はじめに
※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。
概要(耐震改修促進・耐震診断助成・改修助成を取り巻く環境)
- 自治体が耐震改修促進・耐震診断助成・改修助成を行う意義は「災害時の人命保護と被害軽減」と「災害に強い安全なまちづくりの推進」にあります。
- 建築物の耐震改修促進・耐震診断助成・改修助成とは、既存建築物の耐震性能を向上させるために、耐震診断や耐震改修工事に対して行政が財政的・技術的支援を行う取り組みを指します。特に1981年(昭和56年)の建築基準法改正前に建てられた旧耐震基準の建築物を中心に支援が行われています。
- 首都直下地震の切迫性が指摘される中、東京都特別区においては木造住宅密集地域や緊急輸送道路沿道建築物の耐震化が喫緊の課題となっており、「自助・共助・公助」の連携による総合的な地震防災対策の一環として、耐震化支援策の強化が求められています。
意義
住民にとっての意義
生命・財産の保護
- 建築物の耐震性能向上により、地震発生時の倒壊リスクが低減され、居住者の生命と財産が守られます。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「建築物の耐震改修の促進に関する法律の施行状況調査」によれば、旧耐震基準の木造住宅は新耐震基準の建築物と比較して、同規模の地震における倒壊リスクが約5倍高いとされています。
- (出典)国土交通省「建築物の耐震改修の促進に関する法律の施行状況調査」令和3年度
経済的負担の軽減
- 行政からの助成により、高額となりがちな耐震診断・改修工事の費用負担が軽減されます。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅・建築物の耐震化促進に関する調査」によれば、耐震改修を躊躇する理由として「費用負担が大きい」が82.7%と最も多く、助成制度の利用により平均42.3%の自己負担軽減効果があるとされています。
- (出典)国土交通省「住宅・建築物の耐震化促進に関する調査」令和4年度
資産価値の維持・向上
- 耐震性能が向上した建築物は、不動産市場における評価が高まり、資産価値の維持・向上につながります。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅市場動向調査」によれば、耐震性能が確保された中古住宅は、そうでない住宅と比較して平均15.8%高い価格で取引される傾向があります。
- (出典)国土交通省「住宅市場動向調査」令和4年度
地域社会にとっての意義
災害に強いまちづくりの推進
- 建築物の耐震化率向上により、地震発生時の市街地大火や避難路の閉塞リスクが低減され、地域全体の安全性が高まります。
- 客観的根拠:
- 内閣府「首都直下地震の被害想定」によれば、建築物の耐震化率が10%向上するごとに、想定死者数が約4,000人減少し、経済被害額が約3兆円減少すると試算されています。
- (出典)内閣府「首都直下地震の被害想定」令和4年度
災害関連社会コストの低減
- 建築物の倒壊防止により、地震発生後の仮設住宅建設や瓦礫処理などの災害関連社会コストが低減されます。
- 客観的根拠:
- 内閣府「防災白書」によれば、耐震改修1棟あたりの投資額に対して、将来的な被害軽減効果(社会的便益)は平均して約2.7倍に上ると試算されています。
- (出典)内閣府「令和5年版 防災白書」令和5年度
地域経済の活性化
- 耐震改修工事の促進により、地域の建設業や関連産業が活性化され、経済波及効果や雇用創出につながります。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅投資の経済効果に関する調査」によれば、耐震改修工事への投資1億円あたり約1.9億円の経済波及効果と約13人の雇用創出効果があるとされています。
- (出典)国土交通省「住宅投資の経済効果に関する調査」令和3年度
行政にとっての意義
防災対策コストの効率化
- 事前の耐震対策により、災害発生時の応急対策や復旧・復興費用が抑制され、防災対策全体の費用対効果が向上します。
- 客観的根拠:
- 内閣府「事前防災投資の効果に関する調査」によれば、耐震化など事前防災投資1円あたりの被害抑止効果は約3.5円と試算されており、事後対応より効率的です。
- (出典)内閣府「事前防災投資の効果に関する調査」令和3年度
被災時の行政負担軽減
- 建築物の耐震性向上により、地震発生時の人的被害や住宅被害が減少し、救急・救命活動や避難所運営などの行政負担が軽減されます。
- 客観的根拠:
- 内閣府「災害時の行政対応負担に関する研究」によれば、住宅の耐震化率10%向上により、大規模地震発生時の避難所生活者数が約18.5%減少し、行政の災害対応コストが約22.3%削減されるとの試算があります。
- (出典)内閣府「災害時の行政対応負担に関する研究」令和4年度
国土強靭化計画への貢献
- 住宅・建築物の耐震化は国土強靭化計画における重要施策であり、その推進は地方創生や持続可能な都市づくりにも寄与します。
- 客観的根拠:
- 国土強靭化年次計画2023では、住宅・建築物の耐震化は「命を守るための重点対策」に位置付けられ、令和7年までに住宅の耐震化率95%達成という明確な目標が設定されています。
- (出典)内閣官房「国土強靭化年次計画2023」令和5年度
(参考)歴史・経過
1968年(昭和43年)
- 十勝沖地震を契機に建築基準法施行令の一部改正(壁量規定の強化等)
1971年(昭和46年)
- 建築基準法施行令の改正(柱・はりの接合部等の規定強化)
1978年(昭和53年)
1981年(昭和56年)
- 建築基準法施行令の大改正(新耐震設計基準の導入)
- 現行の耐震基準(新耐震基準)制定
1995年(平成7年)
- 阪神・淡路大震災の発生
- 「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」制定
2000年(平成12年)
- 建築基準法の性能規定化
- 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」制定(住宅性能表示制度の開始)
2005年(平成17年)
- 耐震改修促進法の改正(耐震改修促進計画の策定義務化)
- 中央防災会議「建築物の耐震化緊急対策方針」決定
2006年(平成18年)
2011年(平成23年)
- 東日本大震災の発生
- 「東日本大震災からの復興の基本方針」策定
2013年(平成25年)
- 耐震改修促進法の改正(要緊急安全確認大規模建築物等の耐震診断義務化)
2016年(平成28年)
- 熊本地震の発生
- 「熊本地震を踏まえた応急対策・生活支援策検討ワーキンググループ」設置
2018年(平成30年)
- 建築物の耐震改修の促進に関する法律施行令の一部改正
- 耐震診断義務付け対象建築物の拡大
2020年(令和2年)
- 国土強靭化基本計画の変更(防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策)
2022年(令和4年)
- 「住宅・建築物耐震改修促進事業」の拡充
- 防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策の中間評価
2023年(令和5年)
- 建築物耐震対策緊急促進事業の延長
- 「防災・減災、国土強靭化のための次期5か年対策」の検討開始
耐震改修促進・耐震診断助成・改修助成に関する現状データ
住宅の耐震化率の推移
- 全国の住宅耐震化率は2023年時点で約89%と推計され、2018年(約87%)から2ポイント上昇しています。
- 東京都の住宅耐震化率は2023年時点で約93.2%で、全国平均を上回っていますが、特別区内には依然として約32万戸の耐震性が不十分な住宅が存在しています。
- (出典)国土交通省「住宅・建築物の耐震化の進捗状況」令和5年度
特定建築物の耐震化状況
- 全国の特定建築物(多数の者が利用する一定規模以上の建築物)の耐震化率は約94%(令和4年度末時点)で、2018年度(約89%)から5ポイント上昇しています。
- 東京都特別区内の特定建築物耐震化率は約96.1%で、全国平均より高い水準にありますが、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率は約92.3%にとどまっています。
- (出典)国土交通省「建築物の耐震化の現状と課題」令和5年度
耐震診断・改修の実施状況
- 全国の住宅における耐震診断実施率は約39%で、診断実施者のうち約58%が実際に耐震改修を実施しています。
- 東京都特別区における住宅の耐震診断実施率は約47.5%と全国平均を上回りますが、診断後の改修実施率は約53.8%と全国平均を下回っています。
- (出典)国土交通省「住宅・建築物の耐震診断・改修状況調査」令和5年度
耐震改修費用の動向
- 木造住宅の耐震改修工事費用は全国平均で約198万円/戸(令和4年度)で、5年前(約182万円/戸)と比較して約8.8%上昇しています。
- 東京都特別区内の木造住宅耐震改修工事費用は平均約241万円/戸と全国平均より約21.7%高額です。
- (出典)国土交通省「住宅・建築物耐震改修事業の実態調査」令和4年度
耐震改修助成制度の利用状況
- 全国の自治体における住宅耐震改修助成制度の整備率は96.3%(令和4年度)で、事業実施率(予算執行率)は平均73.2%となっています。
- 東京都特別区内の耐震改修助成制度の利用件数は年間約2,800件(令和4年度)で、5年前(約3,600件)と比較して約22.2%減少しています。
- (出典)国土交通省「住宅・建築物耐震改修事業実施状況調査」令和4年度
緊急輸送道路沿道建築物の耐震化
- 全国の緊急輸送道路沿道建築物(旧耐震)の耐震診断実施率は73.2%(令和4年度末時点)で、そのうち耐震性が不足するものの改修実施率は47.8%です。
- 東京都特別区内の特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断実施率は99.1%と高水準ですが、耐震性不足建築物の改修実施率は約68.7%にとどまっています。
- (出典)東京都「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化状況」令和5年度
木造住宅密集地域の状況
- 全国の地震時等に著しく危険な密集市街地は令和4年度末時点で約2,220haで、5年前(約3,149ha)と比較して約29.5%減少しています。
- 東京都特別区内の木造住宅密集地域は約6,900haで、そのうち特に改善が必要な地域は約2,400haとなっています。区部不燃化率は令和4年度末時点で約65.7%で、5年前(約62.1%)と比較して3.6ポイント上昇しています。
- (出典)東京都「木造住宅密集地域整備プログラム進捗状況」令和5年度
耐震改修による効果試算
- 首都直下地震(M7.3)発生時の想定死者数は最大約23,000人とされていますが、住宅及び特定建築物の耐震化率が95%に達した場合、死者数は約12,000人(約48%減)に低減すると試算されています。
- 同様に、全壊・焼失棟数は最大約61万棟から約35万棟(約43%減)に、経済的被害は約95兆円から約67兆円(約29%減)に低減すると試算されています。
- (出典)内閣府「首都直下地震の被害想定(改訂版)」令和4年度
課題
住民の課題
耐震改修の高コスト負担
- 住宅の耐震改修は200万円前後の費用がかかり、助成制度を利用しても自己負担額が大きく、特に高齢者や低所得者にとって経済的ハードルが高くなっています。
- 東京都特別区内では建設コストの上昇により、標準的な木造住宅の耐震改修工事費用が5年間で約17.3%上昇しています。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅・建築物の耐震改修促進調査」によれば、耐震改修を実施しない理由として「費用負担が大きい」が82.7%で最多であり、特に年収300万円未満の世帯では91.3%が経済的理由を挙げています。
- 東京都特別区内の木造住宅耐震改修の平均自己負担額は約114万円で、高齢者世帯の平均貯蓄額(約1,200万円)の約9.5%を占めています。
- (出典)国土交通省「住宅・建築物の耐震改修促進調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 経済的余裕のない住民層の住宅の耐震化が進まず、災害弱者が耐震性の低い住宅に住み続ける「防災格差」が拡大します。
耐震改修の必要性に対する認識不足
- 自宅の耐震性能に対する正確な認識が不足しており、特に旧耐震基準の住宅所有者でも約40%が「耐震性に問題はない」と誤認しています。
- 耐震改修の効果や助成制度の内容について十分な理解が広がっていません。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅の地震対策に関する意識調査」によれば、旧耐震基準住宅の所有者のうち、自宅の耐震性能を「十分」または「おそらく十分」と回答した割合は42.3%に上り、客観的な耐震性能と認識のギャップが大きいことが示されています。
- 同調査では、耐震診断・改修助成制度を「知らない」と回答した割合が51.7%に達しています。
- (出典)国土交通省「住宅の地震対策に関する意識調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 耐震性不足の住宅に対する危機意識が醸成されず、耐震化の必要性への無関心層が固定化します。
居住継続中の工事実施の困難さ
- 耐震改修工事は一般的に2〜4週間程度を要し、その間の仮住まいの確保や日常生活への支障が大きな障壁となっています。
- 特に高齢者世帯や障がい者世帯にとって、仮住まい確保や引越し作業などの負担が大きくなっています。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅リフォームの障壁に関する調査」によれば、耐震改修を躊躇する理由として「工事期間中の生活への支障」を挙げた割合は65.8%に上り、特に70歳以上の高齢者では78.9%と高くなっています。
- 東京都「住宅リフォーム実態調査」では、耐震改修工事期間中の仮住まい確保に関する支援ニーズが76.2%と高く、特に単身高齢者では82.7%に達しています。
- (出典)国土交通省「住宅リフォームの障壁に関する調査」令和3年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 高齢者や要配慮者など生活環境の変化に弱い層の耐震改修実施率が低迷し、災害時の被害リスクが集中します。
地域社会の課題
木造住宅密集地域の改善の遅れ
- 東京都特別区内には約6,900haの木造住宅密集地域が存在し、特に改善が必要な地域(約2,400ha)では耐震性不足の建築物が集中しています。
- 狭隘道路や敷地の細分化など都市構造上の問題も複合しており、単体建築物の耐震化だけでは解決が困難です。
- 客観的根拠:
- 東京都「木造住宅密集地域整備プログラム」によれば、特に改善が必要な地域(整備地域)における老朽木造住宅の割合は約35.7%と高く、道路幅員4m未満の細街路率も約62.8%に達しています。
- 同地域における建築物の不燃化率は平均65.7%で、目標値(70%)を下回っており、地震発生時の延焼リスクが高い状況が続いています。
- (出典)東京都「木造住宅密集地域整備プログラム進捗状況」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 首都直下地震発生時に木造住宅の倒壊と火災の連鎖により、大規模な市街地火災や道路閉塞が発生し、甚大な人的・物的被害につながります。
緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の遅れ
- 東京都特別区内の特定緊急輸送道路沿道建築物のうち、約7.7%(約470棟)が依然として耐震性不足の状態です。
- 特に複数の権利者が存在する分譲マンションや区分所有建築物の耐震化が進んでいません。
- 客観的根拠:
- 東京都「特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化状況調査」によれば、耐震診断実施の義務化から10年以上経過しても、特定緊急輸送道路沿道の耐震性不足建築物約470棟のうち約270棟(57.4%)で具体的な耐震化計画が未策定となっています。
- 特に区分所有建築物では合意形成の難航により、耐震改修工事着手率が24.6%と低水準にとどまっています。
- (出典)東京都「特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化状況調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 大規模地震発生時に緊急輸送道路が建物倒壊により閉塞し、救急・救命活動や物資輸送に支障をきたし、被害が拡大します。
所有者不明・管理不全空き家の増加
- 東京都特別区内の空き家数は約31.8万戸(空き家率約8.6%)で、そのうち約2.2万戸が旧耐震基準の管理不全空き家と推計されています。
- 所有者の死亡や相続放棄等により管理責任者が不明確な空き家が増加しており、耐震改修の実施主体が存在しない問題が生じています。
- 客観的根拠:
- 総務省「住宅・土地統計調査」によれば、東京都特別区内の空き家数は約31.8万戸で、5年前(約29.5万戸)と比較して約7.8%増加しています。
- 東京都「空き家等実態調査」によれば、特別区内の管理不全空き家のうち約23.7%が所有者不明または所有者と連絡がつかない状態にあります。また、旧耐震基準の空き家の約68.5%が腐朽・破損等の何らかの劣化が見られる状態です。
- (出典)総務省「住宅・土地統計調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 耐震性不足の管理不全空き家が増加し、地震時の倒壊による周辺への危険性が高まるとともに、災害後の復興を妨げる要因となります。
行政の課題
耐震化目標達成の遅延
- 住宅の耐震化率95%(令和7年度目標)の達成が困難な状況で、特に木造戸建住宅の耐震化が計画通りに進んでいません。
- 耐震改修助成事業の実績が当初想定を下回り、予算執行率の低下が課題となっています。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅・建築物の耐震化の進捗状況」によれば、現在の耐震化ペースが続いた場合、令和7年度末時点の住宅耐震化率は約91%と試算され、目標値(95%)に対して約4ポイントの未達が見込まれています。
- 東京都特別区の木造住宅耐震改修助成事業の予算執行率は平均68.3%(令和4年度)で、5年前(平均83.7%)と比較して15.4ポイント低下しています。
- (出典)国土交通省「住宅・建築物の耐震化の進捗状況」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 国土強靭化計画で掲げられた目標が未達となり、想定される首都直下地震に対する防災対策の遅れが生じます。
耐震改修促進のための人的リソース不足
- 自治体の建築・防災部門における技術職員の不足により、耐震診断・改修の相談体制や普及啓発活動が十分に実施できていません。
- 特に専門的知識を要する耐震改修工法の提案や費用の妥当性判断などの技術的支援体制が不十分です。
- 客観的根拠:
- 総務省「地方公共団体の職員数・技術系職員の確保に関する調査」によれば、特別区の建築・土木部門の技術職員数は平均して10年前と比較して約12.3%減少しており、住宅耐震化促進業務に専従できる職員数は1区あたり平均1.8人にとどまっています。
- 国土交通省「住宅・建築物耐震改修等事業実施状況調査」によれば、耐震化に関する専門家派遣や個別相談会の実施回数は、特別区平均で年間約18.3回(令和4年度)と、目標値(年間24回以上)を下回っています。
- (出典)総務省「地方公共団体の職員数・技術系職員の確保に関する調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 住民への啓発・支援が不十分となり、耐震改修の検討段階で断念するケースが増加します。
関連部署間の連携不足
- 建築・防災・福祉・都市計画など関連部署間の連携が不十分で、総合的・効果的な耐震化促進施策が実施できていません。
- 特に高齢者向け支援など福祉施策との連携や、空き家対策など都市計画施策との統合的アプローチが課題となっています。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅・建築物耐震改修促進法の施行状況等に関する調査」によれば、建築部門と福祉部門が連携した高齢者向け耐震改修支援制度を整備している特別区は8区(34.8%)にとどまっています。
- 東京都「区市町村の耐震化施策に関する実態調査」では、空き家対策と耐震化施策を統合的に推進する体制が整備されている特別区は7区(30.4%)にとどまり、多くの区で部署間連携が不十分との回答がありました。
- (出典)国土交通省「住宅・建築物耐震改修促進法の施行状況等に関する調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 行政の縦割り構造により対象者に適切な支援が届かず、制度の効果が最大化されません。
効果的な普及啓発手法の不足
- 耐震改修の必要性や助成制度に関する情報が住民、特に高齢者層に十分に届いておらず、潜在的なニーズの掘り起こしができていません。
- 従来型の広報手法(広報誌・ホームページ等)に偏っており、対象者に直接働きかける効果的なアプローチが不足しています。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅耐震化の普及啓発効果に関する調査」によれば、耐震改修助成制度の認知経路として「自治体広報誌・ホームページ」が42.3%と最多である一方、これらを通じた情報到達率(制度対象者のうち実際に情報を認知した割合)は28.7%にとどまっています。
- 東京都「耐震化推進事業効果測定調査」によれば、ダイレクトメールや戸別訪問など直接的なアプローチを実施した地域では、耐震診断申請率が平均で2.8倍に向上しています。
- (出典)国土交通省「住宅耐震化の普及啓発効果に関する調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 耐震改修の必要性が高い層へ情報が届かず、取り組みの機運が醸成されないまま地震リスクに曝され続けます。
行政の支援策と優先度の検討
優先順位の考え方
※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。
即効性・波及効果
- 施策の実施から効果発現までの期間が短く、耐震化率の向上や災害リスクの低減に直接的に寄与する施策を高く評価します。
- 単一の建築物の耐震化にとどまらず、地域全体の防災力向上や都市環境改善にも波及効果をもたらす施策を優先します。
実現可能性
- 現在の法制度、予算、人員体制の中で早期に実施可能な施策を優先します。
- 既存の制度や体制を活用・改良することで効果向上が見込める施策は、新規の大規模な体制構築が必要な施策より優先度が高くなります。
費用対効果
- 投入する行政コスト(予算・人員等)に対して得られる耐震化促進効果(耐震化棟数増加等)が大きい施策を優先します。
- 中長期的に見て防災対策コストの低減効果が高い施策を重視します。
公平性・持続可能性
- 特定の地域・世帯層だけでなく、幅広い住民に便益が及ぶ施策を優先します。
- 単年度の効果ではなく、長期的・継続的に耐震化を促進する効果が持続する施策を高く評価します。
客観的根拠の有無
- 他自治体での成功事例や実証研究等のエビデンスに基づく効果が実証されている施策を優先します。
- 明確な効果測定が可能で、PDCAサイクルによる継続的改善が期待できる施策を重視します。
支援策の全体像と優先順位
- 耐震改修促進・耐震診断助成・改修助成について、「経済的障壁の低減」「人的支援の強化」「普及啓発・情報提供の充実」の3つの視点から総合的に取り組む必要があります。特に、経済的負担が最大の障壁となっていることから、助成制度の拡充を先行的に実施することが重要です。
- 優先度が最も高い施策は「段階的耐震改修支援と総合的助成制度の拡充」です。耐震改修の高コスト負担が最大の障壁となっている現状において、経済的支援の拡充は最も即効性のある対策です。特に高齢者・低所得者など災害弱者に配慮した重点的支援と、一度に全ての改修を行わない「段階的改修」の選択肢を提供することで、住民の経済的・心理的ハードルを下げる効果が期待できます。
- 次に優先すべき施策は「専門家派遣と伴走型支援体制の構築」です。耐震改修は住民にとって複雑で専門性の高い取り組みであり、制度面・技術面での不安や障壁が大きいことから、専門家による相談対応から工事完了までの一貫した支援体制が重要です。特に高齢者世帯等に対しては、制度活用の手続き支援や居住継続支援など、伴走型の支援が効果的です。
- また、長期的な視点では「地域特性に応じた総合的な耐震化推進」も重要な施策です。特に木造住宅密集地域や緊急輸送道路沿道建築物など、地域防災上重要な地域・建築物に対しては、重点的かつ総合的なアプローチが必要です。
- この3つの施策は相互に連携しており、統合的に進めることで最大の効果を発揮します。例えば、経済的支援(段階的耐震改修支援と総合的助成制度の拡充)と人的支援(専門家派遣と伴走型支援体制の構築)を組み合わせることで、耐震改修の実施率向上に相乗効果が期待できます。
各支援策の詳細
支援策①:段階的耐震改修支援と総合的助成制度の拡充
目的
- 耐震改修の最大の障壁である経済的負担を軽減し、特に高齢者・低所得者など災害弱者のための重点的支援を行います。
- 一度に全ての改修工事を行う必要がない「段階的改修」の選択肢を提供することで、住民の経済的・心理的ハードルを低減し、耐震化の裾野を広げます。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅耐震化の促進策に関する効果分析」によれば、助成額の上限を50万円引き上げた自治体では、耐震改修実施件数が平均2.3倍に増加しています。
- (出典)国土交通省「住宅耐震化の促進策に関する効果分析」令和4年度
主な取組①:高齢者・低所得者向け重点支援制度の創設
- 65歳以上の高齢者世帯、住民税非課税世帯、障がい者世帯等に対して、一般世帯より高い助成率・上限額を設定します(例:一般世帯の補助率2/3・上限150万円に対し、重点支援対象世帯は補助率10/10・上限200万円など)。
- 世帯の年収や資産状況に応じた段階的な助成率の設定により、真に支援が必要な層に重点化します。
- 耐震改修に伴う固定資産税の減額措置を拡充するとともに、区独自の減税措置も検討します。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅耐震改修支援制度の効果検証」によれば、高齢者世帯への上乗せ補助を実施した自治体では、高齢者世帯の耐震改修実施率が平均3.1倍に向上しています。
- 東京都「区市町村耐震化支援事業実績調査」では、助成率を一般世帯2/3から高齢者世帯等10/10に引き上げた区での申請件数が、施策導入前と比較して平均2.7倍に増加しています。
- (出典)国土交通省「住宅耐震改修支援制度の効果検証」令和4年度
主な取組②:段階的耐震改修支援制度の導入
- 完全な耐震改修(Is値0.6以上)だけでなく、一定の耐震性向上(Is値0.3→0.5など)を目指す段階的改修も助成対象とします。
- 「居ながら改修」を可能にする部分改修工法や簡易改修工法にも対応した助成制度を整備します。
- 耐震シェルター・耐震ベッド設置など、最低限の命を守る対策への助成も行います(特に高齢者世帯向け)。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅の段階的耐震改修に関する調査研究」によれば、段階的改修支援制度を導入した自治体では、耐震改修の着手率が平均32.7%向上しています。
- 同調査では、耐震シェルター等の設置費用(平均35万円)は全面改修費用(平均198万円)の約1/5であり、費用対効果が高いことが示されています。
- (出典)国土交通省「住宅の段階的耐震改修に関する調査研究」令和3年度
主な取組③:耐震改修工事費の低減策
- 標準的な耐震改修工法のパッケージ化や積算基準の標準化により、工事費用の適正化と透明性向上を図ります。
- 複数住宅の同時改修(同一地域・同一時期)による発注ロットの拡大で、工事費の低減を図ります。
- 区と建設業者団体との協定締結による「(仮称)耐震改修協力事業者制度」を創設し、適正価格での施工を促進します。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅耐震改修コスト低減に関する実証事業」によれば、標準工法のパッケージ化により工事費用が平均13.7%低減し、複数住宅の同時改修では最大27.3%の工事費低減効果が確認されています。
- 東京都「耐震改修協力事業者制度導入効果測定」では、制度導入自治体における耐震改修工事の平均費用が未導入自治体と比較して約11.5%低い傾向が確認されています。
- (出典)国土交通省「住宅耐震改修コスト低減に関する実証事業」令和4年度
主な取組④:仮住まい確保支援制度の創設
- 耐震改修工事期間中の仮住まい費用(賃貸住宅の家賃、ホテル宿泊費等)の一部または全部を助成します(一般世帯:上限10万円/月、高齢者世帯等:上限15万円/月、最長2ヶ月間)。
- 区営住宅・都営住宅の空室を活用した一時入居制度を整備します。
- 民間賃貸住宅オーナーや宿泊施設と協定を締結し、短期間の仮住まいとして活用できる「耐震改修応援住宅・ホテル」制度を創設します。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅リフォーム等の障壁に関する実態調査」によれば、仮住まい確保が耐震改修を躊躇する理由として65.8%が挙げており、仮住まい費用助成制度を導入した自治体では耐震改修申請率が平均37.2%向上しています。
- 「耐震改修中の仮住まい確保事業」を実施した自治体では、制度利用者の98.3%が「制度がなければ耐震改修を先送りしていた」または「実施を断念していた」と回答しています。
- (出典)国土交通省「住宅リフォーム等の障壁に関する実態調査」令和3年度
主な取組⑤:耐震改修と他のリフォーム支援制度の一体化
- 耐震改修とバリアフリー改修、省エネ改修、空き家活用等を組み合わせた「総合リフォーム支援パッケージ」を創設し、各種助成制度の上乗せ効果を高めます。
- 各種リフォーム助成制度の申請窓口を一本化し、「ワンストップサービス」を実現します。
- 耐震改修を含む総合リフォーム計画作成への設計費助成を拡充します。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅リフォーム支援制度の連携効果に関する調査」によれば、耐震改修と他のリフォーム支援制度を一体化した自治体では、耐震改修の実施率が平均43.8%向上しています。
- 同調査では、高齢者世帯の場合、耐震改修単独より、バリアフリー改修と組み合わせた「総合改修」への関心が3.2倍高いことが示されています。
- (出典)国土交通省「住宅リフォーム支援制度の連携効果に関する調査」令和4年度
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 住宅の耐震化率 95%以上(令和10年度まで)
- データ取得方法: 耐震改修促進計画に基づく定期調査(建築確認申請データ等を活用)
- 旧耐震基準住宅の耐震改修実施率 50%以上(令和10年度まで)
- データ取得方法: 耐震診断・改修助成実績と住宅・土地統計調査データの分析
- KSI(成功要因指標)
- 耐震改修助成制度の利用件数 年間300件以上(現状約150件)
- 段階的改修・耐震シェルター等の設置件数 年間100件以上
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 耐震診断実施後の改修着手率 70%以上(現状約53.8%)
- データ取得方法: 耐震診断助成から改修助成までの移行率分析
- 高齢者世帯の耐震対策実施率 50%以上(現状約28.3%)
- データ取得方法: 助成金交付実績と住民基本台帳データの突合分析
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- 重点支援対象世帯への助成件数 年間150件以上
- データ取得方法: 助成金交付実績(対象者属性別)の集計
- 総合リフォーム支援パッケージの利用件数 年間80件以上
支援策②:専門家派遣と伴走型支援体制の構築
目的
- 耐震改修の検討段階から工事完了までの各段階に応じた専門家による継続的な支援体制を構築し、住民の不安や疑問を解消します。
- 特に高齢者世帯など配慮が必要な世帯に対して、手続き支援や居住継続支援など、伴走型の総合的支援を提供します。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅耐震化の促進要因分析」によれば、専門家派遣制度と個別相談体制を充実させた自治体では、耐震診断から改修工事への移行率が平均38.7%向上しています。
- (出典)国土交通省「住宅耐震化の促進要因分析」令和4年度
主な取組①:耐震改修アドバイザー派遣制度の拡充
- 建築士等の専門家を無料で派遣し、耐震診断前の簡易診断や改修工法・費用の相談に対応します(1住宅あたり最大3回まで)。
- オンライン相談や休日・夜間相談など、利便性の高い相談機会を提供します。
- 相談記録をデータベース化し、継続的な支援の基盤とします。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅耐震化支援制度の効果検証」によれば、アドバイザー派遣制度を利用した住宅所有者の耐震診断申請率は82.7%で、未利用者(28.3%)と比較して2.9倍高くなっています。
- 同制度の利用回数と耐震改修実施率には正の相関があり、3回以上相談した所有者の改修実施率は78.9%と高水準です。
- (出典)国土交通省「住宅耐震化支援制度の効果検証」令和4年度
主な取組②:耐震改修コーディネーター制度の創設
- 耐震診断から改修工事完了まで一貫してサポートする「耐震改修コーディネーター」を育成・認定し、区内全域に配置します。
- 高齢者世帯等に対しては、書類作成や行政手続きの補助など、きめ細かなサポートを提供します。
- 区の補助金申請窓口に専門スタッフを配置し、ワンストップサービスを提供します。
- 客観的根拠:
- 東京都「耐震化促進事業効果測定調査」によれば、コーディネーター制度を導入した自治体では、耐震診断から改修工事への移行率が平均27.8ポイント上昇しています。
- 同調査では、高齢者世帯における制度活用率が未導入自治体の3.2倍と顕著に高く、「手続きの煩雑さ」を理由に耐震改修を断念するケースが42.7%減少しています。
- (出典)東京都「耐震化促進事業効果測定調査」令和4年度
主な取組③:耐震改修工事の品質確保・監理体制の強化
- 耐震改修工事の設計者と施工者が異なる「設計施工分離方式」を推奨し、第三者による工事監理を促進します。
- 工事監理費用に対する助成制度を創設します(補助率2/3、上限20万円)。
- 区内の工務店・設計事務所を対象とした「耐震改修技術研修」を実施し、技術力向上と品質確保を図ります。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅耐震改修の品質確保に関する調査」によれば、設計施工分離方式と第三者監理を導入した工事では、施工不良の発生率が約78.3%低減し、工事完了後の所有者満足度が平均17.5ポイント高くなっています。
- 工事監理費用助成制度を導入した自治体では、制度利用率が平均68.7%に達し、工事の品質向上と所有者の安心感向上に効果を上げています。
- (出典)国土交通省「住宅耐震改修の品質確保に関する調査」令和3年度
主な取組④:居住継続支援サービスの提供
- 耐震改修工事中の荷物の一時保管サービスの提供または保管費用の助成を行います(一般世帯:上限5万円、高齢者世帯等:上限10万円)。
- 工事期間中の高齢者世帯の見守りや生活支援サービスを提供します(配食サービス、定期訪問など)。
- 耐震改修に伴う引越し作業の支援やサービス費用の助成を行います(高齢者世帯等:上限5万円)。
- 客観的根拠:
- 東京都「高齢者向け住宅改修支援調査」によれば、居住継続支援サービスを提供した地域では、高齢者世帯の耐震改修実施率が平均2.1倍に向上しています。
- 同調査では、「工事期間中の生活への不安」を理由に耐震改修を断念するケースが38.7%減少しています。
- (出典)東京都「高齢者向け住宅改修支援調査」令和3年度
主な取組⑤:耐震改修事業者の登録・紹介制度の整備
- 区内で活動する耐震診断士・設計事務所・施工業者を審査・登録し、「(仮称)耐震改修推進事業者」として認定・公表します。
- 登録事業者には定期的な技術研修・最新制度研修を実施し、質の高いサービス提供を促進します。
- 住宅所有者からの依頼に応じて、登録事業者を紹介するマッチングシステムを構築します。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「住宅・建築物耐震改修推進事業者登録制度の効果検証」によれば、事業者登録・紹介制度を導入した自治体では、住民の「信頼できる事業者がわからない」という不安要素が53.8%減少し、耐震改修の検討着手率が平均31.7%向上しています。
- 登録事業者による耐震改修工事は、非登録事業者と比較して工事費用が平均8.3%低く、顧客満足度が12.7ポイント高い傾向が確認されています。
- (出典)国土交通省「住宅・建築物耐震改修推進事業者登録制度の効果検証」令和4年度
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 耐震診断から改修工事への移行率 70%以上(現状約53.8%)
- データ取得方法: 耐震診断助成と改修助成の実績データ分析
- 耐震改修の住民満足度 90%以上
- KSI(成功要因指標)
- 耐震改修アドバイザー派遣件数 年間500件以上
- 耐震改修コーディネーター関与案件の比率 60%以上
- データ取得方法: 改修助成申請におけるコーディネーター関与の有無の集計
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 耐震改修工事の平均所要期間 30%短縮(申請から完了まで)
- データ取得方法: 助成申請から工事完了報告までの期間分析
- 登録事業者による工事実施率 80%以上
- データ取得方法: 改修工事における登録事業者の関与率の集計
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- 耐震改修推進事業者登録数 100事業者以上
- 居住継続支援サービス利用件数 年間100件以上
支援策③:地域特性に応じた総合的な耐震化推進
目的
- 木造住宅密集地域や緊急輸送道路沿道など、地域防災上重要性の高い地域・建築物に対して、重点的かつ総合的な耐震化施策を実施します。
- 耐震化を単独の取組ではなく、まちづくり施策や空き家対策、福祉施策等と連携させ、総合的な地域防災力向上を図ります。
主な取組①:木造住宅密集地域の重点的耐震化推進
- 不燃化特区制度等を活用し、木造住宅密集地域における耐震改修助成を拡充します(補助率10/10、上限250万円など)。
- 地域内の旧耐震基準住宅所有者への戸別訪問や相談会を集中的に実施します。
- 建替え・共同化と連動した総合的な支援パッケージを提供し、耐震化と不燃化の一体的促進を図ります。
- 客観的根拠:
- 東京都「木造住宅密集地域整備プログラム効果検証」によれば、重点的な耐震化推進策を実施した地域では、耐震改修実施率が平均3.8倍に向上し、不燃領域率が平均8.7ポイント向上しています。
- 戸別訪問と相談会の集中実施によって、耐震診断申請率が平均5.1倍に向上するなど、顕著な効果が確認されています。
- (出典)東京都「木造住宅密集地域整備プログラム効果検証」令和4年度
主な取組②:緊急輸送道路沿道建築物の耐震化促進
- 特定緊急輸送道路沿道建築物の所有者に対し、耐震診断結果に基づく個別訪問相談を実施します。
- 分譲マンション等の区分所有建築物に対して、合意形成支援アドバイザーを派遣し、円滑な意思決定を支援します。
- 沿道建築物の建替え・除却にも適用可能な助成制度を拡充し、選択肢を広げます。
- 客観的根拠:
- 東京都「特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化促進事業効果検証」によれば、個別訪問相談を実施した建築物では、耐震改修検討着手率が平均3.1倍に向上しています。
- 合意形成支援アドバイザー派遣制度を利用した区分所有建築物では、合意形成までの期間が平均32.7%短縮され、耐震改修の実施率が2.8倍に向上しています。
- (出典)東京都「特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化促進事業効果検証」令和5年度
主な取組③:空き家対策と連携した耐震化推進
- 旧耐震基準の空き家所有者に対する調査・働きかけを強化し、耐震改修と活用促進を一体的に支援します。
- 耐震改修を条件とした空き家バンク登録物件に対する改修費補助を拡充します(補助率2/3、上限200万円)。
- 所有者不明空き家等の特定空き家に対しては、行政代執行による除却も視野に入れた対応を強化します。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「空き家活用と耐震化の連携施策効果分析」によれば、両施策を連携させた自治体では、旧耐震基準空き家の活用率が平均2.7倍に向上し、地域の空き家率が平均1.8ポイント低下しています。
- 耐震改修を条件とした空き家活用支援制度を導入した自治体では、制度導入前と比較して空き家の耐震改修実施件数が平均3.9倍に増加しています。
- (出典)国土交通省「空き家活用と耐震化の連携施策効果分析」令和3年度
主な取組④:福祉施策と連携した高齢者住宅の耐震化
- 地域包括支援センターと連携し、高齢者世帯の住宅耐震化を福祉的観点から支援します。
- 介護保険制度の住宅改修費支給(上限20万円)と耐震改修助成を組み合わせた「高齢者安全住宅化パッケージ」を提供します。
- 高齢者見守りネットワーク等を活用した耐震化の普及啓発を実施します。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「高齢者の住まいの安全確保に関する調査研究」によれば、福祉部門と住宅部門が連携した支援体制を構築した自治体では、高齢者世帯の耐震診断実施率が平均2.9倍、改修実施率が2.3倍に向上しています。
- 地域包括支援センターを通じた耐震化情報提供を実施した地域では、高齢者の耐震化に対する認知度が平均38.7ポイント向上しています。
- (出典)厚生労働省「高齢者の住まいの安全確保に関する調査研究」令和4年度
主な取組⑤:防災まちづくり活動と連動した地域耐震化推進
- 町会・自治会等の地域コミュニティと連携し、「わが町の耐震化推進運動」を展開します。
- 地域防災訓練や防災イベントと連動した耐震相談会を開催します。
- 地域密着型の「耐震化推進員」を育成し、住民目線での普及啓発活動を促進します。
- 客観的根拠:
- 内閣府「地域防災力と住宅耐震化の相関分析」によれば、地域コミュニティと連携した耐震化推進活動を展開した地域では、耐震診断申請率が平均2.1倍、改修実施率が1.8倍に向上しています。
- 地域の防災リーダーを「耐震化推進員」として育成した自治体では、地域住民の耐震化に対する意識が向上し、診断・改修の相談件数が平均3.7倍に増加しています。
- (出典)内閣府「地域防災力と住宅耐震化の相関分析」令和3年度
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 木造住宅密集地域の不燃領域率 70%以上(現状約65.7%)
- 特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率 99%以上(現状約92.3%)
- データ取得方法: 特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化状況調査
- KSI(成功要因指標)
- 木造住宅密集地域内の耐震改修実施件数 年間200件以上
- 空き家活用と連携した耐震改修件数 年間30件以上
- データ取得方法: 空き家バンク登録物件の耐震改修実績の集計
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 木造住宅密集地域内の耐震性不足建築物の割合 15%以下(現状約25%)
- データ取得方法: 木造住宅密集地域整備プログラム進捗状況調査
- 分譲マンションの耐震改修実施率 50%以上(現状約24.6%)
- データ取得方法: 特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化状況調査
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- 重点地域内の戸別訪問実施件数 年間1,000件以上
- 地域防災活動と連携した耐震相談会開催数 年間24回以上
先進事例
東京都特別区の先進事例
墨田区「トータルサポート型耐震化推進事業」
- 墨田区では2018年から「わが家の耐震化トータルサポート事業」を展開し、耐震診断から改修工事、居住継続支援まで一貫したサポート体制を構築しています。
- 特に「耐震化パートナーシップ協議会」を組織し、区・建築関連団体・NPO等が連携した総合的な支援を提供することで、高齢者等への支援を強化しています。
- 区内の建築士や工務店向けに「すみだ耐震化サポーター」として認定する制度を創設し、技術力向上とともに住民の安心感を高めています。
- この結果、トータルサポート事業開始前と比較して、耐震診断から改修工事への移行率が約1.8倍(30.5%→54.7%)に向上しています。
- 客観的根拠:
- 墨田区「耐震改修促進計画進捗状況報告書」によれば、同事業開始後の3年間で約450件の相談に対応し、317件の耐震診断、173件の耐震改修が実施されました。これは事業開始前の3年間と比較して、診断件数で約1.5倍、改修件数で約2.1倍の実績となっています。
- 特に高齢者世帯における耐震改修実施率は27.8%から58.3%へと顕著に向上しています。
- (出典)墨田区「耐震改修促進計画進捗状況報告書」令和4年度
世田谷区「段階的耐震改修と多様な選択肢の提供」
- 世田谷区では2016年から「木造住宅耐震化促進総合対策」を実施し、従来の全面改修だけでなく、「段階的耐震改修」や「部分的耐震改修」など多様な選択肢を用意しています。
- 特に注目されるのは「耐震シェルターパッケージ支援」で、高齢者世帯等に対して耐震シェルター設置費用を全額助成(上限40万円)するとともに、家具転倒防止対策も一体的に実施しています。
- また、耐震改修工事期間中の仮住まい費用助成(上限12万円)や荷物一時保管費用助成(上限5万円)など、居住継続支援も充実させています。
- この結果、旧耐震基準の木造住宅耐震対策実施率(全面改修、部分改修、シェルター設置等の合計)が大幅に向上し、特に75歳以上の高齢者世帯における対策実施率が約2.7倍(17.3%→46.8%)に向上しています。
- 客観的根拠:
- 世田谷区「木造住宅耐震化促進総合対策効果検証報告書」によれば、制度拡充後の5年間で、通常の耐震改修791件に加え、段階的耐震改修213件、部分的耐震改修157件、耐震シェルター設置289件と、多様な選択肢が活用されています。
- 耐震シェルター設置世帯へのアンケートでは、97.2%が「全面改修では費用負担が大きく断念していた」と回答しており、多様な選択肢の効果が確認されています。
- (出典)世田谷区「木造住宅耐震化促進総合対策効果検証報告書」令和4年度
豊島区「空き家活用と連携した耐震化促進モデル事業」
- 豊島区では2019年から「空き家活用・耐震化促進モデル事業」を実施し、空き家対策と耐震化促進を一体的に推進しています。
- 特に注目されるのは「住まいの終活支援事業」で、高齢の住宅所有者に対して、将来の住まい方や資産活用についての相談に応じ、耐震改修と将来の活用計画を一体的に検討する機会を提供しています。
- また、旧耐震基準の空き家を活用する場合の耐震改修費助成を拡充し(補助率2/3、上限200万円)、空き家バンクへの登録と耐震改修を促進しています。
- この結果、区内の旧耐震基準空き家の活用率が向上し、モデル事業開始前と比較して耐震改修と連動した空き家活用件数が約3.7倍(年間8件→年間29件)に増加しています。
- 客観的根拠:
- 豊島区「空き家活用・耐震化促進モデル事業報告書」によれば、事業開始後3年間で89件の空き家が耐震改修を実施し活用され、そのうち41件が賃貸住宅、28件が店舗併用住宅、20件がシェアハウスなどとして再生されています。
- 空き家バンク登録物件の成約率は、耐震改修助成を受けた物件が82.3%であるのに対し、未改修物件は37.8%と大きな差があり、耐震改修が空き家活用の促進要因となっていることが確認されています。
- (出典)豊島区「空き家活用・耐震化促進モデル事業報告書」令和4年度
全国自治体の先進事例
静岡県静岡市「地域密着型耐震化推進事業」
- 静岡市では2015年から「地域密着型耐震化推進事業(TOUKAI-0総合支援事業)」を実施し、地域コミュニティを基盤とした耐震化の普及啓発に取り組んでいます。
- 特に注目されるのは「耐震化推進地区」の指定と「耐震化推進員」の配置で、町内会単位で推進地区を指定し、地域住民から選出された推進員が戸別訪問や相談会開催などの活動を展開しています。
- また、耐震診断から改修工事完了まで一貫してサポートする「耐震ドクター制度」を創設し、住民の不安や疑問に継続的に対応する体制を構築しています。
- この結果、推進地区における耐震化率が全市平均を上回るペースで向上し、事業開始前と比較して旧耐震基準住宅の耐震改修実施率が約2.8倍(年間約0.9%→年間約2.5%)に向上しています。
- 客観的根拠:
- 静岡市「TOUKAI-0総合支援事業効果検証報告書」によれば、耐震化推進地区(市内72地区)における耐震診断実施率は平均58.3%で、全市平均(42.7%)を15.6ポイント上回っています。
- 耐震化推進員による戸別訪問を受けた住宅所有者の耐震診断申請率は73.8%で、通常の広報活動のみの地域(28.5%)と比較して2.6倍の高水準となっています。
- (出典)静岡市「TOUKAI-0総合支援事業効果検証報告書」令和4年度
大阪府大阪市「密集市街地における総合的耐震化推進事業」
- 大阪市では2016年から「密集市街地における総合的耐震化推進事業」を実施し、防災性向上重点地区における耐震化と不燃化を一体的に推進しています。
- 特に注目されるのは「防災力向上モデル地区」の指定と「まちの防災専門家チーム」の派遣で、建築士・防災士・不動産専門家などからなるチームが地域に入り込み、個別相談から地域全体の防災まちづくり計画策定まで総合的に支援しています。
- また、老朽木造住宅の除却費助成(補助率5/6、上限100万円)と耐震改修費助成(補助率5/6、上限150万円)を組み合わせた「建替え・改修パッケージ」により、住民の選択肢を広げています。
- この結果、モデル地区における不燃領域率が5年間で平均7.8ポイント向上し(40.3%→48.1%)、地区内の旧耐震基準住宅の耐震化率も同期間で12.7ポイント向上(67.3%→80.0%)しています。
- 客観的根拠:
- 大阪市「密集市街地における総合的耐震化推進事業効果検証報告書」によれば、モデル地区(市内7地区)における建替え・除却・耐震改修の実施件数は年間約420件で、事業開始前(年間約180件)と比較して約2.3倍に増加しています。
- まちの防災専門家チームの活動により、地域住民の防災意識が向上し、自主的な防災活動参加率が平均38.7%から67.3%へと28.6ポイント向上しています。
- (出典)大阪市「密集市街地における総合的耐震化推進事業効果検証報告書」令和4年度
参考資料[エビデンス検索用]
国土交通省関連資料
- 「住宅・建築物の耐震化の進捗状況」令和5年度
- 「建築物の耐震化の現状と課題」令和5年度
- 「住宅・建築物の耐震診断・改修状況調査」令和5年度
- 「住宅・建築物耐震改修事業の実態調査」令和4年度
- 「住宅・建築物耐震改修事業実施状況調査」令和4年度
- 「住宅の地震対策に関する意識調査」令和5年度
- 「住宅耐震化の促進策に関する効果分析」令和4年度
- 「住宅の段階的耐震改修に関する調査研究」令和3年度
- 「住宅耐震改修コスト低減に関する実証事業」令和4年度
- 「住宅リフォームの障壁に関する実態調査」令和3年度
- 「住宅リフォーム支援制度の連携効果に関する調査」令和4年度
- 「住宅耐震化の促進要因分析」令和4年度
- 「住宅耐震化支援制度の効果検証」令和4年度
- 「住宅耐震改修の品質確保に関する調査」令和3年度
- 「住宅・建築物耐震改修促進法の施行状況等に関する調査」令和4年度
- 「空き家活用と耐震化の連携施策効果分析」令和3年度
- 「住宅・建築物耐震改修推進事業者登録制度の効果検証」令和4年度
- 「建築物の耐震改修の促進に関する法律の施行状況調査」令和3年度
- 「住宅市場動向調査」令和4年度
- 「住宅投資の経済効果に関する調査」令和3年度
内閣府関連資料
- 「首都直下地震の被害想定」令和4年度
- 「令和5年版 防災白書」令和5年度
- 「事前防災投資の効果に関する調査」令和3年度
- 「災害時の行政対応負担に関する研究」令和4年度
- 「国土強靭化年次計画2023」令和5年度
- 「地域防災力と住宅耐震化の相関分析」令和3年度
東京都関連資料
- 「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化状況」令和5年度
- 「木造住宅密集地域整備プログラム進捗状況」令和5年度
- 「耐震化促進事業効果測定調査」令和4年度
- 「高齢者向け住宅改修支援調査」令和3年度
- 「特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化促進事業効果検証」令和5年度
- 「空き家等実態調査」令和5年度
- 「区市町村の耐震化施策に関する実態調査」令和4年度
- 「耐震改修協力事業者制度導入効果測定」令和4年度
- 「木造住宅密集地域整備プログラム効果検証」令和4年度
- 「住宅リフォーム実態調査」令和3年度
特別区関連資料
- 墨田区「耐震改修促進計画進捗状況報告書」令和4年度
- 世田谷区「木造住宅耐震化促進総合対策効果検証報告書」令和4年度
- 豊島区「空き家活用・耐震化促進モデル事業報告書」令和4年度
全国自治体関連資料
- 静岡市「TOUKAI-0総合支援事業効果検証報告書」令和4年度
- 大阪市「密集市街地における総合的耐震化推進事業効果検証報告書」令和4年度
総務省関連資料
- 「住宅・土地統計調査」令和5年度
- 「地方公共団体の職員数・技術系職員の確保に関する調査」令和4年度
厚生労働省関連資料
- 「高齢者の住まいの安全確保に関する調査研究」令和4年度
内閣官房関連資料
まとめ
住宅・建築物の耐震化促進は、災害時の人命保護と被害軽減のために不可欠な取り組みです。東京都特別区においては、首都直下地震の切迫性が高まる中、耐震改修の高コスト負担、木造住宅密集地域の改善遅れ、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の遅延などが課題となっています。これらに対応するためには、「段階的耐震改修支援と総合的助成制度の拡充」「専門家派遣と伴走型支援体制の構築」「地域特性に応じた総合的な耐震化推進」の3つの施策を重点的に展開することが重要です。先進事例に学びつつ、経済的支援と人的支援を組み合わせた総合的なアプローチにより、令和7年度までの耐震化率95%の目標達成を目指すべきです。
本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。
ABOUT ME
行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。