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政府の戦略17分野と個別株投資:2040年シナリオ試算と出遅れ国策銘柄(令和8年6月25日時点版)

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目次
  1. はじめに
  2. 増やす力の基礎をやさしく整理する
  3. 米国株の割高と、日経平均を積み立てる妥当性の高まり
  4. 政府の成長シナリオごとに2040年の日経平均を試算する(本記事の目玉)
  5. 東京証券取引所の改革による構造的な株価上昇
  6. 政策との連動がもたらす恩恵:銀行株と総合商社
  7. 上昇株に資金が集中する相場の特徴
  8. 趣味としての個別株:
    戦略17分野の出遅れ国策銘柄
    (令和8年6月25日時点)
  9. 2026年夏の骨太の方針が示す優先順位
  10. まとめ:
    長期積立の継続が最重要、個別株は少額で長期放置

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。
※投資は自己責任・自己判断でお願いします。

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 上記の記事では、政治イベントに伴う相場変動と長期投資の心構えを取り上げました。今回はその続編として、資産運用の基礎を改めて整理した上で、政府の戦略17分野(危機管理投資・成長投資)と連動する個別株投資の考え方を、趣味の範囲で楽しむ一例として紹介します。あくまで自己判断・自己責任が大原則であり、投資の中核は広く分散された低コストのインデックスファンドの長期積立に置くことを大前提とします。

 本記事は、これまで公開してきた個人投資家向け記事の改訂版です。令和8年6月24日に開催された第8回経済財政諮問会議において、戦略17分野の「主要な製品・技術等」62項目ごとの官民投資額と、2040年度にかけての経済・財政の試算が示されました。本記事ではまず資産運用の基礎をやさしく整理し、米国株が相対的に割高となるなかで円建ての日経平均を積み立てる妥当性が高まっている点を、政府の成長シナリオに基づく2040年の日経平均試算(名目GDPとの相関)で裏付けます。そのうえで、暴落が来ても絶対に狼狽売りせず積立を継続することが最重要であることを確認し、最後に趣味の余剰資金で楽しむ個別株として、戦略17分野に深く関わりながら出遅れている国策銘柄を整理します。資産形成の中核を広く分散された低コストのインデックスファンドの長期積立に置く点は、一貫した大前提です。

増やす力の基礎をやさしく整理する

なぜ運用しない選択がリスクになるのか

 経済学者トマ・ピケティは『21世紀の資本』(2013年)で、資本収益率(r)は経済成長率(g)を歴史的に上回るという不等式を示しました。資本収益率が年率4〜5パーセント、経済成長率が年率1〜2パーセントで推移してきた事実は、労働所得だけに頼る人と、資産を持って運用する人との差が時間とともに開き続けることを意味します。日本は2020年を境に約30年続いたデフレからインフレへ転換し、消費者物価指数は前年比2〜3パーセント台の上昇が続いています。物価上昇率2パーセントが続けば、1,000万円の現金は10年後に実質約820万円、20年後に約672万円まで目減りします。預金金利がインフレ率を下回り続ける環境では、貯金だけという選択こそが、静かに資産を減らすリスクになっているのです。

複利と72の法則という最大の武器

 資産運用で何よりも重要なのが複利効果です。複利とは、得た利益を元本に組み入れ、その元本にさらに利益がつく仕組みで、長く続けるほど雪だるま式に増えていきます。たとえば100万円を年5パーセントで運用すると、利益を再投資する複利では30年後に約432万円になりますが、最初の元本にしか利息がつかない単利では約250万円にとどまり、その差は約182万円に達します。期間が長いほど両者の差は指数関数的に開きます。「72の法則」を使えば、資産が2倍になる年数は72を年利回りで割って求められ、年利6パーセントなら12年、年利4パーセントなら18年で2倍になる計算です。始めるのが早いほど、複利の恩恵は大きくなります。

20年以上の長期投資では損失が生じてこなかった

 投資期間が長いほどリターンの振れ幅は縮小します。米国株式の1950年から2019年までのデータでは、投資期間が1年だと年平均リターンはプラス47パーセントからマイナス39パーセントまで大きくぶれますが、20年以上になるとプラス6パーセントからプラス17パーセントの範囲に収まり、損失が生じた期間はありませんでした。年率平均リターンは長期で約7〜10パーセント、全世界株式では長期の目安として年平均約5.3パーセントが用いられます。インフレが続く環境では、現金を抱え続けるよりも、株式インデックスを長期で保有する優位性がいっそう際立ちます。

分散とドルコスト平均法

 投資の3大原則は、長期・分散・低コストです。これに非課税制度(新NISA・iDeCo)の活用と、積立による時間分散を加えた「長期・積立・分散・低コスト・非課税」が実践の基本セットとなります。中身の分散とは、特定の銘柄や地域に集中せず、全米・全世界に広く分散した低コストのインデックスへ薄く広く投資することです。個別のA社が大きく上昇する場面はあっても、上場廃止で価値が失われるリスクもあります。一方、数千社に分散した全世界インデックスは、致命的な損失を避けながら長期のリターンを安定的に積み上げられます。時間の分散とは、毎月一定額を買い続けるドルコスト平均法のことで、価格が高い時期は少なく、安い時期は多く買えるため平均取得単価が下がり、暴落時にも慌てにくいという心理的なメリットがあります。

7年に一度の暴落で「絶対に売らない」ことが最重要

 長期投資における最大のリスクは、暴落が来たときに売ってしまうことです。歴史を振り返れば、おおむね7年に一度程度の頻度で大きな暴落(弱気相場)が訪れ、過去100年のS&P500では3割を超える暴落が8回発生しています。しかし、そのいずれもが長期的には回復し、最高値を更新してきました。暴落の最中であっても積立を止めず、むしろ安く買える好機と捉えて継続することが、長期リターンを最大化する唯一の方法です。積立設定をしたあとは相場を見ずに淡々と続け、何もしないことが最適解となります。後段で紹介する個別株も、この「狼狽売りをしない」という規律を共有してこそ意味を持ちます。暴落で投げ売りしてしまう人は、そもそも個別株に手を出すべきではありません。

米国株の割高と、日経平均を積み立てる妥当性の高まり

米国一極集中の割高と日本株の相対的な割安

 長期の資産形成において、中核を米国株(S&P500)または全世界株式インデックス(オルカン)に置く方針は変わりません。ただし2026年時点では、その中核の最大構成国である米国株に割高感が強まっています。割安・割高を測るシラーPER(CAPEレシオ)は直近で40倍を超え、2000年のITバブル以来の高水準にあります。一般に25倍を超えると割高とされる指標であり、米国一極集中のポートフォリオは、高値づかみのリスクを抱えやすくなっています。これに対して日本株は、米国株との相対評価で依然として割安感が強く、日本人にとっては為替リスクのない円建て資産でもあります。世界の投資家の間でも、米国一極から欧州・新興国・日本を含む真のグローバル分散へとシフトする意識が高まっています。こうしたなか、相対的に割安な日経平均(日本株インデックス)を積立の対象として組み入れる妥当性は、着実に高まっています

貯金を続けるより、日経平均を積み立てる

 ここで決定的に重要なのが、貯金と日経平均積立の期待される行方の違いです。貯金はインフレ下で実質価値が目減りし続けます。一方の日経平均は、後段で詳しく試算する通り、政府の成長シナリオが実現すれば2040年にかけて名目で大きく切り上がる見通しにあります。つまり、現金を抱えてインフレで実質価値を目減りさせるのか、暴落を乗り越えながら名目の成長を取りにいくのかという選択です。長期・積立・分散という規律を守る限り、円建ての日経平均インデックスを積み立てることは、貯金だけを続けるよりも合理的な選択肢としての妥当性を高めています。では、その日経平均は2040年にかけてどこまで上がる見込みなのか。政府の一次資料をもとに具体的に試算します。

政府の成長シナリオごとに2040年の日経平均を試算する(本記事の目玉)

三つの成長シナリオと名目GDPの行方

 内閣府が令和8年6月24日に示した「日本成長戦略の下での中長期的な経済・財政の姿に関する試算」は、成長戦略の効果の発現度合いに応じて、次の三つのケースを2040年度まで試算しています。

 成長戦略実現ケース①は、官民投資ロードマップに基づく投資効果に加え、研究開発投資や生産資源配分の効率化が十分に発現する強気シナリオです。全要素生産性(TFP)上昇率が5年程度で1.1パーセント、その後さらに5年程度で1.4パーセントまで上昇し、潜在成長率は1パーセント台後半まで高まります。実質GDP成長率は中長期的に1パーセント台後半、名目GDP成長率は3パーセント台半ばで推移し、名目GDPは2040年度に1,100兆円に近づきます。国内民間設備投資も現状目標の年間200兆円を上回る230兆円超まで高まる姿です。

 成長戦略実現ケース②は、官民投資ロードマップの効果は発現するものの、技術や市場の不確実性により①ほどは伸びない中間シナリオです。TFP上昇率は1.1パーセントで頭打ちとなり、潜在成長率は1パーセント台半ば、名目GDP成長率は3パーセント程度で推移し、名目GDPは2040年度に1,040兆円程度に増加します。

 現状投影ケースは、追加財政支出の需要増効果のみが発現し、企業の期待収益率が高まらず国内民間投資が過去トレンド並みにとどまる弱気シナリオです。TFP上昇率は従来並みの0パーセント台半ばで推移し、潜在成長率は0パーセント台前半まで低下、名目GDP成長率は2パーセント程度にとどまり、名目GDPは2040年度に900兆円程度となります。いずれのケースでも物価上昇率は2パーセント程度に収れんする前提です。

名目GDP比例で試算する(保守的な手法A)

 株価指数の名目水準は、長期的には経済全体の名目規模、すなわち名目GDPと連動する傾向があります。野村アセットマネジメントが2026年6月のレポートで示した通り、東証株価指数(TOPIX)と日本の名目GDPは長期で高い相関を保ってきました。そこでまず、最も単純で透明性の高い手法として、株価収益率(PER)が現在の水準で一定に保たれ、日経平均が名目GDPと同じ比率で拡大すると仮定して試算します。

 基準点は、足元の名目GDPを2025年度の669.7兆円(過去最高、内閣府速報)、足元の日経平均を令和8年6月25日時点の約7万円とします。この比率を2040年度の名目GDPに当てはめると、成長戦略実現ケース①(名目GDP1,100兆円)では7万円かける1,100割る670で約11万5,000円、成長戦略実現ケース②(1,040兆円)では約10万9,000円、現状投影ケース(900兆円)では約9万4,000円と試算されます。名目GDPだけに比例させると、強気シナリオで2040年の日経平均は11万円台となり、足元の約7万円から6割前後の上昇です。貯金が目減りするのとは対照的に、保守的な前提でも名目で着実に切り上がる計算になります

企業利益の成長を織り込む(手法B)

 もっとも、手法Aは保守的にすぎる可能性があります。日本企業の利益は、歴史的に名目GDPの成長を上回るペースで拡大してきました。海外で稼ぐ収益の拡大、自社株買いによる1株当たり利益(EPS)の押し上げ、東証改革を背景としたROE(自己資本利益率)の改善が、利益成長を名目GDPの伸びよりも高くしてきたためです。野村アセットマネジメントは、企業努力による成長約7パーセントに、インフレ2パーセントと実質経済成長1パーセントを加えた年率約10パーセントの増益が十分説明可能とし、この利益成長に株価が沿って推移すると仮定すれば、2040年の日経平均は約26万円に到達する計算になると試算しています。これは足元の約6.9万円から約3.8倍にすぎず、過去14年間に日経平均が約6.9倍になった実績と比べれば現実的だという見立てです。

 この考え方を三つのシナリオに当てはめ、企業要因による増益を年率7パーセントと置き、各シナリオの名目GDP成長率を上乗せしたEPS成長率で2026年から2040年までの14年間を複利計算すると、成長戦略実現ケース①(名目3.5パーセント、合計約10.5パーセント)では約28万円、成長戦略実現ケース②(名目3.0パーセント、合計約10パーセント)では約26〜27万円と試算されます。現状投影ケースは投資もROEも伸び悩むため企業要因を年率5パーセント程度に抑えると、合計約7パーセントの増益で約18万円となります。企業の稼ぐ力が名目GDPを上回り続けるという前提を置くだけで、試算値は手法Aの2倍以上に跳ね上がります。

民間試算との突き合わせ

 本記事の試算が現実離れしていないかを確認するため、民間の長期試算と突き合わせます。大手証券会社は、過去10年の平均増益率6.3パーセントに自社株買いによるEPS押し上げ効果を加えた長期期待リターンを年率約8.5パーセントと見込み、日経平均が2040年に20万円、2045年に30万円へ到達するシナリオを示しました。2026年末を約6.7万円、2030年を約9万円とする経路です。大手アセットマネジメント会社は年率約10パーセントの増益を前提に2040年で約26万円、同社のチーフ・ストラテジストは別の前提で約24万円を提示しています。報道ベースでは、内閣府の中長期試算をもとにした分析でも、強気シナリオで2040年代に20万円超とする見方が紹介されています。これらの民間試算はおおむね20万円から28万円のレンジに収束しており、本記事の手法B(成長戦略実現ケースで26〜28万円)と整合が図られているものと評価できます

試算から読み取るべきこと

 三つの試算を整理すると、名目GDPだけに連動させる保守的な手法Aでは2040年の日経平均は9万円台から11万円台、企業利益の成長を織り込む手法Bと民間試算では18万円から28万円という幅になります。この開きは、日本企業の利益が今後も名目GDPを上回って成長し続けるかどうかに集約されます。重要なのは、いずれのシナリオでも2040年の名目水準は足元を上回るという方向性です。保守的に見ても約1.4〜1.6倍、強気に見れば3〜4倍であり、いずれも貯金がインフレで目減りし続けるのとは正反対の姿です。だからこそ、円建ての日経平均インデックスを積み立てることは、貯金を続けるよりも合理的だといえます。仮に成長戦略実現ケース①が実現し、企業が東証改革のもとで稼ぐ力を高め続けるならば、2040年の日経平均が20万円を超える経路は、政府の高成長シナリオと民間試算の双方から支持される現実味のある見通しとなります。ただし、内閣府自身が強調する通り、本試算は種々の不確実性を伴い、後年度ほど不確実性が大きい点には常に留意が必要です。だからこそ、一括ではなく積立で時間を分散し、暴落が来ても狼狽売りせず継続することが、この見通しを自分のリターンに変える唯一の方法となります。

東京証券取引所の改革による構造的な株価上昇

 日経平均の長期上昇シナリオを支える、もう一つの極めて重要な構造要因が、東京証券取引所が主導する上場企業改革です。2023年3月、東証はプライム・スタンダード市場の全上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しました。これはPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に対して、その状況を放置せず、改善計画を具体的に開示・実行することを事実上義務付けた歴史的な要請です。PBR1倍割れとは、株式市場における時価総額が企業の純資産(解散価値)を下回る状態を指し、資本効率の低さの象徴として長年にわたって日本企業の構造的な課題とされてきました。

 この要請以降、自社株買いの実施額は過去最高を更新し続け、増配を発表する企業が相次ぎ、政策保有株の売却も加速しています。ROE目標を中期経営計画に明記する企業も急増し、欧米並みの株主還元姿勢への転換が進んでいます。後述するメガバンクや総合商社の劇的な株価上昇も、金利上昇や資源高といったマクロ要因に加えて、この東証改革に応じた積極的な株主還元姿勢への転換が大きく寄与した結果といえます。さらに、2024年から始まった新NISA制度により個人投資家の資金が国内株式市場に継続的に流入する構造も加わり、需給面でも日本株を支える地合いが整いました。手法Bや民間試算が前提とする「利益が名目GDPを上回って成長する」という見立ては、この東証改革による資本効率の底上げを織り込んだものであり、日経平均が名目水準のみならず実質ベースでも切り上がっていく蓋然性を高めています。

政策との連動がもたらす恩恵:銀行株と総合商社

金利上昇局面の最大の受益者である銀行株

 政府方針との連動を最もわかりやすく体感できるのが銀行株です。日本銀行はマイナス金利を解除し、政策金利の引き上げ局面に入りました。金利上昇は銀行の貸出金利と預金金利の差(利ざや)を拡大させ、収益構造を直接的に押し上げます。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、みずほフィナンシャルグループ(8411)といったメガバンクは、決算ごとに最高益を更新する局面に入りました。コロナショック直後の2020年安値からの上昇率は、株式分割考慮後の調整ベースで三菱UFJが約5倍、三井住友が約4倍、みずほが約4倍に達しており、長期低迷していた業種が金融政策の転換を契機に大化けした典型例となっています。配当利回りも相対的に高く、連続増配の姿勢を示している点でも、優良企業を選ぶ基準に合致します。

資源・食料安全保障を担う総合商社

 銀行株の次に大きな上昇相場を形成したセクターが総合商社です。三菱商事(8058)、三井物産(8031)、伊藤忠商事(8001)、住友商事(8053)、丸紅(8002)といった大手商社は、著名投資家の大量保有を契機に再評価が進みましたが、その本質的な強さは国策との高い親和性にあります。戦略17分野で掲げられるエネルギー安全保障や食料安全保障の最前線を担う存在であり、資源価格の上昇や円安の恩恵を直接的に受けるビジネスモデルを構築しています。2020年の保有公表時点からの株価は、丸紅が約4倍超、三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事が概ね約3倍前後の水準まで上昇しました。自己資本が厚く、累進配当を掲げるなど株主還元意欲も極めて高いため、優良企業を選ぶ基準を満たすセクターとして資金が集中しました。

上昇株に資金が集中する相場の特徴

 昨今の日本株市場の特徴として、上昇している株にさらに資金が集中する傾向が強まっています。指数全体が上昇するなかでも、テーマ性のある銘柄群に資金が偏在し、その内部での物色がローテーションしていくのが現在の相場構造です。第8回経済財政諮問会議で示された官民投資ロードマップによれば、戦略17分野の62の主要な製品・技術等に関する官民投資額は2040年度までの累計で370兆円超と想定され、AIに必要な中核半導体が単独で68.0兆円、クラウド・データセンター・蓄電池が32.7兆円、ゲームが2033年度までで24.5兆円、ファーストインクラス医薬品が23.4兆円、領域特化型AIが23.1兆円、量子コンピューティングが10.3兆円、自動運転技術が8.2兆円、水素等が6.2兆円、人工衛星・サービスが6.4兆円と続きます。どの金額に厚みがあるかは、国策の本気度と恩恵の及ぶ業種を見極める手がかりになります。

 まず半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、ディスコ(6146)が、日米台連携とAI需要を背景に2020年安値から調整後ベースでアドバンテストが約10倍前後、ディスコが約7〜8倍、東京エレクトロンが約4〜5倍と先行しました。次に光ファイバーケーブルと送配電インフラのフジクラ(5803)が約2年で調整後ベースで10倍を超える局面を見せ、防衛では三菱重工業(7011)、川崎重工業(7012)、IHI(7013)が防衛費GDP比2パーセント方針を背景に2〜3年で調整後ベースで三菱重工約7〜8倍、川崎重工とIHIがそれぞれ約5倍へと切り上がりました。その後、資金は産業用ロボットの安川電機(6506)、ファナック(6954)、キーエンス(6861)といったフィジカルAI関連へ拡大し、さらにドローン・宇宙・次世代エネルギーへと物色が広がっています。これらの動きに共通するのは、戦略17分野で示された方向性と相場のテーマが符合している点であり、一次資料を読み解く投資の有効性を裏付けています。

趣味としての個別株:
戦略17分野の出遅れ国策銘柄
(令和8年6月25日時点)

位置づけと需給のメカニズム

 ここからは、生活防衛資金と新NISAのインデックス積立を確保してなお余裕がある場合に、趣味の領域として楽しむ個別株の話です。大原則として、個別株は信用取引を使わず現物のみ、暴落しても狼狽売りしない覚悟のある余剰資金で行います。これを守れない場合は、迷わずインデックス一本に集中すべきです。そのうえで注目したいのが、戦略17分野の対象でありながら、目先の需給悪化や外的要因で株価が出遅れている国策銘柄です。

 株式市場には需給という要素があります。信用買い残高が積み上がると将来の返済売り圧力として上値を抑え、制度信用取引の最長6か月という返済期限により、急騰や急落のピークから約6か月後には返済期限が集中します。高値で買った投資家が元値で売ろうとするため、急落から半年間は戻り売り圧力が働き、上値が重くなりやすい構造です。逆に言えば、この需給整理が完了した時点が本格的な上昇再開の起点となります。出遅れ銘柄に向かう際は、調整局面ですぐ飛びつくのではなく、信用倍率の低下を確認してからエントリーすることが鉄則です。以下に挙げる銘柄は、いずれも特定の購入を推奨するものではなく、一次資料と国策の方向性から見た一例にすぎません。

SaaSの死に連れ安した国策ITサービス:
富士通(6702)・NEC(6701)

富士通(6702)
NEC(6701)

 富士通とNECは、本来であれば戦略17分野の恩恵を最も受けるべきITサービスの中核企業です。富士通はスーパーコンピューター富岳やサーバー開発で世界的な技術力を持ち、AI・量子技術・サイバーセキュリティ・クラウド基盤において日本のデジタル主権を支えます。NECは官公庁向け通信インフラや基幹システムの最大手で、政府・地方公共団体のAX/DX基盤、量子コンピューティング(10.3兆円)、先進的サイバーセキュリティといった国策投資に直結しています。

 両社の株価が出遅れている主因は、企業そのものの本質的な悪化ではなく、外部環境にあります。米国でセールスフォースをはじめとするSaaS関連株が大きく調整した、いわゆる「SaaSの死」と呼ばれる流れに連れ安したことが大きく影響しています。クラウド・ITサービスへ事業モデルを転換している両社は、海外の同種銘柄の調整に巻き込まれて売られた格好です。これは個別企業の競争力が毀損したわけではなく、外的要因による連れ安であるため、中長期では平均的な水準への回帰が見込まれます。加えて、経済安全保障の観点から基幹インフラや通信網の国産化・同盟国化が急務となるなか、政府の分厚いDX予算やサイバー防衛費は継続的に両社へ流入しやすい構造にあります。平均値への回帰と国策銘柄としての追い風という二つの力が、需給整理の進展とともに長期的な株価回復を後押しすることが見込める可能性があります。

トヨタ自動車(7203)

 自動車関連は、トランプ関税や半導体のコスト増といった外的要因で総じて株価が下落していますが、これらは企業の本質的な競争力に起因するものではないため、中長期では回復が見込まれます。トヨタ自動車の2026年3月期は、営業収益が50兆6,849億円と過去最高を更新する一方、米国での関税負担などにより営業利益は3兆7,662億円と前期比21.5パーセントの減益となり、株価は最高値の3,944円から約24パーセント安い水準まで調整しました。減益と株価調整の主因は関税という外部要因であり、外的要因が和らげば業績と株価の回復が見込まれます。

 数ある自動車関連株のなかでもトヨタに優位性があると考えられる理由は二つあります。第一に、事業の将来性と市場地位です。トヨタは戦略17分野に直結する自動運転技術(官民投資額8.2兆円)やフィジカルAIの中核に位置するだけでなく、水素・燃料電池や宇宙関連といった次世代技術でも高い競争力を持ち、世界販売で首位級を争う業界最大手です。第二に、政策との連動です。トヨタは国の水素・エネルギー政策の議論にも長年関与しており、こうした官民の検討の蓄積は今後の国策銘柄としての布石となり、その方向性は骨太の方針にも反映されていくと考えられます。戦略17分野では資源・エネルギー安全保障・GXの文脈で水素等に6.2兆円が割り当てられており、トヨタが長年牽引してきた水素社会の実現は国策と歩調を合わせています。外的要因による調整が一巡し需給が整理されれば、中長期での再評価が見込める可能性があります。

IHI(7013)

 総合重工業メーカーとして航空エンジン、防衛装備、宇宙開発、エネルギープラントなど国策の中核領域を広く手掛けています。戦略17分野のうち防衛・宇宙・水素・次世代革新炉など、国家の危機管理とエネルギー安全保障の複数領域に深く関与する総合的な恩恵享受企業です。直近では民間航空機エンジンの不具合に伴う損失計上や、防衛テーマの先行上昇後の利益確定売りによる需給悪化から株価は調整局面を迎えました。しかしエンジンの損失計上は一過性の財務的要因であり、防衛費増額に伴う受注残は着実に積み上がっています。次世代ロケット開発やアンモニア混焼技術といった長期の国家プロジェクトに不可欠な存在であり、悪材料が出尽くし信用倍率の低下が確認できれば、長期的には大きな再評価が見込める可能性があります。

国産防衛ドローン:
ACSL(6232)・テラドローン(278A)

ACSL(6232)
テラドローン(278A)

 戦争手法がドローンを多用するハイテク戦へ移行するなか、ドローンの国産化は経済安全保障の最前線となっています。2026年度の防衛予算では無人機関連に約2,773億円が計上され、中国製などからの脱却と国産化を進める強い方針が示されました。戦略17分野でも防衛産業の小型無人航空機や海洋分野の海洋無人機が明示されています。

 ACSLは国産ドローン機体の中核企業で、2026年4月には防衛省の入札で小型空撮機体を計約4億円規模で受注するなど、国産化の本命として実需の裏付けを得つつあります。地政学イベントの一服やグロース市場全体の調整に連れて株価が高値から調整する局面は、むしろ中長期の仕込み機会となり得ます。一方のテラドローンは、迎撃ドローンによる対空防御という有望なテーマを持ちますが、株価は上場来安値から一時約8倍まで急騰し、PBRが約19.5倍と東証グロースのなかでも過熱水準に達した経緯があります。テーマ性の長期的な妥当性は高いものの、短期的な過熱には注意が必要であり、十分な調整と需給整理を待ってから少額で臨むのが賢明です。いずれも赤字段階を含む新興のグロース銘柄であり値動きが大きいため、余剰資金のなかでもごく少額にとどめ、長期目線で放置する前提が欠かせません。

宇宙空間の安全保障:
アストロスケールホールディングス(186A)

 現代の安全保障では、通信・測位・情報収集を担う人工衛星の重要性が飛躍的に高まり、宇宙空間は陸海空に次ぐ新たな主戦場と位置づけられています。戦略17分野でも人工衛星・サービスに6.4兆円、月面探査・低軌道技術に5.6兆円、ロケット・射場に2.3兆円が割り当てられ、政府は宇宙戦略基金を通じて宇宙開発を国家戦略として推進しています。スペースデブリ(宇宙ゴミ)除去で世界をリードするアストロスケールは、その追い風を受ける次世代テーマ株です。株価は5月の1,900円台から6月にかけて1,100円台まで大きく調整しましたが、足元の業績は軌道上サービス事業が大幅増収となり、防衛省からの受注や防衛関連の協議も拡大しています。下げた局面はむしろ中長期の仕込み機会となり得ますが、赤字段階の高リスク銘柄であるため、少額・長期・狼狽売り厳禁の原則を徹底する必要があります。

純国産サイバーセキュリティ:
FFRIセキュリティ(3692)

 AIによるサイバー攻撃の増加で、サイバーセキュリティ対策の強化は喫緊の国家課題となっています。戦略17分野では「AI時代に対応した先進的なサイバーセキュリティ製品・サービス」が、年間10パーセント程度の市場拡大が続く成長分野として明示され、海外製品への過度な依存を防ぐ国内の自律的な産業・技術基盤の構築が急務とされました。FFRIセキュリティは、純国産のサイバーセキュリティ技術を強みとし、標的型攻撃や未知のマルウェアを予測防御する独自製品を持つ企業です。直近の四半期では売上が前年同期比56.9パーセント増、営業利益が同365.7パーセント増と、国家安全保障サービスを中心に高い成長を示しました。関連会社を通じて国の研究開発プログラムにも参画しており、政府・公的機関への導入実績も豊富です。国内サイバーセキュリティ市場が2030年に向けて年率二桁での拡大が見込まれるなか、国産化・経済安全保障という国策の本命の一つとして、グロース市場全体の調整局面での押し目は中長期の妙味となり得る可能性があります。

コンテンツ国策:
任天堂(7974)・ソニーグループ(6758)・カプコン(9697)

任天堂(7974)
ソニーグループ(6758)
カプコン(9697)

 コンテンツ産業も今回の官民投資ロードマップで明確に位置づけられました。ゲームは2033年度までで24.5兆円と、半導体・データセンターに次ぐ大型の投資額が割り当てられ、アニメ3.3兆円、マンガ1.6兆円、音楽3.0兆円と続きます。日本のソフトパワー戦略の中核として、国がコンテンツ産業を本気で育てる姿勢が金額で示された格好です。任天堂は主力ハードのライフサイクル末期と次世代機の発表待ちで上値が重く、ソニーグループはイメージセンサーで世界的シェアを持ちフィジカルAIの眼として不可欠であり、カプコンは世界的IPを複数保有しながら新作サイクルの谷間で株価が一服しています。三社に共通するのが半導体メモリ価格の動向で、ゲーム機やソフトはメモリを大量に使うため、メモリ価格の上昇局面では利益率が圧迫されます。半導体への資金集中が一巡しメモリ価格サイクルが下降に転じる局面では、コスト改善と、半導体株から流出した資金のローテーション先としての資金流入が同時に期待でき、コンテンツ国策の追い風と合わせて見込める可能性があります。

長期投資としての位置づけ

 これらの銘柄に共通するのは、戦略17分野の中核に位置しながら、目先の需給悪化や外的要因で株価が出遅れている点です。2026年後半以降は信用倍率の低下と半年期日の経過により需給が改善する局面が期待されます。短期で値動きを取りにいくのではなく、需給の好転を確認したうえで、3〜5年あるいはそれ以上のタイムスパンで政府方針と歩調を合わせて持ち続けるバイ・アンド・ホールド戦略こそが、この銘柄群への適切な接し方です。本記事で試算した通り、成長戦略実現ケースが現実化していく過程で2040年の日経平均が20万円を超える経路が見込まれるならば、戦略17分野の中核企業は名目株価の押し上げと構造的な業績拡大の恩恵を二重に享受することが期待されます。富士通・NEC・トヨタ・IHIのように外的要因で連れ安した大型株は平均値への回帰が、ACSL・アストロスケール・FFRIセキュリティのような新興グロース株は国策テーマの本格化が、それぞれ長期の支えとなり得ます。

2026年夏の骨太の方針が示す優先順位

 2026年夏には骨太の方針とあわせて、戦略17分野のうち特に重点となる項目と具体的な投資計画が政府から公表される見通しです。第8回経済財政諮問会議で示された62項目ごとの官民投資額は、その優先順位を読み解く最良の材料です。国民の生命・財産に関わる分野や危機管理投資が優先される蓋然性が高く、半導体・AIの基盤技術、エネルギー・食料・水資源の安全保障、サイバー・情報通信インフラの強靱化、防衛・宇宙といった領域は、国家存立の根幹に関わるため最優先となる可能性があります。この観点では、富士通(6702)・NEC(6701)・IHI(7013)・トヨタ自動車(7203)・ACSL(6232)・アストロスケール(186A)・FFRIセキュリティ(3692)は、サイバー・防衛・宇宙・自動運転・水素・基幹インフラといった国民の生命財産に直結する分野に根差しており、骨太の方針で重点項目として明示された場合に恩恵を受けやすい位置にあります。骨太の方針公表後に内容を読み込み、自分の言葉で説明できる水準まで理解することが、一次資料ベース投資の精度を高める第一歩となります。

まとめ:
長期積立の継続が最重要、個別株は少額で長期放置

 最も強調したいのは、資産形成の中核はあくまで新NISAを活用したインデックスファンドの長期積立にあるということです。全世界株式を土台に、米国株の割高と日本株の相対的な割安を踏まえて円建ての日経平均インデックスを組み入れる妥当性は高まっており、これは貯金を続けてインフレで実質価値を目減りさせるよりも合理的な選択肢です。政府の成長シナリオが実現すれば2040年の日経平均は足元から大きく切り上がる見通しにあり、その上昇を自分のリターンに変える鍵は、暴落が来ても絶対に狼狽売りせず、ドルコスト平均法で淡々と積立を継続することにあります。おおむね7年に一度は大きな暴落が訪れますが、過去の暴落はいずれも長期的には回復し最高値を更新してきました。暴落こそ安く買える好機と捉え、継続することが何よりも重要です。

 そのうえで、生活防衛資金とインデックス積立を確保してなお余裕がある場合に、趣味の領域として個別株を楽しむという順序が望ましいといえます。本記事で取り上げた出遅れ国策銘柄に対する接し方として推奨したいのは、信用倍率が低下し需給の重しが取れたタイミングを見極めたうえで、ごく少額だけ買い付け、その後は長期で放置するというシンプルな戦略です。売買タイミングを頻繁に取りにいくほど勝率は下がり、コストもメンタルも消耗します。少額だけ買って忘れるという淡白さこそが、長期で大きなリターンを生む秘訣です。

 本記事で示した2040年の日経平均試算は、特定の前提に基づく機械的な計算であり、確実な予測ではありません。内閣府の試算自体も種々の不確実性を伴い、後年度ほど不確実性が大きい点に留意が必要です。投資はあくまで自己判断・自己責任であり、本記事は特定銘柄の購入を推奨するものでも、特定の金融商品を勧誘するものでもありません。市場環境や政策の内容は変化し得るため、実際の投資判断にあたっては、自己判断・自己責任が大原則としつつ、内閣府などの公的資料を最新の時点でご確認いただくようお願いいたします


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