10 総務

統計調査

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(自治体における統計調査を取り巻く環境)

  • 自治体が統計調査を行う意義は「EBPM(証拠に基づく政策立案)の根幹を支える社会情報基盤の構築」と「公正で質の高い行政サービスの提供」にあります。
  • 統計調査は、私たちが健康診断で身体の状態を把握するように、社会や経済の状態を客観的に測るための不可欠な手段です(出典:坂東市「統計調査Q&A」)。これは単なるデータ収集作業ではなく、国や自治体の政策立案、民間企業の経済活動、学術研究など、社会のあらゆる場面で活用される「社会の情報基盤」として法律(統計法)にも位置づけられています(出典:総務省「統計制度の概要」)。
  • 特に、東京都特別区のように、急速な高齢化、インフラの老朽化、自治体間競争の激化といった複雑かつ深刻な課題に直面する地域において、正確で信頼性の高い統計データは、限られた経営資源を最適に配分し、持続可能な行政運営を実現するための生命線と言えます(出典:東京商工会議所「日本の構造問題と東京の成長戦略」令和6年度特別区長会事務局「特別区の人口構造の変化と求められる自治体経営の視点」令和元年)。

意義

住民にとっての意義

サービス品質の向上と公平な資源配分
  • 正確な統計は、福祉、教育、防災といった行政サービスが、勘や経験ではなく実際の住民ニーズに基づいて設計・提供されることを保証します。
  • 国勢調査の結果は、地方交付税の算定基準や地方議会の議員定数の決定根拠として用いられ、住民一人ひとりへの公平な資源配分と民主的な代表性の確保に直接的に貢献します(出典:鳥取県「統計の役割」)。

地域社会にとっての意義

地域課題の正確な把握
  • 統計は、人口構造、産業動向、生活実態といった地域社会の姿を客観的な数値で描き出します。これにより、行政、NPO、企業、住民といった多様な主体が、地域課題に関する共通の理解を持つことが可能になります(出典:中津川市「統計調査にご協力ください」)。
経済活動と研究の促進
  • 公開された統計データは、民間企業にとっては市場分析や需要予測のための貴重な情報源となり、大学や研究機関にとっては学術研究の基礎資料となります。これは、地域経済の活性化や新たなイノベーションの創出を支える重要な役割を担っています(出典:中津川市「統計調査にご協力ください」茨城県「統計豆知識」)。

行政にとっての意義

EBPM(証拠に基づく政策立案)の根幹
  • 統計は、EBPMにおける「エビデンス(証拠)」そのものです。信頼できるデータがなければ、政策は非効率となり、税金の無駄遣いを招くリスクが高まります。統計調査は、効果的な政策形成を通じて、真の意味での税金の効率的活用を支える役割を果たします(出典:坂東市「統計調査Q&A」)。
法的責務と行政の透明性確保
  • 統計調査の実施と活用は、統計法に定められた行政の責務であり、統計は社会全体の公共財として位置づけられています(出典:総務省「統計制度の概要」)。調査結果を公表することは、行政運営の透明性を高め、住民からの信頼を醸成することにも繋がります(出典:坂東市「統計調査Q&A」)。

(参考)歴史・経過

  • 日本の統計制度の歴史は、単なる国家管理の道具から、社会全体で共有・活用される「公共の情報インフラ」へと進化してきた過程そのものです。この変遷を理解することは、現代におけるオープンデータやEBPMの要請の背景を把握する上で重要です。
明治時代:近代統計制度の黎明
  • 1871年(明治4年):太政官正院に「政表課」が設置され、日本の近代的な統計制度が始動しました(出典:(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%85%AC%E7%9A%84%E7%B5%B1%E8%A8%88%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2))。
  • 1902年(明治35年):「国勢調査ニ関スル法律」が公布され、国勢調査の法的根拠が確立されました(出典:総務省統計局「ミニトピックス 我が国の国勢調査のあゆみ」)。
大正・昭和初期:国勢調査の開始
戦後:法制度の確立
平成・令和:EBPMとDXへの転換
  • 2007年(平成19年):統計法が全面的に改正されました。これは画期的な改正であり、公的統計を「社会の情報基盤」と明確に位置づけ、調査票情報の利活用促進や秘密保護の強化が図られました(出典:総務省「統計制度の概要」、(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B1%E8%A8%88%E6%B3%95))。
  • 2010年代後半以降:EBPM(証拠に基づく政策立案)の推進が本格化し、質の高いタイムリーなデータへの需要が急増しました。デジタル化やオープンデータの流れも加速しました。
  • 2018年(平成30年):統計法が再度改正され、学術研究等のための調査票情報の提供ルールが整備されるなど、データ利活用のさらなる促進が図られました(出典:(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B1%E8%A8%88%E6%B3%95))。

統計調査に関する現状データ

  • 統計調査を取り巻く現状は、制度的な予算は確保されている一方で、その実施基盤である社会の協力体制が脆弱化しているという深刻な矛盾を抱えています。最新の白書が示す特別区の社会構造の急激な変化は、この状況下で、より正確かつ詳細な地域データを収集することの重要性と困難性の両方を浮き彫りにしています。
統計調査の実施状況と回答率
  • 全国の動向:厚生労働省が実施する「国民生活基礎調査」など、国の基幹的な統計調査において、回収率の低下傾向が続いています。これは統計の精度に直結する由々しき事態です(出典:大和総研「統計調査の回収率は低下傾向」)。
  • 東京都の状況:令和2年国勢調査における東京都のインターネット回答率は全国で下から3番目と低く、特に都市部住民の協力確保に大きな課題があることを示唆しています(出典:データスタジアム「国勢調査2020からわかること」)。特別区に限定した回答率の推移データは東京都のポータルサイトでは直接公開されていませんが、全国および都の傾向から、同様かそれ以上に厳しい状況にあると推察されます(出典:東京都総務局統計部「東京都の統計」)。
  • 国の予算:国の統計調査に係る令和7年度予算額は約971億円と、前年度比で大幅に増加しており、国としても統計整備の重要性を認識していることがうかがえます(出典:総務省「統計調査に係る令和7年度予算の概要」)。
高齢化の進行(令和7年版高齢社会白書より)
男女共同参画の状況(令和7年版男女共同参画白書より)
  • 特集テーマ:令和7年版白書の特集は「男女共同参画の視点から見た魅力ある地域づくり」であり、人口移動とジェンダー課題の関連性が分析されています(出典:内閣府「令和7年版男女共同参画白書を公表しました」国立女性教育会館「『令和7年版 男女共同参画白書』が6月13日に閣議決定・公表されました」)。
  • 地域からの人口流出:東京圏以外の地域出身の若者、特に女性が、希望する進学先や就職先が少ないことを理由に東京圏へ転出する傾向が顕著です。女性は男性に比べ「地元から離れたかった」「親や周囲の干渉から逃れたかった」といった理由を挙げる割合も高くなっています(出典:内閣府「令和7年版男女共同参画白書 概要」)。
  • 固定的役割分担意識:全国的に「家事・育児は女性の仕事」といった固定的な性別役割分担意識が根強く残っており、6歳未満の子を持つ妻は夫より一日あたり平均で210分以上長く家事関連時間を費やしています。この意識は東京圏以外でより強いと認識されています(出典:内閣府「令和7年版男女共同参画白書 概要」)。
  • 特別区への示唆:特別区が若者や女性に選ばれ続け、持続可能な地域であり続けるためには、こうした性別によるライフコースや価値観の違いを的確に捉えた統計データに基づき、政策を形成していく必要があります。
特別区の財政と人口動態

課題

住民の課題

回答率の低下と調査協力への障壁
  • 全国的な課題として、統計調査の回答率低下が深刻化しています。この背景には、住民側の複数の要因が複雑に絡み合っています。
  • 客観的根拠:厚生労働省「国民生活基礎調査」の回収率は低下傾向にあります。(出典)大和総研「統計調査の回収率は低下傾向」国勢調査において、オートロック・マンションの増加が調査の困難性を増大させていると指摘されています。(出典)総務省統計局「国勢調査の企画・実施上の課題」
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:統計の代表性が損なわれ、特定の層(例:日中在宅の高齢者)の意見に偏った不正確なデータが生成されます。
統計調査の意義・有用性への理解不足
  • 多くの住民が、自らの回答がどのように行政サービスや社会の仕組みに反映されるのかを実感できておらず、「協力しても自分にメリットがない」「面倒なだけ」と捉えがちです。特に若年層において、調査の意義に対する理解不足が協力拒否につながる傾向が見られます(出典:坂東市「統計調査Q&A」総務省統計局「国勢調査の企画・実施上の課題」)。
  • 客観的根拠:調査に協力しても何のプラスにもならないという意見や、調査の意義への理解不足が協力拒否の一因となっています。(出典)坂東市「統計調査Q&A」、総務省統計局「国勢調査の企画・実施上の課題」
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:市民の協力が得られなくなり、統計制度そのものの持続可能性が脅かされます。

地域社会の課題

データ精度の低下がもたらす地域実態の歪曲
  • 統計調査の回答率低下は、単なる技術的な問題ではなく、地域社会に実害をもたらす社会問題です。不正確なデータは、行政の意思決定を誤らせ、政策と地域の実態との間に乖離を生じさせます。例えば、特別区で増加する若年の単身世帯が調査から漏れれば、彼らが必要とする住宅政策や社会支援策が見過ごされ、結果的に税金の非効率な投入と住民の不満を招くことになります。
  • 客観的根拠:調査に回答しない人がいると、集計された「統計」は本当の姿を表さなくなり、現実を見誤るだけでなく、将来への方向づけも誤ることになりかねません。(出典)坂東市「統計調査Q&A」特別区では令和37年(2055年)にかけて医療・介護ニーズが共に急増し、介護職員が約15万人不足すると推計されており、この対策を講じる上で正確な需要予測が不可欠です。(出典)特別区長会事務局「特別区の人口構造の変化と求められる自治体経営の視点」令和元年
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:行政サービスと住民ニーズのミスマッチが深刻化し、非効率な行政運営と住民満足度の低下を招きます。
調査員確保の困難化と地域コミュニティの希薄化
  • 統計調査の最前線を担う調査員の確保が、年々困難を極めています。かつては調査員確保の主な基盤であった町会・自治会は、加入率の低下や役員の高齢化によりその機能が弱体化しています。さらに、協力拒否への対応やオートロックマンションへの訪問など、調査業務そのものの負担が増大していることも、なり手不足に拍車をかけています(出典:総務省統計局「国勢調査の企画・実施上の課題」)。
  • 客観的根拠:調査員確保の困難化の要因として、自治会の弱体化や役員の高齢化が指摘されています。(出典)総務省統計局「国勢調査の企画・実施上の課題」東京都内では人口の6割以上がマンションなどの集合住宅に居住しており、地域コミュニティとの接点が希薄なため、調査への協力が得にくい環境が広がっています。(出典)特別区の政策・課題まとめサイト「特別区の最新トピック」
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:調査員のなり手不足から調査の質が低下し、最終的に統計の信頼性が損なわれます。

行政の課題

専門人材の不足(データサイエンティスト等)
  • 現在の行政が抱える人材課題は二重構造です。第一に、調査の最前線を担う「データ収集者」である調査員の不足。第二に、収集されたデータを政策に昇華させる「データ分析者」であるデータサイエンティスト等の専門人材の不足です。この両輪が揃わなければ、真のEBPMは実現できません。仮にデータ収集がうまくいっても、それを分析・解釈する能力が庁内に不足していれば、データは活用されないまま死蔵されてしまいます。
  • 客観的根拠:EBPMを推進する上での課題として、全国の自治体の8割以上が「手法に関するノウハウ・知識が足りない」、約6割が「人手が足りない」と回答しています。(出典)(https://www.fukushima-u.ac.jp/press/Files/2024/10/188-02.pdf)EBPMの実践には統計学や計量経済学などの専門知識が不可欠ですが、多くの行政職員にとってこれらの習得は困難であり、専門人材の外部登用も十分に進んでいません。(出典)(https://jichitai.works/article/details/2078)
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:収集された貴重なデータが十分に活用されず「宝の持ち腐れ」となり、EBPMが形骸化します。
縦割り行政によるデータ利活用の阻害
  • 多くの自治体組織では、データが各部署の業務システム内に個別に保存され、その形式や管理方法も統一されていません。このようなデータの「サイロ化(孤立化)」は、部署を横断した分析を妨げ、複雑化する社会課題への効果的な対応を困難にしています。例えば、高齢者の社会的孤立(福祉部門データ)と住環境(都市整備部門データ)の関連性を分析するといった、複合的な政策立案の機会が失われています。
  • 客観的根拠:自治体ごとに収集されるデータのフォーマットが異なり、自治体レベルで横断的なデータベースが整備されていないことが、データ利活用を阻む一因として指摘されています。(出典)(https://www.nri.com/content/900033160.pdf)
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:高齢者の孤立(福祉課データ)と住環境(都市整備課データ)の関連分析など、複合的な課題解決の機会が失われます。
デジタル化の遅れと予算確保の課題
  • 行政のデジタル化は進みつつあるものの、依然として多くの調査プロセスが紙ベースで運用されています。オンライン調査システムへの完全移行は、システムの初期開発コストや、デジタル機器の操作に不慣れな住民(デジタルデバイド)への配慮が必要となるため、その進展は緩やかです。
  • 客観的根拠:EBPM推進の課題の一つとして、個人情報を含む行政データのデジタル化が十分に進んでいないことが挙げられています。(出典)(https://jichitai.works/article/details/2078)オンライン調査システムを新規に開発する場合、現行の調査予算への上乗せが必要となり、財政的な制約から予算確保が困難になることがあります。(出典)厚生労働省「統計調査のオンライン化の推進について」
  • この課題が放置された場合の悪影響の推察:行政の非効率性が温存され、調査コストの増大とデータ集計・公表の遅延を招きます。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

  • ※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。
即効性・波及効果
  • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、かつ、他の課題解決にも好影響を与える相乗効果の高い施策を高く評価します。
実現可能性
  • 現在の法制度、予算、人員体制の中で実現可能な施策を優先します。
費用対効果
  • 投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して得られる効果が大きい施策を優先します。
公平性・持続可能性
  • 特定の地域・年齢層だけでなく、幅広い住民に便益が及ぶとともに、一時的ではなく長期的に効果が持続する施策を高く評価します。
客観的根拠の有無
  • 政府資料や学術研究、先進自治体の事例等によって、その有効性が示されている施策を優先します。

支援策の全体像と優先順位

  • 統計調査が直面する課題は「収集」「活用」「基盤」の3つの側面に大別されます。これらに対応するため、**①オペレーションの近代化(収集)、②人材・組織の強化(活用)、③データエコシステムの構築(基盤)**を3つの柱とする支援策を体系的に推進する必要があります。
  • **優先度が最も高い施策は「支援策①:統計調査オペレーションのDXと近代化」です。**回答率の低下と調査員の負担増は、統計制度の根幹を揺るがす喫緊の課題であり、デジタル技術の活用による効率化と負担軽減は待ったなしの状況です。
  • **次に優先すべきは「支援策②:EBPM推進を担う人材育成と組織体制の強化」です。**収集したデータを確実に政策に活かすための体制構築は、近代化されたオペレーションの成果を最大化するために不可欠です。
  • **中長期的には「支援策③:官民連携によるデータエコシステムの構築」を目指します。**これにより、行政内部でのデータ活用に留まらず、地域社会全体でデータを活用し、新たな価値を創造する持続可能な仕組みを構築します。

各支援策の詳細

支援策①:統計調査オペレーションのDXと近代化

目的
  • デジタル技術の活用により、調査回答者の利便性向上と調査員の負担軽減を両立させ、調査の回答率向上とデータ品質の確保を図ります。
  • 広報活動を刷新し、住民の統計調査への理解と協力を促進します。
主な取組①:オンライン回答システムの高度化と利用促進
  • 単にオンライン回答の選択肢を用意するだけでは、利用率は思うように向上しません。回答率を上げるには、行動経済学の知見を取り入れた「巧みな誘導」と、デジタルが苦手な層への「手厚い支援」を両輪で進めることが不可欠です。
  • スマートフォンでの回答に最適化されたUI/UXを整備し、いつでもどこでも容易に回答できる環境を構築します。
  • 回答依頼通知の送付状や封筒のデザインに「ナッジ理論」を応用し、「多くの方がオンラインで回答しています」といった社会的同調を促すメッセージを記載するなど、オンライン回答へと自然に誘導する工夫を凝らします。
  • 高齢者などがデジタル操作に不安を感じることなく回答できるよう、公共施設や郵便局等に職員や支援員が常駐する「オンライン回答支援ブース」を期間限定で設置します。
  • 客観的根拠:つくば市では、令和2年国勢調査においてナッジ理論を取り入れた独自のチラシでインターネット回答を促す試みを実施しました。また、市民意識調査では、案内文のデザイン等を工夫することで、全体の回答率を変えずに郵送回答者をインターネット回答へ誘導する効果が統計的に有意に確認されています。(出典)つくば市「ナッジ理論を活用した実証実験」、つくば市「市民意識調査・アンケートの回答率向上ナッジ」郵送調査とオンライン調査など、複数の回答方法を用意することは、被調査者の利便性を向上させます。(出典)厚生労働省「統計調査のオンライン化の推進について」
主な取組②:調査員へのタブレット端末配備と業務支援システムの導入
  • 全調査員にタブレット端末を配備し、調査対象世帯の管理、地図アプリと連携した効率的な巡回ルートの表示、オンライン回答状況のリアルタイム確認、日々の活動報告などを一元的に行えるようにします。
  • 調査員の居住地や希望条件に基づき、担当調査区を効率的に割り当てる「調査員自動割り当て機能」や、住民基本台帳データと連携して調査区内の世帯数を自動集計する機能を備えた業務支援システムを導入します。
  • これにより、調査票の配布・回収・点検・データ入力といった従来の手作業を大幅に削減し、調査員の心身の負担を軽減します。
  • 客観的根拠:ICTを活用した健康観察の事例では、データ管理や集計が容易になり、書類作成業務の負担が軽減される効果が報告されており、同様の効果が調査員業務でも期待できます。(出典)(https://www.mext.go.jp/content/20230116-mxt_kenshoku-000026992_11.pdf)統計調査員管理システムを導入した自治体では、調査員の自動割り当てや人口・世帯数の自動集計が可能となり、業務が効率化されています。令和6年5月末時点で全国119の自治体が導入済みです。(出典)jichitai.works「統計調査員の確保と業務負担を軽減する」
主な取組③:データとストーリーテリングを活用した戦略的広報
  • 「皆様にご協力いただいた〇〇調査の結果に基づき、この公園の遊具が新しくなりました」「この地域の保育所の待機児童対策は、皆様の回答から得られたデータが基になっています」といったように、調査結果が「どのように政策に結びついたか」を具体的に示すストーリー性のある広報を強化します。
  • 若者向けにはSNSやショート動画、高齢者向けには広報紙や回覧板など、ターゲット層が日常的に接触する多様な媒体を駆使して、調査の意義と成果を届けます。
  • オープンデータを活用し、地域の人口ピラミッドや産業構造などを分かりやすく可視化したダッシュボード(地域の健康診断書)を区のウェブサイトで公開し、市民が自ら地域の姿を理解し、関心を持つきっかけを作ります。
  • 客観的根拠:渋谷区では、コストをかけてでも区報を全戸配布に切り替え、多様な媒体を駆使することで高い閲読率を維持し、住民への情報伝達を徹底しています。(出典)多摩市「『伝わる広報』の実現に向けて」信頼性の高い調査データに基づいたプレスリリースや、社会の関心が高いテーマと結びつけた情報発信は、メディアの注目を引き、広報効果を高めます。(出典)(https://qiqumo.jp/contents/knowhow/4642/)
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 主要統計調査(国勢調査等)の回答率:85%以上
      • データ取得方法:各統計調査の実施結果報告書
  • KSI(成功要因指標)
    • オンライン回答率:50%以上
      • データ取得方法:オンライン回答システムのログデータ
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 調査員の1調査あたりの平均活動時間:20%削減
      • データ取得方法:調査員活動記録に基づくサンプル調査
    • 住民の統計調査の有用性認知度:70%以上
      • データ取得方法:定期的な住民意識調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • タブレット端末配備率:調査員100%
      • データ取得方法:物品管理台帳
    • 統計調査の意義に関する広報コンテンツ制作数:年間20本以上
      • データ取得方法:広報部門の業務実績報告

支援策②:EBPM推進を担う人材育成と組織体制の強化

目的
  • 全職員のデータリテラシーを底上げするとともに、高度な分析を担う専門人材を育成・確保します。
  • 部署横断的なデータ活用を推進する組織体制を構築し、EBPMを一部の職員の特殊技能ではなく、組織文化として定着させます。
主な取組①:職員向け階層別データ利活用研修の体系化
  • 全職員対象(基礎レベル):統計の基本的な見方、グラフの正しい読み解き方、個人情報保護のルールなど、全ての職員が身につけるべきデータリテラシーの基礎を学ぶe-ラーニング等を必修研修として実施します。
  • 政策担当者向け(実践レベル):担当する政策課題に応じて必要なデータを特定し、BIツール等を用いて基本的な分析・可視化(クロス集計、時系列分析等)を行い、政策立案に活かすスキルを習得するワークショップ形式の研修を実施します。
  • 専門職向け(高度レベル):統計学や計量経済学に基づき、政策効果の科学的検証(RCT:ランダム化比較試験、回帰不連続デザイン等)を行うための高度な分析手法を学びます。大学や外部の研究機関と連携して、実践的なプログラムを開発・実施します。
  • 客観的根拠:EBPM推進上の最大の課題として「手法に関するノウハウ・知識が足りない」が8割を超えており、体系的な研修の必要性は極めて高いです。(出典)(https://www.fukushima-u.ac.jp/press/Files/2024/10/188-02.pdf)つくば市では、職員の職層(階層)別にEBPMに関する必修研修を実施し、組織全体の能力向上を図っています。(出典)(https://www.city.setagaya.lg.jp/documents/6156/05.pdf)愛知県名古屋市では、kintoneを活用したDX研修を通じて、職員が自ら業務改善アプリを作成できるスキルを習得し、業務効率化を実現しています。(出典)(https://bansonavi.com/dx/dx_training_provider-local-government/)
主な取組②:データサイエンティストの確保とキャリアパスの構築
  • データ分析を専門職務とする「データサイエンティスト職」を正式に設置し、任期付職員制度などを活用して外部からの専門人材採用を積極的に行います。
  • 庁内公募や研修を通じて意欲と適性のある若手・中堅職員を発掘し、専門職として育成するための明確なキャリアパス(研修、OJT、昇進・昇格)を整備します。
  • 総務省統計局が和歌山県に設置した「統計データ利活用センター」や、連携協定を結ぶ大学の研究室へ職員を派遣し、最先端の分析手法を学ぶ実践的な研修機会を提供します。
  • 客観的根拠:地方自治体におけるEBPM人材の育成は喫緊の課題であり、東京財団政策研究所などが大学等と連携した研修プログラムの構築を進めています。(出典)(https://www.tkfd.or.jp/programs/detail.php?u_id=69)和歌山県は、国の「統計データ利活用センター」と県の「データ利活用推進センター」を南海和歌山市駅ビルに同居させる形で設置し、産学官が連携してデータ利活用を推進する全国的な拠点として機能させています。(出典)総務省統計局「統計データ利活用センター」、和歌山県「和歌山県データ利活用推進センターの取組」
主な取組③:全部局横断型の「データ利活用推進室」の設置
  • 区長直轄など、強いリーダーシップと調整権限を持つ、部局横断型の「データ利活用推進室(CDOオフィス)」を設置します。
  • この組織の主な役割は、①全庁的なデータ戦略の策定と進捗管理、②データ形式の標準化や管理ルールの策定、③各部署が抱える政策課題に対するデータ分析支援・コンサルティング、④データ連携基盤の管理・運用、⑤EBPMの成功事例の収集と全庁的な横展開、などです。
  • これにより、部署ごとにデータが孤立する「サイロ化」を解消し、全庁的な視点でのデータ主導の意思決定を可能にします。
  • 客観的根拠:滋賀県大津市では、若手職員による庁内横断のデータ分析組織「データラボ」を発展させ、市長直轄の「イノベーション戦略室」を設置し、全庁的なEBPMを推進しています。(出典)(https://www.city.setagaya.lg.jp/documents/6156/05.pdf)品川区のAI活用事例や渋谷区のEBPM推進事例など、先進的な取り組みを行う自治体では、専門部署や推進体制の構築がその成功を支えています。(出典)note「特別区の政策トレンド2024」、(https://www8.cao.go.jp/jinji/saiyo/kousotsu_syakaijin/ebpm/index.html)
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • EBPMに基づく政策立案・事業改善の割合:主要事業の50%以上
      • データ取得方法:政策評価調書における客観的根拠(データ)の記載状況の確認
  • KSI(成功要因指標)
    • データサイエンティスト(専門職・兼務含む)の配置数:各区10名以上
      • データ取得方法:人事課の職員データ
    • 部署間データ連携プロジェクトの実施件数:年間10件以上
      • データ取得方法:データ利活用推進室の業務実績報告
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 職員のデータ分析スキル自己評価(5段階評価):平均4.0以上
      • データ取得方法:研修後のアンケート調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • データ利活用研修の全職員受講率:95%以上
      • データ取得方法:研修管理システムの受講履歴
    • データ利活用推進室による各部署へのコンサルティング実施件数:年間50件以上
      • データ取得方法:業務実績報告

支援策③:官民連携によるデータエコシステムの構築

目的
  • 行政が保有するデータを広く社会に開放・共有することで、行政の透明性を高めるとともに、民間企業や住民による新たな価値創造を促進します。
  • 官民のデータを連携させることで、単独のデータでは解決できない複雑な地域課題に対応します。
主な取組①:オープンデータの推進とポータルサイトの整備
  • 個人情報や安全保障に関わる情報を除き、行政が保有するデータは原則公開(オープン・バイ・デフォルト)の方針を掲げます。具体的には、公共施設情報、AED設置場所、子育て施設一覧、各種統計データなどを、二次利用しやすい機械判読可能な形式(CSV、API等)で積極的に公開します。
  • 誰でも容易に目的のデータを探し、ダウンロードできる「オープンデータポータルサイト」を整備・拡充します。
  • データの公開は、住民サービス向上だけでなく、従来、情報公開請求で対応していた業務を削減するなど、行政内部の効率化にも寄与します。
  • 客観的根拠:福島県会津若松市はオープンデータを官民協働のツールと明確に位置づけ、行政内部の業務効率化(人口統計データ更新作業時間を75%削減)と、市民参加による地域課題解決の促進を両立させています。(出典)デジタル庁「オープンデータ100 地方公共団体等による事例」、(https://www.glavis-hd.com/social_problem/000429/)長野市では、食品営業許可に関する情報をオープンデータ化したことで、関連する情報公開請求が減少し、職員の業務負担軽減につながりました。(出典)デジタル庁「オープンデータ100 地方公共団体等による事例」
主な取組②:分野別データ連携基盤(都市OS)の構築
  • データ連携の真価は、異なる主体が持つデータを分野横断的に掛け合わせることで、これまで見えなかった課題解決の糸口を発見できる点にあります。
  • 防災、ヘルスケア、モビリティ、観光といった特定の政策課題ごとに、行政データと民間企業等が保有するデータを安全に連携させるためのプラットフォーム(都市OSや分野別データ連携基盤)を構築します。
  • 例えば、防災分野では、区が保有する避難所情報に、通信キャリアが持つリアルタイム人流データや、SNS上の被害投稿情報を重ね合わせることで、発災時に最も安全かつ効率的な避難誘導を行うことが可能になります。
  • 客観的根拠:高知県では、農業分野に特化したデータ連携基盤「IoPクラウド SAWACHI」を構築。生産者のハウス内環境データ、JAの出荷データ、研究機関の生育予測データなどを連携させ、データ駆動型の「儲かる農業」を官民一体で推進しています。(出典)高知県IoP推進機構「IoPクラウドとは」、(https://www.nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp/info/dtl.php?ID=9687)宮城県仙台市では、消防局の救急搬送データと各医療機関の受入状況データを連携・分析することで、救急医療体制の課題を可視化し、限りある医療資源の有効活用と持続可能な救急医療体制の実現を目指しています。(出典)(https://www.jt-tsushin.jp/articles/case/casestudy_ebpm)、(https://www.stat.go.jp/dstart/case/67.html)
主な取組③:市民参加型データ活用(シビックテック)の促進
  • 公開されたオープンデータを活用して、地域の課題を解決するアプリケーションやウェブサービスを開発する市民やエンジニア(シビックテック活動)を積極的に支援します。
  • 行政職員、市民、地元企業、学生などが一堂に会し、特定のテーマ(例:「子育てしやすいまち」「災害に強いまち」)についてアイデアを出し合い、プロトタイプを開発する「アイデアソン」や「ハッカソン」といったイベントを定期的に開催します。
  • これにより、行政だけでは生まれなかった新たな市民サービスの創出や、市民のまちづくりへの関心・参加意欲の向上を図ります。
  • 客観的根拠:神奈川県横浜市金沢区では、行政サイト内に分散していた子育て情報を集約する保護者目線のサイト「かなざわ育なび.net」が開発され、子育て世代の利便性が大幅に向上しました。(出典)インテック「自治体のオープンデータ活用事例」2021年の熱海市土砂災害では、発災後わずか24時間以内に有志の技術者チームが静岡県の3次元点群オープンデータを解析。災害原因となった盛土を特定し、その後の復旧活動に大きく貢献しました。これは、日頃からのデータ公開がいかに重要かを示す事例です。(出典)(https://www.youtube.com/watch?v=6u25FkViVD0)
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • オープンデータを活用した新規サービス・事業創出件数:年間10件以上
      • データ取得方法:ポータルサイトでの事例収集、ハッカソン等のイベント実績報告
  • KSI(成功要因指標)
    • オープンデータ公開データセット数:500件以上
      • データ取得方法:オープンデータポータルサイトの登録数
    • 官民データ連携プロジェクトの組成数:年間5件以上
      • データ取得方法:データ利活用推進室の業務実績報告
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • オープンデータポータルサイトの年間アクセス数:対前年比20%増
      • データ取得方法:ウェブサイトのアクセス解析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • データ活用イベント(アイデアソン等)の開催回数:年4回以上
      • データ取得方法:イベントの実施報告

先進事例

東京都特別区の先進事例

品川区「生成AIを活用した予算編成」

  • 品川区は、全国で初めて生成AI(ChatGPT)を予算編成プロセスに本格導入しました。令和5年に実施した全区民アンケートで寄せられた約10万件、650万字に及ぶ自由記述意見をAIで分析。従来の手作業では膨大な時間を要する分析を、わずか1時間半で完了させ、客観的な区民ニーズを抽出しました。
  • この分析結果は、具体的な政策として令和6年度の補正予算案に反映されています。例えば、AIが抽出した「日々の生活に直結する食支援」という要望から、所得制限なしで小中学生のいる世帯に米を配布する事業が生まれました。また、「災害時の衛生環境改善」という声に応え、仮設トイレを備えた「トイレトラック」の導入予算が計上されるなど、データに基づく迅速な意思決定を実現しています。
  • 客観的根拠:品川区は2024年度補正予算案の策定にあたり、全区民アンケートの意見をChatGPTで分析しました。(出典)(https://www.youtube.com/watch?v=VAp_5xbPv84)、(https://s.mxtv.jp/tokyomxplus/mx/article/202406201040/detail/)AI分析で抽出された要望に基づき、子育て世帯への米の配布やトイレトラック導入の予算が計上されました。(出典)note「特別区の政策トレンド2024」、(https://www.youtube.com/watch?v=VAp_5xbPv84)

台東区「観光統計・マーケティング調査に基づくインバウンド戦略」

  • 国際的な観光地である浅草や上野を擁する台東区は、携帯電話の位置情報などのビッグデータと独自のアンケート調査を組み合わせた「観光統計・マーケティング調査」を継続的に実施しています。これにより、観光客数、消費額、国籍、滞在時間、満足度などを詳細に把握し、データに基づいた観光戦略を立案しています。
  • 最新の令和5年(2023年)調査では、コロナ禍からの回復状況を定量的に捉え、年間観光客数が3,862万人(うち外国人442万人)、観光消費総額が3,412億円に達したことを確認しました。また、海外からの来訪者の約6割が初めての訪問である一方、リピーターも一定数存在することなど、国籍別の行動パターンの違いを分析し、ターゲットに応じた効果的なプロモーション施策の検討に活用しています。
  • 客観的根拠:台東区は定期的に「台東区観光統計・マーケティング調査」を実施し、その結果を公表しています。(出典)台東区「台東区観光統計・マーケティング調査報告書(令和5年)」、ライフペッパー「浅草のインバウンド」、Labid「台東区観光統計・マーケティング調査委託」令和5年調査では、年間観光客数が前年比132.6%、年間観光消費額が前年比164.1%に増加したことなどが報告されています。(出典)台東区「台東区観光統計・マーケティング調査報告書(令和5年)」

新宿区「ICT活用による高齢者見守り体制の拡充」

  • 単身高齢者世帯が多い新宿区では、孤独死防止対策としてICT技術を積極的に活用しています。従来の緊急通報システム(ペンダント型ボタン等)に加え、令和5年度から新たに「生活リズムセンサー」を導入し、見守り体制を強化しました。
  • このセンサーは、利用者の自宅トイレのドアなどに設置され、一定時間ドアの開閉が感知されない場合に異常と判断し、自動的に警備会社へ通報する仕組みです。通報を受けた警備員が安否確認のために駆けつけ、必要に応じて救急要請などを行います。人の目とICTの目を組み合わせることで、プライバシーに配慮しつつ、24時間365日の切れ目のない見守りを実現しています。
  • 客観的根拠:新宿区は令和5年4月1日から、緊急通報システム事業を拡充し、生活リズムセンサー(ドア開閉センサー)を導入しました。(出典)(https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000359957.pdf)このサービスは、緊急通報システム、定期訪問、配食サービス等と一体的に提供され、在宅で暮らす高齢者の安全・安心を多角的に支援するものです。(出典)厚生労働省「介護サービス情報公表システム」

全国自治体の先進事例

つくば市「ナッジ理論を活用した調査回答率の向上」

  • 科学の街つくば市は、行政課題の解決に「ナッジ(nudge:そっと後押しする)」と呼ばれる行動経済学の理論を積極的に活用しています。特に、市民意識調査や国勢調査において、回答率向上のための実証実験を継続的に行っています。
  • 例えば、調査票を送付する封筒のデザインや案内文の文言を複数パターン用意し、どのパターンが最も回答行動に繋がりやすいかをランダム化比較試験(RCT)という科学的な手法で検証。その結果、介入によって郵送での回答者をオンライン回答へと誘導する効果が統計的に有意に確認されるなど、低コストで効果的な改善策を導き出しています。
  • 客観的根拠:つくば市は、市民意識調査の回答率向上を目的として、ナッジ理論を取り入れた介入のランダム化比較試験(RCT)を複数年度にわたり実施し、その結果を公開しています。(出典)つくば市「市民意識調査・アンケートの回答率向上ナッジ」、(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000273.000028199.html)令和2年国勢調査においても、インターネット回答を促すためにナッジ理論を活用した独自のチラシを作成し、その効果を測定しました。(出典)つくば市「ナッジ理論を活用した実証実験」

会津若松市「官民共創によるオープンデータエコシステムの構築」

  • 会津若松市は、オープンデータを単なる情報公開に留めず、「官民協働・共創」を促進するための戦略的ツールと明確に位置づけています。データポータルサイト「DATA for CITIZEN」を核として、行政、市民、地元企業、大学などが連携し、地域の課題解決に取り組む「データエコシステム」を構築しています。
  • この取り組みは、市民サービスの創出だけでなく、行政内部の業務改革にも繋がっています。例えば、従来手作業で行っていた市の人口統計データの更新・公開作業を、API連携により自動化。これにより、作業時間を従来の4分の1に短縮(75%削減)するなど、行政コストを下げつつ、市民参加を促進するという好循環を生み出しています。
  • 客観的根拠:会津若松市はオープンデータを通じて官民協働、市民参加・共創を促進しており、その取り組みはデジタル庁の優良事例としても紹介されています。(出典)デジタル庁「オープンデータ100 地方公共団体等による事例」、(https://www.glavis-hd.com/social_problem/000429/)データ利活用基盤のAPI活用により、職員の業務負荷を大幅に低減(作業時間1/4)した事例が報告されています。(出典)デジタル庁「オープンデータ100 地方公共団体等による事例」

参考資料[エビデンス検索用]

内閣府関連資料
総務省関連資料
東京都関連資料
その他研究機関・報告書
各自治体公表資料

まとめ

 自治体における統計調査は、EBPMを支え、持続可能な行政運営を実現するための戦略的基盤です。しかし、回答率の低下や人材不足など、その基盤は深刻な課題に直面しています。東京都特別区が今後、複雑化する行政課題に的確に対応していくためには、オペレーションのDX、専門人材の育成、そして官民連携によるデータエコシステムの構築という3つの柱を統合的に推進し、統計機能を抜本的に強化することが不可欠です。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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