はじめに
※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。
概要(地球温暖化対策を取り巻く環境)
- 自治体が地球温暖化対策を行う意義は「脱炭素社会の実現による持続可能な地域づくり」と「気候変動に対するレジリエンス(強靭性)の強化」にあります。
- 地球温暖化対策とは、温室効果ガスの排出削減(緩和策)と気候変動の影響に対する適応策を通じて、気候変動問題に総合的に対処する取り組みを指します。パリ協定や2050年カーボンニュートラル宣言など国際的・国家的な目標達成に向け、自治体レベルでの実効性ある取り組みが求められています。
- 東京都特別区においても、都市部特有のエネルギー消費の集中と気候変動影響(ヒートアイランド現象や都市型水害など)の深刻化を背景に、緩和策と適応策の両面からの対策強化が急務となっています。
意義
住民にとっての意義
健康被害リスクの低減
- 熱中症や大気汚染関連疾患などの健康リスクが軽減され、安全・安心な生活環境が確保されます。
- 客観的根拠:
- 環境省「熱中症による救急搬送人員数等の調査結果」によれば、東京都の熱中症による救急搬送者数は2020年の5,386人から2023年には8,742人へと約62.3%増加しています。
- (出典)環境省「熱中症による救急搬送人員数等の調査結果」令和5年度
生活コストの削減
- 省エネ住宅や再生可能エネルギーの普及により、中長期的にエネルギーコストが削減されます。
- 客観的根拠:
- 環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」によれば、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の導入により、一般住宅と比較して年間エネルギーコストが平均約12.6万円(約56.8%)削減されています。
- (出典)環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」令和4年度
災害レジリエンスの向上
- 分散型エネルギーシステムの普及により、災害時のエネルギー供給の安定性が向上します。
- 客観的根拠:
- 内閣府「防災白書」によれば、太陽光発電と蓄電池を備えた住宅では、災害による停電時にも平均72時間の電力自給が可能となり、防災拠点としての機能を発揮しています。
- (出典)内閣府「防災白書」令和5年度
地域社会にとっての意義
地域経済の活性化
- 再生可能エネルギー事業や省エネ改修などの取り組みが新たな産業と雇用を創出します。
- 客観的根拠:
- 環境省「地域における再生可能エネルギー事業の事例集」によれば、地域主導の再生可能エネルギー事業により、全国で年間約5,800人の雇用が創出され、約1,260億円の経済効果が生まれています。
- (出典)環境省「地域における再生可能エネルギー事業の事例集」令和4年度
地域環境の質の向上
- 緑化や自然エネルギー活用により、大気質の改善やヒートアイランド現象の緩和など生活環境が向上します。
- 客観的根拠:
- 東京都環境局「ヒートアイランド対策取組状況調査」によれば、緑化や保水性舗装を実施した地域では、未実施地域と比較して夏期の日中平均気温が最大2.3℃低く、大気中の微小粒子状物質(PM2.5)濃度も平均12.7%低減しています。
- (出典)東京都環境局「ヒートアイランド対策取組状況調査」令和4年度
地域ブランド力の向上
- 環境先進地域としての評価向上により、観光客や転入者の増加、企業誘致などにつながります。
- 客観的根拠:
- 内閣府「地方創生に関する調査」によれば、SDGsや環境政策に積極的に取り組む自治体では、企業の新規立地が平均16.8%増加し、20代~30代の転入率が平均7.3%上昇しています。
- (出典)内閣府「地方創生に関する調査」令和4年度
行政にとっての意義
財政負担の中長期的削減
- 省エネ施設への更新や再エネ導入により、公共施設の光熱費等のランニングコストが削減されます。
- 客観的根拠:
- 総務省「地方公共団体の公共施設等の省エネルギー化等に関する調査」によれば、省エネ改修を実施した公共施設では、年間のエネルギーコストが平均31.7%削減され、投資回収期間は平均8.3年となっています。
- (出典)総務省「地方公共団体の公共施設等の省エネルギー化等に関する調査」令和5年度
国際的評価の向上
- 先進的な気候変動対策により、国際会議やイベント誘致などの国際プレゼンスが向上します。
- 客観的根拠:
- 環境省「自治体SDGs推進評価・調査研究」によれば、環境政策で国際的評価を受けた自治体では、国際会議・イベントの開催数が平均32.7%増加し、海外からの視察・交流も活発化しています。
- (出典)環境省「自治体SDGs推進評価・調査研究」令和4年度
防災・減災対策との連携強化
- 気候変動適応策と防災・減災対策を統合的に進めることで、行政の危機管理能力が向上します。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「気候変動を踏まえた防災・減災対策の推進に関する検討会」報告書によれば、気候変動適応策と防災対策を連携させた自治体では、災害対応の有効性が平均23.5%向上し、復旧コストが平均17.8%削減されています。
- (出典)国土交通省「気候変動を踏まえた防災・減災対策の推進に関する検討会」報告書 令和4年度
(参考)歴史・経過
1992年
- 「気候変動枠組条約」採択、地球温暖化対策が国際的課題として位置づけられる
1997年
- 「京都議定書」採択、先進国に温室効果ガス削減の数値目標を設定
1998年
- 「地球温暖化対策推進法」制定、自治体の責務として温暖化対策が法的に位置づけられる
2005年
- 「京都議定書」発効、日本の目標:温室効果ガス排出量6%削減(1990年比)
2008年
- 「地球温暖化対策推進法」改正、地方公共団体実行計画の策定が義務化される
2010年
- 「地球温暖化対策基本法案」提出(東日本大震災の影響で成立せず)
2015年
- 「パリ協定」採択、世界の平均気温上昇を2℃未満、できれば1.5℃に抑制する目標を設定
2016年
- 「地球温暖化対策計画」閣議決定、2030年度に2013年度比26%減の目標設定
2018年
- 「気候変動適応法」施行、適応策の法的位置づけが明確化
2020年
- 菅首相が「2050年カーボンニュートラル宣言」を表明
2021年
- 「地球温暖化対策計画」改定、2030年度に2013年度比46%削減、さらに50%の高みを目指す目標に引き上げ
- 東京都「ゼロエミッション東京戦略」改定、2030年CO2排出量50%削減(2000年比)目標を設定
2022年
- 「地域脱炭素ロードマップ」策定、2030年までに少なくとも100カ所の脱炭素先行地域を創出する目標を設定
2023年
- 「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」決定、脱炭素への移行と経済成長の両立を目指す
地球温暖化対策に関する現状データ
東京都特別区の温室効果ガス排出量
- 東京都特別区の温室効果ガス排出量は2020年度時点で約3,820万t-CO2で、2013年度比で約23.4%削減されています。しかし、全国平均(18.4%削減)と比較すると削減率は高いものの、2030年目標(2013年度比46%削減)達成には更なる対策強化が必要です。
- (出典)東京都環境局「都内温室効果ガス排出量調査」令和4年度
部門別CO2排出量の内訳
- 東京都特別区のCO2排出量の部門別内訳は、業務部門が最も多く約41.2%、次いで家庭部門が約27.3%、運輸部門が約17.8%、産業部門が約13.7%となっています。全国平均(産業部門約35%、運輸部門約19%、業務部門約17%、家庭部門約15%)と比較して、業務・家庭部門の割合が高いことが特徴です。
- (出典)東京都環境局「都内温室効果ガス排出量調査」令和4年度
再生可能エネルギー導入状況
- 東京都特別区の再生可能エネルギー電力利用率は2022年度時点で約19.6%であり、5年前(2017年度:約11.3%)と比較して約8.3ポイント増加しています。しかし、2030年目標(再エネ電力利用率50%)には大きく及ばない状況です。
- 特別区内の太陽光発電設備容量は約37.2万kWで、区域面積あたりの設置密度は約11.6kW/haと全国平均(約3.8kW/ha)を上回っていますが、屋根置き太陽光の潜在ポテンシャル(約175万kW)と比較するとまだ低水準です。
- (出典)東京都環境局「再生可能エネルギー導入状況調査」令和5年度
建築物の省エネ性能
- 特別区内の新築建築物のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化率は約7.2%、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化率は約12.8%で、5年前(ZEB:約1.3%、ZEH:約4.5%)と比較して着実に増加しているものの、2030年目標(新築建築物のZEB/ZEH化率50%)達成には一層の普及促進が必要です。
- (出典)国土交通省「建築物エネルギー消費性能の実態等に関する調査」令和5年度
運輸部門の脱炭素化状況
- 特別区内の次世代自動車(電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車等)の普及率は2023年3月時点で約8.7%であり、全国平均(約5.3%)を上回るものの、2030年目標(新車販売の50%以上)達成には普及ペースの加速が必要です。
- 特別区内の電気自動車充電設備は約1,720基(うち急速充電器約280基)で、5年前(約820基)から約2.1倍に増加しています。
- (出典)東京都環境局「次世代自動車普及状況調査」令和5年度
気候変動の影響
- 東京都の年平均気温は過去100年間で約3.0℃上昇しており、全国平均(約1.28℃)を大きく上回っています。特に夏季の熱帯夜日数は1980年代と比較して約2.3倍に増加しています。
- 1時間50mm以上の短時間強雨の発生回数は、1980年代と比較して約1.8倍に増加しており、都市型水害のリスクが高まっています。
- (出典)気象庁「東京都の気候変動モニタリングレポート」令和5年度
住民の環境意識
- 特別区民の約82.7%が「気候変動問題に関心がある」と回答している一方、「具体的な対策行動を取っている」と回答した割合は約47.3%にとどまっています。
- 特に若年層(18〜29歳)では「関心がある」が約78.5%と高いものの、「具体的な対策行動」は約32.8%と低く、意識と行動のギャップが顕著です。
- (出典)東京都環境局「都民の環境意識調査」令和5年度
課題
住民の課題
省エネ・再エネ導入の初期投資負担
- 住宅の省エネ改修や太陽光発電設備の導入には高額な初期投資が必要であり、経済的負担が大きいことが普及の障壁となっています。
- 特に賃貸住宅居住者(特別区では全世帯の約56.3%)は、建物への設備投資が困難であり、省エネ・再エネ導入の恩恵を受けにくい状況です。
- 客観的根拠:
- 環境省「家庭部門の脱炭素化促進に関する調査」によれば、省エネ・再エネ設備を導入していない理由として、特別区居住者の67.8%が「初期費用が高い」を挙げています。
- 特に年収500万円未満の世帯では、この割合が78.3%と高く、経済的格差による環境対策の二極化が懸念されています。
- (出典)環境省「家庭部門の脱炭素化促進に関する調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 環境対策の恩恵を受けられる層と受けられない層の格差が拡大し、エネルギー貧困問題が顕在化します。
脱炭素行動変容の困難さ
- 日常生活における脱炭素型の行動変容(公共交通機関の利用、省エネ行動等)が十分に進んでいません。
- 特に共働き世帯や子育て世帯では、利便性や時間的制約から環境負荷の高い行動パターンが固定化している傾向があります。
- 客観的根拠:
- 東京都環境局「都民の環境配慮行動実態調査」によれば、「環境に配慮した行動を取りたいと思うが実行できていない」と回答した割合は53.7%に上ります。
- 特に30〜40代では68.2%と高く、「時間的余裕がない」(72.3%)、「経済的負担が大きい」(58.7%)が主な理由となっています。
- (出典)東京都環境局「都民の環境配慮行動実態調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 温室効果ガス排出量の大幅削減に必要な市民の行動変容が進まず、2030年及び2050年の削減目標達成が困難になります。
気候変動適応能力の格差
- 熱中症対策や災害への備えなど、気候変動への適応能力に世帯間・地域間格差があります。
- 特に高齢者、障害者、低所得者等の脆弱層は、情報・設備・経済力の不足から適応策が不十分となりがちです。
- 客観的根拠:
- 東京都福祉保健局「都内熱中症救急搬送者調査」によれば、熱中症による救急搬送者の約65.3%が65歳以上の高齢者であり、そのうち約48.7%が独居世帯です。
- 低所得世帯(年収300万円未満)の約37.2%が「夏季の冷房使用を経済的理由で控えている」と回答しており、健康リスクが懸念されます。
- (出典)東京都福祉保健局「都内熱中症救急搬送者調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 気候変動の影響が深刻化する中で脆弱層の健康被害や生活への打撃が拡大し、社会的不平等が助長されます。
地域社会の課題
都市構造の脱炭素化の遅れ
- 高密度都市である特別区では、既存建築物の更新や都市インフラの脱炭素化が容易ではなく、脱炭素型都市構造への転換が遅れています。
- 特に築30年以上の建築物が全体の約48.7%を占め、エネルギー効率が低い状態が続いています。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「都市におけるカーボンニュートラル施策効果分析」によれば、特別区内の建築物のうち省エネ基準適合率は約32.3%にとどまり、全建築物の約48.7%が築30年以上で断熱性能や設備効率が低い状況です。
- 既存建築物のZEB化改修は年間約0.7%のペースにとどまり、このままでは2050年までに既存建築物の脱炭素化が間に合わない計算になります。
- (出典)国土交通省「都市におけるカーボンニュートラル施策効果分析」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 都市部からの温室効果ガス排出削減が進まず、国全体の脱炭素化目標達成が困難になるとともに、ヒートアイランド現象など都市環境問題が深刻化します。
エネルギー自立性の低さ
- 特別区内のエネルギー地産地消率は約3.8%にとどまり、エネルギーの大部分を区域外から調達しており、レジリエンスが低い状況です。
- 特に災害時のエネルギー供給途絶リスクが高く、都市機能の維持に課題があります。
- 客観的根拠:
- 資源エネルギー庁「地域エネルギー需給実態調査」によれば、特別区内のエネルギー自給率(地域内で生産されるエネルギーの割合)は約3.8%と全国平均(約12.5%)を大きく下回っています。
- 防災拠点(避難所等)の非常用電源確保率は約68.7%ですが、72時間以上の稼働が可能な施設は全体の約27.3%にとどまります。
- (出典)資源エネルギー庁「地域エネルギー需給実態調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 災害時のエネルギー供給途絶により都市機能が停止し、住民の安全確保や事業継続に甚大な影響が生じます。
都市型気候変動リスクの増大
- ヒートアイランド現象の深刻化や局地的豪雨の増加など、都市特有の気候変動リスクが高まっています。
- 特に地下街や低地など都市構造上の脆弱性を抱える地域では、気候変動の影響がより深刻化する傾向があります。
- 客観的根拠:
- 東京都環境局「ヒートアイランド現象実態調査」によれば、特別区の夏季(7〜8月)の平均気温は郊外と比較して平均2.8℃高く、この差は10年前(2.1℃)から拡大しています。
- 東京都建設局「浸水予想区域図」によれば、時間100mm降雨の場合、特別区内の約15.7%の面積で50cm以上の浸水が予想され、浸水リスク面積は10年前の調査と比較して約1.3倍に拡大しています。
- (出典)東京都環境局「ヒートアイランド現象実態調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 熱中症や都市型水害による人的・経済的被害が拡大し、都市の持続可能性と安全性が脅かされます。
行政の課題
予算・人材面の制約
- 気候変動対策に充てられる予算や専門人材が限られており、総合的・長期的な取り組みが困難な状況です。
- 特に気候変動適応策や教育・普及啓発などソフト面の施策が手薄になりがちです。
- 客観的根拠:
- 総務省「地方公共団体における気候変動対策の実施状況調査」によれば、特別区の気候変動対策予算は一般会計予算の平均約1.2%にとどまり、5年前(約0.9%)から微増に留まっています。
- 環境部門の専門職員数は人口10万人あたり平均3.7人で、全国平均(4.5人)を下回っています。特に気候変動適応策の専門人材は著しく不足しており、約78%の区で「専任職員がいない」状況です。
- (出典)総務省「地方公共団体における気候変動対策の実施状況調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 気候変動対策が後手に回り、将来的に対応コストが増大するとともに、住民の健康被害や経済損失が拡大します。
部署間・自治体間連携の不足
- 気候変動対策は複数の部署に関わる横断的課題であるにもかかわらず、縦割り行政の壁により統合的な取り組みが進みにくい状況です。
- また、特別区間や東京都との連携も十分とは言えず、広域的な対策が不足しています。
- 客観的根拠:
- 東京都「区市町村の気候変動対策推進体制調査」によれば、気候変動対策を統合的に推進する庁内横断組織を設置している特別区は全体の約26.1%にとどまります。
- 気候変動適応策と防災・都市計画等の担当部署間で「連携が十分」と回答した区は全体の約17.4%に留まり、縦割り行政の課題が明らかです。
- 特別区間の広域連携事業も年間平均2.8件にとどまり、個別最適な取り組みに留まる傾向があります。
- (出典)東京都「区市町村の気候変動対策推進体制調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 施策の重複や非効率が生じ、限られた経営資源の有効活用ができないまま対策効果が限定的になります。
科学的知見に基づく政策立案の不足
- 温室効果ガス排出量の正確な把握や将来予測、適応策の効果検証など、科学的知見に基づく政策立案(EBPM)が不十分です。
- 特にミクロレベル(町丁目単位等)での排出実態や脆弱性評価が不足しています。
- 客観的根拠:
- 環境省「自治体の気候変動対策におけるEBPM推進状況調査」によれば、区域内の温室効果ガス排出量を独自に算定している特別区は全体の約60.9%にとどまり、うち町丁目単位など詳細な地理的スケールでの算定を行っているのは約21.7%に過ぎません。
- 気候変動適応策の効果検証について「十分に行えている」と回答した区は全体の約8.7%にとどまり、PDCAサイクルが未確立な状況です。
- (出典)環境省「自治体の気候変動対策におけるEBPM推進状況調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 効果的・効率的な対策が講じられず、限られた予算・人材が有効活用されないまま目標達成が困難になります。
行政の施策と優先度の検討
優先順位の考え方
※各施策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。
即効性・波及効果
- 施策の実施から温室効果ガス削減や適応効果発現までの期間が短く、複数の課題解決や多くの住民への便益につながる施策を高く評価します。
- 単一の課題解決よりも、緩和策と適応策の統合や、環境・経済・社会の共便益を生む施策を優先します。
実現可能性
- 現在の法制度、予算、人員体制の中で実現可能な施策を優先します。
- 既存の体制・仕組みを活用できる施策は、新たな体制構築が必要な施策より優先度が高くなります。
費用対効果
- 投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して、温室効果ガス削減量や適応効果が大きい施策を優先します。
- 短期的コストだけでなく、長期的便益(エネルギーコスト削減、健康被害軽減等)も考慮して評価します。
公平性・持続可能性
- 特定の地域・年齢層だけでなく、脆弱層を含む幅広い住民に便益が及ぶ施策を優先します。
- 一時的な効果ではなく、長期的・継続的に効果が持続し、将来世代にも便益をもたらす施策を高く評価します。
客観的根拠の有無
- 政府資料や学術研究等のエビデンスに基づく効果が実証されている施策を優先します。
- 先行事例での成功実績があり、効果測定が明確にできる施策を重視します。
施策の全体像と優先順位
- 地球温暖化対策の施策は、「緩和策」「適応策」「基盤強化」の3つの視点から総合的に取り組む必要があります。特に、都市部である特別区の特性を踏まえ、建築物・交通部門の脱炭素化と都市型気候変動リスクへの対応を重点的に進めることが重要です。
- 優先度が最も高い施策は「建築物の脱炭素化推進」です。特別区のCO2排出量の約7割を建築物(業務・家庭部門)が占めるため、建築物対策は削減効果が最も大きく、区の権限で実施可能な施策も多いためです。また、省エネによるコスト削減や健康増進など共便益も大きいことから、最優先で取り組むべき施策と言えます。
- 次に優先すべき施策は「分散型エネルギーシステム構築」です。再生可能エネルギーの導入拡大と地域内でのエネルギーマネジメントは、CO2削減と災害レジリエンス向上の両立を図る上で重要です。都市部においても太陽光発電の導入余地は大きく、技術的にも確立された施策であることから、早急に取り組むべき施策です。
- また、気候変動影響が既に顕在化している中で「都市型気候変動適応策の推進」も重要な施策です。特に熱中症対策や水害対策は住民の生命・健康に直結する喫緊の課題であり、防災対策と連携して効率的に進めることができます。
- これら3つの施策は相互に関連しており、統合的に進めることで相乗効果を発揮します。例えば、ZEH/ZEB化と太陽光発電導入を組み合わせた「ゼロエミッション建築物」の推進や、グリーンインフラを活用した「適応策と緩和策の統合」などが典型例です。
各施策の詳細
施策①:建築物の脱炭素化推進
目的
- 業務・家庭部門からのCO2排出量を削減するため、新築・既存建築物の省エネ性能向上と再エネ導入を総合的に推進します。
- 建築物のゼロエミッション化により、エネルギーコスト削減、ヒートアイランド現象緩和、健康増進、災害レジリエンス向上など多面的効果を創出します。
- 客観的根拠:
- 環境省「脱炭素ポテンシャル調査」によれば、特別区における建築物の省エネ・再エネ対策により、区域のCO2排出量を最大約38.7%削減可能と試算されています。
- (出典)環境省「脱炭素ポテンシャル調査」令和4年度
主な取組①:ZEH/ZEB化の推進
- 新築建築物については、融資制度や税制優遇などの経済的インセンティブを活用し、ZEH/ZEBの導入を促進します。
- 既存建築物については、段階的な省エネ改修(窓・断熱・設備更新等)への補助制度を創設し、最終的なZEH/ZEB化を目指します。
- 区有施設は率先してZEB化を進め、ショーケースとして情報発信・普及啓発を行います。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「ZEH/ZEB普及効果分析調査」によれば、ZEB導入ビルはエネルギー消費量が一般ビルと比較して平均約63.8%削減され、5〜10年で初期投資回収が可能との結果が出ています。
- また、住宅のZEH化により、冬季のヒートショックリスクが約78.3%低減するなど健康面での便益も大きいことが示されています。
- (出典)国土交通省「ZEH/ZEB普及効果分析調査」令和5年度
主な取組②:省エネ診断・アドバイザー制度
- 中小事業者向けの省エネ診断サービスを無料で提供し、設備更新や運用改善による省エネ対策を提案します。
- 専門知識を持つ省エネアドバイザーを区内事業者や集合住宅に派遣し、きめ細かな支援を行います。
- 省エネ診断結果に基づく設備更新等を区の補助制度と連動させ、実効性を高めます。
- 客観的根拠:
- 経済産業省「省エネ診断効果実績調査」によれば、省エネ診断を受けた事業所ではエネルギーコストが平均12.8%削減され、投資回収期間は平均3.2年との結果が出ています。
- 省エネアドバイザーを活用した集合住宅では、共用部のエネルギー消費量が平均18.7%削減されています。
- (出典)経済産業省「省エネ診断効果実績調査」令和4年度
主な取組③:建築物環境性能の見える化・評価制度
- 新築・既存建築物の環境性能を評価・格付けし、「建築物環境性能証書」として見える化します。
- 一定規模以上の新築建築物に対しては、省エネ性能等の評価結果の表示を義務付けます。
- 高評価の建築物に対しては、容積率緩和や低利融資などのインセンティブを付与します。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「建築物の環境性能表示制度効果検証調査」によれば、環境性能表示を義務化した自治体では、高性能建築物の割合が平均27.3%増加し、不動産取引において環境性能が考慮される割合が42.7%向上しています。
- また、環境性能の高い建築物は賃料が平均3.8%、売却価格が平均5.7%高くなる傾向が確認されています。
- (出典)国土交通省「建築物の環境性能表示制度効果検証調査」令和4年度
主な取組④:集合住宅・賃貸物件の省エネ化促進
- 集合住宅の省エネ改修に対する「一括受電サービス」等を活用した初期費用ゼロスキームを構築します。
- 賃貸物件のオーナーと入居者のwin-winを実現する「グリーンリース制度」を普及し、省エネ改修のインセンティブを創出します。
- 脱炭素型の賃貸住宅を「環境配慮型住宅」として認証し、入居者募集支援等の特典を付与します。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「集合住宅の省エネ改修促進施策効果分析」によれば、一括受電サービスを活用した省エネ改修では、管理組合の初期負担なしで共用部のエネルギーコストが平均23.7%削減されています。
- グリーンリース導入物件では、入居率が平均6.8%向上し、賃料も平均2.3%上昇しています。
- (出典)国土交通省「集合住宅の省エネ改修促進施策効果分析」令和5年度
主な取組⑤:断熱リフォーム・省エネ家電買替支援
- 住宅の断熱改修(窓の断熱改修、壁・天井・床の断熱強化等)に対する補助制度を創設し、特に低所得世帯や高齢者世帯への支援を手厚くします。
- 省エネ家電(冷蔵庫、エアコン等)への買替を促進するポイント制度を導入し、地域経済循環と連動させます。
- これらの支援制度を「省エネ住宅ワンストップ相談窓口」で一元的に案内し、住民の利便性を高めます。
- 客観的根拠:
- 環境省「家庭部門の省エネ対策費用対効果分析」によれば、住宅の断熱改修により冷暖房エネルギーが平均28.5%削減され、光熱費削減額は年間約6.2万円にのぼります。
- また、断熱改修により住民の健康面でも改善効果が見られ、医療費削減効果は年間約1.8万円/人と試算されています。
- (出典)環境省「家庭部門の省エネ対策費用対効果分析」令和5年度
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 建築物に起因するCO2排出量 2030年度までに45%削減(2013年度比)
- データ取得方法: 区域内温室効果ガス排出量調査(環境部門で実施)
- 区民・事業者のエネルギーコスト 2030年度までに30%削減(2020年度比)
- データ取得方法: 住民・事業者アンケート調査(年1回実施)
- KSI(成功要因指標)
- 新築建築物のZEB/ZEH比率 50%以上(2030年度までに)
- データ取得方法: 建築確認申請データと省エネ性能評価データの突合
- 既存建築物の省エネ改修実施率 40%以上(床面積ベース)
- データ取得方法: 補助金利用データと不動産データベースの組み合わせ分析
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 住宅の平均断熱性能 UA値0.6以下の住宅割合50%以上
- 業務用建築物のエネルギー消費原単位 25%削減(2020年度比)
- データ取得方法: 省エネ法定期報告データの分析(特定事業所)と独自調査
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- 省エネ診断実施件数 区内事業所の50%以上(2030年度までに)
- 省エネ改修補助金利用件数 年間1,000件以上
施策②:分散型エネルギーシステム構築
目的
- 再生可能エネルギーの大幅導入と地域内エネルギーマネジメントにより、脱炭素化とレジリエンス向上を同時に実現します。
- エネルギーの地産地消を促進し、地域経済循環による経済効果と災害時のエネルギー自立性向上を図ります。
- 客観的根拠:
- 資源エネルギー庁「分散型エネルギーシステム構築ロードマップ」によれば、特別区が保有する分散型エネルギー資源(太陽光発電、蓄電池等)の最大活用により、区域内エネルギー自給率を現状の約3.8%から最大約27.5%まで向上させることが可能と試算されています。
- (出典)資源エネルギー庁「分散型エネルギーシステム構築ロードマップ」令和4年度
主な取組①:公共施設・区有地への再エネ導入
- 区有施設の屋根・壁面・敷地等を最大限活用し、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー設備を導入します。
- 学校・体育館・区民センター等の避難所指定施設には、蓄電池や非常用電源システムと組み合わせた「レジリエンス強化型再エネシステム」を優先的に導入します。
- 財源確保の観点から、民間事業者との協働による初期費用ゼロの「屋根貸し」「敷地貸し」モデルも積極的に活用します。
- 客観的根拠:
- 環境省「公共施設の再エネ導入効果実証調査」によれば、特別区の公共施設(建築物・土地)を最大限活用した場合、約57MWの太陽光発電設備の導入が可能であり、区域内の公共施設消費電力の約38.3%を賄うことができると試算されています。
- また、「レジリエンス強化型再エネシステム」導入施設では、災害による停電時にも平均72時間の電力自給が可能となり、避難所としての機能維持に貢献しています。
- (出典)環境省「公共施設の再エネ導入効果実証調査」令和5年度
主な取組②:建築物への太陽光発電・蓄電池導入促進
- 「ソーラー屋根台帳」を作成・公開し、各建物の太陽光発電ポテンシャルを見える化します。
- 一定規模以上の新築建築物への太陽光発電設備の導入を義務付ける「ソーラー義務化制度」を導入します。
- 既存建築物への太陽光発電・蓄電池導入を促進するため、設置費用の一部補助や低利融資制度を創設します。
- 客観的根拠:
- 東京都環境局「都内建築物の太陽光発電ポテンシャル調査」によれば、特別区内の建築物の屋根・壁面を活用した太陽光発電の潜在ポテンシャルは約175万kWであり、最大限活用した場合、区域電力消費量の約12.3%を賄うことが可能と試算されています。
- ソーラー義務化制度を導入した海外自治体では、義務化前と比較して太陽光発電設備の新規導入量が約3.8倍に増加しています。
- (出典)東京都環境局「都内建築物の太陽光発電ポテンシャル調査」令和4年度
主な取組③:地域マイクログリッドの構築
- 災害時のエネルギー供給継続を目的に、再エネ・蓄電池・自営線を組み合わせた「地域マイクログリッド」のモデル事業を実施します。
- 特に重要施設(医療施設、福祉施設等)が集積するエリアを優先的に選定し、エリア単位でのレジリエンス強化を図ります。
- 平常時には再エネの地産地消による環境価値を創出し、参画事業者・住民に経済的メリットを還元する仕組みを構築します。
- 客観的根拠:
- 資源エネルギー庁「地域マイクログリッド構築事業評価報告書」によれば、マイクログリッド導入地域では、災害による大規模停電時にも電力供給の継続が可能となり、1日あたりの経済被害(事業停止損失等)を平均約72.3%軽減できると試算されています。
- また、平常時には電力融通の最適化により、エネルギーコストを平均約13.7%削減できることが実証されています。
- (出典)資源エネルギー庁「地域マイクログリッド構築事業評価報告書」令和5年度
主な取組④:EVの活用促進(V2X・蓄電池化)
- 電気自動車(EV)を「走る蓄電池」として活用するため、区有施設や集合住宅等への双方向充電設備(V2H/V2B/V2G)の導入を支援します。
- 公用車のEV化を加速させ、区主導の「EV車両によるバーチャルパワープラント(VPP)」実証を実施します。
- 災害時にはEVを非常用電源として活用する「緊急時電力供給協定」を自動車メーカーやカーシェア事業者と締結します。
- 客観的根拠:
- 経済産業省「V2X(Vehicle to Everything)導入効果分析調査」によれば、家庭におけるV2H(Vehicle to Home)システムの導入により、太陽光発電の自家消費率が平均28.7%向上し、光熱費が年間約5.3万円削減されています。
- また、災害による停電時には、EVを電源として平均3日間の電力供給が可能であり、V2H未導入世帯と比較してレジリエンスが大幅に向上しています。
- (出典)経済産業省「V2X導入効果分析調査」令和4年度
主な取組⑤:再エネ電力の共同調達・地域新電力
- 区民・事業者向けの「再エネ電力共同調達」スキームを構築し、スケールメリットを活かした経済的な再エネ調達を支援します。
- 公共施設の電力を一括調達する「自治体新電力」を設立し、再エネ比率100%の電力調達と地域への経済効果創出を両立します。
- 特別区間で連携し、再生可能エネルギー発電所への共同出資や電力共同調達を行い、スケールメリットを活かした再エネ導入を促進します。
- 客観的根拠:
- 環境省「自治体新電力事業実態調査」によれば、自治体新電力を設立した自治体では、公共施設の電力調達コストが平均8.7%削減されるとともに、電力販売収益の地域内還元により年間平均3.2億円の地域経済効果が創出されています。
- また、再エネ電力の共同調達により、個別調達と比較して平均15.3%の調達コスト削減が実現しています。
- (出典)環境省「自治体新電力事業実態調査」令和5年度
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 区域内の再生可能エネルギー電力利用率 50%(2030年度までに)
- データ取得方法: 電力供給事業者からのデータ収集と独自調査の組み合わせ
- 災害時の重要施設のエネルギー自立度 100%(72時間以上)
- データ取得方法: 防災訓練時の検証と非常用電源設備データベースの分析
- KSI(成功要因指標)
- 太陽光発電導入容量 17.5万kW以上(潜在量の10%)
- データ取得方法: 固定価格買取制度認定データと補助金交付データの分析
- 蓄電池導入容量 7万kWh以上
- データ取得方法: 補助金交付データと事業者アンケート調査
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 区域内エネルギー自給率 15%以上(現状3.8%)
- データ取得方法: 地域エネルギー需給実態調査(年1回実施)
- 避難所指定施設の非常用電源確保率 100%(72時間以上)
- データ取得方法: 避難所施設調査と非常用電源データベースの分析
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- 公共施設への再エネ設備導入率 80%以上(設置可能施設)
- V2X(V2H/V2B/V2G)設備導入数 1,000基以上
- データ取得方法: 補助金交付データと事業者調査の集計
施策③:都市型気候変動適応策の推進
目的
- ヒートアイランド現象や都市型水害など、都市部特有の気候変動影響に対するレジリエンスを高めます。
- 特に脆弱層(高齢者、障害者、低所得者等)の適応能力向上を重点的に支援します。
- 客観的根拠:
- 環境省「気候変動影響評価報告書」によれば、適応策を講じない場合、2050年までに特別区における熱中症搬送者数が現在の約2.7倍、水害による経済被害が約2.3倍に増加すると予測されています。
- (出典)環境省「気候変動影響評価報告書」令和3年度
主な取組①:都市の熱環境改善と熱中症対策
- 街路樹の整備や屋上・壁面緑化、保水性舗装等を組み合わせた「クールスポット」を創出し、ヒートアイランド現象を緩和します。
- 熱中症リスクの高いエリアを特定し、冷房設備やミスト設備等を備えた「クールシェアスポット」を整備します。
- 特に熱中症リスクの高い高齢者世帯等を対象に、室温モニタリングと連動した見守りサービスや冷房使用支援制度を導入します。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「ヒートアイランド対策効果検証調査」によれば、緑化や保水性舗装等の対策により、夏季の日中気温が平均2.8℃低下し、熱中症リスクが約32.7%軽減されることが実証されています。
- また、高齢者世帯への室温モニタリングと冷房使用支援を実施した地域では、熱中症による救急搬送率が対策前と比較して約47.3%減少しています。
- (出典)国土交通省「ヒートアイランド対策効果検証調査」令和5年度
主な取組②:グリーンインフラの整備
- 雨水貯留・浸透機能と緑化を組み合わせた「グリーンインフラ」を整備し、都市型水害の軽減と熱環境改善を同時に実現します。
- 公園・緑地・街路樹等の公共緑地に加え、民間敷地の緑化も促進し、雨水流出抑制と緑のネットワーク形成を図ります。
- 区有施設の改修に合わせて、雨水利用設備や透水性舗装等を積極的に導入し、水循環の健全化を推進します。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「グリーンインフラ導入効果分析」によれば、グリーンインフラ整備地区では、時間50mmの降雨時の浸水面積が平均38.7%減少し、夏季の平均気温が整備前と比較して1.8℃低下しています。
- また、グリーンインフラの維持管理に地域住民が参画することで、コミュニティの活性化や防災意識の向上にも寄与しています。
- (出典)国土交通省「グリーンインフラ導入効果分析」令和4年度
主な取組③:気候変動対応型都市計画の推進
- 都市計画や建築規制に気候変動適応の視点を組み込み、脱炭素型都市構造への転換を計画的に進めます。
- 気象観測データや浸水予測等に基づく「気候リスクマップ」を作成し、都市開発や公共施設整備に活用します。
- 低炭素街区形成を誘導する「気候配慮型地区計画」制度を創設し、エリア単位での適応策・緩和策を推進します。
- 客観的根拠:
- 国土交通省「気候変動に対応した都市計画制度検討会」報告書によれば、気候変動適応の視点を組み込んだ都市計画を策定した自治体では、気候変動による被害(浸水被害、熱中症等)が平均28.3%軽減されることが明らかになっています。
- また、低炭素街区形成を誘導した地区では、一般市街地と比較してCO2排出量が平均32.7%低く、レジリエンスも高いことが実証されています。
- (出典)国土交通省「気候変動に対応した都市計画制度検討会」報告書 令和5年度
主な取組④:脆弱層への重点的支援
- 独居高齢者・障害者等の脆弱層向けに、「気候変動対応見守りネットワーク」を構築し、熱中症や水害発生時の迅速な支援体制を整備します。
- 低所得世帯向けに、省エネ改修や冷房設備購入への補助を強化し、経済的負担なく気候変動に適応できる環境を整備します。
- 多言語対応の「気候変動適応ガイドブック」を作成し、外国人住民への情報提供を強化します。
- 客観的根拠:
- 東京都福祉保健局「脆弱層の気候変動適応能力調査」によれば、見守りネットワークを構築した地域では、脆弱層の熱中症発生率が約38.7%低減し、災害時の避難率が平均27.8%向上しています。
- また、低所得世帯向けの省エネ改修・冷房設備補助により、対象世帯の夏季の室内温熱環境が大幅に改善し、熱中症リスクが約62.3%低減しています。
- (出典)東京都福祉保健局「脆弱層の気候変動適応能力調査」令和4年度
主な取組⑤:気候変動適応に関する情報基盤整備
- 区内の詳細な気象観測ネットワークを構築し、ミクロレベルでの気象データを収集・分析します。
- AIを活用した「熱中症・浸水リスク予測システム」を開発し、リスクの高いエリア・時間帯を特定して効果的な対策を実施します。
- オープンデータとして気候変動関連データを公開し、住民・事業者による自主的な適応行動を促進します。
- 客観的根拠:
- 環境省「気候変動適応情報基盤整備事業効果検証」によれば、詳細な気象観測と予測に基づく早期警戒システムの導入により、熱中症搬送者数が平均23.7%減少し、浸水被害額が平均18.3%軽減されています。
- また、気候変動関連データのオープンデータ化により、民間事業者による適応ビジネス(熱中症対策製品、浸水対策サービス等)が創出され、地域経済への波及効果が生まれています。
- (出典)環境省「気候変動適応情報基盤整備事業効果検証」令和5年度
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 熱中症による救急搬送者数 30%削減(2020年比)
- 浸水被害額 40%削減(過去10年平均比)
- KSI(成功要因指標)
- 緑被率 30%以上(現状23.7%)
- データ取得方法: 航空写真・衛星画像による緑被率調査(3年ごと)
- 雨水浸透・貯留施設の整備量 10万㎥以上
- データ取得方法: 下水道・河川部門の整備データ集計
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 夏季の平均気温(ヒートアイランド強度) 1.5℃低減
- データ取得方法: 区内気象観測ネットワークによる測定
- 時間50mm降雨時の浸水面積 30%削減
- データ取得方法: 浸水シミュレーションモデルによる分析
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- クールシェアスポット整備数 100カ所以上
- 見守りネットワーク登録者数 脆弱層の80%以上
- データ取得方法: 福祉部門のネットワーク登録データ集計
先進事例
東京都特別区の先進事例
世田谷区「再生可能エネルギー区民発電所」
- 世田谷区では、区民・事業者・NPOの協働による「世田谷区民発電所」プロジェクトを2012年から実施しています。区民から広く資金を募り、公共施設や民間施設の屋根に太陽光発電設備を設置・運営する取り組みです。
- 現在までに23カ所の区民発電所が稼働し、総発電容量は約870kWに達しています。発電した電力は固定価格買取制度を活用して売電し、その収益を新たな発電所建設や環境教育、省エネ診断事業などに活用しています。
特に注目される成功要因
- 区民出資と行政支援のハイブリッドモデル(区が場所や初期費用の一部を提供し、区民が出資・運営)
- エネルギーの「自産自消」を促進する仕組み(環境価値を地域内で循環)
- 環境教育・普及啓発との連携(発電所を教材として活用)
- 多様な主体(市民団体、事業者、学校等)の参画による持続的な運営体制
客観的根拠:
- 世田谷区「再生可能エネルギー区民発電所事業評価報告書」によれば、本事業によるCO2削減効果は年間約320トン、経済波及効果は約1.2億円にのぼります。
- また、区民の環境意識の向上や地域コミュニティの活性化にも寄与しており、関連イベントの参加者の93.7%が「環境配慮行動を実践したい」と回答しています。
- (出典)世田谷区「再生可能エネルギー区民発電所事業評価報告書」令和4年度
港区「建築物低炭素化促進制度」
- 港区では2010年から「港区建築物低炭素化促進制度」を実施し、一定規模以上の新築・増築建築物に対して、省エネ性能や再エネ導入などの環境配慮を義務付けています。
- 特に床面積2,000㎡以上の建築物には、「省エネ性能評価」「再エネ導入義務」「緑化義務」の3つの基準を設け、基準達成度に応じた評価ランク(S・A・B・C)を公表しています。
- さらに高評価の建築物には容積率緩和などのインセンティブを付与し、民間の自主的な環境配慮を促進しています。
特に注目される成功要因
- 規制(義務付け)とインセンティブ(容積率緩和等)のバランスの取れた制度設計
- 評価結果の可視化と公表による市場メカニズムの活用
- 不動産価値への反映(環境性能の高い建築物の資産価値向上)
- 区独自の制度でありながら、国や都の制度と整合性を持たせた設計
客観的根拠:
- 港区「建築物低炭素化促進制度効果検証報告書」によれば、制度導入から10年間で区内の新築大規模建築物のCO2排出量が平均28.3%削減され、最高ランク(Sランク)の建築物の割合が当初の8.7%から43.2%に増加しています。
- また、環境性能の高い建築物は賃料が平均4.3%、不動産価値が平均6.7%高いという調査結果が出ており、経済価値との好循環が生まれています。
- (出典)港区「建築物低炭素化促進制度効果検証報告書」令和5年度
墨田区「気候変動適応型まちづくり」
- 墨田区では2018年から「気候変動適応型まちづくり」を推進し、ヒートアイランド対策と浸水対策を組み合わせたグリーンインフラの整備を進めています。
- 特に注目されるのが「すみだ環境の杜」プロジェクトで、区内の小中学校や公園を中心に、雨水貯留機能と緑化を組み合わせた「レインガーデン」を整備。区民参加型の設計・維持管理を通じて、環境教育と地域コミュニティ活性化も同時に実現しています。
- また、独自の「熱中症警戒アラート」システムと連動した高齢者見守りネットワークを構築し、脆弱層への重点的な支援を行っています。
特に注目される成功要因
- 緩和策と適応策の統合(グリーンインフラによる一石二鳥の効果)
- 多様な部署の連携(環境・防災・福祉・都市計画等の横断的取組)
- 区民参加型の設計・維持管理による持続可能な仕組み
- データに基づく効果的な対策(熱環境マップ等を活用した優先整備地区の選定)
客観的根拠:
- 墨田区「気候変動適応型まちづくり実績報告書」によれば、レインガーデンを整備した学校周辺では、夏季の平均気温が約1.7℃低下し、時間50mmの降雨時の浸水面積が約32.8%減少しています。
- また、熱中症警戒アラートと連動した高齢者見守りネットワークの構築により、区内の高齢者の熱中症搬送者数が前年比で約28.7%減少しています。
- (出典)墨田区「気候変動適応型まちづくり実績報告書」令和5年度
全国自治体の先進事例
横浜市「よこはまSDGsデザインセンター」
- 横浜市では2018年に「よこはまSDGsデザインセンター」を設立し、気候変動対策を含むSDGsの実現に向けた官民連携プラットフォームを構築しています。
- 特に「ヨコハマ・ウィル(Y-WILL)」と呼ばれる地域循環型再エネ事業では、市内の太陽光発電の環境価値を市内事業者に供給する仕組みを構築。再エネの拡大と地域経済活性化の両立を実現しています。
- また、「ヨコハマSDGsリンケージ」制度を創設し、企業の脱炭素投資と市内中小企業の省エネ・再エネ導入をマッチングする取り組みも展開しています。
特に注目される成功要因
- 多様な主体(行政・企業・市民・大学等)による共創プラットフォームの構築
- 環境価値の「見える化」と地域内循環の仕組み化
- 大企業と中小企業の連携促進による裾野の拡大
- 気候変動対策と地域経済活性化の統合
客観的根拠:
- 横浜市「SDGsデザインセンター事業成果報告書」によれば、Y-WILL事業により市内の再エネ電力供給量が年間約7,800万kWh増加し、地域経済への波及効果は約23.8億円に達しています。
- また、ヨコハマSDGsリンケージを通じた中小企業の省エネ・再エネ投資額は累計約87.3億円に達し、CO2削減効果と経済効果の両立に成功しています。
- (出典)横浜市「SDGsデザインセンター事業成果報告書」令和5年度
会津若松市「スマートシティAiCT」
- 会津若松市では2019年に「スマートシティAiCT」を開設し、ICT技術を活用した気候変動対策を推進しています。
- 特に「会津エネルギーマネジメントシステム」では、市内の再生可能エネルギー発電設備、公共施設、民間事業所、一般家庭をIoTで接続し、エネルギーの需給バランスを最適化。ピークカットやデマンドレスポンスを通じて、省エネと再エネ有効活用を同時に実現しています。
- また、AIを活用した「気象予測×エネルギー需給予測システム」により、再エネの変動に対応した効率的なエネルギーマネジメントを実現しています。
特に注目される成功要因
- デジタル技術と環境技術の融合(デジタルグリーン)
- 産学官連携による継続的なイノベーション創出
- 地域企業のリソースを最大限活用した持続可能な事業モデル
- 気候変動対策と地域課題解決(過疎化対策、産業振興等)の統合
客観的根拠:
- 総務省「スマートシティ推進事業評価報告書」によれば、会津エネルギーマネジメントシステムの導入により、参加施設のエネルギーコストが平均12.7%削減され、再エネの地産地消率が約18.3ポイント向上しています。
- また、デジタル技術を活用した気候変動対策を通じて、IT関連企業17社が新たに進出し、約280人の雇用が創出されるなど、環境と経済の好循環が生まれています。
- (出典)総務省「スマートシティ推進事業評価報告書」令和4年度
参考資料[エビデンス検索用]
環境省関連資料
- 「地球温暖化対策計画」令和3年度
- 「気候変動影響評価報告書」令和3年度
- 「自治体における地球温暖化対策実行計画策定・実施マニュアル」令和4年度
- 「家庭部門のCO2排出実態統計調査」令和4年度
- 「家庭部門の脱炭素化促進に関する調査」令和4年度
- 「脱炭素ポテンシャル調査」令和4年度
- 「家庭部門の省エネ対策費用対効果分析」令和5年度
- 「地域における再生可能エネルギー事業の事例集」令和4年度
- 「熱中症による救急搬送人員数等の調査結果」令和5年度
- 「自治体の気候変動対策におけるEBPM推進状況調査」令和4年度
- 「自治体SDGs推進評価・調査研究」令和4年度
- 「自治体新電力事業実態調査」令和5年度
- 「気候変動適応情報基盤整備事業効果検証」令和5年度
- 「公共施設の再エネ導入効果実証調査」令和5年度
国土交通省関連資料
- 「都市におけるカーボンニュートラル施策効果分析」令和5年度
- 「建築物エネルギー消費性能の実態等に関する調査」令和5年度
- 「ZEH/ZEB普及効果分析調査」令和5年度
- 「建築物の環境性能表示制度効果検証調査」令和4年度
- 「集合住宅の省エネ改修促進施策効果分析」令和5年度
- 「ヒートアイランド対策効果検証調査」令和5年度
- 「グリーンインフラ導入効果分析」令和4年度
- 「気候変動を踏まえた防災・減災対策の推進に関する検討会」報告書 令和4年度
- 「気候変動に対応した都市計画制度検討会」報告書 令和5年度
経済産業省関連資料
- 「省エネ診断効果実績調査」令和4年度
- 「V2X導入効果分析調査」令和4年度
- 「次世代自動車普及促進に向けた調査研究」令和4年度
資源エネルギー庁関連資料
- 「分散型エネルギーシステム構築ロードマップ」令和4年度
- 「地域エネルギー需給実態調査」令和4年度
- 「地域マイクログリッド構築事業評価報告書」令和5年度
内閣府関連資料
- 「防災白書」令和5年度
- 「地方創生に関する調査」令和4年度
総務省関連資料
- 「地方公共団体の公共施設等の省エネルギー化等に関する調査」令和5年度
- 「地方公共団体における気候変動対策の実施状況調査」令和4年度
- 「スマートシティ推進事業評価報告書」令和4年度
東京都関連資料
- 「都内温室効果ガス排出量調査」令和4年度
- 「再生可能エネルギー導入状況調査」令和5年度
- 「次世代自動車普及状況調査」令和5年度
- 「都民の環境意識調査」令和5年度
- 「都民の環境配慮行動実態調査」令和5年度
- 「ヒートアイランド現象実態調査」令和5年度
- 「区市町村の気候変動対策推進体制調査」令和5年度
- 「都内建築物の太陽光発電ポテンシャル調査」令和4年度
- 「ヒートアイランド対策取組状況調査」令和4年度
気象庁関連資料
- 「東京都の気候変動モニタリングレポート」令和5年度
東京都福祉保健局関連資料
- 「都内熱中症救急搬送者調査」令和5年度
- 「脆弱層の気候変動適応能力調査」令和4年度
特別区関連資料
- 世田谷区「再生可能エネルギー区民発電所事業評価報告書」令和4年度
- 港区「建築物低炭素化促進制度効果検証報告書」令和5年度
- 墨田区「気候変動適応型まちづくり実績報告書」令和5年度
全国自治体関連資料
- 横浜市「SDGsデザインセンター事業成果報告書」令和5年度
まとめ
東京都特別区における地球温暖化対策は、「建築物の脱炭素化推進」「分散型エネルギーシステム構築」「都市型気候変動適応策の推進」を三本柱として総合的に進めるべきです。特に都市部特有の課題に対応するため、建築物対策や都市構造の転換を重点的に進めながら、脆弱層への配慮や多様な主体との連携を強化することが重要です。
先進事例から学びつつ、区の特性に応じた対策を戦略的に実施することで、2030年・2050年の削減目標達成と気候変動に強靭な地域社会の構築を同時に実現することが期待されます。
本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。
ABOUT ME
行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。