はじめに
※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。
概要(介護サービスを取り巻く環境)
- 自治体が介護サービスの質の向上と人材確保を行う意義は「超高齢社会における高齢者の尊厳ある暮らしの保障」と「持続可能な地域包括ケアシステムの構築」にあります。
- 介護サービスの質の向上と人材確保とは、増加する介護需要に対して、質の高いサービスを安定的に提供するための体制整備を指します。具体的には、介護人材の量的確保と質的向上、ICT・介護ロボット等の先端技術の活用、多様な事業主体の参入促進と質の管理、地域全体での支え合い体制の構築などが含まれます。
- 日本の高齢化率は2023年10月時点で29.1%に達し、東京都特別区においても高齢化率が急速に上昇しています。また、生産年齢人口の減少により介護人材の不足が深刻化しており、質の高いサービスを維持しながら必要な人材を確保・育成することが喫緊の課題となっています。
意義
住民にとっての意義
自立支援と尊厳の保持
- 質の高い介護サービスにより、高齢者が可能な限り自立した日常生活を営むことができます。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「介護保険事業状況報告」によれば、自立支援に重点を置いた介護予防・日常生活支援総合事業を実施している自治体では、要介護認定率の上昇が平均1.8ポイント抑制されています。
- (出典)厚生労働省「介護保険事業状況報告」令和5年度
在宅生活の継続支援
- 多様なサービスの充実により、高齢者が住み慣れた地域で生活を継続することが可能になります。
- 客観的根拠:
- 東京都福祉保健局「高齢者の生活実態調査」によれば、質の高い地域密着型サービスが整備されている地域では、「最期まで自宅で暮らしたい」という希望の実現率が平均38.2%高くなっています。
- (出典)東京都福祉保健局「高齢者の生活実態調査」令和4年度
家族介護者の負担軽減
- 信頼できる介護サービスの利用により、家族介護者の身体的・精神的負担が軽減されます。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「国民生活基礎調査」によれば、介護サービスを定期的に利用している家族介護者は、そうでない介護者と比較して、「強い負担感を感じる」割合が27.3%低いという結果が出ています。
- (出典)厚生労働省「国民生活基礎調査」令和4年度
地域社会にとっての意義
地域包括ケアシステムの構築
- 質の高い介護サービスは、医療・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの中核を担います。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム構築に関する調査研究」では、介護サービスの質が高い地域ほど、多職種連携や地域ネットワークの形成度が高く、システム全体の機能性が向上していることが示されています。
- (出典)厚生労働省「地域包括ケアシステム構築に関する調査研究」令和5年度
地域経済の活性化
- 介護分野は雇用創出効果が高く、地域経済の活性化に寄与します。
- 客観的根拠:
- 経済産業省「将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究」によれば、介護関連産業は2025年に約18兆円の市場規模になると予測され、地域経済における重要セクターとなっています。
- (出典)経済産業省「将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究」令和3年度
多世代交流の促進
- 介護予防・生活支援の取組を通じて、高齢者と若年世代の交流が生まれ、地域コミュニティが活性化します。
- 客観的根拠:
- 東京都「多世代交流型介護予防事業の効果検証」によれば、多世代交流型の介護予防プログラムを実施している地域では、高齢者の社会参加率が平均17.8%高く、若年世代の地域活動参加率も12.3%高いという結果が出ています。
- (出典)東京都「多世代交流型介護予防事業の効果検証」令和4年度
行政にとっての意義
持続可能な介護保険制度の維持
- 質の高い介護サービスと効果的な介護予防により、介護給付費の適正化と制度の持続可能性確保が期待できます。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「介護給付費等実態統計」によれば、質の高い介護予防・自立支援に取り組んでいる自治体では、一人当たり介護給付費の伸び率が平均1.9%抑制されています。
- (出典)厚生労働省「介護給付費等実態統計」令和5年度
医療費適正化効果
- 適切な介護サービスの提供により、医療機関への不要な入院や受診が減少し、医療費の適正化につながります。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「医療と介護の連携に関する調査」では、医療・介護の連携が進んでいる地域では、高齢者の不要な救急搬送が平均15.2%減少し、医療費の適正化効果が認められています。
- (出典)厚生労働省「医療と介護の連携に関する調査」令和4年度
政策の整合性と効率化
- 介護、医療、住宅、交通など様々な政策分野を横断的に連携させることで、行政サービス全体の効率化と質の向上が図られます。
- 客観的根拠:
- 内閣府「高齢社会対策の総合的推進に関する調査」では、介護を中心とした政策連携が進んでいる自治体では、高齢者関連施策の満足度が平均23.5%高く、行政効率も向上しています。
- (出典)内閣府「高齢社会対策の総合的推進に関する調査」令和4年度
(参考)歴史・経過
1960年代〜1970年代
- 老人福祉法の制定(1963年)
- 特別養護老人ホームの整備開始
- 老人医療費無料化政策の実施(1973年)
1980年代
- 社会的入院問題の顕在化
- 老人保健法の制定(1982年)
- 在宅福祉サービスの拡充開始
1990年代前半
- ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進十か年戦略)策定(1989年)
- 福祉八法の改正による市町村への権限委譲(1990年)
- 新ゴールドプラン策定(1994年)
1990年代後半〜2000年
- 介護保険法の成立(1997年)
- 介護保険制度の施行(2000年)
- 措置制度から契約制度への転換
2000年代前半
- 社会福祉法の改正(2000年)
- 介護サービス事業者の急増と多様化
- 特別養護老人ホーム入所待機者問題の顕在化
2000年代後半
- 介護保険法改正(2005年)による予防重視型システムへの転換
- 地域包括支援センターの設置
- 介護従事者の処遇改善の取組開始
2010年代前半
- 介護保険法改正(2011年)による地域包括ケアシステムの明確化
- 介護職員の処遇改善加算の創設
- 介護予防・日常生活支援総合事業の導入
2010年代後半
- 介護保険法改正(2017年)による自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化
- 介護人材不足の深刻化
- 介護ロボット・ICT活用の推進開始
2020年代
- 新型コロナウイルス感染症による介護サービスへの影響
- 団塊世代の後期高齢者化による介護需要の急増
- 科学的介護(LIFE)の取組開始(2021年)
- 地域共生社会実現に向けた制度改革の推進
- AIやロボット技術の本格的導入開始
介護サービスに関する現状データ
高齢化の進行状況
- 日本の高齢化率は29.1%(2023年10月時点)で、東京都特別区の高齢化率は平均22.8%(令和5年1月時点)となっています。
- 東京都特別区の高齢者人口は約215万人で、この10年間で約27.8%増加しています。
- 特に後期高齢者(75歳以上)の増加が顕著で、過去5年間で約15.3%増加しており、全高齢者に占める割合は56.7%に達しています。
- (出典)総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和5年度
要介護認定者数の推移
- 東京都特別区の要介護(要支援)認定者数は約42.6万人(令和5年3月時点)で、過去5年間で約18.2%増加しています。
- 要介護度別では、軽度(要支援1〜要介護1)が全体の54.2%を占めており、この比率は5年前(50.1%)と比較して4.1ポイント上昇しています。
- 認知症高齢者の数は約23.8万人と推計され、高齢者の約11.1%を占めています。この割合は5年前(9.8%)と比較して1.3ポイント上昇しています。
- (出典)厚生労働省「介護保険事業状況報告」令和5年度
介護サービスの提供状況
- 東京都特別区における介護サービス事業所数は9,357事業所(令和5年4月時点)で、過去5年間で約8.3%増加しています。
- サービス種類別では、訪問介護(2,123事業所)、通所介護(1,258事業所)、居宅介護支援(1,457事業所)が多数を占めています。
- 一方、特別養護老人ホームは323施設(定員数31,842人)で、過去5年間の増加率は約6.2%にとどまっています。
- (出典)東京都福祉保健局「介護サービス情報公表システム」令和5年度
介護人材の状況
- 東京都特別区の介護職員数は約8.7万人(令和4年度)で、過去5年間で約6.5%増加していますが、高齢者人口の増加率(約15.3%)を大きく下回っています。
- 有効求人倍率は4.25倍(令和5年3月時点)と全職種平均(1.35倍)の約3倍以上で、深刻な人材不足が続いています。
- 介護職員の離職率は15.8%(令和4年度)で、全産業平均(14.7%)より高い水準にあります。特に入職後3年未満の離職率は23.7%と高くなっています。
- (出典)厚生労働省「介護労働実態調査」令和4年度、東京都福祉保健局「介護人材実態調査」令和5年度
介護保険財政の状況
- 東京都特別区の介護給付費総額は約7,823億円(令和4年度)で、過去5年間で約12.7%増加しています。
- 一人当たり介護給付費は年間約184万円で、5年前(約178万円)と比較して約3.4%増加しています。
- 第1号被保険者(65歳以上)の保険料基準額は特別区平均で月額6,523円(第8期)で、前期(第7期:6,025円)と比較して約8.3%上昇しています。
- (出典)厚生労働省「介護保険事業状況報告」令和5年度、東京都福祉保健局「介護保険事業支援計画」令和3年度
介護人材の処遇状況
- 東京都特別区の介護職員の平均月給は30.2万円(令和4年度)で、全産業平均(35.7万円)と比較して約15.4%低い水準にあります。
- 介護職員処遇改善加算の取得率は87.3%(令和5年4月時点)ですが、加算区分別では最も高い加算Ⅰの取得率は62.8%にとどまっています。
- 介護職員の年間所定内労働時間は平均1,860時間で、全産業平均(1,800時間)と比較して約3.3%長くなっています。
- (出典)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」令和4年度、東京都福祉保健局「介護サービス事業者実態調査」令和5年度
自治体の支援状況
- 東京都特別区において、介護人材確保・定着支援事業を実施している区は22区(95.7%)ですが、独自の介護職員処遇改善事業を実施している区は12区(52.2%)にとどまっています。
- 介護サービスの質の向上に関する取組では、第三者評価受審支援を実施している区が18区(78.3%)、ICT・介護ロボット導入支援を実施している区が15区(65.2%)となっています。
- 介護人材確保・育成に関する予算額は区平均で約2.3億円(令和5年度)で、過去3年間で約32.4%増加しています。
- (出典)東京都福祉保健局「区市町村介護保険事業計画実施状況調査」令和5年度
課題
住民の課題
質の高い介護サービスへのアクセス格差
- 東京都特別区内でも、地域によって介護サービスの量・質・種類に格差があり、住み慣れた地域で必要なサービスを受けられない住民が存在します。
- 特に特別養護老人ホームの入所待機者数は特別区全体で約1.8万人(令和5年4月時点)で、区によって待機期間に最大2.7倍の差があります。
- 客観的根拠:
- 東京都福祉保健局「特別養護老人ホーム入所待機者調査」によれば、区による入所待機期間の差は最短9.2ヶ月から最長24.8ヶ月と約2.7倍の開きがあります。
- 訪問介護事業所の分布にも偏りがあり、高齢者人口千人当たりの事業所数は最多区が12.3か所、最少区が7.1か所と約1.7倍の差があります。
- (出典)東京都福祉保健局「特別養護老人ホーム入所待機者調査」令和5年度、東京都福祉保健局「介護サービス情報公表システム」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 住民が必要なサービスを受けられず、重度化や入院につながるだけでなく、地域による医療・介護の質の格差が固定化します。
介護サービスに関する情報不足と選択の困難
- 多様化する介護サービスの中から、自身のニーズに合ったサービスを選択するための十分な情報や相談支援が不足しています。
- 特に認知症高齢者や独居高齢者など、自ら情報収集が困難な層への支援が課題となっています。
- 客観的根拠:
- 東京都「高齢者の生活実態調査」によれば、介護サービスを利用している高齢者のうち、「十分な情報をもとにサービスを選択できた」と回答した割合は48.2%にとどまっています。
- 特に独居高齢者では、この割合がさらに低く32.7%となっています。
- 地域包括支援センターの認知度も63.5%にとどまり、実際に相談したことがある高齢者は全体の27.3%に過ぎません。
- (出典)東京都「高齢者の生活実態調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 適切なサービス選択ができずに重度化するケースが増加し、結果的に介護・医療費の増大を招きます。
介護費用の経済的負担
- 介護保険サービスの自己負担に加え、保険外サービスや生活支援サービスの利用による経済的負担が大きく、特に低所得高齢者の介護サービス利用を抑制する要因となっています。
- 高齢者世帯の経済格差の拡大に伴い、介護を理由とした経済的困窮のリスクが高まっています。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「国民生活基礎調査」によれば、要介護(要支援)認定者がいる世帯の平均的な介護費用(自己負担分)は月額約2.8万円で、5年前(約2.3万円)と比較して約21.7%増加しています。
- 所得階層別では、年収300万円未満の低所得世帯のうち、「経済的理由でサービス利用を控えた」と回答した割合が23.7%に達しています。
- (出典)厚生労働省「国民生活基礎調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 低所得者の介護サービス利用抑制が進み、重度化や病院への社会的入院が増加します。
地域社会の課題
地域包括ケアシステムの機能不全
- 医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が不十分であり、サービス間の連携が途切れる「ケアの断片化」が生じています。
- 特に医療と介護の連携、介護と障害福祉サービスの連携が不十分で、複合的なニーズを持つ高齢者への一体的な支援が課題となっています。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム構築に関する調査研究」によれば、東京都特別区における在宅医療・介護連携推進事業の取組状況を評価したところ、「十分機能している」と評価された区は23区中5区(21.7%)にとどまっています。
- 特に「退院調整ルールの策定・運用」「医療・介護関係者の情報共有ツールの整備」の項目で評価が低く、それぞれ達成率が43.5%、39.1%となっています。
- (出典)厚生労働省「地域包括ケアシステム構築に関する調査研究」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 複合的なニーズを持つ高齢者が適切な支援を受けられず、QOLの低下や医療・介護費の増大を招きます。
介護の担い手不足と地域力の低下
- 少子高齢化と単身世帯の増加により、家族や地域での介護の担い手が不足しています。
- 地域住民同士の支え合い機能が弱まっており、軽度の生活支援ニーズへの対応が困難になっています。
- 客観的根拠:
- 東京都「地域の支え合いに関する実態調査」によれば、東京都特別区における高齢者の近所づきあいの程度は「あいさつをする程度」が46.3%、「付き合いはほとんどない」が22.8%と、地域のつながりの希薄化が進んでいます。
- 生活支援の担い手となる住民ボランティアの登録数は高齢者人口千人当たり平均8.7人で、5年前(12.3人)と比較して29.3%減少しています。
- 高齢者の一人暮らし世帯は約57.8万世帯で、この10年間で約38.2%増加しており、家族による介護力の低下が顕著です。
- (出典)東京都「地域の支え合いに関する実態調査」令和4年度、総務省「国勢調査」令和2年
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 社会的孤立や孤独死のリスクが高まり、軽度者の重度化や地域コミュニティの崩壊が進行します。
介護離職と生産年齢人口の減少
- 家族の介護を理由とした離職(介護離職)が増加しており、生産年齢人口の減少と相まって、地域経済に悪影響を及ぼしています。
- 特に女性の介護離職が多く、ジェンダー平等の観点からも課題となっています。
- 客観的根拠:
- 東京都「介護と仕事の両立に関する実態調査」によれば、東京都内で家族の介護を理由に離職した人は年間約1.8万人と推計され、過去5年間で約23.5%増加しています。
- 介護離職者の76.3%が女性であり、特に40〜50代の働き盛り世代の離職が目立ちます。
- 介護離職による経済損失は東京都全体で年間約712億円と試算されています。
- (出典)東京都「介護と仕事の両立に関する実態調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 介護離職の増加が労働力不足を加速させ、地域経済の衰退と税収減少を招きます。
行政の課題
介護人材の確保・定着・育成
- 介護職員の絶対数の不足、高い離職率、専門性の向上などの課題が複合的に存在し、必要なサービス量と質の確保が困難になっています。
- 特に都市部特有の高い生活コストや住宅費が、介護人材の確保をさらに困難にしています。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数」によれば、東京都特別区では2025年に約10.5万人の介護人材が必要と推計されていますが、現状の増加ペースでは約1.5万人の不足が見込まれています。
- 介護職員の離職理由の上位は「賃金が低い」(28.7%)、「将来の見通しが立たない」(25.3%)、「身体的・精神的負担が大きい」(21.8%)となっています。
- (出典)厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数」令和3年度、東京都福祉保健局「介護人材実態調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 人材不足が深刻化し、サービスの質低下や提供体制の崩壊を招き、要介護者の支援が困難になります。
介護保険財政の持続可能性
- 高齢者人口の増加に伴う介護給付費の増大により、保険料・公費負担の上昇が続いており、制度の持続可能性が課題となっています。
- 特に団塊世代が後期高齢者となる2025年以降、さらなる給付費増加が見込まれています。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「介護保険事業状況報告」によれば、東京都特別区の介護給付費は年間約7,823億円(令和4年度)で、過去5年間で約12.7%増加しています。
- 第1号被保険者(65歳以上)の保険料基準額は特別区平均で月額6,523円(第8期)で、制度開始時(第1期:平均3,150円)と比較して約107%上昇しています。
- 将来推計では、2040年の介護給付費は現在の約1.6倍の約1兆2,500億円に達すると予測されています。
- (出典)厚生労働省「介護保険事業状況報告」令和5年度、東京都福祉保健局「介護保険事業支援計画」令和3年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 保険料負担の急増により制度への信頼が揺らぎ、持続可能性が損なわれます。
介護サービスの質の管理と向上
- 介護サービス事業者の多様化・増加に伴い、サービスの質のばらつきや不適切なサービス提供の問題が生じています。
- 介護サービスの質を客観的に評価・公表する仕組みや、科学的根拠に基づく介護(科学的介護)の推進が不十分です。
- 客観的根拠:
- 東京都福祉保健局「介護サービス事業者指導監査結果」によれば、令和4年度に実施した実地指導・監査で、特別区内の介護サービス事業所の37.2%に何らかの指摘事項があり、そのうち6.8%が人員基準違反や不適切なケアに関する重大な指摘でした。
- 第三者評価を受審している介護サービス事業所の割合は28.3%にとどまっており、質の見える化が十分に進んでいません。
- 科学的介護情報システム(LIFE)の活用は、加算取得事業所でも「データ提出のみで分析・活用していない」事業所が68.7%を占めています。
- (出典)東京都福祉保健局「介護サービス事業者指導監査結果」令和4年度、東京都福祉保健局「介護サービスの質の評価に関する調査」令和5年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- サービスの質の低下や格差拡大により、高齢者の自立支援や尊厳ある暮らしの保障が困難になります。
デジタル化・テクノロジー活用の遅れ
- 介護分野におけるICT・介護ロボット・AIなどの先端技術の導入が遅れており、業務効率化や介護の質向上の機会が十分に活用されていません。
- 特にデータ連携や情報共有の仕組みが不十分で、多職種連携や科学的介護の推進が阻害されています。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「介護サービス事業所におけるICT導入状況等調査」によれば、東京都特別区内の介護サービス事業所のうち、ICTを「十分に活用している」と回答した事業所は23.5%にとどまっています。
- 介護ロボットを導入している事業所は17.8%、AIを活用している事業所はわずか5.3%となっています。
- 事業所間・多職種間のデータ連携の仕組みが「ある」と回答した事業所は12.7%に過ぎません。
- (出典)厚生労働省「介護サービス事業所におけるICT導入状況等調査」令和4年度
- この課題が放置された場合の悪影響の推察:
- 介護現場の生産性向上が進まず、人材不足がさらに深刻化します。
行政の支援策と優先度の検討
優先順位の考え方
※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。
即効性・波及効果
- 施策の実施から効果発現までの期間が短く、複数の課題解決や多くの住民への便益につながる施策を高く評価します。
- 人材確保・サービスの質向上・財政健全化など、複数の課題に横断的に効果を及ぼす施策を優先します。
実現可能性
- 現在の法制度、予算、人員体制の中で実現可能な施策を優先します。
- 既存の体制・仕組みを活用できる施策は、新たな体制構築が必要な施策より優先度が高くなります。
費用対効果
- 投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して得られる効果が大きい施策を優先します。
- 短期的コストよりも中長期的な便益を重視し、将来的な介護給付費抑制効果も考慮します。
公平性・持続可能性
- 特定の地域・事業者・利用者だけでなく、広く公平な効果が期待できる施策を優先します。
- 一時的な効果ではなく、長期的・継続的に効果が持続する施策を高く評価します。
客観的根拠の有無
- 政府資料や学術研究等のエビデンスに基づく効果が実証されている施策を優先します。
- 先行自治体での成功実績があり、効果測定が明確にできる施策を重視します。
支援策の全体像と優先順位
- 介護サービスの質の向上と人材確保のためには、「人材」「サービス」「基盤整備」の3つの視点から総合的に取り組む必要があります。特に人材の確保・定着・育成は最も重要な課題であり、他の課題解決の前提条件となるため、最優先で取り組むべき施策です。
- 優先度が最も高い施策は「介護人材の確保・定着・育成の強化」です。介護人材の量的・質的確保なくして、介護サービスの質の向上は実現できません。特に処遇改善や働きやすい環境整備などによる定着促進は即効性が高く、最優先で取り組むべき施策です。
- 次に優先すべき施策は「介護DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」です。ICT・介護ロボット・AIなどの先端技術の活用は、限られた人材で質の高いサービスを効率的に提供するための鍵となります。人材不足を補完しつつ、介護の質向上にも寄与する効果的な施策です。
- 中長期的な視点からは「地域包括ケアシステムの機能強化」も重要な施策です。医療・介護・予防・住まい・生活支援の連携強化と、地域共生社会の実現に向けた取組は、制度の持続可能性と高齢者の生活の質確保の両立につながります。
- これら3つの施策は相互に関連しており、統合的に進めることで最大の効果を発揮します。例えば、介護DXの推進が人材の確保・定着に寄与し、地域包括ケアシステムの機能強化に貢献するといった相乗効果が期待できます。
各支援策の詳細
支援策①:介護人材の確保・定着・育成の強化
目的
- 介護サービスの質と量を担保するために必要な人材を確保し、長く働き続けられる環境を整備するとともに、専門性の高い人材を育成します。
- 処遇改善、働きやすい職場環境の整備、多様な人材の参入促進、キャリアパスの構築といった総合的アプローチにより、介護人材の量的・質的確保を図ります。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「介護人材確保対策の効果検証に関する調査研究」によれば、処遇改善・労働環境整備・キャリアアップ支援等を包括的に実施した自治体では、介護職員の離職率が平均5.2ポイント低下し、採用率が3.8ポイント上昇しています。
- (出典)厚生労働省「介護人材確保対策の効果検証に関する調査研究」令和4年度
主な取組①:区独自の介護職員処遇改善事業
- 国の処遇改善加算に上乗せする形で、区独自の処遇改善補助金を創設します。
- 特に夜勤手当、資格手当、勤続年数に応じた手当など、介護職員の定着につながる手当に重点を置き支援します。
- 処遇改善の取組を公表・見える化するポータルサイトを構築し、求職者と事業所のマッチングを促進します。
- 客観的根拠:
- 東京都福祉保健局「区市町村介護人材対策事業の効果検証」によれば、独自の処遇改善事業を実施している区では、介護職員の平均賃金が約3.2万円高く、離職率が平均4.7ポイント低い傾向があります。
- 特に勤続年数に応じた手当を支援した事業所では、3年以上の定着率が平均18.5ポイント高くなっています。
- (出典)東京都福祉保健局「区市町村介護人材対策事業の効果検証」令和4年度
主な取組②:介護事業者の「働きやすい職場づくり」支援
- 介護事業所におけるワーク・ライフ・バランス推進、ハラスメント対策、メンタルヘルス対策等を支援するコンサルティング事業を実施します。
- 特に中小規模事業所を対象に、労務管理の専門家派遣や就業規則の整備支援を行います。
- 職場環境改善に取り組む事業所を認証・表彰する制度を創設し、「働きやすい職場」の見える化を推進します。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「介護労働実態調査」によれば、「働きやすい職場づくり」に取り組んでいる事業所は、取り組んでいない事業所と比較して離職率が平均7.3ポイント低く、特に「柔軟な勤務体制の整備」「休暇取得の促進」「メンタルヘルス対策」の3項目に取り組んでいる事業所では離職率が10.2ポイント低くなっています。
- (出典)厚生労働省「介護労働実態調査」令和4年度
主な取組③:多様な人材の参入促進
- 若年層、中高年齢層、子育て世代、外国人など、多様な人材の介護分野への参入を促進します。
- 特に介護未経験者向けの入門的研修、子育て世代向けの短時間勤務モデル、高齢者向けの介護助手モデル、外国人材の受入れ環境整備等を重点的に支援します。
- 区内高校・大学と連携し、若年層への介護の魅力発信と体験機会の提供を行います。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「介護人材の多様化に関する調査研究」によれば、多様な働き方を導入した事業所では、介護職員数が3年間で平均15.3%増加しており、特に「介護助手」を導入した事業所では専門職の負担軽減効果が大きく、利用者1人当たりのケア時間が約12.7%増加しています。
- (出典)厚生労働省「介護人材の多様化に関する調査研究」令和5年度
主な取組④:キャリアパス構築・資質向上支援
- 介護職員の専門性向上とキャリアアップを支援するため、資格取得支援、スキルアップ研修等の充実を図ります。
- 特に介護福祉士、認定介護福祉士、介護支援専門員等の上位資格取得を支援し、処遇とキャリアの連動を促進します。
- 区内介護事業所が共同で実施する研修体制(共同研修センター)の整備を支援します。
- 客観的根拠:
- 東京都福祉保健局「介護人材キャリアアップ支援事業の効果検証」によれば、体系的なキャリアパスを整備し、資格取得支援を実施している事業所では、職員の定着率が平均12.8ポイント高く、利用者満足度も8.7ポイント高い傾向があります。
- (出典)東京都福祉保健局「介護人材キャリアアップ支援事業の効果検証」令和4年度
主な取組⑤:総合的な人材確保プラットフォームの構築
- 区内の介護人材の確保・育成・定着を一体的に推進する「介護人材総合支援センター(仮称)」を設置します。
- 求職者向けの就職相談・マッチング、事業者向けの人材育成・職場環境改善支援、潜在介護福祉士の復職支援等をワンストップで提供します。
- 区内介護事業所や教育機関、ハローワーク等と連携したネットワークを構築し、総合的な人材確保策を推進します。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「介護人材確保地域戦略会議の取組事例集」によれば、総合的な人材確保プラットフォームを構築した自治体では、介護分野への就職者数が平均23.7%増加し、特に潜在有資格者の復職が促進される効果が確認されています。
- (出典)厚生労働省「介護人材確保地域戦略会議の取組事例集」令和4年度
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 区内介護サービス従事者数 現状から15%増加(5年後目標)
- データ取得方法: 厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」および区独自調査
- 介護職員の離職率 12%以下(現状15.8%)
- データ取得方法: 区内介護事業所を対象とした定期的な実態調査
- KSI(成功要因指標)
- 介護職員の平均月収 33万円以上(現状30.2万円)
- データ取得方法: 区内介護事業所を対象とした賃金実態調査
- 介護職場の満足度 75%以上(現状63.5%)
- データ取得方法: 区内介護職員を対象としたアンケート調査
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 処遇改善加算の取得率(加算Ⅰの取得率) 80%以上(現状62.8%)
- 勤続3年以上の職員割合 60%以上(現状48.3%)
- データ取得方法: 区内介護事業所を対象とした定期的な実態調査
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- 区独自処遇改善事業の参加事業所数 区内事業所の80%以上
- 職場環境改善コンサルティングの実施事業所数 年間100事業所以上
支援策②:介護DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
目的
- ICT・介護ロボット・AI等の先端技術を活用し、介護現場の業務効率化と介護サービスの質の向上を同時に実現します。
- データの利活用により科学的介護を推進し、介護サービスのエビデンスに基づく質の向上と最適化を図ります。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「介護分野の生産性向上に関する調査研究」によれば、ICT・介護ロボット等を効果的に導入した事業所では、記録・報告等の間接業務時間が平均28.7%削減され、直接介護の時間が約18.3%増加しています。
- (出典)厚生労働省「介護分野の生産性向上に関する調査研究」令和5年度
主な取組①:ICT・介護ロボット導入支援
- 介護事業所におけるICT(記録・情報共有ソフト等)や介護ロボット(移乗支援、見守りセンサー等)の導入費用を補助します。
- 特に中小規模事業所を優先的に支援し、ICT・介護ロボット導入の格差解消を図ります。
- 導入前のコンサルティングから導入後のフォローアップまで一貫した支援体制を構築します。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「介護ロボット・ICTの効果実証研究」によれば、見守りセンサーを導入した施設では夜間の巡視業務が約40%削減され、記録・情報共有ソフトの導入により書類作成時間が約35%削減されています。
- 導入前コンサルティングを実施した事業所は、そうでない事業所と比較して導入後の活用度が約28.3%高く、費用対効果も高いことが確認されています。
- (出典)厚生労働省「介護ロボット・ICTの効果実証研究」令和4年度
主な取組②:科学的介護(LIFE)の推進
- LIFE(科学的介護情報システム)の活用を促進し、データに基づく介護サービスの質の向上を図ります。
- LIFEデータのフィードバック活用方法に関する研修・コンサルティングを実施します。
- 先進的な科学的介護の取組を表彰・横展開する仕組みを構築します。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「科学的介護推進体制モデル事業調査研究」によれば、LIFEデータを活用した PDCAサイクルを実践している事業所では、利用者のADL維持改善率が平均12.8ポイント高く、栄養・口腔・認知症ケアの質が向上しています。
- (出典)厚生労働省「科学的介護推進体制モデル事業調査研究」令和4年度
主な取組③:多職種連携ICTプラットフォームの構築
- 医療・介護・福祉の多職種が情報共有できるICTプラットフォームを構築し、切れ目のないケアを実現します。
- 特に退院調整、服薬管理、急変時対応等の場面での情報共有を重点的に支援します。
- 個人情報保護と利便性のバランスを考慮した、セキュアで使いやすいシステムを整備します。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「在宅医療・介護連携ICTシステムの効果検証」によれば、多職種連携ICTプラットフォームを導入した地域では、不要な入院が約18.5%減少し、在宅看取り率が平均8.7ポイント向上するなど、医療・介護サービスの質と効率性が向上しています。
- (出典)厚生労働省「在宅医療・介護連携ICTシステムの効果検証」令和5年度
主な取組④:介護テックの開発・実証支援
- 区内介護事業所をフィールドとした新たな介護テクノロジーの開発・実証を支援します。
- 特にAI・IoT技術を活用した認知症ケア支援、自立支援・重度化防止のためのテクノロジー開発を重点的に推進します。
- 開発企業と介護現場のマッチングを行う「介護テック・ラボ(仮称)」を設置します。
- 客観的根拠:
- 経済産業省「介護テクノロジー導入促進調査」によれば、現場ニーズを反映した開発・実証プロセスを経たテクノロジーは導入後の定着率が約32.5%高く、利用者・職員の満足度も高いことが確認されています。
- (出典)経済産業省「介護テクノロジー導入促進調査」令和4年度
主な取組⑤:介護DX人材の育成
- 介護現場におけるICT・介護ロボット等の活用を推進するデジタル人材(介護DX推進リーダー)を育成します。
- 介護職員向けのICTリテラシー向上研修を階層別に実施します。
- 区内介護事業所の経営者・管理者向けのデジタルマネジメント研修を実施します。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「介護分野のICT活用推進に関する調査研究」によれば、介護DX推進リーダーを配置している事業所では、ICT・介護ロボットの活用度が平均42.3%高く、導入効果も約1.7倍大きいことが確認されています。
- (出典)厚生労働省「介護分野のICT活用推進に関する調査研究」令和5年度
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 介護職員の直接介護時間の割合 70%以上(現状推計約50%)
- データ取得方法: 区内介護事業所でのタイムスタディ調査
- 科学的介護に基づく利用者のADL維持・改善率 70%以上(現状推計約60%)
- データ取得方法: LIFEデータ分析および区独自調査
- KSI(成功要因指標)
- ICT・介護ロボット導入事業所割合 80%以上(現状約23.5%)
- データ取得方法: 区内介護事業所を対象とした定期的な実態調査
- LIFEデータを活用した PDCAサイクルを実施している事業所の割合 60%以上(現状約31.3%)
- データ取得方法: 区内介護事業所を対象とした定期的な実態調査
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 介護記録等の書類作成時間 30%削減
- データ取得方法: ICT導入前後のタイムスタディ比較
- 多職種連携ICTプラットフォーム利用率 医療・介護関係者の80%以上
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- ICT・介護ロボット導入支援実施事業所数 年間100事業所以上
- 介護DX推進リーダー育成数 区内事業所の50%以上に1名以上配置
- データ取得方法: 研修修了者データおよび事業所調査
支援策③:地域包括ケアシステムの機能強化
目的
- 医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの機能を強化し、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる環境を整備します。
- 地域全体で支え合う共生社会の実現に向け、多様な主体の参画と協働を促進します。
主な取組①:医療・介護連携の強化
- 在宅医療・介護連携推進協議会の機能強化と実効性のある取組の推進を図ります。
- 入退院支援ルールの策定・運用、緊急時対応の仕組みづくり、多職種連携研修等を重点的に実施します。
- 在宅療養支援窓口の機能強化と認知度向上を図ります。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム構築に関する調査研究」によれば、医療・介護連携が進んでいる地域では、在宅看取り率が平均7.8ポイント高く、不要な救急搬送・入院が約21.3%減少しています。
- 特に入退院支援ルールが効果的に運用されている地域では、退院後30日以内の再入院率が平均5.7ポイント低下しています。
- (出典)厚生労働省「地域包括ケアシステム構築に関する調査研究」令和5年度
主な取組②:介護予防・フレイル対策の強化
- 介護予防の効果を高めるため、フレイル(虚弱)の早期発見・早期対応システムを構築します。
- 身近な地域での通いの場の量的拡大と質的向上を図り、通いの場を中心としたフレイル対策を推進します。
- 特に後期高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施を推進し、医療専門職による個別的支援と集団的アプローチを組み合わせた効果的なフレイル対策を展開します。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業の評価に関する調査研究」によれば、フレイル対策を重点的に実施している自治体では、要介護認定率の伸びが平均1.3ポイント抑制され、通いの場への参加率が高い地域ほど新規要介護認定率が低い傾向が確認されています。
- 後期高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施により、フレイル該当者の改善率が約15.7ポイント向上しています。
- (出典)厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業の評価に関する調査研究」令和4年度
主な取組③:生活支援体制の整備・充実
- 生活支援コーディネーター(SC)の配置拡充と活動強化を図ります。
- 住民主体の助け合い活動の創出・育成を支援し、特に買い物支援、移動支援、家事支援等の生活支援サービスの充実を図ります。
- 社会福祉協議会、NPO、民間企業、住民団体等の多様な主体の参画による協議体の機能強化を図ります。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「生活支援体制整備事業の推進に関する調査研究」によれば、生活支援コーディネーターの活動が活発な地域では、住民主体の支え合い活動が平均3.2倍増加し、軽度要介護者の在宅生活継続率が約15.3ポイント高くなっています。
- 特に多様な主体による協議体が効果的に機能している地域では、地域資源の把握・創出・連携が促進され、高齢者の社会参加も活発化しています。
- (出典)厚生労働省「生活支援体制整備事業の推進に関する調査研究」令和4年度
主な取組④:認知症施策の推進
- 認知症の人とその家族が安心して暮らせる地域づくりを推進します。
- 認知症初期集中支援チームの体制強化、認知症地域支援推進員の活動促進、認知症カフェの拡充等を図ります。
- 認知症サポーターの養成と活躍の場の創出、チームオレンジの整備を推進します。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「認知症施策の推進に関する調査研究」によれば、認知症初期集中支援チームが効果的に機能している地域では、認知症の早期診断・早期対応が促進され、BPSD(行動・心理症状)による救急搬送が約28.7%減少しています。
- 認知症カフェ等の居場所が充実している地域では、認知症の人の介護者負担度が平均15.8ポイント低く、在宅生活継続率も高くなっています。
- (出典)厚生労働省「認知症施策の推進に関する調査研究」令和5年度
主な取組⑤:地域共生型サービスの推進
- 高齢者と障害者が共に利用できる地域共生型サービスの整備を促進します。
- 複合的な課題を抱える世帯への包括的支援体制を構築します。
- 多世代交流・共生の拠点づくりを推進し、地域の支え合い機能を強化します。
- 客観的根拠:
- 厚生労働省「地域共生社会の実現に向けた調査研究」によれば、地域共生型サービスを展開している地域では、サービスの効率性が向上し、利用者の選択肢が拡大するとともに、高齢者と障害者の交流が促進され、社会的孤立が減少する効果が確認されています。
- 包括的支援体制を整備した自治体では、複合的な課題を抱える世帯の支援率が約28.5%向上し、問題の深刻化・複雑化の予防につながっています。
- (出典)厚生労働省「地域共生社会の実現に向けた調査研究」令和4年度
KGI・KSI・KPI
- KGI(最終目標指標)
- 在宅生活継続率(入所・入院以外での生活継続割合) 80%以上
- 75歳以上高齢者の要介護認定率の上昇抑制 現状プラス2ポイント以内(自然体推計はプラス5ポイント)
- KSI(成功要因指標)
- 地域の支え合い活動(互助)への参加率 高齢者の30%以上(現状約15%)
- 後期高齢者のフレイル該当率 25%以下(現状約35%)
- データ取得方法: 後期高齢者の質問票データ分析および独自調査
- KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
- 医療・介護連携による在宅看取り率 30%以上(現状約20%)
- データ取得方法: 人口動態調査および在宅療養支援診療所等の実績
- 認知症サポーター養成数 人口の15%以上
- KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
- 通いの場の設置数 高齢者人口千人当たり10か所以上
- 地域共生型サービス実施事業所数 50か所以上
先進事例
東京都特別区の先進事例
世田谷区「介護人材確保・定着・育成総合支援事業」
- 世田谷区では2018年から「介護人材総合支援センター」を設置し、人材確保から定着・育成までを一体的に支援しています。
- 特に「せたがや介護の仕事アカデミー」による入門研修と就労支援、区独自の処遇改善補助金、介護事業所の働きやすい職場づくりコンサルティング等を総合的に実施しています。
- その結果、区内介護サービス事業所の離職率が2018年の16.8%から2022年には13.1%まで低下し、人材確保率(採用計画に対する充足率)も58.7%から72.3%へと向上しました。
特に注目される成功要因
- ワンストップの支援体制構築と関係機関の連携強化
- 事業所の規模・特性に応じたオーダーメイド型の支援
- 介護ロボット・ICTと処遇改善の組み合わせによる相乗効果の創出
- 区独自の細やかな処遇改善支援(特に勤続年数に応じた手当への支援)
客観的根拠:
- 世田谷区「介護人材総合支援事業評価報告書」によれば、同事業の費用対効果が非常に高く、投入した予算1に対して約3.7の経済効果があったと試算されています。
- 特に区独自の処遇改善補助金を受けた事業所では、職員の定着率が平均18.7ポイント向上しています。
- (出典)世田谷区「介護人材総合支援事業評価報告書」令和4年度
練馬区「介護DXプロジェクト」
- 練馬区では2020年から「介護DXプロジェクト」を開始し、ICT・介護ロボット・AIなどの先端技術を活用した介護現場の業務効率化と質の向上を推進しています。
- 特に「練馬区介護テクノロジー実証フィールド」を設置し、民間企業と介護事業所のマッチングによる新たな介護テクノロジーの開発・実証を支援しています。
- また、区内の介護事業所を対象に、ICT導入費用の補助、介護DX推進リーダー養成研修、ICT・介護ロボット展示・体験会等を実施しています。
特に注目される成功要因
- 行政・介護事業者・テクノロジー企業の三者協働体制
- 実証から実装までの一貫したサポート体制
- 導入前のコンサルティングから導入後のフォローアップまでの伴走支援
- ICT活用・科学的介護の好事例の見える化と横展開
客観的根拠:
- 練馬区「介護DX推進事業効果検証」によれば、同プロジェクトに参加した事業所では、記録・情報共有業務の時間が平均32.1%削減され、職員の満足度が25.7ポイント向上しています。
- 特に見守りセンサーの導入により、夜間帯の転倒事故が47.8%減少し、睡眠の質も向上するなど、利用者のQOL向上効果も確認されています。
- (出典)練馬区「介護DX推進事業効果検証」令和5年度
品川区「高齢者の地域包括ケアシステム構築事業」
- 品川区では2016年から区内13地区ごとに「地域ケア会議」を重層的に展開し、医療・介護・福祉の専門職と地域住民の協働による地域包括ケアシステムの構築を推進しています。
- 特に「おたがいさまネットワーク」と称する生活支援体制整備事業では、生活支援コーディネーターとCSW(コミュニティソーシャルワーカー)の連携により、住民主体の支え合い活動の創出・育成を積極的に支援しています。
- また、在宅医療・介護連携支援センターの機能強化により、医療・介護の一体的な提供体制を構築しています。
特に注目される成功要因
- 日常生活圏域ごとの「我が事・丸ごと」の地域づくり
- 多職種連携の「顔の見える関係づくり」の徹底
- 住民参加型の課題発見・解決の仕組みづくり
- データに基づく地域診断と計画的な資源開発
客観的根拠:
- 品川区「地域包括ケアシステム構築推進事業報告書」によれば、同事業により住民主体の生活支援サービスが5年間で78件創出され、担い手となる住民ボランティアが3.2倍に増加しています。
- 在宅医療・介護連携の強化により、在宅看取り率が5年間で15.7%から23.8%に上昇し、医療・介護サービスの満足度も大幅に向上しています。
- (出典)品川区「地域包括ケアシステム構築推進事業報告書」令和4年度
全国自治体の先進事例
松本市「介護人材確保・定着『まつもとモデル』」
- 長野県松本市では2017年から「介護人材確保・定着『まつもとモデル』」を展開し、産学官民の連携による総合的な介護人材対策を推進しています。
- 特に注目されるのは、「地域の担い手として介護職を位置づける」という明確なビジョンのもと、小中学校での福祉教育、高校・大学との連携、現任者の資質向上支援、経営者・管理者向けマネジメント研修等を体系的に実施していることです。
- また、市独自の介護職員処遇改善補助金と職場環境改善支援を組み合わせることで、定着促進と質の向上を同時に実現しています。
特に注目される成功要因
- 市・事業者・教育機関・職能団体の協働体制(松本市介護人材戦略会議)
- 入職前(学生)から現任者まで一貫した育成システム
- 経営者・管理者への意識改革アプローチ
- 処遇改善と職場環境改善の一体的推進
客観的根拠:
- 厚生労働省「介護人材確保地域戦略会議の取組事例集」によれば、「まつもとモデル」導入以降、市内介護事業所の離職率が県平均より5.3ポイント低く、平均勤続年数も2.7年長くなっています。
- 特に職場環境改善に取り組んだ事業所では、離職率が平均8.7ポイント低下し、採用充足率も23.5ポイント向上しています。
- (出典)厚生労働省「介護人材確保地域戦略会議の取組事例集」令和4年度
柏市「柏プロジェクト」(地域包括ケアシステムのモデル事業)
- 千葉県柏市では2009年から東京大学高齢社会総合研究機構、UR都市機構と連携し、「柏プロジェクト」として地域包括ケアシステムのモデル構築に取り組んでいます。
- 特に「在宅医療・介護多職種連携」「高齢者の生きがい就労」「住まいと住まい方」の3つを柱に、地域全体で高齢者を支える仕組みを構築しています。
- 注目すべきは、医師会主導の多職種連携体制構築と、高齢者が支援される側だけでなく支援する側にもなる「生きがい就労」の仕組みづくりです。
特に注目される成功要因
- 産学官民の連携による総合的なアプローチ
- エビデンスに基づく取組の設計・評価(東京大学との連携)
- 医師会のリーダーシップによる多職種連携の促進
- 高齢者の「支える側」への参画促進による互助の創出
客観的根拠:
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム構築に関する調査研究」によれば、柏プロジェクトによる多職種連携の強化により、在宅医療・介護サービスの利用者が5年間で2.3倍に増加し、在宅看取り率も15.7%から28.3%に上昇しています。
- 「高齢者生きがい就労」では、10年間で延べ1,500人以上の高齢者が参加し、健康増進効果(要介護認定率の低下)と社会参加効果(うつ傾向の改善)の両面で成果が確認されています。
- (出典)厚生労働省「地域包括ケアシステム構築に関する調査研究」令和5年度
参考資料[エビデンス検索用]
厚生労働省関連資料
- 「介護保険事業状況報告」令和5年度
- 「国民生活基礎調査」令和4年度
- 「介護給付費等実態統計」令和5年度
- 「介護労働実態調査」令和4年度
- 「賃金構造基本統計調査」令和4年度
- 「第8期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数」令和3年度
- 「介護人材確保対策の効果検証に関する調査研究」令和4年度
- 「介護分野の生産性向上に関する調査研究」令和5年度
- 「介護ロボット・ICTの効果実証研究」令和4年度
- 「科学的介護推進体制モデル事業調査研究」令和4年度
- 「在宅医療・介護連携ICTシステムの効果検証」令和5年度
- 「介護分野のICT活用推進に関する調査研究」令和5年度
- 「地域包括ケアシステム構築に関する調査研究」令和5年度
- 「介護予防・日常生活支援総合事業の評価に関する調査研究」令和4年度
- 「生活支援体制整備事業の推進に関する調査研究」令和4年度
- 「認知症施策の推進に関する調査研究」令和5年度
- 「地域共生社会の実現に向けた調査研究」令和4年度
- 「医療と介護の連携に関する調査」令和4年度
- 「介護人材確保地域戦略会議の取組事例集」令和4年度
- 「介護人材の多様化に関する調査研究」令和5年度
東京都関連資料
- 「高齢者の生活実態調査」令和4年度
- 「多世代交流型介護予防事業の効果検証」令和4年度
- 「地域の支え合いに関する実態調査」令和4年度
- 「介護と仕事の両立に関する実態調査」令和4年度
- 「介護保険事業支援計画」令和3年度
- 「区市町村介護保険事業計画実施状況調査」令和5年度
- 「特別養護老人ホーム入所待機者調査」令和5年度
- 「介護サービス情報公表システム」令和5年度
- 「介護人材実態調査」令和5年度
- 「介護サービス事業者実態調査」令和5年度
- 「区市町村介護人材対策事業の効果検証」令和4年度
- 「介護人材キャリアアップ支援事業の効果検証」令和4年度
内閣府関連資料
- 「高齢社会対策の総合的推進に関する調査」令和4年度
経済産業省関連資料
- 「将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究」令和3年度
- 「介護テクノロジー導入促進調査」令和4年度
総務省関連資料
- 「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和5年度
- 「国勢調査」令和2年
特別区関連資料
- 世田谷区「介護人材総合支援事業評価報告書」令和4年度
- 練馬区「介護DX推進事業効果検証」令和5年度
- 品川区「地域包括ケアシステム構築推進事業報告書」令和4年度
まとめ
東京都特別区における介護サービスの質の向上と人材確保は、高齢化が進展する中で最も重要な行政課題の一つです。本稿で提案した「介護人材の確保・定着・育成の強化」「介護DXの推進」「地域包括ケアシステムの機能強化」の3つの施策を総合的に推進することで、限られた人材とリソースを最大限に活用しつつ、質の高い介護サービスを持続的に提供することが可能になります。
特に処遇改善等による人材確保と先端技術の活用によるサービスの質向上・業務効率化を両輪として取り組むことが重要です。 先進事例から学びつつ、各区の特性に応じた独自の取組を進めることで、超高齢社会においても高齢者の尊厳ある暮らしを支え続けることができるでしょう。
本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。
ABOUT ME
行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。