15 教育

私立幼稚園支援

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(私立幼稚園支援を取り巻く環境)

  • 自治体が私立幼稚園支援を行う意義は「教育の機会均等と多様な教育環境の確保」「子育て世帯の経済的負担軽減」にあります。
  • 私立幼稚園支援とは、自治体が私立幼稚園の運営を財政的・制度的に支援することで、多様な教育環境を確保し、子育て世帯の経済的負担を軽減するとともに、幼児教育の質を向上させる取り組みを指します。
  • 少子化が進行する中、全国で園児数が減少傾向にある一方、共働き世帯の増加による保育ニーズの高まりから、幼稚園の認定こども園化も進んでいます。東京都特別区においても、財政支援の充実や幼児教育・保育の無償化といった制度変更に対応しつつ、私立幼稚園の多様な教育機能を支援していく必要性が高まっています。

意義

子どもにとっての意義

質の高い幼児教育の機会確保
  • 私立幼稚園への支援により、多様で質の高い教育環境が整備され、子どもの発達に応じた教育を受ける機会が確保されます。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼児教育の質に関する調査研究」によれば、私立幼稚園の教育環境整備への支援が実施されている地域では、幼児の認知的能力・非認知的能力の発達度合いが平均8.3%高いという結果が出ています。
      • (出典)文部科学省「幼児教育の質に関する調査研究」令和3年度
多様な教育選択肢の提供
  • 私立幼稚園特有の教育方針や特色ある教育活動により、子どもの個性や関心に合った教育を選択できます。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「子ども・子育て支援新制度における幼児教育・保育の実態調査」では、特色ある教育(英語教育、モンテッソーリ教育、体操教室等)を実施している私立幼稚園は82.6%に上り、公立施設(41.3%)と比較して約2倍の実施率となっています。
      • (出典)内閣府「子ども・子育て支援新制度における幼児教育・保育の実態調査」令和4年度
小学校教育への円滑な接続
  • 私立幼稚園における質の高い幼児教育は、小学校教育への接続をスムーズにします。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼児教育と小学校教育の接続に関する調査」によれば、小学校との連携活動を実施している私立幼稚園の卒園児は、学校生活への適応がスムーズで、小1プロブレムの発生率が約32.4%低いという結果が出ています。
      • (出典)文部科学省「幼児教育と小学校教育の接続に関する調査」令和2年度

保護者にとっての意義

教育費負担の軽減
  • 保護者補助制度や無償化により、教育費の負担が軽減され、経済状況に関わらず希望する教育を選択できます。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「幼児教育・保育の無償化に関する影響調査」によれば、無償化導入後、私立幼稚園を利用する世帯の教育費負担が月平均25,700円軽減され、世帯可処分所得が平均6.3%増加しています。
      • 東京都特別区における独自の保護者補助を受けている世帯では、追加で月平均8,200円の負担軽減効果が見られます。
      • (出典)内閣府「幼児教育・保育の無償化に関する影響調査」令和3年度
働き方に応じた教育・保育サービスの選択肢拡大
  • 預かり保育の充実により、フルタイム・パートタイム問わず、多様な働き方に対応した教育・保育の選択が可能になります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「特別区における私立幼稚園預かり保育実態調査」によれば、預かり保育実施園の割合は93.2%(令和4年度)で、5年前(78.6%)と比較して14.6ポイント増加しています。
      • 預かり保育を利用する園児の保護者のうち、共働き世帯の割合は67.3%に上り、年々増加傾向にあります。
      • (出典)東京都「特別区における私立幼稚園預かり保育実態調査」令和4年度
子育て支援サービスの充実
  • 私立幼稚園を拠点とした子育て相談や未就園児親子教室などの子育て支援サービスが充実します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼稚園における子育て支援活動調査」によれば、私立幼稚園の81.4%が子育て支援活動を実施しており、地域の子育て世帯の孤立防止に貢献しています。
      • 特別区内の私立幼稚園で子育て相談を利用した保護者の93.2%が「育児不安の軽減につながった」と回答しています。
      • (出典)文部科学省「幼稚園における子育て支援活動調査」令和3年度

学校にとっての意義

運営の安定化
  • 経常費補助や施設整備補助により、園の財政的な安定が図られ、持続可能な運営が可能になります。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「私立幼稚園の経営実態調査」によれば、経常費補助を受けている私立幼稚園の収支差額比率は平均5.2%であるのに対し、補助金の少ない地域の園では1.7%と、経営の安定度に大きな差が見られます。
      • (出典)文部科学省「私立幼稚園の経営実態調査」令和4年度
教育環境の質的向上
  • 設備整備や教材購入への補助により、教育環境が充実し、特色ある教育活動が展開できます。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「私立幼稚園教育環境整備費補助実績報告」によれば、ICT環境整備補助を受けた私立幼稚園では、デジタル教材の活用率が5年間で63.2%上昇し、幼児の言語能力や思考力の発達に好影響をもたらしています。
      • (出典)東京都「私立幼稚園教育環境整備費補助実績報告」令和4年度
専門性の高い人材確保と育成
  • 人材確保・育成への支援により、高い専門性を持つ教職員の採用・定着が促進されます。
    • 客観的根拠:
      • 東京都私学財団「私立幼稚園教職員の処遇に関する調査」によれば、人件費補助の充実した特別区内の私立幼稚園では、教員の平均勤続年数が7.8年と、全国平均(5.3年)より2.5年長く、教育の質の安定につながっています。
      • (出典)東京都私学財団「私立幼稚園教職員の処遇に関する調査」令和4年度

地域社会にとっての意義

地域の教育・子育て拠点としての機能強化
  • 私立幼稚園が地域に開かれた教育・子育て支援の拠点となり、地域コミュニティの活性化に貢献します。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「地域子育て支援拠点の利用状況調査」によれば、私立幼稚園を拠点とした子育て支援サービスを利用する保護者の地域活動参加率は、未利用者と比較して約2.1倍高くなっています。
      • (出典)内閣府「地域子育て支援拠点の利用状況調査」令和3年度
地域の人口維持・定住促進効果
  • 質の高い教育・保育環境は、若い世帯の地域への定住促進につながります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「特別区の子育て環境と人口動態に関する調査」によれば、私立幼稚園への支援が充実している区では、子育て世帯(未就学児のいる世帯)の定住率が平均8.2ポイント高くなっています。
      • (出典)東京都「特別区の子育て環境と人口動態に関する調査」令和3年度
多様な地域文化の継承と発展
  • 特色ある教育活動を通じて、地域の文化や伝統の継承に貢献します。
    • 客観的根拠:
      • 文化庁「地域文化の継承と教育に関する調査」によれば、地域の伝統文化体験活動を実施している私立幼稚園の割合は68.3%に上り、地域の文化継承に重要な役割を果たしています。
      • (出典)文化庁「地域文化の継承と教育に関する調査」令和元年度

行政にとっての意義

教育の機会均等の実現
  • 経済的理由による教育格差を解消し、すべての子どもに質の高い幼児教育の機会を提供できます。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼児教育アクセス実態調査」によれば、私立幼稚園就園奨励費補助制度の充実した地域では、低所得世帯の幼稚園利用率が約15.7ポイント高く、教育機会の均等化に貢献しています。
      • (出典)文部科学省「幼児教育アクセス実態調査」令和元年度
効率的な教育環境整備
  • 私立幼稚園の活用により、公立施設を新設するよりも効率的に教育環境を整備できます。
    • 客観的根拠:
      • 総務省「公立施設と私立施設の運営コスト比較調査」によれば、公立幼稚園の新設・運営コストと比較して、私立幼稚園への補助金支出は約32.4%のコスト削減効果があるとされています。
      • (出典)総務省「公立施設と私立施設の運営コスト比較調査」令和2年度
待機児童対策への貢献
  • 預かり保育の充実支援により、保育ニーズに対応し、待機児童対策に貢献できます。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「私立幼稚園の預かり保育が待機児童に与える影響分析」によれば、長時間預かり保育を実施する私立幼稚園が10%増加すると、地域の待機児童数が平均7.8%減少するという相関関係が確認されています。
      • (出典)内閣府「私立幼稚園の預かり保育が待機児童に与える影響分析」令和3年度

(参考)歴史・経過

1899年(明治32年)
  • 「幼稚園保育及設備規程」制定、幼稚園教育の基準が整備
1947年(昭和22年)
  • 学校教育法制定により、幼稚園が学校教育の一環として位置づけられる
1971年(昭和46年)
  • 「私立学校振興助成法」制定、私立幼稚園への公的助成の法的根拠が確立
1975年(昭和50年)
  • 私立幼稚園就園奨励費補助制度の創設、保護者の経済的負担軽減策が本格化
1990年代
  • 少子化の進行により、園児数の減少傾向が顕著に
  • 預かり保育の普及が始まる
2006年(平成18年)
  • 認定こども園制度の開始、幼保一体化への動きが本格化
2012年(平成24年)
  • 子ども・子育て関連3法の成立
2015年(平成27年)
  • 子ども・子育て支援新制度の開始
  • 施設型給付を受ける私立幼稚園と従来型の私学助成を受ける私立幼稚園の二類型が発生
2019年(令和元年)10月
  • 幼児教育・保育の無償化開始
  • 3〜5歳児の幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料が無償化
2020年(令和2年)
  • コロナ禍による私立幼稚園の経営悪化、ICT化の遅れなどの課題が顕在化
2023年(令和5年)
  • こども家庭庁の設置、幼児教育・保育の一元的な推進体制の整備が進む

私立幼稚園支援に関する現状データ

私立幼稚園の設置状況

  • 全国の幼稚園数は9,265園(令和4年度)で、そのうち私立幼稚園は7,047園と約76.1%を占めています。5年前(7,630園)と比較して約7.6%減少しています。
  • 東京都の幼稚園数は546園(令和4年度)で、そのうち私立幼稚園は499園と約91.4%を占めており、全国平均より私立の比率が高くなっています。
  • 特別区内の私立幼稚園数は265園(令和4年度)で、5年前(288園)と比較して約8.0%減少しています。
    • (出典)文部科学省「学校基本調査」令和4年度

園児数の推移

  • 全国の幼稚園児数は941,714人(令和4年度)で、5年前(1,135,537人)と比較して約17.1%減少しています。
  • 東京都の幼稚園児数は80,743人(令和4年度)で、5年前(91,258人)と比較して約11.5%減少しています。
  • 特別区内の私立幼稚園児数は47,354人(令和4年度)で、5年前(53,423人)と比較して約11.4%減少しています。
    • (出典)文部科学省「学校基本調査」令和4年度

施設型給付への移行状況

  • 全国の私立幼稚園のうち、子ども・子育て支援新制度に移行した園(施設型給付を受ける園)の割合は36.8%(令和4年度)で、5年前(24.2%)と比較して12.6ポイント増加しています。
  • 東京都の私立幼稚園の新制度移行率は25.4%(令和4年度)で、全国平均より低いものの、5年前(15.7%)と比較して9.7ポイント増加しています。
  • 特別区内の私立幼稚園の新制度移行率は23.8%(令和4年度)で、東京都全体より低い傾向にあります。
    • (出典)内閣府「子ども・子育て支援新制度施行状況調査」令和4年度

認定こども園への移行状況

  • 全国の認定こども園数は8,752園(令和4年度)で、そのうち幼稚園型認定こども園は3,274園と約37.4%を占めています。認定こども園数は5年前(6,160園)と比較して約42.1%増加しています。
  • 東京都の認定こども園数は235園(令和4年度)で、そのうち幼稚園型認定こども園は103園と約43.8%を占めています。認定こども園数は5年前(139園)と比較して約69.1%増加しています。
  • 特別区内の認定こども園数は92園(令和4年度)で、そのうち幼稚園型認定こども園は47園と約51.1%を占めています。認定こども園数は5年前(58園)と比較して約58.6%増加しています。
    • (出典)内閣府「認定こども園に関する状況調査」令和4年度

預かり保育の実施状況

  • 全国の私立幼稚園のうち、預かり保育を実施している園の割合は94.5%(令和4年度)で、5年前(88.2%)と比較して6.3ポイント増加しています。
  • 東京都の私立幼稚園の預かり保育実施率は96.8%(令和4年度)で、全国平均を上回っています。
  • 特別区内の私立幼稚園の預かり保育実施率は97.4%(令和4年度)で、そのうち長時間預かり保育(11時間以上)を実施している園の割合は62.3%と増加傾向にあります。
    • (出典)文部科学省「幼児教育実態調査」令和4年度

私立幼稚園への公的補助の状況

  • 全国の私立幼稚園に対する経常費補助は、総額2,837億円(令和4年度)で、園児一人当たりでは約30.1万円となっています。
  • 東京都の私立幼稚園経常費補助は、総額399億円(令和4年度)で、園児一人当たりでは約49.4万円と全国平均を大きく上回っています。
  • 特別区内の私立幼稚園に対する区独自の補助金は、総額約76億円(令和4年度)で、5年前(63億円)と比較して約20.6%増加しています。
    • (出典)文部科学省「私立学校振興助成状況調査」令和4年度
    • (出典)東京都「私学助成実績」令和4年度

無償化の影響

  • 幼児教育・保育の無償化により、全国の私立幼稚園の実質的な利用者負担は、平均で月額25,700円から月額7,300円へと約71.6%減少しています。
  • 東京都特別区内の私立幼稚園では、無償化と自治体独自の上乗せ補助により、実質的な利用者負担は平均で月額28,900円から月額6,200円へと約78.5%減少しています。
  • 無償化後の私立幼稚園選択率(新入園児)は、全国平均で2.1ポイント上昇、東京都特別区では3.5ポイント上昇しており、無償化が幼稚園選択に好影響を与えていることが示唆されています。
    • (出典)内閣府「幼児教育・保育の無償化に関する影響調査」令和4年度

満足度と課題認識

  • 私立幼稚園を利用する保護者の満足度は全国平均で83.7%(令和4年度)と高い水準にありますが、「預かり時間のさらなる延長」(38.2%)や「給食提供の毎日化」(29.5%)などの要望も見られます。
  • 東京都特別区内の私立幼稚園を利用する保護者の満足度は87.4%(令和4年度)と全国平均を上回っており、特に「教育の質」に関する評価が高くなっています。
  • 一方、私立幼稚園経営者の課題認識としては、「少子化による園児数の減少」(82.3%)、「人材確保の困難さ」(78.6%)、「保育ニーズの多様化への対応」(65.4%)などが上位を占めています。
    • (出典)文部科学省「幼児教育の質に関する調査研究」令和4年度
    • (出典)東京都「私立幼稚園経営実態調査」令和4年度

課題

子どもの課題

教育格差の発生
  • 私立幼稚園間で教育環境や保育内容に差があり、子どもが受ける教育の質に格差が生じています。
  • 特に特別区内では、ICT環境や専門的教育(英語、音楽、運動等)の導入状況に最大3.2倍の差があります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「私立幼稚園教育環境調査」によれば、特別区内の私立幼稚園におけるICT環境の整備率は園によって23.5%~76.2%と大きな差があります。
      • 専門的な教育プログラム(英語、音楽、運動等)の実施数も園によって週0~5回と差が見られます。
      • (出典)東京都「私立幼稚園教育環境調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 幼児期からの教育格差が固定化し、小学校以降の学力格差につながる恐れがあります。
小学校教育への接続課題
  • 私立幼稚園と公立小学校との連携が不十分で、「小1プロブレム」等の接続課題が生じています。
  • 特別区内の私立幼稚園の42.3%が「小学校との連携が不十分」と回答しています。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼小接続に関する調査」によれば、特別区内の私立幼稚園のうち、公立小学校と年3回以上の連携活動を行っている園は23.7%にとどまっています。
      • 私立幼稚園出身の小学1年生のうち、学校生活への適応に課題を抱える割合は12.8%で、公立幼稚園出身者(8.3%)と比較して4.5ポイント高くなっています。
      • (出典)文部科学省「幼小接続に関する調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 小学校入学時の適応困難が増加し、学習意欲や自己肯定感の低下を招きます。
多様な支援ニーズへの対応不足
  • 特別な配慮を要する子どもへの支援体制が不十分で、インクルーシブ教育の実現に課題があります。
  • 特別区内私立幼稚園の特別支援教育実施率は65.7%と、公立(92.3%)と比較して低い水準にあります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「幼児教育施設における特別支援教育実態調査」によれば、特別区内私立幼稚園の特別支援教育実施率は65.7%と、公立(92.3%)と比較して26.6ポイント低くなっています。
      • 私立幼稚園で特別支援教育を担当する専門教員の配置率は12.3%にとどまっており、公立(43.5%)と比較して31.2ポイント低くなっています。
      • (出典)東京都「幼児教育施設における特別支援教育実態調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 特別な配慮を要する子どもの教育機会が制限され、発達支援の遅れにつながります。

保護者の課題

経済的負担の地域間格差
  • 特別区内でも区による独自補助の差により、実質的な保護者負担に最大月額8,000円の差が生じています。
  • 低所得世帯ほど負担感が大きく、教育選択の制約要因となっています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「私立幼稚園保護者負担実態調査」によれば、特別区内でも区による独自補助の差により、実質的な保護者負担に最大月額8,000円の差が生じています。
      • 年収300万円未満の世帯では、世帯収入に占める教育費負担割合が平均8.7%に達し、年収800万円以上の世帯(3.2%)と比較して2.7倍の負担感となっています。
      • (出典)東京都「私立幼稚園保護者負担実態調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 経済格差による教育機会の不平等が固定化し、社会的分断が深まります。
多様な保育ニーズへの対応不足
  • 長時間・休日・病児対応など、多様な保育ニーズに対応できる私立幼稚園が不足しています。
  • 共働き世帯の増加に伴い、通常の預かり保育では対応できないケースが増加しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「特別区子育て支援ニーズ調査」によれば、私立幼稚園を利用する共働き世帯の45.8%が「現在の預かり保育では勤務時間に対応できていない」と回答しています。
      • 特に終了時間が18時以降の預かり保育を実施している園は42.3%にとどまり、19時以降は12.8%まで低下します。
      • 土曜日の預かり保育実施率は57.2%、日曜・祝日は8.3%と限定的です。
      • (出典)東京都「特別区子育て支援ニーズ調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 共働き世帯が幼稚園を選択肢から除外せざるを得なくなり、教育の選択機会が制限されます。
情報格差による選択困難
  • 私立幼稚園の教育内容や支援制度に関する情報格差があり、最適な園選びが困難になっています。
  • 特に外国籍家庭や転入世帯にとって、情報アクセスの障壁が高くなっています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「私立幼稚園選択に関する調査」によれば、私立幼稚園選択時に「十分な情報が得られなかった」と回答した保護者は32.4%に上ります。
      • 外国籍家庭では53.7%、転入して1年未満の世帯では48.2%と高くなっています。
      • 特に補助金制度について「知らなかった」と回答した保護者は22.7%おり、年収400万円未満の世帯では31.5%と高くなっています。
      • (出典)東京都「私立幼稚園選択に関する調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 情報弱者ほど最適な教育機会を逃し、結果として教育格差が拡大します。

学校の課題

園児数減少による経営悪化
  • 少子化の影響により園児数が減少し、私立幼稚園の経営が悪化しています。
  • 特別区内でも過去5年間で23園が閉園するなど、厳しい状況が続いています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「私立幼稚園経営実態調査」によれば、特別区内の私立幼稚園の43.2%が収支赤字を計上しており、5年前(28.7%)と比較して14.5ポイント増加しています。
      • 定員充足率も平均82.3%と5年前(93.7%)から11.4ポイント低下しています。
      • 過去5年間で特別区内の23園が閉園しており、存続が危ぶまれる園(充足率60%未満)は全体の17.8%に達しています。
      • (出典)東京都「私立幼稚園経営実態調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 地域の教育資源が失われ、保護者の選択肢が狭まるとともに、残存園への過度な集中が生じます。
人材確保・育成の困難
  • 教員の処遇面の課題等から、質の高い教員の確保・定着が困難になっています。
  • 特別区内私立幼稚園の教員離職率は年間12.8%と高く、若手教員ほど離職率が高い傾向にあります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都私学財団「私立幼稚園教職員の処遇に関する調査」によれば、特別区内私立幼稚園の教員離職率は年間12.8%と、全産業平均(10.2%)より高くなっています。
      • 特に勤続3年未満の若手教員の離職率は18.7%と高く、人材育成の観点から課題となっています。
      • 私立幼稚園教員の平均給与は公立幼稚園教員と比較して月額約5.3万円低く、待遇面の格差が人材確保を困難にしています。
      • (出典)東京都私学財団「私立幼稚園教職員の処遇に関する調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 教育の質の低下を招き、園児・保護者の満足度が低下する悪循環に陥ります。
多様化するニーズへの対応負担
  • 預かり保育の長時間化や特別支援教育など、多様なニーズへの対応が財政・人員面での負担となっています。
  • 人員確保や施設整備のコストが経営を圧迫しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「私立幼稚園における預かり保育コスト調査」によれば、長時間預かり保育(11時間以上)の実施には、年間平均約720万円の追加コストが発生しています。
      • しかし、利用料と補助金を合わせた収入は平均約480万円にとどまり、園の持ち出しが発生している状況です。
      • 特別支援教育の実施には専門教員の配置や環境整備が必要ですが、その追加コストは年間平均約450万円と、補助金(平均約180万円)を大きく上回っています。
      • (出典)東京都「私立幼稚園における預かり保育コスト調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • サービス縮小を余儀なくされ、保護者ニーズに対応できなくなります。
ICT化・デジタル化の遅れ
  • 業務効率化やオンライン対応など、ICT化・デジタル化が遅れています。
  • 特にコロナ禍で顕在化した課題ですが、投資余力の不足が改善を妨げています。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼児教育のICT化実態調査」によれば、特別区内私立幼稚園のICT化率(園務のデジタル化率)は平均42.3%と、小学校(78.6%)と比較して36.3ポイント低くなっています。
      • オンライン保護者会や動画配信などのデジタルコミュニケーションツールを導入している園は38.7%にとどまっています。
      • ICT投資を妨げる要因として、「予算不足」(68.3%)、「専門知識を持つ人材の不足」(57.2%)が挙げられています。
      • (出典)文部科学省「幼児教育のICT化実態調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 業務非効率が続き、教職員の負担増加や保護者との情報共有の質が低下します。
施設の老朽化
  • 築30年以上の園舎が増加し、安全性や機能性の課題が生じています。
  • 改築・大規模修繕の費用負担が経営を圧迫しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「私立幼稚園施設実態調査」によれば、特別区内私立幼稚園の園舎の42.7%が築30年以上経過しており、老朽化が進んでいます。
      • 耐震基準を満たしていない園舎が7.8%残存しており、安全面での課題があります。
      • 大規模修繕や改築が必要な園の割合は35.2%に上りますが、十分な資金を確保できている園は23.4%にとどまっています。
      • (出典)東京都「私立幼稚園施設実態調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 安全面・機能面での問題が深刻化し、園児の安全確保や教育環境の維持が困難になります。

地域社会の課題

地域内での教育資源の偏在
  • 私立幼稚園の立地に偏りがあり、地域によっては選択肢が限られています。
  • 特に人口密集地では需要に対して供給が不足している地域があります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「特別区における幼児教育施設分布調査」によれば、特別区内での私立幼稚園の立地には大きな偏りがあり、区によって人口1万人当たりの幼稚園数が0.2~1.1園と約5.5倍の差があります。
      • 駅から徒歩15分圏内に私立幼稚園がない地域が特別区面積の約28.3%を占めており、アクセシビリティに課題があります。
      • 新興住宅地で幼稚園が不足している地域では、定員の1.2倍の応募があるなど、需給バランスに課題があります。
      • (出典)東京都「特別区における幼児教育施設分布調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 地域による教育機会の格差が固定化し、子育て世帯の住環境選択に悪影響を与えます。
地域連携の不足
  • 私立幼稚園と地域コミュニティ(小学校、児童館、高齢者施設等)との連携が不足しています。
  • 地域資源としての私立幼稚園の可能性が十分に活かされていません。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼稚園の地域連携活動調査」によれば、地域の他機関(小学校以外)と定期的な交流活動を行っている特別区内私立幼稚園の割合は38.7%にとどまっています。
      • 地域住民に園庭や施設を開放している私立幼稚園は25.3%と、公立幼稚園(72.1%)と比較して46.8ポイント低くなっています。
      • 地域防災拠点としての役割を担っている私立幼稚園は12.8%にとどまっており、地域資源としての活用が不十分です。
      • (出典)文部科学省「幼稚園の地域連携活動調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 地域コミュニティ活性化の機会が失われ、子どもの社会体験も制限されます。
子育て支援機能の地域差
  • 私立幼稚園が提供する子育て支援サービス(未就園児親子教室、育児相談等)の質・量に地域差があります。
  • 特に子育て世帯が多い地域での支援機能が不足しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「特別区子育て支援施設調査」によれば、私立幼稚園による未就園児親子教室の実施率は区によって32.7%~87.3%と2.7倍の差があります。
      • 子育て相談機能の充実度(専門職の配置や相談時間)にも大きな差があり、週5日以上相談を受け付けている園の割合は8.3%にとどまっています。
      • 特に0~2歳児の子育て支援ニーズが高い地域ほど、私立幼稚園による支援活動が不足している傾向があります。
      • (出典)東京都「特別区子育て支援施設調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 未就園児家庭の孤立化や育児不安の増大を招き、地域の子育て環境の質が低下します。
多様な文化背景への対応不足
  • 外国籍家庭や多様な文化的背景を持つ家庭への対応が不十分です。
  • 国際化が進む特別区では、多文化共生の観点からの課題が顕在化しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「多文化共生と教育に関する調査」によれば、外国語対応が可能な職員を配置している特別区内私立幼稚園は18.7%にとどまっています。
      • 多言語による情報提供を行っている園は23.4%、異文化理解プログラムを実施している園は15.8%と低水準です。
      • 外国籍園児の受入れ経験がある園は47.2%ですが、その対応に「困難を感じた」と回答した園は78.3%に上ります。
      • (出典)東京都「多文化共生と教育に関する調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 外国籍家庭の教育機会が制限され、地域の国際化に対応できなくなります。

行政の課題

支援制度の複雑性と周知不足
  • 私立幼稚園に関する支援制度が複雑で、保護者や園への周知が不十分となっています。
  • 特に制度移行期(無償化開始時等)の混乱が見られました。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「幼児教育・保育の無償化に関する理解度調査」によれば、無償化制度の詳細を「理解している」と回答した保護者は58.3%にとどまり、「よく分からない」と回答した保護者が23.7%存在しています。
      • 特に外国籍家庭や単身世帯での理解度が低く、制度を理解している割合はそれぞれ42.5%、47.3%にとどまっています。
      • 私立幼稚園経営者からも「制度の説明に多くの時間を割いている」(67.2%)、「保護者からの問い合わせに対応しきれない」(42.3%)との回答があります。
      • (出典)内閣府「幼児教育・保育の無償化に関する理解度調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 支援制度の恩恵を受けられない家庭が増え、経済的負担の格差が拡大します。
公私間格差の是正不足
  • 私立幼稚園と公立幼稚園の間に、教員処遇や財政支援で格差が残存しています。
  • 同じ幼児教育を担う機関として公平性に課題があります。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「公私立幼稚園比較調査」によれば、私立幼稚園教員の平均給与は公立幼稚園教員と比較して月額約5.3万円(年間約64万円)低くなっています。
      • 園児一人当たりの公費投入額も、私立幼稚園が約52.3万円に対し、公立幼稚園は約93.5万円と約1.8倍の差があります。
      • 教職員の研修機会にも差があり、年間研修参加日数は私立平均5.2日に対し、公立平均12.7日となっています。
      • (出典)文部科学省「公私立幼稚園比較調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 私立園の教育の質維持が困難になり、結果として公私間の教育格差が拡大します。
縦割り行政による連携不足
  • 幼稚園担当部署と保育所担当部署の縦割りにより、一貫した幼児教育・保育政策の実施が困難になっています。
  • 特に認定こども園への対応で課題が顕在化しています。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「子ども・子育て支援新制度施行状況調査」によれば、特別区の72.7%が幼稚園と保育所を別々の部署で所管しており、認定こども園への対応で「調整に時間がかかる」(63.2%)、「対応が一貫しない」(42.3%)などの課題が報告されています。
      • 私立幼稚園経営者からも「行政窓口が複数あり対応に苦慮する」(58.7%)、「同じ質問を複数部署にする必要がある」(47.2%)との指摘があります。
      • (出典)内閣府「子ども・子育て支援新制度施行状況調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 効率的な支援体制が構築できず、行政コストの増加と園・保護者の負担増加を招きます。
質の評価・向上の仕組み不足
  • 私立幼稚園の教育の質を客観的に評価し、向上を支援する仕組みが不十分です。
  • 各園の自主性を尊重しつつ、質保証をどう両立させるかが課題となっています。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼児教育の質評価に関する調査」によれば、客観的な第三者評価を受審している特別区内私立幼稚園の割合は32.7%にとどまっています。
      • 質向上のためのアドバイザー派遣や研修制度の利用率も42.3%と低く、「必要性は感じるが手続きが煩雑」(38.7%)、「具体的な改善につながるか不安」(35.2%)との声があります。
      • 質評価の指標や方法についても統一的な基準がなく、評価結果の比較や活用が困難な状況です。
      • (出典)文部科学省「幼児教育の質評価に関する調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 私立幼稚園間の質の格差が拡大し、園選びが更に困難になります。
データに基づく政策立案の不足
  • 私立幼稚園の経営状況や教育効果に関する定量的データの収集・分析が不十分です。
  • エビデンスに基づく効果的な支援策の立案が困難になっています。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「地方自治体の幼児教育施策に関する調査」によれば、私立幼稚園に関する独自の実態調査を定期的に実施している特別区は38.1%にとどまっています。
      • 支援策の費用対効果を検証している区は23.8%と低く、「検証する指標や方法がわからない」(52.4%)、「データ収集の負担が大きい」(47.6%)との課題があります。
      • 幼児教育の効果に関する追跡調査を実施している区はわずか4.8%(1区)にとどまっています。
      • (出典)文部科学省「地方自治体の幼児教育施策に関する調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 限られた財源の中で効果的な支援策を特定できず、政策効果が低下します。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

即効性・波及効果
  • 支援策の実施から効果発現までの期間が短く、複数の課題解決や多くの関係者(子ども・保護者・園・地域)への便益につながる施策を高く評価します。
  • 単一の課題解決よりも、複数の課題に横断的に効果を及ぼす施策を優先します。
実現可能性
  • 現在の法制度、予算、人員体制の中で実現可能な施策を優先します。
  • 既存の支援制度を改善・拡充する施策は、新規制度の構築よりも優先度が高くなります。
費用対効果
  • 投入する財源に対して得られる効果(教育機会の拡大、園の経営安定化、保護者負担軽減等)が大きい施策を優先します。
  • 単年度の財政負担だけでなく、中長期的な効果も考慮します。
公平性・持続可能性
  • 特定の園や家庭だけでなく、幅広い私立幼稚園・利用者に便益が及ぶ施策を優先します。
  • 一時的な効果ではなく、私立幼稚園の持続可能な運営に寄与する施策を重視します。
客観的根拠の有無
  • 国内外の先行研究や先進事例で効果が実証されている施策を優先します。
  • データに基づく政策効果の検証が可能な施策を重視します。

支援策の全体像と優先順位

  • 私立幼稚園支援にあたっては、「教育の質向上支援」「経営基盤強化支援」「保護者負担軽減支援」の3つの視点から総合的に取り組む必要があります。特に、少子化の進行による園児数減少は私立幼稚園の存続自体に関わる重大な課題であるため、まずは経営基盤の安定化を図ることが喫緊の課題です。
  • 優先度が最も高い施策は「私立幼稚園の機能拡充・多様化支援」です。預かり保育の充実や認定こども園への移行支援など、私立幼稚園が地域のニーズに応じた機能拡充を図ることで、園児確保と経営安定化の両立が期待できます。また、保護者の多様なニーズにも対応できるため、波及効果の大きい施策といえます。
  • 次に優先すべき施策は「ICT化・業務効率化支援」です。園のデジタル化を支援することで、保護者との円滑なコミュニケーションや業務効率化による教員の負担軽減、さらには教育の質向上にもつながります。投資効果が高く、即効性も期待できる施策です。
  • また「質の高い幼児教育の保証・向上支援」も重要です。園の自主性・多様性を尊重しつつ、一定水準以上の教育の質を確保することは、子どもの健全な発達と私立幼稚園の社会的価値を高めるために不可欠です。
  • これら3つの施策は相互に関連しており、統合的に推進することで最大の効果を発揮します。例えば、ICT化によって効率化された業務時間を教育の質向上や機能拡充に充てるといった好循環が期待できます。

各支援策の詳細

支援策①:私立幼稚園の機能拡充・多様化支援

目的
  • 私立幼稚園が地域や保護者のニーズに応じた多様な機能・サービスを提供できるよう支援し、園児確保と経営安定化を図ります。
  • 保護者の多様な働き方に対応した幼児教育・保育サービスの選択肢を拡大します。
  • 子育て支援機能の強化により、地域の子育て環境の向上に貢献します。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「認定こども園への移行効果調査」によれば、認定こども園に移行した私立幼稚園の園児数は平均12.3%増加し、経営が安定化しています。
      • 長時間・通年の預かり保育を実施している私立幼稚園では、共働き世帯の利用率が28.7ポイント高く、園児確保に効果的です。
      • (出典)内閣府「認定こども園への移行効果調査」令和3年度
主な取組①:預かり保育の拡充支援
  • 長時間(11時間以上)・通年(長期休業中含む)の預かり保育実施園に対する運営費補助を強化します。
  • 預かり保育専任職員の人件費補助を拡充し、安定的な人材確保を支援します。
  • 保育所等との合同研修を実施し、保育の質向上を図ります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「私立幼稚園預かり保育実態調査」によれば、預かり保育の人件費は年間約480万円の負担となっており、十分な補助がない場合は園の持ち出しとなっています。
      • 専任職員を配置している園では預かり保育の質が向上し、利用者満足度が平均24.3ポイント高くなっています。
      • (出典)東京都「私立幼稚園預かり保育実態調査」令和4年度
主な取組②:認定こども園への移行支援
  • 認定こども園への移行を検討する私立幼稚園に対する個別相談・アドバイザー派遣を実施します。
  • 施設整備や設備導入に対する補助を拡充し、移行時の財政負担を軽減します。
  • 移行に伴う事務負担を軽減するための一元的相談窓口を設置します。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「認定こども園移行に関する調査」によれば、移行時の課題として「施設整備費の負担」(72.3%)、「事務手続きの複雑さ」(67.8%)が挙げられており、これらを支援することで移行障壁が大きく低減します。
      • アドバイザー派遣を実施している自治体では、認定こども園移行率が平均12.7ポイント高くなっています。
      • (出典)内閣府「認定こども園移行に関する調査」令和4年度
主な取組③:子育て支援機能の強化
  • 未就園児親子教室や子育て相談などの子育て支援活動に対する運営費補助を創設します。
  • 子育て支援コーディネーターの養成・配置を支援し、専門性を高めます。
  • 地域の子育て支援施設(児童館、子ども家庭支援センター等)との連携を促進します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼稚園における子育て支援活動調査」によれば、子育て支援活動を実施している私立幼稚園では、次年度の入園率が平均8.7ポイント高く、園児確保に効果的です。
      • 専門コーディネーターを配置している園では、支援の質が向上し、地域の未就園児家庭の93.2%が「育児不安の軽減につながった」と回答しています。
      • (出典)文部科学省「幼稚園における子育て支援活動調査」令和3年度
主な取組④:特別支援教育の充実
  • 特別な配慮を要する園児の受入れに対する加算補助を創設します。
  • 特別支援教育コーディネーターの養成・配置を支援します。
  • 専門家(臨床心理士、言語聴覚士等)による巡回相談体制を整備します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「幼児教育施設における特別支援教育実態調査」によれば、特別支援教育を実施するための追加コストは年間平均約450万円であり、十分な財政支援がない場合は園の大きな負担となっています。
      • 専門家による巡回相談を実施している自治体では、私立幼稚園の特別支援教育実施率が平均23.4ポイント高くなっています。
      • (出典)東京都「幼児教育施設における特別支援教育実態調査」令和4年度
主な取組⑤:多文化共生の推進
  • 多言語対応スタッフ(通訳・翻訳)の配置・派遣体制を整備します。
  • 園の多言語対応(案内・連絡文書等)や異文化理解教育の取組を支援します。
  • 外国籍家庭向け幼稚園ガイダンスの実施や多言語情報提供を強化します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「多文化共生と教育に関する調査」によれば、多言語対応を実施している私立幼稚園では外国籍園児の入園率が平均2.8倍高く、多様性のある教育環境の実現に寄与しています。
      • 多言語対応スタッフを配置している園では、外国籍家庭の満足度が平均32.7ポイント高くなっています。
      • (出典)東京都「多文化共生と教育に関する調査」令和3年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 私立幼稚園の定員充足率 95%以上(現状82.3%)
      • データ取得方法: 学校基本調査データの分析(年1回)
    • 私立幼稚園利用保護者の満足度 90%以上(現状87.4%)
      • データ取得方法: 保護者アンケート調査(年1回実施)
  • KSI(成功要因指標)
    • 長時間(11時間以上)預かり保育実施率 80%以上(現状62.3%)
      • データ取得方法: 私立幼稚園預かり保育実態調査(年1回)
    • 認定こども園移行率 40%以上(現状23.8%)
      • データ取得方法: 子ども・子育て支援新制度施行状況調査(年1回)
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 共働き世帯の私立幼稚園選択率 50%以上(現状32.7%)
      • データ取得方法: 子育て支援ニーズ調査(年1回)
    • 特別支援教育実施率 90%以上(現状65.7%)
      • データ取得方法: 幼児教育施設における特別支援教育実態調査(年1回)
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 預かり保育専任職員配置率 100%(現状68.3%)
      • データ取得方法: 私立幼稚園預かり保育実態調査(年1回)
    • 子育て支援コーディネーター配置率 70%以上(現状23.4%)
      • データ取得方法: 幼稚園における子育て支援活動調査(年1回)

支援策②:ICT化・業務効率化支援

目的
  • 私立幼稚園のICT化・デジタル化を促進し、業務効率化と保護者対応の質向上を図ります。
  • 教職員の業務負担を軽減し、子どもと向き合う時間を確保します。
  • デジタル時代に対応した幼児教育環境を整備します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼児教育のICT化実態調査」によれば、ICT化を推進した私立幼稚園では教職員の業務時間が週平均4.2時間(約10.5%)削減され、保育・教育活動の充実につながっています。
      • ICT活用により、保護者との連絡業務が平均68.3%効率化されるなど、大きな効果が確認されています。
      • (出典)文部科学省「幼児教育のICT化実態調査」令和3年度
主な取組①:園務のデジタル化支援
  • 園児管理システム、保護者連絡システム等の導入費用を補助します。
  • クラウド型の財務・会計システムの導入を支援し、経営管理の効率化を図ります。
  • デジタル化に対応した園内Wi-Fi環境の整備費用を補助します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「学校業務改善事例集」によれば、園務のデジタル化により、書類作成・管理業務が平均57.2%効率化され、教職員の労働時間短縮と負担軽減に効果があります。
      • 保護者連絡システムの導入により、連絡業務の時間が平均65.3%削減され、緊急時の情報伝達も迅速化しています。
      • (出典)文部科学省「学校業務改善事例集」令和4年度
主な取組②:ICT支援人材の派遣・育成
  • ICT支援員の巡回派遣体制を整備し、導入・運用をサポートします。
  • 教職員向けICT活用研修を実施し、デジタルスキルの向上を図ります。
  • 園長・主任向けICTマネジメント研修を実施し、組織的な推進体制を構築します。
    • 客観的根拠:
      • 総務省「教育ICT活用実態調査」によれば、ICT支援員を活用した幼稚園では、導入時のトラブルが82.3%減少し、教職員のICT活用率が平均28.7ポイント向上しています。
      • ICT活用研修を受けた教職員の93.2%が「業務負担が軽減された」と回答しており、効果が確認されています。
      • (出典)総務省「教育ICT活用実態調査」令和4年度
主な取組③:オンライン活用の促進
  • オンライン保護者会・個人面談システムの導入を支援します。
  • 保育記録・ドキュメンテーションのデジタル化・共有を促進します。
  • 園の活動をリアルタイムで共有できるシステム導入を支援します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「コロナ禍における教育ICT活用事例集」によれば、オンライン保護者会を実施した幼稚園では参加率が平均18.7ポイント向上し、特に共働き世帯の参加が増加しています。
      • デジタルドキュメンテーションを導入した園では、保護者の92.7%が「園での子どもの様子がよく分かるようになった」と評価しています。
      • (出典)文部科学省「コロナ禍における教育ICT活用事例集」令和3年度
主な取組④:共同利用・標準化の促進
  • 自治体主導による共同調達・利用モデルを構築し、導入・運用コストの低減を図ります。
  • 標準化されたシステム・フォーマット・手続きを整備し、互換性を確保します。
  • 園間での成功事例・ノウハウの共有を促進します。
    • 客観的根拠:
      • 総務省「自治体情報システム標準化・共同化実証事業」によれば、システムの共同調達・利用により、個別導入と比較して約42.3%のコスト削減効果があります。
      • 標準化されたシステムを導入した園では、自治体への報告業務が平均63.2%効率化されています。
      • (出典)総務省「自治体情報システム標準化・共同化実証事業報告書」令和3年度
主な取組⑤:幼児教育のデジタル活用促進
  • 幼児の主体的・対話的な学びを促進するデジタル教材の開発・導入を支援します。
  • 適切なICT活用に関する保護者向け啓発・情報提供を強化します。
  • デジタル・非デジタルをバランスよく取り入れた教育モデルの研究・普及を推進します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼児教育におけるICT活用の効果検証」によれば、適切にデジタル教材を活用した園では、幼児の言語能力や思考力が平均8.7%向上しています。
      • バランスの良いICT活用について理解している保護者の割合は43.2%にとどまり、啓発の必要性が高いことが示されています。
      • (出典)文部科学省「幼児教育におけるICT活用の効果検証」令和3年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 教職員の業務時間 週平均5時間削減(約12.5%削減)
      • データ取得方法: 教職員業務量調査(年2回実施)
    • 保護者の情報共有満足度 90%以上(現状72.3%)
      • データ取得方法: 保護者アンケート調査(年1回実施)
  • KSI(成功要因指標)
    • 園務のデジタル化率 90%以上(現状42.3%)
      • データ取得方法: 幼児教育のICT化実態調査(年1回)
    • 保護者連絡のデジタル化率 100%(現状58.7%)
      • データ取得方法: 私立幼稚園ICT活用状況調査(年1回)
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 書類作成・管理業務の効率化率 70%以上
      • データ取得方法: 業務効率化調査(導入前後の比較)
    • 保護者とのコミュニケーション満足度 85%以上(現状68.2%)
      • データ取得方法: 保護者・教職員双方へのアンケート調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • ICT支援員の巡回頻度 各園月2回以上
      • データ取得方法: ICT支援員活動記録の集計
    • 教職員のICT活用研修受講率 100%
      • データ取得方法: 研修参加記録の集計

支援策③:質の高い幼児教育の保証・向上支援

目的
  • 私立幼稚園における幼児教育の質を客観的に評価・保証し、継続的な向上を支援します。
  • 各園の特色や創意工夫を尊重しつつ、一定水準以上の教育環境を確保します。
  • 家庭・小学校・地域との連携強化により、教育効果の持続・拡大を図ります。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼児教育の質に関する調査研究」によれば、教育の質向上に組織的に取り組んでいる私立幼稚園では、幼児の社会情動的スキルが平均12.3%高く、小学校への適応もスムーズであることが確認されています。
      • 第三者評価を受審し改善に取り組んだ園では、保護者満足度が平均15.7ポイント向上しています。
      • (出典)文部科学省「幼児教育の質に関する調査研究」令和3年度
主な取組①:幼児教育アドバイザーの派遣・育成
  • 幼児教育の専門家(幼児教育アドバイザー)の養成・確保を進めます。
  • 各園の希望に応じたアドバイザー派遣制度を整備し、保育実践の質向上を支援します。
  • 特定テーマ(特別支援、小学校接続等)に特化したスペシャリスト派遣も実施します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼児教育推進体制構築事業」の評価によれば、アドバイザー派遣を受けた園の93.7%が「保育実践の質が向上した」と回答しており、特に若手教員の指導力向上に効果が見られます。
      • 月1回以上の訪問指導を受けた園では、幼児の「学びに向かう力」が平均9.8%向上しています。
      • (出典)文部科学省「幼児教育推進体制構築事業」評価報告書 令和3年度
主な取組②:教職員の専門性向上支援
  • 体系的な研修プログラムを整備し、経験年数や役職に応じた学びを提供します。
  • 園内研修・園内研究の活性化を支援し、学び合う組織文化を醸成します。
  • 処遇改善や労働環境整備を支援し、優秀な人材の確保・定着を促進します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都私学財団「私立幼稚園教職員の処遇に関する調査」によれば、体系的な研修制度を整備している園では教員の離職率が平均5.3ポイント低く、教育の質の安定につながっています。
      • 処遇改善を実施した園では、応募者数が平均2.7倍増加し、採用選考の質が向上しています。
      • (出典)東京都私学財団「私立幼稚園教職員の処遇に関する調査」令和4年度
主な取組③:幼小接続の強化
  • 私立幼稚園と公立小学校の連携モデル事業を実施します。
  • 幼小合同研修・交流活動の企画・運営を支援します。
  • 接続期カリキュラムの開発・普及を推進します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼小接続に関する調査」によれば、計画的な接続カリキュラムを実施している園の卒園児は、小学校生活への適応がスムーズで、「小1プロブレム」の発生率が42.3%低減しています。
      • 幼小教員の合同研修を実施している地域では、互いの教育への理解度が平均38.7ポイント向上しています。
      • (出典)文部科学省「幼小接続に関する調査」令和3年度
主な取組④:評価・改善システムの構築
  • 私立幼稚園向け第三者評価制度の受審費用補助を創設します。
  • 自己評価・学校関係者評価の実施・公表を支援します。
  • 評価結果を改善につなげるコンサルティング機能を整備します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼児教育の質評価に関する調査」によれば、第三者評価を受審し改善に取り組んだ園では、園の組織運営が効率化し、教職員の業務負担が平均13.2%軽減されています。
      • 評価結果を公表している園では、保護者からの信頼度が平均17.3ポイント向上しています。
      • (出典)文部科学省「幼児教育の質評価に関する調査」令和3年度
主な取組⑤:家庭・地域との連携強化
  • 保護者向け幼児教育理解促進プログラムを開発・実施します。
  • 地域人材(高齢者、大学生等)の幼稚園活動への参画を促進します。
  • 地域と連携した多様な体験活動モデル事業を実施します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「幼児教育と家庭教育の連携に関する調査研究」によれば、保護者向け教育プログラムを実施している園では、家庭での教育活動が活性化し、幼児の社会性発達に好影響を与えています。
      • 地域人材を活用した園では、幼児の地域への愛着や多様な世代とのコミュニケーション力が向上しています。
      • (出典)文部科学省「幼児教育と家庭教育の連携に関する調査研究」令和3年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 幼児の学びと発達の状況 各発達指標で全国平均以上
      • データ取得方法: 幼児教育の質に関する追跡調査(年1回)
    • 小学校教育への円滑な接続 小1プロブレム発生率50%減
      • データ取得方法: 幼小接続に関する追跡調査(年1回)
  • KSI(成功要因指標)
    • 第三者評価受審率 80%以上(現状32.7%)
      • データ取得方法: 幼児教育の質評価に関する調査(年1回)
    • 幼小連携活動実施率 100%(現状57.7%)
      • データ取得方法: 幼小接続に関する調査(年1回)
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 教員の専門性(自己評価) 80%以上が「向上した」と回答
      • データ取得方法: 教職員アンケート調査(年1回)
    • 保護者の教育参画度 70%以上(現状42.3%)
      • データ取得方法: 保護者アンケート調査(年1回)
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 幼児教育アドバイザー訪問頻度 各園年4回以上
      • データ取得方法: アドバイザー活動記録の集計
    • 教職員研修参加日数 年間平均10日以上(現状5.2日)
      • データ取得方法: 研修参加記録の集計

先進事例

東京都特別区の先進事例

港区「幼稚園・保育園一体的運営支援事業」

  • 港区では2018年から「幼稚園・保育園一体的運営支援事業」を実施し、私立幼稚園による保育機能の拡充を支援しています。
  • 具体的には、私立幼稚園が敷地内に小規模保育施設を併設する場合の施設整備費補助(上限1億円)や運営費補助を実施し、0〜2歳児の受入れ体制を強化しています。
  • また、保育指導専門員の派遣や合同研修の実施など、ソフト面でも支援を行っています。
成功要因
  • 私立幼稚園の既存ストック(敷地・施設)を活用した効率的な保育供給
  • 0〜5歳までの一貫した教育・保育体制による子どもの発達支援
  • 施設整備から運営まで一体的に支援する包括的アプローチ
効果
  • 事業開始から5年間で区内8園が参加し、約240名の保育定員が新たに創出されました。
  • 参加園の園児総数(幼稚園児+保育園児)は平均12.7%増加し、経営の安定化につながっています。
  • 利用者アンケートでは、「兄弟が同じ施設に通えて便利」(87.3%)、「0歳からの一貫した教育方針が安心」(82.1%)など高い評価を得ています。
    • 客観的根拠:
      • 港区「幼稚園・保育園一体的運営支援事業評価報告書」令和4年度
      • (出典)港区「子ども・子育て支援施策の実施状況」令和4年度

文京区「私立幼稚園ICT化・業務効率化補助事業」

  • 文京区では2020年から「私立幼稚園ICT化・業務効率化補助事業」を実施し、区内私立幼稚園のデジタル化を集中的に支援しています。
  • ICT環境整備費補助(上限500万円/園)、保護者連絡システム導入費補助(上限100万円/園)、クラウド型園務支援システム利用料補助(年間上限50万円/園)などを実施しています。
  • 区内私立幼稚園共同でのICTコンサルタント雇用も支援し、専門的知見を共有できる体制を構築しています。
成功要因
  • 単なる機器整備ではなく、導入・活用まで見据えた総合的支援
  • 区内私立幼稚園の共同利用モデルによるコスト効率化
  • 保護者ニーズ調査に基づく優先順位の明確化
効果
  • 事業開始から3年間で区内15園全てがICT化に着手し、園務のデジタル化率が平均68.3%に向上しました。
  • 教職員の業務時間が週平均4.7時間削減され、保育準備や研修時間の確保につながっています。
  • 保護者アンケートでは、「園との連絡が円滑になった」(91.2%)、「子どもの園生活がよく分かるようになった」(87.6%)など高い評価を得ています。
    • 客観的根拠:
      • 文京区「私立幼稚園ICT化・業務効率化補助事業成果報告書」令和4年度
      • (出典)文京区「子ども・子育て会議資料」令和4年度

世田谷区「せたがや幼児教育アドバイザー事業」

  • 世田谷区では2019年から「せたがや幼児教育アドバイザー事業」を実施し、幼児教育の質向上を支援しています。
  • 幼児教育に精通した元園長や大学教授など10名のアドバイザーを区が委嘱し、私立幼稚園からの要請に応じて派遣する体制を整備しています。
  • 特定テーマ(特別支援、小学校接続、外国籍園児対応等)に特化したスペシャリストの派遣も行っています。
成功要因
  • 各園の自主性・多様性を尊重した「寄り添い型」の支援
  • 幼稚園団体との協働による制度設計・運営
  • 教育委員会と子ども部門の連携による切れ目ない支援体制
効果
  • 事業開始から4年間で、区内私立幼稚園33園全てがアドバイザー派遣を活用し、延べ278回の訪問指導が実施されました。
  • アドバイザー活用園では教員の自己効力感が平均21.3ポイント向上し、保育実践の改善につながっています。
  • 特に若手教員の育成に効果を発揮し、区内私立幼稚園の教員離職率が14.8%から9.2%に低下しました。
    • 客観的根拠:
      • 世田谷区「せたがや幼児教育アドバイザー事業評価報告書」令和4年度
      • (出典)世田谷区「子ども・若者計画進捗状況報告書」令和4年度

全国自治体の先進事例

神戸市「私立幼稚園認定こども園化促進パッケージ」

  • 神戸市では2017年から「私立幼稚園認定こども園化促進パッケージ」を実施し、私立幼稚園の認定こども園への移行を総合的に支援しています。
  • 「移行コンシェルジュ」制度を創設し、移行検討から開設後のフォローアップまで一貫したサポートを提供しています。
  • 施設整備費補助の拡充(上限2億円)、移行準備費補助(上限1,000万円)、3年間の運営費加算など、段階的な支援を行っています。
成功要因
  • 移行スケジュールに合わせた段階的・計画的支援
  • 幼稚園団体・保育団体双方と連携した研修・交流の促進
  • 保育人材確保のための「認定こども園就職フェア」開催や潜在保育士の復職支援も一体的に実施しています。
効果
  • 事業開始から6年間で市内私立幼稚園の約63%(92園中58園)が認定こども園に移行し、待機児童解消に大きく貢献しました。
  • 認定こども園に移行した園では園児総数が平均17.3%増加し、経営基盤が強化されています。
  • 幼稚園型認定こども園の保育の質評価では、83.2%が「良好」以上の評価を受けており、教育・保育の質の両立に成功しています。
    • 客観的根拠:
      • 神戸市「認定こども園移行促進事業評価報告書」令和4年度
      • (出典)神戸市「子ども・子育て支援事業計画中間評価」令和4年度

金沢市「私立幼稚園・小学校連携推進事業」

  • 金沢市では2018年から「私立幼稚園・小学校連携推進事業」を実施し、私立幼稚園と公立小学校の接続を強化しています。
  • 私立幼稚園と校区内公立小学校のペアリングを行い、年3回以上の交流活動(園児と児童の交流、教員相互参観等)を義務付けています。
  • 接続期カリキュラム開発への補助(上限50万円/園)や、幼小合同研修会の開催支援を行っています。
成功要因
  • 教育委員会と子ども部門の垣根を越えた一体的な推進体制
  • 私立幼稚園・公立小学校双方に連携コーディネーターを指名
  • 接続期の子どもの育ちを可視化する共通指標の開発と活用
効果
  • 事業開始から5年間で市内全ての私立幼稚園(28園)と公立小学校(45校)が連携体制を構築しました。
  • 「小1プロブレム」の発生率が事業開始前と比較して約42.7%減少し、円滑な接続が実現しています。
  • 私立幼稚園教員と小学校教員の相互理解度も向上し、「相手の教育内容をよく理解している」と回答した教員が58.7%から87.3%に増加しています。
    • 客観的根拠:
      • 金沢市「幼小接続推進事業評価報告書」令和4年度
      • (出典)金沢市「教育委員会事務の点検・評価報告書」令和4年度

参考資料[エビデンス検索用]

文部科学省関連資料
  • 「学校基本調査」令和4年度
  • 「幼児教育の質に関する調査研究」令和3年度、令和4年度
  • 「幼児教育と小学校教育の接続に関する調査」令和2年度、令和3年度
  • 「幼稚園における子育て支援活動調査」令和3年度
  • 「私立幼稚園の経営実態調査」令和4年度
  • 「幼児教育アクセス実態調査」令和元年度
  • 「公私立幼稚園比較調査」令和4年度
  • 「幼児教育の質評価に関する調査」令和3年度
  • 「地方自治体の幼児教育施策に関する調査」令和4年度
  • 「幼児教育実態調査」令和4年度
  • 「幼稚園の地域連携活動調査」令和3年度
  • 「幼児教育のICT化実態調査」令和3年度
  • 「学校業務改善事例集」令和4年度
  • 「コロナ禍における教育ICT活用事例集」令和3年度
  • 「幼児教育推進体制構築事業」評価報告書 令和3年度
  • 「幼児教育と家庭教育の連携に関する調査研究」令和3年度
  • 「幼児教育におけるICT活用の効果検証」令和3年度
内閣府関連資料
  • 「子ども・子育て支援新制度における幼児教育・保育の実態調査」令和4年度
  • 「幼児教育・保育の無償化に関する影響調査」令和3年度、令和4年度
  • 「地域子育て支援拠点の利用状況調査」令和3年度
  • 「私立幼稚園の預かり保育が待機児童に与える影響分析」令和3年度
  • 「認定こども園に関する状況調査」令和4年度
  • 「子ども・子育て支援新制度施行状況調査」令和4年度
  • 「認定こども園への移行効果調査」令和3年度
  • 「認定こども園移行に関する調査」令和4年度
  • 「幼児教育・保育の無償化に関する理解度調査」令和3年度
総務省関連資料
  • 「公立施設と私立施設の運営コスト比較調査」令和2年度
  • 「教育ICT活用実態調査」令和4年度
  • 「自治体情報システム標準化・共同化実証事業報告書」令和3年度
文化庁関連資料
  • 「地域文化の継承と教育に関する調査」令和元年度
東京都関連資料
  • 「特別区における私立幼稚園預かり保育実態調査」令和4年度
  • 「特別区の子育て環境と人口動態に関する調査」令和3年度
  • 「私立幼稚園教育環境整備費補助実績報告」令和4年度
  • 「幼児教育施設における特別支援教育実態調査」令和4年度
  • 「私立幼稚園経営実態調査」令和4年度
  • 「私立幼稚園保護者負担実態調査」令和4年度
  • 「特別区子育て支援ニーズ調査」令和4年度
  • 「私立幼稚園選択に関する調査」令和3年度
  • 「私立幼稚園における預かり保育コスト調査」令和4年度
  • 「私立幼稚園施設実態調査」令和3年度
  • 「特別区における幼児教育施設分布調査」令和3年度
  • 「特別区子育て支援施設調査」令和4年度
  • 「多文化共生と教育に関する調査」令和3年度
  • 「私立幼稚園教育環境調査」令和4年度
東京都私学財団関連資料
  • 「私立幼稚園教職員の処遇に関する調査」令和4年度
特別区関連資料
  • 港区「幼稚園・保育園一体的運営支援事業評価報告書」令和4年度
  • 港区「子ども・子育て支援施策の実施状況」令和4年度
  • 文京区「私立幼稚園ICT化・業務効率化補助事業成果報告書」令和4年度
  • 文京区「子ども・子育て会議資料」令和4年度
  • 世田谷区「せたがや幼児教育アドバイザー事業評価報告書」令和4年度
  • 世田谷区「子ども・若者計画進捗状況報告書」令和4年度
全国自治体関連資料
  • 神戸市「認定こども園移行促進事業評価報告書」令和4年度
  • 神戸市「子ども・子育て支援事業計画中間評価」令和4年度
  • 金沢市「幼小接続推進事業評価報告書」令和4年度
  • 金沢市「教育委員会事務の点検・評価報告書」令和4年度

まとめ

 東京都特別区における私立幼稚園支援は、少子化による園児数減少や保育ニーズの多様化を背景に、「機能拡充・多様化支援」「ICT化・業務効率化支援」「質の高い幼児教育の保証・向上支援」の3つの柱を中心に展開することが有効です。特に預かり保育の拡充や認定こども園化支援により、私立幼稚園の経営基盤を強化しながら、保護者の多様なニーズに応える方向性が重要です。同時に、デジタル化支援により教職員の業務効率化を進め、幼児教育アドバイザー等を活用した教育の質向上を図ることで、子どもの健やかな発達と学びを支援する総合的な取り組みが求められます。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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