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公務員のお仕事図鑑(DX推進課)

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※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。

はじめに

 DX推進課。多くの職員にとって、その響きは「庁内のITヘルプデスク」「よくわからない専門用語を話す人たち」「何かと手続きが面倒な部署」といった、少々縁遠く、技術的なイメージが先行するかもしれません。庁舎の片隅で黙々とサーバーやネットワークと向き合う、縁の下の力持ち。しかし、その認識は、この部署が持つ真の価値と、そこで働く職員が得るキャリア資産の巨大さを見誤っています。現代の地方自治体において、DX推進課はもはや単なる「システム担当」ではありません。それは、自治体という巨大な組織の意思決定とサービス提供を司る「デジタルな中枢神経」であり、未来の行政の形を設計する「戦略的頭脳」そのものなのです。

 日々の業務は、絶え間なく進化するテクノロジーへの追従、巧妙化するサイバー攻撃からの防御、そして「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という終わりなき変革の推進という、極めて高度でプレッシャーの大きいミッションに満ちています。他部署からの無理難題、ベンダーとのタフな交渉、逼迫する予算。その大変さは、まさしくキャリアにおける「逆説的な価値」を生み出します。この過酷な環境で培われる経験こそが、あなたを単なる公務員から、行政とテクノロジー、そしてマネジメントを理解する希少な「公共領域のデジタル戦略家」へと鍛え上げるのです。この記事では、その知られざる価値を解き明かし、あなたの市場価値がいかに高いものであるか、そしてその経験が庁内外でいかに輝かしいキャリアパスに繋がるのかを、具体的にお示しします。

仕事概要

 DX推進課の役割を一言で定義するならば、それは「自治体全体のデジタル化を牽引し、行政サービスの未来を設計する戦略的中枢部署」です。住民サービスの最前線から組織運営の根幹まで、自治体のあらゆる活動が情報システムという基盤の上で成り立っている現代において、その基盤を安定的かつ発展的にマネジメントすることが、この部署の至上命題です。単に既存のシステムを維持するだけでなく、新たな技術を導入し、業務プロセスそのものを変革することで、住民の利便性向上と行政の効率化という二つの目標を同時に追求します。

情報化・DX推進の企画立案

 これは、部署の羅針盤となる最も上流の業務です。国のデジタル庁や総務省が示す大きな方針(例:自治体DX推進計画)を踏まえつつ、自分たちの自治体が抱える独自の課題、例えば少子高齢化による職員不足(2040年問題)や、多様化する住民ニーズにどうデジタル技術で応えるかを考え、中長期的な情報化計画を策定します。なぜこれが必要かと言えば、場当たり的なシステム導入は、部署間の連携を妨げ、無駄なコストを生む「サイロ化」を招くだけだからです。全体最適の視点から、どの業務を、いつ、どのようにデジタル化するのかというグランドデザインを描き、首長や議会にその必要性を説いて合意形成を図る、極めて戦略的な役割を担います。

全庁情報システムの企画・調達・運用管理

 住民記録、税、福祉、国民健康保険といった、行政の根幹をなす基幹系システムから、各課が個別に利用する業務システム、そして職員が日常的に使うグループウェアまで、庁内に存在する全ての情報システムのライフサイクルを管理します。これは、システムの企画(What)、仕様の決定と事業者選定(How)、そして日々の安定稼働の維持(Impact)という全工程に責任を持つことを意味します。この業務のインパクトは絶大で、仮に基幹システムが停止すれば、窓口業務は麻痺し、住民サービスは完全にストップします。各部署の要望を取りまとめ、法令を遵守し、限られた予算内で最適なシステムを調達するプロセスは、高度な調整力と専門知識を要求されます。

情報セキュリティ対策の策定と実行

 自治体が保有する膨大な住民の個人情報や機密情報を、年々巧妙化・悪質化するサイバー攻撃の脅威から守る「デジタルな守護者」としての役割です。総務省が公表する「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」といった国の指針に基づき、自治体独自のセキュリティポリシーを策定・改定し、全職員に遵守させます。これは単なるルール作りではありません。職員への研修、不審な通信の監視、インシデント発生時の即時対応と事後調査まで、情報資産を守るためのあらゆる措置を講じる、極めて重い責任を伴う業務です。一つのミスが、大規模な情報漏洩という社会的信頼を根底から揺るがす事態に繋がりかねません。

ネットワークインフラの維持管理

 市役所本庁舎と出先機関を結ぶ庁内ネットワーク(LGWAN)や、外部と接続するためのインターネット回線といった、いわば「情報の高速道路」を整備・管理する業務です。このネットワークがなければ、データは庁内を駆け巡らず、職員は業務遂行が不可能になります。物理的なケーブル配線から、ファイアウォールやルーターといった通信機器の設定、トラフィックの監視まで、目には見えない情報インフラの安定稼働を一手に引き受けます。災害時にも通信を維持するための冗長化設計など、事業継続計画(BCP)の観点からも極めて重要な役割を担っています。

電子市役所の推進と住民向け新サービスの開発

 住民が最も直接的に「便利になった」と感じる領域を担う業務です。各種証明書のオンライン申請サービス、公共施設の予約システム、オープンデータの公開、さらにはAIチャットボットによる問い合わせ対応など、住民が市役所に来なくても行政サービスを受けられる「行かない市役所」を実現するための企画・開発・運用を行います。これは、単に技術を導入するだけでなく、「どうすれば住民が使いやすいか」という利用者目線(UI/UX)でのサービス設計が求められる、創造性の高い仕事です。住民の利便性向上は、行政の透明性と信頼性の向上にも直結します。

主要業務と一年のサイクル

 DX推進課の一年は、季節の移り変わりではなく、行政特有の「予算サイクル」という厳格で揺るぎないリズムによって支配されています。それは、今年度の事業を執行しながら、同時に来年度の事業計画と予算要求を準備するという、常に二つの時間軸が並行して進む、緊張感に満ちたサイクルです。

4月~6月:新プロジェクトの始動と次なる計画の仕込み
 新年度の始まりと共に、前年度に議会で承認されたシステム開発や機器更新のプロジェクトが本格的に始動する時期です。事業者との契約を最終化し、プロジェクトのキックオフミーティングが次々と開催されます。同時に、早くも次々年度を見据えた情報収集が始まります。各部署を回り、現行システムの課題や新たなニーズをヒアリングし、来年度の予算要求に盛り込むべき事業の種を探し始めます。年度末の喧騒が一段落し、残業は比較的落ち着いていますが、新たなプロジェクトの立ち上げと次なる計画の仕込みで、常に頭はフル回転の状態です。

7月~9月:来年度予算要求に向けた戦略立案
 来年度の予算要求に向けた準備が佳境に入る、戦略的な期間です。各部署から吸い上げたニーズを精査し、具体的な事業計画へと落とし込んでいきます。市場調査を行い、複数のベンダーから情報提供依頼(RFI)を通じて概算費用や技術的な実現可能性を確認し、費用対効果を算定します。なぜこのシステムが必要なのか、導入によってどのような効果が見込めるのかを、誰が読んでも納得できるよう、ロジカルで説得力のある予算要求書を作成する作業は、知力と体力の限りを尽くす総力戦です。夏休み返上で資料作成に追われることも珍しくなく、残業時間は着実に増加していきます。

10月~1月:財政課との「闘い」と議会準備
 まさに「闘い」の季節です。練り上げた予算要求書を財政課に提出し、ここから厳しい査定が始まります。財政課の担当者から浴びせられる「本当にこの金額が必要なのか」「もっと安くできないのか」「そもそもこの事業の優先順位は高いのか」といった鋭い質問に対し、一つひとつ丁寧に、しかし断固として事業の必要性を訴え続けます。ここでの交渉が、来年度の自治体のデジタル化の進捗を左右すると言っても過言ではありません。査定で削られた事業を復活させるための「復活要求」や、首長への説明、そして2月から始まる議会での答弁準備と、息つく暇もない日々が続きます。残業時間は年間で最初のピークを迎え、深夜までの作業や休日出勤も常態化します。

2月~3月:年度末の締めと新年度準備の二正面作戦
 年度末の締めと新年度の準備が重なる、一年で最も混沌とし、多忙を極める時期です。現行年度の事業を完了させ、予算を使い切るための検収作業や支払手続きに追われます。万が一、年度内に事業が終わらなければ「繰越」の手続きが必要となり、膨大な事務作業が発生します。その一方で、議会で可決されたばかりの来年度予算に基づき、新たなシステム調達のための仕様書作成や入札公告の準備を急ピッチで進めなければなりません。古い年度を閉じながら、新しい年度の扉を開ける。この二正面作戦を乗り切るためには、驚異的なマルチタスク能力と精神力が求められ、残業時間は再びピークに達します。

異動可能性

 異動可能性:★★★★☆(高い)

 DX推進課は、その専門性の高さから「一度配属されたら長くいる部署」と見られがちですが、実態はその逆です。むしろ、将来の幹部候補や、組織全体の変革を担う人材を育成するための「戦略的な育成部署」としての側面が非常に強く、異動の可能性は高いと言えます。その理由は、この部署で得られるスキルが、特定の分野に閉じた「縦の専門性」ではなく、組織全体を俯瞰し、横断的に活用できる「横の専門性」だからです。

 現代の自治体では、DXはDX推進課だけの課題ではなく、福祉、教育、都市計画、防災といったあらゆる部署が取り組むべき全庁的なミッションです。しかし、多くの部署にはITの専門知識やシステム調達のノウハウを持つ職員が不足しています。そこで、DX推進課でシステム企画、予算要求、調達、ベンダー管理、セキュリティ対策といった一連のプロセスを経験した職員は、「DXを推進できる即戦力」として、あらゆる部署から引く手あまたの存在となります。

 例えば、福祉課が新たな給付金システムを導入する際、DX推進課の経験者は、現場のニーズを的確に仕様書に落とし込み、ベンダーとの交渉を有利に進め、プロジェクトを円滑に管理することができます。企画課に異動すれば、絵に描いた餅で終わらない、技術的な裏付けのある実効性の高いデジタル戦略を立案できるでしょう。このように、DX推進課での経験は、どの部署に行っても「デジタル化の推進役」という付加価値を発揮できる強力な武器となります。そのため、組織としても、エース級の職員を戦略的にDX推進課で鍛え、その後、重要部署に配置して全庁的なDXを加速させるという人事戦略をとることが多いのです。

大変さ

 大変さ:★★★★★(非常に高い)

 DX推進課の業務が内包する困難さは、単なる業務量の多さや残業時間だけでは測れません。それは、技術的なプレッシャー、精神的な重圧、複雑な人間関係、そして組織変革の抵抗という、四つの異なるベクトルから同時に襲いかかってくる複合的な厳しさに起因します。

 第一に、技術的・セキュリティ的なプレッシャーです。市民の生活を支える基幹システムがダウンすれば、その影響は全庁に及び、復旧までの間、職員は非難の目に晒されながら対応に追われます。いつ発生するとも知れないサイバー攻撃の脅威には、24時間365日、気を張り詰めていなければなりません。特に、総務省のガイドラインに準拠した「情報セキュリティポリシー」の維持管理は、一つの設定ミスが重大な情報漏洩に繋がりかねない、巨大な責任を伴う業務です。この「絶対に失敗が許されない」というプレッシャーは、常に精神をすり減らします。

 第二に、全庁を巻き込む「調整地獄」です。新しいシステムを一つ導入するにも、関係する全ての部署から要望をヒアリングし、利害を調整し、一つの仕様にまとめ上げる必要があります。各部署は自らの業務の効率化を最優先に考えがちで、全体最適の視点から標準化を提案しても、「うちは特殊だから」「今のやり方を変えたくない」といった抵抗に遭うことは日常茶飯事です。セキュリティ強化のために不便なルールを課せば「仕事を邪魔する部署」と煙たがられ、板挟みの中で疲弊していきます。

 第三に、一筋縄ではいかない「ベンダーマネジメント」の難しさです。特に、長年特定の事業者が維持管理してきたレガシーシステムは、仕様がブラックボックス化し、他の事業者では手が出せない「ベンダーロックイン」状態に陥っていることが少なくありません。この状況では、事業者の言い値で高額な改修費用を払わざるを得なかったり、無理な要求を突き付けられたりすることもあります。専門知識で劣る行政職員が、巨大IT企業の経験豊富な営業や技術者と対等に交渉し、自治体の利益を守ることは、極めて困難なミッションです。

 そして第四に、「変革の担い手」としての孤独と重圧です。DXの推進とは、単に新しいツールを入れることではなく、旧来の業務プロセスや組織文化そのものを変えることです。しかし、変化を嫌うのが組織の常。限られた予算と人員の中で、デジタルに不慣れな職員たちを啓蒙し、時には抵抗勢力と戦いながら、組織全体を前に進めていかなければなりません。上層部からは早期の成果を求められ、現場からは反発を受ける。その中で、たった一人で重い十字架を背負っているような感覚に陥ることも少なくありません。

大変さ(職員の本音ベース)

 「また『よくわからないから、そっちで良しなにやっておいて』か…」。他部署の担当者から悪気なく投げかけられるこの一言に、DX推進課の職員は何度、心の中でため息をついてきたことでしょう。自分たちの業務システムの将来を決める重要な話なのに、まるで他人事。仕様を決める段階では非協力的だったのに、いざシステムが完成すると「使いにくい」「こんな機能は頼んでいない」と文句を言われる。この理不尽さが、日々の精神を確実に蝕んでいきます。

 「セキュリティ研修で『パスワードは定期的に変更し、使い回さないでください』とあれほど言ったのに、いまだに付箋に書いてモニターに貼っている人を見ると、もう無力感しか感じない」。全庁のセキュリティレベルを維持するという重責を担いながら、現場の意識の低さに直面する瞬間の徒労感は計り知れません。インシデントが起きてからでは遅いのに、その危機感はなかなか共有されない。「何かあったらDX推進課の責任」という空気だけが、重くのしかかります。

 ベンダーとの打ち合わせで、5年以上前に作られた、もはや誰も正確な内容を把握していない仕様書を前に議論している時の絶望感も、この部署特有の「あるある」です。「この機能の裏で、どんなデータがどう連携しているんですか?」と尋ねても、ベンダー担当者から返ってくるのは「前任者から引き継いでいないので、調査に時間がかかります」という返事。ブラックボックス化したシステムの闇の深さに、めまいがしそうになります。

 そして、苦労の末に新しいシステムを導入した日。「やっと肩の荷が下りた」と安堵するのも束の間、翌日から始まるのは「新しいシステムの使い方がわからない」という問い合わせの嵐です。「あのボタンはどこ?」「データが消えたんだけど」「前のシステムのほうが良かった」。結局、自分たちは全庁のヘルプデスク兼インストラクターなのだと悟ります。感謝されることは稀で、当たり前のようにサポート業務をこなす毎日。その中で、「自分たちは一体、何のためにこの仕事をしているんだろう」と、ふと我に返ってしまう瞬間が、一番精神的にきついのかもしれません。

想定残業時間

 通常期:月30~45時間

 繁忙期:月80~120時間

 繁忙期は主に二度訪れます。一度目は、来年度予算の査定が大詰めを迎える10月から1月にかけてです。財政課との折衝や議会対応のための資料作成に追われ、連日の深夜残業が避けられません。二度目は、年度末の2月から3月です。現行年度の事業完了と支払い手続き、そして新年度事業の調達準備が同時並行で進行し、まさに目の回るような忙しさとなります。これらに加え、大規模なシステム障害やセキュリティインシデントが発生した場合は、時期に関わらず突発的な繁忙期に突入し、復旧まで昼夜を問わない対応を迫られます。

やりがい

 その壮絶な大変さの裏側には、他の部署では決して味わうことのできない、スケールの大きなやりがいが存在します。それは、自らの手で社会の仕組みを動かし、未来を形作っているという確かな実感です。

社会インフラを自分の手で構築する達成感

 DX推進課の仕事は、単なる事務作業ではありません。それは、住民の生活や企業の活動を支える「デジタル社会インフラ」を構築する仕事です。自らが企画・導入したオンライン申請システムによって、子育て中の親が市役所に来なくても手続きを終えられるようになった。担当したオープンデータが民間の開発者に活用され、地域を便利にする新たなアプリが生まれた。こうした成果は、数千、数万という人々の生活に直接的な影響を与えます。自分の仕事が、社会の基盤の一部として機能し、人々の暮らしをより良く変えている。この手触り感のある達成感は、何物にも代えがたい報酬です。

組織全体の変革をリードするダイナミズム

 DX推進課は、自治体という巨大な船の「DXエンジンルーム」です。AIやRPAといった最新技術を導入し、旧態依然とした業務プロセスを根本から見直すことで、組織全体の生産性を劇的に向上させることができます。これまで職員が何時間もかけて手作業で行っていたデータ集計が、ボタン一つで完了するようになる。その結果、職員はより創造的で、住民と向き合う本質的な業務に時間を使えるようになります。自分たちの働きかけが、組織全体の働き方を変え、行政サービスの質を向上させていく。この組織変革の最前線に立ち、そのダイナミズムを肌で感じられることは、大きな魅力です。

最先端の知識と巨大な裁量権

 この部署では、常に新しい技術や知識を学び続けることが求められます。クラウド、AI、サイバーセキュリティなど、世の中の最先端の動向を常にキャッチアップし、それを行政サービスにどう活かせるかを考える知的な興奮があります。また、若いうちから数千万、時には数億円規模のシステム調達プロジェクトを任されることも珍しくありません。一つのプロジェクトを、予算獲得から企画、調達、開発管理、そして導入まで、一気通貫で担当できる裁量権の大きさは、民間企業の同年代ではなかなか経験できないものです。この責任の重さが、圧倒的な成長を促してくれます。

やりがい(職員の本音ベース)

 公式なやりがいとは別に、職員が密かに胸の中で噛みしめる、もっと個人的で、生々しい満足感があります。それは、困難な局面を乗り越えた者だけが味わえる、特別な感情です。

 例えば、あの部署とこの部署が水面下で対立しているシステム案件。それぞれの言い分を聞き、ログデータを解析し、ネットワークの経路を追いかけるうちに、問題の根本原因がどこにあるのか、自分たちだけが気づいてしまう瞬間があります。この「全庁の裏事情を見通している」という、さながら名探偵のような全能感は、この部署ならではの密かな快感です。

 あるいは、大手ベンダーの高圧的な営業担当者との交渉の場。相手が提示する見積もりの矛盾点や、契約書の曖昧な条項を冷静に突き、ロジックで追い詰めて、最終的にこちらの要求を全面的に飲ませた時の達成感。専門知識と交渉術という武器で、巨大な相手に勝利したという感覚は、日頃のストレスを吹き飛ばすほどの喜びをもたらします。

 原因不明で半日以上停止していた基幹システム。誰もが匙を投げかけ、庁内がパニックに陥る中、膨大なシステムログの中から、たった一行の異常な記述を発見し、コマンドを一つ打ち込むことでシステムを劇的に復旧させた瞬間。誰に褒められるわけでもない、自分だけの世界で繰り広げられる「静かなガッツポーズ」。これこそが、技術者としての本能的な喜びが満たされる瞬間です。そして何より、他部署の若手職員から「〇〇さんのおかげで、あの本当に面倒だった手作業がなくなって、毎日定時で帰れるようになりました。ありがとうございます」と、直接、感謝の言葉をかけられた時。その一言が、これまでの全ての苦労を浄化し、明日への活力を与えてくれるのです。

得られるスキル

 DX推進課での経験は、転職市場で極めて高く評価される、専門性と汎用性を兼ね備えた独自のスキルセットを授けてくれます。

専門スキル

  • 公共IT調達・仕様書作成スキル
     これは、単なるIT知識ではありません。地方自治法や会計法規を遵守しつつ、各部署の曖昧な要望を、誰が読んでも誤解の余地がない、技術的に正確かつ法的に有効な「仕様書」という公文書に落とし込む高度な技術です。公平性・競争性を担保した入札手続きを設計し、事業者からの質問に的確に回答し、最適な契約相手を選定する。この一連のプロセスを経験することで、民間企業におけるRFP作成や購買・調達業務にも応用可能な、極めて実践的なスキルが身につきます。
  • ベンダーマネジメント・交渉力
     数千万円から数億円規模のシステム開発プロジェクトにおいて、ITベンダーを適切にコントロールし、プロジェクトを成功に導く能力です。契約内容に基づき、進捗、品質、コストを厳しく管理し、仕様変更や追加要求が発生した際には、冷静に交渉して自治体側の不利益を最小限に食い止めます。特に「ベンダーロックイン」のような不利な状況下で、いかにして主導権を握り、サービスレベルを維持させるかという経験は、あらゆる業界で通用する高度な交渉力とリスク管理能力の証明となります。
  • 情報セキュリティポリシー設計・監査対応スキル
     総務省のガイドラインなどの抽象的な指針を、自分たちの組織の実態に合わせた具体的で実行可能な「情報セキュリティポリシー」として策定・運用するスキルです。ポリシーを全職員に浸透させるための研修を企画・実施し、定期的な情報セキュリティ監査を受け、指摘事項への改善対応を行う。この経験を通じて、組織のガバナンスやコンプライアンス体制を構築・維持する能力が養われます。これは、金融や医療など、高度なセキュリティが求められる業界で特に重宝される専門性です。
  • 大規模システム導入のプロジェクトマネジメント
     予算要求から始まり、関係部署との要件定義、調達、ベンダーコントロール、受け入れテスト、そして全庁的な導入と定着化支援まで、大規模プロジェクトの全工程をマネジメントした経験そのものが、強力なスキルです。数十の部署、数百人の職員、複数のベンダーといった多岐にわたるステークホルダーを巻き込みながら、限られた期間と予算の中でプロジェクトを完遂させる能力は、プロジェクトマネージャーとしての市場価値を飛躍的に高めます。

ポータブルスキル

  • 課題発見と解決策の企画構想力
     他部署の職員が「昔からこうだから」と諦めている非効率なアナログ業務の中に、本質的な課題を見つけ出し、「この業務は、この技術を使えばこのように改善できる」と具体的なデジタルソリューションを構想する能力です。現状を分析し、あるべき姿を描き、そこに至るまでの道筋をロジカルに設計するこのスキルは、コンサルタントや企画職に不可欠な能力そのものです。
  • マルチステークホルダー調整・合意形成能力
     DX推進課の仕事は、調整の連続です。利用部門、財政部門、法務部門、経営層、そして外部のベンダー。それぞれの立場や利害が異なる関係者の間に立ち、粘り強く対話を重ね、時には対立を乗り越えながら、全員が納得する着地点を見つけ出す。この高度な合意形成能力は、どんな組織においても、複雑な課題を解決し、物事を前に進めるための最も重要なスキルの一つです。
  • 行政言語と技術言語の「翻訳」能力
     これは、DX推進課でしか身につかない、極めて希少価値の高いスキルです。「DXによる市民サービスの向上」といった抽象的な行政目標を、エンジニアが理解できる具体的なシステム要件に翻訳する。逆に、「サーバーの脆弱性」といった技術的なリスクを、市長や議員がその重大性を理解できる平易な言葉で説明する。この「翻訳能力」を持つ人材は、行政と民間の架け橋として、あらゆる場面で重宝されます。
  • リスク管理とコンプライアンス遵守の徹底
     公務員として、常に法令や条例、規則を遵守するという意識が骨の髄まで染み込んでいます。情報セキュリティ、個人情報保護、公文書管理、会計規則など、あらゆる業務において、コンプライアンス違反のリスクを常に意識し、それを回避するための手順を踏むことが習慣化されています。この徹底したリスク回避の姿勢とコンプライアンス意識の高さは、特に大企業や規制の厳しい業界において、非常に高く評価される資質です。

キャリアへの活用(庁内・管理職)

 DX推進課での経験は、将来、管理職として組織を率いる上で、他部署出身者にはない圧倒的なアドバンテージをもたらします。その最大の武器は、組織全体をシステムとして捉える「俯瞰的な視点」です。

 多くの職員が自部署の業務という「木」を見ている中で、DX推進課の職員は、部署間のデータの流れやシステムの連携という「森」全体を見ています。どの部署がどのような情報を持ち、どの業務プロセスがボトルネックになっているのか。組織全体の情報流と業務フローを、いわば「神の視点」で把握しているのです。

 この視点は、管理職になった際に絶大な効果を発揮します。例えば、新たな政策を立案する際、その政策が他部署のシステムや業務にどのような影響を及ぼすかを瞬時に予測し、事前に関係部署との調整を行うことができます。部下の業務改善提案に対しても、単にその部署内での効率化に留まらず、全庁的なデータ連携やシステム標準化といった、より大きな視点からアドバイスを与えることができるでしょう。DXが全ての部署の課題となるこれからの時代において、テクノロジーを理解し、組織全体の最適化を考えられるこの経験は、優れた管理職になるための必須要件と言っても過言ではありません。

キャリアへの活用(庁内・一般職員)

 DX推進課から他部署へ異動した場合、あなたは「DXを推進できる即戦力」として、異動初日から活躍することが約束されています。特に、以下の部署ではその価値を最大限に発揮できるでしょう。

  • 企画課・政策企画課
     自治体の総合計画やDX推進計画といった、最上位の計画策定において、技術的な実現可能性を踏まえた実効性の高いプランを立案できます。
  • 財政課
     各部署から上がってくるIT関連の予算要求に対し、その金額の妥当性や費用対効果を専門的な知見から的確に査定することができます。
  • 人事課
     人事給与システムの刷新や、全職員向けのITリテラシー向上研修の企画・実施など、組織の人材戦略をデジタルの側面から支えることができます。
  • 福祉課・税務課などの大規模事業部署
     数年ごとに訪れる大規模な基幹システムの更新プロジェクトにおいて、事業部門側のプロジェクトリーダーとして、DX推進課と現場の橋渡し役を担うことができます。  さらに、DX推進課での業務を通じて築いた「人的ネットワーク」は、あなたのキャリアにおけるかけがえのない資産となります。庁内のあらゆる部署に、システム導入で苦楽を共にした「顔なじみ」がいる状態は、異動先での業務を円滑に進める上で非常に有利に働きます。他部署との連携が必要な場面で、電話一本で気軽に相談できる相手がいるかどうかは、仕事のスピードと質を大きく左右するのです。

キャリアへの活用(民間企業への転職)

求められる業界・職種

 自治体のDX推進が国家的な課題となる中、民間企業には「GovTech(ガブテック)」と呼ばれる、官公庁向けのITサービス市場が急拡大しています。この成長市場において、行政の内部を知り尽くしたDX推進課の経験者は、まさに「喉から手が出るほど欲しい人材」です。

  • ITコンサルティングファーム(公共部門)
     アクセンチュアやBIG4(デロイト、PwC、KPMG、EY)などの大手ファームには、官公庁を専門とする部門があります。あなたの経験は、他の自治体に対してDX戦略の策定や業務改革を支援するコンサルタントとして、まさにうってつけです。
  • GovTechスタートアップ
     行政手続きのオンライン化や、データ分析に基づく政策立案支援など、革新的なサービスで急成長しているベンチャー企業です。ここでは、行政のニーズを深く理解し、プロダクト開発にフィードバックしたり、導入プロジェクトを管理するプロジェクトマネージャーとして活躍できます。
  • SaaSベンダー(公共営業・カスタマーサクセス)
     AWS、Salesforce、Microsoftといったクラウドサービスを提供する巨大企業は、公共部門を重要な市場と位置づけています。特に、自治体が導入したサービスを使いこなし、成果を出せるように支援する「カスタマーサクセス」という職種は、あなたの知見を最大限に活かせるポジションです。
  • 大手SIer・事業会社(公共事業部)
     NECや富士通といった、古くから自治体と取引のある大手IT企業も、あなたの経験を高く評価します。自治体の文化や意思決定プロセスを理解している人材は、大規模プロジェクトのプロジェクトマネージャーや、新たなソリューションを企画する事業企画として、即戦力となるでしょう。

企業目線での価値

 民間企業があなたの経験に価値を見出すのは、単なるITスキルだけではありません。むしろ、民間企業の人間がいくら努力しても決して得られない、行政組織の「中の人」としての深い知見と経験にこそ、最大の価値があるのです。

  • 「行政の論理」の体得
     なぜ行政ではトップダウンの意思決定が難しいのか。なぜ前例踏襲が重んじられるのか。「根回し」や「合意形成」がなぜ重要なのか。民間企業にとっては不可解な行政特有の文化や意思決定プロセスを、肌感覚で理解していること。これは、公共ビジネスを成功させる上で最も重要な資質です。
  • 公共調達プロセスの完全な理解
     仕様書の作成から入札、契約に至るまで、複雑で厳格な公共調達のルールを知り尽くしていること。どうすれば入札で勝てる提案書が書けるのか、逆にどのような提案が失格となるのかを熟知しているため、企業の営業活動や提案活動に絶大な貢献ができます。
  • 圧倒的なストレス耐性と責任感
     市民の生活を支えるミッションクリティカルなシステムを、24時間365日、絶対に止めてはならないというプレッシャーの中で働いてきた経験。それは、民間企業の比ではないほどのストレス耐性と、極めて高いレベルの当事者意識・責任感の証明です。
  • 希少な人的ネットワーク
     あなたが業務を通じて築いた、他の自治体職員や関連省庁との繋がりは、企業にとって貴重な情報源であり、ビジネスチャンスを広げるための重要な人的資本となり得ます。

求人例

求人例1:ITコンサルティングファームの公共DXコンサルタント

  • 想定企業: 大手外資系コンサルティングファーム(公共サービス部門)
  • 年収: 800万円~1,500万円
  • 想定残業時間: 月45時間程度(プロジェクトによる)
  • 働きやすさ: ★★★☆☆(リモートワーク併用可だが、クライアント先への出張も多い)
  • 自己PR例
     私の強みは、多様なステークホルダーの利害を調整し、複雑なプロジェクトを完遂に導く推進力です。現職の市役所では、住民サービスのDX化を目的とした「オンライン申請システム」の導入プロジェクトを主導しました。導入にあたっては、それぞれ異なる業務フローを持つ5つの主管課、厳しい予算制約を課す財政課、そして複数のITベンダーという、立場の異なる関係者の調整が最大の課題でした。私は、各主管課の業務を徹底的にヒアリングして300項目以上の要件を整理し、共通化できる部分と個別対応が必要な部分を切り分けることで、全体最適化されたシステム仕様を策定しました。財政課に対しては、導入による窓口業務の人件費削減効果やペーパーレス化によるコスト削減効果を定量的に示し、満額の予算を獲得。ベンダー選定では、価格だけでなく、導入後のサポート体制や他自治体での実績を重視した評価基準を設けることで、最も信頼性の高いパートナーを選定しました。結果として、プロジェクトは予定通り1年半で完了し、導入後1年間でオンライン申請率は40%向上、職員の関連業務時間を30%削減するという具体的な成果を上げることができました。この経験で培った課題分析力、合意形成能力、そしてプロジェクトマネジメント能力を活かし、貴社において、より多くの自治体のDX推進に貢献したいと考えております。

求人例2:GovTechスタートアップのプロジェクトマネージャー

  • 想定企業: 自治体向けSaaSサービスを提供する急成長中のベンチャー企業
  • 年収: 700万円~1,000万円(ストックオプション付与の可能性あり)
  • 想定残業時間: 月30~40時間程度
  • 働きやすさ: ★★★★★(フルリモート、フルフレックス可)
  • 自己PR例
     行政の現場を知り尽くしているからこそ、本当に価値のあるサービスを届けられると確信しています。私は市役所のDX推進課で、全庁的な情報セキュリティポリシーの策定と運用を担当してまいりました。当初の課題は、総務省のガイドラインが現場の業務実態と乖離しており、職員に「守れないルール」を強いることで、かえってセキュリティリスクを高めている「シャドーIT」が蔓延していたことでした。そこで私は、まず全職員を対象とした業務実態アンケートと、主要20課へのヒアリングを実施。クラウドストレージの利用や外部とのデータ共有など、現場が抱える具体的なニーズを徹底的に洗い出しました。その上で、利便性と安全性を両立させるため、「データの重要度に応じた3段階の取り扱いルール」と「承認されたクラウドサービスの利用許可制」を盛り込んだ新たなポリシー案を策定。庁内のセキュリティ委員会で粘り強くその必要性を説き、承認を得ました。導入後は、各課を回る説明会と個別の相談会を30回以上実施し、新ルールの定着を支援しました。結果、ポリシー遵守率は2年間で55%から95%に向上し、セキュリティインシデントの報告件数を80%削減できました。この経験を活かし、貴社のプロダクトを導入する自治体に対し、現場の課題に寄り添った最適な導入計画を提案・実行するプロジェクトマネージャーとして貢献できると確信しております。

求人例3:大手SaaS企業のカスタマーサクセスマネージャー(公共担当)

  • 想定企業: グローバルに展開する大手クラウドサービスベンダー
  • 年収: 750万円~1,200万円
  • 想定残業時間: 月20~30時間程度
  • 働きやすさ: ★★★★☆(リモートワーク中心、ワークライフバランス良好)
  • 自己PR例
     私のミッションは、お客様である自治体にテクノロジーを「納品」することではなく、その活用を通じて「成果」を届けることです。現職では、全庁のネットワークインフラ刷新プロジェクトを担当しました。最大の課題は、新しいネットワークへの移行に伴う業務影響を最小限に抑え、約1,500人の職員に混乱なく新しい環境へ適応してもらうことでした。私は、技術的な移行計画の策定と並行し、徹底したユーザーサポート計画を立案・実行しました。まず、全職員を対象に、新しいネットワークの利点や注意点を解説するオンライン説明会を複数回開催。さらに、各部署に1名ずつ「IT推進リーダー」を任命し、リーダー向けの集中研修を実施することで、部署内での相談体制を構築しました。移行当日は、庁内10箇所にサポートデスクを設置し、DX推進課の職員が常駐して直接トラブルに対応。これらの取り組みにより、移行後のヘルプデスクへの問い合わせ件数を当初予測の3分の1に抑制し、大きな業務混乱なく、わずか1ヶ月で新ネットワークへの完全移行を達成しました。この経験で培った「ユーザーの不安に寄り添い、成功まで伴走する力」は、貴社のカスタマーサクセスマネージャーとして、導入自治体の満足度を最大化し、長期的な関係を築く上で必ず活かせると考えております。

求人例4:大手事業会社のIT戦略企画(公共案件担当)

  • 想定企業: 大手通信キャリアまたは総合電機メーカー
  • 年収: 850万円~1,400万円
  • 想定残業時間: 月30時間程度
  • 働きやすさ: ★★★☆☆(伝統的な大企業文化だが、福利厚生は充実)
  • 自己PR例
     私は、行政の深いニーズと最新の技術動向を掛け合わせ、新たな公共サービスの事業モデルを企画・立案できる能力を持っています。市役所在職中、私は地域が抱える「デジタルデバイド(情報格差)」の問題に強い課題意識を持っていました。特に高齢者がスマートフォンの操作に不慣れなため、市のオンラインサービスを利用できず、結局は窓口に来なければならない状況を改善したいと考えました。そこで、庁内の議論に留まらず、地域の携帯電話販売店、NPO法人、社会福祉協議会を巻き込んだ官民連携の「スマホ教室推進プロジェクト」を企画・立案しました。企画書では、市の役割(広報、会場提供)、民間事業者のメリット(潜在顧客の獲得)、NPOの役割(講師派遣)を明確にし、三者にとって「Win-Win-Win」となる事業スキームを設計。市長へのプレゼンテーションを経て、正式な事業として承認されました。初年度はモデル事業として市内5地区で実施し、参加者300名のアンケートで満足度95%という高い評価を得て、翌年度からの全地区展開が決定しました。この経験で培った、社会課題からビジネスチャンスを見出す着想力と、多様な組織を巻き込んで事業を具体化する実行力を活かし、貴社の持つアセットと私の行政知見を組み合わせることで、新たな公共領域のビジネスを創出したいと考えています。

求人例5:情報セキュリティコンサルタント

  • 想定企業: 独立系の情報セキュリティ専門コンサルティング会社
  • 年収: 700万円~1,100万円
  • 想定残業時間: 月40時間程度
  • 働きやすさ: ★★★☆☆(専門性が高く自己研鑽が求められるが、スキルアップ環境は抜群)
  • 自己PR例
     私の強みは、机上の空論ではない、組織の実態に即した実効性の高いセキュリティガバナンスを構築できる点です。私は市役所において、外部からの不正アクセスによるウェブサイト改ざんインシデントの対応責任者を務めました。インシデント発生直後、私はまず、被害拡大を防ぐためにウェブサイトを即時停止する決断を下し、同時に庁内の緊急連絡網に基づき関係各所への報告を実施しました。その後、保存されていたアクセスログを解析し、侵入経路と原因となったシステムの脆弱性を特定。ベンダーと協力して24時間以内に暫定的な復旧を果たすと共に、警察への被害届提出と、個人情報保護委員会への報告を行いました。再発防止策として、私は従来の画一的な対策を改め、システムの重要度と取り扱う情報の機密性に応じた多層的な防御策を提案。具体的には、公開サーバーの監視体制強化、WAF(Web Application Firewall)の導入、そして開発ベンダーに対するセキュリティ要件の厳格化などを盛り込んだ新たな運用ルールを策定し、全庁に展開しました。この一連の経験を通じて、インシデント発生時の冷静な判断力、原因究明のための技術的分析能力、そして実効性のある再発防止策を組織に根付かせるための制度設計能力を培いました。この経験は、クライアントが直面する多様なセキュリティ課題に対し、現実的かつ効果的なソリューションを提供する上で、必ずや貢献できるものと確信しております。

最後はやっぱり公務員がオススメな理由

 これまでの内容で、ご自身の市場価値やキャリアの選択肢の広がりを実感いただけたかと思います。その上で、改めて「公務員として働き続けること」の価値について考えてみましょう。

 確かに、提示された求人例のように、民間企業の中には高い給与水準を提示するところもあります。しかし、その働き方はプロジェクトの状況に大きく左右されることが少なくありません。繁忙期には予測を超える業務量が集中し、プライベートの時間を確保することが難しくなる場面も考えられます。特に、子育てなど、ご自身のライフステージに合わせた働き方を重視したい方にとっては、この予測の難しさが大きな負担となる可能性もあります。

 その点、公務員は、長期的な視点でライフワークバランスを保ちやすい環境が整っており、仕事の負担と処遇のバランスにも優れています。何事も、まずは安定した生活という土台があってこそ、仕事にも集中し、豊かな人生を築くことができます。

 公務員という、社会的に見ても非常に安定した立場で、安心して日々の業務に取り組めること。そして、その安定した基盤の上で、目先の利益のためではなく、純粋に「誰かの幸せのために働く」という大きなやりがいを感じられること。これこそが、公務員という仕事のかけがえのない魅力ではないでしょうか。その価値を再認識し、自信と誇りを持ってキャリアを歩んでいただければ幸いです。

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