17 健康・保健

【健康医療政策課】地域医療連携ネットワーク(ICT活用)構築推進 完全マニュアル

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目次
  1. はじめに
  2. 健康医療政策課における地域医療連携ネットワーク構築の意義と歴史的変遷
  3. 標準的な業務フローと実務の詳解
  4. 法的根拠と主要条文の実務的解釈
  5. 応用知識と特殊事例への対応方針
  6. 東京都特別区と地方自治体の比較分析
  7. 特別区固有の状況と地域特性の分析
  8. 最新の先進事例と動向
  9. 業務改革とデジタルトランスフォーメーションの推進
  10. 生成AIの業務適用と将来展望
  11. 実践的スキルとPDCAサイクルの構築
  12. 他部署および関係機関との連携体制
  13. 総括と自治体職員へのエール

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。

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業務別完全マニュアル
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健康医療政策課における地域医療連携ネットワーク構築の意義と歴史的変遷

地域包括ケアを支えるデジタルインフラとしての位置付け

 健康医療政策課が所管する地域医療連携ネットワーク(ICT活用)の構築および推進業務は、地域の医療機関、介護施設、訪問看護ステーションなどが持つ患者情報をデジタル空間で安全に共有し、切れ目のない医療・介護サービスを提供するための基盤整備です。高度な医療機器や病床を整備するハード面の施策に対して、本業務は「情報の架け橋」を創るソフト面のインフラ整備と言えます。一人の患者が複数のクリニックや大病院、薬局を受診する現代において、アレルギー情報、重複処方、過去の検査画像などをICTによって瞬時に共有することは、医療過誤を防ぐだけでなく、不要な重複検査を削減し、医療費の適正化にも直結します。自治体の担当職員は、単なるシステムの導入担当者にとどまらず、医師会や中核病院の間に立ち、情報の囲い込みを打破して「地域全体で一人の患者を診る」というパラダイムシフトを牽引する、デジタル時代の医療政策プロデューサーとしての役割を担っています。

制度と技術の歴史的変遷および現代的意義

 地域における医療情報の連携は、かつては紹介状(診療情報提供書)という紙媒体や、電話、FAXによるアナログなやり取りに完全に依存していました。平成十年代に国が主導したIT戦略を契機に電子カルテの普及が始まりましたが、各病院が異なるシステムベンダーを採用したため、病院間でデータが繋がらない「電子の孤島」が無数に発生しました。その後、平成二十年代にかけて、国や都道府県の補助金を活用し、地域の中核病院のデータを周辺のクリニックが閲覧できるシステム(一方向の閲覧型ネットワーク)が全国各地で立ち上がりました。そして現代は、厚生労働省が推進する「全国医療情報プラットフォーム」の構想のもと、マイナンバーカードの保険証利用(オンライン資格確認)を基盤とし、HL7 FHIR(ファイア)と呼ばれる国際的な標準規格を用いて、双方向でデータを送受信できる次世代のネットワーク構築へと劇的な進化を遂げています。担当職員には、この目まぐるしい技術革新の波を的確に捉え、過去のレガシーシステムから脱却し、最新の標準規格に準拠した持続可能なネットワークへと地域を誘導する高度な知見が求められます。

標準的な業務フローと実務の詳解

年間を通じたネットワーク運営と拡大のサイクル

 地域医療連携ネットワークの運営は、システムの安定稼働を維持する保守サイクルと、参加する医療機関を拡大するためのプロモーションサイクルによって構成されます。年度初めには、前年度のシステム利用実績(ログイン回数、情報参照件数など)を分析し、利用が低迷している医療機関へのアプローチ計画を立案します。夏から秋にかけては、地域の医師会が主催する学術集会や理事会に赴き、システムの有用性をデモンストレーションする説明会を繰り返し実施します。同時に、次年度のシステム保守費用や、サーバーのクラウド移行などに伴う改修費用の予算要求に向け、ベンダーとの要件定義や見積もりの精査を行います。年度末には、協議会(運営委員会)を開催して一年間の事業報告を行い、情報セキュリティ監査の結果を報告するなど、事業の透明性と安全性をステークホルダーに対して証明する重要なプロセスが待ち受けています。

月次および日々の運営管理プロセス

参加機関の拡大と導入支援

システム導入に向けた個別折衝と説明

 新規にネットワークへ参加を希望するクリニックや薬局からの問い合わせに対し、システムの利用規約、必要な端末のスペック、セキュリティガイドラインについて詳細に説明します。特に、患者の同意取得のフローや、自院の電子カルテシステムとの相性(ゲートウェイ端末の設置要否など)について、院長や事務長が抱く技術的・業務的な不安を解消するため、システムベンダーの技術者とともに直接現地へ赴き、丁寧な個別折衝を重ねます。

運用開始時のトレーニングとアカウント管理

 参加協定が締結された後、セキュアな通信環境(IP-VPNなど)の開通を確認し、医師や看護師に対する利用者IDと初期パスワードを発行します。新しいシステムへの抵抗感をなくすため、稼働初日には担当者やヘルプデスク要員が現場に待機し、実際の患者データを用いた画面の操作方法や、情報検索のコツを手取り足取り指導します。また、退職した職員のアカウントが放置されないよう、定期的な棚卸しと権限管理の徹底を指導します。

稼働状況のモニタリングと障害対応

利用ログの分析とアクティブ率の向上施策

 システムにアカウントを登録したものの、全くログインされていない「休眠アカウント」を放置することは、投資対効果の観点から許されません。毎月のアクセスログを抽出し、利用頻度の高い機能と全く使われていない機能を分析します。利用が少ない医療機関に対しては、電話や訪問によるフォローアップを行い、「操作が複雑で分からない」「見たい患者のデータが登録されていない」といった隠れた不満(ペインポイント)を吸い上げ、マニュアルの改訂や画面インターフェースの改善へと繋げます。

システム障害発生時の初期対応とベンダー連携

 「サーバーに接続できない」「患者データが文字化けしている」といった障害報告が寄せられた場合、直ちに状況の切り分けを行います。問題が医療機関側のインターネット環境にあるのか、それともデータセンターのサーバー側にあるのかを迅速に判断し、保守ベンダーへエスカレーションします。障害が広範囲に及ぶ場合は、全参加機関に対する緊急の一斉通知を発出するとともに、個人情報漏洩のリスクがないかを最優先で確認する初動対応の陣頭指揮を執ります。

法的根拠と主要条文の実務的解釈

医療情報を取り扱う上での厳格な法的枠組み

 医療情報は究極のプライバシーであり、その共有ネットワークの構築は、個人情報保護と医療法の厳格なルールの下で行われなければなりません。担当職員は、以下の法令および国が定める各種ガイドラインを遵守し、法的に瑕疵のない運営規程を整備する責任を負います。

個人情報の保護に関する法律(要配慮個人情報)

 病歴や診療記録は、個人情報保護法において「要配慮個人情報」として厳格に定義されています。これをネットワークを通じて他の医療機関へ提供(第三者提供)する場合、原則として患者本人の明示的な同意(オプトイン)が必要となります。実務においては、参加医療機関に対して、初診時にネットワーク参加への同意書を書面または電子署名で取得するフローを徹底させ、同意が撤回された場合には即座にシステム上でデータの閲覧をブロックできる仕組みを法的に担保しなければなりません。

医療法第六条の四(医療情報の提供)

 医療提供施設は、患者に対して適切な医療を提供するため、他の医療提供施設等と連携し、必要な情報を共有するよう努めなければならないとする努力義務規定です。この条文は、地域医療連携ネットワークを構築・推進する最大の法的根拠となります。行政は、この理念を実現するためにICTという手段を提供し、医療機関同士の情報の壁を取り払う正当性を有しています。

医療情報システムの安全管理に関するガイドライン

 厚生労働省が策定する本ガイドラインは、法令と同等の重みを持つ実務上のバイブルです。ネットワークを構築する際のアクセス制御、通信の暗号化、監査ログの保存期間、クラウドサービスを利用する際のリスク評価など、遵守すべき技術的・物理的・組織的なセキュリティ対策が網羅されています。システムベンダーが提案する構成案が、このガイドラインの最新版に完全に準拠しているかを厳しく審査することが、行政担当者の絶対的な使命です。

応用知識と特殊事例への対応方針

システム運用における重大リスクへの対処

ランサムウェア等のサイバー攻撃発生時の初動対応

 地域の中核病院が身代金要求型コンピューターウイルス(ランサムウェア)のサイバー攻撃を受け、電子カルテが暗号化されて機能停止に陥る事案が全国で頻発しています。中核病院がダウンすれば、連携ネットワーク全体が汚染される、あるいはデータ共有が完全にストップする重大な危機となります。事案発生の第一報を受けた行政担当者は、直ちにネットワークの物理的・論理的な遮断(切り離し)をベンダーに指示し、被害の拡大を防ぎます。同時に、紙カルテでの診療継続に向けた事業継続計画(BCP)の支援や、厚生労働省・警察機関への速やかな事案報告を行うという、極度の緊張下での危機管理対応が要求されます。

患者からの同意撤回および情報開示請求への対応

 ネットワークで情報を共有することに同意していた患者が、後日「特定のクリニックには自分の病歴を知られたくない」として同意を撤回するケースや、システム上にどのようなデータが記録されているかの開示を求めてくるケースへの対応です。行政および運営協議会は、患者の自己決定権を最大限に尊重し、システム上で特定の機関への開示制限(マスキング)をかける、あるいはネットワークから全データを完全に削除(論理削除)する手順をあらかじめマニュアル化しておく必要があります。技術的に対応が困難な場合は、ベンダーにシステム改修を命じる毅然とした態度が必要です。

異種システム間のデータ連携トラブル

 あるクリニックで入力した処方データが、連携先の病院のシステムでは別の薬のコードとして誤変換されて表示されるといった、データマッピングの不具合によるトラブルです。医療情報の誤表示は、投薬ミスなど患者の命に関わる重大な医療事故(インシデント)に直結します。このような事象が報告された場合、直ちに当該データの連携を停止させ、異なるベンダー間で採用しているコード体系(HOWDO等)の変換テーブルに異常がないか、技術的な検証を緊急に実施させる必要があります。

東京都特別区と地方自治体の比較分析

首都圏と地方におけるICT連携環境の構造的違い

資源の枯渇を補う地方の命綱と特別区の過密による連携の壁

 地方自治体においては、医療資源(専門医や高度医療機器)が極端に不足しており、広大な面積の中で一つの基幹病院と点在する診療所を結ぶネットワークは、物理的な距離を克服するための「絶対的な命綱」として機能します。そのため、県全体や二次医療圏全体でのネットワーク構築に対する関係者のモチベーションが高く、合意形成が比較的容易です。対して東京都特別区は、歩いて行ける距離に大学病院から民間クリニックまでが無数に密集しています。紹介状を書いて患者が紙を持参すれば済んでしまうという物理的利便性の高さが、皮肉にも「わざわざコストをかけてICTネットワークに繋ぐ必要性を感じない」という、都市部特有の強固な連携の壁を生み出しています。

患者の広域移動に伴うネットワークの分断リスク

 地方では、住民の生活圏と受診する医療圏がほぼ一致しているため、単一の地域医療連携ネットワーク内に患者のデータが綺麗に蓄積されます。しかし、特別区の住民は、自宅のある区、職場のある都心部の区、かかりつけの専門医がいる隣接区など、日常的に複数の区を跨いで医療機関を受診します。各区が単独でネットワークを構築しても、患者が区境を越えた瞬間にデータが追えなくなる「ネットワークの分断」が発生します。特別区においては、自区内だけの閉じたシステムを構築するのではなく、東京都全体、あるいは全国レベルのプラットフォームとの相互接続性(インターオペラビリティ)を常に前提としたアーキテクチャ設計が不可欠です。

特別区固有の状況と地域特性の分析

東京二十三区における医療情報ネットワークの現状

無数の民間クリニックとベンダーロックインの課題

 特別区内には数千に及ぶ民間クリニックが存在し、それぞれが異なるメーカーの電子カルテやレセコン(レセプトコンピューター)を導入しています。地域のネットワークにこれらのクリニックを接続しようとすると、カルテメーカー側から高額な「接続改修費用」や「ゲートウェイ利用料」を請求されることが多く、これがクリニックの参加を阻む最大の要因(ベンダーロックイン問題)となっています。特別区の行政担当者は、特定のベンダーの仕様に縛られない標準規格(SS-MIX2やFHIRなど)の採用を推進し、医師会と連携してベンダー側へ不当な接続費用の引き下げを強く働きかけるという、市場に対する強力なガバナンスを発揮する必要があります。

東京都の広域ネットワークと区独自のシステムの二重構造

 東京都は、都内全域をカバーする「東京医療保健連携ネットワーク」などの広域的な情報共有基盤を推進しています。一方で、各特別区や地区医師会が過去に独自に構築した地域密着型の小規模ネットワークも多数稼働しています。この二重構造の中で、現場の医師からは「どのシステムにデータを入力し、どれを参照すれば良いのか分からない」という混乱の声が上がっています。区の健康医療政策課は、区独自の古いシステムを無理に延命させるのではなく、国や都が主導する巨大な標準プラットフォームへと発展的に統合(マイグレーション)していくための出口戦略を描くという、高度な政策判断を迫られています。

最新の先進事例と動向

特別区における連携ネットワークの高度化の取組み

救急搬送時におけるバイタルデータおよび既往歴の即時共有

 一部の先進的な特別区では、救急隊が現場で取得した患者の血圧や心電図などのバイタルデータと、地域医療連携ネットワークに蓄積された患者の既往歴・アレルギー情報を、救急隊の持つタブレット端末と受け入れ先病院の救急外来モニターでリアルタイムに同期・共有するシステムを稼働させています。これにより、意識不明の患者であっても即座に適切な初期治療を開始することができ、救命率の向上と救急現場の滞在時間の大幅な短縮という、ICT連携による劇的な成果を上げています。

PHR(パーソナルヘルスレコード)アプリとのデータ統合

 医療機関同士の連携(EHR)にとどまらず、患者自身が自分の医療データにアクセスできるスマートフォンアプリ(PHR)を区が提供し、ネットワークと連携させる取り組みが進んでいます。区民が日々の血圧や体重、スマートウォッチで計測した活動量をアプリに入力すると、それがネットワークを通じてかかりつけ医の電子カルテの画面にグラフ化されて表示されます。これにより、診察室での限られた時間だけでなく、患者の日常生活全体を見守るデータドリブンな予防医療と、区民の健康意識の飛躍的な向上(行動変容)を実現しています。

業務改革とデジタルトランスフォーメーションの推進

ICT活用と民間活力導入による運営の効率化

標準規格(HL7 FHIR)の採用による改修費用の削減

 これまでのネットワーク構築は、システムごとに独自のデータ変換プログラムを開発する必要があり、莫大な初期投資と保守費用が行政の財政を圧迫していました。これを打開するため、最新のシステム更改においては、国際的な医療情報交換の標準規格である「HL7 FHIR」をベースとしたAPI連携を仕様書の必須条件として定めます。これにより、異なるベンダー間でのデータ連携がプラグアンドプレイに近い形で容易になり、将来のシステム拡張や他自治体との連携における追加開発コストを劇的に削減する業務改革が実現します。

ヘルプデスクおよび事務局業務の民間委託(BPO)

 システムの利用に関する医療機関からの問い合わせ対応や、新規参加機関への導入支援、同意書の回収管理といった定型的な事務局業務は、行政職員が行うには極めて負担が大きく、非効率です。これらの業務を、医療情報システムの運用ノウハウを持つ民間事業者へアウトソーシング(BPO)する手法が一般化しています。行政の担当者は、日々の煩雑なオペレーションから解放され、ネットワークの利用促進に向けた戦略立案や、予算確保のための庁内調整といった、本来のコア業務に専念できる環境を構築します。

生成AIの業務適用と将来展望

地域医療連携ネットワークにおける生成AIの具体的な活用法

非構造化カルテデータからの患者サマリー自動生成

 地域のネットワークには、複数の病院から紹介状のPDFや、退院時サマリーのテキストデータなど、形式の定まらない非構造化データが大量に蓄積されます。忙しいクリニックの医師が、画面上でこれらの膨大な文章を全て読み解くことは不可能です。ここに生成AIを組み込み、患者ごとの過去のテキストデータを横断的に読み込ませることで、「直近の主要な病名」「現在服用中の重要な薬剤」「未解決の検査異常値」を瞬時に抽出・要約した「患者サマリー」をネットワークのトップ画面に自動生成させます。これにより、医師は一目で患者の全体像を把握でき、診察の質とスピードが飛躍的に向上します。

医療機関向けヘルプデスクのAIチャットボット化

 ネットワークの操作方法や、エラーメッセージの意味に関する医療機関からの問い合わせに対し、生成AIを組み込んだチャットボットをポータルサイトに導入します。過去のFAQ(よくある質問)やシステムのマニュアルを学習させたAIが、深夜や休日であっても、自然言語での質問に対して正確な解決手順を即座に回答します。これにより、夜間診療を行っている救急病院からの緊急の問い合わせにもタイムリーに対応でき、ヘルプデスクの運用コストの削減とユーザー満足度の向上を同時に達成します。

実践的スキルとPDCAサイクルの構築

組織レベルにおけるネットワーク推進のPDCA

利用率向上に向けた組織的アプローチ

PLAN(計画段階)

 年度初めに、現在のシステム利用施設数、月間総ログイン回数、データ参照件数などのベースラインを計測します。その上で、「今年度は新規に参加するクリニックを〇件増やす」「全体の月間アクティブ率(月に一度以上ログインする施設の割合)を前年比〇%向上させる」といった明確なKPI(重要業績評価指標)を設定し、医師会への説明会スケジュールや、未利用施設への個別訪問リストを作成します。

DO(実行段階)

 計画に基づき、ベンダーの営業担当者や医師会のIT担当理事と協働で、医療機関への個別プロモーションを実行します。単に「システムを使ってください」と頼むのではなく、「このシステムを使えば、他院での重複検査を防ぎ、患者への説明がスムーズになります」といった、現場の医師にとっての明確なメリット(UXの向上)を具体的なデモ画面を交えて提案します。

CHECK(評価段階)

 四半期ごとに、ベンダーから提出される詳細な利用レポートを分析します。目標とするKPIに達していない場合は、その原因を深く探ります。「システム自体のレスポンスが遅くて使われなくなったのか」「特定のパスワードポリシーが厳しすぎてログインを諦めているのか」など、ユーザーの離脱ポイントをデータとヒアリングの両面から客観的に評価します。

ACT(改善段階)

 評価結果を踏まえ、システムの改修や運用ルールの見直しを図ります。使い勝手が悪い画面遷移があれば、ベンダーにUI(ユーザーインターフェース)の改修を指示し、パスワードの期限切れで使えなくなる事例が多ければ、生体認証(指紋や顔認証)の導入を次年度予算に組み込むなど、ユーザーの利便性を最優先とした絶え間ない改善サイクルを回し続けます。

個人レベルにおける専門スキルのPDCA

ITリテラシーと医療知識の継続的アップデート

PLAN(計画段階)

 担当職員個人として、業務に不可欠なIT知識と医療制度の知識を融合させた学習目標を立てます。「今期は医療情報システムの安全管理ガイドラインの改訂ポイントを完全に理解する」「クラウド技術の基礎とAPI連携の仕組みについて入門書を読破する」といった、ベンダーの専門用語に太刀打ちできるリテラシーの獲得を計画します。

DO(実行段階)

 ベンダーとの定例会議や障害報告の場において、分からないIT用語(例えば、SAML認証、ロードバランサーなど)が出てきたら、その場に流さず必ず質問し、あるいは会議後に自身で徹底的に調べ上げます。また、医療現場の実際の業務フローを理解するため、中核病院の地域医療連携室を見学させてもらい、紙の紹介状がどのように処理されているのかを現場の視点で観察します。

CHECK(評価段階)

 ベンダーから提出されたシステム改修の見積書や提案書を読んだ際、自分がその内容の妥当性(金額が高すぎないか、無駄な機能が含まれていないか)を論理的に評価できたかを振り返ります。ベンダーの言いなりになって承認してしまったと感じた場合は、自身の要件定義のスキルやシステム構成への理解不足を厳しく反省します。

ACT(改善段階)

 反省点を踏まえ、庁内の情報システム部門(IT専門職)にアドバイスを求めたり、医療情報技師の資格試験のテキストを用いて体系的に学び直したりします。行政職員としての公正な視点と、ITプロジェクトマネージャーとしての技術的知見を併せ持つことで、ベンダーと対等に渡り合える高度な折衝スキルを磨き続けます。

他部署および関係機関との連携体制

セキュアで実効性のあるネットワーク構築のための協働

庁内情報政策部門および福祉部門との強固な連携

 医療情報のネットワーク構築は、健康医療政策課単独では完結しません。庁内のネットワーク基盤と接続する場合や、区の公式アプリと連携させる場合には、庁内の情報政策(DX推進)部門による厳格なセキュリティ審査とアーキテクチャの調整が不可欠です。また、医療機関だけでなく、介護老人保健施設や居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)をネットワークに巻き込み、真の地域包括ケアを実現するためには、高齢者福祉部門との強力な事業連携と予算の合同要求が必須のプロセスとなります。

地域の医師会および中核病院のシステム担当者との協働

 地域のネットワークは、医師会が構築の主導権を握るケースが多く見られます。行政担当者は、医師会のIT担当理事や事務局と二人三脚で歩み、彼らの顔を立てつつ行政としてのガバナンスを効かせる絶妙なバランス感覚が求められます。また、データの中核となる地域の中核病院のシステム担当者(SE)とは実務レベルでの深い信頼関係を築き、電子カルテのバージョンアップ時期などに合わせて連携システムの改修をスムーズに行えるよう、数年先を見据えたロードマップの共有を図ります。

システムベンダーとの緊張感あるパートナーシップ

 ネットワークの構築と保守を実際に担うシステムベンダー(SIer)は、本事業における最大のパートナーです。しかし、行政側がITの知識不足ゆえにベンダーに丸投げ(ベンダーロックイン)してしまうと、システムがブラックボックス化し、法外な保守費用を請求され続けることになります。担当職員は、要求仕様を明確に文書化し、定期的なサービスレベル(SLA)の測定を通じてベンダーのパフォーマンスを厳しく評価するとともに、システムの課題解決に向けては共に知恵を絞る、適度な緊張感を持った健全なパートナーシップを維持しなければなりません。

総括と自治体職員へのエール

見えないデータの橋を架け、区民の命をつなぐインフラエンジニアとして

 健康医療政策課における地域医療連携ネットワークの構築推進業務は、形のある建物や目に見えるサービスを提供するわけではないため、その成果が区民の目に直接触れることは少ないかもしれません。複雑なシステム構成図に頭を抱え、ベンダーとの価格交渉に疲弊し、新しいシステムの導入を面倒がる医療機関から冷たい態度を取られ、行政の枠を超えたITプロジェクトの難しさに打ちのめされる日もあるでしょう。しかし、皆さんが汗をかいて繋いだ一本のデータ連携の線は、救急車の中で意識を失った患者のアレルギー情報を瞬時に医師に伝え、致命的な医療事故を未然に防ぎ、確かに誰かの命を救う決定的な役割を果たしています。

 東京特別区という、無数の医療機関が林立し、莫大な患者データが日々生成される世界有数の過密都市において、バラバラのシステムを繋ぎ合わせ、安全でシームレスな情報のハイウェイを構築する皆さんの仕事は、デジタル時代の地域医療を根底から支える最もモダンで重要なインフラ整備です。単なる事務職の枠を飛び越え、医療とテクノロジーの架け橋となる「公共のインフラエンジニア」としての高い矜持を持ってください。本マニュアルに示された法令知識、ITリテラシー、そして関係者を巻き込む熱い情熱を武器として、見えないデータの橋で区民の命を強固につなぐ、未来の医療ネットワークの設計者として躍動されることを、心から深く応援しています。

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