
    • 「命名権」のこと。地方公共団体などが所有する、スポーツ施設や文化施設などの名称に、企業の名前や商品のブランド名などを、愛称として付ける権利。
  • 歴史・経過
    • 2000年代から、新たな財源確保の手法として、多くの自治体で導入が進んだ。自治体は、契約した企業から対価(命名権料)を得て、それを施設の維持管理費などに充当する。契約期間や金額、愛称のルールなどは、公募によって決定されることが多い。
念書(ねんしょ)
  • 意味
    • 後日のための証拠として、約束した事柄などを記して、相手方に差し出す文書。
  • 歴史・経過
    • 契約書ほどの、厳格な法的拘束力を持つものではないが、当事者間の合意内容を確認し、約束の履行を促すための文書として、行政実務でも用いられることがある。例えば、行政指導に従い、特定の事項を改善することを約束する、といった内容で提出されることがある。
年間(ねんかん)
  • 意味
    • 1年の間。
  • 歴史・経過
    • 行政の予算や事業計画は、会計年度(4月1日~3月31日)を一つの単位として、年間で策定・管理されるのが基本である(単年度主義)。「年間計画」「年間スケジュール」といった形で、1年間の見通しを示す。
年金(ねんきん)
  • 意味
    • 高齢になったとき(老齢)、病気やけがで障害が残ったとき(障害)、一家の働き手が死亡したとき(遺族)に、国から、定期的に金銭が支給される、公的な社会保険制度。
  • 歴史・経過
    • 日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社員や公務員が加入する「厚生年金」の、2階建て構造となっている。少子高齢化の進展に伴う、制度の持続可能性の確保が、国家的な課題である。
年次(ねんじ)
  • 意味
    • 毎年、決まって行われること。年に1度。
  • 歴史・経過
    • 公務員の勤務条件として、労働基準法上の年次有給休暇に相当する、「年次休暇」の制度がある。職員は、法律で定められた日数(年間最大20日)の範囲で、心身のリフレッシュや、私的な用務のために、給与が保障された休暇を取得する権利がある。
年次報告書(ねんじほうこくしょ)
  • 意味
    • 行政機関や、企業、団体などが、1年間の活動内容、事業の実績、財務状況などを取りまとめて、議会や住民、株主などの関係者に対して報告するために、毎年作成・公表する文書。アニュアルレポート。
  • 歴史・経過
    • 情報公開や、アカウンタビリティ(説明責任)を果たすための重要なツール。各自治体では、男女共同参画の状況、環境施策の進捗、情報公開制度の運用状況など、特定のテーマについて、年次報告書を作成・公表している。
年少者(ねんしょうしゃ)
  • 意味
    • 年齢が少ない者。法律によって、その定義は異なる。
  • 歴史・経過
    • 労働基準法では、満18歳に満たない者を「年少者」とし、危険有害業務への就業制限や、時間外・休日労働の原則禁止など、特別な保護規定を設けている。また、刑法では、14歳に満たない者の行為は、刑事責任を問われない(刑事未成年者)とされている。
年頭(ねんとう)
  • 意味
    • 年の初め。年明け。
  • 歴史・経過
    • 地方公共団体の首長は、年頭にあたり、広報紙や記者会見、仕事始め式などの場で、新年の抱負や、その年の市政・県政運営の基本方針などを表明(年頭所感)することが、恒例となっている。
粘土(ねんど)
  • 意味
    • 地質学で、粒の直径が256分の1ミリメートル以下の、非常に細かい岩石の粒子からなる、粘り気のある土。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、特に地盤との関連で重要となる。水分を多く含んだ粘土質の地盤は、地震の際に揺れが大きくなりやすい、あるいは、地すべりを起こしやすいなどの特性があり、宅地開発や、大規模な建築物の建設にあたっては、地盤調査と、適切な対策が必要となる。
年度(ねんど)
  • 意味
    • 事務や会計の整理上の都合で、一定の期間で区切った1年間。「会計年度」は、4月1日から翌年3月31日まで。「学校年度」も同様。
  • 歴史・経過
    • 地方公共団体の予算、事業計画、人事異動など、あらゆる行政活動が、この年度を一つのサイクルとして、計画・実施・評価される。
燃料(ねんりょう)
  • 意味
    • 燃焼させて、熱や光、動力を得るための材料。石炭、石油、ガソリン、ガス、薪など。
  • 歴史・経過
    • 行政においては、公用車で使用するガソリン、庁舎や公共施設の暖房・給湯で使用する灯油やガスなどが、予算上、「燃料費」として計上される。環境負荷の低減のため、省エネルギーの推進や、再生可能エネルギーへの転換が課題となっている。
年齢(ねんれい)
  • 意味
    • 生まれてから、現在までに経過した年数。
  • 歴史・経過
    • 行政サービスは、年齢によって、その対象や内容が区切られていることが多い。例えば、選挙権年齢(18歳以上)、年金の受給開始年齢、児童手当の支給対象年齢、後期高齢者医療制度の加入年齢(75歳以上)などがある。

農会(のうかい)
  • 意味
    • 明治時代から第二次世界-大戦後にかけて、農業技術の指導や、農業経営の改善などを目的に、法律に基づいて設立されていた、公的な性格を持つ農業団体。
  • 歴史・経過
    • 1881年(明治14年)頃から各地で任意団体として設立され始め、1899年(明治32年)に農会法が制定され、公法人となった。市町村、郡、都道府県、全国の各段階に組織され、国の農業政策を末端で実行する役割を担った。戦後の農地改革と、農業協同組合(農協)の設立に伴い、1948年(昭和23年)に解散した。
農協(のうきょう)
  • 意味
    • 「農業協同組合」の略称。農業者が、相互扶助の精神に基づき、協同して、農業生産に必要な資材の共同購入、農産物の共同販売、農業資金の融通(信用事業)、生命・損害保険(共済事業)などを行う、協同組合組織。
  • 歴史・経過
    • 1947年(昭和22年)に制定された農業協同組合法に基づき、戦前の農会や産業組合に代わって設立された。地域の農業振興と、組合員の経済的・社会的地位の向上を目的とする。行政にとっては、農業政策を推進する上で、最も重要な連携パートナーである。
農業(のうぎょう)
  • 意味
    • 土地を利用して、作物を栽培したり、家畜を飼育したりして、食料や工業原料などを生産する産業。
  • 歴史・経過
    • 食料の安定供給という、国民生活の根幹を支える重要な産業。行政は、食料・農業・農村基本法に基づき、食料自給率の向上、農業経営の安定、優良農地の確保、担い手の育成、多面的機能(国土保全、景観形成など)の維持などを目的とした、様々な政策を講じている。
農業委員会(のうぎょういいんかい)
  • 意味
    • 「農地等の利用の最適化の推進」を主な任務として、農業委員会等に関する法律に基づき、市町村に設置される行政委員会。
  • 歴史・経過
    • 戦後の農地改革を推進するために、1951年(昭和26年)に設立された。農地の売買・賃借の許可、農地転用の際の意見具申、遊休農地の解消、新規就農者の支援など、農地行政の中核を担う。委員は、市町村長が議会の同意を得て任命する。
納期(のうき)
  • 意味
    • 税金や保険料、使用料などを、納付しなければならない、定められた期限のこと。「納期限」ともいう。
  • 歴史・経過
    • 地方税の納期は、各税目ごとに、条例で定められている。例えば、個人住民税(普通徴収)は、通常、6月、8月、10月、翌年1月の年4回に分けて納付する。この納期までに納付しないと、督促状が送付され、延滞金が発生する。
納税(のうぜい)
  • 意味
    • 国や地方公共団体に、租税(税金)を納めること。
  • 歴史・経過
    • 日本国憲法第30条に定められた、国民の三大義務の一つ。地方税については、納税者が自ら税額を計算して納める「申告納税方式」(法人住民税など)と、自治体が税額を計算して通知し、それに基づいて納める「賦課課税方式」(固定資産税、個人住民税の普通徴収など)がある。
納税管理人(のうぜいかんりにん)
  • 意味
    • 納税義務者が、海外への転出などの理由で、納税に関する手続き(書類の受領、納税など)を自ら行うことが困難な場合に、納税義務者に代わって、それらの手続きを行うために、届け出る人のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方税法に定められている。納税管理人は、国内に居住する個人や法人であれば、誰でもなることができる。納税義務者が、納税管理人を定めずに国外へ転出するような場合は、出国前に、その年分の税金を納付しなければならない。
納税証明書(のうぜいしょうめいしょ)
  • 意味
    • 納付すべき税額、納付した税額、未納の税額がないこと、などを、公的に証明するために、国(税務署)や地方公共団体(都道府県、市町村)が発行する文書。
  • 歴史・経過
    • 金融機関からの融資の申込み、建設業などの許認可の申請、公営住宅の入居申込みなど、様々な場面で、その人の納税状況を確認するための資料として、提出を求められる。
農地(のうち)
  • 意味
    • 耕作(作物を栽培すること)の目的に供される土地のこと。田、畑、樹園地など。
  • 歴史・経過
    • 限られた国土の中で、食料生産の基盤となる貴重な資源であるため、農地法によって、その所有権の移転や、宅地などへの「転用」が、厳しく規制されている。農地の権利を移転したり、転用したりするには、原則として、農業委員会や都道府県知事の許可が必要となる。
農地転用(のうちてんよう)
  • 意味
    • 農地を、農地以外のもの(住宅、工場、商業施設、駐車場、資材置場など)に転換すること。
  • 歴史・経過
    • 農地法に基づき、無秩序な農地の減少を防ぐため、原則として、都道府県知事または農林水産大臣の許可を受けなければならないとされている。特に、農業振興地域内の農用地区域(青地農地)など、優良な農地については、転用は極めて厳しく制限される。
納入(のうにゅう)
  • 意味
    • 金銭や物品を、指定された場所に納め、入れること。
  • 歴史・経過
    • 地方税の徴収において、特別徴収義務者(給与支払者など)が、納税義務者(従業員)から天引きした税金を、自治体に納める行為を「納入」という。この納入を怠ると、延滞金が課される。
農道(のうどう)
  • 意味
    • 主として、農業の用に供される(農作業のための機械の通行や、農産物の搬出など)道路のこと。
  • 歴史・経過
    • 土地改良法に基づく土地改良事業の一環として、国や都道府県の補助を受けて、市町村や土地改良区が整備することが多い。道路法上の道路(国道、県道、市町村道)ではないため、一般の交通が制限されている場合もある。
能率(のうりつ)
  • 意味
    • 一定の時間内になされる、仕事の割合。仕事のはかどり具合。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法第30条は、「すべて職員は、全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」と定めている(服務の根本基準)。この中には、最小の経費で最大の効果を挙げるよう、常に能率の発揮に努めることも含まれると解されている。
ノーマライゼーション(のーまらいぜーしょん)
  • 意味
    • 障害のある人や高齢者などを、特別視するのではなく、誰もが、地域社会の一員として、家庭や地域で、普通の(ノーマルな)生活を送ることができるような社会こそが、望ましい社会である、という理念。
  • 歴史・経過
    • 1950年代にデンマークで生まれた。日本の障害者福祉や高齢者福祉の基本的な考え方となっており、バリアフリーの推進や、障害者の就労支援、グループホームの整備など、様々な施策の根底にある。
乗り合いバス(のりあいばす)
  • 意味
    • 「路線バス」のこと。不特定多数の旅客を対象に、定められた路線(ルート)と、運行時刻に従って運行し、停留所で乗客を乗降させる、公共交通機関。
  • 歴史・経過
    • 道路運送法に基づき、国土交通大臣の許可を得て、民間事業者が運行するのが基本。しかし、地方の人口減少などを背景に、民間事業者だけでは路線の維持が困難な地域が増え、市町村が、コミュニティバスを運行したり、赤字路線に補助金を出したりするなどの支援を行っている。

廃屋(はいおく)
  • 意味
    • 人が住まなくなり、荒れ果てた家屋のこと。
  • 歴史・経過
    • 「空き家」の中でも、特に管理が行き届かず、老朽化が著しい状態のものを指す。倒壊や、建築部材の飛散による危険、放火や不法侵入などの防犯上の問題、景観の悪化、害虫の発生源となるなど、周辺の生活環境に悪影響を及ぼすことが多い。空家等対策特別措置法に基づき、行政代執行による除却の対象となることがある。
廃棄物(はいきぶつ)
  • 意味
    • ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物または不要物であって、固形状または液状のもの(放射性物質を除く)。
  • 歴史・経過
    • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に定義されている。大きく分けて、事業活動に伴って生じる「産業廃棄物」と、それ以外の「一般廃棄物」に分類され、それぞれ処理責任の所在や、処理の基準が定められている。
廃業(はいぎょう)
  • 意味
    • 個人商店や会社が、その事業を、完全にやめること。
  • 歴史・経過
    • 地域の経済や雇用に影響を与えるため、行政もその動向を注視する。特に、後継者不足などを理由とした、地域に根差した中小企業の廃業は、地域活力の低下に直結する。このため、自治体は、事業承継支援センターの設置や、専門家による相談体制の構築、M&Aのマッチング支援などを通じて、円滑な事業承継を後押ししている。
廃止(はいし)
  • 意味
    • 従来から続いてきた制度、法律、組織、施設などを、やめて、なくすこと。
  • 歴史・経過
    • 行政改革において、時代の変化に対応できなくなった事業や、利用者が著しく減少した公共施設、役割を終えた審議会などを廃止し、行政のスリム化や、財源の重点化を図る。条例や規則で設置されたものは、その廃止にも、条例・規則の改正・廃止という、正規の手続きが必要となる。
排水(はいすい)
  • 意味
    • 生活や事業活動に伴って生じた汚水(生活排水)や、市街地に降った雨水(雨水排水)を、下水道管や水路を通じて、区域の外へ排出すること。
  • 歴史・経過
    • 下水道法や河川法に基づき、適切な排水施設の整備・管理が、行政の重要な役割となる。特に、集中豪雨時には、ポンプ場を適切に稼働させ、内水氾濫による浸水被害を防ぐことが求められる。
配偶者(はいぐうしゃ)
  • 意味
    • 婚姻関係にある、一方から見た、他方のこと。夫から見れば妻、妻から見れば夫。
  • 歴史・経過
    • 法律上、配偶者は、相続、扶養、税金の控除(配偶者控除)など、様々な場面で、特別な権利・義務の主体となる。行政手続きにおいても、住民票の続柄や、各種の申請において、その関係性を証明する必要がある。近年は、同性パートナーシップ制度など、法律上の婚姻関係にないカップルを、配偶者に準ずる関係として認める自治体も増えている。
配布(はいふ)
  • 意味
    • 特定または不特定多数の人々に、書類や物品などを、配って、行き渡らせること。
  • 歴史・経過
    • 行政の広報活動において、広報紙の全戸配布や、イベント会場でのチラシの配布、ハザードマップの配布など、住民に必要な情報を確実に届けるための基本的な手段。災害時には、支援物資の配布が、被災者の生活を支える上で極めて重要な役割を果たす。
配分(はいぶん)
  • 意味
    • 全体を、それぞれの割り当てに応じて、分け、配ること。
  • 歴史・経過
    • 予算編成は、限られた財源(税金など)を、どの施策や事業に、どれだけ配分するかを決定する、最も重要な行政の意思決定プロセスである。その配分は、議会の議決を経て、最終的に決定される。
廃プラスチック類(はいぷらすちっくるい)
  • 意味
    • 合成樹脂(プラスチック)のくず、廃製品など。廃棄物処理法において、事業活動に伴って排出されるものは「産業廃棄物」に、家庭から出るものは「一般廃棄物」に分類される。
  • 歴史・経過
    • 海洋プラスチックごみ問題や、資源の有効利用の観点から、そのリサイクルが世界的な課題となっている。日本では、容器包装リサイクル法や、プラスチック資源循環促進法に基づき、市町村が、住民や事業者と連携して、分別収集と再商品化を進めている。
諮る(はかる)
  • 意味
    • ある物事を決定・実行する前に、参考にするため、関係者や審議会などに、意見を求め、相談すること。「議会に諮る」といった形で使われる。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法において、地方公共団体の長が、特定の重要な事項(例:副知事・副市町村長の選任、重要な契約の締結、財産の取得・処分など)について、議会の議決を求める手続きを指す。これは、執行機関に対する、議会の監視機能を確保するための重要な仕組みである。
白書(はくしょ)
  • 意味
    • 政府や地方公共団体が、特定の分野(経済、環境、防災、福祉など)の現状、課題、および、それに対する政府・自治体の施策の動向などを、国民や住民に広く知らせるために、取りまとめて発行する、公式な報告書。
  • 歴史・経過
    • もともとは、イギリス政府の公式報告書の表紙が白かったことに由来する。日本では、1947年(昭和22年)の経済白書(当時は経済実相報告書)が最初。行政の説明責任(アカウンタビリティ)を果たすための重要なツール。
派遣(はけん)
  • 意味
    • 特定の任務を与えて、人をつかわすこと。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、災害発生時に、被災していない自治体から、被災自治体へ、職員を応援のために派遣する「職員派遣」が、災害対策基本法などで制度化されている。また、人事交流の一環として、国や他の自治体、民間企業などへ、職員を研修目的で派遣することもある。
発議(はつぎ)
  • 意味
    • 会議において、審議の対象となる議案を、提出すること。
  • 歴史・経過
    • 地方議会においては、主に、議員が議案を提出することを指す。地方自治法により、議員が議案を提出するには、議員定数の12分の1以上の者の賛成が必要とされている。議員による条例案の提出(議員発議条例)は、議会の政策立案機能の活性化を示す指標とされる。
発注(はっちゅう)
  • 意味
    • 仕事や物品の購入などを、注文すること。
  • 歴史・経過
    • 地方公共団体が、工事、物品購入、業務委託などの契約を、民間事業者と結ぶ際に行う行為。会計法や地方自治法に基づき、原則として、一般競争入札などの公正な手続きを経て、発注する相手方を決定しなければならない。
発令(はつれい)
  • 意味
    • 辞令や命令などを、公式に発表し、その効力を発生させること。
  • 歴史・経過
    • 公務員の人事異動において、任命権者が、職員の採用、昇任、転任、退職などを、正式に決定し、本人に通知する行為を指す。通常、辞令書を交付することによって行われる。
パブリック・コメント(ぱぶりっく・こめんと)
  • 意味
    • 「意見公募手続」のこと。行政機関が、重要な政策や、条例・規則などを定めようとするときに、あらかじめ、その案を公表し、広く一般から意見を募集し、提出された意見を考慮して、最終的な意思決定を行うとともに、意見に対する行政の考え方を公表する一連の手続き。
  • 歴史・経過
    • 行政運営の公正さの確保と透明性の向上、住民参加の促進を目的として、国の行政手続法や、各自治体の行政手続条例で制度化されている。
パブリック・インボルブメント(ぱぶりっく・いんぼるぶめんと)
  • 意味
    • 「住民参加」のこと。特に、道路や河川などの公共事業の計画策定や意思決定のプロセスに、初期の段階から、住民が積極的に関与し、行政と住民が協働して計画を作り上げていく手法。PIと略される。
  • 歴史・経過
    • 従来の一方的な説明会形式ではなく、ワークショップやオープンハウス(対話型の展示説明会)など、双方向のコミュニケーションを重視する点が特徴。より住民の納得感の高い、円滑な事業推進を目指す。
ハラスメント(はらすめんと)
  • 意味
    • 嫌がらせ、いじめ。特に、職場において、地位や人間関係の優位性を背景に、相手に、精神的・身体的な苦痛を与え、職場環境を悪化させる行為。
  • 歴史・経過
    • セクシュアルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)、マタニティハラスメント(マタハラ)などがある。地方公務員法においても、ハラスメントは、職員の尊厳を傷つけ、全体の奉仕者としてふさわしくない非行にあたるとして、厳しく禁じられており、各自治体は、防止指針の策定や、相談窓口の設置などの対策を講じている。
バリアフリー(ばりあふりー)
  • 意味
    • 高齢者や障害者などが、社会生活を送る上で、障壁(バリア)となるものを、物理的・精神的に取り除くという考え方。
  • 歴史・経過
    • もともとは、建築物における段差の解消など、物理的な障壁の除去を指すことが多かったが、現在では、制度上の障壁や、文化・情報の障壁、意識上の障壁など、より広い意味で使われる。2006年(平成18年)に「バリアフリー新法」が制定され、公共施設、交通機関、建築物などの一体的なバリアフリー化が推進されている。
班(はん)
  • 意味
    • 行政組織の、最も基礎的な単位の一つ。一般的に、課の下に置かれる「係」を、さらに、いくつかのグループに分けた際の、最小単位として使われることが多い。
  • 歴史・経過
    • 班長をリーダーとして、数人の職員で構成され、特定の事務を分担して処理する。また、自治会・町内会の組織においても、住民をいくつかのグループに分けた「班」が、回覧板の配布や、会費の徴収などの、日常的な活動の単位となる。
反対(はんたい)
  • 意味
    • 提案や意見などに対し、同意せず、否定的・対立的な態度をとること。
  • 歴史・経過
    • 議会の採決において、議案に賛成する意思表示が、反対の意思表示を上回らない場合、その議案は「否決」される。民主主義においては、少数意見である反対意見を尊重し、議論を尽くすプロセスが重要とされる。
反対討論(はんたいとうろん)
  • 意味
    • 議会において、議案の採決の前に、その議案に反対する立場の議員が、反対の理由を述べ、他の議員に、反対への賛同を求めるために行う演説。
  • 歴史・経過
    • 「賛成討論」と対をなす。討論を行うことで、なぜその議案に反対するのかという論点を明確にし、議事録に残すことで、後日の検証を可能にする、重要な議会活動の一つ。
判断(はんだん)
  • 意味
    • 物事について、調べたり、考えたりした上で、自分なりの評価を下し、何らかの結論を出すこと。
  • 歴史・経過
    • 行政の意思決定は、事実認定と、法規の解釈・適用という、二つの段階からなる、論理的な判断の積み重ねである。特に、行政に、一定の選択の余地が認められている「裁量」の場面では、公平・公正で、合理的な判断を行うことが、強く求められる。
判断能力(はんだんのうりょく)
  • 意味
    • 物事の良し悪しや、自分が行う行為の結果などを、正常に、認識・判断できる、精神的な能力のこと。
  • 歴史・経過
    • 契約などの法律行為が有効に行われるための前提となる。認知症や、知的障害、精神障害などにより、この能力が不十分な人を保護・支援するために、「成年後見制度」が設けられている。行政の福祉サービスにおいても、本人の意思決定を支援する観点が、ますます重要となっている。
半島(はんとう)
  • 意味
    • 三方を海に囲まれ、一方だけが陸地に続いている、突き出た地形。
  • 歴史・経過
    • 半島地域は、幹線交通網から外れ、アクセスが不便であるなど、地理的・社会的に厳しい制約を受けることが多い。このため、「半島振興法」に基づき、国が「半島振興対策実施地域」を指定し、道路の整備、産業の振興、医療・教育の確保などについて、財政上の特別措置を講じ、地域の自立的発展を支援している。
頒布(はんぷ)
  • 意味
    • 広く、多くの人々に、配り、行き渡らせること。「配布」とほぼ同義だが、有償(有料)の場合も含む、より広い意味で使われることがある。
  • 歴史・経過
    • 行政機関が作成した、統計資料、調査報告書、パンフレット、地図などを、住民や事業者に、有償または無償で提供する場合に、「頒布する」という言葉が使われる。
販売(はんばい)
  • 意味
    • 商品を、顧客に売ること。
  • 歴史・経過
    • 地方公共団体が、直接、物品の販売を行うことは少ないが、地域の特産品の販路拡大を支援するため、アンテナショップを運営したり、物産展を開催したり、ふるさと納税の返礼品として活用したりするなどの取り組みを行っている。
番号(ばんごう)
  • 意味
    • 物事を区別したり、順序を示したりするために付けられる、数字や記号。
  • 歴史・経過
    • 行政の分野では、多様な番号制度が使われている。住民票に記載される「住民票コード」、納税者を管理するための「整理番号」、そして、社会保障、税、災害対策の分野で、情報を効率的に連携させるための「個人番号(マイナンバー)」などがある。
番地(ばんち)
  • 意味
    • 不動産登記法に基づき、一筆(いっぴつ)の土地ごとに付けられた、登記上の番号。土地を特定するための、公的な番号である。
  • 歴史・経過
    • 住所を表す「〇番〇号」の「番」とは、必ずしも一致しない。住所は「住居表示に関する法律」に基づき、分かりやすさを重視して付けられるのに対し、番地は、土地の権利関係を管理するための番号である。固定資産税の課税は、この番地ごとに行われる。
半濁音(はんだくおん)
  • 意味
    • 日本語の音節のうち、「ぱ」「ぴ」「ぷ」「ぺ」「ぽ」のように、半濁点(゜)を付けて表される音。
  • 歴史・経過
    • 行政の公用文の作成にあたっては、「公用文における漢字使用等について」などの国の通知を参考に、読みやすく、分かりやすい表記を心がけることが基本となる。半濁音の表記も、そのルールに従う。
犯罪(はんざい)
  • 意味
    • 刑法などの、刑罰法規に定められた、処罰の対象となる、法に反する行為。
  • 歴史・経過
    • 犯罪の捜査、被疑者の逮捕、起訴、裁判、刑の執行は、主に、警察、検察、裁判所といった、国の機関が担う。地方公共団体は、直接の捜査権限は持たないが、地域の防犯活動の支援、犯罪被害者への相談支援、青少年の非行防止など、犯罪の起きにくい、安全・安心なまちづくりの役割を担う。
反則金(はんそくきん)
  • 意味
    • 自動車の運転における、比較的軽微な交通違反(速度超過、駐車違反など)をした者に対し、「交通反則通告制度」に基づき、行政上の制裁として、国に納付することが課される金銭。
  • 歴史・経過
    • 反則金を、定められた期限内に納付すれば、刑事手続き(裁判)には移行せず、前科もつかない。この制度により、大量に発生する交通違反を、効率的に処理している。
反乱(はんらん)
  • 意味
    • 国や政府の統治に反対して、集団で、暴動や武力蜂起を起こすこと。
  • 歴史・経過
    • 日本の災害対策基本法では、対応すべき「災害」の定義の中に、自然災害だけでなく、「大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因」が含まれている。これは、武力攻撃や大規模なテロのような、人為的な要因による、社会秩序の混乱(一種の反乱状態)も、防災体制の対象としていることを示唆している。

避難(ひなん)
  • 意味
    • 災害などの危険から、命や身体の安全を守るために、その場を離れて、安全な場所へ移ること。
  • 歴史・経過
    • 災害対策基本法において、災害発生のおそれがある場合に、市町村長は、住民に対し「避-難指示」を発令することができると定められている。住民は、避難指示が発令された場合、速やかに避難することが求められる。従来の「避難勧告」は2021年の法改正で廃止され、「避難指示」に一本化された。
避難所(ひなんじょ)
  • 意味
    • 災害により、自宅で生活することが困難になった被災者が、一定期間、避難生活を送るために、市町村が開設する施設。
  • 歴史・経過
    • 災害対策基本法に基づき、市町村は、あらかじめ、学校の体育館や公民館などを「指定避難所」として指定している。近年は、熊本地震などの教訓から、プライバシーの確保、衛生環境の改善、要配慮者(高齢者、障害者など)への対応、ペットとの同行避難など、避難所の質の向上が大きな課題となっている。
被扶養者(ひふようしゃ)
  • 意味
    • 生計を、主として他の家族の収入に頼っている者のこと。
  • 歴史・-経過
    • 公務員の給与制度において、配偶者や子など、職員によって生計が維持されている一定の親族は「扶養親族」として認定され、その職員に「扶養手当」が支給される。また、健康保険制度では、被保険者(本人)の収入で生活している家族は「被扶養者」として、保険給付を受けることができる。
百条委員会(ひゃくじょういいんかい)
  • 意味
    • 地方自治法第100条の規定に基づき、地方議会が、その自治体の事務に関する調査を行うために設置する、特別委員会のこと。
  • 歴史・経過
    • 通常の委員会と異なり、関係者の出頭や証言、記録の提出を請求できるなど、非常に強い調査権限(調査権)を持つことから、「議会の国政調査権」にたとえられる。首長や職員の不正疑惑など、重大な事案の真相究明のために設置されることが多い。
評価(ひょうか)
  • 意味
    • 物事の値うちや、良い悪い、優劣などを判断し、定めること。行政分野では、実施した政策や事業の成果を、客観的な基準に基づいて検証・判断する「行政評価」を指すことが多い。
  • 歴史・経過
    • 限られた財源の中で、より効果の高い行政運営を実現するため、PDCAサイクル(計画→実施→評価→改善)の一環として、その重要性が増している。事後評価だけでなく、事業実施前の「事前評価」や、実施途中の「中間評価」も行われる。
表決(ひょうけつ)
  • 意味
    • 「採決」とほぼ同義。議会などにおいて、議案に対する、各構成員の賛成・反対の意思表示を求め、集計し、その団体の意思を決定する行為。
  • 歴史・経過
    • 地方議会においては、「採決」という用語が一般的に使われるが、国会では「表決」という用語が使われることが多い。その方法は、起立、記名投票、押しボタン式投票などがある。

表彰(ひょうしょう)

  • 意味
    • 善行や、優れた功績などを、広く社会に知らせ、ほめたたえること。
  • 歴史・経過
    • 国や地方公共団体は、条例や規則に基づき、様々な分野(自治、産業、文化、スポーツ、社会福祉など)で、顕著な功績のあった個人や団体に対し、表彰状や記念品を授与する表彰制度を設けている。これは、受賞者の栄誉をたたえるとともに、住民全体の意欲向上を図る目的もある。
標準(ひょうじゅん)
  • 意味
    • 判断のよりどころや、行動の目安となる、規準・水準。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、様々な場面で「標準」という言葉が使われる。地方交付税の算定で用いる「標準財-政規模」や「基準財-政需要額」、固定資産税の算定で用いる「標準税率」、行政手続きの透明性を高めるための「標準処理期間」などがある。
費用(ひよう)
  • 意味
    • 物事をなしとげるために、費やす金銭。コスト。
  • 歴史・経過
    • 行政の会計において、一会計年度に提供された行政サービスの対価や、消費された資源の価値を、金銭で測定したもの。現金の支出を伴わない、建物の減価償却費なども含まれる。企業会計的な手法(発生主義)を導入した、新たな公会計制度で重視される概念。
費用対効果(ひようたいこうか)
  • 意味
    • ある事業や政策に、投入した費用(コスト)と、それによって得られた効果(便益、ベネフィット)とを比較衡量すること。コスト・ベネフィット分析。
  • 歴史・経過
    • 公共事業の実施を判断する際の、重要な評価手法の一つ。限られた財源を、効率的・効果的に配分するため、できるだけ少ない費用で、できるだけ大きな効果を上げる事業が、優先的に選択されるべき、という考え方に基づく。
非営利(ひえいり)
  • 意味
    • 利益を上げることを、第一の目的としないこと。
  • 歴史・経過
    • NPO法人や社会福祉法人、公益社団・財団法人などの「非営利法人」は、収益事業を行うことはできるが、そこで得た利益を、構成員(会員や役員など)に分配(配当)することは、法律で禁じられている。利益は、団体の目的である、非営利活動に再投資される。
非課税(ひかぜい)
  • 意味
    • 特定の所得や、取引、財産について、法律の規定により、税金が課されないこと。
  • 歴史・経過
    • 社会政策的な配慮(例:障害年金や遺族年金は所得税が非課税)や、二重課税の防止、あるいは、課税技術上の理由など、様々な趣旨で設けられている。個人住民税においても、生活保護受給者や、前年の合計所得金額が一定額以下の人などは、非課税となる。
非核三原則(ひかくさんげんそく)
  • 意味
    • 日本の国是となっている、核兵器に対する基本方針。「核兵器を、持たず、作らず、持ち込ませず」という三つの原則のこと。
  • 歴史・経過
    • 1967年(昭和42年)に佐藤栄作首相(当時)が国会で表明し、1971年(昭和46年)に国会で決議された。多くの地方公共団体が、この国是に基づき、世界の恒久平和を願い、「非核平和都市宣言」を行っている。
被災者(ひさいしゃ)
  • 意味
    • 災害によって、生命、身体、財産に被害を受けた人のこと。
  • 歴史・経過
    • 被災者支援は、災害対策の最も重要な柱の一つ。災害救助法に基づく応急救助(避難所の提供、食料・水の供給など)のほか、被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給、災害弔慰金の支給、税金や公共料金の減免など、様々な法律に基づき、生活再建に向けた多岐にわたる支援が行われる。
備品(びひん)
  • 意味
    • 組織が、業務のために備え付け、使用する器具や物品のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方公共団体の会計上、取得価格が一定額以上で、かつ、1年以上にわたって使用できる物品(机、椅子、パソコン、公用車など)は、「備品」として、公有財産(物品)台帳に記録され、適正に管理されなければならない。
秘密(ひみつ)
  • 意味
    • 公にされていない、特定の者だけが知っている事柄。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法において、職員は、職務上知り得た秘密を、漏らしてはならないという「守秘義務」を負う。これは、在職中だけでなく、退職後も同様である。住民のプライバシー保護や、行政の公正な運営を確保するための、重要な服務規律。
日雇い(ひやとい)
  • 意味
    • 日々、雇用契約を結び、賃金も原則として、その日ごとに支払われる、臨時的な雇用形態。
  • 歴史・経過
    • 行政機関においても、繁忙期や、一時的な業務に対応するため、日々雇用職員(会計年度任用職員の一類型)を任用することがある。その勤務条件は、条例や規則で定められる。

覆土(ふくど)
  • 意味
    • 廃棄物の最終処分場において、埋め立てた廃棄物の上から、土砂をかぶせる作業のこと。
  • 歴史・経過
    • 廃棄物の飛散や、悪臭の発生、害虫の繁殖などを防ぎ、火災の延焼を防止するなど、衛生的な埋立処分を行うために、不可欠な作業。廃棄物処理法に基づく、最終処分場の維持管理基準で、その実施が定められている。
副市長(ふくしちょう)
  • 意味
    • 市長を補佐し、その命令を受けて政策や企画をつかさどり、職員の担任する事務を監督し、市長に事故があるときや、市長が欠けたときに、その職務を代理する、特別職の公務員。「副知事」「副町長」「副村長」も同様。
  • 歴史・経過
    • 2007年(平成19年)の地方自治法改正により、従来の「助役」に代わって、新たに設けられた。市長が、議会の同意を得て、選任する。
副知事(ふくちじ)
  • 意味
    • 知事を補佐し、その命令を受けて政策や企画をつかさどり、職員の担任する事務を監督し、知事に事故があるときや、知事が欠けたときに、その職務を代理する、特別職の公務員。
  • 歴史・経過
    • 2007年(平成19年)の地方自治法改正により、従来の「助役」に代わって、新たに設けられた。知事が、議会の同意を得て、選任する。
福祉(ふくし)
  • 意味
    • 「公的な援助によって、すべての人々にもたらされる、安定した、幸福な生活状態」のこと。「しあわせ」を意味する。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、特に、高齢者、障害者、子ども、生活困窮者など、社会生活を送る上で、何らかの支援を必要とする人々に対する、公的なサービスや支援策(社会福祉)を指すことが多い。
福祉事務所(ふくしじむしょ)
  • 意味
    • 社会福祉法に基づき、都道府県および市(特別区を含む)が設置する、福祉に関する第一線の現業機関。
  • 歴史・経過
    • 生活保護、児童福祉、母子・父子・寡婦福祉に関する、相談、調査、指導、および、援護・育成・更生の措置などを行う。ケースワーカー(現業員)や、査察指導員(スーパーバイザー)などの専門職員が配置されている。
複合施設(ふくごうしせつ)
  • 意味
    • 一つの建物の中に、公民館、図書館、支所(出張所)、保育所、地域包括支援センターなど、複数の異なる機能を持つ公共施設を集約して設置した施設。
  • 歴史・経過
    • 公共施設の老朽化対策と、行財政改革の一環として、近年、全国的に整備が進められている。施設の建設・維持管理コストの縮減、土地の有効活用、利用者の利便性向上、多世代交流の促進などのメリットが期待される。
服務(ふくむ)
  • 意味
    • 職務、勤務に従事すること。特に、公務員が、その職務を遂行する上で、守らなければならない、規律や義務のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方公務員法には、「服務の根本基準」のほか、「法令等及び上司の職務上の命令に従う義務」「信用失墜行為の禁止」「秘密を守る義務」「職務に専念する義務」「政治的行為の制限」「争議行為等の禁止」などが、服務上の義務として定められている。
賦課(ふか)
  • 意味
    • 税金や保険料、負担金などを、割り当てて、負担させること。
  • 歴史・経過
    • 地方税の徴収方法の一つである「賦課課税方式」は、地方公共団体が、法令に基づいて、納税義務者や課税額などを決定し、納税者に通知して徴収する方法である。固定資産税や個人住民税(普通徴収)、国民健康保険料(税)などが、この方式をとる。
不可分(ふかぶん)
  • 意味
    • 密接に結びついていて、切り離すことができないこと。
  • 歴史・経過
    • 行政サービスの中には、その性質上、対価を支払わない人を、サービスの受益から排除することが困難なものがある(排除不可能性)。国防や警察、消防、一般的な公園などがこれにあたり、このようなサービスは、税金によって、一体不可分に提供されるのが基本となる。
不祥事(ふしょうじ)
  • 意味
    • 公務員による、汚職、公金の横領、カラ出張、情報漏洩、飲酒運転、ハラスメントなど、公務に対する住民の信頼を著しく損なう、不名誉な事件や行為のこと。
  • 歴史・経過
    • 不祥事が発生した場合、行政機関は、速やかに事実関係を調査・公表し、関係者を厳正に処分するとともに、原因を究明し、再発防止策を徹底する責任がある。綱紀の粛正と、コンプライアンス(法令遵守)意識の徹底が、常に求められる。
扶助費(ふじょひ)
  • 意味
    • 地方公共団体の歳出を、その性質で分類した場合の科目の一つ。生活保護法、児童福祉法、老人福祉法などの法令に基づき、被扶助者(生活困窮者、児童、高齢者、障害者など)を援助するために支出される経費のこと。
  • 歴史・経過
    • 生活保護費、児童手当、障害者自立支援給付費などがこれにあたる。社会保障関係経費の中核をなし、少子高齢化の進展に伴い、増加傾向にある。その多くは、国や都道府県からの負担金・補助金で賄われる。
扶養(ふよう)
  • 意味
    • 自らの資力だけでは、生活を維持することができない親族(高齢の親、未成年の子など)に対し、経済的な援助を行い、生活の面倒をみること。
  • 歴史・経過
    • 民法上、直系血族および兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務があるとされている。生活保護制度では、保護の申請があった場合、その人の扶養義務者に対し、扶養が可能かどうかを照会(扶養照会)することがある。
不利益処分(ふりえきしょぶん)
  • 意味
    • 行政庁が、法令に基づき、特定の人に対し、直接に、義務を課し、または、その権利を制限する処分のこと。
  • 歴史・経過
    • 行政手続法に定義されている。例えば、営業許可の取消し、営業停止命令、課税処分、補助金の交付決定の取消しなどが、これにあたる。国民の権利利益を大きく侵害する可能性があるため、行政庁が不利益処分を行う際には、聴聞や弁明の機会の付与など、法律で定められた、厳格で、公正な手続き(適正手続き)を踏まなければならない。
不良債権(ふりょうさいけん)
  • 意味
    • 回収が、困難または不可能となった、貸付金などの債権のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方公共団体が、中小企業振興などの目的で行った貸付金が、相手先の倒産などにより、回収できなくなった場合などに発生する。安易な債権放棄(徴収をあきらめること)は、住民の財産を損なうことになるため、訴訟なども含め、最大限の回収努力を行うとともに、条例に基づき、議会の議決を経て、権利を放棄するなどの、適正な手続きが求められる。
不法投棄(ふほうとうき)
  • 意味
    • 廃棄物を、定められた場所以外の、山林、原野、道路、河川、空き地などに、みだりに捨てる、違法行為。
  • 歴史・経過
    • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律で、厳しく禁止されており、違反者には、重い罰則(懲役または罰金)が科される。生活環境を著しく悪化させ、原状回復には、多額の費用がかかる。自治体は、パトロールの強化、監視カメラの設置、住民からの通報奨励などを通じて、不法投棄の防止と、早期発見に努めている。
腐敗(ふはい)
  • 意味
    • 有機物が、微生物の作用によって、分解され、悪臭を放つ有害な物質に変化すること。転じて、組織や精神が、堕落し、健全でなくなること。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、公務員による汚職や、権力の濫用など、組織の倫理が崩壊し、機能不全に陥っている状態を「政治腐敗」「行政腐敗」という。これを防ぐためには、情報公開や、厳正な監査、公正な人事制度、職員の倫理意識の向上などが不可欠である。
部(ぶ)
  • 意味
    • 地方公共団体の内部組織において、複数の「課」を束ねる、比較的大きな組織単位。
  • 歴史・経過
    • 総務部、企画部、福祉保健部、建設部など、関連する業務分野ごとに設置されるのが一般的。その責任者は「部長」であり、組織運営上の重要な意思決定に関わる。
部会(ぶかい)
  • 意味
    • 審議会や委員会などの、比較的大きな会議体の中に設けられる、特定のテーマを、より専門的に、または少人数で、集中的に審議するための、下部組織。
  • 歴史・経過
    • 審議すべき事項が多岐にわたる場合に、効率的な審議を行うために設置される。部会での審議結果は、親会である、審議会全体の会議に報告され、最終的な意思決定の基礎となる。
物件(ぶっけん)
  • 意味
    • 法律上、人が支配することができる、有体物(形のある物)のこと。不動産(土地、建物)と、動産(現金、物品など)に分けられる。
  • 歴史・経過
    • 行政の予算科目における「物件費」は、人件費や投資的経費などを除いた、消費的な性質を持つ経費の総称であり、消耗品費、光熱水費、旅費、委託料などが含まれる。
物産(ぶっさん)
  • 意味
    • その土地で産出される、特産品のこと。農産物、水産物、鉱産物、工芸品など。
  • 歴史・経過
    • 地域の経済を活性化させ、魅力を発信するための重要な地域資源。多くの自治体では、アンテナショップの運営、物産展の開催、ふるさと納税の返礼品としての活用、地域ブランドの認証制度などを通じて、地場産品の販路拡大や、知名度の向上を支援している。
部長(ぶちょう)
  • 意味
    • 地方公共団体の内部組織における、「部」の責任者のこと。一般的に、局長に次ぎ、課長の上位に位置する管理職。
  • 歴史・経過
    • 部の所管する事務全体を統括し、所属する職員を指揮監督する。首長や副首長などを補佐し、重要な政策の企画・立案や、議会への説明、関係機関との調整など、組織運営の中核的な役割を担う。
部内(ぶない)
  • 意味
    • 部の中。特定の部署の内部。
  • 歴史・経過
    • 行政機関では、情報や文書の取扱いについて、その機密性や内容に応じて、公開の範囲を限定することがある。「部内限り」とされた文書は、原則として、その部の所属職員以外には、閲覧や配布が制限される。
部分(ぶぶん)
  • 意味
    • 全体をいくつかに分けた、その一つ。
  • 歴史・経過
    • 行政計画や事業は、いくつかの部分(フェーズ、工程)に分けて、段階的に進められることがある。また、一部事務組合は、複数の市町村が、その事務の一部(例:ごみ処理、消防)を共同で処理するために設立される。
部署(ぶしょ)
  • 意味
    • 行政組織の中で、特定の事務を分担するために設けられた、部、課、係などの組織単位のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方自治法に基づき、地方公共団体は、その事務を分掌させるため、条例で、必要な内部組織を設けることができる。住民に分かりやすく、かつ、効率的に業務を遂行できるような組織編成が求められる。
分割(ぶんかつ)
  • 意味
    • 一つのものを、いくつかに分けること。
  • 歴史・経過
    • 地方税や、国民健康保険料などの納付において、一括で納付することが困難な人のために、1年分を、数回に分けて(分割して)納付する「分納」の制度がある。また、土地の登記においては、一筆の土地を、複数の土地に分ける「分筆」という手続きがある。
文化財(ぶんかざい)
  • 意味
    • 我が国の長い歴史の中で生まれ、育まれ、今日まで守り伝えられてきた、貴重な国民的財産。有形の文化財(建造物、絵画、仏像など)、無形の文化財(演劇、音楽、工芸技術など)、民俗文化財、記念物、文化的景観、伝統的建造物群の総称。
  • 歴史・経過
    • 文化財保護法に基づき、国は、特に重要なものを、国宝、重要文化財、史跡、名勝、天然記念物などに指定・選定・登録し、保護を図る。地方公共団体も、独自の文化財保護条例を制定し、地域の歴史や文化を物語る、貴重な文化財の保存・活用に努めている。
分担金(ぶんたんきん)
  • 意味
    • 特定の事業を行うにあたり、その経費の一部を、その事業によって、特に利益を受ける者に、負担してもらう金銭。「負担金」とほぼ同義。
  • 歴史・経過
    • 下水道や、都市計画道路などの整備事業において、その整備によって利益を受ける区域内の土地所有者などに対し、事業費の一部を負担してもらう「受益者負担金(分担金)」制度がある。また、一部事務組合を構成する市町村が、その運営経費を、人口などに応じて分担して支出するのも、分担金である。
分野(ぶんや)
  • 意味
    • 物事を、性質や種類によって、細かく分けた、それぞれの領域。
  • 歴史・経過
    • 行政の仕事は、福祉、教育、防災、環境、産業、都市計画など、極めて多岐にわたる分野で構成されている。総合計画などでは、これらの分野ごとに、現状と課題、施策の方向性などが、体系的に整理される。
文書(ぶんしょ)
  • 意味
    • 文字を用いて、意思や情報などを、記録・伝達するために作成された、紙などの媒体。
  • 歴史・経過
    • 行政機関が、職務上作成し、または取得した文書は、「公文書」として、公文書管理法や、各自治体の文書管理規程に基づき、適正に作成、分類、保存、廃棄されなければならない。公文書は、行政運営の根幹をなす、重要な情報資産である。
不作為(ふさくい)
  • 意味
    • 法令に基づき、特定の状況で、行政庁が、何らかの処分や行為をすべき義務があるにもかかわらず、それをしないこと。
  • 歴史・経過
    • 行政事件訴訟法において、国民が、行政庁に対して許認可などの申請をしたにもかかわらず、相当の期間が経過しても、何の応答もない(処分がされない)場合、その不作為が違法であることの確認を求める「不作為の違法確認訴訟」を提起することができる。
噴火(ふんか)
  • 意味
    • 火山が、マグマや、火山灰、水蒸気、火山ガスなどを、地表に噴出する現象。
  • 歴史・経過
    • 活動火山対策特別措置法に基づき、気象庁は、火山活動の状況に応じて、噴火警報や噴火速報を発表する。関係する自治体は、これらの情報に基づき、住民の避難指示を発令したり、ハザードマップを整備・周知したり、防災訓練を実施したりして、噴火災害に備える。

閉会(へいかい)
  • 意味
    • 議会や委員会などの会議活動を終えること。特に、定例会や臨時会の活動期間(会期)の最終日に行われ、その会期中のすべての議事を終了することを指す。
  • 歴史・経過
    • 会期の最終日に、その会期中に付託された議案で、まだ議決されていないものなどをすべて議決し、議長が閉会を宣言する。閉会中に、緊急の必要がある場合は、特定の議案に限って審議する「継続審査」の手続きがとられることもある。対義語は「開会(かいかい)」。
平均(へいきん)
  • 意味
    • 複数の数値を、ならして、一つの中間的な数値で代表させること。また、その数値。一般的には、すべての数値を足し合わせて、その個数で割った「算術平均(相加平均)」を指すことが多い。
  • 歴史・経過
    • 行政分野の統計において、最も基本的な指標の一つ。例えば、地方公共団体の財政力を示す「財政力指数」は、過去3か年の基準財-政収入額を基準財政需要額で除した数値の平均値を用いて算出される。
併合(へいごう)
  • 意味
    • 二つ以上のものを、合わせて一つにすること。「合併」とほぼ同義で使われる。
  • 歴史・経過
    • 土地の登記においては、隣接する複数の土地(筆)を、一つの土地として合体させる「合筆登記」が行われる。また、刑事訴訟においては、一人の被告人が犯した複数の罪を、一つの裁判手続きでまとめて審理する「併合審理」が行われることがある。
平準化(へいじゅんか)
  • 意味
    • 時期や場所によって生じる、ばらつきや格差をなくし、水準を平均的なものに近づけること。
  • 歴史・経過
    • 地方財政における、地方交付税制度は、自治体間の税収の格差を調整し、全国どこでも一定水準の行政サービスが提供できるよう、財源を平準化するための制度である。また、公共施設の老朽化対策においては、将来の更新費用が特定の時期に集中しないよう、計画的な修繕・更新によって、財政負担を平準化することが目指される。
併存(へいそん)
  • 意味
    • 二つ以上のものが、同時に、並んで存在すること。
  • 歴史・経過
    • 都市計画において、住宅と、工場や商業施設などが、計画的な区分なく、混じり合って立地している状態を「住工混在」「商工混在」などと呼び、騒音や交通などの環境問題を発生させる要因となることがある。用途地域の指定は、このような問題を解消し、土地利用の純化を図ることを目的の一つとする。
併用(へいよう)
  • 意味
    • 二つ以上のものを、あわせて用いること。
  • 歴史・経過
    • 行政の広報活動において、従来の広報紙や掲示板といった手段と、ウェブサイトやSNSといった新しいメディアを併用することで、より多くの住民に、情報を確実に届ける努力がなされている。また、介護保険制度では、特定の福祉用具の購入とレンタルの併用が認められる場合がある。
平和(へいわ)
  • 意味
    • 戦争や紛争がなく、世の中が穏やかで、安らかな状態。
  • 歴史・経過
    • 日本国憲法の前文および第9条は、恒久平和主義を掲げている。多くの地方公共団体が、この憲法の理念に基づき、唯一の戦争被爆国としての経験を後世に伝え、世界の恒久平和を願う「非核平和都市宣言」を行っている。
平和首長会議(へいわしゅちょうかいぎ)
  • 意味
    • 核兵器のない世界の実現を目指し、世界の都市が連帯して、市民レベルでの意識の醸成を図ることを目的として設立された、市長・区長などで構成される国際的な非政府組織(NGO)。
  • 歴史・経過
    • 1982年(昭和57年)に、広島市・長崎市の市長が提唱して発足。2024年現在、世界160以上の国・地域の8,000を超える都市が加盟しており、国連への働きかけや、平和教育の推進など、様々な活動を展開している。
平方メートル(へいほうめーとる)
  • 意味
    • 面積の単位。一辺が1メートルの正方形の面積。「m²」の記号で表される。
  • 歴史・経過
    • 不動産登記や、建築確認、固定資産税の課税など、行政における土地・家屋の面積は、すべてこの平方メートルを単位として、公的に記録・管理される。日本の伝統的な単位である「坪(つぼ)」との換算では、1坪は約3.3平方メートルにあたる。
閉庁(へいちょう)
  • 意味
    • 官公庁(役所)が、その日の業務を終えて、庁舎を閉じること。また、土日や祝日、年末年始など、業務を行わない日のこと。
  • 歴史・経過
    • 地方公共団体の休日は、地方自治法に基づき、条例で定められている。原則として、土曜日、日曜日、国民の祝日、年末年始(12月29日~1月3日)が休日となる。閉庁日には、緊急の用件に対応するため、日直・宿直の職員が配置される。
辺地(へんち)
  • 意味
    • 交通条件や、自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれず、他の地域に比べて、住民の生活文化水準が著しく低い、へんぴな地域。
  • 歴史・経過
    • 「辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律(辺地法)」に基づき、都道府県が、市町村からの申請を受けて、辺地として指定する。指定された地域では、公共的な施設(道路、診療所、保育所など)の整備を促進するため、財政上の特別な支援措置(辺地対策事業債の発行)が講じられる。
弁護士(べんごし)
  • 意味
    • 法律の専門家として、民事・刑事の訴訟において当事者の代理人となったり、法律相談に応じたり、法律関係の書類を作成したりすることを職務とする、国家資格を持つ者。
  • 歴史・経過
    • 行政分野においても、その役割は大きい。自治体の顧問弁護士として法的な助言を行ったり、監査委員や、各種の審議会・審査会の委員に就任したり、住民からの法律相談(無料法律相談)に応じたりする。また、行政訴訟では、行政側の代理人を務めることもある。
返還(へんかん)
  • 意味
    • 借りていた物や、預かっていた金銭などを、持ち主に返すこと。
  • 歴史・経過
    • 行政分野では、補助金が、目的外に使用されたり、交付の条件に違反したりした場合に、自治体が、補助金の交付を受けた事業者などに対し、その全部または一部を返すよう命じる「補助金返還命令」がある。また、奨学金の貸与を受けた学生は、卒業後、定められた期間内に、借りた奨学金を返還する義務を負う。
返戻(へんれい)
  • 意味
    • 「返すこと」「もどすこと」を意味する、やや硬い表現。「返還」とほぼ同義で使われる。
  • 歴史・経過
    • 行政手続きにおいて、提出された申請書や届出に、形式上の不備(記載漏れ、添付書類の不足など)があった場合に、行政機関が、申請者に対して、その書類を一旦返すことを「返戻する」という。
返礼品(へんれいひん)
  • 意味
    • 贈り物や、親切に対する、お返しの品物。
  • 歴史・経過
    • 特に、「ふるさと納税」制度において、自治体に寄附をした人に対し、自治体が、感謝の意を込めて贈る、地元の特産品やサービスのこと。返礼品競争の過熱を抑制するため、総務省は、返礼品の調達額を、寄附額の3割以下とすることや、地場産品に限ること、などの基準を設けている。
別途(べっと)
  • 意味
    • 「それとは別に」「特別に」という意味。
  • 歴史・経過
    • 条例や規則、契約書、要綱などにおいて、本体の規定とは別に、詳細な手続きや、様式、例外的な扱いなどを、他の規定や文書で定めることを示す際に、「別途定める」といった形で使われる。これにより、本体の規定を簡潔に保ちつつ、柔軟な運用を可能にする。
別表(べっぴょう)
  • 意味
    • 法律や条例、規則などの本文とは別に、補足的な内容を、表の形式で一覧にして示したもの。
  • 歴史・経過
    • 手数料の額、対象となる施設の一覧、適用される基準など、細かく、多岐にわたる内容を、本文の条文の中に入れると、かえって分かりにくくなる場合に、本文の末尾に別表として添付される。本文の条文には「別表〇〇のとおり」といった形で、参照する規定が置かれる。

法(ほう)
  • 意味
    • 国家の強制力を伴う、社会規範の総称。人々が社会生活を営む上で、守るべきルール。
  • 歴史・経過
    • 国会が制定する「法律」、内閣が制定する「政令」、各省大臣が発する「省令」、地方公共団体が制定する「条例」や「規則」など、様々な形式(法形式)がある。これらは、効力の強弱によって、階層的な秩序(ヒエラルキー)を形成しており、その頂点には、国の最高法規である「憲法」が位置する。
防衛(ぼうえい)
  • 意味
    • 敵からの攻撃や、侵略を防ぎ、守ること。
  • 歴史・経過
    防火(ぼうか)
    • 意味
      • 火災の発生を防ぎ、また、火災が発生した場合に、被害が拡大しないように備えること。
    • 歴史・経過
      • 消防法や建築基準法に基づき、様々な防火対策が定められている。市町村は、地域の消防団と連携し、火災予防運動や、住宅用火災警報器の設置促進、一人暮らし高齢者宅への防火訪問などを行う。また、都市計画では、火災の延焼を防ぐため、「防火地域」や「準防火地域」が指定される。
    包括(ほうかつ)
    • 意味
      • 全体を、一つにひっくるめること。
    • 歴史・経過
      • 行政分野では、高齢者福祉の拠点である「地域包括支援センター」や、複数の事業の補助金を、自治体の裁量で柔軟に使えるように、一つにまとめた「包括交付金」、公共施設の管理運営を、まとめて民間に委ねる「包括的民間委託」などの用語で使われる。
    報告(ほうこく)
    • 意味
      • ある任務や調査などについて、その経過や結果を、上司や関係機関、議会、住民などに、告げ知らせること。
    • 歴史・経過
      • 行政運営における、基本的な業務の一つ。職員から上司への「業務報告」、執行機関から議会への「事務報告」、審議会から首長への「答申(報告書)」などがある。説明責任(アカウン-タビリティ)を果たすための、重要な手段である。
    保健(ほけん)
    • 意味
      • 健康を、健やかな状態に保つこと。
    • 歴史・経過
      • 行政分野では、病気の予防や、健康の維持・増進に関する、公的なサービスや活動(公衆衛生)を指すことが多い。母子保健、精神保健、感染症対策、健康相談、健康教育などが、その主な内容であり、保健所や、市町村の保健センターが、その中核的な役割を担う。
    保健所(ほけんじょ)
    • 意味
      • 地域住民の健康を支え、公衆衛生を向上させるための、広域的・専門的・技術的な拠点として、地域保健法に基づき、都道府県、指定都市、中核市などが設置する機関。
    • 歴史・経過
      • 戦後、GHQの指導の下で、公衆衛生行政の中核機関として整備された。感染症対策、食品衛生、環境衛生、医事・薬事、難病対策、精神保健など、幅広い業務を所管する。近年は、新型コロナウイルス感染症への対応で、その重要性が再認識された。
    防災(ぼうさい)
    • 意味
      • 地震、台風、豪雨などの自然災害による被害を、未然に防止し、また、発生した場合に、被害を最小限に食い止めるための、事前の備えや、応急対策、復旧・復興といった、一連の取り組み。
    • 歴史・経過
      • 災害対策基本法が、日本の防災行政の根幹をなす。近年は、ハード対策(堤防、耐震化など)だけでなく、ハザードマップ、避-難訓練、防災教育、BCP(事業継続計画)といった、ソフト対策の重要性が増している。
    傍聴(ぼうちょう)
    • 意味
      • 会議や裁判などの公開の場で、直接の当事者ではない者が、その傍らで、議事や審理の様子を聞き、見守ること。
    • 歴史・経過
      • 地方自治法において、地方議会の本会議は、原則として公開しなければならないと定められており、住民は、誰でも、傍聴席で、本会議を傍聴することができる。これは、議会運営の透明性を確保し、住民の知る権利に応えるための、重要な原則である。
    法律(ほうりつ)
    • 意味
      • 国の唯一の立法機関である、国会の議決を経て、制定される法。国の法体系の中で、憲法に次ぐ、最も高い効力を持つ。
    • 歴史・経過
      • 地方公共団体の条例は、この法律の範囲内でしか、制定することができない。また、行政活動は、すべて、法律の根拠に基づいて、法律に従って行われなければならない(法律による行政の原理)。
    保守(ほしゅ)
    • 意味
      • 正常な状態を保ち、守ること。特に、機械やシステム、施設などが、その機能を維持できるように、点検、整備、修理を行うこと。
    • 歴史・経過
      • 行政が管理する、情報システム、道路、公園、公共建築物などは、すべて、日常的な保守点検が不可欠である。これらの保守業務は、専門の民間事業者に、年間契約で委託されることが多い。
    保身(ほしん)
    • 意味
      • 自分の地位や名誉、安全などを守ること。
    • 歴史・経過
      • 行政組織において、職員が、失敗を恐れて、前例踏襲や、先例のないことへの挑戦を避けたり、責任の所在を曖昧にしたりする、消極的な行動様式を批判する際に、「保身に走る」といった形で使われる。住民全体の奉仕者として、公益のために尽くす、という公務員倫理に反する姿勢とされる。
    補正予算(ほせいよさん)
    • 意味
      • 年度の途中で、当初予算で定めた内容に変更を加える必要が生じた場合に、その変更部分について、追加・修正するために編成される予算。
    • 歴史・経過
      • 災害の発生、経済情勢の急激な変化、国の経済対策への対応など、当初予算の編成時には、予測できなかった事態に対応するために編成される。当初予算と同様に、首長が議会に提出し、その議決を経て、成立する。
    保存(ほぞん)
    • 意味
      • 元の状態を保ち、そこなわれたり、なくなったりしないように、守ること。
    • 歴史・経過
      • 公文書管理法において、行政文書は、その重要度に応じて、定められた期間(1年、3年、5年、10年、30年など)、「保存」しなければならないと定められている。保存期間が満了した文書のうち、歴史的に重要な価値を持つものは、「特定歴史公文書等」として、国立公文書館や、各自治体の公文書館に移管され、永久に保存される。
    補足(ほそく)
    • 意味
      • 不十分なところを、付け加えて、補うこと。
    • 歴史・経過
      • 議会での答弁や、会議での説明において、主要な説明だけでは、十分に意図が伝わらない場合に、追加で、詳しい説明や、関連する情報を加えることを「補足説明」という。
    保全(ほぜん)
    • 意味
      • あるものを、安全で、完全な状態に保ち、守ること。
    • 歴史・経過
      • 行政分野では、貴重な自然環境を守る「環境保全」、歴史的な街並みを守る「景観保全」、文化財を守る「文化財の保存」、インフラの機能を維持する「施設の保全(予防保全)」など、持続可能な社会を構築するための、重要な概念として、広く用いられる。
    補助(ほじょ)
    • 意味
      • 足りないところを補い、助けること。行政分野では、特定の事業や活動を奨励・育成するために、国や地方公共団体が、民間団体や、他の自治体などに対し、経費の一部を援助する「補助金」を指すことが多い。
    • 歴史・経過
      • 補助金の交付は、法令や条例、要綱に基づいて行われる。公平性・透明性を確保するため、公募により、審査を経て、交付先を決定することが多い。補助金を受けた者は、事業完了後、実績報告書を提出し、検査を受ける義務がある。
    補助機関(ほじょきかん)
    • 意味
      • 地方公共団体の長(知事や市町村長)の権限に属する事務を、補助するために置かれる機関。
    • 歴史・経過
      • 地方自治法に規定されており、副知事・副市町村長、会計管理者、および、一般の職員(部長、課長、係長など)が、これにあたる。長の指揮監督の下で、一体となって、執行機関の事務を処理する。
    補助金(ほじょきん)
    • 意味
      • 国や地方公共団体が、特定の行政目的を達成するため、公益上の必要がある場合に、民間団体や個人などに対し、その事業や活動を奨励・助成するために、反対給付なしに交付する金銭。
    • 歴史・経過
      • 国の補助金(国庫補助金)は、国の施策を全国で展開するための重要な手段。自治体の補助金は、地域課題の解決や、住民の自主的な活動を支援するために、多様なメニューが用意されている。補助金の適正な執行のため、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(国)や、補助金交付規則(自治体)が定められている。
    母子健康手帳(ぼしけんこうてちょう)
    • 意味
      • 妊娠の届出をした妊婦に対して、市町村が交付する手帳。妊娠中から、出産、そして、子どもの乳幼児期までの、母と子の健康状態や、発育・発達、予防接種の記録などを、一貫して記録することができる。
    • 歴史・経過
      • 母子保健法に基づき交付される。単なる記録だけでなく、育児に関する様々な情報が掲載されており、保健指導や、健康診査を受ける際にも、重要な役割を果たす。
    ポスト(ぽすと)
    • 意味
      • 郵便物を受け取るための箱(郵便受け)。また、職務上の地位や役職。
    • 歴史・経過
      • 行政組織における、課長、係長といった、特定の職務と責任が割り当てられた地位を指す。「ポストが空く」「ポストに就く」といった形で使われる。定員管理上、ポストの総数は、条例で厳格に定められている。
    発起人(ほっきにん)
    • 意味
      • 会社や、法人、団体などを、最初に計画し、設立の中心となって、手続きを行う人のこと。
    • 歴史・経過
      • NPO法人を設立する際には、10人以上の「社員」(総会での議決権を持つメンバー)が必要であり、その設立総会を招集する者が、発起人となる。
    ボトムアップ(ぼとむあっぷ)
    • 意味
      • 組織の下層部(ボトム)である、現場の職員や、住民からの意見・提案を吸い上げて、それを基に、上層部(トップ)が意思決定を行う、下意上達の管理方式。
    • 歴史・経過
      • 現場の実情に合った、きめ細かな政策の立案や、職員・住民の当事者意識を高める効果が期待される。トップダウン方式と対比され、両者のバランスをとることが、健全な組織運営に重要とされる。
    ボランティア(ぼらんてぃあ)
    • 意味
      • 個人の自由な意思に基づき、金銭的な見返りを求めることなく、自発的に、社会や他者に貢献する活動。また、その活動を行う人。
    • 歴史・経過
      • 1995年の阪神・淡路大震災で、多くのボランティアが活躍したことから、その社会的意義が広く認識され、「ボランティア元年」と呼ばれた。行政だけでは対応しきれない、きめ細かな地域課題を解決する、協働のパートナーとして、その活動を支援するための施策(ボランティアセンターの設置、活動保険への助成など)が講じられている。
    保留(ほりゅう)
    • 意味
      • 物事の決定や実行を、一時的に、保留にし、さしひかえること。
    • 歴史・経過
      • 議会において、委員会での審査の結果、直ちに結論を出すことが困難な場合(さらなる調査が必要、関係者の意見調整がついていない、など)に、その会期中での議決を見送り、次の会期まで、継続して審査することを「継続審査」というが、事実上の「保留」にあたる。
    本会議(ほんかいぎ)
    • 意味
      • 地方議会において、全議員で構成される、議会の最終的な意思を決定するための、公式な会議。
    • 歴史・経過
      • 議案の議決、選挙、決議などは、すべて本会議で行われる。通常、議案は、本会議での審議に先立ち、少人数の議員で構成される、専門的な「委員会」に付託され、詳細な審査が行われる。
    本則(ほんそく)
    • 意味
      • 法律や条例などの法令の本体部分。その法令の目的、定義、実体的な権利・義務、手続きなどを定めた、中心的な規定群のこと。
    • 歴史・経過
      • 法令の施行日や、旧法からの移行措置などを定める「附則(ふそく)」と対比される。
    本庁(ほんちょう)
    • 意味
      • 地方公共団体の、中心となる庁舎のこと。また、そこに置かれている、組織全体を統括する部局(企画部、総務部、財政部など)の総称。
    • 歴史・経過
      • 支所(出張所)や、教育委員会、上下水道局といった、本庁舎とは別の場所に置かれたり、独立性の高い権限を持ったりする「出先機関」と対比して使われる。
    補償(ほしょう)
    • 意味
      • 生じた損失を、埋め合わせること。
    • 歴史・経過
      • 行政分野では、特に「損失補償」が重要。これは、国や地方公共団体が、公共の利益のために、適法な公権力の行使によって、特定の個人の財産に、特別の犠牲(損失)を生じさせた場合に、その損失を、全体の公平な負担の観点から、金銭で補填すること。土地収用に対する補償金が典型例。
    保釈(ほしゃく)
    • 意味
      • 刑事裁判で、起訴された後、勾留(拘置所に拘束されること)されている被告人について、保証金の納付などを条件として、判決が確定するまで、その身柄の拘束を解く制度。
    • 歴史・経過
      • 刑事訴訟法に定められている。被告人の、防御の準備や、社会生活の維持を保障するための、重要な権利。公務員が、刑事事件で起訴され、勾留された場合、地方公務員法に基づき、判決が確定するまで、休職の処分となることがある。

    マイクロクレジット(まいくろくれじっと)
    • 意味
      • 貧困層や低所得者に対し、無担保で小口の融資を行う金融サービス。日本では、生活困窮者の経済的自立を支援する制度(例:生活福祉資金貸付制度)の中で、この考え方が応用されている。
    • 歴史・経過
      • 1970年代にバングラデシュのグラミン銀行と創設者ムハマド・ユヌス氏によって始められたのが起源。日本では、貧困や社会的孤立の問題が深刻化する中で、従来の福祉施策に加え、個人の就労意欲や経済的自立を促す手法として注目され、社会福祉協議会などが実施する貸付制度にその理念が取り入れられている。
    マイクロプラスチック問題(まいくろぷらすちっくもんだい)
    • 意味
      • 環境中に存在する微細なプラスチック粒子(マイクロプラスチック)が、海洋生態系や人の健康に及ぼす影響に関する問題。行政においては、廃棄物処理、環境保全、市民への啓発など、多岐にわたる分野での対応が求められる課題。
    • 歴史・経過
      • 2010年代以降、海洋ごみ問題の中でも特に深刻な課題として世界的に認知されるようになった。国は「プラスチック資源循環戦略」などを策定し、自治体レベルでも、プラスチックごみの削減(リデュース)、海岸清掃の強化、下水道における流出防止対策、住民や事業者への意識啓発などの取り組みが進められている。
    マイナンバーカード(まいなんばーかーど)
    • 意味
      • マイナンバー制度に基づき、住民の申請により交付されるICチップ付きのプラスチック製カード。券面には氏名、住所、生年月日、性別、顔写真、マイナンバーが記載される。公的な身分証明書として利用できるほか、電子証明書機能を用いて様々な行政手続きのオンライン申請(e-Taxなど)が可能となる。
    • 歴史・経過
      • 2016年(平成28年)1月から交付が開始された。「住民基本台帳カード(住基カード)」の後継に位置づけられる。政府は、デジタル社会の基盤として普及を強力に推進しており、健康保険証との一体化(マイナ保険証)、運転免許証との一体化検討、各種給付金の受取口座登録などを進めている。
    マイナンバー制度(まいなんばーせいど)
    • 意味
      • 「社会保障・税番号制度」の通称。日本国内の全住民に一人ひとり固有の12桁の番号を割り振り、社会保障、税、災害対策の3分野で個人の情報を効率的かつ正確に管理する仕組み。
    • 歴史・経過
      • 2013年(平成25年)に番号法が成立し、2015年(平成27年)10月から運用開始。目的は、①所得や行政サービスの受給状況を正確に把握することによる公平・公正な社会の実現、②行政手続きの簡素化による国民の利便性向上、③行政機関間の情報連携による事務の効率化、とされている。
    マイノリティ(まいのりてぃ)
    • 意味
      • 「少数者」「少数派」のこと。人種、民族、国籍、宗教、性的指向、性自認、障害の有無など、社会において少数派に位置づけられる人々や集団を指す。行政においては、人権擁護、多様性の尊重、差別の是正といった観点から、マイノリティへの配慮や支援策が重要な政策課題となる。
    • 歴史・経過
      • 従来、外国人、障害者など個別の対象ごとに政策が展開されてきたが、近年では「多様性の尊重(ダイバーシティ)」という包括的な理念のもと、より幅広いマイノリティを対象とした施策が求められている。LGBTQに関するパートナーシップ制度の導入や、多文化共生推進計画の策定などがその例である。
    埋蔵文化財(まいぞうぶんかざい)
    • 意味
      • 土地に埋蔵されている文化財(例:貝塚、古墳、都城跡などの「遺跡」と、そこから出土する土器、石器などの「遺物」)の総称。文化財保護法により保護の対象となる国民的な資産。
    • 歴史・経過
      • 1950年(昭和25年)制定の文化財保護法で法的な位置づけがなされた。「周知の埋蔵文化財包蔵地」で土木工事等を行う場合、事業者は事前に教育委員会へ届け出る義務がある。必要に応じて工事着手前に発掘調査が行われる。公共事業や民間開発と、貴重な歴史遺産の保護を両立させるための調整は、地方自治体の重要な役割となっている。
    前さばき(まえさばき)
    • 意味
      • 議案や予算要求、許認可申請などを、正式な審議や決定の前に、関係部署間や財政担当部署と事業担当部署との間で行う事前の調整・折衝・根回しのこと。庁内における非公式な合意形成プロセスを指す俗語。
    • 歴史・経過
      • 円滑な組織運営や意思決定のために慣例的に行われてきた。効率的な事務処理に資する一方、プロセスの不透明さや、力関係による結論の固定化といった弊害も指摘される。情報公開や透明性の確保が求められる現代の行政運営においては、そのあり方が問われることもある。
    前金払(まえきんばらい)
    • 意味
      • 地方公共団体が公共工事などの契約を締結した際に、業務の着手や物品の納入が完了する前に、契約金額の一部を前払いする制度。請負業者の初期の資金調達(材料費、人件費など)を円滑にし、安定的な事業遂行を確保することが目的。
    • 歴史・経過
      • 地方自治法第232条の5第2項および同法施行令第163条に規定されている。特に大規模な建設工事などで広く活用されており、契約金額の4割を上限とすることが一般的。事業者の資金繰りの負担を軽減し、公共事業への参入を促進する効果がある。
    マクロ経済スライド(まくろけいざいすらいど)
    • 意味
      • 公的年金の給付水準を、社会経済の変動に応じて自動的に調整する仕組み。具体的には、賃金や物価の伸び率から、少子高齢化の進展に応じた「スライド調整率」を差し引くことで、年金の伸びを抑制する。
    • 歴史・経過
      • 将来にわたる年金制度の持続可能性を確保するため、2004年(平成16年)の年金制度改正で導入された。年金財政の「100年安心」を掲げ、将来世代の負担が過重にならないよう、給付と負担のバランスを取ることを目的とする。2015年度(平成27年度)に初めて発動された。
    マスコットキャラクター(ますこっときゃらくたー)
    • 意味
      • 自治体やその施策、イベントなどをPRするために作られたキャラクター。「ゆるキャラ」とも呼ばれる。親しみやすさを通じて、地域の魅力発信、住民の行政への関心向上、シティプロモーション、観光振興などを図る目的で活用される。
    • 歴史・経過
      • 1990年代頃から各地で登場し始めたが、2007年の「ひこにゃん」の成功や、2010年代の「くまモン」の全国的な人気、ゆるキャラグランプリの開催などを経て爆発的に増加した。単なるPRツールに留まらず、関連グッズ販売による歳入確保や、地域の一体感醸成にも寄与している。
    マスタープラン(ますたーぷらん)
    • 意味
      • 行政の特定の分野や自治体全体の将来像、長期的な方針を示す「基本計画」。個別の事業計画の上位に位置づけられ、まちづくりの理念や目標、施策の大綱などを体系的に示す。多くは法的な拘束力を持たないが、行政運営の総合的な指針となる。
    • 歴史・経過
      • もとは都市計画の分野で用いられた用語だが、戦後の復興期以降、総合的かつ計画的な行政運営を行う手法として多くの自治体で採用されるようになった。「都市計画マスタープラン」や「緑の基本計画」などが代表例。
    マスメディア(ますめでぃあ)
    • 意味
      • 新聞、テレビ、ラジオ、雑誌など、不特定多数の受け手に対して情報を伝達する媒体。行政においては、政策や事業、災害情報などを広く住民に周知するための重要な伝達手段であると同時に、行政活動を監視・批判する「第四の権力」としての役割も担う。
    • 歴史・経過
      • 行政は、記者会見やプレスリリースを通じてマスメディアに情報提供を行う広報活動を日常的に行っている。近年は、インターネットやSNSの普及により、マスメディアを介さずに直接住民に情報を発信する「オウンドメディア」の活用も進んでいるが、依然としてマスメディアの影響力は大きい。
    マッチング(まっちんぐ)
    • 意味
      • 「引き合わせ」「組み合わせ」のこと。行政分野では、特定のニーズを持つ主体と、それに応えられるシーズ(技術、人材、資源など)を持つ主体とを結びつける事業や機能を指す。企業間のビジネスマッチング、求職者と求人企業のマッチング、ボランティア希望者と活動先のマッチングなどがある。
    • 歴史・経過
      • 地域経済の活性化や市民活動の推進、雇用創出などを目的として、多くの自治体で専門の窓口設置やイベント開催、プラットフォームサイトの運営などが行われている。行政がハブ(結節点)となり、地域内の資源の効率的な活用を促進する役割を担う。
    マタニティマーク(またにてぃまーく)
    • 意味
      • 妊娠中(特に妊娠初期)であることを周囲に示し、配慮を促すためのマーク。交通機関での席の譲り合い、受動喫煙への配慮など、妊婦にやさしい環境づくりを社会全体で進めることを目的とする。
    • 歴史・経過
      • 2006年に厚生労働省が公募によりデザインを決定し、全国的な普及を推進した。多くの自治体では、母子健康手帳の交付時にキーホルダーなどを配布しており、鉄道事業者など民間とも連携して普及啓発活動が行われている。子育て支援・少子化対策の一環として位置づけられる。
    まち・ひと・しごと創生(まち・ひと・しごとそうせい)
    • 意味
      • 人口急減と東京一極集中の是正を目指す、国の総合的な地方活性化政策。魅力ある「まち」を築き、そこに惹かれた「ひと」が集い、安定した「しごと」が生まれる、という好循環を地方で確立することを目標とする。
    • 歴史・経過
      • 2014年(平成26年)に第二次安倍内閣のもとで開始された。関連法として「まち・ひと・しごと創生法」が制定され、国は「総合戦略」を策定。これに基づき、全ての都道府県及び市町村において、地域の実情に応じた「地方版総合戦略」の策定が求められた。
    まちづくり(まちづくり)
    • 意味
      • 住民が主体となり、行政と協働しながら、自分たちの住む地域をより良くしていくための活動全般。単なる都市計画やインフラ整備に留まらず、防災、福祉、環境、文化、産業振興などを含む、総合的な地域経営の概念。
    • 歴史・経過
      • 1960~70年代の公害問題や開発優先の都市計画への反省から、住民参加の重要性が認識され始めた。1990年代の地方分権改革を契機に、「協働」の理念が広まり、多くの自治体でまちづくり条例が制定され、住民が計画段階から参画する仕組みが制度化されていった。
    まちづくり交付金(まちづくりこうふきん)
    • 意味
      • 地域の歴史・文化や自然環境等の特性を活かした、個性あふれるまちづくりを総合的に支援するために、国(国土交通省)が市町村に交付していた補助金。市町村が作成した「都市再生整備計画」に基づいて実施される事業が対象となった。
    • 歴史・経過
      • 2004年度(平成16年度)に創設された。従来の縦割り的な補助金とは異なり、ハード・ソフト両面の事業に柔軟に活用できる自由度の高さが特徴だった。2010年度(平成22年度)からは、後継制度である「社会資本整備総合交付金」に統合され、その基幹事業の一つである「都市再生整備計画事業」として位置づけられている。
    まちづくり三法(まちづくりさんぽう)
    • 意味
      • 郊外における大規模集客施設の無秩序な立地を抑制し、中心市街地の活性化を図るために2006年に改正された、①改正都市計画法、②改正中心市街地活性化法、③大規模小売店舗立地法(大店立地法)の3つの法律の総称。
    • 歴史・経過
      • 2000年の大規模小売店舗法(大店法)の廃止後、郊外への大型店出店が加速し、全国で中心市街地の空洞化が深刻化した。この状況に対応するため、自治体が都市計画によって大型店の立地をコントロールできる権限を強化し、中心市街地活性化への支援策を拡充する法改正が行われた。
    窓口(まどぐち)
    • 意味
      • 住民が各種の申請、届出、相談などを行うために役所に設けられた接点。行政サービスの最前線であり、「役所の顔」とも言える場所。転じて、特定の事業や問い合わせに対応する担当部署や担当者を指す言葉としても用いられる(例:「この件の窓口は〇〇課です」)。
    • 歴史・経過
      • 従来は、手続きごとに窓口が分かれ、住民が庁舎内を移動する「縦割り行政」が課題とされてきた。近年は、住民の利便性向上のため、関連する複数の手続きを一つの窓口で完結させる「ワンストップサービス」や、民間委託によるサービス時間延長などの改善が進められている。
    マッピング(まッピング)
    • 意味
      • 地図上に様々な情報を重ね合わせて可視化すること。行政分野では、地理情報システム(GIS)を用いて、都市計画情報、固定資産税路線価、ハザードマップ、公共施設配置、統計データなどを地図上に表示し、計画策定や現状分析、住民への情報提供に活用する。
    • 歴史・経過
      • コンピュータ技術の進展、特にGISの普及により、行政の多様な業務で活用されるようになった。直感的で分かりやすい情報表現が可能であるため、政策決定の高度化や、住民との合意形成の円滑化に貢献している。オープンデータ化の流れの中で、行政が保有するマッピングデータを市民が活用する動きも広がっている。
    マニフェスト(まにふぇすと)
    • 意味
      • 選挙において、政党や首長候補者が有権者に対して示す、具体的な数値目標、実施時期、財源などを明記した政策の公約集。従来の抽象的な公約とは異なり、達成度を事後的に検証できる点が特徴。
    • 歴史・経過
      • 英国労働党の事例を参考に、2003年の統一地方選挙頃から、当時の北川正恭三重県知事らによって提唱され、日本に広まった。政策本位の選挙を実現し、首長や議会の説明責任(アカウンタビリティ)を高めるためのツールとして定着した。
    マネジメントサイクル(まねじめんとさいくる)
    • 意味
      • 組織の目標達成や業務改善を継続的に行うための管理手法の循環プロセス。特に「PDCAサイクル」(Plan:計画 → Do:実行 → Check:評価 → Action:改善)が代表的。行政運営においては、政策評価や事務事業評価、予算編成プロセスなどにこの考え方が導入されている。
    • 歴史・経過
      • もとは品質管理の分野で用いられた概念だが、1990年代後半からの行財政改革の流れの中で、行政の効率性や実効性を高める手法として重視されるようになった。計画の立てっぱなしを防ぎ、成果に基づいた改善を促すことで、行政経営の質を向上させることを目指す。
    マニュアル(まにゅある)
    • 意味
      • 業務の手順、判断基準、様式などを定めた手引書のこと。行政においては、事務処理の標準化、迅速化、公平性の確保、担当者交代時の円滑な引き継ぎなどを目的として、各種の事務マニュアルや窓口応対マニュアルなどが作成される。
    • 歴史・経過
      • 組織的な業務遂行の基本ツールとして古くから存在する。近年では、内部統制の強化やコンプライアンス遵守の観点から、法令や倫理規定を遵守した行動を促すためのマニュアルの重要性も高まっている。一方で、マニュアルへの過度な依存は、柔軟な対応や職員の主体性を阻害するとの批判もある。
    まん延防止等重点措置(まんえんぼうしとうじゅうてんそち)
    • 意味
      • 緊急事態宣言に至る前の段階で、地域を限定して集中的な感染症対策を講じることを可能にする制度。2021年の新型インフルエンザ等対策特別措置法改正により創設された。都道府県知事は、飲食店への営業時間短縮要請など、緊急事態宣言下に準じた強い措置を講じることができる。
    • 歴史・経過
      • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応において、緊急事態宣言による社会経済活動への広範な影響を避けつつ、感染拡大の予兆を捉えて機動的に対策を打つ必要性から導入された。感染状況に応じて、政府が対象地域や期間を決定する。
    マル優制度(まるゆうせいど)
    • 意味
      • 「少額貯蓄非課税制度」の通称。高齢者や障害者等が、一定額(元本350万円)までの預貯金等の利子について所得税を非課税とする制度。社会的弱者への配慮を目的とした税制上の優遇措置。
    • 歴史・経過
      • かつては誰もが利用できたが、税制の公平性の観点から1988年(昭和63年)に原則廃止された。しかし、高齢者や障害者等に限っては、社会的政策配慮から制度が存続されることになった。金融機関の窓口で手続きを行うため、自治体の福祉担当部署が制度を案内する場合がある。
    マルチステークホルダー・プロセス(まるちすていくほるだー・ぷろせす)
    • 意味
      • 特定の政策課題について、行政、市民、NPO、企業、専門家など、多様な利害関係者(ステークホルダー)が対等な立場で参加し、対話や協働を通じて合意形成や課題解決を図るプロセス。
    • 歴史・経過
      • 行政主導のトップダウン型意思決定の限界が認識される中で、複雑化した社会課題に対応するための新たなガバナンス(協治)の手法として注目されている。審議会やワークショップ、円卓会議などの形式で実践され、計画策定やルール作りなど様々な場面で活用される。
    マルチハザードマップ(まるちはざーどまっぷ)
    • 意味
      • 洪水、土砂災害、地震、津波、高潮など、想定される複数の災害リスクを、一枚の地図上や冊子等にまとめて表示した防災地図。住民が自宅周辺の様々な災害リスクを一度に把握できるように作られている。
    • 歴史・経過
      • 従来は災害種別ごとにハザードマップが作成されることが多かったが、住民の利便性向上のため、情報を集約する必要性が認識されるようになった。特に、複数の災害が連動して発生した東日本大震災の教訓から、複合的な災害リスクを伝える重要性が高まり、国も作成を推奨している。
    丸投げ(まるなげ)
    • 意味
      • 行政が民間事業者等に業務を委託する際に、委託した業務の大部分を、受注者がさらに別の事業者(下請け)に委託すること。特に、受注者が主体的な役割をほとんど果たさない状態を指す。公共契約においては、責任の所在が曖昧になる、品質が低下する、中間搾取が発生するなどの問題があるため、原則として禁止または厳しく制限されている。
    • 歴史・経過
      • 公共工事の請負契約等において、一括下請負(丸投げ)は建設業法で禁止されている。業務委託契約においても、契約書で再委託に関する制限(原則禁止、事前承認制など)を設けるのが一般的であり、適正な履行確保のための自治体の監督責任が問われる。
    マンション管理適正化法(まんしょんかんりてきせいかほう)
    • 意味
      • 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の通称。分譲マンションの管理組合による適切な管理を促進し、老朽化問題などに対応することを目的とする法律。国が基本方針を定め、地方公共団体は助言、指導、勧告や、管理計画の認定などを行うことができる。
    • 歴史・経過
      • 2000年(平成12年)に制定。建物の老朽化、管理組合の担い手不足、役員の高齢化といった課題が深刻化する中で、マンションを重要な社会資本と位置づけ、行政の関与を強める方向で法整備が進められてきた。2020年の法改正では、地方公共団体による「管理計画認定制度」が創設された。
    マンパワー(まんぱわー)
    • 意味
      • 人的資源、労働力、人員のこと。行政組織においては、特定の事業や業務を遂行するために必要な職員の数や能力を指す。限られた定員の中で、いかに効率的・効果的にマンパワーを配置するかが、組織マネジメント上の重要な課題となる。
    • 歴史・経過
      • 行財政改革の流れの中で、職員定員の削減が進められてきた一方、行政需要は複雑・多様化している。そのため、新規採用の抑制、アウトソーシングの活用、ICT化による業務効率化など、常にマンパワーの最適化が求められている。
    マンホール(まんほーる)
    • 意味
      • 下水道や通信線、電力線などの地下埋設管路の維持管理(点検、清掃、修理)のために、作業員が出入りする縦穴の入り口。およびその蓋(ふた)。特に下水道施設として、地方公共団体(主に市町村)が管理する重要なインフラ資産の一つ。
    • 歴史・経過
      • 近代下水道の導入とともに整備されてきた。近年、老朽化したマンホールの更新が全国的な課題となっている(アセットマネジメント)。一方で、自治体の花や名所などをデザインした「デザインマンホール(ご当地マンホール)」が1980年代頃から登場し、下水道事業のPRや観光資源として注目されるようになった。マンホールカードの発行など、新たなシティプロモーションの手法としても活用されている。
    民間活力(民活)(みんかんかつりょく(みんかつ))
    • 意味
      • 民間企業が持つ資金、経営ノウハウ、技術、人材などを、公共サービスの提供や社会資本の整備に活用すること。行政の効率化、サービス水準の向上、新たな事業の創出などを目的とする。PFI、指定管理者制度、民間委託などが代表的な手法。
    • 歴史・経過
      • 1980年代の臨時行政調査会(臨調)の答申以降、行財政改革のキーワードとして重視されてきた。「官から民へ」のスローガンのもと、公共施設の運営や社会資本整備など、これまで行政が直接行ってきた分野に民間事業者の参入を促す様々な制度が創設されてきた。
    民間協働(みんかんきょうどう)
    • 意味
      • 行政と民間事業者(企業、NPOなど)が、対等なパートナーとして、それぞれの強みを活かしながら協力して公共的な課題解決に取り組むこと。「官民連携」「公民連携(PPP: Public-Private Partnership)」とほぼ同義で使われる。
    • 歴史・経過
      • 単なる業務の「委託」という関係性を超えて、企画段階から官民が連携し、新たな価値を創造することを目指す考え方。地域の課題が複雑化する中で、行政単独での解決が困難な問題に対し、民間のアイデアや資源を積極的に活用する手法として、まちづくり、福祉、教育など幅広い分野で実践されている。
    民間委託(みんかんいたく)
    • 意味
      • 「アウトソーシング」とほぼ同義。行政サービスや内部事務の一部について、その仕様を行政が決定した上で、民間事業者と契約を結び、業務の実施を委ねること。コスト削減や専門性の活用、行政組織のスリム化などを目的とする。
    • 歴史・経過
      • 行財政改革の主要な手法として、窓口業務、ごみ収集、給食調理、施設の管理運営など幅広い分野で導入が進んでいる。地方自治法上、委託できるのは「公の施設の管理」や「技術的、専門的な業務」などに限定されてきたが、法改正によりその範囲は拡大している。

    未移行年金(みいこうねんきん)
    • 意味
      • 2015年(平成27年)10月の被用者年金一元化(厚生年金と共済年金が統合)より前に発生した共済年金の受給権のうち、新しい年金制度の年金として決定(再裁定)されていないもののこと。主に、受給資格があるにもかかわらず請求(裁定請求)が行われていない年金などを指す。
    • 歴史・経過
      • 年金制度が複雑であったことや、本人が受給権の発生を知らないケースなどがあり、多くの未請求の年金が存在することが課題となった。日本年金機構や各共済組合は、該当する可能性のある人への通知や広報活動を行い、請求を促している。時効(原則5年)があるため、早めの確認が重要となる。
    未収金(みしゅうきん)
    • 意味
      • 地方自治体の会計において、納付期限を過ぎてもまだ納められていない税金(町税、固定資産税など)や、使用料、手数料、貸付金の元利償還金などのこと。収入として計上されているが、まだ現金化されていない債権を指す。
    • 歴史・経過
      • 未収金の増大は、自治体の財政運営を圧迫する大きな要因となる。そのため、各自治体では「未収金対策課」などの専門部署を設置し、納税コールセンターによる催告、財産の差し押さえといった徴収強化の取り組みを進めている。公平性の確保と財源確保の両面から、未収金の縮減は重要な行政課題となっている。
    未就学児(みしゅうがくじ)
    • 意味
      • 学校教育法で定められた就学義務の年齢(満6歳)に達していない子ども。一般的に、小学校入学前の子どもを指す。行政においては、子育て支援、保育、幼児教育、保健・医療(乳幼児健診など)といった施策の主要な対象となる。
    • 歴史・経過
      • 少子化対策や女性の社会進出支援の観点から、未就学児に対する政策の重要性は年々高まっている。待機児童問題の解消に向けた保育所の整備、幼児教育・保育の無償化(2019年10月開始)、地域子育て支援拠点の設置など、国と地方自治体が連携して様々な支援策を講じている。
    未成年者(みせいねんしゃ)
    • 意味
      • 民法上、成年に達しない者のこと。親権者の保護下にあり、単独で完全に有効な法律行為(契約など)を行うことができない。行政手続きにおいても、多くの場合、法定代理人(親権者など)の同意や代理申請が必要となる。
    • 歴史・経過
      • 2022年(令和4年)4月1日に民法が改正され、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられた。これにより、18歳、19歳の人は親の同意なく契約ができるようになった一方、消費者被害の増加も懸念されている。自治体では、若者向けの消費者教育や相談窓口の周知などを行っている。なお、飲酒や喫煙に関する年齢制限は従来通り20歳未満で維持されている。
    身元保証(みもとほしょう)
    • 意味
      • 就職や施設入所などの際に、本人の人物や行動について保証人が責任を負うこと。行政分野では、特に身寄りのない高齢者が福祉施設や賃貸住宅に入居する際に、身元保証人がいないことが障壁となるケースが問題となっている。
    • 歴史・経過
      • 核家族化や地域社会のつながりの希薄化により、身元保証人を頼める人がいない高齢者が増加している。この課題に対応するため、一部の自治体では、社会福祉協議会が法人として身元保証を行う事業や、NPOや民間企業が行う保証サービスと連携する取り組みを進めている。
    身寄りのない高齢者(みよりのないこうれいしゃ)
    • 意味
      • 配偶者や子どもなど、頼れる親族がいない、あるいは親族がいても疎遠であったり支援が期待できなかったりする高齢者のこと。日常生活の支援、医療や介護サービスの利用、入院・入所時の身元保証、死後の手続き(エンディングサポート)など、様々な面で課題を抱える。
    • 歴史・経過
      • 高齢化と単身世帯の増加に伴い、社会的な課題としてクローズアップされてきた。行政(地域包括支援センターなど)、社会福祉協議会、民生委員、NPOなどが連携し、見守り活動、成年後見制度の利用支援、緊急時の対応、生活困ゆきゅう者自立支援制度の活用など、包括的な支援体制の構築が進められている。
    水循環基本法(みずじゅんかんきほんほう)
    • 意味
      • 水が蒸発・降水・流出という形で循環する過程を健全な状態で維持・回復させるための施策を、総合的かつ一体的に推進することを目的とした法律。水を「国民の共有の貴重な財産」と位置づけ、流域全体の視点での水に関する取り組みを促す。
    • 歴史・経過
      • 2014年(平成26年)に制定された。従来の河川法(治水・利水)、下水道法(水質保全)といった個別の法律に加え、流域全体のマネジメントという新しい視点を導入した。国が「水循環基本計画」を策定し、都道府県や市町村においても、地域の実情に応じた計画の策定が努力義務とされている。
    水質汚濁防止法(みずしつおだくぼうしほう)
    • 意味
      • 工場や事業場からの排水を規制することによって、公共用水域(河川、湖沼、海など)や地下水の水質汚濁を防止し、国民の健康保護と生活環境の保全を図るための法律。
    • 歴史・経過
      • 1970年(昭和45年)のいわゆる「公害国会」で制定された。高度経済成長期に深刻化した水俣病などの公害問題が背景にある。有害物質の種類ごとに全国一律の排水基準を定め、基準を超える排水を出す事業者には都道府県知事が改善命令や罰則を科すことができる。
    緑の基本計画(みどりのきほんけいかく)
    • 意味
      • 都市緑地法に基づき、市町村が策定する、緑地の保全及び緑化の推進に関する総合的なマスタープラン。公園や緑地の配置、公共施設や民有地の緑化、緑化活動の支援など、地域の緑に関する将来像と目標、施策を定める。
    • 歴史・経過
      • 1994年(平成6年)の都市緑地法改正により制度化された。単に緑の量を増やすだけでなく、生態系の保全、景観の向上、防災機能の強化、地域コミュニティの活性化など、緑が持つ多様な機能に着目した計画づくりが求められている。
    緑の分権改革(みどりのぶんけんかいかく)
    • 意味
      • 森林の整備や保全に関する権限と財源を、国から地方自治体へ移譲し、地域主導の森林づくりを進めようとする改革。地域の自主性と創意工夫を活かし、森林の多面的機能(水源涵養、国土保全など)を維持・向上させることを目指す。
    • 歴史・経過
      • 2011年(平成23年)頃から本格的に議論が開始された。林業の担い手不足や、手入れの行き届かない人工林の増加が課題となる中で、地域のニーズに即したきめ細かな森林管理を行うために、地方の役割を強化する必要性が指摘された。森林環境税(2024年度から国税として徴収開始)もこの改革の一環と位置づけられる。
    緑のカーテン(みどりのかーてん)
    • 意味
      • ゴーヤやアサガオなどのつる性の植物を、建物の窓や壁面に這わせて作る自然のカーテン。日差しを遮ることで室温の上昇を抑え、冷房の使用を抑制する効果がある。地球温暖化対策の一環として、多くの自治体が普及を奨励している。
    • 歴史・経過
      • 2000年代以降、ヒートアイランド現象対策や省エネルギーへの関心の高まりとともに、個人住宅や学校、公共施設などで広く取り組まれるようになった。自治体では、種の配布、コンテストの開催、栽培方法の講習会などを通じて、住民の取り組みを支援している。
    民意(みんい)
    • 意味
      • 国民または住民の総意、あるいは多数の意見のこと。民主主義国家において、行政や政治の決定は民意を反映したものであるべきとされる。選挙の結果、世論調査、住民投票、パブリックコメント、陳情・請願などが民意を測る手段となる。
    • 歴史・経過
      • 行政運営においては、常に民意を的確に把握し、政策に反映させることが求められる。ただし、「民意」は多様であり、時に相反することもあるため、様々な意見に耳を傾け、公平性や専門的な知見も踏まえて総合的に判断する能力が行政には不可欠である。
    民活(みんかつ)
    • 意味
      • 「民間活力」の略称。➡️ 民間活力(みんかんかつりょく) を参照。
    民間活力(みんかんかつりょく)
    • 意味
      • 民間企業が持つ資金、経営ノウハウ、技術、人材などを、公共サービスの提供や社会資本の整備に活用すること。行政の効率化、サービス水準の向上、新たな事業の創出などを目的とする。PFI、指定管理者制度、民間委託などが代表的な手法。
    • 歴史・経過
      • 1980年代の臨時行政調査会(臨調)の答申以降、行財政改革のキーワードとして重視されてきた。「官から民へ」のスローガンのもと、公共施設の運営や社会資本整備など、これまで行政が直接行ってきた分野に民間事業者の参入を促す様々な制度が創設されてきた。
    民間協働(みんかんきょうどう)
    • 意味
      • 行政と民間事業者(企業、NPOなど)が、対等なパートナーとして、それぞれの強みを活かしながら協力して公共的な課題解決に取り組むこと。「官民連携」「公民連携(PPP: Public-Private Partnership)」とほぼ同義で使われる。
    • 歴史・経過
      • 単なる業務の「委託」という関係性を超えて、企画段階から官民が連携し、新たな価値を創造することを目指す考え方。地域の課題が複雑化する中で、行政単独での解決が困難な問題に対し、民間のアイデアや資源を積極的に活用する手法として、まちづくり、福祉、教育など幅広い分野で実践されている。
    民間委託(みんかんいたく)
    • 意味
      • 「アウトソーシング」とほぼ同義。行政サービスや内部事務の一部について、その仕様を行政が決定した上で、民間事業者と契約を結び、業務の実施を委ねること。コスト削減や専門性の活用、行政組織のスリム化などを目的とする。
    • 歴史・経過
      • 行財政改革の主要な手法として、窓口業務、ごみ収集、給食調理、施設の管理運営など幅広い分野で導入が進んでいる。地方自治法上、委託できるのは「公の施設の管理」や「技術的、専門的な業務」などに限定されてきたが、法改正によりその範囲は拡大している。
    民生委員・児童委員(みんせいいいん・じどういいん)
    • 意味
      • 民生委員法に基づき、厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員(無報酬)。地域住民の身近な相談相手として、生活困窮者、高齢者、障害者、子どもなど、支援を必要とする人々と行政や専門機関とをつなぐ「パイプ役」を担う。民生委員は児童委員を兼ねることとされている。
    • 歴史・経過
      • 1917年(大正6年)に岡山県で創設された「済世顧問制度」が源流。全国に約24万人が配置されており、地域福祉の推進に欠かせない存在となっている。近年は、なり手不足や委員の高齢化が課題となっている。
    民泊(みんぱく)
    • 意味
      • 戸建住宅やマンションの空き部屋などを活用し、旅行者などに宿泊サービスを提供すること。特に、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づき、都道府県知事等への届出を行って運営されるものを指す。
    • 歴史・経過
      • インターネットの仲介サイトの普及により世界的に拡大したが、日本では旅館業法の許可を得ない違法な「ヤミ民泊」が社会問題となった。この状況を受け、ルールを定めて健全な民泊の普及を図るため、2018年(平成30年)6月に住宅宿泊事業法が施行された。自治体によっては、条例で営業日数や区域に独自の制限を設けている場合がある。

    無過失責任(むかしつせきにん)
    • 意味
      • 損害が発生した場合に、加害者に故意や過失がなくても、法律上の規定によって賠償責任を負うこと。行政分野では、国家賠償法における「公の営造物の設置又は管理の瑕疵」による損害賠償責任などがこれにあたる。
    • 歴史・経過
      • 近代法の原則は「過失責任(故意または過失がなければ責任を負わない)」だが、特定の危険な活動(例:製造物責任)や、被害者救済の必要性が特に高い分野において、例外的に無過失責任が定められている。道路の陥没による事故など、公共施設の欠陥が原因で市民に損害が生じた場合、国や自治体は過失の有無にかかわらず責任を問われることがある。
    無期懲役(むきちょうえき)
    • 意味
      • 刑法で定められた自由刑の一つで、期間を定めずに受刑者を刑事施設に拘置し、刑務作業を行わせる刑罰。終身刑とは異なり、仮釈放の可能性がある。
    • 歴史・経過
      • 刑法典に定められた最も重い刑罰の一つ(死刑に次ぐ)。行政としては、法務省(検察庁、矯正局、保護局)がこの刑の執行に関わる。検察官が求刑し、裁判所が判決を下し、刑が確定すると矯正施設(刑務所)で執行され、仮釈動の審査は地方更生保護委員会が行う。
    無形文化財(むけいぶんかざい)
    • 意味
      • 演劇、音楽、工芸技術といった、形のない「わざ」そのものを指す文化財。文化財保護法に基づき、国や地方公共団体が指定・選定する。特に重要なものは「重要無形文化財」に指定され、そのわざを体現する個人や団体が「保持者(いわゆる人間国宝)」または「保持団体」として認定される。
    • 歴史・経過
      • 1950年(昭和25年)の文化財保護法制定時に有形文化財とともに保護の対象とされた。貴重な伝統技術や芸能が後継者不足などで失われることを防ぐため、国や自治体は、記録作成、後継者養成、公開事業などに対して補助を行い、その保存と活用を図っている。
    無効(むこう)
    • 意味
      • 法律行為や行政行為が、重大かつ明白な瑕疵(欠陥)があるために、初めから法律上の効果が全く発生しないこと。取り消し(取消し得る行為)とは異なり、誰が主張しなくても、またいつまでも、その効果は生じない。
    • 歴史・経過
      • 行政行為の無効は、行政法における重要な概念。例えば、全く権限のない機関が行った許可や、内容が実現不可能な命令などが無効な行政行為の典型例とされる。無効な課税処分に基づいて税金を納めてしまった場合、納税者はいつでもその返還を請求できる。
    無戸籍者(むこせきしゃ)
    • 意味
      • 日本国籍を有するが、何らかの理由で出生届が提出されず、戸籍に記載がない人のこと。戸籍がないため、行政サービスの利用(例:パスポートの発給、運転免許の取得、国民健康保険への加入)に大きな支障が生じる。
    • 歴史・経過
      • 主な原因として、離婚後300日以内に生まれた子を前の夫の子と推定する民法の規定を避けるため(いわゆる「300日問題」)や、親の貧困、DVなど複雑な家庭事情が挙げられる。法務省や各自治体では、この問題の解消に向け、相談窓口の設置や、家庭裁判所の手続き支援、関係機関との連携強化などを進めている。
    無作為抽出(むさくいちゅうしゅつ)
    • 意味
      • 統計調査を行う際に、調査対象となる集団(母集団)から、くじ引きのように作為なく(ランダムに)調査対象者を抽出する方法。世論調査や各種の社会調査で用いられ、調査結果の客観性や公平性を担保するための基本となる手法。
    • 歴史・経過
      • 国勢調査のように全数を調査するのではなく、一部を調査して全体を推計する標本調査において、その科学的妥当性を保証するために不可欠な手続き。行政が行う住民意識調査などでは、住民基本台帳などを基に無作為抽出が行われることが多い。
    無人航空機(むじんこうくうき)
    • 意味
      • 一般的に「ドローン」と呼ばれる、人が乗っていない航空機のこと。航空法によって定義され、機体の重量や飛行させる空域・方法によって、登録や許可・承認などの規制が課される。
    • 歴史・経過
      • 趣味の空撮から、測量、インフラ点検、農業、物流、災害状況の把握まで、幅広い分野での活用が急速に進んでいる。一方で、落下事故やプライバシー侵害、重要施設上空の飛行などの問題も発生したため、2015年以降、航空法が改正され、安全確保のためのルールが強化された。活用の促進と安全の確保の両立が行政の課題となっている。
    無所属(むしょぞく)
    • 意味
      • 議会において、いずれの政党や会派にも所属していない議員のこと。国会や地方議会で使われる。首長選挙では、特定の政党からの推薦や支持を受けずに立候補する候補者を指すこともある。
    • 歴史・経過
      • 地方議会では、特に市町村レベルで無所属の議員が多くを占めることも珍しくない。政党の意向に縛られず、是々非々の立場で判断できるという利点がある一方、議会内で多数派を形成しにくく、政策実現力が弱いという側面もある。
    無償化(むしょうか)
    • 意味
      • これまで有料であった行政サービスなどを、無料にすること。近年の代表例として「幼児教育・保育の無償化」や、自治体によっては「高校生世代までの医療費の無償化」などがある。
    • 歴史・経過
      • 少子化対策や子育て支援、教育の機会均等などを目的として導入されることが多い政策。2019年10月から全国で始まった幼児教育・保育の無償化は、3~5歳児と住民税非課税世帯の0~2歳児を対象に、幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料を無料または補助するもの。財源の確保や、サービスの質の維持が課題となる。
    無駄遣い(むだづかい)
    • 意味
      • 税金などの公金を、非効率的、不必要、または効果の疑わしい事業や物品購入に費やすこと。行政に対する批判として最も頻繁に使われる言葉の一つ。住民監査請求や情報公開請求などを通じて、市民によるチェックが行われる。
    • 歴史・経過
      • 財政状況が厳しくなる中で、行政の無駄遣いに対する市民の目は一層厳しくなっている。これに応えるため、多くの自治体では、外部の専門家も交えた「行政改革推進委員会」の設置や、事務事業評価制度による事業の見直し(スクラップアンドビルド)などを通じて、徹底した歳出削減に取り組んでいる。
    無電柱化(むでんちゅうか)
    • 意味
      • 道路上にある電柱や電線を、地中に埋設したり、裏通りに移設したりして、道路からなくすこと。景観の向上、歩行空間の安全確保、災害時の電柱倒壊による道路閉塞や断線の防止といった目的がある。
    • 歴史・経過
      • ロンドンやパリなどの欧米主要都市では無電柱化が進んでいる一方、日本は遅れていると指摘されてきた。阪神・淡路大震災などを機に防災面での重要性が再認識され、2016年(平成28年)には「無電柱化の推進に関する法律」が施行された。国と地方自治体、電線管理者が連携して計画的に進めているが、高額なコストが課題となっている。
    無投票当選(むとうひょうとうせん)
    • 意味
      • 選挙において、立候補者の数が選挙すべき定数を超えなかった場合に、投票を行わずに全員が当選となること。公職選挙法に定められている。
    • 歴史・経過
      • 地方選挙、特に過疎地の町村議会議員選挙などで発生しやすい。選挙戦が行われないため、有権者が地域の課題や政策について考える機会が失われる、候補者の資質が十分に吟味されない、といった民主主義の観点からの課題が指摘されている。議員のなり手不足が深刻な背景となっている。
    無届け(むとどけ)
    • 意味
      • 法令や条例によって義務付けられている届出を行政機関に行わないこと。建築基準法における建築確認申請の無届け(違法建築)や、食品衛生法における営業許可の無届け(無許可営業)など、様々な分野で問題となる。
    • 歴史・経過
      • 行政は、許認可や届出制度を通じて、国民の生命や財産、安全を守るための規制を行っている。無届け行為は、こうした行政目的を阻害するものであり、発覚した場合には、是正指導、業務停止命令、罰則の適用といった行政処分や刑事罰の対象となる。
    無料低額診療事業(むりょうていがくしんりょうじぎょう)
    • 意味
      • 社会福祉法に基づき、生活困窮者など経済的な理由で必要な医療を受けることが困難な人に対して、無料または低額な料金で診療を行う事業。社会福祉法人などが運営する医療機関が、都道府県等に届け出て実施する。
    • 歴史・経過
      • 生活保護制度を補完する、セーフティネットの一つとして機能している。所得の減少や不安定雇用の増大を背景に、医療費の支払いが困難な人が増えており、本事業の重要性が高まっている。自治体の福祉担当部署では、相談者に対して本事業を実施している医療機関を紹介することがある。

    メーデー(めーでー)
    • 意味
      • 毎年5月1日に行われる、労働者の祭典。労働者の権利向上や団結を国際的に示す日。行政においては、労働政策、労使関係、地域のイベント開催に伴う交通整理や警備などに関連する。
    • 歴史・経過
      • 1886年にアメリカの労働組合が「8時間労働制」を求めて行ったゼネストが起源。日本では1920年(大正9年)に第一回のメーデーが開催された。戦後、労働組合の重要な年中行事として定着し、各地で集会やデモが行われる。
    メールマガジン(めーるまがじん)
    • 意味
      • 自治体が、登録された住民や希望者のメールアドレスに対し、行政情報、イベント案内、防災情報、議会だよりなどを定期的に一斉配信するサービス。「メルマガ」と略される。
    • 歴史・経過
      • 2000年代初頭のインターネット普及期に、広報紙やウェブサイトを補完するプッシュ型の広報手段として多くの自治体で導入された。近年はSNSの台頭により相対的な重要度は変化しつつあるが、特定の情報を確実に届けたい層への情報伝達手段として活用され続けている。
    メッセージ(めっせーじ)
    • 意味
      • 首長(市区町村長や知事)が、特定の機会(新年度の開始、災害発生時、記念式典など)に、住民や職員に向けて発表する公式な声明や所感のこと。組織のトップとしての方針やビジョン、決意を示す重要な広報手段。
    • 歴史・経過
      • 従来は広報紙や式典での挨拶が主だったが、インターネットの普及に伴い、自治体のウェブサイトやSNS、動画配信などを通じて、より直接的かつ即時的にメッセージを発信する機会が増えている。住民との対話や共感を促すツールとしての役割が大きくなっている。
    メセナ(めせな)
    • 意味
      • 企業が資金提供などにより文化・芸術活動を支援すること。古代ローマで詩人や芸術家を保護したマエケナス(Maecenas)の名に由来する。行政においては、文化振興政策の一環として、企業のメセナ活動を奨励・連携する取り組みが行われる。
    • 歴史・経過
      • 日本では1990年(平成2年)に企業メセナ協議会が設立されるなど、バブル経済期に活発化した。行政が直接行う文化事業だけでなく、民間による支援を促進することで、地域文化の厚みを増すことを目指す。税制上の優遇措置や、行政と企業が共同で文化イベントを開催するなどの連携が見られる。
    メッシュ統計(めっしゅとうけい)
    • 意味
      • 日本の国土を、緯度・経度に基づき網の目(メッシュ)のような正方形の区画に分け、その区画ごとに集計された統計データ。国勢調査などの各種統計を、行政区画とは無関係に、地域ごとの詳細な実態分析に利用できる。
    • 歴史・経過
      • 1970年代から国の統計局(現 総務省統計局)によって整備が進められてきた。市区町村の境界変更に影響されないため、長期的な時系列比較が可能。都市計画、防災計画、商業施設の立地分析など、精緻なエリアマーケティングや政策立案に不可欠なデータとなっている。
    メタンハイドレート(めたんはいどれーと)
    • 意味
      • 低温・高圧の条件下で、メタンガスと水分子が結合してできる氷状の物質。「燃える氷」とも呼ばれる。日本の周辺海域に大量に存在するとされ、次世代の国産エネルギー資源として期待されている。
    • 歴史・経過
      • 政府は、エネルギー安定供給の観点からメタンハイドレートを重要な国家戦略資源と位置づけ、経済産業省(資源エネルギー庁)を中心に、探査技術や生産技術の研究開発を進めている。実用化・商業化には技術的・コスト的な課題も多く、長期的な視点での取り組みが続いている。
    メディカル・ソーシャルワーカー(めでぃかる・そーしゃるわーかー)
    • 意味
      • 保健医療分野で活動するソーシャルワーカー(社会福祉士・精神保健福祉士など)の専門職。病院などの医療機関において、患者やその家族が抱える経済的、心理的、社会的な問題の解決を支援し、退院後の地域生活への移行をサポートする。
    • 歴史・経過
      • 疾病構造の変化や高齢化に伴い、治療だけでなく、退院後の生活や社会復帰を含めた包括的な支援の必要性が高まった。地域包括ケアシステムの構築が進む中で、医療と介護・福祉をつなぐ重要な役割を担っており、自治体の福祉担当部署や地域包括支援センターとの連携が不可欠となっている。
    メディエーション(めでぃえーしょん)
    • 意味
      • 「調停」「あっせん」のこと。紛争の当事者間に、中立的な第三者(メディエーター)が入り、対話を通じて自主的な解決を促す手続き。裁判外紛争解決手続(ADR)の一つ。
    • 歴史・経過
      • 裁判による画一的な解決ではなく、当事者の実情に応じた柔軟な合意形成を目指す手法として、近年注目されている。自治体においては、消費者相談、環境紛争、建築紛争などの分野で、専門の相談員や委員会によるメディエーションの仕組みが設けられていることがある。
    メディアリテラシー(めでぃありてらしー)
    • 意味
      • 新聞、テレビ、インターネットなど様々なメディアから発信される情報を、主体的に読み解き、評価し、活用する能力。また、自ら情報を発信する能力も含まれる。
    • 歴史・経過
      • インターネットやSNSの普及により、誰もが情報の発信者・受信者となり、フェイクニュースや誤情報が社会問題化する中で、その重要性が高まっている。行政においては、学校教育における指導のほか、消費者保護の観点から、高齢者などを対象に情報商材や詐欺的な広告を見抜くための講座を開催するなどの取り組みが行われている。
    メリットシステム(めりっとしすてむ)
    • 意味
      • 「情実主義(スポイルズ・システム)」の対義語で、「功績主義」と訳される。公務員の任用(採用・昇進など)を、個人の政治的なつながりや縁故ではなく、試験の成績や勤務実績といった客観的な能力に基づいて行う人事行政の基本原則。
    • 歴史・経過
      • 近代的な公務員制度の根幹をなす理念であり、日本の国家公務員法・地方公務員法もこの原則に基づいている。行政の専門性、継続性、政治的中立性を確保するために不可欠な制度とされる。
    めど(めど)
    • 意味
      • 物事を進める上での目標や見通し、おおよその見当のこと。行政計画や事業のスケジュールにおいて、「令和〇年度中の完了をめどとする」「早期の実現をめどに検討を進める」といった形で使われる。
    • 歴史・経過
      • 「目標」ほど確定的ではないが、単なる「希望」以上の、ある程度の実現可能性を含んだニュアンスで用いられることが多い。議会答弁や住民説明などにおいて、確定事項ではないが、将来的な方向性を示す際に使われる表現。
    メンタルヘルス(めんたるへるす)
    • 意味
      • 「心の健康」のこと。行政分野では、住民の精神保健福祉の向上(うつ病対策、自殺予防、相談事業など)と、組織内部の職員の健康管理(ストレスチェック、職場環境の改善など)の両面で重要な課題となっている。
    • 歴史・経過
      • 社会の複雑化やストレスの増大を背景に、身体の健康と同様に心の健康の重要性が広く認識されるようになった。特に、労働安全衛生法の改正によるストレスチェック制度の義務化(2015年)は、職場におけるメンタルヘルス対策を大きく前進させた。
    メンテナンス(めんてなんす)
    • 意味
      • 施設、設備、システムなどを点検・整備・修理し、正常な状態に維持・管理すること。「維持管理」「保守」とほぼ同義。道路、橋りょう、上下水道、公共建築物といった社会インフラの維持管理は、行政の重要な責務である。
    • 歴史・経過
      • 高度経済成長期に集中的に整備されたインフラの一斉老朽化が深刻な社会問題となっている。従来の事後的な修繕(壊れてから直す)から、計画的な点検・診断に基づき、壊れる前に対策を講じる「予防保全」へと転換することが、アセットマネジメントの考え方として推進されている。
    面会交流(めんかいこうりゅう)
    • 意味
      • 離婚後または別居中に、子どもを養育・監護していない方の親(非監護親)が、子どもと定期的・継続的に会って話をしたり、一緒に時間を過ごしたりすること。子の健全な成長のために重要な権利とされる。
    • 歴史・経過
      • 2011年(平成23年)の民法改正で、離婚時に子の監護について協議で定めるべき事項として明記された。父母間の対立が激しく協議が難しい場合、家庭裁判所がこれを定める。自治体では、ひとり親家庭支援の一環として、面会交流の実現を支援するための相談事業や、安全な交流場所の提供などを行う取り組みが見られる。
    免許(めんきょ)
    • 意味
      • 特定の行為を、法令によって一般的に禁止しておきながら、特定の場合に、特定の人に対してその禁止を解除し、適法に行えるようにする行政行為。医師免許や運転免許が典型例。
    • 歴史・経過
      • 公共の安全や秩序の維持、専門性の担保などを目的として、様々な業種や行為に対して免許制度が設けられている。類似の概念である「許可(許可制)」や「認可(認可制)」とは、行政法学上、その性質が区別される。
    免許証(めんきょしょう)
    • 意味
      • 免許を受けたことを証明するために、行政庁が交付する公的な証明書。運転免許証、医師免許証、調理師免許証などがある。特に運転免許証は、写真付きであることから、公的な本人確認書類として社会で広く利用されている。
    • 歴史・経過
      • 近年、行政のデジタル化推進の一環として、免許証のデジタル化や、マイナンバーカードへの機能集約が検討・推進されている。例えば、運転免許証とマイナンバーカードの一体化がその代表例である。
    免除(めんじょ)
    • 意味
      • 法令上の義務(納税、保険料納付、手数料納付など)を、特定の要件に該当する場合に、その全部または一部を免れることとする行政の措置。所得が低い場合の住民税や国民健康保険料の免除・減免などが代表例。
    • 歴史・経過
      • 社会政策的な配慮や、担税力(税を負担する能力)の低い人への配慮から、各種の法律や条例で免除・減免制度が設けられている。申請に基づいて行われる「申請免除」が一般的であり、制度の周知が行政の重要な役割となる。
    面積(めんせき)
    • 意味
      • 土地や建物の広さを表す尺度。行政においては、都市計画(容積率・建ぺい率の算定)、固定資産税の課税(課税標準の算定)、農地管理、建築確認など、極めて多くの分野で基礎となるデータ。
    • 歴史・経過
      • 土地の面積は、不動産登記法に基づき登記所(法務局)が管理する登記記録に記載される。建築物の面積(建築面積、延べ面積など)は建築基準法で定義され、様々な規制の基準となっている。
    免責(めんせき)
    • 意味
      • 法律上の責任や義務を免れること。行政分野では、災害時における緊急避難的な措置の結果として生じた損害について、職員の責任が免責される場合などがある。また、ウェブサイト等に掲載する情報の正確性について、万全を期すとしつつも、利用者がその情報を用いて行う一切の行為について責任を負わない旨を記す「免責事項」としても使われる。
    • 歴史・経過
      • 行政活動における免責の範囲は、法律によって厳格に定められている。一方で、自治体のウェブサイト等における免責事項の記載は、利用者との間の無用な紛争を避けるためのリスク管理として、慣行的に広く行われている。
    面接(めんせつ)
    • 意味
      • 直接会って対話をすること。行政分野では、①公務員採用試験における人物評価の手段、②生活保護の申請時や各種の福祉相談における、相談者の状況把握や支援方針決定のための対話(インテーク面接など)、といった場面で用いられる。
    • 歴史・経過
      • 公務員試験においては、筆記試験で測れないコミュニケーション能力や協調性、職務への意欲などを評価するため、面接の重要性が高まる傾向にある。福祉相談の分野では、相談者の尊厳を守り、信頼関係を築く(ラポール形成)ための専門的な技術が求められる。
    面的な整備(めんてきなせいび)
    • 意味
      • 都市開発や地域整備において、個別の建物や道路(点や線)を整備するだけでなく、一定の広がりを持つ地区(面)を一体的に捉え、総合的な計画に基づいて街並みや公共施設、インフラなどを整備する手法。土地区画整理事業や市街地再開発事業が代表例。
    • 歴史・経過
      • 戦後の復興期や高度経済成長期に、都市基盤を効率的に整備する手法として広く用いられた。近年では、防災機能の強化(密集市街地の改善)、中心市街地の活性化、魅力ある景観の創出などを目的として、地域特性に応じた多様な面的整備事業が展開されている。
    名義(めいぎ)
    • 意味
      • 法律上の権利・義務の主体として、書類や財産台帳などに記載される名称や氏名のこと。不動産の所有者名義、預金口座の名義、許認可の名義など、行政手続きの多くは名義人を基準に行われる。
    • 歴史・経過
      • 行政は、適正な課税や規制を行うため、名義の正確な把握を重視する。相続や売買によって実態と名義がずれると、所有者不明土地問題や、行政サービスの提供に支障が出るなどの問題が生じる。このため、不動産登記や住民登録の適正化が求められる。
    名義後援(めいぎこうえん)
    • 意味
      • 自治体が、民間団体などが主催する事業に対して、直接的な財政支援は行わないものの、その事業の公益性や信頼性を認めて、「後援」として自治体の名称を使用することを承認すること。「後援名義」の使用承認ともいう。
    • 歴史・経過
      • 事業の広報物(ポスター、チラシなど)に「後援:〇〇市」と記載できるため、主催団体は事業の信用度を高めることができる。自治体は、要綱などを定めて申請基準を明確にし、事業の目的や内容を審査した上で承認を行う。
    明細書(めいさいしょ)
    • 意味
      • 金額や物事の内訳を詳細に記した書類。行政分野では、住民税などの「納税通知書」に添付される課税明細書、公共工事の請負代金の「請負代金内訳明細書」、公務員の給与明細書など、多岐にわたる。
    • 歴史・経過
      • 行政手続きの透明性や公平性を確保するために重要な役割を担う。納税者や契約相手方に対し、算定の根拠を明確に示すことで、行政処分の適法性や妥当性への理解を促し、説明責任を果たすための基礎となる書類である。
    目安(めやす)
    • 意味
      • 判断や評価、行動の基準となる、おおよその基準や目標。「標準」「ガイドライン」と似た意味で使われる。法的な拘束力はないが、望ましい水準や方向性を示すものとして、行政計画や通知などで用いられる。
    • 歴史・経過
      • 「〇〇を達成することを目安とする」「1日〇グラムの摂取が目安」のように、画一的な義務付けが困難な場合に、自主的な努力を促すための緩やかな基準として設定される。科学的知見や社会通念などを基に定められる。
    目安箱(めやすばこ)
    • 意味
      • 住民や職員が、行政に対する意見や提案などを自由に投書できるように設置された箱。また、自治体のウェブサイト上に設けられた同様の機能(電子目安箱)も指す。住民参加や行政改革を促進するためのツール。
    • 歴史・経過
      • 江戸時代の徳川吉宗が設置した「目安箱」が有名。現代の自治体においても、「市長への手紙」「わたしの提案」といった名称で、住民の生の声を直接吸い上げ、行政運営に活かすための仕組みとして広く導入されている。
    名称(めいしょう)
    • 意味
      • 組織、施設、法律、計画、役職などの名のこと。行政においては、条例で公共施設の名称を定めたり、法律の正式名称(件名)を引用したりと、全ての活動の基礎となる極めて重要な要素。
    • 歴史・経過
      • 名称は、その対象の本質や目的を表すものであり、分かりやすさや親しみやすさも求められる。近年、施設の命名権(ネーミングライツ)を民間企業に売却し、愛称として企業名などを付与する自治体も増えている。
    名勝(めいしょう)
    • 意味
      • 文化財保護法に基づき、庭園、橋りょう、峡谷、海浜、山岳などの景勝地のうち、芸術上または観賞上、特に価値の高いものとして国(文部科学大臣)が指定した文化財。地方公共団体が条例で指定する場合もある。
    • 歴史・経過
      • 優れた自然景観や歴史的庭園を国民的財産として保護し、後世に継承することを目的とする。指定された地域内では、現状を変更する行為(建築、木竹の伐採など)が規制され、保存活用のための補助金が交付されることがある。
    明示(めいじ)
    • 意味
      • はっきりと、明確に示すこと。行政法や契約において、権利や義務、条件などを、誤解の余地なく相手方に伝える行為。口頭ではなく、書面によって行われることが多い(書面による明示)。
    • 歴史・経過
      • 後々の紛争を防ぎ、行政手続きの透明性と公正性を確保するために不可欠な行為。例えば、行政指導を行う際にはその趣旨や内容、責任者を明示することが求められ(行政手続法)、労働契約を結ぶ際には賃金や労働時間などの労働条件を明示することが義務付けられている(労働基準法)。
    命令(めいれい)
    • 意味
      • ①行政庁が、その権限に基づき、国民に対して特定の作為(~せよ)または不作為(~するな)を一方的に命じる、権力的な行政行為(例:違反建築物に対する是正命令)。②内閣や各省大臣などが、法律の委任に基づき、または法律を執行するために制定する法規(政令、府省令など)。
    • 歴史・経過
      • ①の命令は、行政目的を達成するための強力な手段であり、法律の根拠に基づいて行使されなければならない。これに従わない場合は、行政代執行や罰則の対象となることがある。②の命令は、法律と一体となって国民の権利義務を定めるものであり、国会が制定する法律の範囲内でのみ効力を持つ。
    迷惑防止条例(めいわくぼうしじょうれい)
    • 意味
      • 公衆に著しく迷惑をかける暴力的ないしはわいせつな行為などを防止し、住民の平穏な生活を保持することを目的として、各都道府県や一部の市が制定している条例の通称。つきまとい、ダフ屋行為、客引き、痴漢などを規制する。
    • 歴史・経過
      • 1962年(昭和37年)に東京都が制定したのが最初で、その後、全国の都道府県に広がった。刑法などの国の法律では取り締まりが難しい、より身近な迷惑行為に対応するためのもの。社会情勢の変化に応じて、規制対象の追加(例:盗撮、ストーカー行為の規制強化)など、改正が重ねられている。
    名簿(めいぼ)
    • 意味
      • 特定の集団に属する人々の氏名、住所などを一定の順序に記載した帳票。行政においては、選挙人名簿、住民基本台帳、学齢簿、固定資産課税台帳など、その業務の根幹をなす多種多様な名簿が作成・管理されている。
    • 歴史・経過
      • 名簿は、選挙権の行使、就学義務の履行、課税の公平性確保など、行政サービスの提供と義務の賦課の基礎となる。近年は、個人情報保護の重要性が高まっており、名簿の適正な管理と、目的外利用の禁止が厳しく求められている。
    名目値(めいもくち)
    • 意味
      • 物価の変動を考慮せずに、その時々の市場価格で金額を評価した値。経済指標などで使われ、物価変動の影響を取り除いた「実質値」と対比される。例えば、名目GDPは国内で生産されたモノやサービスの付加価値を単純に合計したもので、名目成長率はその伸び率を指す。
    • 歴史・経過
      • 経済の規模や成長をみる際、インフレ(物価上昇)局面では名目値は実態より大きく見え、デフレ(物価下落)局面では小さく見える。そのため、経済の実質的な成長を判断するには、名目値から物価変動分を調整した実質値と合わせて見ることが不可欠であり、行政の経済分析や財政計画において基礎的な概念となっている。

    目的税(もくてきぜい)
    • 意味
      • あらかじめ特定の使い道(目的)を定めて課される税金のこと。その税収は、定められた特定の経費にしか充てることができない。一般的な経費に自由に使える「普通税」と対比される。
    • 歴史・経過
      • 国税では電源開発促進税や揮発油税、地方税では事業所税(都市環境の整備・改善)、入湯税(観光振興・消防施設整備)、都市計画税(都市計画事業)などが代表例。特定の事業の財源を安定的に確保できる利点があるが、財政運営の硬直化を招くという批判もある。2024年度から徴収が始まった森林環境税も目的税である。
    木造住宅密集地域(もくぞうじゅうたくみっしゅうちいき)
    • 意味
      • 老朽化した木造建築物が密集し、道路などの基盤整備が不十分な地域のこと。「木密(もくみつ)地域」とも略される。地震発生時の大規模な火災(延焼)や、倒壊による避難路の閉塞など、防災上のリスクが極めて高い地域とされる。
    • 歴史・経過
      • 主に戦後の復興期などに無秩序に形成された地域が多く、東京、大阪などの大都市に多く存在する。阪神・淡路大震災や東日本大震災を教訓に、国土交通省や各自治体は「不燃化特区制度」の創設や、建替え・除却への助成、道路拡幅などを通じて、木密地域の解消に重点的に取り組んでいる。
    目視(もくし)
    • 意味
      • 道具や機器を使わず、直接、目で見て確認・点検すること。行政の現場においては、インフラ点検(橋りょうやトンネルのひび割れ確認)、建築物や広告物の違反調査、災害後の被害状況の一次調査など、様々な場面で行われる基本的な確認手法。
    • 歴史・経過
      • 最も原始的かつ基本的な確認方法であるが、熟練した職員の経験や勘が重要となる。近年は、ドローンやAIによる画像解析、センサー技術などを活用し、目視点検を補完・高度化することで、点検の効率化と精度向上を図る取り組みが進められている。
    目次(もくじ)
    • 意味
      • 書類、計画書、報告書、例規集などの冒頭に付けられ、その内容の項目や見出し、掲載ページなどを一覧で示したもの。全体の構成を把握し、必要な情報に素早くアクセスするための索引機能を持つ。
    • 歴史・経過
      • 行政が作成する公文書、特に長大な総合計画や予算書、各種白書などにおいては、住民や議員の理解を助け、内容を検索しやすくするために不可欠な要素。電子化された文書では、目次の項目をクリックすると該当ページにジャンプするハイパーリンク機能が付けられるのが一般的である。
    黙秘権(もくひけん)
    • 意味
      • 刑事手続きにおいて、被疑者・被告人が、自己に不利益な供述を強要されない権利のこと。終始沈黙を守ることや、個々の質問に対して供述を拒むことができる。日本国憲法第38条1項で保障されている国民の基本的な権利。
    • 歴史・経過
      • 歴史上の拷問による自白強要への反省から、近代憲法で確立された人権。警察官や検察官は、被疑者を取り調べる際に、必ず「供述を拒むことができる」旨を告知しなければならない。行政手続きにおいては直接適用されないが、その精神は尊重される。
    目標管理制度(もくひょうかんりせいど)
    • 意味
      • 職員一人ひとりが、上司との面談を通じて個人の業務目標を設定し、一定期間の終了後にその達成度を評価して、人事評価(昇給・昇進など)や人材育成に反映させる人事管理の手法。
    • 歴史・経過
      • 1990年代後半以降の成果主義の導入の流れの中で、多くの民間企業で採用され、その後、地方自治体にも普及した。職員の自主性やモチベーションを高め、組織全体の目標達成につなげることを目的とする。評価の公平性・客観性の担保や、目標設定の難しさが課題となることもある。
    目録(もくろく)
    • 意味
      • 所蔵する物品、文書、資料などの品目や内容を一定の順序に整理して記述した一覧表。行政においては、公文書の管理(ファイル基準表)、備品管理(備品台帳)、図書館の蔵書管理(蔵書目録)、文化財の指定・登録(文化財目録)などで作成・使用される。
    • 歴史・経過
      • 財産や情報の網羅的な把握、検索性の向上、適正な管理を目的とする。公文書管理法では、行政機関に対して、保有する行政文書の管理状況を記録した「行政文書ファイル管理簿」を作成し、公表することが義務付けられており、これも目録の一種と言える。
    モデル事業(もでるじぎょう)
    • 意味
      • 新しい政策や制度を全国・全庁的に本格導入する前に、特定の地域や部署を限定して先行的に実施してみる試行的な事業。「パイロット事業」とほぼ同義。
    • 歴史・経過
      • 事業の効果、課題、実現可能性、社会的な影響などを事前に検証し、本格実施に向けた改善点を探ることを目的とする。失敗した場合のリスクを最小限に抑えつつ、革新的な取り組みに挑戦できる利点がある。近年では、デジタル技術の活用や、新たな住民サービスなど、様々な分野でモデル事業が実施されている。
    元請(もとうけ)
    • 意味
      • 公共工事などの契約において、発注者である国や自治体から、直接仕事を請け負った事業者(建設業者など)のこと。「元請負人」ともいう。元請は、受注した業務の一部を、別の専門工事業者(下請)に発注することが多い。
    • 歴史・経過
      • 元請は、工事全体の品質、工程、安全などについて、発注者に対して最終的な責任を負う。建設業法では、元請に対して、下請との公正な契約関係の構築や、施工体制台帳の作成といった様々な義務を課しており、行政は監督指導を通じてその適正な履行を確保する。
    モニタリング(もにたりんぐ)
    • 意味
      • 政策や事業の進捗状況や効果を、継続的に観測・測定し、監視すること。PDCAサイクルの「C(Check:評価)」の一部を構成し、計画と実績の乖離を早期に発見し、必要な軌道修正を行うための重要なプロセス。
    • 歴史・経過
      • 行政評価制度の導入とともに、その重要性が広く認識されるようになった。数値目標(指標)を設定し、その達成度を定期的に観測・公表することが一般的。例えば、指定管理者制度における施設の管理運営状況のモニタリングや、総合計画の進捗状況のモニタリングなどがある。
    文字・活字文化振興法(もじ・かつじぶんかしんこうほう)
    • 意味
      • 国民の言語能力の向上や、豊かな人間性の涵養のため、文字・活字文化(出版物や新聞など)の振興を総合的に推進することを目的とした法律。国や地方公共団体に対して、読書活動の推進や、図書館の整備、出版物の普及などの責務を定めている。
    • 歴史・経過
      • 若者を中心とした「活字離れ」への危機感を背景に、2005年(平成17年)に議員立法で制定された。「子どもの読書活動の推進に関する法律」と連携し、自治体では「読書推進計画」の策定や、ビブリオバトルの開催、ブックスタート事業などを通じて、住民の読書環境の充実に努めている。
    持ち回り決裁(もちまわりけっさい)
    • 意味
      • 決裁権者が不在の場合や、緊急を要する場合などに、起案文書(稟議書など)を関係部署や決裁権者のところに直接持ち歩いて、承認印を得る決裁手続きのこと。
    • 歴史・経過
      • 従来、紙ベースの業務で広く行われてきた。正規の決裁ルートを省略・短縮するものであり、迅速な意思決定が可能になる一方、関係者間での十分な情報共有や議論がなされないまま決定に至るリスクもある。近年、電子決裁システム(ワークフローシステム)の導入により、物理的な持ち回りは減少しつつある。
    盛り土(もりど)
    • 意味
      • 土地の造成において、低い地盤や斜面に土砂を盛って、平坦な敷地や道路などを作ること。また、その盛られた土のこと。宅地造成や道路建設などで広く行われる手法。
    • 歴史・経過
      • 不適切な盛り土は、大雨や地震の際に崩落し、大規模な土砂災害を引き起こす危険性がある。2021年(令和3年)に静岡県熱海市で発生した土石流災害などを教訓に、危険な盛り土を全国一律の基準で規制するための「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称:盛土規制法)が2023年(令和5年)に施行され、都道府県などによる規制・監督が強化された。
    問責決議(もんせきけつぎ)
    • 意味
      • 国会(特に参議院)において、国務大臣などの政治的・道義的責任を追及するために行われる決議。衆議院の「内閣不信任決議」とは異なり、法的拘束力はなく、可決されても大臣を辞めさせることはできないが、極めて重い政治的意味を持つ。
    • 歴史・経過
      • 参議院独自の制度として運用されている。問責決議が可決されると、その大臣が関係する法案の審議が停滞するなど、国会運営に大きな影響を与えることが多い。地方議会でも、長の責任を問う同様の決議が行われることがあるが、これも法的拘束力はない。
    門前払い(もんぜんばらい)
    • 意味
      • 訪問者や請願者などを、門前で追い返して会おうとしないこと。行政においては、住民からの正当な申請や相談に対して、理由なく受付を拒否したり、不誠実な対応で追い返したりする、不適切な行為を批判する言葉として使われる。「水際作戦」と類似の文脈で使われることもある。
    • 歴史・経過
      • 職務上の義務に反する行為であり、あってはならない対応とされる。特に生活保護の申請など、国民の生存権に関わる場面での門前払いは厳しく批判される。自治体では、職員研修などを通じて、丁寧で公正な住民対応を徹底するよう努めている。

    ヤングケアラー(やんぐけあらー)
    • 意味
      • 本来、大人が担うと想定されているような家族の介護や世話(病気の親の介護、幼いきょうだいの世話、障害のある祖父母の見守りなど)を、日常的に行っている18歳未満の子どものこと。
    • 歴史・経過
      • 2010年代後半から社会問題として認識され始め、2020年度に国が初の実態調査を行ったことで、その深刻さが明らかになった。学業への支障、心身の不調、社会からの孤立など多くの課題を抱えるため、厚生労働省やこども家庭庁は、早期発見と支援につなげるためのガイドライン策定や、学校・福祉・医療の連携強化を進めている。
    ヤシマ作戦(やしまさくせん)
    • 意味
      • アニメ作品『エヴァンゲリオン』に登場する作戦名から転じて、大規模な節電を呼びかける際のインターネット上の通称・スローガン。
    • 歴史・経過
      • 2011年(平成23年)の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故の後、計画停電が実施される中で、Twitter(現X)を中心に、節電を「ヤシマ作戦」と称して協力し合う動きが自然発生的に広がった。行政の公式な呼びかけとは別に、サブカルチャーが国民的な行動喚起に影響を与えた象徴的な事例となった。
    ヤード条例(やーどじょうれい)
    • 意味
      • 自動車の解体や、金属スクラップなどの資材を保管・集積する事業所(ヤード)を対象に、適正な運営を確保するために地方自治体が制定する条例の通称。騒音、振動、火災、盗難品保管などの問題を防止することを目的とする。
    • 歴史・経過
      • 2000年代以降、自動車リサイクル部品の輸出などが活発化する一方で、一部のヤードが無許可・無届で操業し、周辺住民とのトラブルや犯罪の温床となるケースが全国で問題化した。これを受け、千葉県など、特にヤードが集積する自治体を中心に、事業の届出制、保管基準の遵守、立入検査権などを定めた条例の制定が進んでいる。
    ヤミ金(闇金融)(やみきん(やみきんゆう))
    • 意味
      • 国や都道府県への登録を行わずに、違法に貸金業を営む業者。また、登録はしていても、出資法の上限金利を大幅に超える高金利で貸付を行ったり、悪質な取り立てを行ったりする業者も含まれる。
    • 歴史・経過
      • 多重債務者問題が深刻化した1990年代後半から2000年代にかけて社会問題となった。警察による取締りの強化や、貸金業法の改正(上限金利の引き下げ、総量規制の導入など)により減少したが、近年はSNSなどを利用した新たな手口も出現している。各自治体の消費生活センターでは、ヤミ金に関する相談を受け付け、警察や弁護士会と連携して被害者の救済にあたっている。
    ヤミ専従(やみせんじゅう)
    • 意味
      • 地方公務員である職員が、本来行うべき職務を免除されていないにもかかわらず、勤務時間中に、給与を受けながら労働組合の活動に専従すること。「闇の専従」の略であり、地方公務員法で定められた「職務専念義務」に違反する違法行為。
    • 歴史・経過
      • 職員団体の力が強かった時代に、一部の自治体で慣行として黙認されていたとされる。2000年代以降、コンプライアンス(法令遵守)意識の高まりや、住民による厳しい監視の目の中で、その違法性が改めて指摘され、各自治体で実態調査や是正勧告が行われ、問題の解消が進められた。
    ヤミ民泊(やみみんぱく)
    • 意味
      • 旅館業法の許可や、住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出といった、行政の正規な手続きを経ずに、違法に宿泊サービスを提供している施設のこと。
    • 歴史・経過
      • 2010年代にインターネットの仲介サイトが普及し、訪日外国人観光客が急増する中で、ヤミ民泊が全国に蔓延した。騒音、ごみ問題、セキュリティなど、近隣住民とのトラブルが多発し社会問題となった。この状況を受け、2018年(平成30年)に民泊新法が施行され、届出制度や営業日数の上限などのルールが定められ、保健所などによる指導・監督が強化された。
    やむを得ない事由(やむをえないじゆう)
    • 意味
      • 本人の意思や努力では、どうにも避けられない事情のこと。法令や契約において、義務の不履行や期限の超過などが許される例外的な条件として用いられる。「正当な理由」「相当の理由」と類似するが、より客観的で不可抗力的なニュアンスが強い。
    • 歴史・経過
      • 例えば、災害、重い病気、交通機関の途絶などがこれに該当することが多い。行政手続きにおいては、申告期限の延長や、義務の免除などの判断基準となる。何が「やむを得ない事由」にあたるかは、個別の法律の趣旨や、具体的な状況に応じて行政庁や裁判所が判断する。
    やりがい搾取(やりがいさくしゅ)
    • 意味
      • 雇用者が、労働者に対して「仕事のやりがい」「好きだからできる」といった動機付けを過度に強調し、それに見合わない低賃金や長時間労働などの不当な条件で働かせること。
    • 歴史・経過
      • アニメ、福祉、NPO、一部のクリエイティブな職種などで問題視されることが多い。行政においては、若者向けの労働相談や、ハローワークでの求人指導、労働基準監督署による監督指導などを通じて、こうした不適切な労働環境の是正に取り組んでいる。また、自治体が発注する委託事業などにおいても、受託業者における労働環境への配慮が求められる。
    夜間・休日急病診療所(やかん・きゅうじつきゅうびょうしんりょうじょ)
    • 意味
      • 地域の住民が、夜間や休日といった通常の診療時間外に急な病気になった場合に、初期の応急的な診療を受けることができる医療施設。比較的軽症な急患(一次救急)を対象とする。
    • 歴史・経過
      • 地域の医師会などの協力のもと、主に市区町村が主体となって設置・運営している。重症患者を受け入れる救命救急センター(三次救急)や入院治療を行う病院(二次救急)の負担を軽減し、地域全体の救急医療体制を維持するための重要な役割を担っている。
    夜間中学(やかんちゅうがく)
    • 意味
      • 様々な事情で義務教育を十分に受けられなかった人や、日本で暮らす外国籍の人などのために、夜間に中学校の教育を行う公立中学校の学級。正式名称は「中学校夜間学級」。
    • 歴史・経過
      • 戦後の混乱期に設立されたのが始まり。長らくその存在意義が薄れ、学級数は減少傾向にあったが、不登校経験者や、学び直しを希望する高齢者、外国人の増加などを背景に、その重要性が見直されている。2016年(平成28年)に施行された教育機会確保法により、国や自治体はその設置促進に努めることとされた。
    夜間人口(やかんじんこう)
    • 意味
      • ある地域に常住している人口のこと。国勢調査で把握される人口であり、「常住人口」とも呼ばれる。その地域に住居を構え、夜間にそこで生活している人の数を指す。
    • 歴史・経過
      • 昼間に他の地域から通勤・通学してくる人を加えた「昼間人口」と対比して用いられる。都心部では「昼間人口>夜間人口」、郊外の住宅地では「夜間人口>昼間人口」となる傾向がある。この差は、交通計画、商業計画、防災計画などを策定する上で極めて重要な基礎データとなる。
    焼印(やきいん)
    • 意味
      • 金属製の印を加熱し、木製品や革製品などに押し付けて焦げ目の印をつけること。またはその印自体。行政においては、机や椅子、棚といった公有の備品に、自治体の紋章や「〇〇市備品」といった焼印を押し、所有権を明確にするために古くから使われてきた。
    • 歴史・経過
      • シールや刻印と比べて、長期間の使用でも消えにくく、改ざんが困難であるという利点がある。物品管理の基本的な手法であるが、近年は管理シールやICタグ、バーコードなど、より効率的な管理手法に代替されつつある。
    役員(やくいん)
    • 意味
      • 組織の運営において、重要な地位にある構成員。行政分野では、①地方自治法の「普通地方公共団体の議会の議員及び長」や、委員会の委員など、組織の幹部を指す場合、②自治体が出資する外郭団体や、指定管理者である法人の理事・監事などを指す場合がある。
    • 歴史・経過
      • 公務員倫理規程などでは、利害関係者からの不当な働きかけを防ぐため、幹部職員(役員)が遵守すべき行動規範が厳しく定められている。また、外郭団体の役員人事については、天下りの温床とならないよう、その透明性や適正化が求められる。
    役場(やくば)
    • 意味
      • 市町村の事務を取り扱う庁舎のこと。法律上は「市役所」「町役場」「村役場」と呼び分けられるが、一般的に、特に町村の庁舎を指して「役場」と呼ぶことが多い。
    • 歴史・経過
      • 地域の行政サービスの拠点であり、住民にとって最も身近な行政機関。建物の老朽化や耐震性の問題から、多くの自治体で庁舎の建て替えが課題となっている。その際には、防災拠点としての機能強化や、ユニバーサルデザインの導入、住民の交流スペースの確保など、新たな時代の要請に応える庁舎づくりが求められる。
    役職名(やくしょくめい)
    • 意味
      • 組織内における地位や職務内容を表す名称。「部長」「課長」「係長」「主査」など。公務員の役職名は、条例や規則によって定められており、指揮命令系統や権限、責任の範囲を示す。
    • 歴史・経過
      • 伝統的な階層型の役職名に加え、近年では、より専門性や役割を明確にするため、「〇〇担当課長」「プロジェクトマネージャー」といった柔軟な役職名を用いる自治体も増えている。また、女性の登用を推進する観点から、管理職(課長級以上)に占める女性の割合が目標として設定されることもある。
    役割分担(やくわりぶんたん)
    • 意味
      • ある目的を達成するために、関係する複数の主体(国と地方、行政と民間、部局間など)が、それぞれの特性や能力に応じて、担うべき役割や責任の範囲を明確に定めること。
    • 歴史・経過
      • 効率的で効果的な行政運営の基本原則。例えば、大規模災害時には、国、都道府県、市町村、自衛隊、警察、消防、民間団体などが、それぞれ「何をするか」を定めた地域防災計画に基づき、連携して対応にあたる。協働(パートナーシップ)の考え方が進む中で、行政と住民・NPOなどとの適切な役割分担が、地域課題解決の鍵となっている。
    約款(やっかん)
    • 意味
      • 事業者が、不特定多数の利用者との契約を定型的に処理するために、あらかじめ定めた契約条項のこと。水道やガス、公共交通機関などの利用契約は、約款に基づいて締結される。
    • 歴史・経過
      • 利用者一人ひとりと個別に契約条件を交渉する手間を省き、迅速かつ大量のサービス提供を可能にする。水道の供給約款や、公営バスの運送約款などは、条例に基づいて定められ、料金や事業者の責任範囲、利用者の義務などが詳細に規定されている。
    薬価(やっか)
    • 意味
      • 公的医療保険の対象となる医薬品の、国が定めた公定価格のこと。「薬価基準」に収載された価格を指す。医療機関は、この薬価に基づいて医薬品を購入し、保険請求を行う。
    • 歴史・経過
      • 国民皆保険制度のもとで、医療費の適正化を図るために導入されている。厚生労働大臣が、中央社会保険医療協議会(中医協)の審議を経て、原則として2年に1度改定を行う。高齢化に伴う医療費の増大を抑制するため、薬価の引き下げは、国の予算編成における重要な焦点の一つとなっている。
    薬機法(やっきほう)
    • 意味
      • 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の通称。医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の品質・有効性・安全性を確保するための規制を定めた法律。
    • 歴史・経過
      • 1960年(昭和35年)に制定された「薬事法」が、再生医療などの新たな技術に対応するため、2014年(平成26年)に名称変更・改正されたもの。保健衛生の向上を目的とし、製造販売の承認審査、安全対策、広告規制などを定めており、厚生労働省や都道府県の薬務主管課がその執行を担う。
    薬局(やっきょく)
    • 意味
      • 薬剤師が、販売または授与の目的で調剤を行ったり、医薬品の販売を行ったりする場所。薬機法に基づき、都道府県知事の許可が必要。
    • 歴史・経過
      • 医薬分業の進展により、病院・診療所の近くに多くの「門前薬局」ができた。近年は、特定の医療機関の処方箋だけでなく、地域住民の健康相談や在宅医療への対応など、より幅広い役割を担う「かかりつけ薬局」への転換が国によって推進されている。地域包括ケアシステムにおける重要な社会資源と位置づけられている。
    薬事(やくじ)
    • 意味
      • 医薬品、医療機器などに関する、品質・有効性・安全性の確保に関わる事務全般のこと。薬機法に基づく許認可、監視指導、調査、試験検査などが含まれる。
    • 歴史・経過
      • 国民の生命や健康に直結するため、行政による厳格な管理が求められる分野。国の厚生労働省が制度全般を所管し、都道府県、保健所設置市、特別区に置かれる薬務主管部局(薬務課など)が、薬局や販売業への立入検査、誇大広告の監視、医薬品の適正使用に関する啓発などの実務を担っている。
    薬物乱用防止(やくぶつらんようぼうし)
    • 意味
      • 覚醒剤、大麻、麻薬、危険ドラッグなどの違法薬物の不正使用(乱用)を社会からなくすための取り組み。取締りの強化、水際対策、医療・リハビリ支援、そして特に青少年に対する予防啓発活動が重要な柱となる。
    • 歴史・経過
      • 薬物乱用は、個人の心身を破壊するだけでなく、様々な犯罪の引き金となる深刻な社会問題。国は「薬物乱用防止五か年戦略」を策定し、警察、麻薬取締部、税関、保健所、教育委員会、民間団体などが連携して総合的な対策を進めている。「ダメ。ゼッタイ。」をスローガンとした啓発キャンペーンが広く知られている。
    家賃債務保証制度(やちんさいむほしょうせいど)
    • 意味
      • 住宅の賃貸借契約を結ぶ際に、連帯保証人が見つからない人のために、保証会社が保証人となって家賃の支払いを保証する仕組み。入居者は保証会社に保証料を支払う。
    • 歴史・経過
      • 核家族化や人間関係の希薄化により、連帯保証人を頼める人が減ったことから普及した。高齢者や障害者、外国人、ひとり親世帯など、住宅の確保に困難を抱える人々(住宅確保要配慮者)の入居を円滑にするため、国は登録制度を設けて適正な業務を行う保証会社を「見える化」し、自治体はこうした保証会社の利用を支援・促進している。
    家賃補助(やちんほじょ)
    • 意味
      • 低所得者や特定の対象者(子育て世帯、新婚世帯など)に対して、自治体が家賃の一部を助成する制度。住宅費の負担を軽減し、安定した居住を支援することを目的とする。「住宅手当」とも呼ばれる。
    • 歴史・経過
      • 自治体が独自に行う政策として、様々な形で実施されてきた。近年では、生活困窮者自立支援法に基づく「住居確保給付金」のように、離職などにより住居を失うおそれがある人に対して、国と自治体が協調して家賃相当額を支給する、セーフティネットとしての制度の重要性が増している。
    野帳(やちょう)
    • 意味
      • 屋外での調査や測量の際に、現場で測定値、スケッチ、観察記録などを書き込むための手帳。「フィールドノート」ともいう。雨に濡れても紙が破れにくい、硬い表紙で立ったままでも書きやすい、といった工夫がされているものが多い。
    • 歴史・経過
      • 行政の土木、建築、農林、文化財(発掘調査)などの現場職員にとって、長年にわたり必須の道具であった。記録の原本として、また後日の報告書作成の基礎資料として重要な役割を持つ。近年は、タブレット端末やGPS機能付きのカメラなども活用されるが、手書きによる野帳の利便性や信頼性も依然として評価されている。
    雇い止め(やといどめ)
    • 意味
      • 期間の定めのある労働契約(有期労働契約)について、使用者が契約期間の満了時に、次の契約の更新を拒否すること。
    • 歴史・経過
      • 契約期間満了による終了が原則だが、過去に何度も契約が更新され、実質的に無期契約と変わらない状態であった場合など、労働者が契約更新を期待することに合理的な理由がある場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない「雇い止め」は無効とされる(労働契約法第19条)。自治体の非常勤・臨時職員の契約においても、この「雇い止め法理」は重要な判断基準となる。
    野党(やとう)
    • 意味
      • 議会において、内閣を組織していない政党、または、首長を支持しない立場をとる会派や議員のこと。「与党」の対義語。
    • 歴史・経過
      • 政府や首長の行政運営を監視し、政策を批判・検証し、代替案を提示することが野党の重要な役割。議会における質疑や委員会活動を通じて、行政の透明性を確保し、権力の濫用を防ぐ機能(チェック・アンド・バランス)を担う。
    屋敷林(やしきりん)
    • 意味
      • 農家などの家屋の周囲を囲むように配置された樹林のこと。冬の季節風や吹雪を防ぐ防風・防雪林としての機能や、夏の日差しを遮る機能、家屋の防火、薪炭材の確保といった多様な役割を果たしてきた。
    • 歴史・経過
      • 日本の伝統的な農村景観を構成する重要な要素であったが、農家の減少や生活様式の変化により、管理されずに荒廃したり、伐採されたりするケースが増えている。このため、一部の自治体では、良好な景観や生態系を保全する観点から、条例によって屋敷林の保存を奨励したり、保全活動を支援したりする取り組みを行っている。
    屋台(やたい)
    • 意味
      • 道路や公園などの公共の場所で、移動可能または簡易な施設を用いて飲食物などを調理・販売する店。祭礼などの一時的な出店と、特定の場所で継続的に営業するものがある。
    • 歴史・経過
      • 行政の関わりとしては、①食品衛生法に基づく営業許可(保健所の役割)、②道路法に基づく道路占用許可(道路管理者の役割)、③地域の景観や秩序維持のための条例による規制(福岡市など)が挙げられる。地域の賑わい創出や観光資源としての価値と、衛生、安全、交通への影響といった課題とのバランスを取りながら、適正な管理が行われる。
    山の日(やまのひ)
    • 意味
      • 「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨とする、日本の国民の祝日。毎年8月11日。
    • 歴史・経過
      • 2014年(平成26年)に「国民の祝日に関する法律」が改正され、2016年(平成28年)から施行された。祝日の制定を主導した日本山岳会などの民間団体と、超党派の国会議員連盟の働きかけが実を結んだもの。この日に合わせて、環境省や林野庁、地方自治体などが、自然観察会や登山イベントなどを開催することがある。

    UIJターン(ゆーあいじぇーたーん)
    • 意味
      • 地方から大都市へ移住した人が、再び出身地に戻る(Uターン)、出身地ではない地方へ移住する(Iターン)、出身地の近くの地方都市へ移住する(Jターン)という、人の流れの総称。地方創生や移住促進政策における重要なキーワード。
    • 歴史・経過
      • 東京一極集中の是正や、地方の担い手不足解消のため、国や地方自治体はUIJターンを促進する様々な施策を講じている。具体的には、移住支援金(起業や就業を条件とする)の給付、空き家バンク制度、お試し移住体験、オンラインでの移住相談会などがある。
    優遇措置(ゆうぐうそち)
    • 意味
      • 特定の政策目的を達成するため、特定の対象者や行為に対して、税制や融資、規制などの面で、他よりも有利な取り扱いをすること。「税制優遇」「金利優遇」などがその例。
    • 歴史・経過
      • 企業誘致のための固定資産税の減免、住宅ローン減税、エコカー減税、中小企業向けの低利融資制度など、経済政策や社会政策の様々な場面で活用される。措置の公平性や、費用対効果についての検証が常に求められる。
    有価証券(ゆうかしょうけん)
    • 意味
      • 株式、国債、地方債、投資信託など、それ自体に財産的価値を有する証券のこと。行政においては、自治体が財政調整基金などの基金を、より有利に運用するために有価証券を購入・保有する場合がある。
    • 歴史・経過
      • 地方自治法では、基金の運用について「確実かつ効率的」に行うことが求められている。低金利が続く中で、預金よりも高い利回りを求めて有価証券での運用が行われるが、価格変動のリスクも伴うため、安全性を重視した運用方針を定める必要がある。
    遊休資産(ゆうきゅうしさん)
    • 意味
      • 自治体が保有する土地や建物などの資産のうち、現在使われておらず、将来的な利用計画も定まっていない非効率な状態にある資産のこと。廃校になった学校施設、移転した庁舎の跡地などが典型例。
    • 歴史・経過
      • 人口減少や公共施設の統廃合により、遊休資産は増加傾向にある。これらの資産を放置することは、維持管理コストの増大や、地域の活力低下につながるため、多くの自治体で売却、貸付、民間事業者による活用(PPP/PFI)など、有効活用に向けた取り組みが進められている。アセットマネジメントの重要な課題の一つ。
    遊休土地(ゆうきゅうとち)
    • 意味
      • 土地の所有者が、取得後も利用せずに放置している土地のこと。特に、国土利用計画法では、大規模な土地(市街化区域で2,000㎡以上など)で、取得後2年を経過しても利用されていない土地を「遊休土地」とし、都道府県知事が利用を促すための勧告などを行える制度がある。
    • 歴史・経過
      • 土地の投機的な取得や、無計画な土地利用を防ぐことを目的とする。所有者不明土地問題とも関連し、土地の有効かつ適切な利用を促進することは、行政の重要な役割となっている。
    有給休暇(ゆうきゅうきゅうか)
    • 意味
      • 労働者が、賃金の支払いを受けながら取得できる休暇のこと。正式名称は「年次有給休暇」。労働基準法で定められた労働者の権利であり、一定期間継続勤務した労働者に対して、勤務年数に応じた日数が付与される。
    • 歴史・経過
      • 働き方改革の一環として、2019年(平成31年)4月から、全ての企業において、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、年5日の有給休暇を確実に取得させることが使用者の義務となった。公務員についても、同様に法律や条例で定められている。
    有効求人倍率(ゆうこうきゅうじんばいりつ)
    • 意味
      • 全国の公共職業安定所(ハローワーク)に登録されている有効求職者数に対する、有効求人数の割合を示す経済指標。倍率が1を上回ると求職者数より求人数が多く(人手不足)、1を下回ると求人数より求職者数が多い(就職難)ことを示す。
    • 歴史・経過
      • 厚生労働省が毎月発表しており、景気動向を示す最も代表的な指標の一つとして、政府の経済分析や金融政策の判断材料などに用いられる。地域別や年齢別、産業別の倍率も公表され、地域の雇用情勢を把握する上で重要なデータとなる。
    友好都市(ゆうこうとし)
    • 意味
      • 国の異なる二つ以上の都市が、文化交流や親善を目的として提携を結んだ関係のこと。「姉妹都市」とほぼ同義で使われることが多いが、中国の都市との提携では「友好都市」の呼称が主に使われる。
    • 歴史・経過
      • 戦後、平和への願いを背景にアメリカの都市との姉妹都市提携から始まった。現在では、文化・教育・スポーツ・経済など、多様な分野での市民レベルの国際交流を促進し、相互理解を深めるための重要な取り組みとして、多くの自治体で推進されている。
    有料道路(ゆうりょうどうろ)
    • 意味
      • 通行する際に料金(通行料)を徴収する道路。高速自動車国道や、特定の橋、トンネル、観光道路などがある。道路整備の費用を、税金だけでなく、利用者にも負担してもらう「受益者負担」の考え方に基づいている。
    • 歴史・経過
      • 道路整備を迅速に進めるための財源確保の手法として、道路整備特別措置法などに基づき建設されてきた。NEXCO各社が管理する高速道路や、地方道路公社が管理する道路などがある。料金徴収期間が満了すれば無料開放されるのが原則だが、修繕費用の確保などのため、徴収期間が延長されることもある。
    優良運転者(ゆうりょううんてんしゃ)
    • 意味
      • 運転免許証の区分の一つで、継続して免許を受けている期間が5年以上で、かつ過去5年間に違反行為や人身事故を起こしていない運転者のこと。一般に「ゴールド免許」の保有者と呼ばれる。
    • 歴史・経過
      • 1994年(平成6年)の道路交通法改正で導入された。安全運転を奨励するためのインセンティブとして、免許更新時の講習時間が短縮されたり、免許証の有効期間が長くなったり、自動車保険料の割引が適用されたりといった優遇措置が受けられる。
    融資(ゆうし)
    • 意味
      • 資金を必要とする者に対し、利子を付けて資金を貸し出すこと。行政分野では、国や地方自治体が、直接または政府系金融機関等を通じて、中小企業、農林漁業者、あるいは生活困窮者などに対して、政策的な目的で低利の融資を行う制度(制度融資)がある。
    • 歴史・経過
      • 民間の金融機関だけでは対応が難しい、リスクの高い分野や、政策的に支援が必要な分野に対して、資金供給を行うセーフティネットとしての役割を担う。創業支援、経営改善、災害からの復旧など、目的は多岐にわたる。
    有事(ゆうじ)
    • 意味
      • 戦争、テロ、大規模な自然災害など、国家の独立や国民の生命・安全が脅かされる非常事態のこと。「平時」の対義語。特に、日本に対する武力攻撃が発生した事態、またはその発生が予測される事態を指すことが多い。
    • 歴史・経過
      • 2003年(平成15年)に「武力攻撃事態対処法」(有事法制の基本法)が成立し、有事における国や地方自治体、国民の役割などが定められた。地方自治体は、国民保護法に基づき、住民の避難や救援に関する計画(国民保護計画)を策定することが義務付けられている。
    有償(ゆうしょう)
    • 意味
      • 対価の支払いがあること。「無償(無料)」の対義語。行政サービスにおいては、原則として法律や条例に定めがない限り、対価を徴収することはできない。住民票の写しの交付手数料のように、実費弁償的な性格を持つものや、公共施設の使用料などが有償サービスの代表例。
    • 歴史・経過
      • 近年、受益者負担の原則に基づき、特定の受益者がいるサービスについては、無償から有償に切り替えたり、料金の見直しを行ったりする動きが見られる。その際には、住民への丁寧な説明と、負担の公平性を確保することが求められる。
    有識者(ゆうしきしゃ)
    • 意味
      • 特定の分野について、優れた学識や豊富な経験を持つ専門家のこと。行政においては、審議会、懇談会、検討会などの委員として、政策の立案や評価の過程で専門的・中立的な立場から意見を述べる役割を担う。
    • 歴史・経過
      • 行政の政策が高度化・専門化する中で、庁内の知識だけでは対応が困難な課題が増えている。そのため、大学教授、研究者、弁護士、公認会計士、NPO代表、民間経営者など、多様な分野の有識者の知見を活用することが、政策の質を高め、客観性や透明性を担保するために不可欠となっている。
    郵政民営化(ゆうせいみんえいか)
    • 意味
      • 2007年(平成19年)10月1日に、日本郵政公社が担っていた郵便、郵便貯金、簡易生命保険の3つの事業(郵政三事業)を、民間の株式会社に移行させた、小泉純一郎内閣による大規模な行政改革。
    • 歴史・経過
      • 巨大な公的機関であった日本郵政公社を分割・民営化することで、経営の効率化、サービス向上、財政投融資改革などを目指した。日本郵政株式会社(持株会社)のもとに、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の各事業会社が設立された。国の行政組織や財政構造に大きな影響を与えた改革であった。
    優生保護法(ゆうせいほごほう)
    • 意味
      • 「不良な子孫の出生を防止する」という優生思想に基づき、遺伝性疾患や精神障害などを理由に、本人の同意なく不妊手術(強制不妊手術)を行うことなどを認めていた法律。
    • 歴史・経過
      • 1948年(昭和23年)に制定された。優生学的な規定は、基本的人権の侵害であるとの批判が高まり、1996年(平成8年)に削除され、法律名も「母体保護法」に改正された。近年、強制不妊手術の被害者たちが国に対して謝罪と賠償を求める訴訟を相次いで起こし、2019年には被害者救済のための法律が制定された。行政が関わった重大な人権侵害の事例として、その歴史が検証されている。
    融雪装置(ゆうせつそうち)
    • 意味
      • 道路や駐車場などに積もった雪を、熱や水によって溶かすための設備。主な方式として、地下水を散水する「散水消雪」、ロードヒーティング(電熱線や温水パイプを路面に埋設)、ボイラーで温めた不凍液を循環させる方式などがある。
    • 歴史・経過
      • 豪雪地帯において、冬期の交通を確保し、安全で円滑な市民生活や経済活動を維持するために不可欠なインフラ。主に道路管理者である国や地方自治体によって設置・管理される。維持管理コスト(特に燃料費や電気代)の高さが財政上の課題となっている。
    優先順位(ゆうせんじゅんい)
    • 意味
      • 複数の課題や事業、要求などがある場合に、どれから先に取り組み、どれを後回しにするか、あるいは実施しないかを決定するための順序付け。
    • 歴史・経過
      • 厳しい財政状況と、多様化・複雑化する行政需要の中で、全ての要求に応えることは不可能である。そのため、限られた資源(ヒト・モノ・カネ)を最も効果的に配分するために、政策評価や事務事業評価に基づき、客観的な基準で優先順位を決定することが、行政経営において極めて重要となっている。
    誘致(ゆうち)
    • 意味
      • 企業の本社や工場、研究所、商業施設、あるいは国際会議やスポーツ大会といったイベントなどを、自らの地域に招き寄せること。
    • 歴史・経過
      • 地域の経済活性化、雇用創出、税収増加、交流人口の拡大などを目的として、多くの自治体が積極的に誘致活動を展開している。固定資産税の減免や補助金の交付といった優遇措置、用地の確保・あっせん、各種の行政手続きのサポート(ワンストップサービス)などが行われる。
    癒着(ゆちゃく)
    • 意味
      • 行政と特定の企業や団体などが、不透明かつ不適切な関係で強く結びつき、相互に利益を供与しあうこと。汚職や談合、不公正な許認可などの温床となる。
    • 歴史・経過
      • 公務員倫理の根幹を揺るがす、最も厳しい批判の対象となる行為。相次ぐ不祥事を教訓に、国家公務員倫理法・倫理規程や、各自治体の職員倫理条例などが制定され、利害関係者との接触に関するルール(贈与の禁止、会食の届出など)が厳格化された。情報公開制度や内部告発者保護制度も、癒着を防止するための重要な仕組みである。
    有害鳥獣(ゆうがいちょうじゅう)
    • 意味
      • 農林水産業に被害を与えたり、人の生命や身体に危害を及ぼしたりする野生の鳥類や獣類のこと。鳥獣保護管理法に基づき、都道府県知事などの許可を得て捕獲(駆除)することができる。
    • 歴史・経過
      • 近年、ニホンジカやイノシシ、サルなどが全国的に生息域を拡大し、農作物の食害や、人里への出没が深刻な問題となっている。市町村は、被害防止計画を策定し、防護柵の設置支援や、捕獲を行う猟友会への支援などを通じて、鳥獣被害対策に取り組んでいる。
    有害物質(ゆうがいぶっしつ)
    • 意味
      • 人の健康や生活環境に、害をもたらすおそれのある化学物質の総称。大気汚染防止法、水質汚濁防止法、土壌汚染対策法、労働安全衛生法など、様々な法律で個別に物質が指定され、排出や含有が規制されている。
    • 歴史・経過
      • 公害問題の発生を教訓に、各種の規制法が整備されてきた。行政は、工場や事業場への立入検査、環境モニタリング(大気や水質の常時監視)、土壌汚染状況の調査などを通じて、有害物質によるリスクを管理し、住民の安全確保に努めている。
    夕張市財政再生計画(ゆうばりしざいせいさいせいけいかく)
    • 意味
      • 2007年(平成19年)に財政破綻(財政再建団体へ移行)した北海道夕張市が、国の同意を得て策定した財政再建のための計画。人件費の大幅な削減、公共サービスの徹底した見直し、住民税や公共料金の引き上げなど、極めて厳しい内容を含んでいた。
    • 歴史・経過
      • かつての炭鉱の閉山と、過大な観光開発投資の失敗が重なり、巨額の赤字を抱えて財政破綻に至った。夕張市の事例は、地方自治体の財政運営のあり方や、国と地方の役割分担に大きな問題を提起し、その後の地方財政健全化法の制定につながるなど、全国の自治体に大きな教訓を残した。
    ユビキタス社会(ゆびきたすしゃかい)
    • 意味
      • 「いつでも、どこでも、誰でも」情報通信ネットワークにアクセスし、その恩恵を享受できる社会のこと。ラテン語で「至る所に存在する」を意味する “ubiquitous” に由来する。
    • 歴史・経過
      • 2000年代初頭に、総務省などが中心となって提唱した、IT国家戦略のビジョン。スマートフォンの普及や、無線通信環境(Wi-Fiなど)の整備により、そのコンセプトの多くは実現した。現在では、IoT(モノのインターネット)や、DX(デジタルトランスフォーメーション)といった、より進んだ概念に発展・継承されている。
    郵便局(ゆうびんきょく)
    • 意味
      • 日本郵便株式会社が運営する、郵便物の差出・受取や、切手・はがきの販売などを行う施設。かつては国営の機関であった。
    • 歴史・経過
      • 2007年の郵政民営化までは、国の機関(郵政省→郵政事業庁→日本郵政公社)であったため、行政の一部と見なされていた。民営化後も、全国津々浦々にネットワークを持つことから、一部の自治体では、証明書発行などの行政窓口業務を郵便局に委託する例も見られる。
    輸入規制(ゆにゅうきせい)
    • 意味
      • 特定の貨物について、国内産業の保護、国民の安全・衛生の確保、安全保障などを目的に、その輸入を制限または禁止すること。関税(価格を高くする)、輸入割当(数量を制限する)、特定の病原菌が確認された国からの食肉輸入の停止などがその例。
    • 歴史・経過
      • 外国為替及び外国貿易法(外為法)や、関税法、家畜伝染病予防法など、様々な法律に基づいて行われる。農林水産省(動物検疫所、植物防疫所)や、税関、経済産業省などが規制の実施を担う。国際的な貿易ルール(WTO協定など)との整合性が求められる。
    ユニセフ(UNICEF)(ゆにせふ)
    • 意味
      • 「国連児童基金」の通称。子どもの権利を守ることを目的に、世界190以上の国と地域で、保健、栄養、水と衛生、教育などの支援活動を行う国連の機関。
    • 歴史・経過
      • 1946年に設立。日本では、公益財団法人日本ユニセフ協会が、国内委員会として広報、募金、アドボカシー(政策提言)活動を行っている。自治体においても、子どもの権利条約の理念の普及や、世界の子どもたちが置かれた状況への理解を深めるため、ユニセフと連携したイベントや学習会などを開催することがある。
    ユネスコ(UNESCO)(ゆねすこ)
    • 意味
      • 「国連教育科学文化機関」の通称。教育、科学、文化の分野における国際協力を通じて、世界の平和と安全に貢献することを目的とする国連の専門機関。
    • 歴史・経過
      • 1945年に設立。「世界遺産(文化遺産・自然遺産)」、「無形文化遺産」、「ユネスコ記憶遺産(世界の記憶)」などの事業で広く知られている。自治体は、自地域内の文化財などを世界遺産に登録するための活動や、登録後の保存・活用、ユネスコスクール(国際理解教育を推進する学校)の活動支援などを通じて、ユネスコと深く関わっている。
    ユニバーサルサービス(ゆにばーさるさーびす)
    • 意味
      • 国民生活に不可欠なサービスを、全国どこに住んでいても、公平かつ安定的に、手頃な料金で利用できるようにするための仕組み。主に、電気通信分野(固定電話、公衆電話、緊急通報)や、郵便分野(全国均一料金での信書送達)で使われる。
    • 歴史・経過
      • 採算が取れない過疎地などでもサービスを維持するため、その費用を通信事業者全体や利用者全体で負担する制度(ユニバーサルサービス基金制度)が設けられている。情報通信技術の進展に伴い、ブロードバンドサービスを新たなユニバーサルサービスの対象とすべきか、といった議論が続いている。
    ユニバーサルデザイン(ゆにばーさるでざいん)
    • 意味
      • 年齢、性別、国籍、障害の有無などにかかわらず、できるだけ多くの人が、特別な改造や調整をすることなく、利用しやすいように、製品、建築、空間、サービスなどを設計するという考え方。「UD」と略される。
    • 歴史・経過
      • 障害のある人のための「バリアフリーデザイン」から発展し、全ての人を対象とする、より包括的な概念として1980年代に提唱された。行政においては、公共建築物の設計、ウェブサイトの構築(ウェブアクセシビリティ)、情報提供のあり方(読みやすい文字、多言語対応など)など、あらゆる分野でこの考え方の導入が推進されている。
    ユニットケア(ゆにっとけあ)
    • 意味
      • 特別養護老人ホームなどの介護施設において、入居者を10人程度の少人数のグループ(ユニット)に分け、それぞれのユニットを一つの生活単位として、家庭的な雰囲気の中でケアを行う方式。
    • 歴史・経過
      • 従来の大部屋で画一的なケアを行う方式への反省から、個人の尊厳やプライバシーを尊重し、一人ひとりの生活リズムに合わせた個別ケアを実現する手法として、2000年代初頭から国が推進している。施設の設備基準もユニットケアに対応したものとなっている。
    有権者(ゆうけんしゃ)
    • 意味
      • 選挙で投票する権利(選挙権)を持つ人のこと。日本の国政選挙では、日本国籍を有する満18歳以上の全ての者が有権者となる。地方選挙では、これに加え、引き続き3か月以上その市区町村の区域内に住所を有することが要件となる。
    • 歴史・経過
      • 選挙の公正を期すため、市区町村の選挙管理委員会が、住民基本台帳を基に「選挙人名簿」を作成・管理する。有権者数は、選挙の投票率や、民意の動向を分析する際の基礎となる。2016年(平成28年)から、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられた。
    雪害対策(ゆきがいたいさく)
    • 意味
      • 豪雪や吹雪など、雪によって引き起こされる災害(雪害)を防止・軽減し、雪国の住民の安全確保と生活の安定を図るための施策全般。除雪・排雪体制の整備、克雪住宅(雪に強い住宅)の普及、雪崩対策、交通網の確保、流雪溝・融雪装置の整備などが含まれる。
    • 歴史・経過
      • 豪雪地帯では、冬期の生活や産業活動に大きな支障が生じるため、雪害対策は自治体の最重要課題の一つ。国は「豪雪地帯対策特別措置法」を定め、対策事業に対して財政支援を行っている。近年は、気候変動による降雪量の極端化や、担い手不足・高齢化による地域除雪力の低下が新たな課題となっている。
    ゆりかごから墓場まで(ゆりかごからはかばまで)
    • 意味
      • 人が生まれてから死ぬまでの、生涯にわたる生活を、国が社会保障制度によって保障するという理念を示す言葉。
    • 歴史・経過
      • 第二次世界大戦後のイギリス労働党政権が掲げたスローガンとして有名。日本の社会保障制度も、この理念に大きな影響を受けて構築されてきた。年金、医療、介護、雇用、福祉など、多岐にわたる制度が、国民の生活を生涯にわたって支えるセーフティネットとして機能している。
    揺り戻し(ゆりもどし)
    • 意味
      • 一度、ある方向に進んだ物事が、再び元の状態や方向に戻ること。政策の分野では、行財政改革などで一度は見直されたり廃止されたりした制度や補助金が、情勢の変化や関係者からの強い要望などによって、復活または類似の形で再開される現象を指す。
    • 歴史・経過
      • 「改革疲れ」や、改革による弊害が顕在化した場合などに発生しやすい。政策決定の継続性や一貫性を損なう可能性がある一方、行き過ぎた改革を修正する自己是正機能と見ることもできる。行政は、常に社会経済情勢の変化に対応しつつ、政策の揺り戻しが非効率な状態を招かないよう、その必要性を吟味する必要がある。

    よくある質問(FAQ)(よくあるしつもん)
    • 意味
      • 特定の制度や手続きについて、住民から頻繁に寄せられる質問とその回答をあらかじめまとめて、ウェブサイトやパンフレットに掲載したもの。”Frequently Asked Questions”の略。
    • 歴史・経過
      • 住民の疑問に自己解決を促し、電話や窓口での問い合わせ件数を減らすことで、行政の業務効率化と住民サービスの向上を両立させる目的で広く活用されている。ウェブサイトにおいては、利用者が求める情報にたどり着きやすいように、分野別の分類や検索機能の充実が図られている。
    横出し要求(よこだしようきゅう)
    • 意味
      • 予算編成過程において、各部局が当初の予算要求(概算要求)を財政担当部局に提出した後で、追加の事業や経費を要求すること。財政規律を乱す要因とされるため、原則として認められないことが多い。
    • 歴史・経過
      • 庁内の予算編成ルール(スケジュール)を無視した、非公式な復活要求などを指す俗語的な表現。やむを得ない事由(災害の発生、国の制度変更など)がある場合は例外的に認められることもあるが、通常は厳しく抑制される。
    横展開(よこてんかい)
    • 意味
      • ある部署や地域で実施して、うまくいった先進的な取り組みや成功事例を、他の部署や地域にも広めて、組織全体や自治体全体で活用・実践すること。
    • 歴史・経過
      • 行政改革や業務改善(BPR)の文脈でよく使われる用語。一つの成功事例をモデルケースとして、そのノウハウや知見を共有・移転することで、全体のレベルアップを効率的に図ることを目指す。庁内の事例発表会や、自治体間の情報交換などが、横展開を促進する場となる。
    横割り(よこわり)
    • 意味
      • 組織や分野を横断して連携すること。「縦割り(セクショナリズム)」の対義語。特定の部や課の所管に捉われず、全庁的な視点で課題解決にあたる姿勢や体制を指す。
    • 歴史・経過
      • 少子高齢化、防災、環境問題など、現代の行政課題は複数の分野にまたがるものが多く、一つの部局だけでは対応が困難になっている。そのため、部局横断的なプロジェクトチームの設置や、「横串を通す」と表現されるような連携調整機能の強化が、多くの自治体で進められている。
    夜警国家(やけいこっか)
    • 意味
      • 国家の役割を、外敵からの防衛や国内の治安維持といった、国民の生命と財産の保護という最小限の機能に限定すべきだとする政治思想。自由主義(リバタリアニズム)の国家観で、「安価な政府」とも呼ばれる。
    • 歴史・経過
      • 19世紀のドイツの社会主義者ラッサールが、自由主義的な国家を批判して用いた言葉。福祉、教育、経済介入など、国家が広範な役割を担う「福祉国家」と対比される。行政の役割や範囲を議論する際の、古典的な理念型の一つ。
    様式(ようしき)
    • 意味
      • 申請、届出、証明書など、行政手続きで用いられる書類の、定められた形式や書式のこと。「様式第1号」「別記様式」といった形で、条例や規則で具体的に定められている。
    • 歴史・経過
      • 手続きの標準化、公平性の確保、事務処理の効率化を目的とする。近年は、住民の利便性向上や行政コストの削減のため、押印の廃止や、オンラインで手続きが完結する電子申請フォームへの移行(様式の電子化)が進められている。
    要介護認定(ようかいごにんてい)
    • 意味
      • 介護保険サービスを利用するために必要となる、「介護が必要な状態である」ことの公式な認定。市区町村に設置される介護認定審査会が、本人の心身の状態調査や主治医の意見書に基づき、「要支援1・2」「要介護1~5」の7段階および「非該当」のいずれかに判定する。
    • 歴史・経過
      • 2000年(平成12年)の介護保険制度の開始とともに導入された。この認定結果(要介護度)によって、利用できるサービスの種類や量の上限(支給限度額)が決まるため、被保険者にとって極めて重要な行政処分である。
    要件(ようけん)
    • 意味
      • 法律行為や行政行為が、その効果を発生させるために必要とされる条件のこと。許認可の要件、補助金の交付要件、制度の利用要件など、行政のあらゆる場面で使われる。
    • 歴史・経過
      • 法令や条例、要綱などで具体的に定められている。行政は、申請などがこの要件を満たしているかを審査し、判断(処分)を下す。要件が不明確であったり、行政の裁量によって恣意的に運用されたりすると、不公平な結果を招くため、明確性と客観性が求められる。
    要綱(ようこう)
    • 意味
      • 行政の内部規律や、事務の取扱いについて定めた内部的なルールのこと。「要領」とほぼ同義で使われる。条例や規則のような法規としての性質は持たないが、行政組織内では事実上の拘束力を持つ。補助金の交付要綱などが代表例。
    • 歴史・経過
      • 条例や規則で大枠を定め、より詳細な手続きや基準を要綱で定めることが多い。法律の委任に基づかず、行政の裁量の範囲内で定められるため、柔軟な運用が可能である一方、住民の権利義務に直接影響を与える内容を要綱で定めることについては、法律による行政の原理の観点から問題が指摘されることもある。
    要支援(ようしえん)
    • 意味
      • 介護保険制度において、要介護状態には至らないが、日常生活を送る上で部分的な支援(家事援助や機能訓練など)が必要と認定された状態のこと。「要支援1」「要支援2」の2段階がある。
    • 歴史・経過
      • 要支援と認定された人は、介護給付ではなく、「介護予防給付」の対象となる。これは、身体機能の維持・向上を目指し、要介護状態への進行を防ぐことを目的としたサービス。2015年度からは、この介護予防給付の一部が、市区町村が地域の実情に応じて多様なサービスを提供する「介護予防・日常生活支援総合事業(新しい総合事業)」に移行した。
    用地買収(ようちばいしゅう)
    • 意味
      • 道路、公園、学校、公営住宅などの公共事業に必要な土地を、国や地方公共団体が地権者(土地の所有者)から買い取ること。「用地取得」とほぼ同義。
    • 歴史・経過
      • 原則として、地権者との間の任意契約(話し合い)によって行われる。事業の必要性や、土地の評価額の算定根拠などを丁寧に説明し、理解を得ることが重要となる。どうしても合意に至らない場合は、土地収用法に基づき、最終的には強制的に土地の権利を取得する「土地収用」の手続きが取られることもある。
    養子縁組(ようしえんぐみ)
    • 意味
      • 血縁関係のない者(または血縁があっても嫡出親子関係にない者)の間に、法律上の親子関係を創り出すための制度。市区町村役場への届出(養子縁組届)によって成立する。
    • 歴史・経過
      • 家の跡継ぎや、子のない夫婦が子を持つための「普通養子縁組」と、親のいない子どもなど、要保護児童の福祉を図ることを目的とする「特別養子縁組」がある。特に特別養子縁組は、子どもの最善の利益を目的とし、児童相談所や家庭裁判所が深く関与する、行政の重要な役割の一つ。
    養護老人ホーム(ようごろうじんほーむ)
    • 意味
      • 老人福祉法に基づく高齢者施設の一つ。原則として65歳以上で、環境上の理由(身寄りがない、住居がないなど)および経済的な理由によって、自宅で生活することが困難な高齢者が入所する施設。
    • 歴史・経過
      • 介護保険制度の「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」が、主に身体的な介護を必要とする高齢者を対象とするのに対し、養護老人ホームは、介護の必要性は低いが、生活環境や経済的な問題で支援が必要な高齢者を対象とする。市区町村長による「措置」によって入所が決定される。
    幼保一元化(ようほいちげんか)
    • 意味
      • これまで別々の制度・管轄(幼稚園は文部科学省、保育所は厚生労働省)であった幼児教育と保育を、一体的に提供する仕組みや施設を作ること。その代表的な施設が「認定こども園」。
    • 歴史・経過
      • 保護者の就労形態の多様化や、待機児童問題、質の高い幼児教育へのニーズの高まりなどを背景に、2006年(平成18年)に認定こども園制度が創設された。保護者の就労状況にかかわらず施設を利用でき、教育と保育を一体的に受けることができる。国は、既存の幼稚園・保育所からの移行を促進している。
    要配慮個人情報(ようはいりょこじんじょうほう)
    • 意味
      • 本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、その他本人に対する不当な差別や偏見が生じないように、その取扱いに特に配慮を要する個人情報のこと。
    • 歴史・経過
      • 2017年(平成29年)に施行された改正個人情報保護法で新たに定義された。要配慮個人情報を取得する際には、原則として、あらかじめ本人の同意を得ることが義務付けられている。行政機関においても、これらの情報の漏えいや不適切な利用がないよう、より一層厳格な管理が求められる。
    要請(ようせい)
    • 意味
      • ある行為を行うように、相手に強く求めること。法的拘束力はないが、公的な立場から行われる、強い期待や説得を伴う働きかけ。「命令」や「指示」とは区別される。
    • 歴史・経過
      • 新型コロナウイルス感染症対策において、知事が飲食店に対して行った「営業時間短縮の要請」や、住民に対する「不要不急の外出自粛の要請」などが記憶に新しい。要請に応じない場合の罰則(過料)が定められることもあり、その実効性の確保が課題となる。
    養成講座(ようせいこうざ)
    • 意味
      • 特定の資格や役割を担う人材を育成するために、行政やその関係団体が主催する研修や講座。地域のボランティア(防災リーダー、消費者相談員、日本語指導員など)や、専門職(手話通訳者、介護職員初任者研修など)を養成することを目的とする。
    • 歴史・経過
      • 行政サービスの担い手は職員に限らず、多くの市民や専門家の協力によって支えられている。養成講座は、地域に必要な人材を計画的に確保・育成し、住民の自己実現や社会参加を促進するための重要な手段となっている。修了者を名簿に登録し、活動のマッチングを行うこともある。
    用語の定義(ようごのていぎ)
    • 意味
      • 法律や条例、計画書などにおいて、その中で使われる特定の用語が、どのような意味で使われるのかを、あらかじめ明確に定めておくこと。通常、第2条あたりに「定義条項」としてまとめて規定される。
    • 歴史・経過
      • 用語の意味を一つに定めることで、条文の解釈をめぐる混乱や争いを防ぎ、法令や計画の明確性を確保する。例えば、「事業者」「保護者」「公共施設」といった、多義的に解釈されうる言葉について、その法令の適用範囲内での意味を限定する役割を持つ。
    予防原則(よぼうげんそく)
    • 意味
      • ある行為や化学物質などが、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な損害を及ぼすおそれがある場合、その因果関係が科学的に十分証明されていなくても、予防的な観点から規制措置などを講じるべきだとする考え方。
    • 歴史・経過
      • 1992年の地球サミットで採択された「リオ宣言」で提唱され、国際的な環境政策の基本原則となった。日本では、化学物質の審査・規制などにおいて、この考え方が取り入れられている。「疑わしきは規制する」というアプローチであり、科学的不確実性がある中での意思決定のあり方として重要視される。
    予防接種(よぼうせっしゅ)
    • 意味
      • 感染症の原因となるウイルスや細菌の病原性を弱めたり、無毒化したりしたワクチンを身体に接種し、その病気に対する免疫を付けること。個人の感染予防・重症化予防と、社会全体での感染症のまん延防止(集団免疫)という二つの目的を持つ。
    • 歴史・経過
      • 予防接種法に基づき、国が定めた特定の感染症について、市町村が主体となって実施する。接種を受けるよう努める義務がある「定期接種」(A類疾病・B類疾病)と、希望者が任意で受ける「任意接種」がある。市町村は、対象者への通知、接種費用の公費負担、集団接種の実施などを担う。
    予備費(よびひ)
    • 意味
      • 予算の編成段階では予測できなかった、やむを得ない支出に対応するために、あらかじめ歳出予算に計上しておく予備の経費。
    • 歴史・経過
      • 地方自治法で、一般会計の歳出予算に計上することが義務付けられている。災害の発生による緊急の復旧経費や、突発的な事件への対応経費などに充てられる。予備費を使用する際は、首長がその理由を議会に報告し、承認を得なければならない。予算の単年度主義の硬直性を補うための制度。
    読み聞かせ(よみきかせ)
    • 意味
      • 大人が子どもに対して、絵本や物語を声に出して読んで聞かせること。子どもの言語能力、想像力、情緒などを育む上で重要とされる。
    • 歴史・経過
      • 文字・活字文化振興法や、子どもの読書活動の推進に関する法律の理念に基づき、多くの自治体で推進されている。公立図書館や子育て支援センター、保育所、小学校などで、司書やボランティアによる「おはなし会」や読み聞かせ会が定期的に開催されている。
    与党(よとう)
    • 意味
      • 議会において、内閣を組織し、その政権を担っている政党のこと。地方自治においては、首長を支持し、その政策に協力的な立場をとる会派や議員を指す。「野党」の対義語。
    • 歴史・経過
      • 政府や首長は、議会で与党が多数を占めることで、予算案や条例案などを円滑に成立させ、安定した行政運営を行うことができる。首長と議会の多数派が異なる、いわゆる「ねじれ」の状態になると、政策の遂行に困難が生じることがある。
    予定価格(よていかかく)
    • 意味
      • 国や地方自治体が、競争入札によって工事や物品購入などの契約を結ぶ際に、その上限として、あらかじめ秘密裏に設定しておく価格。入札参加者の提示価格が、この予定価格を超えた場合は、原則として落札できない。
    • 歴史・経過
      • 会計法や地方自治法で定められている。不当に高額な契約を結ぶことを防ぎ、税金の無駄遣いをなくすための重要な制度。仕様書や設計書に基づき、市場の実勢価格などを考慮して積算される。近年、入札の透明性や公正性を高めるため、入札前に予定価格を公表する(事前公表)自治体も増えている。
    予算(よさん)
    • 意味
      • 一会計年度(4月1日から翌年3月31日まで)における、国や地方公共団体の収入(歳入)と支出(歳出)の見積もりのこと。行政活動の設計図であり、議会の議決を経て初めて成立する。
    • 歴史・経過
      • 予算は、法律や条例と同じ形式(「〇〇年度予算」)をとる、法規範の一種。首長が編成し(予算編成権)、議会が審議・議決する(予算議決権)ことで、行政の財政活動に対する民主的なコントロール(財政民主主義)が確保される。
    予算の繰越し(よさんのくりこし)
    • 意味
      • 会計年度独立の原則(予算はその年度内に使い切るのが原則)の例外として、年度内に支出が終わらなかった経費を、翌年度に持ち越して使用すること。
    • 歴史・経過
      • 「明許繰越(めいきょくりこし)」と「事故繰越(じこくりこし)」がある。明許繰越は、事業の性質上、年度内の完了が困難であることがあらかじめ分かっている場合に、事前に議会の議決を得て繰り越すもの。事故繰越は、災害など、年度末に予測できない事由(事故)によって事業が完了しなかった場合に、やむを得ず繰り越すもの。
    予算の単年度主義の原則(よさんのたんねんどしゅぎのげんそく)
    • 意味
      • 国や地方公共団体の予算は、一会計年度(4月1日~翌年3月31日)で完結させるべきだとする原則。「会計年度独立の原則」ともいう。これにより、毎年度、議会による財政審査の機会が確保される。
    • 歴史・経過
      • 財政民主主義の根幹をなす原則。ただし、この原則を厳格に貫くと、複数年度にわたる大規模事業の実施が困難になるなどの不都合が生じる。そのため、例外として、予算の「繰越制度」や、複数年度にわたる支出を約束する「債務負担行為」といった制度が設けられている。
    予算編成権(よさんへんせいけん)
    • 意味
      • 毎年度の予算案を作成し、議会に提出する権限のこと。日本の地方自治制度では、この権限は首長(市区町村長や知事)に専属するものとされている。
    • 歴史・経過
      • 議会には、予算案を修正する権限はあるものの、歳出の増額修正には首長の同意が必要とされるなど、制約がある。これは、行政の執行責任者である首長に、財政運営の最終的な責任を持たせる趣旨であり、首長のリーダーシップの源泉の一つとなっている。
    四会連合協定工事請負契約約款(よんかいれんごうきょうていこうじうけおいけいやくやっかん)
    • 意味
      • 日本の主要な建築関係4団体(日本建築学会、日本建築協会、日本建築家協会、全国建設業協会)が、共同で作成・提示している、民間の建築工事における標準的な請負契約の約款(契約条項の見本)。
    • 歴史・経過
      • 1950年代から作成されており、改訂を重ねてきた。公平で中立的な内容であると評価が高く、民間の工事だけでなく、地方公共団体が発注する建築工事においても、この約款を準用するケースが非常に多い。契約をめぐる当事者間のトラブルを予防し、公正な取引慣行を確立する上で大きな役割を果たしている。

    ライフイベント(らいふいべんと)
    • 意味
      • 人の一生における、出生、就学、就職、結婚、出産、住宅購入、退職、死亡といった、大きな節目となる出来事のこと。
    • 歴史・経過
      • これらのライフイベントの多くは、住民登録、国民健康保険、年金、税、各種手当の申請など、複数の行政手続きを伴う。そのため、行政サービスの分野では、関連する手続きを一度に案内・処理できる「ライフイベント・ワンストップサービス」の導入が、住民の利便性向上の観点から推進されている。
    ライフサイクルコスト(LCC)(らいふさいくるこすと)
    • 意味
      • 建築物や橋りょうなどの公共施設において、企画・設計から建設、維持管理、そして最終的な解体・廃棄に至るまでの、生涯にわたって必要となる全ての費用の総額のこと。
    • 歴史・経過
      • 従来の、初期の建設コストだけを重視する考え方への反省から、アセットマネジメント(資産管理)の導入とともに重要視されるようになった概念。設計段階から将来の維持管理費や更新費用を考慮することで、長期的な視点でのトータルコストの縮減を目指す。公共施設等総合管理計画の策定において、基本的な考え方となっている。
    ライフライン(らいふらいん)
    • 意味
      • 国民の日常生活や社会経済活動を支える上で、不可欠な基幹的サービス・設備のこと。電気、ガス、上下水道、通信、輸送(道路・鉄道)などが含まれる。「命綱」とも訳される。
    • 歴史・経過
      • 特に、地震などの大規模災害時において、ライフラインの寸断は、避難生活や復旧活動に深刻な影響を及ぼす。そのため、地域防災計画では、ライフラインを管理する事業者(電力会社、ガス会社、通信事業者など)と行政が連携し、施設の耐震化、バックアップ体制の構築、迅速な復旧手順などを定めている。
    ライフワークバランス(らいふわーくばらんす)
    • 意味
      • 「仕事と生活の調和」のこと。仕事上の責任を果たしつつ、家庭生活、個人の趣味、地域活動など、私生活も充実させることができる状態を指す。
    • 歴史・経過
      • 少子化対策、女性の活躍推進、過労死防止などの観点から、国を挙げて推進されている。行政においては、①事業者に対する長時間労働の是正指導や、育児・介護休業制度の導入支援、②自治体自身の組織における、超過勤務の縮減、テレワークの導入、休暇取得の促進といった「働き方改革」の両面で、重要な政策課題となっている。
    ライブラリアン(らいぶらりあん)
    • 意味
      • 図書館で専門的職務に従事する職員のこと。日本では、図書館法に定められた「司書」および「司書補」の資格を持つ職員を指す。
    • 歴史・経過
      • 公立図書館において、図書の収集・整理・保存、利用者への貸出・閲覧サービス、レファレンスサービス(調査相談)、読書推進イベントの企画・運営など、図書館運営の中核を担う。専門的な知識に基づき、地域住民の知る権利や学習する権利を保障する重要な役割を持つ。
    ライン(らいん)
    • 意味
      • 行政組織において、首長から部局長、課長、係長へと至る、直接的な指揮命令系統のこと。この系統に属する機関を「ライン組織」または「執行機関」と呼ぶ。
    • 歴史・経過
      • 組織の基本的な骨格をなし、業務の執行や意思決定を直接担う。ライン組織の長(課長など)は、所属職員を指揮監督し、業務目標を達成する責任を負う。専門的な立場からライン組織を補佐・支援する「スタッフ組織」(企画部門、人事部門、財政部門など)と対比される。
    ラインアンドスタッフ組織(らいんあんどすたっふそしき)
    • 意味
      • 組織形態の一つで、業務を直接執行する「ライン(執行)」部門と、ライン部門に対して専門的な助言や支援を行う「スタッフ(補佐)」部門を組み合わせて編成された組織のこと。
    • 歴史・経過
      • 組織の規模が大きくなり、業務が複雑化・専門化する中で、ラインの長が一人で全ての意思決定を行うことが困難になるために生まれた組織形態。自治体組織もこの形態をとっており、事業を執行する各部局(ライン)と、企画、財政、人事、法制といった全部局を支援する専門部局(スタッフ)が分かれているのが一般的。
    ライトレール(LRT)(らいとれーる)
    • 意味
      • “Light Rail Transit”の略。低床式の車両(LRV)を用い、従来の路面電車よりも騒音・振動が少なく、定時性や速達性に優れた次世代型の軌道系交通システム。
    • 歴史・経過
      • 環境負荷が少なく、高齢者や車いす利用者にも優しい公共交通機関として、欧米の都市で普及した。日本では、富山市の事例が有名。中心市街地の活性化や、自動車依存からの脱却を目指す都市交通政策の一環として、各地で導入が検討・実施されている。
    ラウンドテーブル(らうんどてーぶる)
    • 意味
      • 特定のテーマについて、様々な立場の人々が、上下関係なく対等な立場で自由に意見交換を行う会議形式のこと。「円卓会議」ともいう。
    • 歴史・経過
      • 序列を意識させない円卓(ラウンドテーブル)に座ることで、参加者間の率直な対話を促し、多様な意見の集約や、新たなアイデアの創出、相互理解の促進などを目的とする。行政においては、政策形成の初期段階で、住民、NPO、専門家などの意見を聴取するワークショップや懇談会で、この形式が用いられることがある。
    落札(らくさつ)
    • 意味
      • 競争入札において、最も有利な条件(価格など)を提示した者が、契約の相手方として決定されること。
    • 歴史・経過
      • 国や地方自治体が行う公共工事や物品購入などの契約は、会計法や地方自治法に基づき、原則として競争入札によって相手方を決定する。最も低い価格を提示した者が落札する「価格競争入札」が一般的だが、近年は、価格だけでなく技術力なども含めて総合的に評価する「総合評価落札方式」の導入が進んでいる。
    落札率(らくさつりつ)
    • 意味
      • 公共工事などの入札において、落札価格が、発注者側が設定した予定価格に対して占める割合のこと。(落札価格 ÷ 予定価格 × 100)で算出される。
    • 歴史・経過
      • 落札率が100%に近い、あるいは多くの入札で同水準の高い落札率が続く場合、入札参加業者間での談合や、予定価格の漏洩といった不正行為が疑われることがある。そのため、落札率は、入札の公正性や透明性をチェックするための重要な指標の一つとして、市民やオンブズマンなどによって監視されている。
    ラジオ体操(らじおたいそう)
    • 意味
      • NHKのラジオ放送に合わせて行われる、国民的な健康体操。老若男女を問わず、誰でも、どこでも、手軽に行える全身運動として設計されている。
    • 歴史・経過
      • 1928年(昭和3年)に、国民の体力向上と健康増進を目的に始まった。自治体においては、夏休み期間中の子ども会での実施や、高齢者向けの健康づくり教室、地域や職場での健康増進活動の一環として、その実施が奨励・支援されている。
    ラッシュアワー(らっしゅあわー)
    • 意味
      • 都市部において、朝の通勤・通学の時間帯に、公共交通機関や道路が最も混雑する時間帯のこと。
    • 歴史・経過
      • ラッシュアワーの混雑緩和は、都市交通政策における長年の重要課題。行政は、鉄道事業者やバス事業者と連携し、鉄道網の複々線化や、バスレーンの設置、時差出勤・テレワークの奨励といったハード・ソフト両面での対策を講じている。
    拉致問題対策本部(らちもんだいたいさくほんぶ)
    • 意味
      • 北朝鮮による日本人拉致問題の解決を図るため、内閣に設置された政府の司令塔組織。内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚を本部員として、政府一体となって対策を総合的に推進する。
    • 歴史・経過
      • 2006年(平成18年)に、「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」(拉致問題等対処法)に基づき設置された。情報の収集・分析、関係国との連携、世論への啓発、被害者やその家族への支援などを行っている。地方自治体も、国と連携して、啓発週間におけるイベント開催などの取り組みを行っている。
    ラストワンマイル(らすとわんまいる)
    • 意味
      • もともとは通信業界で、最寄りの拠点から利用者の建物までを結ぶ最後の区間を指す言葉。転じて、物流における最終配送区間や、交通における「最寄り駅から自宅まで」など、サービスが利用者に届くための最終接点を指す。
    • 歴史・経過
      • 行政分野では、①過疎地における公共交通の維持(デマンド交通の導入など)、②災害時の避難所から自宅への帰宅支援や、支援物資の戸別配送、③デジタルデバイド(情報格差)の解消(高齢者へのスマホ教室など)、といった場面で、この「ラストワンマイル」をいかに繋ぐかが重要な政策課題となっている。
    ラッピング広告(らっぴんぐこうこく)
    • 意味
      • バスや路面電車などの車体全体を、広告媒体として特殊なフィルムで覆う(ラッピングする)広告手法。
    • 歴史・経過
      • 自治体が運営する公営交通事業において、運賃収入以外の財源を確保するための自主的な経営努力の一環として、1990年代後半から導入が進んだ。「動く広告塔」として宣伝効果が高く、貴重な収入源となっている。車両だけでなく、公共施設の壁面や床などがラッピング広告に活用されることもある。
    ラポール(らぽーる)
    • 意味
      • フランス語で「橋をかける」という意味から転じて、カウンセリングや相談業務において、相談者と支援者との間に築かれる、互いを信頼し、安心して自由にコミュニケーションが取れる関係のこと。「信頼関係」とほぼ同義。
    • 歴史・経過
      • 福祉、医療、教育、労働など、対人援助を行う全ての行政の現場において、ラポールの形成は、効果的な支援を行うための大前提とされる。支援者は、傾聴や共感的な態度を通じて、相談者が心を開いて悩みを打ち明けられるような雰囲気づくりに努める。
    ラベリング制度(らべりんぐせいど)
    • 意味
      • 製品の品質、性能、安全性、環境への影響などに関する情報を、ラベル(表示)によって消費者に分かりやすく提供する仕組み。消費者の適切な商品選択を助けるとともに、事業者に、より質の高い製品の開発を促すことを目的とする。
    • 歴史・経過
      • 行政が関わるラベリング制度として、食品の栄養成分表示やアレルギー表示(食品表示法)、家電製品の省エネルギー性能表示(省エネ法)、環境負荷の少ない製品に付けられるエコマークなど、様々なものがある。
    ラムサール条約(らむさーるじょうやく)
    • 意味
      • 「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」の通称。湿地の生態系を保全し、賢明な利用(ワイズユース)を促進することを目的とした国際条約。
    • 歴史・経過
      • 1971年にイランのラムサールで採択された。日本では、釧路湿原や琵琶湖など、多くの湿地が条約湿地として登録されている。登録された湿地を抱える自治体は、環境省や関係団体と連携し、湿地のモニタリング、保全活動、環境教育などを通じて、条約上の責務を果たしている。
    濫獲(らんかく)
    • 意味
      • 魚類や貝類などの水産資源を、その資源が再生産される能力を超えて、過剰に漁獲すること。「乱獲」とも書く。資源の枯渇を招き、漁業の持続可能性を脅かす。
    • 歴史・経過
      • 水産資源の適切な管理は、国の水産庁および都道府県の重要な役割。漁業法に基づき、漁獲可能量(TAC)の設定、漁業許可の制限、禁漁期間・区域の設定、網目の大きさの規制など、様々な資源管理措置を講じている。国際的な協調も不可欠な分野。
    ランク付け(らんくづけ)
    • 意味
      • 対象となるもの(事業者、製品、政策、職員など)を、特定の基準に基づいて評価し、優劣や等級などの順位・階層を付けること。
    • 歴史・経過
      • 行政分野では、公共工事の入札に参加する業者を、経営状況や技術力に応じて格付けする「経営事項審査」や、人事評価における職員の成績のランク付け、政策評価における事業の優先度のランク付けなど、様々な場面で用いられる。評価の客観性、公平性、透明性が強く求められる。
    濫用(らんよう)
    • 意味
      • 与えられた権限や権利を、その本来の趣旨や目的を逸脱して、不正または不当に行使すること。
    • 歴史・経過
      • 行政法においては、「権限の濫用」が重要な概念となる。行政機関が、法律で与えられた裁量権を、全く無関係な目的のために行使したり、著しく不合理な判断を下したりした場合、その行為は「裁量権の濫用」として、裁判所で違法・無効と判断されることがある。公務員のコンプライアンスの根幹に関わる問題。
    乱開発(らんかいはつ)
    • 意味
      • 都市計画や自然環境への配慮を欠いた、無秩序で虫食い状の開発のこと。特に、都市の郊外部などで、農地や山林がミニ開発によって次々と宅地化されていく状況を指すことが多い。
    • 歴史・経過
      • 乱開発は、道路や下水道などのインフラ整備の遅れ、良好な景観の喪失、防災上の脆弱性、コミュニティ形成の阻害など、多くの問題を引き起こす。行政は、都市計画法に基づく市街化区域と市街化調整区域の区分(線引き)や、開発許可制度、各種の景観条例などを通じて、無秩序な開発を抑制し、計画的な土地利用を誘導する役割を担う。
    欄干(らんかん)
    • 意味
      • 橋やバルコニー、階段などの端に設けられる、人や物の転落を防止するための手すりや柵。
    • 歴史・経過
      • 行政においては、道路や河川に架かる橋りょうの付属物として、重要なインフラ施設の一部。道路管理者である国や地方自治体は、定期的な点検を通じて、欄干の腐食、損傷、ボルトの緩みなどを確認し、第三者被害を防ぐための適切な維持管理(補修・交換)を行う責任がある。
    ランサムウェア対策(らんさむうぇあたいさく)
    • 意味
      • コンピュータウイルス「ランサムウェア」によるサイバー攻撃への対策。ランサムウェアは、感染したコンピュータのデータを暗号化して使用不能にし、その復旧と引き換えに身代金(ランサム)を要求する。
    • 歴史・経過
      • 近年、民間企業だけでなく、病院や地方自治体などの公的機関を標的とした攻撃が世界的に急増し、行政サービスの停止など深刻な被害が発生している。これを受け、行政機関では、システムのバックアップの強化、職員への不審メールへの注意喚起、セキュリティソフトの導入、インシデント発生時の対応計画(BCP)の策定など、総合的な対策が急務となっている。
    ランダムサンプリング(らんだむさんぷりんぐ)
    • 意味
      • 統計調査において、母集団の構成要素が、いずれも等しい確率で標本(サンプル)として選ばれるように抽出する方法。日本語では「無作為抽出」という。
    • 歴史・経過
      • 調査結果に偏りがなく、得られた標本の性質から母集団全体の性質を科学的に推測(統計的推測)するための大前提となる手法。住民意識調査や世論調査など、行政が行う多くの標本調査は、このランダムサンプリングの原則に基づいて設計・実施される。
    ランニングコスト(らんにんぐこすと)
    • 意味
      • 施設や設備、システムなどを維持・運用していくために、継続的に必要となる経費のこと。「維持管理費」とほぼ同義。人件費、光熱水費、修繕費、消耗品費などが含まれる。
    • 歴史・経過
      • 初期投資である「イニシャルコスト」と対比される。公共施設を建設する際には、建設費だけでなく、将来にわたって発生するランニングコストを正確に見積もり、財政計画に織り込むことが重要。ランニングコストを考慮せずに施設を建設すると、将来の財政を圧迫する「負の資産」となる可能性がある。
    ランドマーク(らんどまーく)
    • 意味
      • ある地域を象徴し、目印となるような特徴的な建物や自然物のこと。城、タワー、特徴的なデザインの庁舎や文化ホールなどがこれにあたる。
    • 歴史・経過
      • ランドマークは、都市の景観形成において中心的な役割を果たし、地域のアイデンティティや誇りの醸成に寄与する。行政は、都市計画や景観条例において、ランドマークからの眺望を保全したり、周辺の建物の高さやデザインを規制したりすることで、良好な都市景観を守り育てる役割を担う。また、観光振興(シティプロモーション)においても重要な要素となる。
    欄外(らんがい)
    • 意味
      • 文書の本文が印刷されている枠の外の部分。マージン(余白)のこと。
    • 歴史・経過
      • 行政の公文書(特に議案や条例案など)では、欄外に「参照条文」や「改正経緯」などの補足的な情報を記載したり、決裁の過程で上司や関係者が注意点などを書き込んだり(「頭出し」と呼ばれることもある)するために使われることがある。文書の正規の内容ではないが、理解を助けるための情報が付記されるスペース。
    ライセンス契約(らいせんすけいやく)
    • 意味
      • 特定の知的財産(特許、著作権など)の利用を、権利者が相手方に対して許諾する契約。行政においては、コンピュータのソフトウェアの利用が代表的。
    • 歴史・経過
      • 自治体が業務用に使用するOS(オペレーティングシステム)や、オフィスソフト、財務会計システム、地理情報システム(GIS)などは、その多くがソフトウェア会社とのライセンス契約に基づいて利用している。契約内容(利用できるPCの台数、利用期間など)を遵守し、不正利用がないように管理することが求められる。

    リーダーシップ(りーだーしっぷ)
    • 意味
      • 組織や集団をまとめ、目標達成に向けて導いていく指導力や統率力のこと。行政においては、首長や管理職が、ビジョンを示し、組織内外の関係者を動かして、複雑な政策課題を解決していく能力を指す。
    • 歴史・経過
      • 従来のトップダウン型で権威的なリーダーシップだけでなく、多様な意見に耳を傾け、対話を通じて合意形成を図るサーバント・リーダーシップなど、様々なスタイルが求められるようになっている。地方分権が進み、自治体独自の判断が求められる場面が増える中で、その重要性は一層高まっている。
    リース(りーす)
    • 意味
      • 企業(リース会社)が、機械や設備などを購入し、それを比較的長期にわたって特定の相手に賃貸する取引。行政においては、コピー機、パソコン、公用車など、多岐にわたる物品の調達で活用されている。
    • 歴史・経過
      • 自治体にとっては、一度に多額の購入費用を支払う必要がなく、財政負担を平準化できる、陳腐化の早いOA機器などを常に最新の機種に入れ替えられる、といったメリットがある。地方公会計制度の改革(新地方公会計制度)により、リース取引も資産・負債としてバランスシートに計上することが求められるようになった。
    リーフレット(りーふれっと)
    • 意味
      • 特定の制度、事業、イベントなどを、分かりやすく簡潔に紹介するために作成される、一枚刷りまたは数ページ程度の簡易な印刷物。パンフレットよりも手軽で、配布しやすい。
    • 歴史・経過
      • 住民への情報提供や広報活動の基本的なツールとして、古くから活用されている。各種申請の窓口や、公共施設、地域のイベントなどで配布される。限られた紙面で、図やイラストを多用し、要点を絞って伝えるデザイン上の工夫が求められる。
    リコール制度(りこーるせいど)
    • 意味
      • 住民が、選挙で選ばれた首長や議員、あるいは特定の役員について、任期満了前に、その職を辞めさせるかどうかを住民投票によって問うことができる直接請求の制度。
    • 歴史・経過
      • 地方自治法に定められた、住民の直接参政権の一つ。一定数(有権者の3分の1など、地域によって異なる)以上の署名を集めて選挙管理委員会に請求し、有効と認められると住民投票が実施される。投票者の過半数の賛成があれば、対象者は失職する。民主主義を補完する重要な制度だが、成立のハードルは非常に高い。
    リスクコミュニケーション(りすくこみゅにけーしょん)
    • 意味
      • 感染症、自然災害、環境問題、食品安全など、社会に存在する様々なリスク(危険性)について、行政、専門家、企業、市民などの全ての関係者が、情報を共有し、相互に意思疎通を図ること。
    • 歴史・経過
      • 行政が一方的に「安全です」と情報を流すだけでは、住民の信頼や安心は得られないという認識から、1990年代以降、その重要性が強調されるようになった。リスクに関する不確実性や多様な意見も含めて情報を公開し、対話を通じて社会全体でリスクを理解し、対応策の合意形成を目指すプロセス。
    リスクマネジメント(りすくまねじめんと)
    • 意味
      • 組織の活動に伴って発生しうる、様々なリスク(損失や損害をもたらす不確実性)を、事前に組織的に把握・分析・評価し、その発生を防止したり、発生した場合の損失を最小限に抑えたりするための一連の管理手法。
    • 歴史・経過
      • 民間企業で発展した経営手法だが、行政においても、災害対策(危機管理)、情報セキュリティ、個人情報保護、財産管理、訴訟対応など、あらゆる分野で導入が不可欠となっている。リスクの洗い出し、対応策の策定、定期的な見直しといったプロセスが重要となる。
    リサイクル(りさいくる)
    • 意味
      • 廃棄物などを、単に捨てるのではなく、原材料やエネルギー源として再生し、再び利用すること。「再生利用」と訳される。ごみを減らすための「3R」の一つ。
    • 歴史・経過
      • 廃棄物の増大と、資源の枯渇が世界的な問題となる中で、循環型社会を形成するための中心的な取り組みとして位置づけられている。容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、食品リサイクル法など、品目ごとにリサイクルを義務付ける法律が整備され、市町村は、分別収集やリサイクル施設の運営などを通じてその役割を担っている。
    リデュース(りでゅーす)
    • 意味
      • ごみの発生そのものを減らす、抑制すること。「発生抑制」と訳される。ごみを減らすための「3R」(リデュース、リユース、リサイクル)の中で、最も優先順位が高い取り組みとされる。
    • 歴史・経過
      • 具体的には、マイバッグやマイボトルの持参、過剰な包装の断り、使い捨て製品の使用を控える、といった行動を指す。行政は、住民や事業者に対して、リデュースの重要性を啓発し、その取り組みを促すキャンペーンなどを実施している。
    リノベーションまちづくり(りのべーしょんまちづくり)
    • 意味
      • 既存の建物を大規模に改修(リノベーション)し、新たな機能や価値を与えることを通じて、地域全体の活性化を図るまちづくりの手法。特に、空き家、空き店舗、遊休化した公共施設などを活用する取り組みを指す。
    • 歴史・経過
      • 人口減少・高齢化社会を迎え、大規模な新規開発(スクラップ&ビルド)が困難になる中で、既存のストックを有効活用する持続可能なまちづくり手法として注目されている。行政は、リノベーションにかかる費用への補助や、規制緩和、事業者と家主とのマッチングなどを通じて、こうした民間主導の動きを支援する。
    リビングウィル(りびんぐうぃる)
    • 意味
      • 将来、自分が末期状態や意思表示ができない状態になった場合に備えて、どのような医療(延命治療など)を望むか、あるいは望まないかを、元気なうちに文書で意思表示しておくこと。「生前の意思」と訳される。
    • 歴史・経過
      • 個人の尊厳や自己決定権を尊重する考え方の高まりとともに、関心が広まっている。法的な効力は必ずしも保証されていないが、本人の意思を推定する重要な資料として、家族や医療者が治療方針を決定する際に尊重される。厚生労働省や自治体は、人生の最終段階における医療・ケアについて考える「人生会議(ACP)」の普及啓発を進めている。
    リハビリテーション(りはびりてーしょん)
    • 意味
      • 病気やけが、老化などによって生じた心身の機能障害を回復させ、再びその人らしい生活を送れるようにするための、あらゆる取り組みのこと。単なる機能訓練(理学療法、作業療法など)だけでなく、社会復帰やQOL(生活の質)の向上を目指す包括的な概念。
    • 歴史・経過
      • 医療保険や介護保険のサービスとして提供される。地域包括ケアシステムの構築が進む中で、病院での急性期リハビリから、回復期、そして在宅での生活期リハビリまで、切れ目のない支援体制を整えることが、行政(保健・福祉部局)の重要な役割となっている。
    リモートワーク(りもーとわーく)
    • 意味
      • ICT(情報通信技術)を活用して、本来の勤務場所から離れた場所で仕事をすること。「テレワーク」とほぼ同義。在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィスでの勤務などの形態がある。
    • 歴史・経過
      • 働き方改革や、交通混雑の緩和、非常時(感染症まん延、災害時など)の事業継続(BCP)の観点から、国が推進してきた。特に、新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、民間企業だけでなく、行政機関でも急速に導入が進んだ。
    利害関係者(りがいかんけいしゃ)
    • 意味
      • ある事柄や計画について、直接的または間接的に、利益や不利益などの影響を受ける人や組織のこと。「ステークホルダー」とほぼ同義。
    • 歴史・経過
      • 行政の政策決定において、その影響が及ぶ全ての利害関係者の意見を聴取し、調整を図ることは、公正性や透明性を確保し、円滑な合意形成を行う上で不可欠。審議会への委員としての参加や、パブリックコメント、公聴会などが、利害関係者の意見を反映させるための制度的仕組みである。
    利益相反(りえきそうはん)
    • 意味
      • ある一つの行為について、一方が利益を得ると、もう一方が不利益を被るような、互いの利益が相反する関係。行政においては、公務員が、その職務上の地位を利用して、自分自身や親族などの私的な利益を不正に図る状況を指す。
    • 歴史・経過
      • 公務の公正さに対する国民の信頼を損なう行為であり、国家公務員倫理法や各自治体の倫理条例などで厳しく規制されている。例えば、公共工事の契約担当者が、親族が経営する会社に有利な取り計らいをすることなどが、典型的な利益相反行為にあたる。
    履行確保(りこうかくほ)
    • 意味
      • 契約や行政上の義務などが、その内容通りにきちんと実行(履行)されることを、確実なものにすること。
    • 歴史・経過
      • 公共工事の請負契約であれば、契約保証金の納付や、定期的な監督・検査によって、工事の完成を確保する。養育費の支払い義務であれば、家庭裁判所による履行勧告や、強制執行といった手段がある。行政は、様々な法令上の手段を用いて、私人間または行政と私人間の義務の履行確保を図る。
    離婚届(りこんとどけ)
    • 意味
      • 法律上の婚姻関係を解消するために、市区町村役場に提出する届出用紙。夫婦間の合意に基づく「協議離婚」の場合は、この届出が受理された時点で離婚が成立する。
    • 歴史・経過
      • 戸籍法に定められた届出。届出に際しては、未成年の子がいる場合、親権者をどちらにするかを定めなければならない。また、証人として成人2名の署名が必要。離婚に伴い、国民健康保険、国民年金、児童扶養手当など、多くの行政手続きが必要となる。
    利子補給(りしほきゅう)
    • 意味
      • 中小企業や個人などが、金融機関から融資を受ける際に、国や地方自治体が、その支払利子の一部を補助(肩代わり)する制度。
    • 歴史・経過
      • 融資を受ける側の金利負担を軽減することで、設備投資や創業、経営改善などを促進することを目的とする、政策的な金融支援策の一つ。自治体が行う「制度融資」において、この利子補給制度が組み合わされていることが多い。
    理事者(りじしゃ)
    • 意味
      • 地方自治体において、事務を執行する側の幹部職員のこと。一般的に、首長(市長・町長・村長)、副首長、部長などを指す、議会側から見た呼称。
    • 歴史・経過
      • 議会(本会議や委員会)において、議員からの質問に対して、行政を代表して答弁を行うのが理事者である。議会と理事者は、それぞれが独立・対等な立場で、時には緊張関係を保ちながら、自治体の意思決定と執行を担う「二元代表制」の両輪をなす。
    離職票(りしょくひょう)
    • 意味
      • 会社を退職した際に、雇用保険の失業等給付(基本手当)の受給手続きを行うために、ハローワークに提出する書類。正式名称は「雇用保険被保険者離職票」。
    • 歴史・経過
      • 事業主が、ハローワークで交付を受けた離職票に、退職者の賃金支払状況や離職理由などを記入し、本人に交付する。ハローワークは、この離職票に記載された内容(特に離職理由)に基づき、失業手当の受給資格や給付日数を決定する。
    立案(りつあん)
    • 意味
      • 法律、条例、政策、計画などの案を考え、作り上げること。「企画」や「起草」と類似する。
    • 歴史・経過
      • 行政における政策形成プロセス(PDCAサイクル)の最初の段階(Plan)にあたる。社会経済情勢の変化や、住民のニーズを的確に把握し、課題を分析した上で、その解決策として、具体的な条例案や事業計画などを立案していく。法的な整合性、財源の確保、関係者との調整など、多くの要素を考慮する必要がある。
    立地適正化計画(りっちてきせいかけいかく)
    • 意味
      • 人口減少社会に対応するため、都市の居住機能や、医療・福祉・商業といった都市機能を中心に集約させ、コンパクトで持続可能なまちづくりを目指すための、市町村が策定するマスタープラン。
    • 歴史・経過
      • 2014年(平成26年)の都市再生特別措置法改正により制度化された。市街化区域内に、各種の機能を集約する「都市機能誘導区域」と、人口密度を維持する「居住誘導区域」を設定し、それらの区域への立地を緩やかに誘導するための施策(補助や規制など)を定める。
    立法(りっぽう)
    • 意味
      • 国民の権利義務や、社会のルールを定める、法(法律)を制定すること。国家の統治権のうち、三権(立法、行政、司法)の一つ。
    • 歴史・経過
      • 日本国憲法では、「国会は、国の唯一の立法機関である」と定められており、法律を制定できるのは国会だけである(国会単独立法の原則)。ただし、内閣は法律案を国会に提出することができ(内閣提出法案)、また、法律の委任を受けて政令などを制定する(委任立法)など、行政も立法に深く関与している。
    立候補(りっこうほ)
    • 意味
      • 公職(国会議員、地方公共団体の長・議員など)の選挙において、候補者として名乗りを上げ、届出をすること。
    • 歴史・経過
      • 公職選挙法に定められた手続き。選挙の告示(公示)日に、所定の書類を選挙管理委員会に提出することで、正式な候補者となる。一定の年齢に達していれば、国民の誰もが持つ権利(被選挙権)であるが、供託金の納付など、一定の要件がある。
    臨時会(りんじかい)
    • 意味
      • 地方議会において、定例会(通常、年4回開催)とは別に、特定の案件を審議するために、必要に応じて開催される議会のこと。
    • 歴史・経過
      • 地方自治法に基づき、首長が必要と認める時や、議長、または議員定数の4分の1以上の議員から請求があった時に、首長が招集する。災害対策や、緊急の補正予算の審議などのために開かれることが多い。
    臨時財政対策債(りんじざいせいさいさくさい)
    • 意味
      • 地方交付税の原資が不足する場合に、その不足分を補うために、地方自治体が特例として発行を認められている地方債(借金)のこと。「臨財債」と略される。
    • 歴史・経過
      • 2001年度(平成13年度)に、国の厳しい財政事情を背景に導入された。本来、地方交付税として交付されるべき額が、この臨財債に振り替えられている形。その元利償還金(返済費用)は、後年度に、国が地方交付税の形で全額措置することとされているが、地方の財政運営を複雑にし、将来世代への負担の先送りであるとの批判もある。
    臨時職員(りんじしょくいん)
    • 意味
      • 地方公共団体において、常時勤務を要する正規職員の欠員補充や、一時的・季節的な業務に対応するために、臨時的に任用される職員のこと。「会計年度任用職員」制度の導入以前に一般的だった呼称。
    • 歴史・経過
      • 2020年度(令和2年度)から、地方公務員法・地方自治法の改正により、臨時・非常勤職員の任用制度は、任期を会計年度内(最長1年)とし、期末手当の支給が可能となる「会計年度任用職員」に統一された。これにより、処遇の改善と、任用の厳格化が図られた。
    林道(りんどう)
    • 意味
      • 森林の適切な管理、整備、林産物の搬出などを目的として、森林内に設けられる道路。林野庁が所管する国有林内のものと、都道府県や市町村、森林組合などが開設する民有林内のものがある。
    • 歴史・経過
      • 林業の生産性向上のための基盤インフラであるが、近年は、山村地域の生活道路や、災害時の迂回路、森林レクリエーションのアクセス路としても重要な役割を担っている。一方で、開設・維持管理コストや、自然環境への影響といった課題もある。
    倫理条例(りんりじょうれい)
    • 意味
      • 公務の公正さに対する住民の信頼を確保するため、首長や議員、職員が遵守すべき倫理的な行動基準を定めた条例のこと。「政治倫理条例」「職員倫理条例」などと呼ばれる。
    • 歴史・経過
      • 汚職や不祥事の発生を背景に、1980年代頃から全国の自治体で制定が進んだ。具体的には、利害関係者からの贈与や接待の禁止・制限、資産等の公開、特定の契約からの親族の除外などを定めている。違反が疑われる場合には、審査会を設置して調査を行う仕組みを持つことが多い。
    隣保館(りんぽかん)
    • 意味
      • 同和対策事業の一環として、同和地区およびその周辺地域に設置された、地域住民の福祉の向上や人権啓発の拠点となるコミュニティ施設。
    • 歴史・経過
      • 1969年(昭和44年)の同和対策事業特別措置法に基づき、生活相談、職業相談、学習支援、各種の集会や交流事業の場として、全国に整備された。特別措置法が終了した現在では、その設置目的を、全ての人を対象とした、人権、交流、福祉の拠点へと転換し、「コミュニティセンター」などの名称で運営されている施設が多い。
    リユース(りゆーす)
    • 意味
      • 一度使用された製品を、廃棄せずに、そのままの形で繰り返し使うこと。「再使用」と訳される。ごみを減らすための「3R」の一つ。
    • 歴史・経過
      • 具体的には、リターナブル瓶の回収・再利用や、フリーマーケット、リサイクルショップの活用、修理して使い続けることなどを指す。行政は、リユースの重要性を啓発するとともに、粗大ごみとして出された家具などを修理して希望者に提供する「リユースプラザ」の運営や、民間事業者と連携したリユース活動の促進などを行っている。
    両立支援(りょうりつしえん)
    • 意味
      • 働きながら、育児や介護、あるいは病気の治療など、仕事以外の個人的な生活上の責任を果たせるように、社会全体で支援すること。特に「仕事と育児の両立支援」「仕事と介護の両立支援」が重要な政策課題となっている。
    • 歴史・経過
      • 少子高齢化と労働力人口の減少を背景に、誰もが働き続けられる環境を整備することが不可欠となっている。行政は、育児・介護休業法の周知徹底、保育所や介護サービスの整備、両立支援に取り組む企業への助成金(両立支援等助成金)の支給などを通じて、その実現を目指している。
    両罰規程(りょうばつきてい)
    • 意味
      • ある従業員が、業務に関して法令違反を犯した場合に、その行為者である従業員本人を罰するだけでなく、その使用者である法人や個人(事業者)に対しても、罰金刑などを科すことを定めた規定。
    • 歴史・経過
      • 廃棄物処理法、労働安全衛生法、各種の税法など、多くの行政法規に盛り込まれている。法人には意思がないため、本来は法人自体を罰することはできないが、従業員の違反行為に対する監督責任を問い、組織としての再発防止を促すために設けられた特別な規定。
    流域治水(りゅういきちすい)
    • 意味
      • これまでの、河川やダムといった施設(ハード対策)中心の治水対策だけでなく、河川の流域全体(雨水が河川に流入するエリア全体)を一つの単位として捉え、あらゆる関係者が協働して、水害を軽減させるという考え方。
    • 歴史・経過
      • 気候変動の影響で、施設の能力を上回る豪雨が頻発するようになったことを背景に、国が推進している新しい治水のコンセプト。具体的には、雨水を一時的に貯める田んぼダム、校庭貯留、浸透ますの設置や、ハザードマップによる危険区域からの移転促進、避難体制の強化など、多岐にわたる対策が含まれる。
    留保(りゅうほ)
    • 意味
      • 条約を締結する際に、国が、その条約の一部の条項の効力を、自国に対しては適用しない、または特定の意味に解釈する、と一方的に宣言すること。
    • 歴史・経過
      • できるだけ多くの国が条約に参加できるようにするための制度。ただし、条約の趣旨や目的に反する留保は認められない。行政(外務省など)は、条約締結の交渉において、国内法との整合性などを考慮し、留保を付すかどうかを検討する。
    旅券(パスポート)(りょけん)
    • 意味
      • 日本政府が、国外に渡航する日本国民に対して発行する、国籍及び身分を証明する公文書。渡航先の国に対して、その所持人の安全な通行と保護を要請する役割を持つ。
    • 歴史・経過
      • 旅券法に基づき、外務大臣が発行する。申請・交付の事務は、国民の利便性を考慮し、都道府県や一部の市区町村の窓口に委任されている。近年、偽変造防止のため、ICチップが搭載された電子旅券(ICパスポート)となっている。
    領収書(りょうしゅうしょ)
    • 意味
      • 代金や金銭を受け取った側が、その事実を証明するために、支払った側に対して発行する書類。「領収証」ともいう。
    • 歴史・経過
      • 行政においては、税金や手数料、使用料などを収納した際に、その証として住民に交付する。また、職員が公務で経費を支出した際には、その支出が正当なものであることを証明するために、事業者から領収書を受け取り、会計処理(精算)を行うことが義務付けられている。公金の適正な執行を確保するための基本的な証拠書類。

    ルーティンワーク(るーてぃんわーく)
    • 意味
      • 日常的に繰り返し行われる定型的な業務のこと。「定型業務」「日常業務」ともいう。
    • 歴史・経過
      • 行政の業務には、証明書の発行、データの入力、定例の報告書作成など、多くのルーティンワークが含まれる。近年、行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進において、RPA(Robotic Process Automation)などを活用して、こうしたルーティンワークを自動化し、職員が付加価値の高い非定型的な業務に集中できる環境を整えることが、業務効率化の重要な課題となっている。
    ルーブリック評価(るーぶりっくひょうか)
    • 意味
      • 学習者の到達度を評価する際に用いられる評価基準の一覧表。評価項目(観点)と、評価の尺度(レベル)を、具体的な達成状態を示す記述とともにマトリクス状に示したもの。
    • 歴史・経過
      • もとは教育分野、特に主体的な学習態度や思考力といった、客観的な数値化が難しい能力を評価する手法として開発された。行政においては、職員研修の効果測定や、市民協働事業における団体の活動評価、政策評価などに応用されることがある。評価の客観性と透明性を高め、評価者と被評価者の間で目標を共有するツールとして有効とされる。
    ルール(るーる)
    • 意味
      • 守るべき決まりや規則のこと。行政においては、法律、政令、省令、条例、規則といった法規から、組織内部の事務処理規程、要綱、マニュアルまで、あらゆる階層の規範を包含する広範な概念。
    • 歴史・経過
      • 行政活動は、全てがルールに基づいて行われる(法律による行政の原理)。ルールは、行政運営の公平性、安定性、予測可能性を担保する一方で、社会経済情勢の変化に合わなくなった場合には、形骸化したり、非効率の原因となったりすることもある。そのため、不断の見直し(規制緩和など)が求められる。
    ルール形成(るーるけいせい)
    • 意味
      • 新たな技術や社会課題に対応するため、関係者が関与しながら、新しい社会的なルール(法律、基準、ガイドラインなど)を戦略的に作り上げていくプロセス。
    • 歴史・経過
      • AI、ドローン、自動運転といった先端技術の分野では、技術開発のスピードに法整備が追いつかない状況が生まれている。そのため、行政が一方的にルールを定めるのではなく、技術開発を行う民間企業、研究者、利用者など多様なステークホルダーと連携し、国際標準なども見据えながら、社会に受容される実効的なルールを形成していくアプローチが重要となっている。
    ループ道路(るーぷどうろ)
    • 意味
      • 環状になっている道路のこと。「環状道路」とほぼ同義。都市の中心部を迂回する交通を分散させたり、複数の放射道路を相互に連絡させたりする機能を持つ。
    • 歴史・経過
      • 都市の交通渋滞の緩和や、効率的な物流網の形成を目的として、都市計画に基づき整備される。山間部などでは、高低差を克服するために、らせん状のループ橋が建設されることもある。都市構造の骨格をなす重要なインフラ。
    ルポルタージュ(るぽるたーじゅ)
    • 意味
      • 現地を取材し、事実を客観的に描写して報告する記録文学や記事のこと。「現地報告」と訳される。
    • 歴史・経過
      • 行政が直接作成するものではないが、ジャーナリストなどが特定の社会問題や行政の課題(例:貧困、災害被災地の状況、特定の施設の運営実態など)について深く掘り下げたルポルタージュは、社会的な関心を喚起し、新たな政策立案や行政の対応を促すきっかけとなることがある。
    ルビ(るび)
    • 意味
      • 文書において、漢字などの文字の読み方を示すために、その文字の脇に添えられる小さな振り仮名のこと。
    • 歴史・経過
      • 行政が作成する公文書や広報物において、難しい地名や人名、専門用語などにルビを振ることは、子どもや、日本語を母語としない外国人、障害のある人など、多様な人々に対する情報保障(アクセシビリティ)の観点から重要。ユニバーサルデザインの原則に基づき、分かりやすい情報提供を行うための基本的な配慮の一つ。
    累減税(るいげんぜい)
    • 意味
      • 課税対象となる金額(所得や消費額)が大きくなるほど、税率が低くなる税金のこと。「逆進税」ともいう。
    • 歴史・経過
      • 高所得者よりも低所得者の方が、所得に占める税負担の割合が重くなるため、公平性の観点から、近代国家の税制では原則として採用されない。ただし、消費税は、所得にかかわらず同じ税率が適用されるため、結果として低所得者ほど負担感が重くなる「逆進性」の問題が指摘されている。
    累計(るいけい)
    • 意味
      • ある時点までの数値を、次々と加算していくこと。また、その合計値。「累積合計」ともいう。
    • 歴史・経過
      • 行政においては、予算の執行状況、事業の進捗状況、感染症の陽性者数、災害による被害者数など、様々な統計データで累計値が用いられる。特定の期間だけの数値だけでなく、開始からの全体像や、時間的な推移を把握するために重要な指標。
    類型(るいけい)
    • 意味
      • 共通する特徴や性質に基づいて、対象を分類した際の、それぞれのグループ(型)のこと。「カテゴリ」「タイプ」とほぼ同義。
    • 歴史・経過
      • 複雑な事象を理解し、整理するために、行政の様々な分野で類型化が用いられる。例えば、地方公共団体を人口規模や産業構造によって類型化して財政状況を比較したり、相談事例を内容によって類型化して対応方針を標準化したり、といった活用がされる。
    累進課税(るいしんかぜい)
    • 意味
      • 課税標準(所得など)が大きくなるにつれて、より高い税率が適用される課税方式。高所得者ほど多くの税金を負担することになり、所得の再分配機能を持つ。
    • 歴史・経過
      • 税負担の公平(応能負担の原則)を実現するための主要な仕組み。日本の所得税や相続税は、この累進課税方式を採用している。課税所得が一定額を超えると、その超過分に対して、より高い税率が段階的に適用される(超過累進税率)。
    類焼防止(るいしょうぼうし)
    • 意味
      • 火災が発生した際に、隣接する建物などに火が燃え移る(類焼する)のを防ぐこと。都市部における防火・防災の基本。
    • 歴史・経過
      • 消防の活動としては、火元建物の消火だけでなく、延焼の危険がある周囲の建物への放水による類焼防止活動が極めて重要。また、都市計画や建築行政においては、建築基準法に基づき、防火地域・準防火地域を指定し、建物の構造(耐火建築物、準耐火建築物)や、外壁、屋根の性能を規制することで、市街地全体の類焼防止を図っている。
    類推適用(るいすいてきよう)
    • 意味
      • ある事柄について、直接それを規律する法律の条文がない場合に、その事柄とよく似た別の事柄を規律する条文の趣旨を当てはめて、解釈・適用すること。
    • 歴史・経過
      • 法の解釈技術の一つ。社会の変化に法律が追いつかない場合などに、法の空白を埋めるために用いられる。ただし、国民の権利を侵害する可能性があるため、行政法や、特に罪刑法定主義が厳格に適用される刑法の分野では、類推適用は慎重であるべき、または禁止されると考えられている。
    留守家庭児童会(るすかていじどうかい)
    • 意味
      • 保護者が就労などにより昼間家庭にいない、主に小学生の子どもに対して、放課後や学校休業日に、遊びや生活の場を提供し、その健全な育成を図る事業。一般的に「学童保育」「放課後児童クラブ」と呼ばれる。
    • 歴史・経過
      • 児童福祉法に基づく事業で、市区町村が主体となって実施する。女性の社会進出や核家族化を背景にニーズが急増し、待機児童の解消や、職員の質の確保、施設の整備などが長年の課題となっている。近年、「小1の壁」問題の解決に向けた重要な施策として、その拡充が進められている。

    レアメタル(れあめたる)
    • 意味
      • 地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由で抽出が困難な非鉄金属の総称。「希少金属」ともいう。ハイテク製品の製造に不可欠なものが多く、国家の産業競争力や経済安全保障を左右する重要な戦略資源。
    • 歴史・経過
      • リチウム、チタン、タングステンなどが含まれる。産出地が特定の国に偏在しているため、安定確保が国家的な課題。経済産業省(資源エネルギー庁)は、海外の資源権益の確保、備蓄制度の運用、代替材料の開発支援、リサイクル技術の促進など、総合的な確保戦略を進めている。
    レイオフ(れいおふ)
    • 意味
      • 企業の業績悪化などを理由に、将来的な再雇用を前提として、従業員を一時的に解雇すること。日本では、法制度の違いから、アメリカのような形でのレイオフは一般的ではない。
    • 歴史・経過
      • 日本の労働法制では、解雇には厳格な要件(客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性)が必要とされるため、安易なレイオフはできない。行政(ハローワークなど)においては、景気悪化時に、事業主が解雇ではなく、休業や教育訓練で雇用を維持した場合に支援する「雇用調整助成金」制度があり、これが実質的にレイオフを防ぐ役割を担っている。
    レインボー施策(れいんぼーしさく)
    • 意味
      • 性的少数者(LGBTQ+)の人権を尊重し、その尊厳が守られる社会を目指すための、行政による各種の取り組みの総称。虹(レインボー)が、性的少数者の尊厳と社会運動の象徴として世界的に使われていることに由来する。
    • 歴史・経過
      • 2010年代以降、社会の関心の高まりとともに、全国の自治体で取り組みが広がった。同性カップルを公的に承認する「パートナーシップ宣誓制度」の導入が代表的。その他、職員や教員向けの研修、相談窓口の設置、公共施設の多目的トイレの整備、イベントの開催や後援などが行われている。
    レガシー(れがしー)
    • 意味
      • 過去から受け継いだ遺産や遺物のこと。行政分野では、オリンピック・パラリンピックなどの大規模な国際イベントを契機に整備された競技施設やインフラ、あるいは、その開催によって生まれた知名度の向上、共生社会の理念といった、有形・無形のプラスの遺産を指すことが多い。
    • 歴史・経過
      • イベント開催の意義を、期間中だけでなく、開催後も持続させるための重要な概念。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会においても、大会前からレガシーの創出が目標として掲げられ、大会後も、施設の有効活用や、ボランティア文化の定着、バリアフリーの推進といった取り組みが続けられている。
    レクリエーション(れくりえーしょん)
    • 意味
      • 仕事や勉強などの合間に、心身の疲労を回復させ、楽しむための活動。スポーツ、文化活動、野外活動、旅行など、内容は多岐にわたる。
    • 歴史・経過
      • 行政は、住民の健康増進や、生きがいづくり、地域コミュニティの活性化などを目的として、レクリエーション活動を支援する。具体的には、体育館や公民館、キャンプ場といった公的施設の提供、スポーツ・文化団体の活動支援、各種イベントの開催などを行っている。
    レジリエンス(れじりえんす)
    • 意味
      • もとは物理学で「弾力」「回復力」を意味する言葉。転じて、災害や危機などの大きな外的ショックに対して、しなやかに対応し、迅速に回復する能力や強靭さを指す。
    • 歴史・経過
      • 東日本大震災の教訓などから、防災・減災や国土強靱化の分野で中心的な概念となった。単に施設を頑丈にする(ハード対策)だけでなく、社会システムや地域コミュニティが、被害を受けても機能を維持し、早期に立ち直る力(ソフト対策)を高めることが重視される。「国土強靱化基本計画」に基づき、国と地方が一体となって取り組みを進めている。
    レジ袋有料化(れじぶくろゆうりょうか)
    • 意味
      • 小売店で商品を購入した際に提供される、プラスチック製の買物袋(レジ袋)を有料にすること。
    • 歴史・経過
      • 海洋プラスチックごみ問題や、地球温暖化対策の観点から、プラスチックの過剰な使用を抑制し、消費者のライフスタイル変革を促すことを目的とする。容器包装リサイクル法に基づく省令が改正され、2020年(令和2年)7月1日から、全国の小売店で一斉に有料化が義務付けられた。
    レセプト(れせぷと)
    • 意味
      • 医療機関が、公的医療保険の保険者(市町村国保や健康保険組合など)に対して、患者に提供した診療行為の報酬を請求するために提出する明細書。「診療報酬明細書」が正式名称。
    • 歴史・経過
      • 患者の氏名、傷病名、行われた検査、投薬、手術などの内容が点数化されて記載されている。保険者は、審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金など)を通じて、このレセプトの内容が保険診療のルールに適合しているかを審査した上で、医療機関に診療報酬を支払う。日本の医療保険制度の根幹をなす仕組み。
    レファレンスサービス(れふあれんすさーびす)
    • 意味
      • 図書館において、利用者が求める情報や資料を探す手助けをするサービス。「調査相談業務」ともいう。司書が、利用者の質問に応じて、適切な文献やデータベースを案内したり、情報そのものを提供したりする。
    • 歴史・経過
      • 図書館の最も専門的なサービスの一つ。単に本の場所を案内するだけでなく、特定の事柄について調べるための方法や、信頼できる情報源を提示する。近年は、地域の歴史や行政資料に関する問い合わせ、ビジネス支援、法律相談など、より高度で専門的なレファレンスへの対応も求められている。
    レビュー(れびゅー)
    • 意味
      • 「再検討」「見直し」「評価」のこと。行政においては、実施した政策や事業の効果、効率性、妥当性などを、客観的な視点から検証し、その後の改善や継続・廃止の判断につなげる行為を指す。
    • 歴史・経過
      • 政策評価や行政事業レビュー(公開の場での事業内容の検証)などで用いられる。計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)というPDCAサイクルにおける「C」の中核をなすプロセス。外部の専門家や市民の視点を取り入れて、客観性を高める工夫がなされる。
    レンタサイクル(れんたさいくる)
    • 意味
      • 有料で自転車を貸し出すサービス。観光地での周遊や、市民の日常的な短距離移動の手段として、多くの自治体で導入・支援されている。
    • 歴史・経過
      • 近年、ICTを活用し、複数の拠点(サイクルポート)で自由に貸出・返却ができる「コミュニティサイクル」や「シェアサイクル」と呼ばれるシステムが主流となっている。環境負荷の低減、交通渋滞の緩和、健康増進、観光振興といった、多様な政策目的の実現に貢献する交通手段として注目されている。
    例外規定(れいがいきてい)
    • 意味
      • 法律や条例において、原則的なルール(本則)に対する、特別な場合(例外)の取り扱いを定めた条文のこと。
    • 歴史・経過
      • 通常、「ただし、~の場合は、この限りでない。」といった「ただし書」や、「第〇条の規定にかかわらず、~」といった形で規定される。原則を厳格に適用すると、かえって不合理な結果が生じる場合や、特別な配慮が必要な場合に対応するために設けられる。例外が多すぎると、原則が形骸化するおそれもあるため、その適用範囲は限定的・明確に定められる。
    例規(れいき)
    • 意味
      • 「条例」と「規則」を合わせた言葉。地方公共団体が制定する法(自主法)の総称として使われる。
    • 歴史・経過
      • 地方自治法上、条例は、議会の議決を経て制定され、住民の権利義務に関わる事項などを定める。規則は、首長がその権限内で制定し、主に行政内部の事務執行に関する事項などを定める。これらは、自治体運営の基本となるルールである。
    例規集(れいきしゅう)
    • 意味
      • ある地方公共団体が制定した、現行の全ての条例、規則、要綱などを、体系的に分類・整理してまとめた書物やデータベース。
    • 歴史・経過
      • 自治体職員が、日々の業務を遂行する上で、根拠となる法令を確認するための必須のツール。住民や事業者にとっても、その自治体のルールを知るための重要な情報源となる。従来は分厚い加除式の冊子が一般的だったが、近年は、インターネット上で誰もが検索・閲覧できる、オンラインの例規集システムが主流となっている。
    霊園(れいえん)
    • 意味
      • 墓地、埋葬等に関する法律に基づき、都道府県知事の許可を受けて設置される、墓地の一形態。特に、公園のように、明るく開放的な雰囲気で整備された大規模な墓地を指すことが多い。
    • 歴史・経過
      • 自治体が設置・運営する「公営霊園」と、宗教法人や公益法人が運営する「民営霊園」がある。都市部への人口集中や、核家族化により、墓地の需要は高まっているが、新たな設置は、近隣住民の理解を得るのが難しい場合も多い。近年は、承継者のいない人向けの合葬墓や、樹木葬など、多様なニーズに対応した霊園が増えている。
    令状(れいじょう)
    • 意味
      • 裁判官または裁判所が発する、個人の権利や自由を制限する、特定の強制処分を許可する書面。逮捕状、勾留状、捜索差押許可状などがある。
    • 歴史・経過
      • 日本国憲法が定める「令状主義」の根幹をなすもの。権力分立の観点から、捜査機関(警察・検察といった行政権)による恣意的な強制処分を防ぎ、人権を保障するため、中立的な司法機関(裁判所)による事前のチェックを必要とする制度。
    令和(れいわ)
    • 意味
      • 日本の現在の元号。2019年(平成31年)5月1日に、皇太子徳仁親王の天皇即位に伴い改元された。
    • 歴史・経過
      • 出典は、日本の古典である『万葉集』。行政においては、公文書の作成日付は、元号法に基づき、元号で表記するのが原則となっている。改元に伴い、全ての情報システムで新元号への対応が必要となり、全国の行政機関で大規模なシステム改修が行われた。
    歴史的風致維持向上計画(れきしてきふうちいじこうじょうけいかく)
    • 意味
      • 「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」(通称:歴史まちづくり法)に基づき、市町村が作成する計画。城下町、門前町、宿場町などで、歴史的な建造物と、地域の伝統的な活動(祭りなど)が一体となって醸し出す、固有の情緒やたたずまい(歴史的風致)を、後世に継承するためのまちづくりの計画。
    • 歴史・経過
      • 2008年(平成20年)に法律が施行された。計画が国の認定を受けると、各種の補助事業や規制緩和などの支援措置を受けることができる。文化財の「点」での保存だけでなく、歴史的な町並みや景観を「面」として、地域住民の生活や文化と一体的に保存・活用していくことを目指す。
    レッドリスト(れっどりとす)
    • 意味
      • 絶滅のおそれのある野生生物の種をリストアップしたもの。国際的にはIUCN(国際自然保護連合)、国内では環境省や都道府県などが、それぞれ独自のレッドリストを作成・公表している。
    • 歴史・経過
      • 生物多様性の保全政策の基礎となる重要な情報。科学的な評価に基づいて、絶滅の危険度に応じて「絶滅」「絶滅危惧」「準絶滅危惧」などのカテゴリに分類される。レッドリストに掲載されること自体に法的な拘束力はないが、希少野生動植物種の保存に関する法律(種の保存法)の対象種を選定する際などに活用される。
    劣後ローン(れつごろーん)
    • 意味
      • 債務者が経営破綻した場合の、元本と利子の返済順位が、他の通常の債務(一般の借入金など)よりも後回し(劣後)にされる特約が付いたローンのこと。
    • 歴史・経過
      • 借り手にとっては、返済順位が低いため、金融機関の自己査定において、負債でありながら自己資本に準ずるものとして扱われることがある。そのため、国や政府系金融機関が、災害や経済危機で財務内容が悪化した中小企業などに対して、資本増強を支援する目的で、この劣後ローンを供給することがある。
    連記式投票(れんきしきとうひょう)
    • 意味
      • 一人の選挙人が、複数の候補者の氏名、または複数の政党名を投票用紙に記載して投票する方式。
    • 歴史・経過
      • 日本の公職選挙では、原則として、一人の候補者または一つの政党名のみを記載する「単記式投票」が採用されているため、この方式は用いられていない。ただし、一部の団体における役員選挙などで見られることがある。選挙制度を議論する際の、投票方式の類型の一つ。
    連結実質赤字比率(れんけつじっしつあかじひりつ)
    • 意味
      • 地方公共団体の財政の健全性を示す指標の一つ。一般会計だけでなく、公営企業会計(水道、下水道など)や、関係する一部事務組合、広域連合などの赤字・黒字を全て合算(連結)し、自治体全体の資金不足の度合いを、財政規模に対する割合で示したもの。
    • 歴史・経過
      • 2007年(平成19年)に制定された「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(地方財政健全化法)で導入された。この比率が、国が定める早期健全化基準以上になると、議会の議決による「財政健全化計画」の策定が義務付けられる。
    連合審査会(れんごうしんさかい)
    • 意味
      • 議会において、一つの議案が複数の常任委員会に関係する場合に、関係する委員会の委員が合同で、一つの審査会を開いて審査を行う制度。
    • 歴史・経過
      • 地方自治法に定められている。例えば、特定の地域の再開発に関する条例案が、建設委員会と総務委員会の両方に関係する場合などに開かれる。これにより、複数の委員会で重複した議論を避け、効率的で多角的な審査が可能となる。
    連合体(れんごうたい)
    • 意味
      • 複数の個人や団体が、共通の目的のために連合して結成した組織のこと。「コンソーシアム」や「企業共同体(JV:ジョイントベンチャー)」も連合体の一種。
    • 歴史・経過
      • 行政の分野では、大規模な公共事業の入札に、複数の建設会社が企業共同体を組んで参加したり、指定管理者制度の応募に、複数の企業やNPOが連合体を組んで応募したりするケースがある。個々の団体では対応できない大規模・複雑な事業に、それぞれの強みを持ち寄って対応することができる。
    連絡調整会議(れんらくちょうせいかいぎ)
    • 意味
      • 複数の部局や機関にまたがる課題について、関係者が一堂に会し、情報共有、意見交換、相互の連携・協力体制の確認、業務の調整などを行うための会議。
    • 歴史・経過
      • 縦割り行政の弊害をなくし、円滑な行政運営を行うための基本的な手法。庁内の部局間だけでなく、国、都道府県、市町村、あるいは警察、消防、民間団体など、外部の機関と合同で開催されることも多い。災害対策本部会議などがその典型例。
    連続立体交差事業(れんぞくりったいこうさじぎょう)
    • 意味
      • 市街地において、一定の区間の鉄道を高架化または地下化することにより、多数の踏切を一度に解消し、道路と鉄道を立体的に交差させる大規模な都市計画事業。
    • 歴史・経過
      • 踏切による交通渋滞(特に「開かずの踏切」)や、踏切事故を抜本的に解消することを目的とする。また、鉄道によって分断されていた市街地を一体化させ、駅周辺の再開発を促進する効果も大きい。事業費が巨額で、工事期間も長期にわたるため、国、自治体、鉄道事業者が連携して進める。
    連番(れんばん)
    • 意味
      • 「連続番号」の略。1, 2, 3… のように、連続して続く番号のこと。
    • 歴史・経過
      • 行政においては、文書管理(文書収発番号)、許認可の管理番号、住民票コードなど、個々の案件や対象を識別し、管理するために、連番が広く用いられる。一意性(ユニークであること)と網羅性を確保するための基本的な管理手法。
    連帯債務(れんたいさいむ)
    • 意味
      • 一つの債務について、複数の債務者が、それぞれ独立して、全額の返済義務を負う形態の債務。債権者は、いずれかの連帯債務者に対して、全額の支払いを請求することができる。
    • 歴史・経過
      • 民法に定められている。行政との関係では、夫婦や親子が、共同で自治体の奨学金や公営住宅の家賃などの債務を負う場合に、この形式がとられることがある。通常の「分割債務」よりも、債権者(行政側)にとっては、債権の回収が確実になるという利点がある。
    連帯保証(れんたいほしょう)
    • 意味
      • 保証人が、主たる債務者と連帯して、債務の返済を保証すること。通常の保証とは異なり、連帯保証人は、債権者から請求があった場合、「まず主たる債務者に請求してほしい」と主張したり、「まず主たる債務者の財産から差し押さえてほしい」と主張したりすることができない。
    • 歴史・経過
      • 債権者にとっては極めて強力な保証であり、日本の金融機関の融資や、不動産の賃貸借契約で広く利用されてきた。行政が関わる貸付制度などでも用いられることがあるが、保証人に過酷な結果をもたらす可能性があるため、その契約には慎重さが求められる。2020年の民法改正で、個人の根保証契約に関するルールが厳格化された。
    連携(れんけい)
    • 意味
      • 異なる組織や個人が、共通の目的のために、互いに連絡を取り合い、協力して物事を進めること。「協働」「協力」と類似する。
    • 歴史・経過
      • 現代の行政運営における最重要キーワードの一つ。複雑化する社会課題に対応するため、庁内の部局間連携(横連携)、国・都道府県・市町村間の連携(縦連携)、行政・民間企業・NPO・大学・地域住民などとの連携(官民連携、産学官連携)など、あらゆるレベルでの連携強化が不可欠となっている。
    連携中枢都市圏構想(れんけいちゅうすうとしけんこうそう)
    • 意味
      • 人口減少・少子高齢化社会においても、地域の活力を維持するため、地方において、相当の規模と中核性を持つ都市(連携中枢都市)が、近隣の市町村と連携し、一つの経済・生活圏(連携中枢都市圏)を形成しようとする、国の政策構想。
    • 歴史・経過
      • 総務省が推進しており、2014年度から本格的に開始された。連携中枢都市が、圏域全体の経済を牽引する役割や、高次の都市機能(高度な医療、商業、文化施設など)を集約する役割を担い、近隣市町村と連携して、住民サービスを効率的に提供することを目指す。
    暦年(れきねん)
    • 意味
      • 1月1日から12月31日までの一年間のこと。「カレンダー年」ともいう。行政の「会計年度」(4月1日~翌年3月31日)とは区別される。
    • 歴史・経過
      • 行政の業務において、どちらの期間を基準とするかは、制度によって異なる。例えば、所得税や贈与税の課税期間は暦年が単位となる。一方、地方税である個人住民税は、前年の暦年(1月~12月)の所得に基づいて、翌年度(6月~)に課税されるなど、会計年度と暦年が複雑に関係している。
    レコメンデーション(れこめんでーしょん)
    • 意味
      • 「推薦」「勧告」のこと。IT分野では、個人の閲覧履歴や購買履歴を分析し、その人の興味や関心に合いそうな情報や商品を、システムが自動的に提示する機能を指すことが多い。
    • 歴史・経過
      • 行政のウェブサイトやオンラインサービスにおいても、利用者の利便性を高めるため、このレコメンデーション技術の活用が検討されている。例えば、子育て中の利用者に、関連する手当の申請手続きや、イベント情報を自動的に表示するといった「プッシュ型」の行政サービスへの応用が期待されている。
    レスポンス(れすぽんす)
    • 意味
      • 「応答」「反応」「返答」のこと。行政においては、住民からの問い合わせや相談、あるいは災害などの緊急事態に対して、いかに迅速かつ的確に対応できるか、という観点で使われる。
    • 歴史・経過
      • 行政サービスの質を評価する上での重要な指標。特に、SNSの普及により、情報拡散のスピードが速まった現代では、不祥事や批判に対する行政のレスポンスの速さや内容が、組織の信頼性を大きく左右する(危機管理広報)。
    レベル分け(れべるわけ)
    • 意味
      • 対象となる人や物事を、その能力、程度、緊急性、重要度などに応じて、段階的に分類すること。
    • 歴史・経過
      • 行政の様々な場面で、効率的できめ細かな対応を行うために用いられる手法。例えば、語学講座を初級・中級・上級にレベル分けしたり、災害時の避難情報を警戒レベル1~5に分けたり、要介護度を状態に応じてレベル分けしたり、といった活用がされる。

    ロケーションサービス(ろけーしょんさーびす)
    • 意味
      • 映画、テレビドラマ、CMなどの撮影(ロケーション)を円滑に進めるための支援サービス。自治体やその外郭団体が「フィルムコミッション」として、撮影場所の紹介、許認可手続きの協力、エキストラの手配などを行う。
    • 歴史・経過
      • 1990年代後半から、地域振興や観光誘致の新たな手法として、全国の自治体でフィルムコミッションの設立が相次いだ。撮影を通じて地域の魅力を映像作品として発信してもらうことで、知名度の向上や、ロケ地を訪れる観光客(聖地巡礼)の増加といった経済効果を目的とする。
    ロジスティクス(ろじすてぃくす)
    • 意味
      • もとは軍事用語で「兵站」を意味する。転じて、物資の調達、生産、保管、輸送、販売といった一連の流れを、需要と供給に合わせて最適化し、効率的に管理すること。
    • 歴史・経過
      • 行政分野では、特に災害時における支援物資の管理・輸送が重要な課題。東日本大震災など大規模災害の教訓から、国や自治体は、民間事業者(物流の専門家)と協定を結び、必要な物資を、必要な場所に、必要な量だけ、迅速かつ確実に届けるためのロジスティクス体制の構築を進めている。
    ロジックモデル(ろじっくもでる)
    • 意味
      • 政策や事業が、どのようなプロセス(ロジック)を経て、最終的な成果を生み出すのかを、投入(Input)→活動(Activity)→産出(Output)→成果(Outcome)の因果関係で体系的に図式化したもの。
    • 歴史・経過
      • 政策評価の手法として、欧米で開発され、日本の行政機関でも導入が進んでいる。事業の目的と手段の関係を「見える化」することで、関係者間の共通理解を促し、計画の妥当性を検証したり、評価のポイントを明確にしたりするのに役立つ。EBPM(証拠に基づく政策立案)を推進するための有効なツールとされる。
    路線価(ろせんか)
    • 意味
      • 主要な道路(路線)に面した標準的な宅地の、1平方メートル当たりの土地評価額のこと。相続税や贈与税を算定する際の基準となる「相続税路線価」と、固定資産税などを算定する際の基準となる「固定資産税路線価」の2種類がある。
    • 歴史・経過
      • 相続税路線価は国税庁が、固定資産税路線価は市町村が、それぞれ土地の公的価格(地価公示価格など)を基に算定し、毎年公表する。土地に関する税金の公平性を確保するための、課税の根幹をなす評価基準である。
    路上喫煙禁止条例(ろじょうきつえんきんしじょうれい)
    • 意味
      • 道路、公園など、屋外の公共の場所での喫煙を禁止または制限するために、地方自治体が制定する条例のこと。
    • 歴史・経過
      • 2002年(平成14年)に東京都千代田区が、罰則付きの条例を全国で初めて制定したのが画期的であった。受動喫煙による健康被害の防止、火災の危険防止、ポイ捨てによる環境美化などを目的として、全国の自治体に広がった。特定の「禁止地区」を設ける方式や、罰則(過料)を科す方式など、内容は自治体によって様々である。
    露店(ろてん)
    • 意味
      • 道路や広場などで、屋台や簡易な店舗を設けて、物品の販売や飲食物の提供を行う店。祭礼やイベントなどに伴って一時的に出店するものが多い。
    • 歴史・経過
      • 行政の関わりとしては、①食品を提供する場合には、食中毒防止の観点から、食品衛生法に基づく営業許可(保健所の役割)が必要となる。②道路上で営業する場合には、道路交通の安全を確保するため、道路法上の道路占用許可や、警察署長の道路使用許可が必要となる。
    ロット(ろっと)
    • 意味
      • 製造や販売、輸送などを行う際の、ひとまとまりの単位(生産ロット、出荷ロットなど)。
    • 歴史・経過
      • 行政においては、物品の購入契約などで使われることがある。例えば、大量の物品を調達する際に、中小企業の受注機会を確保するため、全体をいくつかのロットに分割して、ロットごとに入札を行う「分割発注」といった手法がとられることがある。
    ロビー活動(ロビイング)(ろびーかつどう(ろびいんぐ))
    • 意味
      • 特定の団体(業界団体、NPO、労働組合など)が、自らの利益や主張を実現するために、議会や行政機関に対して、面会や陳情、情報提供といった働きかけを行う活動のこと。
    • 歴史・経過
      • もとは、議員と面会するために議会のロビーで待っていたことに由来する。多様な民意を政策決定プロセスに反映させるという、民主主義における正当な活動であるが、特定の利益団体の影響力が過度に強まると、政策が歪められる危険性も指摘される。日本では、米国のような厳格なロビイスト登録制度はない。
    ログ管理(ろぐかんり)
    • 意味
      • コンピュータシステムやネットワーク機器の操作履歴(ログ)を、記録・保管し、監視・分析すること。
    • 歴史・経過
      • 行政機関が保有する情報システムにおいて、セキュリティを確保するための根幹的な業務。不正アクセスや情報漏えいが発生した際に、その原因を追跡し、証拠を確保するために不可欠。また、個人情報保護の観点からも、誰が、いつ、どの情報にアクセスしたかを記録・管理することが、条例などで義務付けられている。
    六次産業化(ろくじさんぎょうか)
    • 意味
      • 農業・漁業などの第一次産業の事業者が、食品加工(第二次産業)や、流通・販売、観光農園(第三次産業)などにも一体的に取り組み、経営の多角化と付加価値の向上を図ること。産業の分類番号(1×2×3=6)を掛け合わせた造語。
    • 歴史・経過
      • 農林漁業者の所得向上と、地域の雇用創出を目指す、国の重要な農山漁村振興政策。2010年(平成22年)に「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」(六次産業化・地産地消法)が制定され、国や自治体は、事業計画の認定や、補助金、専門家派遣などを通じて、その取り組みを支援している。
    六法(ろっぽう)
    • 意味
      • 日本の法体系の根幹をなす、主要な6つの法典のこと。一般的に、憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法を指す。
    • 歴史・経過
      • これら六法は、行政職員(特に法規担当や訟務担当)にとって、日々の業務を遂行する上で、解釈・運用の基礎となる必須の知識。公務員試験においても、主要な試験科目となっている。
    ロックアウト(ろっくあうと)
    • 意味
      • 労働争議において、使用者(会社側)が、労働組合側のストライキなどに対抗して、事業所を閉鎖し、労働者の就労を拒否する争議行為のこと。
    • 歴史・経過
      • 使用者側の対抗手段として、労働組合法で認められている。ただし、公務員については、ストライキなどの争議行為が原則として禁止されているため、これに対抗するロックアウトも、通常は問題とならない。労働法制における重要な概念の一つ。
    路面表示(ろめんひょうじ)
    • 意味
      • 道路の路面に、塗料や石などによって描かれた、線、記号、文字のこと。交通の安全と円滑を図るために、特定の交通方法を指定または指示するもの。道路標識の一種。
    • 歴史・経過
      • 道路交通法および道路標識、区画線及び道路標示に関する命令に基づき、公安委員会(警察)または道路管理者が設置する。横断歩道、停止線、車線(中央線、車線境界線)、速度表示、進行方向別通行区分、近年では自転車ナビマークなど、様々な種類がある。
    ロードプライシング(ろーどぷらいしんぐ)
    • 意味
      • 道路の特定の区間や、特定の時間帯について、通行料金を課したり、料金を変動させたりすることで、交通量を抑制・調整する交通需要マネジメント(TDM)の手法。
    • 歴史・経過
      • 都市部の交通渋滞の緩和や、環境負荷の低減を目的として、ロンドンやシンガポールなどで導入されている。日本では、首都高速道路の都心部の料金を高く設定するなどの形で、一部導入されている。公平性の確保や、社会的な合意形成が導入の課題となる。
    ロードマップ(ろーどまっぷ)
    • 意味
      • ある目標を達成するための、将来にわたる具体的な道筋、手順、スケジュールなどを、時系列で分かりやすく示した計画表や工程表のこと。
    • 歴史・経過
      • もとはIT業界などで使われた言葉だが、行政においても、長期的な計画や大規模なプロジェクトの全体像を、住民や関係者に分かりやすく示すために活用される。「〇〇推進ロードマップ」といった形で、政策の目標達成までの道筋を示すために策定される。
    ローテーション人事(ろーてーしょんじんじ)
    • 意味
      • 職員の能力開発や、組織の活性化、不正の防止などを目的として、定期的(通常2~3年ごと)に職員の配置転換(異動)を行う人事制度。
    • 歴史・経過
      • 日本の行政機関で広く採用されている人事慣行。職員は、多様な部署を経験することで、幅広い知識や視野を身に付け、将来の幹部候補として育成される(ゼネラリスト育成)。一方で、専門性が育ちにくい、業務の継続性が損なわれる、といった弊害も指摘されており、近年は、専門職制度の導入など、その見直しも図られている。
    ローン(ろーん)
    • 意味
      • 金銭の貸付、またはその借入金のこと。行政においては、住民の生活や事業を支援するため、国や自治体が直接または間接的に、低利のローン(貸付金)制度を設けている。
    • 歴史・経過
      • 具体例として、日本政策金融公庫による教育ローンや事業者ローン、自治体と金融機関が協調して行う中小企業向けの制度融資、社会福祉協議会による生活福祉資金貸付制度などがある。これらは、民間のローンを借りにくい人々に対する、セーフティネットとしての役割を持つ。
    ローカル・ガバナンス(ろーかる・がばなんす)
    • 意味
      • 地域の課題解決や行政運営を、行政(地方政府)だけでなく、住民、NPO、企業、大学といった、地域社会の多様な主体が、連携・協働しながら担っていく仕組みやあり方のこと。「地域の協治」と訳される。
    • 歴史・経過
      • 従来の、行政が一方的にサービスを提供する「ガバメント(統治)」から、多様な主体が対等なパートナーとして参画する「ガバナンス(協治)」への転換が、地方分権改革以降の大きな潮流となっている。地域課題が複雑化する中で、行政だけでは解決できない問題に対応するための、新しい公共経営のモデル。
    ロールモデル(ろーるもでる)
    • 意味
      • 自分自身の行動やキャリアを考える上で、模範や手本となる人物のこと。
    • 歴史・経過
      • 行政においては、女性の活躍推進や、若手職員の育成、あるいは移住促進などの分野で、この概念が活用される。例えば、管理職として活躍する女性職員をロールモデルとして紹介し、後輩のキャリア意識の向上を図ったり、地域でいきいきと活動する移住者をロールモデルとしてPRし、移住希望者を増やしたり、といった取り組みが行われる。
    ロールプレイング研修(ろーるぷれいんぐけんしゅう)
    • 意味
      • 現実の業務で起こりうる様々な場面を想定し、参加者がそれぞれの役割(役)を演じることで、実践的なスキルや対応方法を学ぶ研修手法。「ロープレ」と略される。
    • 歴史・経過
      • 行政の職員研修において、窓口でのクレーム対応、部下への指導、住民説明会の進行、災害時の応対など、知識だけでなく、コミュニケーション能力や対人スキルが求められる場面の訓練として、広く導入されている。体験を通じて、自身の課題に気づき、具体的な改善につなげやすいという利点がある。
    論拠(ろんきょ)
    • 意味
      • 議論や主張の根拠となる、事実や理由のこと。
    • 歴史・経過
      • 行政が政策を立案し、住民や議会に説明する際には、その政策の必要性や妥当性を示す、客観的で説得力のある論拠が不可欠。統計データ、過去の事例、専門家の知見、関連法令などが論拠として用いられる。EBPM(証拠に基づく政策立案)は、この論拠の質を重視する考え方である。
    論点整理(ろんてんせいり)
    • 意味
      • ある課題について、審議や検討を行う際に、何が問題で、どこに意見の対立があり、何を決定する必要があるのか、といった主要な争点(論点)を明確にし、整理すること。
    • 歴史・経過
      • 審議会や検討会、あるいは議会での議論を、効率的かつ建設的に進めるための重要なプロセス。論点が整理されないまま議論を始めると、話が発散したり、本質的でない部分に時間が費やされたりする。通常、議論の前に、事務局である行政が、たたき台として論点整理の資料を作成・提示する。
    労働安全衛生法(ろうどうあんぜんえいせいほう)
    • 意味
      • 職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進することを目的とした法律。「安衛法」と略される。
    • 歴史・経過
      • 労働基準法から分離独立する形で、1972年(昭和47年)に制定された。事業者に対して、職場の危険防止措置、安全衛生教育の実施、健康診断の実施、ストレスチェックの実施などを義務付けている。労働基準監督署が、この法律の遵守状況について、事業場への立入検査などの監督指導を行う。
    労働基準監督署(ろうどうきじゅんかんとくしょ)
    • 意味
      • 労働基準法、労働安全衛生法などの労働関係法令に基づき、事業場への立入検査(臨検監督)、法違反の是正指導、申告・相談対応、労災保険の給付などを行う、国の第一線機関。厚生労働省の出先機関であり、「労基署(ろうきしょ)」と略される。
    • 歴史・経過
      • 労働者の権利を守るための重要な行政機関。賃金不払いや、違法な長時間労働、職場の安全管理の不備など、法律違反が疑われる場合に、司法警察権を持つ労働基準監督官が調査を行い、是正勧告や、悪質な場合には送検(検察庁への告発)を行う。
    労働組合(ろうどうくみあい)
    • 意味
      • 労働者が主体となって、自主的に、労働条件の維持・改善や、経済的地位の向上を図ることを目的として組織する団体。
    • 歴史・経過
      • 日本国憲法第28条で保障された労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)の主要な担い手。使用者(会社側)と、賃金や労働時間などについて団体交渉を行い、労働協約を結ぶ。自治体においては、職員で組織される「職員団体」が、労働組合に相当する役割を担う。
    労働三権(ろうどうさんけん)
    • 意味
      • 日本国憲法第28条で保障されている、労働者の基本的な3つの権利。「団結権」(労働組合を結成する権利)、「団体交渉権」(使用者と対等な立場で交渉する権利)、「団体行動権」(ストライキなどの争議行為を行う権利)を指す。
    • 歴史・経過
      • 個々の労働者では使用者に対して立場が弱いため、団結して交渉することで、対等な関係を確保するための権利。ただし、公務員については、その職務の公共性から、法律によって、この労働三権の一部(特に団体行動権)が制約されている。
    労働者協同組合(ワーカーズコープ)(ろうどうしゃきょうどうくみあい)
    • 意味
      • 働く人々が自ら出資し、それぞれの意見を反映して、主体的に事業を運営し、働くことを目的として設立された協同組合。
    • 歴史・経過
      • 2022年(令和4年)10月に「労働者協同組合法」が施行され、新たな法人格として法的に位置づけられた。地域における多様なニーズ(高齢者福祉、子育て支援、地域の困りごと解決など)に応え、持続可能で、働きがいのある仕事を、地域住民が自ら創り出すための新しい仕組みとして、国や自治体もその設立・活用を支援している。
    労働者派遣事業(ろうどうしゃはけんじぎょう)
    • 意味
      • 派遣元の事業者(派遣会社)が、自ら雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、派遣先のために労働に従事させることを、業として行うこと。
    • 歴史・経過
      • 「労働者派遣法」に基づき、厚生労働大臣の許可が必要。企業が、一時的・臨時的な労働力需要に対応するための柔軟な雇用形態として普及した。行政機関においても、専門的な知識や技能が必要な業務や、一時的な業務量の増大に対応するため、派遣労働者を活用することがある。
    老人福祉法(ろうじんふくしほう)
    • 意味
      • 老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もって老人の福祉を図ることを目的とした法律。
    • 歴史・経過
      • 1963年(昭和38年)に制定された、日本の高齢者福祉の基本となる法律。老人ホームへの入所措置、老人福祉計画の策定、敬老事業、老人クラブへの支援などを定めている。2000年の介護保険制度の開始により、サービスの提供は「措置」から「契約」へと大きく転換したが、経済的理由などで介護保険サービスだけでは対応できない場合のセーフティネットとして、依然として重要な役割を担っている。
    老人保健制度(ろうじんほけんせいど)
    • 意味
      • 2008年(平成20年)に「後期高齢者医療制度」が創設されるまで、日本の高齢者医療を支えていた制度。市町村が実施主体となり、75歳以上の高齢者などを対象に、医療給付を行っていた。
    • 歴史・経過
      • 1983年(昭和58年)に、高齢者の医療費を、現役世代も含めた社会全体で支える仕組みとして創設された。しかし、高齢化の進展に伴い、費用負担のあり方(世代間の公平性)や、運営責任の所在が不明確であるといった問題が指摘され、運営主体を都道府県単位の広域連合とする、独立した後期高齢者医療制度へと移行した。
    老朽化対策(ろうきゅうかたいさく)
    • 意味
      • 高度経済成長期に集中的に整備された、道路、橋りょう、トンネル、上下水道、学校、公営住宅といった、社会インフラや公共建築物の老朽化(経年劣化)が、全国的に深刻化している問題に対応するための一連の施策。
    • 歴史・経過
      • インフラの崩落事故などを未然に防ぎ、将来世代に過大な負担を残さないため、国や自治体は、アセットマネジメント(資産管理)の考え方に基づき、全ての公共施設について、中長期的な維持管理・更新計画(公共施設等総合管理計画)を策定し、計画的な点検・修繕・更新(予防保全)に取り組んでいる。
    老齢年金(ろうれいねんきん)
    • 意味
      • 公的年金制度(国民年金・厚生年金)において、原則として65歳になった時から、生涯にわたって受け取ることができる年金のこと。老後の生活を支えるための、所得保障の中核をなす。
    • 歴史・経過
      • 国民年金からは「老齢基礎年金」が、厚生年金からは「老齢厚生年金」が支給される。受給資格を得るためには、一定期間以上の保険料納付期間が必要。繰上げ受給(60歳~64歳)や、繰下げ受給(66歳~75歳)といった、受給開始時期を選択する制度もある。
    漏洩(ろうえい)
    • 意味
      • 秘密や情報などが、外部に漏れること。「漏えい」と表記されることも多い。
    • 歴史・経過
      • 行政機関が保有する、住民の個人情報や、非公開の行政情報が、職員のミスや、不正な持ち出し、サイバー攻撃などによって外部に漏洩することは、住民のプライバシーを侵害し、行政への信頼を著しく損なう重大な事案。個人情報保護法や各自治体の条例で厳格な管理が義務付けられており、漏洩事案が発生した場合には、原因究明、再発防止策の徹底、本人への通知、監督機関への報告などが求められる。

    Wi-Fi(ワイファイ)(わいふぁい)
    • 意味
      • 無線でインターネットなどに接続する技術の規格名。行政においては、住民サービス向上や、観光振興、災害時の情報伝達手段の確保などを目的に、公共施設(庁舎、図書館、駅など)や観光地、避難所などに、無料で利用できる公衆無線LAN(フリーWi-Fi)アクセスポイントの整備が進められている。
    • 歴史・経過
      • スマートフォンの急速な普及と、訪日外国人観光客の増加を背景に、2010年代から全国の自治体で整備が本格化した。総務省も、整備費用の一部を補助するなどの支援を行っている。災害発生時には、通信キャリアの電波が途絶しても、Wi-Fiを通じて安否確認や情報収集ができるため、防災インフラとしての重要性も高まっている。
    ワイズユース(わいずゆーす)
    • 意味
      • 「賢明な利用」と訳される。ラムサール条約で提唱された、湿地の生態系を維持しつつ、そこから得られる恵みを持続的に活用していくという考え方。
    • 歴史・経過
      • 単に自然を厳格に保護・保存するだけでなく、人間の生活や文化、産業との共存を図ることを目指す。例えば、湿地での伝統的な漁業や、自然観察や環境教育の場として活用(エコツーリズム)することなどが、ワイズユースの具体例。条約湿地を抱える自治体は、この理念に基づき、地域の関係者と連携して湿地の保全活用計画を策定する。
    賄賂(わいろ)(わいろ)
    • 意味
      • 公務員が、その職務に関して、特定の者から、不正な依頼や便宜を図ることの見返りとして受け取る金品などの不正な利益のこと。
    • 歴史・経過
      • 刑法上の収賄罪として、厳しい刑事罰の対象となる。公務の公正さと、それに対する国民の信頼を根底から破壊する行為であり、公務員倫理の最も重要な禁止事項。贈収賄事件の発生は、行政組織全体の信頼を失墜させる。国家公務員倫理法や各自治体の倫理条例では、未然防止のための厳しい規定が設けられている。
    ワークショップ(わーくしょっぷ)
    • 意味
      • 参加者が、主体的に議論や共同作業を行いながら、課題の発見や解決、合意形成、アイデア創出などを行う参加型の会議・研修手法。
    • 歴史・経過
      • 行政が一方的に説明する従来の説明会形式への反省から、住民参加・協働のまちづくりの手法として、1990年代以降、広く活用されるようになった。総合計画の策定、まちづくり計画の検討、防災マップの作成など、多様な場面で、住民の意見をきめ細かく引き出し、政策に反映させるために用いられる。
    ワークシェアリング(わーくしぇありんぐ)
    • 意味
      • 労働者一人当たりの労働時間を短縮し、より多くの人で仕事を分かち合うことで、全体の雇用を維持・創出しようとする考え方や制度。
    • 歴史・経過
      • 景気後退期の失業対策として、ヨーロッパなどで導入された。日本では大規模な導入例は少ないが、行政(厚生労働省)は、雇用調整助成金制度などを通じて、解雇を避けて休業などで雇用を維持する企業を支援しており、これも広義のワークシェアリングと言える。
    ワーク・ライフ・バランス(わーく・らいふ・ばらんす)
    • 意味
      • 「仕事と生活の調和」のこと。働きながら、家庭生活、子育て、介護、自己啓発、地域活動といった、仕事以外の生活も充実させることができる状態。
    • 歴史・経過
      • 少子化対策、女性の活躍推進、働き方改革の中核をなす政策課題。行政は、事業者に対して長時間労働の是正や育児・介護休業制度の普及を促すとともに、自らも率先して、職員の超過勤務縮減や休暇取得促進、テレワーク導入などの取り組みを進めている。
    ワークフローシステム(わーくふろーしすてむ)
    • 意味
      • 稟議書や各種申請書といった、組織内の書類の承認・決裁手続き(ワークフロー)を、紙ではなく、電子的に行うための情報システム。
    • 歴史・経過
      • 行政の内部事務の効率化(ペーパーレス化)と、意思決定の迅速化、内部統制の強化を目的として、多くの自治体で導入が進んでいる。システム上で、申請から承認、決裁までの流れが可視化され、進捗状況の確認や、過去の文書の検索が容易になる。
    ワーキンググループ(わーきんぐぐるーぷ)
    • 意味
      • 特定の専門的な課題について、集中的に検討や作業を行うために設置される、比較的小規模な実務者レベルの会合やチーム。審議会や本委員会の「下部組織」として設置されることが多い。
    • 歴史・経過
      • 政策の立案過程で、具体的な制度設計や技術的な論点整理などを行うために、関係省庁の担当者や、外部の専門家などで構成される。本会議で効率的に議論を進めるための、事前の調整や論点整理の場として重要な役割を担う。
    ワーケーション(わーけーしょん)
    • 意味
      • 「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語。観光地やリゾート地などで、休暇を楽しみながら、テレワークの形で仕事も行うという、新しい働き方・ライフスタイル。
    • 歴史・経過
      • 新型コロナウイルス感染症の拡大を機にテレワークが普及したことで、新たな可能性として注目された。地方自治体にとっては、都市部の企業や人材を呼び込み、交流人口や関係人口の創出、さらには移住につなげるための、地域活性化の新たな戦略として、サテライトオフィスの整備や、滞在費の補助といった誘致策が講じられている。
    ワールドカフェ(わーるどかふぇ)
    • 意味
      • カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、少人数のグループに分かれて対話を行い、メンバーを入れ替えながら、他のグループのアイデアや意見を相互に作用させて、全体の対話を深めていく、創造的な会議手法。ワークショップの手法の一つ。
    • 歴史・経過
      • 参加者全員の意見を吸い上げ、集団としての気づきや集合知を創り出すことを目的とする。行政においては、住民参加型の計画策定や、ビジョンづくりの場などで、多様な意見を抽出し、参加者間の相互理解を促進するために活用される。
    ワーストワン(わーすとわん)
    • 意味
      • 最も悪い順位、すなわち最下位のこと。
    • 歴史・経過
      • 行政分野では、都道府県別の交通事故死亡者数、あるいは刑法犯認知件数などで、不名誉な「ワーストワン」を返上することが、警察や自治体の重要な目標として掲げられることがある。県民・市民の関心を喚起し、対策への協力を呼びかけるための、象徴的な言葉として使われる。
    ワーカーズ・コレクティブ(わーかーず・これくてぃぶ)
    • 意味
      • 地域の住民が、自ら出資し、経営にも参加し、労働者として働くという、出資・経営・労働が一体となった事業体のこと。生活クラブ生活協同組合の活動から生まれた、日本独自の組織形態。
    • 歴史・経過
      • 1980年代から、主に女性たちが、地域に必要なサービス(福祉、子育て、食事など)を、自分たちの手で事業化する形で広がってきた。営利を第一の目的とせず、地域への貢献や、働きがいを重視する。新しい公共の担い手として、行政からの期待も大きい。
    ワッペン(わっぺん)
    • 意味
      • 衣服や帽子などに付ける、刺繍やプリントが施された飾りのこと。
    • 歴史・経過
      • 行政の現場では、所属や役割を示すための識別票として活用される。例えば、交通安全指導員や、防災ボランティア、イベントのスタッフなどが、統一されたワッペンを身に着けることで、住民からの視認性を高め、活動を円滑に進める。また、小学校の新一年生に、交通安全を願うワッペンを配布する取り組みなども見られる。
    和解(わかい)
    • 意味
      • 紛争の当事者双方が、互いに譲歩し、争いをやめることを合意すること。民事訴訟において、判決によらずに、裁判官の仲介のもとで話し合いによって事件を解決する「裁判上の和解」が代表的。
    • 歴史・経過
      • 自治体が、損害賠償請求訴訟などの当事者となった場合に、判決まで争うのではなく、和解によって早期に事件を解決することがある。この場合、議会の議決が必要となることが多い(地方自治法第96条1項12号)。
    和紙(わし)
    • 意味
      • 日本古来の製法で作られた紙。楮(こうぞ)、三椏(みつまた)などを原料とする。
    • 歴史・経過
      • 2014年(平成26年)に、「和紙:日本の手漉和紙技術」がユネスコの無形文化遺産に登録された。行政は、伝統的工芸品産業の振興策として、和紙の生産技術の保存や、後継者育成、国内外への販路拡大などを支援している。また、文化財の修復材料としても不可欠である。
    和食(わしょく)
    • 意味
      • 日本の伝統的な食文化のこと。自然の尊重という精神に基づき、多様で新鮮な食材、栄養バランス、年中行事との関わり、優れた調理技術といった特徴を持つ。
    • 歴史・経過
      • 2013年(平成25年)に、「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録された。農林水産省や文化庁、自治体は、この和食文化を保護・継承するため、食育の推進、郷土料理の掘り起こし、日本産農林水産物の利用促進、海外への情報発信などに取り組んでいる。
    和暦(われき)
    • 意味
      • 日本独自の元号と年数で年を表現する方法。「西暦」の対義語。「明治」「大正」「昭和」「平成」「令和」など。
    • 歴史・経過
      • 元号法に基づき、日本の行政機関が作成する公文書の日付は、原則として和暦で記載される。住民基本台帳や戸籍、各種の証明書なども和暦が基本。西暦と和暦を併記したり、システム上で相互に変換したりする対応が、事務処理上、常に必要となる。
    若者雇用促進法(わかものこようそくしんほう)
    • 意味
      • 青少年の適職の選択、職業能力の開発・向上に関する措置などを総合的に講じ、若者がその能力を有効に発揮できる環境を整備するための法律。正式名称は「青少年の雇用の促進等に関する法律」。
    • 歴史・経過
      • 2015年(平成27年)に施行。若者の「使い捨て」が疑われる企業(ブラック企業)対策として、ハローワークが新卒求人を受理しないことができる仕組みや、若者の採用・育成に積極的な中小企業を認定する「ユースエール認定制度」などが盛り込まれている。
    若者サポートステーション(サポステ)(わかものさぽーとすてーしょん)
    • 意味
      • 働くことに悩みを抱える、15歳から49歳までの若者の職業的自立を支援するための、厚生労働省が委託したNPO法人などが運営する支援機関。
    • 歴史・経過
      • 2006年度から全国に設置が進められた。キャリアコンサルタントによる専門的な相談、コミュニケーション訓練などの各種プログラム、協力企業での就労体験などを、無料で提供している。ハローワークや地方自治体の福祉・教育部門と連携しながら、ニートやひきこもり状態にある若者への支援を行う。
    (わく)
    • 意味
      • 範囲、限度、定員のこと。行政用語としては、特に予算や人員に関する上限を指すことが多い。
    • 歴史・経過
      • 「予算の枠」は、各部局に配分される予算の上限額を指し、財政担当部局がシーリング(上限枠設定)によって、歳出総額をコントロールする。「定員の枠」は、条例で定められた職員数の上限であり、これを意識した効率的な人員配置が求められる。「補助金の枠」は、特定の補助金の交付総額の上限を指す。
    枠配分予算(わくはいぶんよさん)
    • 意味
      • 予算編成の手法の一つ。自治体のトップ(首長)が、各部局に対して、あらかじめ大まかな予算の上限枠を提示し、各部局は、その枠の範囲内で、自らの責任と裁量で、事業の優先順位付けや、具体的な経費の見積もりを行う方式。
    • 歴史・経過
      • 従来の、各部局からの要求を積み上げて財政担当部局が査定する「積み上げ方式」に代わり、部局の自主性・自律性を高め、より戦略的な予算編成を促す手法として、多くの自治体で導入されている。
    ワクチン(わくちん)
    • 意味
      • 感染症の原因となる病原体(ウイルスや細菌)の毒性をなくしたり、弱めたりして作った医薬品。これを身体に接種することで、その病気に対する免疫を付ける。
    • 歴史・経過
      • 予防接種法に基づき、市町村は、特定の感染症(定期接種)について、対象となる住民に接種の機会を提供する責務を負う。接種の勧奨、実施場所の確保、接種費用の公費負担、副反応に関する相談対応や健康被害救済制度の窓口業務などを担う。新型コロナウイルスワクチンの大規模な接種事業は、自治体にとって前例のない一大プロジェクトとなった。
    ワシントン条約(CITES)(わしんとんじょうやく)
    • 意味
      • 絶滅のおそれのある野生動植物の、国際的な取引を規制するための多国間条約。正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」。
    • 歴史・経過
      • 1973年にワシントンで採択された。規制の対象となる種は、その絶滅の危険度に応じて、附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲにリストアップされている。日本では、経済産業省が、輸出入の許可・承認を行う主務官庁となっている。税関での水際取締りや、環境省による国内での普及啓発なども行われる。
    割当(わりあて)
    • 意味
      • 全体の中から、それぞれの対象に対して、役割や量、数などを振り分けること。「配分」「割り振り」とほぼ同義。
    • 歴史・経過
      • 行政の様々な場面で使われる。例えば、地方交付税の算定において、各自治体の財政需要を測定し、交付額を割り当てる。公共事業の採択において、国が各都道府県に予算額を割り当てる。あるいは、公営住宅の入居者募集で、応募者多数の場合に抽選で入居者を割り当てる、などがある。
    割引制度(わりびきせいど)
    • 意味
      • 特定の条件を満たす人に対して、公共サービスや施設の利用料金を、正規の料金から割り引く制度。
    • 歴史・経過
      • 社会政策的な配慮から導入されることが多い。例えば、高齢者や障害者に対する公営交通機関の運賃割引、子育て世帯に対する公共施設の使用料割引、あるいは公共交通の利用を促進するための回数券や企画乗車券による割引など、様々な目的で活用されている。
    割戻し金(わりもどしきん)
    • 意味
      • 一定期間の終了後に、支払われた料金や掛け金の一部を、その利用実績などに応じて、利用者に返還するお金のこと。「リベート」と似た概念。
    • 歴史・経過
      • 例えば、国民健康保険において、一年間の医療費の支払いが少なかった世帯に対して、保険料(税)の一部を割戻し金として支給する制度を、独自に設けている自治体があった(現在は健康増進へのインセンティブ事業などに形を変えていることが多い)。
    割増賃金(わりましちんぎん)
    • 意味
      • 使用者が、労働者に、法定労働時間(原則1日8時間、週40時間)を超えて労働(時間外労働)させたり、休日労働や深夜労働をさせたりした場合に、通常の賃金に、法律で定められた一定の率(割増率)以上を上乗せして支払わなければならない賃金のこと。
    • 歴史・経過
      • 労働基準法で定められており、長時間労働を経済的な負担によって抑制する機能を持つ。労働基準監督署は、この割増賃金の不払い(サービス残業)がないか、事業場への立入検査などを通じて厳しく監督している。
    (わん)
    • 意味
      • 海が陸地側に入り込んでいる地形で、湾口の幅に比べて、奥行きが深いもの。東京湾、伊勢湾、大阪湾など。
    • 歴史・経過
      • 湾は、港湾の立地、漁業、海上交通の要衝であると同時に、閉鎖性水域であるため、水質汚濁が起こりやすいという特徴を持つ。そのため、行政は、港湾法に基づく港湾管理、水質汚濁防止法に基づく水質総量規制、海岸法に基づく海岸保全など、複数の法律を駆使して、湾の総合的な利用と環境保全を図っている。
    湾岸地域(わんがんちいき)
    • 意味
      • 湾に面した沿岸部の地域のこと。港湾施設、工業地帯、大規模な物流拠点、あるいは高層マンション群や商業施設などが立地し、都市の経済活動や生活において重要な役割を担うエリア。
    • 歴史・経過
      • 埋立によって造成された土地が多く、都市計画に基づき、計画的な土地利用が進められてきた。近年は、工場の跡地などを利用した再開発が進み、就業機能、商業機能、居住機能、交流機能が複合した、新たな魅力を持つウォーターフロントとして再生する動きが活発化している。
    ワンストップサービス(わんすとっぷさーびす)
    • 意味
      • 関連する複数の行政手続きや相談を、一つの窓口で、一度に行えるようにするサービス提供方式。住民が、庁舎内の複数の課を「たらい回し」にされる不便を解消することを目的とする。
    • 歴史・経過
      • 住民サービスの向上と、行政の効率化を目指す、行政改革の代表的な取り組みの一つ。転入・転出や、死亡、子どもの誕生といったライフイベントに伴う手続きをまとめた総合窓口の設置や、許認可申請に関する相談から申請までを一つの窓口で受け付ける例などがある。
    ワンストップ支援センター(わんすとっぷしえんせんたー)
    • 意味
      • 性犯罪・性暴力の被害に遭った人が、必要な支援を、一つの場所で、まとめて受けられるようにするための相談・支援窓口。
    • 歴史・経過
      • 被害者は、心身に深い傷を負い、相談、医療、捜査といった、複数の機関と関わる必要があり、これが大きな負担となっていた。そのため、国は、各都道府県に、産婦人科医療、カウンセリング、法律相談、警察への同行支援といった機能を備えたワンストップ支援センターの設置を推進している。
    ワンルームマンション条例(わんるーむまんしょんじょうれい)
    • 意味
      • 主に単身者向けの、住戸面積の小さい住戸(ワンルーム)で構成されるマンションの建設に関して、地方自治体が独自の基準を定めて、指導や規制を行う条例や指導要綱の通称。
    • 歴史・経過
      • 1990年代後半から、特に東京都心の区で、ワンルームマンションの急増による様々な問題(単身者の急増による地域コミュニティの希薄化、ごみ出しルールの問題、ファミリー向け住宅の不足など)に対応するために制定が始まった。一定割合のファミリー向け住戸の設置を義務付けたり、一定面積以上の住戸を確保するよう求めたりする内容が多い。
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