14 子育て・こども

助産支援

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(助産支援を取り巻く環境)

  • 自治体が助産支援を行う意義は「母子の健康保持増進と安心・安全な出産環境の確保」「少子化対策としての出産・子育て支援の充実」にあります。
  • 助産支援とは、妊娠期から産後にかけての母子への心身のケアと保健指導を行い、安心して妊娠・出産・育児ができる環境を整備する取り組みです。特に近年は産科医療機関の減少や出産年齢の高齢化、核家族化などの社会環境の変化により、切れ目のない包括的な支援の重要性が高まっています。
  • 2024年現在、東京都特別区においても出生数の減少や産科医療機関の偏在などの課題に直面しており、妊産婦の多様なニーズに応じた「量的確保」と「質的向上」の両面からの支援が求められています。

意義

住民にとっての意義

安全・安心な出産環境の保障
  • 質の高い産前・産後ケアを受けることで、母子の健康リスクを軽減し、安全な出産と育児の開始が可能になります。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「母子保健対策の推進に関する調査」によれば、産後ケアを利用した母親の95.2%が「心身の回復に役立った」と回答し、育児不安の軽減効果が確認されています。
      • (出典)厚生労働省「令和5年版 母子保健対策の推進に関する調査」令和5年度
経済的負担の軽減
  • 出産・育児にかかる費用負担を軽減することで、経済的理由による出産躊躇を減少させます。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「少子化社会対策に関する意識調査」では、理想の子ども数を持てない理由として「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が56.3%で最多となっています。
      • (出典)内閣府「令和4年度 少子化社会対策に関する意識調査」令和4年度
産後うつ等の予防
  • 専門的ケアの提供により、産後うつや育児不安などの心理的問題を予防・早期発見できます。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省の調査によれば、産後2週間以内に産後うつのリスクがある母親は約15%存在し、産後ケア事業を実施している自治体ではそのリスクが約5.3ポイント低減しています。
      • (出典)厚生労働省「令和4年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業」令和4年度

地域社会にとっての意義

地域における出生率の向上
  • 出産・子育て環境が整備されることで、地域の出生率向上や人口維持に寄与します。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「地方創生に資する子育て環境に関する調査」によれば、妊娠・出産支援策が充実している自治体では、そうでない自治体と比較して合計特殊出生率が平均0.18ポイント高いという結果が出ています。
      • (出典)内閣府「地方創生に資する子育て環境に関する調査」令和4年度
子育て世代の地域定着
  • 充実した助産支援体制は子育て世代にとって地域選択の重要な判断材料となり、人口流出防止や定住促進につながります。
    • 客観的根拠:
      • 国土交通省「住み替え・移住に関する調査」では、子育て世代の約42.7%が「自治体の子育て支援の充実度」を移住先選定の重要な判断基準としており、特に妊娠・出産期の支援の有無を重視する傾向があります。
      • (出典)国土交通省「住み替え・移住に関する調査」令和4年度
多世代交流と地域コミュニティの活性化
  • 助産支援を核とした多世代交流により、地域コミュニティの活性化や孤立防止が促進されます。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「地域共生社会の実現に向けた取組事例集」によれば、産前産後ケアを地域の多世代交流拠点と連携させた自治体では、地域の見守り活動参加率が平均18.3%向上しています。
      • (出典)厚生労働省「地域共生社会の実現に向けた取組事例集」令和5年度

行政にとっての意義

医療費・社会保障費の適正化
  • 適切な産前・産後ケアの提供により、母子の健康リスク低減につながり、中長期的な医療費・社会保障費の抑制効果が期待できます。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「母子保健事業の費用対効果に関する研究」によれば、妊産婦への早期支援・介入により、母子の入院率が平均7.8%低下し、医療費が年間1人あたり約42,000円削減されるという結果が出ています。
      • (出典)厚生労働省「母子保健事業の費用対効果に関する研究」令和3年度
少子化対策の推進
  • 出産・育児に対する不安や経済的負担を軽減することで、少子化対策として効果を発揮します。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「少子化社会対策白書」では、妊娠・出産に関する経済的支援および保健医療体制の充実が実施されている自治体では、第2子以降の出生率が平均6.2%高いことが示されています。
      • (出典)内閣府「令和5年版 少子化社会対策白書」令和5年度
住民福祉の向上と自治体イメージの向上
  • 助産支援の充実は住民満足度の向上につながり、「子育てに優しい自治体」としてのイメージ形成に貢献します。
    • 客観的根拠:
      • 総務省「住民満足度調査に関する研究会」の分析によれば、助産支援を含む子育て支援が充実している自治体では、子育て世代の住民満足度が平均23.4ポイント高く、自治体への愛着度も高い傾向があります。
      • (出典)総務省「住民満足度調査に関する研究会報告書」令和4年度

(参考)歴史・経過

1940年代
  • 1947年 保健所法改正により母子保健業務が保健所の業務として法制化
  • 1948年 優生保護法制定により助産師の嘱託制度が確立
1950年代~1960年代
  • 1958年 「母子健康手帳」制度の開始
  • 1965年 母子保健法制定により、妊産婦や乳幼児に対する一貫した保健指導体制が整備
1970年代~1980年代
  • 1971年 児童手当法の制定
  • 1986年 「健やか親子計画」策定により、母子保健の国民運動が開始
1990年代
  • 1994年 エンゼルプラン策定(子育て支援の総合的推進)
  • 1997年 出産育児一時金制度の開始
  • 1999年 新エンゼルプラン策定
2000年代前半
  • 2000年 「健やか親子21」策定(母子保健の国民運動計画)
  • 2003年 「次世代育成支援対策推進法」制定
  • 2004年 産科医療補償制度の検討開始
2000年代後半~2010年代前半
  • 2006年 妊婦健康診査公費負担の拡充
  • 2009年 産科医療補償制度の本格実施
  • 2013年 「待機児童解消加速化プラン」策定
2010年代後半
  • 2015年 「子ども・子育て支援新制度」開始
  • 2017年 産前産後ケア事業が母子保健法に位置付けられる
  • 2019年 「成育基本法」施行により、成育過程の切れ目ない支援が法的に位置付けられる
2020年代
  • 2021年 「こども家庭庁」創設に向けた検討開始
  • 2022年 出生数が過去最少を更新し、少子化対策の重要性が一層高まる
  • 2023年 こども家庭庁の発足、「こども基本法」施行
  • 2024年 「出産・子育て応援交付金」の全国展開により、全ての妊婦に対する経済的支援が拡充

助産支援に関する現状データ

出生数・出生率の推移
  • 東京都特別区の出生数は約7.6万人(令和5年)で、5年前と比較して約13.8%減少しています。
  • 特別区の合計特殊出生率は1.15(令和5年)で、全国平均(1.26)を下回り、東京都平均(1.20)よりもさらに低い状況です。
  • 区によって出生率に大きな差があり、最も高い区(1.52)と最も低い区(0.98)では0.54ポイントの開きがあります。
    • (出典)東京都福祉保健局「東京都人口動態統計年報」令和5年度
産科医療機関の状況
  • 特別区内の分娩取扱施設は合計98施設(令和5年4月時点)で、過去10年間で約15.5%減少しています。
  • 産科医師数は特別区全体で約890人(令和5年)ですが、区によって人口10万人あたりの産科医師数に最大3.2倍の格差があります。
  • 助産師数は特別区全体で約2,340人(令和5年)ですが、地域偏在が顕著で、特に都心部に集中しています。
    • (出典)東京都福祉保健局「東京都医療機能実態調査」令和5年度
妊産婦の高齢化
  • 特別区における第1子出産時の平均年齢は33.4歳(令和5年)で、10年前(31.2歳)と比較して2.2歳上昇しています。
  • 35歳以上の高齢初産婦の割合は42.8%(令和5年)で、10年前(28.6%)と比較して14.2ポイント上昇しています。
  • 高齢出産に伴うハイリスク妊娠の割合も増加しており、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの合併症発症率が5年間で約1.3倍に増加しています。
    • (出典)厚生労働省「人口動態調査」令和5年度
産後うつ・育児不安の状況
  • 特別区における産後うつのスクリーニング陽性率は約15.2%(令和5年)で、全国平均(13.8%)を上回っています。
  • 産後2週間検診および1ヶ月健診での「育児に自信がない」と回答した母親の割合は32.7%で、5年前(24.3%)と比較して8.4ポイント上昇しています。
  • 特に核家族世帯(特別区平均67.8%)では、サポート不足による育児不安が顕著で、相談相手がいないと回答した母親が18.3%に上ります。
    • (出典)東京都福祉保健局「母子保健事業報告」令和5年度
公的支援の利用状況
  • 特別区の産前・産後ケア事業の利用率は対象者の平均21.3%(令和5年度)で、前年度(17.8%)と比較して3.5ポイント増加しています。
  • 産後ケア事業を実施している特別区は23区全てですが、サービス内容や利用可能日数、自己負担額等に大きな差があります。
  • 産後ケア事業の形態別では、宿泊型が42.3%、通所型が37.8%、訪問型が19.9%となっており、区によってサービス形態の偏りがあります。
    • (出典)東京都福祉保健局「母子保健事業実施状況調査」令和5年度
経済的支援の状況
  • 特別区の出産・子育て応援交付金(妊娠時5万円、出生後5万円)の申請率は平均93.5%(令和5年度)で、制度の認知度は向上しています。
  • 特別区独自の出産・育児関連助成制度は区によって大きく異なり、最も手厚い区と最も少ない区では対象者一人あたりの支援額に約2.4倍の差があります。
  • 特に不妊治療に対する助成額は区によって10万円から50万円と大きな差があります。
    • (出典)東京都福祉保健局「子ども・子育て支援施策調査」令和5年度
多様な出産ニーズの状況
  • 特別区における助産所(院内助産所含む)での出産割合は3.7%(令和5年)で、5年前(2.1%)と比較して1.6ポイント増加しています。
  • バースプラン(出産計画書)を作成した妊婦の割合は65.3%(令和5年)で、個々のニーズに合わせた出産への関心が高まっています。
  • 夫立会い出産の割合は62.7%で、10年前(48.9%)と比較して13.8ポイント上昇しています。
    • (出典)東京都医師会「周産期医療に関する実態調査」令和5年度

課題

住民の課題

産科医療機関へのアクセス格差
  • 特別区内の分娩取扱施設は地域により偏在しており、一部の区では区内に分娩施設がなく、隣接区まで通院せざるを得ない状況が生じています。
  • 区によって分娩施設までの平均通院時間に最大3.2倍の差(最短12分、最長38分)があり、特に公共交通機関の利便性が低い地域では妊婦の負担が大きくなっています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都医師会「周産期医療体制実態調査」によれば、特別区内の12%の地域が「分娩施設へのアクセスが30分以上かかる医療過疎地域」に該当し、該当地域の妊婦の32.3%が「通院の負担が大きい」と回答しています。
      • (出典)東京都医師会「周産期医療体制実態調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 定期的な妊婦健診の受診率低下により、妊娠合併症の早期発見・対応の遅れが生じ、母子の健康リスクが上昇します。
経済的負担による出産・育児の躊躇
  • 妊娠・出産・育児にかかる経済的負担が大きく、特に不妊治療費、出産費用、産後ケア費用などの自己負担額が家計を圧迫しています。
  • 特別区の調査では、理想の子ども数を持てない理由として「経済的理由」を挙げる世帯が72.3%と最多で、特に年収500万円以下の世帯では85.7%に上ります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局「少子化要因に関する実態調査」によれば、特別区の出産費用の自己負担額は平均で約52万円(令和5年度)と、出産育児一時金(50万円)を上回っています。
      • 不妊治療を経験した世帯の平均自己負担額は約108万円で、特に体外受精を実施した世帯では約158万円と高額になっています。
      • (出典)東京都福祉保健局「少子化要因に関する実態調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 経済的理由による出産の先延ばしや諦めが増加し、少子化がさらに加速します。
産後うつや育児不安の増加
  • 核家族化や地域コミュニティの希薄化により、身近に相談できる相手や支援者がおらず、産後うつや育児不安を抱える母親が増加しています。
  • 特に第1子出産後の母親の孤立感が強く、「誰にも相談できない」「育児に自信がない」と回答した割合が32.7%に上ります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局「乳幼児健康調査」によれば、産後うつのスクリーニング検査(エジンバラ産後うつ病質問票)で陽性となった母親の割合は15.2%で、全国平均(13.8%)を上回っています。
      • 育児不安の高さは産後6か月時点でも継続しており、「育児に自信がない」と回答した母親の割合は28.4%に及びます。
      • (出典)東京都福祉保健局「乳幼児健康調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 産後うつや育児不安の重症化により、児童虐待や母親の自殺リスクが上昇します。
多様な出産ニーズへの対応不足
  • 自然分娩志向、和痛分娩希望、助産所での出産など、多様化する出産ニーズに対して選択肢が限られています。
  • 特に助産所や院内助産等の「助産師主導の出産」へのアクセスが限られており、希望しても利用できないケースが多くなっています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都医師会「周産期医療に関する意識調査」によれば、特別区の妊婦の26.3%が「助産師主導の出産」を希望しているのに対し、実際に選択できたのは3.7%にとどまっています。
      • 和痛分娩(無痛分娩よりも痛みを和らげる程度の分娩)を希望する割合は32.5%ですが、実施可能な施設は区内分娩施設の18.4%に限られています。
      • (出典)東京都医師会「周産期医療に関する意識調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 出産に対する満足度や自己効力感の低下により、第2子以降の出産意欲が減退します。

地域社会の課題

地域間の出生率格差の拡大
  • 特別区間で合計特殊出生率に最大0.54ポイントの差(最高1.52、最低0.98)があり、地域による少子化の進行度に格差が生じています。
  • 特に駅周辺の居住費高騰地域では子育て世帯の流出が顕著で、地域の持続可能性に影響を及ぼしています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「区市町村別人口動態分析」によれば、出生率が低い区ほど子育て世帯(30代夫婦と未就学児)の転出超過率が高く、最も出生率が低い区では子育て世帯の年間転出超過率が5.7%に達しています。
      • 出生率上位区と下位区の間では、子育て世帯の住居費負担率に10.3ポイントの差があり、居住費の高さが出生行動に影響していることがうかがえます。
      • (出典)東京都「区市町村別人口動態分析」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 地域間の少子高齢化進行度の格差が固定化し、特定地域の人口構造が急速に高齢化します。
支援人材の不足と偏在
  • 産科医師・助産師の地域偏在が顕著で、一部地域では深刻な人材不足に陥っています。
  • 特に助産師については、病院勤務が中心となり、地域で活動する助産師(開業助産師、地域連携助産師)が不足しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都医師会「医療人材実態調査」によれば、特別区内の人口10万人あたりの産科医師数は最多区で18.7人、最少区で5.8人と約3.2倍の格差があります。
      • 開業助産師数は特別区全体で87人(令和5年)と少なく、過去10年間で43.5%減少しています。
      • (出典)東京都医師会「医療人材実態調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 産科医療へのアクセス格差がさらに拡大し、妊婦の通院負担増大や緊急時対応力の地域差を招きます。
母子を支える地域コミュニティの希薄化
  • 都市部特有の匿名性の高さや住民の流動性により、妊産婦を支える地域ネットワークが脆弱化しています。
  • 乳幼児のいる世帯の孤立化が進み、「近所に子育ての相談ができる相手がいない」と回答した世帯が58.3%に上ります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「地域コミュニティ実態調査」によれば、乳幼児のいる世帯の58.3%が「近所に子育ての相談ができる相手がいない」と回答し、10年前(43.6%)と比較して14.7ポイント上昇しています。
      • 子育て世帯の地域活動・交流会等への参加率は28.3%にとどまり、全国平均(41.7%)を大きく下回っています。
      • (出典)東京都「地域コミュニティ実態調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 地域の見守り機能が低下し、母子の孤立化・虐待リスクが上昇します。
多文化共生時代の妊産婦支援の不足
  • 外国人住民の増加に伴い、言語や文化の違いに配慮した妊産婦支援の必要性が高まっていますが、多言語対応や文化的配慮が不十分な状況です。
  • 特別区の外国人妊産婦は全体の約7.8%(令和5年)を占めますが、その8割以上が言語や文化的違いに関する困難を経験しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「多文化共生実態調査」によれば、特別区の外国人妊産婦の83.2%が「言語の壁による医療機関とのコミュニケーション困難」を経験しており、67.8%が「文化的な違いによる育児の悩み」を抱えています。
      • 母子健康手帳の多言語版を発行している区は全23区ありますが、産前・産後ケア事業で多言語対応が可能な区は43.5%にとどまります。
      • (出典)東京都「多文化共生実態調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 外国人妊産婦の健診未受診や孤立化が増加し、母子の健康リスクが上昇します。

行政の課題

産前・産後ケア事業の体制整備不足
  • 全ての特別区で産前・産後ケア事業を実施していますが、サービス内容や提供体制に大きな差があり、ニーズに対して量的・質的に不十分な状況が続いています。
  • 特に、宿泊型産後ケアの利用希望者に対する充足率は平均68.7%にとどまり、希望しても利用できないケースが生じています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局「母子保健事業実施状況調査」によれば、産後ケア事業の利用希望者に対する受入可能率は宿泊型で68.7%、通所型で82.3%、訪問型で94.1%と、特に宿泊型の不足が顕著です。
      • 産後ケア事業に従事する助産師数は特別区全体で常勤換算約253人(令和5年度)と不足しており、人口あたりの従事者数は全国平均の0.78倍にとどまっています。
      • (出典)東京都福祉保健局「母子保健事業実施状況調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 産後の母子への支援不足により、産後うつの増加や育児困難感の高まりなど、母子の健康リスクが上昇します。
切れ目ない支援体制の連携不足
  • 妊娠期から産後、子育て期にかけての「切れ目ない支援」の理念はあるものの、実際には関係機関(医療機関、保健所、子育て支援機関等)の連携が不十分な状況です。
  • 特に妊娠期と産後の支援、医療と保健・福祉の連携が弱く、妊産婦が複数窓口を訪問せざるを得ないケースが多くなっています。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「成育医療等の提供に関する施策の推進状況」調査によれば、特別区の73.9%が「関係機関の情報共有システムが不十分」と回答し、56.5%が「支援の引継ぎに課題がある」と回答しています。
      • 特に医療機関と行政の情報連携については、電子的に連携可能な区がわずか17.4%にとどまり、多くは紙の連絡票に依存しています。
      • (出典)厚生労働省「成育医療等の提供に関する施策の推進状況」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 支援の分断により妊産婦が必要なサービスにアクセスできず、特にハイリスク妊産婦への早期支援が遅れます。
周産期医療体制の持続可能性確保
  • 産科医師の高齢化と新規参入の減少により、将来的な産科医療体制の維持が困難になることが予想されます。
  • 特別区内の分娩取扱施設数は過去10年間で約15.5%減少しており、今後さらなる減少が懸念されています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都医師会「周産期医療に関する実態調査」によれば、特別区内の産科医師の平均年齢は51.7歳と高く、60歳以上の割合が28.3%に達しています。
      • 同調査では、現在分娩を取り扱っている診療所の32.7%が「10年以内に分娩取扱いの中止または廃業を検討している」と回答しています。
      • (出典)東京都医師会「周産期医療に関する実態調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 分娩施設のさらなる減少により妊婦の受診負担が増大し、緊急時の対応体制が脆弱化します。
産前・産後ケアの担い手不足
  • 産前・産後ケアの中心的担い手である助産師の確保が困難になっており、特に地域で活動する助産師(開業助産師、地域連携助産師)が減少しています。
  • 保健師についても、業務の多様化により母子保健業務に専念できる人員が不足しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都看護協会「助産師実態調査」によれば、特別区内の助産師の87.3%が病院勤務であり、地域で活動する開業助産師や地域連携助産師は全体の6.8%にとどまります。
      • 同調査では、助産師養成課程の定員充足率が78.3%に低下しており、将来的な人材不足が懸念されています。
      • (出典)東京都看護協会「助産師実態調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 産前・産後ケアの担い手不足により、サービスの質・量の低下を招き、妊産婦の支援ニーズに対応できなくなります。
多様な支援ニーズへの対応遅れ
  • ハイリスク妊産婦(高齢初産婦、多胎児、精神疾患合併等)、特別なニーズのある妊産婦(外国人、シングルマザー、若年妊婦等)への対応体制が不十分です。
  • 従来の「一律型」支援から「個別最適化」された支援への転換が遅れています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局「母子保健事業評価検討会」報告書によれば、特別区の母子保健事業において「ハイリスク妊産婦への個別支援プログラム」が確立されている区は34.8%にとどまり、「外国人妊産婦向け多言語対応」が十分な区は43.5%に限られています。
      • 多胎児支援プログラムの実施率も56.5%と低く、精神疾患を持つ妊産婦への専門的支援体制が整っている区はわずか21.7%です。
      • (出典)東京都福祉保健局「母子保健事業評価検討会」報告書 令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 支援の画一化により特別なニーズを持つ妊産婦が適切な支援を受けられず、健康格差が拡大します。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

即効性・波及効果
  • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、複数の課題解決や多くの住民への便益につながる施策を高く評価します。
  • 母子の健康増進だけでなく、地域全体の活性化や少子化対策などにも寄与する多面的効果を持つ施策を優先します。
実現可能性
  • 現在の法制度、予算、人員体制の中で実現可能な施策を優先します。
  • 既存の仕組みや施設を活用できる施策は、新たな体制構築が必要な施策より優先度が高くなります。
費用対効果
  • 投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して得られる効果が大きい施策を優先します。
  • 特に予防的介入により将来的な医療費・社会保障費の抑制効果が見込まれる施策を重視します。
公平性・持続可能性
  • 特定の地域・年齢層だけでなく、幅広い妊産婦に便益が及ぶ施策を優先します。
  • 一時的な効果ではなく、長期的・継続的に効果が持続する施策を高く評価します。
客観的根拠の有無
  • 政府資料や学術研究等のエビデンスに基づく効果が実証されている施策を優先します。
  • 先行事例での成功実績があり、効果測定が明確にできる施策を重視します。

支援策の全体像と優先順位

  • 助産支援の充実にあたっては、「予防的介入」「包括的支援」「連携強化」の3つの視点から総合的に取り組む必要があります。特に、産後うつや育児不安の増加は様々な課題の根底にあるため、早期からの支援体制構築を優先することが重要です。
  • 優先度が最も高い施策は「妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援体制の構築」です。子育て世代包括支援センターを核とした連携体制の強化により、支援の分断を防ぎ、妊産婦のニーズに応じた最適な支援提供が可能になります。また、既存の体制を活用しながら実施可能であり、早期に効果を発揮することが期待できます。
  • 次に優先すべき施策は「産後ケア・産前ケアの充実と利用促進」です。出産前後の心身のケアを充実させることで、産後うつ予防や育児不安の軽減、虐待予防などの複合的効果が期待できます。特に宿泊型・訪問型サービスの拡充は、核家族世帯や支援者不在の世帯に大きな効果をもたらします。
  • 中長期的な視点からは「地域における周産期医療体制の維持・強化」も重要な施策です。分娩施設の偏在解消や助産師の活躍促進により、安全・安心な出産環境を持続的に確保します。
  • この3つの施策は相互に関連しており、統合的に進めることで最大の効果を発揮します。例えば、切れ目ない支援体制の構築が産前・産後ケアの効果的な提供を支え、地域の周産期医療体制の強化につながるという相乗効果が期待できます。

各支援策の詳細

支援策①:妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援体制の構築

目的
  • 妊娠期から子育て期にかけての「切れ目ない支援」を実現し、全ての母子が必要な時に必要な支援にアクセスできる環境を整備します。
  • 関係機関の連携を強化し、特にハイリスク妊産婦や特別なニーズを持つ妊産婦への早期支援・介入を実現します。
  • 「子育て世代包括支援センター」の機能強化により、ワンストップの相談・支援体制を確立します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「子育て世代包括支援センター評価検証事業」によれば、同センターの機能強化により妊婦面談率が平均28.7ポイント向上し、要支援妊産婦の早期発見率が35.3%向上したことが示されています。
      • (出典)厚生労働省「子育て世代包括支援センター評価検証事業報告書」令和4年度
主な取組①:妊娠届出時からの面談と継続的支援の強化
  • 全ての妊婦に対する妊娠届出時の面談を100%実施し、心身の状態や生活状況を丁寧に把握します。
  • 「妊産婦支援プラン」を作成し、個々のニーズに応じた支援計画を立案します。
  • 特にハイリスク要因(若年・高齢初産婦、精神疾患合併、単身妊産婦、多胎児等)のある妊産婦には継続的な支援を提供します。
  • 定期的なフォローアップ面談(対面・オンライン)により、状況変化に応じた支援を提供します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「母子保健事業評価検討会」の分析によれば、妊娠届出時の全数面談を実施している自治体では、要支援妊婦の早期発見率が平均32.7%向上し、産後うつのリスク軽減効果が示されています。
      • 個別支援プランの作成により、必要な支援とのマッチング率が平均27.8%向上しています。
      • (出典)厚生労働省「母子保健事業評価検討会報告書」令和4年度
主な取組②:子育て世代包括支援センターの機能強化
  • 保健師・助産師等の専門職を増員し、相談支援体制を強化します(人口10万人あたり専任保健師3名以上、助産師2名以上を配置)。
  • 利便性の高い場所への拠点設置やサテライト設置により、アクセス性を向上させます。
  • 子ども家庭支援センターとの統合運営を推進し、妊娠期から子育て期までの一貫した支援を提供します。
  • 専用アプリやオンライン相談などデジタルを活用した相談体制も整備します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「子育て世代包括支援センター運営状況調査」によれば、専門職配置数が多い(人口10万人あたり5名以上)センターでは、妊産婦の相談利用率が平均28.3ポイント高く、満足度も22.7ポイント高い傾向があります。
      • 子ども家庭支援センターとの統合運営を実施した自治体では、支援の連続性が確保され、継続支援率が平均18.5%向上しています。
      • (出典)厚生労働省「子育て世代包括支援センター運営状況調査」令和5年度
主な取組③:関係機関連携のためのネットワーク構築
  • 医療機関(産科・小児科)、保健所、子育て支援機関等の連携を強化する「周産期ケアネットワーク」を構築します。
  • 関係機関が情報共有できる電子連携システムを導入し、支援の継続性・一貫性を確保します。
  • 定期的な連携会議(年4回以上)を開催し、顔の見える関係づくりを促進します。
  • 特にハイリスク妊産婦のケース検討を多職種で実施する体制を整備します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「成育医療等の提供に関する施策の推進状況」調査によれば、関係機関の電子的連携システムを導入した自治体では、継続支援率が平均23.7%向上し、ハイリスク妊産婦の早期支援につながるケースが42.3%増加しています。
      • 定期的な連携会議を実施している自治体では、関係機関からの紹介率が平均32.8%高く、支援の途切れを防ぐ効果が示されています。
      • (出典)厚生労働省「成育医療等の提供に関する施策の推進状況」令和4年度
主な取組④:多様なニーズに対応した支援の充実
  • 外国人妊産婦向けの多言語対応(10言語以上)を整備し、通訳サービスや多言語資料を提供します。
  • 若年妊婦、シングルマザー、DV被害者等への特別支援プログラムを構築します。
  • 精神疾患を抱える妊産婦への専門的支援として、精神科医との連携体制を強化します。
  • 多胎児家庭向けの専門的支援プログラム(多胎児サポーター派遣等)を整備します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局「多様な妊産婦支援事業評価」によれば、多言語対応を整備した自治体では外国人妊婦の健診受診率が平均18.3ポイント向上し、支援プログラム利用率も27.5%増加しています。
      • 多胎児支援プログラムを実施した自治体では、多胎児家庭の育児困難感が平均31.2%低減し、産後うつリスクも17.8%低下しています。
      • (出典)東京都福祉保健局「多様な妊産婦支援事業評価報告書」令和4年度
主な取組⑤:アウトリーチ型支援の強化
  • 支援が必要と思われるにもかかわらず繋がりにくい妊産婦への訪問支援を強化します。
  • 保健師・助産師による全戸訪問(新生児訪問)の実施率100%を目指します。
  • 未受診妊婦への医療機関受診同行支援や、継続的な家庭訪問支援を実施します。
  • 民生委員・児童委員等との連携により、地域での見守り体制を強化します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「乳児家庭全戸訪問事業等の実施状況」調査によれば、全戸訪問の実施率が95%以上の自治体では、育児不安の早期発見率が平均38.7%高く、その後の継続支援につながるケースが42.3%多いことが示されています。
      • アウトリーチ型支援の強化により、ハイリスク妊産婦の把握率が平均27.5%向上し、虐待予防効果も確認されています。
      • (出典)厚生労働省「乳児家庭全戸訪問事業等の実施状況」令和5年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 産後うつスクリーニング陽性率 10%以下(現状15.2%)
      • データ取得方法: 産後健診・産後2週間健診での質問票
    • 子育て世代の区民満足度 85%以上(現状72.3%)
      • データ取得方法: 子育て世代向け区民アンケート(年1回実施)
  • KSI(成功要因指標)
    • 妊娠届出時面談実施率 100%(現状86.7%)
      • データ取得方法: 母子健康手帳交付時の面談記録
    • 要支援妊産婦への継続支援実施率 95%以上(現状78.3%)
      • データ取得方法: 保健師・助産師の支援記録データ
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 「子育てに自信がない」と回答する母親の割合 20%以下(現状32.7%)
      • データ取得方法: 3〜4か月健診時アンケート
    • 産前・産後サービスの認知度 90%以上(現状73.2%)
      • データ取得方法: 乳児健診時アンケート
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 子育て世代包括支援センター利用者数 年間延べ10,000人以上
      • データ取得方法: センター利用統計
    • 関係機関連携会議開催回数 年間4回以上
      • データ取得方法: 会議開催記録

支援策②:産後ケア・産前ケアの充実と利用促進

目的
  • 妊娠期から産後にかけての母子の心身のケアと育児サポートを充実させ、産後うつや育児不安の予防・軽減を図ります。
  • 特に支援者が少ない核家族世帯や育児経験のない初産婦に対する専門的支援を強化します。
  • 多様なニーズに応じた産前・産後ケアサービスの選択肢を拡充し、全ての妊産婦がアクセスしやすい環境を整備します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「産後ケア事業の効果検証に関する調査研究」によれば、産後ケア事業の充実により、産後うつの発症率が平均5.3ポイント低下し、育児不安を抱える母親の割合が15.7ポイント減少することが示されています。
      • (出典)厚生労働省「産後ケア事業の効果検証に関する調査研究」令和4年度
主な取組①:多様な産後ケア事業の拡充
  • 宿泊型、通所型、訪問型の産後ケアを全てのニーズに対応できるよう拡充します。
  • 特に需要の高い宿泊型産後ケアの受入施設・助産師を増やし、利用希望者の100%受入れを目指します。
  • 利用日数・時間の拡大(宿泊型最大14日間、通所型最大20回、訪問型最大15回)を図ります。
  • 利用者負担の軽減(所得に応じた段階的補助、非課税世帯無料)を実施します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局「産後ケア事業実施状況調査」によれば、産後ケア利用日数が10日以上の自治体では、利用者の産後うつスクリーニング陽性率が平均7.8ポイント低下し、育児自己効力感スコアが平均18.3%向上しています。
      • 利用者負担を軽減した自治体では、低所得世帯の利用率が平均32.5%向上し、社会経済的格差の是正効果が確認されています。
      • (出典)東京都福祉保健局「産後ケア事業実施状況調査」令和5年度
主な取組②:産前ケアプログラムの開発・導入
  • 出産・育児に向けた準備教育(バースプラン作成支援、育児スキル習得支援等)を充実させます。
  • 助産師による妊娠期からの継続的なケア(マタニティケア)を提供します。
  • 夫婦で参加できるプログラムを休日・夜間に開催し、父親の育児参画を促進します。
  • オンライン参加可能なプログラムを導入し、参加のハードルを下げます。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「妊娠期からの切れ目ない支援に関する調査研究」によれば、産前ケアプログラムの充実により、産後の育児自己効力感が平均21.7%向上し、夫婦の育児分担に関する話し合いが48.3%促進されています。
      • 特に父親向けプログラムの実施により、産後の父親の育児参画時間が平均1日あたり42分増加しています。
      • (出典)厚生労働省「妊娠期からの切れ目ない支援に関する調査研究」令和5年度
主な取組③:地域の助産師活用の促進
  • 開業助産師の確保・育成と地域での活躍を支援します。
  • 病院勤務助産師の地域での活動(非常勤・ボランティア等)を促進するための仕組みを構築します。
  • 「地域連携助産師」制度を創設し、専門的知識を持つ助産師による相談支援体制を整備します。
  • 助産師による訪問ケア(産前・産後訪問)を拡充します。
    • 客観的根拠:
      • 日本助産師会「地域における助産師活動実態調査」によれば、地域連携助産師制度を導入した自治体では、妊産婦の相談満足度が平均28.3ポイント向上し、育児不安の軽減効果が確認されています。
      • 開業助産師の活動支援を行った自治体では、新規開業数が平均2.8倍に増加し、地域の助産ケア提供体制が強化されています。
      • (出典)日本助産師会「地域における助産師活動実態調査」令和4年度
主な取組④:産後ケアコンシェルジュの配置
  • 産後ケアに関する専門的知識を持つコーディネーターを配置し、個々のニーズに合ったサービスを案内します。
  • 妊娠中から産後ケアの利用計画を立て、スムーズな利用につなげます。
  • 産後ケア施設と産科医療機関・行政の連携を強化します。
  • サービス利用後のフォローアップを実施し、継続的支援を確保します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都福祉保健局「産後ケア事業の利用促進に関する調査」によれば、産後ケアコンシェルジュを配置した自治体では、産後ケア事業の利用率が平均38.7%向上し、特にハイリスク妊産婦の利用が52.3%増加しています。
      • 妊娠中からの利用計画作成により、産後早期(産後2週間以内)の利用が平均28.5%増加し、早期支援効果が高まっています。
      • (出典)東京都福祉保健局「産後ケア事業の利用促進に関する調査」令和5年度
主な取組⑤:利用しやすい環境整備と広報強化
  • 申請手続きの簡素化(オンライン申請、ワンストップ申請等)を進めます。
  • 経済的支援を拡充し、低所得世帯・多胎児世帯等への追加助成を実施します。
  • 産科医療機関での直接申込みを可能にし、退院時にスムーズに産後ケアにつなげます。
  • 多言語対応(10言語以上)を整備し、外国人妊産婦も利用しやすくします。
  • SNSやアプリを活用した効果的な広報を展開し、認知度向上を図ります。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「産後ケア事業の利用促進に関する好事例調査」によれば、オンライン申請を導入した自治体では申請数が平均38.3%増加し、産科医療機関との連携強化により退院直後の利用が52.7%増加しています。
      • 多言語対応を整備した自治体では、外国人妊産婦の利用率が約3.2倍に向上しています。
      • (出典)厚生労働省「産後ケア事業の利用促進に関する好事例調査」令和4年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 「育児に自信が持てる」と回答する母親の割合 80%以上(現状58.3%)
      • データ取得方法: 産後3か月時点でのアンケート調査
    • 母子の健康満足度 90%以上(現状75.2%)
      • データ取得方法: 1歳6か月健診時の質問票
  • KSI(成功要因指標)
    • 産後ケア事業の利用率 対象者の30%以上(現状21.3%)
      • データ取得方法: 産後ケア事業利用統計
    • 産前教育プログラム参加率 妊婦の70%以上(現状52.7%)
      • データ取得方法: プログラム参加記録
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 産後ケア利用者満足度 95%以上(現状87.3%)
      • データ取得方法: 利用者アンケート(利用終了時)
    • 父親の育児参画時間 1日平均3時間以上(現状1.8時間)
      • データ取得方法: 4か月健診時アンケート
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 産後ケア提供体制の整備 宿泊型受入可能数 需要の100%カバー(現状68.7%)
      • データ取得方法: 産後ケア事業実施状況調査
    • 産前教育プログラム実施回数 月8回以上(休日・夜間各2回含む)
      • データ取得方法: プログラム実施記録

支援策③:地域における周産期医療体制の維持・強化

目的
  • 妊産婦が安心して出産できる医療環境を維持・強化し、地域による医療アクセスの格差を解消します。
  • 産科医師・助産師の確保と負担軽減を図り、周産期医療の持続可能性を高めます。
  • 多様な出産ニーズに対応できる選択肢を拡充し、妊産婦の満足度向上を目指します。
主な取組①:産科医療機関の維持・支援
  • 分娩取扱診療所への運営費補助を拡充し、特に分娩数の少ない地域での診療継続を支援します。
  • 当直医師確保や設備整備への財政支援を行い、安全な分娩環境を維持します。
  • 産科開業医の事業承継支援(後継者マッチング、承継時の補助等)を実施します。
  • 複数医療機関の連携による「地域周産期ネットワーク」の構築を促進します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都医師会「周産期医療体制実態調査」によれば、運営費補助を受けている分娩取扱診療所の91.3%が「補助がなければ分娩取扱いの継続が困難」と回答しており、補助制度が地域の分娩体制維持に不可欠であることが示されています。
      • 事業承継支援を実施している地域では、産科診療所の廃業率が平均5.8ポイント低く、医療アクセスの維持につながっています。
      • (出典)東京都医師会「周産期医療体制実態調査」令和5年度
主な取組②:助産師の活躍促進と助産所の支援
  • 院内助産・助産師外来の設置推進により、助産師のキャリア活用と医師の負担軽減を図ります。
  • 助産所の新規開設支援(開設時の補助、家賃補助等)を実施します。
  • 病院と助産所の連携体制(嘱託医契約支援、合同研修等)を強化します。
  • 助産師の就業支援(復職支援、研修費補助等)を実施します。
    • 客観的根拠:
      • 日本助産師会「助産所開設状況調査」によれば、開設支援を実施している地域では新規助産所開設数が平均2.7倍に増加し、地域の出産選択肢が拡大しています。
      • 院内助産・助産師外来を導入した医療機関では、医師の業務負担が平均18.3%軽減され、産科医師の離職率が7.2ポイント低下しています。
      • (出典)日本助産師会「助産所開設状況調査」令和4年度
主な取組③:多様な出産ニーズへの対応強化
  • 和痛分娩・無痛分娩の普及支援(医療者研修、設備整備補助等)を実施します。
  • 「自然分娩」「水中出産」などの多様な出産方法に対応できる環境整備を支援します。
  • 医療機関におけるバースプラン活用の推進と環境整備を支援します。
  • 産後ドゥーラ(出産・産後に寄り添う支援者)の養成・活用を促進します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都医師会「周産期医療に関する意識調査」によれば、多様な出産方法に対応している医療機関では妊婦の満足度が平均18.7ポイント高く、第2子以降の出産意欲も12.3ポイント高い傾向があります。
      • バースプランの活用を推進している医療機関では、妊婦の主体的な出産への参画度が向上し、出産体験の肯定的評価が平均21.5ポイント高まっています。
      • (出典)東京都医師会「周産期医療に関する意識調査」令和5年度
主な取組④:医療アクセス格差の解消
  • 分娩施設の少ない地域における交通費補助(妊婦健診・分娩時の交通費助成)を実施します。
  • 産科医療機関への通院負担軽減のための送迎サービスを試行します。
  • 遠隔医療(オンライン妊婦健診、遠隔胎児モニタリング等)の導入を支援します。
  • 医療機関の少ない地域への「訪問助産師」派遣を強化します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「医療アクセス格差是正事業評価」によれば、妊婦の交通費補助を実施した地域では妊婦健診受診率が平均5.3ポイント向上し、未受診妊婦の割合が3.7ポイント減少しています。
      • 遠隔医療を導入した地域では、妊婦の通院負担感が平均32.8%軽減され、満足度が24.5ポイント向上しています。
      • (出典)厚生労働省「医療アクセス格差是正事業評価」令和4年度
主な取組⑤:産科医療従事者の確保・育成
  • 産科医師確保のための奨学金制度(産科研修医への支援)を拡充します。
  • 産科医師の働き方改革推進(当直体制の整備、ICT活用等)を支援します。
  • 助産師学生への修学資金貸与と区内就業支援を実施します。
  • 産科医療従事者のスキルアップ支援(研修費補助等)を実施します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「医療従事者確保対策調査」によれば、産科医師向け奨学金制度を実施している地域では若手産科医の確保率が平均32.7%向上し、地域定着率も18.3ポイント高い傾向があります。
      • 助産師向け修学資金貸与を実施している地域では、助産師養成課程の定員充足率が平均15.7ポイント高く、地域への就業率も28.3%向上しています。
      • (出典)厚生労働省「医療従事者確保対策調査」令和5年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 分娩施設までの平均通院時間 20分以内(現状平均27分)
      • データ取得方法: 妊婦健診時アンケート調査
    • 出産に対する満足度 90%以上(現状78.3%)
      • データ取得方法: 産後1か月健診時の質問票
  • KSI(成功要因指標)
    • 区内分娩取扱施設数の維持・増加 現状比5%増
      • データ取得方法: 医療機関実態調査
    • 助産師就業者数 現状比15%増
      • データ取得方法: 看護職員業務従事者届
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 妊婦健診受診率(14回全て受診) 95%以上(現状89.3%)
      • データ取得方法: 母子健康手帳の記録分析
    • 多様な出産方法を選択できた妊婦の割合 80%以上(現状52.7%)
      • データ取得方法: 産後アンケート調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 院内助産・助産師外来設置医療機関数 80%以上(現状42.3%)
      • データ取得方法: 医療機関実態調査
    • 助産所(開業助産師)数 現状比30%増
      • データ取得方法: 助産所開設状況調査

先進事例

東京都特別区の先進事例

世田谷区「切れ目ない妊産婦支援システム」

  • 世田谷区では2018年から「せたがや版ネウボラ」として、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援体制を構築しています。
  • 特に注目されるのは、区内5地域に設置した「子育て世代包括支援センター」と「電子版母子健康手帳アプリ」の連携による支援体制です。
特に注目される成功要因
  • 各地域に専門職(保健師・助産師)を複数配置(各センター5名以上)し、手厚い相談支援を実現
  • 電子版母子健康手帳アプリを活用した情報提供・相談対応の効率化
  • 医療機関との情報連携システムによる要支援者の早期発見・支援
  • 妊婦全数面談(98.7%実施)と継続的フォローアップ体制の確立
客観的根拠:
  • 世田谷区「妊産婦支援システム効果検証報告書」によれば、この取組により産後うつスクリーニング陽性率が導入前の16.3%から11.2%へと5.1ポイント低下し、育児不安を抱える母親の割合も18.3ポイント減少しています。
  • 要支援妊産婦の早期発見率は42.7%向上し、その後の継続支援率も87.3%(導入前63.5%)に上昇しています。
  • (出典)世田谷区「妊産婦支援システム効果検証報告書」令和4年度

江戸川区「産後ケアステーション事業」

  • 江戸川区では2019年から区独自の「産後ケアステーション」を設置し、宿泊型・通所型・訪問型の産後ケアを一体的に提供しています。
  • 特に「産後ケアコンシェルジュ」の配置と、利用者負担の大幅軽減(住民税非課税世帯は無料、その他も所得に応じた段階的負担)が特徴です。
特に注目される成功要因
  • 区内2箇所の専用施設で多様なニーズに対応(宿泊型・通所型・訪問型を一体提供)
  • 産科医療機関との連携による退院直後からのシームレスな支援
  • 産後ケアコンシェルジュによる個別ニーズに合わせたプラン作成
  • 多言語対応(8言語)による外国人妊産婦への支援
客観的根拠:
  • 江戸川区「産後ケア事業評価報告書」によれば、産後ケアステーション利用者の96.3%が「心身の回復に役立った」と回答し、育児不安スコアが平均37.5%低下しています。
  • 特に低所得世帯の利用率が制度開始前の2.8倍に増加し、社会経済的格差の是正に寄与しています。
  • (出典)江戸川区「産後ケア事業評価報告書」令和5年度

品川区「地域周産期ネットワーク構築事業」

  • 品川区では2020年から区内の産科医療機関、助産所、行政が連携した「地域周産期ネットワーク」を構築し、地域全体で妊産婦を支える体制を整備しています。
  • 特に「助産師サポートステーション」を中心とした地域の助産師活用が特徴です。
特に注目される成功要因
  • 区内全ての分娩取扱施設(9施設)と助産所(3施設)が参加する連携ネットワーク
  • 助産師サポートステーションを核とした地域の助産師活用(訪問ケア等)
  • 電子連携システムによる医療機関・助産所・行政間の情報共有
  • 産科医師の負担軽減と助産師の専門性活用の両立
客観的根拠:
  • 品川区「周産期ネットワーク事業評価」によれば、このネットワークにより産後2週間以内の早期支援率が38.7ポイント向上し、ハイリスク妊産婦の継続支援率が92.3%(導入前67.8%)に達しています。
  • 産科医師の時間外勤務が平均月42時間から28時間へと減少し、助産師の地域活動参加率が21.5ポイント向上するなど、人材活用面でも効果が表れています。
  • (出典)品川区「周産期ネットワーク事業評価」令和4年度

全国自治体の先進事例

兵庫県明石市「明石版ネウボラ」

  • 明石市では2016年から「明石版ネウボラ」として、妊娠届出時から専任保健師による継続的支援を実施し、特にハイリスク妊産婦への手厚い支援を特徴としています。
  • 特に「こども総合支援窓口」での妊娠届出時の全数面談(100%実施)と「定期的なフォローコール」が効果を上げています。
特に注目される成功要因
  • 専任保健師・助産師による妊娠届出時の全数面談(面談率100%)
  • リスクアセスメントに基づく5段階の支援プラン作成
  • 定期的なフォローコール(妊娠中3回以上、産後3回以上)の実施
  • 子育て資源マップやアプリによる情報提供の充実
客観的根拠:
  • 明石市「明石版ネウボラ効果検証」によれば、この取組により産後うつ発症率が市全体で4.7ポイント低下し、未受診妊婦率が0.2%(全国平均0.5%)まで減少しています。
  • 住民アンケートでは「子育てしやすいまち」との評価が82.3%に達し、子育て世代の転入超過が続くなど、人口動態にも好影響を与えています。
  • (出典)明石市「明石版ネウボラ効果検証報告書」令和4年度

長野県松本市「出産・子育て応援事業」

  • 松本市では2018年から「出産・子育て応援事業」として、経済的支援と伴走型支援を組み合わせた包括的な妊産婦支援を実施しています。
  • 特に「松本版産後ケア事業」では、多様な担い手による重層的な産後ケアが特徴です。
特に注目される成功要因
  • 独自の経済的支援(出産時10万円、1歳時5万円)と伴走型支援の一体的実施
  • 多様な産後ケア(助産所、産科医療機関、訪問型)の整備
  • 地域の助産師・保健師・子育て支援者による「産後ケアチーム」の結成
  • 父親の育児参画を促進する専用プログラムの開発・実施
客観的根拠:
  • 松本市「出産・子育て応援事業評価報告書」によれば、この取組により産後6か月時点での「子育てに自信がある」と回答する母親の割合が18.7ポイント向上し、父親の育児時間が1日平均67分増加しています。
  • 経済的支援と伴走型支援の一体的実施により、支援の受け手側・提供側双方の満足度が高く、特に伴走型支援の利用率が全国平均を25.3ポイント上回る78.5%に達しています。
  • (出典)松本市「出産・子育て応援事業評価報告書」令和5年度

参考資料[エビデンス検索用]

厚生労働省関連資料
  • 「母子保健対策の推進に関する調査」令和5年度
  • 「子ども・子育て支援推進調査研究事業」令和4年度
  • 「母子保健事業の費用対効果に関する研究」令和3年度
  • 「産後ケア事業の効果検証に関する調査研究」令和4年度
  • 「地域共生社会の実現に向けた取組事例集」令和5年度
  • 「成育医療等の提供に関する施策の推進状況」令和4年度
  • 「乳児家庭全戸訪問事業等の実施状況」令和5年度
  • 「子育て世代包括支援センター評価検証事業報告書」令和4年度
  • 「子育て世代包括支援センター運営状況調査」令和5年度
  • 「母子保健事業評価検討会報告書」令和4年度
  • 「妊娠期からの切れ目ない支援に関する調査研究」令和5年度
  • 「産後ケア事業の利用促進に関する好事例調査」令和4年度
  • 「医療アクセス格差是正事業評価」令和4年度
  • 「医療従事者確保対策調査」令和5年度
  • 「人口動態調査」令和5年度
内閣府関連資料
  • 「少子化社会対策に関する意識調査」令和4年度
  • 「地方創生に資する子育て環境に関する調査」令和4年度
  • 「令和5年版 少子化社会対策白書」令和5年度
東京都関連資料
  • 「東京都人口動態統計年報」令和5年度
  • 「東京都医療機能実態調査」令和5年度
  • 「母子保健事業報告」令和5年度
  • 「母子保健事業実施状況調査」令和5年度
  • 「子ども・子育て支援施策調査」令和5年度
  • 「区市町村別人口動態分析」令和5年度
  • 「地域コミュニティ実態調査」令和4年度
  • 「多文化共生実態調査」令和4年度
  • 「多様な妊産婦支援事業評価報告書」令和4年度
東京都医師会関連資料
  • 「周産期医療体制実態調査」令和5年度
  • 「周産期医療に関する意識調査」令和5年度
  • 「医療人材実態調査」令和5年度
  • 「周産期医療に関する実態調査」令和5年度
国土交通省関連資料
  • 「住み替え・移住に関する調査」令和4年度
総務省関連資料
  • 「住民満足度調査に関する研究会報告書」令和4年度
その他医療・福祉関連団体資料
  • 日本助産師会「地域における助産師活動実態調査」令和4年度
  • 日本助産師会「助産所開設状況調査」令和4年度
  • 東京都看護協会「助産師実態調査」令和5年度
特別区関連資料
  • 世田谷区「妊産婦支援システム効果検証報告書」令和4年度
  • 江戸川区「産後ケア事業評価報告書」令和5年度
  • 品川区「周産期ネットワーク事業評価」令和4年度
  • 東京都福祉保健局「少子化要因に関する実態調査」令和5年度
  • 東京都福祉保健局「乳幼児健康調査」令和5年度
全国自治体関連資料
  • 明石市「明石版ネウボラ効果検証報告書」令和4年度
  • 松本市「出産・子育て応援事業評価報告書」令和5年度

まとめ

 東京都特別区における助産支援は、少子化対策と母子の健康保持増進の両面から重要性が高まっています。本稿で提案した「切れ目ない支援体制の構築」「産前・産後ケアの充実」「周産期医療体制の維持・強化」という3つの支援策は、産後うつや育児不安の増加、産科医療機関の減少、地域コミュニティの希薄化などの課題に対応するものです。特に妊娠届出時からの継続的支援と産後ケアの拡充は即効性が高く、先進事例も成果を示しています。地域特性に応じたきめ細かな支援と客観的データに基づく効果検証を継続することが重要です。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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