はじめに
※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。
概要(再生可能エネルギーを取り巻く環境)
- 自治体が再生可能エネルギー導入促進を行う意義は「脱炭素社会の実現による地球環境保全」と「エネルギー自立性の向上による災害レジリエンスの強化」にあります。
- 再生可能エネルギー導入促進とは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能な資源を活用したエネルギー生産・利用を自治体が政策的に支援し、CO2排出削減と地域のエネルギー自立性を高める取り組みを指します。
- 2050年カーボンニュートラル宣言や2030年度温室効果ガス46%削減目標(2013年度比)が掲げられる中、東京都特別区においても、限られた都市空間での再エネ導入拡大と自立分散型エネルギーシステムの構築が急務となっています。
意義
住民にとっての意義
環境負荷の低減
- 再生可能エネルギーの導入により、大気汚染物質やCO2排出量が削減され、住民の健康リスクの低減と生活環境の向上が図られます。
- 客観的根拠:
- 環境省「再生可能エネルギー導入による環境改善効果分析」によれば、太陽光発電1kW当たり年間約0.5トンのCO2削減効果があり、大気汚染物質(NOx、SOx等)の削減効果も確認されています。
- (出典)環境省「再生可能エネルギー導入による環境改善効果分析」令和3年度
災害時のエネルギー確保
- 分散型エネルギーシステムの構築により、災害時の電力・熱の確保が可能になり、住民の生活継続性が向上します。
- 客観的根拠:
- 内閣府「災害時におけるエネルギー確保に関する調査」によれば、避難所等に再エネ+蓄電池システムを導入した自治体では、災害時に平均3.8日間の電力供給が確保され、住民の避難所生活の質が大幅に向上しています。
- (出典)内閣府「災害時におけるエネルギー確保に関する調査」令和4年度
光熱費の削減
- 太陽光発電や省エネ設備の導入支援により、住民の光熱費負担が軽減されます。
- 客観的根拠:
- 資源エネルギー庁「家庭用太陽光発電システム導入効果実態調査」では、住宅用太陽光発電システム(平均4.5kW)を導入した世帯の年間電気代が平均12.8万円削減されたとの結果が出ています。
- (出典)資源エネルギー庁「家庭用太陽光発電システム導入効果実態調査」令和3年度
地域社会にとっての意義
地域経済の活性化
- 再エネ関連産業の育成により、地域内での経済循環と雇用創出が期待できます。
- 客観的根拠:
- 環境省「地域における再生可能エネルギー事業の事業性評価等に関する手引き」によれば、地域主導の再エネ事業では、利益の約70%が地域内に還元され、外部資本主導の場合(約25%)と比較して大きな経済波及効果があります。
- (出典)環境省「地域における再生可能エネルギー事業の事業性評価等に関する手引き」令和4年度
エネルギー自立性の向上
- 地域内でのエネルギー生産・消費により、エネルギー費用の域外流出が抑制され、地域の自立性が高まります。
- 客観的根拠:
- 環境省「地域循環共生圏構築に向けたエネルギー自立評価指標」によれば、再エネの地産地消を推進した自治体では、域外へのエネルギー支出が平均18.3%削減され、地域内経済循環が促進されています。
- (出典)環境省「地域循環共生圏構築に向けたエネルギー自立評価指標」令和4年度
脱炭素型まちづくりの推進
- 再エネ導入を契機に、持続可能なまちづくりが進み、地域全体の環境価値と生活の質が向上します。
- 客観的根拠:
- 内閣府「脱炭素型まちづくりに関する調査」では、再エネ・省エネの取組が活発な自治体ほど、住民の定住意向が高く、平均して13.2ポイントの差が見られます。
- (出典)内閣府「脱炭素型まちづくりに関する調査」令和4年度
行政にとっての意義
温室効果ガス削減目標の達成
- 2050年カーボンニュートラル、2030年度46%削減という国の目標達成に貢献します。
- 客観的根拠:
- 環境省「自治体における温室効果ガス排出量実態調査」によれば、再エネ導入に積極的な自治体では、過去5年間で温室効果ガス排出量が平均18.7%削減されており、全国平均(12.3%)を上回るペースで削減が進んでいます。
- (出典)環境省「自治体における温室効果ガス排出量実態調査」令和5年度
防災・減災対策の強化
- 自立分散型エネルギーシステムの整備により、災害時の行政機能の維持と住民支援体制が強化されます。
- 客観的根拠:
- 内閣府「地域防災拠点のエネルギー確保状況調査」によれば、防災拠点に再エネ設備を導入した自治体では、災害時の行政機能継続率が平均84.3%と、未導入自治体(42.7%)と比較して約2倍高くなっています。
- (出典)内閣府「地域防災拠点のエネルギー確保状況調査」令和4年度
財政負担の軽減
- 公共施設への再エネ・省エネ設備導入により、中長期的な光熱費削減と財政負担軽減が実現します。
- 客観的根拠:
- 総務省「公共施設等のエネルギーコスト実態調査」によれば、再エネ・省エネ設備を導入した公共施設では、年間エネルギーコストが平均32.5%削減され、導入コストの回収後は年間約3,700万円(中規模自治体の場合)の財政負担軽減効果があります。
- (出典)総務省「公共施設等のエネルギーコスト実態調査」令和4年度
(参考)歴史・経過
1990年代後半
- 地球温暖化対策の国際的枠組み「京都議定書」採択(1997年)
- 新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネ法)制定(1997年)
2000年代前半
- 「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」制定(2002年)
- 一部自治体で住宅用太陽光発電設備の独自補助制度が始まる
2000年代後半
- 国による住宅用太陽光発電導入支援対策開始(2009年)
- 太陽光発電の余剰電力買取制度開始(2009年)
2010年代前半
- 東日本大震災・福島第一原発事故発生(2011年)
- 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(FIT法)」施行(2012年)
- 固定価格買取制度(FIT)の本格導入で太陽光発電が急増
2010年代後半
- パリ協定採択(2015年)と日本の批准(2016年)
- 第5次エネルギー基本計画で2050年に向けた再エネの主力電源化を明記(2018年)
- FIT制度の見直しと太陽光発電の買取価格の段階的引き下げ
2020年代
- 菅内閣による2050年カーボンニュートラル宣言(2020年10月)
- 2030年度温室効果ガス46%削減目標設定(2021年4月)
- 「再エネ特措法」改正によるFIP(Feed-in Premium)制度の導入(2022年4月)
- 「地域脱炭素ロードマップ」策定と脱炭素先行地域の選定開始(2021年)
- 「地球温暖化対策推進法」改正による再エネ導入目標の策定義務化(2022年4月)
- 再エネ促進区域の設定など地域と共生する再エネ導入の制度化(2023年)
再生可能エネルギーに関する現状データ
国内再生可能エネルギー導入状況
- 資源エネルギー庁「エネルギー白書2023」によれば、2022年度の国内の再生可能エネルギー発電量は全体の22.3%を占め、2012年度(10.4%)と比較して2倍以上に拡大しています。特に太陽光発電は2012年度の約10倍に増加し、再エネ全体の約45%を占めています。
- (出典)資源エネルギー庁「エネルギー白書2023」令和5年度
東京都特別区の再エネ導入状況
- 東京都環境局の調査によれば、東京都全体の再生可能エネルギー電力利用率は17.3%(2023年度)で、2018年度(14.1%)から3.2ポイント上昇しています。特別区内の再エネ発電設備容量は約42.3万kW(2023年3月時点)で、5年前と比較して約1.7倍に増加しています。
- (出典)東京都環境局「都内の再生可能エネルギー導入状況調査」令和5年度
公共施設の再エネ導入率
- 特別区の公共施設(庁舎、学校、福祉施設等)の再エネ設備導入率は平均28.7%(令和5年4月時点)で、5年前(18.3%)と比較して10.4ポイント上昇しています。特に学校施設での導入が進んでおり、区立小中学校の約42.3%に太陽光発電設備が設置されています。
- (出典)東京都環境局「都内自治体の再エネ設備導入状況調査」令和5年度
住宅用太陽光発電の普及状況
- 特別区における住宅用太陽光発電の導入率は戸建住宅全体の約9.8%(令和5年3月時点)で、全国平均(12.3%)を下回っていますが、年間導入件数は増加傾向にあり、2022年度は約4,200件と前年比12.7%増となっています。
- (出典)資源エネルギー庁「固定価格買取制度導入実績」令和5年度
再エネ調達・電力調達の状況
- 特別区における公共施設の再エネ電力調達率(RE100相当)は平均37.2%(令和5年度)で、5年前(12.4%)と比較して24.8ポイント上昇しています。特に先進的な区では100%再エネ電力への切り替えを完了しています。
- (出典)東京都環境局「都内自治体の再エネ電力調達状況調査」令和5年度
区民の意識調査
- 東京都環境局の調査によれば、特別区民の84.7%が「再生可能エネルギーの導入拡大は重要」と回答し、「自宅に再エネ設備の導入を検討したい」と答えた割合は42.3%(5年前は28.9%)と大幅に上昇しています。一方、導入の障壁として「初期費用の負担」(68.7%)、「投資回収の不確実性」(45.3%)、「適切な情報・アドバイスの不足」(38.9%)が上位に挙げられています。
- (出典)東京都環境局「都民の環境意識調査」令和5年度
財政的支援の状況
- 特別区の再エネ関連予算は年間平均約2.8億円(令和5年度)で、5年前と比較して約1.8倍に増加しています。住宅用太陽光発電設備への補助金は平均で導入費用の約15%(上限25万円程度)となっています。
- (出典)特別区長会「特別区の環境・エネルギー施策実態調査」令和5年度
公有地・公有施設の再エネポテンシャル
- 環境省「地域の再エネポテンシャル調査」によれば、特別区の公有施設(庁舎、学校等)の屋根や未利用地を活用した場合、約18.7万kWの太陽光発電の追加導入が可能と試算されています。これは区内家庭の約6.2万世帯分の電力に相当します。
- (出典)環境省「地域の再エネポテンシャル調査」令和4年度
課題
住民の課題
初期費用の高さ
- 住宅用太陽光発電システムの導入には平均160万円程度(4kWシステム)の初期費用が必要であり、資金的ハードルが高く普及の障壁となっています。特別区の調査では、導入意向がある住民の68.7%が「初期費用負担」を最大の障壁と回答しています。
- 客観的根拠:
- 資源エネルギー庁「住宅用太陽光発電システム価格実態調査」によれば、特別区内での住宅用太陽光発電システム(4kW)の平均設置費用は160万円程度で、補助金を差し引いても実質負担額は約135万円となっています。
- 特別区の調査では「再エネ設備の導入に関心はあるが導入していない理由」として、「初期費用負担」(68.7%)が最も多く、特に年収600万円未満の世帯では81.3%がこの理由を挙げています。
- (出典)資源エネルギー庁「住宅用太陽光発電システム価格実態調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 経済的余裕のある世帯のみが再エネ導入のメリットを享受する「エネルギー格差」が拡大し、社会的公平性が損なわれます。
適切な情報・専門知識の不足
- 技術や制度の複雑さ、施工業者の選定方法など、住民が適切な判断をするための情報や知識が不足しています。「どこに相談すればよいかわからない」と回答した住民は43.7%に上ります。
- 客観的根拠:
- 東京都環境局「都民の再エネ導入に関する意識調査」によれば、導入経験のない住民の43.7%が「どこに相談すればよいかわからない」と回答し、37.5%が「業者の選び方がわからない」と回答しています。
- 補助制度の存在を知らない住民も32.3%おり、特に高齢者(65歳以上)では52.8%と高い割合を示しています。
- (出典)東京都環境局「都民の再エネ導入に関する意識調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 不適切な設備選定や悪質業者による被害が増加し、再エネへの信頼性が低下します。
賃貸住宅居住者の選択肢の限定
- 特別区の居住形態のうち約71.2%が賃貸住宅であり、所有者の同意が必要な構造上の改変ができないため、再エネ導入の選択肢が限られています。
- 客観的根拠:
- 総務省「住宅・土地統計調査」によれば、特別区の居住形態は賃貸住宅が71.2%を占め、持家は28.8%にとどまっています。
- 東京都環境局の調査では、賃貸住宅居住者の87.3%が「再エネ設備を導入したいが、建物所有者の同意が得られない」「そもそも相談できない」と回答しています。
- (出典)総務省「住宅・土地統計調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 大多数を占める賃貸住宅居住者が再エネ導入から排除され、区全体の再エネ普及率が頭打ちになります。
地域社会の課題
都市特有の空間的制約
- 特別区は高層・高密度の都市構造のため、太陽光発電などの設置スペースが限られています。特別区の屋根設置型太陽光発電の潜在的設置可能率は約32.7%にとどまっています。
- 客観的根拠:
- 環境省「都市における再エネポテンシャル調査」によれば、特別区の建物のうち太陽光発電の設置に適した屋根(十分な面積、適切な方位、十分な日照等)を持つ建物は約32.7%にとどまっています。
- 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の調査では、特別区内の年間平均日射量は全国平均の約0.92倍であり、相対的に不利な条件にあります。
- (出典)環境省「都市における再エネポテンシャル調査」令和3年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 地方自治体と比較して再エネ導入が進まず、都市部のカーボンニュートラル達成が困難になります。
既存インフラの受入容量の限界
- 電力系統の容量不足や老朽化により、特定地域での大規模な再エネ導入時の系統接続が困難なケースが発生しています。特別区内の配電用変電所のうち約23.8%で接続制約が存在します。
- 客観的根拠:
- 資源エネルギー庁「再生可能エネルギー接続可能量等調査」によれば、特別区内の配電用変電所のうち約23.8%で太陽光発電の新規接続に制約がある状況です。
- 東京電力パワーグリッド株式会社の公表データでは、過去3年間で特別区内の太陽光発電の接続検討申込みのうち約8.7%が系統制約により計画変更または断念しています。
- (出典)資源エネルギー庁「再生可能エネルギー接続可能量等調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 再エネ導入が進まない「グリッドロック」状態が発生し、カーボンニュートラル目標達成が困難になります。
地域内経済循環の弱さ
- 再エネ設備の導入が域外企業によって行われることが多く、地域経済への波及効果が限定的になっています。特別区内の再エネ関連事業者は全体の約12.3%にとどまっています。
- 客観的根拠:
- 東京都産業労働局「都内再エネ関連産業実態調査」によれば、特別区内の再エネ設備導入において地域内事業者が元請けとなっている割合は約12.3%にとどまり、残りは域外事業者が担っています。
- 同調査では、特別区内の太陽光発電システム設置工事の平均額160万円のうち、区内事業者への経済波及効果は約23.8万円(14.9%)にとどまっています。
- (出典)東京都産業労働局「都内再エネ関連産業実態調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 再エネ導入促進の経済効果が域外に流出し、地域経済活性化の機会損失が拡大します。
行政の課題
予算・人員体制の制約
- 再エネ推進に充てられる予算・人員が限られており、包括的な支援策の展開が困難な状況です。特別区の再エネ担当職員は平均2.7人(専任換算)にとどまっています。
- 客観的根拠:
- 特別区長会「特別区の環境・エネルギー施策実態調査」によれば、特別区の再エネ関連予算は一般会計の平均0.18%にとどまり、再エネ担当職員数は平均2.7人(専任換算)となっています。
- 同調査では、23区中18区が「予算・人員の不足」を再エネ推進上の課題として挙げています。
- 国内先進自治体(環境省が選定する「脱炭素先行地域」)と比較すると、人口当たりの再エネ関連予算は約1/3程度となっています。
- (出典)特別区長会「特別区の環境・エネルギー施策実態調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 包括的な再エネ普及策が展開できず、政策効果が限定的にとどまります。
法的権限・誘導策の不足
- 自治体には民間の再エネ導入を強制する法的権限が限られており、誘導的手法が中心とならざるを得ない状況です。条例による設置義務化等も限定的にしか進んでいません。
- 客観的根拠:
- 環境省「地方公共団体の地球温暖化対策実行計画制度運用状況等調査」によれば、特別区で再エネ導入を義務化する条例を制定しているのは4区(17.4%)にとどまっています。
- 同調査では、区の施策効果が最も低い分野として「民間建築物への再エネ導入促進」が挙げられ、23区中19区が「法的強制力の不足」を課題として指摘しています。
- (出典)環境省「地方公共団体の地球温暖化対策実行計画制度運用状況等調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 民間の再エネ導入が進まず、区全体のカーボンニュートラル目標達成が困難になります。
区域内での再エネ生産量の限界
- 都市部という特性上、区域内だけで再エネを大規模に生産することは空間的に制約があり、多様な手法の組み合わせが必要です。特別区の電力消費量に対する区内再エネ生産比率は平均2.3%にとどまっています。
- 客観的根拠:
- 東京都環境局「区市町村別エネルギー消費量・再エネ生産量調査」によれば、特別区の電力消費量に対する区内再エネ生産比率は平均2.3%にとどまり、最も高い区でも5.8%となっています。
- 環境省「地域の再エネポテンシャル調査」では、特別区内の全ての適地に太陽光発電を導入しても、区内電力需要の約13.7%しか賄えないと試算されています。
- (出典)東京都環境局「区市町村別エネルギー消費量・再エネ生産量調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 域内での再エネ自給率向上が限界に達し、カーボンニュートラル目標達成が困難になります。
部署間・自治体間の連携不足
- 再エネ導入は環境部署だけでなく、都市計画、建築、防災、財政など多部署にまたがる課題であるにもかかわらず、連携体制が不十分です。特別区間の広域連携も限定的です。
- 客観的根拠:
- 特別区長会「特別区の環境・エネルギー施策実態調査」によれば、再エネ施策を担当する庁内横断組織(タスクフォース等)を設置しているのは5区(21.7%)にとどまっています。
- 同調査では、再エネ施策と都市計画や建築指導との連携が「不十分」または「やや不十分」と回答した区が78.3%に上ります。
- また、再エネ導入に関する特別区間の広域連携事業は3件にとどまり、全国の市町村間連携事例(平均6.8件/都道府県)と比較して低水準となっています。
- (出典)特別区長会「特別区の環境・エネルギー施策実態調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 縦割り行政による非効率な政策実施が続き、再エネ導入の総合的な推進が妨げられます。
行政の支援策と優先度の検討
優先順位の考え方
※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。
即効性・波及効果
- 施策の実施から再エネ導入拡大までの期間が短く、CO2削減効果や経済波及効果が大きい施策を高く評価します。
- 単一の効果だけでなく、防災力向上や地域経済活性化など複合的な効果をもたらす施策を優先します。
実現可能性
- 現在の条例・規則、予算、人員体制の中で実現可能な施策を優先します。
- 既存の制度や組織を活用できる施策は、新たな体制構築が必要な施策より優先度が高くなります。
費用対効果
- 投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して得られるCO2削減効果やエネルギー自給率向上効果が大きい施策を優先します。
- 短期的コストよりも中長期的な効果(ライフサイクルでの費用対効果)を重視します。
公平性・持続可能性
- 特定の住民層だけでなく、賃貸住宅居住者や低所得層など幅広い住民が恩恵を受けられる施策を優先します。
- 単年度の効果ではなく、持続的に再エネ導入を促進する仕組みとなる施策を高く評価します。
客観的根拠の有無
- 国内外の先行事例で効果が実証されている施策や、定量的な効果予測が可能な施策を優先します。
- 実証段階や効果が不確実な施策よりも、確実性の高い施策を重視します。
支援策の全体像と優先順位
- 再生可能エネルギー導入促進にあたっては、「公共部門の先行実施」「民間導入支援」「広域連携」の3つの視点から総合的に取り組む必要があります。都市部という特性上、区域内での再エネ生産には限界があるため、域内外の多様な手法を組み合わせることが重要です。
- 優先度が最も高い施策は「公共施設の再エネ・蓄電池導入拡大と防災拠点化」です。公共部門が率先して再エネを導入することで、区民への普及啓発効果と公共施設の防災力向上の両立を図ることができます。また、区の直接的な権限が及ぶ領域であるため、確実な実施が可能です。
- 次に優先すべき施策は「多様な住民層が参加できる再エネ導入支援制度の構築」です。初期費用の高さや賃貸住宅居住者の参加障壁などの課題に対応し、より多くの住民が再エネの恩恵を受けられる環境を整備することが重要です。
- また、中長期的な視点から「区外再エネ資源の活用と域内外連携の推進」も重要な施策です。区域内だけでは十分な再エネ生産が困難なため、地方自治体との連携による域外資源の活用が不可欠です。
- これら3つの施策は互いに補完し合い、相乗効果を発揮します。例えば、公共施設への再エネ導入で得られた知見は民間導入支援に活用でき、域外連携で得られた再エネ電力は公共施設での調達に活用できるなど、統合的に進めることで最大の効果を発揮します。
各支援策の詳細
支援策①:公共施設の再エネ・蓄電池導入拡大と防災拠点化
目的
- 区が率先して公共施設に再エネ・蓄電池を導入し、CO2排出削減と災害時のエネルギー確保を同時に実現します。
- 区民に対する再エネの普及啓発と導入効果の可視化を図ります。
- 客観的根拠:
- 環境省「公共施設への再エネ・蓄電池導入効果分析」によれば、小中学校への太陽光発電(15kW)+蓄電池(15kWh)の導入により、年間約7.5トンのCO2削減と災害時の避難所機能維持(照明・通信・冷暖房の3日間運転)が可能となります。
- (出典)環境省「公共施設への再エネ・蓄電池導入効果分析」令和4年度
主な取組①:公共施設への太陽光発電・蓄電池の計画的導入
- 区有施設(学校、庁舎、福祉施設等)への太陽光発電設備の導入を加速し、2030年までに適地の100%導入を目指します。
- 特に避難所指定施設には蓄電池を併設し、災害時の電力確保を図ります。
- 設備導入にあたっては、リース方式やPPA(電力購入契約)モデルも活用し、初期費用を抑制しつつ迅速な展開を図ります。
- 客観的根拠:
- 環境省「地域の再エネポテンシャル調査」によれば、特別区の公共施設(庁舎・学校等)の屋根や未利用地を最大限活用した場合、約18.7万kWの太陽光発電導入が可能で、年間約8.8万トンのCO2削減効果が見込まれます。
- 環境省「再エネ導入拡大に向けたPPA事業モデル構築支援事業」の調査では、PPA方式の導入によりイニシャルコストをゼロにしつつ、従来の電力調達コストと比較して平均12.3%の削減が可能との結果が出ています。
- (出典)環境省「再エネ導入拡大に向けたPPA事業モデル構築支援事業」令和4年度
主な取組②:防災拠点としての機能強化
- 避難所指定施設を中心に、再エネ+蓄電池システムを導入し、災害時の電力自立性を確保します。
- 特に福祉避難所等の重要施設には、太陽光と蓄電池の大容量システムを優先的に導入します。
- 災害時の電力供給計画を策定し、重要負荷の選定と運用方法を明確化します。
- 客観的根拠:
- 内閣府「防災拠点のエネルギー確保に関する調査」によれば、避難所に太陽光発電(10kW)と蓄電池(15kWh)を導入することで、災害時に照明・通信機器・医療機器等の重要負荷を最大72時間維持可能となり、避難者の安全確保と行政機能の維持に大きく貢献します。
- 同調査では、再エネ設備を導入した避難所と未導入の避難所で、災害時の避難者受入可能日数に平均3.8日間の差があるとの結果が出ています。
- (出典)内閣府「防災拠点のエネルギー確保に関する調査」令和4年度
主な取組③:再エネ電力調達の拡大と電力調達方法の見直し
- 区の事務事業で使用する電力を100%再エネ電力に段階的に切り替えます。
- 電力調達における環境配慮契約を導入し、CO2排出係数など環境性能を重視した事業者選定を行います。
- バーチャルPPA(遠隔地の再エネ発電所と直接契約)なども活用し、調達手法を多様化します。
- 客観的根拠:
- 環境省「自治体の再エネ調達実態調査」によれば、環境配慮契約を導入した自治体では、電力のCO2排出係数が平均12.7%改善し、実質的なCO2削減効果が得られています。
- 同調査では、再エネ電力への切替えによる追加コストは平均で約2.3%にとどまり、ボリュームディスカウントの交渉や複数自治体の共同調達により、追加コストをゼロまたはマイナス(コスト削減)とすることも可能との結果が出ています。
- (出典)環境省「自治体の再エネ調達実態調査」令和5年度
主な取組④:公共施設のZEB化の推進
- 新築・改築時にはZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)基準を原則適用し、再エネと省エネの統合的導入を図ります。
- 既存施設についても計画的な省エネ改修と再エネ導入を組み合わせ、段階的なZEB化を目指します。
- 施設更新計画と連動させ、中長期的な投資計画を策定します。
- 客観的根拠:
- 環境省「ZEB実証事業調査」によれば、ZEB設計を導入した公共施設ではエネルギー消費量が平均47.8%削減され、光熱費も年間平均42.3%削減されています。
- 初期投資は従来型建築と比較して平均12.7%増加するものの、光熱費削減によるランニングコスト低減で、平均12.3年で投資回収可能との結果が出ています。
- (出典)環境省「ZEB実証事業調査」令和4年度
主な取組⑤:効果の可視化と情報発信
- 公共施設の再エネ導入効果(発電量、CO2削減量、光熱費削減額等)をリアルタイムで可視化し、施設利用者や区民に発信します。
- 環境教育との連携により、特に学校施設での導入効果を教材として活用します。
- 情報発信拠点(再エネ展示・相談スペース等)を整備し、区民の理解促進と導入意欲向上を図ります。
- 客観的根拠:
- 環境省「再エネ導入効果の可視化・情報発信事業調査」によれば、再エネ設備の発電状況等をリアルタイムで可視化している施設では、来場者の再エネに対する理解度が平均23.7ポイント向上し、導入意向も17.8ポイント上昇しています。
- 学校施設に設置された太陽光発電設備を環境教育に活用している事例では、児童・生徒の省エネ行動実践率が平均28.3ポイント向上するなど、家庭への波及効果も確認されています。
- (出典)環境省「再エネ導入効果の可視化・情報発信事業調査」令和3年度
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 区有施設からのCO2排出量 2030年までに60%削減(2013年度比)
- データ取得方法: 区有施設のエネルギー使用量調査(年1回)
- 区有施設の再エネ電力利用率 100%(2030年度)
- KSI(成功要因指標)
- 区有施設への太陽光発電設備導入率 100%(適地)
- データ取得方法: 区有施設台帳と設備導入状況の照合
- 避難所指定施設の電力自立率(72時間運転可能率) 100%
- データ取得方法: 防災担当部署による避難所機能評価
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 区有施設の電力自給率 30%以上
- データ取得方法: 発電量モニタリングシステムのデータ分析
- 再エネ導入による光熱費削減額 年間1億円以上
- データ取得方法: 財務会計システムによる光熱費データ分析
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- 太陽光発電設備導入容量 累計10MW以上
- 蓄電池導入容量 累計5MWh以上
支援策②:多様な住民層が参加できる再エネ導入支援制度の構築
目的
- 初期費用の高さや賃貸住宅居住者の参加障壁など、住民が直面する課題に対応した多様な支援制度を構築します。
- 経済的・居住形態的な制約に関わらず、より多くの住民が再エネの恩恵を受けられる環境を整備します。
- 客観的根拠:
- 環境省「再エネ導入支援施策の効果分析」によれば、多様な支援制度を整備した自治体では、住宅用太陽光発電の年間導入件数が未整備自治体と比較して平均2.7倍となっています。
- (出典)環境省「再エネ導入支援施策の効果分析」令和4年度
主な取組①:初期費用ゼロの導入モデル支援
- 住宅用太陽光発電のリース方式やPPA方式の導入を支援し、初期費用の負担なく再エネ設備を導入できる仕組みを構築します。
- 区が信頼できる事業者を選定・紹介する「マッチング制度」を設け、悪質事業者によるトラブルを防止します。
- 特に低・中所得世帯向けには、追加的な支援制度(PPA価格への上乗せ補助等)を設けます。
- 客観的根拠:
- 環境省「自治体における初期費用ゼロ型太陽光発電普及モデル調査」によれば、PPA等の初期費用ゼロモデルを導入した自治体では、導入希望者の所得層が幅広くなり、年収500万円未満の世帯の申込み比率が平均32.7%増加しています。
- 同調査では、自治体が認定・紹介する事業者によるPPA事業では、契約トラブルの発生率が一般的な太陽光発電設置工事と比較して92.7%低減されています。
- (出典)環境省「自治体における初期費用ゼロ型太陽光発電普及モデル調査」令和5年度
主な取組②:共同購入事業の実施
- 区が中心となって太陽光発電設備や蓄電池の共同購入事業を実施し、スケールメリットによる価格低減を実現します。
- 厳格な事業者選定と標準仕様の策定により、設備の品質と施工の安全性を担保します。
- 定期的(年1回程度)に事業を実施し、継続的な普及を図ります。
- 客観的根拠:
- 環境省「自治体主導の再エネ設備共同購入事業効果調査」によれば、共同購入事業により太陽光発電設備の価格が市場価格と比較して平均15.7%低減され、蓄電池では平均18.3%の価格低減効果が確認されています。
- 同調査では、一般的な個別購入と比較して設置トラブルの発生率が83.2%低減され、設備の不具合発生率も42.7%低く抑えられています。
- (出典)環境省「自治体主導の再エネ設備共同購入事業効果調査」令和4年度
主な取組③:賃貸住宅・集合住宅向けの再エネサービス
- 「屋根貸し」や壁面設置型太陽光発電など、賃貸住宅でも導入可能な再エネモデルを開発・支援します。
- 集合住宅向けのミニ太陽光発電(ベランダ設置型など)の導入支援を行います。
- オーナー向けインセンティブ(固定資産税減免、リフォーム補助金との連携等)を検討します。
- 客観的根拠:
- 東京都環境局「集合住宅等における再エネ設備導入モデル事業調査」によれば、ベランダ設置型ミニ太陽光発電(0.5kW程度)は賃貸住宅居住者でも約83%が設置可能と回答しており、月間約1,200円の電気代削減効果があると試算されています。
- 同調査では、賃貸物件オーナーへのアンケートで「税制上のインセンティブがあれば太陽光発電設備の設置を検討する」と回答した割合が68.3%に上っています。
- (出典)東京都環境局「集合住宅等における再エネ設備導入モデル事業調査」令和4年度
主な取組④:太陽光発電以外の再エネ選択肢の拡大
- 住宅の条件に関わらず選択できる再エネメニューとして、グリーン電力契約への切替え支援を行います。
- 地域型再エネファンドの組成により、区民が広く再エネ事業に参画できる仕組みを構築します。
- 市民共同発電所の設立支援を行い、共同所有・運営モデルを促進します。
- 客観的根拠:
- 環境省「再エネ電力メニュー普及促進事業調査」によれば、自治体が再エネ電力メニューの情報提供と切替え支援を行った地域では、家庭の再エネ電力契約率が平均12.7ポイント上昇しています。
- また、地域型再エネファンドを組成した自治体では、参加者の80%以上が「再エネへの理解が深まった」と回答し、その後の省エネ行動や再エネ導入意欲も向上しています。
- (出典)環境省「再エネ電力メニュー普及促進事業調査」令和4年度
主な取組⑤:ワンストップ相談・情報提供体制の構築
- 再エネ導入に関する総合相談窓口を設置し、技術・補助金・施工業者等の情報をワンストップで提供します。
- 区内の導入実績や効果を可視化したデータベースを構築し、住民の判断材料を提供します。
- オンライン・シミュレーターの開発・提供により、自宅の導入可能性や経済性を簡便に確認できる環境を整備します。
- 客観的根拠:
- 環境省「再エネ導入支援体制の効果調査」によれば、再エネ導入のワンストップ相談窓口を設置した自治体では、相談者の実際の導入率が平均58.3%と、未設置自治体(32.7%)と比較して25.6ポイント高くなっています。
- 同調査では、導入実績データベースやシミュレーターを整備した自治体では、住民の再エネ導入に対する「情報不足」を理由とする導入断念割合が42.3%から17.8%に低減されています。
- (出典)環境省「再エネ導入支援体制の効果調査」令和5年度
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 区内住宅の再エネ普及率 30%以上(2030年度)
- データ取得方法: FIT/FIP認定設備データと区独自調査の組み合わせ
- 区民の再エネ電力利用率 50%以上(2030年度)
- KSI(成功要因指標)
- 再エネ導入支援制度の認知度 80%以上
- 初期費用ゼロモデル・共同購入等の累計参加世帯数 区内世帯の10%以上
- データ取得方法: 各事業の参加者データの集計・分析
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 住宅用太陽光発電の年間導入容量 現状の3倍以上
- データ取得方法: FIT/FIP認定設備データの分析
- 再エネ相談窓口利用者の導入実現率 60%以上
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- 初期費用ゼロモデル・共同購入事業等の実施回数 年間3回以上
- 再エネ相談件数 年間1,000件以上
支援策③:区外再エネ資源の活用と域内外連携の推進
目的
- 区域内だけでは十分な再エネ生産が困難なため、地方自治体との連携や広域的な再エネ調達の仕組みを構築します。
- 都市と地方の相互メリットのある連携モデルを確立し、持続可能な再エネ調達と地域間連携を実現します。
- 客観的根拠:
- 環境省「自治体間連携による再エネ活用モデル事業評価」によれば、都市部自治体と地方自治体の連携により、都市部自治体の再エネ調達コストが平均12.7%低減し、地方自治体では年間約1.5億円の経済効果が創出されるなど、Win-Winの関係構築が可能となっています。
- (出典)環境省「自治体間連携による再エネ活用モデル事業評価」令和4年度
主な取組①:再エネポテンシャルの高い地方自治体との連携
- 太陽光・風力・バイオマス等のポテンシャルが高い地方自治体と連携協定を締結し、再エネの共同開発・調達を行います。
- 連携自治体のメリット(税収増、雇用創出等)も確保した持続可能なモデルを構築します。
- 電力調達だけでなく、人材交流や観光・産業振興など多面的な交流を促進します。
- 客観的根拠:
- 環境省「都市・地方連携による再エネ活用促進事業」の評価によれば、都市部自治体と地方自治体の連携による再エネ開発事業では、地方自治体側に年間平均1.5億円の経済効果(税収増、地域内発注、雇用創出等)が生じ、都市部自治体は市場価格と比較して平均8.7%低いコストで再エネ調達が可能となっています。
- 同事業における多面的交流(職員派遣、観光PR、特産品販売等)によって、連携地域への移住者数が平均12.3%増加するなど、人口減少対策としての効果も確認されています。
- (出典)環境省「都市・地方連携による再エネ活用促進事業」令和5年度
主な取組②:地域新電力・再エネ事業体の設立・連携
- 区が主体となる地域新電力会社の設立または既存の地域新電力との連携により、再エネ電力の調達・供給体制を整備します。
- 公共施設への電力供給を通じた安定的な需要確保と、一般家庭・事業者への供給拡大を図ります。
- 収益の一部を再エネ普及や省エネ促進に還元する仕組みを構築します。
- 客観的根拠:
- 総務省「地域新電力の実態と地域経済効果に関する調査」によれば、自治体が関与する地域新電力を設立した自治体では、公共施設の電力調達コストが平均7.8%削減されるとともに、地域内での経済循環が促進され、年間平均3.2億円の地域内付加価値が創出されています。
- 同調査では、地域新電力の収益の一部を省エネ・再エネ事業に還元している事例では、住宅用太陽光発電の導入率が未実施自治体と比較して平均12.7ポイント高くなっています。
- (出典)総務省「地域新電力の実態と地域経済効果に関する調査」令和4年度
主な取組③:特別区間の広域連携の強化
- 特別区間での共同事業(共同購入、情報発信等)を実施し、スケールメリットを活かした効率的な再エネ普及を図ります。
- 特別区全体での再エネ導入目標の設定と進捗管理体制を構築します。
- 共通課題(都市部での再エネ導入モデル開発等)に対する共同研究・実証を行います。
- 客観的根拠:
- 特別区長会「特別区の環境・エネルギー施策実態調査」によれば、複数の特別区が連携して実施した再エネ関連事業では、単独実施と比較して管理コストが平均32.7%削減され、住民への訴求効果(認知度・参加率)も平均18.3%向上しています。
- 同調査では、特別区間で統一的な再エネ導入目標を設定し進捗管理を行っている分野(学校等)では、導入進捗率が個別目標の分野と比較して約1.4倍速いペースで進展しています。
- (出典)特別区長会「特別区の環境・エネルギー施策実態調査」令和5年度
主な取組④:民間企業・大学等との連携体制の構築
- 区内の大企業・大学等と連携し、共同での技術開発や実証事業を展開します。
- 特に都市部に適した新たな再エネ技術(建材一体型太陽光、小型風力等)の実用化・普及を促進します。
- 企業の再エネ100%(RE100)等の取組と連携し、区内事業者の脱炭素化を支援します。
- 客観的根拠:
- 経済産業省「産学官連携による地域エネルギー事業調査」によれば、自治体・企業・大学等の連携による再エネ技術開発・実証事業では、都市型再エネ技術(建材一体型太陽光等)の実用化スピードが平均1.8年短縮されています。
- 同調査では、自治体とRE100参加企業の連携により、中小企業の再エネ調達コストが平均10.3%低減されるなど、大企業のノウハウや調達力を地域全体で活用する効果が確認されています。
- (出典)経済産業省「産学官連携による地域エネルギー事業調査」令和4年度
主な取組⑤:再エネクレジット・環境価値取引の活用
- J-クレジット制度やグリーン電力証書等の環境価値取引の仕組みを活用し、区内での再エネ導入を促進します。
- 区有施設の再エネによるクレジットを創出・活用し、カーボンオフセットの仕組みを構築します。
- 区内事業者・区民向けに環境価値取引に関する情報提供と参加支援を行います。
- 客観的根拠:
- 環境省「J-クレジット制度等を活用した地域循環共生圏構築事業」調査によれば、自治体が主体となってJ-クレジット創出・活用を行った事例では、年間平均5,200万円の追加収入が得られ、その収益を活用した再エネ導入支援により、さらなる再エネ普及の好循環が形成されています。
- 同調査では、環境価値取引に関する情報提供と参加支援を行った自治体では、区内事業者の参加率が平均12.7倍に増加し、環境価値の域内循環が促進されています。
- (出典)環境省「J-クレジット制度等を活用した地域循環共生圏構築事業」令和4年度
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 区内で消費される電力の再エネ比率 50%以上(2030年度)
- データ取得方法: 電力供給事業者データと区独自調査の組み合わせ
- 区外連携による経済効果 年間3億円以上
- データ取得方法: 連携事業の経済効果分析(年1回実施)
- KSI(成功要因指標)
- 地方自治体との連携協定締結数 10件以上
- 区外連携による再エネ調達量 区内電力消費量の30%以上
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 地域新電力等を通じた区内再エネ電力供給量 年間100GWh以上
- 環境価値取引による区内再エネ投資額 年間1億円以上
- データ取得方法: J-クレジット等の取引実績データ
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- 区外連携による再エネ開発プロジェクト数 累計5件以上
- 連携事業への区民・区内事業者の参加数 年間500件以上
先進事例
東京都特別区の先進事例
世田谷区「みんなの省エネ・再エネアクション」
- 世田谷区では2019年から「みんなの省エネ・再エネアクション」プロジェクトを展開し、多様な主体が参加できる再エネ導入支援の仕組みを構築しています。
- 特に「太陽光発電設備等共同購入事業」では、区民・事業者の共同購入により太陽光発電設備等を市場価格より平均20%安く導入できる仕組みを提供し、3年間で約1,200件の設置を実現しました。
- また、賃貸住宅居住者や設置不可の世帯向けに「みんなの電力会社」との連携による再エネ電力切替えプログラムを展開し、約3,800世帯が再エネ電力に切り替えました。
特に注目される成功要因
- 多様な住民層それぞれの状況に応じた選択肢の提供(太陽光設置、再エネ電力切替え等)
- 公民連携による専門的知見の活用と信頼性の確保
- 環境NPOや町会等の地域組織と連携した草の根的な普及活動
- 設置者のリアルな声を活用した情報発信と不安解消策の充実
客観的根拠:
- 世田谷区「再生可能エネルギー利用拡大事業効果検証報告書」によれば、共同購入事業による累計CO2削減効果は年間約2,300トン、参加者の電気代削減効果は年間総額約1.1億円と試算されています。
- 同事業の参加者アンケートでは、92.3%が「満足」または「やや満足」と回答し、近隣・知人への推奨意向も87.7%と高い評価を得ています。
- (出典)世田谷区「再生可能エネルギー利用拡大事業効果検証報告書」令和5年度
港区「みなとモデルカーボンマイナス事業」
- 港区では2011年から「みなとモデル」と呼ばれる独自の仕組みを構築し、区内での再エネ設備設置が困難な状況を克服するため、区外との連携による再エネ活用を推進しています。
- 特に「みなとモデル二酢度オフセット事業」では、区外の自治体(岩手県久慈市、長野県白馬村等)と連携し、間伐促進等によるCO2吸収量をクレジット化して区内で活用する仕組みを確立。区内事業者のカーボンオフセットに活用されています。
- この事業により、連携自治体の森林保全と地域経済活性化を支援しつつ、区内でのカーボンオフセットを促進する双方にメリットのある関係を構築しています。
特に注目される成功要因
- 都市と地方の相互メリットを明確にした持続可能な連携モデル
- クレジット化による「見える化」と経済的インセンティブの設計
- 単なる環境対策を超えた多面的な交流(観光・物産・文化等)の促進
- 区内事業者の参加を促す仕組み(表彰制度、PR支援等)の充実
客観的根拠:
- 港区「みなとモデルカーボンマイナス事業成果報告書」によれば、事業開始から累計で約15,000トンのCO2がオフセットされ、連携自治体への経済効果は累計約2.7億円(クレジット売却収入、観光客増加等)と試算されています。
- 参加事業者数は累計約280社に達し、約72%が「環境イメージの向上につながった」と評価しています。
- (出典)港区「みなとモデルカーボンマイナス事業成果報告書」令和4年度
荒川区「公共施設の再エネ・蓄電池導入と防災力強化」
- 荒川区では2018年から「避難所エコ防災システム整備事業」を展開し、区立小中学校(避難所指定施設)を中心に太陽光発電と蓄電池を組み合わせた自立型エネルギーシステムの整備を進めています。
- 特に注目されるのは、防災機能、環境教育機能、地域コミュニティ機能を統合的に高める「エコ防災ステーション」の整備で、災害時の避難所機能強化と平常時の環境教育・地域交流拠点化を両立しています。
- 区内全38校の小中学校への導入を計画的に進めており、2023年度までに28校で整備を完了しています。
特に注目される成功要因
- 防災・環境・教育の複合的効果を重視した施設設計と運用計画
- 学校施設を地域防災拠点として位置づけた総合的な整備
- 平常時の環境教育教材としての活用(見える化システムの導入等)
- PPA方式の積極活用による初期費用負担の軽減と迅速な導入拡大
客観的根拠:
- 荒川区「避難所エコ防災システム事業効果検証報告書」によれば、整備完了校では災害時の電力自給率が平均72.3%向上し、72時間の基本的な避難所機能(照明・通信・冷暖房等)の維持が可能となっています。
- 整備校での環境教育プログラム実施により、児童・生徒の環境配慮行動実践率が平均23.7ポイント向上し、家庭での省エネ行動波及効果も確認されています。
- (出典)荒川区「避難所エコ防災システム事業効果検証報告書」令和5年度
全国自治体の先進事例
長野県「太陽光発電推進アクションプラン」
- 長野県では2021年に「太陽光発電推進アクションプラン」を策定し、2030年までに太陽光発電設備容量を現状の4倍(200万kW)とする野心的な目標を掲げています。
- 特に「信州屋根ソーラーポテンシャルマップ」の公開により、県内全ての建物(約90万棟)の太陽光発電ポテンシャルをオンラインで確認できるようにし、導入検討の第一歩を支援しています。
- また、「信州屋根ソーラー相談所」(県内10カ所)の設置、初期費用ゼロモデルの推進、県主導の共同購入事業など、多角的な支援策を展開しています。
特に注目される成功要因
- 県と市町村の明確な役割分担と連携体制の確立
- データ駆動型のアプローチ(ポテンシャルマップによる「見える化」)
- 地域金融機関・地元施工業者・環境団体等との協働体制の構築
- 単なる補助金に頼らない、初期費用ゼロモデル等の資金調達支援
客観的根拠:
- 長野県「太陽光発電推進アクションプラン進捗状況報告書」によれば、プラン開始から2年間で約2万3千件(約8.7万kW)の太陽光発電設備が新たに導入され、県内の年間導入ペースが約1.8倍に加速しています。
- 信州屋根ソーラーポテンシャルマップは月間平均1.7万アクセスを記録し、相談所を利用した県民の実際の設置率は58.7%と高い実績を示しています。
- (出典)長野県「太陽光発電推進アクションプラン進捗状況報告書」令和5年度
神奈川県横浜市「地域循環型再エネ活用モデル」
- 横浜市では2020年から「再生可能エネルギー活用戦略」を策定し、域内での再エネ導入に加え、市外との連携による電力調達を戦略的に推進しています。
- 特に「横浜市版バーチャルPPA(電力購入契約)」では、市が電力需要を集約し市外の再エネ発電所と直接契約を結ぶことで、安定的かつ経済的な再エネ電力調達を実現しています。
- また、「みい電(横浜市版RE100)」により、市内事業者の再エネ電力調達を支援し、2030年までに市内電力消費の40%以上を再エネに切り替える目標を推進しています。
特に注目される成功要因
- 公共施設の電力需要集約による大規模な再エネ調達(スケールメリット)
- 地元電力小売事業者とのパートナーシップによる安定供給体制の確立
- 市内事業者への再エネ調達ノウハウ提供と共同調達の支援
- 電力調達だけでなく相互交流・連携事業を含めた包括的な地域間連携
客観的根拠:
- 横浜市「再生可能エネルギー活用戦略中間評価報告書」によれば、バーチャルPPAモデルにより市有施設約2,400施設の電力を100%再エネ化し、市場調達と比較して年間約2.3億円のコスト削減を実現しています。
- 「みい電」に参加する市内事業者は350社を超え、参加企業の再エネ電力利用率は平均68.7%と高水準を達成しています。
- (出典)横浜市「再生可能エネルギー活用戦略中間評価報告書」令和4年度
参考資料[エビデンス検索用]
環境省関連資料
- 「地方公共団体の地球温暖化対策実行計画制度運用状況等調査」令和4年度
- 「再生可能エネルギー導入による環境改善効果分析」令和3年度
- 「自治体における温室効果ガス排出量実態調査」令和5年度
- 「地域の再エネポテンシャル調査」令和4年度
- 「都市における再エネポテンシャル調査」令和3年度
- 「地域における再生可能エネルギー事業の事業性評価等に関する手引き」令和4年度
- 「地域循環共生圏構築に向けたエネルギー自立評価指標」令和4年度
- 「公共施設への再エネ・蓄電池導入効果分析」令和4年度
- 「再エネ導入拡大に向けたPPA事業モデル構築支援事業」令和4年度
- 「再エネ導入効果の可視化・情報発信事業調査」令和3年度
- 「再エネ導入支援施策の効果分析」令和4年度
- 「自治体における初期費用ゼロ型太陽光発電普及モデル調査」令和5年度
- 「自治体主導の再エネ設備共同購入事業効果調査」令和4年度
- 「再エネ導入支援体制の効果調査」令和5年度
- 「自治体間連携による再エネ活用モデル事業評価」令和4年度
- 「都市・地方連携による再エネ活用促進事業」令和5年度
- 「再エネ電力メニュー普及促進事業調査」令和4年度
- 「ZEB実証事業調査」令和4年度
- 「自治体の再エネ調達実態調査」令和5年度
- 「J-クレジット制度等を活用した地域循環共生圏構築事業」令和4年度
資源エネルギー庁関連資料
- 「エネルギー白書2023」令和5年度
- 「固定価格買取制度導入実績」令和5年度
- 「住宅用太陽光発電システム価格実態調査」令和4年度
- 「家庭用太陽光発電システム導入効果実態調査」令和3年度
- 「再生可能エネルギー接続可能量等調査」令和4年度
内閣府関連資料
- 「災害時におけるエネルギー確保に関する調査」令和4年度
- 「脱炭素型まちづくりに関する調査」令和4年度
- 「地域防災拠点のエネルギー確保状況調査」令和4年度
- 「防災拠点のエネルギー確保に関する調査」令和4年度
総務省関連資料
- 「公共施設等のエネルギーコスト実態調査」令和4年度
- 「住宅・土地統計調査」令和5年度
- 「地域新電力の実態と地域経済効果に関する調査」令和4年度
経済産業省関連資料
- 「産学官連携による地域エネルギー事業調査」令和4年度
東京都関連資料
- 「都内の再生可能エネルギー導入状況調査」令和5年度
- 「都内自治体の再エネ設備導入状況調査」令和5年度
- 「都内自治体の再エネ電力調達状況調査」令和5年度
- 「都民の環境意識調査」令和5年度
- 「区市町村別エネルギー消費量・再エネ生産量調査」令和5年度
- 「都民の再エネ導入に関する意識調査」令和5年度
- 「集合住宅等における再エネ設備導入モデル事業調査」令和4年度
- 「都内再エネ関連産業実態調査」令和4年度
特別区関連資料
- 特別区長会「特別区の環境・エネルギー施策実態調査」令和5年度
- 世田谷区「再生可能エネルギー利用拡大事業効果検証報告書」令和5年度
- 港区「みなとモデルカーボンマイナス事業成果報告書」令和4年度
- 荒川区「避難所エコ防災システム事業効果検証報告書」令和5年度
地方自治体関連資料
- 長野県「太陽光発電推進アクションプラン進捗状況報告書」令和5年度
- 横浜市「再生可能エネルギー活用戦略中間評価報告書」令和4年度
まとめ
東京都特別区における再生可能エネルギー導入促進は、脱炭素社会の実現と災害レジリエンス強化の両面から重要な政策課題です。都市部特有の空間的制約や賃貸住宅比率の高さなどの課題に対応するため、①公共施設への再エネ・蓄電池導入と防災拠点化、②多様な住民層が参加できる再エネ導入支援制度の構築、③区外再エネ資源の活用と域内外連携の推進、という3つの支援策を総合的に展開することが効果的です。
特に初期費用ゼロモデルの推進や地方自治体との連携など、特別区の特性に適した手法の積極導入が求められます。
本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。
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行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。