10 総務

監査結果のフォローアップ

masashi0025

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(自治体における監査結果のフォローアップを取り巻く環境)

  • 自治体が監査結果のフォローアップを行う意義は「監査機能の実効性を確保し、指摘事項の再発を防止すること」と「行政の透明性と住民からの信頼を向上させること」にあります。
  • 自治体における監査結果のフォローアップとは、監査委員等による監査で指摘または勧告された事項に対し、所管部署が是正・改善措置を講じ、その内容を監査委員が確認・検証し、最終的に住民へ公表するまでの一連のプロセスを指します。
  • このプロセスは、単に指摘事項に対応する手続き的な業務ではなく、行政運営におけるPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を完結させ、継続的な業務改善を促すための重要なガバナンス機能です。地方分権の進展と住民の行政への関心の高まりを背景に、監査で発見された課題が確実に是正され、行政サービス全体の質の向上に繋がっているかを示す説明責任を果たす上で、その重要性は一層増しています。

意義

住民にとっての意義

行政の透明性と信頼性の向上
行政サービスの質の維持・向上
  • 監査での指摘を契機に、非効率・不適切な事務処理や制度が見直されることは、結果として住民が受ける行政サービスの質の維持・向上に直結します。例えば、契約事務の適正化により生じた余剰財源を、新たな住民サービスに振り向けることが可能となります。
    • 客観的根拠:
      • 総務省の調査によれば、体系的なフォローアップを実施している自治体では、同種の不適正事案の再発率が平均で42.7%低下しており、行政運営の効率化とサービス品質の安定化に寄与していることが示唆されます。
      • (出典)総務省「監査結果の活用状況に関する調査」令和5年度 6

地域社会にとっての意義

不適正事案の再発防止と健全な財政運営
公正・公平な行政運営の確保
  • フォローアップを通じて、行政運営が法令や条例、規則に準拠している状態が維持・確保されます。これにより、一部の個人や事業者に不当な利益がもたらされることなく、全ての住民に対して公正かつ公平な行政が提供されることになります。
    • 客観的根拠:

行政にとっての意義

PDCAサイクルの確立と行政経営の高度化
  • 監査結果のフォローアップは、行政運営におけるPDCAサイクルの「C(Check:評価)」と「A(Act:改善)」の中核をなすプロセスです。これを制度として定着させることで、組織内に継続的な改善文化が醸成され、行政経営の高度化に繋がります。
    • 客観的根拠:
      • 総務省の調査では、首長部局・議会との連携強化に取り組んだ自治体において、監査結果に基づく制度・政策改善の実施率が平均27.8ポイント向上しており、フォローアップが組織改善の起点となっていることがわかります。
      • (出典)総務省「監査結果の活用状況に関する調査」令和5年度 6
職員のコンプライアンス意識の向上
  • 監査での指摘が厳格にフォローアップされ、改善状況が公表されるという認識が庁内に浸透することで、職員一人ひとりの法令遵守(コンプライアンス)意識や規律、責任感が向上します。
リスク管理体制の強化
  • 監査とフォローアップのプロセスは、事務処理上の誤りや不正の兆候を早期に発見し、是正する機会を提供します。これにより、小さな問題が大きな不祥事や財政的損失に発展することを未然に防ぐ、組織的なリスク管理機能としての役割を果たします。

(参考)歴史・経過

1947年(昭和22年)
1991年(平成3年)
  • 地方自治法改正により、従来の財務監査に加え、事務の執行が合理的かつ効率的に行われているかを主眼とする「行政監査」が監査委員の権限として追加されました。これにより、フォローアップすべき指摘事項の範囲が大きく広がりました。
1997年(平成9年)
2017年(平成29年)
2020年代(令和)
  • デジタル社会の進展に伴い、監査結果や措置状況の公表方法として、従来の紙媒体やPDFだけでなく、検索性・再利用性の高いオープンデータ形式や、専用のデータベース・システムを活用する動きが見られるようになりました。東京都の「監査指摘・改善措置検索システム」などがその代表例です。

監査結果のフォローアップに関する現状データ

国の決算検査報告における指摘状況の推移
地方自治体における監査体制の現状
  • 監査およびそのフォローアップを担う監査委員事務局の体制は、自治体の規模によって大きく異なります。
  • 全国都市監査委員会の調査(令和元年)によると、人口5万人未満の市における監査委員事務局の専任職員数は平均で2.26人となっています。
  • また、全国町村監査委員協議会の調査(令和6年度)でも、多くの町村で職員が他の業務と兼務している状況や、専門的な研修機会の不足が課題として挙げられています。
  • これらのデータは、特に中小規模の自治体において、監査委員事務局が日常の監査業務に追われ、指摘事項に対する詳細な追跡調査や効果検証といった、質の高いフォローアップ業務に十分なリソースを割けていない可能性が高いことを示唆しています。
東京都特別区における公表状況
  • 東京都の特別区は、全23区が定期監査や財政援助団体等監査の結果、およびそれに基づき区長等が講じた措置の状況をウェブサイト等で公表しています。
  • 東京都監査事務局は、平成25年度以降の都の監査指摘事項と改善措置の状況を検索できる「監査指摘・改善措置検索システム」を公開しています。このシステムでは、「改善済」「改善中」といったステータスで進捗を確認することが可能です。
  • これらの取組は、情報公開と透明性の確保に向けた先進的な動きです。しかし、公表されている情報が住民にとって真に理解しやすく、改善の実効性を判断できるだけの質を伴っているかという点が、次の課題となります。単なる「公表」から、実質的な「説明責任の遂行」へと深化させる必要があります。

課題

住民の課題

フォローアップ状況の不透明性
  • 多くの自治体で措置状況報告書は公表されていますが、その内容は「対応しました」といった形式的な記述に留まることが少なくありません。具体的にどのような改善策が講じられ、どのような効果があったのかという、住民が最も知りたい情報が不足しているのが実情です。
「改善済み」の実態に対する検証手段の欠如
  • 行政から「改善済み」と報告されても、住民がその実態を客観的に検証する手段はほとんどありません。問題の根本原因が解決されたのか、それとも単なる一時的な対症療法に終わったのかを判断できず、監査制度そのものへの信頼が揺らぎかねません。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 監査制度そのものへの信頼が形骸化し、住民による正当な監視機能が失われます。

地域社会の課題

同種・類似の指摘事項の再発
  • 実効性のないフォローアップは、同じような問題が異なる部署や翌年度以降に再び発生する原因となります。これは、継続的に税金と行政資源が無駄に使われていることを意味し、地域社会にとって大きな損失です。
    • 客観的根拠:
      • 柏市の措置状況報告書を分析すると、旅費の不適正な支給や時間外手当の計算誤りといった類似の指摘が、人事課、防災安全課、市民課など複数の部署で発生していることがわかります。これは、一つの部署での指摘が組織全体で共有・徹底されていないことを示しています。
      • (出典)柏市「監査結果に基づく措置状況(平成24年度定期監査)」令和5年 3
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 非効率な行政運営が常態化し、地域全体の財政硬直化とサービス水準の低下を招きます。

行政の課題

フォローアップの形骸化と実効性の欠如
  • 監査の指摘に対する対応が、措置状況報告書の提出をもって終了してしまう「報告書作成のための改善」に陥りがちです。改善策が組織の業務プロセスに根付いたか、長期的に効果を発揮しているかまでを検証する仕組みが弱く、フォローアップが形式的な手続きに終わっています。
    • 客観的根拠:
      • 地方自治法は、措置内容の「通知」を義務付けていますが、その措置の実効性を監査委員が事後的に検証することまでは強く求めていません。この制度上の隙間が、フォローアップの形骸化を生む一因となっています。
      • (出典)総務省「地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)」 4
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 監査の権威が低下し、職員の間に「指摘されても報告書を出せば終わり」という意識が蔓延します。
監査委員事務局の体制・専門性の脆弱性
  • 監査委員事務局の職員は、少人数かつ他部署との兼務である場合も多く、高度化・複雑化する行政課題(例:大規模な情報システム、専門的な契約、複雑な補助金事業)に関する深い知見が不足しがちです。これにより、指摘事項の根本原因を十分に分析したり、提案された改善策の妥当性を評価したりすることが困難になっています。
縦割り行政による知見の共有不足
  • ある部署でなされた監査指摘とそれに対する有効な改善策が、組織横断的に共有される仕組みが欠如しています。これにより、他の部署が同じ過ちを犯すという非効率が放置され、組織全体としての学習機会が失われています。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 組織全体としての学習機会が失われ、行政運営の非効率性が温存されます。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

  • **即効性・波及効果:**施策の実施から効果発現までの期間が短く、単一の課題解決に留まらず、複数の課題に横断的に効果を及ぼし、多くの住民や部署に便益が及ぶ施策を高く評価します。
  • **実現可能性:**現行の法制度や予算、人員体制の中で、大きな障壁なく着手・実行できる施策を優先します。既存の仕組みや資源を活用できる施策は、優先度が高くなります。
  • **費用対効果:**投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して、得られる効果(業務効率化、財政負担軽減、住民満足度向上等)が大きい施策を優先します。
  • **公平性・持続可能性:**特定の住民層や部署だけでなく、広く便益が及ぶ公平な施策を優先します。また、一時的な効果で終わらず、長期的・継続的に効果が持続する仕組みを高く評価します。
  • **客観的根拠の有無:**政府の調査報告や先進自治体の成功事例など、効果が客観的なエビデンスに裏付けられている施策を優先します。

支援策の全体像と優先順位

  • 監査結果のフォローアップを実効性のあるものへと転換するためには、「プロセスの制度化」「体制の強化」「デジタルの活用」という3つの視点から、総合的かつ段階的に取り組むことが不可欠です。これらは相互に連携し、相乗効果を生み出します。
  • 最優先(優先度:高):支援策① 監査フォローアップ・プロセスの標準化と制度化
    • 全ての改善活動の土台となるため、最優先で取り組むべき施策です。明確で一貫したルールがなければ、他の施策も場当たり的になります。実現可能性と波及効果が共に高く、即効性も期待できます。
  • 次点(優先度:中):支援策② 監査機能の専門性強化と組織横断的なナレッジ共有
    • 標準化されたプロセス(支援策①)の「質」を高める施策です。プロセスの形だけを整えても、それを運用する人材の専門性や、組織としての学習能力が伴わなければ形骸化します。支援策①と並行して進めることが望ましいです。
  • 発展(優先度:低):支援策③ デジタル技術を活用したフォローアップのDX推進
    • プロセスと体制が整った上で導入することで、最大の効果を発揮する施策です。効率性、透明性を飛躍的に向上させる強力なツールですが、基盤となるプロセス(支援策①)や、活用すべき質の高い情報(支援策②)がなければ、単なるシステムの導入で終わってしまいます。

各支援策の詳細

支援策①:監査フォローアップ・プロセスの標準化と制度化

目的
  • 監査指摘から改善措置、効果検証、結果公表までの一連のプロセスを標準化し、全庁的な必須業務として制度化することで、フォローアップの形骸化を防ぎ、実効性を担保します。
    • 客観的根拠:
      • 監査結果のフォローアップが「通知」や「報告」で終わりがちな現状(1)を改善し、一連のサイクルとして確立する必要があるためです。
主な取組①:フォローアップ管理台帳の導入と進捗の「見える化」
  • 全ての指摘事項について、担当部署、改善計画、完了予定日、進捗状況、完了報告を記録する標準化された「フォローアップ管理台帳」を導入します。
  • この台帳を庁内ネットワークで共有し、監査委員事務局と各部署がリアルタイムで進捗を確認できる体制を構築します。
主な取組②:措置完了の定義の明確化と完了承認プロセスの導入
  • 「措置完了」の定義を、単なる「応急処置」ではなく「再発防止策を含む恒久対策の実施・定着」と明確に規定します。
  • 部署からの完了報告に対し、監査委員事務局がヒアリングや実地調査を行い、定義を満たしているかを確認した上で「完了承認」を与えるプロセスを設けます。
    • 客観的根拠:
      • 志木市では、「措置状況通知」の内容として「措置内容」「対応」「考え方等」を求めており、単なる報告以上の実質的な回答を促す仕組みがあります。この考え方を、より厳格な承認プロセスへと発展させ、実効性を担保します。
      • (出典)志木市「監査の結果に対する措置状況通知」 24
主な取組③:監査結果の議会への報告と質疑の義務化
  • 監査結果報告書及び措置状況報告書を議会に提出するだけでなく、定例議会の所管委員会等で、担当部署の責任者が内容を説明し、質疑に応じることを制度化します。
  • これにより、議会による行政監視機能(チェック機能)を実質的に強化し、執行機関への健全なプレッシャーを醸成します。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 指摘事項の再発率:前年度比20%減
      • データ取得方法: 過去の監査結果報告書と当年度の指摘事項を突合し、同種・類似事案の発生件数を監査委員事務局が分析します。
  • KSI(成功要因指標)
    • 措置完了の平均所要日数:目標180日以内
      • データ取得方法: 「フォローアップ管理台帳」に記録された指摘日から完了承認日までの日数を自動集計します。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 措置完了承認率(年度内に報告されたもののうち承認された割合):95%以上
      • データ取得方法: 「フォローアップ管理台帳」のステータスから算出します。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • フォローアップ管理台帳の全庁導入率:100%
      • データ取得方法: 監査委員事務局による導入状況確認。
    • 議会での措置状況報告・質疑の実施回数:各定例会で1回以上
      • データ取得方法: 議会の議事録から確認します。

支援策②:監査機能の専門性強化と組織横断的なナレッジ共有

目的
  • 監査委員事務局及び各部署の担当者の専門性を高め、監査指摘から得られた知見を組織全体で共有することで、問題の根本原因の特定と水平展開による全庁的なガバナンス向上を図ります。
    • 客観的根拠:
      • 監査委員事務局の体制・専門性の脆弱性(2)や、縦割り行政による知見の共有不足(3)といった課題に直接対応するためです。
主な取組①:監査委員事務局への専門人材の配置・育成
  • 公認会計士、弁護士、IT専門家等の外部専門人材を任期付職員として採用するか、専門業務ごとに外部委託を積極的に活用します。
  • 内部のプロパー職員向けに、財務分析、データ分析、リスク管理等の専門研修プログラムを体系的に実施し、内部からの専門性向上も図ります。
主な取組②:監査指摘事項データベースの構築と分析
  • 過去の全指摘事項を内容、原因、部署、関連法令等で分類したデータベースを構築します。
  • テキストマイニング等の手法を用いて頻出する問題や部署ごとの傾向を分析し、重点的に監査・フォローアップすべき領域を特定するためのエビデンスとして活用します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都の「監査指摘・改善措置検索システム」がこの原型となります。これを単なる検索システムから、傾向分析やリスク評価が可能なインテリジェンスツールへと高度化させることで、より戦略的な監査・フォローアップを実現します。
      • (出典)東京都監査事務局「監査指摘・改善措置検索システム」 15
主な取組③:「監査改善事例集」の作成と全庁共有
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 類似指摘事項の部署間での発生率:前年度比30%減
      • データ取得方法: 監査指摘事項データベースを分析し、異なる部署で同種の指摘が発生した件数をカウントします。
  • KSI(成功要因指標)
    • 監査委員事務局の専門職(会計・法律・IT等の有資格者・経験者)比率:目標20%以上
      • データ取得方法: 人事データに基づき監査委員事務局が算出します。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 職員向けコンプライアンス研修における監査改善事例の活用率:100%
      • データ取得方法: 研修実施部署からの報告に基づき集計します。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 「監査改善事例集」の発行回数:年2回以上
      • データ取得方法: 監査委員事務局の発行実績。
    • 監査指摘事項データベースの分析レポート発行数:四半期に1回
      • データ取得方法: 監査委員事務局のレポート作成実績。

支援策③:デジタル技術を活用したフォローアップのDX推進

目的
  • デジタル技術を活用してフォローアッププロセス全体の効率化と透明化を図り、監査委員事務局と各部署の負担を軽減するとともに、住民への情報公開を高度化します。
主な取組①:監査フォローアップ・プラットフォームの構築
  • 支援策①で導入する「フォローアップ管理台帳」を、クラウドベースのプラットフォームとして構築します。
  • 指摘事項の登録、改善計画の提出、証拠書類(証憑)のアップロード、監査委員事務局からのコメント、完了承認までの一連のやり取りをプラットフォーム上で完結させ、ペーパーレス化と業務効率化を実現します。
    • 客観的根拠:
主な取組②:プラットフォームと住民向け公表サイトの自動連携
  • プラットフォーム上で「公表可」とされた措置状況が、自動的に区のウェブサイト上の公表ページに反映される仕組みを構築します。
  • 住民は、指摘内容、措置状況、完了時期などを、検索・ソート可能なインターフェースでいつでもリアルタイムに近い形で閲覧できるようになります。
    • 客観的根拠:
      • 多くの特別区がウェブサイトで結果をPDF形式で公表しています。これをデータベース化し、東京都のシステムのように検索性を高め、さらに更新を自動化することで、透明性と即時性を飛躍的に向上させます。
      • (出典)板橋区「措置結果通知」 27
      • (出典)渋谷区「監査などの結果」 22
主な取組③:RPA等を活用したモニタリングの自動化
  • 措置完了報告に含まれる定型的なデータ(例:経費執行データ、契約データ)について、RPA(Robotic Process Automation)を用いて関連システムから自動的に抽出し、改善が実行されているかをモニタリングする仕組みを試行導入します。
    • 客観的根拠:
      • 国の行政運営改善調査では、勧告後の改善措置のフォローアップが行われています。このフォローアップ業務のうち、定型的なデータ確認作業をデジタル技術で効率化・自動化する試みです。
      • (出典)総務省「行政評価・監視」 28
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • フォローアップ業務にかかる行政コスト(人件費換算):20%削減
      • データ取得方法: 業務量調査(BPR)を導入前後に実施し、所要時間の変化から算出します。
  • KSI(成功要因指標)
    • 住民向け公表サイトの措置状況データ更新の即時性:完了承認後、1営業日以内
      • データ取得方法: システムログから自動計測します。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 住民向け公表サイトの年間アクセス数:前年度比20%増
      • データ取得方法: ウェブサイトのアクセス解析ツールで計測します。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 監査フォローアップ・プラットフォームの導入率:100%
      • データ取得方法: 監査委員事務局による導入状況確認。
    • プラットフォーム上で処理された指摘事項の割合:100%
      • データ取得方法: プラットフォームの利用実績データから算出します。

先進事例

東京都特別区の先進事例

千代田区「全庁的な是正措置の徹底と情報共有」

  • 千代田区は、定期監査の指摘事項に対し、具体的な措置内容を文書に取りまとめ、全部長に通知するだけでなく、全職員にその情報を共有し、各所属長に事項確認を求めることで、再発防止とコンプライアンス意識の徹底を図っています。特に、誤りが起こりやすい契約事務や収入事務について、マニュアルの再確認やチェックリストの活用を促すなど、具体的な再発防止策を講じている点は、他の自治体も参考にすべき優れた取組です。

目黒区「外郭団体等へのガバナンス強化指導」

  • 目黒区は、行政監査において、財政援助を行っている団体の規約や会計規程が未整備であることを指摘し、改善を求めています。単に補助金の使途をチェックするだけでなく、団体の自主性を尊重しつつも、規程の整備や監事による監査の実施など、団体のガバナンスそのものの強化に向けた具体的な指導を行っている点が特徴です。措置状況報告では、実際に規約が制定されたことなどが確認されており、指導の実効性がうかがえます。

板橋区「措置結果通知の体系的な蓄積と公表」

  • 板橋区は、区のウェブサイト上で、過去複数年度にわたる監査結果に対する「措置結果通知」を体系的に整理し、PDF形式で公表しています。これにより、住民や研究者が過去の指摘事項とそれに対する区の対応を時系列で追跡することが容易になっています。情報の透明性を確保し、アカウンタビリティを果たす上で、このような情報の蓄積とアクセシビリティの確保は非常に重要です。

全国自治体の先進事例

柏市「具体的な措置内容の公表と横断的な課題の可視化」

  • 柏市が公表している監査結果に基づく措置状況報告書は、部局ごと、指摘事項ごとに、具体的な是正内容(例:チェック体制の変更、マニュアルの改訂、職員への通知)を詳細に記載しており、透明性が非常に高い事例です。どのような改善が行われたかが明確にわかるだけでなく、報告書全体からは、旅費や手当の誤支給といった、複数の部署に共通する課題が浮かび上がり、組織横断的な対策の必要性を示唆する貴重なデータとなっています。

東京都「監査指摘・改善措置検索システム」

  • 東京都監査事務局が運営するこのシステムは、平成25年度以降の各種監査における指摘事項と、それに対する知事等が講じた措置の状況を検索できる画期的なデータベースです。「改善済」「改善中」といったステータスで進捗を追跡できるため、都政全体のフォローアップ状況の透明性向上に大きく貢献しています。これは、他の自治体が目指すべき監査フォローアップDXのモデルケースと言えます。

参考資料[エビデンス検索用]

まとめ

 自治体における監査結果のフォローアップ強化は、単なる手続きの遵守ではなく、行政の信頼性と健全性を支える経営課題です。指摘事項の是正をPDCAサイクルに組み込み、そのプロセスと結果を住民に透明性高く示すことで、監査は真に実効性のあるガバナンス機能へと進化します。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

ABOUT ME
行政情報ポータル
行政情報ポータル
あらゆる行政情報を分野別に構造化
行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。
記事URLをコピーしました