2025.11.14 05 特別区(23区) 【2025年11月14日】行政関連ニュースと政策立案のヒント masashi0025 目次 社会経済状況ガソリン補助金 13日から増額へ自治体経営【大田区】「ふるさと納税 大田区はねぴょんギフト」が 11月13日から開始しました!DX政策【国土交通省】災害時におけるドローンによる緊急支援物資輸送体制の確保防災政策【国土交通省】「下水道BCP策定マニュアル」改訂に向けた検討(能登半島地震を踏まえ)生活安全政策【消費者庁】消費者安全法の重大事故等に係る公表について (11月13日)【消費者庁】消費者安全法に基づく重大事故等以外の消費者事故等の事故情報データバンク登録について (11月13日)【東京都】「ダメ。ゼッタイ。」普及運動 合同(麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動)の実施子育て、子ども政策【台東区】令和7年度 養育家庭(里親)体験発表会・要保護児童支援ネットワーク講演会【東京都】第2回学童クラブ職員就職相談会の開催【東京都】11月は児童虐待防止推進月間です教育政策【江戸川区】区立小学校などに金魚を常設展示(「金魚のまち」PR)福祉政策【板橋区】心理・言語専門相談(教育支援センター・成増教育相談室)の実施社会保障【厚生労働省】第9回 ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会(小規模事業場マニュアル案)健康、保健政策【板橋区】ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンのキャッチアップ接種について地域振興政策【荒川区】あらかわの伝統野菜「三河島菜」の日替わりランチが登場(区役所食堂フェア)スポーツ政策【板橋区】東京2025デフリンピックが開催されます!(区役所でのオリジナル展示)まちづくり、インフラ整備政策【国土交通省】「地域固有の魅力に根ざすまちづくり」等について議論(第30回都市計画基本問題小委員会)【東京都・足立区】日暮里・舎人ライナーにおけるバスを活用した実証実験について(混雑緩和)社会経済状況 ガソリン補助金 13日から増額へ 概要 出典 総務省(報道ベース) ニュース概要 資源エネルギー庁発表のレギュラーガソリン全国平均価格(10日時点)は1Lあたり173円50銭でした。政府はガソリン税の暫定税率の2025年内廃止に向け、13日から補助金を3回にわたり引き上げることを決定しました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 物価高騰が続く中、国民生活や経済活動の負担となっているガソリン価格を抑制するため。特に暫定税率廃止という大きな政策転換に向けた、激変緩和措置として実施されます。 具体的なアクション 11月13日から、石油元売りへの補助金を3段階で増額します。これにより、店頭での小売価格の低下を促します。 行政側の意図 暫定税率廃止という公約の実現と、それに伴う市場の混乱(価格高騰や買い控え)を最小限に抑える意図があります。補助金で価格をソフトランディングさせ、国民の不満を和らげる狙いです。 期待される効果 ガソリン価格の安定化により、家計負担や物流コストの上昇が抑制されることが期待されます。 課題・次のステップ 補助金が小売価格に適切に反映されるかの監視が必要です。また、補助金終了後や暫定税率廃止後の価格動向が次の焦点となります。 特別区への示唆 ガソリン価格は、区の清掃事業、公用車、コミュニティバスの運行コストに直結します。今回の補助金増額は一時的なコスト抑制要因となりますが、中長期的な燃料費の変動リスクを念頭に置いた予算策定が必要です。 他区での横展開・応用 物価高騰対策として、国の補助金(エネルギー、燃料等)の動向を常に把握し、それを前提とした区独自の支援策(例:中小企業への影響緩和、公共交通機関への運行支援)を機動的に検討する体制が求められます。 自治体経営 【大田区】「ふるさと納税 大田区はねぴょんギフト」が 11月13日から開始しました! 概要 出典 大田区 ニュース概要 大田区は、ふるさと納税の仕組みを活用した「旅先納税」を開始しました。寄附者は返礼品として、区内の加盟店で利用できる電子商品券「大田区はねぴょんギフト」を受け取れます。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 区の魅力をPRし、交流人口の増加と地場産業の発展を図るためです。 具体的なアクション 株式会社ギフティの「e街プラットフォーム」を導入し、「旅先納税」システムをスタートさせました。 行政側の意図 これは、従来の「ふるさと納税」の概念を転換し、税収と観光振興を直接連動させる狙いがあります。「居住地」からの税収だけでなく、「訪問地」としての魅力を即時的な経済効果(電子商品券の利用)に繋げる意図です。 期待される効果 観光客がその場で寄附し、即時に返礼品(電子商品券)を利用することによる、地域内経済の活性化が期待されます。 課題・次のステップ 加盟店の拡大と、観光客への制度周知が課題です。また、先行する品川区との差別化や、利用実績の分析が次のステップとなります。 特別区への示唆 特別区はこれまで、ふるさと納税による「税収流出側」という側面が強かったですが、これは「税収獲得側」に回るための積極的な一手です。特に大田区は羽田空港という「玄関口」を持つ強みを活かしています。 他区での横展開・応用 他区でも、空港(大田区)、新幹線駅(千代田区、港区)、大規模集客施設(渋谷区、新宿区)、歴史観光地(台東区)など、「交流人口」の集積地を持つ区は同様のモデルを導入可能です。区の課題に合わせ、「商店街応援ギフト」や「文化施設利用券」など、返礼品の内容を工夫することで応用できます。 DX政策 【国土交通省】災害時におけるドローンによる緊急支援物資輸送体制の確保 概要 出典 国土交通省 ニュース概要 国土交通省は、災害時にドローンを活用した緊急支援物資輸送体制を確保するため、「ドローンを活用した災害物資輸送に関する調査等事業」の二次募集を開始しました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 地震や水害による道路寸断時、孤立地域への「ラストワンマイル」輸送手段を確保し、人命救助と生活維持に不可欠な物資を迅速に届けるためです。 具体的なアクション 災害時の物資輸送に関する調査や訓練を行う事業者を、公募を通じて財政的に支援します。 行政側の意図 国の意図は、ドローン輸送の技術実証フェーズから、社会実装と「担い手の育成」フェーズへ移行することです。平時から訓練事業者を支援することで、有事の際に即時稼働できる官民連携のネットワークを構築します。 期待される効果 災害対応におけるロジスティクスが強化され、孤立集落の発生時にも医薬品や食料の輸送が維持されることが期待されます。 課題・次のステップ 都市部、特に特別区における飛行ルートの事前設定と航空法規制の整理が課題です。また、悪天候時の運用限界や、多様な物資(重量物、医薬品)への対応が次のステップです。 特別区への示唆 特別区は、道路の瓦礫による閉塞や、タワーマンションのような「垂直方向の孤立」が懸念されます。この国の事業を活用し、区独自のドローン輸送訓練(例:河川敷から区立病院への医薬品輸送)を計画する好機です。 他区での横展開・応用 各区が防災協定を結ぶ事業者に対し、本事業への応募を奨励できます。また、区内の公園や学校の校庭を「ドローン発着ポート」として指定し、区の防災マップに組み込むなど、ハード・ソフト両面での応用が考えられます。 防災政策 【国土交通省】「下水道BCP策定マニュアル」改訂に向けた検討(能登半島地震を踏まえ) 概要 出典 国土交通省 ニュース概要 国土交通省は、能登半島地震の教訓を踏まえ、「下水道BCP策定マニュアル」の改訂検討を開始しました。特に、被災自治体が他自治体からの支援を円滑に受ける「受援」に関する記述を充実させます。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 能登半島地震において、既存のBCPが想定を超える規模の災害に対応できず、特に支援の受け入れ体制構築に遅れが生じたためです。 具体的なアクション マニュアルを改訂し、「受援体制の構築」や「支援団体に提供すべき情報(下水道台帳データ等)」を具体的に明記します。 行政側の意図 従来のBCPは「自助・共助」に重点が置かれがちでしたが、国の意図は「公助」、特に「広域的な公助」の最適化です。被災地の「受援力」(支援を受け入れる能力)こそが、復旧速度を決定づける重要因子であると再定義した点が重要です。 期待される効果 自治体が事前に受援体制を整備することで、発災後の下水道機能の応急復旧が迅速化し、公衆衛生の悪化を防ぐことができます。 課題・次のステップ マニュアル改訂後、全国の自治体(特別区含む)が自らのBCPを速やかに見直し、更新することが課題です。また、下水道台帳のデジタル化と標準化が次のステップです。 特別区への示唆 特別区は下水道(23区)と流域下水道(都)で管理が分かれますが、いずれにせよ相互応援が不可欠です。このマニュアル改訂を機に、区のBCPにおける「受援計画」を具体化し、支援側に渡すデータ(管路図、被害想定)を今すぐ準備すべきです。 他区での横展開・応用 「受援力の強化」という概念は、下水道に限りません。他区でも、道路、廃棄物処理、避難所運営など、あらゆる災害対応分野のBCPにこの「受援マニュアル」の考え方を横展開し、応援職員の受け入れ手順を標準化することが可能です。 生活安全政策 【消費者庁】消費者安全法の重大事故等に係る公表について (11月13日) 概要 出典 消費者庁 ニュース概要 消費者庁は、消費者安全法に基づき、関係機関から通知された生命・身体被害に関する消費者事故等93件(うち重大事故28件)を公表しました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 法に基づき、製品事故や役務(サービス)による事故の情報を集約・公表し、同種・類似の事故の発生・拡大を防止するためです。 具体的なアクション 関係行政機関や自治体から事故情報を収集し、リスク評価(重大事故か否か)を行った上で、定期的にウェブサイトで公表します。 行政側の意図 国の意図は、事故情報を一元化し、全国的な傾向(トレンド)を把握することです。これにより、個別の製品リコールだけでなく、法規制や安全基準の見直しといった、より根本的な対策につなげる狙いがあります。 期待される効果 事業者による自主的な製品改善やリコールを促すと同時に、消費者への直接的な注意喚起となります。 課題・次のステップ 公表される情報が膨大であるため、消費者が「自分ごと」としてリスクを認識し、具体的な行動(使用中止、点検)に移すことが課題です。 特別区への示唆 特別区の消費生活センターは、この国家システムの「最前線のセンサー」です。区民からの相談が、この「93件」の元情報となります。センター職員は、相談内容を正確に国のシステムへ登録する重要な役割を担っています。 他区での横展開・応用 各区は、この全国統計から「自区の高齢者・子育て世帯に特に関連性の高い事故」を抽出し、区報やSNSで再発信(ローカライズ)することが有効です。例えば、高齢者の入浴関連事故が多い週には、管内の公衆浴場や介護施設へ注意喚起を行うなど、能動的な情報活用が可能です。 【消費者庁】消費者安全法に基づく重大事故等以外の消費者事故等の事故情報データバンク登録について (11月13日) 概要 出典 消費者庁 ニュース概要 消費者庁は、重大事故には至らないものの、生命・身体に被害を及ぼす可能性のある「重大事故等以外の消費者事故」についても、事故情報データバンクに登録することを公表しました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 重大事故(結果)だけでなく、それに至る前の「ヒヤリ・ハット」事例(原因)を収集・分析し、重大事故を未然に防止するためです。 具体的なアクション 全国の消費生活センター等から寄せられる「軽微な事故」や「危険を感じた」事例を、国の事故情報データバンクに蓄積します。 行政側の意図 これは、製品安全行政における「予防原則」の強化です。重大事故は氷山の一角であり、その水面下にある膨大な「ヒヤリ・ハット」事例をビッグデータとして分析することで、将来のリスクを予測・特定する意図があります。 期待される効果 従来は見過ごされてきた製品の設計上の欠陥や、サービスの運用上の問題点が早期に発見され、迅速な改善につながることが期待されます。 課題・次のステップ 消費者から「大事(おおごと)にならなかった」情報をいかに吸い上げ、報告してもらうか、その動機付けが課題です。 特別区への示唆 区の消費生活センターの役割が、「苦情処理(クレーム対応)」から「リスク情報収集(データ収集)」へと拡大していることを示します。センター職員に対し、相談の大小に関わらず「データバンクへの登録」を徹底するよう周知が必要です。 他区での横展開・応用 各区は、「ヒヤリ・ハット報告キャンペーン」などを実施できます。「その『ちょっと危なかった』情報が、誰かの命を救います」といった広報を行い、区民からの情報提供を積極的に奨励する取り組みが考えられます。 【東京都】「ダメ。ゼッタイ。」普及運動 合同(麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動)の実施 概要 出典 東京都福祉局 ニュース概要 東京都は、薬物乱用防止を訴える「ダメ。ゼッタイ。」普及運動の一環として、11月24日に都庁で式典、表彰式、高校生による成果発表、セミナーを含むイベントを開催します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 大麻等の薬物乱用が若年層に拡大している現状を踏まえ、都民、特に青少年に対して薬物の危険性に関する正しい知識を普及啓発するためです。 具体的なアクション 都庁で啓発イベントを開催し、功労者表彰、ポスター・標語の表彰、高校生会議の成果発表など、多様な主体を巻き込んだプログラムを実施します。 行政側の意図 都の意図は、単なる知識の伝達に留まらず、「社会全体で乱用を許さない」という規範意識を醸成することです。表彰(功労者)と参加(高校生)を組み合わせることで、運動の持続性と世代間継承を図っています。 期待される効果 イベント参加者、特に高校生が薬物問題の「受け手」から「発信者」になることによる、同世代への波及効果が期待されます。 課題・次のステップ イベント参加者以外への情報伝達が課題です。また、スローガンだけでなく、具体的な「断り方」や「相談先」の周知を強化することが次のステップです。 特別区への示唆 これは、都が主導する「広報・啓発」の動きです。特別区の役割は、この都の動きを「地域」と「現場」に繋げることです。区の保健所や保護司会、学校と連携し、このイベントの成果を地域に還元する必要があります。 他区での横展開・応用 各区は、区立学校に対し、このイベントで表彰されたポスター・標語作品の巡回展示を提案できます。また、区の保健所が主催する健康講座などで、都のセミナー内容を紹介するなど、都のコンテンツを地域のチャネルで再活用することが有効です。 子育て、子ども政策 【台東区】令和7年度 養育家庭(里親)体験発表会・要保護児童支援ネットワーク講演会 概要 出典 台東区 ニュース概要 台東区は11月13日、養育家庭(里親)制度の普及啓発のため、「里親体験発表会」と、教育評論家の親野智可等氏による「要保護児童支援ネットワーク講演会」を同時開催しました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 社会的養護が必要な子どもたちに、家庭と同様の環境を提供するため、養育家庭(里親)のなり手を増やすことが喫緊の課題であるためです。 具体的なアクション イベントを二部構成とし、第一部で現役里親による体験談の共有、第二部で著名な専門家による子育て一般に関する講演会を実施しました。 行政側の意図 「里親」という専門的なテーマと、「子育て一般」という広範なテーマを組み合わせることで、一般の子育て層も集客し、潜在的な里親候補として啓発する意図があります。 期待される効果 里親制度への誤解や不安が解消され、制度への理解が深まることで、新規里親登録者の増加が期待されます。 課題・次のステップ 講演会の参加者を、実際の里親登録プロセス(相談、研修、登録)へといかに繋げていくか、継続的なフォローアップが課題です。 特別区への示唆 これは、児童相談所を運営する特別区にとって、優れたリクルーティング(里親募集)の手法です。「里親」という言葉のハードルを下げ、まずは「子育て」という共通の関心事で人を集める戦略は、他区も即時採用すべきベストプラクティスです。 他区での横展開・応用 他区でも、子育て支援課と児童相談所が連携し、同様のハイブリッド型講演会を企画できます。講師選定(例:著名な小児科医、発達心理学者)を工夫することで、多様な層にアプローチ可能です。 【東京都】第2回学童クラブ職員就職相談会の開催 概要 出典 東京都福祉局 ニュース概要 東京都は、学童クラブの職員不足に対応するため、11月30日に第2回「学童クラブ職員就職相談会」を開催します。資格や経験がない方でも参加可能で、事業者との個別相談会も実施されます。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 学童クラブの待機児童解消や、既存サービスの質を維持・向上させる上で、職員(放課後児童支援員)の確保が最大のボトルネックとなっているためです。 具体的なアクション 現場を知る講師による講演と、学童クラブ事業者による個別就職相談会を組み合わせたイベントを開催します。 行政側の意図 都の明確な意図は、採用の「間口を広げる」ことです。「資格・経験がない方もご参加いただけます」と明記し、潜在的な労働力(主婦、学生等)を発掘し、就職後に資格取得を支援する流れを強化する狙いです。 期待される効果 学童クラブの運営事業者と求職者のマッチングが促進され、人材不足が一部解消されることが期待されます。 課題・次のステップ 課題は「定着率」です。学童職員は、業務負担の重さに比して処遇が低いことが離職の主な原因です。採用後のキャリアパスや処遇改善が次のステップです。 特別区への示唆 学童クラブの設置・運営は特別区の重要な事務です。都が広域的な「採用」を支援する間に、各区は「定着」のための施策(例:区独自の処遇改善加算、キャリアアップ研修の充実)にリソースを集中させるべきです。 他区での横展開・応用 この相談会モデルは、学童クラブだけでなく、人材不足が深刻な「保育士」や「介護職員」の採用活動にもそのまま応用可能です。区が主体となり、管内の事業者を集めた合同就職相談会を定期開催することが考えられます。 【東京都】11月は児童虐待防止推進月間です 概要 出典 東京都福祉局 ニュース概要 東京都は、11月を「児童虐待防止推進月間」(オレンジリボン月間)と位置づけ、児童虐待問題に関する集中的な広報啓発活動を実施することを告知しています。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 児童虐待の発生予防と早期発見・早期対応を促進するため、社会全体の関心を高め、通告(全国共通ダイヤル「189」)をためらわない意識を醸成するためです。 具体的なアクション 11月の一か月間を定め、都や関係機関が連携して、シンポジウムの開催、ポスター掲示、広報媒体での特集など、集中的な啓発を行います。 行政側の意図 国(厚労省)が主導する全国一斉の取り組みであり、都の意図は、この「全国キャンペーン」の波に乗り、広報効果を最大化することです。「11月=虐待防止」という社会的認知を定着させる狙いがあります。 期待される効果 児童虐待に関する相談・通告件数の増加が期待されます(潜在的な問題の「顕在化」)。 課題・次のステップ 啓発によって増加した相談・通告に対し、児童相談所や区の担当課が対応しきれなくなる「リソース不足」が最大の課題です。啓発と現場体制の強化は、必ずセットで行う必要があります。 特別区への示唆 児童相談所を運営する特別区にとって、11月は通告増に対応する体制を敷くべき月です。この啓発月間に伴う通告増を予測し、児童福祉司等のシフト調整や関係機関(警察、学校)との連携確認など、「受入れ体制」の事前点検が必須です。 他区での横展開・応用 各区は、都の広報(空中戦)と連携し、地域の事情に合わせた「地上戦」を展開すべきです。例えば、区内の小児科医会や薬局、コンビニと連携し、「189」のステッカーやリーフレットの配布を強化するなど、区民の目に触れるチャネルを総動員します。 教育政策 【江戸川区】区立小学校などに金魚を常設展示(「金魚のまち」PR) 概要 出典 江戸川区 ニュース概要 江戸川区は、「金魚のまち」のPRと児童の情操教育のため、区立小学校(船堀小など3校)や区民施設に、特産品である金魚の水槽を常設展示する取り組みを開始しました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 区の特産品である金魚に日常的に触れる機会を創出し、地域への愛着(シビックプライド)と「金魚のまち」としてのブランド認知度を向上させるためです。 具体的なアクション 小学校の昇降口や区役所本庁舎などに水槽を設置します。餌やりを児童(特別支援学級)が担当し、水槽のメンテナンスは区が委託した業者が行います。 行政側の意図 「地域産業PR」「児童の『いのちの教育』」「特別支援学級の児童への役割付与によるインクルージョン推進」という、一石三鳥を狙った多目的施策です。 期待される効果 児童が金魚の世話を通じて責任感や愛着を育むと共に、来校する保護者や地域住民に対しても「金魚のまち・江戸川」を効果的にPRできます。 課題・次のステップ 生き物を扱うため、長期休暇中の管理や、業者のメンテナンスが途切れないための持続的な予算確保が課題です。 特別区への示唆 「魅力」をポスターや冊子で「語る」のではなく、日常空間に「置く」ことで五感に訴えかける、低コストかつ効果的なPR手法です。行政が持つ「場」を地域資源のPRプラットフォームとして活用する優れた事例です。 他区での横展開・応用 他区も「自区の地域資源」を公立小中学校に常設展示することが考えられます。例:杉並区(アニメのセル画)、文京区(印刷・製本文化)、台東区(伝統工芸品)、渋谷区(ファッションデザイン画)など、各区の歴史や産業に応用可能です。 福祉政策 【板橋区】心理・言語専門相談(教育支援センター・成増教育相談室)の実施 概要 出典 板橋区 ニュース概要 板橋区は、区立小中学校の在学者や区内在住の3歳から18歳の子どもとその保護者を対象に、臨床心理士や言語聴覚士による専門相談(心理・言語)を無料で実施しています。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 学校生活での悩み、発達の偏り、言葉の遅れなど、子どもが抱える多様な問題に対し、早期に専門的な支援を提供し、健やかな成長をサポートするためです。 具体的なアクション 区内2か所(教育支援センター、成増教育相談室)に相談窓口を設け、電話予約制で臨床心理士等による個別面談やプレイセラピーを提供します。 行政側の意図 教育(不登校、友人関係)と福祉(発達、言語)の「狭間」にあるニーズを拾い上げることが意図されます。学校(教育委員会)が主体となることで、保護者が福祉的な支援(療育など)に抵抗がある場合でも、「教育相談」としてアクセスしやすくする狙いがあります。 期待される効果 子どもと保護者の不安が軽減され、問題の早期発見・早期対応により、不登校や二次的な問題の深刻化を防ぐことができます。 課題・次のステップ 区の資料には、申し込み多数により面談まで待機が発生している旨の記載があります。需要に対してリソース(専門職の人数)が不足していることを示唆しており、体制の拡充が喫緊の課題です。 特別区への示唆 すべての特別区が同様の機能を持っていますが、板橋区の事例は「需要の逼迫」という共通の課題を浮き彫りにしています。自区の相談窓口の「待機日数」を点検し、それが常態化している場合、来年度予算で専門相談員の増員を検討すべきです。 他区での横展開・応用 相談窓口の物理的な増設(板橋区が2か所設置しているように)は、利用者にとってのアクセス性を高める上で有効です。また、学校のスクールカウンセラーとの連携を密にし、役割分担を明確化する取り組みに応用できます。 社会保障 【厚生労働省】第9回 ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会(小規模事業場マニュアル案) 概要 出典 厚生労働省 ニュース概要 厚生労働省は、11月20日に「第9回 ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」を開催します。議題は「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル(案)」についてです。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 50人未満の事業場(小規模事業場)ではストレスチェックが「努力義務」に留まっており実施率が低いためです。労働者のメンタルヘルス不調を予防するため、小規模事業場でも実施しやすくする支援策が必要です。 具体的なアクション 検討会でマニュアル案を議論し、小規模事業場の実態に即した、簡便で取り組みやすいストレスチェックの実施方法を策定します。 行政側の意図 国の意図は、大企業(義務)と小規模事業場(努力義務)の間で生じている「健康格差」の是正です。義務化が使えない以上、マニュアル整備という「支援」を提供し、自主的な取り組みを最大限引き出す狙いです。 期待される効果 マニュアルが整備されることで、小規模事業場の事業主がストレスチェック導入のハードルが下がり、実施率の向上と労働者のメンタルヘルス改善が期待されます。 課題・次のステップ マニュアルを策定するだけでは不十分で、それをいかに全国の小規模事業者に届け、実施を動機づけるか、その「普及・広報」が最大の課題です。 特別区への示唆 特別区は、日本で最も「小規模事業場」が密集する地域です。このマニュアル(案)の動向は、区の産業振興課や保健所(精神保健担当)にとって重要です。マニュアルが完成次第、区内事業者への周知徹底が求められます。 他区での横展開・応用 各区は、この国のマニュアルを活用し、区内の中小企業診断士や社会保険労務士と連携した「メンタルヘルス対策セミナー」を企画できます。国のツールを、地域の専門家ネットワークを通じて普及させるという応用が考えられます。 健康、保健政策 【板橋区】ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンのキャッチアップ接種について 概要 出典 板橋区 ニュース概要 板橋区は、HPVワクチンの積極的勧奨が差し控えられていた時期に接種を逃した女性(平成9年4月2日~平成20年4月1日生まれ)に対し、無料でのキャッチアップ接種の期限(令和7年3月31日)が迫っていることを告知しています。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 国の政策(積極的勧奨の差し控え)によって生じた「接種機会の不公平」を是正し、子宮頸がんの予防という公衆衛生上の利益を対象者に提供するためです。 具体的なアクション 対象者に対し、接種期限が迫っていることを周知します。特に「令和7年3月31日までに1回目を接種すれば、残りの回数(2回目・3回目)は令和8年3月31日まで無料」という経過措置を広報しています。 行政側の意図 区の意図は、期限切れによる「駆け込み需要」の混乱を避けつつ、接種率を最大化することです。「3月31日までに開始」すれば良い、という経過措置の周知は、接種をためらっていた層の背中を押す、非常に重要な情報伝達です。 期待される効果 対象者の接種率が向上し、将来的な子宮頸がんの罹患率および死亡率の低下が期待されます。 課題・次のステップ 対象者が学業、就労、転居などで多忙、あるいは区の広報が届きにくい世代であることが最大の課題です。SNSや大学連携など、ターゲットに合わせた広報戦略が必要です。 特別区への示唆 これは全特別区共通の、期限が明確に定められた最優先課題の一つです。自区の対象者のうち、未接種者が何人残っているかをデータで把握し、期限までの残り4か月強で、いかに集中的にアプローチするか、戦略的な広報計画が求められます。 他区での横展開・応用 板橋区が「経過措置」を明確に打ち出している点は、他区も見習うべきです。単に「期限は3月」と煽るのではなく、「今からでも間に合う(3回分)」というポジティブなメッセージを発信することで、接種行動を誘発できます。 地域振興政策 【荒川区】あらかわの伝統野菜「三河島菜」の日替わりランチが登場(区役所食堂フェア) 概要 出典 荒川区 ニュース概要 荒川区は、区ゆかりの江戸東京野菜「三河島菜」のPRのため、11月17日から5日間、区役所地下食堂で三河島菜を使った日替わりランチを提供する「三河島菜フェア」を開催します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 一度は栽培が途絶えた「幻の野菜」である三河島菜を、地域の伝統・文化資源として復活・普及させ、区の知名度向上と地域愛着の醸成につなげるためです。 具体的なアクション 都立農産高等学校(栽培を担当)と食堂運営事業者(調理・提供を担当)と区(企画・広報を担当)が連携し、日替わりメニューを提供します。 行政側の意図 区の意図は、①地域資源のPR、②「農・商・官(+学)」連携の実践、③職員へのインナーブランディング、の3点です。特に「区役所食堂」という、職員と来庁者が毎日利用する場で実施することで、最も身近なところから地域資源のファンを作る狙いです。 期待される効果 食堂利用者(職員・区民)に三河島菜の味と歴史を知ってもらうことで認知度が向上し、今後の区のイベント等でのPR活動が円滑に進むことが期待されます。 課題・次のステップ 5日間のフェアで終わらせず、区内飲食店での定番メニュー化や、商品化(漬物、ふりかけ等)に繋げ、持続的な経済活動に発展させることが次のステップです。 特別区への示唆 これは、行政が持つ「場」(庁舎、食堂、区立施設)を、民間の「コンテンツ」(地域資源)のPRプラットフォームとして活用する優れた事例です。行政が「広報費」をかけて宣伝するより、安価で実効性が高い手法です。 他区での横展開・応用 他区の庁舎食堂でも、自区の「友好都市」の特産品フェアや、区内の福祉作業所が作ったパンの販売ウィークなど、庁舎を「地域のショールーム」として活用する企画が容易に応用可能です。 スポーツ政策 【板橋区】東京2025デフリンピックが開催されます!(区役所でのオリジナル展示) 概要 出典 板橋区 ニュース概要 板橋区は、11月15日に開幕する東京2025デフリンピックを盛り上げるため、11月17日から区役所本庁舎で「くらしとともに知るデフリンピック」と題したオリジナル展示を開催します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 日本で初開催されるデフリンピックへの区民の関心を高めるとともに、板橋区ゆかりの選手(仲井健人選手)を応援する機運を醸成するためです。 具体的なアクション 仲井選手の等身大パネルやユニフォームの展示に加え、「音がない世界の体験ブース」(光るインターフォン、振動式目覚まし時計など)を設置します。 行政側の意図 区の意図は、単なるスポーツ振興に留まりません。「音がない世界の体験ブース」を設けることで、これを「障害者理解・ダイバーシティ推進」の啓発イベントとして位置づけ、スポーツを「入口」として、より深い社会課題への理解を促す狙いです。 期待される効果 区民がデフリンピックへの関心を高めると同時に、聴覚障害のある方の日常生活や、情報保障の必要性について具体的に学ぶことができます。 課題・次のステップ イベントの開催(11月28日まで)を一過性のものにせず、展示物(光るインターフォン等)を区の障害福祉課の常設展示とするなど、継続的な啓発に繋げることが望まれます。 特別区への示唆 東京で開催される大規模イベントを、いかに「自区の施策」と結びつけるか、という好例です。①「ローカライズ」(ゆかりの選手)、②「社会課題化」(体験ブース)という2つの工夫は、他区が類似のイベントを企画する上で非常に参考になります。 他区での横展開・応用 デフリンピックに限らず、今後開催される国際大会や文化イベントにおいて、他区も「自区ゆかりの選手・アーティスト」を発掘し、その関連分野の「体験ブース」(例:パラリンピックなら車いすバスケ体験)を組み合わせた展示を区役所ロビーで行うことは、即時応用可能です。 まちづくり、インフラ整備政策 【国土交通省】「地域固有の魅力に根ざすまちづくり」等について議論(第30回都市計画基本問題小委員会) 概要 出典 国土交通省 ニュース概要 国土交通省は、都市計画のあり方を議論する「第30回都市計画基本問題小委員会」を開催し、「地域固有の魅力に根ざすまちづくり」等を議題とします。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 人口減少社会において、従来の画一的な都市拡大・再開発ではなく、その地域ならではの歴史・文化・景観といった「魅力」を活かした持続可能なまちづくりが求められているためです。 具体的なアクション 学識経験者による委員会で、都市計画の基本問題として「魅力」や「地域固有性」をどう政策に組み込むかを議論します。 行政側の意図 これは、国の都市計画行政の「大きな方針転換」の兆候です。これまでの「効率性」「安全性」「利便性」中心の都市計画から、「魅力」「固有性」「文化」といった、数値化しにくい価値を重視する政策へのシフトが議論されています。 期待される効果 この議論が進むと、今後の国の補助金や規制緩和が、「地域の魅力を高める」事業に重点的に配分されるようになる可能性があります。 課題・次のステップ 「魅力」という主観的・定性的な価値を、いかに客観的な都市計画の「制度」(例:景観条例、容積率規制、補助金)に落とし込むか、その手法論の確立が課題です。 特別区への示唆 特別区の「まちづくり」担当者は、この国の議論の動向を注視すべきです。今後の再開発プロジェクトの認可申請や補助金申請において、「いかに地域固有の魅力を高めるか」という視点での説明責任が、これまで以上に強く求められるようになります。 他区での横展開・応用 各区は、この国の動きに先んじて、「自区の地域固有の魅力とは何か」(例:商店街、路地裏、歴史的建造物、水辺空間)を定義し、それを保全・活用するための「魅力向上ガイドライン」のようなものを策定する準備を始めることができます。 【東京都・足立区】日暮里・舎人ライナーにおけるバスを活用した実証実験について(混雑緩和) 概要 出典 東京都交通局、足立区 ニュース概要 東京都と足立区は、日暮里・舎人ライナーの朝ラッシュ時の著しい混雑を緩和するため、特定の定期券所持者等を対象とした無料の並行バスを運行する実証実験を12月22日から実施します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 日暮里・舎人ライナーの混雑は、安全運行や乗客の快適性を著しく損なうレベルに達しており、抜本対策(車両増備等)には時間がかかるため、即時性のある次善の策を試行するためです。 具体的なアクション 民間貸切バスを借り上げ、平日朝のピーク時に江北駅前から西日暮里・日暮里駅前へ直行するバスを3本運行。対象を特定の6駅から2駅への定期券所持者等(募集700名)に限定し、無料で利用証を発行します。 行政側の意図 意図は、コストを抑えた「外科手術的」な混雑緩和策の検証です。最もヘビーな利用者層の一部(700人)をバスに誘導することで、最も混雑する車両の負担をピンポイントで軽減できるか、その効果を測定する狙いです。 期待される効果 対象者700名がバスに転移することで、ライナーのピーク時の混雑率が一定程度緩和されることが期待されます。 課題・次のステップ バスの「定時性」が最大の課題です。道路混雑によりライナーより時間がかかる場合、利用が定着しません。また、700人という規模で、体感できるほどの混雑緩和効果が出るかの検証が必要です。 特別区への示唆 これは、広域自治体(都)と基礎自治体(区)が、共通の課題(混雑)に対してコストと役割を分担して取り組む、官・官連携の典型例です。区が地域の声を集約し、都が広域交通事業者として実行するモデルです。 他区での横展開・応用 他区でも、地下鉄東西線やJR埼京線・中央線など、深刻な混雑問題を抱える路線の「ボトルネック区間」において、区が主体となって都(交通局)や民間バス事業者に同様の実証実験を提案することが考えられます。 #05 特別区(23区)#91 取組#92 行政ニュース#99 その他 ABOUT ME 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