17 健康・保健

健康・保健政策

masashi0025

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(健康・保健政策を取り巻く環境)

  • 自治体が健康・保健政策を行う意義は「超高齢社会における住民のウェルビーイング(幸福)の実現」と「将来世代にわたる社会保障制度の持続可能性の確保」にあります。
  • 我が国は世界に類を見ない速度で人口構造の変化に直面しており、特に東京都特別区のような大都市部では、多様化・複雑化する健康課題と、増大し続ける社会保障費という二つの大きな潮流への対応が急務です。
  • 従来の疾病治療中心の考え方から、疾病予防・健康増進、さらには重症化予防へと政策の重心を移し、科学的根拠に基づいた効果的な介入を通じて、全ての区民が健やかで心豊かな生活を生涯にわたり送れる社会を構築することが、現代の行政に課せられた使命といえます。

意義

住民にとっての意義

健康寿命の延伸とQOL(生活の質)の向上
  • 疾病の予防や早期発見・早期治療を促進することで、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間、すなわち「健康寿命」を延ばすことができます。
  • これにより、住民一人ひとりが生涯にわたり自立した生活を送り、趣味や社会参加といった活動を長く楽しむことが可能となり、生活の質(QOL)が向上します。
医療・介護に関する不安の軽減
  • 質の高い医療・介護サービスへのアクセスが保障され、地域包括ケアシステムが機能することで、病気や加齢に伴う身体機能の低下に対する不安が軽減されます。
  • 特に、人生の最終段階における医療・ケア(ACP)に関する支援や、在宅での看取りを支える体制の充実は、本人と家族の精神的負担を大きく和らげます。
    • 客観的根拠:
      • 令和7年版高齢社会白書によると、高齢者が経済的な面で不安に感じることとして、「自分や家族の医療・介護の費用がかかりすぎること」が上位に挙げられています。
      • (出典)内閣府「令和7年版高齢社会白書」令和7年

地域社会にとっての意義

社会活力の維持・向上
  • 健康な住民、特に意欲ある高齢者が増えることは、就労やボランティア活動、地域行事への参加などを通じて、地域社会の活力を維持・向上させる原動力となります。
  • 健康づくりを目的とした地域の「通いの場」などは、世代を超えた交流を促し、社会的孤立を防ぐ重要な役割も担います。
    • 客観的根拠:
      • 令和7年版高齢社会白書によれば、収入のある仕事をしている60歳以上の人のうち、8割超が70歳以降も働く意欲を持っており、高齢者の社会参加意欲は極めて高い水準にあります。
      • (出典)内閣府「令和7年版高齢社会白書」令和7年
共助機能の強化とセーフティネットの構築
  • 健康教室や介護予防活動といった地域の取り組みは、住民同士の顔の見える関係を育み、日常的な見守りや災害時の助け合いといった「共助」の機能を強化します。
  • これにより、行政サービスだけでは対応しきれない細やかなニーズに応える、地域社会のセーフティネットが構築されます。

行政にとっての意義

社会保障制度の持続可能性の確保
  • 政策の重点を治療から予防・重症化予防へとシフトさせることで、国民医療費や介護給付費の伸びを抑制し、社会保障制度の持続可能性を高めることができます。
  • データに基づいた効果的な保健事業(データヘルス)は、限られた財源を最適に配分し、費用対効果の高い政策を実現する上で不可欠です。
住民からの信頼獲得
  • 健康や医療は、住民の最も関心の高い行政分野の一つです。これらの課題に的確に対応し、安心できる保健・医療・福祉体制を構築することは、行政に対する住民の信頼を醸成する上で極めて重要です。
  • 政策の成果を健康寿命の延伸といった分かりやすい指標で示すことは、行政の説明責任を果たし、住民満足度の向上に繋がります。

(参考)歴史・経過

  • 1922年(大正11年)
    • 工場労働者を対象とした(旧)健康保険法が制定され、日本の公的医療保険制度が始動しました。
  • 1938年(昭和13年)
    • 厚生省が設置されると共に、自営業者や農林漁業者を対象とする国民健康保険法が制定され、国民皆保険への道筋がつけられました。
  • 1947年(昭和22年)
    • 戦後、GHQの指導のもと保健所法が改正され、保健所が感染症対策や公衆衛生の向上を担う地域の中核機関として再編・強化されました。
  • 1961年(昭和36年)
    • 国民皆保険体制が達成され、全ての国民がいつでもどこでも必要な医療を受けられる社会基盤が確立しました。これは、その後の日本の経済成長を支える重要な柱の一つとなりました。
  • 1973年(昭和48年)
    • 老人医療費無料化制度が導入され、高齢者の医療アクセスは飛躍的に向上しましたが、同時に国民医療費の急増という課題も顕在化しました。
  • 1980年代
    • 増大する老人医療費を背景に、制度の持続可能性が問われ始め、老人保健法(1983年)の制定など、給付と負担の見直しが進められました。
  • 2000年(平成12年)
    • 高齢化の進展に対応するため、介護を社会全体で支える仕組みとして介護保険制度が創設されました。これにより、介護サービスは措置から契約へと転換しました。
  • 2008年(平成20年)
    • 75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度が開始され、高齢者の医療制度がより明確化されました。
  • 2010年代以降
    • 医療・介護資源の効率的な活用を目指し、住み慣れた地域で医療・介護・生活支援を一体的に受ける「地域包括ケアシステム」の構築が国策として推進されています。
    • また、レセプト(診療報酬明細書)や健診データを活用し、科学的根拠に基づく保健事業を行う「データヘルス改革」が本格化しています。

健康・保健政策に関する現状データ

超高齢社会の進展と人口構造の変化
  • 全国の高齢化率の推移と将来推計
    • 日本の総人口は令和6年10月1日現在で1億2,380万人、うち65歳以上人口は3,624万人で、高齢化率は29.3%と過去最高を更新しました。
    • 特に75歳以上人口が2,078万人(16.8%)となり、65~74歳人口の1,547万人(12.5%)を大きく上回っており、「高齢者の中でもさらに高齢化が進む」構造が鮮明になっています。
    • 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、この傾向は続き、令和52年(2070年)には、2.6人に1人が65歳以上、約4人に1人が75歳以上という社会が到来すると予測されています。
  • 東京都特別区の状況
    • 東京都は全国で唯一、生産年齢人口(15~64歳)の割合が66.8%と高い水準にありますが、高齢化の波は例外なく進行しています。
    • 特に、単身高齢者世帯の増加が顕著であり、昭和55年(1980年)には男性4.3%、女性11.2%であった65歳以上の一人暮らしの割合が、令和2年(2020年)には男性15.0%、女性22.1%へと急増しています。これは、地域社会における見守りや支え合いの仕組みの重要性が増していることを示唆しています。
健康寿命と平均寿命の状況
  • 健康寿命の最新値
  • 平均寿命との乖離
  • 東京都内の健康格差
    • 「東京都健康推進プラン21(第三次)」によると、令和2年時点での都内区市町村間における65歳健康寿命の最大値と最小値の差は、男性で2.55年、女性で2.16年存在します。
    • これは、居住する地域によって健康に享受できる年数に差がある「健康格差」が存在することを示しており、地域の実情に応じたきめ細やかな対策の必要性を示唆しています。
疾病構造の変化と医療・介護費の動向
  • 生活習慣病と精神疾患の増加
    • 高血圧性疾患の総患者数は1,600万人を超え、糖尿病も550万人を超えるなど、生活習慣病は依然として国民の健康における最大の課題です。
    • 同時に、精神疾患を有する外来患者数は約586万人(令和2年)に達し、過去20年間で2.5倍以上に増加しています。精神障害による労災認定件数も過去最多を更新しており、身体の健康だけでなく「こころの健康」への対策が喫緊の課題となっています。
  • 国民医療費の増大
    • 令和4年度の国民医療費は46兆6,967億円となり、前年度比3.7%増と、過去最高額を更新しました。国民一人当たりでは37万3,700円となります。
    • このうち65歳以上の医療費が全体の61.9%を占める28兆9,111億円となっており、高齢化が医療費増大の最大の要因であることが明確に示されています。
  • 介護給付費の動向

課題

住民の課題

生活習慣病リスクの増大と健康への無関心
  • 都市部特有の多忙なライフスタイル、外食や中食への依存、慢性的な運動不足は、特に働き盛りの世代における生活習慣病のリスクを著しく高めています。
  • しかし、自覚症状がない段階では健康への関心が低く、特定健診の受診率が伸び悩むなど、予防行動に繋がりにくいという課題があります。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 将来的に重症化する区民が増加し、個人のQOL低下と社会全体の医療費負担の爆発的増加を招きます。
高齢期の医療・介護への不安と社会的孤立
  • 健康寿命と平均寿命の間に存在する「不健康な期間」は、多くの住民にとって「寝たきり」や「認知症」への具体的な不安となっています。
  • 加えて、特別区で急増する単身高齢者世帯は、頼れる家族が身近にいない状況を生み出し、病気や災害時の対応の遅れ、社会からの孤立といった深刻なリスクを抱えています。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 孤独死や介護離職が増加し、個人の尊厳が損なわれると共に、社会の労働力損失にも繋がります。
多様化・複雑化する健康問題への対応困難
  • ストレス社会を反映したメンタルヘルス不調の増加、女性特有のライフステージに応じた健康課題(プレコンセプションケア、更年期障害など)、外国人住民の言語・文化の壁など、健康課題はますます多様化・複雑化しています。
  • 従来の画一的な保健サービスでは、こうした個別のニーズにきめ細かく応えることが困難になっています。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 支援から取り残される人々が増え、問題が深刻化・長期化することで、最終的により大きな社会的コストが発生します。

地域社会の課題

地域コミュニティの希薄化による共助機能の低下
  • 特別区のような大都市部では、住民の流動性が高く、隣人との関係が希薄になりがちです。
  • これにより、かつては地域社会が担っていた日常的な見守りや、災害時の安否確認といったインフォーマルな支え合い(共助)の機能が弱体化し、個人のリスクが直接的に顕在化しやすくなっています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都の調査では、町会・自治会加入率が過去10年で14.8ポイント低下し、53.7%となっているほか、「近所づきあいがほとんどない」と回答した世帯も31.2%に上ります(参考事例より引用)。
      • (出典)東京都「地域コミュニティ実態調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 行政サービスだけではカバーできない生活課題を抱える住民が増加し、地域のセーフティネットが機能不全に陥ります。
健康格差の存在と固定化
  • 所得水準や教育歴、居住地域といった社会経済的要因が、健康状態に影響を及ぼす「健康格差」が、特別区内においても存在します。
  • 特定の地域や階層で不健康な生活習慣が定着したり、必要な医療へのアクセスが困難であったりする状況が続けば、健康格差は固定化し、世代を超えて再生産される恐れがあります。
    • 客観的根拠:
      • 「東京都健康推進プラン21(第三次)」では、総合目標の一つに「健康格差の縮小」を掲げており、その評価指標として区市町村別の65歳健康寿命の差を用いています。令和2年時点で、この差は男女ともに2年以上存在しており、格差が依然として課題であることが示されています。
      • (出典)東京都「東京都健康推進プラン21(第三次)」令和6年
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 社会全体の分断が深まり、特定の地域や層に疾病リスクや医療費負担が偏在することで、社会の持続可能性が損なわれます。

行政の課題

医療・介護給付費の増大による財政圧迫
  • 高齢化に伴う医療・介護給付費の自然増は、特別区の財政にとって構造的な圧迫要因となっています。
  • このままでは、教育、子育て、まちづくりといった他の重要な行政サービスにしわ寄せが及び、財政の硬直化が進むことは避けられません。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 将来世代への過度な負担転嫁や、区民生活の質を支える他の行政サービスの低下を招くことになります。
縦割り行政による非効率なサービス提供
  • 「医療は保健医療局」「介護は福祉保健局」「予防は保健所」といったように、関連するサービスが組織の縦割り構造の中で別々に提供されています。
  • これにより、住民にとっては複数の窓口を回る手間が生じ、行政内部では情報連携が滞り、全体として非効率で効果の薄いサービス提供に陥りがちです。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 複合的な課題を抱える住民への対応が遅れ、問題が深刻化する「たらい回し」が発生し、行政への信頼が失われます。
専門人材の不足とデータ活用基盤の未整備
  • レセプトや健診データを分析し、効果的な保健事業を企画・立案できるデータサイエンティストや、複雑な課題を抱える世帯に介入できる高度な専門性を持つ保健師といった人材が、行政組織内では慢性的に不足しています。
  • また、各種データを統合的に分析し、政策決定に活用するための基盤(データプラットフォーム)の整備も追いついていないのが現状です。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

  • 即効性・波及効果
    • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、単一の課題解決に留まらず、複数の課題解決や多くの住民への便益に繋がる施策を高く評価します。
  • 実現可能性
    • 現在の法制度、予算、人員体制の中で、大きな障壁なく着手・実行が可能な施策を優先します。既存の仕組みや資源を活用できるものは、優先度が高くなります。
  • 費用対効果
    • 投入する行政資源(予算・人員等)に対し、将来的な医療費・介護費の抑制効果を含めた、長期的かつ大きな効果が見込める施策を優先します。
  • 公平性・持続可能性
    • 特定の地域や年齢層だけでなく、幅広い住民に便益が及び、健康格差の是正に資する施策を優先します。また、一過性のイベントで終わらず、持続可能な仕組みとして地域に根付く施策を高く評価します。
  • 客観的根拠の有無
    • 国の白書やガイドラインで推奨されている、または他の自治体で効果が実証されているなど、客観的なエビデンスに基づく施策を最優先します。

支援策の全体像と優先順位

  • 山積する健康・保健政策の課題に対し、本報告書では**「①予防・健康増進の科学化」「②地域包括ケアの深化」「③ライフステージ別アプローチの強化」**の3つを戦略の柱として支援策を体系化します。
  • これらは相互に密接に関連していますが、中でも**最優先で取り組むべきは「①予防・健康増進の科学化」**です。これは、データ分析によって「真に支援が必要な住民は誰か」「最も効果的な介入策は何か」を特定し、限られた行政資源を最も効率的かつ効果的に投下するための羅針盤となるからです。この基盤なくして、他の施策の効果は限定的なものに留まります。
  • 科学的アプローチで得られた知見を基に、「②地域包括ケアの深化」で支援の受け皿を地域に整備し、「③ライフステージ別アプローチの強化」で個々のニーズに応じたきめ細やかなサービスを届けることで、相乗効果を最大化します。

各支援策の詳細

支援策①:データヘルス改革による科学的予防・重症化予防の推進

目的
  • 国民健康保険や後期高齢者医療制度の健診データ、レセプトデータ等を統合的に分析し、科学的根拠に基づいた保健事業(データヘルス)を立案・実行します。
  • 生活習慣病等のハイリスク者を重症化する前に早期に発見・介入することで、区民の健康寿命を延伸するとともに、将来の医療費・介護費の増大を抑制します。
    • 客観的根拠:
      • 広島県呉市では、データ分析に基づく糖尿病性腎症重症化予防事業により、国保被保険者の透析移行を遅延させ、年間約4億円の医療費適正化効果を上げています。
      • (出典)(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/local_support/ict/jirei/2017_074.html)
主な取組①:特別区版「データヘルス分析基盤」の共同構築
  • 23区が共同で、国保・後期高齢者の健診・医療・介護データを匿名化した上で統合・分析できるプラットフォームを構築・運用します。
  • 分析結果を地図情報等と重ね合わせて可視化するBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを導入し、各区の保健師等が直感的に地域の健康課題を把握できる環境を整備します。
  • これにより、区ごとの比較や、より広域的な課題の抽出が可能となります。
    • 客観的根拠:
      • 「国民健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針」は、保険者に対し、データ分析に基づく保健事業実施計画(データヘルス計画)の策定と、PDCAサイクルに沿った事業運営を義務付けています。
      • (出典)広島県「市町のデータヘルス計画について」令和6年
主な取組②:糖尿病性腎症等重症化予防事業の全区展開
  • データ分析により、糖尿病の治療中断者や、腎機能が悪化しているにも関わらず未受診のハイリスク者を正確に抽出し、リスト化します。
  • かかりつけ医や地域の糖尿病専門医、歯科医師会、薬剤師会と連携し、対象者への受診勧奨や保健指導を徹底します。特に、歯周病との関連性も踏まえた医科歯科連携を強化します。
  • オンラインでの栄養指導や服薬指導、ウェアラブル端末を用いた生活習慣モニタリングなど、ICTを活用した介入プログラムを導入し、対象者の利便性と継続率を高めます。
主な取組③:ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの最適化
  • データ分析に基づき、地域全体の健康課題(例:特定の町丁目で高血圧者が多い、若年女性のやせが多い等)を特定し、その地域特性に応じた予防策(減塩メニューを提供する飲食店の推奨、運動しやすい公園整備等)を展開します(ポピュレーションアプローチ)。
  • 同時に、個人のリスクレベル(健診結果の経年変化等)に応じて、介入の強度を変え(情報提供のみ、保健指導、専門医紹介等)、資源を効果的に配分します(ハイリスクアプローチ)。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 区民一人当たり医療費(国保・後期)の年齢調整後伸び率を、東京都平均以下に抑制する。
      • データ取得方法: 国民健康保険事業状況報告(事業年報)、後期高齢者医療事業状況報告のデータを年齢構成で補正し算出。
  • KSI(成功要因指標)
    • 糖尿病性腎症による新規透析導入患者数を、計画期間中に15%削減する。
      • データ取得方法: レセプトデータ分析、地域の基幹病院からの報告。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 特定健診受診率を70%以上に向上させる。
      • データ取得方法: 特定健診実施結果データ。
    • 特定保健指導実施率を50%以上に向上させる。
      • データ取得方法: 特定保健指導実施結果データ。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 重症化予防プログラムの年間参加者数 XXX人。
      • データ取得方法: 事業実施記録の集計。
    • データ分析に基づく保健指導対象者の抽出・介入件数 年間XXX件。
      • データ取得方法: 事業実施記録の集計。

支援策②:都市型地域包括ケアシステムの深化と多機関連携の強化

目的
  • 医療、介護、予防、住まい、生活支援の5つの要素を、地域の実情に応じて一体的に提供し、重度の要介護状態となっても、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる社会を実現します。
  • 専門職間の情報連携を円滑化し、利用者を中心とした切れ目のない支援体制を構築します。
主な取組①:「(仮称)地域まるごとケア拠点」の整備
  • 既存の地域包括支援センターを機能強化し、身近な総合相談窓口、住民が集う「通いの場(サロン)」、多職種が連携する拠点としての機能を併せ持つ「地域まるごとケア拠点」を、中学校区など住民がイメージしやすい単位で整備します。
  • 商店街の空き店舗や公共施設の余裕スペースなどを活用し、運営は地域のNPOや社会福祉法人に委託することで、行政の硬直性を排し、地域のニーズに柔軟に対応できる体制を構築します。
主な取組②:ICTを活用した多職種連携プラットフォームの導入
  • 医師、歯科医師、薬剤師、看護師、ケアマネジャー、ヘルパー等の多職種が、利用者の同意のもと、リアルタイムで情報を共有できるセキュアな情報連携ツール(医療介護専用SNS等)を導入します。
  • これにより、利用者の状態変化への迅速な対応や、重複したアセスメントの回避、サービス担当者会議の効率化などを図ります。将来的には国のPublic Medical Hub (PMH)と連携し、公費負担医療や予防接種等の情報も一元的に参照できる体制を目指します。
主な取組③:在宅医療・看取り支援体制の強化
  • 地域の医師会と協定を結び、在宅療養支援診療所・病院のリストを作成・公表するとともに、機能強化のための研修や初期投資への支援を行います。
  • 24時間対応可能な訪問看護ステーションの育成を支援し、特に看取り期における医療・看護提供体制を確保します。
  • 区民向けに、元気なうちから人生の最終段階における医療・ケアについて考え、家族や医療者と話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の重要性を、講演会やパンフレットを通じて普及啓発します。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 自宅での看取り率を20%まで向上させる(現状は約15%)。
      • データ取得方法: 厚生労働省 人口動態統計。
  • KSI(成功要因指標)
    • 在宅医療(訪問診療・訪問看護)を利用している患者数を計画期間中に10%増加させる。
      • データ取得方法: レセプトデータ(訪問診療・訪問看護の算定件数)の分析。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 要介護認定者のうち、在宅サービスを利用している者の割合を80%以上に維持する。
      • データ取得方法: 厚生労働省 介護保険事業状況報告。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 多職種連携プラットフォームへの登録専門職者数 XXX人。
      • データ取得方法: システムの利用登録実績。
    • ACPに関する区民向け普及啓発イベントの年間参加者数 XXX人。
      • データ取得方法: イベント実施報告。

支援策③:ライフコースに応じた健康無関心層へのアプローチ強化

目的
  • 健康への関心が低い傾向にある若年・壮年層に対し、効果的なアプローチで行動変容を促し、将来の疾病リスクを低減させます。
  • 思春期、妊娠・出産期、更年期、老年期といったライフステージごとに特有の健康課題に対応した、きめ細やかな支援を提供し、誰一人取り残さない健康づくりを推進します。
主な取組①:働く世代向け「健康経営」の強力な推進
  • 経済産業省が推進する「健康経営優良法人」の認定取得を目指す区内の中小企業に対し、社会保険労務士等の専門家派遣や、認定取得に向けたコンサルティング費用の一部を助成します。
  • 企業と連携し、職域での特定健診受診率向上キャンペーンや、ストレスチェック後のフォローアップ体制の強化、ヘルシーな弁当を提供する事業者とのマッチング支援などを実施します。
主な取組②:女性の健康支援の包括的展開
  • 中学校・高校での健康教育において、将来の妊娠を考えた健康管理(プレコンセプションケア)の重要性を啓発します。
  • 産後ケア事業(宿泊型・通所型・訪問型)の利用枠を拡充し、産後うつのハイリスク者を早期に発見・支援する体制を強化します。また、品川区の「親子健康手帳」のように、父親の育児参加を促す取り組みを導入します。
  • 更年期に関する正しい知識をウェブサイトや講演会で提供するとともに、オンラインで専門家に気軽に相談できる窓口を設置します。
主な取組③:デジタル技術とナッジ理論を活用した行動変容促進
  • 歩数や食事記録、健診受診といった健康的な行動に応じてポイントが付与され、そのポイントを区内共通商品券やデジタル地域通貨に交換できるスマートフォンアプリを開発・導入します。
  • 健診の予約リマインドや受診勧奨の通知において、「多くの人が受診しています」「あなたの年齢では特にこの検査が重要です」といった、行動科学の知見(ナッジ)に基づいたメッセージングを行い、受診行動を後押しします。
主な取組④:高齢者向けフレイル予防の地域展開
  • 地域の集会所や公園などを活用し、運動・栄養・社会参加(交流)の3つの要素を一体的に提供するフレイル予防プログラム(通いの場)の立ち上げを支援します。
  • 地域の元気な高齢者を「フレイルサポーター」として養成し、通いの場の運営の担い手として活躍してもらうことで、介護予防と生きがいづくりを両立させます。
    • 客観的根拠:
      • 令和7年版高齢社会白書は、高齢期の就業・社会参加意欲が非常に高いことを示しており、こうした意欲を介護予防の担い手として活かすことは、持続可能な地域づくりに繋がります。
      • (出典)内閣府「令和7年版高齢社会白書」令和7年
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 区民の健康寿命を、計画策定時より男女ともに1歳以上延伸する。
      • データ取得方法: 厚生労働省「国民生活基礎調査」及び東京都福祉保健局が公表する区市町村別推計値。
  • KSI(成功要因指標)
    • 40~74歳男性におけるメタボリックシンドローム該当者及び予備群の割合を、計画期間中に5%減少させる。
      • データ取得方法: 特定健診データ。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 運動習慣のある住民の割合を10ポイント増加させる。
      • データ取得方法: 定期的に実施する区民健康意識調査。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 健康経営優良法人の認定を取得した区内企業数 XXX社。
      • データ取得方法: 事業実施記録及び経済産業省公表データ。
    • 健康ポイントアプリの登録者数 XXXX人。
      • データ取得方法: アプリ管理システムのデータ。

先進事例

東京都特別区の先進事例

品川区「親子健康手帳による父親の育児参加促進」

  • 品川区は令和4年度から、従来の「母子健康手帳」の名称を「親子健康手帳(母子健康手帳)」に変更しました。これは、子育ては母親だけが担うものではなく、父親をはじめとする家族全体で取り組むものであるという現代の価値観を反映したものです。
  • 成功要因とその効果:
    • 意識変革の促進: 名称変更という象徴的な取り組みにより、父親も育児の当事者であるという意識を自然な形で醸成します。
    • 情報提供の拡充: 東京都の「子供手帳モデル」を参考に、18歳までの成長・健康記録や、小さく生まれた子どものための発育曲線、各種相談窓口のQRコードなどを追加し、子育てに必要な情報へのアクセス性を向上させました。
    • インクルーシブな姿勢: 全ての妊産婦、親、子どもが使える手帳とすることで、多様な家族の形に寄り添い、誰一人取り残さない支援を目指す区の姿勢を明確に示しています。
    • (出典)品川区「母子健康手帳を「親子健康手帳」にリニューアル」令和4年

文京区「脳の健康度測定事業による認知症早期支援」

  • 文京区は令和3年度から、55歳から75歳までの5歳ごとの節目年齢の区民を対象に、認知症の早期発見・早期対応を目的とした「脳の健康度測定事業」を実施しています。
  • 成功要因とその効果:
    • 官民連携による専門性の活用: 製薬企業(エーザイ株式会社)が開発したデジタルツール「のうKNOW」を活用し、客観的な認知機能のセルフチェックを可能にしています。
    • 切れ目のない支援体制: 自宅でのセルフチェック後、希望者は会場で専門職による検診を受けられます。さらに、結果に応じて医師からの助言や医療機関への紹介、訪問看護師による最長6ヶ月間の伴走型支援など、発見からその後のサポートまで一貫した体制が構築されています。
    • 成果連動型の導入: 令和4年度からは成果連動型民間委託契約方式(PFS)を導入し、「自宅等での測定実施率向上」や「生活習慣改善プログラムへの参加率向上」を成果指標とすることで、より効果的な事業展開を目指しています。令和4年度には430人が会場検診に参加し、約10%が医療機関への受診勧奨に繋がりました。
    • (出典)文京区「文京区認知症検診事業(脳の健康度測定)の今後の展開について」令和5年
    • (出典)(https://www.eisai.co.jp/news/2023/news202345.html)

世田谷区「健康せたがやプランとリーディングプロジェクト」

  • 世田谷区は、「区民が生涯にわたり健やかでこころ豊かに暮らすことができる地域社会の実現」を基本理念とする包括的な健康増進計画「健康せたがやプラン(第三次)」(令和6~13年度)を策定しています。
  • 成功要因とその効果:
    • 明確な目標設定: 「自分なりの健康像の実現(自助)」「つながりの構築(共助)」「健康・安全の確保(公助)」という3つの目標を掲げ、施策を体系化しています。
    • 健康無関心層へのアプローチ: リーディングプロジェクトとして「健康せたがやプラス1」をキーワードに、健康に関心がない層でも、自然に健康的な選択ができるような仕掛けや工夫を取り入れたプロモーションを展開しています。
    • 社会情勢への柔軟な対応: 計画には「新型コロナウイルス感染症からの学び」という視点が盛り込まれており、感染症対策で得られた知見を平時の健康づくり施策に活かすなど、社会の変化に柔軟に対応する姿勢が見られます。
    • (出典)世田谷区「健康せたがяプラン(第三次)について」令和6年

全国自治体の先進事例

広島県呉市「データヘルス計画に基づく糖尿病性腎症重症化予防」

  • 呉市は、データヘルス改革の全国的なモデルケースとして知られています。国民健康保険のレセプトデータや健診データを詳細に分析し、糖尿病性腎症の重症化リスクが高い被保険者を正確に特定しています。
  • 成功要因とその効果:

埼玉県和光市「官民連携による地域包括ケアシステムの構築」

  • 和光市は、「地域包括ケアの聖地」とも称され、国が目指すモデルをいち早く具現化してきた自治体です。市の強力なリーダーシップのもと、民間事業者やNPOとの積極的な連携(官民連携)を推進しています。
  • 成功要因とその効果:
    • 制度の枠を超えたサービス提供: 介護保険制度のサービスに加え、市の一般財源を活用した独自の「市町村特別給付」を充実させています。栄養管理付きの配食サービス、要介護者のための地域送迎サービス、法定給付を上回る住宅改修支援など、在宅生活を支えるためのきめ細やかなサービスを重層的に提供しています。
    • 在宅生活の限界点の引き上げ: これらの手厚い支援により、要介護状態になっても施設入所に頼らず、住み慣れた自宅や地域で暮らし続けることを可能にしています。結果として、市の介護保険料は全国平均と比較しても低い水準に抑制されており、住民サービスの向上と財政の健全化を両立させています。
    • (出典)厚生労働省老健局「地域包括ケアシステムの構築に関する事例集」平成25年
    • (出典)ミアヘルサ株式会社「代表メッセージ」令和6年

参考資料[エビデンス検索用]

まとめ

 東京都特別区が直面する超高齢社会という構造的課題に対し、健康・保健政策は区民の幸福と行政の持続可能性を左右する最重要課題です。本報告書で提言した、データに基づく科学的アプローチ、地域全体で支える包括的ケア、そして誰一人取り残さないライフステージ別支援の3本柱を推進することが、健康格差を縮小し、全ての区民が健やかに暮らせる社会の実現に繋がります。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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