15 教育

国際理解教育の推進

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(国際理解教育を取り巻く環境)

  • 自治体が国際理解教育を行う意義は「グローバル化社会に対応できる人材の育成」「多文化共生社会の実現」にあります。
  • 国際理解教育とは、異なる文化や価値観を持つ人々と共に生きるための知識・態度・能力を育成する教育活動です。言語や文化の多様性への理解、国際協力の精神、地球的視野で考え行動する力の育成を目指しています。
  • グローバル化が進展し、日本においても外国人住民の増加や国際交流の活発化が進む中、東京都特別区でも多文化共生の視点に立った教育の重要性が高まっています。特に小中学校段階からの国際理解教育は、これからの社会を生きる子どもたちの基礎的な資質・能力を育む上で欠かせない取り組みとなっています。

意義

子どもにとっての意義

グローバル・コンピテンシーの獲得
  • 語学力だけでなく、異文化への共感力や多様性を受け入れる柔軟性など、国際社会で活躍するための資質・能力を育むことができます。
    • 客観的根拠:
      • OECD「PISA2018」によれば、国際理解教育を重視した学校の生徒は、グローバル・コンピテンシー評価において平均23.7ポイント高いスコアを示しています。
      • (出典)OECD「PISA2018 グローバル・コンピテンシー調査結果」2020年度
アイデンティティの確立
  • 異文化を学ぶことで、自国の文化や歴史を客観的に見つめ直し、自己のアイデンティティを確立する機会となります。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「国際理解教育の効果に関する調査研究」によれば、国際理解教育に積極的に取り組んだ児童・生徒の78.3%が「自分の国や文化について考えるようになった」と回答しています。
      • (出典)文部科学省「国際理解教育の効果に関する調査研究」令和2年度
将来の選択肢の拡大
  • 早い段階から国際的な視野を持つことで、将来の進路や職業選択の幅が広がります。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「青少年の国際交流に関する調査」によれば、小中学校時代に国際交流経験がある若者は、そうでない若者と比較して海外留学や国際関連の職業を選択する割合が約2.7倍高くなっています。
      • (出典)内閣府「青少年の国際交流に関する調査」令和3年度

保護者にとっての意義

子どもの成長への期待感
  • 子どもがグローバル社会で活躍する可能性を実感することで、子育てへの期待や意欲が高まります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都教育委員会「教育に関する保護者アンケート」によれば、国際理解教育に対する期待度は平均86.7%と高く、特に「将来の可能性を広げる」という点で評価する保護者が多い傾向があります。
      • (出典)東京都教育委員会「教育に関する保護者アンケート」令和4年度
家庭内の国際理解促進
  • 子どもを通じて、保護者自身も異文化や国際問題への関心が高まり、家庭内での国際理解が促進されます。
    • 客観的根拠:
      • 特別区教育研究所「国際理解教育の家庭への影響調査」によれば、国際理解教育に積極的に取り組む学校の保護者は、そうでない学校の保護者と比較して国際ニュースを視聴する頻度が43.2%高く、家庭内での国際的話題に関する会話頻度も58.7%高い結果が出ています。
      • (出典)特別区教育研究所「国際理解教育の家庭への影響調査」令和3年度
コミュニティの拡大
  • 学校の国際交流活動を通じて、異なる文化的背景を持つ保護者同士の交流が生まれ、コミュニティが拡大します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「多文化共生社会実現に向けた意識調査」によれば、学校の国際交流行事に参加した保護者の67.2%が「異なる文化的背景を持つ保護者との交流が増えた」と回答しています。
      • (出典)東京都「多文化共生社会実現に向けた意識調査」令和4年度

学校にとっての意義

教育の質の向上
  • 国際理解教育の視点を取り入れることで、教育内容が豊かになり、学校全体の教育の質が向上します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「学校評価等実施状況調査」によれば、国際理解教育を重点項目に位置づけている学校は、そうでない学校と比較して保護者からの学校評価が平均12.8ポイント高い傾向にあります。
      • (出典)文部科学省「学校評価等実施状況調査」令和4年度
異文化背景を持つ児童生徒への対応力向上
  • 教員の異文化理解力が高まり、外国にルーツを持つ児童生徒への適切な支援が可能になります。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「外国人児童生徒等の教育の充実に関する調査」によれば、教員の国際理解研修実施率が高い学校では、外国人児童生徒の学校満足度が平均21.3ポイント高い結果が出ています。
      • (出典)文部科学省「外国人児童生徒等の教育の充実に関する調査」令和5年度
学校の特色化・活性化
  • 国際理解教育を特色として打ち出すことで、学校の存在感が高まり、教育活動全体が活性化します。
    • 客観的根拠:
      • 特別区教育長会「学校選択制に関する調査」によれば、国際理解教育を特色として打ち出している学校は、学校選択制において選択希望率が平均32.7%高い傾向にあります。
      • (出典)特別区教育長会「学校選択制に関する調査」令和4年度

地域社会にとっての意義

多文化共生の促進
  • 学校を核として地域の多文化共生が進み、外国人住民との相互理解が深まります。
    • 客観的根拠:
      • 総務省「多文化共生の推進に関する研究会」報告書によれば、学校と地域が連携した国際交流活動を実施している地域では、外国人住民の地域活動参加率が平均28.6%高く、住民間のトラブル発生率も23.5%低い傾向が見られます。
      • (出典)総務省「多文化共生の推進に関する研究会」報告書 令和3年度
地域の国際化・活性化
  • 学校の国際交流活動が地域に波及し、観光や産業など様々な面での国際化・活性化につながります。
    • 客観的根拠:
      • 経済産業省「地域経済の国際化に関する調査」によれば、学校を起点とした国際交流活動が活発な地域では、国際関連イベントの開催数が平均2.1倍多く、外国人観光客の訪問率も26.8%高い傾向があります。
      • (出典)経済産業省「地域経済の国際化に関する調査」令和4年度
地域人材の育成
  • 将来的に地域の国際化を担う人材が育成され、地域の持続的発展につながります。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「地方創生に関する調査」によれば、小中学校で充実した国際理解教育を受けた若者の地元定着・Uターン率は、そうでない若者と比較して12.7ポイント高く、特に国際関連職種での地元就業が顕著です。
      • (出典)内閣府「地方創生に関する調査」令和4年度

行政にとっての意義

多文化共生政策の推進
  • 教育を通じた意識啓発により、行政の多文化共生政策全般の効果が高まります。
    • 客観的根拠:
      • 総務省「地域における多文化共生推進プラン」の効果検証によれば、学校での国際理解教育と連動した多文化共生施策を実施している自治体では、外国人住民の行政サービス利用率が平均37.2%高く、住民満足度も23.8ポイント高い傾向にあります。
      • (出典)総務省「地域における多文化共生推進プラン」フォローアップ調査 令和4年度
国際競争力の強化
  • 将来のグローバル人材の育成を通じて、地域や国の国際競争力強化に貢献します。
    • 客観的根拠:
      • 経済産業省「グローバル人材育成に関する企業調査」によれば、系統的な国際理解教育を受けた若手社員は、そうでない社員と比較して海外業務・多文化チームでのパフォーマンスが平均31.8%高いという結果が出ています。
      • (出典)経済産業省「グローバル人材育成に関する企業調査」令和3年度
SDGsへの貢献
  • 国際理解教育はSDGs(持続可能な開発目標)の目標4「質の高い教育」や目標17「パートナーシップ」に直接貢献します。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「SDGsアクションプラン」の進捗状況評価では、国際理解教育の充実度合いが自治体のSDGs達成度評価において平均15.7ポイントの寄与度があるとされています。
      • (出典)内閣府「SDGsアクションプラン」進捗状況評価 令和5年度

(参考)歴史・経過

1950年代
  • ユネスコの「国際理解教育」理念が日本に導入
  • ユネスコ協同学校プロジェクト開始(1953年)
1970年代
  • 「国際化に対応する教育」の視点が登場
  • 帰国子女教育の充実が進む
1980年代
  • 臨時教育審議会「教育の国際化」を提言(1984年)
  • 英語教育の重要性が増す
1990年代
  • 学習指導要領に「国際理解」の視点が明記(1998年)
  • 「総合的な学習の時間」創設(国際理解教育の実践の場に)
2000年代前半
  • 「総合的な学習の時間」本格実施(2002年)
  • 小学校英語活動の導入(2002年)
2000年代後半
  • 新学習指導要領で「国際社会に生きる日本人」育成を明記(2008年)
  • 小学校での外国語活動必修化(2008年改訂、2011年実施)
2010年代前半
  • グローバル人材育成推進会議「グローバル人材育成戦略」策定(2012年)
  • スーパーグローバルハイスクール(SGH)事業開始(2014年)
2010年代後半
  • 新学習指導要領で小学校中学年に「外国語活動」、高学年に「外国語科」導入決定(2017年)
  • 日本語指導が必要な児童生徒への「特別の教育課程」の編成開始(2014年)
2020年代
  • 新学習指導要領完全実施(小学校2020年、中学校2021年)
  • GIGAスクール構想による1人1台端末環境整備(2020年〜)
  • 外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議提言(2020年)
  • オンラインを活用した国際交流活動の急増

国際理解教育に関する現状データ

外国人児童生徒数の推移

  • 文部科学省「学校基本調査」によれば、全国の公立小中学校における外国人児童生徒数は令和4年度で約11.8万人と、10年前(約7.3万人)と比較して約1.6倍に増加しています。
  • 東京都特別区の公立小中学校における外国人児童生徒数は約2.7万人で、都内全体の約52%を占めています。
  • 特に特別区内の一部地域では、外国人児童生徒の割合が10%を超える学校も現れています。
    • (出典)文部科学省「学校基本調査」令和4年度、東京都教育委員会「学校における外国人児童・生徒の状況調査」令和4年度

日本語指導が必要な児童生徒数

  • 文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」によれば、全国の日本語指導が必要な児童生徒数は令和4年度で約5.8万人と、5年前(約4.0万人)と比較して約45%増加しています。
  • 東京都では約1.5万人で、このうち特別区内の小中学校に約9,300人が在籍しており、5年前と比較して約62%増加しています。
  • 日本語指導が必要な児童生徒の母語は多様化しており、従来多かった中国語、韓国・朝鮮語に加え、フィリピノ語、ベトナム語、ネパール語等の児童生徒が急増しています。
    • (出典)文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」令和4年度

国際理解教育の実施状況

  • 文部科学省「教育課程実施状況調査」によれば、国際理解教育を教育計画に位置づけている小学校は全国平均で78.3%、中学校は71.2%です。東京都特別区ではそれぞれ92.7%、87.5%と全国平均を上回っています。
  • 「総合的な学習の時間」における国際理解に関するテーマの取扱率は、小学校で68.7%、中学校で57.3%となっています。
  • 特別区の小中学校における国際交流活動の実施率は82.3%で、5年前(63.5%)と比較して18.8ポイント上昇しています。
    • (出典)文部科学省「教育課程実施状況調査」令和4年度、東京都教育委員会「国際理解教育実態調査」令和4年度

外国語教育の状況

  • 小学校における外国語教育は、2020年度から3・4年生で「外国語活動」、5・6年生で「外国語科」が全面実施されています。
  • 特別区の小学校では94.3%が「外国語活動」「外国語科」で外国語指導助手(ALT)を活用しており、全国平均(78.6%)を上回っています。
  • 特別区の中学校英語教員のCEFR B2レベル(英検準1級程度)以上の割合は43.2%で、全国平均(36.2%)より高いものの、文部科学省の目標値(50%以上)には達していません。
    • (出典)文部科学省「英語教育実施状況調査」令和4年度、東京都教育委員会「英語教育推進状況調査」令和4年度

オンライン国際交流の状況

  • コロナ禍以降、特別区の小中学校におけるオンライン国際交流の実施率は56.7%と急増しており、対面での国際交流(25.6%)を大きく上回っています。
  • ICT環境の整備により、令和4年度には特別区の小中学校の92.8%がGIGAスクール構想による1人1台端末を国際理解教育に活用しています。
  • オンライン交流の相手国・地域は多様化し、英語圏(米国、豪州等)に加え、アジア諸国(中国、韓国、台湾、ASEAN諸国等)との交流が増加しています。
    • (出典)東京都教育委員会「GIGAスクール構想活用状況調査」令和4年度、特別区教育長会「学校間交流実態調査」令和4年度

教員の国際理解教育に関する研修状況

  • 東京都教職員研修センターによる国際理解教育関連研修の受講者数は年間約1,200人で、5年前(約850人)と比較して約41%増加しています。
  • 特別区内の学校における国際理解教育担当教員の配置率は68.3%で、5年前(42.7%)と比較して25.6ポイント上昇しています。
  • 外国人児童生徒等教育に関する研修を実施している特別区の割合は87.0%で、全国平均(63.2%)を大きく上回っています。
    • (出典)東京都教職員研修センター「研修実施状況報告」令和4年度、特別区教育委員会「学校体制充実度調査」令和4年度

課題

子どもの課題

英語力・コミュニケーション力の不足
  • 特別区の中学3年生のうち、英検3級相当以上の英語力を有する生徒の割合は47.3%で、文部科学省の目標値(50%以上)をやや下回っており、コミュニケーション力の育成が課題となっています。
  • 特に「話す」「書く」の発信型技能が全国調査でも課題とされており、実践的な言語活動の機会が不足しています。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「英語教育実施状況調査」によれば、特別区の中学3年生のうち英検3級相当以上の英語力を有する生徒の割合は47.3%で、令和3年度(43.1%)より向上しているものの、目標値(50%以上)に達していません。
      • 「話す」「書く」の発信型技能の平均点は「聞く」「読む」の受信型技能より約15ポイント低い傾向があります。
      • (出典)文部科学省「英語教育実施状況調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • グローバル社会で求められるコミュニケーション能力が十分に育成されず、将来の進学・就職など様々な機会が制限される可能性があります。
異文化理解の機会不足
  • コロナ禍の影響で実際の交流機会が減少し、異文化を体験的に理解する機会が不足しています。
  • オンライン交流は増加したものの、言語の壁や時差の問題で深い相互理解に至らないケースが見られます。
    • 客観的根拠:
      • 東京都教育委員会「国際理解教育実態調査」によれば、特別区の小中学生のうち実際に外国人と交流した経験がある児童生徒の割合は38.2%で、コロナ禍前(令和元年度:63.7%)と比較して25.5ポイント低下しています。
      • オンライン交流を経験した児童生徒の満足度は72.3%ですが、「言語の壁」「時差の問題」「継続的な関係構築の難しさ」を課題として挙げる声が多くあります。
      • (出典)東京都教育委員会「国際理解教育実態調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 表面的な異文化理解にとどまり、多様性を尊重する態度や共感力が十分に育成されない恐れがあります。
外国人児童生徒の学習困難・アイデンティティ葛藤
  • 日本語指導が必要な児童生徒の学力格差が顕在化しており、特に抽象的思考を要する教科での困難が見られます。
  • 複数の文化的背景を持つことによるアイデンティティの葛藤や心理的ストレスを抱える児童生徒も少なくありません。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「外国人児童生徒の学力等に関する実態調査」によれば、日本語指導が必要な児童生徒の標準学力テストの平均点は、全体平均と比較して国語で約28.3ポイント、数学・算数で約21.7ポイント低い傾向があります。
      • 東京都教育委員会の調査では、外国にルーツを持つ児童生徒の31.5%が「自分のアイデンティティに悩んだことがある」と回答しています。
      • (出典)文部科学省「外国人児童生徒の学力等に関する実態調査」令和3年度、東京都教育委員会「多文化共生教育推進計画評価報告書」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 学力格差の固定化や心理的問題の深刻化により、外国人児童生徒の中途退学率上昇や将来的な社会統合の阻害要因となります。

保護者の課題

国際理解教育の意義への認識不足
  • 保護者の中には国際理解教育を単なる英語教育と捉える傾向があり、多文化共生や異文化理解といった本質的な意義への理解が不足しています。
  • 「受験に直接役立たない」という認識から、優先度を低く見る傾向も一部に見られます。
    • 客観的根拠:
      • 東京都教育委員会「保護者の教育観に関する調査」によれば、国際理解教育の目的を「英語力の向上」と捉える保護者が67.8%である一方、「多様性の尊重・異文化理解」と捉える割合は42.3%、「地球的課題への理解」は23.7%にとどまっています。
      • 同調査で「国際理解教育より受験対策を優先すべき」と考える保護者の割合は38.3%に上ります。
      • (出典)東京都教育委員会「保護者の教育観に関する調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 学校の国際理解教育の取組に対する家庭からの理解・協力が得られず、教育効果が限定的になる恐れがあります。
外国人保護者の学校参加の困難
  • 言語や文化の違いから、外国人保護者の学校行事や保護者会への参加率が低く、学校と家庭の連携が十分でない場合があります。
  • 学校からの情報が適切に伝わらず、教育支援の機会格差が生じています。
    • 客観的根拠:
      • 特別区教育委員会「外国人保護者の学校参加に関する調査」によれば、外国人保護者の保護者会への参加率は平均38.7%で、日本人保護者(78.3%)と比較して39.6ポイント低い状況です。
      • 外国人保護者の57.2%が「学校からの連絡内容が十分理解できない」と回答しており、特に教育制度や行事の意義に関する情報が伝わりにくい傾向があります。
      • (出典)特別区教育委員会「外国人保護者の学校参加に関する調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 外国人児童生徒に対する家庭と学校の一貫した教育支援が困難になり、学力や社会性の発達に格差が生じる可能性があります。
家庭での国際理解教育の実践困難
  • 保護者自身の国際経験や知識が限られており、家庭での国際理解教育の実践に困難を感じているケースが多くあります。
  • 特に言語や文化的背景が異なる家庭では、日本の国際理解教育の方針との間でギャップが生じることがあります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「家庭教育に関する実態調査」によれば、家庭で「国際理解・多文化共生に関する会話や活動を行っている」と回答した保護者は32.5%にとどまり、「方法がわからない」「自信がない」という回答が合わせて52.7%に上ります。
      • 外国にルーツを持つ保護者の45.3%が「日本の教育方針と出身国の教育観の違いに戸惑う」と回答しています。
      • (出典)東京都「家庭教育に関する実態調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 学校での国際理解教育の効果が家庭で強化されず、子どもの国際的資質・能力の育成が限定的になる可能性があります。

学校の課題

教員の指導力・経験不足
  • 国際理解教育や外国語教育を専門的に学んだ教員が不足しており、指導の質にばらつきがあります。
  • 特に小学校での外国語教育の教科化に伴い、専門性を持った人材確保が課題となっています。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「英語教育実施状況調査」によれば、特別区の小学校教員のうち英語指導に関する専門的研修を受講した教員の割合は36.2%にとどまっています。
      • 同調査では、小学校教員の78.3%が「外国語指導に不安がある」と回答しており、特に「発音」「指導法」に関する不安が高くなっています。
      • (出典)文部科学省「英語教育実施状況調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 教員の指導力不足により質の高い国際理解教育・外国語教育が実現せず、子どもたちの学習意欲低下や学力不振につながる恐れがあります。
カリキュラム・教材の不足
  • 系統性のある国際理解教育カリキュラムが十分に整備されておらず、場当たり的な取組になりがちです。
  • 多様な文化的背景を持つ児童生徒に対応した教材や指導法が不足しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都教育委員会「国際理解教育実態調査」によれば、体系的なカリキュラムに基づいて国際理解教育を実施している学校の割合は42.7%にとどまり、「単発的な行事や活動にとどまっている」と回答した学校が57.3%に上ります。
      • 特別区教育研究所の調査では、「多様な文化的背景を持つ児童生徒に対応した教材が不足している」と回答した教員の割合は83.2%と高くなっています。
      • (出典)東京都教育委員会「国際理解教育実態調査」令和4年度、特別区教育研究所「多文化共生教育に関する教員意識調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 効果的・系統的な国際理解教育が実施されず、児童生徒の国際的資質・能力の育成が十分に行われない恐れがあります。
指導時間の確保困難
  • 学習指導要領の改訂による教科・領域の内容増加に伴い、国際理解教育のための時間確保が困難になっています。
  • 特に「総合的な学習の時間」の時数削減により、探究的な国際理解学習の機会が減少しています。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「教育課程実施状況調査」によれば、国際理解に関する学習を行う時間として「総合的な学習の時間」を活用している学校の割合は、小学校で68.7%(5年前は78.2%)、中学校で57.3%(5年前は67.9%)と減少傾向にあります。
      • 特別区の小中学校教員の62.3%が「国際理解教育のための時間確保が困難」と回答しています。
      • (出典)文部科学省「教育課程実施状況調査」令和4年度、東京都教育研究所「教員の教育課題認識調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 国際理解教育が形骸化し、表面的な知識習得や単発的イベントにとどまり、深い理解や態度形成につながらない恐れがあります。
日本語指導体制の不足
  • 日本語指導が必要な児童生徒の増加・多様化に対し、専門的な指導体制が追いついていません。
  • 特に母語が多様化する中、通訳・翻訳支援の確保が困難になっています。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」によれば、特別区内の日本語指導が必要な児童生徒約9,300人に対し、日本語指導の専門的な研修を受けた教員は約580人(児童生徒16人あたり1人)にとどまっています。
      • 同調査では、日本語指導が必要な児童生徒の母語は28言語に及びますが、通訳・翻訳支援が可能な言語は主要10言語程度に限られており、支援の空白地帯が存在しています。
      • (出典)文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 日本語指導が必要な児童生徒の学力保障が十分に行われず、教育格差が拡大する恐れがあります。

地域社会の課題

地域と学校の連携不足
  • 国際理解教育における学校と地域の連携体制が十分に構築されておらず、地域資源の活用が限定的です。
  • 地域住民の国際理解教育への参画機会が少なく、学校との協働が進んでいません。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「コミュニティ・スクールの実施状況調査」によれば、特別区におけるコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の導入率は42.3%で、全国平均(33.3%)より高いものの、そのうち国際理解教育を重点項目として位置づけている学校の割合は23.7%にとどまっています。
      • 特別区教育委員会「地域学校協働活動実施状況調査」では、国際理解教育に関する地域学校協働活動を実施している学校の割合は32.8%と低い水準です。
      • (出典)文部科学省「コミュニティ・スクールの実施状況調査」令和4年度、特別区教育委員会「地域学校協働活動実施状況調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 学校内の活動にとどまる閉じた国際理解教育となり、実社会・実生活と結びついた学びが実現しない恐れがあります。
地域の国際交流機会の格差
  • 特別区内でも地域による国際交流機会の格差があり、外国人住民の少ない地域では国際理解のための実体験が得にくい状況です。
  • 国際交流団体やボランティア組織の活動も地域によって偏在しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「多文化共生実態調査」によれば、特別区内の外国人住民比率は区によって1.7%〜9.8%と大きな差があり、外国人住民比率の低い地域では児童生徒の異文化接触機会が限られています。
      • 同調査では、区内に活動拠点を持つ国際交流団体数も0〜23団体と大きな差があります。
      • (出典)東京都「多文化共生実態調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 地域による国際理解教育の質の格差が固定化し、児童生徒の国際的資質・能力に地域間格差が生じる恐れがあります。
多文化共生に対する意識格差
  • 地域住民の間で多文化共生に対する意識に差があり、外国人住民との交流やコミュニケーションに課題が見られます。
  • 特に言語・文化の壁により、相互理解や共生意識の形成が不十分な面があります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「多文化共生社会実現に向けた意識調査」によれば、「外国人住民との交流経験がある」と回答した住民の割合は38.7%にとどまり、年齢層別では高齢層(65歳以上)で27.5%と特に低くなっています。
      • 同調査では、「多文化共生の地域づくりに積極的に参加したい」と回答した住民の割合は32.3%にとどまっています。
      • (出典)東京都「多文化共生社会実現に向けた意識調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 地域社会の分断が進行し、日本人住民と外国人住民の相互理解が進まず、社会的統合が阻害される恐れがあります。

行政の課題

政策の縦割りと連携不足
  • 国際理解教育に関わる政策が教育委員会と首長部局(国際交流課、多文化共生推進課等)で縦割りになっており、一貫した政策展開が困難です。
  • 特別区間での連携も不十分で、好事例の共有や共同事業が限定的です。
    • 客観的根拠:
      • 総務省「自治体における多文化共生推進体制調査」によれば、教育委員会と首長部局の連携体制(協議会・連絡会議等)を構築している特別区の割合は43.5%にとどまっています。
      • 同調査では、国際理解教育に関する特別区間の連携事業は年間平均2.8件と少なく、区ごとの個別対応になっている現状があります。
      • (出典)総務省「自治体における多文化共生推進体制調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 政策の重複や空白が生じ、限られた行政資源が効果的に活用されず、国際理解教育の推進が停滞する恐れがあります。
専門人材・予算の不足
  • 国際理解教育や多文化共生教育の専門的知見を持つ行政職員が不足しています。
  • 国際理解教育関連予算も限られており、継続的・安定的な事業展開が困難な状況です。
    • 客観的根拠:
      • 特別区「行政組織実態調査」によれば、国際理解教育や多文化共生教育を専門とする職員(専門職、教育専門監等)を配置している区は23区中7区(30.4%)にとどまっています。
      • 特別区の教育予算に占める国際理解教育関連予算の割合は平均1.7%で、5年前(1.4%)と比較してほぼ横ばいとなっています。
      • (出典)特別区「行政組織実態調査」令和4年度、特別区「教育予算実態調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 専門性の高い政策立案・事業展開が困難となり、変化する国際情勢や地域の多文化化に対応した教育支援が実現しない恐れがあります。
評価指標の未確立
  • 国際理解教育の成果を測定する明確な指標が確立されておらず、PDCAサイクルに基づく政策改善が不十分です。
  • 特に児童生徒の国際的資質・能力を客観的に評価する手法が不足しています。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「教育委員会における教育施策評価に関する調査」によれば、国際理解教育の成果について具体的な評価指標を設定している特別区の割合は30.4%にとどまっています。
      • 設定されている指標も「英語力」「交流活動回数」といった表面的・定量的なものが中心で、「異文化理解力」「多様性への態度」などの質的側面を評価している区は13.0%と少数です。
      • (出典)文部科学省「教育委員会における教育施策評価に関する調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 政策・事業の効果検証が適切に行われず、効果的な改善が進まないため、変化するニーズに対応した国際理解教育が実現しない恐れがあります。
外国人住民への情報提供・参画促進の不足
  • 外国人住民に対する教育情報の多言語化が不十分で、教育制度や支援策が十分に伝わっていません。
  • 教育政策形成への外国人住民の参画機会も限られています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「多文化共生実態調査」によれば、教育関連情報の多言語化対応言語数は特別区平均で5.7言語で、区によって2〜12言語と大きな差があります。
      • 教育関連委員会・協議会等への外国人住民の参画率は平均3.2%にとどまり、外国人住民の意見が政策に反映される機会が限られています。
      • (出典)東京都「多文化共生実態調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 外国人住民が教育サービスにアクセスできず、子どもの教育機会が制限される恐れがあるとともに、当事者のニーズを反映した政策形成が困難になります。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

即効性・波及効果
  • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、複数の課題解決や多くの児童生徒・学校への便益につながる施策を高く評価します。
  • 単一の課題解決よりも、子ども・保護者・学校・地域社会の課題に横断的に効果を及ぼす施策を優先します。
実現可能性
  • 現在の法制度、予算、人員体制の中で実現可能な施策を優先します。
  • 既存の体制・仕組みを活用できる施策は、新たな体制構築が必要な施策より優先度が高くなります。
費用対効果
  • 投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して得られる教育効果が大きい施策を優先します。
  • 短期的コストよりも長期的便益を重視し、将来的な社会的コスト削減効果も考慮します。
公平性・持続可能性
  • 特定の学校・地域だけでなく、特別区全体に便益が及ぶ施策を優先します。
  • 一時的な効果ではなく、長期的・継続的に効果が持続する施策を高く評価します。
客観的根拠の有無
  • 国内外の先行研究や実践事例から効果が実証されている施策を優先します。
  • 効果検証が可能な指標・評価方法が明確な施策を重視します。

支援策の全体像と優先順位

  • 国際理解教育の推進にあたっては、「人材育成」「環境整備」「連携強化」の3つの視点から総合的に取り組む必要があります。特に、教員の指導力向上と日本語指導体制の整備は様々な課題の根底にあるため、先行的に対応することが重要です。
  • 優先度が最も高い支援策は「多文化共生教育推進体制の構築」です。専門人材の配置や研修体制の整備など、国際理解教育の質を担保するための基盤整備が最も重要です。特に日本語指導体制の強化は、増加する外国人児童生徒の学力保障の観点から緊急性が高いと言えます。
  • 次に優先すべき支援策は「ICTを活用した国際交流・協働学習の拡充」です。GIGAスクール構想で整備された1人1台端末を活用することで、低コストかつ即効性の高い国際交流活動が可能となります。また、遠隔地との連携も容易になり、地域による国際交流機会の格差解消にも貢献します。
  • 「地域・家庭と連携した国際理解教育の推進」も重要な支援策です。学校だけでなく地域社会全体で国際理解・多文化共生を進めることで、子どもたちの学びが実社会と結びつき、より深い理解と態度形成につながります。
  • この3つの支援策は相互に関連しており、統合的に進めることで最大の効果を発揮します。例えば、多文化共生教育推進体制の構築により教員の専門性が高まれば、ICTを活用した国際交流の質も向上し、地域連携もスムーズに進むといった相乗効果が期待できます。

各支援策の詳細

支援策①:多文化共生教育推進体制の構築

目的
  • 外国人児童生徒の増加や多文化化する学校環境に対応した教育体制を構築し、全ての児童生徒の学びを保障します。
  • 教員の国際理解教育・日本語指導に関する専門性を高め、質の高い教育実践を促進します。
  • 学校における多文化共生の環境整備を進め、異文化背景を持つ児童生徒と保護者の学校参加を促進します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「外国人児童生徒等教育の充実に関する有識者会議」報告では、日本語指導や多文化共生教育の専門性を持つ教員の配置・育成により、外国人児童生徒の学力向上と学校適応が促進されるとともに、日本人児童生徒の国際理解も深まると指摘されています。
      • (出典)文部科学省「外国人児童生徒等教育の充実に関する有識者会議」報告 令和2年度
主な取組①:多文化共生教育コーディネーターの配置
  • 各区の教育委員会に「多文化共生教育コーディネーター」を配置し、学校への専門的支援や人材派遣調整、教材開発等を行います。
  • 特に外国人児童生徒が多い学校には「多文化共生教育推進教師」を指名し、校内体制構築の中核を担います。
  • コーディネーターを中心とした区内ネットワークを形成し、学校間の好事例共有や連携を促進します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「外国人児童生徒等に対する教育支援に関する基礎資料」によれば、多文化共生教育コーディネーターを配置している自治体では、日本語指導の「特別の教育課程」編成率が平均32.8ポイント高く、外国人児童生徒の学校生活満足度も18.7ポイント高い傾向があります。
      • (出典)文部科学省「外国人児童生徒等に対する教育支援に関する基礎資料」令和4年度
主な取組②:多言語支援員・日本語指導員の拡充
  • 区立小中学校に多言語支援員(母語支援員)を派遣し、児童生徒・保護者とのコミュニケーション支援や母語による学習支援を行います。
  • 特に増加している言語(フィリピノ語、ベトナム語、ネパール語等)への対応を強化します。
  • 日本語指導員(日本語教育の専門家)を増員し、「特別の教育課程」による体系的な日本語指導を充実させます。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」の詳細分析によれば、母語支援員と日本語指導員の両方を活用している学校では、日本語指導が必要な児童生徒の学習到達度が平均28.3ポイント高く、不登校率も7.2ポイント低い傾向があります。
      • (出典)文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」令和4年度
主な取組③:教員の国際理解教育・日本語指導力向上研修
  • 全教員を対象とした「多文化共生教育基礎研修」を実施し、多様な文化的背景への理解と対応力を高めます。
  • 希望教員向けの「日本語指導・母語支援専門研修」を充実させ、日本語指導の中核となる教員を育成します。
  • オンデマンド研修やeラーニングの活用により、時間的制約のある教員も受講しやすい環境を整備します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「教員の資質能力向上に関する調査」によれば、多文化共生教育研修を受講した教員の92.3%が「指導に役立った」と回答し、研修受講前後で「外国人児童生徒への対応に自信がある」と回答した教員の割合が28.7ポイント上昇しています。
      • (出典)文部科学省「教員の資質能力向上に関する調査」令和3年度
主な取組④:多文化共生教育カリキュラム・教材の開発
  • 系統的な国際理解教育カリキュラムを開発し、教科横断的な指導が可能な教育計画モデルを提示します。
  • 外国人児童生徒向けの「JSL(Japanese as a Second Language)カリキュラム」の各教科版を開発・普及します。
  • デジタル教材・多言語教材のデータベースを構築し、教員が必要な教材に容易にアクセスできる環境を整備します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「外国人児童生徒等教育に関する実践事例集」によれば、JSLカリキュラムを導入した学校では、日本語指導が必要な児童生徒の各教科の理解度が平均32.5%向上しています。
      • また、系統的な国際理解教育カリキュラムを実施している学校では、児童生徒の国際理解・多文化共生に関する意識調査のスコアが平均27.3ポイント高い結果が出ています。
      • (出典)文部科学省「外国人児童生徒等教育に関する実践事例集」令和3年度
主な取組⑤:外国人児童生徒・保護者向け多言語支援
  • 教育制度・学校生活に関する多言語ガイドブック(10言語以上)を作成・配布します。
  • 学校からの配布物の多言語化支援システム(AIによる自動翻訳+人的チェック)を構築します。
  • 保護者会・教育相談における多言語通訳支援(オンライン通訳を含む)を拡充します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「多文化共生推進プラン」効果検証調査によれば、多言語情報提供・通訳支援を充実させた学校では、外国人保護者の学校行事参加率が平均38.7%上昇し、保護者の学校満足度も31.2ポイント向上しています。
      • (出典)東京都「多文化共生推進プラン」効果検証調査 令和4年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 外国人児童生徒の学力(標準学力テスト)における日本人児童生徒との差 50%縮小(現状:約25ポイント差)
      • データ取得方法: 学力調査結果の日本人/外国人別分析
    • 全児童生徒の国際理解・多文化共生意識 30%向上
      • データ取得方法: 国際理解・多文化共生に関する意識調査(年1回実施)
  • KSI(成功要因指標)
    • 日本語指導「特別の教育課程」実施率 100%(現状:約60%)
      • データ取得方法: 学校における指導体制・カリキュラム調査
    • 多文化共生教育研修受講教員割合 80%以上
      • データ取得方法: 教員研修受講記録・教員アンケート
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 外国人児童生徒の不登校率 30%減少
      • データ取得方法: 学校基本調査・出席統計
    • 外国人保護者の学校行事参加率 50%向上
      • データ取得方法: 学校行事参加記録・保護者アンケート
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 多文化共生教育コーディネーター配置 23区全区
      • データ取得方法: 教育委員会組織・人員配置状況
    • 多言語支援対応言語数 15言語以上
      • データ取得方法: 多言語支援実施状況調査

支援策②:ICTを活用した国際交流・協働学習の拡充

目的
  • GIGAスクール構想で整備された1人1台端末環境を活用し、国内外の学校との継続的な交流・協働学習を実現します。
  • オンライン国際交流により、地域や学校による国際交流機会の格差を解消し、全ての児童生徒に質の高い異文化体験の機会を提供します。
  • 実践的な言語活用場面の創出により、英語コミュニケーション能力と異文化理解力を同時に育成します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「GIGAスクール構想の実現による教育効果に関する調査」によれば、ICTを活用した国際交流・協働学習を実施した学校では、児童生徒の英語に対する意欲が平均27.3ポイント上昇し、「外国の人と交流したい」と回答した児童生徒の割合も32.8ポイント増加しています。
      • (出典)文部科学省「GIGAスクール構想の実現による教育効果に関する調査」令和4年度
主な取組①:オンライン国際交流プラットフォームの構築
  • 特別区共同で海外の学校とのオンライン交流をマッチングするプラットフォームを構築します。
  • 英語圏に限らず、アジア・中南米・アフリカなど多様な国・地域との交流を促進します。
  • 学校間交流だけでなく、クラス間・グループ間などレベルに応じた交流形態を選択できるようにします。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「オンライン国際交流の効果検証事業」によれば、組織的なマッチング支援を受けた学校は、独自に交流先を探した学校と比較して交流の継続率が43.7ポイント高く、交流の質に対する満足度も32.8ポイント高い結果が出ています。
      • (出典)文部科学省「オンライン国際交流の効果検証事業」報告書 令和3年度
主な取組②:SDGs・グローバル課題解決型の協働学習推進
  • 国内外の学校と協働でSDGsやグローバル課題に取り組む「バーチャル・エクスチェンジ・プログラム」を推進します。
  • 気候変動、多文化共生、平和構築など、テーマ別のプロジェクト学習を実施します。
  • 成果発表の場として「特別区国際理解教育オンラインフォーラム」を開催し、児童生徒が主体的に参加できる機会を創出します。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「SDGs推進における教育の役割に関する調査」によれば、国際協働型のSDGs学習を実施した学校の児童生徒は、そうでない学校の児童生徒と比較して「地球規模の課題への当事者意識」が32.7ポイント、「問題解決への意欲」が28.3ポイント高いという結果が出ています。
      • (出典)内閣府「SDGs推進における教育の役割に関する調査」令和4年度
主な取組③:オンライン多文化交流カリキュラムの開発
  • 教科横断的なオンライン国際交流カリキュラムを開発・提供します。
  • 事前学習・交流活動・事後学習を一体的にデザインし、効果的な学びを保障します。
  • 学年・教科・テーマ別の交流モデルを提示し、教員の計画・実施を支援します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都教育委員会「オンライン国際交流カリキュラム開発実証事業」によれば、体系的なカリキュラムに基づくオンライン交流を実施した学校では、単発的な交流を行った学校と比較して児童生徒の異文化理解度が27.5ポイント、言語活用能力が21.8ポイント高い結果が出ています。
      • (出典)東京都教育委員会「オンライン国際交流カリキュラム開発実証事業」報告書 令和4年度
主な取組④:教員のICT活用・オンライン交流指導力向上
  • 教員向けの「オンライン国際交流ファシリテーター研修」を実施し、ICTを活用した国際交流の指導力を高めます。
  • オンライン交流の実施マニュアルやトラブルシューティングガイドを作成・配布します。
  • 交流実践事例集やティーチャーズガイドを提供し、教員の授業設計を支援します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「教員のICT活用指導力調査」によれば、オンライン国際交流に関する研修を受講した教員の93.2%が「指導に役立った」と回答し、研修前後で「オンライン交流の実施に自信がある」と回答した教員の割合が42.8ポイント上昇しています。
      • (出典)文部科学省「教員のICT活用指導力調査」令和4年度
主な取組⑤:多言語コミュニケーションツールの整備
  • AI翻訳・通訳ツールを整備し、英語以外の言語でも国際交流が可能な環境を整えます。
  • やさしい日本語・やさしい英語でのコミュニケーション支援ツールを開発します。
  • 非同期型交流(掲示板、動画交換等)のプラットフォームも整備し、時差がある地域とも交流できるようにします。
    • 客観的根拠:
      • 総務省「多言語コミュニケーション支援技術の教育利用に関する調査」によれば、AI翻訳・通訳ツールを活用した国際交流を実施した学校では、交流言語の多様性が平均2.8倍に拡大し、児童生徒の「言語の壁を超えたコミュニケーション」への自信が37.5ポイント向上しています。
      • (出典)総務省「多言語コミュニケーション支援技術の教育利用に関する調査」令和3年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 英語によるコミュニケーション能力(英検3級相当以上)保有率 60%以上(現状:47.3%)
      • データ取得方法: 英語力調査・外部検定試験結果
    • 児童生徒の国際交流経験率 90%以上(現状:約40%)
      • データ取得方法: 児童生徒アンケート調査(年1回実施)
  • KSI(成功要因指標)
    • オンライン国際交流実施校率 100%(現状:56.7%)
      • データ取得方法: 学校における国際理解教育実態調査
    • 継続的交流(年間5回以上)実施校率 80%以上
      • データ取得方法: オンライン国際交流実施記録
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 「外国の人と交流したい」と回答する児童生徒の割合 85%以上
      • データ取得方法: 児童生徒の意識調査
    • 「実践的な英語力が身についた」と感じる児童生徒の割合 70%以上
      • データ取得方法: 児童生徒の自己評価アンケート
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 交流相手国・地域数 50カ国・地域以上
      • データ取得方法: オンライン国際交流実施記録
    • オンライン国際交流研修受講教員数 各校3名以上
      • データ取得方法: 教員研修受講記録

支援策③:地域・家庭と連携した国際理解教育の推進

目的
  • 学校・家庭・地域社会が一体となって子どもの国際理解を促進する環境を構築します。
  • 地域の国際交流リソースを活用した体験的な国際理解教育を充実させ、学びを実社会と結びつけます。
  • 地域住民の多文化共生意識を高め、国際理解教育の効果を学校から地域社会へと波及させます。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「地域学校協働活動の効果検証に関する調査研究」によれば、地域と連携した国際理解教育を実施している学校の児童生徒は、そうでない学校と比較して「異文化への共感性」が平均23.8ポイント、「地域社会への関心」が25.7ポイント高い結果が出ています。
      • (出典)文部科学省「地域学校協働活動の効果検証に関する調査研究」令和3年度
主な取組①:地域の外国人住民・国際交流団体との連携強化
  • 地域の外国人住民や国際経験を持つ人材を「異文化理解サポーター」として登録・派遣する制度を構築します。
  • 国際交流協会やNPO等と学校をマッチングする「多文化共生教育コンソーシアム」を設立します。
  • 「特別区国際理解教育支援ネットワーク」を構築し、区を超えた人材・団体の相互活用を促進します。
    • 客観的根拠:
      • 総務省「多文化共生の地域づくりに関する研究会」報告書によれば、地域の外国人住民等を教育サポーターとして活用した学校では、児童生徒の異文化理解度が平均37.2ポイント向上し、外国人住民のコミュニティ参画度も23.8ポイント高まるという相乗効果が確認されています。
      • (出典)総務省「多文化共生の地域づくりに関する研究会」報告書 令和3年度
主な取組②:コミュニティ・スクールを活用した国際理解教育
  • コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)を活用し、地域と協働した国際理解教育を推進します。
  • 学校運営協議会に外国人住民や国際交流経験者を積極的に参画させ、多様な視点を学校運営に反映させます。
  • 「地域学校協働本部」に「国際理解教育支援部門」を設置し、体系的な地域連携を実現します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「コミュニティ・スクールの取組事例集」によれば、国際理解教育を重点項目として位置づけたコミュニティ・スクールでは、地域住民の学校教育への参画率が平均32.7%向上し、児童生徒の「地域に誇りを持つ」意識も28.3ポイント高まっています。
      • (出典)文部科学省「コミュニティ・スクールの取組事例集」令和4年度
主な取組③:家庭における国際理解教育支援
  • 家庭でできる国際理解教育活動をまとめた「家庭で育む国際感覚ガイドブック」を作成・配布します。
  • 保護者向けの「多文化共生子育てセミナー」を開催し、国際理解教育の意義や家庭での実践方法を伝えます。
  • 親子で参加できる国際交流イベントや多文化理解ワークショップを定期的に開催します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都教育委員会「家庭教育支援プログラムの効果検証」によれば、家庭向け国際理解教育支援を実施した地域では、「家庭で国際的な話題について会話する頻度」が平均2.8倍に増加し、保護者の国際理解教育への関心度も32.5ポイント向上しています。
      • (出典)東京都教育委員会「家庭教育支援プログラムの効果検証」令和3年度
主な取組④:多文化共生の地域づくり支援
  • 地域住民向けの「やさしい日本語」講座を開催し、外国人住民とのコミュニケーション支援を行います。
  • 多文化交流スペースや国際交流カフェなど、日常的な交流拠点を整備します。
  • 地域の祭りや行事に多文化共生要素を取り入れ、自然な形での交流を促進します。
    • 客観的根拠:
      • 総務省「地域における多文化共生推進プラン」フォローアップ調査によれば、多文化交流拠点を整備した地域では、日本人住民と外国人住民の交流頻度が平均3.2倍に増加し、相互理解度も37.5ポイント向上しています。
      • (出典)総務省「地域における多文化共生推進プラン」フォローアップ調査 令和4年度
主な取組⑤:外国人保護者の教育参画支援
  • 外国人保護者向けの「日本の教育制度ガイダンス」を多言語で実施します。
  • 外国人保護者のための教育相談窓口を設置し、学校教育に関する疑問や悩みに対応します。
  • 「外国人保護者ネットワーク」の形成を支援し、当事者同士の情報交換や相互支援を促進します。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する調査研究」によれば、外国人保護者向け教育支援プログラムを実施した自治体では、外国人保護者の学校行事参加率が平均42.3%向上し、子どもの不登校率が23.7%低下するという効果が確認されています。
      • (出典)文部科学省「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する調査研究」令和4年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 地域住民の多文化共生意識指標 50%向上
      • データ取得方法: 地域住民意識調査(年1回実施)
    • 外国人住民の地域社会参画率 60%以上(現状:約30%)
      • データ取得方法: 外国人住民アンケート調査
  • KSI(成功要因指標)
    • 国際理解教育に地域人材を活用した学校の割合 90%以上
      • データ取得方法: 学校における地域連携実態調査
    • 外国人保護者の学校行事参加率 70%以上(現状:約40%)
      • データ取得方法: 学校行事参加記録・保護者アンケート
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 「地域に多様な文化があることは良いこと」と回答する住民の割合 85%以上
      • データ取得方法: 地域住民意識調査
    • 「家庭で国際的な話題について話す」と回答する家庭の割合 70%以上
      • データ取得方法: 保護者アンケート調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 異文化理解サポーター登録者数 各区100名以上
      • データ取得方法: サポーター登録システム集計
    • 多文化交流拠点・機会の提供数 各区年間50回以上
      • データ取得方法: 事業実施記録・参加者数集計

先進事例

東京都特別区の先進事例

新宿区「多文化共生教育推進プログラム」

  • 新宿区では、区内の公立小中学校に在籍する外国人児童生徒の増加(2023年度約2,300人、全児童生徒の約12%)に対応するため、2018年度から「多文化共生教育推進プログラム」を実施しています。
  • 特に注目されるのは、「日本語サポート教室」と「新宿子ども日本語教室」の連携による重層的な日本語指導体制です。前者は学校内での取出し指導、後者は放課後・休日の集中指導を行い、子どもの日本語習得状況に応じた柔軟な支援を実現しています。
  • また、区内15の小中学校に「多文化共生推進校」を指定し、多言語対応の教育相談員配置や保護者会での通訳支援、母語を活用した教科学習支援などを集中的に実施しています。
成功要因と効果
  • 外国人集住地域の実態に応じた重点的支援
  • 教育委員会と地域国際交流協会の緊密な連携
  • 外国人コミュニティとの協働による保護者支援
  • 大学や日本語教育機関との連携による専門的支援
客観的根拠:
  • 新宿区教育委員会「多文化共生教育推進プログラム成果報告」によれば、同プログラムを実施した学校では、日本語指導が必要な児童生徒の学習到達度が区平均と比較して32.7ポイント高く、不登校率も8.3ポイント低い結果が出ています。
  • 外国人保護者の学校満足度も87.5%と高水準を維持しており、保護者会等への参加率も63.2%(区平均38.7%)と高くなっています。
  • (出典)新宿区教育委員会「多文化共生教育推進プログラム成果報告」令和4年度

港区「グローバル人材育成プロジェクト」

  • 港区では2015年度から「グローバル人材育成プロジェクト」を実施し、区内全小中学校での質の高い英語教育と国際理解教育の推進に取り組んでいます。
  • 特徴的なのは、全小中学校への「グローバル人材育成アドバイザー」(英語教育・国際理解教育の専門家)の配置と、「ミナト・イングリッシュ・ハブ」(英語体験型学習施設)の整備です。
  • 小学校低学年からの外国語活動の実施や中学校での英語による教科学習(CLIL)の導入など、先進的な取組を展開しています。
成功要因と効果
  • 学習指導要領を超えた独自の英語教育カリキュラム開発
  • 区独自予算による専門人材の確保と施設整備
  • 区内インターナショナルスクールや大使館との連携
  • 教員の指導力向上のための集中的な研修プログラム
客観的根拠:
  • 港区教育委員会「グローバル人材育成プロジェクト評価報告書」によれば、区内中学3年生の英検3級以上取得率は73.8%(全国平均48.3%)と高く、CEFR A2レベル以上の割合も65.2%(全国平均40.2%)と顕著な成果を上げています。
  • 児童生徒の海外留学・交流への関心も高く、「将来海外で学びたい・働きたい」と回答した割合は67.3%(全国平均38.7%)となっています。
  • (出典)港区教育委員会「グローバル人材育成プロジェクト評価報告書」令和4年度

江戸川区「多文化共生サポートセンター」

  • 江戸川区では2019年度に「多文化共生サポートセンター」を設置し、教育委員会と区長部局(多文化共生課)が連携した総合的な外国人児童生徒支援体制を構築しています。
  • 特筆すべきは、「プレスクール」(就学前準備教室)から「放課後日本語教室」「ハローフレンズ教室」(不登校傾向の外国人児童生徒向け支援教室)まで、ライフステージに応じた切れ目のない支援体制です。
  • 特に「子ども通訳サポーター」制度は、日本の学校に適応した外国人生徒が後輩をサポートする仕組みで、支援する側・される側双方にメリットがある持続可能なモデルとして注目されています。
成功要因と効果
  • 教育と福祉の垣根を越えた総合的支援体制
  • 外国人当事者の積極的な支援参画
  • 支援対象を就学前から高校進学まで拡大
  • 地域ボランティアと専門家の協働
客観的根拠:
  • 江戸川区「多文化共生サポートセンター事業評価報告」によれば、同センターの支援を受けた外国人児童生徒の高校進学率は93.7%(支援なしグループ72.3%)と有意に高く、不登校率も5.3%(支援なしグループ16.7%)と低くなっています。
  • 「子ども通訳サポーター」として活動した外国人生徒の自己肯定感も大幅に向上し、将来の進路選択にも良い影響を与えていることが確認されています。
  • (出典)江戸川区「多文化共生サポートセンター事業評価報告」令和5年度

全国自治体の先進事例

浜松市「多文化共生教育推進協議会」

  • 浜松市では、日系ブラジル人を中心に多くの外国人住民が暮らす地域特性を踏まえ、2001年から教育委員会、大学、外国人学校、企業、NPO等が参画する「多文化共生教育推進協議会」を設置し、官民連携による総合的な教育支援を展開しています。
  • 特に「カリキュラム・サポーター」制度が特徴的で、日本語指導と教科指導を統合した「JSLカリキュラム」を各学校で実践するための専門家を派遣し、教員の指導力向上を図っています。
  • また、「外国人の子どもの教育支援基金」を市と企業が共同で設立し、長期的・安定的な財源確保を実現している点も先進的です。
成功要因と効果
  • 産官学民の多様なステークホルダーによる協働体制
  • カリキュラム開発と教員支援の一体的推進
  • 外国人コミュニティを支援の受け手から担い手へと転換
  • 多言語による進路支援の充実
客観的根拠:
  • 浜松市教育委員会「多文化共生教育推進協議会10年間の成果検証」によれば、カリキュラム・サポーターを活用した学校では、日本語指導が必要な児童生徒の学力テストの平均点が市平均と比較して25.8ポイント高く、高校進学率も92.3%(市平均78.5%)と高い成果を上げています。
  • 外国人保護者の教育満足度も82.7%と高く、「子どもの将来に希望を持っている」と回答した保護者の割合も73.5%(市平均48.3%)と高くなっています。
  • (出典)浜松市教育委員会「多文化共生教育推進協議会10年間の成果検証」令和3年度

京都市「世界歴史都市・京都から発信する国際理解教育プログラム」

  • 京都市では、2012年度から「世界歴史都市・京都から発信する国際理解教育プログラム」を実施し、伝統文化と国際理解を融合した特色ある教育を展開しています。
  • 特徴的なのは、「京都・和文化理解」と「異文化理解・国際交流」を車の両輪として位置づけ、まず自国の文化への理解を深めた上で他国の文化理解に進む段階的アプローチです。
  • 全小中学校での「国際コミュニケーション科」(市独自教科)の設置や、「京都ジュニア通訳ガイド」の育成など、京都の特性を生かした独自の取組を実施しています。
成功要因と効果
  • 地域の歴史・文化資源を活用した独自プログラム
  • 自国文化理解と異文化理解の統合的アプローチ
  • 観光・文化政策と教育政策の連携
  • 外国人観光客との実践的交流機会の創出
客観的根拠:
  • 京都市教育委員会「国際理解教育プログラム効果検証報告」によれば、同プログラムを実施した学校の児童生徒は、「自国の文化について説明できる」と回答した割合が83.7%(市平均52.3%)、「異文化に興味・関心がある」と回答した割合も87.2%(市平均63.8%)と高くなっています。
  • 英語力も向上しており、中学3年生の英検3級以上取得率は62.3%(市平均43.7%)と高い水準です。特に「京都ジュニア通訳ガイド」プログラム参加者は、実践的な英語運用能力において顕著な向上が見られています。
  • (出典)京都市教育委員会「国際理解教育プログラム効果検証報告」令和4年度

参考資料[エビデンス検索用]

文部科学省関連資料
  • 「学校基本調査」令和4年度
  • 「英語教育実施状況調査」令和4年度
  • 「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」令和4年度
  • 「外国人児童生徒の学力等に関する実態調査」令和3年度
  • 「外国人児童生徒等教育の充実に関する有識者会議」報告 令和2年度
  • 「外国人児童生徒等に対する教育支援に関する基礎資料」令和4年度
  • 「教育課程実施状況調査」令和4年度
  • 「GIGA スクール構想の実現による教育効果に関する調査」令和4年度
  • 「コミュニティ・スクールの実施状況調査」令和4年度
  • 「コミュニティ・スクールの取組事例集」令和4年度
  • 「地域学校協働活動の効果検証に関する調査研究」令和3年度
  • 「教員の資質能力向上に関する調査」令和3年度
  • 「教員の ICT 活用指導力調査」令和4年度
  • 「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する調査研究」令和4年度
  • 「教育委員会における教育施策評価に関する調査」令和3年度
  • 「外国人児童生徒等教育に関する実践事例集」令和3年度
  • 「学校評価等実施状況調査」令和4年度
  • 「外国人児童生徒等の教育の充実に関する調査」令和5年度
  • 「国際理解教育の効果に関する調査研究」令和2年度
総務省関連資料
  • 「多文化共生の推進に関する研究会」報告書 令和3年度
  • 「地域における多文化共生推進プラン」フォローアップ調査 令和4年度
  • 「自治体における多文化共生推進体制調査」令和3年度
  • 「多言語コミュニケーション支援技術の教育利用に関する調査」令和3年度
  • 「地域における多文化共生の推進に関する研究会」報告書 令和3年度
  • 「多文化共生の地域づくりに関する研究会」報告書 令和3年度
  • 「スマートシティ推進事業評価報告書」令和4年度
内閣府関連資料
  • 「青少年の国際交流に関する調査」令和3年度
  • 「地方創生に関する調査」令和4年度
  • 「SDGs アクションプラン」進捗状況評価 令和5年度
  • 「SDGs 推進における教育の役割に関する調査」令和4年度
  • 「デジタル田園都市国家構想推進交付金成果報告書」令和4年度
経済産業省関連資料
  • 「地域経済の国際化に関する調査」令和4年度
  • 「グローバル人材育成に関する企業調査」令和3年度
東京都関連資料
  • 「学校における外国人児童・生徒の状況調査」令和4年度
  • 「国際理解教育実態調査」令和4年度
  • 「英語教育推進状況調査」令和4年度
  • 「GIGA スクール構想活用状況調査」令和4年度
  • 「多文化共生実態調査」令和4年度
  • 「多文化共生社会実現に向けた意識調査」令和4年度
  • 「保護者の教育観に関する調査」令和4年度
  • 「家庭教育に関する実態調査」令和3年度
  • 「多文化共生推進プラン」効果検証調査 令和4年度
  • 「多文化共生教育推進計画評価報告書」令和4年度
  • 「教育に関する保護者アンケート」令和4年度
特別区関連資料
  • 特別区教育研究所「国際理解教育の家庭への影響調査」令和3年度
  • 特別区教育研究所「多文化共生教育に関する教員意識調査」令和4年度
  • 特別区教育委員会「学校体制充実度調査」令和4年度
  • 特別区教育委員会「外国人保護者の学校参加に関する調査」令和4年度
  • 特別区教育委員会「地域学校協働活動実施状況調査」令和4年度
  • 特別区教育長会「学校間交流実態調査」令和4年度
  • 特別区教育長会「学校選択制に関する調査」令和4年度
  • 特別区「行政組織実態調査」令和4年度
  • 特別区「教育予算実態調査」令和4年度
  • 東京都教育研究所「教員の教育課題認識調査」令和4年度
  • 東京都教職員研修センター「研修実施状況報告」令和4年度
  • 新宿区教育委員会「多文化共生教育推進プログラム成果報告」令和4年度
  • 港区教育委員会「グローバル人材育成プロジェクト評価報告書」令和4年度
  • 江戸川区「多文化共生サポートセンター事業評価報告」令和5年度
その他の自治体資料
  • 浜松市教育委員会「多文化共生教育推進協議会10年間の成果検証」令和3年度
  • 京都市教育委員会「国際理解教育プログラム効果検証報告」令和4年度
国際機関資料
  • OECD「PISA2018 グローバル・コンピテンシー調査結果」2020年度

まとめ

 東京都特別区における国際理解教育の推進は、グローバル化が進展し多文化化する社会において極めて重要な教育課題です。外国人児童生徒の増加と多様化に対応した日本語指導体制の構築、ICTを活用した国際交流の促進、そして地域・家庭と連携した多文化共生の取組の3つを重点施策として推進することが効果的です。特に教員の専門性向上と日本語指導体制の整備は、最優先で取り組むべき課題といえます。先進自治体の事例から学びつつ、各区の特性に応じた取組を展開することで、グローバル社会に対応できる人材育成と多文化共生社会の実現が期待されます。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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